説明

バイオ樹脂を含有するバイオトナー、その製造方法、およびバイオ樹脂を含有するバイオトナーで印刷するための方法

少なくとも部分的には再生可能資源に由来するバイオ樹脂成分を含有する、電子写真画像形成に使用するためのバイオトナー。電子写真画像形成に使用するための、バイオ樹脂成分を含有するバイオトナーを製造する方法も提供される。バイオ樹脂を含有するバイオトナーを使用して電子写真画像を形成するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2009年3月19日に提出された合衆国仮特許出願第61/161,588号に関し、その全体を本明細書の一部として援用する。この出願はまた、2009年10月30日に提出された合衆国仮特許出願第61/280,104号に関するものであり、該出願を本明細書の一部として援用する。この出願はまた、2010年2月4日に提出された合衆国仮特許出願第61/337,687号に関し、該出願を本明細書の一部として援用する。
【発明の背景】
【0002】
a.技術分野
この開示は、複写および印刷のような電子写真画像形成において使用するためのトナーに関する。この開示は更に、電子写真画像形成において使用するためのトナーを製造する方法、およびトナーを使用した電子写真画像形成のための方法に関する。
【0003】
b.関連技術の説明
印刷および複写のプロセスは、例えば法的文書、ニュース文書、および団体間の通信文書を再生および頒布するために広く使用されている。従来の印刷および複写のプロセスは、書かれた言語の文字または絵のキャラクターを表す画像を、紙シートのような基板上に貼り付ける。最も現代的な電子写真印刷および複写のプロセスは、文書上に現れる画像を形成するためにトナーを使用する。該トナーは、白または明るいバックグラウンド上で示すために、暗色、例えば黒に着色されることが最も多い。
【0004】
一般に、トナーは一時的な画像を提供するに過ぎず、例えば多くの複写および/または印刷された文書は、数回だけ読みまたは見た後に廃棄される。同様に、殆どの複写された文書は、それらが廃棄されるまでの短期間だけ保存される。トナーに基づく画像を含んだ廃棄された文書は、通常、生物的分解、焼却または再生利用のようなプロセスを介して永久的に破壊される。
【0005】
再生利用は、通常、その上に画像が形成される基体を再使用するために用いられる。印刷された画像からの、トナーの広く普及した再生使用は存在しない。他方、トナーは画像形成プロセスの際に化学的および/または物理的変化を受けることが多く、そのため、再生使用は希な場合にのみ経済的価値を有する。単一文字サイズの画像を形成するために必要なトナーの量は、基体の質量に比べれば殆ど重要ではなく、例えば1文字サイズの画像については0.1グラム未満である。しかし、全世界ベースでは年間に使用されるトナーの累積量は相当なものである。
【0006】
最も慣用的なトナーは、1以上の熱可塑性成分を含有している。典型的には、該熱可塑性成分は、例えばポリエステルのような合成樹脂を含んでいる。殆どのポリエステルは合成であり、例えば精製された材料から製造される。トナーに用いるポリエステル樹脂を製造するために使用されるモノマーは、殆どが一般に鉱物油供給源に由来するものであり、従って石油系モノマーまたは合成モノマーと称される。殆どの鉱物油は化石化された植物および動物と考えられるが、再生可能な資源として生物学的に根拠付けられ、または特徴付けられるものではない。
【0007】
先進国においては、再生可能な資源を、ビジネス過程で消費される部品として利用する傾向にある。例えば、セルロースに基づくポリマーのような一定の生物由来のポリマーは、トナーにおいて従来使用されている石油系ポリマー材料の代替物として示唆されている。
【0008】
トナーは、このように世界中で多量に使用されるので、石油系合成ポリマーを生物由来の熱可塑性プラスチックで置き換えることは、石油資源および/または他の再生不能な資源の使用を実質的に低減するための方策を提供する。公開された特許出願U.S.2007/0015075(その全体を本明細書の一部として援用する)は、生物由来の成分を含有するインキ抜き可能なトナー組成物を開示している。熱可塑性ポリマーおよびタンパク質材料(その各々は、少なくとも部分的には大豆のような天然由来の再生可能な資源でできている)を含有した、インキ抜き可能なトナーが開示されている。この天然由来の熱可塑性ポリマーは、大豆由来の二酸を、合成ジオール成分と反応させて、ポリエステル型の熱可塑性材料を形成することにより製造される。該熱可塑性ポリマーは、生物由来の二酸および/またはジオールに加えて、他の生物由来成分、例えばアミノ酸のようなモノマーを含有してよい。
【0009】
公開された特許出願U.S.2008/0227002(その全体を本明細書の一部として援用する)は、ポリエステル樹脂を含有するトナーを開示している。このポリエステル樹脂は、乳酸のような生物由来の二酸モノマー単位を含んでよい。
【0010】
公開された特許出願U.S.2008/0145775(その全体を本明細書の一部として援用する)は、バイオ系材料から合成された熱可塑性樹脂を開示している。ここの樹脂は、トナーが製造される再生可能な資源材料の含量を増大させる1以上のバイオ系モノマーを含んでよい。
【0011】
トナーに用いられる熱可塑性樹脂に、バイオ系モノマー単位のようなバイオ系成分を含めることは、バイオ由来の材料の純度、安定性およびコストに伴う困難によって妨げられることが多い。例えば、1以上の生物由来のモノマー単位から製造される熱可塑性樹脂は、該熱可塑性樹脂中にそれらの反応した形態で存在する生物由来モノマーの、純度および/または物理的特性に関連した物理的性質の変動を受ける可能性がある。従って、従来のバイオ系樹脂トナーは実際的な使用に適することはこれまで立証されておらず、また典型的な画像形成特性を提供することは証明されていなかった。
【発明の概要】
【0012】
この開示は、電子写真画像形成において使用するためのバイオ樹脂含有バイオトナー、該バイオ樹脂含有バイオトナーの製造方法、および該バイオ樹脂含有バイオトナーを使用した電子写真画像形成のための方法を提供する。この開示は更に、バイオマスまたは植物体のような再生可能な資源に由来する1以上の成分から製造されたバイオトナーを提供する。この開示は更に、再生可能な資源に由来する1以上のバイオ樹脂を含んだバイオトナーから形成された画像を提供する。この開示は更に、再生可能な資源から得たモノマー単位から製造されたバイオ樹脂、および鉱物油のような石油から得たモノマー単位から製造された合成樹脂の両方を含んだ、樹脂混合物を含有することができるバイオトナーを提供する。この開示は更に、少なくとも一つの再生可能な資源に由来するバイオ樹脂含有モノマー単位、および1以上の石油系資源に由来する合成樹脂の混合物を含むことができる組成物を提供する。この開示は更に、再生可能な資源に由来するジオールの反応したモノマーを有するポリエステルである、少なくとも一つのバイオ樹脂を含むことができるバイオトナーを提供する。この開示は更に、再生可能な資源に由来するジオールの反応したモノマー単位および再生可能な資源に由来する二酸の反応した単位を有するポリエステルである、少なくとも一つのバイオ樹脂を含むことができるバイオトナーを提供する。この開示は更に、イソソルビドの反応したモノマー単位、フローラジム(Floradyme)100の反応したモノマー単位、プリポール(Pripol)1013の反応した単位、CHDAの反応した単位、およびトリメチロールプロパン(TMP)の反応した単位を有するポリエステルである、少なくとも一つのバイオ樹脂を含むことができるバイオトナーを提供する。この開示は更に、バイオ樹脂を含むバイオトナーで静電的に画像を形成することと、該画像を基体上に転写することを含む画像形成のための方法を提供する。
【0013】
一つの実施形態では、バイオ樹脂、第二の樹脂および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーが提供される。該バイオ樹脂は、好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つまたは前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物または動物資源から得られたバイオモノマーである。
【0014】
もう一つの実施形態においては、バイオ樹脂、第二の樹脂、ワックス、および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーが提供される。バイオ樹脂は、好ましくは、反応した二酸モノマー単位および反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、ジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の少なくとも一方の少なくとも50モル%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでのモル%は、それぞれジオールモノマー単位または二酸モノマー単位の合計モル数に基づくものである。
【0015】
もう一つの実施形態においては、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および0〜30重量%の磁性成分を含んでなるバイオトナーが提供され、ここでの磁性成分のパーセンテージはバイオ樹脂、1以上の着色剤および存在するときには磁性成分の合計重量に基づくものである。該バイオ樹脂は、好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、該反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または該反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0016】
もう一つの実施形態では、混合装置中でバイオ樹脂、第二の樹脂、および1以上の着色剤を混合してバイオ樹脂混合物を形成することを含んでなる、バイオトナーを製造する方法が提供される。該方法は更に、前記バイオ樹脂混合物を押し出し装置の中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成する工程を含んでいる。該方法は更に、この押し出されたバイオ樹脂混合物を粉砕装置の中で粉砕して、粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、この粉末化されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることを含んでいる。該方法は更に、この分級されたバイオ樹脂混合物に1以上の添加剤を加えて、バイオトナーを形成することを含んでいる。該バイオ樹脂は、好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0017】
もう一つの実施形態では、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および0%〜約30重量%の磁性成分を混合することを含んでなるバイオトナーの製造方法が提供され、ここでの磁性成分のパーセンテージはバイオ樹脂、1以上の着色剤および存在するときには磁性成分の合計重量に基づくものである。該方法は更に、前記バイオ樹脂混合物を押し出し装置の中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成する工程を含んでいる。該方法は更に、この押し出されたバイオ樹脂混合物を粉砕装置の中で粉砕して、粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、粉末化されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることを含んでいる。該方法は更に、この分級されたバイオ樹脂混合物に1以上の添加剤を加えて、バイオトナーを形成することを含んでいる。該バイオ樹脂は、好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0018】
もう一つの実施形態においては、画像を形成する方法が提供される。該方法は、バイオ樹脂、第二の樹脂、および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーを、軸回りに回転する現像スリーブの外周表面に堆積させて、バイオトナーで覆われた現像スリーブを形成することを含んでいる。バイオ樹脂は、好ましくは1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでいる。好ましくは、該反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または該反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。該方法は更に、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブ上に存在するバイオトナーを、前記現像スリーブの周面から均一に離間し且つ該周面の幅全体を横切るドクターブレードまたはドクターバーに接触させて、またはこれに近接して配置することにより、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面全体に前記バイオトナーを分配することを含んでいる。該方法は更に、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面に存在するバイオトナーを、光導電性表面を静電的に帯電させることにより形成された潜像を有する光導電性表面と接触させ、またはその近傍に配置して、前記光導電性表面上にバイオトナー画像を形成することを含んでいる。該方法は更に、前記バイオトナー画像を前記光導電性表面から基板に転写して印刷された画像を形成し、該印刷された画像を前記基板上に融着させることを含んでいる。該方法は更に、前記光導電性表面の表面をワイパーブレードでクリーニングして、バイオトナー残渣を除去することを含んでいる。
【0019】
もう一つの実施形態において画像を形成する方法が提供されるならば、該方法は、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および0〜30重量%の磁性成分(このパーセンテージは、バイオ樹脂、1以上の着色剤および存在するときには磁性成分の合計重量に基づく)を含んでなるバイオトナーを、軸回りに回転する現像スリーブの外周表面に堆積させて、バイオトナーで覆われた現像スリーブを形成することを含んでいる。該バイオ樹脂は、好ましくは1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでいる。好ましくは、該反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または該反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。該方法は更に、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブ上に存在するバイオトナーを、前記現像スリーブの周面から均一に離間し且つ該周面の幅全体を横切るドクターブレードまたはドクターバーと接触させて、またはこれに近接して配置することにより、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面全体に前記バイオトナーを分配することを含んでいる。該方法は更に、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面に存在するバイオトナーを、光導電性表面を静電的に帯電させることにより形成された潜像を有する光導電性表面と接触させ、またはその近傍に配置して、前記光導電性表面上にバイオトナー画像を形成することを含んでいる。該方法は更に、前記バイオトナー画像を前記光導電性表面から基板に転写して印刷された画像を形成し、該印刷された画像を前記基板上に融着させることを含んでいる。該方法は更に、前記光導電性表面の表面をワイパーブレードでクリーニングして、バイオトナー残渣を除去することを含んでいる。
【0020】
上記の説明は、以下の詳細な説明がより良く理解され、且つ当該技術に対するこの開示の寄与がより良く認められるように、むしろ広く、開示された実施形態の概要を記載している。開示された実施形態の幾つかは、上記の概要に列記された特徴または特性の全てを含んではいないかもしれない。勿論、以下で述べる他の特徴が存在し、該特徴が特許請求の範囲の主題を形成する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
下記の添付図面と組み合わせて考慮したとき、以下の詳細な説明を参照することにより開示された実施形態がより良く理解されるので、該実施形態およびそれに付随する多くの利点の更に完全な理解が容易に得られるであろう:
【図1】図1Aは、電子写真印刷を実行するための電子写真画像形成装置における種々の内部部品の概略図である。図1Bは、図1Aの電子写真画像形成装置において、ドクターブレードの代りに使用されてよいドクターバーの概略図である。
【図2A】図2Aは、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーの組成を示す表を表している。
【図2B】図2Bは、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件を示し、また実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する実験の結果を示す表を表している。
【図3A】図3Aは、実施例1〜11および比較例1〜5のための磁性バイオトナーの組成を示す表を表している。
【図3B】図3Bは、実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件を示し、また実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する実験の結果を示す表を表している。
【詳細な説明】
【0022】
次に、開示された実施形態を以下で更に十分に説明する。幾つかの異なる実施形態が提供されるが、ここに記載する実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これら実施形態は、この開示が詳細で且つ完全であるように、またこの開示の範囲を当業者に十分に開示するように提供されるものである。他の実施形態は、開示された実施形態の範囲を逸脱することなく利用され得ることが理解されるべきである。また、ここで用いられる語句および用語は説明目的のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。以下で提示する方法工程の順序は何れか特定の順序に限定されるものではなく、必ずしも、それらが提示された順序で実施されなければならないことを意味するものではない。当業者は、これら工程の順序が、何れか適切な方法で再構成して実施できることを理解するであろう。更に、当業者は幾つかの工程が省略または追加されてよく、それでもやはり開示された実施形態の精神の範囲内にあることを理解するであろう。
【0023】
バイオ樹脂モノマー類: 本開示のバイオトナーのバイオ樹脂は、植物材料および/または再生可能な資源等のバイオマスに由来する少なくとも一つのモノマーの反応した単位を含んでいる。再生可能な資源および/またはバイオマスに由来するモノマー単位を、ここではバイオモノマーと称する。バイオ樹脂のバイオモノマーは、好ましくはジオールおよび/または二酸であり、各々が熱可塑性材料の反応した単位として提示されてよい。この熱可塑性材料は、好ましくは1以上のポリエステル単位または1以上のポリエステルポリマーを含んでいる。該バイオ樹脂は、ジオールバイオモノマーおよび二酸バイオモノマーの両者を含む熱可塑性ポリエステルポリマーであるのが特に好ましい。
【0024】
バイオ樹脂は、好ましくは1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つおよび前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。最も好ましくは、バイオ樹脂は、二つの反応した二酸モノマー単位および一つの反応したジオールモノマー単位を含んでいる。
【0025】
前記バイオ樹脂のジオールバイオモノマー単位は、少なくとも約5重量%の量で存在し、ここでの重量%は、バイオ樹脂中の全てのジオールモノマー単位の合計重量に基づいている。好ましくは、前記バイオ樹脂のジオールバイオモノマー単位は少なくとも約30重量%の量で存在し;より好ましくは、バイオ樹脂のジオールバイオモノマー単位は少なくとも約50重量%の量で存在し;最も好ましくは、バイオ樹脂のジオールバイオモノマー単位は少なくとも約70重量%の量で存在する。
【0026】
好ましくは、バイオ樹脂の二酸バイオモノマー単位は少なくとも約5重量%の量で存在し、ここでの重量%は、バイオ樹脂中の全ての二酸モノマー単位の合計重量に基づいている。より好ましくは、バイオ樹脂の二酸バイオモノマー単位は少なくとも約10重量%の量で存在し;最も好ましくは、バイオ樹脂の二酸バイオモノマー単位は少なくとも約30重量%の量で存在する。
【0027】
好ましくは、少なくとも一つの二酸モノマー単位または少なくとも一つのジオールモノマー単位の少なくとも約5重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量パーセントに基づいている。より好ましくは、少なくとも一つの二酸モノマー単位および少なくとも一つのジオールモノマー単位の少なくとも約5重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量パーセントに基づいている。更に好ましくは、非磁性バイオトナーの実施形態については、二酸モノマー単位の少なくとも一つまたはジオールモノマー単位の少なくとも一つの少なくとも約57重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、また更に好ましくは、非磁性バイオトナーの実施形態について、二酸モノマー単位の少なくとも一つまたはジオールモノマー単位の少なくとも一つの少なくとも約57重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量パーセントに基づいている。更に好ましくは、磁性バイオトナーの実施形態については、二酸モノマー単位の少なくとも一つまたはジオールモノマー単位の少なくとも一つの少なくとも約50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、また更に好ましくは、非磁性バイオトナーの実施形態について、二酸モノマー単位の少なくとも一つまたはジオールモノマー単位の少なくとも一つの少なくとも約50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量パーセントに基づいている。
【0028】
当該バイオ樹脂はまた、(i)リサイクルおよび/または生分解のためのバイオ樹脂の適合性が損なわれないように、および/または(ii)該バイオ樹脂を含有するバイオトナーの画像形成特性が損なわれないように、実質的にバイオモノマー単位からなっていてよい(例えば、減損は同じバイオモノマー単位からなるバイオ樹脂の特性に比較して5%変化よりも大きい)。
【0029】
バイオ樹脂共重合体中に存在するポリエステルバイオ樹脂またはポリエステル単位は、ジオールバイオモノマー単位および二酸バイオモノマー単位の両方、また任意には、バイオ架橋モノマー単位を含んでいてよい。例えばバイオ樹脂は、異なるポリマー、例えばポリスチレン、ポリエチレン、および/またはポリプロピレン樹脂のブロックに加えて、ポリエステルポリマーまたはポリエステル単位のブロックを含んでよい。
【0030】
本開示の一つの実施形態において、バイオトナーは、バイオモノマーのようなバイオ由来のビルディングブロックからなる1以上の成分を含んでいる。加えて、バイオトナー中に存在する何れか他の成分も同様に、主に再生可能な資源に由来し、または再生可能な資源のみに由来することが好ましい。従って、バイオトナーは、カンデリラ(candelilla)ワックス、ホホバ油(jojoba oil)、および/または大豆由来の材料のような植物性供給源に由来するワックスを含んでよい。バイオ供給源および/または再生可能な資源に由来する成分の合計量には、本開示のバイオトナーを使用して画像形成を実行する前および/または後に、バイオトナー中に存在する如何なる材料も含まれる。
【0031】
<ジオール>: ジオールモノマー単位は、1以上のビスフェノールAアルキレンオキシド付加生成物であってよい。該ビスフェノールAアルキレンオキシド付加生成物は、好ましくは、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、および水素化ビスフェノールAの1以上を含んでなるものであってよい。
【0032】
2〜10の炭素原子を含むジオールおよび他の多価水酸基化合物、好ましくは4〜12の炭素原子を有するグリコールエーテル類またはジオールエーテル類を含む、再生可能な資源および/または既知の供給源に由来するものが、当該バイオ樹脂中に含められてよい。適切なグリコール類には、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に加えて、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパン−ジオール)、1,3-プロパンジオール、2-メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、同様のグリコールおよびジオール類、およびそれらの混合物が含まれる。
【0033】
ジオール化合物には更に、6〜20の炭素原子を有する脂環式ジオール、または3〜20の炭素原子を有する脂肪族ジオールが含まれる。その例には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−(1,3)、2−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−di−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ1,1,3,3−テトラ−メチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン、ネオペンチルグリコール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン、およびそれらの混合物等が含まれる。ポリエステルは、2以上の上記ジオールから調製されてよい。
【0034】
三価以上の多価アルコール成分には、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチルオレタン(trimethyl olethane)、トリメチロールプロパン、および1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが含まれる。
【0035】
本開示の特に好ましい実施形態において、バイオ樹脂には、三価水酸基モノマー、例えばトリオールが含まれる。好ましくは、トリオールはバイオ樹脂のポリエステル部分の合計重量に基づいて、約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。他の開示された実施形態において、このトリオールは約0.5重量%〜約4.5重量%、約1.0重量%〜約4.0重量%、約1.5重量%〜約3.5重量%、約2.0重量%〜約3.0重量%、および/または約2.5重量%の量で存在する。トリオールは、バイオ樹脂において架橋を提供するように働く。この架橋は、好ましくは、バイオトナー中に使用されたときに、定着および/またはオフセット特性を犠牲にすることなく、改善された硬さおよび靭性の能力を提供するために有効である。該トリオールは、ジオールおよび二酸バイオモノマーと同じように、石油資源以外の天然資源および/または再生可能な資源に由来するものであってよい。好ましいトリオールは、トリメチロールプロパン(TMP)である。
【0036】
好ましいジオールは、トウモロコシ原料のような1以上の再生可能な資源から得たバイオ系材料である。グリセロールは、この開示のバイオ樹脂において、ジオールとして使用し得るポリオールの一例である。グリセロールは、脂肪酸および/または食物の油揚げに普通に使用される植物油等の油から得てよい。グリセロールは、好ましくは廃棄された食用油をバイオジーゼル燃料に変換する供給源から得られる。もう一つの好ましい実施形態において、前記ジオールはエチレングリコールである。
【0037】
本開示の特に好ましい実施形態において、ジオールバイオモノマーはイソソルビド(例えばジアンヒドロヘキシトール)、および/またはその異性体または誘導体であり、それには(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール)またはそれらの異性体および/または異性体の混合物が含まれ、これにはD−イソソルビドが含まれ、また1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトールおよび1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−イジトールはイソソルビドの異性体である。ジオールがイソソルビドであるとき、それは全ジオール単位の大部分として存在し、即ち、ジオールモノマー単位の少なくとも50重量%がイソソルビドモノマー単位である。他の実施形態において、イソソルビドは、バイオ樹脂中に存在する全ジオールモノマー類の合計重量の少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%で存在してよい
<カルボン酸>: ジカルボン酸モノマー単位には、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸の両方が含まれる。好ましくは、ポリエステルバイオ樹脂の二酸モノマー単位は、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸の1以上、またはそれらの無水物もしくはそれらのエステル;アルキルジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸およびアゼライン酸、またはそれらの無水物もしくはそれらのエステル;6〜12の炭素原子を有するアルキル基で置換されたコハク酸、またはその無水物;不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸、またはそれらの無水物もしくはそれらのエステルである。これらのモノマー単位は、ジオールのようなアルコールとの縮合により誘導された反応した形態で存在し、遊離の酸、エステルまたは無水物としては存在しない。
【0038】
特に好ましい実施形態において、バイオトナーはアルコール成分としてビスフェノール誘導体、および酸成分として二塩基酸以上の多価カルボン酸またはそれらの酸無水物(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、またはピロメリット酸)を有するポリエステル単位を含んでいる。
【0039】
トリカルボン酸モノマー単位もまた、本開示のバイオ樹脂中に含まれてよい。四価以上のポリカルボン酸モノマー単位もまた、1以上のジオールモノマー単位と縮合した形態で存在してよい。好ましくは、トリカルボン酸および/またはポリカルボン酸モノマー単位は、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物またはエステルの1以上である。この三塩基酸以上のポリカルボン酸成分は、好ましくは全体のモノマーの合計重量%に基づいて約0.1重量%〜約1.9重量%の量で使用されてよい。
【0040】
二酸は、好ましくは綿の実、アブラナ、大豆、トール油、牛脂、および/または他の天然由来もしくは天然に存在する脂肪酸供給源のような、再生可能な資源に由来するものである。フロリダ州ジャクソンビルのフローラケム(Florachem)から入手可能な二量体酸製品のような、商業的に入手可能な二酸が特に好ましい。好ましい商業的に入手可能な二酸は、約98%の二量体二酸物質を含有するフローラジム(Floradyme)1100である。フローラジム二量体酸は、脂肪酸供給源を触媒の存在において加熱し、得られた生成物を蒸留することにより形成される。フローラジム1100はC18脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸および/またはリノレン酸の二量体化に由来するものを含んでいる。三量体酸の二酸を含有するフローラジム1500および/またはフローラジム6500のような他の蒸留物もまた、トナーのバイオ樹脂中に存在してよい。もう一つの好ましい商業的に入手可能な二酸は、プリポール(Pripol)1013である。
【0041】
バイオトナーのバイオ樹脂を製造するために使用される二酸は、好ましくは1回以上の蒸留を通して精製される。この蒸留は、当該二酸を製造している間の何れの時点で行われてもよい。例えば、脂肪酸原料を蒸留に掛けて二量体化を受け得る純粋な出発材料を提供し、更なる精製を伴わずに、開示された実施形態の二量体として使用されてよい。好ましくは、低沸点の非二量体化物質を望ましい生成物から効率的に分離できるように、二酸は二量体化の後に蒸留を受ける。
【0042】
本開示の好ましい実施形態において、バイオ樹脂は1以上のバイオモノマーおよび1以上の石油系モノマーの両方を含んでいる。例えば、バイオ樹脂は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような石油モノマー、およびフローラジム1100およびプリポール1013のようなバイオモノマー二酸を含んでよい。石油系二酸モノマーは、全ての二酸モノマー単位の合計重量%に基づいて、0重量%〜約95重量%の量で存在してよい。フローラジム二酸は、全ての二酸モノマー単位の合計重量%に基づいて、約5重量%〜100重量%の量で存在してよい。アルコール系または酸系の架橋モノマー単位のような1以上の追加のモノマー単位もまた、反応した単位としてバイオじゅしちゅうに存在してよい。
【0043】
好ましくは、本開示のバイオトナーのバイオ樹脂は、異なる二酸バイオモノマー単位および/または異なるジオールバイオモノマー単位の混合物を含んでいる。例えば、バイオ樹脂は、少なくとも二つの異なる種類の二酸またはジオールと組み合わせて、それぞれ一つの種類のジオールまたは一つの種類の二酸のみを含んでよい。好ましい実施形態において、バイオ樹脂は二つの異なる二酸および1以上のジオールの重合した単位を含んでいる。このような二酸の混合物は、例えばフローラジム1100のようなフローラジムモノマー単位および1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸(CHDA)を含んでよい。好ましくは、バイオ樹脂は、少なくとも二つの異なる二酸モノマー単位および少なくとも一つのジオールモノマー単位を含有するモノマー単位の混合物から製造される。このようなバイオ樹脂の例は、実質的に等モル数のジオールおよび二酸モノマー単位を含んでおり、モノマー単位は約20重量%〜約60重量%のCHDA;約5重量%〜約40重量%のフロリダジム1100および/またはプリコール1013;約20重量%〜約60重量%のイソソルビド;および約1.5重量%〜約5.0重量%の架橋剤[例えばトリメチロールプロパン(TMP)]の量で存在し;ここでの重量%は全ての重合したモノマー単位の合計重量に基づいている。より好ましくは、約30重量%〜約50重量%のCHDA;約10重量%〜約30重量%のフロリダジム1100および/またはプリコール1013;約30重量%〜約50重量%のイソソルビド;および約2.0重量%〜約4.0重量%の架橋剤[例えばトリメチロールプロパン(TMP)]であり;更に好ましくは、約35重量%〜約45重量%のCHDA;約15重量%〜約25重量%のフロリダジム1100および/またはプリコール1013;約35重量%〜約45重量%のイソソルビド;および約2.5重量%〜約3.5重量%の架橋剤[例えばトリメチロールプロパン(TMP)]である。述べられた範囲の整数値および小数値は、明示的に記載されたのと同様にここに含められる。
【0044】
好ましいバイオ樹脂は、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズ社から得てよく、HRJ・16062−A,B,C,およびDとしてこのようなバイオ樹脂を含んでよい。
【0045】
<二つの樹脂組成物>: 好ましい開示された実施形態において、バイオトナーは少なくとも二つの異なる熱可塑性樹脂を含んでおり、その一方はバイオ樹脂であり、他方は主に石油資源に由来する第二の樹脂、例えば主に石油系モノマーを含有する樹脂である。本開示のこの実施形態においてバイオ樹脂は、好ましくは、バイオトナー中に存在する全ての樹脂の合計重量に基づいて主要な量で存在する。好ましくは、第二の樹脂は1以上の石油系モノマーを含んでなるポリマーである。しかし、第二の樹脂はまた、少量成分としてバイオモノマーを含んでもよい。石油供給源に由来する樹脂を少量成分として本開示のバイオトナー中に含めることにより、画像形成プロセスの最中および画像形成後の改善された靭性、オフセット、および/または固着の特性を有するバイオトナーを提供し得る。
【0046】
他の開示された実施形態において、バイオトナーは第一のバイオ樹脂および第二のバイオ樹脂、また任意には、石油および/または再生可能な資源に由来する幾つかの追加の樹脂を含んでいる。この開示された実施形態において、第一のバイオ樹脂および第二のバイオ樹脂の混合物は、同時に本開示の樹脂組成物および/またはバイオトナーの合計バイオ含量を増大させながら、バイオ樹脂および石油供給源に由来する樹脂の両方を含有するトナーから得られる特性に類似し、またはこれに密接に一致した画像形成特性および物理的特性を提供し得る。
【0047】
バイオ樹脂および石油樹脂のような第二の樹脂がバイオトナーの中に存在するとき、バイオ樹脂は、バイオトナーの中に存在するバイオ樹脂および第二の樹脂(石油樹脂)の合計重量に基づいて、好ましくは約5重量〜100重量%、より好ましくは約30重量〜100重量%、最も好ましくは約50重量〜100重量%の量で存在する。第二の樹脂(石油樹脂)は、バイオトナーの中に存在するバイオ樹脂および第二の樹脂(石油樹脂)の合計重量に基づいて、好ましくは0重量%〜95重量%の量で存在する。
【0048】
<軟化点(Sp)>: 本開示の特に好ましい実施形態において、バイオトナーは、異なる軟化点を有する少なくとも二つの異なる熱可塑性樹脂を含んでいる。該樹脂の一つは、好ましくはバイオ樹脂である。好ましくは石油系供給源に由来する少なくとも一つの異なる第二の樹脂(石油樹脂)が同様に存在する。好ましくは、バイオ樹脂の軟化点は約70℃〜約170℃である。より好ましくは、バイオ樹脂の軟化点は約100℃〜約150℃である。最も好ましくは、バイオ樹脂の軟化点は約130℃〜約135℃である。第二の樹脂の軟化点は、約75℃〜約200℃である。より好ましくは、第二の樹脂の軟化点は、好ましくは約90℃〜約180℃である。最も好ましくは、第二の樹脂の軟化点は、好ましくは約90℃〜約140℃である。バイオ樹脂および第二の樹脂の軟化点は、ここに開示された範囲内の如何なる値を取ってもよい。
【0049】
<ガラス転移温度>: 少なくとも一つのバイオ樹脂および少なくとも一つの第二の樹脂を含んだバイオトナーにおけるガラス転移温度(Tg)は、同様に、好ましくは異なっている。本開示のバイオトナーに存在するバイオ樹脂は、好ましくは約45℃〜約70℃のガラス転移温度、より好ましくは約50℃〜約65℃のガラス転移温度、更に好ましくは、約55℃〜約60℃のガラス転移温度を有する。
【0050】
<ASTM>: 本開示のバイオトナーにおけるバイオ系材料および/または本開示のバイオトナーの何れかの成分の含量は、好ましくは、その全体を本明細書の一部として援用するASTM・D6866−08「放射性炭素分析を使用して固体、液体サンプルおよび気体サンプルのバイオ系材料の含量を決定するための標準試験法」に従って決定される。この方法は、一定の炭素同位体(14C)の含量に従って、バイオ系材料の含量を決定する。非磁性バイオトナーの実施形態については、好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って少なくとも約5%のバイオ系材料の含量を有し;より好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って少なくとも約30%のバイオ系材料の含量を有し;最も好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って少なくとも約50%のバイオ系材料の含量を有する。磁性バイオトナーの実施形態については、好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って、少なくとも約10%のバイオ系材料の含量を有し;より好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って少なくとも約20%のバイオ系材料の含量を有し;最も好ましくは、本開示のバイオトナーは、ASTM・D6866に従って少なくとも約20%のバイオ系材料の含量を有する。
【0051】
<石油樹脂>: バイオ樹脂と組み合わせて使用される第二の樹脂(石油樹脂)は、トナー組成物を形成するために従来使用されている如何なる樹脂であってもよい。このような樹脂には、スチレンアクリレート樹脂および全ての種類のポリエステル樹脂、並びに共重合体ポリエステル樹脂が含まれる。好ましい石油樹脂には、日本国のサンヨウケミカル・インダストリーズLtd.から入手可能なMC400ポリエステル樹脂およびMC500ポリエステル樹脂のような、MCラインの樹脂が含まれる。スチレンアクリル型トナー樹脂を含んだ日本国サンヨウケミカル・インダストリーズLtd.のHIMER樹脂も含まれてよい。他の好ましい商業的に入手可能な樹脂には、日本国サンヨウケミカル・インダストリーズLtd.から入手可能なMC610およびMC703、並びに韓国SKケミカルズCo.Ltdから入手可能なET2900が含まれてよい。他の樹脂には、スチレン樹脂、飽和もしくは不飽和のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、イオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ロジン修飾マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、またはポリビニルブチラール樹脂の1以上が含まれてよく、例えばバイオトナーの中に含められてよい。ポリエステル樹脂は、追加の第二の樹脂として特に好ましい。
【0052】
スチレン樹脂は、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、 スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル 共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリレート共重合体、スチレン/アクリレート/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリレート共重合体、スチレン/メタクリレート/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/メチルα-クロロアクリレート共重合体、またはスチレン/アクリロニトリル/アクリレート共重合体のような、スチレンまたはスチレン誘導体を含んだホモ重合体または共重合体であってよい。それらの混合物であってもよい。ここで、アクリレートまたはメタクリレートのためのエステル基は特に限定されないが、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、またはフェニルエステルのようなC1−8炭化水素エステルであってよい。更に、α-クロロアクリル酸またはα-ブロモアクリル酸のような置換モノカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、またはマレイン酸モノブチルのような不飽和ジカルボン酸、それらの無水物またはそれらの半エステルにより置換された、上記アクリル酸またはメタクリル酸の一部または全部を有するものもまた、適切に使用されてよい。
【0053】
特に好ましいのは、スチレン/アクリレート共重合体、スチレン/アクリレート/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリレート共重合体、スチレン/メタクリレート/アクリル酸共重合体、およびスチレン/メタクリレート/メタクリル酸共重合体からなる群から選択される第二の樹脂である。何故なら、これらの樹脂は優れた定着性、耐久性および静電的安定性を与えるからである。
【0054】
更に、第二の樹脂のガラス転移温度(Tg)は、低エネルギーでの定着のために、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。更に、粘着防止特性の観点から、このようなTgは、好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも50℃である。Tgは、二つの接線の交点における温度として測定され、かかる接線は示差走査熱量計(日本国シマズコーポレーションにより製造されたDTA−40) により10℃/分の温度上昇条件下で測定された曲線の転移開始(曲率の変化)部分において引かれる。
【0055】
開示された実施形態において、第二の樹脂のSpおよびTgは、樹脂の種類およびモノマーの組成比、並びに分子量等を調節することによって、上記範囲に調節することができる。更に、商業的に入手可能な樹脂のうちで、上記範囲内にSpおよびTgを有するものを適切に選択および使用することが可能である。
【0056】
スチレン/アクリレート共重合体、またはスチレン/アクリレート/アクリル酸 共重合体が第二の樹脂として使用されるときには、少なくとも2,000、より好ましくは少なくとも2,500、更に好ましくは少なくとも3,000で、且つ好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、更に好ましくは35,000以下のゲル透過クロマトグラフィー(以下ではGPCと称する)による数平均分子量が好ましい。更に、かかる第二の樹脂は、好ましくは同じ方法で得られた少なくとも50,000、より好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは5000,000以下の重量平均分子量を有する。スチレン樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲内であるときは、バイオトナーの耐久性、保存安定性、および定着特性は良好であり、望ましいものである。ここでのGPCによる平均分子量の値は、単分散ポリスチレンを標準サンプルとして使用することにより計算された値である。架橋された成分も存在してよい。架橋された成分は、1以上の架橋可能なモノマー単位、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、またはジアリルフタレート、およびそれらの組み合わせを含んでいる。更に、ペンダント基としてグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、またはアクロレインのような反応性基を有するモノマーを用いることが可能である。ラジカル重合可能な二官能性モノマーが好ましく、更に好ましいのはジビニルベンゼンまたはヘキサンジオールジアクリレートである。
【0057】
架橋可能なモノマー単位は、好ましくは追加の第二の樹脂中に、100重量%の追加の第二の樹脂当たり約0.05重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約5重量%、特に好ましくは約0.8重量%〜約3重量%の量で存在する。高温オフセットは、1以上の架橋可能なモノマー単位を有する追加の樹脂を含めることによって増大し得る。
【0058】
<共重合体樹脂>: バイオ樹脂および/または石油樹脂のような第二の樹脂は、ポリエステル樹脂および/または1以上のポリエステル単位を含んでなる重合体(例えばバイオ樹脂共重合体および/または共重合ポリエステル)であってよい。ポリエステル単位は、ポリエステル単位のブロック(その構造中に、例えば少なくとも一つのジオールモノマー単位および少なくとも一つのジカルボン酸単位を含んでなる単位)を含んでいる。1以上の他の単位に加えてポリエステル単位を含むバイオ樹脂は、好ましくは、該他の樹脂中に1以上の他のバイオモノマーを含んでいる。このような他の樹脂は、石油の再生可能な資源に由来し得る1以上のビニル系モノマー単位を含んでよい。
【0059】
バイオ樹脂共重合体を合成するために使用できるモノマー単位の例には、窒素原子含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリレートモノマー、およびメタクリレートモノマーから選択されるスチレン系モノマーが含まれる。スチレン系モノマーには、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、およびp−n−ドデシルスチレン、並びにそれらの誘導体のようなスチレン類が含まれてよい。
窒素原子含有ビニル系モノマーの例には、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジエチルアミノエチルメタクリレートのようなアミノ酸含有α−メチレン脂肪族モノカルボキシレートエステル、並びにアクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびアクリルアミドのようなアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体が含まれる。
【0060】
カルボキシル基含有モノマーの例には、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、およびメサコン酸のような不飽和二価酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、およびアルケニルコハク酸無水物のような不飽和二価酸無水物;マレイン酸メチル半エステル、マレイン酸エチル半エステル、マレイン酸ブチル半エステル、シトラコン酸メチル半エステル、シトラコン酸エチル半エステル、シトラコン酸ブチル半エステル、イタコン酸メチル半エステル、アルケニルコハク酸メチル半エステル、フマル酸メチル半エステル、およびメサコン酸メチル半エステルのような不飽和塩基性酸半エステル;マレイン酸ジメチルおよびフマル酸ジメチルのような不飽和二価酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびケイ皮酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物およびケイ皮酸無水物のようなα,β−不飽和酸の無水物;上記のα,β−不飽和酸と低級脂肪酸の無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、およびアルケニルアジピン酸、並びにその酸無水物およびそのモノエステルが含まれる。
【0061】
ヒドロキシル基含有モノマーの例には、アクリルエステルまたはメタクリルエステル、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレート;並びに4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレンおよび4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンが含まれる。
【0062】
アクリレートモノマーの例には、アクリレート類、例えばメチルアクリレート, エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート, およびフェニルアクリレートが含まれる。
【0063】
メタクリレートモノマーの例には、α−メチレン脂肪族モノカルボキシレート、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびジエチルアミノエチルメタクリレートが含まれる。
【0064】
<ワックス>: バイオトナーの例には、好ましくは、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンまたは共重合体ポリエチレンのようなポリオレフィンワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタネートまたはステアリン酸ステアリルのような長鎖脂肪基を有するエステル型ワックス;水素化ひまし油、カルナバワックスのような植物由来のワックス;キャンデリラワックス、ライスワックス、ハゼワックス、またはホホバ油;ジステアリルケトンのような長鎖アルキル基を有するケトン;シリコーンワックス;ステアリン酸およびその金属塩のような高級脂肪酸;エイコサノールのような長鎖脂肪族アルコール;長鎖脂肪酸およびグリセロールもしくはペンタエリスリトールのような多価アルコールから得られる多価アルコールのカルボン酸エステルもしくは部分エステル;オレイン酸アミドまたはステアリン酸アミドのような高級脂肪酸アミド;または低分子量ポリエステルが含まれる。
【0065】
本開示の好ましい実施形態において、バイオトナーは、日本国のNOFコーポレーションおよびロードアイランド州コンベントリー市のクラリアントからそれぞれ商業的に入手可能な、WE3およびC5551ワックスを含んでいる。WE3は、長い炭素鎖を含んでなる脂肪族エステル型ワックスである。C5551は、低分子量ポリエチレンワックスである。磁性バイオトナー実施形態のための好ましい実施形態において、バイオトナーは日本国NOFコーポレーションから入手可能なWE10ワックス、およびC5551ワックスを含むことができる。WE10は、異なる長さの炭素鎖の混合物を含んだ脂肪族エステル型ワックスである。磁性バイオトナー実施形態のためのより好ましい実施形態において、バイオトナーは、ロードアイランド州コンベントリー市のクラリアントから入手可能なP110ワックスを含むことができる。P110は、低分子量ポリエチレンワックスである。バイオトナーは、日本国東京のミツイケミカルズからのポリプロピレンワックス、例えばNP505のような1以上の追加のポリオレフィンワックスを含んでよい。バイオトナーは、上記ワックスの何れかの混合物を含んでもよい。
【0066】
非磁性バイオトナーの実施形態については、ワックスは、好ましくはバイオトナーの合計重量に基づいて10重量%以下の合計量でバイオトナーの中に存在し、より好ましくは、該ワックスは、バイオトナーの全重量に基づいて約2重量%〜約2.5重量%の量でバイオトナーの中に存在する。磁性バイオトナーの実施形態について、ワックスは好ましくは、バイオトナーの合計重量および全てのワックスの合計重量に基づいて約1重量%〜約30重量%、より好ましくは約2重量%〜約20重量%、最も好ましくは約2重量%〜約15重量%の合計量でバイオトナー中に存在する。ワックスの含量が低すぎれば、低温定着性、高温オフセット性、または粘着防止のような特性が不十分になる可能性があり、またワックスが過剰な量で存在すれば、該ワックスはバイオトナーから漏出し易く、および/または画像滲みを生じ易い。
【0067】
ワックスは以下のものを含んでよい:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、微結晶ワックス、パラフィンワックス、またはフィッシャートロプシュのワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;ポリエチレンオキシドワックスのような脂肪族炭化水素ワックスオキシドまたは脂肪族炭化水素ワックスのブロック共重合体;主成分としてカルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、またはモンタネートワックスのような脂肪族エステルを含有するワックス;および脱酸素化されたカルナバワックスのような部分的または全体的に脱酸素化された脂肪族エステルを含有するワックス。更に、ワックスの例には、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸のような線形の飽和脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、およびバリナリン(barinarin)酸のような不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルノービル(carnaubyl)アルコール、セリルアルコール、およびメリシルアルコールのような飽和アルコール;ソルビトールのような多価アルコール;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、およびモンタン酸のような脂肪酸と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルノービルアルコール、セリルアルコール、およびメリシルアルコールのようなアルコールとのエステル;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪族アミド;メチレンビスステアラミド、エチレンビスカプラミド、エチレンビスラウラミド、およびヘキサメチレンビスステアラミドのような飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレアミド、ヘキサメチレンビスオレアミド、N,N’−ジオレイルアジパミド、N,N’−ジオレイルセバカミドのような不飽和脂肪族アミド;m−キシレンビスステアラミド、およびN,N’−ジステアリルイソフタラミドのような芳香族ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩(一般には金属石鹸と称される);脂肪族炭化水素ワックスに対して、スチレンおよびアクリル酸のようなビニル系モノマーがグラフトされたグラフトワックス;ベヘン酸モノグリセリドのような、脂肪酸とポリアルコールが部分的にエステル化した化合物;および植物油の水素化により得られたヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
【0068】
高級脂肪酸エステルワックス、共重合体ポリエチレンのようなオレフィンワックス、またはパラフィンワックスが好ましい。この高級脂肪酸エステルワックスは、特に好ましくは、C15−30脂肪酸と一価〜五価のアルコールとのエステル、例えば好ましくは植物供給源に由来するベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、またはモンタン酸グリセリドである。更に、エステルのアルコール成分は、好ましくは、一価アルコールの場合は10〜30の炭素原子、多価アルコールについては3〜10の炭素原子を有する。好ましいシリコーンワックスは、アルキル修飾されたシリコーンワックスである。
【0069】
好ましくは、磁性バイオトナーの実施形態については、ワックスは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも50℃、特に好ましくは少なくとも60℃の融点を有する。更に、磁性バイオトナーの実施形態については、ワックスは、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、特に好ましくは110℃以下の融点を有する。融点が低過ぎればワックスが表面に露出され易く、従って定着後に粘着性を呈し、また融点が高過ぎれば低温での定着特性が悪くなる傾向にある。
【0070】
<DSC(示差走査熱量測定)>: 示差走査熱量測定またはDSCは、サンプルおよびレファレンスの温度を増大させるために必要な熱量における差が温度の関数として測定される熱分析技術である。好ましくは、当該バイオトナーは、示差走査熱量(DSC)測定において、約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有する。ピーク温度がこの範囲外であれば、ワックスは表面に露出し易く、従って定着後に粘着性を呈し、または低温での定着特性が劣化する傾向にある。
【0071】
<着色剤>: 本開示のバイオトナーは、例えば無機顔料および/または有機顔料もしくは染料のような1以上の着色剤を含んでいる。即ち、着色剤は、ファーネスブラックもしくはランプブラックのようなカーボンブラック、ベンジジンイエローまたはベンジジンオレンジのようなアゾ染料の沈澱剤による沈殿物のような酸性染料もしくは塩基性染料、またはキノリン黄、酸性緑もしくはアルカリ青のような染料、または例えばタンニン酸もしくはホスホモリブデン酸によるローダミン、マゼンタもしくはマラカイト緑のような色素の沈殿物、ヒドロキシアントラキノンの金属塩のような媒染染料、有機顔料、例えばフタロシアニン青もしくはスルホン酸銅フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料、キナクリドン赤もしくはキナクリドン紫のようなキナクリドン顔料、またはジオキサン顔料、または合成染料、例えばアニリン黒、アゾ染料、ナフトキノン染料、インジゴ染料、ニグロシン染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、またはジもしくはトリ−アリルメタン染料の1以上を含んでよい。非磁性バイオトナーの実施形態の場合、好ましくは、着色剤はカーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、またはフタロシアニン着色剤、またはそれらの混合物を含む。磁性バイオトナーの実施形態の場合、好ましくは、着色剤は磁鉄鉱、カーボンブラック、またはそれらの混合物を含む。
【0072】
バイオトナーは好ましくは黒色であるが、他の開示された実施形態は、1以上の有色の染料または顔料を含んでいる。黄色の着色剤は、C.I.ピグメントイエロー3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193もしくは199、またはC.I.ソルベントイエロー33、56、79、82、93、112、162、163、またはC.I.ディスパースイエロー42、64、201または211の何れか1以上であってよい。
【0073】
マゼンタ着色剤は、C.I.ピグメント2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、255、269、またはピグメントバイオレット19の何れか1以上であってよい。
【0074】
シアン着色剤は、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62または66の何れか1以上であってよい。
【0075】
フルカラーのトナーは、例えば黄色については、ベンジリデンイエロー、モノ・アゾ色素もしくは顔料、または縮合アゾ色素もしくは顔料;マゼンタについてはキナクリドンまたはモノ・アゾ染料もしくは顔料;およびシアンについてはフタロシアニンブルーのような着色剤を含んでいる。着色剤の組み合わせは、色などを考慮して適切に選択すればよい。しかし、それらのなかでも、黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー74またはC.I.ピグメントイエロー93が好ましく用いられる;マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、またはC.I.ピグメントレッド122が好ましく用いられる;またシアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましく用いられる。
【0076】
着色剤は、現像によって可視画像を形成するバイオトナーを提供するのに十分な量で存在してよい。例えば、着色剤の量は、好ましくはバイオトナーの全ての成分の合計重量に基づいて、約1重量%〜約25重量%である。より好ましくは、非磁性バイオトナーの実施形態の場合、着色剤の量は、好ましくはバイオトナーの全ての成分の合計重量に基づいて、約2重量%〜約20重量%であり、更に好ましくは、バイオトナーの全ての成分の合計重量に基づいて、約3重量%〜約10重量%である。より好ましくは、磁性バイオトナーの実施形態の場合、着色剤の量は、バイオトナーの全ての成分の合計重量に基づいて、約1重量%〜約150重量%であり、更に好ましくは、バイオトナーの全ての成分の合計重量に基づいて、約3重量%〜約12重量%である。
【0077】
<磁性成分>: 本開示の実施形態において、バイオトナーは磁性成分を含むか、または磁性成分を排除する。例えば、バイオトナーは1成分トナーまたは現像剤であってよく、または2成分トナーまたは現像剤であってもよい。
【0078】
非磁性バイオトナーの実施形態の場合、非磁性バイオトナーは、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて0〜約30重量%、または約30重量%未満の磁性成分を含んでいるか、または磁性成分を排除する。より好ましくは、バイオトナーは、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて0〜約15重量%、または約15重量%未満の磁性成分を含んでいる。最も好ましくは、バイオトナーは、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて0〜約10重量%、または約10重量%未満の磁性成分を含んでいる。好ましい実施形態において、着色剤はまた、磁性成分として機能してよい。非磁性バイオトナーの実施形態の場合、好ましくは、バイオトナー中の磁性成分の含量は、約15重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約8重量%、および更に好ましくは約1重量%〜約5重量%である。
【0079】
磁性バイオトナーの実施形態の場合、バイオトナー中の磁性成分の含量は、好ましくは少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%であり、且つバイオトナー中の磁性成分の含量は、該バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて、好ましくは約70重量%以下、より好ましくは約60重量%以下である。磁性成分の含量が上記範囲よりも少なければ、磁性バイオトナーとして十分な磁性成分が得られない場合があり、またそれが上記範囲を超えれば、定着性の問題を生じる可能性がある。好ましくは、磁性バイオトナーの実施形態における磁性成分は、磁鉄鉱、カーボンブラック、またはそれらの混合物である。
【0080】
磁性成分は、プリンタ、複写機等の典型的な動作温度である0℃〜約60℃付近においてフェリ磁性またはフェロ磁性を示す強磁性物質であってよい。即ち、それは、例えば磁鉄鉱(Fe)、磁赤鉄鉱(γ−Fe)、磁鉄鉱および磁赤鉄鉱の中間体または混合物、式MxFe3−xのスピネルフェライト(ここでのxは1または2、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等である)、BaOFeまたはSrOFeのような六方晶系フェライト、YFe12またはSmFeOのようなガーネット酸化物、CrOのようなルチル酸化物、またはCr、Mn、Fe、CoおよびNi並びにそれらの強磁性合金の中で、0℃〜60℃付近の温度で磁性を示すものであってよい。それらの中で、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、または磁鉄鉱および磁赤鉄鉱の中間体が好ましい。非磁性トナー等のバイオトナーとしての特性を維持しながら、バックグラウンドおよび散乱の防止、静電気特性の制御、またはトナーの粉末化を容易にする観点からこのような磁性成分が組み込まれる場合、バイオトナーにおける磁性成分の含量は、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて、好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約15重量%未満、最も好ましくは約10重量%未満である。
【0081】
加えて、バイオトナーの実施形態のコバルト含量は、バイオトナーの全重量に基づいて、好ましくは重量で約50百万分の1(ppm)未満である。これを達成する一つの方法は、磁鉄鉱のコバルト含量を制御することである。開示された実施形態において、バイオトナーに導電性が与えられる場合は、上記着色剤成分として導電性カーボンブラックまたは他の導電性物質が組み込まれてよい。このような導電性物質の含量は、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて、好ましくは約0.05重量%〜約5重量%のレベルである。
【0082】
<電荷制御剤>: 静電荷を調節して静電的安定性を付与するために、バイオトナーの実施形態中に電荷制御剤が組み込まれてよい。正に帯電可能な電荷制御剤は、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、またはポリアミン樹脂であってよい。負に帯電可能な電荷制御剤は、例えば、Cr、Co、Al、Fe、またはBのような原子を含むアゾ錯体化合物染料、サリチル酸、アルキルサリチル酸錯体化合物、カリックス(n)アレーン化合物、ベンジル酸の金属塩もしくは金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス[2−[N−(4−クロロフェニル)アミド]−3−ヒドロキシナフタレン]のようなヒドロキシナフタレン化合物、四級アンモニウム塩:側鎖に四級アンモニウム塩を有するポリマー化合物;グアニジン化合物;およびイミダゾール化合物であってよい。
【0083】
使用可能な負に帯電した電荷制御剤の例には、サリチル酸の金属化合物;ナフトエ酸の金属化合物、ジカルボン酸の金属化合物;側鎖の何れか一つにスルホン酸もしくはカルボン酸を有するポリマー化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;シリコン化合物;およびカリックスアレーンが含まれる。これら電荷制御剤の各々は、トナー粒子の内部または外部に加えられる。非磁性バイオトナーの実施形態の場合、電荷制御剤は、好ましくはアゾ錯体化合物染料、サリチル酸、アルキルサリチル酸錯体化合物、またはもう一つの適切な電荷制御剤を含んでいる。
【0084】
特に、無色で、一定の電荷量を維持しながら高速でトナーを帯電させることができ、また混練のときに第二の樹脂で架橋される芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。フルカラーのトナーにおいて、該電荷制御剤は好ましくは無色である。この目的のために、正に帯電可能な電荷制御剤は、好ましくは四級アンモニウム塩またはイミダゾール化合物であり、また負に帯電可能な電荷制御剤は、好ましくはサリチル酸、Cr、Co、Al、Fe、BまたはZnのような原子を含むアルキルサリチル酸錯体化合物、カリックス(n)アレーン化合物、またはそれらの混合物である。電荷制御剤の量は、好ましくは、バイオトナー中の全ての成分の重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約3重量%である。磁性バイオトナーの実施例の場合、電荷制御剤の量は、バイオトナー中の全ての成分の合計重量に基づいて、約0.1重量%〜約2重量%である。
【0085】
<MeOH>: バイオトナーの実施形態の可視UV(紫外)吸収は、バイオトナーをMeOH(メタノール)中に分散させ、バイオトナーの可視UV(紫外)吸収を測定することによって測定することができる。好ましくは、バイオトナーの実施形態は、メタノール中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータ、または約450ナノメータ〜約650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。より好ましくは、バイオトナーの実施形態は、メタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。
【0086】
<他の添加剤>: 更に、本開示のバイオトナーは、例えばバイオトナーの接着特性、凝集特性、流動性、帯電特性、表面抵抗、および同様の特性を修飾する目的で、シリコーン油、シリコーンワニス、またはフッ素化油のような既知の種々の添加剤をバイオトナー中に含んでよい。好ましくは、バイオトナーは大粒子[30nm(ナノメータ)〜約100nm(ナノメータ)]の二酸化ケイ素、小粒子(約7nm〜約15nm)の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、炭化ケイ素、またはそれらの混合物のような1以上の添加剤を含んでよい。例えば、炭化ケイ素はバイオトナーの研磨剤として作用することができ、また二酸化チタンは、バイオトナーの流動化剤として作用することができる。好ましくは、1以上の添加剤の合計量は、バイオトナーの合計重量に基づいて約0.2 重量%〜約5.0重量%、好ましくは、バイオトナーの合計重量に基づいて約0.5重量%〜約3.0重量%の量である。
【0087】
<現像システム>: ここに開示した非磁性バイオトナーの実施形態の場合、ここに開示した非磁性バイオトナーは、2成分現像系または非磁性1成分現像系において使用するためのバイオトナーであってよい。2成分現像系は、バイオトナーが画像を調製するのに使用されるために、画像の現像を補助するキャリアの使用を必要とするものである。1成分現像系におけるトナーは、2成分現像系におけるキャリアおよびトナーの両方の機能を果たさなければならないので、1成分現像系は、許容可能な画像を製造するためのトナーの設計において、要求がより過酷である。更に、1成分現像系におけるトナーは、2成分現像系におけるトナーよりも狭い摩擦電荷分布を有することを要求され、またより短時間で電気的に帯電されなければならない
<粒子サイズ>: 本開示のバイオトナーの実施形態の粒子は、好ましくは、約4μm(マイクロメータ)〜約11μm(マイクロメータ)、より好ましくは約5μm〜約10μmのD50粒子サイズを有する。
【0088】
<画像密度>: この出願の目的にとって、「画像密度」(ID)の用語は、反射型デンシトメータにより測定された、レーザプリンタのような電子写真画像形成装置から紙に現像された連続エリアの画像の相対的な黒度または色密度を意味する。このIDは−log10(I/I)として計算され、ここでのIは、入射光の強度であり、またIは反射光の強度である。紙上の印刷された画像は、暗い画像および汚点のないクリーンなバックグラウンドを有していなければならない。一般に、白黒印刷においては、画像が視認もしくは読むために明快で且つ快適であるように、連続画像エリアは、好ましくは約1.3より大きく、より好ましくは約1.5よりも大きなIDを有するのが好ましい。本開示のバイオトナーの実施形態を使用して現像された画像のIDは、約1.3よりも大きいことが分かり、また幾つかの実施形態では、約1.5よりも大きいことが分かった。
【0089】
<バックグラウンド>: この出願の目的にとって、「バックグラウンド」(BG)の用語は、レーザ印刷のような電子写真プロセス後の、白色シート紙上の非画像エリアにおけるトナー粒子の望ましくない存在を意味する。BG値が小さいほど、画像はより望ましい。一般に白黒印刷においては、画像が視認または読むために明快で且つ快適であるように、BGは好ましくは約5未満であり、より好ましくは約3未満である。本開示のバイオトナーの実施形態を使用して現像された画像のBGは、約3.0未満であることが分かり、幾つかの実施形態では約2.0未満であることが分かった。
【0090】
<光沢>: この出願の目的にとって、「光沢」の用語は、表面の物理的特性との光の相互作用に基づく光学的特性を意味し、それは光を特定の方向に反射する表面の能力である。光沢に影響する因子は、材料の屈折率、入射光の角度、および表面トポグラフィーである。一般に、画像が視認または読むために明快で且つ快適であるように、5より大きいような高い光沢が、グラフィック印刷において達成されてよい。本開示のバイオトナーの実施形態を使用して現像された画像の光沢は、8よりも大きいことが分かり、また幾つかの実施形態では10よりも大きいことが分かった。
【0091】
<定着>: この出願の目的にとって、「定着」の用語は、レーザ印刷のような電子写真プロセス後の、紙とトナーの間の接着または融着の強度を意味する。トナーが紙の上に堆積されて融着条件に曝されると、該トナーは融着強度を有する。一般に、白黒印刷においては、約80%よりも大きな定着が使用可能であるとみなされてよく、約90%よりも大きな定着は良好とみなされてよい。本開示のバイオトナーの実施形態を使用して現像された画像の定着は、90%よりも大きいことが分かり、また幾つかの実施形態では約95%よりも大きいことが分かった。
【0092】
<オフセット>: この出願の目的にとって、「オフセット」の用語は、融着したトナー画像の一部が定着部材の表面に付着し、記録媒体の望ましくない部分に再転写される望ましくない現象を意味する。一般に、白黒印刷においては、オフセットは皆無またはゼロであるべきである。本開示のバイオトナーの実施形態を使用して現像された画像のオフセットは、「皆無」であることが分かり、また幾つかの実施形態では「軽微」であることが分かった。
【0093】
<好ましい実施形態>: 本開示のバイオトナーの一実施形態では、バイオ樹脂、第二の樹脂および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーが提供され、ここでのバイオ樹脂は1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、更に、ここでの反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つまたは反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。好ましくは、バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の軟化点を有している。より好ましくは、バイオ樹脂は約100℃〜約150℃の軟化点を有している。最も好ましくは、バイオ樹脂は約130℃〜約135℃の軟化点を有している。バイオ樹脂は、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸2量体化生成物;トリメチロールプロパンおよびイソソルビドの少なくとも一つの反応した単位を含んでいてよい。バイオ樹脂は、好ましくは、大豆またはトウモロコシに由来する反応したモノマー単位を含んでいる。好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。より好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つおよび二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。第二の樹脂は、好ましくは約90℃〜約140℃の軟化点を有する。第二の樹脂は、約1重量%〜約50重量%の量で存在してよく、ここでの重量%は、バイオ樹脂および第二の樹脂の合計重量に基づくものである。バイオトナーの第二の樹脂は、好ましくは1以上の石油系モノマーを含んでなるポリマーである。第二の樹脂は、スチレンアクリレート樹脂またはポリエステル樹脂の少なくとも一つを含んでよい。第二の樹脂は、好ましくはMC400ポリエステル樹脂、MC500ポリエステル樹脂、またはそれらの混合物を含んでよい。バイオトナーの1以上の着色剤は、好ましくは、磁鉄鉱、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤のうちの少なくとも一つを含んでよい。バイオトナーは、好ましくは、バイオトナーの合計重量に基づいて、重量で約50百万分の1(ppm)未満のコバルト含量を有する。バイオトナーは更に、バイオトナーの合計重量に基づいて、約30重量%よりも多い磁性成分を含んでよい。バイオトナーは更に、好ましくはアゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物のうちの少なくとも一つを含んでなる電荷制御剤を含んでよい。好ましくは、バイオトナーは、メタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータ、および約450ナノメータ〜650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。より好ましくは、バイオトナーはメタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。バイオトナーは更に、エステル型ワックス、炭化水素型ワックス、および低分子量ポリエチレンワックス、例えばP110、WE10、WE3、またはC5551のうちの少なくとも一つを含んでなるワックスを含んでよい。より好ましくは、該ワックスはP110またはWE10を含んでいる。好ましくは、該ワックスはバイオ樹脂、第二の樹脂、1以上の着色剤およびワックスの合計重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で存在する。好ましくは、該バイオトナーは、示差走査熱量(DSC)測定において、約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有する。バイオトナーは更に、好ましくは二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含んでなる1以上の添加剤を含んでいる。好ましくは、少なくとも一つの添加剤は、30ナノメータ(nm)よりも大きい粒子サイズを有している。該バイオトナーは、約4マイクロメータ(μm)〜約11マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。より好ましくは、該バイオトナーは、約5マイクロメータ(μm)〜約10マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも5%のバイオ系材料の含量を有している。より好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも30%のバイオ系材料の含量を有している。最も好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも50%のバイオ系材料の含量を有している。
【0094】
本開示のバイオトナーのもう一つの実施形態では、バイオ樹脂、第二の樹脂、ワックス、および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーが提供され、ここでのバイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、更に、ここでのジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量に基づいている。好ましくは、バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の軟化点を有している。より好ましくは、バイオ樹脂は約100℃〜約150℃の軟化点を有している。最も好ましくは、バイオ樹脂は約130℃〜約135℃の軟化点を有している。バイオ樹脂は、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸2量体化生成物;トリメチロールプロパン;およびイソソルビドの少なくとも一つの反応した単位を含んでいてよい。バイオ樹脂は、好ましくは、大豆またはトウモロコシに由来する反応したモノマー単位を含んでいる。好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。より好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つおよび二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。第二の樹脂は、好ましくは約90℃〜約140℃の軟化点を有する。第二の樹脂は、約1重量%〜約50重量%の量で存在してよく、ここでの重量%は、バイオ樹脂および第二の樹脂の合計重量に基づくものである。バイオトナーの第二の樹脂は、好ましくは1以上の石油系モノマーを含んでなるポリマーである。第二の樹脂は、スチレンアクリレート樹脂またはポリエステル樹脂の少なくとも一つを含んでよい。第二の樹脂は、好ましくはMC400ポリエステル樹脂、MC500ポリエステル樹脂、またはそれらの混合物を含んでよい。バイオトナーの1以上の着色剤は、好ましくは、磁鉄鉱、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤のうちの少なくとも一つを含んでよい。バイオトナーは、好ましくは、バイオトナーの合計重量に基づいて、重量で約50百万分の1(ppm)未満のコバルト含量を有する。バイオトナーは更に、バイオトナーの合計重量に基づいて、約30重量%よりも多い磁性成分を含んでよい。バイオトナーは更に、好ましくはアゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物のうちの少なくとも一つを含んでなる電荷制御剤を含んでよい。好ましくは、バイオトナーは、メタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータ、および約450ナノメータ〜650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。より好ましくは、バイオトナーはメタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。バイオトナーは更に、エステル型ワックス、炭化水素型ワックス、および低分子量ポリエチレンワックス、例えばP110、WE10、WE3、またはC5551のうちの少なくとも一つを含んでなるワックスを含んでよい。より好ましくは、該ワックスはP110またはWE10を含んでいる。好ましくは、該ワックスはバイオ樹脂、第二の樹脂、1以上の着色剤およびワックスの合計重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で存在する。好ましくは、該バイオトナーは、示差走査熱量(DSC)測定において、約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有する。バイオトナーは更に、好ましくは二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含んでなる1以上の添加剤を含んでいる。好ましくは、少なくとも一つの添加剤は、30ナノメータ(nm)よりも大きい粒子サイズを有している。該バイオトナーは、約4マイクロメータ(μm)〜約11マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。より好ましくは、該バイオトナーは、約5マイクロメータ(μm)〜約10マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも10%のバイオ系材料の含量を有している。より好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも30%のバイオ系材料の含量を有している。最も好ましくは、バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも50%のバイオ系材料の含量を有している。好ましくは、該バイオトナーのバイオ樹脂および第二の樹脂は、30重量%より多い合計量で存在し、ワックスは10重量%以下の量で存在し、また1以上の着色剤は60重量%以下の量で存在し、ここでの重量%はバイオ樹脂、第二の樹脂および1以上の着色剤の合計重量に基づいている。
【0095】
本開示のバイオトナーのもう一つの実施形態では、磁性バイオトナーが提供される。該バイオトナーは、23重量%以上の量で存在するバイオ樹脂を含んでいる。該バイオトナーは更に、18重量%以下の量で存在する第二の樹脂を含んでおり、ここでの第二の樹脂は、好ましくはMC400ポリエステル樹脂、MC500ポリエステル樹脂、またはそれらの混合物を含んでいる。該バイオトナーは更に、8重量%以下の量で存在するワックスを含んでおり、ここでのワックスは、エステル型ワックス、炭化水素型ワックス、および低分子量ポリエチレンワックス、例えばP110およびWE10の少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、49重量%以下の量で存在する1以上の着色剤を含んでおり、ここでの1以上の着色剤は、好ましくは磁鉄鉱、カーボンブラック、およびそれらの混合物の少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、2重量%以下の量で存在する電荷制御剤を含んでおり、ここでの電荷制御剤は、好ましくは、アゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物の少なくとも一つを含んでいる。全ての成分の重量%は、バイオ樹脂、第二の樹脂、ワックス、1以上の着色剤、および電荷制御剤の合計重量に基づいている。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%は、植物性または動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0096】
本開示のバイオトナーのもう一つの実施形態では、バイオ樹脂、第二の樹脂、ワックス、および1以上の着色剤を含んでなるバイオトナーが提供される。該バイオ樹脂は、好ましくは、反応した二酸モノマー単位および反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、ジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも50モル%が、植物性または動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでのモル%は、それぞれジオールモノマー単位または二酸モノマー単位の合計モル数に基づいている。第二の樹脂は、好ましくは、1以上の石油系モノマーを含んでなるポリマーである。好ましくは、バイオ樹脂中のジオールモノマーの反応した単位の合計数に基づいて、ジオールモノマー単位の少なくとも50モル%が、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。好ましくは、該バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の範囲に軟化点を有する。より好ましくは、該バイオ樹脂は約100℃〜約150℃の範囲に軟化点を有する。最も好ましくは、該バイオ樹脂は、約130℃〜約135℃の範囲に軟化点を有する。第二の樹脂の軟化点は、約90℃〜約180℃の範囲にあってよい。第二の樹脂は、好ましくは、MC400ポリエステル樹脂、MC500ポリエステル樹脂、およびそれらの混合物のうちの少なくとも一つを含んでいる。該バイオ樹脂は、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;イソソルビド;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸2量体化生成物;およびトリメチロールプロパンの少なくとも一つの反応した単位を含んでいる。該バイオトナーのバイオ樹脂は、80重量%以下の量で存在してよく、また第二の樹脂は20重量%以下の量で存在してよく、ここでの重量%は、第一および第二の樹脂の合計重量に基づいている。該バイオ樹脂は、大豆由来の反応したモノマー単位を含んでよい。好ましくは、バイオトナーのバイオ系材料の含量は、ASTM・D6866−08に従って少なくとも20%である。より好ましくは、バイオトナーのバイオ系材料の含量は、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも35%である。
【0097】
本開示のもう一つの実施形態では、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および磁性成分を含んでなるバイオトナーが提供され、ここでの磁性成分の量はバイオ樹脂、1以上の着色剤および存在するときは磁性成分の合計重量に基づいて0〜約30重量%であり、該バイオ樹脂は好ましくは1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、更に好ましくは、反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つまたは反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。好ましくは、バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の範囲に軟化点を有する。より好ましくは、バイオ樹脂は約100℃〜約150℃の範囲に軟化点を有する。最も好ましくは、バイオ樹脂は約130℃〜約135℃の範囲に軟化点を有する。該バイオ樹脂は、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸2量体化生成物;トリメチロールプロパン;およびイソソルビドの少なくとも一つの反応した単位を含んでいてよい。より好ましくは、該バイオ樹脂はイソソルビドの反応した単位を含んでいる。より好ましくは、該バイオ樹脂は二つの反応した二酸モノマー単位および一つの反応したジオールモノマー単位を含んでいる。バイオ樹脂は、好ましくは、大豆またはトウモロコシに由来する反応したモノマー単位を含んでいる。好ましくは、二酸モノマー単位の少なくとも一つまたはジオールモノマー単位の少なくとも一つの合計の少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。より好ましくは、二酸モノマー単位の少なくとも一つおよびジオールモノマー単位の少なくとも一つの合計の少なくとも5重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。更に好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも50重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。更に好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つおよび二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも50重量%は、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである。該バイオトナーは更に、1以上の石油系モノマーのポリマーを含んでなる第二の樹脂を含んでよい。該第二の樹脂は、スチレンアクリレート樹脂またはポリエステル樹脂の少なくとも一つを含んでよい。第二の樹脂は、好ましくはMC400ポリエステル樹脂、MC500ポリエステル樹脂、またはそれらの混合物の少なくとも一つを含んでよい。第二の樹脂は、好ましくは約90℃〜約140℃の軟化点を有する。第二の樹脂は、約1重量%〜約50重量%の量で存在してよく、ここでの重量%は、バイオ樹脂および第二の樹脂の合計重量に基づくものである。バイオトナーの1以上の着色剤は、好ましくは、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤のうちの少なくとも一つを含んでよい。磁性成分は、好ましくは、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および存在すれば磁性成分の合計重量に基づいて、約15重量%未満の量である。バイオ樹脂は更に、好ましくはアゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物のうちの少なくとも一つを含んでなる電荷制御剤を含んでよい。好ましくは、バイオトナーは、メタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータ、および約450ナノメータ〜650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。より好ましくは、バイオトナーはメタノール(MeOH)中に分散されたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示す。バイオトナーは更に、エステル型ワックス、炭化水素型ワックス、および低分子量ポリエチレンワックス、例えばWE3およびC5551のうちの少なくとも一つを含んでなるワックスを含んでよい。ワックスは、バイオ樹脂、第二の樹脂、1以上の着色剤およびワックスの合計重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で存在する。好ましくは、該バイオトナーは、示差走査熱量(DSC)測定において、約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有する。バイオトナーは更に、好ましくは二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含んでなる1以上の添加剤を含んでよい。好ましくは、少なくとも一つの添加剤は、30ナノメータよりも大きい粒子サイズを有している。好ましくは、該バイオトナーは、約4マイクロメータ(μm)〜約11マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。より好ましくは、該バイオトナーは約5マイクロメータ(μm)〜約10マイクロメータ(μm)のD50粒子サイズを有している。好ましくは、該バイオトナー は、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも5%のバイオ系材料の含量を有している。より好ましくは、該バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも30%のバイオ系材料の含量を有している。最も好ましくは、該バイオトナーは、ASTM・D6866−08に従って、少なくとも50%のバイオ系材料の含量を有している。好ましくは、該バイオ樹脂および第二の樹脂は80重量%よりも大きい量で存在し、1以上の着色剤は10重量%以下の量で存在し、磁性成分は10重量%未満の量で存在し、ここでの重量%は、バイオ樹脂、1以上の着色剤および磁性成分の合計重量に基づいている。
【0098】
本開示のバイオトナーのもう一つの実施形態では、非磁性バイオトナーが提供される。該バイオトナーは、85重量%以上の量で存在するバイオ樹脂を含んでいる。該バイオトナーは更に、8重量%以下の量で存在する1以上の着色剤を含んでおり、ここでの1以上の着色剤は、好ましくは、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤の少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、2重量%未満の量で存在する電荷制御剤を含んでおり、ここでの電荷制御剤は、好ましくは、アゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物の少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、5重量%以下の量で存在するワックスを含んでおり、ここでのワックスは、WE3のようなエステル型ワックスを含んでいる。この重量%は、バイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、およびワックスの合計重量に基づいている。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つまたは二酸モノマー単位少なくとも一つの少なくとも合計5重量%が、植物性または動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0099】
本開示のバイオトナーのもう一つの実施形態では、非磁性バイオトナーが提供される。該バイオトナーは59.5重量%以上の量で存在するバイオ樹脂を含んでいる。該バイオトナーは更に、25.5重量%以下の量で存在する石油系樹脂を含んでいる。該バイオトナーは更に、8重量%以下の量で存在する1以上の着色剤を含んでおり、ここでの1以上の着色剤は、好ましくはカーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤のうちの少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、2重量%未満の量で存在する電荷制御剤を含んでおり、ここでの電荷制御剤は、好ましくは、アゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物の少なくとも一つを含んでいる。該バイオトナーは更に、5重量%未満の量で存在するワックスを含んでおり、ここでのワックスは、好ましくは、WE3のようなエステル型ワックスを含んでいる。この重量%は、バイオ樹脂、石油系樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤およびワックスの合計重量に基づいている。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーである。好ましくは、ジオールモノマー単位の少なくとも一つ、または二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも合計5重量%は、植物性または動物性の供給源から得たバイオモノマーである。
【0100】
本開示のバイオトナーの追加の実施形態では、バイオ樹脂、1以上の着色剤、第二の樹脂、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、第二の樹脂および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、第二の樹脂、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、第二の樹脂、および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックスおよび磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、第二の樹脂、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、第二の樹脂、および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナー;またはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、第二の樹脂、および約30重量%未満の磁性成分を含んでなり、該重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、第二の樹脂、および磁性成分の合計重量に基づいているバイオトナーが提供され;ここでは、これら実施例の全てについて、バイオ樹脂は好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。
【0101】
本開示のバイオトナーの追加の実施形態では、2成分現像系において使用するためのバイオトナーが提供され、ここで、該バイオトナーはバイオ樹脂および1以上の着色剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、および電荷制御剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、およびワックスを含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、および添加剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、および第二の樹脂を含んでなり;ここでは、これら実施例の全てについて、バイオ樹脂は好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。
【0102】
本開示のバイオトナーの追加の実施形態では、非磁性1成分現像系において使用するためのバイオトナーが提供され、ここで、該バイオトナーはバイオ樹脂および1以上の着色剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、および電荷制御剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、およびワックスを含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、および第二の樹脂を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、および添加剤を含んでなり;または、該バイオトナーはバイオ樹脂、1以上の着色剤、電荷制御剤、ワックス、添加剤、および第二の樹脂を含んでなり;ここでは、これら実施例の全てについて、バイオ樹脂は好ましくは、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性または動物性供給源から得たバイオモノマーである。
【0103】
<プロセス/方法>: 本開示のもう一つの実施形態では、電子写真画像形成において使用するための、少なくとも部分的には再生可能な資源に由来するバイオ樹脂を含むバイオトナー、例えば、非磁性バイオトナーまたは磁性バイオトナーを製造する方法が提供される。本開示のもう一つの実施形態では、少なくとも部分的には再生可能な資源に由来するバイオ樹脂を含有する非磁性バイオトナーまたは磁性バイトナーのようなバイオトナーを使用して、電子写真画像を、紙のような基体上に印刷および形成するための方法が提供される。
【0104】
一つの実施形態では、バイオトナーを製造する方法が提供される。この方法は、全て上記で述べたバイオ樹脂、第二の樹脂、および1以上の着色剤を、混合装置の中で混合して、バイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、前記バイオ樹脂混合物を押し出し装置の中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成する工程を含んでいる。該方法は更に、この押し出されたバイオ樹脂混合物を粉砕装置の中で粉砕して、粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、この粉末化されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることを含んでいる。この出願の目的にとって、「分級する」の用語は、より広い粒子サイズ分布から所望の粒子サイズをもったトナーを選択することを意味する。該方法は更に、この分級されたバイオ樹脂混合物に、上記で述べた1以上の添加剤を加えてバイオトナーを形成することを含んでいる。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度はバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高く、且つバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。
【0105】
もう一つの実施形態では、全て上記で述べたバイオ樹脂、第二の樹脂、ワックス、および1以上の着色剤を、混合装置の中で混合して、バイオ樹脂混合物を形成することを含んでなる、バイオトナーの製造方法が提供される。該方法は更に、前記バイオ樹脂混合物を押し出し装置の中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、この押し出されたバイオ樹脂混合物を粉砕装置の中で粉砕して、粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、粉末化されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることを含んでいる。該方法は更に、この分級されたバイオ樹脂混合物に、上記で述べた1以上の添加剤を加えてバイオトナーを形成することを含んでいる。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、前記ジオールモノマー単位の少なくとも一つ、または前記二酸モノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーである。一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度はバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高く、且つバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。
【0106】
もう一つの実施形態では、バイオ樹脂、1以上の着色剤、および0〜30重量%の磁性成分を混合装置の中で混合して、バイオ樹脂混合物を形成することを含んでなり、ここでの重量%はバイオ樹脂、1以上の着色剤および存在するときは磁性成分の合計重量に基づくバイオトナーの製造方法が提供される。該方法は更に、前記バイオ樹脂混合物を押し出し装置の中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、この押し出されたバイオ樹脂混合物を粉砕装置の中で粉砕して、粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成することを含んでいる。該方法は更に、粉末化されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることを含んでいる。該方法は更に、この分級されたバイオ樹脂混合物に、上記で述べた1以上の添加剤を加えてバイオトナーを形成することを含んでいる。好ましくは、該バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、また好ましくは、前記ジオールモノマー単位の少なくとも一つ、または前記二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、該バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づいている。一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度はバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高い。もう一つの実施形態において、押し出し装置における混練バレル設定温度は、バイオ樹脂の最も低い示差走査熱量測定(DSC)ピーク温度よりも高く、且つバイオ樹脂の軟化点温度よりも低い。
【0107】
本開示のもう一つの実施形態では、少なくとも部分的には再生可能な資源に由来するバイオ樹脂を含有した、非磁性バイオトナーまたは磁性バイオトナーのようなバイオトナーを使用した電子写真画像形成方法が提供される。該方法は、紙のような基体上に画像を形成することを含んでなり、ここでの画像は本開示のバイオトナーを含んでいる。
【0108】
本開示のもう一つの実施形態は、光導電性表面をクリーニングするためのワイパーブレードと、非磁性バイオトナーまたは磁性バイオトナーのようなバイオトナーを現像スリーブ表面に分布させるためのドクターブレードを有する装置を使用して、画像を形成するための方法を含んでいる。
【0109】
該方法は、本開示のバイオトナーの1以上の実施形態を、静電的に帯電された光導電性表面に堆積してバイオトナーに基づく画像を形成し、該バイオトナーに基づく画像を紙のような基体に転写し、該バイオトナーに基づく画像を融着させて、バイオトナーに基づく画像を基体に固定し、基体上に最終画像を形成するために、好ましくはプリンタ、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ装置のような電子写真画像形成装置、および/または光導電性表面の潜像を正電気的に再生するために使用し得る何れか他の装置を用いて実施される。
【0110】
本開示のバイオトナーの実施形態を用いて画像を形成するプロセスまたは方法は、何れかの電子写真画像形成装置を用いて実施されてよい。好ましくは、該装置は、バイオトナーが保存されるプリンタカートリッジを含んでいる。該カートリッジはボトル形状を有しており、バイオトナーが装置の中に設置される前に、該バイオトナーを保存および輸送するために使用されてよい。
【0111】
本開示の一つの側面において、該プロセスまたは方法は電子写真画像形成装置上で実施され、該装置は現像スリーブ、静電的化合を形成するための光導電性表面、バイオトナーを現像スリーブ上に分布させるためのドクターブレードまたはドクターバー、現像スリーブおよび/または光導電性表面から過剰なバイオトナーを除去するためのワイパーブレード、および基体上に堆積された正電気的画像を基体に融着させて、永久的な画像を形成するための融着機を含んでいる。現像スリーブは、電子写真画像形成プロセスおよび/または装置において従来使用されている如何なる種類の現像スリーブであってもよい。光導電性表面は、電子写真画像形成プロセスおよび/または装置において従来使用されている如何なる種類のものであってもよい。好ましくは、現像スリーブおよび光導電性表面の両者は、円滑な周面を有する円筒形状であり、好ましくは両者とも軸回りに回転する。同様に、融着機は、電子写真画像形成プロセスおよび装置においてトナーを基体に融着させるために使用される、既知の如何なる種類の融着装置であってもよい。
【0112】
図1Aは、電子写真印刷を実施するための、レーザプリンタのような電子写真画像形成装置10の種々の内部部品を示す概略図である。図1Aにおいて、光導電性ドラムおよび/または光導電性表面は1で示されている。ドクターブレード3aは現像スリーブ4に接触して、または接触せずに、トナー2を現像スリーブ4上に分布させる。他の開示された実施形態においては、ドクターブレード3aは、トナー2を、電子写真画像形成装置10の1以上の他の部品上に分配し、このような部品はその後、該トナーを光導電性ドラムまたは表面1の上に分布させる。このような他の部品には、トナー材料の貯蔵器を提供する溜めのような装置が含まれてよい。図1Bに示すようなもう一つの実施形態では、図1Aの電子写真画像形成装置10におけるドクター−ブレード3aの代わりに、ドクターバー3bが使用される。ワイパーブレード5は、光導電性ドラムまたは表面から過剰なトナーを除去し、および/または光導電性ドラムまたは表面1の少なくとも一部からトナー2の実質的に全ての痕跡を除去するように機能する。ワイパーブレード5は、光導電性ドラムまたは表面の幅を横方向に横切って配向されたワイパーブレード5の先端で、選択的に光導電性ドラムまたは表面1と直接接触している。転写ローラ8は、1枚の紙等の基体9aへとトナー2を引き落とす。基体または紙9aは、電子写真画像形成装置10において、基体または紙の方向9bに案内される。融着機6は、トナーに基づく画像が光導電性ドラムまたは表面から基体へ転写された後に、基体または紙9aの上に定着させるための画像を調製するように機能する。帯電装置7は、光導電性ドラムまたは表面1上に静電的画像を発生させる。
【0113】
現像スリーブは、好ましくは該プロセスの際に回転する。現像スリーブの回転は、現像スリーブの表面がドクターブレードを通過するときに、トナーを現像スリーブ上に均一に分布させるように機能する。好ましくは、現像スリーブは、現像スリーブ軸と現像スリーブ表面の間に10M−Ohm(メガオーム)よりも大きい抵抗を有している。非磁性バイオトナーのための好ましい実施形態では、現像スリーブは、現像スリーブ軸と現像スリーブ表面の間に約10M−Ohm(メガオーム)よりも大きい抵抗を有する。好ましくは、電子写真画像形成装置の接地レベルに対する現像スリーブ軸上のバイアス電圧は、絶対値で約300V(ボルト)〜約1000V(ボルト)の範囲である。非磁性バイオトナーのための好ましい実施形態において、電子写真画像形成装置の接地レベルに対する現像スリーブ軸上のバイアス電圧は、絶対値で約300V(ボルト)〜約1000V(ボルト)の範囲である。
【0114】
ドクターブレード、あるいはドクターバーは、現像スリーブ上でトナーを均一に分布させるように機能する。例えば、トナーは現像スリーブ上にトナーを配置するトナーカートリッジまたは他の装置によって、現像スリーブ上に堆積されてよい。現像スリーブ上でのトナーの最初の堆積は、トナーを均一に分布させないかもしれない。例えば、トナーは、最初は現像スリーブ上に多量に堆積される可能性がある。現像スリーブがトナーを通して回転するときに、それは表面を覆うトナーを受け取る。現像スリーブがドクターブレードまたはドクターバーを通過するときに、過剰な量のトナーが除去されて、望ましい厚さのトナー層が現像スリーブの表面に均一に分布される。ドクターブレードが柔らか過ぎると、それは使用している間に変形して、現像スリーブ上のトナーの不均一な堆積を導き、それは結果として、当該プロセスにより形成される印刷画像におけるトナーの不均一な分布を生じる。こうして、陰影および不適正なコントラストのような欠陥が明らかになる。
【0115】
ドクターブレードまたはドクターバーは、本開示のプロセスまたは方法に使用される画像形成装置の現像スリーブまたは光導電体と直接接触してもよく、または直接接触しなくてもよい。ドクターブレードまたはドクターバーは、現像スリーブとドクターブレードもしくはドクターバーの間にスペースが形成され、またドクターブレードもしくはドクターバーと現像スリーブの間の距離が、現像スリーブの全体の幅に亘って同じかまたは実質的に同じになるように、現像スリーブから離間していてもよい。幾つかの実施形態において、もし現像スリーブの末端部分がトナーを光導電性ドラムに転写するために実際には必要とされないならば、ドクターブレードまたはドクターバーは該末端部分に近接してもよく、または更に離間してもよい。
【0116】
ドクターブレードもしくはドクターバーと現像スリーブの間の距離は、光導電体上の望ましい量のトナーの堆積を得るように調節されてよい。ドクターブレードもしくはドクターバーと現像スリーブの間の距離を調節する方法は、ゼログラフィー複写/印刷技術の当業者に周知である。例えば、現像スリーブの回転毎に、ドクターブレードは、その中の全ての値および増分を含めて、1回の回転当たり約0.001〜5.0グラムのトナーを通過させるように、位置決めされてよい。例えば、ドクターブレード/現像スリーブは、形成される画像に応じて、1回の回転当たり約0.001〜約2.0グラムのトナーを光導電性ドラムに転写してよい。
【0117】
ドクターブレードまたはドクターバーが高すぎる硬さまたは低すぎる硬さを有していれば、トナーがドクターブレードまたはドクターバーを通過するときに不十分な静電荷が形成される可能性がある。このような不十分な静電荷は、当該プロセスにより形成される画像を歪める可能性がある。例えば、不十分な静電荷は、ゴーストおよび/または他の画像歪みの減少をもたらす可能性がある。
【0118】
ドクターブレードは、好ましくは10〜500gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)、より好ましくは15〜300gf/mm、より好ましくは100〜200gf/mmの硬さを有しているのがよい。磁性バイオトナーの開示された実施形態と共に適切なドクターブレードが使用されるときには、好ましくは、ドクターブレードは約10gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約35gf/mmの硬さを有する。非磁性バイオトナーの開示された実施形態と共に適切なドクターブレードが使用されるときは、好ましくは、ドクターブレードは約10gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約500gf/mmの硬さを有する。記載した値の間の全ての値は、それが明確に記載されたのと同様に、明示的にここに含められる。
【0119】
磁性バイオトナーの開示された実施形態と共に適切なドクターブレードが使用されるときには、好ましくは、ドクターバーは約0.3μm(マイクロメータ)〜約10μメータの表面粗さ(Ra)を有する。
【0120】
開示された方法に使用されるドクターブレードは、好ましくは、高い硬さを有し且つ変形および/または曲げに対して抵抗しながら、同時に当該プロセスまたは方法が実施される条件において環境変化により生じる寸法変化が僅かしかないか、または全くない熱可塑性材料でできていてよい。好ましくは、ドクターブレードは、プラスチックコーティング層を伴った、または伴わない薄い金属ブレードでできていてよい。加えて、ドクターブレードは、熱可塑性材料または熱硬化性材料のようなポリマー材料で製造されてよい。従って、ドクターブレードは熱可塑性プラスチックで形成されてよく、これにはポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、硬質ビニル(PVC)、および適切な熱可塑性プラスチックが含まれる。ドクターブレードはまた、熱可塑性エラストマーで形成されてよく、これにはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル(PMMA)、酢酸セルロースセルロイド、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアセタール(POM)、ポリアクリレート(アクリル)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタラミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン(PU)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはスチレンアクリロニトリル(SAN)、或いはもう一つの適切な熱可塑性エラストマー材料が含まれる。ドクターブレードはまた、熱硬化性材料、例えば熱硬化性ポリエステル、加硫ゴム、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、および/またはポリイミド、或いは他の適切な熱硬化性材料で形成されてよい。
【0121】
ドクターブレードとは対照的に、ワイパーブレードは、光導電性ドラムと直接接触されてよい。ワイパーブレードは、以前に光導電性ドラム上に存在した静電画像がその後の融着のために基体に転写された後に、光導電性ドラムの表面に存在する過剰なトナーを除去するように働く。ワイパーブレードは、好ましくは、光導電性ドラムの表面を磨耗できない軟質材料で製造される。
【0122】
ワイパーブレードは、好ましくは、10〜500gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)、より好ましくは50〜400gf/mm、更に好ましくは75〜300gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)、更に好ましくは100〜200gf/mmの硬さを有してよい。適切なワイパーブレードが磁性バイオトナーの開示された実施形態と共に使用されるとき、好ましくは、ワイパーブレードは約100gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約300gf/mmの硬さを有する。適切なワイパーブレードが非磁性バイオトナーの開示された実施形態と共に使用されるとき、好ましくは、ワイパーブレードは約10gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約500gf/mmの硬さを有する。好ましくは、このワイパーブレード材料は、光導電性ドラムの表面を損傷し、または該表面から材料を実際に除去もしくは擦り落とすことはないであろう。従って、ワイパーブレードは光導電性ドラムの表面に存在する材料の硬さよりも低い硬さを有するのが好ましい。明記した値の間の全ての値は、明確に記載されたのと同様に、明示的にここに含められる。
【0123】
ワイパーブレードは、望ましくは光導電性ドラムの略全長に沿って延び、また複数の部分(例えば2以上の部分)を含んでいてよく、ここでの各部分は光導電性ドラムの異なる領域または重なる領域と係合するように構成されてよい。従って、ワイパーブレードは、横方向に相互に結合されない幾つかの部分を含んでいてよい。従って、所定の幅を有する光導電性ドラムについて、ワイパーブレードの分解されない区画は、好ましくは、光導電性ドラムの幅の100%、好ましくは少なくとも95%以上、好ましくは光導電性ドラムの幅の少なくとも90%以上、或いは、好ましくは光導電性ドラムの幅の少なくとも85%以上に亘って延びてよい。
【0124】
更に、ワイパーブレードには、光導電性ドラム表面からトナーをより効率的に除去するために、プッシュ型の剪断力ベクトルが与えられてよい。ワイパーブレードには更に、ワイパーブレードを光導電性ドラムに強制的に且つ連続的に接触させ、それによって光導電性ドラムとワイパーブレードとの間に密封型のジョイントを形成する力ベクトルが与えられてよい。剪断力はやがて、何れかの所定の点において、ワイパーブレードと接触した光導電性度ドラムの一部表面からのトナーのプッシングを生じる。この剪断力は、光導電性ドラムの表面に対して垂直な成分ベクトル、および光導電性ドラムの半径方向および/または軸方向のディメンジョンに対して平行な成分ベクトルを有する。
【0125】
開示された方法に使用されるワイパーブレードは、種々の材料で形成されてよい。該ワイパーブレードは、熱可塑性もしくは熱硬化性材料のようなポリマー材料で製造されてよい。従って、ワイパーブレードはポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、硬質ビニル(PVC)、および他の適切な熱可塑性プラスチックを含む、熱可塑性プラスチックで形成されてよい。ワイパーブレードはまた、ポリウレタン、ポリオレフィン、またはポリエステル型のエラストマーを含む熱可塑性エラストマーで形成されてもよく、これにはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル(PMMA)、酢酸セルロースセルロイド、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアセタール(POM)、ポリアクリレート(アクリル)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタラミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン(PU)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはスチレンアクリロニトリル(SAN)、或いはもう一つの適切な熱可塑性エラストマー材料が含まれる。ドクターブレードはまた、熱硬化性材料、例えば熱硬化性ポリエステル、加硫ゴム、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、および/またはポリイミド、或いは他の適切な熱硬化性材料で形成されてよい。
【0126】
LP,LP−MおよびLP−MCブレードを含む台湾のクロキが製造するもの等の商業的に入手可能なワイパーブレードおよびドクターブレードが、本開示のプロセスまたは方法においてワイパーブレードおよびドクターブレードとして使用されてよい。OEM(オリジナル装置製造業者)スタイルでのワイパーブレードおよびドクターブレードまたはドクターバーは、カリフォルニア州サンフェルナンドのフューチャー・グラフィックス・イメージング・コーポレーションのような供給業者から得ることができる。好ましい商業的に入手可能なワイパーブレードおよびドクターブレードは、ポリウレタンエラストマープラスチック、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソフォレンジイソシアネート、IPDI)、および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)を含む、脂肪族および脂環式のイソシアネートから得られるものから製造されてよい。他の脂肪族イソシアネートには、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、および1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)のようなものが含まれてよい。
【0127】
もう一つの開示された実施形態では、画像を形成する方法が提供される。この方法は、バイオトナーの実施形態の一つ、例えば上記で述べた非磁性バイオトナーまたは磁性バイオトナーを軸回りに回転する現像スリーブの外周面に堆積させて、バイオトナーで覆われた現像スリーブを形成することを含んでいる。該方法は更に、バイオトナーで覆われた現像スリーブ上に存在するバイオトナーを、現像スリーブの周面の幅を横切り且つ該集面から均一に離間されたドクターブレードと接触させることにより、バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面全体に亘ってバイオトナーを分布させることを含んでいる。或いは、ドクターブレードの代りに、ドクターバーが使用されてもよい。好ましくは、ドクターブレードまたはドクターバーは、ここに開示された非磁性バイオトナーと共に使用することができ、また好ましくは、ドクターブレードはここに開示された磁性バイオトナーの実施形態と共に使用されてよい。該方法は更に、バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面に存在するバイオトナーを、光導電性表面を静電的に帯電させることにより形成された潜像を有する光導電性表面と接触させ、またはこれに近接して配置して、光導電性表面にバイオトナー画像を形成することを含んでいる。該方法は更に、このバイオトナー画像を光導電性表面から基体に転写して、印刷された画像を形成すること、および該印刷された画像を基体に融着させることを含んでいる。この転写および融着は、同時に生じてもよい。該方法は更に、光導電性表面の表面をワイパーブレードでクリーニングして、バイオトナー残渣を除去することを含んでいる。
【0128】
ドクターブレードが使用されるならば、該ドクターブレードは、ここに開示された磁性バイオトナーの実施形態と共に使用されるときは、好ましくは約10gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約35gf/mmの硬さを有し、またここに開示された非磁性バイオトナーの実施形態と共に使用されるときは、好ましくは約10gf/mm(グラムフォース/ミリメータ)〜約500gf/mmの硬さを有する。例えばここに開示される非磁性バイオトナーの実施形態と共にドクターバーが用いられるならば、該ドクターバーは、好ましくは約0.3μm(マイクロメータ)〜約10μm(マイクロメータ)の表面粗さ(Ra)、より好ましくは約0.5μm〜約3μmの表面粗さを有する。ワイパーブレードは、ここに開示された磁性バイオトナーの実施形態と共に使用されるときは、好ましくは約100gf/mm〜約300gf/mmの硬さを有する。該ワイパーブレードは、ここに開示された非磁性バイオトナーの実施形態と共に使用されるときは、好ましくは約10gf/mm〜約500gf/mmの硬さを有する。
【0129】
磁性バイオトナーの実施形態については、該バイオトナーを使用して現像された画像の画像密度は、好ましくは約1.4よりも大きく、また該バイオトナーを使用して現像された画像のバックグラウンドは、好ましくは約2.0よりも小さい。非磁性バイオトナーの実施形態については、該バイオトナーを使用して現像された画像の画像密度は、好ましくは約1.5よりも大きく、また該バイオトナーを使用して現像された画像のバックグラウンドは、好ましくは約2.0よりも小さく、また該バイオトナーを使用して現像された画像の光沢は、好ましくは約8よりも大きく、より好ましくは約10よりも大きい。好ましくは、現像スリーブは、現像スリーブ軸と現像スリーブ表面の間に、約10M−Ohm(メガオーム)よりも大きい抵抗を有する。好ましくは、電子写真画像形成装置の接地レベルに対する現像スリーブ軸上のバイアス電圧は、絶対値で約300V(ボルト)〜約1000V(ボルト)の範囲である。
【0130】
画像を形成する方法の1以上の実施形態に関して、当該方法の実施例で使用される非磁性および磁性バイオトナーの好ましい実施形態は、上記で述べた通りである。本開示のバイオトナーの実施形態を製造するための幾つかの方法、および本開示のバイオトナーの実施形態を使用して画像を形成するための幾つかの方法の前述の説明は、説明の目的で提示されたものである。それは、網羅的であることを意図したものではなく、また本開示を、開示された精密な工程および/または形態に限定しようとするものでもなく、上記の教示の観点から、明らかに多くの改変および変形が可能である。開示された実施形態の範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0131】
本開示の1以上の実施形態の効果を実証するために、以下の非限定的実験が行われた。
【0132】
<非磁性バイオトナーの実施例>
図2Aは、実施例1〜5および比較例1についての非磁性バイオトナーの組成を示す表を図示している。図2Bは、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件を示しており、更に、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する実験の結果を示している。
【0133】
ワイパーブレードおよびドクターブレードの硬さは、ブレードを可動式固定具に搭載することによって測定した。次いで、この固定具およびブレードを、ブレードの前縁が丁度ゲージに接触するまで、固定された力ゲージに向けて移動させた。力の量を記録した(またゲージはゼロに設定された)。次いで、固定具が1mmだけ力ゲージに向けて移動され、力ゲージによって力が記録された。試験中にブレードが移動した距離で合計の力が除算されて、1ミリメータ当たりの力のグラム数で硬さ測定値が与えられた。より硬いブレードは、より柔らかいブレードよりも、相対的により高いミリメータ当たりの測定値を与える。ドクターブレードの表面粗さ(Ra)は、ロードアイランド州ポビデンスのマー・フェデラルInc.(Mahr Federal, Inc.)から得たポケットサーフIII(POCKET SURF III)分析装置によって測定された(ポケットサーフは、ロードアイランド州ポビデンスのマー・フェデラルIncの登録商標である)。
【0134】
バイオトナーは、最初にプレミックス処方を調製することによって製造された。
【0135】
実施例1
第一のプレミックス処方は以下を含有していた:100重量部(88重量%)の、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズから得たバイオ樹脂HRJ16062−C;8重量%の、マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーション(Cabot Corporation)から得たモーグル(Mogul)−Lカーボンブラック(CB)の形態の着色剤;2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;1.5重量部の、日本国、オリエントケミカルインダストリーズCo.Ltd.から入手したE81、即ちサリチル酸の形態の電荷制御剤(CCA);ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂、着色剤、ワックス、および電荷制御剤の合計重量に基づくものであった。樹脂成分は、100部のバイオ樹脂およびゼロ部の第二の樹脂を含んでなるものであった。
【0136】
実施例2
第二のプレミックス処方は以下を含有していた:100重量部(87.5重量%)の、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズから得たバイオ樹脂HRJ16062−C;8重量部の、マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから得たモーグル−Lカーボンブラック(CB)の形態の着色剤;2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;2.0重量部の、中国ウーハン(Wuhan)のフバイ・ディンロン(Hubei Dinglong)ケミカルCo.,Ltd.から入手したDLN−32CW、即ちアゾタイプ染料の形態の電荷制御剤(CCA);ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂、着色剤、ワックス、および電荷制御剤の合計重量に基づくものであった。樹脂成分は、100部のバイオ樹脂およびゼロ部の第二の樹脂を含んでなるものであった。
【0137】
実施例3
第三のプレミックス処方は以下を含有していた:100重量部(87.5重量%)の、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズから得たバイオ樹脂HRJ16062−C;8重量部の、マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから得たモーグル−Lカーボンブラック(CB)の形態の着色剤;2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;2.0重量部の、日本国オリエントケミカルインダストリーズCo.Ltd.から入手したE84、即ちサリチル酸の形態の電荷制御剤(CCA);ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂、着色剤、ワックス、および電荷制御剤の合計重量に基づくものであった。樹脂成分は、100部のバイオ樹脂およびゼロ部の第二の樹脂を含んでなるものであった。
【0138】
実施例4
第四のプレミックス処方は以下を含有していた:100重量部(88重量%)の、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズから得たバイオ樹脂HRJ16062−C;8重量%の、マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから得たモーグル−Lカーボンブラック(CB)の形態の着色剤;2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;2.0重量部の、日本国オリエントケミカルインダストリーズCo.Ltd.から入手したE81、即ちサリチル酸の形態の電荷制御剤(CCA);ここでの重量パーセントは、バイオ樹脂、着色剤、ワックス、および電荷制御剤の合計重量に基づくものであった。樹脂成分は、100部のバイオ樹脂およびゼロ部の第二の樹脂を含んでなるものであった。
【0139】
実施例5
第五のプレミックス処方は以下を含有していた:70重量部(88重量%)の、ジョージア州アルファレッタのアドバンスト・イメージ・リソーシズから得たバイオ樹脂HRJ16062−C;30重量部(26.4重量%)の、日本国のサンヨーケミカルインダストリーズLtd.から得たMC400/500ポリエステル樹脂である第二の樹脂;8重量部の、マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから得たモーグル−Lカーボンブラック(CB)の形態の着色剤;2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;2.0重量部の、日本国オリエントケミカルインダストリーズCo.Ltd.から入手したE81、即ちサリチル酸の形態の電荷制御剤(CCA);ここでの重量パーセントは、樹脂成分、第二の樹脂、着色剤、ワックス、および電荷制御剤の合計重量に基づくものであった。樹脂成分は、バイオ樹脂および第二の樹脂の合計重量部に基づいて、70重量部の量で存在するバイオ樹脂HRJ16062−C、および30重量部の量で存在する第二の樹脂MC400/500を含んでなるものであった。
【0140】
プレミックス処方の各々は別々に、40リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサー(日本国のミツイマイニングCo.,Ltdにより製造されたもの)の中で、1,000rpm(1分当たりの回転数)で5分間の混合を受け、各々がバイオ樹脂混合物を形成した。
【0141】
次いで、バイオ樹脂混合物の各々が別々に、ワーナー&フレイデラー(Werner & Pfleiderer)二重スクリュー押出し機、モデルZSK−30(ニュージャージー州ラムセイのワーナー&フレイデラーコーポレーションにより製造されたもの)の中で、250rpmのスクリュー速度(1分当たりの回転数)および110℃の押出し機中の混練バレル設定温度で混練りされて、押出されたバイオ樹脂混合物を形成した。この押出された樹脂混合物の各々を冷却し、次いで各々を粉砕して粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成し、次にその各々を分級した。
【0142】
次いで、分級されたバイオ樹脂混合物の各々を使用して、分級されたバイオ樹脂混合物またはバイオ樹脂/第二の樹脂混合物の100部または100重量部に基づくバイオトナー組成物を調製した。以下の添加剤成分を、混合プロセス後の第一の段階で、分級されたバイオ樹脂混合物の各々に添加した:炭化ケイ素(SiC)粒子(イリノイ州シカゴのシューペリアグラファイトから得たHSC059N)が0.25部の量で含められた;大サイズの二酸化ケイ素(SiO)粒子(マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから入手したTG−C6020N)が0.9部の量で含められた;また二酸化チタン(TiO)粒子(カリフォルニア州サンフランシスコのイシハラコーポレーションUSAから得たFLT−100)が、0.25部の量で含められた。
【0143】
混合プロセスの値の第二の段階で、以下の添加剤成分が、各々の分級されたバイオ樹脂混合物に添加された:小サイズの二酸化ケイ素(SiO)粒子(マサチューセッツ州ボストンのカボット・コーポレーションから入手したTG−308F)が、0.3部の量で含められた。
【0144】
分級されたバイオ樹脂混合物の各々を混合してバイオトナー組成物の各々を形成した後の第一段階は、10リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサーの中で、3,400rpm(1分当たりの回転数)で10分間行われた。分級されたバイオ樹脂混合物の各々を混合してバイオトナー組成物の各々を形成した後の第二段階は、10リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサーの中で、3,400rpm(1分当たりの回転数)で6分間行われた。
【0145】
次いで、このバイオトナー組成物は、それぞれが150メッシュの篩を通して、篩い分けまたは漉し分けられた。実施例1〜4のための各バイオトナー組成物におけるバイオ系材料の含量は、ASTM−D6866に従って53%であった。実施例5のためのバイオトナー組成物におけるバイオ系材料の含量は、ASTM−D6866に従って37%であった。比較例1のためのバイオトナー組成物におけるバイオ系材料の含量は、ASTM−D6866に従って55%であった。
【0146】
実施例1のバイオトナーの分級された材料は、8.9μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例2のバイオトナーの分級された材料は、8.7μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例3のバイオトナーの分級された材料は、9.1μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例4のバイオトナーの分級された材料は、8.9μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例5のバイオトナーの分級された材料は、8.8μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例1のバイオトナーの分級された材料は、9.0μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例1〜5および比較例1のバイオトナーの得られた分級された材料は、4容量%未満の、5μm(マイクロメータ)未満の粒子画分を有していた。カリフォルニア州フラートンのベックマン・クールターInc.から入手したマルチサイザー3クールターカウンタ(Multisizer 3 COULTER COUNTER)の粒子サイジングおよび計数分析器を使用して、粒子サイズ分布を測定した(クールターカウンタは、ベックマン・クールターIncの登録商標である)。
【0147】
実施例1〜5および比較例1の組成物の各々をMeOH(メタノール)中に分散させ、各バイオトナーの可視UV(紫外)吸収を測定した。実施例1のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、310nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。実施例2のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、570nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。実施例3のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、310nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。実施例4のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、310nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。実施例5のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、310nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。比較例1のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、310nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。
【0148】
実施例1〜5および比較例1のバイオトナーの各組成物は、70℃のDSC(示差走査熱量測定)ピーク温度を有していた。
【0149】
図2Bの表は、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件、および実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを使用して行われた印刷品質特性に関する実験結果を示している。実施例1〜3および5、並びに比較例1のバイオトナーについての印刷実験は、レクスマーク(Lexmark)T644レーザプリンタ(ケンタッキー州レキシントンのレクスマークインターナショナルInc.により製造されたもの)を使用して行われた。実施例1〜3および5、並びに比較例1のバイオトナーについては、使用されたプリンタカートリッジはOEM(オリジナル装置製造業者)カートリッジであった;使用されたワイパーブレードは、カリフォルニア州サンフェルナンドのフューチャー・グラフィックス・イメージング・コーポレーションから入手したFGIC・T640・WBLADEKであり、また該ワイパーブレードは117gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有していた;使用したOPC(有機光導電性ドラム)は、カリフォルニア州サンフェルナンドのフューチャー・グラフィックス・イメージング・コーポレーションから入手したFGIC・T640・MKIPNPEであった;使用されたドクターバーは、1.3μm(マイクロメータ)の表面粗さ平均(Ra)を有するOEMドクターバーであった;また使用された現像ローラは、8平方ミリメータの接触面積に亘って1,000Vの電圧および2,140g(グラム)の圧力がローラ表面に加えられたときに、現像スリーブ(金属)軸と現像ローラ表面の間に2,200M−Ohm(メガオーム)の抵抗を有するOEM現像ローラであった。接地レベルに対して、現像ローラ軸へのバイアス電圧は−643V(ボルト)であった。各バイオトナーについての印刷試験は、バイオトナーが尽きるまで行われた寿命試験であった。この印刷は、約23℃の温度および約30%〜40%の相対湿度(RH)の環境において行われた。
【0150】
実施例4のバイオトナーに対する印刷試験は、サムスンML−1710レーザプリンタ(ニュージャージー州リッジフィールドパークのサムスンUSAにより製造されたもの)を使用して行われた。実施例4について、使用されたプリンタカートリッジはOEM(オリジナル装置製造業者)カートリッジであった;ワイパーブレードは使用されなかった;使用されたOPC(有機光導電性ドラム)はOEMであった;使用されたドクターブレードは、175gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力をするOEMドクターブレードであった;また使用した現像ローラは、8平方ミリメータの接触面積に亘って1,000Vの電圧および2,140g(グラム)の圧力がローラ表面に加えられたときに、現像スリーブ(金属)軸と現像ローラ表面の間に42M−Ohm(メガオーム)の抵抗を有するOEM現像ローラであった。接地レベルに対して、現像ローラ軸へのバイアス電圧は−345V(ボルト)であった。各バイオトナーについての印刷試験は、バイオトナーが尽きるまで行われた寿命試験であった。この印刷は、約23℃の温度および約30%〜40%の相対湿度(RH)の環境において行われた。
【0151】
図2Bの表は更に、実施例1〜5および比較例1の非磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する、印刷実験の結果を示している。実施例1〜5および比較例1について試験された印刷品質特性には、画像密度(ID)、バックグラウンド(BG)、光沢、定着性、およびオフセットを測定することが含められた。
【0152】
実施例1〜5および比較例1のバイオトナーの画像密度(ID)印刷品質特性が試験された。このIDは−log10(I/I)として計算され、ここでのIは入射光の強度であり、またIは反射光の強度である。該IDは、MACBETH・RD914反射型デンシトメータ装置(スイス国のグレタグ・マクベス(Gretag Macbeth)ホールディングAGコーポレーションにより製造されたもの)を使用して測定された(MACBETHは、グレタグ・マクベス(Gretag Macbeth)ホールディングAGの登録商標である)。IDは、印刷のゼロ頁および9000頁において測定された。実施例1のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.63であり、9000頁においては1.58であった。実施例2のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.51であり、9000頁においては測定されなかった。実施例3のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.52であり、9000頁においては測定されなかった。実施例4のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.33であり、9000頁においては測定されなかった。実施例5のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.57であり、9000頁においては1.56であった。比較例1のバイオトナーのIDは、ゼロ頁において1.65であり、9000頁においては測定されなかった。
【0153】
実施例1〜5および比較例1のバイオトナーのバックグラウンド(BG)印刷品質特性が試験された。このBGは、白色計(日本国のニッポンデンショクインダストリーズCo.,Ltdにより製造されたもの)を使用して、試験の寿命期間に亘る平均値とし測定された;ここでは、印刷プロセスの前後における非画像領域での白色(WB)値の差がBG値として示されている。BG値が小さいほど、画像はより望ましい。BGは、印刷のゼロ頁および9000頁で測定された。実施例1のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において0.7であり、9000頁において1.7であった。実施例2のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において1.2であり、9000頁においては測定されなかった。実施例3のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において0.8であり、9000頁においては測定されなかった。実施例4のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において2.4であり、9000頁においては測定されなかった。実施例5のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において0.8であり、9000頁においては0.6であった。比較例1のバイオトナーのBGは、ゼロ頁において0.9であり、9000頁においては測定されなかった。
【0154】
実施例1〜3のバイオトナーの光沢印刷品質特性が試験された。実施例1〜3のバイオトナーを用いて白色の紙シートに印刷された連続画像領域の光沢が、75°の角度で、 JIS・Z・8741に従って、光沢計VG−2000(日本国のニッポンデンショクインダストリーズCo.,Ltdにより製造されたもの)を使用することにより測定された。実施例1のバイオトナーの光沢は11.2であった。実施例2のバイオトナーの光沢は10.7であった。実施例3のバイオトナーの光沢は11.6であった。実施例4のバイオトナーの光沢は5.0であった。実施例5および比較例1のバイオトナーの光沢は試験されなかった。
【0155】
実施例1〜5および比較例1のバイオトナーの定着印刷品質特性が試験された。実施例1〜5および比較例1のバイオトナーの定着印刷品質特性は、テープ剥離試験を使用して試験された。測定のために使用したテープは、ミネソタ州ミネアポリスの3Mカンパニーから得た18mm(ミリメータ)幅の3Mスコッチテープであった。上記で述べたレーザプリンタの一つおよび実施例1〜5および比較例1のバイオトナーを使用して紙上に融着された画像または印刷を作製した後、制御された反復可能な圧力により、テープを紙上の融着された画像または印刷に貼着した。次いで、制御された反復可能な力、速度および角度により、テープを紙から引き戻した。実施例1についての定着は92%であった。実施例2についての定着は93%であった。実施例3についての定着は90%であった。実施例4についての定着は測定されなかった。実施例5についての定着は95%であった。比較例1についての定着は94%であった。実施例についての定着のパーセンテージは、テープを剥離する前のID(画像密度)に対するテープを剥離した後のID(画像密度)の比率を表す。印刷された画像について、何らかの損傷、例えばトナーの浮上がり、ドット等が目視で検査された結果、最小限の損傷が見られた。
【0156】
実施例1〜5および比較例1のバイオトナーのオフセット印刷品質特性が試験された。このオフセットは、目視検査により決定された。実施例1〜4についてのオフセットは「僅か」であった。実施例5についてのオフセットは「皆無」であった。比較例1についてのオフセットは、劣悪を意味する「NG」であり、オフセットが観察された。
【0157】
実施例1〜5および比較例1で使用したバイオ樹脂は、架橋モノマーとして2重量%のトリメチロールプロパン(TMP);二酸モノマー単位としてフローラジム1100、プリポール1013および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA);およびジオールモノマー単位としてイソソルビドを含むモノマー混合物を使用して、その全体が本明細書の一部として援用されるUS2008/0145775およびUS2007/0015175に記載の方法に従って製造された。このモノマー単位の混合物は、酢酸ナトリウム触媒0.02重量%の存在下で重合されてバイオ樹脂が形成された。バイオ樹脂HRJ16062−Cにおけるモノマー単位の相対的比率は、次の通りであった(値は、バイオ樹脂の合計重量に基づく重量%で与えられている):TMP;2%、CHDA;39.5%、フローラジム1100;18%、イソソルビド(純度98%);39.5%、プリポール1013;1重量%。
【0158】
軟化点(Sp)は、キャピラリーレオメータ流動試験機(日本国シマズコーポレーションにより製造されたCFT−500一定圧押し出しシステム)を使用し、負荷が30kg(キログラム)、余熱時間が50℃で5分間、温度上昇速度が3℃/分であるような条件下に、1mm×10mm(ミリメータ)のノズルを備えた流動性試験機(日本国シマズコーポレーションにより製造されたCFT−500)により1.0g(グラム)のサンプルが測定された時の、流動の開始から完了までの糸の中央点における温度として測定された。軟化点は、好ましくは±2℃の制度で測定された。実施例1〜5の処方の各々の樹脂1バイオ樹脂についての軟化点(Sp)は、132.4℃であった。比較例1の処方の樹脂1バイオ樹脂についての軟化点(Sp)は、128℃であった。実施例5の処方の樹脂2についての軟化点(Sp)は、127℃であった。
【0159】
図2Aに示された、好ましい非磁性バイオトナー組成または処方は実施例5である。
【0160】
<磁性バイオトナーの実施例>
図3Aは、実施例1〜11および比較例1〜5についての磁性バイオトナーの組成を示す表を図示している。図3Bは、実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件を示している。図3Bは更に、実施例1〜11および比較例1〜5の非磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する実験の結果を示している。
【0161】
ワイパーブレードおよびドクターブレードの硬さは、ブレードを可動式固定具に搭載することによって測定した。次いで、この固定具およびブレードを、ブレードの前縁が丁度ゲージに接触するまで、固定された力ゲージに向けて移動させた。力の量を記録した(またゲージはゼロに設定された)。次いで、固定具が1mmだけ力ゲージに向けて移動され、力ゲージによって力が記録された。試験中にブレードが移動された距離で合計の力が除算され、ミリメータ当たりの力のグラム数で硬さ測定値が与えられた。より硬いブレードは、より柔らかいブレードよりも、相対的により高いミリメータ当たりの測定値を与える。ドクターブレードの表面粗さ(Ra)は、ロードアイランド州ポビデンスのマー・フェデラルInc.(Mahr Federal, Inc.)から得たポケットサーフIII(POCKET SURF III)分析装置によって測定された(ポケットサーフは、ロードアイランド州ポビデンスのマー・フェデラルIncの登録商標である)。
【0162】
磁性バイオトナーは、最初に、実施例1〜11および比較例1〜5のためのプレミックス処方を調製することによって製造された。実施例1〜9および比較例1〜5のためのプレミックス処方の各々は二つのワックスを含有していた:(a)2.5重量部の、日本国NOFコーポレーションから入手したWE3の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;(b)1.5重量部の、ロードアイランド州コベントリーのクラリアント(Clariant)から入手した低分子量ポリエチレンを含んでなる炭化水素型ワックスである、セリダスト(Ceridust)5551(C5551)の形態のワックス。実施例10のためのプレミックス処方は以下を含有していた:(a)8重量部のの、日本国NOFコーポレーションから入手したWE10の形態のワックス、即ち、エステル型ワックス;(b)1.5重量部の、ロードアイランド州コベントリーのクラリアント(Clariant)から入手したセリダスト(Ceridust)5551(C5551)の形態のワックス。実施例11のためのプレミックス処方は、0重量部の、ロードアイランド州コベントリーのクラリアントから入手した低分子量ポリエチレンワックスであるP110の形態の1ワックスを含んでいた。実施例1〜11および比較例1〜5のためのプレミックス処方の各々は、更に、90重量%の、日本国トダコウギョウCorp.から得た磁性粉末RH60Pを含んでいた。実施例1〜11および比較例1〜5のためのプレミックス処方の各々は、更に、1重量%の、日本国ホドガヤカガクCo.,Ltdから得た電荷制御剤を含んでいた。実施例1〜11および比較例4〜5のためのプレミックス処方の各々は、更に、残部重量部(および重量%)のバイオ樹脂および第二の石油系樹脂を含んでおり、その比率はワックス、磁性粉末、電荷制御剤、並びにバイオ樹脂および第二の石油系樹脂の合計重量に基づいている。実施例1、7〜9および比較例5は更に、42ppm(100万分の1)のコバルト含量を含んでおり、また実施例11は更に、39ppm(100万分の1)のコバルト含量を含んでいた。コバルト含量の測定は以下の手順を使用して行われた:(1)の硫酸でトナーサンプルを分解し、(2)500℃でトナーサンプルをアッシングし、(3)トナーサンプルを塩酸および硝酸の中に溶解し、(4)ICP−AES発光分光光度分析技術によってトナー中のコバルト含量を決定する。
【0163】
バイオ樹脂および第二の石油系樹脂の混合物は、バイオ樹脂および第二の石油系樹脂の合計重量部の100重量部に基づいている。実施例1〜9および比較例5における第二の石油系樹脂は、日本国のサンヨーケミカルインダストリーズLtd.から得たポリエステルポリマー樹脂MC400およびMC500の混合物であった。実施例10〜11における第二の石油系樹脂は、日本国のサンヨーケミカルインダストリーズLtd.から得たポリエステルポリマー樹脂MC500であった。比較例4における第二の石油系樹脂は、韓国のSKケミカルズ〜得たポリエステル樹脂ET2900であった。図3Aに示すように、実施例1〜4および7〜11は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、70重量部のバイオ樹脂および30重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。実施例5は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、40重量部のバイオ樹脂および60重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。実施例6は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、7重量部のバイオ樹脂および93重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。比較例1〜3は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、100重量部のバイオ樹脂および0重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。比較例4は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、80重量部のバイオ樹脂および20重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。比較例5は、樹脂1バイオ樹脂および樹脂2石油系樹脂の合計重量%に基づいて、70重量部のバイオ樹脂および30重量部の第二の石油系樹脂を含んでいた。
【0164】
プレミックス処方の各々は別々に、40リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサー(日本国のミツイマイニングCo.,Ltdにより製造されたもの)の中で、1,000rpm(1分当たりの回転数)で4分間の混合を受け、各々がバイオ樹脂混合物を形成した。
【0165】
次いで、バイオ樹脂混合物の各々が別々に、ワーナー&フレイデラー(Werner & Pfleiderer)二重スクリュー押出し機、モデルZSK−30(ニュージャージー州ラムセイのワーナー&フレイデラーコーポレーションにより製造されたもの)の中で、250rpmのスクリュー速度(1分当たりの回転数)、また実施例1〜9および比較例1〜5については125℃、実施例10〜11については130℃の押出し機中の混練バレル設定温度で混練りされて、押出されたバイオ樹脂混合物を形成した。この押出された樹脂混合物の各々を冷却し、次いで各々を粉砕して粉末化されたバイオ樹脂混合物を形成し、次にその各々を分級した。
【0166】
次いで、分級されたバイオ樹脂混合物の各々を使用して、分級されたバイオ樹脂混合物またはバイオ樹脂/第二の樹脂混合物の100部または100重量部に基づくバイオトナー組成物を調製した。以下の添加剤成分を、混合プロセス後の第一の段階で、分級されたバイオ樹脂混合物の各々に添加した:大サイズのシリカ(SiO)粒子(ロードアイランド州コンベントリーのクラリアントから得たH05TD)が0.35部の量で含められた;磁鉄鉱(日本国トダコウギョウCorpから得たEPT1002)が、0.7部の量で含められた;また、ステアリン酸亜鉛(オハイオ州くリー部rン℃のフェロコーポレーションから得たDLG20Aが0.05部の量で含められた。
【0167】
混合プロセスの値の第二の段階で、以下の添加剤成分が、各々の分級されたバイオ樹脂混合物に添加された:小サイズの二酸化ケイ素(SiO)粒子(ドイツ国のエヴォニク(Evonik)インダストリーズAGから得たVP・RY200L2)が、1.15部の量で含められた。
【0168】
分級されたバイオ樹脂混合物の各々を混合してバイオトナー組成物の各々を形成した後の第一段階は、10リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサーの中で、2,300rpm(1分当たりの回転数)で3分間行われた。混合後の第二段階は、10リットルのヘンシェル(Henschel)ミキサーの中で、1,750rpm(1分当たりの回転数)で6分間行われた。
【0169】
次いで、このバイオトナー組成物は、それぞれが150メッシュの篩を通して、篩い分けまたは漉し分けられた。実施例1および7〜9並びに比較例5のための各バイオトナー組成物におけるバイオ系材料の含量は、ASTM−D6866に従って42%であった。比較例1のためのバイオトナー組成物におけるバイオ系材料の含量は、ASTM−D6866に従って57%であった。
【0170】
実施例1のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例2のバイオトナーの分級された材料は、8.2μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例3のバイオトナーの分級された材料は、8.4μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例4のバイオトナーの分級された材料は、8.4μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例5のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例6のバイオトナーの分級された材料は、8.1μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例7のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例8のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例9のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例10のバイオトナーの分級された材料は、8.2μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例11のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例1のバイオトナーの分級された材料は、8.4μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例2のバイオトナーの分級された材料は、8.2μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例3のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例4のバイオトナーの分級された材料は、8.1μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。比較例5のバイオトナーの分級された材料は、8.3μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。実施例1〜11および比較例1〜5のバイオトナーの得られた分級された材料は、8.2μm(マイクロメータ)の中央値粒子サイズ(D50)を有していた。全ての実施例のバイオトナーの得られた分級された材料は、5容量%未満の、5μm(マイクロメータ)未満の粒子画分を有していた。カリフォルニア州フラートンのベックマン・クールターInc.から入手したマルチサイザー3クールターカウンタ(Multisizer 3 COULTER COUNTER)の粒子サイジングおよび計数分析器を使用して、粒子サイズ分布を測定した(クールターカウンタは、ベックマン・クールターIncの登録商標である)。
【0171】
実施例1〜11および比較例1〜5のバイオトナーの組成物の各々をMeOH(メタノール)中に分散させ、各バイオトナーの可視UV(紫外)吸収を測定した。実施例1〜11および比較例1〜5のバイオトナーについてのMeOH(メタノール)中での吸収は、578nm(ナノメータ)に吸収ピークを有していた。
【0172】
実施例1〜9および比較例1〜5のバイオトナーの各組成物は、72℃のDSC(示差走査熱量測定)ピーク温度を有していた。実施例10のバイオトナーの各組成物は、71℃のDSC(示差走査熱量測定)ピーク温度を有していた。実施例11のバイオトナーの各組成物は、96℃のDSC(示差走査熱量測定)ピーク温度を有していた。
【0173】
図3Bの表はまた、実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを用いて行われた印刷実験のための実験条件、および実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを使用して行われた印刷品質特性に関する実験結果を示している。
【0174】
実施例1〜6および9〜11のバイオトナー、並びに比較例1〜5のバイオトナーについての印刷実験は、HP 4250レーザプリンタ(カリフォルニア州パロアルトのヒューレット・パッカードカンパニーにより製造されたもの)を使用して行われた。実施例8のバイオトナーについての印刷実験は、HP 1012レーザプリンタ(カリフォルニア州パロアルトのヒューレット・パッカードカンパニーにより製造されたもの)を使用して行われた。実施例1〜11および比較例1〜5については、使用されたプリンタカートリッジは再生製造されたカートリッジであった。
【0175】
実施例1〜6および比較例1〜5については、使用されたドクターブレードは、20.6gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例7については、使用されたドクターブレードは、23.0gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例8および10〜11については、使用されたドクターブレードは、18.5gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例9については、使用されたドクターブレードは、24.5gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。
【0176】
実施例1〜6および比較例1〜5については、使用されたワイパーブレードは、235gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例7については、使用されたワイパーブレードは、253gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例8および10〜11については、使用されたワイパーブレードは、215gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するOEMであった。実施例9については、使用されたワイパーブレードは、台湾のクロキから得たものであり、241gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するものであった。比較例5については、使用されたワイパーブレードは、サンプルトライアルのワイパーブレードであり、125gf/mm(ミリメータ当たりのグラムフォース)の作業力を有するものであった。
【0177】
実施例1〜11および比較例1〜5について、使用したOPC(有機光導電性ドラム)は、実施例7についてはHP1160MKIHDPNPE、実施例8についてはHP1012MKIPNPE、実施例1〜6および9〜11並びに比較例1〜5についてはHP4200MKILPNPEであり、全てカリフォルニア州サンフェルナンドのフューチャー・グラフィックス・イメージング・コーポレーションから入手したものであった。使用されたドクターバーは、OEMドクターバーであった。使用された現像ローラは、OEM現像ローラ(スリーブ)であった。
【0178】
印刷は、30〜32文書/分の印刷速度で実施された。各バイオトナーについての印刷試験は、バイオトナーが尽きるまで行われた寿命試験であった。この印刷は、約23℃の温度および約30%〜40%の相対湿度(RH)の環境において行われた。
【0179】
図3Bの表は、実施例1〜11および比較例1〜5の磁性バイオトナーを使用した印刷品質特性に関する印刷実験の結果を示している。実施例1〜11および比較例1〜5について試験された印刷品質特性には、画像密度(ID)、バックグラウンド(BG)、定着性、およびオフセット、およびフリッピングのような「その他」を測定することが含められた。
【0180】
実施例1〜11および比較例1〜4のバイオトナーの画像密度(ID)印刷品質特性が試験された。このIDは−log10(I/I)として計算され、ここでのIは入射光の強度であり、またIは反射光の強度である。該IDは、MACBETH・RD914反射型デンシトメータ装置(スイス国のグレタグ・マクベス(Gretag Macbeth)ホールディングAGコーポレーションにより製造されたもの)を使用して測定された(MACBETHは、グレタグ・マクベス(Gretag Macbeth)ホールディングAGの登録商標である)。実施例1のバイオトナーのIDは、1.56であった。実施例2のバイオトナーのIDは、1.5であった。実施例3のバイオトナーのIDは、1.53であった。実施例4のバイオトナーのIDは、1.48であった。実施例5のバイオトナーのIDは、1.49であった。実施例6のバイオトナーのIDは、1.47であった。実施例7のバイオトナーのIDは、1.42であった。実施例8のバイオトナーのIDは、1.45であった。実施例9のバイオトナーのIDは、1.56であった。実施例10のバイオトナーのIDは、1.57であった。実施例11のバイオトナーのIDは、1.54であった。比較例1のバイオトナーのIDは、1.56であった。比較例2のバイオトナーのIDは、1.51であった。比較例3のバイオトナーのIDは、1.59であった。比較例4のバイオトナーのIDは、1.51であった。比較例5のバイオトナーのIDは測定されなかった。
【0181】
実施例1〜11および比較例1〜4のバイオトナーのバックグラウンド(BG)印刷品質特性が試験された。このBGは、白色計(日本国のニッポンデンショクインダストリーズCo.,Ltdにより製造されたもの)を使用して、試験の寿命期間に亘る平均値とし測定された;ここでは、印刷プロセスの前後における非画像領域での白色(WB)値の差がBG値として示されている。BG値が小さいほど、画像はより望ましい。実施例1のバイオトナーのBGは、1.23であった。実施例2のバイオトナーのBGは、0.96であった。実施例3のバイオトナーのBGは、1.11であった。実施例4のバイオトナーのBGは、1.25であった。実施例5のバイオトナーのBGは、0.72であった。実施例6のバイオトナーのBGは、0.61であった。実施例7のバイオトナーのBGは、0.51であった。実施例8のバイオトナーのBGは、0.91であった。実施例9のバイオトナーのBGは、0.78であった。実施例10のバイオトナーのBGは、0.85であった。実施例11のバイオトナーのBGは、0.78であった。比較例1のバイオトナーのBGは、1.15であった。比較例2のバイオトナーのBGは、1.12であった。比較例3のバイオトナーのBGは、1.07であった。比較例4のバイオトナーのBGは、0.82であった。比較例5のバイオトナーのBGは測定されなかった。
【0182】
実施例1〜11および比較例1〜4のバイオトナーの定着印刷品質特性が試験された。実施例1〜11および比較例1〜5のバイオトナーの定着印刷品質特性は、テープ剥離試験を使用して試験された。測定のために使用したテープは、ミネソタ州ミネアポリスの3Mカンパニーから得た18mm(ミリメータ)幅の3Mスコッチテープであった。上記で述べた実施例1〜11および比較例1〜4のバイオトナーを使用して紙上に融着された画像または印刷を作製した後、制御された反復可能な圧力により、テープを紙上の融着された画像または印刷に貼着した。次いで、制御された反復可能な力、速度および角度により、テープを紙から引き戻した。定着は、テープ剥離試験を使用して、剥離の前後におけるIDの比率としてパーセンテージで測定された。実施例1のバイオトナーの定着は95%であった。実施例2のバイオトナーの定着は95%であった。実施例3のバイオトナーの定着は92%であった。実施例4のバイオトナーの定着は89%であった。実施例5のバイオトナーの定着は95%であった。実施例6のバイオトナーの定着は98%であった。実施例7のバイオトナーの定着は94%であった。実施例8のバイオトナーの定着は96%であった。実施例9のバイオトナーの定着は95%であった。実施例10のバイオトナーの定着は98%であった。実施例11のバイオトナーの定着は98%であった。比較例1の定着は78%であった。比較例2の定着は88%であった。比較例3の定着は52%であった。比較例4の定着は72%であった。比較例5の定着は測定されなかった。実施例についての定着のパーセンテージは、テープを剥離する前のID(画像密度)に対するテープを剥離した後のID(画像密度)の比率を表す。印刷された画像について、何らかの損傷、例えばトナーの浮上がり、ドット等が目視で検査された結果、最小限の損傷が見られた。
【0183】
実施例1〜11および比較例1〜4のバイオトナーのオフセット印刷品質特性が試験された。このオフセットは、目視検査により決定された。実施例1〜11並びに比較例1および3〜4についてのオフセットは「皆無」であり、オフセットは全く観察されなかった。実施例2についてのオフセットは、劣悪を意味する「NG」であり、オフセットが観察された。比較例5についてのオフセットは実施されなかった。
【0184】
実施例1〜11および比較例1〜5で使用したバイオ樹脂は、架橋モノマーとして2重量%のトリメチロールプロパン(TMP);二酸モノマー単位としてフローラジム1100、プリポール1013および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA);およびジオールモノマー単位としてイソソルビドを含むモノマー混合物を使用して、その全体が本明細書の一部として援用されるUS2008/0145775およびUS2007/0015175に記載の方法に従って製造された。このモノマー単位の混合物は、酢酸ナトリウム触媒0.02重量%の存在下で重合されてバイオ樹脂が形成された。バイオ樹脂HRJ16062−Cにおけるモノマー単位の相対的比率は、次の通りであった(値は、バイオ樹脂の合計重量に基づく重量%で与えられている):TMP;2%、CHDA;39.5%、フローラジム1100;18%、イソソルビド(純度98%);39.5%、プリポール1013;1重量%。
【0185】
軟化点(Sp)は、キャピラリーレオメータ流動試験機(日本国シマズコーポレーションにより製造されたCFT−500一定圧押し出しシステム)を使用し、負荷が30kg(キログラム)、余熱時間が50℃で5分間、温度上昇速度が3℃/分であるような条件下に、1mm×10mm(ミリメータ)のノズルを備えた流動性試験機(日本国シマズコーポレーションにより製造されたCFT−500)により1.0g(グラム)のサンプルが測定された時の、流動の開始から完了までの糸の中央点における温度として測定された。軟化点は、好ましくは±2℃の制度で測定された。樹脂1バイオ樹脂についてのSpおよび樹脂2石油についてのSpを含む、実施例1〜11および比較例1〜5のバイオトナー処方の各々についての軟化点が、図3Aの表に示されている。実施例1および7〜9並びに比較例1および5の樹脂1バイオ樹脂ついての軟化点(Sp)は、133℃であった。実施例2および5〜6並びに比較例2および4の樹脂1バイオ樹脂ついての軟化点(Sp)は、128℃であった。実施例3および10〜11の樹脂1バイオ樹脂についての軟化点(Sp)は、135℃であった。実施例4および比較例3の樹脂1バイオ樹脂についての軟化点(Sp)は、140℃であった。実施例1〜9および比較例5の樹脂2石油系樹脂についてのSpは、127℃であった。実施例10〜11の樹脂2石油系樹脂についてのSpは、99℃であった。比較例1〜3の樹脂2石油系樹脂についてのSpは、145℃であった。比較例1〜3では樹脂2は使用されなかった。
【0186】
図3Aおよび図3Bの表における結果から分かるように、バイオ樹脂および石油系樹脂の混合物を含有する樹脂組成物は最良の全体的特性を提供する。上記で述べた図3Aに示すように、好ましい磁性バイオトナー組成物または処方は実施例11である。ワックスもしくはワックス類および第二の樹脂もしくは選択された樹脂の組み合わせは、磁性バイオトナー組成物の特性に関する耐容性を有していた。
【0187】
明らかに、上記の教示の観点から、本開示の多くの改変および変形が可能である。従って、特許請求の範囲内において、開示された実施形態はここに詳細に記載されたのとは別の方法で実施され得ることが理解されるべきである。本開示の上記説明および添付図面に提示された教示の利益を有する、この開示が属する分野の当業者には多くの改変および他の実施形態が想起されるであろう。ここに記載された実施形態は説明用であることが意味されており、限定的であることを意図するものではない。ここでは特定の用語が用いられているが、それらは一般的および説明的意味でのみ、また限定の目的で使用される。本開示は、その適用において、本開示に記載されまたは図面に示された要素の構成および配置の詳細には限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ樹脂と、第二の樹脂と、1以上の着色剤とを含んでなるバイオトナーであって:
前記バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり、
更に前記反応した二酸モノマー単位の少なくとも一つ、または前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性または動物性の供給源から得られたバイオモノマーであるバイオトナー。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の範囲に軟化点を有するバイオトナー。
【請求項3】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は約100℃〜約150℃の範囲に軟化点を有するバイオトナー。
【請求項4】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は、1,4−シクロヘキサン二カルボン酸;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸二量体化生成物;トリメチロールプロパン;およびイソソルビドのうちの少なくとも一つの反応した単位を含んでなるバイオトナー。
【請求項5】
請求項1に記載のバイオトナーであって、大豆またはトウモロコシ由来の反応したモノマー単位を含有するバイオトナー。
【請求項6】
請求項1に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つのジオールモノマー単位または少なくとも一つの二酸モノマー単位の少なくも5重量%は、植物性または動物性の供給源から得られたものであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項7】
請求項1に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つのジオールモノマー単位および少なくも一つの二酸モノマー単位の少なくとも一つの少なくとも5重量%が植物性または動物性の供給源から得られたバイオモノマーであり、ここでの重量%は、バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項8】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記第二の樹脂は、1以上の石油に基づくモノマーを含んでなるポリマーであるバイオトナー。
【請求項9】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記第二の樹脂は約90℃〜約140℃の範囲に軟化点を有するバイオトナー。
【請求項10】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記第二の樹脂は、スチレンアクリレート樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも一方を含んでなるバイオトナー。
【請求項11】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記第二の樹脂は、約1重量%〜約50重量%の量で存在し、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂および前記第二の樹脂の合計重量に基づくものであるバイオトナー。
【請求項12】
請求項1に記載のバイオトナーであって、前記1以上の着色剤は、マグネタイト、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤の少なくとも一つを含んでなるバイオトナー。
【請求項13】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更に、該バイオトナーの全重量に基づいて約30重量%を越す磁性成分を含んでなるバイオトナー。
【請求項14】
請求項1に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーはその全重量に基づいて約50ppm未満のコバルト含有量を有するバイオトナー。
【請求項15】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更に、アゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物の少なくとも一つを含有する電荷制御剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項16】
請求項1に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、メタノール(MeOH)中に分散させたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータおよび約450ナノメータ〜650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示すバイオトナー。
【請求項17】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更に、エステルタイプのワックス、炭化水素タイプのワックス、および低分子量ポリエチレンワックスの少なくとも一つを含有するワックスを含んでなるバイオトナー。
【請求項18】
請求項1に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、示差走査熱量測定(DSC)において約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有するバイオトナー。
【請求項19】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含有する1以上の添加剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項20】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更に、30ナノメータを越える粒子サイズを有する少なくとも一つの添加剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項21】
請求項1に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、約4マイクロメータ(μm)〜約11マイクロメータ(μm)の範囲のD50粒子サイズを有するバイオトナー。
【請求項22】
請求項1に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーのバイオ系材料の含有量は、ASTEM・D6866−08に従って少なくとも5%であるバイオトナー。
【請求項23】
請求項1に記載のバイオトナーであって、更にワックスを含んでなり、且つ前記少なくとも一つのジオールモノマー単位もしくは前記少なくとも一つの二酸モノマー単位の少なくとも50重量%は植物性もしくは動物性の供給源から得られたバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項24】
請求項23に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂および前記第二の樹脂は30重量%〜約60重量%の合計量で存在し、前記ワックスは10%以下の量で存在し、前記1以上の着色剤は60重量%以下の量で存在し、ここでの重量%は前記バイオ樹脂、前記第二の樹脂および前記1以上の着色剤の合計重量に基づくものであるバイオトナー。
【請求項25】
バイオ樹脂と、第二の樹脂と、ワックスと、1以上の着色剤とを含んでなるバイオトナーであって:
ここでのバイオ樹脂は、反応した二酸モノマー単位および反応したジオールモノマー単位を含有するポリエステルポリマーであり;
更に、前記ジオールモノマー単位および前記二酸モノマー単位の少なくとも一方の少なくとも50モル%は植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでのモル%は、それぞれ前記ジオールモノマー単位または二酸モノマー単位の合計モル数に基づくものであるバイオトナー。
【請求項26】
請求項25に記載のバイオトナーであって、前記第二の樹脂は、1以上の石油系モノマーを含んでなるポリマーであるバイオトナー。
【請求項27】
請求項25に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂中のジオールモノマーの反応した単位の合計数に基づいて、前記ジオールモノマー単位の少なくとも50モル%は植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであるバイオトナー。
【請求項28】
バイオ樹脂と、1以上の着色剤と、前記バイオ樹脂、前記1以上の着色剤および存在するときには磁性成分の合計重量に基づいて0〜約30重量%の磁性成分を含んでなるバイオトナーであって:
前記バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および一以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり;
更に、少なくとも一つの前記反応した二酸モノマー単位または少なくとも一つの前記反応したジオールモノマー単位の少なくとも一つは、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであるバイオトナー。
【請求項29】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は約80℃〜約170℃の範囲に軟化点を有するバイオトナー。
【請求項30】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は、1,4−シクロヘキサン二カルボン酸;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の1以上のC18脂肪酸二量体生成物;トリメチロールプロパン;およびイソソルビドの少なくとも一つの反応した単位を含んでなるバイオトナー。
【請求項31】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は、イソソルビドの反応した単位を含んでなるバイオトナー。
【請求項32】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は、二つの反応した二酸モノマー単位および一つの反応したジオールモノマー単位を含んでなるバイオトナー。
【請求項33】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記バイオ樹脂は、大豆またはトウモロコシ由来の反応したモノマー単位を含有するバイオトナー。
【請求項34】
請求項28に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つの前記ジオールモノマー単位または少なくとも一つの前記二酸モノマー単位の少なくとも50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中の前記ジオールモノマー単位および前記二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項35】
請求項28に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つの前記ジオールモノマー単位および少なくとも一つの前記二酸モノマー単位の少なくとも50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中の前記ジオールモノマー単位および前記二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項36】
請求項28に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つの前記二酸モノマー単位または少なくとも一つの前記ジオールモノマー単位の少なくとも約5重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中の前記ジオールモノマー単位および前記二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項37】
請求項28に記載のバイオトナーであって、少なくとも一つの前記二酸モノマー単位および少なくとも一つの前記ジオールモノマー単位の少なくとも約5重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中の前記ジオールモノマー単位および前記二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものであるバイオトナー。
【請求項38】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、1以上の石油系モノマーのポリマーを含有する第二の樹脂を含んでなるバイオトナー。
【請求項39】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、約90℃〜約140℃の範囲に軟化点を有する第二の樹脂を含んでなるバイオトナー。
【請求項40】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、約1重量%〜約50重量%の量で存在する第二の樹脂を含んでなり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂および前記第二の樹脂の合計重量に基づくものであるバイオトナー。
【請求項41】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、スチレンアクリレート樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも一方を含有する第二の樹脂を含んでなるバイオトナー。
【請求項42】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記1以上の着色剤は、カーボンブラック、酸性染料、カラー染料、カラー顔料、およびフタロシアニン着色剤の少なくとも一つを含んでなるバイオトナー。
【請求項43】
請求項28に記載のバイオトナーであって、前記磁性成分は、前記バイオ樹脂、1以上の着色剤、および存在するときには磁性成分の合計重量に基づいて、約15重量%未満の量で存在するバイオトナー。
【請求項44】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、アゾ錯体化合物染料、サリチル酸、およびアルキルサリチル酸錯体化合物の少なくとも一つを含有する電荷制御剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項45】
請求項28に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、メタノール(MeOH)中に分散させたときに、約250ナノメータ〜約350ナノメータおよび約450ナノメータ〜650ナノメータの波長範囲に少なくとも一つの光吸収ピークを示すバイオトナー。
【請求項46】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、エステルタイプのワックス、炭化水素タイプのワックス、および低分子量ポリエチレンワックスの少なくとも一つを含有するワックスを含んでなるバイオトナー。
【請求項47】
請求項28に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、示差走査熱量測定(DSC)において約60℃〜約120℃の範囲に少なくとも一つのピーク温度を有するバイオトナー。
【請求項48】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、前記バイオ樹脂、前記第二の樹脂、前記1以上の着色剤、および前記ワックスの合計重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で存在するワックスを含んでなるバイオトナー。
【請求項49】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、および炭化ケイ素の少なくとも一つを含有する1以上の添加剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項50】
請求項28に記載のバイオトナーであって、更に、30ナノメータを越える粒子サイズを有する少なくとも一つの添加剤を含んでなるバイオトナー。
【請求項51】
請求項28に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーは、約4マイクロメータ(μm)〜約11マイクロメータ(μm)の範囲のD50粒子サイズを有するバイオトナー。
【請求項52】
請求項28に記載のバイオトナーであって、該バイオトナーのバイオ系材料の含有量は、ASTEM・D6866−08に従って少なくとも5%であるバイオトナー。
【請求項53】
バイオトナーを製造する方法であって:
バイオ樹脂、第二の樹脂、および1以上の着色剤を混合装置中で混合して、バイオ樹脂混合物を形成することと;
該バイオ樹脂混合物を押し出し装置中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成することと;
該押し出されたバイオ樹脂混合物を微粉砕装置中で微粉砕して、微粉砕されたバイオ樹脂混合物を形成することと;
該微粉砕されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることと;
該分級されたバイオ樹脂混合物に1以上の添加剤を加えて、バイオトナーを形成することを含んでなり、
前記バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり;
更に、少なくとも一つの前記反応した二酸モノマー単位または少なくとも一つの前記反応したジオールモノマー単位は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであるバイオトナー。
【請求項54】
請求項53に記載の方法であって、前記押し出し装置における混練バレル設定温度は、前記バイオトナーの示差走査熱量測定(DSC)における最低ピーク温度よりも高く、且つ前記バイオ樹脂の軟化点温度よりも低い方法。
【請求項55】
請求項53に記載の方法であって、前記バイオ樹脂混合物は更にワックスを含んでなり、且つ更に、少なくとも一つの前記二酸モノマー単位または少なくとも一つの前記ジオールモノマー単位の少なくとも50重量%は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中の前記二酸モノマー単位およびジオールモノマー単位の合計重量%に基づくものである方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、前記押し出し装置中の混練バレル設定温度は、前記バイオトナーの示差走査熱量測定(DSC)における最低ピーク温度よりも高く、且つ前記バイオ樹脂の軟化点温度よりも低い方法。
【請求項57】
請求項55に記載の方法であって、前記押し出し装置中の混練バレル設定温度は、前記バイオ樹脂の軟化点温度よりも低い方法。
【請求項58】
バイオトナーを製造する方法であって:
バイオ樹脂、1以上の着色剤、並びに前記バイオ樹脂、前記1以上の着色剤、および存在するときには磁性成分の合計重量に基づいて、0〜約30重量%の磁性成分を混合装置中で混合して、バイオ樹脂混合物を形成することと;
該バイオ樹脂混合物を押し出し装置中で混練して、押し出されたバイオ樹脂混合物を形成することと;
該押し出されたバイオ樹脂混合物を微粉砕装置中で微粉砕して、微粉砕されたバイオ樹脂混合物を形成することと;
該微粉砕されたバイオ樹脂混合物を分級して、分級されたバイオ樹脂混合物を得ることと;
該分級されたバイオ樹脂混合物に1以上の添加剤を加えて、バイオトナーを形成することを含んでなり、
前記バイオ樹脂は、1以上の反応した二酸モノマー単位および1以上の反応したジオールモノマー単位を含んでなるポリエステルポリマーであり;
更に、少なくとも一つの前記反応した二酸モノマー単位または少なくとも一つの前記反応したジオールモノマー単位は、植物性もしくは動物性の供給源から得たバイオモノマーであるバイオトナー。
【請求項59】
請求項58に記載の方法であって、前記押し出し装置中の混練バレル設定温度は、前記バイオトナーの示差走査熱量測定(DSC)における最低ピーク温度よりも高く、且つ前記バイオ樹脂の軟化点温度よりも低い方法。
【請求項60】
請求項68に記載の方法であって、前記押し出し装置中の混練バレル設定温度は、前記バイオ樹脂の軟化点温度よりも低い方法。
【請求項61】
画像を形成する方法であって:
請求項1に記載のバイオトナーを軸回りに回転する現像スリーブの外周表面に堆積させて、バイオトナーで覆われた現像スリーブを形成することと;
前記バイオトナーで覆われた現像スリーブ上に存在するバイオトナーを、前記現像スリーブの周面から均一に離間し且つ該周面の幅全体を横切るドクターブレードまたはドクターバーと接触させ、またはそれに近接して配置することにより、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面全体に前記バイオトナーを分配することと;
前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面に存在するバイオトナーを、光導電性表面を静電的に充電させることにより形成された潜像を有する光導電性表面と接触させ、またはその近傍に配置して、前記光導電性表面上にバイオトナー画像を形成することと;
前記バイオトナー画像を前記光導電性表面から基板に転写して印刷された画像を形成し、該印刷された画像を前記基板上に融着させることと;
前記光導電性表面の表面をワイパーブレードでクリーニングして、バイオトナー残渣を除去することを含んでなる方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、前記ドクターブレードは、約10グラムフォース/ミリメータ〜約500グラムフォース/ミリメータの硬さを有する方法。
【請求項63】
請求項61に記載の方法であって、前記ワイパーブレードは、約10グラムフォース/ミリメータ〜約500グラムフォース/ミリメータの硬さを有する方法。
【請求項64】
請求項61に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像の画像密度は約1.4よりも大きい方法。
【請求項65】
請求項61に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像のバックグラウンドは約2.0よりも小さい方法。
【請求項66】
請求項61に記載の方法であって、前記現像スリーブは、現像スリーブ軸と現像スリーブ表面の間で約10M−Ohm(Meg−Ohm)よりも大きい抵抗を有する方法。
【請求項67】
請求項61に記載の方法であって、電子写真画像形成装置の接地レベルに対する現像スリーブ軸上へのバイアス電圧は、絶対値で、約300V(ボルト)〜約1000V(ボルト)の範囲である方法。
【請求項68】
請求項61に記載の方法であって、請求項1に記載のバイオトナーは更にワックスを含んでなり、且つ前記少なくとも一つのジオールモノマー単位もしくは前記少なくとも一つの二酸モノマー単位の少なくとも50重量%は植物性もしくは動物性の供給源から得られたバイオモノマーであり、ここでの重量%は、前記バイオ樹脂中のジオールモノマー単位および二酸モノマー単位の合計重量%に基づくものである方法。
【請求項69】
画像を形成する方法であって:
請求項28に記載のバイオトナーを軸回りに回転する現像スリーブの外周表面に堆積させて、バイオトナーで覆われた現像スリーブを形成することと;
前記バイオトナーで覆われた現像スリーブ上に存在するバイオトナーを、前記現像スリーブの周面から均一に離間し且つ該周面の幅全体を横切るドクターブレードまたはドクターバーと接触させ、またはそれに近接して配置することにより、前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面全体に前記バイオトナーを分配することと;
前記バイオトナーで覆われた現像スリーブの周面に存在するバイオトナーを、光導電性表面を静電的に充電させることにより形成された潜像を有する光導電性表面と接触させ、またはその近傍に配置して、前記光導電性表面上にバイオトナー画像を形成することと;
前記バイオトナー画像を前記光導電性表面から基板に転写して印刷された画像を形成し、該印刷された画像を前記基板上に融着させることと;
前記光導電性表面の表面をワイパーブレードでクリーニングして、バイオトナー残渣を除去することを含んでなる方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法であって、前記ドクターブレードは、約10グラムフォース/ミリメータ〜約500グラムフォース/ミリメータの硬さを有する方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法であって、前記ドクターバーは、約0.3マイクロメータ(μm)〜約10マイクロメータ(μm)の表面粗さ(Ra)を有する方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法であって、前記ワイパーブレードは、約10グラムフォース/ミリメータ〜約500グラムフォース/ミリメータの硬さを有する方法。
【請求項73】
請求項69に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像の画像密度は約1.5よりも大きい方法。
【請求項74】
請求項69に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像のバックグラウンドは約2.0よりも小さい方法。
【請求項75】
請求項69に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像の光沢は約8よりも大きい方法。
【請求項76】
請求項69に記載の方法であって、前記現像スリーブは、現像スリーブ軸と現像スリーブ表面の間で約10M−Ohm(Meg−Ohm)よりも大きい抵抗を有する方法。
【請求項77】
請求項69に記載の方法であって、電子写真画像形成装置の接地レベルに対する現像スリーブ軸上へのバイアス電圧は、絶対値で、約300V(ボルト)〜約1000V(ボルト)の範囲である方法。
【請求項78】
請求項69に記載の方法であって、前記バイオトナーを使用して現像された画像の画像密度は約1.5よりも大きく、また前記バイオトナーを使用して現像された画像の光沢は約8よりも大きい方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2012−521567(P2012−521567A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500987(P2012−500987)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/027927
【国際公開番号】WO2010/108073
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(506254444)ミツビシ・カガク・イメージング・コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI KAGAKU IMAGING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】401 Volvo Parkway, Chesapeake, Virginia 23320, U.S.A
【Fターム(参考)】