ハンディターミナル及びオーダエントリシステム
【課題】新たな通信インフラの整備を必要とせずに、テーブルオーダ端末を導入できるようにする。
【解決手段】注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的にハンディターミナル3が有するタッチパネル41付き表示器42に表示し、店員用入力画面又は客用入力画面が表示されたタッチパネル41付き表示器42のタッチ操作により注文情報の入力を受け付けるようにした。
【解決手段】注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的にハンディターミナル3が有するタッチパネル41付き表示器42に表示し、店員用入力画面又は客用入力画面が表示されたタッチパネル41付き表示器42のタッチ操作により注文情報の入力を受け付けるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレストラン等の店舗で用いられるハンディターミナル及びオーダエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン等の店舗で使用されているオーダエントリシステムは、接客フロアにおいて注文担当店員に使用される複数のハンディターミナルを備えており、このハンディターミナルに入力されて無線送信された注文情報をオーダステーションが受信し、受信した注文情報をオーダステーションからキッチンプリンタに送信し、この注文情報をキッチンプリンタで印字発行するようにしている。
【0003】
また、近年、接客フロアの各テーブルに配置されて顧客が自ら注文情報の入力を行うことができるテーブルオーダ端末を備えるオーダエントリシステムが開発されている(例えば、特許文献1)。このようなテーブルオーダ端末を導入することで、注文担当店員が顧客から注文を受け付ける必要がなくなるため、店舗としては注文担当店員の人員削減が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−007540公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テーブルオーダ端末を導入するに際して、テーブルオーダ端末がハンディターミナルと通信手段が異なる場合、新たな通信インフラの整備が必要となり、コストや店舗の設備の面から導入に踏み切れないようなことがある。
【0006】
本発明の目的は、新たな通信インフラの整備を必要とすることなく、テーブルオーダ端末を導入できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のハンディターミナルは、タッチパネル付き表示器を備え、注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示し、前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける。
【0008】
本発明のオーダエントリシステムは、タッチパネル付き表示器を有し、注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示し、前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付けるようにしたハンディターミナルと、接客フロアのテーブルに配置されて、前記ハンディターミナルのセットを許容し、セットされた前記ハンディターミナルと共に注文情報の入力を受け付けるテーブルオーダ端末を構成する保持部と、前記ハンディターミナルで入力を受け付けた注文情報を受信し、受信した注文情報を管理するオーダステーションと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンディターミナルのタッチパネル付き表示器に店員用入力画面と客用入力画面とが選択的に表示されるので、ハンディターミナルをテーブルオーダ端末として使用することができ、したがって、新たに通信インフラを整備する必要なく、テーブルオーダ端末を導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0011】
図1は、オーダエントリシステム1の全体構成を概略的に示すシステム構成図である。オーダエントリシステム1は、複数の注文担当店員が個々に携帯するハンディターミナル3を備えている。注文担当店員による注文情報の入力を受け付けるハンディターミナル3は、表示器としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)42がタッチパネル付き41で備えられている。そして、さらにオーダエントリシステム1は、本実施の形態が備える特長の一つであるテーブルオーダ端末11を備えている。接客フロアのテーブル(図示しない)には、ハンディターミナル3のセットを許容する保持部としてのクレードル12が配置されており、テーブルオーダ端末11は、クレードル12にハンディターミナル3がセットされて構成され、セットされたハンディターミナル3と共に注文情報の入力を受け付ける。クレードル12にセットされたハンディターミナル3は、タッチパネル41付き表示器42を全面露出してテーブルオーダ端末11を構成する。
【0012】
ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11において入力を受け付けた注文情報は、店舗内のバックヤード等に設置されシステム全体を制御するオーダステーション7に送信され、オーダステーション7からキッチンプリンタ5やチェックアウトカウンタに設置されるPOS端末(Point of Sales:販売時点管理)6に送信される。そして、キッチンプリンタ5では、注文メニュー品目をキッチンの調理人に指示するための調理指示伝票(図示せず)が印字発行され、POS端末6では注文情報に基づく会計処理が行われる。
【0013】
ここで、ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11は、天井等に設置された無線通信ユニット4によってオーダステーション7との無線通信を可能とされており、キッチンプリンタ5とPOS端末6とは、通信回線8によってオーダステーション7に接続され情報通信可能とされている。
【0014】
なお、オーダステーション7には、LCD7a及び各種操作キーを配設したキーボード7bが備えられており、ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11から無線送信された注文情報の管理が可能となっている。
【0015】
次に、このオーダエントリシステム1を構成する各部を説明する。なお、無線通信ユニット4と、キッチンプリンタ5と、POS端末6とについては、その構造及び機能は従来のものと何ら変わるものではないためその説明は省略する。
【0016】
図2は、ハンディターミナル3を示す斜視図である。ハンディターミナル3は、タッチパネル41付きのLCD42が設けられた左扉体3aと、この左扉体3aに回動支持部3dによって接続された開閉自在な蓋部としての右扉体3bとから構成されている。タッチパネル41付きLCD42は、表示部として機能し、注文担当店員が注文情報を入力するための入力画面と顧客が注文情報を入力するための入力画面とが選択的に表示され、ハンディターミナル3は、この入力画面が表示されたタッチパネル41付きLCD42のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける。なお、入力画面については後述する。
【0017】
また、右扉体3bには、キーボード45が設けられている。キーボード45には、詳細は図示しないが、メニュー品目が割り当てられたメニューキー45aが割り当てられており、ハンディターミナル3は、タッチパネル41と共に、このキーボード45の操作によっても注文情報の入力を受け付ける。なお、右扉体3bには、ハンディターミナル3を閉じた状態でLCD42に表示された情報を確認できる覗き窓3cが設けられている。
【0018】
さらに、左扉体3aの一端には、ハンディターミナル3を充電するための充電用の端子46が設けられている。以下、ハンディターミナル3において、端子46側を底部と称する。
【0019】
図3は、ハンディターミナル3のLCD42に表示される店員用入力画面G1の一例を示す正面図である。店員用入力画面G1は、ハンディターミナル3が接客フロアで注文担当店員に使用される際にLCD42に表示される入力画面であり、LCD42には、各種入力キー47として、テンキー47a、スクロールキー47b、テーブル番号を入力するテーブルキー47c、エンターキー47d、確定キー47e等が設けられている。このとき、各種入力キー47は、LCD42に表示される線によって区切られた領域として割り付けられている。
【0020】
ここで、ハンディターミナル3での注文情報の入力方法を概略的に説明する。まず、注文担当店員は、顧客から告げられた注文に基づき、キーボード45のメニューキー45a(図2参照)を押下してメニュー品目を選択し、テンキー47aを押下して注文個数を設定する。ここで、エンターキー47dを押下することにより注文情報が入力され、最後に確定キー47eが押下されて入力された注文情報が確定される。このように、ハンディターミナル3では、キーボード45及びタッチパネル41を操作して注文情報が入力される。なお、LCD42の入力キー47の上方のスペースには、注文入力されたメニュー品目名47fやその注文個数47g等の情報が表示されている。
【0021】
図4は、テーブルオーダ端末11を示す分解斜視図である。前述したように、テーブルオーダ端末11は、接客フロアのテーブル(図示しない)上に配置されたクレードル12に対してハンディターミナル3がセットされて構成される。
【0022】
ここで、クレードル12は、クレードル本体13と、このクレードル本体13に着脱する保持部材14とから構成されており、ハンディターミナル3は、クレードル本体13と保持部材14によって保持されて動きが規制される。なお、クレードル本体13及び保持部材14はプラスチック等の樹脂により形成されている。
【0023】
クレードル本体13は、接客フロアのテーブルの上面と当接してクレードル本体13を支持する台座部13aに、断面が台形形状でハンディターミナル3の左扉体3aの裏面を支持する中空の支持部13bが、一定の隙間を空けて接続されており、この隙間は、約280度開かれたハンディターミナル3の右扉体3bが収納されて外部から隠蔽される収納部13dとなっている。そしてクレードル本体13の一端側には、ハンディターミナル3の左扉体3aの底部が収納される底部収納部13eが設けられている。底部収納部13eは側方に貫通しておらず、内部に充電部21が備えられて給電端子22が突出しており、この給電端子22は、クレードル12にセットされるハンディターミナル3の端子46と接触する位置に設けられている。
【0024】
そして、ハンディターミナル3をクレードル本体13にセットさせた後に、支持部13bの中空部分である凹部13fに、保持部材14に形成されている凸部14aを嵌め込ませてクレードル本体13と保持部材14とを取り付けることで、ハンディターミナル3はクレードル12に動きが規制された状態でセットされてテーブルオーダ端末11となる。このとき、凸部14aは凹部13fに対して圧入されているので、クレードル本体13と保持部材14とを互いに離反するように引っ張ることで、クレードル12は簡単に分解することができ、クレードル12からハンディターミナル3を取り外すことができる。こうして、ハンディターミナル3はクレードル12に対して着脱自在となっている。
【0025】
図5は、テーブルオーダ端末11を構成するハンディターミナル3のLCD42に表示される客用入力画面G2の一例を示す正面図である。客用入力画面G2は、店員用入力画面G1から向きを90°異ならせてLCD42に表示される入力画面であり、顧客が自ら注文情報を入力するためのものである。
【0026】
ここで、テーブルオーダ端末11での注文情報の入力方法を概略的に説明する。まず、顧客は、メニュー番号の入力を促すメッセージ48aを見ることで、メニュー表(図示しない)に表示されているメニュー番号を参照して、テンキー48bが表示された領域のタッチパネル41のタッチ入力によって希望する商品のメニュー番号を入力する。そして、メニュー番号48cを入力すると、メッセージ48aは、例えば「注文個数を入力して下さい」という注文個数入力を促す表示に切り替わるので、顧客は、この表示を見ることで、テンキー48bのタッチ入力により希望する注文個数を入力する。このとき、入力されたメニュー番号48c、メニュー品目名48d、注文個数48eはLCD42に表示されるので、顧客は注文内容を確認しながら入力することができる。そして、注文内容を間違えて入力したのであれば、クリアキー48fを押下して注文を取り消し、注文内容が正しいのであれば、注文キー48gを押下する。
【0027】
このように、ハンディターミナル3での注文情報の入力と異なり、テーブルオーダ端末11では、キーボード45を使用せずにタッチパネル41のタッチ操作のみによって注文情報が入力される。
【0028】
客用入力画面G2では、店員用入力画面G1と比較して文字等が大きく表示されたり、顧客をガイドするためメッセージ48aが表示されたりすることで、顧客にとって、注文情報の入力の操作がし易いようになっている。また、客用入力画面G2では、店員用入力画面G1では表示されるテーブルキー47c等の顧客の操作が必要ないキーが表示されていないため、顧客による誤操作もなくなる。また、キーが限定されて表示されていることから、顧客が混乱せずに、より注文情報を入力し易いようになっている。
【0029】
図6は、ハンディターミナル3に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル3には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)52が備えられており、このマイコン52が各部を駆動制御する。マイコン52は、各部を集中的に制御するCPU53にバスライン54を介して、CPU53を動作させる制御プログラム等の固定的情報を予め格納するROM55と、各種情報を書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM56とが接続されて構成されている。
【0030】
マイコン52には、バスライン54を介してキーボード45、LCD42、タッチパネル41、無線通信ユニット4との間で無線通信するための無線通信装置60、記憶装置57等が接続されている。記憶装置57には、メニュー品目のメニュー品目名及び価格をメニュー番号ごとに記憶する商品データファイルF1が格納されている。
【0031】
ハンディターミナル3には、ハンディターミナル3を識別する端末番号が与えられており、ハンディターミナル3が各装置に情報を送信する場合には、この端末番号がその情報に付与される。
【0032】
また、ハンディターミナル3内には各部に動作電力を供給する蓄電池58が設けられており、この蓄電池58に対して充電を行う充電回路59も設けられている。この充電回路59はハンディターミナル3がクレードル12に保持されて給電端子22と端子46とが接続状態にある時に、充電部21内のAC/DC変換回路(図示しない)から直流充電電圧が与えられることにより動作するように構成されている。
【0033】
充電回路59は、蓄電池58側に向けて流れる充電電流の有無を検出するコンパレータ(図示しない)を備えている。このコンパレータの出力は、ハンディターミナル3の端子46と充電部21の給電端子22とが接続されておらず充電電流が流れない状態ではLレベルであるが、接続状態の際に充電電流が流れることによりHレベルに反転するように設定されている。そして、このコンパレータの出力が検出信号としてマイコン52に入力される。
【0034】
図7は、LCD42に表示される入力画面の切り替えの際に実行される処理の流れを示すフローチャートである。通常、ハンディターミナル3のLCD42には、店員用入力画面G1が表示されている。ここで、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされる際に、端子46が充電部21の給電端子22と接続されると、ハンディターミナル3のマイコン52は、前述した検出信号を受信する(ステップS1のY)。つまり、この検出信号をマイコン52が受信することにより、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことが検知される。
【0035】
検出信号を受信したマイコン52は、LCD42に表示されている入力画面を店員用入力画面G1から切り替えて、LCD42に客用入力画面G2を表示する(ステップS2)。ここに、店員用入力画面G1と客用入力画面G2とを選択的にタッチパネル41付きLCD42に表示する手段の機能が実行される。
【0036】
そして、マイコン52は、ハンディターミナル3のキーボード45の入力機能を停止する(ステップS3)。ここに、キーボード45による注文情報の入力の受け付けを禁止する手段の機能が実行される。これにより、顧客がキーボード45を誤操作してしまうことを未然に防止することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことを検知することで、LCD42に客用入力画面G2を表示したが、例えば、キーボード45に切替キー(図示しない)を設けて、この切替キーを押下することで客用入力画面G2がLCD42に表示されるようにしてもよい。また、例えば、ハンディターミナル3の左扉体3aの一部にスイッチ(図示しない)を設けて、このスイッチのオン/オフによってLCD42に店員用入力画面G1と客用入力画面G2とが選択的に表示されるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことを検知することで、キーボード45による注文情報の入力の受け付けを禁止したが、例えば、ハンディターミナル3の右扉体3bにスイッチ(図示しない)を設けて、このスイッチのオン/オフによって、キーボード45の入力機能がオン/オフされるようにして、オフのときに注文情報の入力の受け付けを禁止するようにしてもよい。
【0039】
図8は、オーダステーション7に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。オーダステーション7には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)62が備えられており、このマイコン62が各部を駆動制御する。マイコン62は、各部を集中的に制御するCPU63にバスライン64を介して、CPU63を動作させる制御プログラム等の固定的情報を予め格納するROM65と各種情報を書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM66とが接続されて構成されている。このようなマイコン62には、LCD7a、キーボード7b、通信回線8を介して各装置と通信するためのライン通信装置69がバスライン64を介して接続されている。
【0040】
オーダステーション7のRAM66には、顧客注文情報ファイルF2及び記憶部としての番号ファイルF3が設けられている。この顧客注文情報ファイルF2は、テーブル番号毎に顧客単位で注文情報を記憶するファイルであり、テーブル番号、メニュー番号、メニュー品目名、注文個数、単価、注文時刻、担当者等が記憶される。
【0041】
図9は、番号ファイルF3を示す模式図である。番号ファイルF3は、接客フロアの各テーブル(図示しない)にあらかじめ与えられてテーブルを識別するテーブル番号と、前述したハンディターミナル3の端末番号とを対応付けて記憶する記憶部である。
【0042】
このような構成において、注文担当店員がハンディターミナル3を用いて顧客から注文を受け付けて注文情報を入力する場合、注文担当店員は、図3で示した店員用入力画面G1に基づき、タッチパネル41及びキーボード45を操作して、顧客を案内したテーブル番号や顧客から受けた注文を入力する。そして、確定キー47eが押下されるとテーブル番号や注文情報は無線通信ユニット4を介してオーダステーション7に対して送信される。オーダステーション7では、テーブル番号に基づき注文情報が顧客注文情報ファイルF2に記憶される。このように、注文担当店員がハンディターミナル3を用いて顧客から注文を受け付ける場合に行われる作業や処理については、従来のものと変わるものではない。
【0043】
一方で、テーブルオーダ端末11を用いて顧客に注文情報を入力させる場合、注文担当店員は、まず、顧客が入店すると、ハンディターミナル3の操作により入店処理を行う。
【0044】
図10は、入店処理の流れを示すフローチャートである。注文担当店員は、タッチパネル41のタッチ操作によって顧客の人数や顧客を案内したテーブル番号等の顧客情報を入力する。そして、確定キー47eが押下されて入力が確定されると(ステップS11のY)、ハンディターミナル3のマイコン52は、端末番号を付与して顧客情報を送信出力する(ステップS12)。この顧客情報は無線通信ユニット4を介して、オーダステーション7へと送信される。オーダステーション7のマイコン62は顧客情報を受信すると(ステップS21のY)、顧客情報を顧客注文情報ファイルF2に注文情報の一部として記憶させ、さらに、顧客情報に含まれているテーブル番号と顧客情報に付与されている端末番号とを対応付けて番号ファイルF3に記憶させる(ステップS22)。そして、注文担当店員は、顧客を案内したテーブルにあらかじめ配置されたクレードル12に入店処理を行ったハンディターミナル3をセットしてテーブルオーダ端末11として、入店処理を終える。このようにして、クレードル12が配置されたテーブルのテーブル番号とこのクレードル12にセットされてテーブルオーダ端末11を構成するハンディターミナル3の端末番号とが対応付けられる。
【0045】
クレードル12にハンディターミナル3がセットされると、LCD42に表示される入力画面が客用入力画面G2に切り替わるので、顧客は、タッチパネル41のタッチ操作をして注文情報を入力する。そして、注文キー48gが押下されると、ハンディターミナル3のマイコン62は、入力された注文情報に端末番号を付与して送信出力する。この注文情報は無線通信ユニット4を介してオーダステーション7へと送信されて注文受付処理が実行される。
【0046】
図11は、注文受付処理の流れを示すフローチャートである。注文受付処理として、マイコン62は注文情報を受信すると(ステップS31のY)、受信した注文情報に付与されている端末番号に基づき、番号ファイルF3を検索して端末番号に対応するテーブル番号を取得する(ステップS32)。そして、受信した注文情報を、取得されたテーブル番号に基づき顧客注文情報ファイルF2に記憶する(ステップS33)。
【0047】
このようにテーブルオーダ端末11を用いて顧客に注文情報を入力させる場合、注文情報の入力だけで、テーブルオーダ端末11が配置されたテーブルが特定されるので、顧客は注文する際に自らテーブル番号を入力する必要がなくなり、注文情報の入力だけをすればよい。なお、食事終了後にPOS端末6で行われる会計処理の終了に伴い、オーダステーション7の顧客注文情報ファイルF2に記憶されている注文情報及び番号ファイルF3の内容はクリアされる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態によれば、ハンディターミナル3のタッチパネル41付きLCD42に店員用入力画面G1と客用入力画面G2とが選択的に表示されるので、ハンディターミナル3をテーブルオーダ端末11として使用することができ、したがって、新たに通信インフラを整備する必要なく、テーブルオーダ端末11を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】オーダエントリシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】ハンディターミナルを示す斜視図である。
【図3】ハンディターミナルのLCDに表示される店員用入力画面の一例を示す正面図である。
【図4】テーブルオーダ端末を示す分解斜視図である。
【図5】テーブルオーダ端末を構成するハンディターミナルのLCDに表示される客用入力画面の一例を示す正面図である。
【図6】ハンディターミナルに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】LCDに表示される入力画面の切り替えの際に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】オーダステーションに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図9】番号ファイルを示す模式図である。
【図10】入店処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】注文受付処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…オーダエントリシステム、3…ハンディターミナル、3b…蓋部(右扉体)、11…テーブルオーダ端末、12…保持部(クレードル)、41…タッチパネル、42…表示器(LCD)、45…キーボード、F3…記憶部(番号ファイル)、G1…店員用入力画面、G2…客用入力画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレストラン等の店舗で用いられるハンディターミナル及びオーダエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン等の店舗で使用されているオーダエントリシステムは、接客フロアにおいて注文担当店員に使用される複数のハンディターミナルを備えており、このハンディターミナルに入力されて無線送信された注文情報をオーダステーションが受信し、受信した注文情報をオーダステーションからキッチンプリンタに送信し、この注文情報をキッチンプリンタで印字発行するようにしている。
【0003】
また、近年、接客フロアの各テーブルに配置されて顧客が自ら注文情報の入力を行うことができるテーブルオーダ端末を備えるオーダエントリシステムが開発されている(例えば、特許文献1)。このようなテーブルオーダ端末を導入することで、注文担当店員が顧客から注文を受け付ける必要がなくなるため、店舗としては注文担当店員の人員削減が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−007540公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テーブルオーダ端末を導入するに際して、テーブルオーダ端末がハンディターミナルと通信手段が異なる場合、新たな通信インフラの整備が必要となり、コストや店舗の設備の面から導入に踏み切れないようなことがある。
【0006】
本発明の目的は、新たな通信インフラの整備を必要とすることなく、テーブルオーダ端末を導入できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のハンディターミナルは、タッチパネル付き表示器を備え、注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示し、前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける。
【0008】
本発明のオーダエントリシステムは、タッチパネル付き表示器を有し、注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示し、前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付けるようにしたハンディターミナルと、接客フロアのテーブルに配置されて、前記ハンディターミナルのセットを許容し、セットされた前記ハンディターミナルと共に注文情報の入力を受け付けるテーブルオーダ端末を構成する保持部と、前記ハンディターミナルで入力を受け付けた注文情報を受信し、受信した注文情報を管理するオーダステーションと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンディターミナルのタッチパネル付き表示器に店員用入力画面と客用入力画面とが選択的に表示されるので、ハンディターミナルをテーブルオーダ端末として使用することができ、したがって、新たに通信インフラを整備する必要なく、テーブルオーダ端末を導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0011】
図1は、オーダエントリシステム1の全体構成を概略的に示すシステム構成図である。オーダエントリシステム1は、複数の注文担当店員が個々に携帯するハンディターミナル3を備えている。注文担当店員による注文情報の入力を受け付けるハンディターミナル3は、表示器としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)42がタッチパネル付き41で備えられている。そして、さらにオーダエントリシステム1は、本実施の形態が備える特長の一つであるテーブルオーダ端末11を備えている。接客フロアのテーブル(図示しない)には、ハンディターミナル3のセットを許容する保持部としてのクレードル12が配置されており、テーブルオーダ端末11は、クレードル12にハンディターミナル3がセットされて構成され、セットされたハンディターミナル3と共に注文情報の入力を受け付ける。クレードル12にセットされたハンディターミナル3は、タッチパネル41付き表示器42を全面露出してテーブルオーダ端末11を構成する。
【0012】
ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11において入力を受け付けた注文情報は、店舗内のバックヤード等に設置されシステム全体を制御するオーダステーション7に送信され、オーダステーション7からキッチンプリンタ5やチェックアウトカウンタに設置されるPOS端末(Point of Sales:販売時点管理)6に送信される。そして、キッチンプリンタ5では、注文メニュー品目をキッチンの調理人に指示するための調理指示伝票(図示せず)が印字発行され、POS端末6では注文情報に基づく会計処理が行われる。
【0013】
ここで、ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11は、天井等に設置された無線通信ユニット4によってオーダステーション7との無線通信を可能とされており、キッチンプリンタ5とPOS端末6とは、通信回線8によってオーダステーション7に接続され情報通信可能とされている。
【0014】
なお、オーダステーション7には、LCD7a及び各種操作キーを配設したキーボード7bが備えられており、ハンディターミナル3及びテーブルオーダ端末11から無線送信された注文情報の管理が可能となっている。
【0015】
次に、このオーダエントリシステム1を構成する各部を説明する。なお、無線通信ユニット4と、キッチンプリンタ5と、POS端末6とについては、その構造及び機能は従来のものと何ら変わるものではないためその説明は省略する。
【0016】
図2は、ハンディターミナル3を示す斜視図である。ハンディターミナル3は、タッチパネル41付きのLCD42が設けられた左扉体3aと、この左扉体3aに回動支持部3dによって接続された開閉自在な蓋部としての右扉体3bとから構成されている。タッチパネル41付きLCD42は、表示部として機能し、注文担当店員が注文情報を入力するための入力画面と顧客が注文情報を入力するための入力画面とが選択的に表示され、ハンディターミナル3は、この入力画面が表示されたタッチパネル41付きLCD42のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける。なお、入力画面については後述する。
【0017】
また、右扉体3bには、キーボード45が設けられている。キーボード45には、詳細は図示しないが、メニュー品目が割り当てられたメニューキー45aが割り当てられており、ハンディターミナル3は、タッチパネル41と共に、このキーボード45の操作によっても注文情報の入力を受け付ける。なお、右扉体3bには、ハンディターミナル3を閉じた状態でLCD42に表示された情報を確認できる覗き窓3cが設けられている。
【0018】
さらに、左扉体3aの一端には、ハンディターミナル3を充電するための充電用の端子46が設けられている。以下、ハンディターミナル3において、端子46側を底部と称する。
【0019】
図3は、ハンディターミナル3のLCD42に表示される店員用入力画面G1の一例を示す正面図である。店員用入力画面G1は、ハンディターミナル3が接客フロアで注文担当店員に使用される際にLCD42に表示される入力画面であり、LCD42には、各種入力キー47として、テンキー47a、スクロールキー47b、テーブル番号を入力するテーブルキー47c、エンターキー47d、確定キー47e等が設けられている。このとき、各種入力キー47は、LCD42に表示される線によって区切られた領域として割り付けられている。
【0020】
ここで、ハンディターミナル3での注文情報の入力方法を概略的に説明する。まず、注文担当店員は、顧客から告げられた注文に基づき、キーボード45のメニューキー45a(図2参照)を押下してメニュー品目を選択し、テンキー47aを押下して注文個数を設定する。ここで、エンターキー47dを押下することにより注文情報が入力され、最後に確定キー47eが押下されて入力された注文情報が確定される。このように、ハンディターミナル3では、キーボード45及びタッチパネル41を操作して注文情報が入力される。なお、LCD42の入力キー47の上方のスペースには、注文入力されたメニュー品目名47fやその注文個数47g等の情報が表示されている。
【0021】
図4は、テーブルオーダ端末11を示す分解斜視図である。前述したように、テーブルオーダ端末11は、接客フロアのテーブル(図示しない)上に配置されたクレードル12に対してハンディターミナル3がセットされて構成される。
【0022】
ここで、クレードル12は、クレードル本体13と、このクレードル本体13に着脱する保持部材14とから構成されており、ハンディターミナル3は、クレードル本体13と保持部材14によって保持されて動きが規制される。なお、クレードル本体13及び保持部材14はプラスチック等の樹脂により形成されている。
【0023】
クレードル本体13は、接客フロアのテーブルの上面と当接してクレードル本体13を支持する台座部13aに、断面が台形形状でハンディターミナル3の左扉体3aの裏面を支持する中空の支持部13bが、一定の隙間を空けて接続されており、この隙間は、約280度開かれたハンディターミナル3の右扉体3bが収納されて外部から隠蔽される収納部13dとなっている。そしてクレードル本体13の一端側には、ハンディターミナル3の左扉体3aの底部が収納される底部収納部13eが設けられている。底部収納部13eは側方に貫通しておらず、内部に充電部21が備えられて給電端子22が突出しており、この給電端子22は、クレードル12にセットされるハンディターミナル3の端子46と接触する位置に設けられている。
【0024】
そして、ハンディターミナル3をクレードル本体13にセットさせた後に、支持部13bの中空部分である凹部13fに、保持部材14に形成されている凸部14aを嵌め込ませてクレードル本体13と保持部材14とを取り付けることで、ハンディターミナル3はクレードル12に動きが規制された状態でセットされてテーブルオーダ端末11となる。このとき、凸部14aは凹部13fに対して圧入されているので、クレードル本体13と保持部材14とを互いに離反するように引っ張ることで、クレードル12は簡単に分解することができ、クレードル12からハンディターミナル3を取り外すことができる。こうして、ハンディターミナル3はクレードル12に対して着脱自在となっている。
【0025】
図5は、テーブルオーダ端末11を構成するハンディターミナル3のLCD42に表示される客用入力画面G2の一例を示す正面図である。客用入力画面G2は、店員用入力画面G1から向きを90°異ならせてLCD42に表示される入力画面であり、顧客が自ら注文情報を入力するためのものである。
【0026】
ここで、テーブルオーダ端末11での注文情報の入力方法を概略的に説明する。まず、顧客は、メニュー番号の入力を促すメッセージ48aを見ることで、メニュー表(図示しない)に表示されているメニュー番号を参照して、テンキー48bが表示された領域のタッチパネル41のタッチ入力によって希望する商品のメニュー番号を入力する。そして、メニュー番号48cを入力すると、メッセージ48aは、例えば「注文個数を入力して下さい」という注文個数入力を促す表示に切り替わるので、顧客は、この表示を見ることで、テンキー48bのタッチ入力により希望する注文個数を入力する。このとき、入力されたメニュー番号48c、メニュー品目名48d、注文個数48eはLCD42に表示されるので、顧客は注文内容を確認しながら入力することができる。そして、注文内容を間違えて入力したのであれば、クリアキー48fを押下して注文を取り消し、注文内容が正しいのであれば、注文キー48gを押下する。
【0027】
このように、ハンディターミナル3での注文情報の入力と異なり、テーブルオーダ端末11では、キーボード45を使用せずにタッチパネル41のタッチ操作のみによって注文情報が入力される。
【0028】
客用入力画面G2では、店員用入力画面G1と比較して文字等が大きく表示されたり、顧客をガイドするためメッセージ48aが表示されたりすることで、顧客にとって、注文情報の入力の操作がし易いようになっている。また、客用入力画面G2では、店員用入力画面G1では表示されるテーブルキー47c等の顧客の操作が必要ないキーが表示されていないため、顧客による誤操作もなくなる。また、キーが限定されて表示されていることから、顧客が混乱せずに、より注文情報を入力し易いようになっている。
【0029】
図6は、ハンディターミナル3に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル3には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)52が備えられており、このマイコン52が各部を駆動制御する。マイコン52は、各部を集中的に制御するCPU53にバスライン54を介して、CPU53を動作させる制御プログラム等の固定的情報を予め格納するROM55と、各種情報を書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM56とが接続されて構成されている。
【0030】
マイコン52には、バスライン54を介してキーボード45、LCD42、タッチパネル41、無線通信ユニット4との間で無線通信するための無線通信装置60、記憶装置57等が接続されている。記憶装置57には、メニュー品目のメニュー品目名及び価格をメニュー番号ごとに記憶する商品データファイルF1が格納されている。
【0031】
ハンディターミナル3には、ハンディターミナル3を識別する端末番号が与えられており、ハンディターミナル3が各装置に情報を送信する場合には、この端末番号がその情報に付与される。
【0032】
また、ハンディターミナル3内には各部に動作電力を供給する蓄電池58が設けられており、この蓄電池58に対して充電を行う充電回路59も設けられている。この充電回路59はハンディターミナル3がクレードル12に保持されて給電端子22と端子46とが接続状態にある時に、充電部21内のAC/DC変換回路(図示しない)から直流充電電圧が与えられることにより動作するように構成されている。
【0033】
充電回路59は、蓄電池58側に向けて流れる充電電流の有無を検出するコンパレータ(図示しない)を備えている。このコンパレータの出力は、ハンディターミナル3の端子46と充電部21の給電端子22とが接続されておらず充電電流が流れない状態ではLレベルであるが、接続状態の際に充電電流が流れることによりHレベルに反転するように設定されている。そして、このコンパレータの出力が検出信号としてマイコン52に入力される。
【0034】
図7は、LCD42に表示される入力画面の切り替えの際に実行される処理の流れを示すフローチャートである。通常、ハンディターミナル3のLCD42には、店員用入力画面G1が表示されている。ここで、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされる際に、端子46が充電部21の給電端子22と接続されると、ハンディターミナル3のマイコン52は、前述した検出信号を受信する(ステップS1のY)。つまり、この検出信号をマイコン52が受信することにより、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことが検知される。
【0035】
検出信号を受信したマイコン52は、LCD42に表示されている入力画面を店員用入力画面G1から切り替えて、LCD42に客用入力画面G2を表示する(ステップS2)。ここに、店員用入力画面G1と客用入力画面G2とを選択的にタッチパネル41付きLCD42に表示する手段の機能が実行される。
【0036】
そして、マイコン52は、ハンディターミナル3のキーボード45の入力機能を停止する(ステップS3)。ここに、キーボード45による注文情報の入力の受け付けを禁止する手段の機能が実行される。これにより、顧客がキーボード45を誤操作してしまうことを未然に防止することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことを検知することで、LCD42に客用入力画面G2を表示したが、例えば、キーボード45に切替キー(図示しない)を設けて、この切替キーを押下することで客用入力画面G2がLCD42に表示されるようにしてもよい。また、例えば、ハンディターミナル3の左扉体3aの一部にスイッチ(図示しない)を設けて、このスイッチのオン/オフによってLCD42に店員用入力画面G1と客用入力画面G2とが選択的に表示されるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、ハンディターミナル3がクレードル12へセットされたことを検知することで、キーボード45による注文情報の入力の受け付けを禁止したが、例えば、ハンディターミナル3の右扉体3bにスイッチ(図示しない)を設けて、このスイッチのオン/オフによって、キーボード45の入力機能がオン/オフされるようにして、オフのときに注文情報の入力の受け付けを禁止するようにしてもよい。
【0039】
図8は、オーダステーション7に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。オーダステーション7には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)62が備えられており、このマイコン62が各部を駆動制御する。マイコン62は、各部を集中的に制御するCPU63にバスライン64を介して、CPU63を動作させる制御プログラム等の固定的情報を予め格納するROM65と各種情報を書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM66とが接続されて構成されている。このようなマイコン62には、LCD7a、キーボード7b、通信回線8を介して各装置と通信するためのライン通信装置69がバスライン64を介して接続されている。
【0040】
オーダステーション7のRAM66には、顧客注文情報ファイルF2及び記憶部としての番号ファイルF3が設けられている。この顧客注文情報ファイルF2は、テーブル番号毎に顧客単位で注文情報を記憶するファイルであり、テーブル番号、メニュー番号、メニュー品目名、注文個数、単価、注文時刻、担当者等が記憶される。
【0041】
図9は、番号ファイルF3を示す模式図である。番号ファイルF3は、接客フロアの各テーブル(図示しない)にあらかじめ与えられてテーブルを識別するテーブル番号と、前述したハンディターミナル3の端末番号とを対応付けて記憶する記憶部である。
【0042】
このような構成において、注文担当店員がハンディターミナル3を用いて顧客から注文を受け付けて注文情報を入力する場合、注文担当店員は、図3で示した店員用入力画面G1に基づき、タッチパネル41及びキーボード45を操作して、顧客を案内したテーブル番号や顧客から受けた注文を入力する。そして、確定キー47eが押下されるとテーブル番号や注文情報は無線通信ユニット4を介してオーダステーション7に対して送信される。オーダステーション7では、テーブル番号に基づき注文情報が顧客注文情報ファイルF2に記憶される。このように、注文担当店員がハンディターミナル3を用いて顧客から注文を受け付ける場合に行われる作業や処理については、従来のものと変わるものではない。
【0043】
一方で、テーブルオーダ端末11を用いて顧客に注文情報を入力させる場合、注文担当店員は、まず、顧客が入店すると、ハンディターミナル3の操作により入店処理を行う。
【0044】
図10は、入店処理の流れを示すフローチャートである。注文担当店員は、タッチパネル41のタッチ操作によって顧客の人数や顧客を案内したテーブル番号等の顧客情報を入力する。そして、確定キー47eが押下されて入力が確定されると(ステップS11のY)、ハンディターミナル3のマイコン52は、端末番号を付与して顧客情報を送信出力する(ステップS12)。この顧客情報は無線通信ユニット4を介して、オーダステーション7へと送信される。オーダステーション7のマイコン62は顧客情報を受信すると(ステップS21のY)、顧客情報を顧客注文情報ファイルF2に注文情報の一部として記憶させ、さらに、顧客情報に含まれているテーブル番号と顧客情報に付与されている端末番号とを対応付けて番号ファイルF3に記憶させる(ステップS22)。そして、注文担当店員は、顧客を案内したテーブルにあらかじめ配置されたクレードル12に入店処理を行ったハンディターミナル3をセットしてテーブルオーダ端末11として、入店処理を終える。このようにして、クレードル12が配置されたテーブルのテーブル番号とこのクレードル12にセットされてテーブルオーダ端末11を構成するハンディターミナル3の端末番号とが対応付けられる。
【0045】
クレードル12にハンディターミナル3がセットされると、LCD42に表示される入力画面が客用入力画面G2に切り替わるので、顧客は、タッチパネル41のタッチ操作をして注文情報を入力する。そして、注文キー48gが押下されると、ハンディターミナル3のマイコン62は、入力された注文情報に端末番号を付与して送信出力する。この注文情報は無線通信ユニット4を介してオーダステーション7へと送信されて注文受付処理が実行される。
【0046】
図11は、注文受付処理の流れを示すフローチャートである。注文受付処理として、マイコン62は注文情報を受信すると(ステップS31のY)、受信した注文情報に付与されている端末番号に基づき、番号ファイルF3を検索して端末番号に対応するテーブル番号を取得する(ステップS32)。そして、受信した注文情報を、取得されたテーブル番号に基づき顧客注文情報ファイルF2に記憶する(ステップS33)。
【0047】
このようにテーブルオーダ端末11を用いて顧客に注文情報を入力させる場合、注文情報の入力だけで、テーブルオーダ端末11が配置されたテーブルが特定されるので、顧客は注文する際に自らテーブル番号を入力する必要がなくなり、注文情報の入力だけをすればよい。なお、食事終了後にPOS端末6で行われる会計処理の終了に伴い、オーダステーション7の顧客注文情報ファイルF2に記憶されている注文情報及び番号ファイルF3の内容はクリアされる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態によれば、ハンディターミナル3のタッチパネル41付きLCD42に店員用入力画面G1と客用入力画面G2とが選択的に表示されるので、ハンディターミナル3をテーブルオーダ端末11として使用することができ、したがって、新たに通信インフラを整備する必要なく、テーブルオーダ端末11を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】オーダエントリシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】ハンディターミナルを示す斜視図である。
【図3】ハンディターミナルのLCDに表示される店員用入力画面の一例を示す正面図である。
【図4】テーブルオーダ端末を示す分解斜視図である。
【図5】テーブルオーダ端末を構成するハンディターミナルのLCDに表示される客用入力画面の一例を示す正面図である。
【図6】ハンディターミナルに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】LCDに表示される入力画面の切り替えの際に実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】オーダステーションに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図9】番号ファイルを示す模式図である。
【図10】入店処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】注文受付処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…オーダエントリシステム、3…ハンディターミナル、3b…蓋部(右扉体)、11…テーブルオーダ端末、12…保持部(クレードル)、41…タッチパネル、42…表示器(LCD)、45…キーボード、F3…記憶部(番号ファイル)、G1…店員用入力画面、G2…客用入力画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル付き表示器と、
注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示する手段と、
前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける手段と、
を備えるハンディターミナル。
【請求項2】
開閉自在な蓋部と、
前記蓋部に設けられた注文情報の入力を受け付けるためのキーボードと、
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段と、
を備える、請求項2記載のハンディターミナル。
【請求項3】
請求項1記載のハンディターミナルと、
接客フロアのテーブルに配置されて、前記ハンディターミナルのセットを許容し、セットされた前記ハンディターミナルと共に注文情報の入力を受け付けるテーブルオーダ端末を構成する保持部と、
前記ハンディターミナルで入力を受け付けた注文情報を受信し、受信した注文情報を管理するオーダステーションと、
を備えるオーダエントリシステム。
【請求項4】
前記ハンディターミナルは、前記保持部へセットされたことが検知された場合、前記タッチパネル付き表示器に前記客用入力画面を表示する手段を備える、請求項3記載のオーダエントリシステム。
【請求項5】
前記ハンディターミナルは、
開閉自在な蓋部と、
前記蓋部に設けられた注文情報の入力を受け付けるためのキーボードと、
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段と、
を備える、請求項4記載のオーダエントリシステム。
【請求項6】
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段は、前記ハンディターミナルが前記保持部にセットされたことが検知された場合、注文情報の入力の受け付けを禁止する、請求項5記載のオーダエントリシステム。
【請求項7】
前記ハンディターミナルは、
入力を受け付けた注文情報に前記ハンディターミナルを識別する端末番号を付与する手段を備え、
前記オーダステーションは、
前記保持部が配置されたテーブルを識別するテーブル番号と当該保持部にセットされて前記テーブルオーダ端末を構成する前記ハンディターミナルの前記端末番号とを対応付けて記憶部に記憶させる手段と、
前記注文情報に付与された前記端末番号に基づき前記記憶部を検索して対応する前記テーブル番号を取得することで、注文情報の入力を受け付けた前記ハンディターミナルが構成する前記テーブルオーダ端末が配置されたテーブルを特定する手段を備える、請求項3ないし6記載のオーダエントリシステム。
【請求項1】
タッチパネル付き表示器と、
注文担当店員が注文情報を入力するための店員用入力画面と顧客が注文情報を入力するための客用入力画面とを選択的に前記タッチパネル付き表示器に表示する手段と、
前記店員用入力画面又は前記客用入力画面が表示された前記タッチパネル付き表示器のタッチ操作により注文情報の入力を受け付ける手段と、
を備えるハンディターミナル。
【請求項2】
開閉自在な蓋部と、
前記蓋部に設けられた注文情報の入力を受け付けるためのキーボードと、
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段と、
を備える、請求項2記載のハンディターミナル。
【請求項3】
請求項1記載のハンディターミナルと、
接客フロアのテーブルに配置されて、前記ハンディターミナルのセットを許容し、セットされた前記ハンディターミナルと共に注文情報の入力を受け付けるテーブルオーダ端末を構成する保持部と、
前記ハンディターミナルで入力を受け付けた注文情報を受信し、受信した注文情報を管理するオーダステーションと、
を備えるオーダエントリシステム。
【請求項4】
前記ハンディターミナルは、前記保持部へセットされたことが検知された場合、前記タッチパネル付き表示器に前記客用入力画面を表示する手段を備える、請求項3記載のオーダエントリシステム。
【請求項5】
前記ハンディターミナルは、
開閉自在な蓋部と、
前記蓋部に設けられた注文情報の入力を受け付けるためのキーボードと、
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段と、
を備える、請求項4記載のオーダエントリシステム。
【請求項6】
前記キーボードによる注文情報の入力の受け付けを禁止する手段は、前記ハンディターミナルが前記保持部にセットされたことが検知された場合、注文情報の入力の受け付けを禁止する、請求項5記載のオーダエントリシステム。
【請求項7】
前記ハンディターミナルは、
入力を受け付けた注文情報に前記ハンディターミナルを識別する端末番号を付与する手段を備え、
前記オーダステーションは、
前記保持部が配置されたテーブルを識別するテーブル番号と当該保持部にセットされて前記テーブルオーダ端末を構成する前記ハンディターミナルの前記端末番号とを対応付けて記憶部に記憶させる手段と、
前記注文情報に付与された前記端末番号に基づき前記記憶部を検索して対応する前記テーブル番号を取得することで、注文情報の入力を受け付けた前記ハンディターミナルが構成する前記テーブルオーダ端末が配置されたテーブルを特定する手段を備える、請求項3ないし6記載のオーダエントリシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−141120(P2007−141120A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336711(P2005−336711)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]