説明

ハードコートフィルム

【課題】ハードコート層とは別に防汚層を形成することなく、ハードコート層に防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、表面硬度と防汚特性とを両立したハードコートフィルムを提供すること。
【解決手段】基材と、基材の一方の面に形成されたハードコート層と、を備え、ハードコート層は膜厚が3μm以上30μm以下であり、ハードコート層の表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、かつ、塑性変形硬度が0.3GPa以上であることを特徴とするハードコートフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムに関し、特に、陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)のようなディスプレイの表面を保護する目的で利用されるハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ用の偏光板保護フィルム、有機ELディスプレイ等に用いられる円偏光板の保護フィルムは、様々な機能を持たせるために樹脂層が形成されている。機能層には、例えば帯電防止機能を持たせるための帯電防止層、反射を抑えるための反射防止層、表面硬度を向上させるためのハードコート層といったものがある。特にハードコート層についてはディプレイ用途では必須になっており、ハードコート層単層で用いるだけでなく反射防止層の下層の役割も果たしており重要な技術となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された基材の表面に碁盤目剥離試験での密着性が100目中50目以上であるシリコーン系ハードコート層を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成る成形品が開示されている(特許文献1参照)。特許文献2には、重合性官能基を有する1種以上の有機成分と無機フィラーとを含む塗膜成分から形成されており、該有機成分の少なくとも1種が水素結合形成基を有しないものであることを特徴とするプラスチック基材フィルム用ハードコート膜が開示されている(特許文献2参照)。特許文献3には、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に硬化塗膜層であるハードコート層を有するハードコートフィルムであって、ハードコート層の形成材料が、ウレタンアクリレート(A)、イソシアヌル酸アクリレート(B)及び無機の超微粒子(C)を含むことを特徴とするハードコートフィルムが開示されている(特許文献3参照)。
【0004】
これらの偏光板の保護機能としてハードコート層を備えるハードコートフィルムは近年高硬度化の需要が非常に高くなっている。しかしながら、これら偏光板の保護フィルム用ハードコートフィルム基材として主にセルロースエステル系のフィルムが用いられるが、このフィルム基材は軟質であるため、ハードコートフィルムとしての高硬度化は非常に困難である。
【0005】
また、これらの偏光板の適用アプリケーションが液晶テレビ、ノートパソコンなどに広く用いられるようになり多様な特性が要求されている。偏光板の特性としては蛍光灯の映り込みが少ない反射防止機能、埃が付きにくい帯電防止機能、指紋等が拭取れる防汚機能などが要求されるようになってきている。特にノートパソコンなどでは、人が使用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着する場合が多い。一般に、偏光板の表面エネルギーは大きいために、そのような汚れが付着しやすい。また、反射防止膜の表面には微細な凹凸があるため、汚れを除去することが容易ではない。さらに、そのような汚れが付着した部分だけ高反射となり、汚れが目立つ等の問題があった。
【0006】
そこで、これら汚れの問題を解決する手段として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい性能を持つ防汚層を光学部材の表面に形成する技術が種々提案されている。
【0007】
例えば、特許文献4には、基材の表面に、主として二酸化ケイ素からなる反射防止膜を設け、更にその表面に有機ケイ素置換基を含む化合物で処理した防汚性、耐摩擦性の反射防止物品が開示されている(特許文献4参照)。特許文献5には、同様に基材表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚性、耐摩擦性のCRTフィルターが開示されている(特許文献5参照)。また、特許文献6には、ポリフルオロアルキル基を含むモノ及びジシラン化合物及び、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシのシラン化合物を含有する反射防止膜を表面に有する防汚性・低反射性プラスチックが開示されている(特許文献6参照)。
【0008】
しかしながら、従来の方法で形成された防汚層は、防汚性が不十分であり、特に、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが拭き取りにくく、また、使用とともに防汚性能が大きく低下する。このため、防汚性及び耐久性に優れた防汚層、並びに防汚機能付フィルムの開発が望まれている。
【特許文献1】特開平7−97468号公報
【特許文献2】特開2000−159916号公報
【特許文献3】特開2006−106427号公報
【特許文献4】特開平1−086101号公報
【特許文献5】特開平4−338901号公報
【特許文献6】特開昭61−247743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のハードコートフィルムは、指紋拭き取り性などの防汚性を付与したものが無く、また防汚性が付与されていたとしても非常に弱い防汚性能であった。そのため、指紋等の汚れが付きやすく、また一度付いてしまうと汚れが取れにくいという課題があった。さらに汚れ防止処理を施しても、一般的な紙や布で拭いただけでは、かえって汚れを全面に広げることとなり、汚染された表面は外光の反射を招き、透過光を遮り、表示特性を著しく低下させ、初期の視認性を保てないという課題があった。
【0010】
また、フッ素系添加剤を添加しハードコート層の表面に防汚特性を付与すると、通常のフッ素系添加剤には反応性基が無いためにハードコート層との密着性が十分でなく、布等でハードコート層の表面を拭取ると防汚成分まで拭き取れてしまうという欠点を有している。この欠点を回避するためにハードコート層とは別に防汚層を形成して防汚特性を付与しているものが多い。
【0011】
したがって、本発明の目的はこのような課題を解決するためのものであり、ハードコート層とは別に防汚層を形成することなく、ハードコート層に防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、表面硬度と防汚特性とを両立したハードコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、ハードコートフィルムにおいて基材上のハードコート層に防汚特性の付与を検討した。その結果、基材の一方の面に、膜厚が3μm以上30μm以下であるハードコート層を形成して、ハードコート層の表面(ハードコート層の基材が形成されていない面)の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、かつ、塑性変形硬さが0.3GPa以上の条件でハードコートフィルムを形成することにより、硬度と防汚性とを有するハードコートフィルムを見出した。
【0013】
本発明の請求項1に係る発明は、基材と、基材の一方の面に形成されたハードコート層と、を備え、ハードコート層は膜厚が3μm以上30μm以下であり、ハードコート層の表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、かつ、塑性変形硬度が0.3GPa以上であることを特徴とするハードコートフィルムとしたものである。
【0014】
本発明の請求項2に係る発明は、ハードコート層の表面自由エネルギーが15mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、ハードコート層が少なくとも一種類の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)と、重合性基を有する含フッ素化合物(C)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)が、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを50重量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0017】
本発明の請求項5に係る発明は、光ラジカル重合開始剤(B)の添加量が、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して0.1重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0018】
本発明の請求項6に係る発明は、重合性基を有する含フッ素化合物(C)が、重合性基として、少なくとも一つの(メタ)アクリル基を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0019】
本発明の請求項7に係る発明は、重合性基を有する含フッ素化合物(C)の添加量が、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のハードコートフィルムとしたものである。
【0020】
本発明の請求項8に係る発明は、基材が三酢酸セルロースであることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムとしたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハードコート層とは別に防汚層を形成することなく、ハードコート層に防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、表面硬度と防汚特性とを両立したハードコートフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10の概略断面図を示す。図1に示すように、本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10は、高分子樹脂を有する基材1と、基材1上に形成された防汚特性を有するハードコート層2とを備えている。本発明の実施の形態に係るハードコート層2は、基材1上に塗布したハードコート層2を形成することによりハードコートフィルム10としている。
【0024】
本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10の基材1としては、透光性を有するフィルム状のものが好ましく、適度の透明性、機械強度を有していれば良い。基材1の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、三酢酸セルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを用いることができる。中でも、液晶ディスプレイの前面にハードコートフィルム10を設ける場合、三酢酸セルロース(TAC)は光学異方性がかなり小さいため、好ましく用いられる。
【0025】
本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10のハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)とは、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの水酸基が、2個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物が好ましい。その他にはアクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート及びポリエーテルアクリレートなどを用いることができる。また、メラミンやイソシアヌル酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いることができる。本発明の実施の形態においては、特にウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを用いることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを用いることによりハードコート層2の硬度及びに可撓性を著しく向上させることができる。
【0026】
なお、本発明の実施の形態において「(メタ)アクリルモノマー」とは「アクリルモノマー」と「メタクリルモノマー」との両方を示している。例えば、「多官能(メタ)アクリルモノマー」は「多官能アクリルモノマー」と「多官能メタクリルモノマー」との両方を示している。また、本発明の実施の形態において、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)はオリゴマーであっても構わない。
【0027】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2の好ましい多官能(メタ)アクリルモノマー(A)のウレタンアクリレートとしては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させ容易に形成されるものを挙げることができる。
【0028】
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは塗液においてモノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであってもかまわない。
【0029】
上述した材料の他に市販されている多官能アクリル系モノマーとしては三菱レイヨン株式会社製商品名「ダイヤビーム」シリーズ、ナガセケムテックス株式会社製商品名「デナコール」シリーズ、新中村化学工業株式会社製商品名「NKエステル」シリーズ、大日本インキ化学工業株式会社製商品名「UNIDIC」シリーズ、東亜合成株式会社製商品名「アロニックス」シリーズ、日本油脂株式会社製商品名「ブレンマー」シリーズ、日本化薬株式会社製商品名「KAYARAD」シリーズ、共栄社化学株式会社製商品名「ライトエステル」シリーズ、「ライトアクリレート」シリーズなどを適宜選択して用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0030】
本発明の実施の形態に係る多官能(メタ)アクリルモノマー(A)における、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は50重量%以上が好ましい。これは、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量が50重量%以下であると、ハードコートフィルム10の可とう性が低下してハードコート層2にクラックが入りやすくなってしまい、次工程等での欠陥、不良の原因となってしまう。
【0031】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2を構成する光ラジカル重合開始剤(B)としては、活性光線を照射することでラジカル種を発生し、アクリルモノマーの重合反応を開始する化合物が好ましい。
【0032】
光ラジカル重合開始剤(B)の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0033】
本発明の実施の形態に係る光ラジカル重合開始剤(B)の使用量は、ハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、0.1重量%以上10重量%以下が適当である。光ラジカル重合開始剤(B)の使用量がハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、0.1重量%よりも少ない場合は電離放射線を照射した際に十分な硬化反応が進行しなくなってしまう。一方、光ラジカル重合開始剤(B)の使用量がハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、10重量%を超える場合はハードコート層2の下部まで十分に電離放射線が届かなくなってしまう。
【0034】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2を構成する重合性基を有する含フッ素化合物(C)としては、フッ素系添加剤を加えることでハードコート層2の表面に防汚特性を付与することができる。しかし、重合性基を有しないフッ素系添加剤では添加剤がハードコート層2の表面に浮いて存在する状態となるため、布等で拭くことでハードコート層2の表面から取り去られてしまうこととなる。このことから、重合性基を有しない含フッ素化合物をハードコート層2に用いると、一度布等で表面を拭取ってしまうと、防汚性が無くなるという欠点を有している。本発明の実施の形態においては、防汚特性を有するフッ素化合物に重合性基を持たせることで、ハードコート層2の形成時にフッ素系添加剤も多官能(メタ)アクリルモノマーと合せて重合することとなり、布等で表面を拭いても防汚特性が維持できる。
【0035】
本発明の実施の形態に係る重合性基を有する含フッ素化合物(C)として、さらに好ましくはこの重合性基が(メタ)アクリレート基を有する化合物である。これは多官能(メタ)アクリレート化合物と共重合することも可能となり、電離放射線によるラジカル重合によって高硬度化が図れるためである。
【0036】
上述した材料の他に市販されている重合性基を有する含フッ素化合物(C)としては、ダイキン工業(株)製「オプツールDAC」、新中村化学(株)製「SUA1900L10」、「SUA1900L6」、日本合成(株)製「UT3971」、大日本インキ(株)製「ディフェンサTF3001」、「ディフェンサTF3000」、「ディフェンサTF3028」、共栄社化学(株)製「ライトプロコートAFC3000」、信越シリコーン(株)製「KNS5300」、GE東芝シリコーン(株)製「UVHC1105」、「UVHC8550」などの製品を適宜選択して用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0037】
本発明の実施の形態に係る重合性基を有する含フッ素化合物(C)の使用量は、ハードコート層2の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、0.01重量%以上10重量%以下が好ましい。重合性基を有する含フッ素化合物(C)の使用量がハードコート層2の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、0.01重量%よりも少ない場合は十分な防汚特性を発現せず、ハードコート層2の表面自由エネルギーも20mN/mよりも大きい値を示してしまう。一方、重合性基を有する含フッ素化合物(C)の使用量がハードコート層2の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して、10重量%を超える場合は重合性モノマー、溶剤との相溶性が良くないために、塗液の白濁化、沈殿発生が起こってしまい、塗液・ハードコート層2の欠陥発生などの不都合を招く場合がある。
【0038】
また本発明の実施の形態では、ハードコート層2の改質剤として、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料あるいは安定剤などを用いることができる。これらの改質剤は活性線による反応を損なわない範囲内でハードコート層2を構成する塗布層の組成物成分として使用され、用途に応じてハードコート層2の特性を改良することができる。
【0039】
本発明の実施の形態において、上述したハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、重合性基を有する含フッ素化合物(C)を硬化させる方法としては、活性光線、特に紫外線を照射する方法が好適である。これらの方法を用いる場合には、ハードコート層2に、光ラジカル重合開始剤(B)を加えることにより紫外線照射にて硬化させることができる。紫外線照射においては、400nm以下の波長を含む光であれば良く、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いることができる。また、必要に応じて加熱工程を加えてもよい。
【0040】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、重合性基を有する含フッ素化合物(C)には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルまたは2,5−t−ブチルハイドロキノンなどの熱重合防止剤を加えることが望ましい。熱重合防止剤の添加量は、ハードコート層2を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、重合性基を有する含フッ素化合物(C)の固形分に対し、0.005重量%以上0.05重量%以下が好ましい。
【0041】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2を構成する材料の塗布方法としては、ハードコート層2を構成する材料をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマーコーター等の塗工手段を用いて塗布することができる。
【0042】
このとき、ハードコート層2には、必要に応じて溶媒が加えられる。溶媒としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、2−ブタノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロペンタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トリクロロエチレン、エチレンクロライド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム等を用いることができる。なお、溶媒は1種類に限定されるものではなく、複数の溶媒を混合して混合溶媒としてもよい。
【0043】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2の膜厚は、必要とされる硬度によりその膜厚が決定されるが、好ましい膜厚としては3μm以上30μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上25μm以下である。ハードコート層2の膜厚が3μm未満の膜厚では十分な硬度が得られなくなってしまう。一方、ハードコート層2の膜厚が30μmを超えるとハードコート層2の硬化収縮により基材1がカールしてしまい、次工程で破断等の不具合が発生してしまう。
【0044】
本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10の表面(ハードコート層2の基材1が形成されていない面)の防汚特性の評価方法の指標として、表面自由エネルギーがある。この表面自由エネルギーによりハードコートフィルム10の表面の防汚性の有無・大小をおおまかに見積もることができる。一般的にこの表面自由エネルギーが小さい方が、水、油等の表面接触角が大きい、つまり水、油を弾きやすい、言い換えると防汚特性が良好であると考えられている。この表面自由エネルギーは、2種類以上の液体(水、ヘキサデカン、ジヨードメタン、エチレングリコールなど)を用いてハードコートフィルム10の表面における各液体の表面接触角を測定し、得られた表面接触角を基に拡張Fowkesの下記に示す数式から求めることができる。
【0045】
【数1】


γS:固体の表面自由エネルギー
γL:液体の表面自由エネルギー
γSL:固体/液体の表面自由エネルギー
γd:分散力による成分
γp:双極子力に基づく成分
γh:水素結合に基づく成分
【0046】
この求めた表面自由エネルギーが小さい値を有するハードコートフィルム10は防汚特性が良好であり、一般的に20mN/m以下であれば防汚特性が良好なハードコートフィルム10であると考えられている。
【0047】
本発明の実施の形態に係るハードコートフィルム10において、ハードコート層2の表面の表面自由エネルギーは、15mN/m以上であることが好ましい。表面自由エネルギーはその値が小さいほど防汚特性の高いハードコートフィルム10とすることができるが、ハードコート層2の表面の表面自由エネルギーを15mN/m未満とした場合には、重合性基を有する含フッ素化合物(C)を相当量入れる必要がある。このような場合ハードコート層2を構成する組成物が白濁化してしまい形成されるハードコートフィルム10は白っぽくなってしまうことから、ディスプレイの表面に設けるのに適さないハードコートフィルム10となる場合がある。
【0048】
本発明の実施の形態に係るハードコート層2の表面硬度は、ナノインデンテーション測定(硬度測定)を用いて、好ましい耐擦傷性及び表面硬度を有するハードコートフィルム10を得ることができる。ナノインデンテーション測定(硬度測定)とは、押し込み硬さの一つであり、探針の押し込み荷重をμNのオーダーで制御し、そのときの試験片への圧子の侵入深さをμmオーダーの分解能で検出することが可能となっている。この押し込み荷重に対応する押し込み深さを負荷開始から除荷までの全過程に渡って連続的に測定し、荷重−変位曲線として記録することによって圧子の押し込みおよび引き抜き過程における材料の変形挙動を知ることができ、塑性変形硬度と、特に、除荷曲線は主に材料の弾性的な挙動を反映しており、ここから弾性定数(ヤング率)の算出も可能である。
【0049】
塑性変形硬度が高くなると鉛筆硬度、耐擦傷性が良好であることから、ハードコートフィルム10としては高いほうが好ましいが、1μm押し込んだ際の塑性変形硬度では0.3Gpa以上が好ましい。参考としてトリアセチルセルロースの塑性変形硬度は0.25GPaである。ここで、塑性変形硬度が0.3Gpa以上とは、ハードコートフィルムの一般的な硬度評価である鉛筆硬度で表記するとH以上に相当する。
【0050】
本発明のハードコートフィルム10には、必要に応じて、機能層が設けられる。機能層は基材1とハードコート層2との間もしくはハードコート層2が設けられていない側の基材1の表面に設けられる。これらの機能層としては、反射防止層、帯電防止層、防眩層、電磁波遮蔽層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。なお、これらの機能層は単層であってもかまわないし、複数の層であってもかまわない。基材1上にハードコート層2が形成されたハードコートフィルム10、及び、さらにこれらの機能層を設けたハードコートフィルム10は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイといった各種のディスプレイ表面と貼りあわせることができ、耐擦傷性と防汚性とに優れたディスプレイを提供することができる。
【実施例】
【0051】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。ハードコートフィルム10の性能は、下記の方法に従って評価した。
【0052】
Haze:日本電色製NDH−2000を用いJIS−K7105に準じ測定を行った。
全光線透過率:日本電色製NDH−2000を用いJIS−K7105に準じ測定を行った。
鉛筆硬度:JIS−K5400に準じ評価を行った。
耐擦傷性:#0000のスチールウールを用いて250g/cm2の荷重をかけながら10往復し、傷の発生の有無を確認した。「○」:キズ無し。「×」:キズ有り。
【0053】
ナノインデンテーション測定:(株)MTSシステムズのDCM−SA2を用いて、ハードコート層2の諸物性値の測定をおこなった。すなわち、使用圧子として稜間隔115度の三角錐圧子を用い、0.1μm毎のステップ状で100Hz振動させながら押し込み荷重を加え、最大押し込み深さ到達後、同様にステップ状に押し込み荷重を徐荷していく。測定は25℃の恒温条件下で行い、測定装置とサンプルの温度とを十分に安定させた後に、最大押し込み深さ1.0μm、最大荷重保持時間30秒の条件で荷重/変位曲線の測定を行い、10回の連続測定の平均値をもって測定値とし、塑性変形硬度を求めた。
【0054】
防汚特性:ハードコート層2の表面に指紋をつけ、セルロース製不織布(旭化成(株)製、ベンコットM−3)を用いて500g/cm2の荷重をかけながら指紋を拭取り、その取れ易さを目視判定にて行った。判定基準は次の通りとした。「○」:指紋を完全に拭き取ることができる。「△」:指紋の拭き取り跡が残る。「×」:指紋を拭き取ることができない。
【0055】
表面自由エネルギー:表面接触角計(協和界面科学(株)製、CA−X型)を用いて、定常状態(20℃−65%RH)で直径3.0μlの液滴を針先に作り、これを試料(固体)の表面に接触させて液滴を作製した。表面接触角とは、固体と液体とが接触する点における液体表面に対する接線と固体表面とがなす角であり、液体を含む側の角度を表面接触角として定義した。液体としては、蒸留水及びn−ヘキサデカンをそれぞれ使用して、それぞれの液体の表面接触角を測定した。この2種類の溶液の接触角を基に上述した拡張Fowkesの数式にて求めた。
【0056】
[実施例1]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0057】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 100重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
フッ素系添加剤:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0058】
[実施例2]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0059】
ウレタンアクリレート:UV−1700B(日本合成化学) 100重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
フッ素系添加剤:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚15μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0060】
[実施例3]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0061】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:PE−3A(共栄社化学) 20重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
フッ素系添加剤:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚8μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0062】
[実施例4]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0063】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 100重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
フッ素系添加剤:ディフェンサTF3001(DIC(株)製) 1.0重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0065】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 100重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
フッ素系添加剤:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚4μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0066】
[比較例2]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0067】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 100重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 3.0重量部
非重合性フッ素系添加剤:メガファックF470(DIC) 1.0重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0068】
[比較例3]
基材1には、厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルムを準備した。次に、基材1上にハードコート層2として、下記の材料を用いた。
【0069】
ウレタンアクリレート:UA−306I(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:PE−3A(共栄社化学) 20重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバジャパン) 1.5重量部
シリコーン系添加剤:BYK−UV3500(ビックケミー) 1.0重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層2を形成した。このハードコートフィルム10の全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、塑性変形硬度、防汚特性の測定結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例1〜4と比較例1とを比べると、重合性基を有する含フッ素化合物を用いることで、十分な防汚特性を有するハードコートフィルム10を作製できる。しかし、比較例1では、ハードコート層2の膜厚が4μmと実施例1〜4よりも膜厚が薄いために塑性変形硬度が0.28Gpaであり十分な鉛筆硬度を有していないことが分る。このことから塑性変形硬度が0.3Gpa以上であれば十分な硬度を有するハードコートフィルム10であるといえる。
【0072】
実施例1〜4と比較例2、3とを比べると、重合性基を有する含フッ素化合物を用いることで、十分な防汚特性、表面エネルギーを有するハードコートフィルム10を作製できることが分る。比較例2、3では重合性基を有しない含フッ素化合物、シリコーン系化合物では十分な防汚特性が得られていない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係るハードコートフィルムの概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 基材
2 ハードコート層
10 ハードコートフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の面に形成されたハードコート層と、を備え、
前記ハードコート層は膜厚が3μm以上30μm以下であり、
前記ハードコート層の表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、かつ、塑性変形硬度が0.3GPa以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層の表面自由エネルギーが15mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層が少なくとも一種類の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)と、重合性基を有する含フッ素化合物(C)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)が、ウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを50重量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記光ラジカル重合開始剤(B)の添加量が、前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して0.1重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記重合性基を有する含フッ素化合物(C)が、重合性基として、少なくとも一つの(メタ)アクリル基を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
前記重合性基を有する含フッ素化合物(C)の添加量が、前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)に対して0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のハードコートフィルム。
【請求項8】
前記基材が三酢酸セルロースであることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。


【図1】
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【公開番号】特開2010−17991(P2010−17991A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182598(P2008−182598)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】