説明

バウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器

【課題】使用者が操作しやすく、本体のデザインや大きさに制約を与えない感圧スイッチを有するバウンダリーマイクロホン及び卓上音圧トランジューサーを提供する。
【解決手段】 扁平状に形成されたベース10と、上記ベースの底部に配置された台座13と、上記ベースに組み込まれ音声を電気信号に変換するマイクロホンユニット31と、上記マイクロホンユニット31の出力信号をオン・オフさせる感圧スイッチ12Aと、を備え、上記感圧スイッチ12Aは、上記ベース10と上記台座13との間で押圧されるように少なくとも1つ配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンユニットの出力信号をオン・オフする感圧スイッチを有してなる、主に卓上に設置して使用されるバウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロホンユニットの出力信号をオン・オフする感圧スイッチを有し、卓上に設置されて使用されるバウンダリーマイクロホン、マイクロホン付きスピーカーなどの卓上電気音響変換器があった。例えば、特許文献1には、バウンダリーマイクロホンの発明が記載されている。バウンダリーマイクロホンは、TVスタジオや会議場などにおいて机や床面に設置して使用されることからサーフェイスマウントマイクロホン(面上収音式マイクロホン)とも呼ばれている。バウンダリーマイクロホンなどの電気音響変換器は主に卓上で使用されるため、その存在が目立たないように、高さを抑えた扁平状のケースにマイクロホンユニットおよびこれに必要な回路が組み込まれることが多い。
【0003】
例えば、図12に示すように、バウンダリーマイクロホンのマイクロホンケース11は、扁平状に形成され、上面側が開放されている金属製のベース10と、多数の開口(音波導入孔)を有する金属板(パンチングプレート)からなりベース10の上面を覆うマイクカバー20により構成される。マイクロホンケース11の内部には、マイクロホンユニット31が収納されている。通常、マイクロホンユニット31には、コンデンサマイクロホンユニットが用いられる。
【0004】
図12に示すように、通常バウンダリーマイクロホンなどの卓上電気音響変換器は、マイクロホンユニットの出力信号のオン・オフを使用者に制御させるため、本体上部の前部にメンブレン方式、静電容量式、あるいは機械式など、適宜の方式のプッシュスイッチからなるスイッチ部12を有している。プッシュスイッチの中でも、マイクロホンの動作時に音声信号に動作音が入りにくいことから、卓上電気音響変換器には、メンブレン方式が多く用いられている。
【0005】
一般的にメンブレン方式のスイッチは、通常使用者の押圧によって撓む銅箔などのやわらかい導電性の素材と、電気的な導通を検出するためのパターンが形成された基板とで構成されており、銅箔を押して上記パターンに接触させ、また、押圧力の解除により銅箔をその弾力で復帰させることにより、スイッチをオン・オフさせるようになっている。
【0006】
しかしながら、図12に示すように、一般的に卓上電気音響変換器のスイッチ部12は、卓上電気音響変換器本体上部の斜め前方に向かう傾斜面に設置されているため、上記傾斜により使用者によるスイッチ部12を押す力が分散し易く、スイッチを作動させにくいことがあった。使用者は、スイッチ部12の面積が小さい場合や、スイッチ部12が斜めに設置されていて力が分散することで押しにくいと感じると、スイッチ部12を動作させようとして必要以上に強い力で押し、あるいはボールペンや爪等で圧力を集中的にかけることによってスイッチ部12を破損させることがあった。
【0007】
また、使用者がスイッチ部12の有効な押圧範囲が限られていると視認しにくいと、有効範囲を押すことができずスイッチが入らないといった不具合が生じることがあった。そのため、卓上電気音響変換器を設計する際にはスイッチ部12に十分な面積を持たせる必要があり、本体の大きさやデザインに制約を受けることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−288933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、使用者が操作しやすく、スイッチ部を破損させにくく、本体のデザインや大きさに制約を与えないように構成を工夫した、感圧スイッチを有するバウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバウンダリーマイクロホンは、扁平状に形成されたベースと、上記ベースの底部に配置された台座と、上記ベースに組み込まれ音声を電気信号に変換するマイクロホンユニットと、上記マイクロホンユニットの出力信号をオン・オフさせる感圧スイッチと、を備え、上記感圧スイッチは、上記ベースと上記台座との間で押圧されるように少なくとも1つ配置されていることを最も主要な特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る卓上電気音響変換器は、扁平状に形成されたベースと、上記ベースの底部に配置された台座と、上記ベースに組み込まれた電気音響変換ユニットと、上記ユニットの出力信号をオン・オフさせる感圧スイッチと、を備え、上記感圧スイッチは、上記ベースと上記台座との間で押圧されるように少なくとも1つ配置されていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ベースまたはバウンダリーマイクロホン若しくは卓上電気音響変換器本体を押圧するだけでスイッチを作動させることができ、操作性を高めることができる。また、上記スイッチはベースと台座の間で押圧されることにより作動する感圧スイッチであることから、ベースまたはバウンダリーマイクロホン若しくは電気音響変換器本体を押圧するとベースが沈み込みながらスイッチが作動するため、使用者はスイッチが作動したことを容易に認識することができ、使用者が必要以上の押圧力を加えることによってスイッチ部を破損させるといった不具合を防止することができる。感圧スイッチを使用したことにより、デザインや大きさに制約を与えないバウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器を得ることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかるバウンダリーマイクロホンの実施例を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる卓上電気音響変換器に用いることができる感圧スイッチの例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる卓上電気音響変換器に用いることができる感圧スイッチの他の例を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる卓上電気音響変換器に用いることができる感圧スイッチの他の例を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる卓上電気音響変換器に用いることができる感圧スイッチの他の例を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホンスタンドの上面図である。
【図7】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホンスタンドの側面図である。
【図8】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホンスタンドの底面図である。
【図9】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホン付きスピーカーの底面図である。
【図10】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホン付きスピーカーの側面図である。
【図11】本発明にかかる卓上電気音響変換器であるマイクロホン付きスピーカーの平面図である。
【図12】従来のバウンダリーマイクロホンの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るバウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に示す、実施例はバウンダリーマイクロホンの例で、主要な構成部として、高さを抑えた扁平状のマイクロホンケース11と、台座13と、感圧スイッチ12A、12Bと、雄ねじ22と、回路基板30と、マイクロホンユニット31と、マイクコード32と、コードブッシュ32を有している。マイクロホンケース11は、上面側が開放された金属製で扁平状のベース10と、ベース10の上面を覆うようにして、多数の開口(音波導入孔)を有しベース10に取り付けられる金属製のマイクカバー20で構成されている。ベース10の底面には、垂直方向の高さを抑えた四角柱状の複数の台座13が配置されている。ベース10の底面には、感圧スイッチ12Aが、少なくとも1つ備えられ、感圧スイッチ12Aは、台座13と上記ベース10との間に押圧されるように配置されている。さらに感圧スイッチ12Bが、ベース10の傾斜面に設置されている。ベース10とマイクカバー20とにより形成されるマイクロホンケース11の空間内に、回路基板30とマイクロホンユニット31とが収納されている。なお、マイクロホンユニット31は回路基板30に実装された状態で収納されてもよいし、回路基板30とは別にして収納されてもよい。また、回路基板30にはマイクコード32の一端が接続され、マイクコード32の他端側はコードブッシュ33を介してベース10から引き出されている。マイクカバー20は、取り外しできるようにベース10にねじ止めされている。図1では、見栄え上(意匠上)の観点から、1つの固定ねじ22とベース10側に突設された1つのボスによる1点止めがされているが、多点止めとしてもよい。また、場合によっては、ネジ止め以外の方法(例えば嵌合手段など)でマイクカバー20をベース10に固定してもよい。
【0015】
図示の実施例では、ベース10と、マイクカバー20の平面形状は、略四角形状をしている。したがって、両者で構成されたマイクロホンケース11の平面形状も略四角形状をしている。ベース10の形状としては、垂直面の形状が扁平であるならば、適宜のものを選択でき、四角形状でもよく三角形状でもよい。ベース10の平面形状が四角形状である場合、マイクカバー11の平面形状も四角形状に構成すると好ましい。
【0016】
台座13の形状としては、目的に応じて適宜のものを選択できるが、四角柱状にすると、安定的で好ましい。台座13の数は複数であればよい。図示の実施例では、ベース10は略四角形状の平面形状をしており、それを考慮してベース10の前側左右に2つ、後ろ側左右に2つ、合計4つの台座13を配置している。ベース10を安定に支持するためには、各台座13の中心点を結ぶ線が四角形を描くように4個の台座13が設けられていることが望ましい。台座13の配置は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ベース10の形状が三角形である場合には、各台座13の中心点を結ぶ線が三角形を描くように3か所に台座13を設けることができる。その場合、安定性の観点からベース10の前側中央に1つ、後ろ側左右に2つ、合計3つの台座13を配置すると好ましい。
【0017】
上記複数の台座13の材質は、目的に応じて適宜のものを選択できるが、例えば軟質材で形成されたものと、硬質材で形成されたものに分けることができる。どの台座13を軟質材とするかまたは硬質材にするかは、適宜選択することができる。例えば平面形状が四角形状であるバウンダリーマイクロホンの前側1か所に感圧スイッチ12Aを備えさせ、その下部に備えられる台座13と、他方前側の台座13の2か所を軟質材にする。そして後方の2か所の台座13を硬質材にすると、後方の台座13を支点としてマイクロホン本体前方が軟質材である前方の台座13が沈み込み、スイッチ12Aを動作しやすくできるため好ましい。硬質材で形成された台座13の上面に感圧スイッチ12Aを設けてもよいが、上述のように硬質材の台座13を支点にするため、軟質材13で形成された台座13の上部に感圧スイッチ12Aを配置するようにすると好ましい。感圧スイッチ12Aを前側2か所に設置することも可能である。感圧スイッチ12Aは、自己保持回路を備えることもできる。その場合、2か所の押圧の感知にずれが起こると誤作動を招きやすくなり、オン・オフ制御が複雑になるため感圧スイッチ12Aの設置点を1か所にするのが好ましい。ベース10の平面形状を三角形状とし、その底面の頂点近辺の3か所に台座13を設けている場合、ベース10の前側の底面に軟質材で形成された台座13とその上に感圧スイッチ12Aを設け、後ろ側左右2つに硬質材で形成された台座13を配置すると安定的で操作性もよくなり好ましい。一般的にバウンダリーマイクロホンの台座13は、振動を吸収する必要がある為、ゴムやシリコーンフォームを使用している。それゆえに上記軟質材、硬質材としては適宜のものを選択できるが、軟質材としては、例えば硬度30度のゴムを使用し、上記硬質材としては、硬度60度のゴムなどを用いると安定的かつ振動も吸収でき好ましい。
【0018】
ベース10の底面には、感圧スイッチ12Aが、少なくとも1つ備えられ、感圧スイッチ12Aは、台座13と上記ベース10で押圧されるように配置されている。そのため、上記感圧スイッチ12Aは、ベース10の上面あるいはマイクロホン本体上部が使用者によって下方に押圧されることにより、ベース10と台座13との間で押圧され、オン・オフされることとなる。上記感圧スイッチ12Aは、バウンダリーマイクロホンのベース10の底面、あるいは上記台座13のベース10側の面のどちらに取り付けられてよい。感圧スイッチ12Aが配置されるベース10の平面上の位置は、台座13と上記ベース10との間でありかつベース10の底面であるならば、目的に応じて適宜選択できる。従ってバウンダリーマイクロホン本体の使用者に押圧される位置は、台座13と感圧スイッチ12Aの配置位置に対応していればよく、任意の位置を選択することができる。ベース10の上記上面前方の傾斜面に図示しない感圧スイッチ12Bを押すための目印が付されている場合、それと一致させてスイッチ部12Aは傾斜部側の本体前方の台座13とベース10の底面との間に備えられると操作性がよく好ましい。
【0019】
図1では、感圧スイッチ12Bが、ベース10の前側上部の傾斜面に設置されている。そのため、上記傾斜により使用者の感圧スイッチ12Bを押す力が分散するなどの理由により、従来のバウンダリーマイクロホンのように感圧スイッチ12Bをオン・オフできなかった場合でも、感圧スイッチ12Bが押圧される力で感圧スイッチ12Aをオン・オフすることができる。また、感圧スイッチ12Bが正常にオン・オフされた場合は、感圧スイッチ12Aが作動しても、適宜の回路設計を用いて使用者の操作に影響しないよう設定されている。なお、上記感圧スイッチ12Aが、少なくとも1つ備えられているならば、感圧スイッチ12Bはなくてもよい。
【0020】
通常、ベース10は亜鉛ダイカストなどの鋳造により形成されるが、これ以外に金属のプレス成型品が用いられてもよい。また、マイクカバー20として鉄板などに多数の孔を形成したパンチングプレート(多孔板)が一般に用いられるが、パンチングプレートに代えて金網体を用いてもよい。
【0021】
通常バウンダリーマイクロホンの場合、マイクロホンユニット31にはインピーダンス変換器を有するコンデンサマイクロホンユニットが用いられる。図示しないが、回路基板30には、音質調整回路や音声出力回路などが設けられている。また、上述のように回路基板30にはマイクコード32の一端が接続され、マイクコード32の他端側はコードブッシュ33を介してベース10から引き出されている。なお、ワイヤレスの場合には、マイクロホンケース1に送信手段としてアンテナが設けられ、あるいは光学式ワイヤレスの場合には、例えば発光ダイオードが設けられる。
【0022】
次に、図2ないし図5に示すスイッチ部12Aの各種構成例について説明する。図2において、スイッチ部12Aは、メンブレン1と、銅箔2と、回路基板3によって構成されている。スイッチ部12Aの回路基板3は、そのパターン形成部が台座13側を向くようにベース10の底面側に適宜の方法で貼り付けられている。スイッチ部12Aのメンブレン1には、銅箔2が任意の方法で張り付けられており、銅箔2が回路基板3側を向くように形成されている。メンブレン1の銅箔2が張り付けられた周辺部は、銅箔2と回路基板3の間に空間ができるように、メンブレン1の形状と、銅箔2の弾性により図示のように山なりになるように形成されている。回路基板3の銅箔2側の面には導通を検出するための上記パターンが形成されており、回路基板3のパターン形成部と銅箔2を接触させると、回路が断線し、感圧スイッチ12Aを導通させることができるように設計されている。メンブレン1と、回路基板3のパターン周辺面の重なる部分は接着されている。
【0023】
メンブレン1と回路基板3の間には、図示しないスペーサーを入れ、偶然の接触による感圧スイッチ12Aの誤作動を防げる構造になっていると好ましい。なお、感圧スイッチ12Aの方式としては、メンブレン方式によるものに限らず静電容量式、あるいは機械式など適宜のプッシュスイッチを選択できるが、スイッチ音が発生しないためメンブレン方式であると好ましい。また、上記構成のみであると、感圧スイッチ12Aのオンの状態を維持するためには、ベース10の体勢を下方に押圧された状態に維持しなければならない。従って感圧スイッチ12Aは、さらに図示しない自己保持回路を備えていると、銅箔2と、回路基板が離れてもオンの状態が確保でき好ましい。自己保持回路が用いられた場合、2か所以上に感圧スイッチ12Aがあると、感知にずれが生じて誤作動を招きやすくなり、スイッチのオン・オフ制御が複雑になるため感圧スイッチ12Aの設置点を1か所にすると特に好ましい。
【0024】
上記のように構成することにより、使用者によって図1における感圧スイッチ12B、あるいはその周辺が押されると、ベース10の底部が下方に移動しメンブレン方式の感圧スイッチ12Aが台座13と、ベース10によって挟まれて押圧される。そして、回路基板3のパターン形成部と銅箔2が接触し、感圧スイッチ12Aを導通させることができる。メンブレン1の素材としては、目的に応じて適宜のものを選択でき、素材の柔軟性から樹脂製の膜などで構成されると好ましい。
【0025】
図3において感圧スイッチ12Aは、図2とその構成を上下逆にして、台座13の上側に適宜の方法で貼り付けられている。感圧スイッチ12Aの回路基板3は台座13のベース面側に適宜の方法で貼り付けられており、感圧スイッチ12Aのメンブレン1には、銅箔2が任意の方法で張り付けられている。図2に示す例に対してとその構成を上下逆にしたのみであるから、以下の説明は省略する。上記構造にすることにより、図3の場合と同様に、使用者によって図1における感圧スイッチ12B、あるいはその周辺が押されると、ベース10の底部が下方に移動しメンブレン方式の感圧スイッチ12Aが台座13と、ベース10によって挟まれて押圧される。上記押圧により、回路基板3のパターン形成部と銅箔2が接触し、スイッチ部12を導通させることができる。
【0026】
図4に示す感圧スイッチ12Aにおいて、回路基板3は、そのパターン形成部側が台座13側を向くように、ベース10の底面に適宜の接着方法で張り付けられている。メンブレン1は台座13の上面に適宜の接着方法で張り付けられている。メンブレン1のベース10の底面側には、銅箔2が接着されている。図5に示す感圧スイッチ12Aは、図4に示すものと上下逆の構成となっており、回路基板3は、そのパターン形成部がベース10側に向くように台座13上面に適宜の接着方法で張り付けられている。メンブレン1はベース10の底面に接着されている。メンブレン1の台座13側の面には、銅箔2が接着されている。以上のようにメンブレン1と、回路基板3が一体となっていない構成でも、図1における感圧スイッチ12B、あるいはその周辺が押されると、回路基板3のパターン形成部と銅箔2が接触し、感圧スイッチ12Aを導通させるように構成することができる。
【0027】
次に、図6に示す卓上電気音響変換器の実施例について説明する。この実施例は卓上電気音響変換器を構成するマイクロホンスタンドの例である。マイクロホンスタンドとは、例えば、特許第3905223号公報に記載の発明のような、グーズネックマイクロホンなどを卓上に固定するための台のことである。
【0028】
図6、図7において、マイクロホンスタンド70は、主要な構成部分としてベース10と、台座13と、感圧スイッチ12A及び12Bと、カバー60と、コネクタ50を有している。ベース10は、図1に示す実施例と同様に、高さを抑えた扁平状かつ平面形状が四角形状の構成になっている。上記ベース10の上面を覆うカバー60も同様に、高さを抑えた扁平状かつその平面形状は四角形状をしている。カバー60の上面前側には傾斜面があり、そこに感圧スイッチ12Bが設置されている。上記ベース10の底面には、感圧スイッチ12Aが備えられている。さらにその下部に台座13が備えられている。すなわち感圧スイッチ12Aがベース10の底面と、台座13に押圧されるように備えられている。また、カバー60上面略中央には、図示しないマイクロホンなどのアクセサリと着脱可能とするため、コネクタ50が形成されている。
【0029】
図8において、ベース10の平面形状は四角形状であることから、本体の安定を考慮し台座13はベース10の四隅に備え付けられている。この場合、図1の記載と同様に、本体前面側の台座1か所に感圧スイッチ12Aを備えさせ、その台座と、前面側他方の台座13の2か所を軟質材にする。そして後方の2か所の台座13を硬質材にすると、後方の台座13を支点としてマイクロホン本体前方が軟質材である前方の台座13が沈み込み、スイッチ12Aを動作しやすくできるため好ましい。台座13の材質は、硬質材で形成された台座13の上面に感圧スイッチ12Aを設けてもよいが、上述のように、軟質材13で形成された台座13の上部に感圧スイッチ12Aを配置すると硬質材の台座13を支点として押圧することができるため好ましい。また、感圧スイッチ12Aは、図示しない自己保持回路を備えていると、感圧スイッチ12Aがオン状態にするためにベース10の体勢を維持しなくともよく、すなわち押し続ける必要がないため好ましい。その場合、2か所以上感圧スイッチ12Aがあると、感知にずれが生じて誤作動を招きやすくなり、スイッチのオン・オフ制御が複雑になるため感圧スイッチ12Aの設置点を1か所にすると特に好ましい。マイクロホンスタンド70における、ベース10と、ケース60の平面形状としては、適宜選択でき、三角形でも四角形でもよい。ケース60の材質は適宜のものが選択でき、プラスチックや金属を用いてもよい。
【0030】
図7において前面の少なくとも一か所には、図1において説明した構造で、感圧スイッチ12Aがベース10の底面と、台座13に押圧されるように備えられている。すなわち、マイクロホンスタンド70は、図1、図2、図3、図4、および図5に示したバウンダリーマイクロホンと同様の感圧スイッチ12Aの機構を備えている。また、このように設計することにより、上記マイクロホンスタンド60の感圧スイッチ12Aは、感圧スイッチ12Bあるいはその周辺を操作者に下方に押されることにより、オン・オフされることとなる。また、上記コネクタ部50によってマイクロホンスタンド70と、図示しないマイクロホンなどのアクセサリとが着脱可能なっている。従ってグースネック型のマイクロホンなど外部のアクセサリのオン・オフをマイクロホンスタンド70の感圧スイッチ12Aで行うことができる。感圧スイッチ12A以外のマイクロホンスタンド70の構成としては、適宜変更することができる。例えば、特許第3905223号公報に記載の発明で使用されているパイプをフレキシブルなものとしたグーズネックマイクロホンが、コネクタ50を介して着脱可能になるように構成してもよい。マイクロホンスタンド70のベース10、台座13、および感圧スイッチ12Aに関する詳細な構成については、図1、図2、図3、図4、および図5について説明した構成と同様であり、以下の説明は省略する。
【0031】
さらに、図9に示す卓上電気音響変換器の別の実施例について説明する。この実施例は卓上電気音響変換器を構成するスピーカー付きマイクロホンの例である。スピーカー付きマイクロホンとは、例えば、特開2005−312041号公報に記載されている発明のような、電話会議などに使用されるマイクロホンとスピーカーを兼ね備えている卓上電気音響変換器のことである。
【0032】
図9、図10、および図11において、実施例におけるスピーカー付きマイクロホン100は、主要な構成部分として、ベース10と、台座13と、感圧スイッチ12A及び12Bと、カバー60と、マイクロホン101と、スピーカー102を有している。ベース10は、高さを抑えた扁平状かつ平面形状が三角形状の構成をしている。カバー60も同様に、扁平状かつその平面形状は三角形状をしている。図9に示すように、台座13は、ベース10の底面かつベース10の平面形状における三角形状の頂点近辺に3つ備えられている。また、図10に示すように、カバー60上面前方の傾斜面には感圧スイッチ12Bが設置されている。また、カバー60上面略中央には、マイクロホン102のための通気口と、平面形状における三角形の頂点近辺には、スピーカー101のための通気口が形成されている。ベース10と、カバー60の内部の図示しない空間には、スピーカー101と、マイクロホン102が備えられている。その他の構成については、例えば特開2005−312041号公報に記載されている発明のように構成されている。
【0033】
図9、図10、および図11において、スピーカー付きマイクロホン100は、図1、図2、図3、図4および図5で示したバウンダリーマイクロホンと同様の感圧スイッチ12Aの機構を備えている。すなわち図10に示すように、スピーカー付きマイクロホン100は、そのベース10の底面に感圧スイッチ12Aを備えている。また、スピーカー付きマイクロホン100は、上記ベース10の上面を覆うカバー60と、ベース10の底面に複数の台座13を備えている。カバー60上面前方には、感圧スイッチ12Bが設置されている。このように設計することにより、上記バウンダリーマイクロホンの感圧スイッチ12Aは、感圧スイッチ12Bあるいはその周辺を操作者に下方に押されることにより、連動してベース10と台座13に押圧され、オン・オフされることとなる。
【0034】
スピーカー付きマイクロホン100は、特開2005−312041号公報に記載されている発明ように、携帯電話などを接続可能に構成してもよい。図9、図10、および図11に示している上記スピーカー付きマイクロホン100は、ベース10の平面形状を三角形状としているので、その頂点近辺3か所に台座13が設けられている。従ってベース10の前側中央に軟質材の台座13を1つ、後ろ側左右に硬質材の台座13を2つ、合計3つの台座13を配置し、前側の台座13の上部に感圧スイッチ12Aを1つ備えると好ましい。スピーカー付きマイクロホン100における、ベース10と、ケース60の平面形状は、適宜変更することができ、三角形でも四角形、その他任意の形状でもよい。ケース60の材質は目的に応じて適宜のものが選択でき、プラスチックや金属を用いても良い。上述のように感圧スイッチ12Aがオンの状態のときに、自己保持回路を備えていないと、ベース10はその体勢を維持しなければならないため、別の構成要件が必要となる。従って感圧スイッチ12Aは、さらに図示しない自己保持回路を備えていると好ましい。その場合、2か所以上感圧スイッチ12Aがあると、感知にずれが生じて誤作動を招きやすくなり、スイッチのオン・オフ制御が複雑になるため感圧スイッチ12Aの設置点を1か所にすると特に好ましい。
【0035】
スピーカー付きマイクロホン100のベース10、台座13、及び感圧スイッチ12Aに関する詳細な構成は、ベース10の平面形状が三角形である以外は、上述の図1、図2図3、図4および図5における上述の説明と同様であり、以下の説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明にかかるバウンダリーマイクロホンおよび卓上電気音響変換器は、これらの実施例の構成に限定されるものでない。すなわち、本発明にかかるバウンダリーマイクロホン及び卓上電気音響変換器の感圧スイッチは、適宜の卓上電気音響変換器であるバウンダリーマイクロホン、マイクロホンスタンドとそのアクセサリ、スピーカー、スピーカー付きマイクロホンなどに利用することができる。また、卓上電気音響変換器として平面に設置していたものを垂直に設置できるようにし、例えばインターホンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 メンブレン
2 銅箔
3 回路基板
10 ベース
11 マイクロホンケース
12 感圧スイッチ
13 台座
20 マイクカバー
22 ねじ
30 回路基板
31 マイクロホンユニット
32 マイクコード
33 コードブッシュ
50 コネクタ
60 カバー
70 マイクロホンスタンド
100 スピーカー付きマイクロホン
101 マイクロホン
102 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状に形成されたベースと、
上記ベースの底部に配置された台座と、
上記ベースに組み込まれ音声を電気信号に変換するマイクロホンユニットと、
上記マイクロホンユニットの出力信号をオン・オフさせる感圧スイッチと、を備え、
上記感圧スイッチは、上記ベースと上記台座との間で押圧されるように少なくとも1つ配置されていることを特徴とするバウンダリーマイクロホン。
【請求項2】
上記台座は、軟質材で形成されたものと硬質材で形成されたものとからなり、上記感圧スイッチは、上記軟質材からなる台座に設けられている請求項1に記載のバウンダリーマイクロホン。
【請求項3】
上記感圧スイッチは、ベースの底部と上記台座との間に配置されるとともに、ベースの上面にも配置されている請求項1または2に記載のバウンダリーマイクロホン。
【請求項4】
上記感圧スイッチは、上記ベースの前側上部が下方に向けて押圧されることによりオン・オフされる請求項1〜3のいずれかに記載のバウンダリーマイクロホン。
【請求項5】
上記感圧スイッチは、メンブレン方式のスイッチである請求項1〜4のいずれかに記載のバウンダリーマイクロホン。
【請求項6】
扁平状に形成されたベースと、
上記ベースの底部に配置された台座と、
上記ベースに組み込まれた電子音響変換ニットと、
上記電気音響変換ユニットの出力信号をオン・オフさせる感圧スイッチと、を備え、
上記感圧スイッチは、上記ベースと上記台座との間で押圧されるように少なくとも1つ配置されていることを特徴とする卓上電気音響変換器。
【請求項7】
上記感圧スイッチは、ベースの底部と上記台座との間に配置されるとともに、ベースの上面にも配置されている請求項6に記載の卓上電気音響変換器。
【請求項8】
上記台座は、軟質材で形成されたものと硬質材で形成されたものとからなり、上記感圧スイッチは、上記軟質材からなる台座に設けられている請求項6または7に記載の卓上電気音響変換器。
【請求項9】
上記感圧スイッチは、上記ベースの前側上部が下方に向けて押圧されかつこの押圧力が解除されることによりオン・オフされる請求項6〜8のいずれかに記載の卓上電気音響変換器。
【請求項10】
上記電気音響変換ユニットはマイクロホンユニットであり、上記マイクロホンユニットは上記ベースに設けられているコネクタ部によって着脱可能である請求項6〜9のいずれかに記載の卓上電気音響変換器。
【請求項11】
上記感圧スイッチは、メンブレン方式のスイッチである請求項6〜10のいずれかに記載の卓上電気音響変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−278988(P2010−278988A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132380(P2009−132380)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000128566)株式会社オーディオテクニカ (787)
【Fターム(参考)】