ハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体及びブロー成形用金型
【課題】二重壁ブロー成形体の曲げ剛性を、特定方向だけでなく全方向的に向上させる。
【解決手段】二重壁のブロー成形体に、二重壁の壁1,2を連結するリブ3が形成され、リブ3は多数の6角筒状のセル壁7からなるハニカム構造を有する。リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びる2枚の板が密着したもので、いわゆる隠しリブである。セル壁の交差領域、すなわちセル壁の3面が交差する箇所及びその近傍に存在するリブ3aが、壁2の内面との間に隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域に存在するリブ3bが壁2の内面に溶着している。各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が、前記隙間を通して互いに連通している。
【解決手段】二重壁のブロー成形体に、二重壁の壁1,2を連結するリブ3が形成され、リブ3は多数の6角筒状のセル壁7からなるハニカム構造を有する。リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びる2枚の板が密着したもので、いわゆる隠しリブである。セル壁の交差領域、すなわちセル壁の3面が交差する箇所及びその近傍に存在するリブ3aが、壁2の内面との間に隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域に存在するリブ3bが壁2の内面に溶着している。各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が、前記隙間を通して互いに連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造のリブで補強された二重壁のブロー成形体、及びそのブロー成形体を製造するためのブロー成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方向に揃った複数列のリブで二重壁の一方の壁と他方の壁を連結し、偏平な二重壁ブロー成形体の曲げ剛性を高めることが記載されている。このリブは、一方の壁から他方の壁に向けて延び、頂部が他方の壁の内側に溶着し(同文献の図1)、又は両方の壁からそれぞれ対向壁に向けて延び、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着している(同文献の図5)
特許文献2の図11には、互いに直交する複数のリブで二重壁の一方の壁と他方の壁を連結することが記載されている。この直交するリブは、両方の壁からそれぞれ対向壁に向けて延び、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着している。
【0003】
特許文献3には、頂部が対向壁の内側に溶着した平面視四角形の面状の窪みを適宜間隔で複数列形成することが記載されている。各窪みの周囲に角筒状(平面視四角形)のリブが形成され、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結している。
特許文献4には、六角形の窪みを一定間隔で並べて二重壁ブロー成形体を補強することが、先行技術として紹介されている。特許文献3と同様に、六角形の面状の窪みが形成され、各窪みの周囲に角筒状(平面視六角形)のリブが形成され、かつ窪みの頂部が対向壁に溶着していると思われる。なお、同文献では、六角形の面状の窪みを一定間隔で並べた形態を、いわゆるハニカム構造と称している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−165152号公報
【特許文献2】国際公開2004/101323号公報
【特許文献3】特開平6−179236号公報
【特許文献4】特開2005−224991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された補強リブは、長さ方向が一方向に揃っているため、曲げ線がリブの長さ方向に平行な曲げに対する剛性は相対的に低く、曲げ線がリブの長さ方向に交差する曲げでもリブの倒れが生じやすい。
特許文献2に記載された補強リブは、互いに直交するリブを二重壁の両壁から形成し、二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着させている関係で、二重壁の中央部に肉厚の大きい箇所が集中する一方で、二重壁の両壁が特にリブの交差箇所及びその近傍で薄肉化する。これにより、直交するリブを形成したことによる曲げ剛性の向上効果が減殺される。
特許文献3,4に記載された補強リブは、二重壁の一方の壁が四角形又は六角形の面状に窪んでいるため、補強のため多数形成すると、前記一方の壁が窪みだらけになり、かつ他方の壁に肉厚が集中し、逆に曲げ剛性の低下を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、補強リブが形成された二重壁ブロー成形体に関する上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、補強リブが形成された二重壁のブロー成形体の曲げ剛性を、特定方向だけでなく全方向的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体に係り、二重壁のブロー成形体に二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する第1リブが形成され、前記第1リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延び、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記他方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とする。本発明はブロー成形体の一部のみに適用することもできる。
なお、リブに「第1」という符号を付与したのは、後述する別のリブ(第2リブ)と区別するためであり、それ以上の意味はない。
【0008】
一般的にハニカム構造といわれるものは、ハニカム構造の一単位である筒状のセル壁が平面視で多角形をなし(セル壁が多角筒状)、隣接するセル空間(セル壁に囲まれた空間)を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有している。本発明のハニカム構造には、まず、このようなセル壁からなるものが含まれる。このようなハニカム構造には、平面視正6角形のセル壁のほか、他の平行6角形、4角形、3角形のセル壁からなるものが含まれ、さらには異なる多角形のセル壁の組み合わせからなるものも含まれる。また、多数のセル壁が互いに独立して存在するもの(隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していないもの)も工業的にハニカム構造の一種として取り扱われているが、本発明のハニカム構造には、このようなセル壁からなるものも含まれる。この場合、筒状のセル壁の平面視形状として、前記多角形以外に、円形、楕円形等、より自由に選択できる。なお、上記多角形、円形、楕円形等の形状は概略その形状を有していればよい。
【0009】
本発明に係る二重壁ブロー成形体のリブは、セル壁の集合体であるハニカム構造を有し、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するが、リブの頂部が他方の壁の内側に溶着している領域は、各セル壁の周に沿った一部の領域(全部の領域ではないということ)であり、その他の領域でリブの頂部は他方の壁の内側に溶着せず、他方の壁との間に隙間を有する。これにより、リブの頂部をセル壁の周に沿った全部の領域で溶着させる場合に比べ、一方の壁が大きく薄肉化することが防止され、かつ前記隙間を通して各セル壁に囲まれた二重壁内のセル空間へブロー成形の加圧エアを確実に導入することができる。
【0010】
セル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、第1リブの頂部と他方の壁の内側の溶着、非溶着の具体的形態として、第1リブの頂部が、セル壁の交差領域(セル壁の面が交差する箇所及びその近傍)において他方の壁の内側との間に隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域において他方の壁の内側に溶着していることが挙げられる。この場合、交差領域において、第1リブが隠しリブ(ブロー成形体の表面から見えないリブ)として形成されていることが望ましい。
第1リブがこの具体的形態を取る場合、前記第1リブのほか、二重壁の他方の壁から連続して一方の壁に向けて、第1リブのハニカム構造と同様のハニカム構造を有する第2リブを形成することもできる。第1リブのハニカム構造と第2リブのハニカム構造は、共に平面視略正6角形である6角筒状の単位セル壁を有するものとされ、かつ前記正6角形の1組の対辺に沿って半ピッチずれた状態で二重壁内に配置されることが望ましい。
【0011】
同じくセル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、第1リブの頂部と他方の壁の内側の溶着、非溶着の他の具体的形態として、第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において他方の壁の内側に溶着し、交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有することが挙げられる。この場合、セル壁の中間領域において、第1リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
【0012】
本発明に係る二重壁ブロー成形体において、ハニカム構造を有するリブは、一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、対向する頂部同士が各単位セル壁の周に沿った一部の領域において互いに溶着したものでもよい。
この場合でも、セル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、リブの対向する頂部同士の溶着、非溶着の具体的形態として、リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域において互いに溶着していることが挙げられる。この場合、セル壁の交差領域において、リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
同じくセル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、他の具体的形態として、リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに溶着し、交差領域に挟まれた中間領域において互いに隙間を有することが挙げられる。この場合、セル壁の前記中間領域において、リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハニカム構造を有するリブが対向壁に溶着し、又はリブ同士が二重壁の中間位置で互いに溶着し、これにより二重壁の特に偏平なブロー成形体の曲げ剛性を全方向的に高めることができる。特に、リブの溶着箇所を各セルのセル壁の周に沿った一部の領域とし、他の領域において隙間を設ける(溶着しない)ことにより、二重壁の壁面の薄肉化を適度に緩和し、薄肉化に伴う剛性の低下を防止することができる。
また、前記隙間を通して二重壁内の各セル空間に加圧気体を導入することができるので、ブロー成形金型のキャビティ面に沿った外形を有する二重壁ブロー成形体を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図2】第1ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a),(b)、及び他方の金型の一部斜視図(c)である。
【図3】図2(a),(b)の金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明に係る第2ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図5】第2ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図6】本発明に係る第3ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図7】図6(a)に記載された金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造と図6(b)に記載された金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を重ね合わせた平面模式図である。
【図8】本発明に係る第4ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図9】第4ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図10】図9(a)の金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を示す平面模式図である。
【図11】本発明に係る第5ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図12】本発明に係る第6ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図12を参照して、本発明に係る二重壁ブロー成形体についてより具体的に説明する。
(第1ブロー成形体)
図1に示すブロー成形体(第1ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
リブ3は壁1から連続して壁2に向けて垂直に延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図1において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0016】
リブ3はその頂部が、各セル壁の周に沿った一部の領域において壁2の内側に溶着している。具体的には、リブ3は各セル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)において頂部が壁2の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側に達しかつ溶着している。つまり、前記交差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、交差箇所を中心として垂れ下がった形状をなし、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高い。この例では全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
この例では、リブ3は全体が板状の隠しリブとして形成されている。
【0017】
図2に、第1ブロー成形体を製造するブロー成形用金型を示す。
ブロー成形用金型は一対の金型11,12からなる。金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置されている。金型12は平坦なキャビティ面15を有するのみである。突起14は、金型11のキャビティ面13から突出(図2(a))及び後退(図2(b))可能なスライド金型であり、突出させて両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達し、後退したとき先端が金型11のキャビティ面13の一部をなす。16,17はピンチオフ部である。
【0018】
各突起14は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、前記セル壁の一部をなすように配置される。図3は上記の仮想的なハニカム構造(1つの正6角筒状のセル壁18及びその周辺部を図示)を平面視したときの、各突起14の配置形態を示すものである。各突起14は、ハニカム構造のセル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)19aに挟まれた中間領域(塗りつぶされた箇所)19bに、前記のとおりセル壁18の一部をなすような形態で、一単位のセル壁18について6個ずつ配置されている。
【0019】
上記ブロー成形用金型を用いて第1ブロー成形体を製造する方法は、通常の隠しリブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、金型11の突起14を突出させた状態で型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込むとともに突起14を後退させ、冷却後金型11,12を開いて成形された第1ブロー成形体を取り出す。
【0020】
図3に示す仮想的なハニカム構造のうち、実際に突起14が配置された中間領域19bにおいては、突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンが溶着されるため、頂部が壁2に溶着したリブ3bが得られる。リブ3bはパリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、それが密着して隠しリブとして形成される。
一方、突起14が配置されていない交差領域19aにおいては、型締め時点ではパリソンは三方の突起14に引っ張られ、金型12のキャビティ面15に向けて押し込まれるが、パリソン内に加圧エアが吹き込まれ突起14が後退すると、パリソンの膨張に伴って金型11側に引きずられて後退し、しかし三方に溶着部があるため後退し切れず、結果として略120度で交差する垂れ下がった形状のリブ3aが形成される。このリブ3aも、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、それが密着して隠しリブとして形成される。
なお、セル壁の交差領域に垂れ下がった形状のリブ3aが形成されることにより、同領域における壁1の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止できると同時に、両壁1,2の肉厚差に基づく成形体の反りが生じにくい。また、壁2とリブ3aの間に形成される隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0021】
(第2ブロー成形体)
図4に示すブロー成形体(第2ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。図1に示す第1ブロー成形体と同じく、4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図4において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0022】
この第2ブロー成形体でも、図1に示す第1ブロー成形体と同様に、リブ3は各単位セル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)において壁2の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側に達しかつ溶着している。つまり、前記公差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、交差箇所を中心として垂れ下がった形状をなし、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高い。この例でも全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
第2ブロー成形体が図1に示す第1ブロー成形体と異なる点は、中間領域のリブ3bが前者では中空板状(厚みの薄い4角筒状)の凹部(壁1側からみて凹部)として形成され、後者では中実板状の隠しリブとして形成された点のみである。第2ブロー成形体でも、交差領域のリブ3aは隠しリブとなっている。
【0023】
図5に、第2ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
図2に示すブロー成形用金型と同様に、金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置され、金型12は平坦なキャビティ面15を有する。突起14は金型11のキャビティ面13に固定されており、両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達する。
図5に示すブロー成形用金型が図2に示すブロー成形用金型と異なる点は、金型11の突起14が前者はキャビティ面13に固定され、後者はキャビティ面13から突出及び後退可能とされている点のみである。
各突起14のキャビティ面13上での配置形態についても、図2に示すブロー成形用金型と同じ(図3参照)である。すなわち、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、各突起14は、前記ハニカム構造のセル壁の交差領域に挟まれた中間領域に、セル壁の一部をなすような形態で、一単位のセル壁について6個ずつ配置されている。
【0024】
図5に示すブロー成形用金型を用いて第2ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第2ブロー成形体を取り出す。
【0025】
第2ブロー成形体に形成されるリブ3bは、パリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため、第1ブロー成形体のリブ3bと同じく、頂部において折り返された2枚の板からなる(二重壁構造)。ただし、突起14が金型11のキャビティ面13に固定されているため、このリブ3bは、第1ブロー成形体のリブ3bと異なり、中空板状(肉厚の薄い4角筒状)である。第2ブロー成形体に形成されるリブ3aも、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、こちらは2枚の板が密着して第1ブロー成形体のリブ3aと同様に隠しリブとして形成される。
【0026】
(第3ブロー成形体)
図6に、第3ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置されている。また、金型12にも平坦なキャビティ面15から突出する多数の板状突起21が設置されている。突起14,21はそれぞれ金型11のキャビティ面13、金型12のキャビティ面15に固定されており、両金型11,12を閉じると、突起14の先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達し、突起21の先端が金型11のキャビティ面13の近傍に達する。図6に示すブロー成形用金型は、第1ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(図2)とは、金型12に多数の板状突起21が設置されている点でのみ異なる。
【0027】
各突起14は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造(第1ハニカム構造という)を想定したとき、前記第1ハニカム構造の各セル壁の一部をなすように配置され、また、各突起16は、キャビティ面15上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造(第2ハニカム構造という)を想定したとき、前記第2ハニカム構造の各セル壁の一部をなすように配置される。第1,第2ハニカム構造のセル壁のサイズは同一とされている。
ブロー成形金型を型締めしたとき、第1,第2ハニカム構造は、互いに半ピッチずれた状態でキャビティ内に位置する。第1,第2ハニカム構造を平面視したときの、各突起14,21の配置形態を図7に示す(それぞれ1つの正6角筒状のセル壁18,22及びその周辺部を図示)。
【0028】
図7に実線で示される第1ハニカム構造のセル壁18と、一点鎖線で示される第2ハニカム構造のセル壁22は、いずれも平面視で正6角形をなし、両者は前記正6角形の1組の対辺に沿って半ピッチ(p/2)だけずれて配置されている。
第1ハニカム構造のセル壁18及び第2ハニカム構造のセル壁22において、突起14,21の配置形態は、図3に示すハニカム構造における突起14の配置形態と同じである。すなわち、各突起14は、第1ハニカム構造のセル壁の交差領域19aに挟まれた中間領域(塗りつぶされた箇所)19bに、セル壁18の一部をなすような形態で、一単位のセル壁18について6個ずつ配置され、各突起21は、第2ハニカム構造のセル壁の交差領域23aに挟まれた中間領域(ドットを付された箇所)23bに、セル壁22の一部をなすような形態で、一単位のセル壁22について6個ずつ配置されている。
【0029】
上記ブロー成形用金型を用いて第3ブロー成形体を製造する方法は、第2ブロー成形体を製造する方法と実質的に違わない。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、かつ突起21の先端と金型11のキャビティ面13との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第3ブロー成形体を取り出す。
【0030】
第3ブロー成形体では、図6,7から明らかなように、一方の壁から他方の壁に向けて垂直に延びて二重壁の両壁を連結するリブと、前記他方の壁から前記一方の壁に向けて垂直に延びて二重壁の両壁を連結するリブが形成される。どちらのリブも図4に示す形態のハニカム構造を有し、両ハニカム構造は互いに半ピッチ(p/2)ずれた状態で二重壁内に配置されている。図7から理解されるとおり、第3ブロー成形体のリブは、一方のハニカム構造のセル壁と他方のハニカム構造のセル壁が組み合わされ、6角筒状のセル壁内部が3つの菱形筒状に分割された形態となることから、さらに剛性が向上する。
【0031】
(第4ブロー成形体)
図8に示すブロー成形体(第4ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
第4ブロー成形体において、第1ブロー成形体と同様に、リブ3は壁1から連続して壁2に向けて垂直に延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図8において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0032】
リブ3はその頂部が、各セル壁の周に沿った一部の領域において壁2の内側に溶着している。具体的には、リブ3は各セル壁の交差領域において頂部(3角形状)が壁2の内側に達しかつ溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側との間に隙間を有する。つまり、前記交差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高く、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、垂れ下がった湾曲形状をなす。リブ3aは略3角筒状の凹部(壁1側からみて凹部)として形成され、前記3角筒の稜線がそれぞれリブ3b側に配向している。この例では全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
この例では、リブ3bは板状の隠しリブとして形成されている。
【0033】
図9に、第4ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する若干の抜き勾配が付いた多数の3角柱状の突起14が設置されている。金型12は平坦なキャビティ面15を有するのみである。突起14は、金型11のキャビティ面13に固定されており、両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達する。
各突起9は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、前記セル壁の一部をなすように配置される。図10は上記の仮想的なハニカム構造(1つの正6角筒状のセル壁18及びその周辺部を図示)における各突起14の配置形態を示すものである。各突起14は、セル壁18の交差領域19aに、3角柱の稜線をそれぞれ三方のセル壁に向け、前記のとおりセル壁の一部をなすような形態で、単位セル壁あたり6個ずつ配置されている。
【0034】
図9に示すブロー成形用金型を用いて第4ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第4ブロー成形体を取り出す。
【0035】
図10に示す仮想的なハニカム構造のうち、実際に突起14が配置された交差領域19aにおいては、突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンが溶着されるため、頂部が壁2に溶着した3角筒状のリブ3aが得られる。一方、突起14が配置されていない中間領域19bにおいては、型締め時点ではパリソンは両側から突起14に引っ張られ、金型12のキャビティ面15に向けて押し込まれるが、パリソン内に加圧エアが吹き込まれると、パリソンの膨張に伴って金型11側に引きずられて後退し、しかし交差領域に溶着部があるため後退し切れず、結果として垂れ下がった湾曲形状のリブ3bが形成される。
【0036】
第4ブロー成形体に形成されるリブ3aは、パリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため中空構造を有する。リブ3bは頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、2枚の板が密着して隠しリブとして形成される。
セル壁の中間領域に垂れ下がった形状のリブ3bが形成されることにより、同領域における壁1の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止できると同時に、両壁1,2の肉厚差に基づく成形体の反りが生じにくい。また、壁2とリブ3bの間に形成される隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0037】
なお、上記の例では、突起14は三角柱状であったが、例えば円柱状など他の形態を取ることができる。いずれにしてもハニカム構造の交差領域には、突起14の形状に倣った筒状のリブが形成される。また、突起14は、図2に示す金型11の突起14のようにスライド金型として設置することもできる。その場合、ハニカム構造の交差領域に、当初筒状として形成されたリブが密着した隠しリブが形成される。
【0038】
(第5ブロー成形体)
図11に、第5ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の3角柱状の突起14が設置されている。また、金型12にも平坦なキャビティ面15から突出する多数の3角柱状の突起21が設置されている。突起14及び突起21の突出高さは、第4ブロー成形体を製造するブロー成形金型の突起の略半分の高さである。
図11に示すブロー成形金型において、キャビティ面13上に6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、突起14は図10に示す形態で前記ハニカム構造のセル壁の一部をなすように配置されている。突起21は、突起14に対し面対称的に対向配置されている。これにより、両金型11,12を閉じると両突起14,21の先端が金型11,12により構成されるキャビティの略中央部に達し、両突起14,21の先端同士が対向し、両者の間に所定の隙間(パリソンの厚みの2倍未満)が形成される。
【0039】
上記ブロー成形用金型を用いて第5ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と突起21の先端との間でパリソンをキャビティの略中央部で挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第5ブロー成形体を取り出す。
【0040】
第5ブロー成形体では、図11に示す金型構造及び上記の説明から明らかなように、一方の壁から他方の壁に向けて延びる三角筒状のリブの頂部と、前記他方の壁から一方の壁に向けて延びる三角筒状のリブの頂部が互いに押し付けられて溶着し、全体として一方の壁と他方の壁を連結し中央部に隔壁が形成された三角筒状のリブ(図8のリブ3a参照)が形成される。また、隣接する三角筒状のリブをつなぐように、一方の壁から他方の壁に向けて延びる板状リブと、それに対向して前記他方の壁から前記一方の壁に向けて延びる板状リブが形成され、対向する両板状リブの頂部が二重壁の中間位置において一方の壁側及び他方の壁側に垂れ下がった湾曲形態(図8のリブ3b参照)を有し、両頂部間に隙間が形成される。
【0041】
第5ブロー成形体において、前記三角筒状のリブと板状リブは全体としてハニカム構造を有する。このハニカム構造において、三角筒状のリブはセル壁の交差領域に配置され、板状リブが前記交差領域に挟まれた中間領域に配置された形態となる。三角筒状のリブは、パリソンが突起14,21に押されてそれぞれ対向する金型側に折り込まれ、それが固化したものであるため中央部に前記隔壁を持つ中空構造を有する。板状リブは頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、2枚の板が密着して隠しリブとして形成される。
第5ブロー成形体は、二重壁の両壁から対称的にリブが形成されていることから両壁の間に肉厚差が生じない。また、板状リブの中間位置に前記隙間があることで、前記中間領域における二重壁の両壁の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止でき、同時に、前記隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0042】
なお、型締めの際に対向配置される突起14,21を金型11,12の両方に形成した図11の金型構造は、図2,5等に示されたブロー成形用金型にも適用できる。また、図11の金型構造において、突起14,15を、図2に示す金型11の突起14のようにスライド金型として設置することもできる。
【0043】
(第6ブロー成形体)
図12に、第6ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11のキャビティ面13に形成された三角柱状の突起14をつなぐやや低く突出する板状の突起24が形成され、その点でのみ、第4ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(図9参照)と異なる。金型11のキャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき(図10参照)、突起14は前記ハニカム構造の交差領域にセル壁の一部をなすような形態で、前記突起24は2つの交差領域に挟まれた中間領域に同じくセル壁の一部をなすような形態でそれぞれ配置される。
【0044】
第6ブロー成形体は、図12に示すブロー成形用金型を用い、第4ブロー成形体と同様の製造方法で製造することができる。成形された第6ブロー成形体において、二重壁の両壁間に形成されるリブは、第4ブロー成形体と同様に6角筒状のセル壁からなるハニカム構造を有するが、該ハニカム構造のセル壁の中間領域に形成されるリブは垂れ下がりが突起24により規制される。いずれにしても、前記中間領域に形成されるリブは、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、板状の凹部(一方の壁からみて凹部)として形成される。なお、突起24の突出高さが低くリブの垂れ下がりが小さい(リブの頂部の高さが突起の高さより大きい)場合は、凹部として形成された前記リブの先(壁2側)に中実板状のリブ(2枚の板が密着したもの)が形成される。
なお、図12のブロー成形用金型において、突起14と突起24のキャビティ面13からの突出高さを逆転させることも考えられる。
【符号の説明】
【0045】
1,2 二重壁の壁
3 リブ
4,5 側壁
7 セル壁
8a,8b セル空間
9 セル壁の面
11,12 金型
13,15 キャビティ面
14,21 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造のリブで補強された二重壁のブロー成形体、及びそのブロー成形体を製造するためのブロー成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方向に揃った複数列のリブで二重壁の一方の壁と他方の壁を連結し、偏平な二重壁ブロー成形体の曲げ剛性を高めることが記載されている。このリブは、一方の壁から他方の壁に向けて延び、頂部が他方の壁の内側に溶着し(同文献の図1)、又は両方の壁からそれぞれ対向壁に向けて延び、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着している(同文献の図5)
特許文献2の図11には、互いに直交する複数のリブで二重壁の一方の壁と他方の壁を連結することが記載されている。この直交するリブは、両方の壁からそれぞれ対向壁に向けて延び、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着している。
【0003】
特許文献3には、頂部が対向壁の内側に溶着した平面視四角形の面状の窪みを適宜間隔で複数列形成することが記載されている。各窪みの周囲に角筒状(平面視四角形)のリブが形成され、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結している。
特許文献4には、六角形の窪みを一定間隔で並べて二重壁ブロー成形体を補強することが、先行技術として紹介されている。特許文献3と同様に、六角形の面状の窪みが形成され、各窪みの周囲に角筒状(平面視六角形)のリブが形成され、かつ窪みの頂部が対向壁に溶着していると思われる。なお、同文献では、六角形の面状の窪みを一定間隔で並べた形態を、いわゆるハニカム構造と称している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−165152号公報
【特許文献2】国際公開2004/101323号公報
【特許文献3】特開平6−179236号公報
【特許文献4】特開2005−224991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された補強リブは、長さ方向が一方向に揃っているため、曲げ線がリブの長さ方向に平行な曲げに対する剛性は相対的に低く、曲げ線がリブの長さ方向に交差する曲げでもリブの倒れが生じやすい。
特許文献2に記載された補強リブは、互いに直交するリブを二重壁の両壁から形成し、二重壁の厚さ方向中央部で互いに溶着させている関係で、二重壁の中央部に肉厚の大きい箇所が集中する一方で、二重壁の両壁が特にリブの交差箇所及びその近傍で薄肉化する。これにより、直交するリブを形成したことによる曲げ剛性の向上効果が減殺される。
特許文献3,4に記載された補強リブは、二重壁の一方の壁が四角形又は六角形の面状に窪んでいるため、補強のため多数形成すると、前記一方の壁が窪みだらけになり、かつ他方の壁に肉厚が集中し、逆に曲げ剛性の低下を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、補強リブが形成された二重壁ブロー成形体に関する上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、補強リブが形成された二重壁のブロー成形体の曲げ剛性を、特定方向だけでなく全方向的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体に係り、二重壁のブロー成形体に二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する第1リブが形成され、前記第1リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延び、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記他方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とする。本発明はブロー成形体の一部のみに適用することもできる。
なお、リブに「第1」という符号を付与したのは、後述する別のリブ(第2リブ)と区別するためであり、それ以上の意味はない。
【0008】
一般的にハニカム構造といわれるものは、ハニカム構造の一単位である筒状のセル壁が平面視で多角形をなし(セル壁が多角筒状)、隣接するセル空間(セル壁に囲まれた空間)を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有している。本発明のハニカム構造には、まず、このようなセル壁からなるものが含まれる。このようなハニカム構造には、平面視正6角形のセル壁のほか、他の平行6角形、4角形、3角形のセル壁からなるものが含まれ、さらには異なる多角形のセル壁の組み合わせからなるものも含まれる。また、多数のセル壁が互いに独立して存在するもの(隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していないもの)も工業的にハニカム構造の一種として取り扱われているが、本発明のハニカム構造には、このようなセル壁からなるものも含まれる。この場合、筒状のセル壁の平面視形状として、前記多角形以外に、円形、楕円形等、より自由に選択できる。なお、上記多角形、円形、楕円形等の形状は概略その形状を有していればよい。
【0009】
本発明に係る二重壁ブロー成形体のリブは、セル壁の集合体であるハニカム構造を有し、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するが、リブの頂部が他方の壁の内側に溶着している領域は、各セル壁の周に沿った一部の領域(全部の領域ではないということ)であり、その他の領域でリブの頂部は他方の壁の内側に溶着せず、他方の壁との間に隙間を有する。これにより、リブの頂部をセル壁の周に沿った全部の領域で溶着させる場合に比べ、一方の壁が大きく薄肉化することが防止され、かつ前記隙間を通して各セル壁に囲まれた二重壁内のセル空間へブロー成形の加圧エアを確実に導入することができる。
【0010】
セル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、第1リブの頂部と他方の壁の内側の溶着、非溶着の具体的形態として、第1リブの頂部が、セル壁の交差領域(セル壁の面が交差する箇所及びその近傍)において他方の壁の内側との間に隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域において他方の壁の内側に溶着していることが挙げられる。この場合、交差領域において、第1リブが隠しリブ(ブロー成形体の表面から見えないリブ)として形成されていることが望ましい。
第1リブがこの具体的形態を取る場合、前記第1リブのほか、二重壁の他方の壁から連続して一方の壁に向けて、第1リブのハニカム構造と同様のハニカム構造を有する第2リブを形成することもできる。第1リブのハニカム構造と第2リブのハニカム構造は、共に平面視略正6角形である6角筒状の単位セル壁を有するものとされ、かつ前記正6角形の1組の対辺に沿って半ピッチずれた状態で二重壁内に配置されることが望ましい。
【0011】
同じくセル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、第1リブの頂部と他方の壁の内側の溶着、非溶着の他の具体的形態として、第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において他方の壁の内側に溶着し、交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有することが挙げられる。この場合、セル壁の中間領域において、第1リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
【0012】
本発明に係る二重壁ブロー成形体において、ハニカム構造を有するリブは、一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、対向する頂部同士が各単位セル壁の周に沿った一部の領域において互いに溶着したものでもよい。
この場合でも、セル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、リブの対向する頂部同士の溶着、非溶着の具体的形態として、リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに隙間を有し、交差領域に挟まれた中間領域において互いに溶着していることが挙げられる。この場合、セル壁の交差領域において、リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
同じくセル壁が複数の面からなる多角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する場合において、他の具体的形態として、リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに溶着し、交差領域に挟まれた中間領域において互いに隙間を有することが挙げられる。この場合、セル壁の前記中間領域において、リブが隠しリブとして形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハニカム構造を有するリブが対向壁に溶着し、又はリブ同士が二重壁の中間位置で互いに溶着し、これにより二重壁の特に偏平なブロー成形体の曲げ剛性を全方向的に高めることができる。特に、リブの溶着箇所を各セルのセル壁の周に沿った一部の領域とし、他の領域において隙間を設ける(溶着しない)ことにより、二重壁の壁面の薄肉化を適度に緩和し、薄肉化に伴う剛性の低下を防止することができる。
また、前記隙間を通して二重壁内の各セル空間に加圧気体を導入することができるので、ブロー成形金型のキャビティ面に沿った外形を有する二重壁ブロー成形体を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図2】第1ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a),(b)、及び他方の金型の一部斜視図(c)である。
【図3】図2(a),(b)の金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明に係る第2ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図5】第2ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図6】本発明に係る第3ブロー成形体を製造する一対のブロー成形用金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図7】図6(a)に記載された金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造と図6(b)に記載された金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を重ね合わせた平面模式図である。
【図8】本発明に係る第4ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図9】第4ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図10】図9(a)の金型に形成された突起に対応する仮想ハニカム構造を示す平面模式図である。
【図11】本発明に係る第5ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【図12】本発明に係る第6ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型のうち、一方の金型の一部斜視図(a)、及び他方の金型の一部斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図12を参照して、本発明に係る二重壁ブロー成形体についてより具体的に説明する。
(第1ブロー成形体)
図1に示すブロー成形体(第1ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
リブ3は壁1から連続して壁2に向けて垂直に延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図1において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0016】
リブ3はその頂部が、各セル壁の周に沿った一部の領域において壁2の内側に溶着している。具体的には、リブ3は各セル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)において頂部が壁2の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側に達しかつ溶着している。つまり、前記交差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、交差箇所を中心として垂れ下がった形状をなし、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高い。この例では全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
この例では、リブ3は全体が板状の隠しリブとして形成されている。
【0017】
図2に、第1ブロー成形体を製造するブロー成形用金型を示す。
ブロー成形用金型は一対の金型11,12からなる。金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置されている。金型12は平坦なキャビティ面15を有するのみである。突起14は、金型11のキャビティ面13から突出(図2(a))及び後退(図2(b))可能なスライド金型であり、突出させて両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達し、後退したとき先端が金型11のキャビティ面13の一部をなす。16,17はピンチオフ部である。
【0018】
各突起14は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、前記セル壁の一部をなすように配置される。図3は上記の仮想的なハニカム構造(1つの正6角筒状のセル壁18及びその周辺部を図示)を平面視したときの、各突起14の配置形態を示すものである。各突起14は、ハニカム構造のセル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)19aに挟まれた中間領域(塗りつぶされた箇所)19bに、前記のとおりセル壁18の一部をなすような形態で、一単位のセル壁18について6個ずつ配置されている。
【0019】
上記ブロー成形用金型を用いて第1ブロー成形体を製造する方法は、通常の隠しリブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、金型11の突起14を突出させた状態で型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込むとともに突起14を後退させ、冷却後金型11,12を開いて成形された第1ブロー成形体を取り出す。
【0020】
図3に示す仮想的なハニカム構造のうち、実際に突起14が配置された中間領域19bにおいては、突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンが溶着されるため、頂部が壁2に溶着したリブ3bが得られる。リブ3bはパリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、それが密着して隠しリブとして形成される。
一方、突起14が配置されていない交差領域19aにおいては、型締め時点ではパリソンは三方の突起14に引っ張られ、金型12のキャビティ面15に向けて押し込まれるが、パリソン内に加圧エアが吹き込まれ突起14が後退すると、パリソンの膨張に伴って金型11側に引きずられて後退し、しかし三方に溶着部があるため後退し切れず、結果として略120度で交差する垂れ下がった形状のリブ3aが形成される。このリブ3aも、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、それが密着して隠しリブとして形成される。
なお、セル壁の交差領域に垂れ下がった形状のリブ3aが形成されることにより、同領域における壁1の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止できると同時に、両壁1,2の肉厚差に基づく成形体の反りが生じにくい。また、壁2とリブ3aの間に形成される隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0021】
(第2ブロー成形体)
図4に示すブロー成形体(第2ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。図1に示す第1ブロー成形体と同じく、4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図4において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0022】
この第2ブロー成形体でも、図1に示す第1ブロー成形体と同様に、リブ3は各単位セル壁の交差領域(セル壁の3面が交差する箇所及びその近傍)において壁2の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側に達しかつ溶着している。つまり、前記公差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、交差箇所を中心として垂れ下がった形状をなし、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高い。この例でも全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
第2ブロー成形体が図1に示す第1ブロー成形体と異なる点は、中間領域のリブ3bが前者では中空板状(厚みの薄い4角筒状)の凹部(壁1側からみて凹部)として形成され、後者では中実板状の隠しリブとして形成された点のみである。第2ブロー成形体でも、交差領域のリブ3aは隠しリブとなっている。
【0023】
図5に、第2ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
図2に示すブロー成形用金型と同様に、金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置され、金型12は平坦なキャビティ面15を有する。突起14は金型11のキャビティ面13に固定されており、両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達する。
図5に示すブロー成形用金型が図2に示すブロー成形用金型と異なる点は、金型11の突起14が前者はキャビティ面13に固定され、後者はキャビティ面13から突出及び後退可能とされている点のみである。
各突起14のキャビティ面13上での配置形態についても、図2に示すブロー成形用金型と同じ(図3参照)である。すなわち、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、各突起14は、前記ハニカム構造のセル壁の交差領域に挟まれた中間領域に、セル壁の一部をなすような形態で、一単位のセル壁について6個ずつ配置されている。
【0024】
図5に示すブロー成形用金型を用いて第2ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第2ブロー成形体を取り出す。
【0025】
第2ブロー成形体に形成されるリブ3bは、パリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため、第1ブロー成形体のリブ3bと同じく、頂部において折り返された2枚の板からなる(二重壁構造)。ただし、突起14が金型11のキャビティ面13に固定されているため、このリブ3bは、第1ブロー成形体のリブ3bと異なり、中空板状(肉厚の薄い4角筒状)である。第2ブロー成形体に形成されるリブ3aも、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、こちらは2枚の板が密着して第1ブロー成形体のリブ3aと同様に隠しリブとして形成される。
【0026】
(第3ブロー成形体)
図6に、第3ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の板状突起14が設置されている。また、金型12にも平坦なキャビティ面15から突出する多数の板状突起21が設置されている。突起14,21はそれぞれ金型11のキャビティ面13、金型12のキャビティ面15に固定されており、両金型11,12を閉じると、突起14の先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達し、突起21の先端が金型11のキャビティ面13の近傍に達する。図6に示すブロー成形用金型は、第1ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(図2)とは、金型12に多数の板状突起21が設置されている点でのみ異なる。
【0027】
各突起14は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造(第1ハニカム構造という)を想定したとき、前記第1ハニカム構造の各セル壁の一部をなすように配置され、また、各突起16は、キャビティ面15上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造(第2ハニカム構造という)を想定したとき、前記第2ハニカム構造の各セル壁の一部をなすように配置される。第1,第2ハニカム構造のセル壁のサイズは同一とされている。
ブロー成形金型を型締めしたとき、第1,第2ハニカム構造は、互いに半ピッチずれた状態でキャビティ内に位置する。第1,第2ハニカム構造を平面視したときの、各突起14,21の配置形態を図7に示す(それぞれ1つの正6角筒状のセル壁18,22及びその周辺部を図示)。
【0028】
図7に実線で示される第1ハニカム構造のセル壁18と、一点鎖線で示される第2ハニカム構造のセル壁22は、いずれも平面視で正6角形をなし、両者は前記正6角形の1組の対辺に沿って半ピッチ(p/2)だけずれて配置されている。
第1ハニカム構造のセル壁18及び第2ハニカム構造のセル壁22において、突起14,21の配置形態は、図3に示すハニカム構造における突起14の配置形態と同じである。すなわち、各突起14は、第1ハニカム構造のセル壁の交差領域19aに挟まれた中間領域(塗りつぶされた箇所)19bに、セル壁18の一部をなすような形態で、一単位のセル壁18について6個ずつ配置され、各突起21は、第2ハニカム構造のセル壁の交差領域23aに挟まれた中間領域(ドットを付された箇所)23bに、セル壁22の一部をなすような形態で、一単位のセル壁22について6個ずつ配置されている。
【0029】
上記ブロー成形用金型を用いて第3ブロー成形体を製造する方法は、第2ブロー成形体を製造する方法と実質的に違わない。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、かつ突起21の先端と金型11のキャビティ面13との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第3ブロー成形体を取り出す。
【0030】
第3ブロー成形体では、図6,7から明らかなように、一方の壁から他方の壁に向けて垂直に延びて二重壁の両壁を連結するリブと、前記他方の壁から前記一方の壁に向けて垂直に延びて二重壁の両壁を連結するリブが形成される。どちらのリブも図4に示す形態のハニカム構造を有し、両ハニカム構造は互いに半ピッチ(p/2)ずれた状態で二重壁内に配置されている。図7から理解されるとおり、第3ブロー成形体のリブは、一方のハニカム構造のセル壁と他方のハニカム構造のセル壁が組み合わされ、6角筒状のセル壁内部が3つの菱形筒状に分割された形態となることから、さらに剛性が向上する。
【0031】
(第4ブロー成形体)
図8に示すブロー成形体(第4ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、ハニカム構造を有するリブ3が形成されている。4,5は側壁、6はパーティングライン、2点鎖線は破断線である。
第4ブロー成形体において、第1ブロー成形体と同様に、リブ3は壁1から連続して壁2に向けて垂直に延びて壁1と壁2を連結し、ハニカム構造のセル壁を構成している。ハニカム構造は、隙間なく配置された多数の6角筒状(平面視略正6角形)のセル壁の集合体であり、隣接するセル空間(6角柱状)を区画するセル壁同士がセル壁の1面を共有している。図8において、6角筒状のセル壁を7で示し、隣接するセル空間を8a,8bで示し、同セル空間8a,8bを区画するセル壁同士が共有するセル壁の面を9で示す。
【0032】
リブ3はその頂部が、各セル壁の周に沿った一部の領域において壁2の内側に溶着している。具体的には、リブ3は各セル壁の交差領域において頂部(3角形状)が壁2の内側に達しかつ溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において頂部が壁2の内側との間に隙間を有する。つまり、前記交差領域においてリブ3(リブ3aとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが高く、前記中間領域においてリブ3(リブ3bとして示す部分)は壁1からの立ち上がり高さが低く、垂れ下がった湾曲形状をなす。リブ3aは略3角筒状の凹部(壁1側からみて凹部)として形成され、前記3角筒の稜線がそれぞれリブ3b側に配向している。この例では全ての隣接するセル空間は前記隙間を通して連通し、結果的に全てのセル空間が連通し、通気可能となっている。
この例では、リブ3bは板状の隠しリブとして形成されている。
【0033】
図9に、第4ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する若干の抜き勾配が付いた多数の3角柱状の突起14が設置されている。金型12は平坦なキャビティ面15を有するのみである。突起14は、金型11のキャビティ面13に固定されており、両金型11,12を閉じると先端が金型12のキャビティ面15の近傍に達する。
各突起9は、キャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、前記セル壁の一部をなすように配置される。図10は上記の仮想的なハニカム構造(1つの正6角筒状のセル壁18及びその周辺部を図示)における各突起14の配置形態を示すものである。各突起14は、セル壁18の交差領域19aに、3角柱の稜線をそれぞれ三方のセル壁に向け、前記のとおりセル壁の一部をなすような形態で、単位セル壁あたり6個ずつ配置されている。
【0034】
図9に示すブロー成形用金型を用いて第4ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンを挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第4ブロー成形体を取り出す。
【0035】
図10に示す仮想的なハニカム構造のうち、実際に突起14が配置された交差領域19aにおいては、突起14の先端と金型12のキャビティ面15との間でパリソンが溶着されるため、頂部が壁2に溶着した3角筒状のリブ3aが得られる。一方、突起14が配置されていない中間領域19bにおいては、型締め時点ではパリソンは両側から突起14に引っ張られ、金型12のキャビティ面15に向けて押し込まれるが、パリソン内に加圧エアが吹き込まれると、パリソンの膨張に伴って金型11側に引きずられて後退し、しかし交差領域に溶着部があるため後退し切れず、結果として垂れ下がった湾曲形状のリブ3bが形成される。
【0036】
第4ブロー成形体に形成されるリブ3aは、パリソンが突起14に押されて金型11側に折り込まれ、それが固化したものであるため中空構造を有する。リブ3bは頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、2枚の板が密着して隠しリブとして形成される。
セル壁の中間領域に垂れ下がった形状のリブ3bが形成されることにより、同領域における壁1の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止できると同時に、両壁1,2の肉厚差に基づく成形体の反りが生じにくい。また、壁2とリブ3bの間に形成される隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0037】
なお、上記の例では、突起14は三角柱状であったが、例えば円柱状など他の形態を取ることができる。いずれにしてもハニカム構造の交差領域には、突起14の形状に倣った筒状のリブが形成される。また、突起14は、図2に示す金型11の突起14のようにスライド金型として設置することもできる。その場合、ハニカム構造の交差領域に、当初筒状として形成されたリブが密着した隠しリブが形成される。
【0038】
(第5ブロー成形体)
図11に、第5ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11には平坦なキャビティ面13から突出する多数の3角柱状の突起14が設置されている。また、金型12にも平坦なキャビティ面15から突出する多数の3角柱状の突起21が設置されている。突起14及び突起21の突出高さは、第4ブロー成形体を製造するブロー成形金型の突起の略半分の高さである。
図11に示すブロー成形金型において、キャビティ面13上に6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき、突起14は図10に示す形態で前記ハニカム構造のセル壁の一部をなすように配置されている。突起21は、突起14に対し面対称的に対向配置されている。これにより、両金型11,12を閉じると両突起14,21の先端が金型11,12により構成されるキャビティの略中央部に達し、両突起14,21の先端同士が対向し、両者の間に所定の隙間(パリソンの厚みの2倍未満)が形成される。
【0039】
上記ブロー成形用金型を用いて第5ブロー成形体を製造する方法は、通常の凹状リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法と同様である。製造方法の一例を示すと、対向配置された金型11,12の間にプラスチックのパリソンを下降させ、型締めし、このとき突起14の先端と突起21の先端との間でパリソンをキャビティの略中央部で挟んで溶着し、パリソン内に加圧エアを吹き込み、冷却後金型11,12を開いて成形された第5ブロー成形体を取り出す。
【0040】
第5ブロー成形体では、図11に示す金型構造及び上記の説明から明らかなように、一方の壁から他方の壁に向けて延びる三角筒状のリブの頂部と、前記他方の壁から一方の壁に向けて延びる三角筒状のリブの頂部が互いに押し付けられて溶着し、全体として一方の壁と他方の壁を連結し中央部に隔壁が形成された三角筒状のリブ(図8のリブ3a参照)が形成される。また、隣接する三角筒状のリブをつなぐように、一方の壁から他方の壁に向けて延びる板状リブと、それに対向して前記他方の壁から前記一方の壁に向けて延びる板状リブが形成され、対向する両板状リブの頂部が二重壁の中間位置において一方の壁側及び他方の壁側に垂れ下がった湾曲形態(図8のリブ3b参照)を有し、両頂部間に隙間が形成される。
【0041】
第5ブロー成形体において、前記三角筒状のリブと板状リブは全体としてハニカム構造を有する。このハニカム構造において、三角筒状のリブはセル壁の交差領域に配置され、板状リブが前記交差領域に挟まれた中間領域に配置された形態となる。三角筒状のリブは、パリソンが突起14,21に押されてそれぞれ対向する金型側に折り込まれ、それが固化したものであるため中央部に前記隔壁を持つ中空構造を有する。板状リブは頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、2枚の板が密着して隠しリブとして形成される。
第5ブロー成形体は、二重壁の両壁から対称的にリブが形成されていることから両壁の間に肉厚差が生じない。また、板状リブの中間位置に前記隙間があることで、前記中間領域における二重壁の両壁の薄肉化が緩和され、剛性の低下を防止でき、同時に、前記隙間を通して、加圧エアを全てのセル空間内に導入し、金型形状に沿った成形体を製造することができる。
【0042】
なお、型締めの際に対向配置される突起14,21を金型11,12の両方に形成した図11の金型構造は、図2,5等に示されたブロー成形用金型にも適用できる。また、図11の金型構造において、突起14,15を、図2に示す金型11の突起14のようにスライド金型として設置することもできる。
【0043】
(第6ブロー成形体)
図12に、第6ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(金型11,12)を示す。
金型11のキャビティ面13に形成された三角柱状の突起14をつなぐやや低く突出する板状の突起24が形成され、その点でのみ、第4ブロー成形体を製造するブロー成形用金型(図9参照)と異なる。金型11のキャビティ面13上に正6角筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定したとき(図10参照)、突起14は前記ハニカム構造の交差領域にセル壁の一部をなすような形態で、前記突起24は2つの交差領域に挟まれた中間領域に同じくセル壁の一部をなすような形態でそれぞれ配置される。
【0044】
第6ブロー成形体は、図12に示すブロー成形用金型を用い、第4ブロー成形体と同様の製造方法で製造することができる。成形された第6ブロー成形体において、二重壁の両壁間に形成されるリブは、第4ブロー成形体と同様に6角筒状のセル壁からなるハニカム構造を有するが、該ハニカム構造のセル壁の中間領域に形成されるリブは垂れ下がりが突起24により規制される。いずれにしても、前記中間領域に形成されるリブは、頂部において折り返された2枚の板からなり(二重壁構造)、板状の凹部(一方の壁からみて凹部)として形成される。なお、突起24の突出高さが低くリブの垂れ下がりが小さい(リブの頂部の高さが突起の高さより大きい)場合は、凹部として形成された前記リブの先(壁2側)に中実板状のリブ(2枚の板が密着したもの)が形成される。
なお、図12のブロー成形用金型において、突起14と突起24のキャビティ面13からの突出高さを逆転させることも考えられる。
【符号の説明】
【0045】
1,2 二重壁の壁
3 リブ
4,5 側壁
7 セル壁
8a,8b セル空間
9 セル壁の面
11,12 金型
13,15 キャビティ面
14,21 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重壁のブロー成形体に二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する第1リブが形成され、前記第1リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延び、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記他方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項2】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項1に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項3】
前記第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側に溶着していることを特徴とする請求項2に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項4】
セル壁の前記交差領域において、前記第1リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項3に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項5】
さらに、二重壁の前記他方の壁から連続して前記一方の壁に向けて延びる第2リブが形成され、この第2リブも前記第1リブと同様のハニカム構造を有し、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記一方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記一方の壁の内側との間に隙間を有し、両ハニカム構造は平面視略正6角形である6角筒状のセル壁からなり、かつ前記正六角形の1組の対辺に沿って半ピッチずれた状態で二重壁内に配置されていることを特徴とする請求項4に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項6】
前記第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において前記他方の壁の内側に溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有することを特徴とする請求項2に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項7】
セル壁の前記中間領域において、前記第1リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項6に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項8】
二重壁のブロー成形体に、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するリブが形成され、前記リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、対向する頂部同士が各セル壁の周に沿った一部の領域において互いに溶着し、他の領域において互いに隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項9】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項8に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項10】
前記リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において互いに溶着していることを特徴とする請求項9に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項11】
セル壁の前記交差領域において、前記リブが板状の隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項10に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項12】
前記リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において互いに隙間を有することを特徴とする請求項9に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項13】
セル壁の前記中間領域において、前記リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項12に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項14】
一方の壁と他方の壁を連結するリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型において、対向する一対の金型の内側形状により前記二重壁ブロー成形体の成形用キャビティが構成され、一方の金型にキャビティ面から突出する多数の第1突起が設置され、両金型を閉じたとき前記第1突起の先端が他方の金型のキャビティ面近傍に達し、前記一方の金型のキャビティ面上に、多数の筒状のセル壁からなる仮想的な第1ハニカム構造を想定した場合に、前記第1突起が前記第1ハニカム構造の各セル壁の一部をなす形態で配置されていることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項15】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項14に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項16】
前記第1突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が前記一方の金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項14又は15に記載されたブロー成形用金型。
【請求項17】
前記第1突起がセル壁の交差領域に配置されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項18】
前記第1突起が板状をなし、セル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項19】
前記第1ハニカム構造のセル壁が平面視略正6角形の6角筒状をなし、前記他方の金型にキャビティ面から突出する多数の第2突起が設置され、前記第2突起が板状をなし、両金型を閉じたとき前記第2突起の先端が前記一方の金型のキャビティ面近傍に達し、前記他方の金型のキャビティ面上に、平面視略正6角形の6角筒状のセル壁からなりかつ隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する仮想的な第2ハニカム構造を想定した場合に、前記第2突起が前記第2ハニカム構造の各セル壁の一部をなす形態で、前記セル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置され、かつ両金型が閉じたとき前記第1,第2ハニカム構造は前記正6角形の1組の対辺に沿って互いに半ピッチずれた状態でキャビティ内に位置することを特徴とする請求項18に記載されたブロー成形用金型。
【請求項20】
前記第2突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が前記一方の金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項19に記載されたブロー成形用金型。
【請求項21】
一方の壁と他方の壁を連結するリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型において、対向する一対の金型の内側形状により前記二重壁ブロー成形体の成形用キャビティが構成され、一方の金型にキャビティ面から突出する多数の第1突起が設置され、他方の金型にキャビティ面から突出する多数の第2突起が設置され、両金型を閉じたとき第1突起の先端が第2突起の先端近傍に達し、各金型のキャビティ面上に、それぞれ多数の筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定した場合に、前記第1,第2突起が各ハニカム構造の単位セル壁の一部をなす形態で配置されていることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項22】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項21に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項23】
前記第1突起及び/又は第2突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が各金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項21又は22に記載されたブロー成形用金型。
【請求項24】
前記第1突起及び第2突起がそれぞれセル壁の交差領域に配置されていることを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項25】
前記第1突起及び第2突起が板状をなし、それぞれセル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置されていることを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項26】
請求項14〜25のいずれかに記載されたブロー成形用金型を用いてプラスチックのパリソンをブロー成形することを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体のブロー成形方法。
【請求項1】
二重壁のブロー成形体に二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する第1リブが形成され、前記第1リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延び、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記他方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項2】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項1に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項3】
前記第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側に溶着していることを特徴とする請求項2に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項4】
セル壁の前記交差領域において、前記第1リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項3に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項5】
さらに、二重壁の前記他方の壁から連続して前記一方の壁に向けて延びる第2リブが形成され、この第2リブも前記第1リブと同様のハニカム構造を有し、その頂部が各セル壁の周に沿った一部の領域において前記一方の壁の内側に溶着し、他の領域において前記一方の壁の内側との間に隙間を有し、両ハニカム構造は平面視略正6角形である6角筒状のセル壁からなり、かつ前記正六角形の1組の対辺に沿って半ピッチずれた状態で二重壁内に配置されていることを特徴とする請求項4に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項6】
前記第1リブの頂部が、セル壁の交差領域において前記他方の壁の内側に溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において前記他方の壁の内側との間に隙間を有することを特徴とする請求項2に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項7】
セル壁の前記中間領域において、前記第1リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項6に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項8】
二重壁のブロー成形体に、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するリブが形成され、前記リブは多数の筒状のセル壁からなるハニカム構造を有し、前記一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、対向する頂部同士が各セル壁の周に沿った一部の領域において互いに溶着し、他の領域において互いに隙間を有し、各セル壁により区画された二重壁内のセル空間が前記隙間を通して互いに連通していることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項9】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項8に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項10】
前記リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに隙間を有し、前記交差領域に挟まれた中間領域において互いに溶着していることを特徴とする請求項9に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項11】
セル壁の前記交差領域において、前記リブが板状の隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項10に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項12】
前記リブの対向する頂部同士が、セル壁の交差領域において互いに溶着し、前記交差領域に挟まれた中間領域において互いに隙間を有することを特徴とする請求項9に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項13】
セル壁の前記中間領域において、前記リブが隠しリブとして形成されていることを特徴とする請求項12に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項14】
一方の壁と他方の壁を連結するリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型において、対向する一対の金型の内側形状により前記二重壁ブロー成形体の成形用キャビティが構成され、一方の金型にキャビティ面から突出する多数の第1突起が設置され、両金型を閉じたとき前記第1突起の先端が他方の金型のキャビティ面近傍に達し、前記一方の金型のキャビティ面上に、多数の筒状のセル壁からなる仮想的な第1ハニカム構造を想定した場合に、前記第1突起が前記第1ハニカム構造の各セル壁の一部をなす形態で配置されていることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項15】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項14に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項16】
前記第1突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が前記一方の金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項14又は15に記載されたブロー成形用金型。
【請求項17】
前記第1突起がセル壁の交差領域に配置されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項18】
前記第1突起が板状をなし、セル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項19】
前記第1ハニカム構造のセル壁が平面視略正6角形の6角筒状をなし、前記他方の金型にキャビティ面から突出する多数の第2突起が設置され、前記第2突起が板状をなし、両金型を閉じたとき前記第2突起の先端が前記一方の金型のキャビティ面近傍に達し、前記他方の金型のキャビティ面上に、平面視略正6角形の6角筒状のセル壁からなりかつ隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有する仮想的な第2ハニカム構造を想定した場合に、前記第2突起が前記第2ハニカム構造の各セル壁の一部をなす形態で、前記セル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置され、かつ両金型が閉じたとき前記第1,第2ハニカム構造は前記正6角形の1組の対辺に沿って互いに半ピッチずれた状態でキャビティ内に位置することを特徴とする請求項18に記載されたブロー成形用金型。
【請求項20】
前記第2突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が前記一方の金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項19に記載されたブロー成形用金型。
【請求項21】
一方の壁と他方の壁を連結するリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型において、対向する一対の金型の内側形状により前記二重壁ブロー成形体の成形用キャビティが構成され、一方の金型にキャビティ面から突出する多数の第1突起が設置され、他方の金型にキャビティ面から突出する多数の第2突起が設置され、両金型を閉じたとき第1突起の先端が第2突起の先端近傍に達し、各金型のキャビティ面上に、それぞれ多数の筒状のセル壁からなる仮想的なハニカム構造を想定した場合に、前記第1,第2突起が各ハニカム構造の単位セル壁の一部をなす形態で配置されていることを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項22】
前記セル壁が複数の面からなる角筒状で、隣接するセル空間を区画するセル壁同士がセル壁の一面を共有していることを特徴とする請求項21に記載されたハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体を製造するブロー成形用金型。
【請求項23】
前記第1突起及び/又は第2突起がキャビティ面から突出及び後退可能なスライド金型であり、後退したとき先端が各金型のキャビティ面の一部をなすことを特徴とする請求項21又は22に記載されたブロー成形用金型。
【請求項24】
前記第1突起及び第2突起がそれぞれセル壁の交差領域に配置されていることを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項25】
前記第1突起及び第2突起が板状をなし、それぞれセル壁の交差領域に挟まれた中間領域に配置されていることを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載されたブロー成形用金型。
【請求項26】
請求項14〜25のいずれかに記載されたブロー成形用金型を用いてプラスチックのパリソンをブロー成形することを特徴とするハニカム構造のリブを有する二重壁ブロー成形体のブロー成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−158099(P2012−158099A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19419(P2011−19419)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(390040958)みのる化成株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(390040958)みのる化成株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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