説明

ハイブリッド車両の冷却装置

【課題】モータ及びそれを駆動するための機器を効果的に冷却し、それによって同モータ及びそれを駆動するための機器の駆動効率を向上させる。
【解決手段】ハイブリッド車両の冷却装置には、エンジン1を冷却する冷却水が循環する第1冷却水回路と、モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を冷却する冷却水が循環する第2冷却水回路とが設けられる。そして、第1冷却水回路の第1ラジエータ2を第2冷却水回路に接続する流出ホース15での冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であるときには、流出ホース15に設けられたバルブ18が開弁状態とされる。これにより、第2冷却水回路を循環する冷却水が同第2冷却水回路の第2ラジエータ5だけでなく上記第1ラジエータ2も通過するようになる。言い換えれば、第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で第2冷却水回路の冷却水からの放熱が行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原動機としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド車両には、例えば特許文献1〜3に示される冷却装置が設けられる。こうした冷却装置には、エンジンを冷却する冷却水を循環させる第1冷却水回路が設けられるとともに、モータ及びそれを駆動するための機器(インバータ等)を冷却する冷却水を循環させる第2冷却水回路が設けられる。そして、第1冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第1ラジエータが設けられる。一方、第2冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第2ラジエータが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−507717公報
【特許文献2】特開2001−206050公報
【特許文献3】特開平10−238345公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハイブリッド車両においては、第2冷却水回路の冷却水温が低くなるほど、モータ及びそれを駆動するためのインバータ等の機器の駆動効率が向上する。このため、市街地走行などエンジンを停止した状態でのモータのみによる走行が多く行われる状況のもとでは、第2冷却水回路の冷却水温を可能な限り低く抑えることがハイブリッド車両の燃費を改善するうえで効果的である。
【0005】
ただし、市街地走行などでは車速が上がらないことから、第2ラジエータを通過する空気の量(風量)が少なくなる。従って、市街地走行などモータのみによる走行が多く行われる状況のもとでは、第2ラジエータからの冷却水の放熱が少なくなって第2冷却水回路の冷却水温が高くなりがちとなり、そのことがハイブリッド車両の燃費を改善するうえで問題となる。
【0006】
なお、第2ラジエータを大きくすれば、車速が上がらなくとも同第2ラジエータを通過する空気の量が多くなるため、そこを通過する冷却水からの放熱を多く行うことが可能にはなる。しかし、大型化した第2ラジエータの収容スペースの確保、及びコストアップの観点から、第2ラジエータを大きくすることには限界があるため、同第2ラジエータを上述した状況のもとで十分な冷却水からの放熱を行えるほど大きくすることは難しい。
【0007】
ちなみに、特許文献1〜3にはそれぞれ、以下に記載する技術が開示されている。
[特許文献1]
第1冷却水回路と第2冷却水回路とを連通したり遮断したりすることを可能とし、エンジンとモータとの両方での走行時であって冷却水が高温となっているとき、第1冷却水回路と第2冷却水回路とを遮断状態とすること。
【0008】
[特許文献2]
第1冷却水回路の冷却水の低温時を含め、常に第1冷却水回路と第2冷却水回路と連通状態とすること。
【0009】
[特許文献3]
第1冷却水回路と第2冷却水回路とを連通したり遮断したりすることを可能とし、第2冷却水回路の冷却水の低温時、第1冷却水回路と第2冷却水回路とを連通状態とすることにより、第1冷却水回路の冷却水からの放熱を第1ラジエータだけでなく第2ラジエータも用いて行うこと。
【0010】
しかし、これら特許文献1〜3に記載された技術を適用したとしても、市街地走行などモータのみによる走行が多く行われる状況のもとで、第2ラジエータからの冷却水の放熱が少なくなって第2冷却水回路の冷却水温が高くなりがちになる、という上述した問題を回避することは困難である。
【0011】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、モータ及びそれを駆動するための機器を効果的に冷却することができ、それによって同モータ及びそれを駆動するための機器の駆動効率を向上させることのできるハイブリッド車両の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明によれば、第1冷却水回路を循環する冷却水によりハイブリッド車両に原動機として搭載されるエンジンが冷却されるとともに、第2冷却水回路を循環する冷却水によりハイブリッド車両に同じく原動機として搭載されるモータ、及びそれを駆動するための機器が冷却される。第1冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第1ラジエータが設けられる。また、第2冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第2ラジエータが設けられる。上記第1ラジエータは、ホースを介して第2冷却水回路に接続されている。同ホースを通じての冷却水の流通はバルブの閉弁により禁止される。また、このバルブが開弁すると上記ホースを通じての冷却水の流通が許容される。そして、第1ラジエータを第2冷却水回路に接続する上記ホースでの冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であるときには、駆動部により上記バルブが開弁状態とされて上記ホースを介しての冷却水の流通が許容される。
【0013】
ここで、市街地走行など、車速が上がらず且つモータのみによる走行が多く行われる状況のもとでは、モータ及びそれを駆動するための機器からの発熱が多くなるとともに、第2ラジエータを通過する空気の量(風量)が少なくなって同第2ラジエータからの冷却水の放熱が少なくなるため、第2冷却水回路の冷却水温が高くなりがちになる。一方、市街地走行などモータのみによる走行が多く行われる状況では、エンジンの発熱が少なくなって第1冷却水回路の冷却水温が低くなるため、第1冷却水回路における第1ラジエータの冷却水の温度は低くなる傾向がある。
【0014】
このとき、第1ラジエータを第2冷却水回路に接続するホースでの冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であれば、上記バルブが開弁状態とされて上記ホースを介しての冷却水の流通が許容される。この場合、第2冷却水回路を循環する冷却水が第2ラジエータだけでなく第1ラジエータも通過するようになり、第2ラジエータと第1ラジエータとの両方で同冷却水からの放熱が行われるようになる。従って、市街地走行などモータのみによる走行が多く行われる状況のとき、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えてモータ及びそれを駆動するための機器を効果的に冷却することができ、ひいては同モータ及びそれを駆動するための機器の駆動効率を向上させることができる。また、上述したように第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えるうえで第2ラジエータを大型化する必要はないため、その大型化に伴い第2ラジエータの収容スペースの確保が困難になったり、第2ラジエータのコストアップを招いたりすることは抑制される。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、第1ラジエータを第2冷却水回路に接続するホースでの冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値以上になると、駆動部によりバルブが閉弁されて上記ホースを通じての冷却水の流通が禁止される。ここで、市街地走行などモータのみによる走行が多く行われる状況から、郊外での走行などエンジンの駆動による走行が多く行われる状況へと移行すると、エンジンの発熱が多くなって第1冷却水回路の冷却水温が高くなるため、第1冷却水回路における第1ラジエータの冷却水の温度も高くなる傾向がある。そして、そのことに起因して第1ラジエータを第2冷却水回路に接続するホースでの冷却水の温度が上記許容上限値以上になると、上述したバルブの閉弁により上記ホースを介しての冷却水の流通が禁止される。これにより、第1冷却水回路にて高温となった冷却水が第1ラジエータから上記ホースを介して第2冷却水回路に流入することはなくなるため、その冷却水の流入に伴い第2冷却水回路の冷却水温が上記許容上限値以上になることが抑制される。従って、エンジンの発熱が多いとき、第2冷却水回路の冷却水により冷却されるモータ及びそれを駆動するための機器の温度が過度に高くなり、それによって同モータ及びそれを駆動するための機器の駆動効率が低下することを抑制できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、第1ラジエータを第2冷却水回路に接続するホースが金属製とされ、且つ車両のボディに接触するように設けられるため、そのホースを通過する冷却水の熱が同ホースを介して車両のボディに効率よく放出される。これにより、上記ホースを通過する冷却水の温度が第2冷却水回路の冷却水温の許容上限値以上になりにくくなるため、バルブを可能な限り長く開弁状態に保持することができる。従って、第2冷却水回路の冷却水の放熱を可能な限り長く第2ラジエータと第1ラジエータとの両方で行うことができ、それによって第2冷却水回路の冷却水温をより一層的確に低く抑えることができるようになる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、エンジンの発熱が少なく第1冷却水回路のメイン経路を循環する冷却水が低温である場合には、それに基づきサーモスタットが閉弁して第1冷却水回路における第1ラジエータの設けられたバイパス経路が上記メイン経路に対し遮断状態とされる。そして、エンジンの発熱が多くなってメイン経路の冷却水の温度が上昇してゆくと、それに応じてサーモスタットの開度が徐々に大きくなってゆき、バイパス経路がメイン経路に対し連通するようになる。一方、第1冷却水回路と第2冷却水回路との間では、第2冷却水回路の冷却水が流出ホースを介してバイパス経路における第1ラジエータの上流に流出することが可能であり、その第1ラジエータを通過した後の冷却水が流入ホースを介して第2冷却水回路に流入することが可能となっている。そして、これらホースでの冷却水の温度が第2冷却水回路における冷却水の許容上限値未満であるときには、バルブが開弁して流出ホース及び流入ホースを通じての冷却水の流通が許容されるため、第2冷却水回路の冷却水からの放熱が第2ラジエータだけでなく第1ラジエータでも行われるようになる。
【0018】
このように第2冷却水回路の冷却水が第1ラジエータを通過するようになるとき、第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が低温であれば、サーモスタットが閉弁状態であるか若しくは開度の小さい状態となるため、第1ラジエータ(バイパス経路)を第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が流れることはほとんどない。言い換えれば、第1ラジエータをほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることが可能になる。このように第1ラジエータをほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることで、第2冷却水回路の冷却水温を的確に低く抑えることができる。従って、モータ及びそれを駆動するための機器を効果的に冷却することができ、それによってモータ及びそれを駆動するための機器の駆動効率を向上させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、流出ホース及び流入ホースを通じての冷却水の流通を禁止もしくは許容すべく開閉するバルブが、第1ラジエータの下流に位置する流入ホースに設けられており、流入ホースを通過する冷却水との熱交換を通じて開閉する感温式のバルブとなっている。こうした感温式のバルブは、同バルブを開閉させる駆動部を兼ねるものとなる。流入ホース及びバルブを通過する冷却水は、第1ラジエータを通過した直後の低温の冷却水である。このため、流入ホース(バルブ)を通過する冷却水の温度が第2冷却水回路の冷却水温の許容上限値以上になりにくくなる。その結果、バルブを可能な限り長く開弁状態に保持することができる。これにより、第2冷却水回路の冷却水の放熱を可能な限り長く第2ラジエータと第1ラジエータとの両方で行うことができる。
【0020】
請求項6によれば、第2冷却水回路を循環する冷却水は、第2ラジエータにて冷却された後、モータを駆動するための機器、同モータの順に流れる。この第2冷却水回路においては、モータを駆動するための上記機器が最も冷却要求の大きい機器となる。また、バルブの開弁時であって流出ホース及び流入ホースを通じての冷却水の流通が許容されているときには、モータを駆動するための機器を通過した後の冷却水が、同機器と上記モータとの間に接続された流出ホースを介して第1冷却水回路のバイパス通路における第1ラジエータの上流に流出する。そして、同第1ラジエータを通過して冷却された冷却水は、流入ホースを通じて第2冷却水回路におけるモータと第2ラジエータとの間に流入する。従って、モータを駆動するための機器、すなわち第2冷却水回路において最も冷却要求の大きい機器に対し、第1ラジエータと第2ラジエータとの両方で冷却された直後の低温の冷却水を流入させることが可能になる。そして、こうした低温の冷却水によりモータを駆動するための機器を効果的に冷却することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の冷却装置における冷却水回路の全体構成を示す略図。
【図2】バルブ開弁状態での第1冷却水回路及び第2冷却水回路での冷却水の流れを示す略図。
【図3】バルブ開弁状態での第1冷却水回路及び第2冷却水回路での冷却水の流れを示す略図。
【図4】バルブ閉弁時における第1冷却水回路及び第2冷却水回路での冷却水の流れを示す略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、ハイブリッド車両の冷却装置に具体化した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の冷却装置における冷却水回路の構成を示している。この冷却装置には、ハイブリッド車両に原動機として搭載されるエンジン1を冷却するための冷却水を循環させる第1冷却水回路が設けられている。第1冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第1ラジエータ2が設けられている。また、冷却装置には、ハイブリッド車両にエンジン1と同じく原動機として搭載されるモータジェネレータ3、及びそれを駆動するための機器4を冷却する冷却水を循環させる第2冷却水回路も設けられている。なお、モータジェネレータ3を駆動するための上記機器4としては、インバータ、昇圧コンバータ、及びDC/DCコンバータ等があげられる。第2冷却水回路には、その内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第2ラジエータ5が設けられている。
【0023】
第2冷却水回路での冷却水の循環はウォータポンプ6の駆動を通じて行われる。そして、ウォータポンプ6から吐出された冷却水は、モータジェネレータ3を駆動するための機器4、同モータジェネレータ3、及び第2ラジエータ5を順に通過し、その後にウォータポンプ6に戻る。
【0024】
一方、第1冷却水回路での冷却水の循環はウォータポンプ7の駆動を通じて行われる。この第1冷却水回路には、ウォータポンプ7、エンジン1、スロットルボディ8、ヒータコア9、サーモスタット10を通って上記ウォータポンプ7に戻るメイン経路と、そのメイン経路のエンジン1を通過する部分から分岐して上記第1ラジエータ2を通過した後にサーモスタット10にてメイン経路と合流するバイパス経路とが形成されている。
【0025】
上記ヒータコア9は、空気と冷却水との熱交換を通じて車室内に送風される空気を暖める熱交換器として機能する。上記サーモスタット10は、メイン経路における冷却水の流れを常時許容して同冷却水からの熱を受けるものであって、スロットルボディ8及びヒータコア9を通過した後の温度が規定値(例えば80℃)未満のときには閉弁し、第1ラジエータ2を通じた冷却水の循環を禁止する。言い換えれば、第1冷却水回路におけるバイパス経路がメイン経路に対しサーモスタット10により遮断状態とされる。また、サーモスタット10は、スロットルボディ8及びヒータコア9を通過した後の冷却水の温度が上記規定値となったときには同冷却水からの受熱に基づき開弁開始し、その冷却水の温度の同規定値に対する上昇度合いに応じて開度を徐々に大きくしてゆくことで上記バイパス経路を上記メイン経路に対し連通させる。このようにバイパス経路をメイン経路に対し連通させることにより、第1冷却水回路における第1ラジエータ2を通じた冷却水の循環が許容される。
【0026】
冷却装置においては、第1冷却水回路に対し冷却水の不足が生じたときに同不足分の冷却水を供給したり、第1冷却水回路の余分な冷却水を一時的に貯留したりするためのリザーブタンク11が設けられている。同リザーブタンク11は、冷却水に混入したエアを同冷却水から取り除くための気液分離機能を有している。なお、リザーブタンク11の気液分離機能とは、同タンク11内の気相と液相とのうち気相から冷却水を入れて液相にて冷却水を一時的に貯留することにより、冷却水に含まれるエアの同冷却水からの分離を実現するものである。
【0027】
このリザーブタンク11は、第1冷却回路のバイパス経路における第1ラジエータ2の上流に繋がる通路12、第1冷却水回路におけるエアの停滞しやすい部分である第1ラジエータ2の最上部に繋がる通路13、及び上記第1ラジエータ2の下流端に繋がる通路14とそれぞれ接続されている。そして、第1ラジエータ2(バイパス経路)を通じた冷却水の流通が許容されると、バイパス通路における第1ラジエータ2の上流部分及び第1ラジエータ2の最上部の冷却水が、回路内の水圧等に基づき通路12,13を介してリザーブタンク11に送られる。また、リザーブタンク11にて気液分離された後の冷却水が通路14を介して第1ラジエータ2の下流端に送り出される。
【0028】
ところで、ハイブリッド車両においては、市街地走行などでエンジン1を停止した状態でのモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる。こうしたモータジェネレータ3による走行でのハイブリッド車両の燃費改善は、モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることが重要になる。そして、モータジェネレータ3及それを駆動するための機器4の駆動効率は、それらの温度を低く抑えるほど向上させることが可能になる。従って、モータジェネレータ3及び機器4を冷却するための第2冷却水回路の冷却水温を可能な限り低く抑えることが、モータジェネレータ3による走行でのハイブリッド車両の燃費を改善するうえで効果的である。なお、こうしたハイブリッド車両の燃費改善の効果は、市街地走行などエンジン1を停止した状態でのモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況のもとで、最も大きくなる。
【0029】
ただし、モータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況、例えば市街地走行では車速が上がらないことから、第2ラジエータ5を通過する空気の量(風量)が少なくなる。そして、第2ラジエータ5を通過する空気の量が少なくなると、その第2ラジエータ5での冷却水からの放熱が少なくなって第2冷却水回路の冷却水温が高くなりがちとなり、そのことがハイブリッド車両の燃費を改善するうえで問題となる。なお、第2ラジエータ5を大きくすれば、車速が上がらずとも同第2ラジエータ5を通過する空気の量が多くなるため、そこを通過する冷却水からの放熱を多く行うことが可能にはなる。しかし、大型化した第2ラジエータ5の収容スペースの確保、及びコストアップの観点から、第2ラジエータ5を大きくすることには限界があるため、同第2ラジエータ5を上述した状況のもとで十分な冷却水からの放熱を行えるほど大きくすることは難しい。
【0030】
こうした実情を考慮し、本実施形態の冷却装置では、第2冷却水回路の冷却水からの放熱を第2ラジエータ5だけでなく第1ラジエータ2でも行えるようにし、可能な限り第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で上記冷却水からの放熱を行う。この場合、市街地走行など、車速が上がらず且つモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況のときでも、第2冷却水回路の冷却水からの放熱を第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で行うことにより、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えることができる。その結果、第2ラジエータ5を大型化せずとも、第2冷却水回路の冷却水でモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を効果的に冷却することができ、ひいては同モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることができるようになる。そして、こうしたモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率の向上により、モータジェネレータ3により走行するときのハイブリッド車両の燃費を改善することができる。
【0031】
次に、第2冷却水回路の冷却水からの放熱を第1ラジエータ2でも行えるようにするための構造について詳しく説明する。
この実施形態の冷却装置では、第1ラジエータ2が流出ホース15及び流入ホース16を介して第2冷却水回路に接続されている。これら流出ホース15及び流入ホース16は金属製とされている。また、流出ホース15及び流入ホース16は、ハイブリッド車両のボディ17に接触するように設けられている。
【0032】
上記流出ホース15の上流端は、第2冷却水回路における機器4とモータジェネレータ3との間に接続されている。また、上記流出ホース15の下流端は、第1冷却水回路のバイパス経路における第1ラジエータ2の上流に接続されている。一方、上記流入ホース16の上流端は、第1冷却水回路のバイパス経路における第1ラジエータ2の下流に接続されている。また、上記流入ホース16の下流端は、第2冷却水回路における第2ラジエータ5とモータジェネレータ3との間、より詳しくは第2ラジエータ5の上流端に接続されている。これにより、第1冷却水回路と第2冷却水回路との間において、第2冷却水回路の冷却水が流出ホース15を介して第1冷却水回路のバイパス経路における第1ラジエータ2の上流に流出することが可能であり、その第1ラジエータ2を通過した後の冷却水が流入ホース16を介して第2冷却水回路に流入することが可能となっている。
【0033】
流出ホース15には、同流出ホース15及び上記流入ホース16を通じての冷却水の流通を禁止すべく閉弁するとともに同冷却水の流通を許容すべく開弁するバルブ18が設けられている。このバルブ18は、流出ホース15を通過する冷却水との熱交換を通じて開閉する感温式のバルブであって、流出ホース15での冷却水の温度に基づき同バルブ18を開閉させる駆動部としての機能を兼ね備えている。そして、流出ホース15での冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値(例えば60℃)未満であるときには、上記バルブ18が開弁状態とされて流出ホース15を介しての冷却水の流通が許容される。一方、流出ホース15での冷却水の温度が上記許容上限値以上であるときには、上記バルブ18が閉弁して流出ホース15を介しての冷却水の流通が禁止される。
【0034】
第1冷却水回路のバイパス通路と第2冷却水通路との間での冷却水の流通は、流出ホース15と流入ホース16との両方で冷却水の流通が許容されることにより実現される。このため、バルブ18の閉弁時には、第2冷却水回路を循環する冷却水の流出ホース15を通じての第1冷却水回路のバイパス通路における第1ラジエータ2の上流への流出が禁止されるとともに、上記バイパス通路における第1ラジエータ2下流の冷却水の流入ホース16を通じての第2冷却水回路への流入も禁止される。また、バルブ18の開弁時には、第2冷却水回路を循環する冷却水の流出ホース15を通じての第1冷却水回路のバイパス通路における第1ラジエータ2の上流への流出が許容されるとともに、上記バイパス通路における第1ラジエータ2下流の冷却水の流入ホース16を通じての第2冷却水回路への流入も許容される。
【0035】
ここで、市街地走行など、車速が上がらず且つモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況のもとでは、上述したように第2冷却水回路の冷却水温が高くなりがちになる一方、エンジン1の発熱が少なくなって第1冷却水回路の冷却水温が低くなることから第1冷却水回路における第1ラジエータ2の冷却水の温度は低くなる傾向がある。このとき、第1ラジエータ2を第2冷却水回路に接続する流出ホース15での冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であれば、上記バルブ18が開弁状態とされて流出ホース15及び流入ホース16を介しての冷却水の流通が許容される。
【0036】
この場合、第2冷却水回路を循環する冷却水が第2ラジエータ5だけでなく第1ラジエータ2も通過するようになり、第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で同冷却水からの放熱が行われるようになる。従って、市街地走行などモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況のとき、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えてモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を効果的に冷却することができ、ひいては同モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることができる。また、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えるうえで第2ラジエータ5を大型化する必要はないため、その大型化に伴い第2ラジエータ5の収容スペースの確保が困難になったり、第2ラジエータ5のコストアップを招いたりすることは抑制される。
【0037】
なお、バルブ18の開弁に基づき、第2冷却水回路の冷却水が上述したように第1ラジエータ2を通過するようになるとき、第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が低温であれば、サーモスタット10が閉弁状態であるか若しくは開度の小さい状態となる。このため、このときには第1ラジエータ2(バイパス経路)を第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が流れることはほとんどない。言い換えれば、第1ラジエータ2をほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることが可能になる。
【0038】
ちなみに、第1冷却水回路のメイン経路での冷却水の温度が上述した規定値(80℃)未満という低い値である状況のもとでは、サーモスタット10により第1冷却水回路のバイパス経路がメイン経路に対し遮断状態となるため、図2に示されるように第1冷却水回路ではメイン経路のみで冷却水の循環が行われる。このとき、第1ラジエータ2を通過する冷却水は、第2冷却水回路における機器4の下流から流出ホース15(バルブ18)を介して第1冷却水回路のバイパス経路に流出する冷却水のみとなる。こうして第1ラジエータ2を通過した冷却水はすべて、上記バイパス通路から流入ホース16を介して第2冷却水回路における第2ラジエータ5の上流に流入する。
【0039】
一方、第1冷却水回路のメイン経路での冷却水の温度が上記規定値以上であって過度に同規定値を越えない範囲内という低い値である状況のもとでは、サーモスタット10が閉弁状態に対し僅かに開いた状態(開度小の状態)となるため、第1冷却水回路のバイパス経路がメイン経路に対し僅かに連通する。この場合、第1冷却水回路では、図3に示されるようにメイン経路及びバイパス経路を通って冷却水の循環が行われる。ただし、サーモスタット10の開度が小さいため、上記メイン経路におけるエンジン1部分からバイパス経路に流れて第1ラジエータ2を通過し、その後に同バイパス経路からサーモスタット10を介して上記メイン経路に戻る冷却水はごく僅かとなる。従って、第1ラジエータ2を通過する冷却水は、ほとんど第2冷却水回路における機器4の下流から流出ホース15を介して第1冷却水回路のバイパス経路に流出する冷却水のみとなる。こうして第1ラジエータ2を通過した冷却水のほとんどは、上記バイパス通路から流入ホース16を介して第2冷却水回路に対して第2ラジエータ5の上流に流入する。
【0040】
上述した状況のもとでは、第1ラジエータ2をほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることができるため、第2冷却水回路の冷却水温を的確に低く抑えることができる。従って、モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を効果的に冷却することができ、それによってモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることができる。
【0041】
市街地走行などモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況から、郊外での走行などエンジン1の駆動による走行が多く行われる状況へと移行すると、エンジン1の発熱が多くなって第1冷却水回路の冷却水温が高くなるため、第1冷却水回路における第1ラジエータ2の冷却水の温度も高くなる傾向がある。より詳しくは、第1冷却水回路のメイン経路を循環する冷却水の温度が高くなってサーモスタット10の開度が大きくなるため、エンジン1の発熱により高温となったメイン経路の冷却水が多くバイパス経路に流れ込み、その結果として第1ラジエータ2を通過する冷却水の温度が高くなる。そして、このように第1ラジエータ2を通過する冷却水の温度が高くなると、同第1ラジエータ2に対して流出ホース15及び流入ホース16を介して繋がる第2冷却水回路の冷却水温も高くなる。これは、第1ラジエータ2を通過する高温の冷却水が流入ホース16を介して第2冷却水回路に流入し、その後に同第2冷却水回路から流出ホース15を介して第1ラジエータ2に戻るという冷却水の循環が生じるためである。
【0042】
上述したように第2冷却水回路の冷却水温が高くなって流出ホース15を通過する冷却水の温度が上記許容上限値以上になると、バルブ18の閉弁により図4に示されるように流出ホース15を介しての冷却水の流通、及び流入ホース16を介しての冷却水の流通が禁止される。これにより、第1冷却水回路にて高温となった冷却水が第1ラジエータ2から流入ホース16を介して第2冷却水回路に流入することはなくなるため、その冷却水の流入に伴い第2冷却水回路の冷却水温が上記許容上限値以上になることが抑制される。また、このときには第2冷却水回路を循環する冷却水は第2ラジエータ5での放熱を通じて冷却され、それによって第2冷却水回路の冷却水の温度が上記許容上限値未満に抑えられるようになる。従って、エンジン1の発熱が多いとき、第2冷却水回路の冷却水により冷却されるモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の温度が過度に高くなり、それによって同モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率が低下することを抑制できる。
【0043】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)第1冷却水回路の第1ラジエータ2を第2冷却水回路に接続する流出ホース15での冷却水の温度が第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であるときには、バルブ18が開弁状態とされることにより、第2冷却水回路を循環する冷却水が同第2冷却水回路の第2ラジエータ5だけでなく上記第1ラジエータ2も通過するようになる。言い換えれば、第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で第2冷却水回路の冷却水からの放熱が行われるようになる。従って、市街地走行などモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況のとき、上述したように第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で第2冷却水回路の冷却水からの放熱が行われることで、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えてモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を効果的に冷却することができるようになる。その結果、モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることができる。また、第2冷却水回路の冷却水温を低く抑えるうえで第2ラジエータ5を大型化する必要はないため、その大型化に伴い第2ラジエータ5の収容スペースの確保が困難になったり、第2ラジエータ5のコストアップを招いたりすることを抑制できるようになる。
【0044】
(2)市街地走行などモータジェネレータ3のみによる走行が多く行われる状況から、郊外での走行などエンジン1の駆動による走行が多く行われる状況へと移行すると、エンジン1の発熱が多くなって第1冷却水回路の冷却水温が高くなるため、第1冷却水回路における第1ラジエータ2の冷却水の温度も高くなる傾向がある。このように第1ラジエータ2の冷却水の温度も高くなることに基づき、同第1ラジエータ2を第2冷却水回路に接続する流出ホース15での冷却水の温度が上記許容上限値以上になると、バルブ18の閉弁により流出ホース15を介しての冷却水の流通、及び流入ホース16を介しての冷却水の流通が禁止される。これにより、第1冷却水回路にて高温となった冷却水が第1ラジエータ2から流入ホース16を介して第2冷却水回路に流入することはなくなるため、その冷却水の流入に伴い第2冷却水回路の冷却水温が上記許容上限値以上になることが抑制される。また、このときには第2冷却水回路を循環する冷却水は第2ラジエータ5での放熱を通じて冷却され、それによって第2冷却水回路の冷却水の温度が上記許容上限値未満に抑えられるようになる。従って、エンジン1の発熱が多いとき、第2冷却水回路の冷却水により冷却されるモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の温度が過度に高くなり、それによって同モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率が低下することを抑制できる。
【0045】
(3)第1ラジエータ2を第2冷却水回路に繋ぐ流出ホース15及び流入ホース16が金属製とされ、且つ車両のボディ17に接触するように設けられるため、それら流出ホース15及び流入ホース16を通過する冷却水の熱が同ホース15,16を介して車両のボディ17に効率よく放出される。これにより、流出ホース15を通過する冷却水の温度が第2冷却水回路の冷却水温の許容上限値以上になりにくくなるため、バルブ18を可能な限り長く開弁状態に保持することができる。従って、第2冷却水回路の冷却水の放熱を可能な限り長く第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で行うことができ、それによって第2冷却水回路の冷却水温をより一層的確に低く抑えることができるようになる。
【0046】
(4)第2冷却水回路の冷却水が第1ラジエータ2を通過するようになるとき、第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が低温であれば、サーモスタット10が閉弁状態であるか若しくは開度の小さい状態となるため、第1ラジエータ2(バイパス経路)を第1冷却水回路におけるメイン経路の冷却水が流れることはほとんどない。言い換えれば、第1ラジエータ2をほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることが可能になる。このように第1ラジエータ2をほぼ第2冷却水回路の冷却水の放熱専用とすることで、第2冷却水回路の冷却水温を的確に低く抑えることができる。従って、モータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4を効果的に冷却することができ、それによってモータジェネレータ3及びそれを駆動するための機器4の駆動効率を向上させることができる。
【0047】
(5)バルブ18の閉弁時、第2冷却水回路を循環する冷却水は、第2ラジエータ5にて冷却された後、モータジェネレータ3を駆動するための機器4、同モータジェネレータ3の順に流される。この第2冷却水回路においては、モータジェネレータ3を駆動するための上記機器4、すなわちインバータ、昇圧コンバータ、及びDC/DCコンバータ等が最も冷却要求の大きい機器となる。また、バルブ18の開弁時であって流出ホース15及び流入ホース16を通じての冷却水の流通が許容されているときには、モータジェネレータ3を駆動するための機器4を通過した後の冷却水が、同機器4とモータジェネレータ3との間に接続された流出ホース15を介して第1冷却水回路のバイパス通路における第1ラジエータ2の上流に流出する。そして、同第1ラジエータ2を通過して冷却された冷却水は、流入ホース16を通じて第2冷却水回路におけるモータジェネレータ3と第2ラジエータ5との間に流入する。従って、モータジェネレータ3を駆動するための機器4、すなわち第2冷却水回路において最も冷却要求の大きい機器4に対し、第1ラジエータ2と第2ラジエータ5との両方で冷却された直後の低温の冷却水を流入させることが可能になる。そして、こうした低温の冷却水によりモータジェネレータ3を駆動するための機器4を効果的に冷却することができるようになる。
【0048】
(6)第1冷却水回路と第2冷却水回路とは流出ホース15及び流入ホース16を介して接続可能であるため、第1冷却水回路のリザーブタンク11を第2冷却水回路用のリザーブタンクとして共用することができる。これにより、第2冷却水回路に専用のリザーブタンクを設けなくてもよくなる。その結果、同リザーブタンクの分のコストを低減することができるとともに、同リザーブタンクをハイブリッド車両に設けるためのスペースを確保する必要がなくなる。
【0049】
なお、上記各施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第2冷却水回路におけるモータジェネレータ3、機器4、及び第2ラジエータ5を並べ替えて、それらに対する冷却水の通過の順序を適宜変更してもよい。
【0050】
・第2冷却水回路に対する流出ホース15及び流入ホース16の接続位置を適宜変更してもよい。
・バルブ18を流出ホース15に設ける代わりに流入ホース16に設けてもよい。この場合、バルブ18の開弁時、流入ホース16及びバルブ18を通過する冷却水は、第1ラジエータ2を通過した直後の低温の冷却水ということになる。このため、流入ホース16(バルブ18)を通過する冷却水の温度が第2冷却水回路の冷却水温の許容上限値以上になりにくくなる。その結果、バルブ18を可能な限り長く開弁状態に保持することができる。これにより、第2冷却水回路の冷却水の放熱を可能な限り長く第2ラジエータ5と第1ラジエータ2との両方で行うことができる。
【0051】
・流出ホース15及び流入ホース16に関しては必ずしも金属製とする必要はない。なお、流出ホース15及び流入ホース16を金属製としない場合には、それらホース15,16を車両のボディ17に接触するように設ける必要はない。
【0052】
・第1冷却水回路に関しては、その内部を循環する冷却水が常に第1ラジエータ2を通過する構造であってもよい。この場合、第1冷却水回路においては、第1ラジエータ2の上流に流出ホース15が接続されるとともに、第1ラジエータ2の下流に流入ホース16が接続される。
【0053】
・バルブ18を電磁バルブとしてもよい。この場合、ホース内の冷却水温を水温センサにより検出する。そして、同センサによって検出された冷却水温に基づき電子制御装置を通じて上記バルブ18を開閉駆動することが考えられる。この構成では、電子制御装置がバルブ18を開閉動作せる駆動部となる。なお、上記ホース内の冷却水温に関しては、第2冷却水回路の冷却水温を検出する水温センサを設け、同センサの検出値から推定して求めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…エンジン、2…第1ラジエータ、3…モータジェネレータ、4…機器、5…第2ラジエータ、6,7…ウォータポンプ、8…スロットルボディ、9…ヒータコア、10…サーモスタット、11…リザーブタンク、12〜14…通路、15…流出ホース、16…流入ホース、17…ボディ、18…バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド車両に適用され、前記エンジンを冷却する冷却水を循環させる第1冷却水回路と、前記モータ及びそれを駆動するための機器を冷却する冷却水を循環させる第2冷却水回路とを備え、前記第1冷却水回路にはその内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第1ラジエータが設けられ、前記第2冷却水回路にはその内部を循環する冷却水を通過させて同冷却水の放熱を行う第2ラジエータが設けられるハイブリッド車両の冷却装置において、
前記第1ラジエータを前記第2冷却水回路に接続するホースと、
前記ホースを通じての冷却水の流通を禁止すべく閉弁するとともに同冷却水の流通を許容すべく開弁するバルブと、
前記ホースを通過する冷却水の温度が前記第2冷却水回路での冷却水温の許容上限値未満であるときには前記バルブを開弁状態とする駆動部と、
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の冷却装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記ホースを通過する冷却水の温度が前記許容上限値以上であるときには前記バルブを閉弁させる請求項1記載のハイブリッド車両の冷却装置。
【請求項3】
前記ホースは、金属製とされ、且つ車両のボディに接触するように設けられている請求項2記載のハイブリッド車両の冷却装置。
【請求項4】
前記第1冷却水回路は、ウォータポンプの駆動を通じてエンジンを冷却する冷却水を循環させるメイン経路と、そのメイン経路を循環する冷却水を前記第1ラジエータに流入させた後に同第1ラジエータから前記メイン経路に流出させるバイパス経路と、前記メイン経路の冷却水が低温であるときに閉弁して前記バイパス経路を前記メイン経路に対し遮断状態とするとともに前記メイン経路の冷却水の温度上昇に応じて開度を徐々に大きくしてゆくことにより前記バイパス経路を前記メイン経路に対し連通させるサーモスタットとを備え、
前記ホースは、前記第2冷却水回路の冷却水を前記バイパス経路における前記第1ラジエータの上流に流出させる流出ホースと、前記第1ラジエータから流出した冷却水を第2冷却水回路に流入させる流入ホースとからなる
ことを特徴とする請求項2記載のハイブリッド車両の冷却装置。
【請求項5】
前記バルブは、前記流入ホースに設けられており、その流入ホースを通過する冷却水との熱交換を通じて開閉する感温式のバルブであって前記駆動部を兼ねている請求項4記載のハイブリッド車両の冷却装置。
【請求項6】
前記第2冷却水回路は、ウォータポンプの駆動を通じて冷却水を前記モータを駆動するための機器、前記モータ、及び前記第2ラジエータの順に流して同冷却水を循環させるものであって、前記機器と前記モータとの間に前記流出ホースを接続するとともに前記第2ラジエータと前記モータとの間に前記流入ホースを接続している請求項4記載のハイブリッド車両の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162115(P2011−162115A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28959(P2010−28959)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】