説明

バイオガスの生成方法及び生成システム

【課題】有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるバイオガスの生成方法、及びバイオガスの生成システムを提供する。
【解決手段】 バイオガスの生成方法は、精製装置65で排出されるオフガスを、一次原料M1が投入された状態の希釈槽10内の下部に導入し、オフガスを希釈槽10の底面10aに向けて吐出するオフガス吐出工程と、オフガス吐出工程の後、希釈槽10内の一次原料M1に混在するN2及びO2を、オフガスにより、希釈槽10の下部から一次原料M1の最上位面SL上に浮上させ、希釈槽10内の上部に貯留した貯留ガスを、第2吸引ポンプP2で吸引する貯留ガス吸引工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成方法及び生成システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全と、エネルギの有効活用の観点から、有機性廃棄物をメタン発酵させて得られるバイオガスは、有益なエネルギ源として注目されており、バイオガスの普及に向けた技術開発が広く行われている。バイオガスは、例えば、燃料電池、発電設備等に用いる燃料として利用することができるほか、ライフラインである導管に供給することで、都市ガスとして民生用にも利用できると期待されている。
一般的に、バイオガスの精製前のガスとして、メタン発酵槽内で生成した発酵ガスは、CH4とCO2で大半を占めており、これら以外に、H2S、NH3、H2、N2及びO2等のガス成分や水分を含んでいる。このような発酵ガスをエネルギとして利用するときには、CH4以外の異物をできるだけ排除して、CH4の組成割合を相対的に高くしておく必要がある。
従来、CO2の含有割合を低減させる方法の1つとして、例えば、特許文献1に記載されたメタンガス発酵方法及びその装置が開示されている。図13は、特許文献1に記載されたメタンガス発酵装置の説明図である。図14は、従来のメタンガスの生成システムについて、例示した概略フロー図である。
【0003】
特許文献1は、メタン発酵槽301に有機性廃棄物が供給された状態にあるとき、図13に示すように、内部液の一部を循環ポンプ303によりメタン発酵槽301外の減圧脱気装置302に圧送する。この減圧脱気装置302内で、圧送された内部液を大気圧以下に減圧することで、内部液に溶解しているCO2が真空ポンプ304で吸引し除去され、この後、脱気した内部液が、循環ポンプ303によってメタン発酵槽301内に還流されている。CO2は、特許文献1のようなメタンガス発酵装置で低減できるほか、図14に示すように、CO2、H2、H2S及びNH3と共に、周知のメタンガス精製装置265で概ね除去できる技術が既に開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−211194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図14に示すように、メタン発酵槽250内で生成した状態にある発酵ガスから、含有するN2及びO2を精度良く除去する必要があり、発酵ガスの精製時にN2及びO2を脱気するのに、コストが相当かかり、発酵ガスの精製後のガスにN2及びO2を含有しないバイオガスを、都市ガスとして導管に供給することが困難である問題がある。
この問題は、以下の理由で生じていた。
【0006】
通常、都市ガスの代表として、導管を流通している13Aガスの成分は、CH4、C26、C38、及びC410からなり、CH4が90%近くを占め、次いでC26、C38、C410の組成割合の順で組成され、13Aガスには、N2やO2は含まれていない。
13Aガス等の都市ガスのユーザーは、そのガス成分や燃焼特性に基づいたガス機器を使用している。そのため、精製後の発酵ガスであるバイオガスを、都市ガスとして利用しようとすると、ユーザー側のガス機器等の都合上、バイオガスの成分や燃焼特性を、ユーザーが現在使用している13Aのガス等に合わせる必要がある。
また、13Aガス等の都市ガスは、鋼製の導管に流通させてガス使用者に供給している場合がある。このような場合、O2を含むバイオガスを導管に流通させると、導管が経時的に酸化して腐食する虞もあり、バイオガスにO2が含有することは好ましくない。バイオガスを、燃料電池等で燃料として用いる場合についても、13Aガス等の都市ガスと同様に、設備の都合上、N2及びO2が含まれていないことが好ましい。
従って、バイオガスを都市ガスや、燃料電池等の燃料として利用するには、バイオガスにN2及びO2が含有していないよう、発酵ガスの精製時に、N2及びO2を脱気しておかなければならない。
【0007】
メタンガスの生成システムでは、希釈槽210を通じてメタン発酵槽250に供給された原料を、メタン発酵槽250内でメタン発酵させて発酵ガスが生成される。前述したように、メタン発酵槽250内で生成した発酵ガスから、CO2、H2、H2S及びNH3を除去することは、既存のメタンガス精製装置265でできている。
しかしながら、一般的に、既存のメタンガス精製装置265には、N2及びO2までをも脱気できる機能が搭載されておらず、既存のメタンガス精製装置265では、N2及びO2の脱気はできていない。そのため、発酵ガスの精製時に、N2及びO2までをも脱気しようとすると、N2及びO2までをも脱気できる機能を、既存のメタンガス精製装置265に付加させる改造を行わなければならない。あるいは、CO2、H2、H2S及びNH3をはじめ、N2及びO2までをも脱気できる新たなメタンガス精製装置を設備する必要があり、そのような大がかりな設備投資に多大なコストがかかる。
従って、都市ガスとして、N2及びO2を含有しないバイオガスを導管に供給するしようとすると、設備コストが余りにもかかり過ぎるため、13Aガス等の都市ガスと共に、バイオガスを、導管に供給することが困難な状況にあり、バイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できない一因にもなっている。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるバイオガスの生成方法、及びバイオガスの生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点を解決するために、本発明のバイオガスの生成方法、及び本発明のバイオガスの生成システムは、次の構成を有している。
(1)有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入して攪拌した状態の原料を、発酵槽に供給して発酵槽内でメタン発酵させて発酵ガスを生成し、発酵ガスに含有する不要ガスを、精製装置で除去してバイオガスを生成するバイオガスの生成方法であって、精製装置で排出されるオフガスを、原料が投入された状態の希釈槽内の下部に導入し、オフガスを希釈槽の底面に向けて吐出するオフガス吐出工程と、オフガス吐出工程の後、希釈槽内の原料に混在するN2及びO2を、オフガスにより、希釈槽の下部から原料の最上位面上に浮上させ、希釈槽内の上部に貯留した貯留ガスを、ポンプで吸引する貯留ガス吸引工程と、を有することを特徴とする。
(2)(1)に記載するバイオガスの生成方法において、有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入後、次に有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入するまでの1サイクルの間に、オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程が、それぞれ複数回に亘って実施されることを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するバイオガスの生成方法において、オフガス吐出工程は、有機性廃棄物と水とを攪拌しているときに、実施されることを特徴とする。
(4)有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入して攪拌した状態の原料を、発酵槽に供給して発酵内でメタン発酵させて発酵ガスを生成し、発酵ガスに含有する不要ガスを、精製装置で除去してバイオガスを生成するバイオガスの生成システムにおいて、精製装置から排出されたオフガスを、ノズルを通じて希釈槽の下部から原料の最上位面に向けて吐出させるオフガス吐出部と、希釈槽に原料が投入された状態にあるとき、原料の最上位面上にある希釈槽内の空間の雰囲気を吸引する吸引ポンプと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
(5)(4)に記載するバイオガスの生成システムにおいて、オフガス吐出部は、希釈槽の底より径小な環状または板状に形成され、ノズルは、希釈槽の底と対向する向きに複数設けられていることを特徴とする。
(6)(4)に記載するバイオガスの生成システムにおいて、希釈槽に、投入した有機性廃棄物及び水を攪拌する攪拌手段を備え、攪拌手段は、希釈槽の軸線方向に延びる中空状の軸部と、軸部を中心に径外側に延び、希釈槽より径小な少なくとも1つの羽根部とを有し、オフガス吐出部は、羽根部に形成され、軸部の内部にある軸部管路と連通していること、ノズルは、希釈槽の底と対向する向きに複数設けられていることを特徴とする。
(7)(4)乃至(6)のいずれか1つに記載するバイオガスの生成システムにおいて、吸引ポンプによる雰囲気の吸引と、オフガス吐出部のノズルからオフガスの吐出とを制御する制御手段を有することを特徴とする。
(8)(4)乃至(7)のいずれか1つに記載するバイオガスの生成システムにおいて、希釈槽は、2つ以上有し、各希釈槽は、発酵槽と並列に併設され、精製装置から排出されたオフガスが流通するオフガス管路が、各希釈槽のオフガス吐出部と並列に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する本発明の作用効果について説明する。
本発明の流体制御弁のバイオガスの生成方法では、
(1)精製装置で排出されるオフガスを、原料が投入された状態の希釈槽内の下部に導入し、オフガスを希釈槽の底面に向けて吐出するオフガス吐出工程と、オフガス吐出工程の後、希釈槽内の原料に混在するN2及びO2を、オフガスにより、希釈槽の下部から原料の最上位面上に浮上させ、希釈槽内の上部に貯留した貯留ガスを、ポンプで吸引する貯留ガス吸引工程と、を有するので、オフガス吐出工程において、CO2を主成分とするオフガスを、N2及びO2を含有した原料内に希釈槽の底面に向けて吐出することで、吐出口で原料が詰まることなくオフガスが原料内に充填される。
その後、N2、O2とオフガスとの間で置換が行われ、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物(以下、単に「貯留ガス」と称する。)が、原料の最上位面上に向けて浮上し、希釈槽の上部にある原料の最上位面上の空間に、時間の変化と共に貯留されてくる。貯留ガス吸引工程では、希釈槽の上部に貯留した貯留ガスをポンプで吸引することで、貯留ガス、すなわち原料内に含有していたN2及びO2は、外部に排出され、発酵槽に供給する原料に混在するのを防止することができる。
【0012】
ところで、希釈槽の上部にある原料の最上位面上の空間には、吐出したオフガスが一部含まれていることもあり、このような一部のオフガスは、貯留ガス吸引工程で、貯留ガスと共に外部に排出されることもあるが、発酵槽に供給する前の状態にある原料にも、主にCO2からなるオフガスが残留していることも考えられる。
しかしながら、発酵槽で原料をメタン発酵させた発酵ガスを生成した後、発酵ガスに含まれるCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスは、CH4ガス精製工程において既存の精製装置で除去できるため、発酵槽に供給する前の状態の原料に残留したCO2も、このCH4ガス精製工程で除去することもできる。また、オフガス吐出工程で再利用するオフガスとして、原料に残留したCO2を再び希釈槽に向けて供給することもできる。
従って、本発明のバイオガスの生成方法では、オフガス吐出工程で、メタン発酵前の状態にある原料にオフガスを吐出して、貯留ガス吸引工程で、オフガスの吐出によって、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物が排気されるため、N2及びO2の脱気に大がかりな設備を要することなく、簡単にN2及びO2の脱気をすることができる。
ひいては、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、原料に含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるため、発酵ガスを精製したバイオガスを導管に供給することも可能となり、このようなバイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できることも期待できる、という優れた効果を奏する。
さらに、本発明のバイオガスの生成方法により生成したバイオガスを、民生用の都市ガスが流通する鋼製の導管に供給しても、バイオガスにO2が含まれていないため、導管が経時的に酸化して腐食する虞もない。
【0013】
(2)有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入後、次に有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入するまでの1サイクルの間に、オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程が、それぞれ複数回に亘って実施されるので、メタン発酵前の状態にある原料に含有するN2及びO2を、より確かに脱気することができる。
(3)オフガス吐出工程は、有機性廃棄物と水とを攪拌しているときに、実施されるので、吐出したオフガスが原料内に充填し易くなり、オフガスとN2、O2との置換が促進されて、希釈槽の上部に向けた貯留ガスの浮上を活性化させることができる。
【0014】
また、本発明のバイオガスの生成システムでは、
(4)精製装置から排出されたオフガスを、ノズルを通じて希釈槽の下部から原料の最上位面に向けて吐出させるオフガス吐出部と、希釈槽に原料が投入された状態にあるとき、原料の最上位面上にある希釈槽内の空間の雰囲気を吸引する吸引ポンプと、を備えているので、CO2を主成分とするオフガスを、オフガス吐出部からメタン発酵前の状態にある原料に吐出し充填することで、原料では、N2、O2とオフガスとの間で置換が行われ、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物(貯留ガス)が、原料の最上位面上に向けて浮上する。
浮上した貯留ガスは、オフガスの吐出後、時間の変化と共に、希釈槽の上部にある原料の最上位面上の空間に貯留され、ポンプにより、貯留した貯留ガスを吸引することで、外部に排出することができる。すなわち、貯留ガスが排出された状態の原料は、それまで原料に含有していたN2、O2を脱気した状態の原料に変化している。
2、O2を脱気した状態の原料を発酵槽に供給し、メタン発酵を実施しても、このときに生じる発酵ガスに含有する不要ガスには、N2、O2がほとんど含有していない。一方、既存の精製装置を用いて従来通りの精製工程で、発酵ガスを精製することで、発酵ガスに含有するCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスは除去できる。
【0015】
従って、本発明のバイオガスの生成システムでは、発酵槽でメタン発酵を行う前に、原料に含有するN2、O2を予め脱気しておき、この状態の原料に基づいてメタン発酵を実施するため、発酵ガスに含有する不要ガスに、N2、O2がほとんど含有していない。すなわち、発酵ガスから不要ガスを除去するのに、そのまま既存の精製装置を用いることができるため、精製装置に大がかりな設備投資が不要であり、これに伴う多大な設備コストもかからない。
ひいては、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、原料に含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるため、発酵ガスを精製したバイオガスを導管に供給することも可能となり、このようなバイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できることも期待できる、という優れた効果を奏する。
【0016】
(5)オフガス吐出部は、希釈槽の底より径小な環状または板状に形成され、ノズルは、希釈槽の底と対向する向きに複数設けられているので、希釈槽内にある原料でノズル穴が詰まることなく、希釈槽内の原料に対し、万遍なくオフガスを吐出し、希釈槽とオフガス吐出部との隙間を通じて、オフガスが、原料の最上位液面に向けて移動することができる。
(6)希釈槽に、投入した有機性廃棄物及び水を攪拌する攪拌手段を備え、攪拌手段は、希釈槽の軸線方向に延びる中空状の軸部と、軸部を中心に径外側に延び、希釈槽より径小な少なくとも1つの羽根部とを有し、オフガス吐出部は、羽根部に形成され、軸部の内部にある軸部管路と連通していること、ノズルは、希釈槽の底と対向する向きに複数設けられているので、希釈槽内にある原料でノズル穴が詰まることなく、希釈槽内の原料に対し、万遍なくオフガスを吐出し、希釈槽と羽根部との隙間を通じて、オフガスが、原料の最上位面に向けて移動することができる。
しかも、オフガス吐出部を攪拌手段の羽根部に設けていることで、希釈槽内の省スペース化が可能となり、羽根部を、軸部中心に回転させれば、希釈槽内にある原料に対し、オフガス吐出部から吐出したオフガスを、希釈槽内の隅々まで行き渡らせることができる。
【0017】
(7)吸引ポンプによる雰囲気の吸引と、オフガス吐出部のノズルからオフガスの吐出とを制御する制御手段を有するので、希釈槽に投入した原料から、混在するN2及びO2を脱気させて希釈槽の外部に排出するまでの一連のことが、制御手段によって、例えば24時間、無人化運転で行う等、自動化して実施することができる。
(8)希釈槽は、2つ以上有し、各希釈槽は、発酵槽と並列に併設され、精製装置から排出されたオフガスが流通するオフガス管路が、各希釈槽のオフガス吐出部と並列に接続されているので、2つ以上の希釈槽のうち、一部の希釈槽において、希釈槽上部の空間に貯留した貯留ガスをポンプで吸引していたり、希釈槽内に原料を投入している間、残りの希釈槽において、N2、O2を脱気した状態の原料を発酵槽に供給し続けることができるため、供給に途切れがなく安定した状態で、N2、O2を脱気した状態の原料を、発酵槽に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るバイオガス生成システムの全体構成を示すシステム図である。
【図2】第1実施形態に係るバイオガス生成システムに用いるオフガス吐出部を示す斜視図である。
【図3】図2に示すオフガス吐出部を下側から見た平面図である。
【図4】図3中、A−A矢視断面図である。
【図5】第1実施形態に係るバイオガス生成システムの作用を説明する説明図である。
【図6】第2実施形態に係るバイオガス生成システムの全体構成を示すシステム図である。
【図7】第2実施形態に係るバイオガス生成システムに用いる希釈槽攪拌部を示す斜視図である。
【図8】図7に示す希釈槽攪拌部を下側から見た平面図である。
【図9】図7中、B−B矢視断面図である。
【図10】図7に示す希釈槽攪拌部の変形例に係る攪拌部を示す斜視図である。
【図11】変形例に係るバイオガス生成システムのオフガス吐出部を正面から見た説明図である。
【図12】図11に示すオフガス吐出部を上方から見た説明図である。
【図13】特許文献1に記載されたメタンガス発酵装置の説明図である。
【図14】従来のバイオガス生成システムの全体構成を示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るバイオガスの生成システムについて、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、バイオガスの生成システムは、細かく粉砕した状態の食品残渣物や、下水汚泥、糞尿等の有機性廃棄物と、水とからなる一次原料を希釈槽に投入して攪拌し、一次原料に混在するN2及びO2を脱気した二次原料を、発酵槽に供給して発酵槽内でメタン発酵させて発酵ガスを生成する。この後、発酵ガスに含有する不要ガスを、精製装置で除去してバイオガスを生成し、都市ガスや燃料電池等に向けの燃料として導管や貯蔵タンクに供給するバイオガス生成システムである。
第1実施形態に係るバイオガス生成システムの全体構成を示すシステム図を図1に示す。図2乃至図4は、本実施形態に係るバイオガス生成システムの希釈槽に用いるオフガス吐出部を示す図であり、図2がオフガス吐出部の斜視図、図2に示すオフガス吐出部を下側から見た平面図を図3に示し、図4は、図3中、A−A矢視断面図である。
【0020】
バイオガス生成システム1は、図1に示すように、制御装置5と、2つの希釈槽10A,10B(10)と、発酵槽50と、圧縮機60と、精製装置65と、可溶化槽80と、バッファタンク85と、2つの第1,第2吸引ポンプP1,吸引ポンプP2と、制御装置5により流路を開閉する12の第1バルブV1乃至第12バルブV12と、オフガス管路Lcと、4つの第1管路L1乃至第4管路L4等とからなる。
はじめに希釈槽10について、図1を用いて説明する。
本実施形態では、バイオガス生成システム1に2つの希釈槽10A,10Bが配設されている。希釈槽10Aと希釈槽10Bとは同じ構成であるため、以下、希釈槽10と総称する。
【0021】
希釈槽10は、その下部に位置する底10aと、底10aの周方向に延びてこの底10aと接続する側壁10bと、この側壁10bに囲まれる開口を塞ぐ天井10cとを有したタンク状に形成されている。この希釈槽10は、その内部に、有機性廃棄物と水とからなる一次原料M1を、本実施形態では、例えば、1ton収容できる容積を確保した大きさとなっている。一次原料M1は、例えば、スラリー状、液体状、粒状の物質と混じり合った流動性の高い性状等、すなわち有機性廃棄物と水とが混ざり合った状態となっている。
【0022】
希釈槽10A,10Bは、一次原料M1を希釈槽10A,10Bに向けて圧送する管路である原料供給管路Lmと、それぞれ接続している。すなわち、第1バルブV1において並列に2つに分岐した原料供給管路Lmは、希釈槽10A,10Bと接続しており、一次原料M1を、各天井10c側から希釈槽10内にそれぞれ供給できるようになっている。
なお、一次原料M1を希釈槽10内に投入するときには、希釈槽10内において、その投入した一次原料M1の最上位面SLと天井10cとの間に所定容積の空間10Sが確保され、しかも一次原料M1の最上位面SLが、次述する排気管路Lgの高さより低位にしておく必要がある。
【0023】
バイオガス生成システム1は、希釈槽10に一次原料M1が投入された状態にあるとき、一次原料M1の最上位面SL上にある希釈槽10内の空間10Sの雰囲気を吸引する第2吸引ポンプP2(吸引ポンプ)を備えている。
すなわち、希釈槽10A,10Bは、第2吸引ポンプP2において並列に2つに分岐した排気管路Lgと、それぞれ接続している。排気管路Lgは、第2吸引ポンプP2により、各希釈槽10内の上部に溜まった後述する貯留ガスを、各希釈槽10の天井10c付近から外部に強制的に排気する管路である。
また、希釈槽10には、原料供給管路Lmから当該希釈槽10内部に供給された一次原料M1を攪拌する希釈槽攪拌部30が設けられ、図示しない駆動源により希釈槽攪拌部30の羽根が回転できるようになっている。
【0024】
希釈槽10の底10aには、オフガス吐出部20が配設されている。オフガス吐出部20は、図2乃至図4に示すように、底10aより径小な円環状に形成された中空の環状管21、及びこの環状管21を希釈槽10の底10aから離間させて支持する中空状の支持管25を4つ有する。オフガス吐出部20は、一次原料M1が強い酸性やアルカリ性の物質であってもその接触に耐え得る性質を持つ材料からなる。
【0025】
オフガス吐出部20では、後に詳述するが、精製装置65から排出されたCO2を主成分とするオフガスを流通させる環状管流路22が、環状管21に形成され、各支持管25にも、このオフガスを流通させる支持管流路26が形成されている。環状管21と支持管25との接合部では、環状管流路22と各支持管流路26とが連通している。
また、希釈槽10の底10aに配設したオフガス吐出部20の環状管21には、図3及び図4に示すように、底10aと対向する向きに複数のノズル23が環状管21の周方向に沿って設けられている。
すなわち、オフガス吐出部20では、精製装置65から排出されたオフガスが、支持管25の支持管流路26、及び環状管21の環状管流路22を流通し、複数のノズル23を通じて、希釈槽10の底10a側から、希釈槽10に投入された一次原料M1の最上位面SLに向けて吐出するようになっている。
【0026】
希釈槽10A,10Bは、発酵槽50と並列に併設され、第2バルブV2、第3バルブV3、第4バルブV4、可溶化槽80、バッファタンク85及び図示しないポンプを介して並列に配管した第1管路L1によって接続されている。第1管路L1は、希釈槽10の底10a付近の側壁10bと接続している。
【0027】
可溶化槽80は、発酵槽50でメタン発酵させ易くするため、希釈槽10内に貯留した一次原料M1から、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物(以下、単に「貯留ガス」と総称する。)を脱気した状態の二次原料M2を、発酵槽50の供給する前に、例えば、可溶化発酵、加温処理等、周知の技術により、分解し易く、可溶し易い状態にしておく槽であり、いわば二次原料M2の前処理を行う槽である。
バッファタンク85は、可溶化槽80で前処理した二次原料M2を、一旦、槽内に貯留しておくタンクであり、当該バッファタンク85の底部と発酵槽50とが第1管路L1で接続している。
【0028】
ここで、バイオガス生成システム1にバッファタンク85を設ける理由について、簡単に説明する。
本願出願人は、可溶化槽80や発酵槽50に投入された状態の二次原料M2を試料として、この試料中では溶存酸素量(OD)がほぼ「0」であることを、実験を通じて確認し、O2の二次原料M2への溶け込み量が非常に少ないことを把握している。
バイオガス生成システム1では、バッファタンク85内の上部で二次原料M2との間に、たとえO2やN2が残留していたとしても、O2等がバッファタンク85内に貯留した二次原料M2にほとんど溶け込まない。そのため、前処理した二次原料M2を、バッファタンク85の底部から発酵槽50に供給することで、前処理した二次原料M2を発酵槽50に向けて流通させるときに、O2等が二次原料M2と共に混入して発酵槽50に流入するのを防止することができている。
すなわち、本実施形態では、オフガス吐出部20を配設した希釈槽10以外に、第1管路L1上にバッファタンク85を設け、その底部と発酵槽50とを第1管路L1で接続することで、バイオガス生成システム1において、バッファタンク85は、発酵槽50に供給する二次原料M2に、N2及びO2の含有を防ぐ2次的なフィルタとして機能する。
【0029】
発酵槽50は、希釈槽10から可溶化槽80及びバッファタンク85を通じて供給された二次原料M2を、本実施形態では、例えば、14ton収容できる容積を確保した大きさとなっている。発酵槽50は、その内部に供給された二次原料M2を、図示しない駆動源によって攪拌する発酵槽攪拌部51を有しており、発酵槽50内で、周知技術によりメタン発酵させて発酵ガスを生成する。
【0030】
発酵槽50は、第2管路L2により、第5バルブV5、及び周知の圧縮機60を介して精製装置65と接続している。
精製装置65は、発酵槽50内で生成し圧縮機60で凝縮された発酵ガスに、CH4ガス以外に含有するCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスを、周知の方法により除去する精製装置である。但し、この精製装置65では、このような不要ガスを発酵ガスから除去するときに、CO2を主成分とするオフガスだけは、H2、H2S、NH3等の不要ガスと区別して分離できるようになっている。
精製装置65は、第1吸引ポンプP1、第11バルブV11、及び第12バルブV12を設けたオフガス管路Lcと接続している。オフガス管路Lcは、精製装置65から排出されたオフガスを、希釈槽10に向けて流通させる管路である。オフガス管路Lcは、第12バルブV12において並列に2つ分岐して希釈槽10A,10Bとそれぞれ接続し、希釈槽10A,10B内にそれぞれ配設されたオフガス吐出部20の4つの支持管25の支持管流路26と連通している。
【0031】
また、精製装置65は、当該精製装置65で不要ガスを除去して得られたCH4ガス(バイオガス)を、第7バルブV7、ガス調整装置70、及び第8バルブV8を介した第3管路L3により、13Aガス等に代表される都市ガスが流通する導管Lと接続している。なお、ガス調整装置70は、バイオガスを都市ガスの特性に合わせるため、バイオガスに、臭気の付加処理、熱量の調整処理、ガス圧の調整処理等の各処理を行う周知の装置である。
【0032】
精製装置65が第3管路L3を通じて導管Lと接続する一方で、この精製装置65は、第9バルブV9、及びバイオガスを一時的に貯留する貯蔵タンク75を介して第10バルブV10と接続している。精製装置65で不要ガスを除去したバイオガスは、第10バルブV10を通じて燃料電池、発電設備に向けの燃料として供給するようにもなっている。
【0033】
バイオガス生成システム1は、制御装置5(制御手段)を有している。制御装置5は、希釈槽10の空間10Sにおいて、第2吸引ポンプP2による雰囲気の吸引を制御するほか、オフガス吐出部20のノズル23からオフガスの吐出を制御する。
すなわち、制御装置5は、第1吸引ポンプP1及び第2吸引ポンプP2の作動、第1バルブV1から第12バルブV12までの各バルブの開閉制御、希釈槽10の希釈槽攪拌部30及び発酵槽50の発酵槽攪拌部51の回転制御を行う。また、制御装置5は、精製装置65において発酵ガスに含有するCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスから、CO2を主成分とするオフガスを分離してオフガス管路Lcに供給するのに伴う制御を行う。
【0034】
次に、上記構成を有するバイオガス生成システム1を用いたバイオガスの生成方法について説明する。
まず、希釈槽10A,10Bのいずれか一方の希釈槽10に、もしくは両方の希釈槽10A,10Bに一次原料M1を供給するため、第1バルブV1を開路して、原料供給管路Lmから希釈槽10に一次原料M1を投入し、希釈槽攪拌部30で攪拌する。
最初のフローでは、一次原料M1の投入後、所定時間が経過したときに、第2バルブV2、第3バルブV3を開路して、希釈槽10内に貯留した一次原料M1を第1管路L1を通じて可溶化槽80及びバッファタンク85を経て発酵槽50に圧送する。発酵槽50への圧送後には、直ちに一次原料M1を希釈槽10内に充填しておく。
発酵槽50内に投入された一次原料M1を発酵槽攪拌部51で攪拌しながら、周知の方法によって発酵槽50内でメタン発酵させて発酵ガスを生成する。生成した発酵ガスは、第5バルブV5及び圧縮機60を通じて、精製装置65に圧送する。精製装置65では、周知の方法により、発酵ガスに含有するH2、H2S、NH3等の不要ガスを除去すると共に、不要ガスとオフガスであるCO2とを分離し、第11バルブV11と第12バルブV12を開路した状態のオフガス管路Lcに、オフガスを第1吸引ポンプP1で圧送する。
なお、最初のフローでは、発酵ガスからオフガスを含む不要ガスを除去した状態のガスが、第3管路L3及び第4バルブV4側に流通しないよう、第7バルブV7と第9バルブV9とを閉路しておく。
【0035】
次いで、本発明のバイオガスの生成方法のオフガス吐出工程と、貯留ガス吸引工程とを行う。オフガス吐出工程と貯留ガス吸引工程については、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係るバイオガス生成システムの作用を説明する説明図である。
オフガス吐出工程では、精製装置65から排出され、オフガス管路Lcを通じて希釈槽10のオフガス吐出部20に向けて還流されたオフガスを、一次原料M1が投入し充填された状態の希釈槽10内の下部にあるオフガス吐出部20に導入する。具体的には、オフガス管路Lcと連通する支持管25の支持管流路26、環状管21の環状管流路22を通じて、環状管21のノズル23から希釈槽10の底10aに向けてオフガスを吐出する。
このオフガス吐出工程は、希釈槽10内に充填した一次原料M1を希釈槽攪拌部30で攪拌しているときに、実施する。
【0036】
オフガス吐出工程の後、貯留ガス吸引工程を実施する。貯留ガス吸引工程では、オフガスであるCO2をオフガス吐出部20のノズル23から吐出することにより、希釈槽10内の一次原料M1に混在するN2及びO2を、希釈槽10の下部から一次原料M1の最上位面SL上に向けて浮上させる。
すなわち、図5に示すように、ノズル23から吐出したCO2が一次原料M1に吹き込まれると、一次原料M1を希釈槽10内に、所定時間(例えば、24時間等)、一時的に貯蔵している間に、一次原料M1に残留するN2ガスやO2ガスが、一次原料M1の最上位面SL上へと追い込まれ、希釈槽10の空間10Sに貯留される。
【0037】
あるいは、一次原料M1の化学的性質によっては、一次原料M1が所定時間、希釈槽10内に貯蔵している間に、一次原料M1に吹き込まれたCO2とN2ガス、O2ガスとの間に置換反応が生じ、N2、O2を含む化合物として、残留していたN2やO2が、一次原料M1の最上位面SL上に浮上し、希釈槽10の空間10Sに貯留される。
このように、ノズル23から吐出したCO2により、一次原料M1に残留するN2ガスやO2ガス、あるいはN2、O2を含む化合物、すなわち貯留ガスが、希釈槽10の上部にある空間10Sに溜まり、溜まった貯留ガスを、第2吸引ポンプP2で吸引し排気管路Lgを通じて外部に排気する。
オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程を通じることで、一次原料M1からN2やO2が脱気された二次原料M2が得られ、二次原料M2を発酵槽50に供給し、発酵槽50において、この二次原料M2に基づいてメタン発酵が行われる。
【0038】
本発明のバイオガスの生成方法では、有機性廃棄物と水とからなる一次原料M1を希釈槽10に投入後、次に一次原料M1を希釈槽10に投入するまでの1サイクルの間に、オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程を、それぞれ複数回に亘って実施している。
すなわち、本実施形態では、希釈槽10は、例えば、1tonの一次原料M1を収容できる容積を、発酵槽50は、例えば、14tonの二次原料M2を収容できる容積を、それぞれ確保している。そのため、希釈槽10で一次原料M1を、例えば24時間、一時的に貯蔵した後、二次原料M2を発酵槽50に供給したら、第1バルブV1を開路し直ぐに一次原料M1を原料供給管路Lmから繰り返し補給する必要がある。希釈槽10より容積が大きい発酵槽50でメタン発酵が行われていると、発酵槽50から生成する発酵ガスも大量となっている。
従って、大量に生じる発酵ガスから得られるオフガスも、十分な量を確保することができるため、発酵槽50より容積が小さい希釈槽10において、一次原料M1を希釈槽10に投入後、次に一次原料M1を希釈槽10に投入するまでの1サイクルの間に、オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程を、それぞれ複数回に亘って実施することができている。
なお、希釈槽10A,10Bとオフガス管路Lcとは並列に接続されているため、希釈槽10の一方で、一次原料M1を希釈槽10内に充填している間、他方の希釈槽10で、オフガス吐出工程を実施していることができる。あるいは、希釈槽10の一方でオフガス吐出工程を実施している間に、他方の希釈槽10で貯留ガス吸引工程を実施することもできる。
【0039】
ところで、バイオガスの生成方法のオフガス吐出工程と、貯留ガス吸引工程とを行うと、本来バイオガスに不要なCO2が一次原料M1や二次原料M2に混入してしまう。
しかしながら、図1に示すように、バイオガス生成システム1には、精製装置65が配設されており、第3管路L3を通じて導管Lにバイオガスを供給する場合、及び第4管路L4を通じて燃料電池、発電設備に向けの燃料としてバイオガスを供給する場合には、精製装置65が、二次原料M2をメタン発酵させた発酵ガスから、CO2を不要ガスとして除去する。
かくして、CO2、N2、O2を含まず、CH4ガスの純度が高いバイオガスが得られる。
【0040】
本実施形態に係るバイオガスの生成システム及び生成方法の作用効果について説明する。
本実施形態に係るバイオガスの生成方法では、精製装置65で排出されるオフガスを、一次原料M1が投入された状態の希釈槽10内の下部に導入し、オフガスを希釈槽10の底10aに向けて吐出するオフガス吐出工程と、オフガス吐出工程の後、希釈槽10内の一次原料M1に混在するN2及びO2を、オフガスにより、希釈槽10の下部から一次原料M1の最上位面SL上に浮上させ、希釈槽10内の上部にある空間10Sに貯留した貯留ガスを、第2吸引ポンプP2で吸引する貯留ガス吸引工程と、を有するので、オフガス吐出工程において、CO2を主成分とするオフガスを、N2及びO2を含有した一次原料M1内に希釈槽10の底10aに向けて吐出することで、ノズル23で一次原料M1が詰まることなくオフガスが一次原料M1内に充填される。
その後、N2、O2とオフガスとの間で置換が行われ、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物(貯留ガス)が、一次原料M1の最上位面SL上に向けて浮上し、一次原料M1の最上位面Sl上にある希釈槽10の空間10Sに、時間の変化と共に貯留されてくる。貯留ガス吸引工程では、希釈槽10の空間10Sに貯留した貯留ガスを第2吸引ポンプP2で吸引することで、貯留ガス、すなわち一次原料M1内に含有していたN2及びO2は、外部に排出され、発酵槽50に供給する二次原料M2に混在するのを防止することができる。
【0041】
ところで、希釈槽10の空間10Sには、吐出したオフガスが一部含まれていることもあり、このような一部のオフガスは、貯留ガス吸引工程で、貯留ガスと共に外部に排出されることもあるが、発酵槽50に供給する前の状態にある二次原料M2にも、主にCO2からなるオフガスが残留していることも考えられる。
しかしながら、発酵槽50で二次原料M2をメタン発酵させた発酵ガスを生成した後、発酵ガスに含まれるCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスは、CH4ガス精製工程において既存の精製装置65で除去できるため、発酵槽50に供給する前の状態の二次原料M2に残留したCO2も、このCH4ガス精製工程で除去することができる。また、オフガス吐出工程で再利用するオフガスとして、二次原料M2に残留したCO2を再び希釈槽10に向けて供給することもできる。
【0042】
従って、本発明のバイオガスの生成方法では、オフガス吐出工程で、メタン発酵前の状態にある一次原料M1にオフガスを吐出して、貯留ガス吸引工程で、オフガスの吐出によって、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物が排気されるため、N2及びO2の脱気に大がかりな設備を要することなく、簡単にN2及びO2の脱気をすることができる。
ひいては、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、一次原料M1に含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるため、発酵ガスを精製したバイオガスを導管Lに供給することも可能となり、このようなバイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できることも期待できる、という優れた効果を奏する。
さらに、本発明のバイオガスの生成方法により生成したバイオガスを、民生用の都市ガスが流通する鋼製の導管Lに供給しても、バイオガスにO2が含まれていないため、導管Lが経時的に酸化して腐食する虞もない。
【0043】
また、本実施形態のバイオガスの生成方法では、一次原料M1を希釈槽10に投入後、次に一次原料M1を希釈槽10に投入するまでの1サイクルの間に、オフガス吐出工程及び貯留ガス吸引工程が、それぞれ複数回に亘って実施されるので、メタン発酵前の状態にある一次原料M1に含有するN2及びO2を、より確かに脱気することができる。
また、本実施形態のバイオガスの生成方法では、オフガス吐出工程は、一次原料M1を攪拌しているときに、実施されるので、吐出したオフガスが一次原料M1内に充填し易くなり、オフガスとN2、O2との置換が促進されて、希釈槽10の上部に向けた貯留ガスの浮上を活性化させることができる。
【0044】
一方、本実施形態のバイオガス生成システム1では、精製装置65から排出されたオフガスを、ノズル23を通じて希釈槽10の下部から一次原料M1の最上位面SLに向けて吐出させるオフガス吐出部20と、希釈槽10に一次原料M1が投入された状態にあるとき、一次原料M1の最上位面SL上にある希釈槽10内の空間10Sの雰囲気(貯留ガス)を吸引する第2吸引ポンプP2と、を備えているので、CO2を主成分とするオフガスを、オフガス吐出部20からメタン発酵前の状態にある一次原料M1に吐出し充填することで、一次原料M1では、N2、O2とオフガスとの間で置換が行われ、N2ガス、O2ガス、あるいはN2、O2とオフガスとの置換反応で生成された化合物(貯留ガス)が、一次原料M1の最上位面SL上に向けて浮上する。
浮上した貯留ガスは、オフガスの吐出後、時間の変化と共に、一次原料M1の最上位面SL上の希釈槽10の空間10Sに貯留され、第2吸引ポンプP2により、貯留した貯留ガスを吸引することで、外部に排出することができる。すなわち、貯留ガスが排出された状態の二次原料M2は、それまで一次原料M1に含有していたN2、O2を脱気した状態の原料に変化している。
2、O2を脱気した状態の二次原料M2を発酵槽50に供給し、メタン発酵を実施しても、このときに生じる発酵ガスに含有する不要ガスには、N2、O2がほとんど含有していない。一方、既存の精製装置65を用いて従来通りの精製工程で、発酵ガスを精製することで、発酵ガスに含有するCO2、H2、H2S、NH3等の不要ガスは除去できる。
【0045】
従って、本実施形態のバイオガス生成システム1では、発酵槽50でメタン発酵を行う前に、一次原料M1に含有するN2、O2を予め脱気しておき、この状態の二次原料M2に基づいてメタン発酵を実施するため、発酵ガスに含有する不要ガスに、N2、O2がほとんど含有していない。すなわち、発酵ガスから不要ガスを除去するのに、そのまま既存の精製装置65を用いることができるため、N2及びO2の脱気に大がかりな設備を要することなく、これに伴う多大な設備コストもかからない。
ひいては、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、一次原料M1に含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるため、発酵ガスを精製したバイオガスを導管Lに供給することも可能となり、このようなバイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できることも期待できる、という優れた効果を奏する。
さらに、本実施形態のバイオガス生成システム1では、生成したバイオガスを、民生用の都市ガスが流通する鋼製の導管Lに供給しても、バイオガスにO2が含まれていないため、導管Lが経時的に酸化して腐食する虞もない。
【0046】
また、本実施形態のバイオガス生成システム1では、オフガス吐出部20は、希釈槽50の底10aより径小な環状に形成され、ノズル23は、希釈槽10の底10aと対向する向きに複数設けられているので、希釈槽10内にある一次原料M1でノズル23穴が詰まることなく、希釈槽10内の一次原料M1に対し、万遍なくオフガスを吐出し、希釈槽10とオフガス吐出部20との隙間を通じて、オフガスが、一次原料M1の液面に向けて移動することができる。
【0047】
また、本実施形態のバイオガス生成システム1では、第2吸引ポンプP2による雰囲気の吸引と、オフガス吐出部20のノズル23からオフガスの吐出とを制御する制御装置5を有するので、希釈槽10に投入した一次原料M1から、混在するN2及びO2を脱気させて希釈槽20の外部に排出するまでの一連のことが、制御装置5によって、例えば24時間、無人化運転で行う等、自動化して実施することができる。
【0048】
また、本実施形態のバイオガス生成システム1では、希釈槽10A,10Bは、2つ有し、各希釈槽10A,10Bは、発酵槽50と並列に併設され、精製装置65から排出されたオフガスが流通するオフガス管路Lcが、各希釈槽10A,10Bのオフガス吐出部20と並列に接続されているので、希釈槽10A,10Bの希釈槽10のうち、一方の希釈槽10A(10B)において、希釈槽10A(10B)上部の空間10Sに貯留した貯留ガスを第2吸引ポンプP2で吸引していたり、希釈槽10A(10B)内に一次原料M1を投入している間、他方の希釈槽10B(10A)の希釈槽10において、N2、O2を脱気した状態の二次原料M2を発酵槽50に供給し続けることができるため、供給に途切れがなく安定した状態で、N2、O2を脱気した二次原料M2を、発酵槽50に供給することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るバイオガス生成システムの第2実施形態について、図6乃至図9を用いて説明する。図6は、第2実施形態に係るバイオガス生成システムの全体構成を示すシステム図である。図7は、第2実施形態に係るバイオガス生成システムに用いる攪拌部を示す斜視図であり、図7に示す攪拌部を下側から見た平面図を図8に示す。図9は、図8中、B−B矢視断面図である。
第1実施形態に係るバイオガス生成システム1では、オフガス吐出部20を、希釈槽10の希釈槽攪拌部30とは別体で希釈槽10の底10aに配設した。
これに対し、第2実施形態に係るバイオガス生成システム101では、オフガス吐出部を、希釈槽攪拌部130(攪拌手段)の羽根部135に形成している。
しかしながら、第2実施形態のバイオガス生成システム101では、希釈槽攪拌部130が、第1実施形態の希釈槽攪拌部30の構成と異なるが、その他の部分については、第1実施形態のバイオガス生成システム1と同様である。
したがって、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明し、同様な部分は第1実施形態と同じ符号を用いて、説明を省略または簡単に行う。
【0050】
バイオガス生成システム101は、図6に示すように、投入した有機性廃棄物及び水、すなわち一次原料M1を攪拌する希釈槽攪拌部130を希釈槽10に備えている。希釈槽攪拌部130は、図7に示すように、希釈槽10の軸線AX方向に延びる中空状の軸部131と、この軸部131の先端部のボス133から軸部131を中心に径外側に延び、希釈槽10より径小な4つの羽根部135とを有している。
本発明のオフガス吐出部は、4つの羽根部135に形成され、軸部131の内部にある軸部管路132と連通している。
すなわち、希釈槽攪拌部130には、図9に示すように、精製装置65から排出されたCO2を主成分とするオフガスを流通させる軸部管路132が、軸部131に形成され、各羽根部135にも、このオフガスを流通させる羽根部管路136が形成されている。ボス133では、軸部管路132と各羽根部管路136とが連通している。第1実施形態で説明したオフガス管路Lcは、軸部131の軸部管路132と連通している。各羽根部135には、ノズル137が、希釈槽10の底10aと対向する向きに複数設けられている。
【0051】
従って、第1実施形態のバイオガス生成システム1と同様、本実施形態のバイオガス生成システム101でも、発酵槽50でメタン発酵を行う前に、一次原料M1に含有するN2、O2を予め脱気しておき、この状態の二次原料M2に基づいてメタン発酵を実施するため、発酵ガスに含有する不要ガスに、N2、O2がほとんど含有していない。すなわち、発酵ガスから不要ガスを除去するのに、そのまま既存の精製装置65を用いることができるため、N2及びO2の脱気に大がかりな設備を要することなく、これに伴う多大な設備コストもかからない。
ひいては、有機性廃棄物からメタン発酵して得られるバイオガスの生成時において、一次原料M1に含有するN2及びO2を、低コストで脱気することができるため、発酵ガスを精製したバイオガスを導管Lに供給することも可能となり、このようなバイオガスが、民生用の都市ガスとして幅広くスムーズに普及できることも期待できる、という優れた効果を奏する。
【0052】
また、本実施形態のバイオガス生成システム101では、希釈槽10に、投入した一次原料M1を攪拌する希釈槽攪拌部130を備え、希釈槽攪拌部130は、希釈槽10の軸線AX方向に延びる中空状の軸部131と、軸部131を中心に径外側に延び、希釈槽10より径小な4つの羽根部135とを有し、本発明のオフガス吐出部は、羽根部135に形成され、軸部131の内部にある軸部管路132と連通していること、ノズル137は、希釈槽10の底10aと対向する向きに複数設けられているので、希釈槽10内にある一次原料M1でノズル137穴が詰まることなく、希釈槽10内の一次原料M1に対し、万遍なくオフガスを吐出し、希釈槽10と羽根部135との隙間を通じて、オフガスが、一次原料M1の最上位面SLに向けて移動することができる(図5参照)。
しかも、本発明のオフガス吐出部を希釈槽攪拌部130の羽根部135に設けていることで、希釈槽10内の省スペース化が可能となり、羽根部135を、軸部131中心に回転させれば、希釈槽10内にある一次原料M1に対し、オフガス吐出部である羽根部135から吐出したオフガスを、希釈槽10内の隅々まで行き渡らせることができる。
【0053】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、第1実施形態では、参照する図3に示すように、オフガス吐出部20の環状管21に対し、複数のノズル23を同じピッチ円上に配置して配列したが、ノズルの配置やノズルの数量は、適宜変更可能である。また、環状管21を4つの支持管25で支持したが、支持管25の配置、支持管25の形状、及び支持管25の数量については、第1実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
(2)また、第2実施形態では、希釈槽攪拌部130の羽根部135に対し、複数のノズル135を同じピッチ線上に配置して配列したが、ノズルの配置、ノズルの形状、及びノズルの数量は、適宜変更可能である。また、ノズルを有した羽根部の配置、羽根部の形状、及び羽根部の数量についても、第2実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
(3)第1,第2実施形態では、希釈槽10を、1tonの一次原料M1を収容できる容積を確保した大きさとし、発酵槽50を、14tonの二次原料M2を収容できる容積を確保した大きさであると例示した。しかしながら、希釈槽及び発酵槽の各容積は、原料から発酵ガスを生成するときの条件や、オフガスを発生させて希釈槽に還流するときの条件等によって、適宜変更されるものであり、第1,第2実施形態で説明したような1tonの希釈槽10と、14tonの発酵槽50に限定されるものではない。
【0054】
(4)また、第2実施形態では、参照する図7に示すように、1本の軸部131からボス133を介して4つの羽根部135が延びる希釈槽攪拌部130を、希釈槽10に配設した。
しかしながら、希釈槽攪拌部130に代えて、図10に示すような希釈槽攪拌部180を、攪拌手段として希釈槽10に用いても良い。
すなわち、希釈槽攪拌部180は、希釈槽10の軸線AX方向に延びる中空状の軸部181と、この軸部181の中間部から軸部181を中心に径外側に延び、希釈槽10より径小な4つの第1羽根部185Aと、軸部181の先端部から軸部181を中心に径外側に延び、希釈槽10より径小な4つの第2羽根部185Bと、を有している。
希釈槽攪拌部180には、精製装置65から排出されたオフガスを流通させる軸部管路182が、軸部131に形成され、第1,第2羽根部185A,羽根部185Bにも、このオフガスを流通させる第1,第2羽根部管路186A,186Bが形成されている。軸部管路182と、第1羽根部管路186Aと、第2羽根部管路186Bとが連通している。第1,第2羽根部185A,羽根部185Bには、第1,第2ノズル187A,187Bが、希釈槽10の底10aと対向する向きに複数設けられている。
【0055】
希釈槽攪拌部180は、軸部181、第1羽根部管路186A及び第2羽根部管路186Bの材料として、安価な金属製パイプを用いて、このパイプに穿孔の加工を施した後、第1羽根部管路186Aと第2羽根部管路186Bを軸部181に接合するだけで製造できるため、低コストで希釈槽攪拌部180を製造することができる。
【0056】
(5)また、第1実施形態では、参照する図1及び図2に示すように、希釈槽10の底10aより径小な円環状で形成されたオフガス吐出部20を底10aに配設した。
しかしながら、オフガス吐出部20に代えて、図11及び図12に示すようなオフガス吐出部120を、オフガス吐出部として希釈槽110の周囲に設けても良い。
オフガス吐出部120は、希釈槽110の側壁110bより径大な環状で、第1実施形態で説明したオフガス管路Lcと連通する環状管121と、この環状管121と連通し、環状管121の周方向に所定間隔で離間して配置された複数の分岐管125とからなる。各分岐管125においてその先端部は、側壁110bの下部を挿通して希釈槽110内に、ノズル123として配置されている。
オフガス管路Lcには、精製装置65から排出されたオフガスが希釈槽110内に向けて流通できる一方で、その反対の流れを防止する逆止バルブV21が設けられている。また、排気管路Lgには、貯留ガスの流れを制御する開閉バルブV22が設けられている。オフガス管路Lcを流通するオフガスが、逆止バルブV21、オフガス吐出部120を通じて各分岐管125に流れ、各ノズル123から一次原料M1に吹き込んでいる間、開閉バルブV22は開路し、それ以外のときには、閉路している。
【0057】
(6)また、第1,第2実施形態では、第1管路L1にバッファタンク85を設けたバイオガス生成システム1,101としたが、第1管路L1にバッファタンク85を設けないバイオガス生成システムとしても良い。
【符号の説明】
【0058】
1,101 バイオガス生成システム(バイオガスの生成システム)
5 制御装置(制御手段)
10A,10B(10),110 希釈槽
10a(希釈槽の)底
10S (希釈槽内の)空間
20,120 オフガス吐出部
21,121 環状管
23,123,137 ノズル
50 発酵槽
130 希釈槽攪拌部(攪拌手段)
131 軸部
135 羽根部
P2 第2吸引ポンプ(吸引ポンプ)
Lc オフガス管路
M1 一次原料
AX 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入して攪拌した状態の原料を、発酵槽に供給して前記発酵槽内でメタン発酵させて発酵ガスを生成し、前記発酵ガスに含有する不要ガスを、精製装置で除去してバイオガスを生成するバイオガスの生成方法において、
前記精製装置で排出されるオフガスを、前記原料が投入された状態の前記希釈槽内の下部に導入し、前記オフガスを前記希釈槽の底面に向けて吐出するオフガス吐出工程と、
前記オフガス吐出工程の後、前記希釈槽内の前記原料に混在するN2及びO2を、前記オフガスにより、前記希釈槽の下部から前記原料の最上位面上に浮上させ、前記希釈槽内の上部に貯留した貯留ガスを、ポンプで吸引する貯留ガス吸引工程と、を有することを特徴とするバイオガスの生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載するバイオガスの生成方法において、
有機性廃棄物と水とを前記希釈槽に投入後、次に有機性廃棄物と水とを前記希釈槽に投入するまでの1サイクルの間に、前記オフガス吐出工程及び前記貯留ガス吸引工程が、それぞれ複数回に亘って実施されることを特徴とするバイオガスの生成方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するバイオガスの生成方法において、
前記オフガス吐出工程は、有機性廃棄物と水とを攪拌しているときに、実施されることを特徴とするバイオガスの生成方法。
【請求項4】
有機性廃棄物と水とを希釈槽に投入して攪拌した状態の原料を、発酵槽に供給して前記発酵内でメタン発酵させて発酵ガスを生成し、前記発酵ガスに含有する不要ガスを、精製装置で除去してバイオガスを生成するバイオガスの生成システムにおいて、
前記精製装置から排出されたオフガスを、ノズルを通じて前記希釈槽の下部から前記原料の液面に向けて吐出させるオフガス吐出部と、
前記希釈槽に前記原料が投入された状態にあるとき、前記原料の最上位面上にある前記希釈槽内の空間の雰囲気を吸引する吸引ポンプと、
を備えていることを特徴とするバイオガスの生成システム。
【請求項5】
請求項4に記載するバイオガスの生成システムにおいて、
前記オフガス吐出部は、前記希釈槽の底より径小な環状または板状に形成され、
前記ノズルは、前記希釈槽の底と対向する向きに複数設けられていることを特徴とするバイオガスの生成システム。
【請求項6】
請求項4に記載するバイオガスの生成システムにおいて、
前記希釈槽に、投入した有機性廃棄物及び水を攪拌する攪拌手段を備え、
前記攪拌手段は、前記希釈槽の軸線方向に延びる中空状の軸部と、前記軸部を中心に径外側に延び、前記希釈槽より径小な少なくとも1つの羽根部と、を有し、
前記オフガス吐出部は、前記羽根部に形成され、前記軸部の内部にある軸部管路と連通していること、
前記ノズルは、前記希釈槽の底と対向する向きに複数設けられていることを特徴とするバイオガスの生成システム。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1つに記載するバイオガスの生成システムにおいて、
前記吸引ポンプによる雰囲気の吸引と、前記オフガス吐出部の前記ノズルから前記オフガスの吐出とを制御する制御手段を有することを特徴とするバイオガスの生成システム。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか1つに記載するバイオガスの生成システムにおいて、
前記希釈槽は、2つ以上有し、前記各希釈槽は、前記発酵槽と並列に併設され、
前記精製装置から排出されたオフガスが流通するオフガス管路が、前記各希釈槽の前記オフガス吐出部と並列に接続されていることを特徴とするバイオガスの生成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−213855(P2011−213855A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83250(P2010−83250)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】