説明

ハイブリッド車両

【課題】蓄電装置が故障した場合にも、走行することが可能なハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両100は、前輪9を駆動するためのエンジン1およびモータMG2と、エンジン1の動力により発電可能なジェネレータMG1と、モータMG2に供給される電力を蓄電するバッテリモジュール131と、外部電源500を用いてバッテリモジュール131を充電する充電装置15とを備える。ジェネレータMG1は、バッテリモジュール131から供給される電力によりエンジン1をクランキング可能に構成され、かつ、バッテリモジュール131が故障している場合には、外部電源500から充電装置15を介して供給される電力によりエンジン1をクランキング可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンおよび電動機を備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動輪を駆動するためのエンジンおよび電動機を備えたハイブリッド車両が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のハイブリッド車両には、モータ(電動機)に電力を供給するメインバッテリと、メインバッテリを充電するための発電機とが設けられている。この発電機は、エンジンの動力により発電するとともに、エンジンの始動時にメインバッテリから供給される電力によりエンジンをクランキングするように構成されている。
【0004】
また、特許文献1のハイブリッド車両には、外部車両などから充電することが可能なサブバッテリが設けられている。これにより、このハイブリッド車両では、メインバッテリの蓄電量が低下することに起因してエンジンをクランキングできない場合には、サブバッテリから電力を供給することにより、発電機がエンジンをクランキングすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−110602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のハイブリッド車両では、メインバッテリの蓄電量が低下した場合にも、サブバッテリを用いてエンジンをクランキングすることが可能であるが、メインバッテリが故障した場合については考慮されていない。したがって、このハイブリッド車両では、メインバッテリが故障した場合に、走行できなくなることが考えられる。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、蓄電装置が故障した場合にも、走行することが可能なハイブリッド車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるハイブリッド車両は、駆動輪を駆動するためのエンジンおよび電動機と、エンジンの動力により発電可能な発電機と、電動機に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、外部電源を用いて蓄電装置を充電する充電装置とを備える。発電機は、蓄電装置から供給される電力によりエンジンをクランキング可能に構成され、かつ、蓄電装置が故障している場合には、外部電源から充電装置を介して供給される電力によりエンジンをクランキング可能に構成されている。
【0009】
このように構成することによって、蓄電装置が故障している場合にも、外部電源からの電力によりエンジンをクランキングすることができるので、エンジンを起動させることができる。そして、エンジンの起動後はバッテリレス走行を行うことができる。
【0010】
上記ハイブリッド車両において、エンジンの動力を駆動輪および発電機に分割して伝達する動力分割機構を備え、電動機は、発電機により発電された電力により駆動可能に構成されていてもよい。
【0011】
このように構成すれば、充電量と発電量との均衡を図りながらバッテリレス走行することができる。
【0012】
上記ハイブリッド車両において、車両システムの起動時に蓄電装置が故障している場合に、充電装置と外部電源との接続を利用者に促す表示を行う表示部を備えていてもよい。この場合において、充電装置と外部電源とが接続された場合に、外部電源から充電装置を介して供給される電力により発電機がエンジンをクランキングすることによってエンジンが起動したときに、表示部は、充電装置と外部電源との接続解除を利用者に促す表示を行うように構成されていてもよい。
【0013】
このように構成すれば、蓄電装置の故障時に、利用者が取るべき対応を知ることができる。
【0014】
この場合において、表示部は、充電装置と外部電源とが接続解除された場合に、走行可能な状態である旨を示す表示を行うように構成されていてもよい。
【0015】
このように構成すれば、利用者が走行可能になったことを知ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のハイブリッド車両によれば、蓄電装置が故障した場合にも、走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の全体構成を示した図である。
【図2】図1のハイブリッド車両のHVバッテリおよび充電装置を示した図である。
【図3】図1のハイブリッド車両のPCUを示した図である。
【図4】図1のハイブリッド車両のシフト操作装置を示した概略図である。
【図5】図1のハイブリッド車両のハイブリッドシステムの起動処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
−機械的構成−
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の機械的構成(駆動機構)について説明する。
【0020】
ハイブリッド車両100は、たとえば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式であり、左右の前輪(駆動輪)9を駆動する。このハイブリッド車両100は、図1に示すように、エンジン1と、ジェネレータMG1と、モータMG2と、動力分割機構2と、リダクション機構3と、減速装置4と、デファレンシャル装置5と、ドライブシャフト6とを備えている。
【0021】
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置である。エンジン1は、たとえば、吸気通路に設けられたスロットルバルブのスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御可能に構成されている。
【0022】
エンジン1の出力は、クランクシャフト1aおよびダンパ7を介して動力分割機構2のインプットシャフト2aに伝達される。ダンパ7は、たとえば、コイルスプリング式トランスアクスルダンパであってエンジン1のトルク変動を吸収する。
【0023】
ジェネレータMG1は、主に発電機として機能し、状況によっては電動機としても機能する。ジェネレータMG1は、たとえば、交流同期発電機であり、インプットシャフト2aに対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを有する。なお、ジェネレータMG1は、本発明の「発電機」の一例である。
【0024】
モータMG2は、主に電動機として機能し、状況によっては発電機としても機能する。モータMG2は、たとえば、交流同期電動機であり、永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを有する。なお、モータMG2は、本発明の「電動機」の一例である。
【0025】
動力分割機構2は、エンジン1の出力を、左右の前輪9を駆動する動力と、発電のためにジェネレータMG1を駆動する動力とに分割する機構であり、たとえば、遊星歯車機構である。
【0026】
具体的には、動力分割機構2は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤ2Sと、サンギヤ2Sに外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤ2Pと、ピニオンギヤ2Pと噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤ2Rと、ピニオンギヤ2Pを支持するとともに、このピニオンギヤ2Pの公転を通じて自転するプラネタリキャリア2Cとを有する。
【0027】
プラネタリキャリア2Cは、エンジン1側のインプットシャフト2aに回転一体に連結されている。サンギヤ2Sは、ジェネレータMG1のロータMG1Rに回転一体に連結されている。
【0028】
また、リングギヤ2Rの外周部にはカウンタドライブギヤ4aが一体に設けられている。このカウンタドライブギヤ4aは、カウンタドリブンギヤ4bに噛み合っている。カウンタドリブンギヤ4bには、ファイナルドライブギヤ4cが一体に設けられており、ファイナルドライブギヤ4cは、デファレンシャル装置5のデフドリブンギヤ5aに噛み合っている。なお、カウンタドライブギヤ4a、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ4c、および、デフドリブンギヤ5aなどにより、減速装置4が構成されている。
【0029】
この動力分割機構2を設けることにより、エンジン1から出力された動力が、プラネタリキャリア2Cから、サンギヤ2Sに伝達される動力と、リングギヤ2Rに伝達される動力とに分割される。
【0030】
これらの分割された動力のうち、サンギヤ2Sに伝達された動力は、ジェネレータMG1のロータMG1Rに伝達され、その動力によりロータMG1Rが駆動されることにより、ジェネレータMG1で発電が行われる。なお、エンジン1の始動時には、HVバッテリ13から供給される電力によりジェネレータMG1が駆動されることによって、エンジン1がクランキングされる。すなわち、ジェネレータMG1はエンジン1の始動時にはスタータモータとしても機能する。
【0031】
一方、エンジン1からリングギヤ2Rに伝達された動力は、モータMG2が出力した動力と統合されて、リングギヤ2R(カウンタドライブギヤ4a)から、減速装置4、デファレンシャル装置5およびドライブシャフト6を介して前輪9に伝達され、その伝達された動力により前輪9が駆動される。
【0032】
リダクション機構3は、モータMG2の回転を減速し、駆動トルクの増幅を行う機構であり、たとえば、遊星歯車機構である。
【0033】
具体的には、リダクション機構3は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤ3Sと、サンギヤ3Sに外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤ3Pと、ピニオンギヤ3Pと噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤ3Rとを有する。
【0034】
リダクション機構3のリングギヤ3Rと、動力分割機構2のリングギヤ2Rと、カウンタドライブギヤ4aとは互いに一体となっている。また、サンギヤ3SはモータMG2のロータMG2Rと回転一体に連結されている。
【0035】
このリダクション機構3を設けることにより、モータMG2が駆動したときには、このモータMG2の出力(動力)が、エンジン1から動力分割機構2のリングギヤ2Rに伝達された動力に統合される。これにより、エンジン1の出力を補助(アシスト)することができ、前輪9の駆動力を高めることができる。なお、低速の軽負荷走行時などには、エンジン1を停止させたまま、モータMG2の動力のみで走行を行うことができる(EV走行)。また、回生制動時には、モータMG2が運動エネルギを電気エネルギに変換することにより発電を行うことができる。
【0036】
なお、ジェネレータMG1、モータMG2、動力分割機構2、リダクション機構3、減速装置4、デファレンシャル装置5およびダンパ7などによりトランスアクスル8が構成されている。このトランスアクスル8には、クランクシャフト1aを介してエンジン1が連結されるとともに、駆動シャフト6を介して前輪9が連結されている。
【0037】
−電気的構成−
次に、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の電気的構成(電気系統)について説明する。
【0038】
ハイブリッド車両100は、図1に示すように、HVECU11と、エンジンECU12と、HVバッテリ13と、PCU(パワーコントロールユニット)14と、充電装置15とを備えている。
【0039】
HVECU11は、ハイブリッド車両100を統括的に制御するように構成されている。たとえば、HVECU11は、エンジン1の運転制御、ジェネレータMG1およびモータMG2の駆動制御、エンジン1、ジェネレータMG1およびモータMG2の協調制御などを実行する。
【0040】
このHVECU11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バックアップRAM、入出力インターフェースおよび通信インターフェースなどを含んでいる。
【0041】
CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。RAMは、CPUによる演算結果や各センサの検出結果などを一時的に記憶するメモリである。バックアップRAMは、イグニッションをオフする際に保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。
【0042】
エンジンECU12は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、入出力インターフェースおよび通信インターフェースなどを含んでいる。エンジンECU12は、HVECU11からの出力要求に応じて、吸入空気量制御、燃料噴射量制御および点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
【0043】
HVバッテリ13は、図2に示すように、高電圧電源であるバッテリモジュール131と、バッテリモジュール131を監視する電池監視ユニット132と、電気部品が収納されたジャンクションブロック133とを含んでいる。
【0044】
バッテリモジュール131は、ジェネレータMG1およびモータMG2を駆動する電力を供給するとともに、ジェネレータMG1およびモータMG2により発電された電力を蓄電するように構成されている。このバッテリモジュール131は、たとえば、充放電可能なニッケル水素電池またはリチウムイオン電池である。また、バッテリモジュール131は、充電装置15を介して外部電源500から供給される電力を蓄電可能に構成されている。バッテリモジュール131は、ジャンクションブロック133を介してPCU14および充電装置15に接続されている。なお、バッテリモジュール131は、本発明の「蓄電装置」の一例である。
【0045】
電池監視ユニット132には、バッテリモジュール131の充放電電流を検出する電流センサ13a、バッテリモジュール131の電圧を検出する電圧センサ13b、および、バッテリモジュール131の温度(電池温度)を検出する温度センサ13cが接続されている。そして、電池監視ユニット132は、バッテリモジュール131に関する情報(充放電電流、電圧および電池温度)をHVECU11に送信する。これにより、HVECU11は、たとえば、充放電電流の積算値に基づいてバッテリモジュール131のSOC(State of Charge:充電状態)を演算するとともに、SOCおよび電池温度に基づいて入力制限Winおよび出力制限Woutを演算する。
【0046】
ジャンクションブロック133は、システムメインリレー133a〜133cと、充電リレー133dおよび133eとを含んでいる。
【0047】
システムメインリレー133a〜133cは、バッテリモジュール131とPCU14とを接続または遮断するために、バッテリモジュール131とPCU14との間に設けられている。システムメインリレー133a〜133cは、HVECU11からの制御信号に基づいてオン/オフ状態が切り替えられる。
【0048】
具体的には、システムメインリレー133aは、オン状態のときに電源ラインPL1およびPL2を接続するとともに、オフ状態のときに電源ラインPL1およびPL2を遮断する。システムメインリレー133bは、オン状態のときに接地ラインNL1およびNL2を接続するとともに、オフ状態のときに接地ラインNL1およびNL2を遮断する。
【0049】
なお、システムメインリレー133cは、始動電流(突入電流)の発生を抑制するために設けられている。システムメインリレー133cには抵抗器133fが直列に接続され、システムメインリレー133cおよび抵抗器133fは、システムメインリレー133bに並列に接続されている。そして、バッテリモジュール131がPCU14に接続される際には、システムメインリレー133aおよび133cがオン状態にされた後、システムメインリレー133bがオン状態にされるとともに、システムメインリレー133cがオフ状態にされる。
【0050】
すなわち、システムメインリレー133aおよび133bがオン状態の場合には、バッテリモジュール131の電力をPCU14に供給可能であり、かつ、PCU14から供給される電力によりバッテリモジュール131を充電可能である。また、システムメインリレー133a〜133cがオフ状態の場合には、バッテリモジュール131をPCU14と電気的に分離することが可能である。
【0051】
充電リレー133dおよび133eは、バッテリモジュール131と充電装置15とを接続または遮断するために設けられている。充電リレー133dおよび133eは、HVECU11からの制御信号に基づいてオン/オフ状態が切り替えられる。
【0052】
具体的には、充電リレー133dは、オン状態のときに電源ラインPL2およびPL4を接続するとともに、オフ状態のときに電源ラインPL2およびPL4を遮断する。充電リレー133eは、オン状態のときに接地ラインNL2およびNL4を接続するとともに、オフ状態のときに接地ラインNL2およびNL4を遮断する。
【0053】
すなわち、充電リレー133dおよび133eとシステムメインリレー133aおよび133bとがオン状態の場合には、外部電源500から充電装置15を介して供給される電力によりバッテリモジュール131を充電可能であり、充電リレー133dおよび133eがオフ状態の場合には、充電装置15をバッテリモジュール131およびPCU14と電気的に分離することが可能である。
【0054】
PCU14は、図3に示すように、昇降圧コンバータ141と、インバータ142および143と、MGECU144と、DC/DCコンバータ145とを含んでいる。
【0055】
昇降圧コンバータ141は、HVバッテリ13の直流電圧を昇圧してインバータ142および143に供給するために設けられている。また、昇降圧コンバータ141は、ジェネレータMG1により発電され、インバータ142により直流に変換された電圧を降圧してHVバッテリ13に供給するとともに、モータMG2により発電され、インバータ143により直流に変換された電圧を降圧してHVバッテリ13に供給する機能も有する。
【0056】
具体的には、昇降圧コンバータ141は、接地ラインNL2および電源ラインPL2間の電圧を昇圧して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力可能に構成されるとともに、接地ラインNL3および電源ラインPL3間の電圧を降圧して接地ラインNL2および電源ラインPL2間に出力可能に構成されている。
【0057】
この昇降圧コンバータ141は、リアクトル141aと、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)141bおよび141cと、ダイオード141dおよび141eとを有する。リアクトル141aは、一方端が電源ラインPL2に接続されるとともに、他方端がノードN1に接続されている。
【0058】
IGBT141bおよび141cは、MGECU144から出力される駆動信号がゲートに入力されており、その駆動信号に応じてオン/オフ状態が制御される。IGBT141bは、エミッタが接地ラインNL2(NL3)に接続され、コレクタがノードN1に接続されている。IGBT141cは、エミッタがノードN1に接続され、コレクタが電源ラインPL3に接続されている。ダイオード141dは、アノードが接地ラインNL2(NL3)に接続され、カソードがノードN1に接続されている。ダイオード141eは、アノードがノードN1に接続され、カソードが電源ラインPL3に接続されている。
【0059】
これにより、昇降圧コンバータ141は、MGECU144から供給される駆動信号により、IGBT141bおよび141cのオン/オフ状態が制御されることによって、昇圧または降圧を行うように構成されている。
【0060】
インバータ142は、たとえば、三相ブリッジ回路であり、MGECU144から出力される駆動信号により駆動される。インバータ142は、エンジン1の動力によりジェネレータMG1で発電された交流電流を直流電流に変換して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力する(回生制御)とともに、昇降圧コンバータ141から供給される直流電流を交流電流に変換してジェネレータMG1を駆動する(力行制御)。
【0061】
インバータ143は、たとえば、三相ブリッジ回路であり、MGECU144から出力される駆動信号により駆動される。インバータ143は、昇降圧コンバータ141から供給される直流電流を交流電流に変換してモータMG2を駆動する(力行制御)とともに、回生制動時にモータMG2で発電された交流電流を直流電流に変換して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力する(回生制御)。
【0062】
MGECU144は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、入出力インターフェースおよび通信インターフェースなどを含んでいる。MGECU144は、HVECU11から送信される出力要求を受信するとともに、その出力要求などに基づいて昇降圧コンバータ141、インバータ142および143の駆動信号を生成し、その駆動信号を昇降圧コンバータ141、インバータ142および143に出力する。
【0063】
DC/DCコンバータ145は、接地ラインNL2および電源ラインPL2間の電圧を降圧して補機バッテリ16を充電するために設けられている。また、DC/DCコンバータ145は、降圧した電圧を補機類(たとえば、ランプなど)および各ECU(たとえば、HVECU11など)に供給する機能を有する。このDC/DCコンバータ145は、HVECU11の要求に応じて駆動するように構成されている。
【0064】
補機バッテリ16は、たとえば、充放電可能な鉛蓄電池であり、補機類および各ECUを駆動する電力の供給源として機能する。なお、HVECU11には、補機バッテリ16の電圧を検出する電圧センサ16aおよび補機バッテリ16の温度を検出する温度センサ16bが接続されている。
【0065】
また、PCU14には、電源ラインPL2と接地ラインNL2との間に電圧変動を平滑化するためのコンデンサ146が設けられ、電源ラインPL3と接地ラインNL3との間に電圧変動を平滑化するためのコンデンサ147が設けられている。電源ラインPL3と接地ラインNL3との間には、ハイブリッドシステムの停止後に電源ラインPL3の電圧を落とすための抵抗器148が設けられている。
【0066】
また、PCU14には、電源ラインPL2と接地ラインNL2との間の電圧を検出する電圧センサ14aと、電源ラインPL3と接地ラインNL3との間の電圧を検出する電圧センサ14bとが設けられている。電圧センサ14aおよび14bの検出結果は、HVECU11に出力されている。
【0067】
充電装置15は、図2に示すように、外部電源(たとえば、家庭用電源)500を用いてHVバッテリ13を充電するために設けられている。すなわち、ハイブリッド車両100は、いわゆるプラグインハイブリッド車両である。この充電装置15は、HVバッテリ13とインレット17との間に設けられており、外部電源500から供給される交流電力を直流電力に変換してHVバッテリ13に出力する。
【0068】
インレット17は、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)である充電ケーブル510を接続可能に構成されている。充電ケーブル510は、一方端にコネクタ511が設けられるとともに、他方端にプラグ(図示省略)が設けられている。コネクタ511はインレット17に着脱可能に構成され、プラグは外部電源500に接続可能に構成されている。
【0069】
また、充電ケーブル510には、CCID(Charging Circuit Interrupt Device:充電回路遮断装置)512が設けられている。CCID512は、プラグとコネクタ511とを接続または遮断するリレー512aと、リレー512aのオン/オフ状態を制御するコントロールパイロット回路512bとを有する。このため、充電ケーブル510は、リレー512aがオン状態の場合に、外部電源500からハイブリッド車両100に電力を供給可能な状態になり、リレー512aがオフ状態の場合に、外部電源500からハイブリッド車両100に電力を供給不可能な状態になる。
【0070】
リレー512aは、一対の電力ライン513にそれぞれ設けられている。コントロールパイロット回路512bは、コネクタ511およびインレット17を介してHVECU11にパイロット信号を出力している。
【0071】
パイロット信号は、ハイブリッド車両100に充電ケーブル510の定格電流などを通知するための信号であり、HVECU11がリレー512aのオン/オフ状態を制御するための信号としても用いられる。具体的には、コントロールパイロット回路512bは、HVECU11により操作されるパイロット信号の電位の変化に基づいてリレー512aのオン/オフ状態を制御する。
【0072】
充電装置15は、整流回路151と、DC/AC変換回路152と、絶縁トランス153と、整流回路154と、充電ECU155とを含んでいる。
【0073】
整流回路151は、外部電源500から供給される交流電力を直流電力に整流してDC/AC変換回路152に出力する。DC/AC変換回路152は、整流回路151から供給される直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス153に出力する。
【0074】
絶縁トランス153は、コアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルとを有する。一次コイルおよび二次コイルは、それぞれ、DC/AC変換回路152および整流回路154に接続されている。絶縁トランス153は、DC/AC変換回路152から供給される交流電力を巻数比に応じた電圧レベルに変換して整流回路154に出力する。
【0075】
整流回路154は、絶縁トランス153から供給される交流電力を直流電力に整流してHVバッテリ13(接地ラインNL4および電源ラインPL4間)に出力する。充電ECU155は、HVECU11から送信される制御信号を受信するとともに、その制御信号などに基づいてDC/AC変換回路152などの駆動信号を生成し、その駆動信号をDC/AC変換回路152などに出力する。充電ECU155には、整流回路151とDC/AC変換回路152との間における電力線対間の電圧を検出する電圧センサ15a、充電装置15の出力電圧を検出する電圧センサ15b、および、充電装置15の出力電流を検出する電流センサ15cが接続されている。
【0076】
充電装置15には、整流回路151とインレット17との間にリレー156が設けられている。また、充電装置15には、整流回路151とDC/AC変換回路152との間に電力線対間の電圧変動を平滑化するためのコンデンサ157と、出力電圧の変動を平滑化するためのコンデンサ158と、逆流防止用のダイオード159とが設けられている。
【0077】
−ユーザインターフェース−
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100のユーザインターフェースについて説明する。
【0078】
ハイブリッド車両100は、図4に示すように、パワースイッチ21と、シフト操作装置22と、コンビネーションメータ23とを備えている。
【0079】
パワースイッチ21は、ハイブリッドシステム(車両システム)を起動および停止させるために設けられている。パワースイッチ21は、ドライバを含む搭乗者(利用者)により操作された場合に、その操作に応じた信号をHVECU11に出力する。HVECU11は、パワースイッチ21から出力された信号などに基づいてハイブリッドシステムの起動および停止を開始する。
【0080】
ここで、ハイブリッドシステムとは、エンジン1の運転制御、ジェネレータMG1およびモータMG2の駆動制御、エンジン1、ジェネレータMG1およびモータMG2の協調制御などを含む各種制御を実行することにより、ハイブリッド車両100の走行を制御するシステムである。
【0081】
シフト操作装置22は、シフトポジションの切替指示をドライバから受け付けるために設けられている。シフト操作装置22は、セレクタレバー22aと、Pポジションスイッチ22bとを有する。
【0082】
セレクタレバー22aは、シフトポジションを、前進走行用のドライブポジション(Dポジション)、アクセルオフ時の制動力(エンジンブレーキ)が大きな前進走行用のブレーキポジション(Bポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、および、中立のニュートラルポジション(Nポジション)に切り替えるために設けられている。Pポジションスイッチ22bは、シフトポジションを駐車用のパーキングポジション(Pポジション)に切り替えるために設けられている。
【0083】
セレクタレバー22aは、各シフトポジションへと移動(操作)可能に設けられている。そして、セレクタレバー22aの移動はシフトポジションセンサ22cにより検出される。シフトポジションセンサ22cは、セレクタレバー22aが操作されたことを検出した場合に、その操作に応じた信号をHVECU11に出力する。また、Pポジションスイッチ22bは、ドライバにより操作された場合に、HVECU11に信号を出力する。
【0084】
コンビネーションメータ23は、各種情報を表示するディスプレイ23aおよびインジケータランプ23bと、警告音を発生するブザー23cと、コンビネーションメータ23を制御するメータコンピュータ23dとを含んでいる。なお、コンビネーションメータ23は、本発明の「表示部」の一例である。
【0085】
−走行状態−
次に、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の走行状態の一例について説明する。
【0086】
たとえば、ハイブリッド車両100は、発進時および低車速の軽負荷走行時などにおいて、エンジン1の運転を停止し、モータMG2を力行制御して走行(EV走行)を行う。
【0087】
また、ハイブリッド車両100は、定常走行時などにおいて、エンジン1を主動力源として走行を行い、ジェネレータMG1を回生制御するとともに、その回生制御で得られた電気エネルギでモータMG2を補助的に力行制御する。
【0088】
また、ハイブリッド車両100は、加速時などにおいて、エンジン1を駆動するとともに、ジェネレータMG1を回生制御して得られた電気エネルギおよびHVバッテリ13の電気エネルギでモータMG2を力行制御して走行を行う。
【0089】
また、ハイブリッド車両100は、減速時(アクセルをオフ時)などにおいて、モータMG2を回生制御することにより、制動トルクを付与するとともに、エネルギ回収を行ってHVバッテリ13の充電を行う。
【0090】
また、ハイブリッド車両100は、後進時には、モータMG2を前進時に対して逆回転方向に力行制御する。
【0091】
−ハイブリッドシステムの起動処理−
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100のハイブリッドシステムの起動処理について説明する。なお、以下の各ステップはHVECU11(図2参照)により実行される。
【0092】
まず、ステップS1において、ハイブリッドシステムの起動操作がされたか否かが判断される。具体的には、ブレーキペダルが踏まれた状態でパワースイッチ21(図4参照)が操作されたか否かが判断される。そして、起動操作がされたと判断された場合には、ステップS2に移る。その一方、起動操作がされていないと判断された場合には、ステップS1が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100は起動操作がされるまで待機する。
【0093】
次に、ステップS2において、HVバッテリ13のバッテリモジュール131(図2参照)が故障しているか否かが判断される。バッテリモジュール131が故障しているか否かは、たとえば、電池監視ユニット132から送信されるバッテリモジュール131に関する情報に基づいて判断される。なお、バッテリモジュール131の故障とは、たとえば、バッテリモジュール131が充放電不可能な状態になることをいう。そして、バッテリモジュール131が故障していると判断された場合には、ステップS3に移る。その一方、バッテリモジュール131が故障していないと判断された場合には、ステップS15に移る。
【0094】
次に、ステップS3において、コンビネーションメータ23(図4参照)にプラグイン(外部電源500と充電装置15との接続)を促すメッセージが表示される。たとえば、メータコンピュータ23dにより「バッテリが使用できません。プラグを挿入してください。」とのメッセージをディスプレイ23aに表示する。
【0095】
次に、ステップS4において、プラグインされたか否かが判断される。すなわち、インレット17(図2参照)に充電ケーブル510を介して外部電源500が接続されたか否かが判断される。なお、この接続されたか否かの判断は、たとえば、充電ケーブル510のコントロールパイロット回路512bから出力されるパイロット信号に基づいて判断される。そして、プラグインされたと判断された場合には、ステップS5に移る。その一方、プラグインされていないと判断された場合には、ステップS4が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100はプラグインされるまで待機する。
【0096】
次に、ステップS5において、コンビネーションメータ23にPポジションへの設定を促すメッセージが表示される。たとえば、メータコンピュータ23dにより「Pに入れてください。」とのメッセージをディスプレイ23aに表示する。
【0097】
次に、ステップS6において、Pポジションスイッチ22b(図4参照)からの出力信号に基づいて、シフトポジションがPポジションに設定されたか否かが判断される。そして、Pポジションに設定されたと判断された場合には、ステップS7に移る。その一方、Pポジションに設定されていないと判断された場合には、ステップS6が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100はPポジションに設定されるまで待機する。
【0098】
次に、ステップS7において、充電リレー133dおよび133e(図2参照)が接続されるとともに、充電装置15が駆動される。これにより、故障したバッテリモジュール131の代わりに、外部電源500から充電装置15を介してPCU14に電力が供給される。なお、充電装置15では、充電ECU155により、リレー156が接続されるとともに、電源ラインPL2と接地ラインNL2との間の電圧が一定となるように、DC/AC変換回路などの駆動が制御される。また、バッテリモジュール131が故障していることから、システムメインリレー133a〜133cはオフ状態であり、バッテリモジュール131とPCU14および充電装置15とは電気的に分離されている。
【0099】
次に、ステップS8において、MGECU144(図3参照)から出力される駆動信号によりインバータ142が駆動されることによって、外部電源500から充電装置15を介して供給される電力によりジェネレータMG1がエンジン1をクランキングする。そして、エンジンECU12(図1参照)により燃料噴射量制御および点火時期制御などが実行される。
【0100】
次に、ステップS9において、エンジン1が起動(完爆)したか否かが判断される。エンジン1が起動したか否かは、たとえば、クランクポジションセンサ(図示省略)の検出結果に基づいて判断されるエンジン1の回転数が予め設定された値を超えたか否かによって判断される。そして、エンジン1が起動したと判断された場合には、充電装置15の駆動が停止されるとともに、充電リレー133dおよび133eが遮断され、ステップS10に移る。その一方、エンジン1が起動していないと判断された場合には、ステップS13に移る。
【0101】
次に、ステップS10において、コンビネーションメータ23にプラグアウト(外部電源500と充電装置15との接続解除)を促すメッセージが表示される。たとえば、メータコンピュータ23dにより「エンジンが起動しました。プラグを抜いてください。」とのメッセージをディスプレイ23aに表示する。
【0102】
次に、ステップS11において、プラグアウトされたか否かが判断される。すなわち、インレット17から充電ケーブル510が抜かれたか否かが判断される。なお、この抜かれたか否かの判断は、たとえば、インレット17からのケーブル接続信号に基づいて判断される。そして、プラグアウトされたと判断された場合には、ステップS12に移る。その一方、プラグアウトされていないと判断された場合には、ステップS11が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100はプラグアウトされるまで待機する。
【0103】
次に、ステップS12において、ハイブリッドシステムが起動し、走行可能な状態(Ready−On状態)である旨を示すインジケータランプ23b(図4参照)が点灯される。なお、このとき、バッテリモジュール131が故障し、システムメインリレー133a〜133cが遮断されており、いわゆるバッテリレス走行可能な状態である。
【0104】
ここで、バッテリレス走行では、HVECU11により算出されたトータル出力に応じた動力がエンジン1から出力されるようにエンジン1を運転制御するとともに、エンジン1から出力される動力の全てが動力分割機構2、ジェネレータMG1およびモータMG2によりトルク変換されてカウンタドライブギヤ4a(図1参照)に出力されるようにジェネレータMG1およびモータMG2が駆動制御される。すなわち、バッテリレス走行では、バッテリモジュール131での充放電が行われず、PCU14において充電量と放電量とが均衡するように制御される。
【0105】
また、エンジン1が起動していないと判断された場合には(ステップS9:No)、ステップS13において、エンジン1が起動不可であるか否かが判断される。たとえば、クランキングを開始してから所定の時間が経過した場合に、エンジン1が起動不可であると判断する。エンジン1が起動不可ではないと判断された場合には、ステップS9に戻る。その一方、エンジン1が起動不可であると判断された場合には、充電装置15の駆動が停止されるとともに、充電リレー133dおよび133eが遮断され、ステップS14に移る。
【0106】
次に、ステップS14において、コンビネーションメータ23に走行不可を通知するメッセージが表示される。たとえば、メータコンピュータ23dにより「エンジンが起動できませんでした。」とのメッセージをディスプレイ23aに表示する。この場合には、バッテリモジュール131が故障し、外部電源500を用いてもエンジン1を起動させることができないことから、走行不可能な状態である。
【0107】
また、バッテリモジュール131が故障していないと判断された場合には(ステップS2:No)、ステップS15において、システムメインリレー133aおよび133cが接続される。そして、システムメインリレー133bが接続されるとともに、システムメインリレー133cが遮断される。これにより、バッテリモジュール131からPCU14に電力が供給される。
【0108】
次に、ステップS16において、EV走行可能であるか否かが判断される。なお、たとえば、エンジン1の暖機が必要なく、かつ、バッテリモジュール131を充電する必要がない場合にEV走行可能であると判断される。そして、EV走行できないと判断された場合には、ステップS17に移る。その一方、EV走行できると判断された場合には、ステップS18に移る。
【0109】
次に、ステップS17において、エンジン1が始動される。このとき、MGECU144から出力される駆動信号によりインバータ142が駆動されることによって、バッテリモジュール131から供給される電力によりジェネレータMG1がエンジン1をクランキングする。
【0110】
その後、ステップS18において、ハイブリッドシステムが起動し、走行可能な状態(Ready−On状態)である旨を示すインジケータランプ23bが点灯される。この場合には、バッテリモジュール131が故障しておらず、通常の走行が可能である。すなわち、エンジン1を停止してモータMG2の駆動により走行することが可能であるとともに、バッテリモジュール131を充放電しながら走行することが可能である。
【0111】
−効果−
本実施形態では、上記のように、外部電源500から充電装置15を介して供給される電力によりエンジン1をクランキング可能にジェネレータMG1を構成することによって、バッテリモジュール131が故障している場合にも、エンジン1を起動させることができる。そして、エンジン1の起動後はバッテリレス走行を行うことができる。これにより、ハイブリッド車両100を修理工場などまで移動させるための退避走行をすることができる。
【0112】
また、本実施形態では、エンジン1の動力により発電するジェネレータMG1と、エンジン1の動力を前輪9およびジェネレータMG1に分割して伝達する動力分割機構2と、ジェネレータMG1により発電された電力によって駆動されるモータMG2とを設けることによって、充電量と発電量との均衡を図りながらバッテリレス走行することができる。
【0113】
また、本実施形態では、バッテリモジュール131が故障している場合に、プラグインを促すメッセージを表示し、エンジン1が起動した場合に、プラグアウトを促すメッセージを表示することによって、バッテリモジュール131の故障時に、ドライバが取るべき対応を知ることができる。
【0114】
また、本実施形態では、プラグアウトされた後に、ハイブリッドシステムが起動し、走行可能な状態(Ready−On状態)である旨を示すインジケータランプ23bを点灯することによって、ドライバが走行可能になったことを知ることができる。
【0115】
また、本実施形態では、エンジン1が起動できなかった場合に、走行不可を通知するメッセージを表示することによって、ドライバが走行不可能であることを知ることができる。
【0116】
また、本実施形態では、Pポジションに設定された後に、エンジン1のクランキングを行うことによって、クランキングトルクが前輪9に出力されるのを防止することができる。
【0117】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0118】
たとえば、本実施形態では、FF方式のハイブリッド車両100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、FR方式または4WD方式のハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
【0119】
また、本実施形態では、2個のモータジェネレータ(ジェネレータMG1およびモータMG2)がハイブリッド車両100に設けられる例を示したが、これに限らず、3個以上のモータジェネレータがハイブリッド車両に設けられていてもよい。たとえば、本実施形態によるハイブリッド車両100において、ジェネレータMG1およびモータMG2に加えて、後輪車軸を駆動するモータジェネレータが設けられていてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、外部電源500が家庭用電源であり、交流電力である例を示したが、これに限らず、外部電源500が直流電力であってもよい。
【0121】
また、本実施形態では、電池監視ユニット132から送信されるバッテリモジュール131に関する情報に基づいて、バッテリモジュール131が故障したか否かを判断する例を示したが、これに限らず、前回トリップ時にバックアップRAMに記憶されたバッテリモジュール131に関する情報に基づいて、バッテリモジュール131が故障したか否かを判断するようにしてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、Pポジションへの設定を促すメッセージを表示する例を示したが、これに限らず、予めPポジションに設定されていた場合に、このメッセージの表示を省略するようにしてもよい。
【0123】
また、本実施形態のステップS13では、クランキングを開始してから所定の時間が経過した場合に、エンジン1が起動不可であると判断する例を示したが、これに限らず、外部電源500が落ちた場合に、エンジン1が起動不可であると判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 エンジン
2 動力分割機構
9 前輪(駆動輪)
15 充電装置
23 コンビネーションメータ(表示部)
100 ハイブリッド車両
131 バッテリモジュール(蓄電装置)
500 外部電源
MG1 ジェネレータ(発電機)
MG2 モータ(電動機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪を駆動するためのエンジンおよび電動機と、
前記エンジンの動力により発電可能な発電機と、
前記電動機に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、
外部電源を用いて前記蓄電装置を充電する充電装置とを備え、
前記発電機は、前記蓄電装置から供給される電力により前記エンジンをクランキング可能に構成され、かつ、前記蓄電装置が故障している場合には、外部電源から前記充電装置を介して供給される電力により前記エンジンをクランキング可能に構成されていることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両において、
前記エンジンの動力を前記駆動輪および前記発電機に分割して伝達する動力分割機構を備え、
前記電動機は、前記発電機により発電された電力により駆動可能に構成されていることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリッド車両において、
車両システムの起動時に前記蓄電装置が故障している場合に、前記充電装置と外部電源との接続を利用者に促す表示を行う表示部を備えることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド車両において、
前記充電装置と外部電源とが接続された場合に、前記外部電源から前記充電装置を介して供給される電力により前記発電機が前記エンジンをクランキングすることによって前記エンジンが起動したときに、前記表示部は、前記充電装置と前記外部電源との接続解除を利用者に促す表示を行うように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド車両において、
前記表示部は、前記充電装置と前記外部電源とが接続解除された場合に、走行可能な状態である旨を示す表示を行うように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86695(P2013−86695A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230393(P2011−230393)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】