説明

ハロゲン化ビアリール複素環式化合物ならびにその作製方法および使用方法

本発明は、一般に、抗感染薬、増殖抑制薬、抗炎症薬および腸管運動促進薬に関する。より詳細には、本発明は、そうした薬剤として有用である、少なくとも1つのハロゲン化炭化水素部分、ビアリール部分および少なくとも1つの複素環部分を有する一群の化合物に関する。


式中、Het−CH−Rは、


から成る群より選択され;AおよびBは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルから成る群より独立して選択され;Mは、ハロゲン化C1〜6アルキル基、C2〜6アルケニル基またはC2〜6アルキニル基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年12月17日に出願された、米国特許出願第60/530,371号および2004年6月2日に出願された、米国特許出願第60/576,257号の利益および優先権を主張し、これらは本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、抗感染薬、増殖抑制薬、抗炎症薬および腸管運動促進薬に関する。より詳細には、本発明は、治療薬として有用である、少なくとも1つのハロゲン化炭化水素部分、ビアリール部分および少なくとも1つの複素環部分を含む一群のハロゲン化ビアリール複素環化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
1920年代のペニシリンの発見および1940年代のストレプトマイシンの発見以来、多数の新規化合物が抗生物質として発見され、または抗生物質として使用するために特異的に設計されてきた。感染症は、完全には制御することができる、またはそうした治療薬の使用で撲滅することができるとかつては信じられていた。しかし、こうした確信は、現在有効な治療薬に対して耐性の細胞株または微生物が発生し続けているという事実により弱められてきた。実際、臨床用に開発された事実上すべての抗生物質が、結局は耐性菌出現の問題に直面している。例えば、メチシリン耐性ブドウ球菌、ペニシリン耐性連鎖球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌などのグラム陽性菌の耐性株が発生しており、これらは、そうした耐性菌に感染した患者に重度で致命的でさえある結果をもたらし得る。マクロライド系抗生物質、すなわち14から16員ラクトン環に基づく抗生物質、に対して耐性である細菌が発生した。また、グラム陰性菌、例えばインフルエンザ菌およびM.カタラーリス、の耐性株が同定された。例えば、非特許文献1;および非特許文献2参照。
【0004】
耐性の問題は、抗感染薬の分野に限定されない。癌化学療法に使用される増殖抑制薬ででも耐性が発生しているからである。従って、耐性菌に対しても、癌細胞の耐性株に対しても有効である新規抗感染薬および増殖抑制薬が要求されている。
【0005】
抗生物質分野では、増え続ける抗生物質耐性の問題にもかかわらず、リネゾリドとして知られており、商品名Zyvox(登録商標)で販売されているオキサゾリジノン環含有抗生物質、N−[[(5S)−3−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド(化合物A参照)が2000年に米国で承認されて以来、臨床用の新しい重要な類の抗生物質は開発されていない。非特許文献3参照。
【0006】
【化31】

リネゾリドは、グラム陽性生物に対する抗菌薬として使用が承認された。残念なことに、リネゾリド耐性生物株は、すでに報告されている。非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6参照。リネゾリドは、臨床的に有効でもあり、商業的に有意でもある抗生物質でもあるため、本発明者は、他の有効なリネゾリド誘導体の開発を行ってきた。
【非特許文献1】F.D.Lowry,「Antimicrobial Resistance: The Example of Staphylococcus aureus,」、J.Clin.Invest.(2003)vol.111,no.9,pp.1265−1273
【非特許文献2】Gold,H.S.およびMoellering,R.C.,Jr.,「Antimicrobial−Drug Resistance,」(1996)N. Engl.J.Med.,vol.335,pp.1445−53
【非特許文献3】R.C.Moellering,Jr.,「Linezolid: The First Oxazolidinone Antimicrobial,」(2003)Annals of Internal Medicine,vol.138,no.2,pp.135−142
【非特許文献4】Tsiodrasら、Lancet(2001)vol.358,p.207;
【非特許文献5】Gonzalesら、Lancet(2001)vol 357,p.1179
【非特許文献6】Zurenkoら、Proceedings Of The 39th Annual Interscience Conference On Antibacterial Agents And Chemotherapy(ICAAC), San Francisco,CA.,USA(Sep.26−29,1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の件にもかかわらず、新たな抗感染薬および増殖抑制薬が必要とされ続けている。さらに、多数の抗感染薬および増殖抑制薬が、抗炎症薬および胃腸管運動促進薬としての効用を有するため、抗炎症薬および胃腸管運動促進薬として有用な新たな化合物も必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要約)
本発明は、式:
【0009】
【化32】

(式中、Het−CH−Rは、
【0010】
【化33】

から成る群より選択され;AおよびBは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルから成る群より独立して選択され;Mは、ハロゲン化C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニル基であり;ならびに可変項L、X、R、R、R、mおよびnは、後で「詳細な説明」において定義する化学部分または整数のそれぞれの群から選択することができる)
を有する、抗感染薬および/または増殖抑制薬、例えば化学療法薬、抗微生物薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬および/または胃腸管運動促進(胃腸調節)薬、として有用な一群の化合物、それらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0011】
本発明の化合物の特定の実施形態としては、式:
【0012】
【化34】

(式中、Aは、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され、Rは、HおよびFから成る群より選択され、nは、0、1または2であり、ならびに可変項L、M、R、R、Xおよびmは、後で「詳細な説明」において定義する化学部分または整数のそれぞれの群から選択することができる)
を有するもの、それらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0013】
本発明の化合物の他の実施形態としては、式:
【0014】
【化35】

(式中、可変項A、L、M、R、R、Xおよびmは、後で「詳細な説明」において定義する化学部分または整数のそれぞれの群から選択される)
を有するもの、それらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0015】
加えて、本発明は、上述の化合物を合成する方法を提供する。合成後、哺乳動物に投与するためにそれらの化合物の1つまたはそれ以上の有効量を薬学的に許容可能な担体と調合して、抗癌薬、抗微生物薬、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬もしくは抗ウイルス薬として使用する、または増殖性疾患、炎症性疾患もしくは胃腸運動障害を治療することができる。これらの化合物または調合物を、例えば経口、非経口または局所経路により投与して、化合物の治療有効量を哺乳動物に供給することができる。
【0016】
本発明の前述、他の態様および実施形態は、以下の「詳細な説明」および「特許請求の範囲」を参照することによって、より完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、増殖抑制薬および/または抗感染薬として使用することができる一群の化合物を提供する。本化合物は、限定ではないが、例えば抗癌薬、抗微生物薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬および/または抗ウイルス薬として、使用することができる。さらに、本発明は、限定ではないが、抗炎症薬(例えば、慢性炎症性気道疾患の治療に使用するためのもの)および/または胃腸管運動促進薬(例えば、胃食道逆流症、(糖尿病性または手術後)胃不全麻痺、過敏性腸症候群および便秘症などの胃腸運動障害の治療に使用するためのもの)として使用することができる一群の化合物を提供する。
【0018】
(1.定義)
本明細書で用いる用語「置換されている」は、指定の原子上のいずれか1つまたはそれ以上の水素が、指示されている群から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、但し、その指定の原子の正常な原子価を超えないこと、その置換の結果、安定な化合物が生じることを条件とする。前記置換基がケト(すなわち、=O)である場合には、前記原子上の2つの水素が置き換えられている。本明細書で用いる「環二重結合」は、2つの隣接する環原子間で形成される二重結合(例えば、C=C、C=N、またはN=N)である。
【0019】
本発明は、本化合物中に出現する原子のすべての同位体を包含するものと解釈する。同位体には、同じ原子数を有するが、異なる質量数を有する原子が挙げられる。一般例として、限定ではなく、水素の同位体としては、トリチウムおよびジューテリウムが挙げられ、炭素の同位体としては、C−13およびC−14が挙げられる。
【0020】
本明細書に記載する化合物は、不斉中心を有することがある。不斉置換原子を含有する本発明の化合物は、光学活性形またはラセミ形で単離することができる。ラセミ形の分割または光学活性出発原料からの合成など、光学活性形を調製するための方法は、当該技術分野においてよく知られている。本明細書に記載する化合物にはオレフィンおよびC=N二重結合などの多数の幾何異性体も存在し得、すべてのそうした安定な異性体が本発明に包含される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載されており、それらは異性体混合物としてまたは分割異性体形として単離することができる。特定の立体化学または異性体形が特に指定されていない限り、構造のキラル、ジアステレオマー、ラセミおよび幾何異性体形すべてを意味する。本発明の化合物を調製するために使用されるすべてのプロセスおよびそれらの中で製造される中間体は、本発明の一部であると考える。示されているまたは記載されている化合物のすべての互変異性体も、本発明の一部であると考える。
【0021】
可変項(例えば、R)が、化合物のいずれかの構成要素または式中に1回より多く出現する場合、各出現時におけるその定義は、他のあらゆる出現時におけるその定義から独立している。従って、ある基が0〜2つのR部分で置換されていると示されている場合には、その基は、2つ以下のR部分で場合によっては置換されていてもよく、Rは、Rの定義から各出現時に独立して選択される。また、置換基および/または可変項の組合せは、許容されるが、そうした組合せの結果、安定な化合物が生じる場合のみである。
【0022】
ある置換基への結合が、1つの環内の2つの原子をつなぐ結合を交差するように示されている場合、そうした置換基は、その環内のいずれの原子に結合していてもよい。ある置換基が、所定の式の化合物の残りにそうした置換基を結合させることにより、原子を示さずに記載されている場合、そうした置換基は、そうした置換基の中のいずれの原子によって結合していてもよい。置換基および/または可変項の組合せは、許容されるが、そうした組合せの結果、安定な化合物が生じる場合のみである。
【0023】
1つまたはそれ以上の窒素原子を含有する本発明の化合物を酸化剤(例えば、m−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)および/または過酸化水素)での処理によりN−オキシドに転化させて、本発明の他の化合物を得ることができる。従って、原子価および構造が許す場合には、示されている、および特許請求の範囲に記載されている窒素含有化合物のすべてが、示されているとおりの化合物とそのN−オキシド誘導体(N→OまたはN−Oと示すことができる)の両方を包含すると考える。さらに、他の例では、本発明の化合物中の窒素原子(複数を含む)をN−ヒドロキシまたはN−アルコキシ化合物に転化させることができる。例えば、N−ヒドロキシ化合物は、m−CPBAなどの酸化剤による親アミンの酸化によって調製することができる。原子価および構造が許す場合には、示されている、および特許請求の範囲に記載されている窒素含有化合物のすべてが、示されているとおりの化合物とそのN−ヒドロキシ誘導体(すなわち、N−OH)およびN−アルコキシ誘導体(すなわち、N−OR;この場合のRは、置換または非置換C1〜6アルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜14炭素環、または3〜14員複素環である)の両方を包含する。
【0024】
同様に、1つまたはそれ以上の硫黄原子を含有する本発明の化合物を酸化剤(例えば、m−CPBAおよび/または過酸化水素)での処理によりS−オキシド、すなわちスルホキシドまたはスルホンに転化させて、本発明の他の化合物を得ることができる。従って、原子価および構造が許す場合には、示されている、および特許請求の範囲に記載されている硫黄含有化合物のすべてが、示されているとおりの化合物とそのS−オキシド誘導体(S(O)(式中、p=1または2)と示すことができる)の両方を包含すると考える。
【0025】
ある原子または化学部分の後に下付き文字の数字で表された範囲が続く場合(例えば、C1〜6)、本発明では、その範囲ならびにすべての中間範囲内の各々の数を包含することを意味する。例えば、「C1〜6アルキル」は、炭素原子数1、2、3、4、5、6、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、3〜6、3〜5、3〜4、4〜6、4〜5よび5〜6のアルキル基を包含することを意味する。
【0026】
本明細書で用いる「アルキル」は、指定数の炭素原子を有する分枝鎖と直鎖、両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含すると解釈する。例えば、C1〜6アルキルは、C、C、C、C、CおよびCアルキル基を包含すると解釈する。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で用いる「アルケニル」は、鎖に沿ったいずれかの安定な地点で発生する1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖、いずれかの立体配置の炭化水素鎖を包含すると解釈する。例えば、C2〜6アルケニルは、C、C、C、CおよびCアルケニル基を包含すると解釈する。アルケニルの例としては、エテニルおよびプロペニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で用いる「アルキニル」は、鎖に沿ったいずれかの安定な地点で発生する1つまたはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖、いずれかの立体配置の炭化水素鎖を包含すると解釈する。例えば、C2〜6アルキニルは、C、C、C、CおよびCアルキニル基を包含すると解釈する。アルキニルの例としては、エチニルおよびプロピニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
さらに、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、ジラジカルである、すなわち2つの結合点を有する、部分を包含すると解釈し、本発明におけるこの例は、Lがこれらの化学種群から選択される場合である。ジラジカルであるそうしたアルキル部分の非限定的な例は、−CHCH−、すなわち各末端炭素原子によりその分子の残りに共有結合しているCアルキル基である。
【0030】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。「対イオン」は、小さい、負に帯電した化学種、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、アセテートおよびスルフェート、を表すために用いる。
【0031】
本明細書で用いる「炭素環」または「炭素環式の環」は、指定数の炭素を有するあらゆる安定な単環式、二環式、三環式またはより高次数の環式の環(これらはいずれも、飽和されていてもよいし、不飽和であってもよいし、または芳香族であってもよいが、一定の構成員数を有する環は二環式および三環式であることができず、例えば、3員環は単環式の環でしかあり得ないと考えられる)を意味すると解釈する。例えば、C3〜14炭素環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有する単環式、二環式、三環式またはより高次数の炭素環式の環を意味すると解釈する。炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、アダマンチル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アントリル、フェナントリルおよびテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカンおよび[2.2.2]ビシクロオクタンをはじめとする架橋環も炭素環の定義に包含される。架橋環は、1つまたはそれ以上の炭素原子が2つの非隣接炭素原子と連結したときに発生する。好ましい架橋は、1つまたは2つの炭素原子である。架橋によりかならずしも単環式の環が三環式の環に転化されるとはかぎらないことに注意する。環が架橋されると、その環について列挙した置換基がその架橋上にも存在し得る。縮合環(例えば、ナフチルおよびテトラヒドロナフチル)ならびにスピロ環も包含される。
【0032】
「アリール基」である「芳香族炭素環」および「炭素環式芳香族環」も「炭素環」および「炭素環式の環」の定義に包含されると理解しなければならない。二環式の炭素環式芳香族環の場合、芳香族である必要があるのは、一方の環だけである(例えば、テトラヒドロナフチル)が、両方が芳香族であってもよい(例えば、ナフチル)。同様に、三環式またはより高次数の炭素環式芳香族環の場合、芳香族である必要があるは、1つの環だけであるが、1つより多くの芳香族環を有する三環式またはより高次数の炭素環式の芳香族環を含む(例えば、フルオレニル)。芳香族炭素環の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、フェナントレニル、アントリル、フルオレニル、ペンタレニル、アズリル、クリシル、ピリル、テトラシル、フルラントリル、コロニルおよびヘキサヘリシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で用いる用語「複素環」または「複素環式」は、飽和されているか、不飽和であるか、芳香族であり、ならびに炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から成る群より独立して選択される1つまたはそれ以上の環ヘテロ原子、例えば1、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5または1〜6個のヘテロ原子、とを含む、あらゆる安定な単環式、二環式、三環式、またはより高次数の環式の環を意味すると解釈する(一定の構成員数を有する環は、二環式または三環式であることはできず、例えば、3員環は、単環式でしかあり得ないと考えられる)。二環式または三環式複素環は、1つの環内に1つまたはそれ以上のヘテロ原子を有してもよいし、またはヘテロ原子が1つより多くの環内に位置していてもよい。窒素および硫黄へテロ原子は、場合によっては酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)(式中、p=1または2))。窒素原子が環に含まれているとき、それは、その環内の二重結合に結合しているか否かに依存してNまたはNHのいずれかである(すなわち、その窒素原子の三価性を維持することが必要な場合に水素が存在する)。その窒素原子は、置換されていてもよいし、または非置換であってもよい(例えば、NまたはNR(この場合のRは、Hであるか、定義されているような別の置換基である))。複素環式の環は、結果的に安定な構造を生じるいずれのヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基に結合していてもよい。本明細書に記載する複素環式の環は、生じる化合物が安定であるならば炭素原子上で置換されていてもよいし、または窒素原子上で置換されていてもよい。複素環内の窒素は、場合によっては四級化されていてもよい。複素環内のS原子とO原子の合計数が1を超える場合には、これらのヘテロ原子は互いに隣接していないほうが好ましい。架橋環も複素環の定義に包含される。架橋環は、1つまたはそれ以上の原子(すなわち、C、O、NまたはS)が2つの非隣接炭素または窒素原子を連結する場合に発生する。好ましい架橋としては、1つの炭素原子、2つの炭素原子、1つの窒素原子、2つの窒素原子、および炭素−窒素基が挙げられるが、これらに限定されない。かならずしも架橋により単環式の環が三環式の環に転化されるとは限らないことに注意する。環が架橋されると、その環について列挙した置換基がその架橋上にも存在し得る。スピロ環および縮合環も包含される。
【0034】

芳香族複素環またはヘテロアリールは、5、6、7、8、9、10、11または12員単環式または二環式の複素環式芳香族環であり得るが、一定の構成員数を有する環は、二環式または三環式であることはできず、例えば、5員環は、単環式芳香族環でしかあり得ないと考えられる。二環式の複素環式芳香族環の場合、芳香族である必要があるのは、2つの環のうちの一方だけである(例えば、2,3−ジヒドロインドール)が、両方が芳香族であってもよい(例えば、キノリン)。第二の環は、複素環について上で定義したように、縮合していてもよいし、または架橋していてもよい。窒素原子は、置換されていてもよいし、非置換であってもよい(すなわち、NまたはNR(この場合のRは、Hであるか、定義さえているような別の置換基である))。窒素および硫黄へテロ原子は、場合によっては酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)(式中、p=1または2))。芳香族複素環内のS原子とO原子の合計数は、一般に1以下であることに注意しなければならない。
【0035】
複素環の例としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−イミダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、およびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で用いる慣用句「薬学的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく人間および動物の組織と接触させて使用することに適し、妥当な損益比に見合っている、化合物、材料、組成物、担体および/または剤形にあてはまる。
【0037】
本明細書で用いる「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物が、その酸性または塩基性塩を作ることにより修飾されている開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩としては、例えば非毒性無機または有機酸から形成される、親化合物の従来どおりの非毒性塩または第四アンモニウム塩が挙げられる。例えば、こうした従来どおりの非毒性塩としては、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、カルボン酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、セバシン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸およびトルエンスルホン酸から選択される無機および有機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の薬学的に許容可能な塩は、従来どおりの化学的方法により塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、こうした塩は、水もしくは有機溶媒またはそれら2つの混合物(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水系媒体が好ましい)中で、遊離酸または塩基形のこれらの化合物を理論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができる。適する塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)において見つけられる。例えば、塩としては、本発明の脂肪族アミン含有、ヒドロキシルアミン含有、およびイミン含有化合物の塩酸塩および酢酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物の塩の非限定的な例は、化合物7の一塩酸塩である。この塩は、実施例において例示する。
【0039】
加えて、本発明の化合物および特にそれらの化合物の塩は、水和形もしくは非水和(無水)形で、または他の溶媒分子との溶媒和物として存在し得る。水和物の非限定的な例としては、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
【0040】
プロドラッグは、医薬品についての非常の多数の望ましい質(例えば、溶解性、バイオアベイラビリティ、製造など)を向上させることが知られているので、本発明の化合物をプロドラッグ形で送達してもよい。従って、本発明は、本特許請求の範囲に記載の化合物のプロドラッグ、同プロドラッグの送達方法、および同プロドラッグを含有する組成物を包含すると解釈する。「プロドラッグ」は、そうしたプロドラッグを哺乳動物被験体に投与したときにインビボで本発明の活性親化合物を放出する、共有結合したあらゆる担体を含むと解釈する。本発明のプロドラッグは、常用の操作またはインビボのいずれかで親化合物に分解するように化合物中に存在する官能基を変性することによって調製する。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基が、いずれかの基に結合しており、それが本発明のプロドラッグを哺乳動物被験体に投与すると分解して、それぞれ遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたは有機スルフヒドリル基になる、本発明の化合物を含む。プロドラッグの例としては、本発明の化合物中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、フマル酸および安息香酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、有用な純度への反応混合物から単離および意図した効能を生ずる治療薬への調合を乗り切れる十分に頑強な化合物を示す意味を有する。
【0042】
本明細書で用いる「治療すること」または「治療」は、哺乳動物、特に人間における疾病状態の治療を意味し、(a)哺乳動物において、特に、そうした哺乳動物がその疾病状態の素因を有するが、罹患しているとまだ診断されていないときに疾病状態の発生を予防すること;(b)疾病状態を抑制すること、すなわちその発現を阻止すること;および/または(c)疾病状態を緩和すること、すなわち疾病状態の退行を生じさせることを含む。
【0043】
本明細書で用いる「哺乳動物」は、人間および人間以外の患者を指す。
【0044】
本明細書で用いる用語「有効量」は、増殖抑制剤および/または抗感染薬として単独でまたは併用で投与したときに有効な、本発明の化合物または化合物併用の量を指す。詳細には、有効量は、生物学的活性、例えば抗感染活性(例えば抗微生物活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、抗寄生虫活性)および/または増殖抑制活性、を惹起するために十分な、受容者体内または体表に存在する化合物の量を指す。前記化合物併用は、場合によっては相乗的併用である。相乗作用は、例えば、Chou and Talalay,Adv.Enzyme Regul.vol.22,pp.27−55(1984)に記載されているように、化合物の作用が、併用で投与されたとき、単一の薬剤として単独で投与されたときの化合物の付加的作用より大きい場合に発生する。一般に、相乗作用は、化合物の最適以下濃度で最も明瞭に実証される。細胞毒性低減、増殖抑制および/もしくは抗感染作用増大、または個々の成分と比較して併用の何らかの他の有益な作用という点で、相乗作用があり得る。
【0045】
本明細書で用いるすべての百分率および比は、特に他の指示がない限り、重量によるものである。
【0046】
本明細書を通して、組成物が、特定の成分を有するまたは含む(includingまたはcomprising)と記載されている場合、それらの組成物が、列挙されている成分から本質的に成る、または列挙されている成分から成ることも考えられる。同様に、プロセスが、特定のプロセス段階を有するまたは含む(includingまたはcomprising)と記載されている場合、それらのプロセスもまた、列挙されている加工段階から本質的に成る、または列挙されている加工段階から成る。さらに、段階の順序または一定の行為を行うために順序は、本発明が実行可能でありさえすれば重要でないことを理解しなければならない。さらに、2つまたはそれ以上の段階または行為を同時に行ってもよい。
【0047】
(2.本発明の化合物)
1つの態様において、本発明は、式:
【0048】
【化36】

(式中、
Aは、
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル
から成る群より選択され;
Bは、
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル
から成る群より選択され;
Het−CH−Rは、
【0049】
【化37】

から成る群より選択され;
Mは、
a)C1〜6アルキル、b)C2〜6アルケニル、およびc)C2〜6アルキニル
から成る群より選択され、この場合、
i)a)〜c)はいずれも、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で置換されており、ならびに
ii)a)〜c)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基でさらに置換されており;
Xは、
【0050】
【化38】

から成る群より選択され;
Lは、
a)C1〜6アルキル、b)C2〜6アルケニル、およびc)C2〜6アルキニル
から成る群より選択され、
この場合のa)〜c)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基でさらに置換されており;
は、
【0051】
【化39】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
【0052】
【化40】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
【0053】
【化41】

から成る群より選択され;
は、
【0054】
【化42】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)−C(O)−C1〜6アルキル、f)−C(O)−C2〜6アルケニル、g)−C(O)−C2〜6アルキニル、h)−C(O)O−C1〜6アルキル、i)−C(O)O−C2〜6アルケニル、およびj)−C(O)O−C2〜6アルキニル
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜j)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基で置換されており;
は、
【0055】
【化43】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)C1〜6アルキル、h)−C(O)−C2〜6アルケニル、i)−C(O)−C2〜6アルキニル、j)−C(O)−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1〜6アルキル、m)−C(O)O−C2〜6アルケニル、n)−C(O)O−C2〜6アルキニル、o)−C(O)O−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、およびp)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜p)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基で置換されており;
は、
【0056】
【化44】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)C1〜6アルキル、h)−C(O)−C2〜6アルケニル、i)−C(O)−C2〜6アルキニル、j)−C(O)−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1〜6アルキル、m)−C(O)O−C2〜6アルケニル、n)−C(O)O−C2〜6アルキニル、o)−C(O)O−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、およびp)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜p)はいずれも、
【0057】
【化45】

から成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で場合によっては置換されており;
mは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4であり;ならびに
pは、各出現時に独立して0、1または2である)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0058】
本発明の特定の実施形態としては、式:
【0059】
【化46】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、X、mおよびnは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0060】
他の実施形態としては、式:
【0061】
【化47】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、X、mおよびnは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0062】
特定の化合物としては、AおよびBが、フェニルおよびピリジルから成る群より独立して選択され、mおよびnが、独立して、0、1または2であるものが挙げられる。
【0063】
幾つかの実施形態において、A−Bは、
【0064】
【化48】

(式中、A、Rおよびnは、上に記載したとおり定義される)
である。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、Rが、HおよびFから成る群より選択される、nが、0、1または2であるものが挙げられる。特定の実施形態において、A−Bは、
【0065】
【化49】

(式中、Aは、上に記載したとおり定義される)
である。
【0066】
様々な実施形態において、A−Bは、
【0067】
【化50】

(式中、Bは、上に記載したとおり定義される)
である。
【0068】
幾つかの実施形態において、Rは、−NRC(O)Rである。他の実施形態において、Rは、NHC(O)Rである。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、Rが、FまたはClから独立して選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1〜6アルキル基であるものが挙げられる。こうしたアルキル基の例としては、−CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHCl、−CCl、−CHFCl、−CFCl、および−CFClが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、Rは、
【0069】
【化51】

である。
【0070】
本発明の特定の実施形態としては、式:
【0071】
【化52】

(式中、A、B、L、M、R、R、X、mおよびnは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0072】
本発明の他の実施形態としては、式:
【0073】
【化53】

(式中、L、M、R、R、Xおよびmは、上に記載したとおり定義され、Aは、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され、Rは、HおよびFから成る群より選択され、ならびにnは、0、1または2である)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0074】
本発明のさらに他の実施形態としては、式:
【0075】
【化54】

(式中、A、L、M、R、R、Xおよびmは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。この実施形態に従う特定の化合物としては、式:
【0076】
【化55】

(式中、A、L、M、R、Xおよびmは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0077】
本発明の幾つかの実施形態としては、式:
【0078】
【化56】

(式中、L、M、RおよびXは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、式:
【0079】
【化57】

(式中、L、MおよびXは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0080】
本発明の他の実施形態としては、式:
【0081】
【化58】

(式中、A、L、M、R、R、Xおよびmは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、式:
【0082】
【化59】

(式中、A、L、M、R、Xおよびmは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0083】
本発明の幾つかの実施形態としては、式:
【0084】
【化60】

(式中、L、M、XおよびRは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。この実施形態に従う特定の化合物としては、式:
【0085】
【化61】

(式中、L、MおよびXは、上に記載したとおり定義される)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0086】
上述の実施形態のいずれにおいても、Lは、C1〜6アルキル、例えば−CH−であり得る。さらに、Xは、−NR−、−N(O)−、および−N(OR)−から成る群より選択することができ、この場合のRは、HまたはC1〜6アルキル、例えばハロゲン化C1〜6アルキル基である。Mは、例えば、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で置換されているC1〜6アルキル基であり得る。適するM基の例としては、−CHCHCHFおよび−CHCH(OH)CHFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明の他の実施形態としては、下の表1に記載する化合物のいずれか1つに対応する構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグが挙げられる。
【0088】
もう1つの態様において、本発明は、下の表1に記載する化合物の薬学的に許容可能な塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。本発明の特定の実施形態としては、下の表1に記載する構造1〜14、20〜22、24〜42、44〜49および53〜83のいずれか1つに対応する化合物の薬学的に許容可能な塩が挙げられる。適する薬学的に許容可能な塩の一例は、例えば一塩酸塩である。
【0089】
本発明は、上述の化合物(これらの化合物の薬学的に許容可能な塩を含む)のいずれか1つを合成するための方法をさらに提供する。
【0090】
本発明のさらにもう1つの態様は、1つまたはそれ以上の上述の化合物の有効量および薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物を提供する。適する調合薬は、下のセクション4において詳細に説明する。
【0091】
1つまたはそれ以上の上述の化合物を医療装置に組み込むこともできる。例えば、医療用ステントなどの医療装置は、本発明の1つまたはそれ以上の化合物を収容することができ、または本発明の1つまたはそれ以上の化合物で被覆することができる。
【0092】
さらにもう1つの態様において、本発明は、哺乳動物における微生物感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫症、増殖性疾患、炎症性疾患または胃腸運動障害を治療するための方法を提供する。本方法は、本発明の1つまたはそれ以上の化合物もしくは薬学的組成物の有効量を、例えば経口、非経口または局所経路により、投与することを含む。
【0093】
本発明は、本発明の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与して、その結果、特定の疾患の症状を改善する段階を含む、哺乳動物における疾患を治療する方法を提供する。こうした疾患は、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス後肺炎、腹部感染、尿路感染症、菌血症、敗血症、心内膜炎、心室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的予防、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、リネゾリド耐性生物感染症、および結核から成る群より選択することができる。
【0094】
(3.本発明の化合物の特性付け)
製造後、上で説明した方法により設計、選択および/または最適化した化合物を、当業者に知られている様々なアッセイを用いてそれらの化合物が生物学的活性を有するかどうか特性付けすることができる。例えば、下で説明するアッセイを含む(しかし、それらに限定されない)従来どおりのアッセイにより本化合物を特性付けして、それらの化合物が予測される活性、結合活性および/または結合特異性を有するかどうか判定することができる。
【0095】
さらに、ハイスループットスクリーニングを用いて、そうしたアッセイを利用する分析を高速化することができる。結果として、本明細書に記載する分子を、例えば抗癌薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬または抗ウイルス薬としての活性について迅速にスクリーニングすることを可能にすることができる。また、リボソームまたはリボソームサブユニットとの本化合物の相互作用が、および/またはタンパク質合成のモジュレータ(例えば、阻害剤)としていかに有効であるか、当該技術分野において知られている技法を用いてアッセイすることを可能にすることができる。ハイスループットスクリーニングを行うための一般的な方法は、例えば、Devlin,High Throughput Screening,(Marcel Dekker,1998);および米国特許第5,763,263号に記載されている。ハイスループットアッセイには、下で説明するものを含む(しかし、それらに限定されない)1つまたはそれ以上の異なるアッセイ法を使用することができる。
【0096】
(1)表面結合試験。 様々な結合アッセイが、新しい分子をそれらの結合活性についてスクリーニングする際に有用であり得る。1つのアプローチとしては、表面プラズモン共鳴(SPR)が挙げられ、これは、リボソーム、リボソームサブユニットまたはそれらのフラグメントに対する対象分子の結合特性を評価するために使用することができる。
【0097】
SPR方法論は、量子力学的表面プラズモンの発生により実時間で2つまたはそれ以上の高分子間の相互作用を測定するものである。ある装置(ニュージャージー州、ピスカタウェイのPharmacia BiosensorからのBIAcore Biosenseor RTM)では、金膜(使い捨てバイオセンサー「チップ」として供給される)と使用者が調節できるバッファ区画との界面に多色光の集束ビームが供給される。対象分析物を共有結合により固定するためのマトリックスになる、カルボキシル化デキストランから成る100nm厚「ヒドロゲル」が、その金膜に取り付けられている。集束光が金膜の自由電子雲と相互作用すると、プラズモン共鳴が増す。生じた反射光は、共鳴を最適に発生する波長でスペクトル的に減少する。反射多色光を(プリズムを使用して)その成分波長に分離し、減少される周波数を判定することにより、BIAcoreは、発生した表面プラズモン共鳴の挙動を正確に報告する光インターフェースを確立する。上のように設計されていると、プラズモン共鳴(および故に減少スペクトル)は、エバネッセント場における質量(これは、ヒドロゲルの厚さにおおよそ対応する)を感知する。相互作用ペアの一方の構成要素が、ヒドロゲルに固定されており、相互作用パートナーがバッファ区画を通して供給される場合、それら二構成要素間の相互作用は、エバネッセント場における質量の蓄積、および減少スペクトルにより測定されるようなその対応プラズモン共鳴効果を基に、実時間で測定することができる。このシステムにより、いずれの構成要素も標識する必要なく、分子相互作用の迅速で感度の高い実時間測定が可能となる。
(2)蛍光偏光。 蛍光偏光(FP)は、二分子間の会合反応のIC50およびKdを導出するために、タンパク質−タンパク質、タンパク質−リガンドまたはRNA−リガンド相互作用に容易に適用することができる測定技法である。この技法では、対象分子の1つを蛍光体と共役結合させる。これは、一般的に、この系の中で小さい方の分子である(この場合、対象化合物)。リガンド−プローブ結合体とリボソーム、リボソームサブユニットまたはそのフラグメントの両方を含有するサンプル混合物を垂直方向の偏光で励起させる。光は、プローブ蛍光体によって吸収され、短時間の後に再び放射される。この放射光の偏光度を測定する。放射光の偏光は、いくつかの因子に依存するが、最も重要なところでは、溶液の粘度および蛍光体の見掛けの分子量に依存する。適切に調節すると、放射光の偏光度の変化は、蛍光体の見掛けの分子量の変化にのみ依存し、それもまた、プローブ−リガンド結合体が溶液中で遊離しているのか、レセプターに結合しているのかに依存する。FPに基づく結合アッセイは、多数の重要な利点を有し、これには、真の均一平衡条件下でのIC50およびKdの測定、分析速度、および自動化へのアメニティー、ならびに濁った懸濁液および着色溶液においてスクリーニングする能力が挙げられる。
(3)タンパク質合成。 上述の生化学的アッセイによる特性付けに加えて、対象化合物は、リボソームまたはリボソームサブユニットの機能活性のモジュレータ(例えば、タンパク質合成の阻害剤)としても特性付けることができると考えられる。
【0098】
さらに、全生物、組織、器官、細胞器官、細胞、細胞もしくは亜細胞抽出物または精製リボソーム製剤に化合物を施し、その薬理学的特性および阻害特性を観察することによって、例えばタンパク質合成の阻害についてのその阻害定数(IC50)を決定することによって、より特異的なタンパク質合成阻害アッセイを行うことができる。Hロイシンもしくは35Sメチオニンの組み込み、または類似の実験を行って、タンパク質合成活性を調査することができる。対象分子の存在下での細胞におけるタンパク質合成量または速度の変化によって、その分子がタンパク質合成のモジュレータであることが示される。タンパク質合成速度または量の減少は、その分子がタンパク質合成の阻害剤であることを示す。
【0099】
さらに、本化合物は、細胞レベルで増殖抑制特性または抗感染特性についてアッセイすることができる。例えば、標的生物が、微生物である場合、対象化合物の活性は、その化合物を含有するまたはその化合物を欠く媒体中で対象微生物を成長させることによってアッセイすることができる。成長阻害は、その分子がタンパク質合成阻害剤として作用し得ることを示すことができる。さらに具体的には、細菌病原体に対する対象化合物の活性は、ヒト病原体の被定義株の成長を阻害する化合物の能力により証明することができる。このために、(特性付けされている耐性メカニズムを有するものもある)様々な標的病原種を含むように菌株のパネルを組み立ててもよい。こうした生物パネルの使用により、効能およびスペクトルに関してばかりでなく、耐性メカニズムを未然に防ぐ目的でも、構造と活性の関係を判定することが可能となる。これらのアッセイは、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)ガイドライン(NCCLS.M7−A5−Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard−Fifth Edition. NCCLS Document M100−S12/M7(ISBN 1−56238−394−9))が公表しているような従来どおりの方法に従って、マイクロタイタトレイで行うことができる。
【0100】
(4.調合および投与)
本発明の化合物は、例えば細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫症および癌をはじめとする様々な人間および他の動物疾患の予防または治療に有用であり得る。一旦同定すれば、本発明の活性分子は、使用前にいずれかの適する担体に組み込むことができると考えられる。活性分子の用量、投与方式、および適する担体の使用は、所期の受容者および標的生物に依存するであろう。本発明の化合物の調合物は、獣医用のものも、人間の医療用のものも、典型的には薬学的に許容可能な担体と会合した状態でそうした化合物を含む。
【0101】
担体(複数を含む)は、その調合物の他の成分と相溶性であり、受容者に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。これに関連して、薬学的に許容可能な担体は、薬学的投与に適合可能ないずれかのおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などを含むと解釈する。薬学的に活性な物質に対するこうした媒体および薬剤の使用は、当該分野において知られている。いかなる従来的な媒体または薬剤も、本活性化合物と不相溶性である場合を除き、本組成物でのそれらの使用が考えられる。補足的な活性化合物(本発明に従って同定もしくは設計されたもの、および/または当該分野において知られているもの)も、本組成物に配合することができる。本調合物は、投薬単位形で適便に提供することができ、また薬学/微生物学技術分野においてよく知られているいずれの方法によっても調製することができる。一般に、一部の調合物は、本化合物を液体担体もしくは微粉固体担体または両方と会合させ、その後、必要な場合には、その生成物を所望の調合物に成形することによって調製する。
【0102】
本発明の薬学的組成物は、その所期の投与経路と適合性であるように調合しなければならない。投与経路の例としては、経口または非経口投与、例えば、静脈内、皮内、吸入、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことがあり得る:滅菌希釈剤、例えば、注射用蒸留水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート;および張度の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。
【0103】
経口または非経口投与のために有用な溶液は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)に記載されている、薬学技術分野においてよく知られているいずれの方法によっても調製することができる。非経口投与のための調合物は、口腔内投与についてはグリココール酸、直腸投与についてはメトキシサリチル酸、または膣内投与についてはクエン酸も含むことがあり得る。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または複数回分のバイアルに封入することができる。薬物と非刺激性賦形剤、例えば、カカオ脂、他のグリセリド、または室温では固体であり、体温では液体である他の組成物を混合することによって、直腸投与のための坐剤も調製することができる。調合物は、例えば、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、;植物由来の油;および水素化ナフタレンも含むことがあり得る。直接の投与のための調合物は、グリセロールおよび他の高粘度組成物を含むことがあり得る。これらの薬物のための他の潜在的に有用な非経口担体としては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入システム、およびリポソームが挙げられる。吸入投与のための調合物は、賦形剤として、例えば、ラクトースを含むことがあり得、または例えば、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココール酸塩およびデオキシコール酸塩を含有する水溶液であり得、または点鼻薬の形態で投与するための油性溶液であり得、または鼻腔内塗布できるゲルとしてであり得る。停留浣腸もまた、直腸送達のために使用することができる。
【0104】
経口投与に適する本発明の調合物は、個別単位、例えば、カプセル、ゼラチンカプセル、サッシェ、錠剤、トローチまたはロゼンジ(各々、所定量の薬物を含有する);粉末もしくは顆粒組成物;水性液もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液;または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤の形態であり得る。薬物をボーラス、舐剤またはペーストの形態で投与することもできる。薬物を場合によっては1つまたはそれ以上の補助成分とともに圧縮または成形することにより、錠剤を製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と場合によっては混合された粉末または顆粒などの易流動性形態の薬物を、適する機械で圧縮することにより作製することができる。成形錠剤は、粉末状薬物と不活性液体希釈剤で湿らせた適する担体との混合物を、適する機械で成形することによって製造することができる。
【0105】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または可食性担体を含む。経口治療薬投与のために、本活性化合物を賦形剤に配合してもよい。マウスウォッシュとしての使用するために液体担体を使用して調製される経口組成物は、液体担体中に化合物を含み、経口適用され、うがい音をたて(swhished)、吐き出されるか、飲み下される。薬学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント材料を組成物の一部分として含めてもよい。錠剤、ピル、カプセルおよびトローチなどは、以下の成分のいずれか、または同様の性質の化合物を含むことがあり得る:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンもしくはラクトース;崩壊剤、例えば、アルギン酸、Primogelもしくはコーンスターチ;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes;潤滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースもしくはサッカリン;または、着香剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ着香料。
【0106】
注射用途に適する薬学的組成物としては、滅菌水溶液(この場合、水溶性)または分散液、および滅菌注射用溶液もしくは分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与に適する担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。これは、製造および保管条件下で安定でなければならず、また細菌および真菌などの微生物の汚染作用から防護されなければならない。この担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、塩化ナトリウム、を組成物に含めるほうが好ましいだろう。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを、組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0107】
滅菌注射用溶液は、上に挙げた成分の1つまたは組合せを有する適切な溶媒に必要量の活性化合物を配合し、必要な場合には、その後、濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散液は、上に挙げた成分からの塩基性分散媒および他の必要成分を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を配合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合の調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥を含み、これらによって、活性成分および所望されるいずれかの追加成分が、予め濾過滅菌しておいたそれらの溶液から得られる。
【0108】
関節内投与に適する調合物は、微結晶形態であり得る薬物の滅菌水性製剤の形態、例えば、水性微結晶浮遊液の形態であり得る。関節内投与と眼内投与の両方に、薬物を提供するためにリポソーム調合物または生分解性ポリマー系を使用することもできる。
【0109】
眼の治療をはじめとする局所投与に適する調合物としては、液体または半液体製剤、例えば、リニメント、ローション、ゲル、塗布剤(applicant)、水中油型もしくは油中水型乳剤(例えば、クリーム)、軟膏またはペースト;あるいは溶液または懸濁液、例えば滴剤が挙げられる。皮膚表面への局所投与のための調合物、例えばローション、クリーム、軟膏または石けん、は、薬物を皮膚科学的に許容可能な担体とともに分散させることによって調製することができる。皮膚上に皮膜または層を形成して、適用の局在化および除去の阻止を可能ならしめる担体が、特に有用である。内部組織表面への局所投与のための薬剤は、組織表面への吸収を増進することが知られている液体組織接着剤または他の物質に分散させることができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースまたはフィブリノゲン/トロンビン溶液を有利に使用することができる。あるいは、組織コーティング溶液、例えばペクチン含有調合物、を使用することができる。
【0110】
吸入治療には、スプレー缶、ネブライザまたはアトマイザで投薬される粉末(自己推進型(self−propelling)または噴霧調合物)の吸入を使用することができる。こうした調合物は、粉末吸入装置または自己推進型粉末投薬調合物からの肺投与のため、微粉形態であり得る。自己推進型溶液およびスプレー調合物の場合、効果は、所望のスプレー特性を有する(すなわち、所望の粒径を有するスプレーを生じさせることができる)バルブの選択、または制御された粒径の懸濁粉末としての活性成分の配合、いずれかによって達成することができる。吸入による投与については、適する推進剤、例えば二酸化炭素などのガス、を収容した加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザからのエーロゾルスプレーの形態で化合物を送達することもできる。
【0111】
全身投与は、経粘膜または経皮手段によってもできる。経粘膜または経皮投与には、透過すべき障壁に適する浸透剤が調合に用いられる。こうした浸透剤は、一般に当該分野において知られており、例えば経粘膜投与用の浸透剤としては、界面活性剤および胆汁酸塩が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用により達成することができる。経皮投与のための活性化合物は、典型的には当該分野において一般的に知られているような軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに調合される。
【0112】
活性化合物は、身体からの急速な排除から化合物を保護する担体用いて調製することができる(例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系をはじめとする制御放出調合物)。生分解性で生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸、を使用することができる。このような調合物の調製方法は、当業者に明らかであろう。リポソーム懸濁液を薬学的に許容可能な担体として使用することもできる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に知られている方法に従って調製することができる。
【0113】
経口または非経口組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のため投薬単位形で調合することができる。投薬単位形は、治療する被験体に対する単位投薬量として適する物理的に別個の単位を指し;各単位が、必要とされる薬学的担体と協力して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形についての明細は、その活性化合物の一意的特性および達成すべき特定の治療効果、ならびにそうした化合物を個体の治療のために配合する技術分野に固有の制限により左右され、またそれらに直接的に依存する。さらに、ボーラスの定期的な注入によって投与することができ、または外部レザバー(例えば、静脈バッグ)からの静脈内、筋肉内もしくは腹腔内投与によって、より継続的に投与を行うことができる。
【0114】
組織表面への接着が所望される場合、組成物は、フィブリノゲン−トロンビン組成物または他の生体接着剤中に分散された薬物を含むことができる。その後、その化合物を所望の組織表面に塗布、スプレーまたは別様に適用することができる。あるいは、人間または他の哺乳動物に非経口投与または経口投与するために、薬物を例えば治療有効量(例えば、所望の効果を誘導するために十分な時間、適切な濃度の薬物を標的組織に提供する量)で調合することができる。
【0115】
活性化合物を移植処置の一部として利用する場合、ドナーから組織または器官を取り出す前に、それを移植すべき生体組織または器官に供給してもよい。化合物はドナー宿主に提供されてもよい。あるいは、または加えて、器官または生体組織は、ドナーから取り出したら、活性化合物を含有する保存溶液中に入れておいてもよい。すべての場合において、活性化合物は、組織への注射などにより所望の組織に直接的に投与することができ、または本明細書に記載する、および/もしくは当該分野において知れられているいずれかの方法および調合物を使用して、経口投与もしくは非経口投与のいずれかにより全身的に供給することができる。薬物が、組織または器官保存溶液の一部を含む場合、いずれかの市販の保存溶液を有利に利用することができる。例えば、当該分野において知られている有用な溶液としては、Collins溶液、Wisconsin溶液、Belzer溶液、Eurocollins溶液、および乳酸加リンガー溶液が挙げられる。
【0116】
本明細書に記載する方法により同定または設計されるような活性化合物は、疾患を治療するために(予防的または治療的に)個体に投与することができる。こうした治療に関連して、薬理遺伝学(すなわち、個体の遺伝子型と、外来化合物または薬物に対するその個体の応答との間の関係の研究)が考慮されることがある。治療薬の代謝の差は、その薬理活性薬物の用量と血中濃度との関係を変化させることにより重症毒性または治療の失敗を招くことがある。それ故、医師または臨床家は、ある薬物を投与するか否かを決定する際、ならびにその薬物での投薬計画および/または治療方式を作る際に、関連薬理遺伝学的試験で得られた知識の適用を考慮することがある。
【0117】
哺乳動物における細菌感染を治療する、すなわちそれらと闘うための治療的用途では、本化合物またはそれらの薬学的組成物は、抗微生物的に有効であろう、治療を受ける動物体内での活性成分の濃度、すなわち量、または血中レベルもしくは組織中レベルを達成し、維持する投薬量で、経口、非経口、および/または局所投与されることとなる。用語「有効量」は、本発明の化合物が、生物学的活性、例えば抗微生物活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、抗寄生虫活性および/または増殖抑制活性、を惹起するために十分な量で受容者体内または体表に存在することを意味すると理解する。一般に、活性成分の投薬の有効量は、1日につき体重のkgあたり約0.1から約100、さらに好ましくは約1.0から約50mgの範囲であろう。投与される量は、治療する疾病または適応症のタイプおよび程度、その特定の患者の全身の健康状態、送達される化合物の相対的な生物学的有効度、その薬物の調合、その調合物中の賦形剤の存在およびタイプ、ならびに投与経路などの可変要素にも依存する可能性が高いであろう。また、所望の血中または組織中レベルを急速に達成するために投与する初期投薬量を上記上限レベルを超えて増加させてもよいし、または初期投薬量を最適量より少なくし、治療過程の中でその特定の状況に依存して1日の投薬量を漸進的に増加させてもよい。所望される場合、その日用量を、例えば1日につき2から4回、投与するために複数回分に分割してもよい。
【0118】
(5.実施例)
以下の実施例では、Brucker Avance 300もしくはAvance 500スペクトロメータ、または場合によってはGE−Nicolet 300スペクトロメータを用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトルを得た。共通の反応溶媒は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードまたは米国化学会(ACS)グレードのいずれかであり、特に他の注記がない限り、その製造業者から入手したままの無水であった。「クロマトグラフィー」または「シリカゲルにより精製した」は、特に他の注記がない限り、シリカゲル(EM Merck、Silica Gel 60、230〜400メッシュ)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーを指す。
【0119】
本発明に従って合成した具体例としての化合物を表1に記載する。キラル中心からのまっすぐな、太線でない、またはハッチングされていない結合は、その置換基が、いずれかのエナンチオマー、すなわちRもしくはS、または両者の混合物であり得ることを示している。表中の化学名の前の(±)記号は、その化合物が、指定されていないいずれかのキラル中心に関するラセミ体であることを意味する。波線は、その置換基が、シスもしくはトランスのいずれか、または両者の混合物であり得ることを示す。さらに、化学名は、便宜上提供するものであり、示されている化学構造に限定するためのものではない。化合物の化学名と構造の間に矛盾がない程度に、化合物の構造が支配的であるものとする。また、利用できる規約および選択によっては、特定の化学構造に1つより多くの化学名を与えることができる。非限定的な例として、下の化合物1は、オキサゾリジノン環上のメチルアセトアミド置換基について示された立体化学で描かれており、ヒドロキシ置換基について示された立体化学では描かれていない。化合物1は、アセトアミド置換基が結合しているキラル炭素中心で「5S」立体化学を示す命名がなされている。しかし、化合物1は、「(±)」記号を伴って命名されもしており、これは、その立体化学が非定義であるか、この化合物が、立体化学が示されていないヒドロキシル置換基に関するラセミ体であることを示している。
【0120】
本発明の化合物は、塩、エステルおよびプロドラッグとして調製、調合および送達することができる。便宜上、表1における化合物は、特定の塩、エステルまたはプロドラッグ形を示さずに一般的に示されており、この表ではそうした塩、エステルまたはプロドラッグへのさらなる限定を伴わずに一般的に命名されている。非限定的な例として、プロピルアミノ基を有する化合物2は、遊離塩基化合物として描かれているが、この化合物を生じさせるための合成手順から示されるように塩酸塩として調製することができる。
【0121】
【表1−1】

【0122】
【表1−2】

【0123】
【表1−3】

【0124】
【表1−4】

【0125】
【表1−5】

【0126】
【表1−6】

【0127】
【表1−7】

【0128】
【表1−8】

【0129】
【表1−9】

【0130】
【表1−10】

【0131】
【表1−11】

【0132】
【表1−12】

【0133】
【表1−13】

【0134】
【表1−14】

【0135】
【表1−15】

【0136】
【表1−16】

【0137】
【表1−17】

【0138】
【表1−18】

【0139】
【表1−19】

以下の図式は、本発明の化合物を合成するために利用できる幾つかの具体例としての化学作用を図示するものである。しかし、当該技術分野において知られている他の代替化学作用を利用して所望の化合物を合成することができることは、理解されるであろう。
【実施例1】
【0140】
(ヨウ化アリール101の合成)
(方法A)
図式1は、ヨウ化アリール101、本発明の化合物の製造に有用な中間体、の合成を図示するものである。
【0141】
図式1
【0142】
【化62】

(アミン91の合成)
テトラヒドロフラン(THF、150mL)中の3−フルオロアニリン90(18.7g、168.3mmol)の溶液を炭酸カリウム(KCO、46.45g、336.6mmol、2.0当量)および水(HO)(150mL)で処理し、その後、その反応混合物に、THF(50mL)中のクロロギ酸ベンジル(CBZCl、31.58g、185.1mmol、26.1mL、1.1当量)の溶液を、窒素(N)下、室温で一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を室温で2時間(h)攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)が、反応が完了したことを示したら、反応混合物をHO(100mL)および酢酸エチル(EtOAc、100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x100mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x100mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(NaCl、100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(3−フルオロ−フェニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(アミン91、39.2g、収率95%)を薄黄色の油として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0143】
【化63】

(アルコール92の合成)
無水THF(300mL)中のアミン91(39.2g、160.0mmol)の溶液をドライアイス/アセトン浴で−78に冷却し、その後、n−ブチルリチウムの溶液(n−BuLi、ヘキサン中の2.5M溶液、70.4mL、176mmol、1.1当量)をN下で一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を、その後、−78℃で1時間攪拌し、その後、その反応混合物に、無水THF(100mL)中の(R)−(−)−酪酸グリシジル(25.37g、24.6mL、176mmol、1.1当量)の溶液を、−78℃、N下で一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を−78℃で30分(min)間攪拌し、その後、12時間、N下で室温に徐々に温めた。TLCおよび高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)が、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(200mL)で反応停止させ、得られた混合物を室温で1時間攪拌し、その後、EtOAc(200mL)を添加した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x100mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。溶媒の大部分を蒸発させると、その濃縮溶液から白色の結晶が沈殿した。その後、残留物を20%EtOAc/ヘキサン(100mL)で処理し、得られたスラリーを室温で30分間攪拌した。固体を濾過により回収し、20%EtOAc/ヘキサン(2x50mL)で洗浄して、所望の(5R)−(3−(3−フルオロ−フェニル)−5−ヒドロキシメチル−オキサゾリジン−2−オン(アルコール92、24.4g、収率72.3%)を白色の結晶として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0144】
【化64】

(ヨード−アルコール93の合成)
トリフルオロ酢酸(TFA、50mL)中のアルコール92(10.74g、50.9mmol)の溶液を、25℃で、N−ヨードスクシンイミド(12.03g、53.45mmol、1.05当量)で処理し、2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物を、25℃で、HO(100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(100mL)で処理し、得られた混合物を25℃で30分間攪拌し、その後、2時間、0〜5℃に冷却した。白色の固体を濾過により回収し、HO(2x25mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2x25mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の(5R)−(3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−5−ヒドロキシメチル−オキサゾリジン−2−オン(ヨード−アルコール93、15.1g、収率88%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0145】
【化65】

(メシレート94の合成)
塩化メチレン(CHCl、150mL)中のヨード−アルコール93(25.2g、74.8mmol)の溶液を、25℃で、トリエチルアミン(TEAまたはEtN、15.15g、20.9mL、150mmol、2.0当量)で処理し、得られた混合物を0〜5℃に冷却し、その後、その反応混合物に、塩化メタンスルホニル(MsCl、10.28g、6.95mL、89.7mmol、1.2当量)を0〜5℃、N下で一滴ずつ導入した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃、N下で1時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(100mL)およびCHCl(100mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(100mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、(5R)−メタンスルホン酸3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチルエステル(メシレート94、30.71g、収率98.9%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0146】
【化66】

(フタルイミド95の合成)
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、120mL)中のメシレート94(26.38g、63.57mmol)の溶液を、25℃で、カリウムナトリウムフタルイミド(12.95g、70.0mmol、1.1当量)で処理し、得られた反応混合物を2時間、70℃に温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(400mL)で反応を停止させた。得られた混合物を室温で10分間攪拌し、その後、1時間、0〜5℃に冷却した。白色の沈殿を濾過により回収し、水(3x100mL)で洗浄し、真空乾燥させて、所望の(5R)−2−[3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオン(フタルイミド95、27.85g、94%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0147】
【化67】

(アミン96の合成)
エタノール(EtOH、150mL)中のフタルイミド95(23.3g、50.0mmol)の溶液を、25℃で、ヒドラジン・一水化物(12.52g、12.1mL、250mmol、5.0当量)で処理し、得られた反応混合物を温めて、2時間還流させた。反応混合物を還流すると、白色の沈殿が形成した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(100mL)で反応を停止させた。その後、その水溶液をCHCl(3x200mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(5S)−5−アミノメチル−3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−オキサゾリジン−2−オン(アミン96、16.0g、収率95.2%)を白色の粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0148】
【化68】

(ヨウ化アリール101の合成)
CHCl(150mL)中のアミン96(16.0g、47.6mmol)の懸濁液を、25℃で、TEA(9.62g、13.2mL、95.2mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃、N下で、無水酢酸(AcO、7.29g、6.75mL、71.4mmol、1.5当量)および4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP、58mg、0.5mmol、0.01当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(100mL)で反応を停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(2x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(5S)−N−[3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセトアミド(ヨウ化アリール101、17.36g、収率96.5%)を白色の粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0149】
【化69】

(方法B)
図式2は、アルコール92からのヨウ化アリール101の別合成を図示するものである。
【0150】
図式2
【0151】
【化70】

(メシレート97の合成)
CHCl(60mL)中のアルコール92(6.33g、30.0mmol)の溶液を、25℃で、TEA(6.07g、8.36mL、60mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃、N下で、その反応混合物にMsCl(3.78g、2.55mL、33.0mmol、1.1当量)を一滴ずつ導入した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃、N下で1時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(40mL)およびCHCl(40mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(40mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x40mL)およびNaCl飽和水溶液(40mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(5R)−メタンスルホン酸3−(3−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチルエステル(メシレート97、7.69g、収率88.7%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0152】
【化71】

(フタルイミド98の合成)
無水DMF(20mL)中のメシレート97(2.89g、10.0mmol)の溶液を、25℃で、カリウムナトリウムフタルイミド(2.22g、70.0mmol、1.2当量)で処理し、得られた反応混合物を4時間、70℃に温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(60mL)で反応を停止させた。得られた反応混合物を室温で10分間攪拌し、その後、1時間、0〜5℃に冷却した。白色の沈殿を濾過により回収し、水(2x40mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の(5R)−2−[3−(3−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−イソインドール−1,3−ジオン(フタルイミド98、3.12g、収率91.8%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0153】
【化72】

(アミン99の合成)
EtOH(30mL)中のフタルイミド98(3.0g、8.82mmol)の溶液を、25℃で、ヒドラジン・一水化物(2.20g、2.2mL、44.12mmol、5.0当量)で処理し、得られた反応混合物を温めて、2時間還流させた。反応混合物を還流させると、白色の沈殿が形成した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(20mL)で反応を停止させた。その後、その水溶液をCHCl(3x40mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(5S)−5−アミノメチル−3−(3−フルオロ−フェニル)−オキサゾリジン−2−オン(アミン99、1.79g、収率96.6%)を白色の粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0154】
【化73】

(アセトアミド100の合成)
CHCl(40mL)中のアミン99(2.60g、12.38mmol)の懸濁液を、25℃で、TEA(2.50g、3.4mL、24.76mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃、N下で、AcO(1.90g、1.75mL、18.75mmol、1.5当量)およびDMAP(15mg、0.12mmol、0.01当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(20mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(2x20mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(5S)−N−[3−(3−フルオロ−4−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセトアミド(アセトアミド100、2.93g、収率94%)を白色の粉末として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0155】
【化74】

(ヨウ化アリール101の合成)
TFA(20mL)中のアセトアミド100(2.3g、9.1mmol)の溶液を、25℃で、N−ヨードスクシンイミド(2.3g、10.0mmol、1.1当量)で処理し、得られた反応混合物を25℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。残留物を、25℃で、HO(20mL)および20%EtOAc/ヘキサン(20mL)で処理し、得られた混合物を25℃で30分間攪拌し、その後、2時間、0〜5℃に冷却した。白色の固体を濾過によって回収し、HO(2x20mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2x20mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の(5S)−N−[3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセトアミド(ヨウ化アリール101、3.34g、収率96.8%)をオフホワイトの粉末として得た。この生成物は、方法Aから得られた材料と同一であることが判明した。
【0156】
ヨウ化アリール101の合成は、例えば米国特許第5,523,403号および同第5,565,571号にも記載されている。
【実施例2】
【0157】
(化合物1および2の合成)
図式3は、アミン105、化合物1および2の合成において使用した中間体、の合成を説明するものである。ヨウ化アリール101を置換アリールボロン酸とカップリングさせて(鈴木反応)、N−[3−(2−フルオロ−4’−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセトアミド(ビアリールアルコール102)を生成する。当業者により容易に入手または合成される中間体の代替カップリングを用いる他のカップリング反応(例えば、スティル反応)を利用して、ビアリールアルコール102に類似した標的ビアリール中間体を合成することもできよう。その後、当業者によく知られている方法により、ビアリールアルコール102をアミン105に転化させる。
【0158】
(図式3)
【0159】
【化75】

図式4は、化合物1および2の合成を説明するものである。アミン105を必要な臭化物でアルキル化して、化合物1および2を得る。
【0160】
(図式4)
【0161】
【化76】

(アミン105の合成)
トルエン(120mL)中のヨウ化アリール101(14.0g、37mmol)の懸濁液を、25℃で、4−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(7.87g、51.8mmol)、KCO(15.32g、111mmol)、EtOH(40mL)およびHO(40mL)で処理し、得られた混合物を25℃、アルゴン定常流下で、3回脱気した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、2.14g、1.85mmol)をその反応混合物に添加し、得られた反応混合物を3回脱気し、その後、温めて6時間穏やかに還流させた。TLCおよびHPLCが、カップリング反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温冷却し、その後、HO(240mL)で処理した。得られた混合物を、その後、室温で10分間攪拌し、その後、1時間、0〜5℃に冷却した。固体沈殿物を濾過により回収し、HO(2x100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。粗製の所望ビアリールアルコール102(12.50g、収率94%)をオフホワイトの固体として得た。この材料は、本質的に純粋であることがHPLCおよびH NMRにより判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0162】
【化77】

CHCl(150mL)中のアルコール102(12.49g、34.90mmol)の懸濁液を、25℃で、TEA(7.07g、9.7mL、70mmol)で処理し、得られた混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃で、MsCl(4.80g、3.24mL、41.9mmol)を滴下して処理した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を、0〜5℃で、HO(100mL)で処理した。その後、その混合物を真空下で濃縮して大部分のCHClを除去し、得られたスラリーをHO(150mL)で処理した。その混合物を室温で10分攪拌し、その後、30分間、0〜5℃に冷却した。固体沈殿物を濾過により回収し、HO(2x100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。粗製メシレート103(11.84g、収率78%)をオフホワイトの固体として得、これは本質的に純粋であることがTLCおよびHPLCにより判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。LCMS(ESI)m/z 437(M+H)
【0163】
無水DMF(50mL)中のメシレート103(9.27g、21.26mmol)の溶液を、25℃で、アジ化ナトリウム(NaN、5.53g、85.04mmol)で処理し、得られた反応混合物を4時間、70〜80℃に温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(150mL)で処理した。得られた混合物を室温で10分間攪拌し、その後、1時間、0〜5℃に冷却した。固体沈殿物を濾過により回収し、HO(2x100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。粗製アジド104(7.16g、収率88%)をオフホワイトの固体として得た。この材料は、本質的に純粋であることがTLCおよびHPLCにより判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。LCMS(ESI)m/z 384(M+H)
【0164】
THF(100mL)中のアジド104(7.16g、18.69mmol)の溶液を、25℃で、トリフェニルホスフィン(5.88g、22.43mmol)およびHO(3.6g、3.6mL、0.2mmol)で処理し、得られた反応混合物を12時間、50〜55℃に温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜15%メタノール(MeOH)/CHClの勾配溶離)により直接精製して、アミン105(5.82g、収率87%)をオフホワイトの結晶として得た。これは、次の反応に直接使用するのに十分な純度のものであった。
【0165】
【化78】

(化合物1の合成)
アミン105(1.0g、2.8mmol)をDMF(15mL)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基またはi−PrNEt、3mL)に溶解した。この溶液に3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール(0.33mL、3.0mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間加熱した。溶媒を蒸発除去し、その粗製物をHO(150mL)に懸濁させ、濾過した。残留物をHO(50mL)で洗浄し、併せた水性層を濃水酸化アンモニウム(NHOH)で塩基性化し、その結果、白色沈殿が生じた。その懸濁液を濾過し、残留物をCHCl/MeOH 7:1(50mL)に溶解し、硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、その粗製物を、シリカゲルを用い、CHCl/MeOH 16:1から12:1で溶離することによって精製して、化合物1を白色の固体として得た(0.265g、収率20%)。LCMS(ESI)m/z 470(M+H)
【0166】
(化合物2の合成)
アミン105(0.50g、1.40mmol)をDMF(10mL)およびヒューニッヒ塩基(1mL)に溶解した。この溶液に、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(0.15mL、1.4mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間加熱した。溶媒を蒸発させ、その粗製物をHO(40mL)に懸濁させ、濾過した。残留物をHO(50mL)で洗浄し、CHCl中10%MeOH(60mL)に溶解した。その溶液をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。その粗製物を、シリカゲルを用い、CHCl中1〜6%のMeOHで溶離することによって精製して、白色の固体を得た(0.33g、収率52%)。この単離生成物をCHCl(30mL)およびジエチルエーテル(EtO、1.5mL、1.5mmol)中1Nの塩酸(HCl)に溶解し、その混合物を室温で20分間攪拌し、その間に沈殿が発生した。溶媒を蒸発させて、化合物2の塩酸塩を定量収率で得た。LCMS(ESI)m/z 454(M+H)
【実施例3】
【0167】
(アミン3の合成)
図式5は、アミン3の合成を説明するものである。塩酸3−フルオロプロピルアミン(塩酸アミン106)を1−ブロモ−3−フルオロプロパン139から合成し、その後、塩化ベンジル107でアルキル化して、アミン3を得た。
【0168】
図式5
【0169】
【化79】

(塩化ベンジル107の合成)
THF(15mL)中の3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−5−ヒドロキシメチル−オキサゾリジン−2−オン(1.0g、2.97mmol)、イソオキサゾール−3−オール(0.30g、3.56mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.02g、3.86mmol)の溶液に、0℃で、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD、0.74mL、3.56mmol)を一滴ずつ添加した。反応物を室温に温め、攪拌を2時間継続した。溶媒を蒸発させ、その粗製物を、シリカゲルを用い、ヘキサン/EtOAc 2:1から3:2で溶離することにより精製して、3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−5−(イソオキサゾール−3−イルオキシメチル)−オキサゾリジン−2−オン(1.01g、収率84%)を得た。
【0170】
トルエン(24mL)、EtOH(8mL)およびHO(8mL)中に3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−5−(イソオキサゾール−3−イルオキシメチル)−オキサゾリジン−2−オン(1.0g、2.48mmol)、4−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(0.46g、3.00mmol)およびPd(PPhを含有する脱気混合物を加熱して、15時間還流させた。その反応物を濃縮し、粗製残留物をHOに懸濁させ、濾過し、真空下で乾燥させて、3−(2−フルオロ−4’−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イル)−5−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−オキサゾリジン−2−オンを得た。この粗製材料をCHCl(10mL)およびヒューニッヒ塩基(0.88mL、5.33mmol)に溶解し、その後、MsCl(0.32mL、2.65mmol)を添加し、その混合物を室温で15時間攪拌した。その反応物を希重炭酸ナトリウム(NaHCO、20mL)とCHCl(30mL)とで分配した。二層を分離し、有機相を飽和塩化アンモニウム(NHCl、1x20mL)およびHO(1x20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、その粗製物を、シリカゲルを用い、CHCl中0〜3%MeOHで溶離することにより精製して、塩化ベンジル107を白色の結晶質固体として得た(0.46g、最後の二段階にわたる収率43%)。LCMS(ESI)m/z 403(M+H)
【0171】
(塩酸アミン106の合成)
DMF(10mL)中の3−フルオロ−1−ブロモプロパン(1.0g、7.1mmol)およびNaN(1.2g、17.7mmol)の混合物を60℃で一晩加熱した。この反応物をEtO(40mL)に注入し、HO(3x30mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、約0.6mLに注意深く濃縮した。この揮発性材料の半分をTHF(5mL)とEtOH(2mL)の混合物に溶解した。炭素担持パラジウム(Pd−C、10重量%、60mg)を添加し、その混合物を一晩、水素バルーン下に置いた。反応物を濾過してPd−Cを除去し、EtO中1NのHCl(3.5mL、3.5mmol)をその濾液に添加した。この溶液を室温で10分間攪拌し、溶媒を蒸発させて、塩酸アミン106を濃厚な黄色の油として得、これは放置すると固化した(0.224g、収率56%)。
【0172】
(化合物3の一塩酸塩の合成)
DMF(5mL)およびヒューニッヒ塩基(1mL)中の塩酸アミン106(0.11g、0.96mmol)および塩化ベンジル107(0.097g、0.24mmol)の混合物を60℃で24時間加熱した。溶媒を蒸発させ、その粗製物を希NHOH水溶液に懸濁させ、濾過した。残留物をCHClに溶解し、NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、その粗製物を、シリカゲルを用い、CHCl/MeOH/NHOH 16:1:0.05で溶離することにより精製して、褐色−白色の固体(0.041g、39%)を得た。この単離生成物をCHCl(5mL)およびEtO中1NのHCl(0.25mL、0.25mmol)に溶解し、その混合物を室温で5時間攪拌し、この間に沈殿が発生した。溶媒を蒸発させて、化合物3の一塩酸塩を定量収率で得た。LCMS(ESI)m/z 444(M+H)
【実施例4】
【0173】
(トリアゾール4の合成)
図式6は、トリアゾール4の合成を説明するものである。既知アルコール108を既知アジド110に転化させ、その後、それをトリメチルシリルアセチレン(TMSアセチレン)で処理して、シリル化トリアゾールを得る。そのシリル基をフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)で除去して、トリアゾール中間体111を得る。トリアゾール中間体11と4−ヒドロキシメチルボロン酸の鈴木カップリングによりアルコール112を生じさせ、これをメシレート113に転化させる。アミン106でのメシレート113の置換によりトリアゾール4を生じさせる。
【0174】
図式6
【0175】
【化80】

(アジド110の合成)
CHCl(80mL)中のアルコール108(5g、14.84mmol)の懸濁液に、0℃で、TEA(2.5mL、17.8mmol)およびMsCl(1.4mL、17.8mmol)を添加し、その透明な溶液を1時間、同温度で攪拌した。その反応混合物をブライン溶液(100mL)に注入し、水性相をCHCl(2x50mL)で抽出した。併せた有機層をブライン溶液(3x100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、メシレート109を生じさせた。これにNaN(2g、29.7mmol)およびDMF(50mL)を添加し、その混合物を一晩、80℃に加熱した。その溶液をEtOAc(150mL)とHO(100mL)の混合物に注入した。有機層を分離し、水性部分をEtOAc(3x50mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(1x150mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、5.4gのアジド110を生じさせた。
【0176】
DMF(20mL)中のアジド110(5.4g、14.84mmol)およびTMSアセチレン(10.48mL、74.2mmol)の溶液を12時間、90℃に加熱した。その反応混合物を濃縮し、THF中1MのTBAF(60mL)および酢酸(AcOH、2mL、29.7mmol)で処理し、周囲温度で12時間攪拌した。その溶液を濃縮し、飽和NHCl(50mL),EtOAc(150mL)およびブライン溶液(50mL)の混合物に注入した。有機層を分離し、水性相をEtOAc(3x50mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、こうして得た固体をHO(5x200mL)で洗浄して、5.7gのテトラゾール中間体111を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 389(M+H)
【0177】
(アルコール112の合成)
テトラゾール中間体111(5.7g、14.84mmol)、4−ヒドロキシメチルボロン酸(2.9g、19.29mmol)、KCO(6.0g、44.52mmol)およびPd(PPh(857mg、5mol%)の混合物をトルエン(120mL)、EtOH(40mL)およびHO(40mL)に添加した。この反応混合物を脱気し、アルゴンでフラッシュし、4時間還流させた。溶媒を減圧下で濃縮し、こうして得られた残留物をHO(2000mL)に注入した。薄黄色の固体を濾過し、40℃、真空下で乾燥させて、4,76gのアルコール112を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 369(M+H)
【0178】
(塩化ベンジル113の合成)
DMF(40mL)およびCHCl(30mL)中のアルコール112(4.6g、12.5mmol)およびヒューニッヒ塩基(6.4mL、38.75mmol)の溶液に、0℃で、MsCl(2.9mL、37.5mmol)を添加し、得られた溶液を周囲温度で3時間攪拌した。その溶液を濃縮してCHClを除去し、HO(1000mL)に注入した。薄黄色の固体を濾過し、HO(5x200mL)、ヘキサン中10%のEtOAc(5x100mL)およびヘキサン中50%のエーテル(5x100mL)で順次洗浄した。得られた固体を40℃、真空下で乾燥させて、4.5gの塩化ベンジル113を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 387(M+H)
【0179】
(トリアゾール4の合成)
DMF(4mL)中の塩化ベンジル113(100mg、0.258mmol)、塩酸アミン106(100mg、0.881mmol)およびヒューニッヒ塩基(1mL)の混合物を一晩、60℃に加熱した。この溶液を濃縮し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(12:1:0.01 CHCl/MeOH/NHOH)によって精製して、37mgのトリアゾール4を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 328(M+H)
【実施例5】
【0180】
(化合物5〜14の合成)
図式7は、化合物5〜14を合成するために使用した一般アプローチを説明するものである。アミン105、114および115をフッ化アルキル臭化物でアルキル化して、化合物5〜14を生じさせた。
【0181】
図式7
【0182】
【化81】

図式8は、化合物11の合成において使用するアミン114の合成を図示するものである。ヨウ化アリール101と4−ホルミルフェニルボロン酸の鈴木カップリングによりアルデヒド116を生じさせ、それを、還元アミノ化化学作用によってアミン114に転化させた。
【0183】
図式8
【0184】
【化82】

図式9は、化合物13および14の合成において使用したアミン115の合成を説明するものである。ピリジルアルデヒド117をアルコール118に還元し、それをボロン酸エステル119とカップリングさせて、アルコール120を得た。アルコール120をメシレート121によってアジド122に転化させ、その後、それをアミン115に還元した。
【0185】
図式9
【0186】
【化83】

(アルデヒド116の合成)
アルデヒド116は、トリアゾール中間体111からのアルコール112の合成について上で説明したのと同じ手順を用いて、ヨウ化アリール101および4−ホルミルフェニルボロン酸から合成した。
【0187】
(アミン114の合成)
無水DMF(20mL)中のアルデヒド116(3.56g、10.0mmol)の溶液を、室温で、THF中のメチルアミンの2N溶液(25mL、50.0mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaB(OAc)H、3.20g、15.0mmol)で処理し、得られた反応混合物を室温で6時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(40mL)で反応停止させ、得られた混合物を室温で30分間攪拌した。その後、固体沈殿物を濾過により回収し、HO(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。その後、この粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜15%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製して、アミン114(2.26g、収率61%)をオフホワイトの固体として得た。
【0188】
【化84】

(アルデヒド117の合成)
トルエン(1.24L)中の2,5−ジブロモピリジン(25g、105.5mmol)の溶液を−78℃に冷却し、その後、−78℃、N下で、ヘキサン中のn−BuLiの2.5M溶液(50.6mL、126.6mmol)を一滴ずつ添加して処理した。得られた反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、その後、−78℃で、無水DMF(11.6g、12.2mL、158.0mmol)で処理した。その反応混合物を−78℃でさらに1時間攪拌し、その後、6時間にわたって室温に徐々に温めた。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(200mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物を、その後、HO(2x200mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。その後、真空下で溶媒を除去し、薄黄色の残留油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜15%EtOAc/ヘキサン勾配溶離)によって精製して、ピリジルアルデヒド117(10.2g、収率52%)を薄黄色の固体として得た。
【0189】
(アルコール118の合成)
MeOH(120mL)中のアルデヒド117(4.91g、26.4mmol)の溶液を、0〜5℃で、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、1.18g、31.7mmol)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃でさらに1時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(20L)で反応停止させた。その後、真空下で溶媒を除去し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25%EtOAc/ヘキサン勾配溶離)によって直接精製して、アルコール118(4,23g、収率85%)を白色の固体として得た。
【0190】
(ボロン酸エステル119の合成)
1,4−ジオキサン(25mL)中のヨウ化アリール101(1.11g、2.55mmol)の溶液を、室温で、4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(489mg、0.56mL、3.82mmol)およびTEA(772mg、1.07mL、7.65mmol)で処理し、得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、室温で、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl、107mg、0.13mmol)で処理した。その後、この反応混合物を再びアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて6時間還流させた。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(20mL)およびEtOAc(20mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x20mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、褐色の残留油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜30%EtOAc/ヘキサン勾配溶離)によって精製して、ボロン酸エステル119(646mg、収率58%)を、褐色の油として得た。これは、室温、真空下で放置すると固化し、ならびに次の反応での使用に適する純度のものであった。
【0191】
(アルコール120の合成)
トルエン(150mL)中のボロン酸エステル119(11.05g、29.2mmol)およびアルコール118(4.227g、22.5mmol)の溶液を、室温で、固体KCO(9.315g、67.5mmol)、EtOH(50mL)およびHO(50mL)で処理し、得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、室温で、Pd(dppf)Cl(564mg、0.675)で処理した。その後、その反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて1時間還流させた。LCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(200mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物を水(2x50mL)およびNaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製して、アルコール120(6.16g、収率76%)を、灰色の固体として得た。
【0192】
(アジド122の合成)
CHCl(25mL)中のアルコール120(2.15g、6.0mmol)の懸濁液を、0〜5℃で、ヒューニッヒ塩基(1.551g、2.10mL、12.0mm)およびMsCl(756mg、0.511mL、6.6mmol)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃でさらに2時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(20mL)およびCHCl(40mL)で処理した。二層を分離し、水性層をCHCl(20mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製して、メシレート121(2.47g、収率94%)を、黄色の固体として得た。
【0193】
DMF(8.0mL)中のメシレート121(874mg、2.0mmol)の溶液を、室温で、NaN(260mg、4.0mmol)で処理し、得られた反応混合物を3時間、40〜45℃に温めた。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(20mL)で処理し、沈殿を濾過により回収し、HO(2x10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗製アジド122(699mg、収率91%)を灰色の固体として得た。これは、次の反応での使用に適する純度のものであった。
【0194】
(アミン115の合成)
THF(25mL)中のアジド122(2.611g、6.8mmol)の懸濁液を、室温で、HO(0.13mL、68mmol)およびトリフェニルホスフィン(PPh、2.14g、8.2mmol)で処理し、得られた反応混合物を、その後、室温で12時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、溶媒を真空下で除去し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜15%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、アミン115(2.233g、収率92%)を、黄色の固体として得た。
【0195】
(化合物5および6の合成)
無水DMF(10mL)中のアミン105(700.0mg、1.96mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(380mg、0.51mL、2.94mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、1−ブロモ−2−フルオロエタン(250mg、1.96mmol)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物5(395mg、収率50%)をオフホワイトの固体として、および化合物6(33.0mg、収率4%)を室温、真空下で放置すると固化する薄黄色の油として得た。化合物5について:LCMS(ESI)m/z 404(M+H)。化合物6について:LCMS(ESI)m/z 450(M+H)
【0196】
(化合物7および8の合成)
無水DMF(40mL)中のアミン105(5.712g、16.0mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(6.20g、8.4mL、48.0mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、3−フルオロ−1−ブロモプロパン(2.71g、19.2mmol)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物7(2.30g、収率35%)をオフホワイトの固体として、および化合物8(2.14g、収率28%)を室温、真空下で放置すると固化する薄黄色の油として得た。化合物7について:LCMS(ESI)m/z 418(M+H)。化合物8について:LCMS(ESI)m/z 478(M+H)
【0197】
(化合物9および10の合成)
無水DMF(4.0mL)中のアミン105(380g、1.06mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(210mg、0.25mL、1.59mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、1−ブロモ−2−フルオロブタン(165mg、1.06mmol、1.0当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物9(119mg、収率26%)をオフホワイトの固体として、および化合物10(48.2mg、収率9%)を室温、真空下で放置すると固化する薄黄色の油として得た。化合物9について:LCMS(ESI)m/z 432(M+H)。化合物10について:LCMS(ESI)m/z 506(M+H)
【0198】
(化合物11の合成)
無水DMF(3.0mL)中のアミン114(100.0mg、0.27mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(105mg、0.14mL、0.81mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、3−フルオロ−1−ブロモプロパン(46mg、0.32mmol)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物11(45mg、収率39%)をオフホワイトの固体として得た。LCMS(ESI)m/z 432(M+H)
【0199】
(化合物12の合成)
無水DMF(4.0mL)中のアミン105(150.0g、0.42mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(163mg、0.22mL、1.26mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、4−ブロモ−1,1,1−トリフルオロブタン(120mg、0.60mmol)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物12(76.5mg、収率39%)をオフホワイトの固体として得た。LCMS(ESI)m/z 468(M+H)
【0200】
(化合物13および14の合成)
無水DMF(7.0mL)中のアミン115(500.0mg、1.4mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(542mg、0.732mL、4.2mmol)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、3−フルオロ−1−ブロモプロパン(197mg、1.4mmol)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、65〜70℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物13(247.0mg、収率42%)をオフホワイトの固体として、および化合物14(121.0mg、収率18%)を室温、真空下で放置すると固化する薄黄色の油として得た。化合物13について:LCMS(ESI)m/z 419(M+H)。化合物14について:LCMS(ESI)m/z 479(M+H)
【実施例6】
【0201】
(化合物15および16の合成)
図式10は、スルフィド15およびスルホキシド16の合成を示すものである。塩化ベンジル123をチオ酢酸で置換して、チオエステル124を得、それ後、それをチオール125に加水分解する。3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパンでチオール125をアルキル化してスルフィド15を得、それをスルホキシド16に酸化する。
【0202】
図式10
【0203】
【化85】

(塩化ベンジル123の合成)
アルコール102(3.0g、8.4mmol)をCHCl(20mL)およびヒューニッヒ塩基(2mL)に溶解した。MsCl(1.4mL、12.6mmol)を一滴ずつ添加し、得られた溶液を室温で4時間攪拌した。その混合物を100mLのNaHCO飽和水溶液に注入し、CHCl(3x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、3.9gの黄色の油性固体を得た。この粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、塩化ベンジル123をオフホワイトの固体として得た(2.7g、7.2mmol)。
【0204】
【化86】

(チオエステル124の合成)
アルゴン雰囲気下、チオ酢酸(1.55mL、21.7mmol)を、DMF(25mL)中の塩化ベンジル123(4.08g、10.8mmol)と炭酸セシウム(CsCO、3.52g、10.8mmol)の混合物に添加した。その反応物を室温で2時間攪拌した。その後、50mLのHOを添加した。濾過によりオフホワイトのチオエステル生成物124(4.3g)を収率96%で回収した。LCMS(ESI)m/z 417(M+H)
【0205】
(チオール125の合成)
水酸化リチウム(LiOH、360mg、15mmol)を、THF(50mL)、MeOH(50mL)およびHO(20mL)の混合物中のチオエステル124(4.3g、10.3mmol)の溶液に添加した。30分間、室温、アルゴン下で攪拌した後、不溶性固体を濾過によって除去した。濾液をHO(50mL)で希釈し、濃縮して有機溶媒を除去し、その後、10%HClで中和した。濾過によりオフホワイトのチオール生成物125(3.5g)を収率91%で回収した。LCMS(ESI)m/z 375(M+H)
【0206】
(スルフィド15の合成)
アルゴン雰囲気下、ナトリウムメトキシド(NaOMe、MeOH中25重量%、238mg、1.1mmol)を、MeOH(4mL)およびTHF(4mL)中のチオール125(374mg、1mmol)および3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(186mg、1.05mmol)の溶液に添加した。室温で2時間攪拌した後、反応物を濃縮した。残留物をCHClに溶解し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。その粗生成物をクロマトグラフィー(25:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、220mgのスルフィド15を収率47%で得た。LCMS(ESI)m/z 471(M+H)
【0207】
(スルホキシド16の合成)
CHCl中のスルフィド15(135mg、0.29mmol)とmCPBA(70%、71mg、0.29mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。そのCHCl溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。その粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(25:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、105mgのスルホキシド16のジアステレオマー混合物を収率75%で得た。LCMS(ESI)m/z 487(M+H),509(M+Na)
【実施例7】
【0208】
(化合物17〜19の合成)
(スルフィド17の合成)
アルゴン雰囲気下、NaOMe(MeOH中25重量%、216mg、1mmol)を、MeOH(4mL)およびTHF(4mL)中のチオール125(340mg、0.91mmol)および1−ブロモ−3−フルオロプロパン(141mg、1mmol)の溶液に添加した。室温で2時間攪拌した後、反応物を濃縮した。残留物をCHClに溶解し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、220mgのスルフィド17を収率56%で得た。LCMS(ESI)m/z 435(M+H)
【0209】
(スルホキシド18の合成)
CHCl(10mL)中のスルフィド17(140mg、0.32mmol)とmCPBA(70%、79mg、0.32mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。そのCHCl溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(25:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、140mgのスルホキシド18(ジアステレオマー混合物として)を収率97%で得た。LCMS(ESI)m/z 451(M+H),473(M+Na)
【0210】
(スルホン19の合成)
CHCl(5mL)中のスルホキシド18(68mg、0.15mmol)とmCPBA(70%、38mg、0.15mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。その反応物を濃縮し、残留物をHOで洗浄して、57mgのスルホン19を収率82%で得た。LCMS(ESI)m/z 467(M+H)
【実施例8】
【0211】
(化合物20の合成)
図式11は、化合物20の合成を図示するものである。エポキシド126は、臭化アリール127を生じさせるためにベンジルアミン用のアルキル化剤としての役目を果たした。臭化アリール127をボロン酸エステル119とカップリングさせて、ベンジルアミン128を生じさせた。ベンジルアミン128を3−フルオロ−1−ブロモプロパンでアルキル化して、期待の第三アミンを生じさせ、その後、それを水素化により脱保護して、化合物20を得た。
【0212】
図式11
【0213】
【化87】

(エポキシド126の合成)
CHCl(130mL)中の4−ブロモスチレン(5.00g、26.8mmol)の溶液に、4−メチルモルホリンN−オキシド(NMO、12.90g、107.1mmol、無水物)およびヤコブセン触媒(塩化(1S,2S)−(+)−[1,2−(シクロヘキサノジアミノ−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−サリチリデン)]−マンガン(III)、850mg、1.34mmol)を添加した。その溶液を−78℃に冷却し、その後、mCPBA(7.40g、42.8mmol)を10分おきに4回で添加した。その混合物を−78℃で2時間攪拌した。チオ硫酸ナトリウムの溶液(Na、30mLのHO中10.0g)の添加により反応を停止させ、その後、冷却浴を取り外し、HO(70mL)および1N水酸化ナトリウム(NaOH、60mL)を添加した。水性相をCHCl(30mLx3)で抽出し、MgSOで乾燥させ、蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(4:100 EtO/ヘキサン)によって精製して、5.20gのエポキシド126を生じさせた(収率98%)。
【0214】
(臭化アリール127の合成)
室温でアセトニトリル(CHCN、3.0mL)中のエポキシド126(1mmol、1当量)の懸濁液に、過塩素酸リチウム(LiClO、1.05mmol、1.05当量)を添加した。透明溶液形成後、ベンジルアミン(1.5mmol、1.5当量)を添加した。その混合物を80℃で4.5時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(3.5:100 MeOH/CHCl)によって分離して、臭化アリール127(460mg、収率50%)を得た。LCMS(ESI)m/z 307(M+H)
【0215】
(アミン128の合成)
ジオキサン/EtOH/HOの3:1:1混合物中の臭化アリール127(1当量)、ボロン酸エステル119(1当量)、Pd(dppf)Cl(0.05当量)およびKCO(4当量)の懸濁液を、この混合物にアルゴン定常流を通すことによって脱気した。その混合物を80℃で3時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(3:100 MeOH/CHCl)によって精製して、アミン128(690mg、収率96%)を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 439(M+H)
【0216】
(化合物20の合成)
アミン128(80mg、0.168mmol)、3−フルオロ−1−ブロモプロパン(47mg、0.335mmol)およびヒューニッヒ塩基(117μL、0.670mmol)の混合物を55〜60℃で15時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(2:100 MeOH/CHCl)によって精製して、87mgのアルキル化生成物を得た(収率96%)。LCMS(ESI)m/z 538(M+H)
【0217】
室温でEtOH(1.5mL)中の上記アルキル化生成物(80mg、0.149mmol)の溶液に、3NのHCl水溶液(120μL、0.360mmol)、続いて10%Pd−C(15mg)を添加した。その混合物をH(1気圧)下で18時間攪拌した。混合物をセライトのパッドに通し、ケーキをMeOH(10mLx3)で洗浄した。濾液を蒸発させて、化合物20(57mgのHCl塩、収率79%)を得た。LCMS(ESI)m/z 448(M+H)
【実施例9】
【0218】
(化合物21の合成)
無水DMF(5.0mL)中のアミン105(0.178g、0.5mmol)の溶液を、25℃、N下で、2,2,2−トリクロロ−アセトイミド酸メチルエステル(0.106g、0.075mL、0.6mmol、1.2当量)で処理し、得られた混合物を25℃で24時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物21(52.0mg、収率20.7%)を白色の固体として得た。
【0219】
【化88】

【実施例10】
【0220】
(化合物22の合成)
アミン105(50mg、0.14mmol)、4,4,4−トリフルオロクロトノニトリル(0.17mL、0.14mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸の混合物を周囲温度で12時間攪拌した。その反応混合物を濃縮し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(15:1:0.01 CHCl/MeOH/NHOH)によって精製して、18mgの化合物22を生じさせた。LCMS(ESI)m/z 479(M+H)
【実施例11】
【0221】
(化合物24の合成)
DMF(5mL)中のアミン105(357mg、1mmol)、1−ブロモ−3−フルオロプロパン−2−オール(157mg、1mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.4mL、2.3mmol)の混合物を70℃で3時間加熱した。その反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、165mgの化合物24を収率38%で得た。LCMS(ESI):434.1(100%,(M+H)),456.0(M+Na)
【実施例12】
【0222】
(化合物26の合成)
無水DMF(6mL)中のアミン105(0.357g、1.0mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(0.13g、0.18mL、1.0mmol、1.0当量)で処理し、得られた混合物を25℃、N下で、1−クロロ−3−ヨード−プロパン(0.204g、0.105mL、1.0mmol、1.0当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、6時間、50〜60℃に温めた。TLCおよびLCMSが、アルキル化反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物26(97.4mg、収率22.5%)をオフホワイトの固体として得た。
【0223】
【化89】

【実施例13】
【0224】
(化合物28の合成)
無水DMF(5mL)中のアミン105(0.357g、1.0mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(0.13g、0.18mL、1.0mmol、1.0当量)で処理し、得られた混合物を25℃、N下で、1,3ジブロモ−プロペン(0.2g、1.0mmol、1.0当量)で処理した。得られた反応混合物を、室温で2時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その残留物を、分取HPLCによって直接精製して、化合物28(107.0mg、収率16%)をオフホワイトの固体として得た。
【0225】
【化90】

【実施例14】
【0226】
(化合物29の合成)
DMF(3mL)中のアミン105(178.5mg、0.5mmol)、1,3−ジクロロプロペン(55.5mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.2mL、1.15mmol)およびKI(5mg)の混合物を70℃で6時間加熱した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、97mgの所望の化合物29を収率45%で得た。LCMS(ESI):432.0(100%,(M+H)),473.2,495.1。
【実施例15】
【0227】
(化合物30の合成)
アミン105(178.5mg、0.5mmol)、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン(94.5mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.2mL、1.15mmol)およびKI(5mg)DMF(3mL)の混合物を70℃で6時間加熱した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、75mgの所望の化合物30を収率32%で得た。LCMS(ESI):466.1(M+H),488.2。
【実施例16】
【0228】
(化合物32の合成)
DMF(3mL)中のアミン105(178.5mg、0.5mmol)、1−ブロモ−1,1−ジフルオロプロプ−2−エン(94.5mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.2mL、1.15mmol)およびKI(5mg)の混合物を70℃で2時間加熱した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、70mgの化合物32を収率32%で得た。LCMS(ESI):434.1(M+H),456.0。
【実施例17】
【0229】
(化合物34の合成)
無水THF(5mL)および無水DMF(2mL)中のアルデヒド116(356mg、1.0mmol)の懸濁液を、室温で、2,2,2−トリフルオロ−エチルアミン(99.0mg、1.0mmol、1.0当量)およびNaB(OAc)H(450mg、2.0mmol、2.0当量)で処理し、6時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。この残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物34(25.5mg、収率5.8%)をオフホワイトの固体として得た。
【0230】
【化91】

【実施例18】
【0231】
(化合物35の合成)
塩化ベンジル123からの化合物35の合成を下の図式12に図示する。
【0232】
図式12
【0233】
【化92】

DMF(2mL)中の塩化ベンジル123(149mg、0.395mmol)、2−(メチルチオ)エチルアミン(MeSCHCHNH、149mg、1.626mmol)、KCO(55mg、0.395mmol)およびKI(5mg)の混合物を70℃で2時間加熱した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、138mgのアミン129を収率81%で得た。LCMS(ESI):432.1(100%,(M+H)),473.1。
【0234】
DMF(3mL)中のアミン129(144mg、0.33mmol)、1−ブロモ−3−フルオロプロパン(70.5mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.2mL、1.15mmol)およびKI(5mg)の混合物を70℃で24時間加熱した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(25:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、105mgの化合物35を収率64%で得た。LCMS(ESI):492.1(100%,(M+H)),514.0。
【実施例19】
【0235】
(化合物36の合成)
図式13は、化合物24からの化合物36の合成を図示するものである。
【0236】
図式13
【0237】
【化93】

10mLのTHFおよび1mLのHO中の化合物24(1.1g、2.5mmol、上の実施例10で説明したとおり調製したもの)、二炭酸ジ−t−ブチル(BOCO、1.1g、5mmol)およびKCOの混合物を室温で12時間攪拌した。この反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(25:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、1.24gの保護アミン130を収率93%で得た。LCMS(ESI):434.1,556.1。
【0238】
ジメチルスルホキシド(DMSO、0.05mL)を、−78℃、アルゴン雰囲気下で、CHCl(1mL)中の塩化オキサリル((COCl)、0.42mmol)の溶液に添加した。5分間攪拌した後、CHCl(2mL)中の保護アミン130(142mg、0.27mmol)を添加した。得られた混合物を15分間、−78℃で攪拌し、この時点でTEA(0.17mL、1.22mmol)を添加した。−78℃でさらに15分間攪拌した後、反応物を放置して室温に温め、一晩放置した。HOで反応を停止させ、EtOAcで希釈し、飽和NaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物を分取TLC(15:1:0.05 CHCl/MeOH/NH・HO)によって精製して、90mgのケトン131を収率63%で得た。LCMS(ESI):554.0(100%,(M+Na))。
【0239】
CHCl(10mL)およびMeOH(1mL)中のケトン131の溶液に、ジオキサン中4.0MのHCl 2mLを添加した。室温で1時間攪拌した後、その反応物を濃縮し、EtOAc/MeOHで洗浄して、化合物36の一塩酸塩 56mgを収率90%で得た。LCMS(ESI):554.0(100%,(M+HO))。
【実施例20】
【0240】
(化合物37の合成)
(方法A)
図式14は、化合物7からの化合物37の合成を図示するものである。
【0241】
図式14
【0242】
【化94】

CHCl(10mL)およびMeOH(10mL)中の化合物7(417mg、1.0mmol、上の実施例4で説明したとおり調製したもの)の溶液を、室温で、mCPBA(207.1mg、1.2mmol、1.2当量)で処理し、4時間攪拌した。その後、その反応混合物をHO(10mL)およびCHCl(10mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(2x10mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製して、化合物37(22.5mg、収率5.2%)を白色の固体として得た。
【0243】
【化95】

(方法B)
図式15は、アルデヒド116からの化合物37の合成を図示するものである。
【0244】
図式15
【0245】
【化96】

MeOH(40mL)中のアルデヒド116(3.56g、10.0mmol)の懸濁液を、室温で、塩酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HCl、843mg、12.0mmol、1.2当量)およびピリジン(948mg、12.0mmol、1.2当量)で処理し、25℃で12時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。この残留物をHO(100mL)で処理し、得られた懸濁液を室温で30分間攪拌した。濾過によって固体を回収し、HO(2x20mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、所望の(5S)−N−{3−[2−フルオロ−4’−(ヒドロキシイミノ−メチル)−ビフェニル−4−イル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセトアミド(アセトアミド132、3.58g、収率96.5%)をオフホワイトの固体として得、それをさらに精製せずに次の段階で直接使用した。
【0246】
AcOH(10mL)中のアセトアミド132(1.113g、3.0mmol)の溶液を、室温で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN、378mg、6.0mmol、20当量)で処理し1時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物133(856mg、収率76.5%)を白色の固体として得た。
【0247】
【化97】

無水DMF(8mL)中の化合物133(373mg、1.0mmol)の溶液を、室温で、固体KCO(414mg、3.0mmol、3.0当量)および3−フルオロ−1−ブロモプロパン(282mg、2.0mmol、2.0当量)で処理し、12時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物37(195mg、収率45%)を白色の固体として得た。HPLC/MSおよびH NMRにより、この生成物は、方法Aによって得られた材料と同一であることが判明した。
【実施例21】
【0248】
(化合物38の合成)
無水DMF(10mL)中の塩化ベンジル123(750.0mg、2.0mmol)の懸濁液を、室温で、2,2−ジフルオロ−エチルアミン(162.0mg、2.0mmol、1.0当量)およびKI(触媒量)で処理した。得られた反応混合物を50℃に温め、一晩攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物38(68.5mg、収率8.1%)をオフホワイトの固体として得た。
【0249】
【化98】

【実施例22】
【0250】
(化合物40の合成)
2mLのDMF中のアミン105(0.100g、0.28mmol)およびフルオロアセトン(0.021g、0.28mmol)の溶液に、25℃で、NaB(OAc)H(0.119g、0.56mmol)を添加した。その反応混合物を2時間攪拌した。回転蒸発により溶媒を除去し、固体残留物を分取TLCによって精製して、0.080gの化合物40を得た。MS(M+1):418。
【実施例23】
【0251】
(化合物41の合成)
無水THF(5mL)および無水DMF(2mL)中のアルデヒド116(200mg、0.56mmol)の懸濁液を、室温で、2,2,2−トリフルオロ−エチルアミン(120.0mg、0.56mmol、1.0当量)およびNaB(OAc)H(240mg、2.0mmol、2.0当量)で処理した。得られた反応混合物を50℃に温め、12時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物41(18.2mg、収率3.5%)をオフホワイトの固体として得た。
【0252】
【化99】

【実施例24】
【0253】
(化合物42の合成)
図式16は、メシレート134からの化合物42の合成を図示するものである。
【0254】
図式16
【0255】
【化100】

無水DMF(8mL)中の(5R)−メタンスルホン酸3−(4’−{[t−ブトキシカルボニル−(3−フルオロ−プロピル)−アミノ]−メチル}−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチルエステル(メシレート134、162mg、0.3mmol)の溶液を、25℃、N下で、1,2,3−トリアゾール−5−チオールナトリウム塩(74mg、0.6mmol、2.0当量)で処理し、4時間攪拌した。TLCおよびLCMSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって直接精製して、所望の(5R)−{2’−フルオロ−4’−[2−オキソ−5−(3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルスルファニルメチル)−オキサゾリジン−3−イル]−ビフェニル−4−イルメチル}−3−(フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物135、146mg、収率87%)を薄黄色の固体として得、それを次の反応で直接使用した。
【0256】
CHCl(3mL)およびMeOH(1mL)中の化合物135(140mg、0.25mmol)の溶液を、25℃で、1,4−ジオキサン中4.0NのHClの溶液(1mL、4.0mmol、16.0当量)で処理し、2時間攪拌した。その後、真空下で溶媒を除去し、残留物を、25℃で30分間、CHCN(10mL)中でスラリー化した。その後、濾過によって固体を回収し、CHCN(5mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物42(117mg、94.4%)を薄黄色の結晶として得た。
【0257】
【化101】

【実施例25】
【0258】
(化合物7の別合成(方法1))
図式17は、ヨウ化アリール101およびアリールボロン酸141からの化合物7の合成を図示するものである。
【0259】
図式17
【0260】
【化102】

(アリールボロン酸120の合成)
図式18は、4−(N−t−ブチルカルボニル−3−フルオロプロピルアミノメチル)フェニルボロン酸(アリールボロン酸141)への3つの合成経路を図示するものである。
【0261】
図式18
【0262】
【化103】

(塩酸アミン106の合成)
300mLのCHCl中の3−フルオロ−プロパン−1−オール(31.2g、400mmol)の溶液を、0℃で、MsCl(55g、38mL、480mmol、1.2当量)で処理した。得られた反応混合物を徐々に室温に温め、1〜2時間攪拌した。H NMRが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(100mL)で処理し、二層を分離した。水性層をCHCl(2x100mL)で抽出した。併せた有機層をHO(3x100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。真空下で溶媒を除去して、所望のメタンスルホン酸3−フルオロ−プロピルエステル(57.2g、収率91%)を黄色の油として得た。
【0263】
250mLの無水DMF中のメタンスルホン酸3−フルオロ−プロピルエステル(34.5g、221mmol)の溶液を、25℃で、カリウムナトリウムフタルイミド(49g、265mmol、1.2当量)で処理した。得られた懸濁液を2時間、70〜80℃に温めた。H NMRが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(200mL)で処理した。水性層をEtOAc(3x100mL)で抽出した。併せた有機層をHO(3x100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。真空下で溶媒を除去して、所望の2−(3−フルオロ−プロピル)−イソインドール−1,3−ジオン(45.4g、理論値45.5g、収率97.7%)を白色の粉末として得た。
【0264】
400mLの95%EtOH水溶液中の2−(3−フルオロ−プロピル)−イソインドール−1,3−ジオン(45.4g、221mmol)の懸濁液をヒドラジン・一水化物(11.3g、11.1mL、223mmol、1.0当量)で処理した。その溶液を3時間還流させた。H NMRが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、濃HCl水溶液(250mL)で処理してpH1〜2にした。白色のフタルヒドラジド沈殿を濾過によって回収し、95%EtOH水溶液(4x100mL)で洗浄した。その後、併せた濾液を約100mLに濃縮し、その後、250mLのHOを添加した。不溶物質を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮乾固した。濾液をEtOH/EtOから再結晶させ、真空下で乾燥させて、塩酸アミン106(20.83g、収率83.8%)を白色の結晶として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0265】
【化104】

(塩酸アミン106の別合成)
塩酸アミン106は、上の実施例3において説明した一般手順を用い、メタンスルホン酸3−フルオロ−プロピルエステルの代わりに1−ブロモ−3−フルオロプロパン139を使用して調製することができる。
【0266】
(臭化物136の合成)
(方法A)
DMF(200mL)中の塩酸アミン106(6.0g、52.8mmol、1.16当量)の溶液に、室温で、4−ブロモベンズアルデヒド148(8.50g、45.5mmol)を添加した。得られた反応混合物を、その後、室温で、NaB(OAc)H(16.10g、72.0mmol、1.6当量)で処理し、2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(100mL)で反応停止させた。得られた水性混合物を、室温で、固体NaCO(99.64g、91.0mmol、2.0当量)およびBOCO(12.9g、59.1mmol、1.3当量)で処理した。その後、その混合物を室温で1.5時間攪拌し、その後、HO(100mL)で反応停止させた。その後、その反応混合物をEtOAc(3x60mL)で抽出した。併せた有機抽出物を0.5MのHCl水溶液(100mL)およびHO(3x100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(3〜4%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の(4−ブロモ−ベンジル)−(3−フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(臭化物136、11.38g、収率72%)を無色の油として得た。
【0267】
【化105】

(方法B)
THF(20mL)およびHO(5mL)中の塩酸4−ブロモベンジルアミン137(2.225g、10.0mmol)およびKCO(2.07g、15.0mmol、1.5当量)の溶液を、室温で、BOCO(2.40g、11.0mmol、1.1当量)で処理し、12時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(10mL)およびEtOAc(40mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(20mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望の(4−ブロモ−ベンジル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物138、2.60g、収率90.9%)を無色の油として得た。
【0268】
無水DMF(3.0mL)中の化合物138(286mg、1.0mmol)の溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(NaH、60%油性分散液、48.0mg、1.2mmol、1.2当量)を添加した。得られた混合物を0℃で30分間攪拌し、その後、1−ブロモ−3−フルオロプロパン139(170mg、1.2mmol、1.2当量)を添加した。その後、その反応混合物を50〜60℃に温め、24時間攪拌した。その後、反応混合物をHO(10mL)で反応停止させ、得られた水溶液をEtOAc(2x20mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(10〜15%EtOAc/ヘキサン勾配溶離)によって精製して、臭化物136(158mg、収率46%)を無色の油として得た。
【0269】
(方法C)
無水DMF(8.0mL)中の臭化4−ブロモベンジル140(0.30g、1.20mmol)および塩酸アミン106(0.272g、2.40mmol、2.0当量)の溶液を、室温で、ヒューニッヒ塩基(2.0mL)で処理した。得られた反応混合物を24時間、60℃に温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を25℃に冷却し、その後、HO(8.0mL)で処理した。得られた水溶液を、その後、25℃で、固体NaHCO(0.30g、3.60mmol、3.0当量)およびBOCO(0.524g、2.40mmol、2.0当量)で処理し、24時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(20mL)およびEtOAc(20mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x30mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(4x10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(3%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、臭化物136(0.24g、収率57.8%)を無色の油として得た。
【0270】
(ボロン酸141の合成)
−78℃で無水THF(30mL)中の臭化物136(3.0g、8.7mmol)の溶液に、ヘキサン中のn−BuLiの2.5M溶液(3.64mL、9.1mmol、1.05当量)を添加した。得られた反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、その後、ホウ酸トリメチル(B(OMe)、1.2mL、10.4mmol、1.2当量)を一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を−78℃で0.5時間攪拌し、その後、一晩、徐々に室温に温めた。その反応混合物をHO(60mL)に注入し、その水溶液を1.0NのHCl水溶液で処理してpH4.0にした。その後、その水性混合物をEtOAc(4x30mL)で抽出した。併せた有機抽出物をNaCl飽和水溶液(30mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、所望のアリールボロン酸141(2.5g)を得た。この生成物をさらに精製せずに次の段階で直接使用した。
【0271】
【化106】

(化合物7の合成)
図式19は、ヨウ化アリール101およびアリールボロン酸141からの化合物7の合成を図示するものである。
【0272】
図式19
【0273】
【化107】

トルエン(24mL)、EtOH(8mL)およびHO(8mL)の混合物中のアリールボロン酸141(2.50g、8.03mmol)の懸濁液を、室温で、ヨウ化アリール101(2.53g、6.7mmol、0.83当量)および固体KCO(2.80g、20.1mmol、3.0当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、Pd(PPh(387mg、0.335mmol、0.05当量)を添加した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて、8時間還流させた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(60mL)およびEtOAc(60mL)に注入した。二層を分離し、有機相をHO(30mL)およびNaCl飽和水溶液(2x30mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、その生成物をEtOAc/ヘキサンから再結晶させ、真空下で乾燥させて、所望の(5S)−{4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル}−(3−フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(BOC−アミン142、1.3g、30%)をオフホワイトの粉末として得た。
【0274】
CHCl(30mL)中のBOC−アミン142(15.65g、30.3mmol)の溶液を、室温で、1,4−ジオキサン中4NのHClの溶液(37.5mL、150.0mmol、5.0当量)で処理し、12時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、真空下で溶媒を除去した。残留物を、CHCN(200mL)とMeOH(50mL)の混合物に懸濁させ、得られたスラリーを室温で1時間攪拌した。固体を濾過によって回収し、20%MeOH/CHCN(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物7の塩酸塩(13.0g、収率95.3%)を白色の結晶として得た。
【0275】
【化108】

【実施例26】
【0276】
(化合物7の別合成(方法2))
図式20は、ヨウ化アリール101とカップリングさせて化合物7を生じさせる、アリールボロン酸141の別合成を図示するものである。
【0277】
図式20
【0278】
【化109】

(アリールボロン酸141の合成)
無水DMF(150mL)中の4−ホルミルフェニルボロン酸(10.0g、66.69mmol)の溶液を、室温で、塩酸アミン106(8.70g、76.70mmol、1.15当量、上の実施例1において説明したとおり調製したもの)で処理した。得られた混合物を、室温で、NaB(OAc)H(28.30g、133.39mmol、2.0当量)で処理し、3時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(150mL)、固体NaCO(14.14g、133.39mmol、2.0当量)およびBOCO(22.05g、100.04mmol、1.5当量)で処理した。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(500mL)およびEtOAc(500mL)に注入した。二層を分離し、水性層を2NのHCl水溶液(130mL)で処理してpH4にした。その後、水性層をEtOAc(160mL)で抽出し、併せた有機相をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(2x100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、所望のアリールボロン酸141(25.0g)を薄黄色の油として得た。この生成物は、上の実施例1から得られた物質と同一であることが判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0279】
(化合物7の合成)
トルエン(120mL)、EtOH(40mL)およびHO(40mL)の混合物中のアリールボロン酸141(25.0g、64.30mmol、1.45当量)の懸濁液を、室温で、ヨウ化アリール101(16.80g、44.44mmol、上の実施例1において説明したとおり調製したもの)および固体KCO(18.40g、133.4mmol、3.0当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、Pd(PPh(2.57g、2.23mmol、0.05当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて、8時間還流させた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(300mL)およびEtOAc(300mL)に注入した。二層を分離し、有機相をHO(60mL)およびNaCl飽和水溶液(2x50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その生成物をEtOAc/ヘキサンから再結晶させ、真空下で乾燥させて、BOC−保護アミン142(21.2g、三段階にわたる収率61.5%)をオフホワイトの粉末として得た。
【0280】
その後、BOC−保護アミン142を、実施例25におけるがごとく、1,4−ジオキサン中4NのHClで処理して、化合物7の一塩酸塩を得た。NMRおよびLCMSによると、このプロセスから得られた生成物は、実施例25において得られた物質と同一であった。
【実施例27】
【0281】
(化合物7の別合成(方法3))
図式21は、臭化アリール136およびアリールボロン酸エステル119からの化合物7の合成を図示するものである。
【0282】
図式21
【0283】
【化110】

(ボロン酸エステル119の合成)
無水1,4−ジオキサン(130mL)中のヨウ化アリール101(20.0g、52.8mmol)の懸濁液を、室温で、4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(10.2g、11.6mL、80.0mmol、1.5当量)およびTEA(16.0g、22.4mL、158.4mmol、3.0当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、室温で、Pd(dppf)Cl(1.32g、1.6mmol、0.03当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて7時間還流させた。HPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(100mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x50mL)およびNaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。褐色の残留油を真空下でさらに乾燥させて、所望ボロン酸エステル119(18.8g、収率94%)を褐色の固体として得た。この生成物をさらに精製せずに次の反応で直接使用した。
【0284】
【化111】

(化合物7の合成)
1,4−ジオキサン(21mL)、EtOH(7.0mL)およびHO(7.0mL)中のボロン酸エステル119(1.40g、3.7mmol、1.3当量)および臭化物136(1.0g、2.89mmol、上の実施例25において説明したとおり調製したもの)の溶液を、室温で、固体KCO(1.2g、8.7mmol、3.0当量)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、室温で、Pd(dppf)Cl(118mg、0.144mmol、0.05当量)で処理した。その反応混合物をアルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて2時間還流させた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(60mL)で処理した。その後、その水溶液をCHCl(3x20mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶離)によって精製して、BOC−保護アミン142(1.36g、収率91%)を無色の油として得た。これは、室温、真空下で放置すると固化した。
【0285】
その後、BOC−保護アミン142を、実施例1におけるがごとく、1,4−ジオキサン中4NのHClで処理して、化合物7の一塩酸塩を得た。NMRおよびLCMSによると、このプロセスから得られた生成物は、実施例25において得られた物質と同一であった。
【実施例28】
【0286】
(化合物7の別合成(方法4))
図式22は、塩化ベンジル123およびアミン塩106からの化合物7の合成を図示するものである。
【0287】
図式22
【0288】
【化112】

(化合物7の合成)
無水DMF(5.0mL)中の塩化ベンジル123(190.0mg、0.5mmol)の溶液を、25℃、N下で、ヒューニッヒ塩基(194mg、0.26mL、1.5mmol、3.0当量)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、アミン塩106(85mg、0.75mmol、1.5当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、12時間、60℃に温めた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜5%MeOH−CHCl勾配溶離)によって直接精製して、化合物7(108.4mg、理論値208.5mg、52%)を白色の固体として得た。LCMS(EI)m/e 418(M+H)。
【0289】
(化合物7の一塩酸塩の合成)
MeOH(2mL)とCHCl(18mL)の混合物中の化合物7(834mg、2.0mmol)の溶液を、室温で、1,4−ジオキサン中4NのHClの溶液(1.0mL、4.0mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌した。TLCが、塩形成反応が完了したことを示したら、溶媒を真空下で除去した。その後、残留物をCHCN(16mL)とMeOH(4mL)の混合物に懸濁させ、得られたスラリーを室温で1時間攪拌した。固体を濾過によって回収し、20%MeOH−CHCN(2x5mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物7の一塩酸塩(871mg、理論値907mg、96%)を白色の結晶として得た。
【実施例29】
【0290】
(化合物7の別合成(方法5))
図式23は、アルデヒド116およびアミン塩106からの化合物7の合成を図示するものである。
【0291】
図式23
【0292】
【化113】

(BOC−保護アミン142の合成)
無水THF(250mL)と無水DMF(125mL)の混合物中のN−[3−(2−フルオロ−4’−ホルミル−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセトアミド(アルデヒド116、24.54g、68.9mmol)の溶液を、25℃、N下で、アミン塩106(10.17g、89.6mmol、1.3当量)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、NaB(OAc)H(21.9g、103.4mmol、1.5当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、25℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、還元アミノ化反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(375mL)で処理した。得られた溶液を、その後、室温で、KCO(38.0g、275.6mmol、4.0当量)およびBOCO(18.0g、82.7mmol、1.2当量)で処理し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、N−BOC保護反応が完了したことを示したら、その反応混合物をEtOAc(200mL)およびHO(100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x200mL)で抽出した。その後、併せた有機抽出物をHO(100mL)、1NのHCl水溶液(2x200mL)、HO(2x200mL)、そしてNaCl飽和水溶液(200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜3MeOH−CHCl勾配溶離)によって精製して、所望のBOC−保護アミン142(29.57g、理論値35.62g、83%)を無色の油として得た。これは、室温、真空下で放置すると固化した。
【0293】
(化合物7の一塩酸塩の合成)
CHCl(30mL)にBOC−保護アミン142(15.65g、30.3mmol)を含有する溶液を、室温で、1,4−ジオキサン中4NのHClの溶液(37.5mL、150.0mmol、5.0当量)で処理し、得られた反応混合物を室温で12時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、N−BOC脱保護反応が完了したことを示したら、真空下で溶媒を除去した。その後、残留物をCHCN(200mL)とMeOH(50mL)の混合物に懸濁させ、得られたスラリーを室温で1時間攪拌した。濾過によって固体を回収し、20%MeOH−CHCN(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物7の一塩酸塩(13.0g、理論値13.64g、95.3%)を白色の結晶として得た。LCMS(EI)m/e 418(M+H)。
【実施例30】
【0294】
(化合物7の別合成(方法6))
図式24は、(4’−{[t−ブトキシカルボニル−3−フルオロ−プロピル)−アミノ]−メチル}−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(カルバメート146)と(R)−(−)−酪酸グリシジルの環化反応によってオキサゾリジノン環を調製する反応による化合物7の合成を図示するものである。
【0295】
図式24
【0296】
【化114】

(化合物143の合成)
O(600mL)中のNaHCO(75.6g、0.90mol、4.0当量)の溶液を、室温で、ヨウ化ナトリウム(I、60.0g、0.236mol、1.05当量)および液体3−フルオロアニリン(25.0g、0.225mol)の溶液で処理し、得られた反応混合物を室温で3時間、攪拌した。TLCが、反応が完了したことを示したら、黄色から褐色の固体を濾過によって回収し、HO(2x200mL)およびヘキサン(2x100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗製の所望3−フルオロ−4−ヨードフェニルアミン(化合物143、47.81g、理論値53.325g、収率89.7%)を得た。この粗生成物をEtOAc/ヘキサン中で再結晶させて、純粋な所望化合物143(41.2g、理論値53.325g、収率77.3%)を薄黄色の結晶として得た。化合物143について:
【0297】
【化115】

(化合物144の合成)
1,4−ジオキサン(100mL)中の化合物143(13.67g、57.7mmol)の溶液を、室温で、BOCO(13.83g、63.4mmol、1.1当量)およびDMAP(700.0mg、5.8mmol、0.1当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、温めて4時間還流させた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(100mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x100mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、粗製の所望(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物144、18.67g、理論値19.44g、96%)を薄黄色の油として得た。これは、真空下、室温で放置すると固化し、本質的に純粋であると判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。化合物144について:
【0298】
【化116】

(化合物145の合成)
トルエン(150mL)、EtOH(50mL)およびHO(50mL)中の化合物144(18.50g、54.8mmol)および4−ホルミルフェニルボロン酸143(10.70g、71.4mmol、1.3当量)の溶液を、25℃で、KCO(22.7g、164.4mmol、3.0当量)で処理し、得られた混合物を25℃、アルゴン定常流下で3回脱気した。その後、Pd(PPh(3.17g、2.74mmol、0.05当量)をその反応混合物に添加し、得られた反応混合物を25℃、アルゴン定常流下で3回脱気し、その後、温めて10時間穏やかに還流させた。TLCおよびHPLC/MSが、カップリング反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、室温で、HO(100mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。得られた混合物を、その後、室温で10分間攪拌し、その後、二層を分離した。水性層をEtOAc(2x100mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2x100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜2%MeOH/CH2Cl2勾配溶離)によって直接精製して、所望の(2−フルオロ−4’−ホルミル−ビフェニル−4−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物145、14.6g、理論値17.26g、収率85.2%)を薄黄色の油として得た。これは、真空下、室温で放置すると固化した。化合物145について:
【0299】
【化117】

(カルバメート146の合成)
無水THF(40mL)と無水DMF(40mL)の混合物中の化合物145(7.0g、22.22mmol)の溶液を、25℃、N下で、アミン塩106(3.03g、26.66mmol、1.2当量)で処理し、得られた混合物を、25℃、N下で、NaB(OAc)H(7.07g、33.33mmol、1.5当量)で処理した。得られた反応混合物を、その後、25℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、還元アミノ化反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(80mL)で処理した。得られた溶液を、その後、室温で、KCO(12.3g、88.88mmol、4.0当量)およびBOCO(5.82g、26.66mmol、1.2当量)で処理し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、N−BOC保護反応が完了したことを示したら、その反応混合物をEtOAc(100mL)およびHO(100mL)で処理した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x100mL)で抽出した。その後、併せた有機抽出物をHO(100mL)、1NのHCl水溶液(2x100mL)、HO(2x100mL)そしてNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、5〜10%EtOAc−ヘキサン勾配溶離)によって精製して、カルバメート146(9.8g、理論値10.6g、92.5%)を無色の油として得た。これは、室温、真空下で放置すると固化した。カルバメート146について:
【0300】
【化118】

(化合物82の合成)
無水THF(50mL)中の化合物146(7.155g、15.0mmol)の溶液を、ドライアイス−アセトン浴で−78℃に冷却し、その後、ヘキサン中のn−BuLiの溶液(ヘキサン中の1.6Mの溶液、11.25mL、18mmol、1.2当量)を−78℃、N下で一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を、その後、−78℃で1時間攪拌し、その後、無水THF(10mL)中の(R)−(−)−酪酸グリシジル(2.38g、2.32mL、16.5mmol、1.1当量)の溶液を、−78℃、N下で、その反応混合物に一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を−78℃で30分間攪拌し、その後、12時間、N下で、徐々に室温に温めた。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(50mL)で反応停止させ、得られた混合物を室温で1時間攪拌し、その後、EtOAc(100mL)を添加した。二層を分離し、水性層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x50mL)およびNaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。溶媒の大部分を蒸発させると、その濃縮溶液から白色の結晶が沈殿してきた。その残留油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、10〜30%EtOAc−ヘキサン勾配溶離)によって精製して、所望の(5R)−[2’−フルオロ−4’−(5−ヒドロキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−(3−フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物82、5.82g、理論値7.14g、81.5%)を無色の油として得、これは、室温、真空下で放置すると固化した。化合物82について:
【0301】
【化119】

(メシレート34の合成)
CHCl(25mL)中の化合物82(1.725g、3.6mmol)の溶液を、25℃で、TEA(727mg、1.0mL、7.2mmol、2.0当量)で処理し、得られた混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃、N下で、MsCl(95mg、0.335mL、4.32mmol、1.2当量)をその反応混合物に一滴ずつ導入した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃、N下で、1時間攪拌した。TLCおよびHPLC/MSが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(40mL)およびCHCl(40mL)で反応停止させた。二層を分離し、水性層をCHCl(40mL)で抽出した。併せた有機抽出物をHO(2x20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を真空下でさらに乾燥させて、メシレート134(1.82g、理論値1.994g、91.3%)をオフホワイトの粉末として得た。これは、本質的に純粋であると判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。メシレート134について:
【0302】
【化120】

(化合物147の合成)
無水DMF(30mL)中のメシレート134(1.662g、3.0mmol)の溶液を、25℃で、カリウムナトリウムフタルイミド(667mg、3.6mmol、1.2当量)で処理し、得られた反応混合物を2時間にわたって70℃まで温めた。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(50mL)で反応を停止させた。得られた水性混合物を、その後、EtOAc(2×50mL)で抽出し、併せた有機抽出物を水(40mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、粗製の所望(5R)−{4’−[5−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル}−(3−フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物147、1.74g、理論値1.815g、95.9%)を薄黄色の油として得た。これは、真空下、室温で放置すると固化した。この粗生成物は、本質的に純粋であると判明し、さらに精製せずに次の反応で直接使用した。化合物147について:
【0303】
【化121】

(化合物51の合成)
EtOH(30mL)中の化合物147(1.50g、2.48mmol)の溶液を、25℃で、ヒドラジン・一水化物(250.0mg、0.25mL、5.0mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を温めて、6時間還流させた。反応混合物を還流している間に、白色の沈殿が形成された。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(20mL)で反応を停止させた。その反応混合物に水を導入すると白色沈殿はすっかり溶解し、均質な溶液が生成した。その水溶液をCHCl(2×40mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2×20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製して、所望の(2−フルオロ−4’−ホルミル−ビフェニル−4−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物51、14.6g、理論値17.26g、収率85.2%)を薄黄色の油として得、これは、真空下、室温で放置すると固化した。化合物51について:
【0304】
【化122】

(化合物142の合成)
CHCl(6.0mL)中の化合物51(180mg、0.38mmol)の懸濁液を、25℃で、TEA(76.5mg、0.115mL、0.76mmol、2.0当量)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃に冷却し、その後、0〜5℃、N下で、AcO(77.6mg、0.072mL、0.76mmol、2.0当量)およびDMAP(10mg、触媒)で処理した。得られた反応混合物を、その後、0〜5℃で2時間攪拌した。TLCおよびHPLCが、反応が完了したことを示したら、その反応混合物をHO(10mL)で反応停止させた。二層を分離し、その後、水性層をCHCl(2x10mL)で抽出し、併せた有機抽出物をHO(2x10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜5%MeOH/CHCl勾配溶離)によって精製し、真空下でさらに乾燥させて、粗製の所望(5S)−{4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル}−(3−フルオロ−プロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物142、理論値196.5mg、93%)を無色の油として得、これは、室温、真空下で放置すると固化した。
【0305】
化合物7の一塩酸塩の合成
化合物7の一塩酸塩は、化合物142から、実施例29において説明したように調製した。
【実施例31】
【0306】
(化合物50の合成)
図式25は、化合物82の酸化からの化合物50の合成を図示するものである。
【0307】
図式25
【0308】
【化123】

0℃で10mLのアセトン中の0.230g(0.48mmol)の化合物82の溶液に、0.40mLのHSO中の0.145g(1.45mmol)の三酸化クロム(CrO)を添加した。その後、その反応混合物を25℃に温め、20分間攪拌させておいた。硫酸を過剰のNaCOで中和した。その後、その混合物を10mLのTHFで希釈し、その後、0.158g(0.72mmol)のBOCOを添加した。反応が完了するまで、反応をLC/MSによりモニターした。その反応混合物をCHCl(50mLx3)で抽出し、併せたCHCl層をブライン(40mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮し、分取TLCによって精製して、0.082g(収率53%)の化合物50と0.080gの出発原料を得た。MS(M+1):491。
【実施例32】
【0309】
(化合物51の合成)
図式26は、化合物50からの化合物51の合成を図示するものである。
【0310】
図式26
【0311】
【化124】

1滴のピリジンを含有する5mLのCHCN中の0.029g(0.059mmol)の化合物50、0.024g(0.30mmol)の重炭酸アンモニウム(NHHCO)および0.019g(0.089mmol)の(BOC)Oの溶液を、25℃で10時間攪拌した。CHCNを除去し、残留物を分取TLCによって精製して、0.025gの化合物51を得た。MS(M+1):490。
【実施例33】
【0312】
(化合物52の合成)
図式27は、化合物50からの化合物52の合成を図示するものである。
【0313】
図式27
【0314】
【化125】

0℃で、5mLのCHClおよび1mLのMeOH中の0.020g(0.04mmol)の化合物50の溶液に、エーテル中のジアゾメタン(CH)を過剰に添加した。その後、この反応混合物を25℃に温め、さらに4時間攪拌した。過剰のCHをAcOHで反応停止させ、回転蒸発によって溶媒を除去した。残留物を分取TLCによって精製して、0.015g(収率71%)の化合物52を得た。MS(M+1):505。
【実施例34】
【0315】
(化合物53の一塩酸塩の合成)
図式28は、化合物52からの化合物53の一塩酸塩の合成を図示するものである。
【0316】
図式28
【0317】
【化126】

2mLのCHCl、1mLのMeOHおよび2mLの4N HCl中の0.010g(0.02mmol)の化合物52の溶液を、25℃で3時間攪拌した。溶媒を除去し、残留物を真空下で乾燥させて、化合物53を一塩酸塩として収率100%で得た。MS(M+1):405。
【実施例35】
【0318】
(化合物54の一塩酸塩の合成)
図式29は、化合物51からの化合物54の合成を図示するものである。
【0319】
図式29
【0320】
【化127】

3mLのジオキサン中の0.022g(0.05mmol)の化合物51および1mLの4N HClの溶液を、25℃で6時間攪拌した。ジオキサンを除去し、残留物を乾燥させて、化合物54を一塩酸塩として収率100%で得た。MS(M+1):390。
【実施例36】
【0321】
(化合物55の一塩酸塩の合成)
図式30は、化合物50からの化合物55の一塩酸塩の合成を図示するものである。
【0322】
図式30
【0323】
【化128】

3mLのジオキサン中の0.025g(0.05mmol)の化合物50および1mLの4N HClの溶液を、25℃で6時間攪拌した。ジオキサンを除去し、残留物を乾燥させて、化合物55を一塩酸塩として収率100%で得た。MS(M+1):391。
【実施例37】
【0324】
(化合物56の合成)
図式31は、化合物50からの化合物56の合成を図示するものである。
【0325】
図式31
【0326】
【化129】

2mLのDMF中の0.030g(0.06mmol)の化合物50、0.007g(0.07mmol)の2−フルオロエチルアミンおよび0.010g(0.07mmol)のN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の溶液に、0.014g(0.07mmol)の塩化ジエチレン(EDC)を添加した。その反応混合物を6時間攪拌させておき、その後、DMFを除去し、残留物を分取TLCによって精製して、0.0010gの化合物56を得た。MS(M+1):436。
【実施例38】
【0327】
(化合物23の合成)
化合物23は、当該技術分野において知られている条件下、ジフルオロクロロ酢酸との縮合反応によりアミン105から製造することができる。
【実施例39】
【0328】
(化合物25、27、31、33、45、47、61、77、80および81の合成)
化合物25、27、31、33、45、47、61、77、80および81は、例えば上の図式4および7に記載した化学作用に類似したアルキル化反応により、適切なアルキル化剤とアミン105を反応させることによって製造することができる。当業者が代替化学作用を利用してこれらの化合物を調製することができることは理解されよう。
【実施例40】
【0329】
(化合物39の合成)
オキサゾリジノン環上に5−クロロメチル置換基を有する化合物40は、対応するヒドロキシメチルオキサゾリジノン中間体93を塩素化し、その後、当該技術分野において知られている条件下でアリールボロン酸またはエステルとカップリングさせてビアリール系を形成することによって製造することができる。
【実施例41】
【0330】
(化合物43および44の合成)
化合物43および44(これらは両方とも、オキサゾリジノン環の5位にR立体化学を有する)は、(R)−(−)−酪酸グリシジルを(S)−(−)酪酸グリシジルと交換することにより、中間体アルコール92を調製するために上の図式1に記載した化学作用に類似した環化反応によって製造することができる。
【実施例42】
【0331】
(化合物48の合成)
化合物48は、当該技術分野において知られている条件下での3−フルオロプロピルアミンとの反応により、対応するアルデヒド116から製造することができる。
【実施例43】
【0332】
(化合物49の合成)
化合物49は、上の図式14に記載したような化合物7から化合物37を製造するためのものに類似した手順を使用して、化合物5から製造することができる。
【実施例44】
【0333】
(化合物57、58、59および60の合成)
オキサゾリジノン環の5位にメチル置換基を有する化合物57、58、59および60は、(R)−(−)−酪酸グリシジルを(R)−2−メチル−オキシラニルメタノールと交換することにより、中間体アルコール92を調製するために上の図式1に記載した化学作用に類似した環化反応によって製造することができる。
【実施例45】
【0334】
(化合物62および63の合成)
化合物62および63は、当該技術分野において知られている条件下、下の図式32に図示する一般手順に従って製造することができる。
【0335】
図式32
【0336】
【化130】

【実施例46】
【0337】
(化合物46、64、65、66、67、68、70、75および76の合成)
オキサゾリジノン環の5メチル基上に複素環置換基を有する化合物46、64、65、66、67、68、70、75および76は、アジド110から化合物111を製造するために図式6に記載した化学作用に類似した付加環化反応により製造することができる。
【実施例47】
【0338】
(化合物69、71、72、73、74、78および79の合成)
化合物69、71、72、73、74、78および79は、適切なカルボン酸またはその誘導体(例えば、無水物および酸塩化物)との反応により、対応する5−イルメチルアミノオキサゾリジノン化合物から製造することができる。
【0339】
(参考としての組み込み)
本明細書中で言及した各特許文献および科学論文の全開示は、あらゆる目的で参考として組み込まれている。
【0340】
(等価物)
本発明は、本発明の精神および本質的特徴を逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。従って、上記実施形態は、すべての点で、本明細書に記載する本発明を制限するものではなく、説明するものであるとみなさねばならない。従って、本発明の範囲は、上記明細書ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、本特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に入るすべての変更は、本発明に包含されると解釈する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
Aは、
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル
から成る群より選択され;
Bは、
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル
から成る群より選択され;
Het−CH−Rは、
【化2】

から成る群より選択され;
Mは、
a)C1〜6アルキル、b)C2〜6アルケニル、およびc)C2〜6アルキニル
から成る群より選択され、この場合、
i)a)〜c)はいずれも、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で置換されており、ならびに
ii)a)〜c)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基でさらに置換されており;
Xは、
【化3】

から成る群より選択され;
Lは、
a)C1〜6アルキル、b)C2〜6アルケニル、およびc)C2〜6アルキニル
から成る群より選択され、
この場合のa)〜c)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基でさらに置換されており;
は、
【化4】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
【化5】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
【化6】

から成る群より選択され;
は、
【化7】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)−C(O)−C1〜6アルキル、f)−C(O)−C2〜6アルケニル、g)−C(O)−C2〜6アルキニル、h)−C(O)O−C1〜6アルキル、i)−C(O)O−C2〜6アルケニル、およびj)−C(O)O−C2〜6アルキニル
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜j)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基で置換されており;
は、
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OH、g)−OC1〜6アルキル、h)−SH、i)−SC1〜6アルキル、j)−CN、k)−NO、l)−NH、m)−NHC1〜6アルキル、n)−N(C1〜6アルキル)、o)−C(O)C1〜6アルキル、p)−C(O)OC1〜6アルキル、q)−C(O)NH、r)−C(O)NHC1〜6アルキル、s)−C(O)N(C1〜6アルキル)、t)−NHC(O)C1〜6アルキル、およびu)−S(O)1〜6アルキル
からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)C1〜6アルキル、h)−C(O)−C2〜6アルケニル、i)−C(O)−C2〜6アルキニル、j)−C(O)−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1〜6アルキル、m)−C(O)O−C2〜6アルケニル、n)−C(O)O−C2〜6アルキニル、o)−C(O)O−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、およびp)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜p)はいずれも、場合によっては1つまたはそれ以上のR基で置換されており;
は、
【化8】

からなる群より各出現時に独立して選択され;
は、
a)H、b)C1〜6アルキル、c)C2〜6アルケニル、d)C2〜6アルキニル、e)C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)C1〜6アルキル、h)−C(O)−C2〜6アルケニル、i)−C(O)−C2〜6アルキニル、j)−C(O)−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1〜6アルキル、m)−C(O)O−C2〜6アルケニル、n)−C(O)O−C2〜6アルキニル、o)−C(O)O−C3〜14飽和、不飽和または芳香族炭素環、およびp)窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
からなる群より各出現時に独立して選択され、
この場合のb)〜p)はいずれも、
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OH、g)−OC1〜6アルキル、h)−SH、i)−SC1〜6アルキル、j)−CN、k)−NO、l)−NH、m)−NHC1〜6アルキル、n)−N(C1〜6アルキル)、o)−C(O)C1〜6アルキル、p)−C(O)OC1〜6アルキル、q)−C(O)NH、r)−C(O)NHC1〜6アルキル、s)−C(O)N(C1〜6アルキル)、t)−NHC(O)C1〜6アルキル、u)−SONH−、v)−SONHC1〜6アルキル、w)−SON(C1〜6アルキル)、およびx)−S(O)1〜6アルキル
から成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で場合によっては置換されており;
mは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4であり;ならびに
pは、各出現時に独立して0、1または2である)
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式:
【化9】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、X、mおよびnは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
式:
【化10】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、X、mおよびnは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Aが、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され;
Bが、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され;
mが、0、1または2であり;ならびに
nが、0、1または2である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
A−Bが、
【化11】

(式中、A、Rおよびnは、請求項1に記載したとおり定義される)
である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、HおよびFから成る群より選択され、ならびにnが、0、1または2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
A−Bが、
【化12】

(式中、Aは、請求項1に記載したとおり定義される)
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
A−Bが、
【化13】

(式中、Aは、請求項1に記載したとおり定義される)
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
A−Bが、
【化14】

(式中、Bは、請求項1に記載したとおり定義される)
である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
A−Bが、
【化15】

(式中、Bは、請求項1に記載したとおり定義される)
である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、−NRC(O)Rである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が、−NHC(O)Rである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、FまたはClから独立して選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1〜6アルキルである、請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
が、−CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHCl、−CCl、−CHFCl、−CFCl、および−CFClから成る群より選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が、−CHである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、
【化16】

である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
式:
【化17】

(式中、A、B、L、M、R、R、X、mおよびnは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項18】
式:
【化18】

(式中、L、M、R、R、Xおよびmは、請求項1に記載したとおり定義され、Aは、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され、Rは、HおよびFから成る群より選択され、ならびにnは、0、1または2である)
を有する、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項19】
式:
【化19】

(式中、A、L、M、R、R、Xおよびmは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項20】
式:
【化20】

(式中、A、L、M、R、Xおよびmは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項21】
式:
【化21】

(式中、L、M、R、およびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項22】
式:
【化22】

(式中、L、MおよびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項21に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項23】
式:
【化23】

(式中、L、M、R、およびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項24】
式:
【化24】

(式中、L、MおよびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項25】
式:
【化25】

(式中、A、L、M、R、R、Xおよびmは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項26】
式:
【化26】

(式中、A、L、M、R、Xおよびmは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項27】
式:
【化27】

(式中、L、M、R、およびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項28】
式:
【化28】

(式中、L、MおよびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項27に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項29】
式:
【化29】

(式中、L、M、R、およびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項30】
式:
【化30】

(式中、L、MおよびXは、請求項1に記載したとおり定義される)
を有する、請求項29に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項31】
Lが、C1〜6アルキルである、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
Lが、−CH−である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Xが、−NR−、−N(O)−、および−N(OR)−から成る群より選択され、ならびにRが、HおよびC1〜6アルキルから成る群より選択される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
Xが、−NR−であり、ならびにRが、HおよびC1〜6アルキルから成る群より選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
Xが、−NH−である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
Xが、−NC1〜6アルキルであり、この場合のC1〜6アルキル基は、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で置換されている、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
Mが、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される1つまたはそれ以上の部分で置換されているC1〜6アルキルである、請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
Mが、1つまたはそれ以上のF原子で置換されているC1〜6アルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
Mが、−CHCHCHFである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
Mが、−CHCH(OH)CHFである、請求項1〜39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
表1に記載されている化合物のいずれか1つに該当する構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項42】
表1に記載されている化合物のいずれか1つに該当する化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項43】
前記化合物が、表1に記載されている化合物1〜14、20〜22、24〜42、44〜49および53〜81のいずれか1つに該当する、請求項42に記載の薬学的に許容される塩。
【請求項44】
一塩酸塩である、請求項42または43に記載の薬学的に許容される塩。
【請求項45】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項46】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における微生物感染を治療する方法。
【請求項47】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における真菌感染を治療する方法。
【請求項48】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における寄生虫症を治療する方法。
【請求項49】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における増殖性疾患を治療する方法。
【請求項50】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるウイルス感染を治療する方法。
【請求項51】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における炎症性疾患を治療する方法。
【請求項52】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物における胃腸運動障害を治療する方法。
【請求項53】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を哺乳動物に投与し、それによって、
皮膚感染、院内肺炎、ウイルス後肺炎、腹部感染、尿路感染症、菌血症、敗血症、心内膜炎、心室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的予防、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、リネゾリド耐性生物感染症、および結核
から成る群より選択される疾患の症状を改善する段階を含む、哺乳動物における疾患を治療する方法。
【請求項54】
前記化合物が、経口的に、非経口的にまたは局所的に投与される、請求項46〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を合成する方法。
【請求項56】
請求項1〜44のいずれか一項に記載の1つもしくはそれ以上の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医療装置。
【請求項57】
ステントである、請求項56に記載の医療装置。

【公表番号】特表2007−514782(P2007−514782A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545691(P2006−545691)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/039988
【国際公開番号】WO2005/061468
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(502427253)リブ−エックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】Rib−X Pharmaceuticals, Inc.
【住所又は居所原語表記】New Haven, Connecticut,U.S.A.
【Fターム(参考)】