ハイブリッド補強構造体
車両構造体のキャビティ中に挿入可能な構造的補強材であって、ベース補強部分(13)、発泡材料及び局部補強材(12)を有する構造的補強材が開示される。局部補強材は、変形量を減少させると共に衝撃後荷重分布を制御しようとして、構造的補強材内において車両が衝撃を受けた際の予想変形量増大場所に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、構造体の補強に関し、詳細には、複数種の補強材料を用いた車両構造体の補強に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、米国特許仮出願第61/112,331号(出願日:2008年11月7日)の出願日に関する権益主張出願であり、この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
近年、衝突又は他の衝撃の場合の車両性能の向上に相当な注意が払われている。取り組まれている1つの特定の関心は、ルーフの耐圧潰性である。このような技術的努力の目的は、車両ルーフが耐えることができる(例えば、ロールオーバー事故の際の)荷重を増大させ、それにより乗員室中へのルーフの侵入を阻止するのを助けることにある。金属補強材の分野における技術的努力がこれまで大々的になされ、例えば補強のためのスチール構造体の使用の増加が行なわれた。残念ながら、構造的補強材の効果的に働かせるためには、比較的重い構造体が必要とされる。これは、車両重量の増大という望ましくない結果をもたらし、これに伴って燃料効率が減少する。したがって、ルーフ耐圧潰性及び他の構造的補強材の用途に関する要望を満たす一方で、車両ルーフの重量を増大させるという悪影響を回避するのに十分な支援を提供する構造的補強材が要望されている。
【0004】
種々の他の車両場所において、車両キャビティが、通常、衝撃に起因する変形を制御するのを助ける構造的補強材を備えた構造的補強材の使用の増加が近年見受けられている。幾つかの用途に関し、補強材の一部としてキャリヤ構造体を発泡材料と組み合わせて用いることが近年普及している。これについては、例えば、米国特許第6,932,421号明細書、同第6,921,130号明細書、同第6,920,693号明細書、同第6,890,021号明細書及び同第6,467,834号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。典型的には、これらキャリヤ構造体は、成形ポリマー材料だけで作られる。金属材料だけで作られているものもある。これら構造体の多くの用途についてそうであるように、構造体のサイズ及び幾何学的形状は、用途に必要な耐荷範囲に関連付けられる場合がある。大抵の場合、これは、耐衝撃性に関する必要性の増大に応答してキャリヤに用いられる材料の量(及びかくして部品重量)を単に増大させることによって取り組まれている。単一キャリヤ内における多数の変形モードの制御に対する注意は、払われたとしてもそれは偶然であるに過ぎない場合が多い。
【0005】
車両ルーフ構造体の補強及び支持は、特に上述した形式の補強が可能であるキャビティの容積を考慮して、更に特定の課題となっている。キャリヤに用いられる材料の量を増大させると、必要な支持を提供するのに十分大きいが、或る特定の車両キャビティの境界部(ピラー及びドアシル(ドアのしきい)を含む)内に納まるのに十分小さな補強材を採用することが困難な場合がある。更に、多くの新たな車両の設計、特にコンパクトな車両に関連した新設計では、キャビティが狭い場合であってもこれらキャビティに強固な補強材が必要である。伝統的な補強用構造体は、キャビティサイズに関する要件が、強度増大のための補強材への材料の追加可能性を制限する場合が多いので、適当であるとはいえない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,932,421号明細書
【特許文献2】米国特許第6,921,130号明細書
【特許文献3】米国特許第6,920,693号明細書
【特許文献4】米国特許第6,890,021号明細書
【特許文献5】米国特許第6,467,834号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャリヤの支持能力を向上させることができる一方で、実質的な重量の追加を回避し、更に減量の追加及び加工時間の追加と関連したコスト高及び時間を回避することができる別の技術が要望され続けている。また、狭いキャビティ内に功を奏する状態で用いることができるよう比較的低いプロフィール(薄型)の形状で製作できる構造的補強材が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本明細書において開示する改良型装置及び方法により上述の要望の1つ又は2つ以上を満たす。
【0009】
一態様では、本発明は、ベース部分、発泡材料及び局部補強材を有する構造的補強材に関する。ベース部分は、長手方向軸線を備えた細長いベース補強部分であるのが良い。発泡材料は、ベース補強部分と少なくとも部分的に関連した発泡性ポリマー材料であるのが良い。局部補強材は、全体として長手方向軸線と平行に位置合わせされると共に構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材であるのが良い。局部補強材は更に、ベース補強部分の材料とは異種であり且つこの材料よりも高い引張り強さを有する材料で作られていて、衝撃変形領域での衝撃の際、変形の激しさが局部補強材の設けられていない部品と比較して軽減されるようになっている。
【0010】
この態様は、以下の特徴の1つ又は任意の組合せによって一段と特徴付け可能である。ベース補強部分と発泡性ポリマー材料は、同一の材料で一体に形成されるのが良い。局部補強材は、局部補強材を車両構造体又はベース補強部分に締結する締結手段を有するのが良い。締結手段は、任意の取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント又はラジエータブラケットに取り付けられるのが良い。局部補強材は、スチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、マグネシウム、合金、遷移金属又はこれらの任意の組合せから選択された金属材料で作られるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分、発泡性材料、又はこれら両方で実質的に完全に覆われるのが良い。ベース補強部分は、湾曲した局部補強材と接触状態にある湾曲した第1の表面を有するのが良い。局部補強材は、複合材料であるのが良い。局部補強材は、外面を有するのが良く、外面の少なくとも一部分は、発泡後、発泡材料と接触状態にあるのが良い。
【0011】
別の態様では、本発明は、1つ又は2つ以上の延長部を備えたベース補強部分、1つ又は2つ以上の延長部に隣接して位置した発泡性ポリマー材料及び局部補強材を有する構造的補強材を想定している。ベース補強部分は、細長いのが良く、このようなベース補強部分は、湾曲した第1の表面及び長手方向軸線を有するのが良い。発泡性ポリマー材料である発泡材料は、少なくとも部分的に、ベース補強部分と関連しているのが良く、1つ又は2つ以上の延長部により、この発泡材料は、先ず最初に上下方向に発泡することができ、そして発泡材料が1つ又は2つ以上の延長部の高さを超えて延びた後にのみ水平に発泡することができる。局部補強材は、全体として、ベース部分の長手方向軸線と平行に位置合わせされるのが良く、このような局部補強材は、構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置されるのが良い。局部補強材は、更に、ベース補強部分の湾曲した第1の表面と接触状態にあるのが良く、このような局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られるのが良い。
【0012】
この態様は、以下の特徴の1つ又は任意の組合せによって更に特徴付け可能である。発泡材料の延性比は、約2.5であるのが良い。局部補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を有するのが良い。ベース補強部分は、金属部品、複合材部品、ポリマー部品又はこれらの任意の組合せであるのが良い。ベース補強部分材料の延性は、局部補強材の材料の延性よりも低いのが良い。局部補強材は、発泡材料の発泡後、1つ又は2つ以上の目に見える露出面を有するのが良い。構造的補強材は、頂部と、中間部と、底部とを有するのが良く、局部補強材は、中間部とのみ接触状態にある。ベース補強部分、局部補強材又はこれら両方は、機械的インターロック手段を備えるのが良い。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、湾曲した第1の表面及び1つ又は2つ以上の延長部を備えたベース補強部分、少なくとも部分的にベース補強部分と関連した発泡性ポリマー材料を有し、発泡性ポリマー材料は、1つ又は2つ以上の延長部に隣接して配置され、1つ又は2つ以上の延長部により、この発泡材料は、先ず最初に、上下方向に発泡することができ、そして発泡材料が1つ又は2つ以上の延長部の高さを超えて延びた後にのみ水平に発泡するようになっている。構造的補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を備え、構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材を更に有し、局部補強材の外面の少なくとも一部分は、発泡後、目で見ることができるよう露出されると共に発泡材料と接触状態にあり、局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られ、局部補強材は、ベース補強部分の湾曲した第1の表面と接触状態にあり、ベース補強部分の材料の延性は、局部補強材の材料の延性よりも低く、構造的補強材は、局部補強材を車両構造体又はベース補強部分に締結する締結手段を更に有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図2】図1の補強材の底面図である。
【図3】図1の補強材の略図である。
【図4】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の一部分の斜視図である。
【図5】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図6】図5の補強材の断面図である。
【図7】本発明の教示に従って図6に示された断面部に取り付けられた例示のブラケットの図である。
【図8】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図9】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図10】本発明の教示に従って構成された発泡材料及び隣接の延長部の配設場所及び動きを示す略図である。
【図11】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において開示される本発明は、車両衝撃の際に変形量の増大を生じる車両構造体の部分に対して補足的支持及び補強を提供する新規な手段を提供する。追加の支持は、単一キャリヤの一部としてのベース補強部分との組合せ状態で、実質的な重量又はコストを車両に追加しないで車両の構造的補強材に必要な支持を提供することができる局部補強構造体を設けることによって提供される。ベース補強部分は、ポリマー材料で作られるのが良く、局部補強材は、金属材料で作られるのが良い。その結果得られる構造体の重量を全体が金属材料で作られた補強構造体よりも軽くすることができる。また、結果的に得られた構造体の重量及び/又はコストを全体がポリマー材料で作られた補強構造体(例えば、本発明の補強材の支持作用に等しい支持作用を提供するポリマー製の補強構造体)の重量及び/又はコストのレベルを低くすることができる。本発明の構造的補強材は、実質的に望ましくない重量を追加しないで車両のルーフ構造体又は他のキャビティに追加の支持作用を提供することができる。
【0016】
構造的補強材を車両キャビティ内に配置することにより、衝撃の力が構造的補強材によって吸収されて散逸される。衝撃の力が大きすぎる場合、構造的補強材の材料は、割れ、曲がり又は破断する場合がある。本明細書において開示する局部補強材を構造的補強材内に設けることにより、ベース補強部分が耐えることができる力よりも大きな力を伴う衝撃により、多段変形が生じる。衝撃の力は、先ず最初にベース補強部分に当たることができる。力がベース補強部分の強度性能をいったん上回ると、この力は、ベース補強部分の破断又は割れを引き起こすのではなく、局部補強材に伝えられる。この多段変形シーケンスは、構造的補強材への衝撃力の影響を制御する別の手段を含むのが良い。例えば、本明細書において開示するような発泡材料の追加により、ベース補強部分の割れ又は破断を阻止する追加の支持レベルが得られる。
【0017】
本明細書において説明するように、局部補強材は、ベース補強部分と接触関係をなして配置されるのが良い。局部補強材は、車両に対する衝撃の悪影響を減少させるよう衝撃の際に増大した変形量を生じるベース補強部分上の場所に配置されるのが良い。また、局部補強材は、ベース補強部分全体が衝撃の際に増大した変形量を生じる場合、ベース補強部分の長さ全体に及ぶのが良い。局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られた細長い構造体であるのが良い。また、ベース補強部分は、長手方向軸線を備えた細長い構造体であるのが良く、局部補強材は、ベース補強部分の長手方向軸線に対して全体として平行な関係をなして位置合わせされるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分を2等分するよう働くのが良く、その結果、局部補強材は、長手方向軸線に対して横方向に延びる1つ又は2つ以上のリブ構造体及び/又は局部補強材の各側で長手方向軸線に実質的に平行に延びる1つ又は2つ以上のリブ構造体と平行な関係をなして位置合わせされるようになる。局部補強材は、締結具及び/又は接着剤によりベース補強部分に取り付けられるのが良い。局部補強材は、取付け、圧縮力、摩擦力、接着又はこれらの任意の組合せによって定位置に保持されるのが良い。局部補強材は、同種材料の多数の層を有しても良く、或いは、異種材料の多数の層を有しても良い。これらの層相互間には、接着剤及び/又は発泡材料が更に配置されるのが良い。これらの層は、互いに締結されても良く、ベース補強部分に締結されても良く、任意の接着剤又は発泡材料に締結されても良く、或いは、これらの任意の組合せに締結されても良い。
【0018】
局部補強材は、局部補強材が所与の場所に挿入され、溶融材料が局部補強材上にこれに沿って且つこの周りに被着されるようにインサート成形されるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分材料、発泡材料又はこれらの両方と同時押出し成形されても良い。局部補強材は又、締結手段又は接着剤によりベース補強部分に取り付けられても良い。取付け後、局部補強材は、ベース補強部分の全長に沿って延びるのが良く、或いは、変形例として、局部補強材は、ベース補強部分の長さの約25%、ベース補強部分の長さの約50%又はそれどころかベース補強部分の長さの約75%に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の長さの約25%よりも多く又は約50%よりも多く延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の幅に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の全幅に沿って延びるのが良く、或いは、変形例として、局部補強材は、ベース補強部分の幅の約25%、ベース補強部分の幅の約50%又はそれどころかベース補強部分の幅の約75%に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の幅の約25%よりも多く又は約50%よりも多く延びても良い。
【0019】
ベース補強部分中への局部補強材の挿入時、局部補強材は、1つ又は2つ以上の露出面(例えば、ベース補強部分によって隠されていない表面)を有するのが良い。局部補強材は又、局部補強材の実質的に全てがベース補強部分によって覆われる(例えば、局部補強材が露出面を備えない)ようベース補強部分内に配置されても良い。発泡材料の発泡後、局部補強材は、引き続き1つ又は2つ以上の露出面(例えば、発泡材料又はベース補強部分によって覆われていない表面)を有するのが良い。局部補強材の最も外側の表面は、ベース補強部分と全体として同一平面内に位置し又は連続して位置するのが良い。局部補強材の最も外側の表面は、ベース補強部分に対してその長さの少なくとも一部分にわたってこれを越えて突き出ると共に/或いは凹んでいても良い。
【0020】
局部補強材は、1つ又は2つ以上の壁、好ましくは、互いに角度的にずらされた少なくとも2つの隣り合う壁を有するのが良い。局部補強材の1つ又は2つ以上の壁は、実質的に平坦であっても良く、或いは、湾曲していても良い。局部補強材は、平坦である壁と湾曲した壁の両方を有しても良い。局部補強材の壁は、ベース補強部分の対応の壁に続くと共にこれに合致しているのが良い(例えば、局部補強材の壁は、角度及び/又は曲率が相補するようベース補強部分の1つ又は2つ以上の壁と接触状態にある。ベース補強部分は、第1の表面、これと反対側の第2の表面及び少なくとも1つの側壁を有するのが良い。第1の表面は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。第2の表面は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。1つ又は2つ以上の側壁は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。これらリブは、ベース補強部分の長手方向軸線に対して実質的に横方向に延びるのが良い。リブは、ベース補強部分の長手方向軸線に対して実質的に平行な方向に延びても良い。ベース補強部分は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良く、第1の部分は、局部補強材に接触せず、第2の部分は、局部補強材に接触する。ベース補強部分は、多数の第1の部分を有するのが良い。ベース補強部分は、少なくとも2つの第1の部分を有するのが良く、これら第1の部分は各々、第2の部分の終端部に隣接して位置する。少なくとも1つの側壁の1つ又は2つ以上は、局部補強材の少なくとも一部分を含むのが良い。
【0021】
局部補強材は、スチール製の補強材であるのが良い。局部補強材は、アルミニウム、押出しアルミニウム、アルミニウムフォーム、マグネシウム、マグネシウム合金、成形マグネシウム合金、チタン、チタン合金、成形チタン合金、ニッケル、銅、遷移金属、ポリウレタン、ポリウレタン複合材又はこれらの任意の組合せで構成されても良い。局部補強材の材料は、局部補強材の引張り強さ及び弾性率がベース補強部分及び/又は発泡材料の引張り強さ及び弾性率よりも高くなるよう選択される。局部補強材の材料の引張り強さは、ベース補強部分材料の引張り強さの少なくとも約1.2倍であるのが良い。局部補強材の材料の引張り強さは、ベース補強部分材料の引張り強さの少なくとも約2倍又はそれどころかベース補強部分材料の引張り強さの5倍であるのが良い。局部補強材の材料は又、ベース補強部分の材料と比較して熱伝導率が高いのが良い。局部補強材の材料の曲げ弾性率は、少なくとも1.2であるのが良い。
【0022】
局部補強材に用いられる材料は、約0.5mmという薄いものであるのが良い。局部補強材の材料の肉厚は、約0.5mmよりも大きいのが良い。局部補強材の材料の肉厚は、約3.5mm未満であっても良い。局部補強材の材料の肉厚は、約1.5mmであるのが良い。このような肉厚は、局部補強材に沿う種々の箇所で様々であって良く、或いは、局部補強材の全体的輪郭に沿って一定のままであっても良い。局部補強材は、少なくとも2つの平坦ではない壁を有するのが良い。局部補強材は、3つ又は4つ以上の壁を有するのが良く、又、実質的に湾曲した又はU字形の輪郭を有するのが良い。局部補強材の輪郭は、局部補強材に沿って一定であっても良く、或いは、変化していても良い。局部補強材の壁は、キャビティを形成するのが良く、このキャビティは、リブ補強材及び/又は発泡材料を収容するのが良い。
【0023】
ベース補強部分は、適当なポリアミド(例えば、ナイロン)又は他のポリマー材料で作られるのが良い。ベース補強部分は、射出成形されても良く、押出し成形されても良く、ダイカストされても良く、或いは機械加工されても良く、このようなベース補強部分は、例えばポリスルホン、ポリアミド(例えば、ナイロン、PBI又はPEI)又はこれらの組合せのような材料から成る。ベース補強部分は、アルミニウム、押出しアルミニウム、アルミニウムフォーム、マグネシウム、マグネシウム合金、成形マグネシウム合金、チタン、チタン合金、成形チタン合金、ポリウレタン、ポリウレタン複合材、低密度ソリッドフィラー、成形SMC及び成形BMCから成る群から選択された材料で作られても良い。ベース補強部分は、射出成形され又は押出し成形されるのが良い。ベース補強部分は、充填剤入りであるのが良く又は違ったやり方で補強されるのが良い。例えば、ベース補強部分は、ガラス繊維強化ポリマー材料から成るのが良い。
【0024】
図1〜図3に示されているように、本発明は、ベース補強部分13上の変形量増大領域に設けられる局部補強材12を提供し、この局部補強材の材料は、構造的補強材のベース補強部分の材料とは異なっている。局部補強材を備えたベース補強部分のこの領域は、局部補強材が全く設けられていないベース補強部分の領域と比較して、生じる変形量が少ない。補強構造体は、第1の表面22及び第2の表面23を有するのが良い。局部補強材は、これが第1の表面にのみ(例えば、図2に示されているように)接触するよう配置されるのが良い。第1の表面は、局部補強材を収容するための1つ又は2つ以上の壁を備えた凹み領域26を有するのが良い。凹み領域の壁は、例えば図2及び図3に示されているように実質的に平坦であっても良く、或いは、湾曲していても良い。
【0025】
例えば図4及び図5に示されているように、本発明の補強材は、例えば米国特許第7,374,219号明細書、同第7,160,491号明細書、同第7,105,112号明細書及び同第6,467,834号明細書並びに共通所有者の同時係属米国特許出願第11/863,929号明細書に示されている成形リブ構成体10を有するのが良く、これら特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。成形リブ構成体10は、リブの相互連結ネットワークを含むのが良く、このような成形リブ構成体は、1つ又は2つ以上の締結具11(例えば、プッシュピン形締結具)を有するのが良い。成形リブは、これらが補強構造体の長手方向軸線に対して横方向に向くよう配置されるのが良い。横方向成形リブの配置により、補強構造体に沿って配置された複数個のキャビティ27が作られるのが良い。各キャビティは、複数個の壁を有するのが良く、少なくとも1つの壁は、局部補強材によって形成される。例えば図11に示されているように、局部補強材は、流体(例えば、イーコート(e-coat)流体)を排出させることができる1つ又は2つ以上の貫通穴16及びキャリヤと車両キャビティとの間に空間を提供する1つ又は2つ以上のスタンドオフ又はラグ(突出部)を更に有するのが良い。成形リブ構成体は、発泡材料15を更に有するのが良い。適当な補強材の例は、米国特許第6,953,219号明細書及び同第6,467,834号明細書に見られるが、これらには限定されない。なお、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0026】
図4〜図9に示されているように、局部補強材12は、局部補強材をベース補強部分に締結する又は車両の任意部分に締結可能な1つ又は2つ以上の構造体11を更に有するのが良く、このような車両の部分としては、車両ブラケット、取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント又はラジエータブラケットが挙げられるが、これらには限定されない。この構造体は、締結具、例えばツリーファスナ(tree-fastener)又はねじ形締結具を有するのが良い。一例として、プッシュピン形締結具、例えば、共通所有者の米国特許出願第12/405,481号明細書に開示されているプッシュピン形締結具が用いられるのが良い。締結具は、材料の多数の層又は多くの形式の材料を構造体に固定することができるのが良い。適当な締結具の例としては、機械的締結具、クリップ、スナップ嵌め具、ねじ、フック、これらの組合せ等が挙げられる。車両構造体への取付けのために、局部補強材は、局部補強材を定位置に保持するために車両構造体に設けられたタブの周りに嵌まるよう切断形成された成形開口部を有するのが良い。さらに、1つ又は2つ以上の締結具が局部補強材と単一の材料で一体的に形成されても良く、或いは、異なる材料で作られると共に局部補強材に永続的に又は取り外し可能に取り付けられても良いことが想定される。
【0027】
図11に示されているように、ベース補強部分13は、頂部17、中間部18及び底部19を有するのが良い。中間部は、局部補強材12と接触状態にあるのが良く、頂部及び底部は、局部補強材と接触状態にはないのが良い。頂部は、構造的補強材を車両コンポーネントに取り付けるための貫通穴20を有するのが良い。また、底部は、キャビティ内への構造的補強材の嵌まり込みを容易にするための全体としてU字形の切欠き領域21を有するのが良い。ベース補強部分は、第1の表面22及び第2の表面23を更に有するのが良く、局部補強材は、第1の表面と接触関係をなして配置されるようになっている。第1の表面22は、ベース補強部分の中間部18に沿って凹状の形態で湾曲しているのが良い。局部補強材は、凹状湾曲部分24を更に有するのが良く、この凹状湾曲部分は、形状がベース補給部分の中間部と相補するようになっている。局部補強材は、中間部の第1の表面の一部のみを覆っても良く、或いは、中間部の第1の表面全体を覆っても良い。また、第1の表面、第2の表面又はこれら両方の表面は、複数個のリブ10を有するのが良い。
発泡材料は、約148.89℃〜約204.44℃(約300°F〜約400°F)の温度(即ち、自動車塗装又はコーティング作業で見受けられる温度)への暴露時に発泡を生じる材料であるのが良い。発泡材料は、代表的には、元の非発泡体積に対して少なくとも5%を超え、少なくとも50%を超え、少なくとも200%を超え、少なくとも1000%を超え、少なくとも2000%を超え、少なくとも5000%を超え、或いはそれ以上の体積まで発泡する。また、材料の体積は、発泡材料のフォーム状又は非フォーム状バージョンに関する硬化(例えば、架橋)に起因した活性化後において少なくても良いことが想定される。
【0028】
また、ベース補強部分には1種類又は2種類以上の発泡材料、例えば、共通所有者の米国特許出願公開第2008/0029200号明細書に開示されている発泡材料を接触させるのが良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。発泡材料は、エポキシ系材料、例えば、米国特許第5,884,960号明細書、同第6,348,513号明細書、同第6,368,438号明細書、同第6,811,864号明細書、同第7,125,461号明細書、同第7,249,415号及び米国特許出願公開第2004/0076831号明細書に開示されているエポキシ系材料であるのが良く、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。ベース補強部分は、1つ又は2つ以上の延長部14(図10に示されている)を更に有するのが良い。ベース補強部分の一機能は、車両キャビティ内への配置の際に車両に対する構造的補強材となることに加えて、活性化可能な発泡材料を備えた構造部材を提供することにある。かくして、ベース補強部分は、発泡材料の層が被着される1つ又は2つ以上の外方に向いた表面を有するのが良い。発泡材料15は、このような場所でベース補強部分の表面に被着される(発泡前に)。オプションとして、発泡方向は、1つ又は2つ以上の延長部、例えば、米国特許第6,941,719号明細書に開示された延長部により制御されるのが良い。ベース補強部分は、発泡材料、例えば共通所有者の米国特許出願公開第2007/0090560号明細書に開示された発泡材料で構成されても良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。ベース補強部分及び発泡材料は、同一の材料で一体に形成されるのが良い。
【0029】
本発明の発泡材料は、比較的高い引張り強さ及び弾性率を示すと共に高い延性の度合いを示すのが良い。発泡材料は特に本明細書において開示する構成要素の或る特定の組合せの量(例えば、アダクト(又はアダクツ)の或る特定の量、衝撃調節剤の量又はこれら両方の組合せ)に関し、この増大した延性を示すのが良い。これら性質は、従来の二重剪断(double lap shear)試験方法を用いて明確に表示される。このような方法は、以下の試験パラメータを用いたASTM方法D3528‐96,タイプA形態に記載されており、即ち、試験用被着材は、アセトンであらかじめ清浄化された0.060インチ(1.524mm)の厚みがある1インチ×4インチ(2.54cm×10.16cm)EG‐60金属であり、各接着ボンド線は、3mmであり、試験オーバーラップ寸法は、1インチ×0.5インチ(2.54cm×1.27cm)であり、試験速度は、0.5インチ/分である。このような試験方法を用いると、所望の性質、例えば次の性質、即ち、破断までの歪をピーク応力時歪で除算して得られる比(本明細書では、延性比と呼ばれる)、面積計算の終値として破断時歪を用いて応力‐歪曲線の下に位置する部分の面積として計算される破断エネルギーを導き出すことができる。
【0030】
本発明に従って形成された或る特定の発泡材料は、約2.0を超え、より代表的には約2.5を超え、更に場合によっては約2.8を超える活性化後延性比を示した。本発明に従って形成された或る特定の発泡材料は、上述の試験方法に従って求めた場合、約550Nmmを超え、より代表的には約700Nmmを超え、場合によっては約750Nmmを超える活性化後破断エネルギー値を示した。
【0031】
発泡材料は、全体として長方形又はブロック形態に形作られるのが良いが、必要ならば又は所望ならば、ベース補強部分及び/又は局部補強材の形態に応じて形作られても良い。当然のことながら、発泡材料は、単一の部品(例えば、1本のストリップ)又は多数の部品(例えば、複数本のストリップとしてベース補強部分及び/又は局部補強材に被着されても良いことが想定される。発泡時、発泡材料は、当初、上下方向に発泡するのが良く、ついには、障害物に接触し、この時点で、発泡材料は、水平方向に発泡し始めるのが良い。発泡材料は、幅が約1mmを超える隙間中に発泡することができるのが良い。さらに、本発明の発泡材料は、ベース補強部分の延性を増大させることができる。発泡材料は、荷重を発泡材料の表面全体にわたって一様に分布させ、荷重を下に位置するベース補強部分及び/又は局部補強材に一様に伝えるよう作用するのが良く、それにより、ベース補強部分及び/又は局部補強材の固有の強度が利用される。
【0032】
別段の指定がなければ、本明細書において記載された種々の構造体の寸法及び幾何学的形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法又は幾何学的形状の採用が可能である。複数個の構造的コンポーネントを単一の一体形構造によって提供することができる。変形例として、単一の一体形構造を別々の複数個のコンポーネントに分割しても良い。更に、本発明の特徴を例示の実施形態の1つのみとの関連で説明したが、このような特徴を任意所与の用途に関して、他の実施形態の1つ又は2つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、上述のことから理解されるように、本明細書において説明した新規な構造体の製作及びその作用も又、本発明の方法を構成する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかしながら、当業者であれば、或る特定の改造例が本発明の教示の範囲に含まれることを認識されよう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び内容を定めるために検討されるべきである。
【0034】
本明細書において与えられた説明及び例示は、当業者に本発明の内容、その原理及びその実用的用途を教示するものである。当業者であれば、特定用途の要件に最も適する仕方で本発明を改造したり本発明をその多くの形態で利用したりすることができる。したがって、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態は、網羅的ではなく(本明細書において開示した実施形態が全てであるというわけではなく)又は本発明を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は、上述の説明を参照することによってではなく、これとは異なり、特許請求の範囲の記載(各請求項の内容)及びその全均等範囲に基づいて定められるべきである。特許出願及び特許出願公開を含む全ての特許文献及び非特許文献を発明の全ての目的について参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。また、本明細書において書面の形態で組み込まれた特許請求の範囲から想到される他の組み合わせが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、構造体の補強に関し、詳細には、複数種の補強材料を用いた車両構造体の補強に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、米国特許仮出願第61/112,331号(出願日:2008年11月7日)の出願日に関する権益主張出願であり、この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
近年、衝突又は他の衝撃の場合の車両性能の向上に相当な注意が払われている。取り組まれている1つの特定の関心は、ルーフの耐圧潰性である。このような技術的努力の目的は、車両ルーフが耐えることができる(例えば、ロールオーバー事故の際の)荷重を増大させ、それにより乗員室中へのルーフの侵入を阻止するのを助けることにある。金属補強材の分野における技術的努力がこれまで大々的になされ、例えば補強のためのスチール構造体の使用の増加が行なわれた。残念ながら、構造的補強材の効果的に働かせるためには、比較的重い構造体が必要とされる。これは、車両重量の増大という望ましくない結果をもたらし、これに伴って燃料効率が減少する。したがって、ルーフ耐圧潰性及び他の構造的補強材の用途に関する要望を満たす一方で、車両ルーフの重量を増大させるという悪影響を回避するのに十分な支援を提供する構造的補強材が要望されている。
【0004】
種々の他の車両場所において、車両キャビティが、通常、衝撃に起因する変形を制御するのを助ける構造的補強材を備えた構造的補強材の使用の増加が近年見受けられている。幾つかの用途に関し、補強材の一部としてキャリヤ構造体を発泡材料と組み合わせて用いることが近年普及している。これについては、例えば、米国特許第6,932,421号明細書、同第6,921,130号明細書、同第6,920,693号明細書、同第6,890,021号明細書及び同第6,467,834号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。典型的には、これらキャリヤ構造体は、成形ポリマー材料だけで作られる。金属材料だけで作られているものもある。これら構造体の多くの用途についてそうであるように、構造体のサイズ及び幾何学的形状は、用途に必要な耐荷範囲に関連付けられる場合がある。大抵の場合、これは、耐衝撃性に関する必要性の増大に応答してキャリヤに用いられる材料の量(及びかくして部品重量)を単に増大させることによって取り組まれている。単一キャリヤ内における多数の変形モードの制御に対する注意は、払われたとしてもそれは偶然であるに過ぎない場合が多い。
【0005】
車両ルーフ構造体の補強及び支持は、特に上述した形式の補強が可能であるキャビティの容積を考慮して、更に特定の課題となっている。キャリヤに用いられる材料の量を増大させると、必要な支持を提供するのに十分大きいが、或る特定の車両キャビティの境界部(ピラー及びドアシル(ドアのしきい)を含む)内に納まるのに十分小さな補強材を採用することが困難な場合がある。更に、多くの新たな車両の設計、特にコンパクトな車両に関連した新設計では、キャビティが狭い場合であってもこれらキャビティに強固な補強材が必要である。伝統的な補強用構造体は、キャビティサイズに関する要件が、強度増大のための補強材への材料の追加可能性を制限する場合が多いので、適当であるとはいえない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,932,421号明細書
【特許文献2】米国特許第6,921,130号明細書
【特許文献3】米国特許第6,920,693号明細書
【特許文献4】米国特許第6,890,021号明細書
【特許文献5】米国特許第6,467,834号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャリヤの支持能力を向上させることができる一方で、実質的な重量の追加を回避し、更に減量の追加及び加工時間の追加と関連したコスト高及び時間を回避することができる別の技術が要望され続けている。また、狭いキャビティ内に功を奏する状態で用いることができるよう比較的低いプロフィール(薄型)の形状で製作できる構造的補強材が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本明細書において開示する改良型装置及び方法により上述の要望の1つ又は2つ以上を満たす。
【0009】
一態様では、本発明は、ベース部分、発泡材料及び局部補強材を有する構造的補強材に関する。ベース部分は、長手方向軸線を備えた細長いベース補強部分であるのが良い。発泡材料は、ベース補強部分と少なくとも部分的に関連した発泡性ポリマー材料であるのが良い。局部補強材は、全体として長手方向軸線と平行に位置合わせされると共に構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材であるのが良い。局部補強材は更に、ベース補強部分の材料とは異種であり且つこの材料よりも高い引張り強さを有する材料で作られていて、衝撃変形領域での衝撃の際、変形の激しさが局部補強材の設けられていない部品と比較して軽減されるようになっている。
【0010】
この態様は、以下の特徴の1つ又は任意の組合せによって一段と特徴付け可能である。ベース補強部分と発泡性ポリマー材料は、同一の材料で一体に形成されるのが良い。局部補強材は、局部補強材を車両構造体又はベース補強部分に締結する締結手段を有するのが良い。締結手段は、任意の取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント又はラジエータブラケットに取り付けられるのが良い。局部補強材は、スチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、マグネシウム、合金、遷移金属又はこれらの任意の組合せから選択された金属材料で作られるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分、発泡性材料、又はこれら両方で実質的に完全に覆われるのが良い。ベース補強部分は、湾曲した局部補強材と接触状態にある湾曲した第1の表面を有するのが良い。局部補強材は、複合材料であるのが良い。局部補強材は、外面を有するのが良く、外面の少なくとも一部分は、発泡後、発泡材料と接触状態にあるのが良い。
【0011】
別の態様では、本発明は、1つ又は2つ以上の延長部を備えたベース補強部分、1つ又は2つ以上の延長部に隣接して位置した発泡性ポリマー材料及び局部補強材を有する構造的補強材を想定している。ベース補強部分は、細長いのが良く、このようなベース補強部分は、湾曲した第1の表面及び長手方向軸線を有するのが良い。発泡性ポリマー材料である発泡材料は、少なくとも部分的に、ベース補強部分と関連しているのが良く、1つ又は2つ以上の延長部により、この発泡材料は、先ず最初に上下方向に発泡することができ、そして発泡材料が1つ又は2つ以上の延長部の高さを超えて延びた後にのみ水平に発泡することができる。局部補強材は、全体として、ベース部分の長手方向軸線と平行に位置合わせされるのが良く、このような局部補強材は、構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置されるのが良い。局部補強材は、更に、ベース補強部分の湾曲した第1の表面と接触状態にあるのが良く、このような局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られるのが良い。
【0012】
この態様は、以下の特徴の1つ又は任意の組合せによって更に特徴付け可能である。発泡材料の延性比は、約2.5であるのが良い。局部補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を有するのが良い。ベース補強部分は、金属部品、複合材部品、ポリマー部品又はこれらの任意の組合せであるのが良い。ベース補強部分材料の延性は、局部補強材の材料の延性よりも低いのが良い。局部補強材は、発泡材料の発泡後、1つ又は2つ以上の目に見える露出面を有するのが良い。構造的補強材は、頂部と、中間部と、底部とを有するのが良く、局部補強材は、中間部とのみ接触状態にある。ベース補強部分、局部補強材又はこれら両方は、機械的インターロック手段を備えるのが良い。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、湾曲した第1の表面及び1つ又は2つ以上の延長部を備えたベース補強部分、少なくとも部分的にベース補強部分と関連した発泡性ポリマー材料を有し、発泡性ポリマー材料は、1つ又は2つ以上の延長部に隣接して配置され、1つ又は2つ以上の延長部により、この発泡材料は、先ず最初に、上下方向に発泡することができ、そして発泡材料が1つ又は2つ以上の延長部の高さを超えて延びた後にのみ水平に発泡するようになっている。構造的補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を備え、構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材を更に有し、局部補強材の外面の少なくとも一部分は、発泡後、目で見ることができるよう露出されると共に発泡材料と接触状態にあり、局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られ、局部補強材は、ベース補強部分の湾曲した第1の表面と接触状態にあり、ベース補強部分の材料の延性は、局部補強材の材料の延性よりも低く、構造的補強材は、局部補強材を車両構造体又はベース補強部分に締結する締結手段を更に有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図2】図1の補強材の底面図である。
【図3】図1の補強材の略図である。
【図4】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の一部分の斜視図である。
【図5】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図6】図5の補強材の断面図である。
【図7】本発明の教示に従って図6に示された断面部に取り付けられた例示のブラケットの図である。
【図8】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図9】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【図10】本発明の教示に従って構成された発泡材料及び隣接の延長部の配設場所及び動きを示す略図である。
【図11】本発明の教示に従って構成された例示の補強材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において開示される本発明は、車両衝撃の際に変形量の増大を生じる車両構造体の部分に対して補足的支持及び補強を提供する新規な手段を提供する。追加の支持は、単一キャリヤの一部としてのベース補強部分との組合せ状態で、実質的な重量又はコストを車両に追加しないで車両の構造的補強材に必要な支持を提供することができる局部補強構造体を設けることによって提供される。ベース補強部分は、ポリマー材料で作られるのが良く、局部補強材は、金属材料で作られるのが良い。その結果得られる構造体の重量を全体が金属材料で作られた補強構造体よりも軽くすることができる。また、結果的に得られた構造体の重量及び/又はコストを全体がポリマー材料で作られた補強構造体(例えば、本発明の補強材の支持作用に等しい支持作用を提供するポリマー製の補強構造体)の重量及び/又はコストのレベルを低くすることができる。本発明の構造的補強材は、実質的に望ましくない重量を追加しないで車両のルーフ構造体又は他のキャビティに追加の支持作用を提供することができる。
【0016】
構造的補強材を車両キャビティ内に配置することにより、衝撃の力が構造的補強材によって吸収されて散逸される。衝撃の力が大きすぎる場合、構造的補強材の材料は、割れ、曲がり又は破断する場合がある。本明細書において開示する局部補強材を構造的補強材内に設けることにより、ベース補強部分が耐えることができる力よりも大きな力を伴う衝撃により、多段変形が生じる。衝撃の力は、先ず最初にベース補強部分に当たることができる。力がベース補強部分の強度性能をいったん上回ると、この力は、ベース補強部分の破断又は割れを引き起こすのではなく、局部補強材に伝えられる。この多段変形シーケンスは、構造的補強材への衝撃力の影響を制御する別の手段を含むのが良い。例えば、本明細書において開示するような発泡材料の追加により、ベース補強部分の割れ又は破断を阻止する追加の支持レベルが得られる。
【0017】
本明細書において説明するように、局部補強材は、ベース補強部分と接触関係をなして配置されるのが良い。局部補強材は、車両に対する衝撃の悪影響を減少させるよう衝撃の際に増大した変形量を生じるベース補強部分上の場所に配置されるのが良い。また、局部補強材は、ベース補強部分全体が衝撃の際に増大した変形量を生じる場合、ベース補強部分の長さ全体に及ぶのが良い。局部補強材は、ベース補強部分の材料とは異なる材料で作られた細長い構造体であるのが良い。また、ベース補強部分は、長手方向軸線を備えた細長い構造体であるのが良く、局部補強材は、ベース補強部分の長手方向軸線に対して全体として平行な関係をなして位置合わせされるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分を2等分するよう働くのが良く、その結果、局部補強材は、長手方向軸線に対して横方向に延びる1つ又は2つ以上のリブ構造体及び/又は局部補強材の各側で長手方向軸線に実質的に平行に延びる1つ又は2つ以上のリブ構造体と平行な関係をなして位置合わせされるようになる。局部補強材は、締結具及び/又は接着剤によりベース補強部分に取り付けられるのが良い。局部補強材は、取付け、圧縮力、摩擦力、接着又はこれらの任意の組合せによって定位置に保持されるのが良い。局部補強材は、同種材料の多数の層を有しても良く、或いは、異種材料の多数の層を有しても良い。これらの層相互間には、接着剤及び/又は発泡材料が更に配置されるのが良い。これらの層は、互いに締結されても良く、ベース補強部分に締結されても良く、任意の接着剤又は発泡材料に締結されても良く、或いは、これらの任意の組合せに締結されても良い。
【0018】
局部補強材は、局部補強材が所与の場所に挿入され、溶融材料が局部補強材上にこれに沿って且つこの周りに被着されるようにインサート成形されるのが良い。局部補強材は、ベース補強部分材料、発泡材料又はこれらの両方と同時押出し成形されても良い。局部補強材は又、締結手段又は接着剤によりベース補強部分に取り付けられても良い。取付け後、局部補強材は、ベース補強部分の全長に沿って延びるのが良く、或いは、変形例として、局部補強材は、ベース補強部分の長さの約25%、ベース補強部分の長さの約50%又はそれどころかベース補強部分の長さの約75%に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の長さの約25%よりも多く又は約50%よりも多く延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の幅に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の全幅に沿って延びるのが良く、或いは、変形例として、局部補強材は、ベース補強部分の幅の約25%、ベース補強部分の幅の約50%又はそれどころかベース補強部分の幅の約75%に沿って延びても良い。局部補強材は、ベース補強部分の幅の約25%よりも多く又は約50%よりも多く延びても良い。
【0019】
ベース補強部分中への局部補強材の挿入時、局部補強材は、1つ又は2つ以上の露出面(例えば、ベース補強部分によって隠されていない表面)を有するのが良い。局部補強材は又、局部補強材の実質的に全てがベース補強部分によって覆われる(例えば、局部補強材が露出面を備えない)ようベース補強部分内に配置されても良い。発泡材料の発泡後、局部補強材は、引き続き1つ又は2つ以上の露出面(例えば、発泡材料又はベース補強部分によって覆われていない表面)を有するのが良い。局部補強材の最も外側の表面は、ベース補強部分と全体として同一平面内に位置し又は連続して位置するのが良い。局部補強材の最も外側の表面は、ベース補強部分に対してその長さの少なくとも一部分にわたってこれを越えて突き出ると共に/或いは凹んでいても良い。
【0020】
局部補強材は、1つ又は2つ以上の壁、好ましくは、互いに角度的にずらされた少なくとも2つの隣り合う壁を有するのが良い。局部補強材の1つ又は2つ以上の壁は、実質的に平坦であっても良く、或いは、湾曲していても良い。局部補強材は、平坦である壁と湾曲した壁の両方を有しても良い。局部補強材の壁は、ベース補強部分の対応の壁に続くと共にこれに合致しているのが良い(例えば、局部補強材の壁は、角度及び/又は曲率が相補するようベース補強部分の1つ又は2つ以上の壁と接触状態にある。ベース補強部分は、第1の表面、これと反対側の第2の表面及び少なくとも1つの側壁を有するのが良い。第1の表面は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。第2の表面は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。1つ又は2つ以上の側壁は、1つ又は2つ以上のリブを有するのが良い。これらリブは、ベース補強部分の長手方向軸線に対して実質的に横方向に延びるのが良い。リブは、ベース補強部分の長手方向軸線に対して実質的に平行な方向に延びても良い。ベース補強部分は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良く、第1の部分は、局部補強材に接触せず、第2の部分は、局部補強材に接触する。ベース補強部分は、多数の第1の部分を有するのが良い。ベース補強部分は、少なくとも2つの第1の部分を有するのが良く、これら第1の部分は各々、第2の部分の終端部に隣接して位置する。少なくとも1つの側壁の1つ又は2つ以上は、局部補強材の少なくとも一部分を含むのが良い。
【0021】
局部補強材は、スチール製の補強材であるのが良い。局部補強材は、アルミニウム、押出しアルミニウム、アルミニウムフォーム、マグネシウム、マグネシウム合金、成形マグネシウム合金、チタン、チタン合金、成形チタン合金、ニッケル、銅、遷移金属、ポリウレタン、ポリウレタン複合材又はこれらの任意の組合せで構成されても良い。局部補強材の材料は、局部補強材の引張り強さ及び弾性率がベース補強部分及び/又は発泡材料の引張り強さ及び弾性率よりも高くなるよう選択される。局部補強材の材料の引張り強さは、ベース補強部分材料の引張り強さの少なくとも約1.2倍であるのが良い。局部補強材の材料の引張り強さは、ベース補強部分材料の引張り強さの少なくとも約2倍又はそれどころかベース補強部分材料の引張り強さの5倍であるのが良い。局部補強材の材料は又、ベース補強部分の材料と比較して熱伝導率が高いのが良い。局部補強材の材料の曲げ弾性率は、少なくとも1.2であるのが良い。
【0022】
局部補強材に用いられる材料は、約0.5mmという薄いものであるのが良い。局部補強材の材料の肉厚は、約0.5mmよりも大きいのが良い。局部補強材の材料の肉厚は、約3.5mm未満であっても良い。局部補強材の材料の肉厚は、約1.5mmであるのが良い。このような肉厚は、局部補強材に沿う種々の箇所で様々であって良く、或いは、局部補強材の全体的輪郭に沿って一定のままであっても良い。局部補強材は、少なくとも2つの平坦ではない壁を有するのが良い。局部補強材は、3つ又は4つ以上の壁を有するのが良く、又、実質的に湾曲した又はU字形の輪郭を有するのが良い。局部補強材の輪郭は、局部補強材に沿って一定であっても良く、或いは、変化していても良い。局部補強材の壁は、キャビティを形成するのが良く、このキャビティは、リブ補強材及び/又は発泡材料を収容するのが良い。
【0023】
ベース補強部分は、適当なポリアミド(例えば、ナイロン)又は他のポリマー材料で作られるのが良い。ベース補強部分は、射出成形されても良く、押出し成形されても良く、ダイカストされても良く、或いは機械加工されても良く、このようなベース補強部分は、例えばポリスルホン、ポリアミド(例えば、ナイロン、PBI又はPEI)又はこれらの組合せのような材料から成る。ベース補強部分は、アルミニウム、押出しアルミニウム、アルミニウムフォーム、マグネシウム、マグネシウム合金、成形マグネシウム合金、チタン、チタン合金、成形チタン合金、ポリウレタン、ポリウレタン複合材、低密度ソリッドフィラー、成形SMC及び成形BMCから成る群から選択された材料で作られても良い。ベース補強部分は、射出成形され又は押出し成形されるのが良い。ベース補強部分は、充填剤入りであるのが良く又は違ったやり方で補強されるのが良い。例えば、ベース補強部分は、ガラス繊維強化ポリマー材料から成るのが良い。
【0024】
図1〜図3に示されているように、本発明は、ベース補強部分13上の変形量増大領域に設けられる局部補強材12を提供し、この局部補強材の材料は、構造的補強材のベース補強部分の材料とは異なっている。局部補強材を備えたベース補強部分のこの領域は、局部補強材が全く設けられていないベース補強部分の領域と比較して、生じる変形量が少ない。補強構造体は、第1の表面22及び第2の表面23を有するのが良い。局部補強材は、これが第1の表面にのみ(例えば、図2に示されているように)接触するよう配置されるのが良い。第1の表面は、局部補強材を収容するための1つ又は2つ以上の壁を備えた凹み領域26を有するのが良い。凹み領域の壁は、例えば図2及び図3に示されているように実質的に平坦であっても良く、或いは、湾曲していても良い。
【0025】
例えば図4及び図5に示されているように、本発明の補強材は、例えば米国特許第7,374,219号明細書、同第7,160,491号明細書、同第7,105,112号明細書及び同第6,467,834号明細書並びに共通所有者の同時係属米国特許出願第11/863,929号明細書に示されている成形リブ構成体10を有するのが良く、これら特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。成形リブ構成体10は、リブの相互連結ネットワークを含むのが良く、このような成形リブ構成体は、1つ又は2つ以上の締結具11(例えば、プッシュピン形締結具)を有するのが良い。成形リブは、これらが補強構造体の長手方向軸線に対して横方向に向くよう配置されるのが良い。横方向成形リブの配置により、補強構造体に沿って配置された複数個のキャビティ27が作られるのが良い。各キャビティは、複数個の壁を有するのが良く、少なくとも1つの壁は、局部補強材によって形成される。例えば図11に示されているように、局部補強材は、流体(例えば、イーコート(e-coat)流体)を排出させることができる1つ又は2つ以上の貫通穴16及びキャリヤと車両キャビティとの間に空間を提供する1つ又は2つ以上のスタンドオフ又はラグ(突出部)を更に有するのが良い。成形リブ構成体は、発泡材料15を更に有するのが良い。適当な補強材の例は、米国特許第6,953,219号明細書及び同第6,467,834号明細書に見られるが、これらには限定されない。なお、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0026】
図4〜図9に示されているように、局部補強材12は、局部補強材をベース補強部分に締結する又は車両の任意部分に締結可能な1つ又は2つ以上の構造体11を更に有するのが良く、このような車両の部分としては、車両ブラケット、取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント又はラジエータブラケットが挙げられるが、これらには限定されない。この構造体は、締結具、例えばツリーファスナ(tree-fastener)又はねじ形締結具を有するのが良い。一例として、プッシュピン形締結具、例えば、共通所有者の米国特許出願第12/405,481号明細書に開示されているプッシュピン形締結具が用いられるのが良い。締結具は、材料の多数の層又は多くの形式の材料を構造体に固定することができるのが良い。適当な締結具の例としては、機械的締結具、クリップ、スナップ嵌め具、ねじ、フック、これらの組合せ等が挙げられる。車両構造体への取付けのために、局部補強材は、局部補強材を定位置に保持するために車両構造体に設けられたタブの周りに嵌まるよう切断形成された成形開口部を有するのが良い。さらに、1つ又は2つ以上の締結具が局部補強材と単一の材料で一体的に形成されても良く、或いは、異なる材料で作られると共に局部補強材に永続的に又は取り外し可能に取り付けられても良いことが想定される。
【0027】
図11に示されているように、ベース補強部分13は、頂部17、中間部18及び底部19を有するのが良い。中間部は、局部補強材12と接触状態にあるのが良く、頂部及び底部は、局部補強材と接触状態にはないのが良い。頂部は、構造的補強材を車両コンポーネントに取り付けるための貫通穴20を有するのが良い。また、底部は、キャビティ内への構造的補強材の嵌まり込みを容易にするための全体としてU字形の切欠き領域21を有するのが良い。ベース補強部分は、第1の表面22及び第2の表面23を更に有するのが良く、局部補強材は、第1の表面と接触関係をなして配置されるようになっている。第1の表面22は、ベース補強部分の中間部18に沿って凹状の形態で湾曲しているのが良い。局部補強材は、凹状湾曲部分24を更に有するのが良く、この凹状湾曲部分は、形状がベース補給部分の中間部と相補するようになっている。局部補強材は、中間部の第1の表面の一部のみを覆っても良く、或いは、中間部の第1の表面全体を覆っても良い。また、第1の表面、第2の表面又はこれら両方の表面は、複数個のリブ10を有するのが良い。
発泡材料は、約148.89℃〜約204.44℃(約300°F〜約400°F)の温度(即ち、自動車塗装又はコーティング作業で見受けられる温度)への暴露時に発泡を生じる材料であるのが良い。発泡材料は、代表的には、元の非発泡体積に対して少なくとも5%を超え、少なくとも50%を超え、少なくとも200%を超え、少なくとも1000%を超え、少なくとも2000%を超え、少なくとも5000%を超え、或いはそれ以上の体積まで発泡する。また、材料の体積は、発泡材料のフォーム状又は非フォーム状バージョンに関する硬化(例えば、架橋)に起因した活性化後において少なくても良いことが想定される。
【0028】
また、ベース補強部分には1種類又は2種類以上の発泡材料、例えば、共通所有者の米国特許出願公開第2008/0029200号明細書に開示されている発泡材料を接触させるのが良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。発泡材料は、エポキシ系材料、例えば、米国特許第5,884,960号明細書、同第6,348,513号明細書、同第6,368,438号明細書、同第6,811,864号明細書、同第7,125,461号明細書、同第7,249,415号及び米国特許出願公開第2004/0076831号明細書に開示されているエポキシ系材料であるのが良く、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。ベース補強部分は、1つ又は2つ以上の延長部14(図10に示されている)を更に有するのが良い。ベース補強部分の一機能は、車両キャビティ内への配置の際に車両に対する構造的補強材となることに加えて、活性化可能な発泡材料を備えた構造部材を提供することにある。かくして、ベース補強部分は、発泡材料の層が被着される1つ又は2つ以上の外方に向いた表面を有するのが良い。発泡材料15は、このような場所でベース補強部分の表面に被着される(発泡前に)。オプションとして、発泡方向は、1つ又は2つ以上の延長部、例えば、米国特許第6,941,719号明細書に開示された延長部により制御されるのが良い。ベース補強部分は、発泡材料、例えば共通所有者の米国特許出願公開第2007/0090560号明細書に開示された発泡材料で構成されても良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。ベース補強部分及び発泡材料は、同一の材料で一体に形成されるのが良い。
【0029】
本発明の発泡材料は、比較的高い引張り強さ及び弾性率を示すと共に高い延性の度合いを示すのが良い。発泡材料は特に本明細書において開示する構成要素の或る特定の組合せの量(例えば、アダクト(又はアダクツ)の或る特定の量、衝撃調節剤の量又はこれら両方の組合せ)に関し、この増大した延性を示すのが良い。これら性質は、従来の二重剪断(double lap shear)試験方法を用いて明確に表示される。このような方法は、以下の試験パラメータを用いたASTM方法D3528‐96,タイプA形態に記載されており、即ち、試験用被着材は、アセトンであらかじめ清浄化された0.060インチ(1.524mm)の厚みがある1インチ×4インチ(2.54cm×10.16cm)EG‐60金属であり、各接着ボンド線は、3mmであり、試験オーバーラップ寸法は、1インチ×0.5インチ(2.54cm×1.27cm)であり、試験速度は、0.5インチ/分である。このような試験方法を用いると、所望の性質、例えば次の性質、即ち、破断までの歪をピーク応力時歪で除算して得られる比(本明細書では、延性比と呼ばれる)、面積計算の終値として破断時歪を用いて応力‐歪曲線の下に位置する部分の面積として計算される破断エネルギーを導き出すことができる。
【0030】
本発明に従って形成された或る特定の発泡材料は、約2.0を超え、より代表的には約2.5を超え、更に場合によっては約2.8を超える活性化後延性比を示した。本発明に従って形成された或る特定の発泡材料は、上述の試験方法に従って求めた場合、約550Nmmを超え、より代表的には約700Nmmを超え、場合によっては約750Nmmを超える活性化後破断エネルギー値を示した。
【0031】
発泡材料は、全体として長方形又はブロック形態に形作られるのが良いが、必要ならば又は所望ならば、ベース補強部分及び/又は局部補強材の形態に応じて形作られても良い。当然のことながら、発泡材料は、単一の部品(例えば、1本のストリップ)又は多数の部品(例えば、複数本のストリップとしてベース補強部分及び/又は局部補強材に被着されても良いことが想定される。発泡時、発泡材料は、当初、上下方向に発泡するのが良く、ついには、障害物に接触し、この時点で、発泡材料は、水平方向に発泡し始めるのが良い。発泡材料は、幅が約1mmを超える隙間中に発泡することができるのが良い。さらに、本発明の発泡材料は、ベース補強部分の延性を増大させることができる。発泡材料は、荷重を発泡材料の表面全体にわたって一様に分布させ、荷重を下に位置するベース補強部分及び/又は局部補強材に一様に伝えるよう作用するのが良く、それにより、ベース補強部分及び/又は局部補強材の固有の強度が利用される。
【0032】
別段の指定がなければ、本明細書において記載された種々の構造体の寸法及び幾何学的形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法又は幾何学的形状の採用が可能である。複数個の構造的コンポーネントを単一の一体形構造によって提供することができる。変形例として、単一の一体形構造を別々の複数個のコンポーネントに分割しても良い。更に、本発明の特徴を例示の実施形態の1つのみとの関連で説明したが、このような特徴を任意所与の用途に関して、他の実施形態の1つ又は2つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、上述のことから理解されるように、本明細書において説明した新規な構造体の製作及びその作用も又、本発明の方法を構成する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかしながら、当業者であれば、或る特定の改造例が本発明の教示の範囲に含まれることを認識されよう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び内容を定めるために検討されるべきである。
【0034】
本明細書において与えられた説明及び例示は、当業者に本発明の内容、その原理及びその実用的用途を教示するものである。当業者であれば、特定用途の要件に最も適する仕方で本発明を改造したり本発明をその多くの形態で利用したりすることができる。したがって、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態は、網羅的ではなく(本明細書において開示した実施形態が全てであるというわけではなく)又は本発明を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は、上述の説明を参照することによってではなく、これとは異なり、特許請求の範囲の記載(各請求項の内容)及びその全均等範囲に基づいて定められるべきである。特許出願及び特許出願公開を含む全ての特許文献及び非特許文献を発明の全ての目的について参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。また、本明細書において書面の形態で組み込まれた特許請求の範囲から想到される他の組み合わせが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的補強材であって、
i)長手方向軸線を備えた細長いベース補強部分と、
ii)前記ベース補強部分と少なくとも部分的に関連した発泡性ポリマー材料と、
iii)全体として前記長手方向軸線と平行に位置合わせされると共に前記構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材とを有し、前記局部補強材は、前記ベース補強部分の材料とは異種であり且つ該材料よりも高い引張り強さを有する材料で作られていて、前記衝撃変形領域での衝撃の際、変形の激しさが前記局部補強材の設けられていない部品と比較して軽減されるようになっている、構造的補強材。
【請求項2】
前記ベース補強部分と前記発泡性ポリマー材料は、同一の材料で一体に形成されている、請求項1記載の構造的補強材。
【請求項3】
前記局部補強材は、前記局部補強材を車両構造体又は前記ベース補強部分に締結する締結手段を有する、請求項1又は2記載の構造的補強材。
【請求項4】
前記締結手段は、任意の取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント、又はラジエータブラケットに取り付けられる、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項5】
前記局部補強材は、スチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、マグネシウム、合金、遷移金属、又はこれらの任意の組合せから選択された金属材料で作られている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項6】
前記ベース補強部分は、第1の表面と、第2の表面と、少なくとも1つの側壁とを有し、前記局部補強材は、前記第1の表面及び前記少なくとも1つの側壁と接触状態にある、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項7】
前記局部補強材は、前記ベース補強部分、前記発泡性材料、又はこれら両方で実質的に完全に覆われている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項8】
前記ベース補強部分は、湾曲した局部補強材と接触状態にある湾曲した第1の表面を有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項9】
前記局部補強材は、複合材料である、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項10】
前記局部補強材は、外面を有し、前記外面の少なくとも一部分は、発泡後、前記発泡材料と接触状態にある、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項11】
前記構造的補強材は、第1の表面と、第2の表面とを有し、前記第1の表面及び前記第2の表面は、1つ又は2つ以上の横方向リブ構造体を有する、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項12】
前記1つ又は2つ以上の横方向リブ構造体は、前記第1の表面及び前記第2の表面に沿って1つ又は2つ以上のキャビティを形成する壁として働く、請求項11記載の構造的補強材。
【請求項13】
前記1つ又は2つ以上のキャビティは、前記局部補強材により形成された少なくとも1つの壁を有する、請求項12記載の構造的補強材。
【請求項14】
前記発泡材料の延性比は、約2.5である、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項15】
前記局部補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を有する、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項16】
前記ベース補強部分は、金属部品、複合材部品、ポリマー部品、又はこれらの任意の組合せである、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項17】
前記ベース補強部分材料の延性は、前記局部補強材の材料の延性よりも低い、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項18】
前記局部補強材は、前記発泡材料の発泡後、1つ又は2つ以上の目に見える露出面を有する、請求項1〜17のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項19】
前記構造的補強材は、頂部と、中間部と、底部とを有し、前記局部補強材は、前記中間部とのみ接触状態にある、請求項1〜18のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項20】
前記ベース補強部分、前記局部補強材、又はこれら両方は、機械的インターロック手段を備えている、請求項1〜19のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項1】
構造的補強材であって、
i)長手方向軸線を備えた細長いベース補強部分と、
ii)前記ベース補強部分と少なくとも部分的に関連した発泡性ポリマー材料と、
iii)全体として前記長手方向軸線と平行に位置合わせされると共に前記構造的補強材の予想衝撃変形領域内に配置された局部補強材とを有し、前記局部補強材は、前記ベース補強部分の材料とは異種であり且つ該材料よりも高い引張り強さを有する材料で作られていて、前記衝撃変形領域での衝撃の際、変形の激しさが前記局部補強材の設けられていない部品と比較して軽減されるようになっている、構造的補強材。
【請求項2】
前記ベース補強部分と前記発泡性ポリマー材料は、同一の材料で一体に形成されている、請求項1記載の構造的補強材。
【請求項3】
前記局部補強材は、前記局部補強材を車両構造体又は前記ベース補強部分に締結する締結手段を有する、請求項1又は2記載の構造的補強材。
【請求項4】
前記締結手段は、任意の取付けブラケット、シートベルト機構体、シートベルトレトラクタ、引手ブラケット、ルーフラック、ミラーブラケット、サンルーフブラケット、バンパーブラケット、ヒンジコンポーネント、シャーシマウントブラケット、エンジンブラケット、サスペンションコンポーネント、又はラジエータブラケットに取り付けられる、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項5】
前記局部補強材は、スチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、マグネシウム、合金、遷移金属、又はこれらの任意の組合せから選択された金属材料で作られている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項6】
前記ベース補強部分は、第1の表面と、第2の表面と、少なくとも1つの側壁とを有し、前記局部補強材は、前記第1の表面及び前記少なくとも1つの側壁と接触状態にある、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項7】
前記局部補強材は、前記ベース補強部分、前記発泡性材料、又はこれら両方で実質的に完全に覆われている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項8】
前記ベース補強部分は、湾曲した局部補強材と接触状態にある湾曲した第1の表面を有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項9】
前記局部補強材は、複合材料である、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項10】
前記局部補強材は、外面を有し、前記外面の少なくとも一部分は、発泡後、前記発泡材料と接触状態にある、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項11】
前記構造的補強材は、第1の表面と、第2の表面とを有し、前記第1の表面及び前記第2の表面は、1つ又は2つ以上の横方向リブ構造体を有する、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項12】
前記1つ又は2つ以上の横方向リブ構造体は、前記第1の表面及び前記第2の表面に沿って1つ又は2つ以上のキャビティを形成する壁として働く、請求項11記載の構造的補強材。
【請求項13】
前記1つ又は2つ以上のキャビティは、前記局部補強材により形成された少なくとも1つの壁を有する、請求項12記載の構造的補強材。
【請求項14】
前記発泡材料の延性比は、約2.5である、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項15】
前記局部補強材は、全体として湾曲した又はU字形の輪郭を有する、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項16】
前記ベース補強部分は、金属部品、複合材部品、ポリマー部品、又はこれらの任意の組合せである、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項17】
前記ベース補強部分材料の延性は、前記局部補強材の材料の延性よりも低い、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項18】
前記局部補強材は、前記発泡材料の発泡後、1つ又は2つ以上の目に見える露出面を有する、請求項1〜17のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項19】
前記構造的補強材は、頂部と、中間部と、底部とを有し、前記局部補強材は、前記中間部とのみ接触状態にある、請求項1〜18のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【請求項20】
前記ベース補強部分、前記局部補強材、又はこれら両方は、機械的インターロック手段を備えている、請求項1〜19のうちいずれか一に記載の構造的補強材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−508141(P2012−508141A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535688(P2011−535688)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063553
【国際公開番号】WO2010/054194
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063553
【国際公開番号】WO2010/054194
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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