説明

バシルス(Bacillus)種195のアルファ‐アミラーゼポリペプチドの組成物と使用。

本明細書の開示は、バシルス種(Bacillus sp.)195番から得られるアルファ‐アミラーゼ酵素を含む組成物及び表面及び繊維を洗浄するための酵素の使用方法である。また、異なるシグナル配列を有する酵素の変異体を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書にてバシルス種(Bacillus sp.)195から得られたアルファ‐アミラーゼ酵素の組成物及び使用方法を開示している。
【背景技術】
【0002】
デンプンはアミロース(15から30%w/w)とアミロペクチン(70から85%w/w)の混合物からなる。アミロースは約60、000から約800、000からの分子量(MW)を有する直鎖アルファ‐1,4‐結合グルコースユニットからなる。アミロペクチンは24から30のグルコースのユニットごとにアルファ‐1、6分岐点を含む枝分かれポリマーであり、そのMWは100万位である。
【0003】
濃縮デキストロースシロップの形態のデンプン由来の糖は、現在、(1)約7から10の平均重合度合いを有するデキストリンへアルファ‐アミラーゼで固体デンプンの液状化(又は粘度低下)(2)アミログルコシダーゼ(またグルコアミラーゼ又はGAと呼ばれる)で得られた液状デンプン(言い換えると、デンプン加水分解物)の糖化を含む酵素の触媒によるプロセスで生産される。得られたシロップは高いグルコース含有量を有する。商業的に生産されるグルコースシロップの多くは、後に、イソシロップで知られるデキストロース/フルクトース混合物へ酵素的に異性化される。
【0004】
アルファ‐アミラーゼ類(EC 3.2.1.1)は不規則に内部のアルファ‐1,4‐グルコシド結合を切断することによりデンプン、グリコーゲン、関連する多糖を加水分解する。この酵素は、例えば糖、醸造、アルコール及び繊維産業において数多くの重要な産業上の利用を有する。アルファ‐アミラーゼは、広範囲の細菌類、菌類、植物、及び動物の供給源から単離される。産業的に、多くの重要なアルファ‐アミラーゼは、バシルス(Bacilli)から単離されたものである。長年、アルファ‐アミラーゼ酵素は、種々の異なる目的に用いられ、デンプンの液状化、繊維の湯通し、製紙及びパルプ産業におけるデンプンの改変、及び醸造を含む。またこれらの酵素は食器洗浄及び洗濯においてデンプン汚れを除くために用いられた。
【0005】
配列が決定されたあるバシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼは、バシルス種(Bacillus sp.)195番(BAA)由来のアルファ‐アミラーゼである。それは二つの領域からなり、それは、動物アルファ‐アミラーゼに類似する触媒領域と二つのデンプン結合部位を含む領域である。J. Sumitani 他、 「New type of starch−binding domain: the direct repeat motif in the C−terminal region of Bacillus sp. no. 195 α‐amylase contributes to starch binding and raw starch degrading,」 Biochem. J. 350: 477−484 (2000)を参照願いたい。Sumitani 他、(2000)において、遺伝子産物の三つの活性体が、バシルス種(Bacillus sp.)195番遺伝子産物が異種発現したストレプトミセス リビダンス(Streptomyces lividans)の培養上清に発見された。これらの産物は、69kDa型、60kDa型、50kDa型であった。69kDa型は完全長遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて計算した分子量と同等の分子量を有する完全サイズの成熟蛋白質のようだ。60kDa型は、バシルス種(Bacillus sp.)195番の天然型酵素と同様であり、C末端に位置する二つのデンプン結合部位の間の蛋白質分解処理により発生するようだ。この型は69kDa型と比較して、低い生デンプン結合及び分解活性を有する。50kDa型は不溶性デンプンを結合及び分解できない。
【0006】
アミラーゼ類は繊維処理、洗濯及び洗浄組成物、湯通し組成物、及び製パン、デンプン液化及び処理に用いられてきた。かくて、低コストで生産、コストマージンの改善、プラント容量の節約の提供、及びより高い活性産物の生産がより簡単にできるアルファ‐アミラーゼを同定する必要性が継続して存在する。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の一面は、産業界の必要性に十分取り組めるように、増量生産、低コスト生産のできるバシルス種(Bacillus sp.)195由来のアルファ‐アミラーゼの開発に向けられる。これらアルファ‐アミラーゼの変異体はアルファ‐アミラーゼを用いる種々の組成物及び処理に用いることができる。
【0008】
一つの目的は核酸の提供であって、代替的に、図2(配列番号2)に示す最適化される核酸を提供する。他の態様では、バシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ‐アミラーゼ又はそれのポリペプチド欠損のシグナルペプチドをコードする核酸配列に作動的に連結するアルファ‐アミラーゼ遺伝子を提供する。
【0009】
さらに他の態様は図4に記載のポリペプチドの欠損型をコードし、該欠損は491(例えば、任意のデンプン結合領域、及びその類似領域の後のアミノ酸492、494、504、509)番目のアミノ酸後の任意の残基に起こる、核酸を提供する。
【0010】
さらなる態様は図4の完全長ポリペプチド又は491番目の残基後任意のカルボキシ末端欠損産物を提供する。
【0011】
さらに他の実施態様は上述のポリペプチドをコードする核酸に作動的に結合するベクターを提供する。
【0012】
さらに、他の態様はいずれかの上述の核酸を有する単離された宿主細胞又は該核酸を含むベクターを意図している。単離宿主細胞は原核細胞又は真核細胞である。単離される宿主細胞は細菌(例えば、バシルス ズブチリス(B. subtilis)、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)、バシルス レンツス(B. lentus)、 バシルス ブレビス(B. brevis)、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)、バシルス アルカロフィリス(B. alkalophilus)、バシルス アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、バシルス コアグランス(B. coagulans)、バシルス シルクランス(B. circulans)、バシルス ランツス(B. lautus)、 バシルス ツリンギエンシス(B. thuringiensis)ストレプトミセス リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス ムリナス(S. murinus)、 又は大腸菌(Escherichia coli)である。
【0013】
他の態様では、本明細書に記載のポリペプチドを含有する洗剤添加物に関し、該洗剤添加物は、任意に非ダスティング粒状、マイクロ粒状、安定化液、ゲル、又は保護酵素の形態である。洗剤添加物中のポリペプチドは上述のように欠損ポリペプチドである。洗剤添加物は、洗剤添加物のグラム当たり0.02mgから200mgのポリペプチドを含む。さらに、洗剤添加物はプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、デンプン分解酵素、セルラーゼ、ポリエステラーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素を含む。
【0014】
別の態様においては、いずれかの本明細書に記載の洗剤添加物を含有する洗剤組成物を含む。洗剤組成物は任意に一以上の界面活性剤、漂白システム又は漂白剤、洗剤ビルダー、ポリマー、安定剤、繊維コンディショナー、泡立ち剤、泥抑制剤、抗腐食剤、染料、香料、泥懸濁剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は殺菌剤を含む。洗剤組成物は追加酵素を含み、又はさらに追加酵素を含むことができ、該酵素はプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、デンプン分解酵素、セルラーゼ、ポリエステラーゼ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素を含有する。
【0015】
他の態様においては、本明細書記載のポリペプチドを含有する手動又は自動食器洗浄洗剤組成物を含む。
【0016】
さらなる態様においては、本明細書記載の手動又は自動食器洗浄洗剤をそれらを必要とする食器又は食器類に適用することを含む食器洗浄方法を含む。食器を洗浄する方法は洗浄液が、約0.01ppmから約4ppmの量で本明細書に記載のポリペプチドを含むような量で食器洗浄洗剤を添加することを意図する。
【0017】
他の態様においては、本明細書記載の洗剤添加物を含有する洗濯洗剤組成物を含む。さらなる態様においては、本明細書に記載の洗剤組成物で溶液中の汚れた繊維を洗浄することを含む繊維洗浄方法を意図する。さらに、該方法は溶液中約0.01ppmから約2ppmの溶液中の量で本明細書に記載のポリペプチドを有することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1AからBは、バシルス種(Bacillus sp.)195アルファ‐アミラーゼ(登録第AB006823号)のヌクレオチドコード配列である。Amy195シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は下線部に示す。停止コドンは配列番号1の太字で示す。
【図2】図2は、コドン最適化後のバシルス種(Bacillus sp.)195アルファ‐アミラーゼのヌクレオチドコード配列である。成熟Amy195蛋白質をコードするヌクレオチド配列はバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼ(LAT)(配列番号2)のシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列により前方に位置する。LATシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は下線部に示す。停止コドンは太字で示す。アミノ酸コドン最適化はGeneArt(商標)(GeneArt GmbH, Germany)で行った。
【図3】図3はAmy195(配列番号3)のポリペプチド配列である。シグナル配列は1−46(下線部)残基である。成熟Amy195は47残基で始まる。遺伝子操作による欠損型を作製するために太字かつ下線部の残基をコードするコドンは停止コドンに置き換えられた。すなわち、図3の番号を用いてY511、K521、及びV526が、遺伝子操作よる欠損型の最後のアミノ酸残基である。
【図4】図4はAmy195アミノ酸配列であってLATシグナル配列(配列番号4)を有する異種の融合蛋白質として示した。カルボキシ末端部の小文字は、CBD‐25ファミリーに属するデンプン結合部位を形成する。アミノ末端側の小文字(1から29残基)はバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)から得られるアミラーゼシグナル配列を示す。大文字はサブドメインA、B、及びCを含む酵素の触媒部位を示し、サブドメインAについて約30から105及び208から300残基、サブドメインBについて約106から207残基、及びサブドメインCは301から492残基にわたると考えられる。Val492は蛋白質分解的な欠損型(図4の番号を用いる)の最終のアミノ酸残基である。サブドメインAはポリペプチドの直線的配列上に不連続であることに注意されたい。
【図5】図5は、pHPLTベクターにおけるLATシグナル配列をコードする核酸及びLATターミネーター配列に連結するバシルス種(Bacillus sp.)195のアルファ‐アミラーゼをコードする核酸の図である。pHPLTプラスミドは周知である(例えば米国特許第5,871,550号と6,562,612号及び米国特許出願広報20060014265を参照)。pHPLTベクターを、9プロテアーゼ欠損 バシルス ズブチリス(B. subtilis)菌株(US20050202535A1参照)に導入し、Amy195を発現した。
【図6】図6はpH及び蛋白質濃度を関数とするAmy195に対する性能試験の結果を示す。試験された分画は図10においてe‐poolと表示するものである。試験を96穴プレート試験で行った。着色米デンプン(Testfabrics Inc., CS28 colored rice starch)で汚した4分の1インチの繊維見本を各ウェルへ移した。緩衝液:25 mM HEPES pH 8.0又は25 mM CAPS pH 10.3を各ウェルへ添加した。プレートを40℃でインキュベーションした。反応を最終濃度が0ppmから2ppmであるAmy195酵素の添加により開始した。プレートをエッペンドルフサーモミックス(Eppendorf Thermomix)装置で750rpmにて振盪しながら40℃で10分間インキュベーションした。このインキュベーション後、上清を新しい96穴プレートに移し、488nmでの吸光度をモレキュラーデバイスプレートリーダー(Molecular Devices plate reader)、Spectra Max 190モデルにて測定した。データをErithicusソフトウエアからのGRAFITパッケージの助けをかりてグラフにした。データの点をミカエリスメンテン式(Michaelis−Menten fitting algorithm)のような同様の形をとるラングミュア吸着等温式(Langmuir isotherm fitting algorithm)に適応した。発現した各Amy195蛋白質はLAT由来のシグナルペプチドを含むが、これは、分泌過程の間に削り取られ、成熟Amy195蛋白質に存在していない。
【図7】図7は図10に示すすべての蛋白質分解断片の性能試験の結果を示す。この試験を実施例3及び図6のpH8に関する凡例に記載のように行い、グラフに表した。データをすべての分画はOxAm(ジェネンコ インターナショナル社 (Genencor International, Inc.))と同等またはそれより良い結果を示した。
【図8】図8は、SDSポリアクリルアミドゲルを行い、遺伝子操作による欠損Amy195分子の発現を示す。欠損体を図4の番号を用いてC末端残基494、504、及び509と示す。発現培養は実施例2に記載のように行い、濃度の標準としてOxAm用いて濃度を評価した。
【図9】図9は、遺伝子操作による欠損Amy195アミラーゼ変異体の性能の適用を示す。性能試験をさらなる精製をせずに、培養上清を用いて行った。試験の手法及びデータのグラフ化を実施例3及び図6のpH8に関する凡例に記載する。データはすべての欠損分子がOxAmよりよいことを示す。
【図10】図10は、Amy195蛋白質分解断片を含み、ベータ‐シクロデキストリンカラムからの分画物の分析を示す。分画を「wl」(25 mM bis‐tris propane, pH 8.5、2 mM CaClでカラムから溶出される「洗浄1」)、「w2」(さらに同様の緩衝液の一部で溶出される「洗浄2」)、及び「e−pool」(同様の緩衝液中50mMベータ‐シクロデキストリンで溶出される分画及びゲル上で3点の異なる濃度で処理する)によって示す。ベータ‐シクロデキストリンカラムのマトリックスをベータ‐シクロデキストリン(Sigma Aldrichカタログ番号c4767)とエポキシ‐活性化‐セファロース‐6B(GE Healthcare, NJ.カタログ番号17‐0480‐01)から標準手順で工場内にて合成した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願はバシルス種(Bacillus sp.)195番アルファ‐アミラーゼを含む組成物及び使用方法を提供する。また、成熟アルファ‐アミラーゼのポリペプチド配列を修飾することにより、アルファ‐アミラーゼ及び異種型を生産する方法の多様性を開示する。
【0020】
衣類及び食器の汚れは、非常に多様な組成物を有し、また、除去するための能力も非常に多様性に富む。市場におけるアミラーゼは比較的少数しか衣類及び食器両方の適用に用いられていない。バシルス種(Bacillus sp.)195から得られるアルファ‐アミラーゼは商業的に用いる任意の細菌アミラーゼと高い相同性を示していない。すなわち、ある態様では、例えば、Ca2+依存性の減少、LAS安定の改善、pH範囲の改善、温度範囲の改善、特異的活性の増強等のような、食器及び衣類適用の増強される特徴を有する変異体を同定するために基本骨格として野生型蛋白質を用いる。
【0021】
1. 定義及び略語
この詳細な記載において、次の略語及び定義が適用される。本明細書と添付する請求の範囲に使用している単数形「a」「an」及び「the」は、内容が明らかに他の事を指し示していない限り、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「酵素」(an enzyme)はそんな酵素の複数を含み、「用量(the dosage)」の意味は一以上の用量及び当業者が知っているものと等価の意味を含む。
【0022】
別段の指示がない限り、本明細書にて用いるすべての技術及び科学用語は当業者が通常理解する同様の意味を有する。次の用語を以下に示す。
【0023】
1.1 略語
次の略語は、定義が本明細書の範囲内で述べている内容について他に示していない限り、以下の意味を有する。
【0024】
AE アルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)
AEO アルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)
AEOS アルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)
AES アルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)
Amy195 バシルス種(Bacillus sp.)195番由来アルファ‐アミラーゼ(α‐amylase from Bacillus sp. no. 195)
AOS アルファ‐オレフィンスルホン酸塩(α‐olefinsulfonate)
AS アルキル硫酸塩(alkyl sulfate)
CBD−25 炭水化物結合領域蛋白質ファミリー25(carbohydrate binding domain protein family 25)
cDNA 相補的DNA(complementary DNA)
CMC カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)
DNA デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)
DTMPA ジエチレントリアミンペンタ酢酸(diethylenetriaminepentaacetic acid)
EC 酵素委員会(enzyme commission)
EDTA エチレンジアミンテトラ酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)
EMPA スイス連邦材料試験研究所(Eidgenossische Materialprufungs‐ und Forschungs Anstalt (Swiss Federal Laboratories for Materials Testing and Research))
EO エチレンオキシド(ethylene oxide) (ポリマーフラグメント(polymer fragment))
F&HC 繊維及び家庭用ケア(fabric & household care)
GA グルコアミラーゼ(glucoamylase)
IPTG イソプリピル ベータ‐D‐チオガラクトシド(isopropyl β‐D‐thiogalactoside)
kDa キロダルトン(kilo Dalton)
LAS リニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)
LAT バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アミラーゼに関する(例、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アミラーゼシグナル配列又はターミネーター)
MW 分子量(molecular weight)
MWU 修飾ウォルゲムス単位(modified Wohlgemuth unit); l.6xl0−5 mg/MWU = 活性単位(unit of activity)
NOBS ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩 (nonanoyloxybenzenesulfonate)
NTA ニトリロ酢酸(nitriloacetic acid)
OxAm プラスター(Purastar)HPAM 5000L(ジェネンコ インターナショナル社 (Genencor International, Inc.))
PEG ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol)
pI 等電点(isoelectric point)
PVA ポリ(ビニル アルコール)(poly(vinyl alcohol))
PVP ポリ(ビニルピロリドン)(poly(vinylpyrrolidone))
RNA リボ核酸
SAS アルカンスルホン酸塩(alkanesulfonate)
SDS PAGE ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis)
sp. 種(species)
TAED テトラアセチルエチレンジアミン(tetraacetylethylenediamine)
w/v 質量/体積(weight/volume)
w/w 質量/質量(weight/weight)

1.2定義
「アミラーゼ」又は「デンプン分解酵素」はグルコアミラーゼ、アルファ‐アミラーゼ、ベータ‐アミラーゼ、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)及びバシルス ズブチリス(B. subtilis)のようなバシルス種(Bacillus sp.)の野生型アルファ‐アミラーゼのような任意のアミラーゼを含むことを意味する。「アミラーゼ」は、とくに、デンプンの分解の触媒能力を有する酵素を意味する。アミラーゼ類はデンプン中のアルファ‐D‐(1→4)O‐グリコシド結合を切断する加水分解酵素である。一般的に、アルファ‐アミラーゼ(EC 3.2.1.1; α‐D‐(l→4)‐グルカン グルカノヒドロラーゼ(glucan glucanohydrolase))は不規則的にデンプン分子内のアルファ‐D(1→4)O‐グリコシド結合を切断するエンド作用酵素として定義される。それに対して、ベータ‐アミラーゼ((EC 3.2.1.2. α‐D‐(l→4)−グルカン マルトヒドロラーゼ(glucan maltohydrolase))及び麦芽アルファ‐アミラーゼ(maltogenic α‐amylase)(EC 3.2.1.133)のようにある産物特異的アミラーゼ類のような、エキソ作用デンプン分解酵素は、基質の非還元末端からデンプン分子を切断する。ベータ‐アミラーゼ、アルファ‐グルコシダーゼ (EC 3.2.1.20; α‐D‐グルコシド グルコヒドロラーゼ(glucoside glucohydrolase))、グルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3; α‐D‐(l→4)-グルカン グルコヒドロラーゼ(glucan glucohydrolase))、及び産物特異的アミラーゼ類はデンプンから特徴的な長さの麦芽オリゴ糖を生産する。
【0025】
「アミラーゼ変異体」、「アルファ‐アミラーゼ変異体」、「アルファ‐アミラーゼ変異ポリペプチド」、及び「変異酵素」は、例えば、他のアルファ‐アミラーゼのシグナル配列を用いて修飾され、配列の最適化が行われたバシルス種(Bacillus sp.)195番のアルファ‐アミラーゼ蛋白質を意味する。本明細書にて用いる「親酵素」、「親配列」、「親ポリペプチド」、「野生型アルファ‐アミラーゼ蛋白質」、及び「親ポリペプチド」はアルファ‐アミラーゼ変異ポリペプチドの由来先である酵素及びポリペプチドを意味する。親酵素は野生型酵素又はすでに遺伝子組み換えされているアルファ‐アミラーゼでもよい。すなわち、アルファ‐アミラーゼポリペプチドは遺伝子組み換え酵素でもある。また、アルファ‐アミラーゼ変異体は異種のアルファ‐アミラーゼポリペプチドを含む融合蛋白でもよい。例えば、アルファ‐アミラーゼ蛋白質は、別のバシルス(Bacillus)アルファ‐アミラーゼの成熟蛋白質に結合したバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)アルファ‐アミラーゼ(LAT)のシグナルペプチドを含んでもよい。「変異体」という用語は、「ミュータント」という用語と互換可能に用いてよい。変異体はポリペプチド及び核酸を含む。変異体は挿入を含み、これらの変異体は、一以上の位置で、さらに追加的な置換、挿入、トランスバージョン、欠損、及び/又はインバージョンを含む。変異体は本明細書に記載のヌクレオチド配列にハイブリッド可能な相補的配列である配列を含む。例えば変異配列はストリンジェント条件(例えば、50℃及び0.2XSSC{1XSSC=0.15 M NaCl,0.015 M Na citrate, pH 7.0})下、本明細書に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズできる相補的配列を有する。さらに用語「変異体」は、高いストリンジェント条件(例えば、65℃及び0.1XSSC{1XSSC=0.15 M NaCl,0.015 M Na citrate, pH 7.0})下、本明細書に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズできる相補的配列を有する配列を含む。
【0026】
「バシルス種(Bacillus sp.)195のアルファ‐アミラーゼ」、「Amy195アルファ‐アミラーゼ」、又は「Amy195」は図3の蛋白質をコードする核酸(図1)又は、図4の蛋白質をもコードする図2の合成核酸配列を意味する。また、任意の欠損型(言い換えると、天然的に、組み換え的に、又は合成的に、492番目の残基後が欠損し、シグナル配列を含まない酵素の形態、又は異種のシグナル配列及びカルボキシ末端で欠損配列を有する形態)を含む。さらに、その用語は図3の任意の誘導体配列及びアミノ酸置換、欠損、挿入、又は自然では見られないN−又はC末でのアミノ酸延長を含む下線部DNAを含む。
【0027】
用語「単離される」は、配列が自然に結合し及び配列とともに自然に見られる少なくとも一つの他の成分が少なくとも実質的にないことを意味する。
【0028】
用語「精製される」は、材料が相対的に純粋状態、例えば少なくとも約90%純粋、又は少なくとも約95%純粋、又は少なくとも約98%純粋であることを意味する。
【0029】
用語「熱安定性」は、高い温度にさらされた後、活性を維持するような酵素能力を意味する。酵素の熱安定性、例えば、アルファ‐アミラーゼの熱安定性はその半減期によって測定される。半減期(t1/2)は、所定の条件下、酵素活性が半分になるのにかかった分、時間、日の単位で表す時間である。半減期の値は残りのアルファ‐アミラーゼ活性を測定することにより計算される。
【0030】
用語「pH範囲」は、5からそれ以上のpH単位の範囲の酸性からアルカリ性条件での触媒活性を有する酵素の能力をいう。
【0031】
本明細書にて用いる用語「pH安定性」は、pHの広い範囲に対して活性を維持する酵素能力に関する。
【0032】
本明細書にて用いる「アミノ酸配列」は「ポリペプチド」及び/又は「蛋白質」と同義語である。ある場合は、用語「アミノ酸配列」は「ペプチド」と同義語である。ある場合は、用語「アミノ酸配列」は「酵素」と同義語である。
【0033】
本明細書にて用いる用語「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列、及び変異体、相同体、断片及びそれらの誘導体(それらの一部のような)をいう。そのヌクレオチド配列はゲノム、合成又は組み換え体由来のものでよく、センス鎖又はアンチセンス鎖を表すかどうかで、二本鎖又は一本鎖でよい。本明細書にて用いるように、その用語ヌクレオチド配列はゲノムDNA、cDNA、合成DNA、及びRNAを含む。
【0034】
「相同体」は、対象のアミノ酸配列及び対象のヌクレオチド配列とある度合いの相同性を有する物を意味する。相同配列は対象配列に対して少なくとも75%、80%、85%、又は90%相同的なアミノ酸配列、又は少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%相同的なアミノ酸配列を含むと考えられる。一般的に、相同性は対象アミノ酸配列の同様の活性部位を含む。
【0035】
本明細書にて用いる「ハイブリダイゼーション」は、核酸の一本鎖が塩基対を通して相補鎖に結合する過程及びポリメレースチェーン反応(PCR)において増幅する過程も含む。アルファ‐アミラーゼ変異核酸配列は一本鎖又は二本鎖DNA又はRNA、RNA/DNAへテロ二本鎖又はRNA/DNAコポリマーを含んでよい。
【0036】
本明細書にて用いる「コポリマー」はリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド両方を含む一本鎖の核酸をいう。アルファ‐アミラーゼ核酸はさらに増強した発現のためにコドン最適化をされてもよい。
【0037】
本明細書にて用いる「合成の」はインビトロで化学的又は酵素的合成によって生産されるものいう。ピキア(Pichia)、ストレプトミセス(Streptomyces)、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)、及びハンゼヌラ(Hansenula)のような宿主にとって最適化コドンを使用して創られたアルファ‐アミラーゼ変異核酸を含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書に用いる「形質転換細胞」は組み換えDNA技術を用いて遺伝子操作された細胞を含む。一般的に形質転換は細胞に一以上のヌクレオチド配列の挿入により起こる。挿入されたヌクレオチド配列は異種のヌクレオチド配列(言い換えると、融合蛋白質をコードする配列のような、形質転換された細胞に本来有していない配列)でもよい。
【0039】
本明細書に用いる「作動的に連結される」とは、記載される要素が、それらが意図する態様で機能するようにする関係である。コード配列に作動的に連結する調節配列は、制御配列に適合する条件下、コード配列の発現が達成されるようにライゲートされる。
【0040】
本明細書にて用いる「生物学的活性な」とは、自然的に発生する配列と同様な構造機能(同じ程度とは必ずしも限らない)、及び/又は同様な調節機能(同じ程度とは必ずしも限らない)、及び/又は同様な生物学的機能(同じ程度とは必ずしも限らない)を有する配列をいう。
【0041】
2.それによってコードされる核酸及びポリペプチド
バシルス種(Bacillus sp.)195番の核酸配列は、種々の宿主細胞中に発現するベクター中の種々のプロモーター及びレギュレーター作動的に連結することができる。2,103残基の核酸配列は、ジェンバンク登録第AB006823(図1AからBを参照)に開示されている。2,103残基の核酸配列によりコードするポリペプチド配列はジェンバンク登録第BAA22082.1に開示され、700アミノ酸の長さである(図3)。最初から46番目までのアミノ酸はシグナルペプチドの形をとる。切断は46番目の残基(Ala46)後で起こる。
【0042】
バシルス ズブチリス(B. subtilis)中での発現の場合、ゲルによって確認される3種の蛋白質分解プロセス型がある。これらの型すべて同様のアミノ末端を有するが、カルボキシ末端は異なる。49.5kDa型はVal492(図4の配列)残基で終了する。言い換えると、蛋白質分解が492番目の残基後で起こる。二つのより長い型、69kDa及び60kDaはそれぞれ、Sumitani他(2000)に説明するように1つ及び2つのデンプン結合領域を含む。一般的にC末端欠損型はC末端残基Tyr494、 Lys504、及びVal509を有する産物とともに創製された。これらの組み換え的に生産される欠損産物はすべて図8に示すようにLATプロモーター及びシグナル配列制御下、9プロテアーゼ欠損バシルス ズブチリス(B. subtilis)菌株(参照US20050202535A1)中で高いレベルで発現した。
【0043】
2.1 融合蛋白質及び組み換え蛋白質
ある態様は融合蛋白質を意図し、酵母及び細菌のような他の微生物由来のアミラーゼのシグナル配列がバシルス種(Bacillus sp.)195番の成熟蛋白質へ結合させて用いられた。すなわち、図3のシグナル配列を形成する最初の46アミノ酸は除かれ、別の微生物由来のシグナル配列又は別の微生物由来シグナル配列の変異体で交換される。例えば、LAT配列(下線部及び小文字)を、図4で示すように、最初の46番目のアミノ酸に置換する。
【0044】
他の実験ではバシルス ズブチリス(B. subtilis)中に発現するバシルス ズブチリス(B. subtilis)アミラーゼ(amyE)シグナル配列、バシルス ズブチリス(B. subtilis)aprEプロモーター、及びバシルス ズブチリス(B. subtilis)中に発現するシグナル配列をも含むが、これらに限定されない。さらに、ストレプトミセス(Streptomyces)プロモーター及びCelA由来シグナル配列を用いてストレプトミセス種(Streptomyces sp.)中での発現を試験することを意図している。
【0045】
3.蛋白質の生産及び精製の方法

アルファ‐アミラーゼを生産するのに適した宿主細胞として、バシルス(Bacillus)から培養培地に分泌される蛋白質を生産及び精製する方法がよく知られている。典型的な、アルファ‐アミラーゼを生産する方法を下記に開示する。
【0046】
3.1 アルファ‐アミラーゼを生産する材料及び方法

本明細書にて記載される方法によって、又は周知の改良された方法によって生産されるAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体をコードするDNA配列は、適切なプロモーター、オペレーター、リボゾーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び任意に、抑制遺伝子又は種々の活性遺伝子をコードする制御配列を一般的に含む発現ベクターを用いて、酵素の形態で発現できる。
【0047】
例えば、バシルス種(Bacillus sp.)195番を、T. Kawaguchi 他、「Purification and some properties of a Haim‐sensitiveα‐amylase from newly isolated Bacillus sp.195番」、 Biosc. Biotechnol. Biochem.56: 1792−1796 (1992)に記載されるように30℃で培養する。あるいは、ベクターに作動的に連結するアルファ‐アミラーゼをコードする遺伝子を、ストレプトミセス リビダンス(Streptomyces lividans)TK―24のような、別の生物にトランスフェクションし、J. Sumitani 他、「New type of starch−binding domain: the direct repeat motif in the C‐terminal region of Bacillus sp.no.195 α‐amylase contributes to starch binding and raw starch degrading」Biochem. J. 350: 477−484 (2000)に記載の適切な条件下、培養する。
【0048】
Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体をコードするDNA配列を保持する組み換え発現ベクターは、便宜的に組み換えDNA手法の施される任意のベクターでよく、ベクターの選択は、しばしば、それが導入される宿主細胞で決まる。つまり、ベクターは自律的に複製するベクターでもよく、言い換えると、染色体外に存在するベクターでもよく、その複製はプラスミド、バクテリオファージ、又は染色体外因子、小染色体、又は人工染色体のような染色体複製から独立した複製であるものでもよい。あるいは、ベクターは、単離される宿主細胞に導入される場合、宿主細胞染色体に組み込まれ、及び組み込まれてしまった染色体とともに複製されるベクターでもよい。また、組み込まれる遺伝子を、促進される増幅可能な構築体の使用により、抗体選別又は必須調節遺伝子のような他の選別圧によって、又は必須代謝経路遺伝子の効果を通じて相補性によって染色体内に遺伝子の複製コピーを創製するために増幅してもよい。
【0049】
ベクターおいて、DNA配列は適切なプロモーター配列に作動的に連結する。プロモーターは選択された宿主細胞での転写活性を示す任意のDNA配列でよく、宿主細胞に相同のまたは異種のいずれかである蛋白質をコードする遺伝子由来でもよい。Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体をコードするDNA配列の転写を方向付ける典型的なプロモーターは、特に細菌の宿主において、大腸菌(E. coli)のlacオペロンのプロモーター、ストレプトミセス セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子dagA、又はcelAプロモーター、バシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ‐アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモーター、バシルス ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)麦芽アミラーゼ(maltogenic amylase)遺伝子(amyM)のプロモーター、バシルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファ‐アミラーゼ(amyQ)のプロモーター、バシルス ズブチリス(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子のプロモーター等である。菌における転写のために、有用なプロモーターの例は、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール ミエヘイ(Rhizomucor miehei)、アスパラ銀酸プロティナーゼ、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)中性アルファ‐アミラーゼ、アスペルギルス ニガー(A. niger)酸安定アルファ‐アミラーゼ、アスペルギルス ニガー(A. niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス オリザエ(A. oryzae)アルカリプロテアーゼ、アスペルギルス オリザエ(A. oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ又はアスペルギルス ニドゥラン(A. nidulans)アセタミダーゼをコードする遺伝子由来のプロモーターである。アルファ‐アミラーゼ変異ポリペプチドをコードする遺伝子が大腸菌(E. coli)のような細菌類に発現する場合、適切なプロモーターは、例えば、T7プロモーターを含むバクテリオファージプロモーター及びファージラムダプロモーターから選択される。酵母菌で発現のために適したプロモーターの例は、サッカロミセス セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)のGal1及びGal10プロモーター、ピキア パストリス(Pichia pastoris)AOXl又はAOX2プロモーターを含むが、これらに限定されない。トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)における発現のために、CBHII(セロビオヒドロラーゼ II(cellobiohydrolase II))プロモーターを用いてよい。
【0050】
発現ベクターはまた、適切な転写ターミネーター及び、真核生物において、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体をコードするDNA配列に作動的に連結するポリアデニル化配列を含んでもよい。ターミネーション及びポリアデニル化配列はプロモーターとして同じ供給源から適切に由来してもよい。
【0051】
さらに、ベクターは宿主細胞でベクターが複製可能なDNA配列でもよい。そのような配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1、及びpIJ702の複製の原型である。
【0052】
ベクターは、選択マーカーを含んでもよい。例えば、バシルス ズブチリス(B. subtilis)又はバシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)由来dal遺伝子のような、単離される宿主細胞中の欠点を補完する遺伝子産物、又は例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、又はテトラサイクリン耐性のような抗生物質耐性を有する遺伝子である。さらに、ベクターは、ハイグロマイシン耐性を増加するマーカーで、amdS、argB、niaD、及びxxsCのようなアスペルギルス(Aspergillus)選択マーカーを含んでよく、選択は、周知の技術のような同時形質転換によって行われてよい。例えば、国際PCT出願WO 91/17243を参照願いたい。
【0053】
細胞外発現又は固形発酵は、例えば、ある細菌又は菌類を宿主細胞として用いる場合、ある点では有利であるので、本発明のある態様においては、培地へのAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体の発現を意図している。一般的にアルファ‐アミラーゼは培地への分泌を可能とするアミノ末端シグナルペプチドを含む。必要ならば、このシグナルペプチドを、個別のシグナルポリペプチドをコードするDNA配列の置換によって便利に行われる異なる配列により置換してもよい。アルファ‐アミラーゼのシグナル配列は、3つの領域、N‐末端領域、H‐領域、及びC‐末端領域及び通常18から35残基の範囲の長さであって、しかし、Amy195シグナル配列に示されるより長いものとして通常特徴づけられる。
【0054】
発現ベクターは、例えば、選択宿主生物中ベクターの自律複製を可能とする要素、及び選択目的に対して表現的に検出可能な一以上のマーカーのようなクローニングベクターの組成物を一般的に含む。発現ベクターは通常プロモーター、オペレーター、リボゾーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び任意的に、抑制遺伝子又は一以上の活性化遺伝子のような、ヌクレオチド制御配列を通常含む。加えて、発現ベクターは、アルファ‐アミラーゼ変異体がペルオキシソームのような宿主細胞オルガネラ又は特定の宿主細胞の部分を標的できるアミノ酸配列をコードする配列を含んでもよい。そのような標的配列は、SKL配列を含むが、これに限定されない。制御配列の支持の下、発現のために、アルファ‐アミラーゼ変異体の核酸配列は、発現に関して、適切な方法で制御配列に作動的に連結する。典型的なベクターの一部を図5に示す。
【0055】
アルファ‐アミラーゼ変異体、プロモーター、ターミネーター、及び他の必要な要素をそれぞれコードするDNA構築体をライゲーションし、複製に必要な情報を含む適切なベクターにそれらを挿入するために用いる方法は当業者によく知られている(例えば、Sambrook他、 MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL、 2nd ed., Cold Spring Harbor, 1989、 and 3rd ed.,2001を参照)。
【0056】
DNA構築体又は発現ベクターのいずれかを含む単離される細胞は、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体組み換えの生産における宿主細胞として有効に用いられる。宿主染色体にDNA構築体(一以上のコピー)を都合よく組み込むことにより、細胞は酵素をコードするDNA構築体で形質転換される。DNA配列が細胞で安定的に維持される可能性が高い場合、この組み込みは有効であると一般的に考えられる。宿主染色体へのDNA構築体の組み込みは、例えば、相同の又は異種の組み換えによる、従来の方法により行われる。あるいは、細胞は、宿主細胞の異なる型では上述のように発現ベクターで形質転換されてもよい。
【0057】
適切な細菌宿主生物の例は、バシルス ズブチリス(Bacillus subtilis)、バシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス レンツス(Bacillus lentus)、バシルス ブレビス(Bacillus brevis)、バシルス ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バシルス アルカロフィリス(Bacillus alkalophilus)、バシルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシルス コアグランス(Bacillus coagulans)バシルス ランツス(Bacillus lautus)、バシルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、及び バシルス ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)を含むバシラス属(Bacillaceae); ストレプトミセス ムリナス(Streptomyces murinus)のようなストレプトミセス属(Streptomyces species);ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)のようなラクトコッカス属(Lactococcus spp)ラクトバシルス ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含むラクトバシルス属(Lactobacillus spp.);リューコノストック属(Leuconostoc spp.); ペディオコッカス属(Pediococcus spp.)を含む乳酸菌属;及びストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)のようなグラム陽性細菌種である。あるいは、グラム陰性菌種の菌は大腸菌(E. coli)を含むエンテロバクテリア科(Enterobacteriaceae)又はシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に属する。
適切な酵母宿主生物は、ピキア属(Pichia sp.)ハンセヌラ属(Hansenula sp.)、又はクリベロミセス(Kluyveromyces)、ヤロウィニア(Yarrowinia)、シゾサッカロミセス種(Schizosaccharomyces species)又はサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むサッカロミセスの種または、例えばシゾサッカロミセスポンベ(S. pombe)種のようなシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)に属する種のようなバイオテクノロジー的に関係のある酵母の種から選択されてよいが、これらに限定されない。メタノール資化酵母である、ピキア パストリス(Pichia pastoris)の菌株を宿主生物として用いてよい。あるいは、宿主生物は、ハンセヌラ種(Hansenula species)でもよい。糸状菌の間で適切な宿主生物は、例えば、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、又はアスペルギルス ニドゥラン(Aspergillus nidulans)のようなアスペルギルス(Aspergillus)の宿主細胞を含む。あるいは、例えばフザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のようなフザリウム(Fusarium)種 の菌株又はリゾムコール ミエヘイ(Rhizomucor miehei) のようなリゾムコール(Rhizomucor)種の菌株が宿主生物として用いられる。他の適切な菌株はテルモミセス(Thermomyces)及びムコール(Mucor)を含む。さらにトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)も宿主として使用可能である。アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞の形質転換にかかる適切な方法は、例えば、EP238023の記載を含む。
【0058】
さらなる態様において、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を生産する方法は、酵素の生産をもたらす条件下、上述のように、宿主細胞を培養する方法と細胞及び/又は培養培地から酵素を回収する方法を含んでいる。
【0059】
細胞を培養のために用いる培地は、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体の発現が得られ、問題となる宿主細胞の成長に適した任意の従来の培地でよい。適切な培地及び培地成分は業者から入手可能であり、又は出版された手順(例えば、アメリカ培養細胞系統保存機関(the American Type Culture Collection)のカタログに記載された手順)に従って調製してもよい。
【0060】
ある態様においては、宿主細胞から分泌される酵素は全培養液調製において用いることができる。本発明の方法において、組み換え微生物の使用済み全発酵培地の調製は、アルファ‐アミラーゼの発現をもたらす周知のいずれかの培養方法を用いて行われる。それ故、アミラーゼを発現及び単離させる条件下で適切な培地で行う実験用又は産業用発酵槽において、発酵は、振盪フラスコでの培養、小さい又は大きいスケールでの発酵(連続的、バッチ、流加バッチ、又は固形発酵を含む)を含むものとして理解される。「使用済み全発酵培地」なる用語は、本明細書では、培養培地、細胞外蛋白質(例えば、酵素)、及び細胞バイオマスを含む発酵原料の未分画の内容物を指す。また、用語「使用済み全発酵培地」は、周知の方法を用いて溶解され、又は透過された細胞バイオマスを含む。
【0061】
宿主細胞から分泌される酵素は周知の方法により、培養培地から便利に回収されてよく、遠心分離又はろ過によって培地から細胞を分離すること、及び硫酸アンモニウムのような塩を用いて培地の蛋白質成分を沈殿させ、引き続き、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、又はそれと類似のようなクロマトグラフィーの方法を用いて分離することを含む。
【0062】
ある態様においては、ベクター中のポリヌクレオチドは、宿主細胞(言い換えると、ベクターが発現ベクターである)によってコード配列の発現をすることができる制御配列に作動的に連結することが意図される。制御配列は、例えば、さらに制御配列によって決定される転写レベルが転写調節物質に一層反応するように転写調節要素の追加によって修飾されてよい。制御配列は特にプロモーターを含んでよい。
【0063】
宿主細胞を、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を発現させる適切な条件下にて培養してよい。酵素の発現は、酵素が連続的に生産されるように、又は発現開始のため刺激を誘導するように構成してもよい。誘導発現の場合、例えば、蛋白質の生産は、デキサメタゾン又はIPTG又はセファロースのような誘導物質が、培養培地へ添加されることによって要求されるとき、開始される。また、ポリペプチドを、TnT(商標)(プロメガ(Promega))ウサギ網赤血球システムのようなインビトロ、無細胞システムで組み換え的に生産できる。
【0064】
また、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を発現する宿主を好気状態の下、宿主に適切な培地で培養する。振盪及び攪拌と給気の組み合わせを、例えば、約25℃から約75℃(例、30℃から45℃)のような宿主の必要とする条件及び所望のアルファ‐アミラーゼ変異体の生産に応じた宿主の適切な温度で生産が得られるように、提供する。培養は、約12から約100時間またはそれ以上(及び例えば24から72時間の間の任意の時間)で行う。典型的に、培養培地は、アルファ‐アミラーゼ変異体の生産に関与する宿主の必要とする培養条件により、pH約5.5から約8.0とする。
【0065】
3.2 蛋白質精製の材料及び方法
発酵、分離、及び濃縮方法は周知であり、従来方法を用いて溶液含有濃縮Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を調製する。
【0066】
発酵後、発酵培地を得て、原発酵材料残渣を含む微生物細胞及び種々の懸濁した固体物は、従来の分離方法によって除かれ、アミラーゼ溶液を得る。ろ過、遠心分離、マイクロろ過、回転式ドラム真空ろ過、限外ろ過、遠心分離に引き続き限外ろ過、抽出、又はクロマトグラフィー、又は同類の方法が、一般的に用いられる。
【0067】
回収の最適化を図るために溶液を含むAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を濃縮することが望ましい。非濃縮溶液を使用すると、精製酵素の沈殿を集めるためにインキュベーション時間の増加が必要となる。
【0068】
所望の酵素レベルが得られるまで、酵素を含む溶液を従来の濃縮方法を用いて濃縮する。酵素含有溶液の濃縮は本明細書に記載される任意の方法により行うことができる。精製の典型的な方法は回転式真空ろ過及び/又は限外ろ過を含むがこれらに限定されない。
【0069】
濃縮Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体含有溶液の酵素活性が少なくとも約4g/L(例えば、少なくとも約4.8g/L、又は少なくとも約5.6g/L又はそれ以上)になるまで酵素溶液は濃縮酵素溶液に濃縮される。これらの濃度は、ある実施態様では、約25g/Lまで増加することができる。
【0070】
精製の目的において、「沈殿剤」は、濃縮酵素溶液からAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を、自然の形は結晶、非結晶、これらの両者の混合のいずれでもよい固体形態で沈殿するために効果的な化合物を意味する。
【0071】
沈殿は例えば、金属ハロゲン沈殿剤を用いて行われる。金属ハロゲン沈殿剤はアルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、及び二以上のこれらの金属ハロゲン化物の混合を含むがこれらに限定されない。典型的な金属ハロゲン化物は塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、及び二以上のこれらの金属ハロゲン化物の混合を含む。金属ハロゲン沈殿剤である、塩化ナトリウムは保存料としても用いられる。
【0072】
金属ハロゲン沈殿剤はAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を沈殿するために効果的な量を用いる。少なくとも、効果的な量及び酵素の沈殿をさせるのに効果的な金属ハロゲン化物の最適量の選択も、インキュベーション時間、pH、温度、及び酵素の濃度を含む最大量の回収のための沈殿条件も、通常の試験後、当業者にとって容易に明らかである。
【0073】
一般的に金属ハロゲン化物の少なくとも約5%w/v(重量/体積)から約25%w/vが濃縮酵素溶液に添加され、通常少なくとも8%w/vである。一般的に、約25%w/v以下の金属ハロゲン化物が濃縮酵素溶液に添加され、普通約20%w/v以下である。金属ハロゲン沈殿剤の最適濃度は他の間では特定のAmy195アルファ‐アミラーゼ変異体の性質及び濃縮酵素溶液におけるその濃度によって決まる。
【0074】
酵素の沈殿を行う別の代替方法は有機化合物を用いることである。典型的な有機化合物沈殿剤は4‐ヒドロキシ安息香酸、4‐ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4‐ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、及び二以上のこれらの有機化合物の混合を含む。前記有機化合物沈殿剤の添加は、金属ハロゲン沈殿剤の添加、及び有機化合物及び金属ハロゲン化物の両者の沈殿剤の添加の前に、同時に、又は続いて行うことが可能であり、それは、連続、又は同時に行われてもよい。
【0075】
さらなる記載は、例えば、米国特許第5、281、526を参照願いたい。一般的に、有機沈殿剤は、4‐ヒドロキシ安息香酸のナトリウム又はカリウム塩、及び4‐ヒドロキシ安息香酸の直鎖、分岐鎖のようなアルキルエステルであって、ここでアルキル基は1から12の炭素原子を含み、二以上のこれらの有機化合物の混合のような4‐ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される。例えば、有機化合物沈殿剤は、4‐ヒドロキシ安息香酸の直鎖、分岐鎖アルキルエステルであり、ここで、典型的な有機化合物は4‐ヒドロキシ安息香酸の直鎖アルキルエスエルであって、ここでアルキル基は1から6炭素原子を含み、及び二以上のこれらの有機化合物の混合でもよい。4‐ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、4‐ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル、4‐ヒドロキシ安息香酸のブチルエステル、4‐ヒドロキシ安息香酸のエチルエステル、及び二以上のこれらの有機化合物の混合もまた用いることができる。またさらなる有機化合物は4‐ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル(メチルパラベン(methylPARABEN)と名づける)、4‐ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル(プロピルパラベン(propylPARABEN)と名づける)を含むがこれらに限定されない。この両者はアミラーゼ保存剤でもある。
【0076】
有機化合物沈殿剤の添加によって、pH、温度、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体の濃縮、沈殿剤の濃度、及びインキュベーション時間に関する沈殿条件に対して高い柔軟性という有益性をもたらす。
【0077】
有機化合物沈殿剤は金属ハロゲン沈殿剤の手段により酵素の沈殿を改善するのに効果的な量を用いる。有機化合物沈殿剤の少なくとも効果的な量及び最適量の選択も、インキュベーション時間、pH、温度、及び酵素の量を含む最大回収のための沈殿条件の選択も、規定の試験後、本発明の開示の点から、当業者に容易に明らかとなる。
【0078】
一般的に少なくとも約0.01%w/vの有機化合物沈殿剤が濃縮酵素の種々の溶液に加えられ、通常少なくとも約0.02%w/vである。一般的に、約0.3%w/v以下の有機化合物沈殿剤が濃縮酵素の種々の溶液に加えられ、通常約0.2%w/v以下である。
【0079】
濃縮酵素溶液は、金属ハロゲン沈殿剤及び有機化合物沈殿剤を含有し、精製すべき酵素に応じて、必要があれば、pHを調製してもよい。一般的にpHはアミラーゼの等電点に近いレベルに調整する。pHは、等電点(pI)から約2.5pH下から等電点の上2.5pHまでの範囲のpHに調整する。
【0080】
精製酵素を得るために必要なインキュベーション時間は、特定の酵素の性質、酵素濃度、及び特定の沈殿剤とその濃度によって決まる。一般的に酵素を沈殿するのに効果的な時間は約1時間から30時間の間である。通常、約25時間を超えない。有機化合物沈殿剤存在下、インキュベーション時間は、約10時間以下に減少し、多くの場合は約6時間である。
【0081】
一般的に、インキュベーションの間の温度は約4℃から約50℃の間である。通常、その方法は、約10℃と45℃(例えば、約20℃と約40℃の間)の間の室温で行う。沈殿を誘発する最適温度は溶液条件、酵素又は用いた沈殿剤に応じて変化する。精製酵素沈殿の全量回収、及び実施過程での効率は酵素、添加金属ハロゲン化物及び添加有機化合物含有溶液を攪拌によって改善される。攪拌工程は金属ハロゲン化物と有機化合物両方の添加の間及びその後のインキュベーションの間に行われる。適切な攪拌方法は機械的な攪拌、振盪、激しい給気、又は任意の同様な方法を含む。
【0082】
インキュベーション期間を終えて、精製酵素を、解離色素と他の不純物から分離され、ろ過、遠心分離、マイクロろ過、回転式ドラム真空ろ過、限外ろ過、加圧ろ過、クロスメンブラン(cross membrane)マイクロろ過、クロスフロー(cross flow)マイクロろ過、又は同様のもののような、従来の分離方法により集める。さらに、精製酵素沈殿物の精製は水で沈殿物を洗浄することで得られる。例えば、精製酵素沈殿物を金属ハロゲン沈殿剤含有水で、又は金属ハロゲン及び有機化合物沈殿剤含有水で洗浄する。
【0083】
発酵の間Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は培養培地に蓄積する。所望のアルファ‐アミラーゼ変異体の単離及び精製のために培養培地は細胞を除くために、遠心分離又はろ過され、得られた細胞のない溶液は酵素精製のために用いる。ある実施態様おいては、細胞のない溶液で約70%飽和硫酸アンモニウムを用いる塩析を行う。それから、70%飽和沈殿分画を緩衝液に溶解し、セファデックス(Sephadex)G−100カラムのようなカラムにて処理し、酵素活性分画を回収するために溶出する。さらに、精製のために、イオン交換クロマトグラフィーのような都合のよい方法が採られてよい。
【0084】
精製酵素は洗濯及び洗浄への適用に有用である。例えば、洗濯洗剤及び染み取り剤として用いられる。それらは、液体(液状、スラリー)又は固体(粒状、粉状)である最終製品に用いられてよい。
【0085】
より特定の精製例はJ. Sumitani他、「New type of starch−binding domain: the direct repeat motif in the C−terminal region of Bacillus sp. no.195 α‐ amylase contributes to starch binding and raw starch degrading,」 Biochem. J. 350: 477‐484 (2000)に記載され、ここに手短にまとめる。4リットルのストレプトミセス リビダンス(Streptomyces lividans)TK24培養上清液からえられる酵素を80%飽和硫酸アンモニウムで処理した。その沈殿物を10,000xg(20分及び4℃)で遠心分離により回収し、5mMCaCl2含有20mMトリス/塩酸緩衝液(pH7.0)にて再溶解した。それから、該溶解沈殿物を同じ緩衝液で透析した。それから、透析サンプルをすでに5mMCaCl2含有20mMトリス/塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化しているセファクリル(Sephacryl)S‐200カラムに投入し、同じ緩衝液で7cm/hrの直線速度で溶出した。カラムからの分画物を集め、酵素試験及びSDS−PAGEにより判断されるように活性を評価した。さらに蛋白質を次のように精製した。トヨパール(Toyopearl)HW55カラム(Tosoh Bioscience, Montgomeryville, PA;カタログ番号19812)を5mMCaCl2及び1.5M硫酸アンモニウム含有20mMトリス/塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した。酵素を、5mMCaCl2含有20mMトリス/塩酸緩衝液(pH7.0)で1.5Mから0M硫酸アンモニウムの直線勾配で溶出した。活性分画を集め、酵素を80%飽和硫酸アンモニウムで沈殿した。沈殿物を回収し、再溶解し、上述のように透析した。透析サンプルをすでに5mMCaCl2含有20mMトリス/塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したMono Q HR5/5 column(Amersham Pharmacia;カタログ番号17‐5167‐01)で60mL/hrの流速で投入した。活性分画を集め、1.5M硫酸アンモニウム溶液に加えた。活性酵素分画をトヨパール(Toyopearl)HW55カラムにて再びクロマトグラフィーにかけ、従来通り、SDS−PAGEによって決定するように均一酵素の収率を決定する。方法と多様な方法の一般的な検討のためにJ. Sumitani他、「New type of starch−binding domain: the direct repeat motif in the C−terminal region of Bacillus sp. no.195 α‐ amylase contributes to starch binding and raw starch degrading,」 Biochem. J. 350: 477‐484 (2000)を参照願いたい。
【0086】
生産規模の回収のために、酵素をポリマーで凝集し、細胞を除去して、一般的に上述のように部分的に精製してもよい。あるいは、酵素を入手可能な膜及び装置を用いて限外ろ過によって濃縮させて、マイクロろ過により精製してもよい。しかしながら、ある実施態様において、酵素は精製の必要がなく、さらなる処理をせずに培養培地全体を溶解し、用いることができる。例えば、酵素は、それから粒子形態に処理されることも可能である。
【0087】
4.洗浄組成物
Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は多様な産業上の利用に適する価値ある特徴を有している。これらの酵素は洗浄、食器洗浄、及び固い表面の洗浄組成物の成分として用いることができる。洗剤添加物の一部として、洗剤組成物の一部として、自動又は手動食器洗浄組成物の一部として、及びその類似物として、それらは製剤設計される。Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は、洗剤中、従来の使用濃度で含まれてよい。本発明においてアルファ‐アミラーゼは0.00001から1mg(純粋酵素蛋白質として計算)に相当する量で添加されてよいと考えられる。典型的製剤処方を本明細書にて提供する。
【0088】
4.1洗濯洗浄組成物
従って、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は、酵素のみで又は他のでんぷん分解酵素を含有する他の酵素と共に一般的な洗剤組成物の成分としてよい。そのような場合、非ダスティング粒子、安定化液体、又は保護された酵素の形態での洗浄組成物を含んでもよい。非ダスティング粒子は例えば米国特許第4,106,991、及び4,661,452に記載されるように生産されてよく、任意的に周知の方法で表面を覆ってもよい。ワックスのコーティング原料の例は、平均分子量1、000から20、000であるポリ(エチレンオキシド)産物(ポリエチレングリコール、PEG)、16から50のエチレンオキシドの単位を有するエトキシ化ノニルフェノール、12から20炭素原子及び15から80のエチレンオキシド単位を含有するアルコールであるエトキシ化脂肪アルコール、脂肪アルコール、脂肪酸、モノ、ジ、トリグリセリドの脂肪酸である。流動層技術による適用に有用なフィルムコーティング材料の例は、例えばGB 1483591に記載される。例えば、液体酵素の調製は、確立した方法に従って、プロピレングリコールのようなポリオール、糖、糖アルコール、乳酸又はホウ酸を添加することにより安定化される。他の酵素の安定化剤は周知の技術である。保護酵素を例えばEP238、216に記載される方法に従って調製してよい。ポリオールは蛋白質の安定化剤としても、蛋白質溶解性の改善としても長い間認められている。例えば、J. K. Kaushik他、「Why is trehalose an exceptional protein stabilizer?」、J. Biol. Chem. 278: 26458−65 (2003)及び そこに引用されている文献Monica Conti他、「Capillary isoelectric focusing: the problem of protein solubility」、J.Chromatography A 757: 237−245 (1997)を参照願いたい。
【0089】
洗剤組成物は例えば、粉体、粒体、ペースト、又は液体として、いずれかの有用な形態でよい。一般的に、液体洗剤は、最大約70%の水及び0%から約30%の有機溶剤を含有する液体でよい。また、約30%の水のみを含むコンパクトゲルタイプの形態でもよい。
【0090】
洗剤組成物は一以上のそれぞれ陰イオン、非イオン、陽イオン、両性イオンである界面活性剤を含む。洗剤は、通常、リニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(LAS)、アルファ‐オレフィンスルホン酸塩(α‐olefinsulfonate)(AOS)、アルキル硫酸塩(alkyl sulfate)(脂肪アルコール硫酸塩(fatty alcohol sulfate))(AS)、アルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)(AEOS又はAES)第二級アルカンスルホネート(secondary alkanesulfonates)(SAS)、アルファ‐スルホ脂肪酸メチルエステル(α‐sulfo fatty acid methyl esters、アルキル‐又はアルケニルコハク酸(alkyl‐ or alkenylsuccinic acid)又は石鹸のような0%から50%の陰イオン界面活性剤を含む。また、組成物は、アルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate) (AEO又はAE)、カルボキシル化アルコール エトキシレート(carboxylated alcohol ethoxylates)、ノニルフェノールエトキシレート(nonylphenol ethoxylate)、アルキルポリグリコシド(alkylpolyglycoside), アルキルジメチルアミンオキシド(alkyldimethylamineoxide)、 エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(ethoxylated fatty acid monoethanolamide)、脂肪酸モノエタノールアミド(fatty acid monoethanolamide)、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(polyhydroxy alkyl fatty acid amide) (例えばWO 92/06154に記載されるように)のような0%から約40%の非イオン界面活性剤を含んでもよい。
【0091】
さらに、洗剤組成物は、リパーゼ、他のデンプン分解酵素、クチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及び/又は任意の組み合わせのラッカーゼのような一以上の酵素を含んでもよい。
【0092】
洗剤は約1%から約65%の洗剤ビルダー又はゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキル又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(layered silicates)(例えば、ヘキストからSKS−6)のような錯化剤を含んでよい。また、洗剤は、アンビルト(unbuilt)でもよい。言い換えると、本質的に洗剤ビルダーがなくてもよい。酵素は酵素の安定性に適合する任意の組成物を用いてよい。一般的に、酵素は、カプセル化という周知の形態によって有害な成分から保護される。例えば、ハイドロゲルでの粒状化及び封入である。酵素及びAmy195分子のような特定のアルファ‐アミラーゼは、デンプン結合領域を有する又は無い、いずれかの状態で洗濯及び食器洗浄利用としてもよく、表面洗浄剤を含む多様な組成物でも用いられるし、デンプン又はバイオマスからのエタノール産物のための組成物でも用いられる。
【0093】
洗剤は一以上のポリマーを含んでよい。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニル アルコール)(PVA)、ポリアクリレート、マレイン/アクリル酸コポリマー、及びラウリルメタアクリレート/アクリル酸コポリマーのようなポリカルボン酸塩を含む。
【0094】
洗剤は漂白システムを含んでよく、それは、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)のような過酸形成漂白活性化剤と結合する過ホウ酸塩、過炭酸塩のようなH供給源を含む。あるいは、漂白システムはペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド、又はスルホン型ペルオキシ酸)を含んでよい。また、漂白システムは、国際PCT出願WO 2005/056783に記載されるような、例えば、ペルヒドロラーゼの酵素的漂白システムでもよい。
【0095】
洗剤組成物の酵素は、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールのようなポリオール、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸又は例えば、芳香族ホウ酸エステルのようなホウ酸誘導体のような従来の安定化剤を用いて安定化されてよく、組成物が例えばWO 92/19709及びWO 92/19708に記載のように製剤設計されてもよい。
【0096】
また、洗剤は、泥、発泡剤、泥抑制剤、抗腐食剤、泥懸濁剤、抗汚染剤、染料、抗菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は香料を含む例えば繊維コンディショナーのような他の従来の洗剤成分を含んでもよい。
【0097】
pH(用いる濃度での水溶液で測定)は通常中性又はpH約7.0から約11.0のアルカリ性である。
【0098】
Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体含有洗剤組成物の特定の形態は次を含むように製剤設計される。
【0099】
1) 約7%から約12%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約1%から約4%のアルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)(例えば、C12−18アルコール、1−2エチレンオキシド(EO))、又はアルキル硫酸塩(alkyl sulfate)(例えば、C16−18)、約5%から約9%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C14−15アルコール、7EO)、約14%から約20%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約2から約6%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約15%から約22%のゼオライト(例、NaAlSiO)、0%から約6%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、0%から約15%のクエン酸ナトリウム/クエン酸(例、CNa/C)、約11%から約18%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、約2%から約6%のTAED、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、0−3%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)、0.0001から0.1%の蛋白質の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、泥抑制剤、香料、蛍光増白剤、光退色)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0100】
2) 約6%から約11%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約1%から約3%のアルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)(例えば、C12−18アルコール、1−2EO)、又はアルキル硫酸塩(alkyl sulfate)(例えば、C16−18)、約5%から約9%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C14−15アルコール、7EO)、約15%から約21%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約24%から約34%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約4%から約10%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、0%から約15%のクエン酸ナトリウム/クエン酸(例、CNa/C)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、1−6%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)、0.0001から0.1%の蛋白質の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、泥抑制剤、香料、)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗浄組成物。
【0101】
3) 約5%から約9%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約7%から約14%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO)、約1から約3%脂肪酸(例、C16−22脂肪酸)としての石鹸、約10%から約17%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約3%から約9%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約23%から約33%のゼオライト(例、NaAlSiO)、0%から約4%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、約8%から約16%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、約2%から約8%のTAED、0%から約1%のホスホン酸塩(例、EDTMPA)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、0−3%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)、0.0001から0.1%の蛋白質の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、泥抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0102】
4) 約8%から約12%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約10%から約25%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO)、約14%から約22%の炭酸ナトリウム(NaCOとして)、約1%から約5%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約25%から約35%のゼオライト(例、NaAlSiO)、0%から約10%の硫酸ナトリウム(NaSO)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、1−3%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、泥抑制剤、香料)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0103】
5) 約15%から約21%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約12%から約18%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO)、約3%から約13%脂肪酸(例、オレイン酸)としての石鹸、0%から約13%のアルケニルコハク酸(alkenylsuccinic acid)(C12−14)、約8%から約18%のアミノエタノール、約2%から約8%のクエン酸、0%から約3%のホスホン酸塩、0から約3%のポリマー(例、PVP、PEG)、0から約2%のホウ酸塩(B)、0から約3%のエタノール、約8%から約14%のプロピレングリコール、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、分散剤、泥抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含む水性液体洗剤組成物。
【0104】
6) 約15%から約21%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、3−9%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO)、約3%から約10%脂肪酸(例、オレイン酸)としての石鹸、約14%から約22%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約9%から約18%のクエン酸カリウム、0から約2%のホウ酸塩(B)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、0から約3%のポリマー(例、PVP、PEG)、0から約3%の例えば、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー;モル比25:1、分子量3800のような固着用ポリマー、0%から約5%のグリセロール、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、分散剤、泥抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含む液体洗剤組成物を製剤設計する水溶液。
【0105】
7) 約5%から約10%の脂肪アルコール硫酸塩、約3%から約9%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(ethoxylated fatty acid monoethanolamide)、0−3%脂肪酸としての石鹸、約5%から約10%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約20%から約40%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約2%から約8%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、約12%から約18%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、約2%から約7%のTAED、約1%から約5%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、PEG)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、蛍光増白剤、泥抑制剤、香料)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0106】
8) 約8%から約14%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約5%から約11%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(ethoxylated fatty acid monoethanolamide)、0%から約3%脂肪酸としての石鹸、約4%から約10%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約30%から約50%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約3%から約11%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、約5%から約12%のクエン酸ナトリウム(例、CNa)、約1%から約5%のポリマー(例、PVP、マレイン/アクリル酸コポリマー、PEG)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、泥抑制剤、香料)を含む粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0107】
9) 約6%から約12%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約1%から約4%の非イオン界面活性剤、約2%から約6%脂肪酸としての石鹸、約14%から約22%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約18%から約32%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約5%から約20%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、約3%から約8%のクエン酸ナトリウム(例、CNa)、約4%から約9%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、約1%から約5%の漂白活性剤(例、NOBS又はTAED)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、約1%から約5%のポリマー(例、ポリカルボン酸塩、PEG)、 0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、蛍光増白剤、香料)を含む粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0108】
10) 約15%から約23%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、約8%から約15%のアルコール エトキシ硫酸塩(alcohol ethoxysulfate)(例えば、C12−15アルコール、2−3EO)、約3%から約9%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO)、0%から約3%脂肪酸(例、ラウリン酸)としての石鹸、約1%から約5%のアミノエタノール、約5%から約10%のクエン酸ナトリウム、約2%から約6%のハイドロトロープ(hydrotrope)(例トルエンスルホン酸ナトリウム(sodium toluensulfonate))、0から約2%のホウ酸塩(B)、0%から約1%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、約1%から約3%のエタノール、約2%から約5%のプロピレングリコール、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、ポリマー、分散剤、香料、蛍光増白剤)を含む水性液体洗剤組成物。
【0109】
11) 約20%から約32%のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)(酸として計算)、6−12%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO)、約2%から約6%のアミノエタノール、約8%から約14%のクエン酸、約1%から約3%のホウ酸塩(B)、0%から約3%のポリマー(例、マレイン/アクリル酸コポリマー、例えば、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーのような固着用ポリマー)、約3%から約8%のグリセロール、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、ヒドロトロープ(hydrotrope)、分散剤、香料、蛍光増白剤)を含む水性液体洗剤組成物。
【0110】
12) 約25%から約40%の陰イオン界面活性剤(リニアアルキルベンゼンスルホン酸塩(linear alkylbenzenesulfonate)、アルキル硫酸塩、アルファ‐オレフィンスルホン酸塩、アルファ‐脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホン酸、石鹸)、約1%から約10%の非イオン界面活性剤(例、アルコールエトキシレート)、約8%から約25%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、約5%から約15%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、0%から約5%の硫酸ナトリウム(例、NaSO)、約15%から約28%のゼオライト(例、NaAlSiO)、0%から約20%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、0%から約5%の漂白活性剤(例、TAED又はNOBS)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−3%の少量の成分(例、香料、蛍光増白剤)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0111】
13) 上記組成物1)−12)に記載の洗剤組成物であって、すべて又は一部のリニアアルキルベンゼンスルホン酸塩が(C12−C18)アルキルスルホン酸塩により置換される洗剤組成物。
【0112】
14) 約9%から約15%の(C12−C18)アルキルスルホン酸塩、約3%から約6%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)、約1%から約5%のポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(polyhydroxy alkyl fatty acid amide)、約10%から約20%のゼオライト(例、NaAlSiO)、約10%から約20%層状ジケイ酸塩(layered disilicates)(ヘキストからSK56)、約3%から約12%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、0%から約6%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約4%から約8%のクエン酸ナトリウム、約13%から約22%の過ホウ酸ナトリウム(例、NaBOO)、約3%から約8%のTAED、0%から約5%のポリマー(例、ポリカルボン酸塩、PVP)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−5%の少量の成分(例、蛍光増白剤、光退色、香料、泥抑制剤)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0113】
15) 約4%から約8%の(C12−C18)アルキル硫酸塩、約11%から約15%のアルコール エトキシレート(alcohol ethoxylate)、約1%から約4%の石鹸、約35%から約45%のゼオライトMAP又はゼオライトA、約2%から約8%の炭酸ナトリウム(例NaCO)、0%から約4%の可溶性ケイ酸塩(例、NaO, 2SiO)、約13%から約22%の過炭酸ナトリウム、1―8%のTAED、0%から約3%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、0%から約3%のポリマー(例、ポリカルボン酸塩、及びPVP)、0.0001から0.1%の酵素(純粋酵素蛋白質として計算)、及び0−3%の少量の成分(例、蛍光増白剤、ホスホン酸塩、香料、)を含み、少なくとも600g/Lのかさ密度を有する粒子として製剤設計される洗剤組成物。
【0114】
16) 追加的成分か又はすでに特定された漂白系に置換するかどちらか一方として、安定化又は封入された過酸を含むことを特徴とする、上述1)から15)に記載の洗剤製剤。
【0115】
17) 過ホウ酸塩が過炭酸塩に置き換えられることを特徴とする、1)、3)、7)、9)、及び12)に上述するような洗剤製剤。
【0116】
18) マンガン触媒を追加的に含有することを特徴とする、1)、3)、7)、9)、12)、14)、及び15)に上述するような洗剤製剤。例えば、該マンガン触媒は、「Efficient manganese catalysts for low‐temperature bleaching」、Nature 369:637‐639 (1994)に記載の化合物の一つである。
【0117】
19) 例えば、直鎖アルコキシル化第一級アルコール、ビルダーシステム(例、リン酸塩)、酵素、及びアルカリのような液体非イオン界面活性剤を含む非水性洗剤液として製剤設計される洗剤組成物。洗剤は陰イオン界面活性剤及び/又は漂白システムを含んでもよい。
【0118】
Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は、洗剤として通常用いる濃度を含んでもよい。洗剤組成物として、酵素は、洗浄液1リットル当たりAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体の0.00001から1.0 mg(純粋酵素蛋白質として計算)に相当する量を添加してよいことが本発明にて意図される。
【0119】
他の実施態様おいては、2,6‐β−D−フルクタンヒドロラーゼ(2,6‐β−D−fructan hydrolase)のような、他の酵素はAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体を含有する洗剤組成物に含まれてよく、家庭用及び/又は産業用繊維/洗濯に存在するバイオフィルムの除去/洗浄に用いてよい。
【0120】
例えば、洗剤組成物は、染みが付いた布地の前処理に適した洗濯用添加組成物及びすすぎに添加される布地用柔軟組成物を含む手作業(手動)、又は機械(自動)用の洗濯洗剤組成物として製剤設計されてよく、又は、一般的な家庭用の固い表面洗浄処理に用いるための洗剤組成物として製剤設計されてよく、又は手動又は自動食器洗浄処理のために製剤設計されてよい。
【0121】
特定の態様においては、洗剤組成物はAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体及びプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、他のデンプン分解酵素、キシラナーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼ、及び/又はペルオキシダーゼ、及び/又はこれ等の組み合わせのような一以上の他の洗浄酵素に加えて2,6‐β−D−フルクタンヒドロラーゼ(2,6‐β−D−fructan hydrolase)を含んでもよい。
【0122】
一般的に選択される酵素の特徴は、選択される洗剤(例えば、最適pH、他の酵素及び非酵素成分等との適合性)と適合すべきであり、酵素は、効果的な量で存在すべきである。
【0123】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼは、動物、野菜、又は微生物のものを含む。自然的に処理された蛋白質同様、化学的に修飾され、又は蛋白質工学的に処理される変異体が含まれる。プロテアーゼはアルカリ微生物プロテアーゼ、トリプシン様プロテアーゼ、キモトリプシン様プロテアーゼのような、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼでもよい。アルカリプロテアーゼの例はサブチリシン類であり、特に、例えばサブチリシンノボ(subtilisin Novo)、サブチリシンカールスバーグ(subtilisin Carlsberg)、サブチリシン309、サブチリシン147、及びサブチリシン168 (参照、例えば、WO 89/06279)のようなバシルス(Bacillus)由来のものである。トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例、豚又は牛由来の)、及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼ(例えば、WO 89/06270及びWO 94/25583を参照)である。また、有用なプロテアーゼの例はWO 92/19729、WO 98/20115、WO 98/20116、及びWO 98/34946に記載される変異体を含むが、これらに限定されない。商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素はアルカラーゼ(商標)(Alcalase)、サビナーゼ(商標)(Savinase)、プリマーゼ(商標)(PrimaseTM)、ドゥララーゼ(商標)(DuralaseTM)、エスペラーゼ(商標)(Esperase)、及びカンナーゼ(商標)(KannaseTM)(ノボ ノルディスク(Novo Nordisk A/S))、マキサターゼ(商標)(Maxatase)、マキサカール(商標)(MaxacalTM)、マキサペム(商標)(MaxapemTM)、プロペラーゼ(商標)(Properase)、プラフェクト(商標)(Purafect)、プラフェクトOP(商標)(Purafect OxPTM)、FN2TM(商標)、及びFN3TM(商標)(ジェネンコ インターナショナル社 (Genencor International, Inc.))を含むが、これらに限定されない。
【0124】
リパーゼ:適切なリパーゼは細菌又は菌類由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的に修飾され、蛋白質分解的に修飾され又は蛋白質工学的に処理される変異体が含まれる。有用なリパーゼの例は、例えば、フミコーラ ラヌギノサ(H. lanuginosa (T. lanuginosus))(例えば、EP 258068及びEP 305216を参照)由来、フミコーラ インソレンス(H. insolens)(例えばWO 96/13580を参照)由来のようなフミコーラ(Humicola)(同義語 サーモミセス(Thermomyces))由来のリパーゼ、又はシュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ(例えば、シュードモナス アルカリゲネス(P. alcaligenes)又はシュードモナス シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)由来(例えばEP 218 272を参照)、 シュードモナス セパシア(P. cepacia)(例えばEP 331 376を参照)、シュードモナス スタッチェリ(P. stutzeri)(例えば、GB 1,372,034を参照)、シュードモナス フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)株種SD 705(例えば、WO 95/06720及びWO 96/27002を参照)、シュードモナス ウィスコンシネンシス(P. wisconsinensis)(例えば、WO 96/12012を参照)由来)、又は バシルス (Bacillus)リパーゼ(例えば、バシルス スブチリス由来(B. subtilis)例えばDartois他、Biochemica et Biophysica Acta, 1131 : 253−360 (1993)を参照)、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)、(例えばJP 64/744992を参照)、又はバシルス プミルス(B.pumilus(例えばWO 91/16422を参照)由来)を含むが、これらに限定されない。製剤設計の使用が考えられる更なるリパーゼ変異体は、例えば WO 92/05249、WO 94/01541、WO 95/35381、WO 96/00292、WO 95/30744、WO 94/25578、WO 95/14783、WO 95/22615、WO 97/04079、WO 97/07202、EP 407225、及びEP 260105に記載のものも含む。商業的に入手可能なリパーゼ酵素はリポラーゼ(商標)(Lipolase)及びリポラーゼウルトラ(商標)(Lipolase UltraTM)(ノボ ノルディスク (Novo Nordisk A/S))である。
ポリエステラーゼ:適切なポリエステラーゼは、例えば、WO 01/34899及びWO 01/14629に記載のような組成物を含む。
【0125】
アミラーゼ:組成物は、非生産増強アルファ‐アミラーゼのような他のアミラーゼとの組み合わせでもよい。これらは、デュラミル(商標)(Duramyl)、ターマミル(商標)(Termamyl)、ファンガミル(商標)(Fungamyl)、及びバン(商標)(BANTM)(ノボ ノルディスク(Novo Nordisk A/S))又はラピダーゼ(商標)(Rapidase)、及びプラスター(商標)(Purastar)(ジェネンコ インターナショナル社から(Genencor International, Inc.))のような商業的に入手可能なアミラーゼを含むがこれらに限定されない。
【0126】
セルラーゼ:セルラーゼを組成物に添加してよい。適切なセルラーゼは細菌又は菌類を含む。化学的に修飾され、又は蛋白質工学的に処理される変異体が含まれる。適切なセルラーゼは、バシルス 属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコーラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼを含む。例えば、米国特許第4,435,307、5,648,263、5,691,178、5,776,757、及びWO 89/09259に開示されるフミコーラ インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、フザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から生産される菌類のセルラーゼである。一般的に使用を意図するセルラーゼは繊維に有益な色のケアを有している。そのようなセルラーゼの例は、例えば、EP 0495257、EP 0531372、WO 96/11262、WO 96/29397、及びWO 98/08940に記載のセルラーゼである。他の例では、WO 94/07998、WO 98/12307、WO 95/24471、PCT/DK98/00299、EP 531315、米国特許第5,457,046、5,686,593、及び5,763,254に記載のようなセルラーゼ変異体である。商業的に入手可能なセルラーゼはセルザイム(商標)(elluzyme)及びケアザイム(商標)(Carezyme)(ノボ ノルディスク (Novo Nordisk A/S))又はクラジネース(商標)(Clazinase)及びプラダックス HA(商標)(Puradax HA)(ジェネンコ インターナショナル社 (Genencor International, Inc.))及びKAC−500(B)(商標)(花王社)を含む。
【0127】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:組成物での使用が意図される適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類由来のものを含む。化学的に修飾され、又は蛋白質工学的に処理される変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼ例は、コプリナス シネレウス(C. cinereus)由来のようなコプリナス属(Coprinus)由来のペルオキシダーゼ及びWO 93/24618、WO 95/10602、及びWO 98/15257に記載のようなそれらの変異体由来のペルオキシダーゼを含む。商業的に入手可能なペルオキシダーゼは、例えば、ガードザイム(商標)(GuardzymeTM)(ノボ ノルディスク (Novo Nordisk A/S))を含む。
【0128】
洗剤酵素を一以上の酵素を含む分離添加物を加えることによって又はこれらの酵素すべてを含む組合せ添加物を加えることによって洗剤組成物中に含有してもよい。洗剤添加物、すなわち、分離添加物又は組合せ添加物は、例えば粒子、液体、スラリー等として製剤設計される。一般的に洗剤添加物製剤は、粒子、特に非ダスティング粒子、液体、特に安定化液体又はスラリーを含むが、これらに限定されない。
【0129】
非ダスティング粒子を、例えば、米国特許第4,106,991及び4,661,452に記載のように調製してよく、任意に周知の方法でコーティングしてよい。ワックスコーティング材の例は、平均分子量1、000から20、000を有するポリ(エチレンオキシド)製品(例えば、ポリエチレングリコール、PEG)、16から50のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェノール、12から20炭素原子を含むアルコール及び15から80のエチレンオキシド単位であるエトキシ化脂肪アルコール、脂肪アルコール、脂肪酸、及び脂肪酸のモノ‐、ジ‐、トリグリセロールである。流動層技術による適用に有用なフィルム形状コーティングの例は、例えば、GB 1483591に記載される。例えば、液体酵素の調製は、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸のようなポリオールを確立した方法に従って加えることにより、安定化されてよい。保護酵素はEP238,216に記載の方法に従って調製されてよい。
【0130】
洗剤組成物は例えば棒状、錠剤、粉、粒子、ペースト、又は液体のような任意の便利な形態でよい。液体洗剤は水性、典型的には、約70%水分まで、及び0%から約30%の有機溶剤まで含んでよい。約30%以下の水分を含むコンパクト洗剤ゲルもまた含まれる。洗剤組成物は任意に一以上の界面活性剤を含み、それは、非イオン性でもよく、半極性及び/又は陰イオン性及び/又は陽イオン性及び/又は両性イオン性を含んでもよい。界面活性剤は広い範囲に存在し、約0.1%から約60%重量を含んでよい。
【0131】
界面活性剤が含まれる場合、洗剤は通常約1%から約40%の陰イオン性界面活性剤を含み、例えば、リニアアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファ‐オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩(脂肪アルコール硫酸塩)、アルコール エトキシ硫酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、アルファ‐スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル‐又はアルケニルコハク酸又は石鹸である。
【0132】
界面活性剤を含む場合、洗剤は通常、0.2%から約40%の非イオン性界面活性剤を含み、例えば、アルコールエトキレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、 エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミン(「グルカミド」)のN‐アシル‐N‐アルキル誘導体である。
【0133】
洗剤は0%から約65%のゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例、ヘキスト社製SKS−6)のような洗剤ビルダー又は錯化剤を含んでよい。
【0134】
洗剤は一以上のポリマーを含んでよい。一般的にポリマーは、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレン グリコール)(PEG)、ポリ(ビニル アルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン‐N‐オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレート、マレイン/アクリル酸コポリマー、及びラウリル メタアクリレート/アクリル酸コポリマーのようなポリカルボン酸塩を含む。
【0135】
洗剤組成物の酵素は、従来の安定化剤を用いて安定化される。例えば、ポリオール(例、プロピレングリコール又はグリセロール)として、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸、又はホウ酸誘導体(例、芳香族ホウ酸エステル)、又はフェニルホウ酸誘導体(例、4−フォルミルフェニルホウ酸)である。組成物はWO 92/19709及びWO 92/19708に記載のように製剤設計されてよい。
【0136】
本発明において、洗剤組成物について、特定の酵素変異体を洗浄液(例えば、洗浄液1リットル当たり約0.05から約5.0mgの酵素蛋白質量又は洗浄液1リットル当たり約0.1から約1.0mgの酵素蛋白質量)1リットル当たり約0.01から約100 mgの酵素蛋白質量に相当する量を添加してよいことが意図される。
【0137】
4.2 洗浄組成物
洗剤適用において、Amy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は通常プロピレングリコール含有液体組成物に用いられる。例えば、酵素は、10%塩化カルシウム含有プロピレングリコール溶液を25%体積/体積の割合で混合することによりプロピレングリコール中で安定化する。
【0138】
本明細書記載のAmy195アルファ‐アミラーゼ又はその変異体は食器洗浄又は他の洗浄組成物での使用のための洗剤組成物に製剤設計されてよい。これらは粉状、ゲル状、液体状でよい。組成物は酵素単独、又は他のデンプン分解酵素と共に及び/又は他の洗浄酵素と共に又は漂白活性化酵素、及び他の洗浄組成物として通常の成分を含んでよい。
【0139】
つまり、食器洗浄洗剤組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤は陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性の又はこれらのタイプの混合でもよい。洗浄剤は低い泡立ちから泡立ちがないようなエトキシ化プロポキシレート直鎖アルコールのような非イオン性界面活性剤の重量0%から約90%を含んでよい。
【0140】
洗剤組成物は、無機及び/又は有機の洗剤ビルダー塩を含んでよい。洗剤ビルダーは、リン酸を含む及びリン酸を含まないタイプに細分化される。洗剤組成物は通常約1%から約90%の洗剤ビルダーを含む。リン酸を含む無機アルカリ性洗剤ビルダーは、本発明の場合、水溶性塩、特に、アルカリ金属ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、及びポリリン酸塩を含む。リン酸を含む有機アルカリ性洗剤ビルダーは、本発明の場合、ホスホン酸塩の水溶性塩である。リン酸を含まない無機ビルダーは、本発明の場合、水溶性アルカリ金属炭酸塩、ホウ酸、及びケイ酸塩も非水溶性結晶又はゼオライトがよく知られている典型例であるが、非結晶性のアルミノケイ酸塩をも含む。
【0141】
適切な有機ビルダーの例はアルカリ金属、アンモニウムや置換アンモニウム、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、カルボキシメトキシコハク酸塩、アンモニウムポリアセテート、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、アミノポリカルボン酸塩、ポリアセチルカルボン酸塩、及びポリヒドロキシスルホン酸塩を含む。
【0142】
他の適切な有機ビルダーは、ビルダーの特徴を有している周知の高分子量ポリマーとコポリマー、例えば、適切なポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びポリアクリル/ポリマレイン酸コポリマー及びそれらの塩を含む。
【0143】
洗浄組成物は塩素/ホウ素タイプ又は酸素タイプの漂白剤を含んでもよい。無機塩素/ホウ素タイプ漂白剤の例は、リチウム、ナトリウム、又はカルシウム次亜塩素酸塩、及び次亜臭素酸塩も塩化リン酸三ナトリウムもある。有機塩素/ホウ素タイプ漂白剤の例は、トリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、及びジクロロイソシアヌル酸、及びカリウム及びナトリウムのような水溶性陽イオンを伴うそれらの塩のような複素環N‐ブロモ‐及びN‐クロロ‐イミド類である。ヒダントイン化合物もまた有用である。
【0144】
洗浄組成物は酸素漂白剤を含み、例えば、無機過酸基塩(persalt)の形態、任意に漂白前駆体又は過酸化合物としての形態である。一般的な、適切な過酸漂白化合物の例は、アルカリ金属過ホウ酸塩、四水和物及び一水和物の両方、アルカリ金属過炭酸塩、過ケイ酸塩、及び過リン酸塩である。典型的な活性剤はTAED及びグリセロールトリアセテートである。また、酵素漂白活性化システムは、例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、グリセロールトリアセテート、及びペルヒドロラーゼ(例えば、WO 2005/056783を参照)のような製剤設計である。
【0145】
洗浄組成物は、酵素に適した安定化剤を用いて安定化してよく、例えば、プロピレングリコールのようなポリオール、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)である。
【0146】
また、洗浄組成物は他の適切な洗剤成分を含んでもよく、例えば、解膠剤、賦形剤、泡抑制剤、抗腐食剤、泥懸濁剤、金属イオン封鎖剤、抗泥再堆積剤、脱水剤、染料、抗菌剤、蛍光剤、増粘剤、及び香料を含んでよい。
【0147】
本発明は下記に詳細に引用にて説明されているが、種々の修飾がなされることは理解される。
【0148】
4.3 洗剤組成物評価方法
多数のアルファ‐アミラーゼ洗浄試験が存在する。典型的な洗浄試験の記載は、次を含む。
【0149】
「見本(swatch)」は、布地に着いた染みを有する布地のような材料の一片をいう。例えば、材料を綿、ポリエステル又は天然と合成繊維の混合から作製してよい。さらに、該見本は、フィルター紙又はニトロセルロースのような紙、又はセラミック、金属、又はグラスの一つでもよい。アミラーゼにとって、染みはデンプンベースであり、血液、牛乳、インク、紅茶、ワイン、ホウレンソウ、肉汁、チョコレート、卵、チーズ、泥、染料、油又はこれらの化合物の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0150】
「小さな見本(smaller swatch)」は、一穴式の穴開け器でカットされている見本の切断部であり、又は客のリクエストにより製造された96穴用穴開け器であって、多数の穴が標準96穴マイクロタイタープレートに対応するようになっている穴開け器でカットされる見本の切断部、又は見本から別な方法で取り出されている部分である。見本は繊維、紙、金属、又は他の適切な材料である。該小さな見本は、その見本が、24‐、48‐、又は96‐穴マイクロタイタープレートに置かれる前又は後のいずれか一方にて染みが付着される。「小さな見本(smaller swatch)」はまた少量の材料に染みを適用して作成してもよい。例えば、小さな見本は、染みが付いた直径5/8″又は0.25″の布地のものでよい。客のリクエストにより製造された穴開け器は96穴プレートのすべてに同時に96個の見本が挿入されるように設計されている。装置は、単に同じ96穴プレートに複数回挿入することにより、穴ごとに二以上の見本の搬送をさせる。複数穴用穴開け器は、任意の設定プレートに見本の同時挿入をすることができるものであり、24‐、48‐、又は96‐穴プレートを含むがこれらに限定されない。他の考えられる方法は、汚れ試験プラットフォームが金属、プラスティック、グラス、セラミック又は汚れ物質でコートされる他の適切な材料から作られるビーズである。一以上のコートされるビーズは適切な緩衝液と酵素を含んだ24‐、48‐、又は96‐穴プレート又はより大きい穴に挿入される。この場合、上清は直接吸光度の測定をすることにより、又は二次的な色の発色反応後のどちらかの方法で分離する汚れを測定する。分離する汚れの分析を質量スペクトル解析によって処理する。さらにマイクロスクリーニング試験は、例えばインディゴ染色デニムの見本をマルチウェルプレートの穴に供給し、固定し、砂又は例えば6,8、又は9ゲージの粒子を含むふるいで得たガーネットのようなより大きな粒子を加え、添加粒子によって見本を摩耗させるようにプレートを攪拌する。この試験はストーンウォッシング適用におけるセルラーゼの評価に有用である。酵素の有効性を、反応液への色の放出(例えば、放出インディゴをジメチルスルホキシドに溶解し、A600nmの吸収で測定される。)によって又は摩耗する見本の反射率の測定により判断する。
【0151】
例えば、未処理のBMI(血液(blood)/牛乳(milk)/インク(ink))見本を漂白剤のない洗剤で洗浄する場合、インクの大部分はプロテアーゼの助けなしでも除去される。プロテアーゼの添加によりインクの除去が少し増大され、より大きなバックグラウンドにおいては定量化が困難である。本発明は、染みの固定度合いを制御させる処理手順を提供する。 結果として、例えば、試験されるべき酵素の不存在下で洗浄するとき、染みの量を変えて放出することのできる見本の作製が可能となる。固定化見本の使用によって、洗浄試験における信号対雑音の劇的な改善に至る。さらに、固定度合いの変化によって、種々の洗浄条件下、最適な結果が得られる染みの付着を与えることができる。
【0152】
種々のタイプの材料の既知「強度(strength)」の染みを有する見本は商業的に入手可能である(EMPA, St. Gallen, Switzerland; wfk-Testgewebe GmbH, Krefeld Germany; 又はCenter for Test Materials, Vlaardingen, The Netherlands)及び/又は専門家(Morris and Prato, Textile Research Journal 52(4): 280 286 (1982))によって作成される。他の試験用見本は、繊維を含む綿上の血液/牛乳/インク(BMI)染み、繊維を含む綿上のホウレンソウの染み、繊維を含む綿上の草の染みを含むがこれらに限定されない。
【0153】
BMI染みは0.0003%から0.3%の過酸化水素で綿に固定される。他の組み合わせは0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定される草又はホウレンソウ、ゼラチン及び0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定されるクーマシィー染色又は0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定されるチョコレート、牛乳やすすを含む。
【0154】
また、見本を酵素及び/又は洗剤製剤でインキュベーションする間、攪拌する。洗浄能力データはウェル(水平対垂直)、特に96穴プレートにおける見本の方向で決定する。これは、インキュベーション期間に混合が不十分であったことを示す。インキュベーション期間の十分な攪拌を確認する多くの方法があるけれども、アルミニウムの二つのプレートの間でマイクロタイタープレートを挟むプレートホルダーが設計された。これは単純な設置の仕方で、例えば、接着プレート用シールでウェルを覆う時、二つのアルミニウムプレートを適切なタイプの商業的に入手可能なクランプで96穴プレートに固定する。それは商業的なインキュベーター振盪機に設置可能である。約400rpmで振盪機に設置によって非常に効率のよい攪拌が得られ、一方、漏れ又は交互の汚染がホルダーによって効果的に防止される。
【0155】
トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は洗浄液体中アミノ基の濃度を定量するために用いる。これは、見本(例えば、Cayot and Tainturier, Anal. Biochem. 249: 184−200 (1997)参照。)からの除去された蛋白質の量の測定として役立つ。しかしながら、洗剤又は酵素のサンプルが非常に小さいペプチド断片(例えば、サンプル中のペプチダーゼの存在から)の形となる場合、より大きなTNBSシグナル、言い換えると「ノイズ」が生じる。
【0156】
血液/牛乳/インク又は他の染みに対する洗浄能力を測定する他の手段は、インク放出に基づく。見本上の蛋白質の蛋白質分解によって、洗浄液の吸光度を測定することにより定量されるインク粒子の放出が得られる。吸光度を410nm又は629nmで測定する。また洗浄液体を用いて、草、ホウレンソウ、ゼラチン、クーマシィー染色を含む染みにおける洗浄能力を決定するために試験を行う。これらの染みに対する典型的な波長は、ホウレンソウ、又は草について670nm及びゼラチン又はクーマシィーについては620nmを含む。例えば、洗浄液(例えば、一般的に96穴プレートから100‐150μL)の一部を除き、キュベット又はマルチウェルマイクロプレートに移す。その時これを分光光度計にセットし、吸光度を適切な波長にて測定する。
【0157】
またシステムを例えば衣服、プラスティック、又はセラミックのような適切な基質上の血液/牛乳/インク染みを用いて食器洗浄用の強化酵素及び/又は洗剤組成物を決定するために用いる。
【0158】
ある態様においては、0.3%過酸化水素をBMI/綿見本に30分間25℃で処理してBMI染みを綿に固定し、又は0.03%過酸化水素をBMI/綿見本に30分間60℃で処理してBMI染みを綿に固定する。約0.25″の小さな見本をBMI/綿見本から切り離し、96穴マイクロタイタープレートのウェルに移す。各ウェルに洗剤組成物及び変異蛋白質のような酵素の周知の混合を添加する。粘着プレート用シールでマイクロタイタープレートの上に固定した後、マイクロタイタープレートをアルミニウムプレートに挟み、約10から60分間、約250rpmでオービタルシェーカー(orbital shaker)で攪拌する。この時間の最終時点で、上清は新しいマイクロタイタープレートに移され、620nmでインクの吸光度を測定する。これは0.01%グルタルアルデヒドをホウレンソウ/綿見本又は草/綿見本に30分間25℃で処理によるホウレンソウ又は草染み固定綿で同様に試験される。同様にチョコレート、牛乳、及び/又はすすの染みで行われる。
【実施例】
【0159】
実施例1
バシルス ズブチリス(B. subtilis)における発現
図5に示す構築体を9プロテアーゼ欠損バシルス ズブチリス(B. subtilis)菌種に形質転換した。(degUHy32,oppA,ΔspoII3501,amyE::xylRPxylAcomK‐ ermC, ΔaprE, ΔnprE, Δepr, ΔispA, Δbpr, Δvpr, ΔwprA, Δmpr‐ybfJ, ΔnprB) (参照US20050202535A1)。この菌種の培養を次の培地で培養した(1リットル当たり):10gソイトン(Soytone)、75gグルコース、7.2g尿素、40mM MOPS、4mM トリシン、3mM リン酸二水素カリウム、21.4mM KOH、50mM NaCl、276μM 硫酸カリウム、528μM 塩化マグネシウム、50μM クエン酸三ナトリウム二水和物、100μM 塩化カルシウム二水和物、14μM 硫酸鉄七水和物、5.9μM 硫酸マグネシウム二水和物、5.7μM 硫酸亜鉛一水和物、2.9μM 塩化第二銅二水和物、4.2μMコバルト六水和物、4.5μMモリブデンナトリウム二水和物。1L体積に、ソイトンを500mLに混合する以外はすべての成分を滅菌ろ過し、等量の2Xソイトンに加え、オートクレーブにより滅菌する。微量金属及びクエン酸塩を100X又は1000X保存液として作製する。緩衝液、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、及び塩化マグネシウム及び微量金属を10X保存溶液として作製する。すべての成分を混合した後、pHを7.3に調整した。使用する前に、この培地を20mM塩化カルシウムで補完する。
【0160】
培養によって種々の過程の形態における酵素が発現した。明らかな成熟型(シグナル配列を有さない)を10%SDS‐PAGE上に69kDaのマーカーの位置に観察した。また二つの短い形態が存在した。
【0161】
ベータ‐シクロデキストリンセファロースアフィニティ樹脂で培地を処理し、樹脂を集め、2mM 塩化カルシウム(CaCl)含有25mM ビス‐トリスプロパン緩衝液(pH8.5)で洗浄し、50mM ベータシクロデキストリンを補完した同じ緩衝液で洗浄樹脂を溶出することによりAmy195アルファ‐アミラーゼ活性部分を培養培地から分画した。ベータ‐シクロデキストリンで培養培地を処理する効果は培地から60kDa種の部分的除去(約50%まで)と69kDa種の完全な除去であった。樹脂の緩衝液による洗浄により、60kDaサイズのほぼ純粋な蛋白質を得られ、緩衝液含有ベータ‐シクロデキストリンの溶出により、約25%の60kDa蛋白質を含んだ69kDa蛋白質が得られた。これらの成分の評価をSDS‐PAGEにより決定した。結果は図10に示す。分画酵素内容物を標準蛋白質として用いるOxAm アミラーゼ(ジェネンコ インターナショナル社 (Genencor International, Inc.))でゲル濃度測定にて評価した。図10の「wl」で記されたレーンの最も暗いバンドのN末端分析により、「AAPGPKDATA」(配列番号5)の配列を得た。このN末端配列付近の質量スペクトル分析により図4の上方部分に示す配列(すなわち、シグナル配列及びデンプン結合部位を表すC末端を含まない配列)を有する蛋白質を同定した。これらの分析はこの分子断片がアルファ‐アミラーゼドメインA、B、及びCからなることを示す。
【0162】
実施例2
遺伝子的に欠損したAmy195触媒領域の発現
Amy195に対する遺伝子は、欠損型の発現試験をするため及び洗浄能力の試験のために三つの異なる部位を欠損させた。欠損を、図4でのポリペプチド配列番号を用いてアミノ酸残基番号494、504、及び509にて当業者に周知の標準的な方法で行った。欠損遺伝子を含むプラスミドを9プロテアーゼ欠損バシルス ズブチリス(Bacillus subtilis)菌種(degUHy32,oppA,ΔspoII3501,amyE::xylRPxylAcomK‐ ermC, ΔaprE, ΔnprE, Δepr, ΔispA, Δbpr, Δvpr, ΔwprA, Δmpr‐ybfJ, ΔnprB) に形質転換した。細胞を64時間、37℃にて10又は30mMCaClで補完される50mLの富栄養培地を含む250mLのバッフルフラスコにて培養した。培養上清をSDSPAGEにて分析し、アミラーゼ内容物はゲル濃度測定により評価した。
【0163】
欠損遺伝子からのアミラーゼの発現は、完全長の野生型遺伝子からの同じ領域の発現より約2倍高かった。これらの結果を図8に示し、欠損遺伝子は蛋白質発現に対して有意な効果があることを示す。
【0164】
実施例3
洗浄試験
ゲル上に示されるすべての分画をさらに96穴CS28オレンジ染色米デンプン汚れ見本適用試験により分析した。この分析を25mM HEPES(pH8.0)及び25mM CAPS(pH10.3)緩衝液で行った。
【0165】
実施例1で単離されるすべてのAmy195種の洗浄能力を、アミラーゼ濃度を関数としてシミュレートされる洗濯試験にて試験をした。図10の「e‐pool」分画に対する結果を図6に示す。性能が、上清液体に放出され488nmで分光光度計を用いて測定される色素の量により判断した。さらなる試験の情報は米国特許第7,122,334を参照願いたい。酵素はpH8.0で高い効果を示し、pH10.3にて驚くべき染み除去を示した。蛋白質ゲル(図10)の各レーンの重要な蛋白質のバンドのすべては、最も良い性能を示した「wl」レーンのバンドと共に洗浄活性を示した。pH8.0の条件下すべての洗浄活性を図7に示す。図4の492番目のアミノ酸残基で終了する欠損型は、ひとつのデンプン結合領域(図7で「□」参照)を維持する型より高い性能(図7で「●」参照)を示した。この試験の結果からAmy195アルファ‐アミラーゼは繊維見本から染みを除去する点に高い効果があることを示す。
【0166】
実施例4
遺伝子操作による欠損遺伝子産物の洗浄能力
上述の実施例2で得られる欠損遺伝子産物について、上述の実施例3での蛋白質加水分解断片の記載のように同じ方法で洗浄能力が試験された。CS28米見本はAmy195触媒断片の濃度範囲でインキュベートした。洗浄能力が色素の上清への放出及び488nmでの測定によって判断された。図9で示すように、すべて3つの遺伝操作による欠損遺伝子断片は、良い洗浄性能を示した。
【0167】
この見本試験を異なる目的に応じて幾つかの方法で改良してよい。96穴プレートでの試験は見本と共に酵素のインキュベーション後に上清を測定することでハイスループット洗浄試験として非常に有用である一方、ウェルのサイズに合う見本を伴う24穴プレートでは反射率が周知の技術にて測定できる大きな見本を洗浄するのに用いることができる。この二つの測定は、つまり、上清の吸光度及び見本の反射率が、ほぼ完全な相関関係を示した。
【0168】
上清の吸光度と洗浄見本の反射率の相関関係は高く、r2の決定係数は0.99の値であった。実施例3で記載のように測定の有効性を試験するために、おもに、試験は384穴プレートにスケールアップできる。試験は任意の汚れた見本で行われ、加えて、CS28見本、CS26、CS27及びCS29見本も同様に(例えば、それぞれ、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン;Testfabrics, Inc., West Pittiston, PA)試験ができる。また、試験は洗剤組成物と共に用いてもよく、異なる温度及び異なるpH値で導入されてよい。これらの試験は米国特許第7,122,334からに記載したものを用いている。
【0169】

上述のすべての文献の引用は、すべての目的に応じてそれらの全体を引用することにより本明細書に取り込まれる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
図2(配列番号2)の88から2052番目の残基を含む核酸配列。
【請求項2】
バシルス リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファ‐アミラーゼのシグナルペプチドをコードする核酸配列に作動的に連結する請求項1に記載の核酸配列。
【請求項3】
配列番号3(図3)の30から683番目の残基を含むポリペプチドの欠損型をコードする核酸であって、前記欠損型が配列番号3の492、504、又は509番目の残基で終了していることを特徴とする核酸。
【請求項4】
請求項1又は3のいずれかの核酸配列によりコードされるポリペプチド。
【請求項5】
前記欠損型が配列番号3(図4)の492、504、又は509番目の残基でのカルボキシ末端を有することを特徴とする、請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかの核酸に作動的に連結するベクター。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかの核酸を含む単離される宿主細胞。
【請求項8】
請求項6のベクターを含む単離される宿主細胞。
【請求項9】
前記宿主細胞がバシルス ズブチリス(B. subtilis)、バシルス リチェニフォルミス(B. licheniformis)、バシルス レンツス(B. lentus)、 バシルス ブレビス(B. brevis)、バシルス ステアロテルモフィルス(B. stearothermophilus)、バシルス アルカロフィリス(B. alkalophilus)、バシルス アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、バシルス コアグランス(B. coagulans)、バシルス シルクランス(B. circulans)、バシルス ランツス(B. lautus)、 バシルス ツリンギエンシス(B. thuringiensis)ストレプトミセス リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス ムリナス(S. murinus)、 又は大腸菌(Escherichia coli)から選択される細菌であることを特徴とする、請求項8に記載の単離される宿主細胞。
【請求項10】
非ダスティング粒状、マイクロ粒状、安定化液、ゲル、又は保護酵素のいずれかの形態を特徴とする、請求項4記載のポリペプチドを含む洗剤添加物。
【請求項11】
前記欠損型が10%SDS−PAGEゲル上で約49kDaから約69kDaの分子量を有することを特徴とする、請求項10記載の洗剤添加物。
【請求項12】
前記洗剤添加物が洗剤添加物の1グラム対して約0.02mgから約200mgのポリペプチドを含有することを特徴とする、請求項10記載の洗剤添加物。
【請求項13】
プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、デンプン分解酵素、セルラーゼ、ポリエステラーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含むことを特徴とする、請求項10記載の洗剤添加物。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかの洗剤添加物を含有する洗剤組成物。
【請求項15】
前記洗剤組成物が、一以上の界面活性剤、漂白システム又は漂白、洗剤ビルダー、ポリマー、安定剤、繊維コンディショナー、泡立ち剤、泥抑制剤、抗腐食剤、染料、香料、泥懸濁剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は殺菌剤を任意的に含むことを特徴とする、請求項4又は5のいずれかのポリペプチドを含有する洗剤組成物。
【請求項16】
プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、デンプン分解酵素、セルラーゼ、ポリエステラーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素をさらに含有することを特徴とする、請求項15の洗剤組成物。
【請求項17】
請求項4又は5のいずれかのポリペプチドを含有する手動又は自動食器洗浄洗剤組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の手動又は自動食器洗浄洗剤をそれらの必要性がある食器に適用することを含む洗浄方法。
【請求項19】
請求項10から13のいずれかの洗剤添加物を含有する洗濯洗剤組成物。
【請求項20】
請求項12から14のいずれかの洗剤組成物で溶液中の汚れた繊維を洗浄することを含む繊維洗浄方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−512787(P2010−512787A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542789(P2009−542789)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/024959
【国際公開番号】WO2008/088493
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508377015)ダニスコ・ユーエス・インク、ジェネンコー・ディビジョン (31)
【Fターム(参考)】