説明

ハドロンビームをモニタリングするためのデバイス及び方法

本発明は、ハドロンビームの線量測定モニタリング用のデバイスに関する。本デバイスは、ガス充填ギャップによって互いに分離されたn+1個の平行な検出器プレートの組又は積層体によって得られたn個の連続的なイオン化チャンバiを備える。各検出器プレートは、バイアス電圧側面を備えたバイアス電圧部分から絶縁された収集側面を備えた収集部分を有し、収集側面が次の検出器プレートのバイアス電圧側面と向き合うように又はその逆になるように配置される。各検出器プレートは、m個の物質層Lを備える。これら検出器プレートの結果物のアセンブリは、複数のイオン化チャンバセルを形成する。各検出器プレートを構成する各層Lの厚さl及び物質の選択並びにイオン化チャンバセルiのギャップは、各イオン化チャンバセルiに対して本願明細書で定義される(式2)を満たすように選択されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハドロン治療、つまり、強い相互作用粒子を用いた放射線治療の分野に関する。特に、本発明は、ハドロンビームをモニタリングするためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ハドロン(つまり、中性子、陽子、パイオン、炭素イオン等のイオン)が、X線又はガンマ線に対して物理的利点を有することは放射線治療の分野において良く知られている。ハドロン、特に所定のエネルギーの、つまり単一エネルギービームを形成する陽子は、画定された範囲を有し、その範囲を超えては侵入しない。更に、ハドロンは、所謂ブラッグピークにその放射エネルギーの最大値を置き、このブラッグピークは、ターゲットボリューム(例えば治療される腫瘍)における放射の最大侵入点に対応する。ブラッグピークの位置はハドロンビームのエネルギーに依存するので、そのエネルギーを正確に制御及び変更することによって、ブラッグピークを腫瘍の適切な深度に置いて、その点に最大放射エネルギーを与える一方、周囲の健康な組織に害を与えないようにすることができることは明らかである。更に、異なるエネルギーの複数の単一エネルギー陽子ビームを組み合わせること(つまり、範囲の変調を行うこと)によって、腫瘍の厚さに適合して、均一な放射線量で腫瘍を照射する一方で、周囲の健康な組織及び重要な器官に対して放射線量を制御するために、ブラッグピークを拡張することができる。
【0003】
異なるエネルギーの複数のハドロンを互いに組み合わせるには、変調ホイール等の特別な設備が必要とされる。更に、可能な限り、腫瘍の形状、サイズ及び位置に適合するような方法でハドロンビームを成形するためにも、特別な設備が必要とされる。
【0004】
放射線治療の質保証(QA,quality assurance)は一般的に、処方の一貫性及び正確性を確かめるのに必要な特定の手続から成る。このような手続は通常、照射されるターゲットボリュームに対して処方された放射線量、及び通常は健康な組織であるターゲットボリューム周囲に伝えられる可能な限り小さい放射線量に関する。このような手続は、放射に対する健康な専門家の最小暴露及び適切な伝達のモニタリングにも関する。ハドロン治療の質保証は、従来の放射線治療に関するよりも更に厳しい手続を要する。実際には、従来の放射線治療の質保証の手順は、特にビームの強度及びエネルギーの完全な制御を必要とするハドロン治療においては十分なものではない。このため、適切な線量測定デバイスを提供しなければならない。従って、放射線治療の線量測定が広く確立されているとしても、ハドロン治療は、一点における吸収放射線量並びに2次元及び3次元の放射線量分布における吸収放射線量の両方の測定を可能にする新規線量測定デバイスを必要とする。
【0005】
このような線量測定デバイスは、主な特徴として、高感度、小さな寸法、高速ダイナミック応答、耐放射性、エネルギー及放射線量率に対する依存性の無さ、組織等価性、及び線形放射線量応答を有さなければならない。
【0006】
水ファントムは当該分野において周知であり、典型的には、人体に対する放射線のイオン化の効果を求めるために使用される。このような水ファントムは、水タンク(略250リットルの体積を有する)を主に備え、また、水タンクボリューム内において放射線検出器を複数の測定位置に移動させるための駆動手段(例えば、水密性のエアイオンチャンバプローブ、ダイオード、又はセンサアレイ)が備わっている。水タンクは、外部の水リザーバからのポンプ制御機構を用いて、充填され、空にされる。
【0007】
水ファントムの使用は、長年にわたって確立されている標準ではあるが、そのような大きな走査水ファントムの取り扱いは、面倒であり、時間がかかり、これは一部には、水タンクを充填すること及び空にすることの時間が長いためである。
【0008】
水ファントムの使用のこの主な欠点は、特許文献1に開示されているデバイスを用いることによって部分的に低減され、より頻繁なQAテスト及びより完全な方法を可能にする。このデバイスは、水タンクと、水タンク内の水位を変更する手段と、水タンクに対して固定位置に配置された二次元獲得検出器とを備える。その二次元獲得検出器は、或る領域内の複数の点の放射線量を同時に測定することができる複数のセンサを備える。また、このデバイスは、軽量であり、特別な支持体ではなくて、患者の診察用椅子の上に配置することができる。しかしながら、所定のエネルギーにおける阻止範囲を保証しなければならないので、QAテストの頻度を増大させるために、QA時間を最小化する必要が依然としてある。
【0009】
特許文献2には、電子又は光子ビームを監視するのに適したイオン化チャンバが開示されている。このイオン化チャンバは、一次ビーム経路を有する筐体と、その一次ビーム経路に隣接する二次ビームセルのアレイとを主に備える。また、筐体は、ビーム測定電極の第一のアレイも含み、そのビーム測定電極の第一のアレイは、電子又は光子ビームの一部分の放射強度の検出に応答した出力を提供する。また、第二のビーム測定電極も、そのビームの第二の部分の放射強度に応答した出力を提供するために、筐体内に収容される。しかしながら、このデバイスは、放射ビームの幾何学的特徴(方向及び位置等)をモニタリングすることのみに適したものである。更に、このデバイスは、ターゲットへの伝達中の放射特性をモニタリングすることができない。
【0010】
他の透過型イオンチャンバシステムは、特許文献3に記載されている。このシステムは、放射ビームの対称性及びセンタリングを測定及び修正するための方法を実行するのに適したものである。この透過型システムは、コリメータと、照射されるターゲットとの間に配置されて、ビームが完全に横切る四つの内部収集電極と、その表面の第一の部分においてビームが横切る外部電極(残りの部分はコリメータの影にある)とを備える。しかしながら、このシステムは、発散ビームの制御、並びにそのセンタリング及び対称性を修正することのみに適したものである。更に、前述のものと同様に、ターゲットへの伝達中の放射特性をモニタリングすることができない。
【0011】
高速ルーチン3次元放射線量検証を実施するのに適した周知の線量測定システムは、INFN及びトリノ大学によって開発された“Magic Cube”(非特許文献1)である。Magic Cubeは、調節可能な厚さの水等価スラブと交互配置された12個のストリップセグメント化イオン化チャンバの積層体である。各イオン化チャンバは、24×24cmの感知面積を備えた二枚のプレートによって形成される。プレートの一方であるカソードは、厚さ1.5mmの機械加工されたファイバーガラス(G10)を備え、その内面上に35μmの銅フィルムが備わっている。一方、アノードは、幅0.375mmで長さ24cmの64個のストリップにセグメント化される。各ストリップは、PCB法によって得られ、二つのストリップの間の非伝導性長さは100μmである。各ストリップは、カスタムデザインのマイクロエレクトロニクスチップで個別に読み出される。水等価スラブの数及び位置は、ビーム方向に沿った最適な放射線量サンプリング粒度を使用者が選択できるように、その使用者によって決定可能である。組織等価スラブの最適な厚さ及び位置を選択するために、測定前にソフトウェアによるシミュレーションを行う必要がある。
【0012】
“散乱”及び“レンジストラグリング(range straggling)”のパラメータも考慮しなければならない。物体を横切るハドロンのビームは、主にクーロン力を介して多数の小さな相互作用でその物体の原子と相互作用する。これら多数の小さな相互作用の効果は、粒子のエネルギーの全体的な損失、及び元々の運動方向からの逸脱である。ビーム内のハドロンは、物体を横切りながら、多数の小さな相互作用を経るので、所定の深度においてハドロンが失うエネルギーは、厳密に同じではなく、ガウス型統計分布に従う。
【0013】
“レンジストラグリング”との用語は、或る厚さの物体を横切る加速ハドロンの範囲がガウス分布に従う現象を称する。
【0014】
“散乱”又は“多重クーロン散乱”との用語は、或る厚さの物体を横切る加速ハドロンが、元々の運動方向から逸脱して、物体を横切る間にハドロンビームの断面が広がる現象を称する。
【0015】
Magic Cubeでは、イオン化チャンバセルのプレートのほぼ全ての表面上の銅層の存在によって、ビームの重大な散乱及びレンジストラグリングが生じる。更に、そのデバイスの構成が、測定されるビームに応じて変化し得るので、チャンバのフレーム上の機械的応力が、二つの電極の間の平面性を変化させ得て、信号の重大な逸脱を生じさせる。更に、ビームの軸に沿ってたった12点しか測定され得ず、このような数のイオン化チャンバでは、空間解像度に優れない。
【0016】
ブラッグピーク分析用に陽子及び重イオンビームにおける深部放射線量曲線を測定するためのツールは市販されている(Physikalisch Technische Werkstatten社)。そのツールは、厚さ3mmの石英ガラス窓によって密閉された二つのベローズを備えた水充填コラムを備える。イオン化チャンバセルは二つのベローズの間に配置される。そのイオン化チャンバセルは、サーボ制御ユニット及びリニアモータを用いて二つのベローズの間で移動されて、上方に在る水の可変厚さ調節する。測定検出器の位置が変化すると、ベローズが圧縮又は減圧されて、水が一方のベローズから他方のベローズに流れる。このようなデバイスは、優れた解像度を示し、臨床範囲全体における完全な深部放射線量曲線を測定することができるが、水で充填されているので、略31kgの重さがあり、また、1次元走査法に限定されている。従って、これも時間のかかる方法である。
【0017】
放射線源から発生してターゲットに向けて伝えられるハドロンビームのオンラインモニタリングのための線量測定デバイスが、特許文献4に開示されている。このデバイスは、複数の検出器プレートを備え、その複数の検出器プレートは、向き合って平行に配置されて、ガス充填ギャップによって分離されていて、ハドロンビームの中心軸に垂直であり、複数のイオン化チャンバを形成している。各検出器プレートは、収集又はバイアス電圧電極として薄い銅層を備え、ターゲットに伝えられるハドロンビームの中心部分の乱されていない経路を可能にするための内部キャビティを形成するような開口と、複数のイオン化チャンバによってハドロンビームの周辺部分を遮断及び測定するための周辺部分とを有する。このようなデバイスは、特に眼科において応用され、70MeVのエネルギーのハドロンビームが、眼の癌の処置には十分であることが知られている。眼科以外の応用に対しては、イオン化チャンバの間における組織等価物質(例えば、プラスチック吸収体)の使用、又は異なるエネルギー値のハドロンビーム用のイオン化チャンバの数の変化が示唆されている。しかしながら、デバイス中の銅層の存在は、ビームの散乱及びレンジストラグリングを生じさせる。よって、このデバイスは水等価ではなく、距離に対する修正を行わなければならないが、これは誤差の源となり得る。また、このデバイスは、パッシブ散乱ビームのモニタリングしかできず、ペンシルビーム走査のモニタリングはできない。
【0018】
Nichiporov他の非特許文献2及び特許文献5には、深部放射線量プロファイル測定用の多層イオン化チャンバ(MLIC,multilayer ionization chamber)が開示されていて、そのMLICは、1.82mmのステップで積層された122個の小型イオン化チャンバセルを含む(水等価)。各イオン化チャンバセルは、1.5mmの厚さを有するポリスチレンプレートを備え、そのプレートの上には、両面にマイラー(Mylar)フィルムが接着されている。マイラーフィルムの外側面は、その上にペイントされたグラファイトの中心スポットを有する。内側面(その後、ポリスチレンプレートに接着される)は、その上にペイントされた銀の信号リードを有する。リード及び中心スポットは、マイヤーフィルムのめっき貫通ビアによって電気的に接続される。この構造が、ポリスチレンプレートの他方の面にも繰り返される。各プレートは、1mmの空気ギャップで互いに分離される。検出器の長さは略305mm(122×(1.5mm+1mm))であり、その水等価深度は略220mm(122×1.82mm)である。従って、水中で22cmの範囲を有するハドロンビームの深度プロファイルを測定するのにこのデバイスを使用する場合、ビームは、そのデバイス中で30.5cmの物理的距離を通過しなければならない。更に、このデバイスは、臨床範囲全体(略37cm)における完全な深部放射線量プロファイルの測定が可能ではない。高い陽子範囲測定に対しては、シミュレーションに従った多様な厚さのスラブを、デバイスの入口の前方に配置しなければならない。このデバイスの主な欠点は、対応するビーム範囲値を、水中を横切る実際のビーム範囲でMLICによって測定するために、幾何学的な修正を加えなければならない点である。この欠点は、SAD(source to axis distance,ソースから軸までの距離)が変化する周知のエネルギー変調法で伝えられるハドロン治療ビームを測定する際には特に重大なものになる。SDD(source to detector distance,ソースから検出器までの距離)は、このようなデバイスに対する幾何学的修正において考慮しなければならない追加の幾何学的因子であり、これは、SADが変調で変化する場合には、無視できない誤差の源となり得る。
【0019】
よって、SADに依存する修正の必要無く、ハドロンビームの深部放射線量プロファイルの高速で信頼できるQA測定を実施するために、MLICデバイスの特性を最適化することが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許第1852714号明細書
【特許文献2】米国特許第5672878号明細書
【特許文献3】欧州特許第0040589号明細書
【特許文献4】欧州特許第1974770号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/154267号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】R.Cirio他、“Two−dimensional and quasi−three−dimensional dosimetry of hadron and photons beams with the magic cube and the pixel ionization chamber”、Phys.Med.Biol.、2004年、第49巻、p.3713−3724
【非特許文献2】Nichiporov他、Med.Phys.、2007年7月、第34巻、第7号、p.2683−2690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、従来技術のデバイス及び方法の欠点を有さない線量測定デバイス及び方法を提供する。
【0023】
本発明の更なる目的は、放射線治療におけるハドロンビームのQA測定用の線量測定デバイス及び方法を提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、“ブラッグピーク”として知られる、ターゲットボリューム内の深度に依存する放射線量(“深部放射線量プロファイル”)の分析用の線量測定デバイス及び方法を提供することである。
【0025】
特に、本発明の更なる目的は、幾何学的な修正を加える必要無く、臨床範囲全体(最大35cm)におけるパッシブな及びダイナミックなビーム伝達に対して、ブラッグピーク及び拡大(spread out)ブラッグピークの高解像度の高速ルーチン測定を実施することができる線量測定デバイスを提供することである。
【0026】
本発明の更なる目的は、このような線量測定デバイスを実現することであり、そのデバイスを構成する物質を横切るハドロンの散乱挙動は、参照流体(水)のものと同程度である。
【0027】
本発明の更なる目的は、ハドロンビームの拡大の測定を可能にすることである。
【0028】
重要なビーム変数の再現可能で一定のチェックに対する信頼性を保証するように安定な線量測定デバイスを実現することが、更に望ましい。
【0029】
最後に、従来技術のデバイスよりも軽量でセットアップが面倒ではない線量測定デバイスを提供することが、更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0030】
第一の側面では、本発明は、ハドロンビームの線量測定モニタリング用のデバイスに関する。本デバイスは、ガス充填ギャップによって互いに分離されたn+1個の平行な検出器プレートの組又は積層体によって得られたn個の連続的なイオン化チャンバiを備える。各検出器プレートは、バイアス電圧側面を備えたバイアス電圧部分から絶縁された収集側面を備えた収集部分を有し、収集側面が次の検出器プレートのバイアス電圧側面と向き合うように又はその逆になるように配置される。各検出器プレートは、m個の物質層Lを備える。これら検出器プレートの結果物のアセンブリは、複数のイオン化チャンバセルを形成する。各検出器プレートを構成する各層Lの厚さl及び物質の選択並びにイオン化チャンバセルiのギャップは、各イオン化チャンバiに対して
【数1】

を満たすように選択されることを特徴とする。ここで、
giは、二つの検出器プレート(102)の間のガス充填ギャップの距離であり、
は、検出器プレート(102)の対応する層Lの厚さであり、
WETは、検出器プレート(102)の対応する層Lの水等価厚(WEK, water equivalent thickness)である。和
【数2】

は、各イオン化チャンバiに対して一つのプレートのm個全ての層Lに対して適用される。
【0031】
好ましくは、本発明の文脈において、符号
【数3】

は、“等しい”又は“実質的に等しい”との意味を有するものである。特に、
【数4】

に対しては、符号
【数5】

は、A=αBを意味し、ここでαは、0.95から1.05の間であり、好ましくは0.98から1.02の間であり、より好ましくは0.99から1.01の間であり、最も好ましくは、αは1に等しい。
【0032】
典型的には、使用時に、ハドロンビームは、プレートの積層体に本質的に垂直に当たる。
【0033】
好ましくは、本発明に係るデバイスにおいて、mは2から20の間であり、より好ましくは5から15の間であり、更に好ましくは7と11の間であり、最も好ましくは、mは略9である。
【0034】
好ましくは、本発明に係るデバイスにおいて、nは50から300の間であり、より好ましくは100から250の間であり、更に好ましくは150から200の間であり、最も好ましくは170から190の間である。
【0035】
好ましくは、各検出器プレートは、m個の平行な層の積層体を備え、各層Lは、低い原子番号Zの物質で本質的に形成されて、Zは好ましくは18未満である。
【0036】
好ましくは、検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分の各々は、少なくとも三層の積層体で形成される。好ましくは、各積層体において、第一の層は、本質的にグラファイト製である外部層であり、第二及び第三の層は本質的に絶縁体製である。
【0037】
好ましくは、各検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分の各々は、対応する第三の層に隣接するグラファイト製の第四の層を備える。
【0038】
好ましくは、本デバイスの各検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分の各々は、少なくとも、
‐ 一以上の電極領域と、電極領域を取り囲む絶縁分離体と、絶縁分離体を取り囲むガードとを備えた第一の層と、
‐ 絶縁層としての第二の層と、
‐ 少なくとも一つの導電トラックを備えた第三の層と、
‐ 第三の層の導電トラックと整合する少なくとも一つの絶縁体経路を有するガードとしての第四の層とを備える。バイアス電圧側面に備わった絶縁体経路は、バイアス電圧部分の第三の層に配置された導電トラックよりも僅かに幅広である。収集部分の第三の層の各導電トラックは、ビアによって各収集電極に接続される。バイアス電圧部分の第三の層の導電トラックは、ビアによってバイアス電圧電極に接続される。
【0039】
好ましくは、本デバイスの検出器プレートの各々は、少なくとも二つの端子イヤーを備える。好ましくは、少なくとも二つの端子イヤーは、フレーム上へのクランプ手段として機能して、また、収集側面を獲得手段に接続するための手段及びバイアス電圧側面を発電機に接続するための手段として機能する。
【0040】
好ましくは、獲得手段は少なくとも一つのリサイクリングインテグレータを備える。
【0041】
好ましくは、本デバイスは、ビームに露光される第一のプレートの上流にコリメータを備える。ビームに露光される第一のプレートの上流に備わっている場合、コリメータは、ビームの直接測定に関係しないデバイスの部分の照射を最小化するための手段として好適に機能する。
【0042】
第二の側面では、本発明は、上述のデバイスを使用することを特徴とするハドロンビームをモニタリングするための方法に関する。検出器プレートは、ハドロンビームの中心軸に垂直に配置される。
【0043】
好ましくは、拡大ブラッグピークの深部放射線量プロファイルを求めるための方法は、
(i) 所定のエネルギーを有するハドロンビームを方向付けるステップと、
(ii) ハドロンビームのブラッグピークを測定するステップと、
(iii) ハドロンビームのエネルギーを変更するステップと、
(iv) 拡大ブラッグピークを直接得るためにステップ(i)から(iii)を繰り返してブラッグピークを足し合わせるステップとを備える。
【0044】
本発明の方法の好ましい一側面によると、本デバイスをその前側から照射することによって、測定が行われる。
【0045】
本発明の方法の好ましい他の側面によると、本デバイスをその後側から照射することによって、測定が行われる。
【0046】
本発明の方法の好ましい更に他の側面によると、本デバイスをその前側及び後側の両側から照射することによって、測定が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のデバイスの斜視図である。
【図2】本発明のデバイスの検出器プレート用に可能な形状を示す。
【図3】図2のような検出器プレートの異なる複数の層を示す拡大側面図である。
【図4】検出器プレートの収集部分に備わる一連の層の図1の矢印Aに沿った正面図である。
【図5】検出器プレートのバイアス電圧部分に備わる一連の層の図1の矢印Bに沿った正面図である。
【図6】複数の電極を備えた検出器プレートの収集部の収集側面の異なる複数の例である。
【図7】水ファントム(実線)及び本発明(丸)によって得られた元々のブラッグピークの異なる複数のプロファイルである。
【図8】本発明において用いられる方法の誤差の計算を示すグラフである。
【図9】本発明のデバイスによって測定された多様な構成での拡大ブラッグピークの四つの異なるプロファイルを示す。
【図10】本発明で異なる時間において得られた異なる複数のプロファイルの重ね合わせを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第一の側面において、本発明は、ハドロンビームの線量測定モニタリング用のデバイスに関する。本デバイスは、ガス充填ギャップによって互いに分離されたn+1個の平行な検出器プレートの組又は積層体によって得られたn個の一連のイオン化チャンバiを備え、各検出器プレートは、バイアス電圧側面を備えたバイアス電圧部分から絶縁された収集側面を備えた収集部分を有し、また、収集側面が次の検出器プレートのバイアス電圧側面に向き合うように又はその逆になるように配置されていて、各検出器プレートが、m個の物質層を備え、これらの検出器プレートの結果物のアセンブリが、複数のイオン化チャンバセルを形成する。本デバイスは、
各検出器プレートを構成する各層mの厚さl及び物質の選択並びにイオン化チャンバセルiのギャップが、各イオン化チャンバiに対して
【数6】

を満たすように選択されていることを特徴とし、ここで
giは、二つの検出器プレート(102)の間のガス充填ギャップの距離であり;
は、検出器プレート(102)の層mの厚さであり、
WETは、検出器プレート(102)の層mの水等価厚(WET,water equivalent thickness)である。
【0049】
好ましくは、各検出器プレートは、小さな原子番号Zの物質で本質的に形成されたm個の平行な層の積層体を備え、Zは好ましくは18未満である。
【0050】
好ましくは、検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分の各々は、少なくとも三層の積層体で形成されて、第一の層は、本質的にグラファイト製の外部層であり、第二の層及び第三の層は、本質的に絶縁体製である。
【0051】
好ましくは、各検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分は、第三の層に隣接するグラファイト製の第四の層を備える。
【0052】
好ましくは、本デバイスの各検出器プレートの収集部分及びバイアス電圧部分の各々は、少なくとも
‐ 一以上の電極領域と、電極領域を取り囲む絶縁分離体と、絶縁分離体を取り囲むガード電極とを備えた第一の層と、
‐ 絶縁層としての第二の層と、
‐ 少なくとも一つの導電トラックを備えた第三の層と、
‐ 第三の層の導電トラックに整合する少なくとも一つの絶縁体経路を有するガードとしての第四の層とを備える。バイアス電圧側面に備わった絶縁体経路は、バイアス電圧部分の第三の層に配置された導電トラックよりも僅かに幅広である。収集部分の第三の層の各導電トラックは、ビアによって各収集電極に接続される。バイアス電圧部分の第三の層の導電トラックは、ビアによってバイアス電圧電極に接続される。
【0053】
好ましくは、本デバイスの検出器プレートの各々は、フレーム上へのクランプ手段、収集側面を獲得手段に接続するための手段、及びバイアス電圧側面を発電機に接続するための手段としての少なくとも二つの端子イヤーを備える。
【0054】
好ましくは、獲得手段は少なくとも一つのリサイクリングインテグレータを備える。
【0055】
好ましくは、本デバイスは、ビームの直接測定に関係しないデバイスの部分の照射を最小化するために、ビームに露光される第一のプレートの上流にコリメータを備える。
【0056】
第二の側面では、本発明は、上述のデバイスを使用することを特徴とするハドロンビームをモニタリングするための方法に関する。検出器プレートは、ハドロンビームの中心軸に垂直に配置される。
【0057】
好ましくは、拡大ブラッグピークの深部放射線量プロファイルを決定するための方法は、
(i) 所定のエネルギーを有するハドロンビームを方向付けるステップと、
(ii) ハドロンビームのブラッグピークを測定するステップと、
(iii) ハドロンビームのエネルギーを変更するステップと、
(iv) 拡大ブラッグピークを直接得るために、ステップ(i)から(iii)を繰り返してブラッグピークを足し合わせるステップとを備える。
【0058】
この方法では、本デバイスを前側及び後側の両方から照射することによって、測定が行われる。
【0059】
本発明に係るデバイスは、水等価厚多層イオン化チャンバ(WET MLIC)に関して詳細に開示される。しかしながら、当業者が、水等価厚以外の他の物質を有する他の多層イオン化チャンバを実現するための検出器プレートの適切な物質又は厚さの選択等の、複数の他の等価な実施形態、又は本発明を実施する他の方法を想到することができることは明らかである。
【0060】
“レンジストラグリング”との用語は、物質を横切る加速ハドロンの範囲がガウス分布に従う現象を称する。
【0061】
“散乱”又は“多重クーロン散乱”との用語は、物体を横切る加速ハドロンが、元々の運動方法から逸脱して、物質を横切る間にハドロンビームの断面が広がる現象を称する。
【0062】
“パッシブ散乱”との用語は、散乱ビームを含むビーム伝達のモードを称する。パッシブビーム伝達は、一組の分布吸収体を用いて一次陽子ビームを散乱及び劣化させることによって、空間的に均一な放射線量分布を達成する方法であり、全ての深度においてターゲットに均一な放射線量を伝達するのに必要なビーム直径、最大エネルギー、及びエネルギー広がりを生じさせる。
【0063】
“二重散乱”との用語は、ビームが二重散乱箔によって散乱されるパッシブ散乱の方法を称する。
【0064】
“均一走査”、“ダイナミックビーム走査”、“ダイナミックビーム伝達”との用語は、ビームのエネルギー、結果としては侵入深度をダイナミックに(動的に)変化させながら、ターゲット断面にわたってビームを磁気的に移動させることによって、所望の放射線量分布を達成する時間依存法を称する。
【0065】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るハドロンビームのモニタリング用の線量測定デバイスの斜視図を示す。このデバイスは、n+1個の検出器プレート(102)の積層体を備え、二つの連続する検出器プレートは、ガス充填ギャップ(104)によって分離されていて、複数のイオン化チャンバセルを形成する。
【0066】
各検出器プレート(102)は、第一の側面上に一以上の収集電極を有し、第二の側面上に一以上のバイアス電圧電極を有し、これらは、デバイスの検出器プレート(102)の第一の側面が、次の検出器プレートの第二の側面と向き合うことによって、イオン化チャンバセルを形成するように配置される。
【0067】
一般的に、所定の粒子及び所定の粒子エネルギーに対する厚さlの物質の一部(層L)の水等価厚は、同じエネルギー損失を生じさせる水の厚さWETとして定義される:
【数7】

ここで、
ρは、層Lのg/cm単位での物質密度であり、
ρは、g/cm単位での水密度であり、
は、層Lのcm単位での物質厚さであり、
【数8】

は、層LのMeV×cm/g単位での陽子(又は他のハドロン)質量阻止能であり、
【数9】

は、水のMeV×cm/g単位での陽子(又は他のハドロン)質量阻止能である。
【0068】
好ましくは、厚さl、各検出器プレート(102)を構成する物質、及びイオン化チャンバセルiのギャップは、以下の式を満たすように選択されている:
【数10】

ここで、m個の層Lに対しては
【数11】

となり、ここで、
‐ lgiは、二つの検出器プレートの間のガス充填ギャップの距離を表し、
‐ lは、イオン化チャンバセルiの検出器プレートの層Lの厚さを表すので、全ての厚さlの和は所定のプレートの厚さに対応する。
【0069】
また、イオン化チャンバセルの物質及び幾何学的形状の選択は、ビームの散乱挙動が、セルの水等価に対応する水の長さにおけるものと同様であることを保証するようなものでなければならない。イオン化チャンバセルの積層体に沿って測定される相対放射線量は、セルの積層体のWETと等しい長さの水ボリュームに沿って小型イオン化チャンバで測定されるのと同じである。また、本発明のデバイスに備わる全てのイオン化チャンバセルi合計に対して、
【数12】

とすることができる。そして、プレートの積層体の出口における特徴的な散乱角は、水の同じ長さの出口におけるものと略同じである。
【0070】
この方程式系は、我々が有する本発明のイオン化チャンバセルが、そのようなイオン化チャンバセルを横切る加速ハドロンビームの挙動が、そのイオン化チャンバセルの長さに等しい水の厚さを横切る同じ加速ハドロンビームの挙動と等価であるというものであることを意味する。
【0071】
例えば、二つの検出器プレートの間に備わった長さ0.8mmのガスギャップによって形成され1.2mmのWETを有するイオン化チャンバセルに対して、その検出器プレート(102)の一方を横切る加速ハドロンビームの挙動、及びそのガスギャップは、同じ加速ハドロンビームが水を2mm横切る場合と同じである。
【0072】
完全なデバイスに対して、例えば、180個のイオン化チャンバセルの積層体を考えると、特定のエネルギーでそのようなデバイスを横切るハドロン挙動は、36cmの水における場合と同じである。
【0073】
言い換えると、デバイスの加速ハドロンビームの範囲の長さは、同じWETの水の厚さにおける場合と同等である。
【0074】
そして、このような線量測定デバイスは、水等価厚多層イオン化チャンバ(WET‐MLIC)と称され得る。
【0075】
好ましくは、図2、図3及び図4に示されるように、各検出器プレート(102)は、平坦な表面を有し、その表面は実質的に正方形であり、周囲側部上に、少なくとも一つの端子イヤー(103)をその検出器プレートの表面から連続して備える。好ましくは、その端子イヤー(103)は、一以上の支持プレート(101)内部での検出器プレートのクランプ手段を提供する。各支持プレート(101)は、デバイスのフレームに固定される。支持プレート(101)は、長形の平方六面体であり得て、同じ距離で互いに間隔の空いたドリル加工された細いスリットを複数備えて、検出器プレート(102)が挿入される。図1に示されるように、検出器プレート(102)は、四つの支持プレート(101)の間にクランプされる(側方の支持プレートは明確性のため省略されている)。この構成は、アセンブリのロバスト性、及び最小の検出器プレート位置決め誤差を保証する。
【0076】
また、好ましくは、検出器プレート(102)の端子イヤー(103)は、多重チャネル獲得電位計に対する接続用の、及び各イオン化チャンバセルの適切な機能のために必要なバイアス電圧用の電気コンタクトも提供することができる。
【0077】
好ましくは、少なくとも一つの支持プレート(101)は、PCBで形成されて、検出器プレート(102)の端子イヤー(103)と多重チャネル獲得電位計との間の、及び電極プレート(102)とバイアス電圧との間の見た目のきれいな接続部及び溶接部を提供する。
【0078】
各電極プレート(102)は、特定の長さを有するガス充填ギャップによって互いに分離される。
【0079】
好ましくは、この長さは、すべての検出器プレート(102)の間において同一であり、水等価厚に等しい幾何学的厚さを有する複数のイオン化チャンバセルを形成するように理想的に選択される。
【0080】
ギャップの最小長さは、水製の等価セル内のビーム拡大と比較して大き過ぎるビーム拡大を誘起しないことが必要とされる。
【0081】
また、収集電子機器の感度に従った臨界的な最小ギャップ距離によって制限されること、又は、ガスギャップの画定における誤差がガスギャップ自体と比較して大きくなり過ぎること、電極の設計及び製造がアーク放電現象に対して非常に敏感であることにも注意を有する。
【0082】
実際、イオン化チャンバセル内部には、特定のガスボリュームが、十分なガスイオン化、従って測定の良好な再現性及び質を有するために必要とされる。
【0083】
好ましくは、臨界的な最小ガスギャップ長さは略0.8mmである。
【0084】
この距離において、例えば、50μmの位置決め誤差は、6.25%の誤差要因を生じさせる。
【0085】
本発明の検出器プレート(102)の一例の側面図が、図3に示されている。各検出器プレートは、以下の三つの主な平坦部分の積層体である:
1)収集部分(CP)としての第一の平坦部分であり、図4の平面図に示される少なくとも三つの層(LA)から(LC)を備える;
2)絶縁体層(I)としての第二の平坦部分であり、絶縁体製である;
3)バイアス電圧部分(BVP)としての第三の平坦部分であり、図5の平面図に示される少なくとも三つの層(LH)から(LF)を備える。
【0086】
好ましくは、絶縁体層(I)は、広く用いられているエポキシ樹脂、FR4(Flam Retardant 4)製である。
【0087】
電極プレート(102)の収集部分(CP)は、収集側面(LA)と称されるグラファイトの第一の層を備えて、収集側面(LA)において、ディスク状の収集グラファイト電極(3)が、薄い絶縁リング(2)によってガードグラファイト電極(1)から分離される。
【0088】
検出器プレートの収集部分(CP)はプリプレグ(4)の第二の層(LB)を更に備え、その第二の層(LB)は、第一の層(LA)を第三の層(LC)から絶縁し、プリプレグ層(6)内に含まれる“V字型”トラック(5)を備える。
【0089】
“V字型”トラック(5)は、導電体製であり、例えば非限定的な例として銅やグラファイト等である。
【0090】
ビア(17)は、第一の層(LA)のディスク状収集グラファイト電極(3)と、第三の層(LC)の“V字型”トラック(5)との間の接続を確実なものとして、その“V字型”トラック(5)は、獲得システムに接続されている。
【0091】
有利には、第三の層(LC)は、ガード(8)の第四の層(LD)に隣接し、その第四の層(LD)は、第三の層(LC)の“V字型”トラック(5)と整合する“V字型”絶縁体(7)を備える。
【0092】
収集部分(CP)は、厚さ0.760mmのFR4絶縁層(I)によって、バイアス電極部分(BVP,bias volatege part)から絶縁される。
【0093】
バイアス電圧部分(BVP)は、バイアス電圧側面(LH)とも称される第一の層を備え、その第一の層は、絶縁リングの外側に配置されたガード電極(15)を絶縁リングの内側に配置されたバイアス電圧電極(16)から分離する絶縁リング(14)を備え、また、ビア(18)によって、バイアス電圧部分(BVP)の第三の層(LF)の“V字型”トラック(12)に接続される。
【0094】
“V字型”トラック(12)は、導電体製であり、例えば非限定的な例として銅やグラファイト等である。
【0095】
プリプレグ(13)製の絶縁性の第二の層(LG)は、第三の層(LF)をグラファイト製の第一の層(LH)から分離する。
【0096】
有利には、バイアス電圧部分(BVP)は、厚さ0.760mmのFR4絶縁層(I)に隣接する第四の層(LE)を備える。
【0097】
好ましくは、バイアス電圧部分(BVP)の第四の層(LE)は、ガード層(10)としてグラファイト層を備え、そのグラファイト層は、隣接するプリプレグ(11)の第三の層(LF)内に備わった“V字型”トラック(12)よりも僅かに広い“V字型”絶縁体(9)を備え、この“V字型”トラック(12)はバイアス電圧に接続される。
【0098】
有利には、第四の層(LE)のこの“V字型”絶縁体(9)の幅は、第四の層(LE)のガード(10)に対するバイアス電圧の電荷の漏れを避ける沿面距離(クリーピング距離)を提供するように選択される。
【0099】
好ましくは、検出器プレート(102)の収集部分(CP)及びバイアス電圧部分(BVP)に存在する際に、絶縁層(I)に隣接するガード層(LD)及び(LE)は、バイアス電圧部分(BVP)からの電流が、同じ検出器プレート(102)の収集電極(3)によって制御されること(所定のイオン化セルの漏れ電流に寄与する)を防止する機能を有する。
【0100】
検出器プレート(102)は、広く用いられているPCB法によって得られる。
【0101】
プレートの異なる複数の層(全ての層が低原子番号Zの物質で本質的に形成されている)、それらの厚さ、密度、四つの異なる所定のエネルギーにおいて計算された陽子質量阻止能
【数13】

、及びWETの例が表1aから表1dに示されている。
【0102】
これら例では、“V字型”トラック(5)及び(12)は銅製であるが、グラファイト等の他の導電体製にもなり得る。
【0103】
好ましくは、全ての層は、Z<18の物質で本質的に形成される。
【0104】
二つの続く検出器プレートの間に備わったガスギャップに対する同じパラメータは、和
【数14】

及び和
【数15】

と共に各表に示されている。
【0105】
全ての例に対して、式(2)からの項
【数16】

及び所定のセルに対する項
【数17】

を計算したが、非常に薄い銅トラック(5)及び(12)は除外した。実際には、図4及び図5に示されるように、銅トラック(3)及び(12)は層ではなくて、プリプレグ層内に含まれる薄いトラックである。
【0106】
また、絶縁リング(2)及び(14)、“V字型”絶縁体(7、9)(真空であり得る)、ポリマー又はプリプレグの経路も無視した。
【0107】
検出器プレートの層のこのような物質の選択及び厚さ、並びに0.9mmのガスギャップに対して、式(2)は以下の値を与える:
【数18】

【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
略70から230MeVの間の範囲のエネルギー(つまり陽子治療において通常採用される陽子ビームエネルギー)を有する陽子ビームがデバイスを横切ると、式(2)の右側(つまり、プレートに対するWETの和)はほぼ一定のまま、つまり0.199から0.196cmの間のままである。従って、式(2)がこの範囲範囲で満たされて、
【数19】

がこの範囲内にあるようにlgiが選択される。
【0113】
イオン化チャンバプレートに対する低いZの物質の選択(及びビームに沿った銅トラックの影響の最小化)は、水中のものと同様の散乱挙動を保証する。特許文献4に開示された本出願人の以前のデバイスは、各プレートが1.5mmの空気ガスギャップによって分離され、また、各プレートが35マイクロメートルの二つの銅層と0.5mmのFR4層を備えるので、本発明の特性を示さない。
【0114】
表1eは、プレートの複数の層、及び二つの続くプレートの間に備わった空気ギャップに対して、厚さ、密度、200MeVで計算された陽子質量阻止能
【数20】

、WET値、和
【数21】

を示す。
【0115】
【表5】

【0116】
見て取れるように、この場合、式(2)は、特許文献4に記載される例に対しては検証されない。
【0117】
好ましくは、原子番号Zは18よりも下である。
【0118】
例えば、本発明に係るデバイスは、180個の検出器プレート(102)を備え、言い換えると、180個のイオン化チャンバセルを備えたデバイスに対して、最大検出可能な最大水等価範囲は35cmである。
【0119】
従って、プレートの有効WETに対して反映される不可避な機械的公差に起因した幾何学的等価性を調節するために、マイナーな補正因子を導入することができる。
【0120】
本発明に係る線量測定デバイスをハドロンビームが横切る際に、ハドロンビームに対する情報が、イオン化チャンバセルの積層体によって提供される。
【0121】
各イオン化チャンバセルのガスギャップ内でのイオン化により生じる電荷の同時獲得によって、ブラッグピークの元々の部分(最大でブラッグピーク自体までであり、拡大されているか又は拡大されていない)を、一回の固有の測定において測定することができる。
【0122】
各イオン化チャンバセルは、ハドロンビームによって生じるギャップガスのイオン化に続いて収集電極において収集された電荷をまとめる。
【0123】
各検出器プレートの収集電極は、ミリ秒まで下がり得るサンプリング速度で収集された電荷を獲得する獲得システムに接続される。
【0124】
獲得システムは、0.8μm CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術チップ(TERA ASICチップとも称される)としてリサイクリングインテグレータを備えることができて、このようなチップは、最大64個のチャネルを同時に測定して、本発明のイオン化チャンバセルの64個の収集電極に関係する64個のチャネルのアナログ信号を変換することができる。
【0125】
180個のイオン化チャンバセルの場合、本発明の実現の一例として、3個以上のTERA ASICチップが採用され得る。
【0126】
TERA ASICチップを使用することの利点は、信号変換がデッドタイム無く生じて、ミリ秒のオーダの短いサンプリング時間に対しても正に同時に180個のチャネルを確定的に読み込むことができる点である。
【0127】
このような高周波測定による他の利点は、拡大ブラッグピークの相対深部放射線量プロファイルを測定することができて、拡大ブラッグピークのエネルギー成分の分解を同時に有することができる点である。
【0128】
また、本デバイスにおけるTERA ASICチップの使用は、その高速記録性能によって、ビームエネルギーが変化するとすぐにビームの不存在が分かるようにすることができる。
【0129】
WET‐MLICは、収集電極の適切な選択で、パッシブ散乱によって及びアクティブ散乱によって生じるハドロンビームを測定することができる。
【0130】
例えば、パッシブ散乱によって生じたビームの深部放射線量プロファイルの測定の場合、収集電極は、プレートの縁によって後に散乱されるイオンによって生じるイオン化を収集しないように、このような縁から十分に離されなければならない。しかしながら、電極のサイズは、十分な信号を収集するように十分大きくなければならず、これは、照射ヘッドの出口における陽子流が略数nAに過ぎないような高深度ビーム範囲に対して特に関係する。
【0131】
有利には、検出器プレート(102)は少なくとも200cm(例えば15cm×15cmの面積)の正方形であり、ディスク状の収集電極はその検出器プレートの対称中心に配置されて、そのディスク状の収集電極の直径は、1cmから4cmの間、好ましくは2cmから3cmの間、より好ましくは2.5cmである。
【0132】
このように選択された直径に対して、ペンシルビームの深部放射線量プロファイルの測定は、例えば、二重散乱によって及びアクティブ走査によって生じる直径10cmのシリンダー状照射のような10cmの範囲内の横寸法での照射によってデバイスが運用される場合にのみ可能である。
【0133】
このような場合、電極は、照射ボリュームの中心領域内の照射によって生じるイオン化をサンプリングする。
【0134】
他方、静止ペンシルの深部放射線量プロファイルの測定が必要な場合、電極の寸法は、デバイスの最大WETに対応する深度における最大ペンシルビーム幅に従って、選択されなければならず、全ての電極の全てのビームイオン化の収集を保証するようにする。
【0135】
この問題を解消するため、このような応用に対しては、デバイス全体の各検出器プレートに対するビームの100%を検出するために、検出器プレートの電極の直径を増大させることが必要とされる。
【0136】
検出器プレートの電極の直径は、2.5cmよりも大きくなり得て、例えば8から12cmの間である。
【0137】
本発明の他の実施形態は、本願で説明される検出器プレートと共に、複数の収集電極(3)を備えた収集側面を備えた検出器プレート等の他の種類の検出器プレートを備えることができる。
【0138】
複数の電極を備えた検出器プレートの収集側面の第一の層の例が図6に示されている。図6a、b、eの電極のレイアウトは、ビームの横の広がりを評価するために設計されたものである。
【0139】
図6c及びdの電極のレイアウトは、放射ビームの2次元像を得るために設計されたものである。これらの検出器プレートの層の機構は上述のものと同様であり、各収集電極又は画素は、トラックによって獲得システムに接続される。
【0140】
こうした種類の検出器プレートは、例えば、同じPCB法によって形成され、デバイスが深部放射線量プロファイル及びハドロンビームの拡大との両方を測定するようにするために、デバイス内の多様な距離に配置される。
【0141】
典型的には、本発明の線量測定デバイスは、検出器プレート(102)がハドロンビームの軸に垂直である位置において診察用椅子の上に配置される。
【0142】
有利には、線量測定デバイスを、両面に対して照射することができる。本発明の線量測定デバイスのこの好ましい実施によると、二つの開口が存在し、一方は前側に、他方は後側に存在する。この対称性は、範囲測定の質の制御手段を使用者に与える。両方の入口からデバイスを照射することによって、ガントリーを180°回転させた際に放射の方向に従ったハドロン範囲の結果としての相違が分かる。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。代替的な実施によると、本発明の線量測定デバイスは、一方の側のみが照射され得て、つまり、本発明の線量測定デバイスの前側のみが、又は後側のみが照射され得る。
【0143】
好ましくは、本デバイスは、ビームに露光される第一のプレートの上流にコリメータを有利に備える。本発明の線量測定デバイスがビームに露光される第一のプレートの上流にコリメータを備えるこの好ましい実施によると、コリメータは、ビームの直接測定に関係しないデバイスの部分の照射を最小化する手段として機能することが好ましい。ビームに露光される第一のプレートの上流に備わっている場合には、コリメータは、完全に、本発明に係る線量測定デバイスの部分となる。
【0144】
元々の(プリスティン,pristine)ブラッグピーク及び拡大ブラッグピークの測定テストを、二重散乱及び一様な走査伝達モードにおいて実施した。
【0145】
水ファントムでの測定が、WET MLICとの参照及び比較用に実施された。
【0146】
図7は、異なる複数の深部放射線量における二重散乱の元々のブラッグピーク測定の実験データを示す。グラフ上の点は、WET MLICによって得られた生のデータであり、連続線は、水ファントムで得られたものである。見て取れるように、全ての深部放射線量プロファイルに対して、本発明のWET MLICで得られた結果は、水ファントムの参照方法と非常に良く一致している。小さくて固有の補正因子しか、物質の理論的な厚さ及び有効厚さの間の公差を補償するために導入されていないことは特筆すべきものであり、本デバイスに、従来技術に対する顕著な利点を与える。
【0147】
範囲誤差を計算したところ、WET MLIC及び水ファントム測定の両方に対して、測定された90%のディスタルフォールオフ(distal fall off,遠位降下)の差が生じた。結果は図8に示されていて、その最大の誤差は、5cmのビーム範囲の測定に対する0.5mmである。
【0148】
多様な構成で二重散乱における拡大ブラッグピークの実験的な測定を行った。MLICで得られた測定プロファイル及び水ファントム測定との比較が図9に示されている。ハドロン範囲、変調、及びディスタルフォールオフの実験データが両方の方法に対して、各プロファイルに示されている。これら三つのパラメータに対して両方の方法の間において非常に優れた一致が得られ、範囲に対しては0.5mm以下のずれで、変調及びディスタルフォールオフに対する1mmよりも優れていた。
【0149】
WET MLICでの二重散乱の測定の安定性の評価を、5.7cmの変調で25cmの範囲の拡大ブラッグピークに対してテストした。深部放射線量プロファイルは異なる時間に対して取られて、全てのプロファイルが図10(異なる三つの時間において取られた三つのプロファイルが重ね合わせられている)に示されるような同じ形状を示した。
【0150】
表2は、異なる日において少なくとも二回実施された同一の測定に対するカウント数の実験的な生のデータを示す。チャネル毎の一日当たりの均一性の変動は略0.5%以下であり、一週当たりの変動は1%以下である。
【0151】
【表6】

【0152】
本発明において開示される線量測定デバイスは、二重散乱及び均一走査の両方における元々のブラッグピーク及び拡大ブラッグピークのプロファイルを一回の放射プロトコルで得ることができるので、高速ルーチン質保証測定に対する要求に合致する。
【0153】
質保証測定の獲得時間は、従来技術のような水ファントムベースの方法によって得られる測定(ブラッグピーク又はSOBPの相対深部放射線量プロファイルに対する測定時間が、一つのイオン化チャンバセルの照射時間に必要な点の数を掛けたものに等しくなる)に対して顕著に減少する。
【0154】
従来技術のデバイスとは逆に、本発明のWET MLICのハドロンビームの挙動は、水に等価な幾何学的及び物質的観点から来るものであり、式(2)の
【数22】


【数23】

との間の差に起因して考えられる補正は、あまり必要ではなく、場合によっては省略可能である。
【0155】
従って、本デバイスは使い易くて、測定時間が顕著に減少する。
【0156】
更に、従来技術の線量測定デバイスは、最大22cmまでしかブラッグピーク及び拡大ブラッグピークを測定することができなかったが、本発明は、一般的に許容される臨床範囲全体に対応する最大35cmまでの高解像度で測定を実施することができる。
【0157】
本発明に合致する他の要求は、使用物質と、選択された寸法と、四つの支持プレートにより保証される検出器プレートアセンブリの機械的安定性とによって得られる信号の質及び安定性である。
【0158】
最後に、選択された寸法及び物質での180個のイオン化チャンバセルの積層体は、そのデバイスを、従来技術の線量測定デバイスよりも軽くて面倒ではないものにし、本発明のデバイスは、安定性を損なうこと無く、処置前のQA用に診察用椅子の上に容易に輸送及び位置決め可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 ガード電極
2 絶縁リング
3 収集電極
4 プリプレグ
5 導電トラック
6 プリプレグ
7 絶縁体
8 ガード
9 絶縁体
10 ガード
11 プリプレグ
12 導電トラック
13 プリプレグ
14 絶縁リング
15 ガード電極
16 バイアス電圧電極
17 ビア
18 ビア
101 支持プレート
102 検出器プレート
103 端子イヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハドロンビームの線量測定モニタリング用のデバイスであって、ガス充填ギャップによって互いに分離されたn+1個の平行な検出器プレート(102)の積層体によって得られたn個の連続するイオン化チャンバ(i)を備え、各検出器プレート(102)が、バイアス電圧側面(LH)を備えたバイアス電圧部分(BVP)から絶縁されている収集側面(LA)を備えた収集部分(CP)を有し、前記収集側面(LA)が次の検出器プレートのバイアス電圧側面(LH)と向き合うように又はその逆になるように配置されていて、各検出器プレート(102)がm個の物質層(L)を備え、前記検出器プレート(102)の結果物のアセンブリが複数のイオン化チャンバセルを形成していて、
各検出器プレートを構成する各層(L)の厚さ(l)及び物質の選択、並びにイオン化チャンバセル(i)のギャップが、各イオン化チャンバ(i)に対して
【数1】

を満たすように選択されていて、
giが、二つの検出器プレート(102)の間のガス充填ギャップの距離であり、
が、検出器プレート(102)の対応する層(L)の厚さであり、
WETが、検出器プレート(102)の対応する層(L)の水等価厚(WET)であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
各検出器プレート(102)がm個の平行な層の積層体を備え、各層(L)が低原子番号Zの物質で本質的に形成されていて、Zが好ましくは18未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記検出器プレート(102)の前記収集部分(CP)及び前記バイアス電圧部分(BVP)の各々が、少なくとも三層の積層体で形成されていてあり、第一の層が、本質的にグラファイト製の外部層(LA、LH)であり、第二の層(LB、LG)及び第三の層(LC、LF)が本質的に絶縁体製である、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
各検出器プレート(102)の前記収集部分(CP)及び前記バイアス電圧部分(BVP)が、前記第三の層(LC、LF)に隣接するグラファイト製の第四の層(LD、LE)を備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
各検出器プレート(102)の前記収集部分(CP)及び前記バイアス電圧部分(BVP)の各々が、少なくとも、
‐ 一以上の電極領域(3、16)と、該電極領域(3、16)を取り囲む絶縁分離体(2、14)と、該絶縁分離体を取り囲むガード電極(1、15)とを備えた第一の層(LA、LH)と、
‐ 絶縁層としての第二の層(LB、LG)と、
‐ 少なくとも一つの導電トラック(5、12)を備えた第三の層(LC、LF)と、
‐ 前記第三の層(LC、LF)の前記導電トラック(5、12)と整合する少なくとも一つの絶縁体経路(7、9)を有するガード(8、10)としての第四(LD、LE)の層とを備え、
バイアス電圧側面(BVS)に備わった前記絶縁体経路(9)が、前記バイアス電圧部分(BVP)の前記第三の層(LF)に配置された前記導電トラック(12)よりも僅かに幅広であり、
前記収集部分(CP)の前記第三の層(LC)の各導電トラック(5)が、ビア(17)によって各収集電極(3)に接続されていて、且つ、前記バイアス電圧部分(BVP)の前記第三の層(LF)の前記導電トラック(12)が、ビア(18)によってバイアス電圧電極(16)に接続されている、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記検出器プレート(102)の各々が少なくとも二つの端子イヤー(103)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
獲得手段が少なくとも一つのリサイクリングインテグレータを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
ビームに露光される第一のプレートの上流にコリメータを備えた請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイスを使用することを特徴とするハドロンビームをモニタリングするための方法であって、前記検出器プレートが、前記ハドロンビームの中心軸に対して垂直に配置される、方法。
【請求項10】
拡大ブラッグピークの深部放射線量プロファイルを求めるために、
(i) 所定のエネルギーを有するハドロンビームを方向付けるステップと、
(ii) 前記ハドロンビームのブラッグピークを測定するステップと、
(iii) 前記ハドロンビームのエネルギーを変更するステップと、
(iv) 前記拡大ブラッグピークを直接得るために前記(i)から(iii)のステップを繰り返して、ブラッグピークを足し合わせるステップとを備えた請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記デバイスを該デバイスの前側から照射することによって測定が行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスを該デバイスの後側から照射することによって測定が行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイスを該デバイスの前側及び後側の両方から照射することによって測定が行われる、請求項9又は10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−520997(P2012−520997A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500277(P2012−500277)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053726
【国際公開番号】WO2010/106193
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(509125981)
【Fターム(参考)】