説明

ハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法

【課題】ハンダボールをマスク面上に均一に分散させ、マスク開口部に充填するハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供する。
【解決手段】ハンダボール振出部は、ハンダボール貯留部からのハンダボールを受け取るハンダボール供給部と、ハンダボール供給部のハンダボール振出口を囲むように取り付けられると共に所定間隔で複数の線材が配列された凸状の線材と、凸状の線材の前後に配列され、ハンダボールを前記マスクの開口部に充填するためのハンダボール充填部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の基板の電極上にはんだを印刷法により形成するための印刷装置に係り、特にハンダボールを用いて印刷するハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンダボール印刷装置においては、半導体等の基板上にハンダボールを印刷するマスクを搭載し、このマスク面上にハンダボールを供給し、供給されたハンダボールをマスクに設けた開口部から半導体等の基板面上に押し込むための様々な構成が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、マスク面上にハンダボールを供給するハンダボール供給部と、マスク面上に供給されたハンダボールをマスクに設けた開口部から基板面上に押し込むため、振込具に設けた複数の線状部材をマスク面に押付ながら水平方向に移動させる構成の印刷装置が開示されている。
【0004】
なおこの印刷装置では、マスクの左端にハンダボール吸引口を備えており、これでマスク上面に残ったボールを吸引除去することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2では、スキージヘッドを回転させながら水平移動させてハンダボールをマスク開口部に振り込むものにおいて、スキージヘッド上部に設けた計量部からスキージヘッドの回転シャフト部に所定量のハンダボールを供給し、回転シャフトからマスク面上にハンダボールを供給することが開示されている。
【0006】
上記特許文献1の構成では、マスクをテーブル上に載置するときに、マスクの搬入側の入り口にハンダボール供給装置を設置しておき、供給装置からマスク面にハンダボールを供給しながらテーブル上にマスクを移動させる。
【0007】
これによって、マスク面上に均一にハンダボールを分散配置する。その後、振込具を水平移動してマスク開口部にハンダボールを供給するものである。この方式ではマスク上にハンダボールを分散配置する時、マスクの移動側の変動やマスク停止時の振動により、分散配置したハンダボールに偏りを生じる恐れがある。
【0008】
また、マスクを印刷機にセットする前にハンダボールを供給するため、一回印刷する毎にマスクを移動させる必要が生じタクトタイムが伸びるという課題がある。
【0009】
また、印刷に使用されなかったハンダボールはハンダボール供給ヘッドとは別に設けた吸引口で吸引するようにしているが、この場合、線状の振込具の先頭の線材が保持しきれない場合、後方の線材により保持してハンダボールを吸引口近傍まで余剰ボールを搬送することにしてあるが、後方の線材に保持されたハンダボールが先に供給されたハンダボールに重なってマスク開口部に供給される場合が発生する可能性がある。
【0010】
また引用文献2のように回転シャフト部からハンダボールをマスク面に供給する方式では、スキージヘッドの回転に伴ってハンダボールをマスク面に分散配置するために、必ずしもハンダボールが均一に分散配置することが出来ずに印刷欠陥が発生し、リペア工程が不可欠となるという課題ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−101502号公報
【特許文献2】特開2008−142775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、マスク上にハンダボールを分散配置する時、マスクの移動側の変動やマスク停止時の振動により、分散配置したハンダボールに偏りを生じる恐れ、およびスキージヘッドの回転に伴ってハンダボールをマスク面に分散配置するために、ハンダボールが均一に分散配置することが出来ず構成面および印刷方法に課題がある。
【0013】
そこで本発明の第1の目的は、ハンダボールを均一に、精度良くハンダボールを印刷するハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、ハンダボール印刷のタクトタイムを縮めるハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第3の目的は、簡潔な構成で、装置が小型なハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【0016】
本発明の第4の目的は、充填部材でマスク開口部に充填されなかったハンダボールを回収し、再利用可能なハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【0017】
本発明の第5の目的は、ハンダボールをハンダボール貯留部からハンダボール供給部に供給する際に、ハンダボールの飛散を防止し、確実にハンダボール供給部にハンダボールを供給するハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【0018】
本発明の第6の目的は、ハンダボールを大気にさらされる時間を短くし、酸化を防止するハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のハンダボール印刷装置は、基板と、前記基板上の電極にマスクを介してハンダボールを印刷するハンダボール印刷装置において、前記ハンダボールを貯留するハンダボール貯留部と、前記ハンダボール貯留部の下方に位置し、前記ハンダボール貯留部から所定量のハンダボールを受け取り、受け取った前記ハンダボールを前記基板の上に位置する前記マスク面上に供給するハンダボール振出部と、前記ハンダボール振出部を前記基板に沿って移動させる移動機構部と、前記ハンダボール振出部に所定の振動を付与する加振手段とを備え、前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール貯留部からのハンダボールを受け取るハンダボール供給部と、前記ハンダボール供給部のハンダボール振出口を囲むように取り付けられると共に所定間隔で複数の線材が配列された凸状の線材と、前記凸状の線材の前後に配列され、前記ハンダボールを前記マスクの開口部に充填するためのハンダボール充填部材とを有するように構成される。
【0020】
また上記構成において、前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール充填部材の前後にそれぞれ位置し、前記ハンダボール充填部材で充填されず分散されたハンダボールを前記ハンダボール充填部近傍に集めるハンダボール回転回収機構をさらに有するように構成される。
【0021】
また上記構成において、前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール供給部、前記ハンダボール充填部材および前記ハンダボール回転回収機構を覆うようにヘッド外壁を設け、前記ハンダボール振出部を密閉型ヘッド構造とされる。
【0022】
また上記構成において、更に、前記ヘッド外壁の内側であって、前記ハンダボール回転回収機構を覆うようにスキージカバーが設けられているように構成される。
【0023】
また上記構成において、前記移動機構部は、ハンダボール振出部を上下移動する上下駆動機構をさらに備え、前記上下駆動機構でハンダボール振出部に設けた前記凸状の線材および前記ハンダボール充填部材を前記マスク面に押付る押付力を作用させ、前記凸状の線材および前記ハンダボール充填部材をハンダボール振出部の移動方向に対して所定の押付力で接触させるように構成される。
【0024】
また上記構成において、前記凸状の線材およびハンダボール充填部を構成する線材は、所定間隔の複数の線材で構成され、該線材は、厚さ約0.05〜0.1mm程度の鋼板で、前記線材の幅は、0.1mm、線材間隔は、0.1mm〜0.3mmで構成され、前記線材は、前記ハンダボール振出部の進行方向に直角な方向に対して約5度〜35度の傾斜で設置されているように構成される。
【0025】
また上記構成において、前記ハンダボール振出部に設けた複数の前記ハンダボール充填部材の線材の傾斜方向を互いに逆方向になるように設けてあるように構成される。
【0026】
また上記構成において、更に、前記基板を固定する印刷テーブルと、前記印刷テーブルを前記基板上の電極パターンと前記マスクの電極パターンとを認識するための上下2視野カメラと、前記2視野カメラにて認識した結果に基づいて前記印刷テーブルを駆動して位置決めするための駆動装置と、前記基板が前記マスクに接触するよう前記印刷テーブルを上昇させる駆動機構とを具備しているように構成される。
【0027】
ハンダボール印刷方法は、基板と、前記基板上の電極にハンダボール貯留部に保持されているハンダボールをマスクを介して印刷するハンダボール印刷装置において、前記ハンダボール貯留部から所定量のハンダボールを前記ハンダボール貯留部に受け取り、受け取った前記ハンダボールを前記マスク面に供給する工程と、前記ハンダボール貯留部から供給されたハンダボールを前記マスク面の開口部に分散するハンダボール分散工程と、前記ハンダボール分散工程で分散されたハンダボールを前記マスク面の開口部に充填するハンダボール充填工程と、前記ハンダボール充填工程で充填されず分散されたハンダボールを回収する工程とを有する。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、マスク上にハンダボールを均一に供給でき、かつハンダボールの供給もハンダボール貯留部のハンダボールの残量をみてハンダボール貯留部の交換又はハンダボール貯留部への外部からの供給で済み、ハンダボール過不足で作業を中断する必要がない等の効果がある。
【0029】
また、ハンダボール振出口に設けた半らせん状の線材または凸状の線材からなるハンダボール充填部材を配置したため、半らせん状の線材または凸状の線材で形成される空間で振動によりハンダボールに回転力を付加することが出来るので、ハンダボールが均一に分散し、マスク開口部にもスムーズに充填できる特徴がある。また、マスク面上に残留した余剰ハンダボールは充填部材の前後方に設けたハンダボール回転回収機構によって充填ヘッド内に回収使用されるためハンダボールを有効に利用されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ハンダボール印刷機用ハンダボール供給ヘッドの一実施例の概略構成を示す図である。
【図2】ハンダボールを印刷するためのハンダボール印刷機の概略構成図である
【図3】ハンダボール印刷機用ハンダボール供給ヘッドの他の一実施例を示す図である。
【図4】ハンダボール供給部に使用する半らせん状の線材の一実施例を示す図である。
【図5】ハンダボール充填の動作を説明する図である。
【図6】ハンダボール印刷方法の一実施例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図面を用いて本発明を説明する。以下に記載する実施例は、一の態様であり、当業者が容易に想到できる範囲内において、修正、変形可能とする。
【実施例1】
【0032】
本発明にかかるハンダボール印刷装置の一実施例を図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明のハンダボール印刷装置用ハンダボール供給ヘッドの一実施例の概略構成を示す図である。図1(A)は、ハンダボール印刷装置用ハンダボール供給ヘッドの一実施例の側面の概略構成を示す図である。図1(B)は、図1(A)のハンダボール印刷装置用ハンダボール供給ヘッドにおける線分B−Bから見た平面図の概略を示す図である。図2は、ハンダボール印刷用ヘッドを設けたハンダボール印刷装置の一実施例の概略構成を示す図である。図2(A)は、マスクと基板の位置合わせを行っている状態を説明するための図であり、図2(B)は、基板上にハンダボールを印刷している状態を説明するための図を示している。
【0033】
図2に示すハンダボール印刷装置1において、ハンダボール供給ヘッド3は、ヘッド移動テーブル2を介してハンダボール印刷装置1の取り付け枠6とボールネジ2bに可動自在に取り付けられ、モータ2gの制御によりボールネジ2bが回転し、ハンダボール供給ヘッド3が矢印方向に移動するよう構成されている。なお、ハンダボール印刷装置1の詳細は、後述する。
【0034】
まず、ハンダボール供給ヘッド3の一実施例について図1を用いて説明する。図1(A)において、ハンダボール供給ヘッド3は、ハンダボール振出部7と、ハンダボール振出部7を移動する移動機構部8と、ハンダボール振出部7および移動機構部8を接続するための接続部材72とで構成されている。
ハンダボール振出部7は、ハンダボール24をマスク20上に供給するハンダボール供給部64と、ハンダボール供給部64を覆うように設けられたヘッド外壁73と、ハンダボール回転回収機構(回転スキージ)75−1、75−2と、ハンダボール回転回収機構75の外周を覆うスキージカバー74−1、74−2と、窒素ガス供給口77−1、77−2と、適当な量のハンダボール24をマスク20上に供給する半らせん状または凸状の線材62(これについても後述する。)およびハンダボール24をマスク20の開口部に充填するためのハンダボール充填部材63−1、63−2(これについても後述する。)を備えている。
ハンダボール供給部64は、ヘッド外壁73の両端部の内側に取り付けられ、固定されている。ヘッド外壁73のハンダボール供給部64の開口部83に対応する部分には、ハンダボール貯留部(これについては後述する。)からハンダボール24がハンダボール供給部64に供給できるように開口部81が設けてある。なお、ヘッド外壁73の内部は、後述するように窒素ガスを充満させるために密閉状態に保持する必要があるので、ヘッド外壁73の開口部81には開閉蓋82を設け、ハンダボール24をハンダボール供給部64に供給するとき以外は、開閉蓋82によりヘッド外壁73の内部を密閉状態になるようにしてある。
次に、移動機構部8について説明する。移動機構部8は、接続部材72に取付けられたヘッド取付枠71と、ヘッド移動テーブル2と、ヘッド上下移動機構4と、ヘッド移動テーブル2と結合されたハンダボール供給テーブル61およびハンダボール貯留部60で構成されている。ヘッド上下移動機構4は、シリンダとピストンから構成され、ヘッド移動テーブル2に取り付けられている。そして、上下移動機構4のピストン軸にヘッド取付枠71が取り付けてある。従って、ピストン軸が上下することによってヘッド取付枠71と接続部材72を介して接続しているハンダボール振出部7が上下に移動するように構成されている。これは、ハンダボールをマスク20を介して基板上に印刷する場合に、ハンダボール振出部7をマスク20に接触させる場合に下方に移動し、印刷終了で元の位置(例えば、ホームポジション)に戻す場合に上方に移動する働きをする。また、ヘッド移動テーブル2は、先にも説明したように装置本体側に設けたモータ2gとボールネジ2bからなる水平方向移動機構のボールネジ部に接続され、モータ2gを駆動することにより水平方向に移動される。
また、ヘッド移動テーブル2には、ハンダボール貯留部60を取り付けたハンダボール供給テーブル61が設けてある。ハンダボール貯留部60は、ハンダボール供給テーブル61に対して矢印のように回転できるように取り付けられている。そして、ハンダボール貯留部60は、リニア駆動部76によって上下に移動できるようになっている。これは、ハンダボール24をハンダボール供給部64に供給するときに、ハンダボール貯留部60は下方に移動すると共に、ハンダボール貯留部60の開口部が下向きになるように回転して、ハンダボール貯留部60を構成する容器(シリンダ)内からヘッド外壁73の開口部81、ハンダボール供給部64の上部に設けてある開口部83を介してハンダボール供給部64内にハンダボール24を振り落とせるようにしてある。
更に詳述すると、ハンダボール貯留部60から振り落とされるハンダボール24をハンダボール供給部64内に供給するためのハンダボール供給部64がハンダボール貯留部60のほぼ下側に位置するように配置してある。なお、マスク面20の位置と、ハンダボール振出部7の位置と、ハンダボール供給部64の位置と、ハンダボール振出部7のヘッド外壁73の開口部81及び開閉蓋82の位置と、接続部材72の位置関係は、図1(B)の平面図に示すようになっている。
【0035】
また、ハンダボール供給部64には、予め初期供給により1回分のハンダボールが供給されている。即ち、ハンダボール振出部7は、図1(A)に示すように矢印方向に移動し、移動に応じてハンダボール24をマスク20上に振り出すが、例えば、図2のハンダボール印刷装置で、ハンダボール供給ヘッド3が右端から左端までの移動を1ストロークとすると、この1ストロークでマスク20上に十分なハンダボール24を供給するだけのハンダボール24をハンダボール供給部64に供給しておく必要がある。これが例えば、1回分のハンダボール供給である。従って、この1回分、即ち、1ストロークの間は、開閉蓋82は、閉められ、ヘッド外壁73の内部を密閉状態とし、窒素ガスを充満するようにして、ハンダボール24の酸化を防ぐようにしている。従って、1回分のハンダボールとは、ハンダボールをマスク面に供給する際の1ストロークに必要なハンダボールの量を言い、この量を予め予測してハンダボール供給部64に供給しておくことを意味する。しかしながら、この量を正確に予測することは難しいので、適宜、ハンダボールの量が不足した場合は、ハンダボール貯留部60から不足分のハンダボールを補充し、量が多かった場合は、余剰ハンダボールを回収することはいうまでもない。
【0036】
また、詳細は図示していないが、ハンダボール供給テーブル61は、ハンダボール供給ヘッド3の移動方向に直角な方向に移動できるようになっており、ハンダボール貯留部60を移動させながらハンダボール24をハンダボール供給部64に供給する。ヘッド外壁73は、印刷対象である基板の大きさによって異なるが、一例として、図1(B)に示すように、幅W:100mm、長さ(奥行き)D:450mmの大きさである。また、ハンダボール供給部64の大きさは、マスク20の幅(ヘッド進行方向に対して直角方向)に略同じ長さか多少短く形成されている。
【0037】
なお、本実施例において、印刷するハンダボールの直径は、マスク開口の大きさに略等しく20μm〜80μmの範囲のものが使用可能である。例えば、マスク20の開口が50μmであれば、印刷するハンダボールの直径は、50μmより少し小さいハンダボールが使用される。なお、本実施例では、ハンダボールの直径は、20μm〜80μmの範囲のものとして説明するが、本発明は、これに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0038】
また、後述する図5に示すマスク開口部94は、ハンダボール24が収まるために、ハンダボール24の直径より少しだけ大きいようになっている。また、ハンダボール振出口84もマスク開口部94と略等しく、ハンダボール24の直径より少しだけ大きいようになっている。これは、ハンダボール振出口84からハンダボール24が一度に大量に放出しないように略等しいか、少しだけ大きいようになっている。
【0039】
また、このハンダボール供給部64のハンダボール振出口84の近傍にとりつけられている半らせん状または凸状の線材62の前後方向(ヘッド移動方向の前後方向)に、ハンダボール24をマスク20の開口部に充填するためのハンダボール充填部材63−1、63−2(これについても後述する。)が設けてある。なお、ハンダボール充填部材63−1、63−2を代表する場合は、ハンダボール充填部材63と称する。このハンダボール充填部材63もハンダボール供給部64のハンダボール振出口84の近傍に設けた線材62と同じ形状の線材で形成されている。
【0040】
ここで、ハンダボール振出部7について更に詳細に説明する。ハンダボール振出部7は、ハンダボール24をマスク20上にほぼ均一に振り出すように所定の振動が付与されているように加振構造としてある。この加振構造について詳細に説明する。接続部材72は、加振枠70に取り付けられている。加振枠70には、ハンダボール振出部7をハンダボール振出部7の移動方向の前後方向に高周波加振、例えば、約220〜250Hzの周波数で加振する加振器65が設けてある。また、加振枠71の上部にはスライダ67が設けてある。このスライダ67は、加振枠上部に設けたヘッド取付枠71に設けたリニアガイド67Rに取り付けられている。加振枠70の一端部にはカム66が設けてあり、ヘッド取付枠71に設けたカム軸駆動モータ68によって回転駆動することで加振枠70を水平方向(リニアガイドの方向)に先に述べた加振器65の周波数より低い周波数、例えば、約1〜10Hz程度の周波数で遥動する構成となっている。
【0041】
このように、2つの異なる加振手段を設けることで、ハンダボール振出部7を振動される波数の選択幅を広くし、ハンダボール供給部64からハンダボール振出口84を覆うように設けた半らせん状または凸状の線材62から振動により振出すハンダボールをマスク面に効果的に供給できるように構成している。
【0042】
更に、ハンダボール振出部7は、ヘッド外壁73によって、ハンダボール供給部64に設けた半らせん状または凸状の線材62及びハンダボール充填機構63がマスク24に接触したときに密閉状態を形成する所謂密閉型のヘッド構成としている。この構成は、空気がハンダボール供給部64内に浸入し、ハンダボール24が酸化しないための構成である。
【0043】
このように、密閉型構造として窒素ガス供給口77−1、77−2からヘッド内に窒素ガスを導入することでハンダボールの酸化等を防止して、ハンダボール接続不良の発生を抑制している。またハンダボール供給部64のハンダボール振出口84には弁(図示せず。)が設けてあり余分なハンダボール24が半らせん状または凸状の線材62に落ちないようにしている。この弁は、例えば、ダンパー機構にて蓋状態(シャッター)を90度回転することで開閉するものである。
【0044】
図5は、ハンダボール振出部7の一部分の拡大図を示している。この図5を用いてハンダボール24が印刷される状態を詳細に説明する。
【0045】
図5において、基板21上の電極部23にはフラックス22が前もって印刷されている。そして、マスク20の開口部94の近傍の裏面側には微小突起20aが設けてあり、マスク20が直接フラックス等に接触しないように構成されている。微小突起20aの代わりに、フィルム等の微小段差を設けても良い。また、図5に示すように、ハンダボール供給部64のハンダボール振出口84の近傍には、ハンダボール振出口84を覆うように半らせん状または凸状の線材62が取り付けてある。
【0046】
この半らせん状または凸状の線材62は、ハンダボール振出部7がマスク20に所定の押圧で接触する程度に上下移動機構4により押し付けられるので、若干変形した状態で、マスク20に接触する。ここで、半らせん状または凸状の線材62が若干変形した状態を、ほぼ螺旋形(または、ほぼ半円形)の状態と称することにする。なお、このほぼ螺旋形(または、ほぼ半円形)の状態は、前もって本発明のハンダボール印刷装置を実験的に動作させ、ハンダボール24がハンダボール供給部64からマスク20上にほぼ均一に振り出されるように押圧が調節され、また、加振する周波数が選定されることは言うまでもない。
【0047】
次に、ハンダボール24がハンダボール供給部64からマスク20上にほぼ均一に振り出すための動作について説明する。ハンダボール供給部64のハンダボール振出口84の近傍に設けられた半らせん状または凸状の線材62は、上下方向にはほぼ螺旋形(または、ほぼ半円形)の空間が形成され、この空間内で、図に示すようにハンダボール24にはヘッドの進行方向に応じて回転力が発生する。ハンダボール24の回転力は、線材62及びマスク20の双方との摩擦力でも発生するが、上述したようにハンダボール振出部7を加振している揺動動作が効率的に回転力を発生させている。また、図1に示す加振器65は、ボールに微振動を与え、ボール分散とファンデスワールス力によるボール間の付着を回避し効率的にハンダボール24をマスク20上に振り込みをする効果がある。これにより、ハンダボール24が分散され、1つのマスク開口部94に1つのハンダボール24が供給されるようになる。
【0048】
また、半らせん状または凸状の線材62の前後に設けられたハンダボール充填部材63−1、63−2は、ハンダボール振出口84から振り出されたハンダボール24のうち、半らせん状または凸状の線材62でマスク開口部94に充填されなかったハンダボール24を受取り、マスク20の開口部94のハンダボールの供給されていない部分に、半らせん状または凸状の線材62と同様にハンダボール24に回転力を与えて振り込む作用をするものである。
【0049】
なお、ハンダボール充填部材63もハンダボール振出口84に設けた半らせん状または凸状の線材62と同様の線材から構成されている。なお、半らせん状または凸状の線材62およびハンダボール充填部材63の詳細については、後述するが、半らせん状または凸状の線材62を構成する線材の線間隔は、使用するハンダボール24の直径より小さい、例えば、約5μm程度小さくした構造としている。このように、線間隔を使用するハンダボール24の直径より約5μm小さくしたことで、多くのハンダボールが一度にマスク上に落ちるのを防ぐ効果があり、マスク20上に均一にハンダボール24を振り落とすことができる。なお、半らせん状または凸状の線材62を構成する線材の線間隔をハンダボール24の直径よりも約5μm程度小さくしても、ハンダボール24が回転しているので、線材の間隙をすり抜けてマスク20上に供給される。
【0050】
次に、図2を用いてハンダボール印刷装置の一実施例を更に詳しく説明する。図2(A)に示すようにハンダボール印刷装置1には、ハンダボール24を印刷する基板21を搭載した印刷テーブル10と、この印刷テーブル10を上下に移動可能なように駆動する駆動部11を備えてある。この印刷テーブル10上に搭載してある基板21とマスク20の面とをカメラ15を用いて、図示していない印刷テーブル10の下側に設けてある水平方向移動機構であるXYテーブルを駆動して位置合わせを行う。即ち、カメラ15は、例えば、基板21に設けてある位置合わせマークとマスク20に設けてある位置合わせマークを同時に撮像し、それぞれの画像のマークが一致するようにXYテーブルを動かし、位置合わせを行う。
【0051】
その後、位置合わせ用のカメラ15を退避させ、図2(B)に示すように、印刷テーブル10を上昇させテーブル上部に設けてあるマスク20面を基板21の面に接触させて、ヘッド上下駆動機構4を駆動して、ボール供給ヘッド3を上下移動してハンダボール供給用の半らせん状または凸状の線材62及びハンダボール充填部材63をマスク面に接触させる。このようにヘッド上下駆動機構4により、線材62やハンダボール充填部材63に押付力を発生させることよりハンダボール24をマスク開口部94に押し込む、いわゆる印圧を生じさせている。
【0052】
そして、ヘッド駆動部2gを駆動することでボールネジ2bを回転させ、ハンダボール供給ヘッド3を水平方向(矢示方向)に移動させる。ハンダボール供給ヘッド3が移動している時に、ハンダボール供給部64を加振器65によって水平方向(ヘッド移動方向)に振動させると共に、カム66もカム軸駆動モータ68を駆動して回転させることで水平方向に振動させて、半らせん状または凸状の線材62内のハンダボール24を効果的に振り出す。
【0053】
なお、本実施例では、ハンダボール24の振り出しに加振器65とカム66を同時に駆動することで説明したが、どちらか一方を駆動することでハンダボールの振り出しを行なってもよい。また、ハンダボールの振り出しと同時に、ハンダボール供給部64の半らせん状または凸状の線材62を挟んでハンダボール供給ヘッド3の移動方向に設けてあるハンダボール充填部材63により、マスク20に設けてある開口部にハンダボールを充填するものである。
【0054】
また、ハンダボール充填時に、充填部材63−1、63−2の近傍に配置されたハンダボール回転回収機構75−1、75−2を矢印方向に回転駆動することで、マスク上に残留するハンダボールをハンダボール供給部64の近傍に集め、ハンダボール振出部7の外に余剰ハンダボールが出ないようにしている。また本装置にはマスク裏面を清掃するための清掃機構45がカメラ移動フレームに設けてあり、カメラ15と同様、水平方向に移動しながらマスク清掃するようになっている。この清掃機構45は、ロール対ロール式クリーンワイパーを介した吸引ノズルをマスク裏面に接触移動させることで、清掃を実行する。
【0055】
次に、ハンダボール振出部7のハンダボール振出口84近傍に設けた半らせん状または凸状の線材62について、図4を用いて詳細に説明する。なお、半らせん状または凸状の線材62について、図4では、例えば、半らせん状線材62について詳細に説明するが、これに類似するような構成は、凸状の線材で構成することもできることはいうまでもない。また、図4では、半らせん状または凸状の線材62について説明するが、ハンダボール充填部材63も半らせん状または凸状の線材62と同様に構成できるので、ハンダボール充填部材63についての説明は省略する。
【0056】
図4(A)は、半らせん状線材62をハンダボール供給部64に取付前の平面図を、図4(B)は、図4(A)のB―B断面を示した図であり、図4(C)は、図4(A)のB部の拡大図を示したものである。図4(D)は、半らせん状線材62を凸状に湾曲し、ハンダボール供給部64のハンダボール振出口84の近傍に取り付けた状態の断面図である。
【0057】
図4(A)において、半らせん状線材62は、図に示すように、平行に設けられた、所定の間隔(本実施例では約35mm)を有する2つの取付部62P−1、62P−2(取付部の幅は約5mm)(取付部を代表する場合は、取付部62Pと称する。)と、上記取付部62Pの間に、取付部62Pに対して所定角度を持つ複数の線材62Lで構成されている。更に詳述すると、図4(C)に示すように、半らせん状線材62は、取付部62Pと、取付部62Pに対して所定角度θ、例えば、約5度〜35度、好ましくは、約10度を持つ複数の線材62Lで構成され、線材62Lの太さは、例えば、約0.1mmであり、この線材62Lを所定の間隔62S、例えば、約0.1mm〜0.3mm間隔で形成したものである。なお、ここに示す各寸法は、一実施例であって、これに限定されない。例えば、所定の間隔62Sの幅約0.1mmは、ハンダボールの直径により変更されることがある。しかし、間隔62Sの幅約0.1mmは、20〜80μmの大きさのハンダボールに対して共用可能であることが実験的に確かめられている。また、本実施例では、半らせん状線材62として説明しているが、これは図4(A)で示すように平面状の半らせん状線材62を図4(D)に示すように湾曲してハンダボール供給部64に取り付けると、その線材62Lの形状が半らせん状となることから半らせん状線材62として説明している。しかしながら、半らせん状線材62に限定されるものではなく、凸状の線材62とすることもできる。従って、ここでは、半らせん状の線材62を含めて凸状の線材62と称することにする。
【0058】
次に、半らせん状の線材62の作り方について説明する。半らせん状の線材62は、厚さ0.1mmの鋼板に所定形状のマスクを介してエッチングにより加工し、図4(A)のような形状にしたものである。
【0059】
従って、半らせん状の線材62の長さは、ハンダボール供給ヘッド7の幅の長さとなっている。このハンダボール供給部64のハンダボール振出口84を跨ぐ形で半らせん状の線材62が取付られる。すなわち、取付時にはハンダボール供給ヘッドの上下方向に螺旋形コイルの上半分をカットしたような取付形状となる。これは、一例として、図4(D)のように湾曲して形成したものである。
【0060】
また、ヘッド取付枠71は、駆動手段であるモータ4にて上下に移動できるようになっている。なお、本実施例では、ヘッド取付枠71の上下駆動をモータ4で行うように記載したが、モータ4に変えて空圧シリンダを用いても良い。
【0061】
更に、ヘッド外壁73の内側には、ハンダボール振出部7の移動方向の先端側及び後端側にハンダボールを回収するためのハンダボール回転回収機構75−1、75−2(回転スキージ)が設けてある。
【0062】
このハンダボール回転回収機構75−1、75−2の回転方向は、矢印で示すように回転する。即ち、ハンダボール回転回収機構75−1、75−2は、互いに逆方向に回転するように構成している。このハンダボール回転回収機構75は、図3(B)に示すように掻き取り部に線材90をらせん形状で且つ円筒状に形成し、回転軸の長手方向に多段に取り付けた構成となっている。このハンダボール回転回収機構75は、ハンダボール24をマスク20上に振り出す場合、ハンダボール振出部7が矢印方向に進行すると、ハンダボール回転回収機構75を回転駆動して、ハンダボール24がハンダボール供給部64の周りに分散するハンダボール24をハンダボール供給部64の下部内に留めて、確実にハンダボール24がマスク開口94に充填するようにしたものである。
【0063】
さらに、ハンダボール回転回収機構75の外周を覆うスキージカバー74をヘッド外壁73の内側に取り付けることで、ハンダボール充填部材63側に余剰ハンダボールを掻き集め、ハンダボールがハンダボール供給部64の周りに散乱しないようにした構成としてある。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明にかかるハンダボール印刷装置の他の一実施例を図3を用いて説明する。図3は、図1に示すハンダボール振出部7の他の一実施例のハンダボール振出部9の構成を示す。なお、図1(A)と同じものには同じ符号が付されている。図3に示す本実施例にかかるハンダボール振出部9の構成で、図1に示す実施例1にかかるハンダボールと異なる点は、ハンダボール貯留部60Sの供給口部をヘッド外壁73に設けた開口部91に差込み、ハンダボール貯留部60S全体をヘッド長手方向、即ち、矢印で示す方向に対して直角な方向に移動可能に構成してある点である。例えば、移動機構としては、図1に示すハンダボール貯留部60に代えて、ハンダボール貯留部60Sをハンダボール供給テーブル61に取り付け、リニア駆動部76を長手方向に移動できるようにすることで実現できる。また、図示していないが、ハンダボール貯留部60Sを取り付けているハンダボール供給テーブルは、図1に示すハンダボール供給テーブル61に比べてヘッド外壁73の近くまでリニア駆動部76によって上下できるように構成されている。このように構成することで、実施例1にかかる図1の装置に比べハンダボール24がハンダボール貯留部60Sからハンダボール供給部64に供給する際に、ハンダボールの飛散を防止し、確実にハンダボール供給部64にハンダボール24を供給できる。また、このように構成すると、ハンダボール24が大気にさらされる時間が短くなり酸化防止となる。
【0065】
また、図3(B)にはハンダボール回転回収機構75−1、75−2(ハンダボール回転回収機構を代表する場合は、ハンダボール回転回収機構75と称する。)の外観を示す。図に示すように、回転軸92に線材からなる円盤形状の掻き取り部90をらせん形状に、多段に取り付けた構成となっている。この円盤形状の掻き取り部90は、マスク20に接触する部分は、ハンダボール振出部7の移動方向に直角な方向に対して所定角度θ、例えば、5度〜35度程度傾けて取り付けてある。なお、この図3(B)のハンダボール回転回収機構75は、図1のものと略同じ構成である。また、本図ではハンダボール貯留部60Sを円筒容器で構成したものを示している。そして、ハンダボール貯留部60Sの先端を長く、逆円錐状ガイド93に形成してヘッド外壁73の開口部91まで差し込めるようにしたものである。このような構成とすることで、ハンダボール貯留部60Sからハンダボール24が周辺に飛散することなく、効率よくハンダボール供給部64に供給することができる。
【0066】
しかし、この構造に限るものではなく、このハンダボール貯留部60Sに代えてヘッド外壁73の開口部91にハンダボール供給用の口を備えた皿状のハンダボール受けを設けておき、そのハンダボール受けに計量したハンダボールを載せ、その後ハンダボール受けをハンダボール振出部7の移動方向に対して長手方向に移動させることで、ハンダボール供給部64に所定量のハンダボールを供給することも可能である。また、ハンダボール供給部64の開口部91に合わせて設けられているヘッド外壁73の開口部91は、ハンダボール振出部7の長手方向に半割したゴム部材で覆われ、ハンダボール貯留部60Sの逆円錐状ガイド93がこの半割部から差し込めるようにしてある。
次に、ハンダボール印刷の一連の動作を図6を用いて説明する。
【0067】
まず、電極部23にフラックス22の印刷された基板21、例えば、半導体ウエハ21(以下の説明では基板21として説明する。)がハンダボール印刷装置に搬入され印刷テーブル10上に載置される(ステップS101)。印刷テーブル10には負圧を供給する吸着口が複数設けてあり、ここに負圧を供給することで基板21が印刷テーブル面上を移動しないように保持している。
【0068】
次に、基板21面に設けた位置合わせマークと、マスク20に設けてある位置合わせマークとを、位置合わせ用のカメラ15を用いて撮像する。撮像したデータは図示していない制御部に送られ、そこで画像処理され、位置ずれ量が求められる。その結果に基づいて、印刷テーブルを図示していない水平方向移動機構により、ずれを補正する方向に移動する(ステップS102)。
【0069】
位置合わせが終了すると、印刷テーブル10を上昇させてマスク20裏面にウエハ21の印刷面を接触させる(ステップS103)。
【0070】
次に、ハンダボール供給ヘッド3を印刷開始位置に水平移動し、その後、ハンダボール供給ヘッド3を所定の印圧(押付力)がマスク面に作用するようにマスク面上に降下させる。次に、窒素ガス供給口77からヘッド内に窒素ガスを供給して、ヘッド内を窒素雰囲気とする(ステップS104)。その後、ハンダボール供給部64内のハンダボールの量を検査し、印刷に必要な量になっていない場合はハンダボール貯留部60を動作させて、ハンダボール供給部64に必要量のハンダボールを供給する(ステップS105)。
【0071】
その後、加振器65及びカム軸駆動モータ68を駆動してハンダボール供給部64に収納されているハンダボール24を、ハンダボール供給部64に設けたハンダボール振出口84から凸状の線材62を介してマスク面に供給する。
【0072】
ハンダボール供給ヘッド3を水平方向に移動しながらハンダボール充填部材63の凸状の線材のばね作用により、ハンダボール24をマスク開口部94に押し込み、基板21上のフラックス22に付着させる(ステップS106)。この時、ハンダボール回転回収機構75を回転させて、マスク開口部94に押し込まれなかったハンダボール24をハンダボール回転回収機構部75により回収して、ハンダボール振出部7内から外に洩れ出ないようにしている。
【0073】
ハンダボール供給ヘッド3がマスク面上を移動し終わると、一端停止して、ハンダボール供給ヘッド内に設けてある窒素ガス供給口77に窒素ガスを供給する窒素ガス供給系統に設けてある切り換え弁を切り換えて、負圧供給系統に接続する。これによって、窒素ガス供給口77に、窒素ガスに変えて負圧を供給して、余剰ハンダボール24を回収する(ステップS107)。次に、ハンダボール供給ヘッド3をマスク20面から離間するように上昇させ、その後ハンダボール供給ヘッド3を原点位置(ホーム位置)に戻す。なお、ここでは窒素ガス供給口に負圧を供給することで説明したが、マスク面上の一方側に集められたハンダボールを人手によって回収するようにしてもよい。
【0074】
次に、印刷テーブル10を降下させて、マスクを印刷テーブルから離間させる。印刷された基板21の印刷状態をカメラ10にて撮像し欠陥の有無を調べる。そして、欠陥があればリペア部に基板を搬送し、そこで欠陥部を修復する。欠陥部修復後リフロー部に基板21を搬送し、ハンダボール24を溶融し、電極部23に固着させる。
【0075】
以上、大まかなハンダボールの印刷方法の工程を述べたが、上述したステップS107以降の欠陥部のリペアの方法や欠陥部修復後のリフローの方法に関しては従来から良く知られた方法であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0076】
以上詳述したように本発明のハンダボール印刷装置を用いることで、微小径のハンダボールを1個ずつ確実にマスク開口部から基板のフラックス上に供給することが出来る。
【0077】
以上、本実施例について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法の実施例に限定されるものではなく、他のハンダボール印刷装置およびハンダボール印刷方法にも容易に適用することが出来ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1…ハンダボール印刷機、2…ヘッド移動フレーム、3…ハンダボール供給ヘッド、4…ヘッド上下駆動機構、10…印刷テーブル、11…印刷テーブル上昇機構、15…カメラ、20…スクリーン、21…ウエハ、24…ハンダボール、45…清掃機構、60…ハンダボール貯留部、62…線材、63−1、63−2…ハンダボール充填部材、64…ハンダボール供給部、65…加振器、66…カム、73…ヘッド外壁、74−1、74−2、…スキージカバー75−1、75−2…回転回収機構、77−1、77−2…窒素ガス供給口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上の電極にマスクを介してハンダボールを印刷するハンダボール印刷装置において、
前記ハンダボールを貯留するハンダボール貯留部と、
前記ハンダボール貯留部の下方に位置し、前記ハンダボール貯留部から所定量のハンダボールを受け取り、受け取った前記ハンダボールを前記基板の上に位置する前記マスク面上に供給するハンダボール振出部と、
前記ハンダボール振出部を前記基板に沿って移動させる移動機構部と、
前記ハンダボール振出部に所定の振動を付与する加振手段とを備え、
前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール貯留部からのハンダボールを受け取るハンダボール供給部と、前記ハンダボール供給部のハンダボール振出口を囲むように取り付けられると共に所定間隔で複数の線材が配列された凸状の線材と、前記凸状の線材の前後に配列され、前記ハンダボールを前記マスクの開口部に充填するためのハンダボール充填部材とを有することを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンダボール印刷装置において、
前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール充填部材の前後にそれぞれ位置し、前記ハンダボール充填部材で充填されず分散されたハンダボールを前記ハンダボール充填部近傍に集めるハンダボール回転回収機構をさらに有することを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンダボール印刷装置において、
前記ハンダボール振出部は、前記ハンダボール供給部、前記ハンダボール充填部材および前記ハンダボール回転回収機構を覆うようにヘッド外壁を設け、前記ハンダボール振出部を密閉型ヘッド構造としたことを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載のハンダボール印刷装置において、
更に、前記ヘッド外壁の内側であって、前記ハンダボール回転回収機構を覆うようにスキージカバーが設けられていることを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載のハンダボール印刷装置において、
前記移動機構部は、ハンダボール振出部を上下移動する上下駆動機構をさらに備え、前記上下駆動機構でハンダボール振出部に設けた前記凸状の線材および前記ハンダボール充填部材を前記マスク面に押付る押付力を作用させ、前記凸状の線材および前記ハンダボール充填部材をハンダボール振出部の移動方向に対して所定の押付力で接触させることを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項6】
請求項1に記載のハンダボール印刷装置において、前記凸状の線材およびハンダボール充填部を構成する線材は、所定間隔の複数の線材で構成され、該線材は、厚さ0.05〜0.1mmの鋼板で、前記線材の幅は、0.1mm、線材間隔は、0.1mm〜0.3mmで構成され、前記線材は、前記ハンダボール振出部の進行方向に直角な方向に対して約5度〜35度の傾斜で設置されていることを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項7】
請求項6記載ハンダボール印刷装置において、前記ハンダボール振出部に設けた複数の前記ハンダボール充填部材の線材の傾斜方向を互いに逆方向になるように設けてあることを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項8】
請求項1から7記載のハンダボール印刷装置において、
更に、前記基板を固定する印刷テーブルと、前記印刷テーブルを前記基板上の電極パターンと前記マスクの電極パターンとを認識するための上下2視野カメラと、前記2視野カメラにて認識した結果に基づいて前記印刷テーブルを駆動して位置決めするための駆動装置と、前記基板が前記マスクに接触するよう前記印刷テーブルを上昇させる駆動機構とを具備していることを特徴とするハンダボール印刷装置。
【請求項9】
基板と、前記基板上の電極にハンダボール貯留部に保持されているハンダボールをマスクを介して印刷するハンダボール印刷装置において、
前記ハンダボール貯留部から所定量のハンダボールを前記ハンダボール貯留部に受け取り、受け取った前記ハンダボールを前記マスク面に供給する工程と、
前記ハンダボール貯留部から供給されたハンダボールを前記マスク面の開口部に分散するハンダボール分散工程と、
前記ハンダボール分散工程で分散されたハンダボールを前記マスク面の開口部に充填するハンダボール充填工程と、
前記ハンダボール充填工程で充填されず分散されたハンダボールを回収する工程とを有することを特徴とするハンダボール印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−258132(P2010−258132A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104845(P2009−104845)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】