説明

ハイブリッド式作業車両

【課題】走行系の異常時にステアリング操作が可能な時間を十分に確保できるハイブリッド式作業車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッド式作業車両は、キャパシタ30から出力された直流電力を交流電力に変換する非常用インバータ23と、非常用インバータ23で変換された交流電力により駆動する非常用電動機13と、非常用電動機13により駆動される非常用ポンプ3と、メインポンプ2または非常用ポンプ3からの圧油により駆動されるステアリング装置7と、走行系の異常が検出されたとき、キャパシタ30から非常用インバータ23に供給される直流電力を非常用インバータ23によって交流電力に変換し、非常用電動機13により非常用ポンプ3を駆動する主制御部50および非常用制御部51とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド式作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリーズハイブリッド式作業車両の電力発生源として搭載している発電機をモータリングすることで油圧ポンプ(メインポンプ)を駆動し、エンジン停止時でも油圧によるステアリングやブレーキの操作を可能としたハイブリッド式作業車両が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−133319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のハイブリッド式作業車両では、作業用油圧アクチュエータに圧油を供給するメインポンプを駆動しているため、電力の消費が大きく、ステアリング可能な時間が短いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、エンジンと、エンジンにより駆動されるメインポンプと、エンジンにより駆動されて交流電力を発生する第1回転電機と、第1回転電機で発生した交流電力を直流電力に変換する第1電力変換装置と、少なくとも第1電力変換装置で変換された直流電力を充電する蓄電装置と、第1電力変換装置で変換された直流電力、および/または、蓄電装置から出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換装置と、第2電力変換装置で変換された交流電力により駆動する第2回転電機と、第2回転電機により駆動される走行装置と、少なくとも蓄電装置から出力された直流電力を交流電力に変換する非常用電力変換装置と、非常用電力変換装置で変換された交流電力により駆動する非常用電動機と、非常用電動機により駆動される非常用ポンプと、メインポンプからの圧油により駆動する作業用油圧アクチュエータと、メインポンプまたは非常用ポンプからの圧油により駆動されるステアリング装置と、走行系の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段により走行系の異常が検出されたとき、蓄電装置から非常用電力変換装置に供給される直流電力を非常用電力変換装置によって交流電力に変換し、非常用電動機により非常用ポンプを駆動する非常用制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド式作業車両である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、蓄電装置の充電率を所定範囲内に納めるように蓄電装置の充放電を制御する充放電制御手段を備え、非常用制御手段は、異常検出手段により走行系の異常が検出されたとき、充放電制御手段による蓄電装置の充放電制御を停止する指令を充放電制御手段に出力することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、異常検出手段は、メインポンプの吐出圧を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段により検出されたメインポンプの吐出圧が予め設定された設定圧力未満であるか否かを判定する吐出圧異常判定手段とを有し、吐出圧異常判定手段は、エンジンの起動信号が入力され、エンジンの停止信号が入力されていないときであって、メインポンプの吐出圧が設定圧力未満であると判定されたとき、走行系の異常が検出されたことを表す異常信号を出力することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のハイブリッド式作業車両において、車速センサと、車速センサにより検出された車速が予め設定された設定車速未満であるか否かを判定する車速判定手段とを備え、非常用制御手段は、異常信号が出力され、かつ、車速判定手段により車速センサで検出された車速が設定車速以上であると判定されると、第2回転電機からの回生電力により非常用電動機を駆動し、異常信号が出力され、かつ、車速判定手段により車速センサで検出された車速が設定車速未満であると判定されると、蓄電装置からの電力により非常用電動機を駆動することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、第1および第2回転電機、第1および第2電力変換装置を含む主電気系統と、主電気系統とは別に設けられ、非常用電力変換装置と蓄電装置とを電気的に接続する非常用電気系統と、非常用電力変換装置と蓄電装置との電気的接続を主電気系統と非常用電気系統との間で切り換える電気系統切換手段と、車速センサと、車速センサにより検出された車速が予め設定された設定車速未満であるか否かを判定する車速判定手段とを備え、異常検出手段は、メインポンプの吐出圧を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段により検出されたメインポンプの吐出圧が予め設定された設定圧力未満であるか否かを判定する吐出圧異常判定手段と、主電気系統の異常を検出する電気系統異常検出手段とを有し、吐出圧異常判定手段は、エンジンの起動信号が入力され、エンジンの停止信号が入力されていないときであって、メインポンプの吐出圧が設定圧力未満であると判定したとき、走行系の異常が検出されたことを表す第1異常信号を出力し、電気系統異常検出手段は、エンジンの起動信号が入力され、エンジンの停止信号が入力されていないときであって、主電気系統の異常が検出されたとき、主電気系統の異常が検出されたことを表す第2異常信号を出力し、非常用制御手段は、第1異常信号が出力され、かつ、車速判定手段により車速センサで検出された車速が設定車速以上であると判定されると、第2回転電機からの回生電力により非常用電動機を駆動し、第1異常信号が出力され、かつ、車速判定手段により車速センサで検出された車速が設定車速未満であると判定されると、蓄電装置からの電力により非常用電動機を駆動し第2異常信号が出力されると、非常用電力変換装置と蓄電装置とを非常用電気系統により電気的に接続して、蓄電装置からの電力により非常用電動機を駆動するように、電気系統切換手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、走行系の異常時にステアリング操作が可能な時間を十分に確保できるハイブリッド式作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明によるハイブリッド式作業車両の一例であるホイールローダの側面図。
【図2】第1の実施の形態に係るホイールローダの走行駆動装置と作業駆動装置の一例を示す図。
【図3】第1の実施の形態に係るホイールローダの走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置の動作処理の一例を示すフローチャート。
【図4】第2の実施の形態に係るホイールローダの走行駆動装置と作業駆動装置の一例を示す図。
【図5】第2の実施の形態に係るホイールローダの走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置の動作処理の一例を示すフローチャート。
【図6】第3の実施の形態に係るホイールローダの走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置の動作処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、本発明によるハイブリッド式作業車両の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明によるハイブリッド式作業車両の一例であるホイールローダ100の側面図である。ホイールローダ100は、アーム111、バケット112、前輪113等を有する前部車体110と、運転室121、エンジン室122、後輪123等を有する後部車体120とで構成される。アーム111はアームシリンダ114の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット112はバケットシリンダ115の駆動により上下方向に回動(クラウドまたはダンプ)する。前部車体110と後部車体120とはセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ(不図示)の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折して操舵される。
【0009】
図2は、ホイールローダ100の走行駆動装置と作業駆動装置の一例を示す図である。ホイールローダ100は、エンジン1と、動力分配機構5と、油圧作業装置200と、電動走行装置300と、車両制御装置400と、非常用ステアリング駆動装置500とを備えている。
【0010】
油圧作業装置200は、エンジン1により駆動されるメインポンプ2と、メインポンプ2からの圧油により駆動されるステアリング装置7およびフロント作業装置8と、ステアリング装置7およびフロント作業装置8とメインポンプ2との間に介装されたプライオリティバルブ4と、図示しないブレーキに圧油を供給するブレーキポンプ6とを備えている。プライオリティバルブ4は、ステアリング装置7へ優先的に圧油が供給されつつフロント作業装置8にも圧油が供給されるように、圧油の流れを制御する。
【0011】
ステアリング装置7は、左側ステアリングシリンダ72Lおよび右側ステアリングシリンダ72Rと、運転者により操作されるハンドル71と、ハンドル71の操作方向と操作量に応じた圧油を左側ステアリングシリンダ72Lまたは右側ステアリングシリンダ72Rに供給するステアリングバルブ74とを有している。
【0012】
フロント作業装置8は、バケットシリンダ82と、アームシリンダ83と、バケットシリンダ82およびアームシリンダ83に供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ84とを有している。
【0013】
電動走行装置300は、発電機11と、電動機12と、充放電を行うキャパシタ30と、発電機11で発生した交流電力を直流電力に変換する発電機用インバータ21と、直流電力を交流電力に変換して電動機12を駆動する電動機用インバータ22と、トランスミッション、デファレンシャルギアおよび車輪を含んで構成され電動機12により駆動される走行装置10とを備えている。
【0014】
発電機11は、エンジン1により駆動されて3相交流電力を発生する。発電機11で発生した3相交流電力は、発電機用インバータ21により直流電力に変換されてキャパシタ30および電動機用インバータ22に供給される。キャパシタ30は、発電機用インバータ21で変換された直流電力を充電する。
【0015】
発電機用インバータ21で変換された直流電力、および/または、キャパシタ30から出力された直流電力は、電動機用インバータ22により3相交流電力に変換される。電動機12は、電動機用インバータ22で変換された3相交流電力により駆動されて回転トルクを発生する。電動機12で発生した回転トルクは、トランスミッションやデファレンシャルギアを介して車輪に伝達される。
【0016】
一方、回生制動の運転時には、車輪から伝達される回転トルクにより走行用の電動機12が回転して、3相交流電力が発生する。電動機12で発生した3相交流電力は、電動機用インバータ22により直流電力に変換されてキャパシタ30に供給される。キャパシタ30は、電動機用インバータ22で変換された直流電力を充電する。
【0017】
動力分配機構5は、エンジン1の軸出力を油圧作業装置200のメインポンプ2およびブレーキポンプ6と、電動走行装置300の発電機11とに分配する。動力分配機構5は、エンジン1の出力軸に連結された歯車5aと、この歯車5aに噛み合う歯車5b,5cとを有し、歯車5bは油圧作業装置200のメインポンプ2およびブレーキポンプ6に連結され、歯車5cは電動走行装置300の発電機11に連結されている。
【0018】
非常用ステアリング駆動装置500は、キャパシタ30から出力された直流電力を3相交流電力に変換する非常用インバータ23と、非常用インバータ23で変換された3相交流電力により駆動される非常用電動機13と、非常用電動機13により駆動されてステアリング装置7を駆動するための圧油を供給する非常用ポンプ3とを備えている。非常用電動機13および非常用ポンプ3は、後述する非常時にステアリング装置7を駆動させるためのものであり、発電機11およびメインポンプ2に比べて容量が小さい。たとえば、発電機11の容量は数十kW程度であるのに対し、非常用電動機13の容量は数kW程度である。
【0019】
車両制御装置400は、車両の制御を行う主制御部50および非常用制御部51と、操作信号を出力するイグニッションスイッチ64、前後進切換レバー60、アクセルペダル61およびインチングペダル62と、車両の状態を表示するモニタ63と、回転センサ65および車速センサ66とを備えている。主制御部50および非常用制御部51は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されている。
【0020】
イグニッションスイッチ64はエンジン1の起動信号および停止信号を出力し、前後進切換レバー60は前後進の切り換え信号を出力する。アクセルペダル61はトルク指令信号を出力し、インチングペダル62は電動機12の駆動指令を調整する調整信号を出力する。
【0021】
モニタ63は主制御部50からの画像情報に基づいて燃料消費量等を表示する。回転センサ65はエンジン1の回転数を検出し、圧力センサ2Pはメインポンプ2の吐出圧を検出し、車速センサ66は車両の車速を検出する。
【0022】
回転センサ65から出力されるエンジン1の回転数を表す回転数信号、圧力センサ2Pから出力されるポンプ吐出圧を表す吐出圧信号、および、車速センサ66から出力される車両の車速を表す車速信号は主制御部50に入力される。さらに、各信号は、主制御部50を介して非常用制御部51にも入力される。
【0023】
主制御部50は、前後進切換レバー60、アクセルペダル61、インチングペダル62の操作に応じて走行系、すなわちエンジン1と電動走行装置300を制御する。主制御部50は、たとえば、アクセルペダル61の踏み込み量が増加すると、それに応じて電動機12の出力トルクを増やして走行速度を上げるとともに電動機12を目標回転数まで増加させるのに必要な電力を発生させるためにエンジン1の回転数を増やす。さらに、主制御部50は、インチングペダル62の踏み込み量が増加すると、それに応じて電動機12の回転数を減らし、走行速度を下げる。
【0024】
主制御部50は、キャパシタ30の充電率(SOC:State Of Charge)を所定範囲内に納めるように、トルク指令信号や車速信号、充電率等に応じて、キャパシタ30の充放電制御を行う。この充放電制御を以下、SOC制御と称する。
【0025】
このように主制御部50は、車両の走行状況に応じて、発電機11を駆動してキャパシタ30を充電し、キャパシタ30および/または発電機用インバータ21から出力される直流電力を用いて電動機12を駆動し、減速時にはエネルギー回生を行うことにより、エンジン1の負荷変動を抑え、燃費や排出ガス、騒音を低減することができる。
【0026】
非常用制御部51は、非常時に主制御部50と信号の授受を行って主制御部50を介して電動走行装置300および非常用ステアリング駆動装置500を制御する。非常用制御部51は、走行系の異常が検出されたときに、キャパシタ30から非常用インバータ23に供給される直流電力を非常用インバータ23によって3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させることにより非常用ポンプ3を駆動する。
【0027】
非常用制御部51には、メインポンプ2の設定圧力P0および車両の設定車速V0が予め記憶されている。非常用制御部51は、主制御部50から入力されるメインポンプ2の吐出圧信号と設定圧力P0とを比較して、走行系が異常であるか否かを判定する。非常用制御部51は、主制御部50から入力される車速信号と設定車速V0とを比較して、走行系異常時に回生電力により非常用ステアリング駆動装置500を制御するか、キャパシタ30からの電力により非常用ステアリング駆動装置500を制御するかを決定する。
【0028】
このように、本実施の形態に係るホイールローダ100は、非常用ステアリング駆動装置500および非常用制御部51を備えている。これにより、エンジン1を含む走行系やメインポンプ2自体に異常が生じ、メインポンプ2によって必要な圧油を供給できない状況になった場合に、回生電力やキャパシタ30に蓄電された電力により非常用電動機13を駆動して、非常用ポンプ3からステアリング装置7に圧油を供給することができる。
【0029】
図3は、主制御部50および非常用制御部51による走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置500の動作処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、イグニッションオンにより開始されるものであり、主制御部50と非常用制御部51で実行される。
【0030】
なお、イグニッションスイッチ64は、スタート、ON、ACC、OFFの4つの操作位置を有し、スタート位置で発電機11がモータリングされてイグニッションキーの操作を止めるとON位置に維持される。この明細書では、イグニッションキーをスタート、ON位置に操作することをイグニッションオンと呼び、OFF位置に操作することをイグニッションオフと呼ぶ。
【0031】
ステップS100では、主制御部50はエンジン1の起動信号が入力されたか否かを判定する。運転者によりイグニッションスイッチ64がオンされるとエンジン1の起動信号が主制御部50に入力されるので、ステップS100で肯定判定されてステップS105へ進む。
【0032】
ステップS105において、主制御部50はエンジン1を起動するべく制御信号を発電機用インバータ21に出力する。発電機用インバータ21は、キャパシタ30からの直流電力を3相交流電力に変換して発電機11に印加する。発電機11はモータリングしてエンジン1を起動する。発電機11は、スタータモータでありエンジン1が起動するまでキャパシタ30の電力により短時間駆動される。
【0033】
ステップS110では、主制御部50はキャパシタ30のSOC制御を開始する。主制御部50は、キャパシタ30の充電率が所定の下限値を下回らないように、かつ、所定の上限値を上回らないように、車両の運転状況、すなわち車速情報やアクセルペダルの踏込み量、充電率等に応じて、エンジン1、発電機用インバータ21および電動機用インバータ22等を制御する。
【0034】
ステップS120では、非常用制御部51は主制御部50から入力されるメインポンプ2の吐出圧信号に基づき、メインポンプ2の吐出圧Pが予め設定された設定圧力P0未満であるか否かを判定する。
【0035】
ステップS120において、非常用制御部51により吐出圧Pが設定圧力P0以上である(P≧P0)と判定されたときには、ステップS130に進み、主制御部50による通常の運転制御が実行される。この通常運転制御(ステップS130)は、運転者によりイグニッションスイッチ64がオフされてエンジン1の停止信号が主制御部50に入力されるか、ステップS120で吐出圧Pが設定圧力P0未満であると判定されるまで継続される。
【0036】
具体的には、ステップS140では、主制御部50はエンジン1の停止信号が入力されたか否かを判定する。運転者によりイグニッションスイッチ64がオフされてエンジン1の停止信号が主制御部50に入力されると、ステップS140で肯定判定されて主制御部50および非常用制御部51は車両の制御を終了する。ステップS140において、主制御部50によりエンジン1の停止信号が入力されていないと判定されると、ステップS120に戻る。
【0037】
ステップS120において、非常用制御部51によりメインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満である(P<P0)と判定されたときには、ステップS145において、非常用制御部51は主制御部50に走行系の異常が検出されたことを表す吐出圧異常信号を出力して、ステップS150に進む。
【0038】
ステップS150では、吐出圧異常信号を受けた主制御部50がSOC制御を停止してステップS160へ進む。これにより、キャパシタ30の充電率が下限値を下回った状態でも、キャパシタ30から電力の供給が可能となる。
【0039】
ステップS160では、非常用制御部51は主制御部50から入力される車速信号に基づき、車両の車速Vが予め設定された設定車速V0未満であるか否かを判定する。
【0040】
ステップS160において、非常用制御部51により車速Vが設定車速V0以上である(V≧V0)と判定されたときには、ステップS170に進み、車速Vが設定車速V0未満である(V<V0)と判定されたときには、ステップS180に進む。
【0041】
車速Vが設定車速V0以上である場合(V≧V0)、ステップS170において、非常用制御部51は、車輪から伝達される回転トルクにより走行用の電動機12で発生する3相交流電力を電動機用インバータ22により直流電力に変換し、この直流電力を非常用インバータ23により3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。つまり、非常用制御部51は、電動機12の回生電力により非常用電動機13を駆動する。
【0042】
非常用電動機13が回転すると、非常用ポンプ3が駆動されて圧油がステアリング装置7に供給されるため、ステアリング操作が可能となる。非常用制御部51は、回生電力によりステアリング操作がなされている状態において、車速Vと設定車速V0との比較を継続する。車速が設定車速より低下すると、ステップS160において、非常用制御部51は、車速Vが設定車速V0未満である(V<V0)と判定してステップS180に進む。
【0043】
車速Vが設定車速V0未満である場合(V<V0)、ステップS180において、非常用制御部51は、キャパシタ30から出力される直流電力を非常用インバータ23により3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。ここで、キャパシタ30の充電率がSOC制御に用いられていた下限値を下回ってもキャパシタ30から非常用インバータ23に電力が供給され続ける。すなわち、主制御部50によるSOC制御は行われない。
【0044】
運転者によりイグニッションスイッチ64がオフされると、ステップS190においてエンジン1の停止信号入力の肯定判定がなされ、これにより、主制御部50および非常用制御部51は車両の制御を終了する。
【0045】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1の実施の形態に係るホイールローダ100では、運転者がイグニッションオンするとエンジン1が起動され、メインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満になるまでホイールローダ100は通常運転で制御される。たとえば、走行中にエンジン1やメインポンプ2の不具合が生じてメインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満になると、非常用電動機13が回生電力またはキャパシタ30の電力により駆動されて非常用ポンプ3が回転する。これにより、走行中に不測のエンジン異常があった場合でも、ステアリング装置7の操作が可能となり、運転者は安全な場所まで車両を導くことができる。
【0046】
(2)フロント作業装置8を駆動するメインポンプ2とは別に非常用ポンプ3を設け、非常用電動機13を非常時にのみ回転させて非常用ポンプ3からステアリング装置7に圧油を供給する構成とした。非常用ポンプ3は、ステアリング装置7だけを駆動できる容量が確保されていればよいため、メインポンプ2に比べて容量の小さいポンプを採用できる。非常用電動機13は、この非常用ポンプ3を駆動するものであるため、発電機11や電動機12に比べて容量が小さい。一方、キャパシタ30には、電動機12により走行装置10を駆動させるために必要な電荷が蓄電されている。したがって、キャパシタ30の電力により小容量の非常用電動機13を回転させることで、安全な場所まで車両を導くのに十分なステアリング操作時間を確保できる。
【0047】
従来例では発電機をモータリングしてメインポンプを駆動させることでステアリング装置を駆動可能としていた。これに対して、本発明によるハイブリッド式作業車両では、非常用電動機13を駆動すればよいため、キャパシタ30を効率よく利用して、従来例に比べてステアリング操作可能な時間を長くすることができる。
【0048】
(3)エンジン1の異常が判定されたとき、所定範囲内で充電率を推移させるSOC制御を停止する構成とした。非常用電動機13は、容量が比較的小さいため、充電率がSOC制御に用いられる下限値を下回った状態でも十分に長時間の駆動が可能である。したがって、充電率がSOC制御における下限値近傍にあるときに不測のエンジン異常があったとしても、ステアリング操作により、安全な場所まで車両を導くことができる。
【0049】
(4)車両を所定の場所に停止させてイグニッションオフした後、牽引車により牽引されるために再びステアリング操作が必要になった場合は、運転者がイグニッションオンにすれば、メインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満であることが検出され(ステップS120参照)、キャパシタ30からの電力により非常用電動機13が駆動されて(ステップS180)、ステアリング装置7の操作が可能となるため、所定の場所までホイールローダ100を牽引することができる。
【0050】
(5)ポンプ吐出圧の低下により走行系の異常が検出されたときに、設定車速V0以上の車速Vが確保されていれば、電動機12の回生電力により非常用電動機13を回転させて、ステアリング装置7を駆動することができるため、走行系の異常が検出された後のステアリング操作可能な時間をより長くすることができる。
【0051】
(6)メインポンプ2とは別に非常用ポンプ3を設けたので、メインポンプ2が故障してもステアリング操作が可能となる。
【0052】
―第2の実施の形態―
図4および図5を参照して、第2の実施の形態に係るハイブリッド式ホイールローダを説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施の形態との相違点について詳しく説明する。
【0053】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るホイールローダの走行駆動装置と作業駆動装置の一例を示す図である。第2の実施の形態では、非常用インバータ23とキャパシタ30とを電気的に接続する非常用電気系統202P,202Nがさらに設けられている。非常用電気系統202P,202Nは、電動走行装置300の主電気系統、すなわち発電機11および電動機12、発電機用インバータ21および電動機用インバータ22を含む主電気系統とは別に独立して設けられている。
【0054】
さらに、第2の実施の形態では、非常用インバータ23とキャパシタ30との電気的接続を主電気系統と非常用電気系統202P,202Nとの間で切り換える切換スイッチ201P,201Nが設けられている。したがって、第2の実施の形態では、走行系の異常が検出されたときに、切換スイッチ201P,201Nを非常用電気系統202P,202N側に切り換えて(切換スイッチ201P,201Nオン)、非常用電気系統202P,202Nを介してキャパシタ30からの直流電力を非常用インバータ23に供給できる。
【0055】
図5は、第2の実施の形態に係るホイールローダの走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置500の動作処理を示すフローチャートであり、図3のフローチャートにステップS175の処理を追加し、ステップS160,170を削除したものである。第2の実施の形態では、ステップS120において非常用制御部51によりメインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満である(P<P0)と判定されると、非常用制御部51はステップS145で主制御部50に吐出圧異常信号を出力し、吐出圧異常信号を受けた主制御部50はSOC制御を停止する(ステップS150)。その後、主制御部50は、ステップS175において切換スイッチ201P,201Nをオンにする。
【0056】
切換スイッチ201P,201Nがオンになると、キャパシタ30は非常用インバータ23にのみ電気的に接続され、キャパシタ30からの直流電力が非常用電気系統202P,202Nを介して非常用インバータ23に供給される。非常用制御部51はキャパシタ30から出力される直流電力を非常用インバータ23により交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。ここで、キャパシタ30の充電率がSOC制御に用いられていた下限値を下回ってもキャパシタ30から非常用インバータ23に電力が供給され続ける。
【0057】
運転者がイグニッションオフすると、ステップS190において、主制御部50によりエンジン1の停止信号の入力が肯定判定されることにより、主制御部50および非常用制御部51は車両の制御を終了する。
【0058】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果(1)〜(4)および(6)を奏する。さらに、第2の実施の形態によれば、電動走行装置300の主電気系統とは別に設けられる非常用電気系統202P,202Nによりキャパシタ30と非常用インバータ23とを電気的に接続可能な構成としたため、電動走行装置300の主電気系統の不具合を起因としたメインポンプ2の吐出圧減少時においても、ステアリング操作をすることができる。
【0059】
―第3の実施の形態―
図6を参照して、第3の実施の形態に係るハイブリッド式ホイールローダを説明する。なお、図中、第1および第2の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。以下、第1および第2の実施の形態との相違点について詳しく説明する。
【0060】
第3の実施の形態に係るハイブリッド式ホイールローダは、第2の実施の形態と同様の構成を備えている(図4参照)が、さらに、主電気系統の電流値を検知し、この電流値を表す電流値信号を主制御部50に出力する電流センサ(不図示)を備え、主制御部50および非常用制御部51による走行系の異常検出処理において、主電気系統の異常も検出する。
【0061】
図6は、第3の実施の形態に係るホイールローダの走行系の異常検出処理および非常用ステアリング駆動装置500の動作処理を示すフローチャートであり、図3のフローチャートにステップS155,S175の処理を追加したものである。
【0062】
第3の実施の形態では、ステップS120において非常用制御部51によりメインポンプ2の吐出圧Pが設定圧力P0未満である(P<P0)と判定されると、ステップS145で非常用制御部51は主制御部50に吐出圧異常信号を出力し、吐出圧異常信号を受けた主制御部50はSOC制御を停止する(ステップS150)。その後、非常用制御部51は、ステップS155において、主電気系統に異常があるか否かを判定する。
【0063】
主電気系統の異常は、たとえば、電流センサ(不図示)により検知した主電気系統を流れる電流値に基づいて判定することができる。
【0064】
ステップS155では、走行状況に対応して主制御部50から非常用制御部51に入力されるべき電流値が予め設定された下限値未満であったり、上限値以上である場合、非常用制御部51は主制御部50に走行系の異常が検出されたことを表す電流値異常信号を出力する。ステップS155において、非常用制御部51により主電気系統が正常であると判定されると、ステップS160に進み、非常用制御部51により主電気系統が異常であると判定されると、ステップS175に進む。
【0065】
ステップS160では、非常用制御部51は主制御部50から入力される車速信号に基づき、車両の車速Vが予め設定された設定車速V0未満であるか否かを判定する。
【0066】
ステップS160において、非常用制御部51により車速Vが設定車速V0以上である(V≧V0)と判定されたときには、ステップS170に進み、車速Vが設定車速V0未満である(V<V0)と判定されたときには、ステップS180に進む。
【0067】
車速Vが設定車速V0以上である場合(V≧V0)、ステップS170において、非常用制御部51は、車輪から伝達される回転トルクにより走行用の電動機12で発生する3相交流電力を電動機用インバータ22により直流電力に変換し、この直流電力を非常用インバータ23により3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。つまり、非常用制御部51は、電動機12の回生電力により非常用電動機13を駆動する。
【0068】
非常用電動機13が回転すると、非常用ポンプ3が駆動して圧油がステアリング装置7に供給されるため、ステアリング操作が可能となる。非常用制御部51は、回生電力によりステアリング操作がなされている状態において、車速Vと設定車速V0との比較を継続する。車速が設定車速より低下すると、ステップS160において、非常用制御部51は、車速Vが設定車速V0未満である(V<V0)と判定してステップS180に進む。ステップS180において、非常用制御部51は、正常な主電気系統によってキャパシタ30から出力される直流電力を非常用インバータ23により3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。
【0069】
ステップS155において主電気系統の異常が検出されると、ステップS175において、非常用制御部51は主制御部50を介して切換スイッチ201P,201Nをオンにする。
【0070】
切換スイッチ201P,201Nがオンになると、キャパシタ30は非常用インバータ23にのみ電気的に接続され、キャパシタ30からの直流電力が非常用電気系統202P,202Nを介して非常用インバータ23に供給される。ステップS180において、非常用制御部51は非常用電気系統202P,202Nによってキャパシタ30から出力される直流電力を非常用インバータ23により3相交流電力に変換して非常用電動機13を回転させる。
【0071】
運転者によりイグニッションスイッチ64がオフされると、ステップS190においてエンジン1の停止信号入力の肯定判定がなされ、これにより、主制御部50および非常用制御部51は車両の制御を終了する。
【0072】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果(1)〜(6)を奏する。さらに、第3の実施の形態によれば、電動走行装置300の主電気系統とは別に設けられる非常用電気系統202P,202Nによりキャパシタ30と非常用インバータ23とを電気的に接続可能な構成としたため、電動走行装置300の主電気系統の不具合を起因としたメインポンプ2の吐出圧減少時においても、ステアリング操作をすることができる。
【0073】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)走行系の異常判定方法は、上記実施の形態に限定されることなく種々の方法を採用できる。たとえば、アクセルペダル61の踏み込み量に応じて主制御部50で計算されるエンジン1の目標回転数と、回転センサ65で検出されたエンジン1の実回転数を比較して、目標回転数と実回転数の偏差が所定値を超えたときに走行系のエンジン1に異常が生じていることを判定してもよい。エンジン冷却水の水温を温度センサ(不図示)で検出し、水温が所定値を超えたときに走行系のエンジン1に異常が生じていることを判定してもよい。
【0074】
(2)エンジン1の始動時に発電機11をモータリングする制御を実行したが、本発明はこれに限定されない。セルモータ(不図示)を設けて、このセルモータによりエンジン1を起動するようにしてもよい。
【0075】
(3)電動機12によりエネルギー回生を行う場合に限定されない、電動機12はモータとしてのみ機能させて、キャパシタ30は発電機11で発生する電力のみを充電する構成としてもよい。
【0076】
(4)作業車両としてホイールローダ100を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、たとえば、フォークリフト、テレハンドラー、リフトトラック等、他の作業車両であってもよい。
(5)本発明は蓄電装置としてキャパシタ30を採用する場合に限定されない。繰り返し充放電が可能なニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成される蓄電装置を採用してもよい。
【0077】
(6)第3の実施の形態では、主電気系統の異常判定に電流値を用いたが、本発明はこれに限定されず、種々の電気系統異常判定方法を採用できる。たとえば、主電気系統の電圧値に基づいて主電気系統の異常判定を行ってもよい。
【0078】
(7)第1〜第3の実施の形態では、主制御部50と非常用制御部51とを個別に設けたが、本発明はこれに限定されず、たとえば、1つのマイクロコンピュータに上記した主制御部50と非常用制御部51とが実行する処理を行わせてもよい。
(8)ホイールローダのシステム構成も第1〜第3の実施の形態に限定されない。たとえば、非常用制御部51は、主制御部50を介さずに各センサや各インバータとの間で信号の授受を行って、走行系の異常検出等の処理を行ってもよい。
【0079】
(9)牽引用スイッチを設け、牽引用スイッチがオンされることで、キャパシタ30からの電力により非常用ステアリング駆動装置500を駆動させることとしてもよい。
【0080】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 エンジン、2 メインポンプ、2P 圧力センサ、3 非常用ポンプ、7 ステアリング装置、10 走行装置、11 発電機、12 電動機、13 非常用電動機、21 発電機用インバータ、22 電動機用インバータ、23 非常用インバータ、30 キャパシタ、50 主制御部、51 非常用制御部、64 イグニッションスイッチ、66 車速センサ、100 ホイールローダ、200 油圧作業装置、201P,201N 切換スイッチ、202P,202N 非常用電気系統、300 電動走行装置、400 車両制御装置、500 非常用ステアリング駆動装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンにより駆動されるメインポンプと、
前記エンジンにより駆動されて交流電力を発生する第1回転電機と、
前記第1回転電機で発生した交流電力を直流電力に変換する第1電力変換装置と、
少なくとも前記第1電力変換装置で変換された直流電力を充電する蓄電装置と、
前記第1電力変換装置で変換された直流電力、および/または、前記蓄電装置から出力された直流電力を交流電力に変換する第2電力変換装置と、
前記第2電力変換装置で変換された交流電力により駆動する第2回転電機と、
前記第2回転電機により駆動される走行装置と、
少なくとも前記蓄電装置から出力された直流電力を交流電力に変換する非常用電力変換装置と、
前記非常用電力変換装置で変換された交流電力により駆動する非常用電動機と、
前記非常用電動機により駆動される非常用ポンプと、
前記メインポンプからの圧油により駆動する作業用油圧アクチュエータと、
前記メインポンプまたは前記非常用ポンプからの圧油により駆動されるステアリング装置と、
走行系の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段により前記走行系の異常が検出されたとき、前記蓄電装置から前記非常用電力変換装置に供給される直流電力を前記非常用電力変換装置によって交流電力に変換し、前記非常用電動機により前記非常用ポンプを駆動する非常用制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド式作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記蓄電装置の充電率を所定範囲内に納めるように前記蓄電装置の充放電を制御する充放電制御手段を備え、
前記非常用制御手段は、前記異常検出手段により前記走行系の異常が検出されたとき、前記充放電制御手段による前記蓄電装置の充放電制御を停止する指令を前記充放電制御手段に出力することを特徴とするハイブリッド式作業車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記異常検出手段は、前記メインポンプの吐出圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された前記メインポンプの吐出圧が予め設定された設定圧力未満であるか否かを判定する吐出圧異常判定手段とを有し、
前記吐出圧異常判定手段は、前記エンジンの起動信号が入力され、前記エンジンの停止信号が入力されていないときであって、前記メインポンプの吐出圧が前記設定圧力未満であると判定されたとき、前記走行系の異常が検出されたことを表す異常信号を出力することを特徴とするハイブリッド式作業車両。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド式作業車両において、
車速センサと、
前記車速センサにより検出された車速が予め設定された設定車速未満であるか否かを判定する車速判定手段とを備え、
前記非常用制御手段は、
前記異常信号が出力され、かつ、前記車速判定手段により前記車速センサで検出された車速が前記設定車速以上であると判定されると、前記第2回転電機からの回生電力により前記非常用電動機を駆動し、
前記異常信号が出力され、かつ、前記車速判定手段により前記車速センサで検出された車速が前記設定車速未満であると判定されると、前記蓄電装置からの電力により前記非常用電動機を駆動することを特徴とするハイブリッド式作業車両。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記第1および第2回転電機、前記第1および第2電力変換装置を含む主電気系統と、
前記主電気系統とは別に設けられ、前記非常用電力変換装置と前記蓄電装置とを電気的に接続する非常用電気系統と、
前記非常用電力変換装置と前記蓄電装置との電気的接続を前記主電気系統と前記非常用電気系統との間で切り換える電気系統切換手段と、
車速センサと、
前記車速センサにより検出された車速が予め設定された設定車速未満であるか否かを判定する車速判定手段とを備え、
前記異常検出手段は、前記メインポンプの吐出圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された前記メインポンプの吐出圧が予め設定された設定圧力未満であるか否かを判定する吐出圧異常判定手段と、前記主電気系統の異常を検出する電気系統異常検出手段とを有し、
前記吐出圧異常判定手段は、前記エンジンの起動信号が入力され、前記エンジンの停止信号が入力されていないときであって、前記メインポンプの吐出圧が前記設定圧力未満であると判定したとき、前記走行系の異常が検出されたことを表す第1異常信号を出力し、
前記電気系統異常検出手段は、前記エンジンの起動信号が入力され、前記エンジンの停止信号が入力されていないときであって、前記主電気系統の異常が検出されたとき、前記主電気系統の異常が検出されたことを表す第2異常信号を出力し、
前記非常用制御手段は、
前記第1異常信号が出力され、かつ、前記車速判定手段により前記車速センサで検出された車速が前記設定車速以上であると判定されると、前記第2回転電機からの回生電力により前記非常用電動機を駆動し、
前記第1異常信号が出力され、かつ、前記車速判定手段により前記車速センサで検出された車速が前記設定車速未満であると判定されると、前記蓄電装置からの電力により前記非常用電動機を駆動し
前記第2異常信号が出力されると、前記非常用電力変換装置と前記蓄電装置とを非常用電気系統により電気的に接続して、前記蓄電装置からの電力により前記非常用電動機を駆動するように、前記電気系統切換手段を制御することを特徴とするハイブリッド式作業車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−91378(P2013−91378A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233755(P2011−233755)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】