説明

ハーフトーン画像生成装置およびハーフトーン画像生成方法

【課題】異なる2つの方法で処理された2つの領域の境界付近における不自然なドットの繋がりを削減する。
【解決手段】誤差拡散処理画像61とスクリーン処理画像62とを選択的に混合して混合ハーフトーン画像63を生成する画像形成装置1に、ドット監視部121およびMPX131を設ける。ドット監視部121は、誤差拡散処理画像61の中からドットが配置されているドット画素を検知する。MPX131は、誤差拡散処理画像61の中の、ドット画素に隣接する隣接画素のいずれにも、ドットが配置されていない場合は、混合ハーフトーン画像63の中の、そのドット画素および各隣接画素それぞれと同じ位置にある画素の二値として、そのドット画素および各隣接画素それぞれの二値を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる2つの方法で処理された2つの画像を選択的に混合する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をハーフトーン化(ディザリング)する処理として、誤差拡散処理およびスクリーン処理などが提案されている。
【0003】
誤差拡散処理で画像を再現すると、スクリーン処理で画像を再現する場合よりもシャープ感が出るが、粒状性が悪い。
【0004】
そこで、特許文献1には、誤差拡散処理で再現される画像を従来よりも滑らかにする方法が、提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像処理モードに応じて誤差拡散処理とスクリーン処理とを使い分ける方法が、提案されている。特許文献1に記載される方法によると、画像処理モードが「文字・写真混在モード」または「文字モード」の場合には、デフォルトとして誤差拡散処理による出力が選択される。「写真モード」の場合には,デフォルトとして141線網点のスクリーン処理による出力が選択される(段落0012〜0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−274173号公報
【特許文献2】特開2004−179768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図10は不自然なドットの繋がりの例を示す図である。
【0008】
しかし、ある1つの画像を複数の領域に分け、一部の領域を誤差拡散処理によって再現し残りの領域をスクリーン処理によって再現したいことが、ある。このような場合は、誤差拡散処理された領域とスクリーン処理された領域との境界付近に、図10に示すような不自然なドットの繋がりが表れてしまうことがある。このような不自然なドットの繋がりは、境界の部分で画像ムラを生じさせ、画像の劣化の原因となる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑み、異なる2つの方法で処理された2つの領域の境界付近における不自然なドットの繋がりを削減することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係るハーフトーン画像生成装置は、特定の画像を第一の方法によってハーフトーン処理した第一のハーフトーン画像と当該特定の画像を前記第一の方法とは異なる第二の方法によってハーフトーン処理した第二のハーフトーン画像とを部分的に選択して混合することによって前記特定の画像の第三のハーフトーン画像を生成するハーフトーン画像生成装置であって、前記第一のハーフトーン画像の中からドットが配置されているドット画素を検知するドット画素検知手段と、前記第一のハーフトーン画像の中の、前記ドット画素に隣接する隣接画素のいずれにも、ドットが配置されていない場合は、前記第三のハーフトーン画像の中の、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれと同じ位置にある孤立点関連画素の二値として、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれの二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する、混合手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記ドット画素および前記各隣接画素のそれぞれを中心とする所定の範囲の濃度を算出する濃度産出手段、を有し、前記混合手段は、前記第一のハーフトーン画像の中の、前記ドット画素の前記隣接画素のいずれかにドットが配置されている場合は、前記第三のハーフトーン画像の中の、当該ドット画素および当該各隣接画素のうちの前記所定の範囲の前記濃度が所定の値未満であるハイライト画素の位置に対応するハイライト関連画素の二値として、当該ハイライト画素それぞれの二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する。
【0012】
または、前記混合手段は、前記第三のハーフトーン画像の中の前記孤立点関連画素でも前記ハイライト関連画素でもない画素の二値として、前記第二のハーフトーン画像の中の、当該画素と同じ位置にある画素の二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する。
【0013】
例えば、前記第一の方法は、誤差拡散処理を用いる方法であって、前記第二の方法は、スクリーン処理を用いる方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、異なる2つの方法で処理された2つの領域の境界付近における不自然なドットの繋がりを従来よりも減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置を有するネットワークシステムの構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像処理回路の構成の例を示す図である。
【図4】混合ハーフトーン画像の生成方法の概要の例を示す図である。
【図5】注目画素と隣接画素との位置関係の例を示す図である。
【図6】面積濃度の算出方法の例を説明するための図である。
【図7】面積濃度および比較結果値の例を示す図である。
【図8】混合ハーフトーン画像の切替領域の画像の一部分の例を示す図である。
【図9】誤差拡散処理画像61の切替領域の一部分の例を示す図である。
【図10】不自然なドットの繋がりの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は画像形成装置1を有するネットワークシステムの構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像処理回路10jの構成の例を示す図である。
【0017】
画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント(ネットワークプリンティング)、ファックス、およびスキャナなどの機能を集約した装置である。
【0018】
画像形成装置1は、図1に示すように、通信回線3を介してパーソナルコンピュータ2などの他の装置と接続可能である。
【0019】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、不揮発性記憶装置10d、操作パネル10e、NIC(Network Interface Card)10f、印刷装置10g、スキャナ10h、およびモデム10iのほか、画像処理回路10jなどによって構成される。
【0020】
スキャナ10hは、写真、文字、絵、図表などによって構成される原稿の画像を用紙から読み取って画像データを生成する装置である。
【0021】
画像処理回路10jは、スキャナ10hによって読み取られた原稿の画像の画像データまたはパーソナルコンピュータ2などから送信されてきた画像データを用いて画像処理を行う。これについては、後述する。
【0022】
印刷装置10gは、画像処理回路10jによって画像処理が施された画像を用紙に印刷する。
【0023】
操作パネル10eは、タッチパネルおよびキー群などによって構成される。タッチパネルには、ユーザに対するメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが画像形成装置1に対して指示を入力するための画面などが表示される。また、タッチパネルは、タッチされた位置を検知し、CPU10aにその位置を通知する。キー群は、テンキー、スタートキー、およびストップキーなどのキーによって構成される。ユーザは、操作パネル10eを操作することによって、画像形成装置1に対してコマンドを与えたりデータを入力したりすることができる。
【0024】
NIC10fは、いわゆるLAN(Local Area Network)回線などを介してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によってパーソナルコンピュータ2などの他の装置と通信を行う。
【0025】
モデム10iは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う。
【0026】
不揮発性記憶装置10dは、不揮発性の記録装置である。不揮発性記憶装置10dとして、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどが用いられる。
【0027】
ROM10cまたは不揮発性記憶装置10dには、OS(Operating System)のほかファームウェアおよびアプリケーションなどのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0028】
画像処理回路10jは、図3に示すように、誤差拡散処理部101、スクリーン処理部102、ドット監視部121、面積濃度算出部122、濃度閾値記憶部123、濃度比較部124、ANDゲート125、拡張処理部126、ORゲート127、およびMPX(マルチプレクサ)131などによって構成される。
【0029】
画像処理回路10jの各部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの回路によって実現される。または、画像処理回路10jの機能の一部または全部を、プログラムをCPU10aに実行させることによって、実現してもよい。この場合は、後述する各処理の手順を記述したプログラムを用意し、そのプログラムをCPU10aに実行させればよい。
【0030】
画像処理回路10jは、このような構成により、誤差拡散処理およびスクリーン処理の両方を用いて画像のハーフトーン処理を行う。以下、ある原稿画像60に対してハーフトーン処理を行う場合を例に、図3に示す画像処理回路10jの各部の処理内容などについて説明する。
【0031】
図4は混合ハーフトーン画像63の生成方法の概要の例を示す図、図5は注目画素Paと隣接画素Pbとの位置関係の例を示す図、図6は面積濃度Dsの算出方法の例を説明するための図、図7は面積濃度Dsおよび比較結果値HKの例を示す図、図8は混合ハーフトーン画像63の切替領域RY3の画像の一部分の例を示す図、図9は誤差拡散処理画像61の切替領域RY3の一部分の例を示す図である。
【0032】
ユーザは、原稿画像60が記されている用紙をスキャナ10hの原稿台にセットし、操作パネル10eに対して所定の操作を行う。
【0033】
すると、スキャナ10hは、セットされた用紙から原稿画像60を読み取ることによって、画像データ70を生成する。画像データ70は、図3に示す画像処理回路10jの各部による原稿画像60に対する画像処理に伴って、更新される。
【0034】
誤差拡散処理部101は、誤差拡散法によって原稿画像60のディザリング(ハーフトーン処理)を行う。以下、誤差拡散処理部101によってディザリングされた原稿画像60を「誤差拡散処理画像61」と記載する。
【0035】
スクリーン処理部102は、スクリーン処理を施すことによって原稿画像60のディザリングを行う。つまり、ドット形状、ライン形状、または網形状などの様々な形状のスクリーンを用いて原稿画像60のディザリングを行う。以下、スクリーン処理部102によってディザリングされた原稿画像60を「スクリーン処理画像62」と記載する。
【0036】
誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62は、混合ハーフトーン画像63を生成するために、用いられる。その際に、誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62は、原稿画像60の中の各領域の属性などによって使い分けられる。例えば、濃度の階調が低い領域(ハイライト領域)には、誤差拡散処理画像61が用いられる。一方、濃度の階調が高い領域には、スクリーン処理画像62が用いられる。
【0037】
しかし、階調の高さに応じて誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62を使い分けると、〔発明が解決しようとする課題〕の欄に記載した通り、ハイライト領域とそれ以外の領域との境界付近に不自然さが表れる。
【0038】
そこで、図4に示すように、画像形成装置1は、濃度の階調がα未満である領域(以下、「ハイライト領域RY1」と記載する。)には誤差拡散処理画像61を用い、濃度の階調がβ以上である領域(以下、「高濃度領域RY2」と記載する。)にはスクリーン処理画像62を用いる。ただし、α<β、である。そして、階調がα以上でありかつβ未満である領域(以下、「切替領域RY3」と記載する。)には、画素ごとに誤差拡散処理画像61とスクリーン処理画像62とを使い分ける。
【0039】
ドット監視部121ないしMPX131は、誤差拡散処理画像61とスクリーン処理画像62とを混合することによって、切替領域RY3のハーフトーン処理を実行する。
【0040】
ドット監視部121は、誤差拡散処理画像61の中の切替領域RY3を監視し、切替領域RY3の中からドットが配置されている画素を検知する。以下、検知された、ある1つの画素を、「注目画素Pa」と記載する。図5に示すような、注目画素Paに隣接する8つの画素を、隣接画素Pbと記載する。また、各隣接画素Pbを「隣接画素Pb1」、「隣接画素Pb2」、…、「隣接画素Pb8」と区別して記載することがある。
【0041】
さらに、ドット監視部121は、注目画素Paが孤立点画素であるか否かをチェックする。「孤立点画素」とは、隣接する他のいずれの画素にもドットが配置されていない画素を意味する。よって、ドット監視部121は、隣接画素Pb1〜Pb8にドットが配置されているか否かをチェックする。そして、ドットがまったく配置されていない場合は孤立点画素であると判別し、いずれか1つにでもドットが配置されている場合は孤立点画素でないと判別する。
【0042】
そして、ドット監視部121は、注目画素Paが孤立点画素であると判別した場合は孤立点判別結果値SHとして「1」を出力し、孤立点画素でないと判別した場合は孤立点判別結果値SHとして「0」を出力する。
【0043】
面積濃度算出部122は、注目画素Paおよび8つの隣接画素Pbそれぞれの面積濃度Dsを算出する。「面積濃度Ds」とは、その画素を中心とする所定の範囲の濃度を意味する。
【0044】
例えば、所定の範囲が5×5画素分の矩形であって、ある画素P(X,Y)の面積濃度Dsを算出する場合は、図6に示すような、画素P(X,Y)を中心とする5×5個の画素の平均の濃度を算出する。この場合において、例えば、濃度を4ビットの値(つまり、256階調)で表し、25個の画素のうち7個の画素にドットが配置されているのであれば、
Ds=255×7/25=71.4
の演算を行うことによって、画素P(X,Y)の面積濃度Dsを算出する。
【0045】
注目画素Paおよび各隣接画素Pbの面積濃度Dsは、濃度比較部124へ出力される。
【0046】
濃度比較部124は、注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれの面積濃度Dsを濃度閾値Dpと比較する。そして、濃度比較部124は、濃度閾値Dpよりも小さい面積濃度Dsを有する画素については「1」を比較結果値HKとして出力し、そうでない画素については「0」を比較結果値HKとして出力する。なお、濃度閾値Dpは、濃度閾値記憶部123に予め記憶されている。
【0047】
例えば、注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれの面積濃度Dsが図7(A)に示す通りであり、濃度閾値Dpが「35」である場合は、各画素の比較結果値HKとして図7(B)に示すような値が得られる。
【0048】
ORゲート127へは、注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれの比較結果値HKがすべて出力される。一方、ANDゲート125へは、注目画素Paの比較結果値HKのみが出力される。
【0049】
ANDゲート125は、ドット監視部121からの孤立点判別結果値SHと濃度比較部124からの比較結果値HKとの論理積RSを算出する。
【0050】
注目画素Paにドットが配置されており、かつ、注目画素Paの面積濃度Dsが濃度閾値Dpよりも小さい場合は、論理積RSは「1」となる。そうでない場合は、論理積RSは「0」となる。論理積RSは、拡張処理部126へ出力される。
【0051】
拡張処理部126は、ANDゲート125からの論理積RSを3×3のマトリクスKXに拡張する。つまり、拡張処理部126は、論理積RSが「1」である場合は、3×3の要素すべてが「1」であるマトリクスKXに拡張し、「0」である場合は、3×3の要素すべてが「0」であるマトリクスKXに拡張する。
【0052】
マトリクスKXの中の中央の要素は、注目画素Paに対応し、それ以外の各要素は、注目画素Paとの位置関係が同じである隣接画素Pbに対応する。例えば、左上の要素は、隣接画素Pb1に対応する。また、右下の要素は、隣接画素Pb8に対応する。マトリクスKXは、ORゲート127へ出力される。
【0053】
ORゲート127は、濃度比較部124からの注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれの比較結果値HKと、拡張処理部126からのマトリクスKXに示される、各画素に対応する要素の値との論理和を、次の(1)式の通り、算出する。
【0054】
【数1】

【0055】
ただし、HKaは、注目画素Paの比較結果値HKである。HKb1、HKb2、…、HKb8は、それぞれ、隣接画素Pb1、Pb2、…、Pb8の比較結果値HKである。Yaは、マトリクスKXに示される、注目画素Paに対応する要素である。Yb1、Yb2、…、Yb8は、それぞれ、マトリクスKXに示される、隣接画素Pb1、Pb2、…、Pb8に対応する要素である。RWaは、注目画素Paについての論理和である。RWb1、RWb2、…、RWb8は、それぞれ、隣接画素Pb1、Pb2、…、Pb8についての論理和である。
【0056】
(1)式によると、注目画素Paが孤立点画素である場合は、濃度比較部124による比較の結果つまり比較結果値HKに関わらず、論理和RWaおよびRWb1〜RWb8はすべて、「1」になる。一方、注目画素Paが孤立点画素でない場合は、注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれの比較結果値HKがそのまま、論理和RWaおよびRWb1〜RWb8になる。
【0057】
MPX131は、混合ハーフトーン画像63の切替領域RY3の各画素の二値を、誤差拡散処理画像61の画素から採用するのかスクリーン処理画像62から採用するのかを、次のように選択する。
【0058】
MPX131は、注目画素Paおよび各隣接画素Pbの二値を、次のように選択する。論理和RWが「1」である画素については、誤差拡散処理画像61の中のその画素の二値を選択する。
【0059】
つまり、論理和RWaが「1」である場合は、混合ハーフトーン画像63の中の、注目画素Paと同じ位置にある画素の二値として、注目画素Paの二値を選択する。同様に、論理和RWbi(ただし、i=1,2,…,8)が「1」である場合は、混合ハーフトーン画像63の中の、論理和RWbiと同じ位置にある画素の二値として、隣接画素Pbiの二値を選択する。
【0060】
一方、論理和RWが「0」である画素については、MPX131は、スクリーン処理画像62の中の、その画素と同じ位置にある画素の、二値を選択する。
【0061】
つまり、論理和RWaが「0」である場合は、スクリーン処理画像62の中の、注目画素Paと同じ位置にある画素を検索し、検索した画素の二値を、混合ハーフトーン画像63の中の、注目画素Paと同じ位置にある画素の二値として選択する。同様に、論理和RWbiが「0」である場合は、スクリーン処理画像62の中の、隣接画素Pbiと同じ位置にある画素を検索し、検索した画素の二値を、混合ハーフトーン画像63の中の、隣接画素Pbiと同じ位置にある画素の二値として選択する。
【0062】
このようにして、混合ハーフトーン画像63の中の、注目画素Paおよび隣接画素Pb1〜Pb8それぞれと同じ位置にある画素の二値つまりドットの有無が、決定する。
【0063】
誤差拡散処理画像61の切替領域RY3の中の残りの画素についても同様に、ドット監視部121は、ドットの有無を監視し、ドットの配置されている画素を注目画素Paとして検知する。そして、面積濃度算出部122ないしMPX131は、新たに検知した注目画素Paとともに、注目画素Paに隣接する8つの画素を隣接画素Pbに対して、上述の処理を行う。そして、混合ハーフトーン画像63の中の、これらの注目画素Paおよび各隣接画素Pbそれぞれと同じ位置にある画素の二値を、誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62のいずれかの中から選択する。
【0064】
以上の処理によると、混合ハーフトーン画像63の中の、誤差拡散処理画像61の切替領域RY3にドットが表れている画素(つまり、注目画素Pa)および隣接する8つの画素(隣接画素Pb)それぞれと同じ位置にある画素の二値が決まる。混合ハーフトーン画像63の切替領域RY3の中のそれ以外の画素については、MPX131は、スクリーン処理画像62の中の、それぞれの画素と同じ位置にある画素の、二値を選択する。
【0065】
すなわち、MPX131は、切替領域RY3については、誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62を次の(a)および(b)のように混合していると、言える。
(a) スクリーン処理画像62の中の切替領域RY3の画素群を、混合ハーフトーン画像63のベースにする。
(b) ORゲート127によって論理和RWとして「1」が求められた画素(以下、「置換対象画素」と記載する。)については、ベースの画素群の中の、置換対象画素と同じ位置にある画素の二値を消去する。そして、誤差拡散処理画像61の中の、置換対象画素と同じ位置にある画素の二値に置き換える。
【0066】
以上の方法によると、図10に例示したような不自然なドットの繋がりを、図8に示すように補正することができる。
【0067】
さらに、MPX131は、混合ハーフトーン画像63のハイライト領域RY1の各画素の二値として、誤差拡散処理画像61の中の同じ位置にある各画素の二値を選択する。同様に、混合ハーフトーン画像63の高濃度領域RY2の各画素の二値として、スクリーン処理画像62の中の同じ位置にある各画素の二値を選択する。
【0068】
このようにして、ハイライト領域RY1、高濃度領域RY2、および切替領域RY3それぞれの中の各画素の二値(ドットの有無)が選択される。そして、各画素の二値がハーフトーン画像データ生成部132へ出力される。
【0069】
ハーフトーン画像データ生成部132は、MPX131によって選択されたこれらの画素の二値を示すハーフトーン画像データ71を、生成する。
【0070】
ハーフトーン画像データ71は、印刷装置10gへ出力される。そして、混合ハーフトーン画像63が印刷装置10gによって用紙に印刷される。または、ハーフトーン画像データ71は、NIC10fによってパーソナルコンピュータ2などへ送信される。
【0071】
なお、上述の例によると、1つの画素が複数回、注目画素Paおよび隣接画素Pbのいずれかに該当することがある。
【0072】
例えば、図9に示す画素P(2,2)は、ドットが配置されているので注目画素Paとして取り扱われ、さらに、画素P(3,2)が注目画素Paであるときの隣接画素Pbとしても取り扱われる。画素P(4,2)は、孤立点画素ではない画素P(3,2)が注目画素Paであるときの隣接画素Pbとして取り扱われ、さらに、孤立点画素である画素P(5,3)が注目画素Paであるときの隣接画素Pbとしても取り扱われる。画素P(3,2)は、孤立点画素ではない画素P(2,2)および画素P(3,2)のそれぞれが注目画素Paであるときに、隣接画素Pbとして取り扱わる。画素P(4,4)は、孤立点画素である画素P(3,5)および画素P(5,3)のそれぞれが注目画素Paであるときに、隣接画素Pbとして取り扱われる。
【0073】
このように注目画素Paおよび隣接画素Pbのいずれかに複数回該当する画素は、複数回、MPX131による二値の選択が行われる。このような場合は、MPX131は、混合ハーフトーン画像63の中の、この画素と同じ位置にある画素の二値を、例えば次のように決定しハーフトーン画像データ生成部132へ出力すればよい。
【0074】
複数回の選択の結果のうちの1つでも「0」である場合は、MPX131は、「0」に決定し出力する。複数回の選択の結果のすべてが「1」であるMPX131は、「1」に決定し出力する。または、「0」および「1」のうちの多く出現する方に決定し出力してもよい。
【0075】
本実施形態によると、誤差拡散処理された領域とスクリーン処理された領域との境界付近つまり切替領域RY3における不自然なドットの繋がりを、従来よりも減らすことができる。
【0076】
本実施形態では、誤差拡散処理画像およびスクリーン処理画像を混合したが、誤差拡散処理およびスクリーン処理以外の処理によって生成したハーフトーン画像を混合する場合にも、本発明を適用することができる。
【0077】
閾値α、βは、任意に設定することができる。256階調の場合に閾値αを「0」に設定し閾値βを「255」に設定すれば、原稿画像60の全域に対して誤差拡散処理画像61およびスクリーン処理画像62の混合の処理を施し、混合ハーフトーン画像63を生成することができる。
【0078】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置(ハーフトーン画像生成装置)
121 ドット監視部(ドット画素検知手段)
122 面積濃度算出部(濃度算出手段)
131 MPX(混合手段)
132 ハーフトーン画像データ生成部(混合手段)
60 原稿画像(特定の画像)
61 誤差拡散処理画像(第一のハーフトーン画像)
62 スクリーン処理画像(第二のハーフトーン画像)
63 混合ハーフトーン画像(第三のハーフトーン画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の画像を第一の方法によってハーフトーン処理した第一のハーフトーン画像と当該特定の画像を前記第一の方法とは異なる第二の方法によってハーフトーン処理した第二のハーフトーン画像とを部分的に選択して混合することによって前記特定の画像の第三のハーフトーン画像を生成するハーフトーン画像生成装置であって、
前記第一のハーフトーン画像の中からドットが配置されているドット画素を検知するドット画素検知手段と、
前記第一のハーフトーン画像の中の、前記ドット画素に隣接する隣接画素のいずれにも、ドットが配置されていない場合は、前記第三のハーフトーン画像の中の、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれと同じ位置にある孤立点関連画素の二値として、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれの二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する、混合手段と、
を有することを特徴とするハーフトーン画像生成装置。
【請求項2】
前記ドット画素および前記各隣接画素のそれぞれを中心とする所定の範囲の濃度を算出する濃度算出手段、を有し、
前記混合手段は、前記第一のハーフトーン画像の中の、前記ドット画素の前記隣接画素のいずれかにドットが配置されている場合は、前記第三のハーフトーン画像の中の、当該ドット画素および当該各隣接画素のうちの前記所定の範囲の前記濃度が所定の値未満であるハイライト画素の位置に対応するハイライト関連画素の二値として、当該ハイライト画素それぞれの二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する、
請求項1記載のハーフトーン画像生成装置。
【請求項3】
前記混合手段は、前記第三のハーフトーン画像の中の前記孤立点関連画素でも前記ハイライト関連画素でもない画素の二値として、前記第二のハーフトーン画像の中の、当該画素と同じ位置にある画素の二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する、
請求項2記載のハーフトーン画像生成装置。
【請求項4】
前記第一の方法は、誤差拡散処理を用いる方法であって、
前記第二の方法は、スクリーン処理を用いる方法である、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のハーフトーン画像生成装置。
【請求項5】
特定の画像を前記第一の方法とは異なる第二の方法によってハーフトーン処理した第二のハーフトーン画像とを部分的に選択して混合することによって前記特定の画像の第三のハーフトーン画像を生成するハーフトーン画像生成方法であって、
前記第一のハーフトーン画像の中からドットが配置されているドット画素を検知し、
前記第一のハーフトーン画像の中の、前記ドット画素に隣接する隣接画素のいずれにも、ドットが配置されていない場合は、前記第三のハーフトーン画像の中の、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれと同じ位置にある孤立点関連画素の二値として、当該ドット画素および当該各隣接画素それぞれの二値を採用することによって、前記第一のハーフトーン画像と前記第二のハーフトーン画像とを混合する、
ことを特徴とするハーフトーン画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−199776(P2011−199776A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66878(P2010−66878)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】