説明

バイオマス処理システム

【課題】 バイオマスの処理を効率よく行うことができ、地域内において、バイオマスの発生から利用までが効率的に結ばれた総合的な利用システムを構築することができ、安定的かつ適正なバイオマス利用が行うことができるシステムの提供。
【解決手段】 バイオマスの種類、原料排出者、量等を識別するための情報が記録されたバイオマス識別手段と、該バイオマス識別手段が付されたバイオマスを搬送するためのバイオマス搬送手段と、搬送されてきたバイオマスを処理するバイオマス処理手段とを備えて、バイオマス処理手段に、バイオマス搬送手段に付されたバイオマス識別手段に記録された情報を読み取り、各種バイオマス毎の受入れ量によって受け入れた各バイオマスの混合割合を適正に制御するバイオマス配合制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種バイオマスの再利用化を図るためのバイオマス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
省資源や地球温暖化防止のための技術開発等のため、各種バイオマスの再利用・再資源化、つまり社会技術化が急がれている。バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもののことをいい、種類としては、廃棄物系のものと、未利用のもの及び資源作物がある。
バイオマスのうち、廃棄物系のものには、廃棄紙、家畜排せつ物、食品廃棄物、建設・製材残材、パルプ工場廃液、下水汚泥・し尿汚泥等、未利用のものとしては、稲わら、麦わら、もみ殻、間伐材、被害木等がある。
このような中で、各種バイオマスの再利用・再資源化のための立法化や、提言が行われている。
【0003】
その中でも、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(平成12年法律第116号。平成13年5月1日施行。)は、 食品廃棄物について、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用するため、食品関連事業者(製造、流通、外食等)による食品循環資源の再生利用等を促進する事を目的として、食品循環資源(食品廃棄物であって、飼料・肥料等の原材料となるなど有用なもの再生利用:食品循環資源を飼料・肥料・油脂及び油脂製品・メタンとして利用し、又は利用する者に譲渡することと定義されている。)の再生利用等(再生利用、発生抑制、減量(乾燥・脱水・発酵・炭化)と定義されている。)を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を定め、再生利用等を実施すべき量に関する目標を、平成18年度までに20%と定めている。
【0004】
さらに、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成十一年七月二十八日法律第百十二号)は、畜産経営の大規模化の進行に伴い、家畜排せつ物の発生量が増大し、その利用が困難になりつつあり、野積み・素掘りをはじめとする家畜排せつ物の不適切な管理が増え、このことが主な原因となって、家畜排せつ物の管理の在り方をめぐり、畜産業を営む者と地域住民との間で問題が生じる事例も発生し、また、野積み・素掘りは 、家畜排せつ物の河川への流出や地下水への浸透により、クリプトスポリジウム(原虫)や硝酸性窒素による水質汚染を招くおそれもあることや、環境問題に対する国民の意識が高まる中で、地域において畜産を安定的に営んでいくためには、家畜排せつ物の管理の適正化を図ることが重要な課題となり、家畜排せつ物の管理について、畜産業を営む者が遵守すべき管理基準を定めることとした。
【0005】
「バイオマス・ニッポン総合戦略」は、国が平成14年12月に策定したもので、バイオマス利用促進に向けて、国家プロジェクトとして取り組みを開始したもので、各地に協議会や連絡会議等が設置され、バイオマスの利用促進に向けた様々な取り組みが行われている。
この総合戦略の中で一般公募されているものに、バイオマスタウン構想がある。バイオマスタウン構想は、域内において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用までが効率的に結ばれた総合的な利用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利用が行われているか、あるいは今後行われることが見込まれる地域のことをいう。
【0006】
このような立法や、提言が行われている情勢の中で、本発明者は、バイオマスの利用効率の向上のために、種々の提言を行っている。
特許文献1に示される「微量要素・無機栄養塩類拡散型菌体培養用担体」の発明では、廃水処理装置、食品製造工業、医薬品製造工業等に有用な菌の増殖のために微量要素や無機栄養塩が多孔体に包括されている微量・無機栄養塩類拡散型の菌体培養用担体を提案し、特許文献2に示される「微量要素を包括した菌体増殖用担体」の発明によって、さらに、バイオガスの発生を高め、安定させる事を提言した。
【0007】
さらに、特許文献3の「ノズル及び廃液燃焼装置」の発明では、噴霧流体として噴霧媒体により霧状とされて噴霧される噴霧液体の粒子径の確実な微細化及び粒子径分布の均一化を図るとともに、その噴霧角度を安定して所定の角度に制御することが可能なノズルを提言した。
【0008】
特許文献4には、酸発酵部とメタン発酵部とを隔壁を介して一体的に構成した発生装置を用いるとともに、発生装置内に熱及び電気エネルギーの生成機構を配設し、この方法における必要な電力の供給及びメタンの発酵液の加温に必要な熱の供給を行わせることにより有機物質含有廃水に酸発酵及びメタン発酵を連続的に行わせてメタンを発生させるメタンの発生方法、及び酸発酵部とメタン発酵部とを隔壁を介して一体的に結合した横型円筒状タンクと、内燃機関又は外燃機関又は燃料電池と蓄熱部よりなる熱電供給機構と、燃料電池等で発生した電気エネルギーを内部動力として利用するための手段及び蓄熱部からの熱エネルギーを酸発酵部とメタン発酵部の加温に利用するための手段を備えた2相式メタン発生装置が開示されている。
【0009】
2相式メタン発生装置は、有機物を低級脂肪酸に分解する過程(相1)と、低級脂肪酸からメタンを生成する過程(相2)を分離し、各々独立した環境下で微生物の増殖を行なわせるようにしたもので、この2相式メタン発生装置によれば、連続運転時に、原料が通過する見かけの通過日数(平均水理学的滞留時間=HRT)を在来法の20〜30日から8から15日に短縮し、発酵槽の容積を約半分ほどに減容積が可能となり、相分離により菌の活性が上昇するので、分解率を在来法より20〜30%高くすることができる
この2相式メタン発生装置は、アンモニウム態窒素(NH4+−N)の除去を電気化学的方法により行い、CODもメタンガス化されるので、除去率は従来のものより高く、全リンの除去も可能となるものである。
【0010】
【特許文献1】特開平10−327850号公報
【特許文献2】特開平11−341976号公報
【特許文献3】特開2001−38252号公報
【特許文献4】特開2005−81182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、特許文献1〜4において提言したものに基づいて、さらなるバイオマス利用促進に向け、バイオマスタウン構想を実現可能とすることを目的とするもので、バイオマスの発生から利用までが効率的に結ばれた総合的な利用システムを構築し、バイオマスの受入れから処理までを効率的に行うためのバイオマス配合処理、配合処理されたバイオマスを効率よく処理するためのバイオマス処理、バイオマス処理結果を出力して処理状況を記録、出力する記録・出力処理、までを一貫して効率よく行うバイオマス処理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、バイオマスの種類、原料排出者、量等を識別するための情報が記録されたバイオマス識別手段と、該バイオマス識別手段が付された前記バイオマスを搬送し、受入れるためのバイオマス搬送・受入れ手段と、搬送・受入れされた前記バイオマスを処理するバイオマス処理手段と、搬送・受入れ、処理されたバイオマスの処理状況を記録し、出力する記録・出力手段とを備え、前記バイオマス処理手段は、前記バイオマス搬送手段に付された前記バイオマス識別手段に記録された情報を読み取り、各種バイオマス毎の受入れ量によって受け入れた各バイオマスの混合割合を適正に制御するバイオマス配合制御手段を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、バイオマスを搬送するための搬送手段に付されたバイオマス識別用のICタグや磁気カード等の記録媒体にバイオマスの種類、量、原料排出者等を記録させて、この記録媒体に記録された情報を読み取り、各種バイオマス毎の受入れ量によって受け入れた各バイオマスの混合割合を適正に制御するバイオマス配合制御手段を備えているので、バイオマスの処理を効率よく行うことができ、地域内において、バイオマスの発生から利用までが効率的に結ばれた総合的な利用システムを構築することができ、安定的かつ適正なバイオマス利用が行うことができるとともに、2相式メタン発生装置の利点を生かしたバイオマス処理システムを構築できるものである。
さらに、原材として、家畜糞尿単独、又は、豆腐製造残渣(豆腐粕、オカラ)、又は畜産食品残渣、水産物残渣等は、C/N比が5前後になりやすいものであるが、本発明では、これらのC/N比の低い原材を他の炭素源の多いものを加えてC/N比を10〜20の範囲になるようにするとともに、有機物負荷Lvs=3〜8kg−vs/m3/日になるように揮発性有機物(VS)の投入量を制御して、メタン発酵による分解の安定を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を、図1に基づいて、以下に説明する。
本発明のバイオマス処理システムの特徴は、原料のバイオマスを受け入れ時に、原料バイオマスの持つ組成や排出元等の情報をICタグやカード等の記録媒体に記録し、バイオマス処理開始前にあらかじめバイオマス処理装置に備えられている制御手段に各種の通信手段で、記録媒体に記録された情報を読取り装置で読み取って、送信し、この情報に基づいて制御手段が各種の演算を実施し、最適な混合比率を決定することである。
【0015】
本実施例において、次のバイオマスの種類を次のように種類分けすることとする。
a.畜産系バイオマス(家畜糞尿、他)
b.家庭塵芥系バイオマス(生ゴミ等)
c.食品産業系バイオマス(残渣物、売れ残り廃棄物)
d.木質系バイオマス(廃材、反古紙他)
e.その他のバイオマス
【0016】
バイオマスの種類等を識別するためのICタグ又はICカードT1〜Tn(以下、ICタグという。)等の記録媒体Tに記録される情報には、次のようなものがある。
原料番号、種類、量、水分、乾物、揮発性物質、TOC(全有機炭素量)、T−N(全窒素量)、分解率、灰分含有率、T−P(全リン量)、排出業者番号、受取業者番号
【0017】
原料バイオマスを収集するための容器11〜15に収納された各種バイオマスの情報を搬送直前に排出業者nはICタグTに書き込み、バイオマス処理施設に搬入時にゲート20を通過することにより、ICタグTに記録された情報が読み取られ、通信手段31により、制御手段30内の記憶部(図示なし)に記録される。
【0018】
制御手段30は、バイオマス処理施設内にゲート20を通過して受け入れたn個のバイオマス排出業者の納入物の重量と組成情報により受入れ量が適正な炭素/窒素比(以下、「C/N比」という。)の所定値(10<C/N<20)の間に入り、かつ1日に処理する有機物量が所定値(4kg−VS/m3/日<Lvs<9kg−VS/m3/日)に入り、さらに平均滞留時間(HRT)が所定日数の13〜18日以内並びに予想されるメタン発酵装置内のアンモニウム濃度が所定値(1500mg/L<NH4+<3000mg/L)以内に入るように、受け入れられる原料の量と種類を、演算装置60によって演算し、決定する。
【0019】
受け入れられた原材には、総量と、炭素、窒素、リン、カリウムなどの成分がタグTに記録された情報から分かるようになっている。不明の原材の場合は、事前に分析し、情報として記録手段61に記録する。
まず受入量からC/N比が10<C/N<20に入るように主として炭素の多い原料で調整する。C/N比20以上の場合は、炭素源の多いものを減量し、C/N比10以下の場合は、炭素源の少ないものを増量する。この場合、C/N比20以上の場合、炭素源の少ないものを増量、C/N比10以下の場合は、炭素源の多いものを減量、するようにしても良い。
【0020】
原材の炭素の量が多くなると、揮発性有機物負荷(Lvs)が多くなるので、つまり、全有機炭素量(TOC量)から有機物負荷(VS量)に換算し、有機物負荷量Lvsが9(kg−VS/m3/日)以上では、原材の受入量を減量する。Lvsが4(kg−VS/m3/日)以下の場合は、原材の総量を増量するようにする。この場合、未処理在庫がなければ、新規の受け入れまで待機することになる。 Lvsの最適値は、6.5kg−VS/m3/日である。
【0021】
T−N値はその量より分解率(60〜65%)を考慮して、アンモニウム濃度が所定値(1500mg/L<NH4+<3000mg/L)以内であるかを判断し、調整する。
アンモニウム濃度(NH4+)が1500mg/L以下になる場合は、窒素源の多い原料を{(1500+X)*100}/1500%分比例的に増加させて、C/N比、Lvs量を再度計算して、調整する(Xは原料のT−Nから換算したNH4+濃度)。
アンモニウム濃度(NH4+)が3000mg/L以上になる場合は、窒素源の多い原料を{(3000−X)*100}/3000%分比例的に増加させて、C/N比、Lvs量を再度計算して、調整する(Xは原料のT−Nから換算したNH4+濃度)。
最終的な原材の受入量は、アンモニウム濃度(NH4+)が、2200mg/L±500に収束するかどうかを目安にして調整される。
そして、調整された決定d値が記録され、個別票、在庫票が発行されることになる。
【0022】
木質系バイオマスは、メタン発酵消化脱離液の沈泥や原料調整時の発生スラッジを水分調整剤として利用し、これらを混合させて、コンポスト(堆肥)製造を行う。余剰木質系バイオマスは熱や電力に変換する。この熱電供給装置の機関として外燃機関であるスターリングエンジンが適している。
食品産業系バイオマスの中の廃食用油はアルコールとエステル化され、バイオディーゼル油として利用されるが、副産物のグリコールの処理にメタン発酵で行うことができる。
【0023】
その決定値に基づいて、制御手段30は、バイオマス排出側の原料排出者nに各種通信手段31により、通知して翌日受け入れ量を通知する。積み残し分については、翌受入れ日に繰り越すこととし、受入れ量及び受入れ者を特定することとなる。
【0024】
バイオマス処理施設の制御手段30は、ICタグTから発信される情報をゲート20で記録されている情報と照合し、受入れたバイオマス11〜15が正しい受け入れになっているか確認する。正しくない場合は、新たに受入れたバイオマス11〜15の有機物負荷量を演算装置60により再演算し、追加が必要な場合、原料排出者n側に連絡し、過剰なの場合、短期間受け入れに支障がないかエマージェンシイ負荷量の決定を行い、翌日分受け入れの原料情報として演算装置60に記憶させる。
【0025】
個別票及び在庫票の発行、及びバイオガス量、電力量、温熱量の利用に関しては、演算部60にて演算され、実際の数値と照合される。
【0026】
本実施例における原料受入れと前処理について、図2によって、以下に説明する。
食品産業系からのバイオマス13の場合、豆腐残渣のおから、外食産業の販売残渣、木質系バイオマス14の場合の反古紙などは、生分解プラスチック原料になる場合が多いので、その大部分をこれらの原料とする加工、すなわち乾燥処理がある。この量から乾燥処理エネルギーを算出する。バイオマス処理施設への量的算出は、メタン発酵へのC/N比の値から施設内の演算装置60が演算する。
【0027】
食品産業系バイオマス13や家庭塵芥系バイオマス12からの油脂類は、濾過分離し、分離物の清澄なものはBDFなどの燃料とし残りはメタン発酵させる。
本実施例のシステムでバイオマス処理装置50から生成されて副産物貯留手段80に貯留される副産物81は、液肥・堆肥・ビタミンB12・余剰電力・温熱等と、乾燥装置41から生成される生分解プラスチック素材・ペレット燃料82がある。
【0028】
本発明の処理システムを、図3に示す処理の流れ図に基づいて以下に説明する。
原材であるバイオマスは、該バイオマスの持つ組成や排出元等の情報をICタグやカード等の記録媒体(以下、「タグT」という。)に記録して、タグT付の原材として、処理システムに受入れられる(ステップS1)。タグTには、原料番号、種類、量、水分、乾物、揮発性物質、TOC(全有機炭素量)、T−N(全窒素量)、分解率、灰分含有率、T−P(全リン量)、排出業者番号、受取業者番号等が記録されている。
【0029】
受け入れられた原材のタグTは、バイオマス処理開始前にあらかじめバイオマス処理装置に備えられている制御手段30によって記録された情報が読み取られたことによって受入れされたことになる(S2)。
制御手段30は、受け入れられた原材の各種情報から各種原材を計量し(S3)、演算手段60によって演算し、C/N比、Lvs、NH4+を求め、最適な混合比率に調整し(S4〜S8)、この決定データを記憶手段61に記録し(S9)、在庫票の発行(S11)、個別票の発行(S12)、を行ない、受け入れられた原材の処理が開始される(S10)。
【0030】
制御手段30の行なうステップS4〜S8は、バイオマス処理施設内にゲート20を通過して受け入れたn個のバイオマス排出業者の納入物の重量と組成情報により受入れ量が適正な値になるように制御する。
2相式メタン発酵装置は、有機物の分解が速く、体積当りのメタン発生速度が良好であるため、一日あたりの単位容積当りの有機物投入量が高くなり、メタン発酵システムとして優位性を備えている。しかし、 メタン菌自身の活性は、アンモニウムイオンの濃度に左右されるものであるところ、全窒素は、材料が分解されるので、嫌気での分解であるため、アンモニア態窒素(NH4+−N)が高くなるので、アンモニウム濃度を3000mg/L以下に制御する必要がある。
【0031】
まず、受入れた原材の炭素/窒素比(以下、「C/N比」という。)が所定値(10<C/N<20)の間に入っているか否かを判断し、C/N>20であれば、原材を減量し、減量した原材を未処理在庫とする(S7)。また、C/N<10であれば、未処理在庫から補充するようにして原材を増量するようにする(S8)。
【0032】
次に、1日に処理する有機物量が所定値内か否か、メタン発酵装置内のアンモニウム濃度が所定値以内に入るように、全有機炭素量(TOC量)から有機物負荷(VS量)に換算し、有機物負荷Lvsが所定値(4kg−VS/m3/日<Lvs<8kg−VS/m3/日)に入るように受入れ総量を制御する(S5)。Lvs>9の場合は、ステップS7にて、原材を減量し、Lvs<4の場合は、ステップS8にて、原材を増量することにより、Lvsを制御して、所定値内となるように調整する。
次に、アンモニウム濃度が所定値(1500mg/L<NH4+<3000mg/L)に入るように受入れ総量を制御する(S6)。NH4+>3000の場合は、ステップS7にて、原材を減量し、NH4+<1500の場合は、ステップS8にて、原材を増量することにより、NH4+を制御して、所定値内となるように調整する。この際、全窒素は、材料が分解されるので、嫌気での分解であるため、アンモニウムの濃度が高くなるので、濃度を制御する際、メタン菌自身の活性は、アンモニウムイオンの濃度に左右されるものであるところ、濃度を3000mg/Lを上限として、原材に希釈水を注入して希釈することで、嫌気的分解によって発生するアンモニウムイオン濃度を制御するようにする。この場合、水理学的平均滞留時間(HRT=全発酵槽液容積(m3)/全流入量(m3/d))が18日以上のとき(S13)、水を注入し(S14)、ステップS7の処理をするようにし、HRTが13日以下の時はステップS2へ戻り原料の選択を変更するようにする。
【0033】
本発明におけるバイオマス処理装置50を、図4、図5を参照して、以下に説明する。2相式メタン発酵装置54は、酸発酵槽54aとメタン発酵槽54bを管やチューブ等のの接続具で接続して構成する。酸発酵槽54aは、有機物を適正嫌気性菌(大腸菌等)によって可溶化、加水分解して、有機酸を作らせる発酵槽で、ガス主成分は、80%が炭酸ガスである。
本発明の処理システムにおいて、2相式メタン発酵装置を採用したことにより、この発酵装置の特徴を生かすシステムを構築できるものである。つまり、2相式メタン発酵装置は、C/N比を10〜20とするように原材の投入を種類別に管理して投入量を制御し(原材のC/N比と投入量の制御)、相分離による菌の活性向上によって、当該システムに投入できる有機物量を従来方法のシステムと比べて、2倍に高めることができるもので、発酵装置として2.5倍〜3倍の処理能力を持つ効率の良いメタンメタン発酵を実現するものである。
【0034】
図4にその筐体と入出口のみを示してある酸発酵槽54aは、直方体の金属製筐体に体内にゴム又は合成樹脂製薄膜を袋状に配設する。袋状のゴム又は合成樹脂製薄膜には気相部の上部に担体及びそれを支持する器具類の搬入口をファスナー等で開封できる構造とする。この袋には、スラリー状の有機系廃棄物を水で適度に薄めて入れる投入口Na4と、微生物によって分解されて発生するバイオガスを貯留する気相部よりガスが出ていくガス圧力制御弁を備えたガス排出口Na5及び微生物によって浄化された処理水が液相部より出ていく排出口Na1,Na2、を備えている。液体及びガスによって直方体の金属製筐体はその底面並びに側面は液体の圧力並びにガスの圧力によって生じる力を支持するだけの強度をもたせる。
また、直方体の金属製筐体には不燃性断熱材を筐体の内側、即ち薄膜と筐体の間に配置し、保温性を確保する。
直方体の幅、長さ及び高さは道路運送法に制約された寸法とし、トレーラにて容易に移動できる構造とする。
ガス排出口Na5より排出されたガスにはメタン、窒素、酸素、二酸化炭素を含むので、大気中にそのまま放出はできないので、バイオガスと共に燃焼させるか.2相式メタン発酵装置の場合には酸発酵槽又は加水分解槽に吹き込み、分解の促進に役立てる。
【0035】
図5にその筐体と入出口のみを示してあるメタン発酵槽54bは密閉構造とされ、酸発酵槽54aと同様に、直方体の金属製筐体に体内にゴム又は合成樹脂製薄膜を袋状に配設する。袋状のゴム又は合成樹脂製薄膜には気相部の上部に担体及びそれを支持する器具類の搬入口をファスナー等で開封できる構造とする。この袋には、酸発酵槽54aの微生物によって浄化された処理水が液相部より出ていく排出口Na1,Na2からの浄化された処理水の投入口Nb1、Nb2と、微生物によって分解されて発生するバイオガスを貯留する気相部よりガスが出ていくガス圧力制御弁を備えたガス排出口Nb5及び微生物によって浄化された処理水が液相部より出ていく排出口Nb4、を備えている。液体及びガスによって直方体の金属製筐体はその底面並びに側面は液体の圧力並びにガスの圧力によって生じる力を支持するだけの強度をもたせる。
また、直方体の金属製筐体には不燃性断熱材を筐体の内側、即ち薄膜と筐体の間に配置し、保温性を確保し、直方体の幅、長さ及び高さは道路運送法に制約された寸法とし、トレーラにて容易に移動できる構造とする。
酸発酵槽54a、メタン発酵槽54bには、ドレイン口Na3、Nb3を設け、廃棄物等を排出するようにしている。
【0036】
酸発酵槽54a、メタン発酵槽54bの袋状のゴム又は合成樹脂製薄膜の内部には、液体の流れに直角に、ステンレス製金網、竹や藤製の網を断面の60〜80%をさえぎるように配置し、これらの担体にメタン菌体が成育させ、流路がジグザグになるようにする事で、液体の混合を図る。
【0037】
メタン発酵槽54bのガス排出口Nb3に備えられたガス圧力制御弁は、200〜600mAqにガス圧を制御するように設定されている。この圧力差400Aqを利用して、ガス圧力が高い場合、メタン発酵槽の処理水は、排出口Nb4から消化脱離槽の逆止弁を通って、消化脱離液槽へ流出する。また、圧力が200mAqにまで低下すると、酸発酵槽54aの排出口Na1,Na2から投入口Nb1,Nb2の逆止弁を通って、酸発酵槽54aの処理水が流入する。
メタン発酵槽と消化脱離液槽の逆止弁の設定圧力は、酸発酵槽の水位、消化脱離液槽の水位から設定される。
【0038】
以上のように、本発明の2相式メタン発酵装置は、有機物の分解が速く、体積当りのメタン発生速度が良好であるため、一日あたりの単位容積当りの有機物投入量が高くなり、メタン発酵システムとして優位性を備えている。
なお、発酵槽は、金属製密閉容器、又はFRP製密閉容器であっても良い。
【0039】
図6に示す図は、1日当りの単位容積あたりの有機物の投入量、つまり、有機物負荷が従来の一槽式のものより多くすることができ、したがって、一日あたりのメタン発生量も有機物負荷の量に応じて大きくなっている。その発生量のピークは、在来の一槽式のものが3kg−VS/m3/日前後であるのに対し、本発明の2相式のものにおいては、6Kg−VS/m3/日前後である。
なお、図6における有機物負荷は、揮発性物質(メタンガスや2酸化炭素としてガス化される有機物、VS:Volatile Solid)とガス発生速度の相関を示している。
【0040】
図7には逆止弁の閉塞防止装置の配管図を示す。
メタン発酵槽54bの内部にメタン発酵液の酸発酵槽への逆流を防止するために、内部の投入口Nb1,Nb2に逆止弁を配設する。さらに、固形物の多い家畜糞尿や生ゴミではこの逆止弁にはきょう雑物がはさまりやすいので、この逆止弁の部分をさらに直径の大きな管で二重に覆い、この二重管の間に処理水又は清水を間欠に流し、きょう雑物の逆止弁上での挟み込みを防止するようにしている。
逆止弁の流れ方向は、液体の流れと直角に置く事で、直方体金属筐体の外側より逆止弁洗浄に必要な処理水又は清水をメタン発酵槽内部への注入する事が容易になる。
排出口Na1,Na2、投入口Nb1、Nb2は、各筐体の側面に設けることで、閉塞時の清掃をし易くするためであり、この逆止弁の両側に設けた筐体は、固形物が逆止弁にかみ込まないためである。
【0041】
また、消化脱離液処理が簡単におこえない事と窒素除去にコストがかかる事、液体肥料として利用するには市場が広くない事に鑑み、消化脱離液槽を付加して、従来技術である空気を消化脱離液中に吹き込む固体粒子の浮上分離法及び鉄電解法によるリンの除去によって、廃水中の浮遊性懸濁粒子の濃度を200mg/L以下にすることにより、土壌処理法の活用を可能としている。
【0042】
そのため、土地面積の制約を考慮して、人工土壌による処理が有効である。人工土壌には岩綿に種々の微生物を担持させたものを直方体袋状の合成樹脂製薄膜の内部に配置する。これを直方体金属筐体内に4段の架台に直方体袋状薄膜を乗せて、水面積を増加させることによって処理効率を高める。部分的に酸素を付加する事で、アンモニアの硝化を促進させることもできる。直方体袋状の合成樹脂製薄膜の内部に担体を配置するためにこの袋の上面部にファスナーで作った搬入口を配置する。
【0043】
本実施例を生ゴミ(食堂の残飯)に適用して、発酵液容量23Lのロックウールを担体化した実験室規模のメタン発酵装置にて約3か月実験を行い、良好な処理を行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のバイオマス処理システムのブロック図。
【図2】本発明のバイオマス処理システムの全体構成のシステムブロック図。
【図3】本発明のバイオマス処理システムの処理の流れを示すフローチャート。
【図4】本発明の2相式メタン発酵装置の酸発酵槽の断面図及び平面図。
【図5】本発明の2相式メタン発酵装置のメタン発酵槽の断面図及び平面図。
【図6】本発明の2相式メタン発酵装置と従来の1槽式メタン発酵槽の有機物負荷とメタン発生量の関係を示す図。
【図7】本発明の2相式メタン発酵装置の逆止弁の閉塞防止装置の断面図及び平面図。
【符号の説明】
【0045】
ICタグ T1〜Tn
バイオマス別容器11〜15
ゲート 20
制御手段 30
分別装置 40
バイオマス処理装置 50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスの種類、原料排出者、量等を識別するための情報が記録されたバイオマス識別手段と、
該バイオマス識別手段が付された前記バイオマスを搬送し、受入れるためのバイオマス搬送・受入れ手段と、
搬送・受入れされた前記バイオマスを処理するバイオマス処理手段と、
搬送・受入れ、処理されたバイオマスの処理状況を記録し、出力する記録・出力手段と
を備え、
前記バイオマス処理手段は、前記バイオマス搬送手段に付された前記バイオマス識別手段に記録された情報を読み取り、各種バイオマス毎の受入れ量によって受け入れた各バイオマスの混合割合を適正に制御するバイオマス配合制御手段を備えていることを特徴とするバイオマス処理システム。
【請求項2】
前記バイオマス処理手段は、酸発酵手段とメタン発酵手段とが各々接続手段で接続された2相式バイオマス発酵手段を備えていることを特徴とする請求項1のバイオマス処理システム。
【請求項3】
前記酸発酵手段とメタン発酵手段は、各々ゴム製の袋状容器、又は金属製密閉容器、又はFRP製密閉容器から構成されていることを特徴とする請求項2のバイオマス処理システム。
【請求項4】
前記酸発酵手段とメタン発酵手段は、発酵処理媒体の逆流を防止する逆流防止手段を備えていることを特徴とする請求項2のバイオマス処理システム。
【請求項5】
前記バイオマス配合制御手段は、前記受け入れられたバイオマスのアンモニアニウム濃度の値が所定値範囲内にあるか否かを判断し、バイオマスの配合を調整するすることを特徴とする請求項1のバイオマス処理システム。
【請求項6】
前記バイオマス配合制御手段は、前記受け入れられたバイオマスの炭素/窒素比、有機物負荷、アンモニアニウム濃度の値が所定値範囲内にあるか否かを判断し、バイオマスの配合を調整するすることを特徴とする請求項1のバイオマス処理システム。
【請求項7】
前記受け入れられたバイオマスの炭素/窒素比(C/N)、有機物負荷(Lvs)、アンモニアニウム(NH4+)の値の所定値範囲は、それぞれ、10<C/N<20、4kg−VS/m3/日<Lvs<8kg−VS/m3/日、1500mg/L<NH4+<3000mg/L、であることを特徴とする請求項1のバイオマス処理システム。
【請求項8】
前記記録・出力手段は、個別票、在庫票、を自動的に発行し、記録することを特徴とする請求項1のバイオマス処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−320894(P2006−320894A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115908(P2006−115908)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(505112152)有限会社筑波バイオテック研究所 (6)
【Fターム(参考)】