説明

ハロゲンランプ装置、加熱装置

【課題】レニウム入りのタングステンの特徴を生かしながら安価なハロゲンランプを実現する。
【解決手段】両端に封止部131,132が形成された石英ガラス製のバルブ11内の長手方向に局部的に発光部121および非発光部122を有するタングステン製のフィラメント12および不活性ガスを封入し、封止部131,132からフィラメント12に接続した外部導入線151,152を導出してハロゲンランプL1を構成する。両端に封止部231,232が形成された石英ガラス製のバルブ21内の長手方向に局部的に発光部221および非発光部222を有するレニウムタングステン製のフィラメント22および不活性ガスを封入し、封止部231,232からフィラメント22に接続した外部導入線251,252が導出してハロゲンランプL2を構成する。待機状態時にハロゲンランプL2を発光させることで消費電力の低減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンター等のトナー定着装置の定着用ヒータとして用いられるハロゲンランプ装置およびこのハロゲンランプ装置を用いた加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の定着用ヒータとして用いられるヒータは、発光管内にハロゲンが封入され、タングステンフィラメントを配置させて構成したハロゲンランプを併設させた状態で使用している。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−311220公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、少なくともタングステンをフィラメントとする2本のハロゲンランプを用いており、これらのハロゲンランプは待機状態のときから使用状態への立ち上がり時間を短くすることからタングステンフィラメントに所定の電力を供給して加熱させた状態にしてある。
【0005】
しかしながら、タングステンフィラメントでは電気比抵抗が小さいことから待機状態時での電力量を抑えるには限度がある。このため、特許文献1のハロゲンランプをタングステンと比べて電気比抵抗が大きいレニウムタングステンを使用した特開2005−32552号公報に記載のハロゲンランプを使用することも考えられるが、レニウムタングステンは非常に高価であることから、単純にレニウム入りのタングステンをフィラメントとするハロゲンランプを定着用として複数本使用することは経済的にもできない、という問題があった。
【0006】
この発明の目的は、待機時における電力を抑えることで、省エネ化を図ることのできるハロゲンランプ装置およびこのハロゲンランプ装置を用いた加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、この発明のハロゲンランプ装置は、両端に封止部が形成された石英ガラス製のバルブ内に、該バルブの長手方向に局部的に発光部および非発光部を有するタングステン製のフィラメントおよび不活性ガスを封入し、前記封止部から前記フィラメントに接続した外部導入線が導出された第1のハロゲンランプと、両端に封止部が形成された石英ガラス製のバルブ内に、該バルブの長手方向に局部的に発光部および非発光部を有するレニウムタングステン製のフィラメントおよび不活性ガスを封入し、前記封止部から前記フィラメントに接続した外部導入線が導出された第2のハロゲンランプと、前記第1および第2のハロゲンランプを所定の間隔で保持するサポート部材とを具備したことを特徴とする。
【0008】
この発明の加熱装置は、上下に配置され少なくとも一方は加熱される第1および第2のローラと、前記第1または第2のローラ内に配置された請求項1〜4いずれかに記載の第1および第2のハロゲンランプからなるハロゲンランプ装置と、予めトナーが転写された複写紙が前記第1および第2のローラとの間を移動させて前記トナーを定着させる手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、通常の使用時と待機時に兼用となるハロゲンランプにレニウムタングステンをフィラメントに使用したことから、待機時における電力量を抑えることが可能とる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のハロゲンランプ装置に関する一実施形態について説明するための全体斜視図である。
【図2】図1のIa−Ib線から見た断面図である。
【図3】図1のハロゲンランプ装置のより詳細について説明するための正面図である。
【図4】タングステンとレニウムタングステンの電気比抵抗特性について説明するための説明図である。
【図5】図1のハロゲンランプL1,L2の使い分けについて説明するための説明図である。
【図6】図1のハロゲンランプL1,L2の使い分けについて説明するための説明図である。
【図7】この発明の効果について説明するための説明図である。
【図8】この発明のハロゲンランプ装置に関する他の実施形態について説明するための全体斜視図である。
【図9】図8のIIa−IIb線から見た断面図である。
【図10】図8のハロゲンランプ装置のより詳細について説明するための正面図である。
【図11】図8のハロゲンランプL1,L3,L4の使い分けについて説明するための説明図である。
【図12】図8のハロゲンランプL1,L3,L4の使い分けについて説明するための説明図である。
【図13】この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための概略的な構成図である。
【図14】図13のIIIa−IIIb線から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1〜図3は、この発明のハロゲンランプ装置に関する一実施形態について説明するための、図1は全体斜視図、図2は図1のIa−Ib線から見た断面図、図3は図1のハロゲンランプ装置の詳細について説明するための正面図である。
【0013】
図1〜図3において、L1、L2は、ヒータの役目を果たす直管型のハロゲンランプである。ハロゲンランプL1は、石英ガラス製のバルブ11内にコイル状のタングステン製のフィラメント12が収容される。フィラメント12は、タングステン素線を巻回したコイル状の複数の発光部121、これら発光部121間に粗巻き状や直線状の非発光部122や両端にレグ部123,124を備え、さらに複数のサポート部材125によりバルブ11内に支持される。
【0014】
なお、ハロゲンランプL1は、フィラメントがタングステン製である第1のハロゲンランプを、ハロゲンランプL2は、フィラメントがレニウムタングステン製である第2のハロゲンランプをそれぞれ構成している。
【0015】
ハロゲンランプL2は、石英ガラス製のバルブ21内にコイル状のレニウムタングステン製のフィラメント22が収容される。フィラメント22は、レニウムタングステン素線を巻回したコイル状の複数の発光部221、これら発光部221間に粗巻き状や直線状の非発光部222や両端にレグ部223,224を備え、さらに複数のサポート部材225によりバルブ11内に支持される。
【0016】
図3に示すように、ハロゲンランプL1の軸方向の両端は、減圧封止による封止部131,132が形成される。封止部131,132には、モリブデン箔などの金属箔141,142がそれぞれ気密に封止される。金属箔141の一端側にはフィラメント12の一端のレグ部123と接続され、他端側には外部リード151が接続される。金属箔142の一端側にはフィラメント12の一端のレグ部124と接続され、他端側には外部リード152が接続される。
【0017】
また、ハロゲンランプL2の軸方向の両端は、減圧封止による封止部231,232が形成される。封止部231,232には、モリブデン箔などの金属箔241,242がそれぞれ気密に封止される。金属箔241の一端側にはフィラメント22の一端のレグ部223と接続され、他端側には外部リード251が接続される。金属箔242の一端側にはフィラメント22の一端のレグ部224と接続され、他端側には外部リード252が接続される。
【0018】
バルブ11,21内には、それぞれ微量のハロゲン物質たとえば臭素Brと塩素Clとの混合物とともに、アルゴンArや窒素Nなどの不活性ガスが、常温25℃で約0.9×10Pa(パスカル)の圧力封入してある。
【0019】
ハロゲンランプL2は、A4サイズの用紙の領域を加熱可能な範囲で発光するように発光部121が配置され、ハロゲンランプL1は、A3サイズの用紙の領域のうち、A4サイズとラップしない領域を加熱可能な範囲で発光するように発光部221が配置されている。
【0020】
図1に示すように、ハロゲンランプL1の外部リード151は、ハロゲンランプL1,L2を並列して配設させるステアタイトなどのセラミックス製のほぼ直方体形状の絶縁性のベース部材16内で電力供給用のリード線171と接続される。同じように、ハロゲンランプL2の外部リード251は、ベース部材16内で電力供給用のリード線172と接続される。
【0021】
ハロゲンランプL1の外部リード152は、ハロゲンランプL1,L2を並列して配設させるステアタイトなどのセラミックス製の直方体形状の絶縁性ベース部材18内で電力供給用のリード線19と接続される。ハロゲンランプL2の外部リード252は、ベース部材18内で電力供給用のリード線19と接続される。つまり、外部リード152,252は、ベース部材18内でリード線19と共通接続される。
【0022】
リード線171と172それにリード線19に電力を供給し、フィラメント12,22の両端にそれぞれ電力が印加されると、ハロゲンランプL1は発光部121のあるフィラメント12で、ハロゲンランプL2は発光部221のあるフィラメント22でそれぞれ局所的に発光が行われる。
【0023】
ここで、図4を参照しながら、ハロゲンランプL2のフィラメント22として使用されるタングステンに含有させるレニウムの量に基づき異なる電気比抵抗特性について説明する。
【0024】
図4のa〜cは、それぞれ26%、15%、3%とレニウムの含有量が異なるレニウムタングステンによる電気比抵抗特性を、図4のdは、タングステンの電気比抵抗特性をそれぞれ示している。レニウムが26%,15%含有されたレニウムタングステンの電気比抵抗は、レニウムが3%含有されたタングステンおよびタングステンに比べて倍以上の高い値を示している。
【0025】
従って、同じ電力が供給された場合における発熱量としては、レニウムの含有量が高いことの方がより高いものとなる。レニウムの含有量が3%程度であった場合でも、図4から明らかなように、タングステンよりも電気比抵抗が大きいことから、同じ電力であった場合におけるタングステン製のフィラメントによるハロゲンランプに比して発熱量を増やすことができる。
【0026】
図5、図6は、ハロゲンランプL1,L2の使い分けについて説明するための説明図である。
【0027】
図5(a)は、図6のスイッチSW1をオンし、ハロゲンランプL1を発光させた場合の概念的な温度分布を示している。図5(b)は、図6のスイッチSW2をオンし、ハロゲンランプL2を発光させた場合の概念的な温度分布を示している。図5(c)は、図6のスイッチSW1,SW2をオンし、ハロゲンランプL1,L2を発光させた場合の概念的な温度分布を示している。
【0028】
通常の使用状態の場合のスイッチSW1,SW2は、A4サイズあるいはA3サイズの用紙に拘わらず何れもオンとする。待機状態の場合は、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにする。なお、VR1,VR2は、ハロゲンランプL1,L2に流れる電流を調整し、温度を調整するためボリウムである。
【0029】
待機状態下では、スイッチSW2のオンにより電源61が供給されてハロゲンランプL2は発光することになるが、ハロゲンランプL2のフィラメント22は、図4に示す3%、15%、26%のようなレニウムが含有されたタングステン製であることから、電気比抵抗がタングステン製のものに比べて高いものとなる。
【0030】
レニウムタングステンの電気比抵抗は高いことから、待機状態時に低電力であっても、レニウムタングステンがフィラメントとして用いられたハロゲンランプL2は、所望の発熱量を得ることが可能となる。このため、待機時に発光させているハロゲンランプL2は、電力を小さくしても、待機時に必要な発熱量の確保ができることから省電力化に寄与する。
【0031】
つまり、図7に示すように、待機時には、ハロゲンランプL2を駆動する電流を減らして発熱量を抑えるが、ハロゲンランプのフィラメントの電気比抵抗が大きい。このため、減らせる電流量はより大きくできることから、結果として電力量を低減させることが可能となる。
【0032】
なお、レニウムの含有量は、図4に示すようにその量が多いほど電気比抵抗を高くすることができる。3%のレ二ウムが含有されたタングステンであっても有効に作用する。希少金属で高価な材料であるレニウムの量は、システムのグレードとの関係もあるが、効果を享受できる範囲でかつ少ない量が好ましい。
【0033】
この実施形態では、通常使用時と待機時に兼用となるハロゲンランプにレニウムタングステンをフィラメントに使用したことから、待機時における電力量を抑えることが可能となり、低電力化に寄与することができる。
【0034】
なお、上記したハロゲンランプL1〜L2のそれぞれの封止部131,132、231,232は、いずれも減圧封止例について説明したが、相対する方向から金型を用いて押し潰すことにより成形される圧潰封止(ピンチシール)であっても構わない。
【0035】
図8〜図10は、この発明のハロゲンランプ装置に関する他の実施形態について説明するためのものであり、図8は全体斜視図を、図9は図8のIIa−IIb線から見た断面図を、図10は図8のハロゲンランプ装置の詳細について説明するための正面図をそれぞれ示している。上記した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分について説明する。
【0036】
この実施形態は、ハロゲンランプを3本にし、ハロゲンランプL3はA4サイズの幅に相当する領域を、ハロゲンランプL4はA3サイズの幅に相当する領域をそれぞれ加熱可能とするものである。ハロゲンランプL1は、図3で説明したハロゲンランプL1と同一の構成をしている。
【0037】
ハロゲンランプL3は、石英ガラス製のバルブ31内にコイル状のタングステン製のフィラメント32が収容される。フィラメント32は、タングステン素線を巻回したコイル状の複数の発光部321、これら発光部321間に粗巻き状や直線状の非発光部322や両端にレグ部323,324を備え、さらに複数のサポート部材325により支持される。発光部321は、A4サイズの用紙に相当する領域全般に適宜分布した状態で配置されている。
【0038】
ハロゲンランプL4は、石英ガラス製のバルブ41内にコイル状のレニウムタングステン製のフィラメント42が収容される。フィラメント42は、レニウムタングステン素線を巻回したコイル状の複数の発光部421、これら発光部421間に粗巻き状や直線状の非発光部422や両端にレグ部423,424を備え、さらに複数のサポート部材425により支持される。発光部421は、A3サイズに相当する領域全般に分布して配置されている。
【0039】
なお、ハロゲンランプL1,L3は、フィラメントがタングステン製の第1のハロゲンランプを、ハロゲンランプL4は、フィラメントがレニウムタングステン製の第2のハロゲンランプをそれぞれ構成している。
【0040】
図8に示すように、ハロゲンランプL1の外部リード151は、ハロゲンランプL1,L3,L4を並列して配設させるステアタイトなどのセラミックス製の直方体形状の絶縁性のベース部材81内で電力供給用のリード線821と接続される。ハロゲンランプL3の外部リード351は、ベース部材81内で電力供給用のリード線822と接続される。さらに、ハロゲンランプL4の外部リード451は、ベース部材81内で電力供給用のリード線823と接続される。
【0041】
ハロゲンランプL1の外部リード152は、ハロゲンランプL1,L3,L4を並列して配設させるステアタイトなどのセラミックス製の直方体形状の絶縁性ベース部材83内で電力供給用のリード線84と接続される。ハロゲンランプL3の外部リード352は、ベース部材83内で電力供給用のリード線84と接続される。ハロゲンランプL4の外部リード452は、ベース部材83内で電力供給用のリード線84と接続される。すなわち、外部リード152,352,452は、ベース部材83内でリード線84と共通に接続される。
【0042】
リード線821〜823それぞれとリード線84に電源61から電力を供給すると、フィラメント12,32,42の両端にそれぞれ電力が印加される。ハロゲンランプL1,L3,L4では、発光部のあるフィラメント12,32,42でそれぞれ局所的に発光が行われる。
【0043】
VR3,VR4は、ハロゲンランプL3,L4に流れる電流を調整し、ボリウムVR1とともに所望の温度に調整するためボリウムである。
【0044】
図11、図12は、ハロゲンランプL1,L3,L4の使い分けについて説明するための説明図である。
【0045】
図11(a)は、図12のスイッチSW1をオンし、ハロゲンランプL1を発光させた場合の概念的な温度分布を、図11(b)は、図12のスイッチSW3をオンし、ハロゲンランプL3を発光させた場合の概念的な温度分布を、図11(c)は、図12のスイッチSW4をオンし、ハロゲンランプL4を発光させた場合の概念的な温度分布を、それぞれ示している。
【0046】
通常の使用状態の場合のスイッチSW1,SW3は、A4サイズあるいはA3サイズの用紙に拘らず何れもオンとする。待機状態の場合は、スイッチSW1,SW3をオフにし、スイッチSW4をオンにする。
【0047】
待機状態下では、スイッチSW4のオンにより電源61が供給されてハロゲンランプL4が発光することになるが、ハロゲンランプL4のフィラメント42は、図4に示す3%、15%、26%のようなレニウムが含有されたタングステン製であることから、電気比抵抗がタングステン製の比べて高いものとなる。
【0048】
このように、レニウムタングステンの電気比抵抗は、タングステンに比して高いことから、待機状態時に低電力であっても所望の発熱量を得ることが可能となる。このため、待機時に発光されるハロゲンランプL4は、電力量を小さくしても、所望の発熱量の確保ができることから省電力化に寄与する。
【0049】
この実施形態では、通常の使用状態時には3本のハロゲンランプによる高温加熱が可能で、待機状態のときは電力量を抑えることのできるレニウムタングステン製のフィラメントを使用したハロゲンランプで加熱させることを可能としたことで省電力を実現することができる。
【0050】
ところで、レニウムタングステンを使用したフィラメントは、電気比抵抗が大きいことから、ランプの冷間時に電圧を印加した場合、インラッシュ電流がフィラメントとして小さくなる。そのため、レニウムタンステンのフィラメントのハロゲンランプとタングステンフィラメントのハロゲンランプとを多灯使いをした場合に、フリッカ防止に効果がある。
【0051】
また、レニウムタングステンフィラメントのインラッシュ電流は、タングステンフィラメントの3%減程度に比して30%程度の減となる。つまり、待機モードから大電力を投入した場合においても、インラッシュ電流を低減できることから、その分の電力を投入を抑えることができ、省エネに寄与することが可能となる。
【0052】
図13、図14は、図1〜図6で説明したハロゲンランプ装置を用いたこの発明の加熱装置の一実施形態について説明するための、図13は概略的な構成図、図14は図13のIIIa−IIIb線から見た断面図である。
【0053】
図13、図14において、300は加熱装置である。301はアルミニウムや鉄等の金属からなる円筒状の加熱ローラであり、加熱ローラ301の外周面には耐熱性の樹脂による被覆材302が被覆されている。加熱ローラ301の内部には、発熱源であるハロゲンランプL1,L2がベース部材16,18を介して、シャーシ等の支持された図示しない支持部材を用いてそれぞれ支持される。
【0054】
ハロゲンランプL1,L2を加熱ローラ301に収容させる場合は、作業性の効率を考えベース部材16,18を予め取り付けた状態でベース部材16,18の何れか一方から挿入される。ベース部材16,18が取り付けられた状態であっても、加熱ローラ301の内径を大きくすることなく収容させることが可能である。
【0055】
303は、加熱ローラ301と圧接して下方に対向配置されたアルミニウムや鉄等の金属からなる円筒状の加圧ローラである。加圧ローラ303の外周面には、例えばシリコンゴムによる弾性体層304が被覆されている。この弾性体層304の表面には、通過する紙が定着後に加圧ローラ303から離れやすくなるように、表面を平滑にする樹脂コーティングを形成してもよい。
【0056】
加圧ローラ303は、軸305を支持手段306に回転自在に支持させることで加圧ローラ303を回転させることができる。また、加熱ローラ301の両端には回転ギア307が取り付けられ、これら回転ギア307とモータの回転軸に取り付けた回転ギアを噛み合わせて、モータを回転させることで、加熱ローラ301と加圧ローラ303を図14の矢印A,B方向にそれぞれ回転させることができる。
【0057】
加熱ローラ301内に配置したハロゲンランプL1,L2がリード線171/172とリード線19を介して通電されると、加熱ローラ301が発熱してヒートアップ(昇温)する。
【0058】
そこで、図14の矢印A,B方向に加熱ローラ301と加圧ローラ303を回転させると、図示しない転写ドラムなどからトナーTが所定分布状態に転写された複写紙Pを、ヒートアップされた加熱ローラ301と加圧ローラ303間に送り込ませる。すると、複写紙Pおよび前の工程で塗布されたトナーT1が複写紙Pの上下から加熱されることになる。そして、加熱されたトナーT2が溶融後複写紙P上に定着し、所定の文字や図柄などとして描かれる。
【0059】
加熱装置300の通常使用時には、加熱装置300内に設置された図4に示すスイッチSW1,SW2をオンさせ、ハロゲンランプL1,L2による加熱ローラ301への加熱が行われる。
【0060】
加熱装置300を待機状態とした場合には、図4に示すスイッチSW1をオフし、スイッチSW2をオンさせてハロゲンランプL2による加熱が行われる。このとき、ハロゲンランプL2のフィラメント22はレニウムタングステン製としたことから、少ない電流にしたとしても所望の発熱量が得られる。このため待機時における電力を低く抑えることができる。
【0061】
この実施形態では、通常使用時と待機時に兼用となるハロゲンランプとしてレニウムタングステンをフィラメントに使用したことから、待機時における電力量を抑えることが可能となり、低電力化に寄与することができる。
【0062】
上記した加熱装置では、加圧ローラ303も加熱ローラ301と同様の加熱ローラの構成にしても構わない。また、ハロゲンランプの数は、2本の例で説明したが、3本以上であっても構わない。この場合は、少なくとも1本のハロゲンランプのフィラメントをレニウムタングステン製とする。
【0063】
なお、加熱装置の用途としては、複写機等の画像形成装置の定着用に用いたが、これに限らず、家庭用の電気製品、業務用や実験用の精密機器や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用し同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0064】
L1〜L4 ハロゲンランプ
11,21,31,41 バルブ
12,32 タングステン製フィラメント
121,221,321,421 発光部
122,222,322,422 非発光部
123,124,223,224,323,324,423,424 レグ部
125,225,325,425 サポート部材
131,132,231,232,331,332,431,432 封止部
141,142,241,242,341,342,441,442 金属箔
151,152,251,252,351,352,451,452 外部導入線
22,42 レニウムタングステン製フィラメント
16,18,81,83 ベース部材
171,172,19,821〜823,84 リード線
300 加熱装置
301 加熱ローラ
303 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に封止部が形成された石英ガラス製のバルブ内に、該バルブの長手方向に局部的に発光部および非発光部を有するタングステン製のフィラメントおよび不活性ガスを封入し、前記封止部から前記フィラメントに接続した外部導入線が導出された第1のハロゲンランプと、
両端に封止部が形成された石英ガラス製のバルブ内に、該バルブの長手方向に局部的に発光部および非発光部を有するレニウムタングステン製のフィラメントおよび不活性ガスを封入し、前記封止部から前記フィラメントに接続した外部導入線が導出された第2のハロゲンランプと、
前記第1および第2のハロゲンランプを所定の間隔で保持するサポート部材とを具備したことを特徴とするハロゲンランプ装置。
【請求項2】
前記第2のハロゲンランプは、A4の用紙サイズに相当する領域を、前記第1のハロゲンランプは、A3の用紙サイズに相当する領域であり、A4の用紙が通過する領域に相当する領域を除いて加熱させることを特徴とする請求項1記載のハロゲンランプ装置。
【請求項3】
前記第2のハロゲンランプは、A3の用紙サイズに相当する領域を、少なくとも前記第1のハロゲンランプを2本用意し、1本はA4の用紙サイズに相当する領域を、もう1本はA3の用紙サイズに相当する領域であり、A4の用紙が通過する領域に相当する領域を除いて加熱させることを特徴とする請求項1記載のハロゲンランプ装置。
【請求項4】
使用状態では、前記第1および第2のハロゲンランプをオンにし、待機状態では、前記第2のハロゲンランプをオンにし、前記第1のハロゲンランプをオフにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲンランプ装置。
【請求項5】
上下に配置され少なくとも一方は加熱される第1および第2のローラと、
前記第1または第2のローラ内に配置された請求項1〜4いずれかに記載の第1および第2のハロゲンランプからなるハロゲンランプ装置と、
予めトナーが転写された複写紙が前記第1および第2のローラとの間を移動させて前記トナーを定着させる手段とを具備したことを特徴とするトナー定着装置。
【請求項6】
使用状態では、前記第1および第2のハロゲンランプをオン状態とし、待機状態では、前記第2のハロゲンランプをオン状態とし、前記第1のハロゲンランプをオフ状態としたことを特徴とする請求項5記載のトナー定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−134456(P2011−134456A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290179(P2009−290179)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】