説明

ノズル種類認識制御方法及び部品搭載装置

【課題】ノズル種類認識制御方法及び部品搭載装置において、部品搭載精度を高める。
【解決手段】部品を基板上に自動搭載する部品搭載装置において、作業ヘッドに装着されて部品を吸着する吸着ノズルの種類を認識するノズル種類認識制御方法であって、上記作業ヘッドに装着された状態における吸着ノズルの種類を認識する認識工程(S1,S2)と、上記認識した吸着ノズルの種類に応じて上記吸着ノズルの変位を制御する制御工程(S3,S4)とを含むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を吸着する吸着ノズルの種類を認識するノズル種類認識制御方法及び部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置内に搬入される回路基板(以下、単に「基板」という)にチップ状電子部品(以下、単に「部品」という)を自動搭載して基板ユニットを生産する電子部品搭載装置(以下、単に「部品搭載装置」という)がある。部品搭載装置は吸着ノズルを備え、この吸着ノズルにより部品供給装置から部品を吸着し、基板に実装する。
【0003】
上記の部品搭載装置において、複数の吸着ノズルが収容されるノズルステーションを備え、部品に応じた吸着ノズルを使用する手法が用いられている。(例えば、特許文献1参照。)
なお、吸着ノズルは少なくともX軸及びY軸方向に移動自在な作業ヘッド等に装着される。また、この装着が正確になされていることを確認するため、吸着ノズルのバキューム時の負圧やノズル吸着口の形状等を認識する手法が知られている。
【0004】
基板に搭載される部品は大半が微小部品であるため、部品作業ヘッドには、吸着ノズルと部品との接触による衝撃を吸収するため、スプリングが配設されている。このスプリングは、作業ヘッドのうち吸着ノズル上方に配設されているが、スプリングがもう1つ吸着ノズル内に内蔵されている場合もある。
【特許文献1】特開2001−345543号公報(段落[0032]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品搭載装置は、上記のようにノズルステーションにおいて複数の吸着ノズルを保持し、部品に応じて吸着ノズルを使い分けるため、意図しない吸着ノズルを装着してしまう場合がある。このように吸着ノズルの構造が異なると、部品吸着時の部品への衝撃も変化してしまう。
【0006】
ここで、部品への衝撃が顕著に異なる例としては、上記のように吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かの構造の違いが挙げられる。吸着ノズルにスプリングが内蔵されていると、部品吸着時の部品との接触による衝撃を特に吸収しやすいからである。なお、吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かについては、上記従来の吸着ノズルのバキューム時の負圧やノズル吸着口の形状等では認識できなかった。
【0007】
上記のような部品に加わる衝撃が増すと、吸着ノズルによる部品の吸着姿勢が不安定になり、基板への部品の搭載精度が悪化してしまっていた。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、部品搭載精度を高めるノズル種類認識制御方法及び部品搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のノズル種類認識制御方法は、部品を基板上に自動搭載する部品搭載装置において、作業ヘッドに装着されて部品を吸着する吸着ノズルの種類を認識するノズル種類認識制御方法であって、上記作業ヘッドに装着された状態における吸着ノズルの種類を認識する認識工程と、上記認識した吸着ノズルの種類に応じて上記吸着ノズルの変位を制御する制御工程とを含むようにする。
【0009】
上記構成によれば、認識した吸着ノズルの種類に応じて吸着ノズルの変位を制御することで、吸着ノズルの構造が異なることに起因する部品吸着時の部品への衝撃の変化を考慮して吸着ノズルの変位を制御することができる。したがって、部品吸着時の部品への衝撃の変化を抑え、部品吸着姿勢を安定させることができる。
【0010】
好ましくは、上記制御工程は、上記認識した吸着ノズルの種類に応じて上記吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御するようにする。
上記構成によれば、認識した吸着ノズルの種類に応じて吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御することにより、部品吸着時の部品への衝撃の変化を有効に抑えることができる。
【0011】
好ましくは、上記認識工程は、上記吸着ノズルを撮像することにより上記吸着ノズルの種類を認識するようにする。
好ましくは、上記認識工程は、上記吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かを認識するようにする。
【0012】
上記構成によれば、吸着ノズルの構造が顕著に異なるスプリングの内蔵の有無を考慮して部品吸着時の部品への衝撃の変化を抑えることができる。
好ましくは、上記認識工程は、上記吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かを、上記吸着ノズルの座ぐりの有無に基づき認識するようにする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の部品搭載装置は、作業ヘッドに装着され部品を吸着する吸着ノズルと、この吸着ノズルの種類を認識する認識手段と、上記吸着ノズルの変位を制御する制御手段とを備える部品搭載装置であって、上記認識手段は、上記作業ヘッドに装着された状態における吸着ノズルの種類を認識し、上記制御手段は、上記認識した吸着ノズルの種類に応じて上記吸着ノズルの変位を制御するようにする。
【0014】
好ましくは、上記制御手段は、上記認識した吸着ノズルの種類に応じて上記吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御する構成とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、作業ヘッドに装着された状態で認識した吸着ノズルの種類に応じて吸着ノズルの変位を制御することで、吸着ノズル毎に構造が異なることに起因する部品吸着時の部品への衝撃の変化を考慮して吸着ノズルの速度や位置を制御することができる。したがって、部品吸着時の部品への衝撃の変化を抑え、部品吸着姿勢を安定させることができる。よって、本発明によれば、部品搭載精度を高めることができる。
【0016】
また、認識した吸着ノズルの種類に応じて吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御することにより、吸着ノズルが衝撃を吸収しやすい場合にZ軸方向における変位速度を高く設定する等して部品搭載効率を高めることができると共に、部品吸着時の部品への衝撃の変化を有効に抑えることができ、部品搭載精度をより高めることができる。
【0017】
更に、例えば吸着ノズルの座ぐりの有無等に基づき吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かを認識するようにすることで、吸着ノズルの構造が顕著に異なるスプリングの内蔵の有無を考慮して部品吸着時の部品への衝撃の変化を抑えることができ、部品搭載精度をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係るノズル種類認識制御方法及び部品搭載装置について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る部品搭載装置を示す外観斜視図であり、図1Bは、上記部品搭載の上下の保護カバーを取り除いて内部の構成を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図1Aに示すように、部品搭載装置1は、天井カバー上の前後に、それぞれCRTディスプレイからなるモニタ装置2,2と、同じく天井カバー上の左右に、それぞれ稼動状態を報知する警報ランプ3,3を備えている。また、上部保護カバー4の前部と後部の面には、液晶ディスプレイとタッチ式入力装置からなり外部からの操作により各種の指示を入力することができる小型の表示入力パネル5が配置されている(図の右斜め上方向になる後部の表示入力パネル5は陰になって見えない)。
【0020】
下部の基台6の上には、中央に、固定と稼動の1対の平行する基板案内レール7が図1Bに示すプリント回路基板(以下単に「基板」という)8の搬送方向(X軸方向、図の斜め右下から斜め左上方向)に水平に延在して配設される。また、これらの基板案内レール7の下部に接して、図には見えないループ状の搬送ベルト(コンベアベルト)が走行可能に配設される。
【0021】
搬送ベルトは、それぞれ数ミリ幅のベルト脇部を基板案内レール7の下から基板搬送路に覗かせて、不図示のベルト駆動モータにより駆動され、基板搬送方向に走行し、基板8の裏面両側を下から支持しながら装置本体内に部品搭載前の基板8をライン上流側から搬入し、部品搭載済みの基板8を順次ライン下流側に排出する。この部品搭載装置1内には、常時2枚の基板8が搬入され、位置決めされて、部品の搭載が終了するまで固定されている。
【0022】
基台6の前後には、それぞれ電子部品供給台9が形成されている(図1Aでは図の右斜め上方向になる後部の電子部品供給台9は陰になって見えない。また、図1Bでは、後部の電子部品供給台9は図示を省略している)。電子部品供給台9には、テープカセット式電子部品供給装置10が多数配設される。
【0023】
また、基台6の上方には、4本のX軸レール11とこれらそれぞれ2本のX軸レール11の上にそれら2本のX軸レール11をY軸方向(図の左斜め下から右斜め上方向)に摺動自在に支持するそれぞれ1本、合計2本のY軸レール12が左右に配置されている。
【0024】
上記4本のX軸レール11には、それぞれ1台の作業ヘッド支持塔13がX軸方向に摺動自在に懸架されている。つまりここに示す部品搭載装置1には合計4台の作業ヘッド支持塔13が配設されている。
【0025】
各作業ヘッド支持塔13には、図の例では2個の作業ヘッド14が上下(Z方向)に昇降自在に且つ360度方向(θ方向という)に回転自在に配設されている。すなわち、部品搭載装置1には、合計8個の作業ヘッド14が配設されている。各作業ヘッド14は、Y軸レール12によるX軸のY軸方向への移動、X軸による作業ヘッド支持塔13のX軸方向への移動、及び作業ヘッド14自身によるZ軸方向への移動とθ方向への回転により、前後左右上下及びθ方向への位置を自在に制御される。
【0026】
これらの作業ヘッド14は、テープフィーダ10やトレイ式電子部品供給装置等によって吸着部まで供給される所定の部品を後述する吸着ノズル15によって吸着し、その吸着した部品を基板8の所定の搭載位置に搭載する。なお、吸着ノズル15は、供給される部品が変更された場合に、変更後の部品に応じて複数箇所に配設されるノズルステーション36から適宜選択されて作業ヘッド14に装着される。なお、同図におけるノズルステーション36は、吸着ノズル15を2つ収容可能な形状を呈しているが、3つ以上の吸着ノズル15を収容可能なノズルステーションを代わりに配設することももちろん可能である。
【0027】
そして、基台6の内部には、特には図示しないが、基板の位置決め装置、基板を2本の基板案内レール7間に固定する基板固定機構、各部を制御するための制御装置等が備えられている。
【0028】
図2は、上記部品搭載装置のシステム構成を示すブロック図である。同図に示すように、部品搭載装置1は、認識手段及び制御手段としてのCPU16、このCPU16にバス17で接続された同じく認識手段及び制御手段としてのi/o(入出力)制御ユニット18並びに認識手段としての画像処理ユニット19からなる制御部を備えている。また、CPU16には、メモリ20が接続されている。メモリ20は、特には図示しないがプログラム領域とデータ領域とを備えている。
【0029】
また、i/o制御ユニット18には、作業ヘッドの吸着ノズル15に吸着されている部品22、又は吸着ノズル15の種類を認識するべく吸着ノズル15を照明する照明装置23が接続されている。なお、i/o制御ユニット18には、部品22又は吸着ノズル15を照明するための照明装置23以外にも、基板8の基板マークや部品搭載位置を照明するための照明装置21が接続されている。
【0030】
更に、i/o制御ユニット18には、それぞれのアンプ(AMP)を介してX軸モータ24、Y軸モータ25、Z軸モータ26及びθ軸モータ27が接続されている。X軸モータ24は作業ヘッドを左右に駆動し、Y軸モータ25はX軸レールを前後に駆動し、Z軸モータ26は作業ヘッドを上下に駆動し、そしてθ軸モータ27は吸着ノズル15を360度回転させる。
【0031】
上記の各アンプには、特には図示しないが、それぞれエンコーダが配設されており、これらのエンコーダにより各モータ(X軸モータ24,Y軸モータ25,Z軸モータ26,θ軸モータ27)の回転に応じたエンコーダ値がi/o制御ユニット18を介してCPU16に入力される。これにより、CPU16は、吸着ノズル15の現在位置を確認することができる。
【0032】
更に、上記のi/0制御ユニット18には、バキュームユニット28が接続されている。バキュームユニット28は、バキュームチューブ29を介して、更に図1Bに示す作業ヘッド支持塔13及び作業ヘッド14を介して、吸着ノズル15に空気的に接続されている。バキュームチューブ29には、空圧センサ30が配設されている。バキュームユニット28は、吸着ノズル15に対しバキュームによって部品22を吸着させ、又はバキューム解除とエアブローとバキュームブレイク(真空破壊)によって吸着を解除させる。このとき、空圧センサ30からバキュームチューブ29内の空気圧データが電気信号としてi/o制御ユニット18を介しCPU16に出力される。これにより、CPU16は、バキュームチューブ29内の空気圧の状態、ひいては吸着ノズル15の空気圧の現在の状態を認識することができる。
【0033】
更に、上記のi/o制御ユニット18には、位置決め装置、ベルト駆動モータ、基板センサ、異常表示ランプ等がそれぞれのドライバを介して接続されている。位置決め装置は、部品搭載装置の基台内部において基板案内レールの下方に配置され、装置内に案内されてくる基板8の位置決めを行う。ベルト駆動モータは、案内レールに一体的に配設されている基板搬送ベルトを循環駆動する。基板センサは、基板8の搬入と搬出を検知する。異常表示ランプは、部品搭載装置の動作異常や作業領域内の異物進入等の異常時に点灯又は点滅して異常発生をオペレータに報知する。
【0034】
またi/o制御ユニット18には、通信i/oインターフェース31、図1Aに示す表示入力パネル5、記録装置32が接続されている。通信i/oインターフェース31は、例えばティーチングやその他の処理を例えばパーソナルコンピュータ等の他の処理装置で行う場合などに、これらの処理装置と有線又は無線で接続してCPU16との通信が可能であるように構成されている。
【0035】
また、上記の表示入力パネル5は、部品搭載作業の実行時には、画像処理ユニット19が作業ヘッド側の撮像装置33で撮像した基板8(基板マーク)の画像を表示装置に表示する。なお、ティーチング処理の実行時などには、グラフ画像やパラメータ入力窓を画面表示する。
【0036】
記録装置32は、例えばHD(Hard Disk)、FD(Floppy(登録商標)Disk)、MO(Magneto Optical disk)、CD−ROM/RW、カード或いはスティック型のフラッシュメモリ等の各種の記録媒体を装着可能であり、部品搭載装置の部品搭載処理、その事前に行われる部品搭載ティーチング処理等のプログラムや、部品ライブラリのデータ、CADからのNCデータ等の各種のデータを記録して保持しており、これらのプログラムはCPU16によりメモリ20のプログラム領域にロードされて各部の制御の処理に使用され、データもメモリ20のデータ領域に読み出されて、所定の処理がなされる。処理されて更新されたデータは、所定の記録媒体の所定のデータ領域に格納されて保存される。
【0037】
このような構成の部品搭載装置1において、基板ユニットの生産では、2枚の基板が搬入される場合もあれば、複数の小型基板(子基板)を連設した親基板が搬入される場合もあるが、通常は、1枚の基板が最小単位として取り扱われる。そして、最初に、ハード的に位置決めされている基板8の基板マーク位置に、X軸モータ24及びY軸モータ25の駆動によって作業ヘッド支持塔13に配置された基板撮像用の撮像手段33及び照明手段21を移動させ、基板マークを撮像する。この基板マークは、通常、外径1mm程度の大きさで、正方形、正三角形、丸又は菱形等の形状をなした銅パターン等で形成されている。
【0038】
上記撮像した基板マークの画像は、フレームグラバ(frame grabber)に取り込まれ、アナログ信号からデジタルデータへ変換され、この変換によって得られた基板マークのイメージ画像に対し、あらかじめ登録されている基板マークの情報及び認識用の本体装置の装置情報を用いることによって画像認識される。そして、基板マークの画像認識が終了することにより、基板8のずれ及び傾きが認識され、あらかじめ登録されている搭載座標の補正量が決定される。
【0039】
この後、基板8に搭載する部品22を部品供給装置から取り出して、部品認識用の撮像装置35の上方の部品認識点へ部品22を移動させ、部品22を下から撮像する。撮像された部品22の画像は、フレームグラバに取り込まれ、アナログ信号からデジタルデータへ変換され、この変換によって得られた部品22のイメージ画像に対し、あらかじめ登録されている部品22のライブラリ情報及び認識用の本体装置の装置情報を用いることによって画像認識される。この画像認識により、部品22の位置ずれ及び傾きが認識され、あらかじめ登録されている搭載座標位置が、基板マークの画像認識から得られた搭載位置の補正量に部品22の画像認識から得られた補正量を加味して補正され、その補正された搭載位置に部品が搭載される。このような基板8への部品22の搭載作業が、基板8に搭載する部品22の数だけ繰り返される。
【0040】
ここで、部品搭載装置1において、図1に示す作業ヘッド14に装着された状態における吸着ノズル15の種類の認識及び吸着ノズルの変位に係る制御について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0041】
図3は、上記部品搭載装置の吸着ノズルの認識及び制御を示す簡易フローチャートである。
まず、吸着ノズル15が図1に示す作業ヘッド14に装着されると、i/o制御ユニット18はX軸モータ24及びY軸モータ25を制御し、作業ヘッド14を撮像装置15の上方に移動させる。そして、部品22を吸着する前の吸着ノズル15を撮像する。これにより得られた画像が画像処理ユニット19により上述のようにデジタルデータへ変換される等して、画像処理ユニット19が吸着ノズル15の情報を取得する(S1)。
【0042】
なお、上記の吸着ノズル15の撮像は、吸着ノズル15が部品22の中心を吸着するために行われるセンターティーチングや、吸着ノズル15が正しく装着されているか否かの確認と同時に行うとよい。
【0043】
そして、上記吸着ノズル15の情報(ここでは画像データ)に基づきCPU16等が吸着ノズル15の種類を認識する(S2)。画像データからの吸着ノズル15の種類の認識に際しては、吸着ノズル15の開口部形状や径等が考えられるが、吸着する部品22の受ける衝撃が最も変化する要因となる、吸着ノズル15にスプリングが内蔵されているか否かの構造の違いを認識することが望ましい。しかしながら、吸着ノズル15のスプリング内蔵の有無は、上記のような手法では認識することができない場合が多い。そのため、詳しくは後述するが、吸着ノズル15に形成される座ぐり等によって吸着ノズル15を認識するとよい。なお、吸着ノズル15のスプリング内蔵の有無を認識するためには、その他にも、吸着ノズル15への目印を付す手法、スプリング内蔵の有無により吸着ノズル15の形状を異ならせておく手法等がある。
【0044】
上記のノズル種類認識(S2)により、吸着ノズル15の種類がAタイプだったとすると、CPU16及びi/o制御ユニット18はAタイプ用のモータ制御を行う(S3)。具体的には、i/o制御ユニット18がタイプAの条件でZ軸モータ26を回転させることにより吸着ノズル15の変位を制御する。上記タイプAの条件には、例えば速度、吸着位置等が挙げられる。Aタイプの吸着ノズル15が衝撃を吸収しやすいという特性を有していれば、吸着ノズル15のZ軸方向等における変位速度を高めることにより、部品搭載効率が増すことになる。
【0045】
同様に、吸着ノズル15の種類がBタイプだったとすると、CPU16及びi/o制御ユニット18はBタイプ用のZ軸モータ26制御を行う(S4)。なお、吸着ノズル15の種類には3種類以上使用することが多いため、その場合には、タイプC,タイプD,・・・と認識及び制御のパターンを増やすことになる。
【0046】
また、吸着ノズル15の種類が認識できなかった場合には、図1に示すモニタ装置2,2、警報ランプ3,3、表示入力パネル5等により警告表示する(S4)。
なお、本発明に係る制御手段は、少なくとも吸着ノズル15の変位を制御すればよく、CPU16やi/o制御ユニット18に限定されない。また、本発明に係る認識手段も、作業ヘッド14に装着された状態における吸着ノズル15の種類を認識すればよいため、図2に示すCPU16や画像処理ユニット19(撮像装置35)に限定されず、例えば部品搭載装置1にロードセル等の荷重測定要素を配設して吸着ノズル15の種類を判別してもよい。
【0047】
以下、吸着ノズル15のスプリング内蔵の有無を認識するための相違点の一例を図4、図5A、図5B、図6A及び図6Bを参照しながら説明する。
図4は、上記部品搭載装置の作業ヘッドを示す側面図である。図5Aは、上記部品搭載装置のスプリングを内蔵しない吸着ノズルを示す図4のA部拡大断面図である。図5Bは、上記部品搭載装置のスプリングを内蔵する吸着ノズルを示す断面図である。
【0048】
図4において、作業ヘッド14の下端には、吸着ノズル15が装着されている。また、吸着ノズル15の上方には、スプリング36−1が配設されている。ここで、スプリング36−1は、吸着ノズル15−1が部品吸着時に受ける衝撃を吸収するため、ひいては吸着ノズル15−1が吸着する部品への衝撃を緩和するために配設され、吸着ノズル15−1を押圧している。
【0049】
図5A(図4のA部拡大図)に示すようにスプリングを内蔵しない吸着ノズル15−1は、基部37とこの基部37に嵌合するように配設されるノズル先端部38とからなる。基部37及びノズル先端部38には、互いに連通する空圧回路37a,38aが設けられており、これら空圧回路37a,38aは図2に示すバキュームユニット28と空気的に接続されている。なお、吸着ノズル15−1は、ノズル先端部38の下端において上記のバキュームユニット28による空気圧で部品を吸着する。
【0050】
一方、図5Bに示すスプリング36−2を内蔵する吸着ノズル15−2は、基部39、ノズル先端部40、スリーブ41等からなる。スリーブ41は、略円筒形状を呈しており、基部39内をZ軸方向に所定範囲内で摺動可能なように基部39に形成される座ぐり39bから固定具43により固定されている。また、ノズル先端部40は、更にスリーブ41内をZ軸方向に所定範囲内で摺動可能なようにピン42により固定されている。
【0051】
そして、スプリング36−2は、吸着ノズル15−2の部品吸着時における衝撃吸収性を高めるためにノズル先端部40とスリーブ41との間に介在し、ノズル先端部40を所定の押付け荷重で押圧している。なお、基部39及びノズル先端部40にも空圧回路39a,40aが設けられており、これら空圧回路39a,40aも図1に示すバキュームユニット28と空気的に接続されているものとする。
【0052】
ここで、図5Aに示すスプリングを内蔵しない吸着ノズル15−1と、図5Bに示すスプリング36−2を内蔵する吸着ノズル15−2との違いは、ノズル先端部38,40の吸着口形状(空圧回路38a,40aの断面形状)や吸着ノズル15−1,15−2の吸着時におけるバキュームの負圧では認識することができない場合が多い。そのため、吸着ノズル15がスプリング36−2を内蔵しているか否かの判断方法として、以下のように判断するとよい。
【0053】
図6Aは、上記スプリングを内蔵しない吸着ノズルの底面図であり、図6Bは、上記スプリングを内蔵する吸着ノズルの底面図である。
図2に示す撮像装置35が図5Aに示す吸着ノズル15−1を下方から撮像すると、図6Aに示す吸着ノズル15−1のようになる。同様に、図5Bに示す吸着ノズル15−2を下方から撮像すると、図6Bに示す吸着ノズル15−2のようになる。
【0054】
ここで、吸着ノズル15−1と吸着ノズル15−2とは、基部39に座ぐり39bを有するか否かで外観上大きく異なる。そのため、図2に示すi/o制御ユニット18により照明装置23を操作し、座ぐり39bが強調されるように画像を取得すると、容易に吸着ノズル15−2がスプリング36−2を内蔵することを認識することができる。
【0055】
本実施の形態では、作業ヘッド14に装着された状態で認識した吸着ノズル15の種類に応じて吸着ノズルの変位を制御することで、吸着ノズル15毎に構造が異なることに起因する部品22吸着時の部品22への衝撃の変化を考慮して吸着ノズル15の変位を制御することができる。したがって、部品22吸着時の部品22への衝撃の変化を抑え、部品吸着姿勢を安定させることができる。よって、本実施の形態によれば、部品搭載精度を高めることができる。
【0056】
また、認識した吸着ノズル15の種類に応じて吸着ノズル15のZ軸方向における変位速度を制御することにより、吸着ノズル15が衝撃を吸収しやすい場合にZ軸方向における変位速度を高く設定する等して部品搭載効率を高めることができると共に、部品22吸着時の部品22への衝撃の変化を有効に抑えることができ、部品搭載精度をより高めることができる。
【0057】
また、吸着ノズル15を撮像することにより吸着ノズル15の種類を認識することで、CPU16等による吸着ノズル15の認識が容易になり、部品搭載効率を高めることができる。
【0058】
また、吸着ノズル15にスプリングが内蔵されているか否かを例えば座ぐり39の有無により認識することで、吸着ノズル15の構造が顕著に異なるスプリングの内蔵の有無を考慮して部品22吸着時の部品22への衝撃の変化を抑えることができ、部品搭載精度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る部品搭載装置を示す外観斜視図である。
【図1B】上記部品搭載の上下の保護カバーを取り除いて内部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】上記部品搭載装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】上記部品搭載装置の吸着ノズルの認識及び制御を示す簡易フローチャートである。
【図4】上記部品搭載装置の作業ヘッドを示す側面図である。
【図5A】上記部品搭載装置のスプリングを内蔵しない吸着ノズルを示す図4のA部拡大断面図である。
【図5B】上記部品搭載装置のスプリングを内蔵する吸着ノズルを示す断面図である。
【図6A】上記スプリングを内蔵しない吸着ノズルの底面図である。
【図6B】上記スプリングを内蔵する吸着ノズルの底面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 部品搭載装置
2 モニタ装置
3 警報ランプ
4 上部保護カバー
5 表示入力パネル
6 基台
7 基板案内レール
8 基板
9 電子部品供給台
10 テープカセット式電子部品供給装置(テープフィーダ)
11 X軸レール
12 Y軸レール
13 作業ヘッド支持塔
14 作業ヘッド
15 吸着ノズル
16 CPU
17 バス
18 i/o制御ユニット
19 画像処理ユニット
20 メモリ
21 照明装置
22 部品
23 照明装置
24 X軸モータ
25 Y軸モータ
26 Z軸モータ
27 θ軸モータ
28 バキュームユニット
29 バキュームチューブ
30 空圧センサ
31 通信i/oインターフェース
32 記録装置
33 撮像装置
35 撮像装置
36 スプリング
37 基部
37a 空圧回路
38 ノズル先端部
38a 空圧回路
39 基部
39a 空圧回路
39b 座ぐり
40 ノズル先端部
40a 空圧回路
41 スリーブ
42 ピン
43 止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板上に自動搭載する部品搭載装置において、作業ヘッドに装着されて部品を吸着する吸着ノズルの種類を認識するノズル種類認識制御方法であって、
前記作業ヘッドに装着された状態における吸着ノズルの種類を認識する認識工程と、
前記認識した吸着ノズルの種類に応じて前記吸着ノズルの変位を制御する制御工程と
を含むことを特徴とするノズル種類認識制御方法。
【請求項2】
前記制御工程は、前記認識した吸着ノズルの種類に応じて前記吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御することを特徴とする請求項1記載のノズル種類認識制御方法。
【請求項3】
前記認識工程は、前記吸着ノズルを撮像することにより前記吸着ノズルの種類を認識することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のノズル種類認識制御方法。
【請求項4】
前記認識工程は、前記吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かを認識することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載のノズル種類認識制御方法。
【請求項5】
前記認識工程は、前記吸着ノズルにスプリングが内蔵されているか否かを、前記吸着ノズルの座ぐりの有無に基づき認識することを特徴とする請求項4記載のノズル種類認識制御方法。
【請求項6】
作業ヘッドに装着され部品を吸着する吸着ノズルと、該吸着ノズルの種類を認識する認識手段と、前記吸着ノズルの変位を制御する制御手段とを備える部品搭載装置であって、
前記認識手段は、前記作業ヘッドに装着された状態における吸着ノズルの種類を認識し、
前記制御手段は、前記認識した吸着ノズルの種類に応じて前記吸着ノズルの変位を制御することを特徴とする部品搭載装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記認識した吸着ノズルの種類に応じて前記吸着ノズルのZ軸方向における変位速度を制御することを特徴とする請求項6記載の部品搭載装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2007−242755(P2007−242755A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60649(P2006−60649)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000178022)山形カシオ株式会社 (65)
【Fターム(参考)】