説明

ハイブリッド型ファインダ装置

【課題】光学式と電子式の両方のファインダを持つハイブリッド型ファインダ装置の使い勝手を良くする。
【解決手段】被写体70の方向に向けられるファインダ窓16と、窓16から入射する被写体70の光像を覗く覗き窓17と、窓16と覗き窓17との間に設けられ被写体70の光像を覗き窓17の方向に透過するハーフミラー63と、ハーフミラー63に表示画像を投射して覗き窓17の方向に反射させる表示装置61と、ハーフミラー63の窓16側に設けられ被写体70の光像のうちの一部領域を遮光するシャッタ手段62と、撮影レンズ13aを通して撮像素子21が撮影した被写体の撮像画像のうちの一部画像に該当する前記光像上の前記一部領域の位置をパララックス量に基づき算出してシャッタ手段62を制御すると共に該一部画像を表示装置61に表示し前記光像に重ねる表示制御手段32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ビューファインダと電子ビューファインダの両方を併せ持つハイブリッド型ファインダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を搭載し、撮像画像データをカメラ内でデジタル処理して記録媒体に保存するデジタルカメラにも、従来は、光学式ビューファインダ(以下、OVFとも記す。)が設けられ、撮影者はファインダを覗き、被写体の構図などを目視し、シャッタボタンを押す様になっていた。
【0003】
しかし、近年のデジタルカメラは、光学式ビューファインダを設けずに、カメラ背面に設けた大型液晶表示装置に固体撮像素子から出力されるスルー画像を表示し、ファインダ代わりとするのが一般的となっている。
【0004】
しかしながら、カメラ背面の大型液晶表示装置にスルー画像を表示する形式のデジタルカメラでは、このスルー画像を確認するためにカメラを顔から離して見なければならず、シャッタボタンを押したとき手振れが発生してしまうという問題がある。また、固体撮像素子から出力され画像処理されたスルー画像を表示するため、実際の被写体の状態に比べて若干のタイムラグが存在するという課題もある。
【0005】
これに対し、光学式ビューファインダの代わりに、電子ビューファインタ(以下、EVFとも記す。)を搭載したデジタルカメラもある。電子ビューファインダは、小さなファインダの覗き窓内に小型液晶表示装置を設け、ここに固体撮像素子から出力されるスルー画像を表示し、撮影者に被写体の構図などを確認させるものである。
【0006】
しかしながら、電子ビューファインダは、スルー画像を表示する小型液晶表示装置の画素数が少ないため、粗い画像しか表示できず、撮影者が被写体の細かな部分の確認ができないという課題がある。また、上記と同様に、固体撮像素子から出力され画像処理されたスルー画像を表示するため、実際の被写体の状態に比べて若干のタイムラグが存在するという課題もある。
【0007】
近年のデジタルカメラには、上述した種々の問題や課題がある他、カメラファンの中には、光学式ビューファインダの復活を望む声も多い。このため、例えば下記の特許文献1に記載されている様なハイブリッドなファインダ装置が考えられている。
【0008】
このハイブリッドなファインダ装置は、光学式ビューファインダの光路の途中に斜め45度のハーフミラーを置き、このハーフミラーに、小型液晶表示装置の画面に表示した画像の光を投射する構成となっている。そして、光学式ビューファインダを通した被写体の光像と、小型液晶表示装置の表示画面(電子ビューファインダの表示画像)の画像のいずれか一方を選択してファインダ接眼レンズを通して撮影者の目に投影し、或いは、両者を混合して撮影者の目に投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3―292067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ハイブリッド型のファインダ装置をデジタルカメラに搭載し、電子ビューファインダで被写体のスルー画像を表示する場合、その被写体画像は、カメラに設けられた撮影レンズを通して得られた画像となる。これに対し、光学式ビューファインダで見ることができる被写体光像は、撮影レンズとは別に設けられたファインダ窓から被写体を覗いた像となる。
【0011】
つまり、電子ビューファインダで見る被写体画像と、光学式ビューファインダを通した被写体光像とは、被写体を見る視点に角度差のずれ即ちパララックスが生じている。
【0012】
このため、例えば被写体人物がファインダ窓の方向を見ているため光学式ビューファインダ内の被写体光像の視線がカメラに合っていると判断した撮影者がシャッタボタンを押下して被写体画像を撮像すると、この被写体画像の視線が、実際にはずれている、ということが起こる。
【0013】
このパララックスがあるため、光学式ビューファインダと電子ビューファインダとを単純に切り替えて使用したり両方の画像を単純に合成したりするだけでは、使い勝手の良いハイブリッド型ファインダ装置をユーザに提供することはできない。
【0014】
本発明の目的は、撮影者に与えるパララックスによる錯誤を抑制し、光学式ビューファインダによる被写体光像と電子ビューファインダによる被写体画像とを見やすく合成することができるハイブリッド型ファインダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のハイブリッド型ファインダ装置は、被写体の方向に向けられるファインダ窓と、該ファインダ窓から入射する前記被写体の光像を覗く撮影者側ファインダ覗き窓と、前記ファインダ窓と前記撮影者側覗き窓との間に設けられ前記被写体の光像を前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に透過するハーフミラーと、該ハーフミラーに表示画像を投射して前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に反射させる表示装置と、前記ハーフミラーの前記ファインダ窓側に設けられ前記被写体の前記光像のうちの一部領域を遮光するシャッタ手段と、撮影レンズを通して撮像素子が撮影した前記被写体の撮像画像のうちの一部画像に該当する前記光像上の前記一部領域の位置をパララックス量に基づき算出して前記シャッタ手段を制御すると共に該一部画像を前記表示装置に表示し前記光像に重ねる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光学式ビューファインダによる被写体光像(OVF光像)の一部を、撮像素子で撮像した被写体画像(EVF画像)の一部に置き換えて表示するため、OVF画像と必要なEVF要部画像とを同時に一画面内で確認でき、撮影者にとって使い勝手の良いハイブリッド型ファインダ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの内部構成図である。
【図3】光学ビューファインダを通した光学像の一例(a)と、この光学像に重ねて表示するEVFによる情報の一例(b)を示す図である。
【図4】図3(a)と図3(b)重ねて表示した例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態の説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態に係る表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態の説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態の説明図である。
【図11】図10(b)に示すOVFシャッタの拡大説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態の説明図である。
【図13】本発明の第6実施形態の説明図である。
【図14】本発明の第7実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンパクトタイプのデジタルカメラの外観斜視図である。本実施形態の撮像装置であるデジタルスチルカメラ10は、矩形の筐体11を備え、正面中央に沈胴式のレンズ鏡筒12が設けられ、レンズ鏡筒12内に撮影レンズ(焦点位置合わせレンズやズームレンズ等)13が収納されている。
【0020】
筐体11の上端面の片側にはシャッタレリーズボタン14が設けられ、シャッタレリーズボタン14とは反対側の角の筐体11内には、詳細は後述するハイブリッド形式のファインダ装置15が設けられている。ファインダ装置15の被写体側ファインダ窓16が、筐体11正面の角部に設けられ、その背面側に、ファインダ装置15の撮影者側覗き窓17が設けられている。
【0021】
図2は、図1に示すデジタルカメラ10の内部ブロック構成図である。デジタルカメラ10は、単板式カラー画像撮像用の固体撮像素子21と、固体撮像素子21の前段に置かれた撮影レンズ13(ズームレンズを13a、フォーカス用レンズを13bとする。)と、絞り(アイリス)24と、固体撮像素子21の出力信号(撮像画像信号)をアナログ信号処理するCDSAMP(相関二重サンプリング(CDS),利得制御増幅器(AMP))25と、CDSAMP25の出力信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル(A/D)変換器26とを備える。なお、固体撮像素子21は、この例ではCCD型であるが、勿論、CMOS型等の他の形式の固体撮像素子でも良い。
【0022】
デジタルカメラ10は、更に、A/D変換器26から出力されるデジタル信号でなる撮像画像信号を取り込む画像入力コントローラ31と、このデジタルカメラ10の全体を統括制御する演算処理装置(CPU)32と、撮像画像信号を画像処理する画像信号処理回路33と、固体撮像素子21から出力される画像データから焦点位置を検出するAF検出回路34と、露出量,ホワイトバランスを自動検出するAE&AWB検出回路35と、ワークメモリとして使用する記憶手段としてのSDRAM36と、被写体中の「顔」画像を検出する顔検出回路37と、被写体中の動体を検出する動体検出回路38と、画像処理後の撮像画像データをJPEG画像やMPEG画像に圧縮する圧縮処理回路39と、カメラ背面等に設けられた液晶表示装置40やファインダ装置15内の液晶表示装置(EVF)61に撮像画像やスルー画像,後述の各種情報を表示するビデオエンコーダ41と、記録メディア42に撮像画像データを保存するメディアコントローラ43と、これらを相互接続するバス44とを備える。
【0023】
このデジタルカメラ10は、更に、ズームレンズ13aの駆動モータに駆動パルスを供給するモータドライバ46と、フォーカスレンズ13bの位置を駆動するモータに駆動パルスを供給するモータドライバ47と、絞り24の絞り位置制御を行う駆動モータに駆動パルスを供給するモータドライバ48と、固体撮像素子11に駆動タイミングパルス(電子シャッタパルス,読み出しパルス,転送パルス等)を供給するタイミングジェネレータ49とを備え、これらは、CPU32からの指令に基づいて動作する。また、CDSAMP25もCPU32からの指令に基づいて動作する。
【0024】
CPU32には、更に、撮影モード/再生モードを切り換えるスイッチ51と、2段シャッタのシャッタレリーズボタン52とを備え、これらスイッチ51,52から入力されるユーザ指示に基づき、CPU32はデジタルカメラ10を制御する。更に、本実施形態のデジタルカメラ10は、CPU32の指示で動作する液晶ドライバ53を備え、この液晶ドライバ53は、ファインダ装置15内の後述の液晶シャッタ(OVFシャッタ)62を開閉駆動する。
【0025】
ファインダ装置15は、被写体側ファインダ窓16と撮影者側覗き窓17との間に、対物レンズ65と、OVFシャッタ62と、ハーフミラー63を内部に持つプリズム66と、接眼レンズ64とがこの順に収納されている。
【0026】
ハーフミラー63は、好適には、50%の光を透過し50%の光を反射する例えば銀膜などで構成されるが、この比率に限るものではない。他の比率、例えば、70%(又は60%)の光を透過し30%(又は40%)の光を反射する膜でも良く、或いは逆に、30%(又は40%)の光を透過し70%(又は60%)の光を反射する膜でも良く、透過光と反射光とが両方存在すればよい。
【0027】
ハーフミラー63は、被写体からの入射光軸Lに対して斜め45度に設置されており、ハーフミラー63に隣接しかつ入射光軸Lに対し平行にEVF用の前述の液晶表示装置61が設けられている。これにより、ハーフミラー63を透過した被写体からの入射光と、液晶表示装置61から発せされハーフミラー63で反射した光とが重なった状態で撮影者の目に投影される様になっている。
【0028】
液晶表示装置61には、カメラ背面に設けられた液晶表示装置40と同じ情報が排他的に表示される様に図示省略の切り替えスイッチが設けられており、撮影者によって切り替えられる。液晶表示装置61への表示情報は、固体撮像素子21から出力されるスルー画像情報や、撮影後の撮影画像情報であるが、撮影条件等の情報も表示される。
【0029】
OVFシャッタ62を「開」状態としかつEVF用表示装置61を非表示とすることで、ファインダ装置15は光学式ビューファインダ(OVF)として使用され、OVFシャッタ62を「閉」状態としかつEVF用表示装置61を表示することで、ファインダ装置15を電子ビューファインダ(EVF)として使用されることになる。
【0030】
また、EVF用表示装置61に撮影情報等の情報を表示させ、OVFシャッタ62を「開」状態とすることで、被写体の構図を光学式ビューファインダで確認しながら、撮影条件情報を同時に同一ファインダ枠内で確認することができる。
【0031】
図3(a)は、ファインダ装置15の被写体側ファインダ窓16に入射し、ハーフミラー63を透過し、撮影者側覗き窓17を透過して撮影者の目に投影された光学像の一例を示しており、図2に示す被写体70の光学像70aがファインダ枠71の中央に映っている。
【0032】
図3(b)は、EVF用表示装置61に表示する撮影条件等の情報の一例を示す図である。画面(ファインダ枠71)の下側に、プログラム撮影モードであることを示す「P」情報75と、撮影条件情報(シャッタ速度1/2000秒、絞りF=5.6、ISO感度200)76が表示され、右肩に「19枚」を例示する撮影枚数情報77が表示されている。また、画面内には、中央部分にフォーカスさせる位置を示すAFフレーム枠78と、フレーミングガイド線79とが表示されている。
【0033】
図4は、この図3(a)と図3(b)の各情報を、OVFシャッタ62を「開」にして重ねた状態を示している。この様にすることで、光学式ビューファインダによる被写体像に、EVFによる情報を重ねて表示させることが可能となる。
【0034】
ここで注意することは、図3(b)に示す各情報75〜79を「黒」で表示しないことである。光情報で「黒」色を表現することはできず、実際には光を遮光することで「黒」を表現している。液晶表示装置の場合、黒色にすべき画素位置を遮光してバックライトの光が前面に漏れでない様にすることで「黒」を表現している。有機発光素子の様に自発光表示装置の場合には、「黒」を表現する画素位置での発光を停止することで、「黒」を表現している。
【0035】
このため、この「黒」情報と、光学式ビューファインダの光有りの情報とが重ね合わされると、「黒」情報が光有りの「白」になってしまい、黒で表された情報が消えてしまう。そこで、「黒」での表示は止め、何らかの有彩色で図3(b)に示す各情報75〜79を表示する必要がある。
【0036】
上述したように、EVF用表示装置61で情報を「黒」表示すると、この情報は光学式ビューファインダを透過した被写体光像で上書きされてしまい、EVF情報は消えてしまう。これは、逆に言えば、EVF用表示装置61の表示情報のうち、必要な情報は黒以外の例えば有彩色で表示し、不要な情報は黒で表示しておけば、必要な情報だけを光学式ビューファインダを透過した被写体光像に重ねて表示することが可能なことを意味する。
【0037】
以下、本発明の実施形態に係るファインダ装置の表示制御方法について詳述する。本実施形態では、光学式ビューファインダを透過した被写体光像(以下、OVF光像ともいう。)に、EVF用表示装置61で表示した固体撮像素子21の出力画像のうちの一部の要部画像(以下、EVF要部画像ともいう。)を重ねて表示する例について説明する。この場合、OVFシャッタ(液晶シャッタ)62は、EVF要部画像の位置に対応するOVF光像の一部画像を部分的にカット(遮蔽)する様にCPU32からの指示によって動作する。
【0038】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るファインダ装置の表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS1で、カメラ10の電源が起動しているか否かを判定する。起動していない場合には、この図5の処理を終了する。カメラ電源が起動すると、次のステップS2に進み、ハイブリッド型ビューファインダ装置(HVF)15のハイブリッド表示(OVF光像とEVF画像の重ね合わせ表示)を行うか否かを判定する。
【0039】
ハイブリッド型ビューファインダ装置15のハイブリッド表示を行わない場合には、ステップS6に進み、OVF光像のみの表示を行い、この図5の処理を終了する。
【0040】
ハイブリッド表示を行う場合には、ステップS2からステップS3に進み、図2の顔検出回路37が、固体撮像素子21の出力画像の中に「顔」画像が存在するか否かをパターンマッチングで調べる。この顔画像が存在しない場合には、ステップS7で撮影条件情報等の情報のみをEVF表示し、この図5の処理を終了する。
【0041】
ステップS3の顔画像検出処理で、顔画像が存在する場合には、その顔画像の存在する座標と顔画像の大きさを求め、図6(b)に示す様に、OVF光像中の「顔」画像の存在領域に該当するOVFシャッタ62の一部領域を遮光する(ステップS4)。
【0042】
OVF光像と、撮影レンズ13を通した固体撮像素子21の撮像領域との間には、図1のカメラ10ではパララックスが存在するため、OVF光像の原点位置に対する顔画像の座標位置(アドレス)と、固体撮像素子21の撮像領域の原点位置に対する顔画像の座標位置とはズレが生じている。例えば、図6(a)に示すOVF光像の顔は、視線が撮影レンズ13の方向に向いているため、撮影者がファインダを覗く視線とは一致していない。
【0043】
パララックスは、カメラ10のファインダ窓16の位置と撮影レンズ13との間の予め既知の固定した位置ズレに起因しているため、撮像画像中の「顔」の位置に対応するOVF光像中の「顔」の位置のズレ量を、算出する。
【0044】
即ち、ファインダ装置15と撮影レンズ13との相対的な位置関係と、各々の焦点距離とを基にパララックス量を求める。そして、求めたパララックス量から、OVF光像すなわちOVFシャッタ62における撮影画像画角(上記の「顔」の部分を遮光する領域)の画素アドレスを求める。
【0045】
次に、EVF画像に対しても同様に撮影画像画角(上記の遮光した領域)に対応するEVF用表示装置61上の画素アドレスを求める。そして、撮影画像画角に対するOVFシャッタ62及びEVF用表示装置61の画素アドレスをマップデータとして保持し、撮影画像中の「顔」の画素アドレスと前記マップデータとを用い、OVFシャッタ62,EVF用表示装置61の対応する画素アドレスを算出する。撮影レンズのズーム位置ごとに、上記マップデータを保持することで、撮影レンズ13のズーム時にも対応することができる。
【0046】
図6(c)は、撮像画像中の「顔」画像を切り出した図である。この「顔」画像をEVF用表示装置61に表示すべく用意する。このとき、顔画像以外の領域は、上述した様に、「黒」表示としておけば、この黒表示領域はOVF光像によって上書きされる。この黒表示領域に、図示するように、撮影条件情報や電池残量等の情報を表示することも可能である。
【0047】
図5のステップS5では、EVF用表示装置61に顔画像を表示する。これにより、図6(d)に示す様に、OVF光像中の「顔」部分だけがEVF要部画像(図6(c)の顔画像)に置き換えられて表示されることになる。このEVF要部画像である「顔」は、撮影レンズ13の方向を見ているため、ファインダを覗く撮影者と視線が合うことになる。
【0048】
OVF光像のうち顔部分を遮光することになり、遮光枠部分の光像は実際にはぼやけることになる。しかし、この領域は、EVF画像とOVF光像とが重なって表示されるため、不自然さはなくなる。
【0049】
この様に、本実施形態によれば、主要被写体の「顔」はEVF要部画像で確認し、それ以外はOVF光像で確認できるため、撮影者にとって使い勝手の良いファインダ装置を提供可能となる。
【0050】
図7は、本発明の第2実施形態に係るファインダ装置の表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。図5の実施形態の処理手順に比較して、ステップS2とステップS3との間に2段シャッタボタンの1段目のS1スイッチ押下を判定する処理ステップS11を設けている。
【0051】
即ち、本実施形態では、S1スイッチ押下で初めてステップS3の顔検出を行い、S1スイッチが押下されないときステップS7で撮影条件情報等の情報をEVF表示し、この図7の処理を終了する。
【0052】
S1スイッチ押下でステップS3に進み、顔画像が固体撮像素子21の撮像画像中で検出されない場合にはこの図7の処理を終了し、顔画像が検出された場合には、図5の処理と同様にステップS4,S5と進み、この図7の処理を終了する。
【0053】
図8は、本発明の第3実施形態に係るファインダ装置の表示制御方法の処理手順を示すフローチャートである。基本的な処理手順は、図5のフローチャートと同じである。
【0054】
本実施形態では、ステップS1,S2,S3,S6,S7の処理は図5の実施形態と同じである。ステップS3で、固体撮像素子21による撮像画像(スルー画像)中の顔画像を検出するが、この段階でのOVFシャッタ62による一部遮光は行わず(図9(b)参照)、ステップS3の次のステップS12では、図9(c)に示す様に、撮影条件情報等と顔の検出枠だけをEVF用表示装置61に表示する。顔の検出枠表示により、撮影者は、カメラが顔検出を行っていることを知ることができる。
【0055】
ステップS12の次に、2段シャッタのS1スイッチ押下を待機し(ステップ11)、S1スイッチが押下されてステップS4に進んだとき、初めて検出枠内をOVFシャッタ62で遮光する。これにより、ステップS5で、検出枠内に固体撮像素子21の撮像画像データから切り出された顔画像(EVF要部画像)がOVF光像の顔に代わって表示される(図9(d))。
【0056】
この様に、本実施形態では、S1スイッチ押下までは常にOVF光像をファインダ内で確認し、S1スイッチ押下で初めてEVF要部画像を表示するため、使い勝手の良いファインダ装置をユーザに提供可能となる。
【0057】
図10(a)〜(d)は、本発明の第4実施形態に係るファインダ装置の表示制御方法の説明図である。図10(a)は図6(a)と同じである。
【0058】
図5,図6の実施形態では、OVFシャッタ62で一部領域を遮光したが、この遮光は一部領域の全領域で100%の遮光を行っている。これに対し、本実施形態では、図10(b)に示す様に、一部領域内の遮光状態を徐々に変化させている。これを拡大したのが図11であり、一部領域の全領域を100%遮光するのではなく、遮光領域を周囲から中央に向かって徐々に段階的に遮光率を上げている。
【0059】
図示する例では4段階で遮光率を変え、中心部分で100%遮光、一部領域の最外周囲部分で30%遮光、その間を、50%遮光、80%遮光と、徐々に遮光率を変えている。遮光枠外側は、黒表示としている。
【0060】
この様な遮光を行うことにより、これにEVF要部画像を重ねた場合、中央部分の100%遮光領域ではEVF要部画像が100%となり、その周囲の80%遮光領域ではEVF要部画像が80%でOVF光像が20%混じった画像となり、その周囲の50%遮光領域では、EVF要部画像とOVF光像とが50%づつ混じった画像となり、その周囲の30%遮光領域では、EVF要部画像が30%でOVF光像が70%混じった画像となる(図10(c)(d)参照)。
【0061】
図5,図6の実施形態の様に一部領域の全領域を100%遮光すると、この遮光領域にEVF要部画像がハメコミ合成されるため、少し違和感のある画像となるが、本実施形態では、ハメコミ合成の様な感じを撮影者に与えることなく、自然な画像を合成して撮影者に提供可能となる。
【0062】
図12は、本発明の第5実施形態に係る表示制御方法の説明図である。図12(a)に示す様にOVF光像をファインダ装置15に表示させた状態で被写体の顔検出を行い、検出した顔画像を遮光すべく、OVFシャッタ62の一部領域を図12(b)に示す様に遮光する。この場合、本実施形態では、顔画像だけを拡大表示するため、遮光領域を、顔画像検出領域の、例えば縦横夫々2倍の領域としている。
【0063】
そして、図12(c)に示す様に、固体撮像素子21の出力画像の中から検出した顔画像を拡大してEVF用表示装置61に表示し、図12(d)に示す様にOVF光像にEVF要部画像(拡大顔画像)を合成する。
【0064】
本実施形態では、顔画像が拡大表示されるため、顔画像の細かな部分も確認可能となる。例えば、その視線の確認が容易となる。なお、拡大した顔画像を合成する場合、OVF光像の顔位置に正確に合成しなくても良い。また、他の位置、例えばファインダ枠の隅に合成しても良い。この場合は、OVF光像の遮光する一部領域は、顔画像の表示領域に合わせる必要がある。この実施形態では、「顔画像」を例に説明したが、顔画像に限るものではなく、撮像画像中の主要被写体画像にもこの実施形態を同様に適用できる。
【0065】
図13は、本発明の第6実施形態に係る表示制御方法の説明図である。いままでの各実施形態では、要部画像を人物画像の「顔画像」としたが、要部画像を顔画像とする必要はない。例えば、OVF光像(図13(a)に対して画面下半分程度の画像や近景画像を遮光(図13(b))し、これに図13(c)の要部画像を重ねて表示(図13(d))としても良い。
【0066】
この場合、要部画像に対して撮影者が意図する所定の画像処理を施した画像(ホワイトバランスゲインを変えた画像、露出補正を施した画像、ダイナミックレンジを変えた画像、カラー(ビビッド,白黒,セピアなど)を変えた画像、シャープネスを変えた画像等)とすることで、本撮影を行う前に撮影者はファインダを覗き要部画像とOVF光像とを比較し確認しながら撮影条件や画像処理条件等を勘案して本撮影を行うことができる。
【0067】
なお、この様に、画面全体を上下に2分すれば良い場合には、液晶シャッタ62を用いても良いが、例えばファインダ装置15の上下方向に遮蔽板(シャッタ膜)を機械的に移動させる簡易的なシャッタ手段を用いることができ、撮影シーンに応じて遮蔽膜を移動位置を調整することでも良い。
【0068】
なおまた、画面を左右に分割して左側又は右側に画像処理した要部画像を表示するようにしても良いことはいうまでもない。
【0069】
図14は、本発明の第7実施形態に係る表示制御方法の説明図である。本実施形態では、カメラ側は固体撮像素子21の出力画像を解析し、主要被写体を画像中から識別する。図14(a)に示すOVF光像には、主要被写体として人物と富士山とが入っている。主要被写体が複数存在したときは、主要被写体を示す枠をOVF光像に重ねてEVF表示し、撮影者がいずれかの枠を指定できるようにしても良い。
【0070】
主要被写体が決まれば、図14(b)に示す様に、この主要被写体枠に該当する領域をOVFシャッタ62で遮光する。また、図14(c)に示す様に、この主要被写体枠内のEVF要部画像を固体撮像素子21の出力画像から切り出してEVF用表示装置61に表示し、図14(d)に示す様に、OVF光像にEVF要部画像を重ねて表示する。
【0071】
上述した実施形態では、パララックスを持つコンパクト型デジタルカメラを例に説明したが、一眼レフタイプでパララックスが存在しないデジタルカメラでも、ハイブリッド型ファインダ装置を搭載できるデジタルカメラであれば、上述した実施形態をそのまま適用可能であり、OVF光像にEVF要部画像を合成して表示し、撮影者の使い勝手を向上させることができる。
【0072】
なお、上述した説明では、個々の実施形態を別々に説明したが、複数の実施形態を組み合わせて実施することも可能である。例えば図12の実施形態に図11の実施形態を併せて実施することも可能であり、図14の実施形態に図13の実施形態を併せて実施しても良い。
【0073】
上述した実施形態のハイブリッド型ファインダ装置は、被写体の方向に向けられるファインダ窓と、該ファインダ窓から入射する前記被写体の光像を覗く撮影者側ファインダ覗き窓と、前記ファインダ窓と前記撮影者側覗き窓との間に設けられ前記被写体の光像を前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に透過するハーフミラーと、該ハーフミラーに表示画像を投射して前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に反射させる表示装置と、前記ハーフミラーの前記ファインダ窓側に設けられ前記被写体の前記光像のうちの一部領域を遮光するシャッタ手段と、撮影レンズを通して撮像素子が撮影した前記被写体の撮像画像のうちの一部画像に該当する前記光像上の前記一部領域の位置をパララックス量に基づき算出して前記シャッタ手段を制御すると共に該一部画像を前記表示装置に表示し前記光像に重ねる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0074】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記ファインダ窓の位置と前記撮影レンズの位置との相対位置関係と各々の焦点距離とに基づき前記パララックス量を算出することを特徴とする。
【0075】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記シャッタ手段の前記遮光する一部領域における遮光率を該一部領域の中心領域から外側領域に向けて徐々に小さく制御することを特徴とする。
【0076】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から主要被写体の画像を検出し、前記一部領域として前記光像のうち前記主要被写体に該当する光像の領域を遮光すると共に、前記一部画像として前記主要被写体の撮像画像を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0077】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から顔画像を検出し、前記一部領域として前記光像のうち顔の画像を遮光すると共に、前記一部画像として前記顔画像を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0078】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記一部領域を撮影者が指定した領域として前記光像のうちの該一部領域を遮光し、前記一部画像として前記撮像画像の中の前記一部領域に該当する画像を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0079】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記一部画像を前記表示するとき該一部画像に対して所定の画像処理を施して表示することを特徴とする。
【0080】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から主要被写体画像(例えば、顔画像)を検出し、前記一部領域として前記光像のうち前記主要被写体の画像の拡大領域を遮光すると共に、前記一部画像として前記主要被写体画像を拡大した画像を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0081】
また、実施形態のハイブリッド型ファインダ装置の前記表示制御手段は、2段シャッタレリーズボタンの第1段シャッタのロック前は前記撮像画像から検出した顔画像の検出枠だけを前記表示装置に表示し、該ロック後に前記一部画像として前記顔画像を前記光像に重ねて表示することを特徴とする。
【0082】
以上述べた様に、実施形態によれば、OVF光像のうち所要の部分領域を遮光し、該遮光領域に該当する固体撮像素子の出力画像(EVF要部画像)を切り出し、OVF光像にEVF要部画像を重ねて表示するため、撮影者にとって使い勝手の優れたハイブリッド型ファインダ装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係るファインダ装置によれば、細かな部分も視認できる自然そのままの状態を見ることができるOVF光像と、その一部を画像処理可能なEVF画像としてOVF光像と同時に1画面内で確認でき、撮影者にとって使い勝手が優れ、撮影の補助となるファインダ表示を行うことができるため、デジタルカメラに適用すると有用である。
【符号の説明】
【0084】
10 デジタルカメラ
11 筐体
13 撮影レンズ
15 ハイブリッド型ファインダ装置
16 被写体側ファインダ窓
17 撮影者側覗き窓
21 固体撮像素子
32 CPU
33 画像信号処理回路
61 EVF用表示装置
62 OVFシャッタ
63 ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の方向に向けられるファインダ窓と、該ファインダ窓から入射する前記被写体の光像を覗く撮影者側ファインダ覗き窓と、前記ファインダ窓と前記撮影者側覗き窓との間に設けられ前記被写体の光像を前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に透過するハーフミラーと、該ハーフミラーに表示画像を投射して前記撮影者側ファインダ覗き窓の方向に反射させる表示装置と、前記ハーフミラーの前記ファインダ窓側に設けられ前記被写体の前記光像のうちの一部領域を遮光するシャッタ手段と、撮影レンズを通して撮像素子が撮影した前記被写体の撮像画像のうちの一部画像に該当する前記光像上の前記一部領域の位置をパララックス量に基づき算出して前記シャッタ手段を制御すると共に該一部画像を前記表示装置に表示し前記光像に重ねる表示制御手段とを備えるハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記ファインダ窓の位置と前記撮影レンズの位置との相対位置関係と各々の焦点距離とに基づき前記パララックス量を算出するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記シャッタ手段の前記遮光する一部領域における遮光率を該一部領域の中心領域から外側領域に向けて徐々に小さく制御する手段を備えるハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から主要被写体の画像を検出し、前記一部領域として前記光像のうち前記主要被写体に該当する光像の領域を遮光すると共に、前記一部画像として前記主要被写体の撮像画像を前記表示装置に表示するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から顔画像を検出し、前記一部領域として前記光像のうち顔の画像を遮光すると共に、前記一部画像として前記顔画像を前記表示装置に表示するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記一部領域を撮影者が指定した領域として前記光像のうちの該一部領域を遮光し、前記一部画像として前記撮像画像の中の前記一部領域に該当する画像を前記表示装置に表示するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記一部画像を前記表示するとき該一部画像に対して所定の画像処理を施して表示するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、前記撮像画像の中から主要被写体画像を検出し、前記一部領域として前記光像のうち前記主要被写体の画像の拡大領域を遮光すると共に、前記一部画像として前記主要被写体画像を拡大した画像を前記表示装置に表示するハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記主要被写体画像は顔画像であるハイブリッド型ファインダ装置。
【請求項10】
請求項5に記載のハイブリッド型ファインダ装置であって、前記表示制御手段は、2段シャッタレリーズボタンの第1段シャッタのロック前は前記撮像画像から検出した顔画像の検出枠だけを前記表示装置に表示し、該ロック後に前記一部画像として前記顔画像を前記光像に重ねて表示するハイブリッド型ファインダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−65294(P2012−65294A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210228(P2010−210228)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】