ハイブリッドモジュール
【課題】 小型で且つ放熱性の良好な信頼性の高いハイブリッドモジュールを提供する。
【解決手段】 回路基板11に形成された凹部14内に実装された発熱性を有する回路部品13のグランド端子に接続すると共に一部が回路基板11の外表面に露出した放熱用内部電極17Aを形成し、この内部電極17Aをサーマルビアホール17Bを介して放熱用外部電極17C等に接続したハイブリッドモジュールを構成する。これにより、回路部品13から発生された熱は、絶縁性樹脂16を介して放熱用内部電極17Aに熱伝導され、放熱用内部導体電極17Aの露出部分及び放熱用外部電極17Cから外部空間に放熱される。
【解決手段】 回路基板11に形成された凹部14内に実装された発熱性を有する回路部品13のグランド端子に接続すると共に一部が回路基板11の外表面に露出した放熱用内部電極17Aを形成し、この内部電極17Aをサーマルビアホール17Bを介して放熱用外部電極17C等に接続したハイブリッドモジュールを構成する。これにより、回路部品13から発生された熱は、絶縁性樹脂16を介して放熱用内部電極17Aに熱伝導され、放熱用内部導体電極17Aの露出部分及び放熱用外部電極17Cから外部空間に放熱される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路パターンが形成された回路基板に、積層コンデンサや積層インダクタなどのチップ部品や半導体部品を搭載して回路を構成したハイブリッドモジュールに関し、特に回路基板上に電界効果型トランジスタやパワー半導体等の発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、回路基板上に電界効果型トランジスタやパワー半導体等の発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールでは、回路部品から放熱を図るため、特殊な放熱手段を設けたものがある。例えば、特開平5−13627号公報に示されたハイブリッドモジュールでは、図2に示すように、回路基板21に放熱フィン22を設け、回路基板21上に搭載された発熱性を有する回路部品23を、板バネ状の熱伝導部材24を介して放熱フィン22と接続したものである。このハイブリッドモジュール20では、回路部品23で発生した熱が、放熱フィン22を介して大気中に放出される。
【0003】また、回路基板上に発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールの他の従来例として、図3に示すようなものもある。このハイブリッドモジュール20’では、回路基板25として窒化アルミニウム系のセラミックが使用され、この回路基板25上のランド電極26上にチップ状電子部品27が実装されると共に、ランド電極26上に半田バンプ28を介して発熱性を有する半導体素子等の回路部品29が搭載されている。
【0004】また、回路基板25は親回路基板30上に搭載されると共に、回路基板25の端子電極25aが、親回路基板30上に形成されたランド電極31に半田で接続されている。
【0005】さらに、回路基板25と親回路基板30との対向した面は、親回路基板30の上に形成された熱伝導性の良好な導体膜32を介して接合されている。
【0006】窒化アルミニウム系セラミックは、熱伝導性が良い絶縁材料として注目されている。前述したハイブリッドモジュールでは、回路基板25上に搭載された回路部品29から発生する熱が、窒化アルミニウム系セラミックからなる熱伝導性良好な回路基板25と導体膜32を介して親回路基板30へと伝導され、放熱される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来例における前者のハイブリッドモジュール20は、放熱フィン22を介して回路部品23で発生した熱を大気中に放出するものであり、放熱効率を高めるためには、必然的に放熱フィン22の表面積を広げることが必要となる。このため、ハイブリッドモジュール20において放熱フィン22の占める容積が大きくなり、小型化し難くなるという問題点があった。
【0008】また、前述した従来例における後者のハイブリッドモジュール20’では、回路部品29で発生した熱が回路基板25を介して親回路基板30へと放熱されるため、放熱フィンは不要であり、回路基板25が放熱手段を兼ねるため、容積の増大はないが、窒化アルミニウム系セラミックは、熱伝導性が良いものの、現在ではアルミナ等の一般的な基板材料に比べて極めて高価であり、材料のコスト高を招くという問題点があった。
【0009】本発明の目的は上記の問題点に鑑み、小型で且つ放熱性の良好な信頼性の高いハイブリッドモジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために請求項1では、回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたハイブリッドモジュールを提案する。
【0011】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品に当接された放熱板に前記放熱用内部導体が接続され、さらに該放熱用内部導体の少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出する。これにより、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分から外部空間に放熱される。
【0012】また、請求項2では、回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板及び前記回路部品に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたハイブリッドモジュールを提案する。
【0013】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品及び前記放熱板に放熱用内部導体が接続され、さらに該放熱用内部導体の少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出する。これにより、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分及び放熱板から外部空間に放熱される。
【0014】また、請求項3では、回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したハイブリッドモジュールを提案する。
【0015】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発生した熱が前記凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の前記回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱される。
【0016】また、請求項4では、請求項1または2記載のハイブリッドモジュールにおいて、回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したハイブリッドモジュールを提案する。
【0017】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分或いは放熱板または前記導電性材料の露出部分から外部空間に放熱される。
【0018】また、請求項5では、請求項1,2または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱用内部導体は前記回路基板の外面に形成された外部電極に接続されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0019】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から前記外部電極に熱伝導される。これにより、前記外部電極から外部空間に放熱されると共に、前記外部電極が親回路基板の配線導体に接続されているときは、該配線導体を介して前記親回路基板に熱伝導され、親回路基板からも外部空間に放熱される。
【0020】また、請求項6では、請求項1,2または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路基板に装着された金属ケースを備えると共に、前記放熱用内部導体は、前記金属ケースに接続されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0021】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から前記金属ケースに熱伝導される。これにより、前記金属ケースから外部空間に放熱される。
【0022】また、請求項7では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板が高温ハンダを用いて前記回路基板に固定されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0023】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が高温安定材料である高温ハンダによって前記回路基板に固定されているので、熱によって放熱板及び回路基板に生ずる応力を低減でき、熱抵抗が安定する。
【0024】また、請求項8では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間が熱伝導率が10W/mk以上の高熱伝導性樹脂によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0025】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が前記高熱伝導性樹脂によって前記回路部品に固定されているので、該高熱伝導性樹脂により、熱によって放熱板に生ずる応力を吸収でき、回路部品にかかる応力を吸収することができると共に、熱抵抗を安定化させる。
【0026】また、請求項9では、請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板の表面はシランカプラを用いた化学処理が施されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0027】該ハイブリッドモジュールによれば、放熱板の樹脂に接する面の表面が改質され、樹脂との接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗がさらに安定化する。
【0028】また、請求項10では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間がAu−Sn合金によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0029】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板がAu−Snを用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合が強固になると共に、放熱効率が向上する。
【0030】また、請求項11では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間が金属バンプと樹脂によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0031】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が金属バンプと樹脂によって前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合が強固になると共に、放熱効率が向上する。
【0032】また、請求項12では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板には前記凹部内と凹部外とを連通する貫通孔が形成されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0033】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板に貫通孔が形成されているため、前記回路部品が実装されている凹部が前記放熱板によって密閉されたとしても、前記凹部内と外部とは前記貫通孔によって連通するので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがない。
【0034】また、請求項13では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板は、周縁が前記凹部の開口縁部に重なると共に周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしているハイブリッドモジュールを提案する。
【0035】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板はその周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしているめ、前記回路部品が実装されている凹部上に前記放熱板が取り付けられても前記凹部内と外部とは連通するので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがない。
【0036】また、請求項14では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路基板は直方体形状をなし、前記主面には対向する一対の辺の近傍を除いて他の対向する一対の辺間に亘って凹部が形成され、該凹部に前記放熱板が嵌合されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0037】該ハイブリッドモジュールによれば、前記主面において、外部端子電極の形成に必要な前記対向する一対の辺の近傍領域を除く部分のほぼ全てに凹部が形成され、該凹部に放熱板が嵌合されている。これにより、前記放熱板の面積を主面内で最大に設定することができ、放熱効率が高められる。
【0038】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態のハイブリッドモジュールを示す側面断面図である。図において、10はハイブリッドモジュールで、回路パターンが形成された回路基板11に複数のチップ状電子部品12と発熱性を有する半導体素子等の回路部品13が搭載されて構成されている。
【0039】回路基板11は、直方体形状のアルミナを主体とした吸水率が0.1%以下であるセラミック多層基板からなり、その底面、即ち親回路基板30への実装時に親回路基板に対向する主面11aには、発熱性の回路部品13を搭載するための凹部14が形成されている。
【0040】凹部14は、2段階に形成され、主面11a側に第1の凹部14Aが形成され、さらに第1の凹部14A内にやや小さい第2の凹部14Bが形成されている。
【0041】第2の凹部14Bは、その中に実装される回路部品13の形状に合わせて、その縦横厚み寸法よりやや大きく形成される。
【0042】さらに、この第2の凹部14Bの底面には、ランド電極15が形成され、第2の凹部14B内に実装された発熱性を有する半導体素子,FET等の回路部品13の端子電極がランド電極15に接続されている。これらのランド電極15はビアホール及び内部電極を介してチップ部品12或いは外部端子電極(図示せず)に接続されている。また、隣り合うランド電極15間には封止用の熱伝導性を有する絶縁性樹脂(封止樹脂)16が充填されている。
【0043】この状態で、回路部品13の裏面は、第1の凹部14Aの底面とほぼ同じ面となる。
【0044】また、回路基板11内には複数の放熱用内部電極17Aが形成され、その一部が回路部品13のグランド(接地)電極に接続されている。さらに、第1の凹部14Aの底面周縁部所要箇所には放熱用内部電極17Aの一部が露出され、これらの放熱用内部電極17Aは、その端面が回路基板11の側面に露出され、さらに放熱用のビアホール17B(以下、サーマルビアホールと称する)と他の放熱用内部電極17Aを介して絶縁性樹脂(封止樹脂)16に接続さると共に他のサーマルビアホール17Bを介して主面11aの所定箇所に形成されている放熱用の外部電極17Cに接続されている。
【0045】さらに、第1及び第2の凹部14A,14Bの内壁面所要箇所には放熱用壁面電極17Dが形成され、この放熱用壁面電極17Dは放熱用内部電極17A及び外部電極17Cに接続されている。
【0046】一方、上記第1の凹部14A内には、第1の凹部14Aの開口よりもやや小さい大きさの放熱板18Aが装着され、放熱板18Aと回路部品13の裏面との間は、熱伝導率が10W/mk以上である低ヤング率のシリコン樹脂18Bによって固着されている。さらに、放熱板18Aは、第1の凹部14Aの底面周縁に露出した放熱用内部電極17Aに対して低温ガラス18Cを用いて固着されている。
【0047】この状態で、放熱板18Aの表面は回路基板11の主面11aとほぼ同じ面となる。
【0048】一方、回路基板11の主面11aと対向する面、即ち図示における回路基板11の上面にはランド電極15が形成され、このランド電極15にチップ状電子部品12が半田付けされ、これらのチップ状電子部品12は、回路基板11の上面に嵌合する金属ケース19によって覆われている。
【0049】さらに、回路基板11の側面には内部導体によって形成された回路パターンに接続された複数の外部端子電極(図示せず)が形成されている。
【0050】また、前述したように、回路基板11は多層構造になっており、その内部に回路パターンが形成され、各ランド電極15はこの回路パターンに接続されている。これにより、回路基板の体積を有効に利用して、モジュールの小型化を図っている。
【0051】前述の構成よりなるハイブリッドモジュール10によれば、回路部品13から発生された熱は、シリコン樹脂18B及び放熱板18Aを介して放熱される。さらに、回路部品13から発生された熱は、放熱用内部電極17Aに熱伝導され、放熱用内部電極17Aの回路基板11側面の露出部分から放熱されると共に、サーマルビアホール17B及び放熱用壁面電極17Dを介して放熱用の外部電極18Cから外部空間に放熱されるので、形状小型にして効率よく放熱させることができる。
【0052】また、放熱板18Aが低ヤング率のシリコン樹脂18Bによって回路基板に固定されているため、周囲温度が変化してもシリコン樹脂18Bのヤング率は小さいので、熱により放熱板18Aから回路部品13へかかる応力を吸収することができ、発熱による回路部品13の損傷を防止することができると共に、熱抵抗を安定化して効率の良い放熱を行うことができる。
【0053】さらに、放熱板18Aが低温ガラス18Cによって回路基板11に固定されているため、周囲温度が変化しても低温ガラス18Cのヤング率は小さいので、熱による放熱板18A及び回路基板11への応力を低減でき、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0054】また、回路部品13の発した熱は、絶縁性樹脂16及び放熱用内部電極17A、サーマルビアホール17B、低温ガラス18Cを介して放熱板18Aに伝達されて放熱板18Aから放熱されるので、回路部品13の上部及び下部の双方から放熱させることができる。
【0055】従って、小型にして効率よく放熱を行うことができるハイブリッドモジュールを安価にて製造することができる。
【0056】また、親回路基板への実装時において、図4に示すように、放熱板18A及び放熱用外部電極18Cを親回路基板30のランド31及び導体膜32にハンダなどの熱伝導性材料33によって固着することにより、放熱板18A及び放熱用外部電極18Cから親回路基板30に熱伝導することができ、親回路基板30を介しての放熱も行うことができるので、放熱を行う面積を拡大でき、放熱効率を高めることができる。
【0057】このとき、例えば図5に示すように、長方形の放熱板18Aの長手方向両端部を回路基板11及び親回路基板30に固着し、放熱板18Aの長手方向における放熱板18Aと回路基板11との固着部分の面積Sa と放熱板18Aと親回路基板30との固着部部の面積Sbとの関係を、Sa>Sb、好ましくはSbがSaの90%以下(0.9×Sa≧Sb)とすれば、親回路基板30からの応力を吸収することができる。
【0058】尚、回路部品13に対する放熱板18Aの固着材はシリコン樹脂に限定されることはなく、ヤング率の低い高熱伝導性の樹脂、例えば熱伝導率が10W/mk以上の樹脂であれば他の樹脂を用いても同様の効果が得られる。
【0059】また、低温ガラス18Cに代えて高温ハンダを用いてもほぼ同様の効果が得られた。
【0060】また、放熱板18Aの表面にシランカップラによる化学処理を施して、放熱板18Aのシリコン樹脂18Bに接する面の表面を改質すれば、シリコン樹脂18Bとの接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0061】また、放熱板18Aの樹脂に接する面を物理的に加工して、微細な凹凸等を形成することによっても、シリコン樹脂18Bとの接触強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0062】また、放熱板18Aからの放熱効率を上げるには、放熱板の熱伝導率が100W/mk以上であり且つ線膨張係数が10ppm/℃以下であることが好ましい。さらに、放熱板18Aの材質としては、Mo、AlN、W、CuW、CuMo、C等が好ましい。さらにまた、放熱板18Aの厚さは、放熱性と応力のバランスを考慮すると、50〜250μm程度が好ましい。
【0063】また、回路基板11としてガラスエポキシ等の有機材料多層基板を使用すれば、同様の効果を得ながら、コストの削減及び軽量化を図ることができる。
【0064】次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0065】図6は、第2の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Bを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、一端が絶縁性樹脂16或いは回路部品13のグランド(接地)電極に接続し、他端が回路基板11の上面に露出する連続したビアホールからなるサーマルビアホール41を形成すると共に、放熱用外部電極17Cを金属ケース42に接続したことにある。
【0066】即ち、第2の実施形態では、第1の実施形態において絶縁性樹脂16に接続していた放熱用内部電極17Aを除去し、これに代えてサーマルビアホール41を設けることにより、回路部品13から発生した熱を絶縁性樹脂16を介してサーマルビアホール41に伝達し、回路基板11の上面に露出したサーマルビアホール41の他端から放熱させる構成とした。
【0067】さらに、放熱用外部電極17Cを回路基板11の側面に形成し、これを金属ケース42に接続することによって放熱用外部電極17Cに伝達された熱を金属ケース42に伝達し、金属ケース42から外部空間に放熱させている。
【0068】上記構成においては、回路部品13から発生された熱は、シリコン樹脂18Bを介して放熱板18Aから放熱されると共に金属ケース42からも外部空間に放熱される。さらに、回路部品13から発生された熱は、絶縁性樹脂16を介してサーマルビアホール41に熱伝導され、サーマルビアホール41の回路基板11上面の露出部分から放熱されるので、形状小型にして効率よく放熱させることができる。
【0069】次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0070】図7は、第3の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Cを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、放熱板18Aに代えて貫通孔43aを有する放熱板43を備えたことにある。
【0071】即ち、図8に示すように、長方形をなす放熱板43の1つのコーナー部には円形の貫通孔43aが形成されている。貫通孔43aの形成位置は、放熱板43を回路基板11に装着した際に第2の凹部14Bの開口内に位置し且つ回路部品13に重ならない位置に設定されている。
【0072】このように貫通孔43aを有する放熱板43を用いることにより、リフロー後にハンダやフラックスが回路基板11と放熱板43の間に詰まり、回路部品13が実装されている凹部14が放熱板43によって密閉されたとしても、凹部14内と外部とは貫通孔43aによって連通するので、凹部14内の圧力は放熱板43の装着前後で変化することがなく、凹部14内の内圧変動の発生を抑えることができ、内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0073】尚、貫通孔43aを設けずに、放熱板43の形状を変えて凹部14内と外部とが連通するようにしても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。例えば、図9に示すように、長手方向両端部に第2の凹部14Bの開口内に至る長さの所定幅の切り欠き部44aが形成された放熱板44を用いても、切り欠き部44aによって凹部14内と外部空間とが常に連通されるので、同様の効果を得ることができる。
【0074】次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0075】図10は、第4の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Dを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第4の実施形態との相違点は、回路部品13と放熱板18Aとを熱伝導性に優れた金・錫(Au−Sn)合金45を用いて固着したことにある。
【0076】このように、Au−Sn合金45を用いて回路部品13と放熱板18Aとを接合することにより、接合強度高めることができると共に、低く且つ安定した熱抵抗を得ることができるので、放熱効率を向上させることができる。
【0077】尚、Au−Sn合金45に代えて、熱伝導性に優れた他の部材を用いても良い。例えば、高温ハンダや高熱伝導樹脂を用いても同様の効果が得られる。
【0078】次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
【0079】図11は、第5の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Eを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第5の実施形態との相違点は、回路部品13と放熱板18Aとを複数の金属バンプ46とシリコン樹脂18Bによって接合したことにある。
【0080】このように、熱伝導性に優れた金属バンプ46を用いることにより安定した熱抵抗を得ることができる。さらに、これら複数の金属バンプ46間にシリコン樹脂18Bを充填し、シリコン樹脂18Bによっても回路部品13と放熱板18Aと固着することにより、接合強度を高めることができると共に熱応力を緩和し、回路部品13にかかる負荷を低減することができる。
【0081】次に、本発明の第6の実施形態を説明する。
【0082】図12は、第6の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Fを示す主面側からの外観斜視図、図13は図12におけるA−A線矢視方向の断面図、図14は図12におけるB−B線矢視方向の断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第6の実施形態との相違点は、第6の実施形態では、回路基板11の主面11aに設けられる凹部14において、第2の凹部14Bの形状を変更することなく、対向する1対の基板側面にまで延びる第1の凹部14Cを形成すると共に、この第1の凹部14Cに嵌合する形状の放熱板48を備えた点にある。
【0083】即ち、主面11aには外部端子電極47の形成に必要とする領域(対向する一対の辺の近傍の領域)を除いて他の対向する一対の辺間に亘って第1の凹部14Cが形成され、この第1の凹部14Cに放熱板48が嵌合され、放熱板48の一対の側面は回路基板の側面に露出している。また、この側面には放熱用内部電極17Aの端部も露出している。
【0084】上記構成によれば、主面11aにおいて、外部端子電極47の形成に必要な領域を除く部分のほぼ全てに第1の凹部14Cが形成され、放熱板48が嵌合されているので、放熱板48の面積を主面11a内で最大に設定することができ、放熱効率をさらに高めることができる。
【0085】尚、上記の各実施形態は本願発明の一具体例であり、本願発明がこれらに限定されることはない。例えば、放熱用内部電極17A、サーマルビアホール17B、及び放熱用外部電極17Cは、放熱用として独立して形成しても良いし、接地用(GND)電極等と兼用させても同様の効果を得ることができる。
【0086】また、上記実施形態では、発熱性の回路部品13を1個実装したモジュールを構成したが、複数の発熱性回路部品を実装したモジュールであっても良く、この場合も同様の効果を得ることができる。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1によれば、回路部品から発生された熱が、放熱板を介して放熱されると共に放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0088】また、請求項2によれば、回路部品から発生された熱が、放熱板を介して放熱されると共に放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分及び放熱板から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0089】また、請求項3によれば、回路部品から発生した熱が凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0090】また、請求項4によれば、上記請求項1または2の効果に加えて、回路部品から発生した熱が凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱されるので、さらに放熱効率を高めることができる。
【0091】また、請求項5によれば、上記の効果に加えて、前記回路部品から発生した熱が、外部電極から外部空間に放熱されると共に、前記外部電極が親回路基板の配線導体に接続されているときは、該配線導体を介して前記親回路基板に熱伝導され、親回路基板からも外部空間に放熱されるので、放熱を行う面積が拡大され、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0092】また、請求項6によれば、上記の効果に加えて、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から金属ケースに熱伝導されて該金属ケースから外部空間に放熱されるので、放熱を行う面積が拡大され、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0093】また、請求項7によれば、上記の効果に加えて、放熱板が高温ハンダによって前記回路基板に固定されているため、周囲温度が変化しても前記高温ハンダのヤング率は小さいので、熱による放熱板及び回路基板への応力を低減でき、熱抵抗を安定化することができる。
【0094】また、請求項8によれば、上記の効果に加えて、放熱板が高熱伝導性樹脂によって前記回路部品に固定されているため、周囲温度が変化しても前記高熱伝導性樹脂のヤング率は小さいので、熱により放熱板から回路部品へかかる応力を吸収することができ、発熱による回路部品の損傷を防止することができると共に、熱抵抗を安定化して効率の良い放熱を行うことができる。
【0095】また、請求項9によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板の表面にシランカップラによる化学処理を施して前記放熱板の樹脂に接する面の表面を改質することにより、樹脂との接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗を安定化することができる。
【0096】また、請求項10によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板がAu−Sn合金を用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合を強固にすることができると共に放熱効率を向上させることができる。
【0097】また、請求項11によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板が金属バンプと樹脂を用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合を強固にすることができると共に放熱効率を向上させることができる。
【0098】また、請求項12によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板に貫通孔が形成されているため、回路部品が装着されている凹部内と外部とは常時前記貫通孔によって連通されるので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがなく、前記凹部内の内圧変動の発生を抑えることができ、前記内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0099】また、請求項13によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板は前記凹部内と外部を連通する形状をなしているため、回路部品が装着されている凹部内と外部とは常時連通されるので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがなく、前記凹部内の内圧変動の発生を抑えることができ、前記内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0100】また、請求項14によれば、上記の効果に加えて、前記回路基板の主面において、外部端子電極の形成に必要な領域を除く部分のほぼ全てに凹部が形成され、該凹部に放熱板が嵌合されているため、前記放熱板の面積を主面内で最大に設定することができるので、放熱面積が増大され、放熱効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図2】従来例のハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図3】他の従来例のハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図4】本発明の第1の実施形態における親回路基板への実装形態例を説明する図
【図5】本発明の第1の実施形態における放熱板と回路基板及び親回路基板との固着例を説明する図
【図6】本発明の第2の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図7】本発明の第3の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図8】本発明の第3の実施形態における放熱板を示す平面図
【図9】本発明の第3の実施形態における放熱板の他の形状例を示す平面図
【図10】本発明の第4の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図11】本発明の第5の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図12】本発明の第6の実施形態におけるハイブリッドモジュール10を示す主面側からの外観斜視図
【図13】図12におけるA−A線矢視方向断面図
【図14】図12におけるB−B線矢視方向断面図
【符号の説明】
10,10B〜10F…ハイブリッドモジュール、11…回路基板、11a…主面、12…チップ状電子部品、13…回路部品、14…凹部、14A…第1の凹部、14B…第2の凹部、15…ランド電極、16…絶縁性樹脂(封止樹脂)、17A…放熱用内部電極、17B…サーマルビアホール、17C…放熱用外部電極、18A…放熱板、18B…シリコン樹脂、18C…低温ガラス、19…金属ケース、30…親回路基板、31…ランド電極、32…導体膜、33…熱伝導性材料、41…サーマルビアホール、42…金属ケース、43…放熱板、43a…貫通孔、44…放熱板、44a…切り欠き部、45…Au−Sn合金、46…金属バンプ、47…外部端子電極、48…放熱板。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路パターンが形成された回路基板に、積層コンデンサや積層インダクタなどのチップ部品や半導体部品を搭載して回路を構成したハイブリッドモジュールに関し、特に回路基板上に電界効果型トランジスタやパワー半導体等の発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、回路基板上に電界効果型トランジスタやパワー半導体等の発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールでは、回路部品から放熱を図るため、特殊な放熱手段を設けたものがある。例えば、特開平5−13627号公報に示されたハイブリッドモジュールでは、図2に示すように、回路基板21に放熱フィン22を設け、回路基板21上に搭載された発熱性を有する回路部品23を、板バネ状の熱伝導部材24を介して放熱フィン22と接続したものである。このハイブリッドモジュール20では、回路部品23で発生した熱が、放熱フィン22を介して大気中に放出される。
【0003】また、回路基板上に発熱性を有する回路部品を搭載したハイブリッドモジュールの他の従来例として、図3に示すようなものもある。このハイブリッドモジュール20’では、回路基板25として窒化アルミニウム系のセラミックが使用され、この回路基板25上のランド電極26上にチップ状電子部品27が実装されると共に、ランド電極26上に半田バンプ28を介して発熱性を有する半導体素子等の回路部品29が搭載されている。
【0004】また、回路基板25は親回路基板30上に搭載されると共に、回路基板25の端子電極25aが、親回路基板30上に形成されたランド電極31に半田で接続されている。
【0005】さらに、回路基板25と親回路基板30との対向した面は、親回路基板30の上に形成された熱伝導性の良好な導体膜32を介して接合されている。
【0006】窒化アルミニウム系セラミックは、熱伝導性が良い絶縁材料として注目されている。前述したハイブリッドモジュールでは、回路基板25上に搭載された回路部品29から発生する熱が、窒化アルミニウム系セラミックからなる熱伝導性良好な回路基板25と導体膜32を介して親回路基板30へと伝導され、放熱される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来例における前者のハイブリッドモジュール20は、放熱フィン22を介して回路部品23で発生した熱を大気中に放出するものであり、放熱効率を高めるためには、必然的に放熱フィン22の表面積を広げることが必要となる。このため、ハイブリッドモジュール20において放熱フィン22の占める容積が大きくなり、小型化し難くなるという問題点があった。
【0008】また、前述した従来例における後者のハイブリッドモジュール20’では、回路部品29で発生した熱が回路基板25を介して親回路基板30へと放熱されるため、放熱フィンは不要であり、回路基板25が放熱手段を兼ねるため、容積の増大はないが、窒化アルミニウム系セラミックは、熱伝導性が良いものの、現在ではアルミナ等の一般的な基板材料に比べて極めて高価であり、材料のコスト高を招くという問題点があった。
【0009】本発明の目的は上記の問題点に鑑み、小型で且つ放熱性の良好な信頼性の高いハイブリッドモジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために請求項1では、回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたハイブリッドモジュールを提案する。
【0011】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品に当接された放熱板に前記放熱用内部導体が接続され、さらに該放熱用内部導体の少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出する。これにより、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分から外部空間に放熱される。
【0012】また、請求項2では、回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板及び前記回路部品に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたハイブリッドモジュールを提案する。
【0013】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品及び前記放熱板に放熱用内部導体が接続され、さらに該放熱用内部導体の少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出する。これにより、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分及び放熱板から外部空間に放熱される。
【0014】また、請求項3では、回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したハイブリッドモジュールを提案する。
【0015】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発生した熱が前記凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の前記回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱される。
【0016】また、請求項4では、請求項1または2記載のハイブリッドモジュールにおいて、回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したハイブリッドモジュールを提案する。
【0017】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発生された熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分或いは放熱板または前記導電性材料の露出部分から外部空間に放熱される。
【0018】また、請求項5では、請求項1,2または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱用内部導体は前記回路基板の外面に形成された外部電極に接続されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0019】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から前記外部電極に熱伝導される。これにより、前記外部電極から外部空間に放熱されると共に、前記外部電極が親回路基板の配線導体に接続されているときは、該配線導体を介して前記親回路基板に熱伝導され、親回路基板からも外部空間に放熱される。
【0020】また、請求項6では、請求項1,2または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路基板に装着された金属ケースを備えると共に、前記放熱用内部導体は、前記金属ケースに接続されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0021】該ハイブリッドモジュールによれば、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から前記金属ケースに熱伝導される。これにより、前記金属ケースから外部空間に放熱される。
【0022】また、請求項7では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板が高温ハンダを用いて前記回路基板に固定されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0023】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が高温安定材料である高温ハンダによって前記回路基板に固定されているので、熱によって放熱板及び回路基板に生ずる応力を低減でき、熱抵抗が安定する。
【0024】また、請求項8では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間が熱伝導率が10W/mk以上の高熱伝導性樹脂によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0025】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が前記高熱伝導性樹脂によって前記回路部品に固定されているので、該高熱伝導性樹脂により、熱によって放熱板に生ずる応力を吸収でき、回路部品にかかる応力を吸収することができると共に、熱抵抗を安定化させる。
【0026】また、請求項9では、請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板の表面はシランカプラを用いた化学処理が施されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0027】該ハイブリッドモジュールによれば、放熱板の樹脂に接する面の表面が改質され、樹脂との接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗がさらに安定化する。
【0028】また、請求項10では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間がAu−Sn合金によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0029】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板がAu−Snを用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合が強固になると共に、放熱効率が向上する。
【0030】また、請求項11では、請求項1,2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路部品と前記放熱板との間が金属バンプと樹脂によって固着されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0031】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板が金属バンプと樹脂によって前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合が強固になると共に、放熱効率が向上する。
【0032】また、請求項12では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板には前記凹部内と凹部外とを連通する貫通孔が形成されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0033】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板に貫通孔が形成されているため、前記回路部品が実装されている凹部が前記放熱板によって密閉されたとしても、前記凹部内と外部とは前記貫通孔によって連通するので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがない。
【0034】また、請求項13では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記放熱板は、周縁が前記凹部の開口縁部に重なると共に周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしているハイブリッドモジュールを提案する。
【0035】該ハイブリッドモジュールによれば、前記放熱板はその周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしているめ、前記回路部品が実装されている凹部上に前記放熱板が取り付けられても前記凹部内と外部とは連通するので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがない。
【0036】また、請求項14では、請求項1、2,3または4記載のハイブリッドモジュールにおいて、前記回路基板は直方体形状をなし、前記主面には対向する一対の辺の近傍を除いて他の対向する一対の辺間に亘って凹部が形成され、該凹部に前記放熱板が嵌合されているハイブリッドモジュールを提案する。
【0037】該ハイブリッドモジュールによれば、前記主面において、外部端子電極の形成に必要な前記対向する一対の辺の近傍領域を除く部分のほぼ全てに凹部が形成され、該凹部に放熱板が嵌合されている。これにより、前記放熱板の面積を主面内で最大に設定することができ、放熱効率が高められる。
【0038】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態のハイブリッドモジュールを示す側面断面図である。図において、10はハイブリッドモジュールで、回路パターンが形成された回路基板11に複数のチップ状電子部品12と発熱性を有する半導体素子等の回路部品13が搭載されて構成されている。
【0039】回路基板11は、直方体形状のアルミナを主体とした吸水率が0.1%以下であるセラミック多層基板からなり、その底面、即ち親回路基板30への実装時に親回路基板に対向する主面11aには、発熱性の回路部品13を搭載するための凹部14が形成されている。
【0040】凹部14は、2段階に形成され、主面11a側に第1の凹部14Aが形成され、さらに第1の凹部14A内にやや小さい第2の凹部14Bが形成されている。
【0041】第2の凹部14Bは、その中に実装される回路部品13の形状に合わせて、その縦横厚み寸法よりやや大きく形成される。
【0042】さらに、この第2の凹部14Bの底面には、ランド電極15が形成され、第2の凹部14B内に実装された発熱性を有する半導体素子,FET等の回路部品13の端子電極がランド電極15に接続されている。これらのランド電極15はビアホール及び内部電極を介してチップ部品12或いは外部端子電極(図示せず)に接続されている。また、隣り合うランド電極15間には封止用の熱伝導性を有する絶縁性樹脂(封止樹脂)16が充填されている。
【0043】この状態で、回路部品13の裏面は、第1の凹部14Aの底面とほぼ同じ面となる。
【0044】また、回路基板11内には複数の放熱用内部電極17Aが形成され、その一部が回路部品13のグランド(接地)電極に接続されている。さらに、第1の凹部14Aの底面周縁部所要箇所には放熱用内部電極17Aの一部が露出され、これらの放熱用内部電極17Aは、その端面が回路基板11の側面に露出され、さらに放熱用のビアホール17B(以下、サーマルビアホールと称する)と他の放熱用内部電極17Aを介して絶縁性樹脂(封止樹脂)16に接続さると共に他のサーマルビアホール17Bを介して主面11aの所定箇所に形成されている放熱用の外部電極17Cに接続されている。
【0045】さらに、第1及び第2の凹部14A,14Bの内壁面所要箇所には放熱用壁面電極17Dが形成され、この放熱用壁面電極17Dは放熱用内部電極17A及び外部電極17Cに接続されている。
【0046】一方、上記第1の凹部14A内には、第1の凹部14Aの開口よりもやや小さい大きさの放熱板18Aが装着され、放熱板18Aと回路部品13の裏面との間は、熱伝導率が10W/mk以上である低ヤング率のシリコン樹脂18Bによって固着されている。さらに、放熱板18Aは、第1の凹部14Aの底面周縁に露出した放熱用内部電極17Aに対して低温ガラス18Cを用いて固着されている。
【0047】この状態で、放熱板18Aの表面は回路基板11の主面11aとほぼ同じ面となる。
【0048】一方、回路基板11の主面11aと対向する面、即ち図示における回路基板11の上面にはランド電極15が形成され、このランド電極15にチップ状電子部品12が半田付けされ、これらのチップ状電子部品12は、回路基板11の上面に嵌合する金属ケース19によって覆われている。
【0049】さらに、回路基板11の側面には内部導体によって形成された回路パターンに接続された複数の外部端子電極(図示せず)が形成されている。
【0050】また、前述したように、回路基板11は多層構造になっており、その内部に回路パターンが形成され、各ランド電極15はこの回路パターンに接続されている。これにより、回路基板の体積を有効に利用して、モジュールの小型化を図っている。
【0051】前述の構成よりなるハイブリッドモジュール10によれば、回路部品13から発生された熱は、シリコン樹脂18B及び放熱板18Aを介して放熱される。さらに、回路部品13から発生された熱は、放熱用内部電極17Aに熱伝導され、放熱用内部電極17Aの回路基板11側面の露出部分から放熱されると共に、サーマルビアホール17B及び放熱用壁面電極17Dを介して放熱用の外部電極18Cから外部空間に放熱されるので、形状小型にして効率よく放熱させることができる。
【0052】また、放熱板18Aが低ヤング率のシリコン樹脂18Bによって回路基板に固定されているため、周囲温度が変化してもシリコン樹脂18Bのヤング率は小さいので、熱により放熱板18Aから回路部品13へかかる応力を吸収することができ、発熱による回路部品13の損傷を防止することができると共に、熱抵抗を安定化して効率の良い放熱を行うことができる。
【0053】さらに、放熱板18Aが低温ガラス18Cによって回路基板11に固定されているため、周囲温度が変化しても低温ガラス18Cのヤング率は小さいので、熱による放熱板18A及び回路基板11への応力を低減でき、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0054】また、回路部品13の発した熱は、絶縁性樹脂16及び放熱用内部電極17A、サーマルビアホール17B、低温ガラス18Cを介して放熱板18Aに伝達されて放熱板18Aから放熱されるので、回路部品13の上部及び下部の双方から放熱させることができる。
【0055】従って、小型にして効率よく放熱を行うことができるハイブリッドモジュールを安価にて製造することができる。
【0056】また、親回路基板への実装時において、図4に示すように、放熱板18A及び放熱用外部電極18Cを親回路基板30のランド31及び導体膜32にハンダなどの熱伝導性材料33によって固着することにより、放熱板18A及び放熱用外部電極18Cから親回路基板30に熱伝導することができ、親回路基板30を介しての放熱も行うことができるので、放熱を行う面積を拡大でき、放熱効率を高めることができる。
【0057】このとき、例えば図5に示すように、長方形の放熱板18Aの長手方向両端部を回路基板11及び親回路基板30に固着し、放熱板18Aの長手方向における放熱板18Aと回路基板11との固着部分の面積Sa と放熱板18Aと親回路基板30との固着部部の面積Sbとの関係を、Sa>Sb、好ましくはSbがSaの90%以下(0.9×Sa≧Sb)とすれば、親回路基板30からの応力を吸収することができる。
【0058】尚、回路部品13に対する放熱板18Aの固着材はシリコン樹脂に限定されることはなく、ヤング率の低い高熱伝導性の樹脂、例えば熱伝導率が10W/mk以上の樹脂であれば他の樹脂を用いても同様の効果が得られる。
【0059】また、低温ガラス18Cに代えて高温ハンダを用いてもほぼ同様の効果が得られた。
【0060】また、放熱板18Aの表面にシランカップラによる化学処理を施して、放熱板18Aのシリコン樹脂18Bに接する面の表面を改質すれば、シリコン樹脂18Bとの接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0061】また、放熱板18Aの樹脂に接する面を物理的に加工して、微細な凹凸等を形成することによっても、シリコン樹脂18Bとの接触強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗をさらに安定化することができる。
【0062】また、放熱板18Aからの放熱効率を上げるには、放熱板の熱伝導率が100W/mk以上であり且つ線膨張係数が10ppm/℃以下であることが好ましい。さらに、放熱板18Aの材質としては、Mo、AlN、W、CuW、CuMo、C等が好ましい。さらにまた、放熱板18Aの厚さは、放熱性と応力のバランスを考慮すると、50〜250μm程度が好ましい。
【0063】また、回路基板11としてガラスエポキシ等の有機材料多層基板を使用すれば、同様の効果を得ながら、コストの削減及び軽量化を図ることができる。
【0064】次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0065】図6は、第2の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Bを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、一端が絶縁性樹脂16或いは回路部品13のグランド(接地)電極に接続し、他端が回路基板11の上面に露出する連続したビアホールからなるサーマルビアホール41を形成すると共に、放熱用外部電極17Cを金属ケース42に接続したことにある。
【0066】即ち、第2の実施形態では、第1の実施形態において絶縁性樹脂16に接続していた放熱用内部電極17Aを除去し、これに代えてサーマルビアホール41を設けることにより、回路部品13から発生した熱を絶縁性樹脂16を介してサーマルビアホール41に伝達し、回路基板11の上面に露出したサーマルビアホール41の他端から放熱させる構成とした。
【0067】さらに、放熱用外部電極17Cを回路基板11の側面に形成し、これを金属ケース42に接続することによって放熱用外部電極17Cに伝達された熱を金属ケース42に伝達し、金属ケース42から外部空間に放熱させている。
【0068】上記構成においては、回路部品13から発生された熱は、シリコン樹脂18Bを介して放熱板18Aから放熱されると共に金属ケース42からも外部空間に放熱される。さらに、回路部品13から発生された熱は、絶縁性樹脂16を介してサーマルビアホール41に熱伝導され、サーマルビアホール41の回路基板11上面の露出部分から放熱されるので、形状小型にして効率よく放熱させることができる。
【0069】次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0070】図7は、第3の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Cを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、放熱板18Aに代えて貫通孔43aを有する放熱板43を備えたことにある。
【0071】即ち、図8に示すように、長方形をなす放熱板43の1つのコーナー部には円形の貫通孔43aが形成されている。貫通孔43aの形成位置は、放熱板43を回路基板11に装着した際に第2の凹部14Bの開口内に位置し且つ回路部品13に重ならない位置に設定されている。
【0072】このように貫通孔43aを有する放熱板43を用いることにより、リフロー後にハンダやフラックスが回路基板11と放熱板43の間に詰まり、回路部品13が実装されている凹部14が放熱板43によって密閉されたとしても、凹部14内と外部とは貫通孔43aによって連通するので、凹部14内の圧力は放熱板43の装着前後で変化することがなく、凹部14内の内圧変動の発生を抑えることができ、内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0073】尚、貫通孔43aを設けずに、放熱板43の形状を変えて凹部14内と外部とが連通するようにしても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。例えば、図9に示すように、長手方向両端部に第2の凹部14Bの開口内に至る長さの所定幅の切り欠き部44aが形成された放熱板44を用いても、切り欠き部44aによって凹部14内と外部空間とが常に連通されるので、同様の効果を得ることができる。
【0074】次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0075】図10は、第4の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Dを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第4の実施形態との相違点は、回路部品13と放熱板18Aとを熱伝導性に優れた金・錫(Au−Sn)合金45を用いて固着したことにある。
【0076】このように、Au−Sn合金45を用いて回路部品13と放熱板18Aとを接合することにより、接合強度高めることができると共に、低く且つ安定した熱抵抗を得ることができるので、放熱効率を向上させることができる。
【0077】尚、Au−Sn合金45に代えて、熱伝導性に優れた他の部材を用いても良い。例えば、高温ハンダや高熱伝導樹脂を用いても同様の効果が得られる。
【0078】次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
【0079】図11は、第5の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Eを示す側面断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第5の実施形態との相違点は、回路部品13と放熱板18Aとを複数の金属バンプ46とシリコン樹脂18Bによって接合したことにある。
【0080】このように、熱伝導性に優れた金属バンプ46を用いることにより安定した熱抵抗を得ることができる。さらに、これら複数の金属バンプ46間にシリコン樹脂18Bを充填し、シリコン樹脂18Bによっても回路部品13と放熱板18Aと固着することにより、接合強度を高めることができると共に熱応力を緩和し、回路部品13にかかる負荷を低減することができる。
【0081】次に、本発明の第6の実施形態を説明する。
【0082】図12は、第6の実施形態におけるハイブリッドモジュール10Fを示す主面側からの外観斜視図、図13は図12におけるA−A線矢視方向の断面図、図14は図12におけるB−B線矢視方向の断面図である。図において、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第1の実施形態と第6の実施形態との相違点は、第6の実施形態では、回路基板11の主面11aに設けられる凹部14において、第2の凹部14Bの形状を変更することなく、対向する1対の基板側面にまで延びる第1の凹部14Cを形成すると共に、この第1の凹部14Cに嵌合する形状の放熱板48を備えた点にある。
【0083】即ち、主面11aには外部端子電極47の形成に必要とする領域(対向する一対の辺の近傍の領域)を除いて他の対向する一対の辺間に亘って第1の凹部14Cが形成され、この第1の凹部14Cに放熱板48が嵌合され、放熱板48の一対の側面は回路基板の側面に露出している。また、この側面には放熱用内部電極17Aの端部も露出している。
【0084】上記構成によれば、主面11aにおいて、外部端子電極47の形成に必要な領域を除く部分のほぼ全てに第1の凹部14Cが形成され、放熱板48が嵌合されているので、放熱板48の面積を主面11a内で最大に設定することができ、放熱効率をさらに高めることができる。
【0085】尚、上記の各実施形態は本願発明の一具体例であり、本願発明がこれらに限定されることはない。例えば、放熱用内部電極17A、サーマルビアホール17B、及び放熱用外部電極17Cは、放熱用として独立して形成しても良いし、接地用(GND)電極等と兼用させても同様の効果を得ることができる。
【0086】また、上記実施形態では、発熱性の回路部品13を1個実装したモジュールを構成したが、複数の発熱性回路部品を実装したモジュールであっても良く、この場合も同様の効果を得ることができる。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1によれば、回路部品から発生された熱が、放熱板を介して放熱されると共に放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0088】また、請求項2によれば、回路部品から発生された熱が、放熱板を介して放熱されると共に放熱用内部導体に熱伝導され、前記放熱用内部導体の露出部分及び放熱板から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0089】また、請求項3によれば、回路部品から発生した熱が凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱されるので、小型にして効率よく放熱させることができる。
【0090】また、請求項4によれば、上記請求項1または2の効果に加えて、回路部品から発生した熱が凹部内壁面の導電性材料に熱伝達され、該導電性材料の回路基板外表面露出部分から外部空間に放熱されると共に該導電性材料を介して放熱板に熱伝達され該放熱板から外部空間に放熱されるので、さらに放熱効率を高めることができる。
【0091】また、請求項5によれば、上記の効果に加えて、前記回路部品から発生した熱が、外部電極から外部空間に放熱されると共に、前記外部電極が親回路基板の配線導体に接続されているときは、該配線導体を介して前記親回路基板に熱伝導され、親回路基板からも外部空間に放熱されるので、放熱を行う面積が拡大され、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0092】また、請求項6によれば、上記の効果に加えて、前記回路部品から発せられた熱は前記放熱用内部導体に熱伝導され、該放熱用内部導体から金属ケースに熱伝導されて該金属ケースから外部空間に放熱されるので、放熱を行う面積が拡大され、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0093】また、請求項7によれば、上記の効果に加えて、放熱板が高温ハンダによって前記回路基板に固定されているため、周囲温度が変化しても前記高温ハンダのヤング率は小さいので、熱による放熱板及び回路基板への応力を低減でき、熱抵抗を安定化することができる。
【0094】また、請求項8によれば、上記の効果に加えて、放熱板が高熱伝導性樹脂によって前記回路部品に固定されているため、周囲温度が変化しても前記高熱伝導性樹脂のヤング率は小さいので、熱により放熱板から回路部品へかかる応力を吸収することができ、発熱による回路部品の損傷を防止することができると共に、熱抵抗を安定化して効率の良い放熱を行うことができる。
【0095】また、請求項9によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板の表面にシランカップラによる化学処理を施して前記放熱板の樹脂に接する面の表面を改質することにより、樹脂との接着強度が向上するため、界面状態が安定化し、熱抵抗を安定化することができる。
【0096】また、請求項10によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板がAu−Sn合金を用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合を強固にすることができると共に放熱効率を向上させることができる。
【0097】また、請求項11によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板が金属バンプと樹脂を用いて前記回路部品に固着されているため、これらの間の接合を強固にすることができると共に放熱効率を向上させることができる。
【0098】また、請求項12によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板に貫通孔が形成されているため、回路部品が装着されている凹部内と外部とは常時前記貫通孔によって連通されるので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがなく、前記凹部内の内圧変動の発生を抑えることができ、前記内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0099】また、請求項13によれば、上記の効果に加えて、前記放熱板は前記凹部内と外部を連通する形状をなしているため、回路部品が装着されている凹部内と外部とは常時連通されるので、前記凹部内の圧力は前記放熱板の装着前後で変化することがなく、前記凹部内の内圧変動の発生を抑えることができ、前記内圧変動による放熱効率の低下を防止することができる。
【0100】また、請求項14によれば、上記の効果に加えて、前記回路基板の主面において、外部端子電極の形成に必要な領域を除く部分のほぼ全てに凹部が形成され、該凹部に放熱板が嵌合されているため、前記放熱板の面積を主面内で最大に設定することができるので、放熱面積が増大され、放熱効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図2】従来例のハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図3】他の従来例のハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図4】本発明の第1の実施形態における親回路基板への実装形態例を説明する図
【図5】本発明の第1の実施形態における放熱板と回路基板及び親回路基板との固着例を説明する図
【図6】本発明の第2の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図7】本発明の第3の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図8】本発明の第3の実施形態における放熱板を示す平面図
【図9】本発明の第3の実施形態における放熱板の他の形状例を示す平面図
【図10】本発明の第4の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図11】本発明の第5の実施形態におけるハイブリッドモジュールを示す側面断面図
【図12】本発明の第6の実施形態におけるハイブリッドモジュール10を示す主面側からの外観斜視図
【図13】図12におけるA−A線矢視方向断面図
【図14】図12におけるB−B線矢視方向断面図
【符号の説明】
10,10B〜10F…ハイブリッドモジュール、11…回路基板、11a…主面、12…チップ状電子部品、13…回路部品、14…凹部、14A…第1の凹部、14B…第2の凹部、15…ランド電極、16…絶縁性樹脂(封止樹脂)、17A…放熱用内部電極、17B…サーマルビアホール、17C…放熱用外部電極、18A…放熱板、18B…シリコン樹脂、18C…低温ガラス、19…金属ケース、30…親回路基板、31…ランド電極、32…導体膜、33…熱伝導性材料、41…サーマルビアホール、42…金属ケース、43…放熱板、43a…貫通孔、44…放熱板、44a…切り欠き部、45…Au−Sn合金、46…金属バンプ、47…外部端子電極、48…放熱板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項2】 回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板及び前記回路部品に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項3】 回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項4】 回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したことを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッドモジュール。
【請求項5】 前記放熱用内部導体は前記回路基板の外面に形成された外部電極に接続されていることを特徴とする請求項1,2又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項6】 前記回路基板に装着された金属ケースを備えると共に、前記放熱用内部導体は、前記金属ケースに接続されていることを特徴とする請求項1,2又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項7】 前記放熱板が高温ハンダを用いて前記回路基板に固定されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項8】 前記回路部品と前記放熱板との間が熱伝導率が10W/mK以上の高熱伝導性樹脂によって固着されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のハイブリッドモジュール。
【請求項9】 前記放熱板の表面はシランカプラを用いた化学処理が施されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項10】 前記回路部品と前記放熱板との間がAu−Sn合金によって固着されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項11】 前記回路部品と前記放熱板との間が金属バンプと樹脂によって固着されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項12】 前記放熱板には前記凹部内と凹部外とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項13】 前記放熱板は、周縁が前記凹部の開口縁部に重なると共に周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項14】 前記回路基板は直方体形状をなし、前記主面には対向する一対の辺の近傍を除いて他の対向する一対の辺間に亘って凹部が形成され、該凹部に前記放熱板が嵌合されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項1】 回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項2】 回路基板と、該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記放熱板及び前記回路部品に接続すると共に少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された放熱用内部導体を備えたことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項3】 回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したことを特徴とするハイブリッドモジュール。
【請求項4】 回路基板と該回路基板に形成された凹部内に実装された発熱性を有する回路部品と、該回路部品と前記凹部の内壁面との間に充填された封止樹脂と、前記回路部品に当接された放熱板とを備え、親回路基板上に実装して使用されるハイブリッドモジュールであって、前記凹部の少なくとも一部の内壁面を少なくとも一部が前記回路基板の外表面に露出して形成された導電性材料で覆い、該導電性材料と放熱板を接続したことを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッドモジュール。
【請求項5】 前記放熱用内部導体は前記回路基板の外面に形成された外部電極に接続されていることを特徴とする請求項1,2又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項6】 前記回路基板に装着された金属ケースを備えると共に、前記放熱用内部導体は、前記金属ケースに接続されていることを特徴とする請求項1,2又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項7】 前記放熱板が高温ハンダを用いて前記回路基板に固定されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項8】 前記回路部品と前記放熱板との間が熱伝導率が10W/mK以上の高熱伝導性樹脂によって固着されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のハイブリッドモジュール。
【請求項9】 前記放熱板の表面はシランカプラを用いた化学処理が施されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項10】 前記回路部品と前記放熱板との間がAu−Sn合金によって固着されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項11】 前記回路部品と前記放熱板との間が金属バンプと樹脂によって固着されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項12】 前記放熱板には前記凹部内と凹部外とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項13】 前記放熱板は、周縁が前記凹部の開口縁部に重なると共に周縁の一部が前記凹部の開口縁よりも内側に位置する形状をなしていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【請求項14】 前記回路基板は直方体形状をなし、前記主面には対向する一対の辺の近傍を除いて他の対向する一対の辺間に亘って凹部が形成され、該凹部に前記放熱板が嵌合されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハイブリッドモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2000−58741(P2000−58741A)
【公開日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−227890
【出願日】平成10年8月12日(1998.8.12)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年8月12日(1998.8.12)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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