説明

バスバーを備えた電子発光デバイス

複数の画素を有する有機半導体デバイスを製造する方法が提供される。この方法は、パターニングされたウェル画定バンク(308)の層を含む基板を設けることと、第1の導電材料(310,312)の層を、ウェル画定バンク(308)上とウェル内に形成することであって、第1の導電材料が、ウェル内に第1の電極(310)を形成し、前記第1の電極との間に電気的断絶部を有するバスバー(312)をウェル画定バンク(308)上に形成することと、ウェル内において有機半導体層(318)を第1の電極(310)上に形成することと、第2の導電性材料(320)の層を有機半導体層(318)とバスバー(312)の両方の上に形成して、連続的な第2の電極(320)を有機半導体層(318)及びバスバー(312)の上に形成することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーを備えたエレクトロルミネッセンス(電子発光)デバイス及びその製造方法に関する。本発明の実施形態は、透明なカソードを有し、横方向の導電性が増大された上面発光型(トップ・エミッティング)デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(有機発光デバイス)を用いて作製されたディスプレイは、他のフラットパネル技術よりも多くの利点をもたらす。OLEDは、明るくカラフルであり、高速スイッチングをし、広視野角をもたらし、且つ、様々な基板上への組み付けが安価で容易である。有機(本文中、有機金属を含む)発光ダイオード(LED)は、ポリマー、小分子及びデンドリマーを含む材料を用いて、これらの用いられる材料に依存した様々な色に作製され得る。ポリマーを基材とした(ポリマーベースの)有機LEDの例は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。デンドリマーを基材とした(デンドリマーベースの)材料の例は、特許文献4及び特許文献5に記載されている。いわゆる小分子を基材としたデバイスの例は、特許文献6に記載されている。
【0003】
典型的なOLEDデバイスは、有機材料から成る2つの層を含む。これらの層の一方は、発光材料(例えば、発光ポリマー(LEP)、オリゴマー又は低分子量の発光材料)から成る層であり、他方の層は、正孔注入材料(例えば、ポリチオフェン誘導体又はポリアニリン誘導体)から成る層である。
【0004】
OLEDは、基板上に画素のマトリクスとして層が形成されて、単色又は多色の画素化ディスプレイを形成し得る。多色ディスプレイは、赤、緑及び青色の発光画素群を用いて構成され得る。いわゆるアクティブマトリクスディスプレイは、各画素に関連した記憶素子(典型的には、ストレージキャパシタ及び薄膜トランジスタ(TFT))を有する。一方、パッシブマトリクスディスプレイはこのような記憶素子を有さず、その代わり、安定画像の印象をもたらすために繰り返し走査される。その他のパッシブディスプレイのおいては、複数のセグメントが共通の電極を共有するセグメントディスプレイを含み、1つのセグメントが、その他の電極に電圧を印加することにより照明され得る。簡単なセグメントディスプレイは走査される必要がないが、複数のセグメント領域を含むディスプレイにおいては、電極が(電極の個数を低減するために)多重化されて走査され得る。
【0005】
図1は、OLEDデバイス100の一例の垂直方向断面図である。アクティブマトリクスディスプレイにおいて、画素の領域の一部が、関連する駆動回路(図1に示さず)により占められる。デバイスの構造は、説明のために幾分簡略化されている。
【0006】
OLED100は基板102を含む。基板102は、典型的には0.7mm又は1.1mmのガラスであるが、随意に、透明なプラスチック、又は、他の何らかの実質的に透明な材料であり得る。アノード層104が、基板上に形成されている。アノード層104は、典型的に、約40nm〜150nmの厚さのITO(インジウムスズ酸化物)を含む。この部分の上に金属接触層が設けられている。典型的には、この接触層は、約500nmのアルミニウム、又は、クロム層の間に挟まれたアルミニウム層を含み、これは「アノード金属」と称されることがある。ITO及び接触金属によりコーティングされたガラス基板は広範囲で利用可能である。ITO上の接触金属は、抵抗が少ない通路を提供するのに役立つ。この通路において、アノード接続部が透明であることは、特にデバイスへの外部接触のためには、必要とされない。接触金属は、接触金属が必要とされないITOの部位から、特には、接触金属を除去しなければディスプレイが見えにくくなるような部位から除去される。これは、フォトリソグラフィの標準的プロセス、及びこれに続くエッチングにより行われる。
【0007】
実質的に透明な正孔注入層106がアノード層の上に形成され、次いで、エレクトロルミネッセンス層108及びカソード110の層が形成される。エレクトロルミネッセンス層108は、例えば、PPV(ポリ(p−フェニレンビニレン))、及び、アノード層104とエレクトロルミネッセンス層108との正孔エネルギーレベルのマッチングを補助する正孔注入層106を含んでもよい。正孔注入層106は、導電性の透明ポリマー、例えば、ドイツ国、H.C.スタルク社から販売されているPEDOT:PSS(ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリエチレン−ジオキシチオフェン)を含んでもよい。ポリマーを基材とした典型的なデバイスにおいて、正孔注入層106は、約200nmのPEDOTを含んでもよい。発光ポリマー層108は、典型的には、厚さが約70nmである。これらの有機層は、スピンコーティング(スピンコート法)により(その後、材料を不要な領域からプラズマエッチング又はレーザアブレーションにより除去する)、又はインクジェットプリンティング(インクジェットプリント法)により形成され得る。インクジェットプリンティングを用いる場合、基板上に、例えばフォトレジストを用いて、バンク112を形成することができ、これにより、有機層がその内部に形成され得るウェルが画定される。このようなウェルが、ディスプレイの発光領域又は画素を画定する。
【0008】
カソード層110は、典型的に、カルシウム又はバリウムなどの低仕事関数金属(例えば物理蒸着により層が形成される)を含み、アルミニウムから成るより厚いキャッピング層で覆われる。随意には、エレクトロルミネッセンス層に隣接して、さらなる層(例えばフッ化リチウムの層)が、電子エネルギーレベルのマッチングを向上させるために設けられ得る。カソードラインの相互の電気的絶縁が、カソードセパレータ(図1に示さず)を用いることにより達成され又は強化され得る。
【0009】
上記の構造と同一の基本的構造は、小分子デバイスにも用いられ得る。
【0010】
典型的に、多数のディスプレイが単一の基板の上に組み付けられ、製造プロセスの最後に基板がスクライブされる。そして、ディスプレイが分離され、その後、分離された各々に、酸化及び水分の侵入を防止するための封入缶が取り付けられる。或いは、ディスプレイを、スクライブ及び分離する前に封入することもできる。
【0011】
OLEDを照明するために、例えば図1に示されている電池118により、アノードとカソードとの間に、電力が供給される。図1に示されている例において、光が、透明なアノード104及び基板102を通して放射される。カソードは、一般的に反射性である。このようなデバイスは「底面発光型(ボトム・エミッター)デバイス」と称される。カソードを通して発光させるデバイス(「上面発光型(トップ・エミッター)デバイス」)も、例えば、カソードが実質的に透明であるようにカソード層110の厚さを約50nm〜100nm未満に保つことにより、且つ/又は、透明なカソード材料(例えばITO)を用いることにより構成され得る。
【0012】
ここで図1bを参照する。図1bは、パッシブマトリクスOLEDディスプレイデバイス150の簡略化した断面図であり、図1bにおいて、図1の要素と類似の要素は、図1と同一の符号により示されている。図示されているように、正孔注入層106及びエレクトロルミネッセンス層108が、アノード金属104及びカソード層110にてそれぞれ画定された互いに垂直なアノードラインとカソードラインとの交差点にて複数の画素152に分割されている。図1bにおいて、カソード層110にて画定された導電ライン154が頁の内部方向に延在し、カソードラインに対して直角に延在する複数のアノードライン158の1つに沿った断面が示されている。カソードラインとアノードラインとの交差点におけるエレクトロルミネッセンス画素152が、関連するライン間に電圧を印加することによりアドレスされ得る。アノード金属層104はディスプレイ150に外部接触をもたらし、また、OLEDへのアノード接続及びカソード接続の両方のために(カソード層パターンをアノード金属リードアウト上に延在させることにより)用いられ得る。
【0013】
上記のOLED材料、及び、特には発光ポリマー材料及びカソードは、酸化及び水分の影響を受けやすい。従って、デバイスは、金属又はガラス製の缶111内に封入され、UV硬化性エポキシ接着剤113によりアノード金属層104に取り付けられる。好ましくは、アノード金属接触部は、接着剤113が硬化のためにUV光に露出されやすいように金属缶111のリップ下を通過する位置にて薄く形成される。
【0014】
フルカラーのオールプラスチックスクリーンを実現するために、相当の努力がなされてきた。この目的を達成するために行われた主な試みは、(1)基本3色である赤色、緑色及び青色の光を発する共役ポリマーへアクセスすることである。また、(2)共役ポリマーの、フルカラーディスプレイ構造への加工及び組み付けは容易でなければならない。ポリマー発光デバイス(PLED)は上記の第1の条件を満たすことに有望であった。なぜなら、共役ポリマーの化学的構造を変えることにより発光色の操作を達成できるからである。しかし、共役ポリマーの化学的性質の変更は、実験室規模では容易で安価であることが多いが、工業規模においては高価で複雑な工程となり得る。また、第2の条件であるフルカラーマトリクスデバイスの容易な加工可能性及び構築には、微細多色画素をどのようにマイクロパターニングするか、及び、フルカラー発光をどのように達成するかという問題が生じる。インクジェットプリント技術及びハイブリッドインクジェットプリント技術は、PLEDデバイスのパターニングに関して非常に注目されてきた(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照)。
【0015】
フルカラーディスプレイの開発に貢献するために、直接的な色調整、良好な加工可能性、及び安価な大規模製造の可能性を示す共役ポリマーが求められてきた。ポリ−2,7−フルオレンが、青色発光ポリマーに関する多くの研究の対象であった(例えば、非特許文献4、非特許文献5、特許文献7、非特許文献6を参照)。
【0016】
アクティブマトリクス有機発光デバイス(AMOLED)が、当分野で公知である。このデバイスにおいて、エレクトロルミネッセンス画素及びカソードの層が、個々の画素を制御するためのアクティブマトリクス回路を含むガラス基板及び透明なアノード上に形成されている。これらのデバイスにおいて、光は、観察者に向かってアノード及びガラス基板を通って放射される(いわゆる底面発光(ボトム・エミッション)する)。この問題の解決法として、透明なカソードを有するデバイス(いわゆる「上面発光型」(トップ・エミッティング)デバイス)が開発されてきた。透明なカソードは、以下の特性を有さなければならない。すなわち、透明性、導電性、及び、デバイスのエレクトロルミネッセンス層(又は、存在するならば電子輸送層)のLUMO(最低非占有分子軌道)への効率的な電子注入のための低仕事関数である。
【0017】
上面発光型デバイスの例が図2に示されている。上面発光型デバイスは、絶縁平坦化層204がその上に配置された基板202を含む。ビアホールが平坦化層204に設けられ、これにより、アノードが、関連するTFT(図示せず)に接続されることができる。アノード206が平坦化層204上に配置され、層204の上に、ウェルを画定するバンク208が設けられている。アノード206は、好ましくは反射性である。エレクトロルミネッセンス材料210が、バンクにより画定されたウェル内に配置され、透明なカソード212の層がウェル及びバンク上に形成されて連続層を形成している。
【0018】
しかし、厚さが非常に薄くなくても透明であるような導電材料は、非常に少ない。このような材料の1つがインジウムスズ酸化物(ITO)である。当分野で開示されている透明なカソードの例は、非特許文献7に開示されているMgAg/ITO、及び、非特許文献8に開示されているCa/ITOを含む。
【0019】
これらの例において、金属(又は、MgAgの場合は金属合金)から成る第1の薄い層が電子注入をもたらす。しかし、この層の厚さは、横方向の導電性が不十分であるような厚さである。ITOの層が必要である。なぜなら、ITO層は、より厚くても透明性を維持し、従って、カソードの横方向の導電性を高めるからである。
【0020】
しかし、ITOは、高エネルギーのスパッタリングプロセスにより蒸着される。このプロセスは、ITOが蒸着される層(又は複数の層)を損傷させやすい。このことと、ITOの代替物に関する制約とを考えると、独立の透明な導電材料層の必要性をなくすことができるならばそれが望ましいであろう。
【0021】
バスバーは、活性領域から離れた金属の厚さを厚くして導電層の導電率を増大させる公知の方法である(特許文献8参照)。しかし、これらのバスバーが透明でなければ、上面発光型デバイスにてバスバーを用いることが、底面発光型AMOLEDに関してアクティブマトリクス回路が低減するのと同様に、画素の発光領域を低減させ、これにより、前記デバイスに関する利点を減らすことが直ちに明らかになるであろう。
【0022】
エレクトロルミネッセンスの形成におけるインクジェットプリンティングは、パターニングされたデバイスを形成するための安価で効率的な方法である。特許文献9に開示されているように、これは、画素を画定するウェルをフォトリソグラフィを用いて形成し、前記ウェル内部にエレクトロルミネッセンス材料をインクジェットプリンティングにより形成させるステップを含む。特許文献10において、本出願の出願人は、上面発光型デバイスにおけるこれらの薄い透明なカソード層の導電性を増大する試みに関する問題を、画素の発光領域を低減せずに解決する方法を提供した。これは、ウェル画定レジストバンクを用いることにより、パターニングされた金属層をその上に形成させてバスバーを形成することができる構造を設ける方法である。
【0023】
ウェル画定層の上面上の金属層が、この金属層が接触している透明なカソード層の導電性を増大することができるバスバーをもたらす。この金属層によりもたらされるバスバーは、デバイスの、ウェル画定バンクの存在により既に非放射性である領域上に配置されるため、透明なカソード層の導電性は、画素の発光領域を低減することなく増大される。
【0024】
特許文献10に記載されている上面発光型ディスプレイを製造するための方法において、アノード層が基板上に形成され、ウェル画定バンク材料の層がアノード層上に形成され、次いで、バスバーのための金属材料の層がウェル画定バンクの上に形成される。バンク材料及び金属材料は、バスバーを形成する金属がバンクの上部にのみ配置されるようにパターニングされる。
【0025】
次いで、有機エレクトロルミネッセンス材料の層が、アノード材料上のウェル内に形成され得る。次いで、透明なカソードの層が、エレクトロルミネッセンス材料及びバンク上部の上のバスバーを覆うように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】国際公開第90/13148号
【特許文献2】国際公開第95/06400号
【特許文献3】国際公開第99/48160号
【特許文献4】国際公開第99/21935号
【特許文献5】国際公開第02/067343号
【特許文献6】米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献7】国際公開第00/55927号
【特許文献8】米国特許第6,664,730号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0880303号明細書
【特許文献10】国際公開第2006/123126号
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Science, 1998, 279, 1135
【非特許文献2】Wudl et al, Appl Phys. Lett. 1998, 73, 2561
【非特許文献3】J. Bharathan, Y. Yang, Appl. Phys. Lett. 1998, 72, 2660
【非特許文献4】A. W. Grice, D. D. C Bradley, M. T. Bernius, M. Inbasekaran, W. W. Wu, E. P. Woo, Appl. Phys. Lett. 1998, 73, 629
【非特許文献5】J. S. Kim, R. H. Friend, F. Cacialli, Appl. Phys. Lett. 1999, 74, 3084
【非特許文献6】M. Bernius et al, Adv. Mater., 2000, 12, No. 23, 1737
【非特許文献7】Appl. Phys. Lett 68, 2606, 1996
【非特許文献8】J. Appl. Phys. 87, 3080, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、国際公開第2006/123126号(特許文献10)に記載されている方法に代わる方法を提供することにある。
【0029】
国際公開第2006/123126号に記載されている装置において、バスバーを形成する材料層は、ウェル画定バンクの上部にのみ配置されるようにパターニングされる。しかし、本出願の出願人は、バスバーを形成する金属材料がOLEDのアノード層としても用いるならば、このようなパターニングが必要でないことを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様によれば、複数の画素を有する有機半導体デバイスを製造する方法が提供される。この方法は、パターニングされたウェル画定バンクの層を含む基板を設けることと、第1の導電材料の層を、前記ウェル画定バンク上とウェル内に形成することであって、前記第1の導電材料が、前記ウェル内に第1の電極を形成し、前記第1の電極との間に電気的断絶部を有するバスバーを前記ウェル画定バンク上に形成することと、前記ウェル内において前記第1の電極上に有機半導体層を形成することと、第2の導電材料の層を前記有機半導体層と前記バスバーの両方の上に形成して、連続的な第2の電極を前記有機半導体層及び前記バスバーの上に形成することと、を含む。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、複数の画素を有する有機半導体デバイスが提供される。このデバイスは、パターニングされたウェル画定バンクの層を含む基板と、前記ウェル画定バンク上とウェル内に形成される第1の導電材料の層であって、前記ウェル内に第1の電極を形成し、前記第1の電極との間に電気的断絶部を有するバスバーを前記ウェル画定バンク上に形成する前記第1の導電材料層と、前記ウェル内において前記第1の電極上に形成される有機半導体層と、前記有機半導体層と前記バスバーの両方の上に形成される第2の導電材料の層であって、連続した第2の電極を前記有機半導体層及び前記バスバーの上に形成する前記第2の導電材料の層と、を備える。
【0032】
好ましくは、上面発光型デバイスを形成するために、前記第1の電極は反射性であり、且つ、前記第2の電極は透明である。前記第1の電極はアノードであってもよく、且つ、前記第2の電極はカソードであってもよい。このような装置において、前記透明カソードは、少なくとも幾らかの光の通過を可能にする、低仕事関数を有する任意の導電材料を含んでもよい。例えば、前記透明カソードは、少なくとも30%の光透過率、好ましくは、少なくとも50%の光透過率、より好ましくは、少なくとも60%の光透過率、最も好ましくは、少なくとも80%の光透過率を有してよい。前記透明カソードは、導電材料から成る単一層又は複数の層を含んでもよい。
【0033】
特に好ましい透明カソード装置は、有機半導体層と接触して透明であるように十分に薄い低仕事関数金属を含む。好ましい低仕事関数材料の仕事関数は、3.5eV以下、好ましくは3.2eV以下、最も好ましくは3.0eV以下である。この範囲における仕事関数を有するアルカリ土類金属、特には、バリウム又はカルシウムが特に好ましい。低仕事関数を有する薄い材料の層が、有機半導体層にいかなる損傷も生じない比較的低エネルギーのプロセス(例えば、熱蒸発又は電子ビーム蒸発)により形成されてもよい。
【0034】
別の好ましい透明カソード装置は、薄い金属層でキャップされた薄い誘電材料層を含む。好ましい誘電材料は、金属酸化物又はフッ化物であり、好ましくはフッ化物である。好ましい金属カチオンは、アルカリ又はアルカリ土類金属のカチオンである。特に好ましい材料は、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物である。前記層の透明性を維持するのであれば、任意の金属(例えばアルミニウム)の薄い層が、前記誘電層をキャップするために機能してもよい。
【0035】
カソード層は、適切に選択された場合、典型的に、20nmまで透明性を維持してもよい。好ましい厚さはカソード材料自体の性質に依存する。例えば、厚さ14nmのMg−Al合金の形成により30%以上の光透過率を得ることができる。適切な透明カソード材料の例は当業者に周知であり、例えば、米国特許第5,703,436号及び第5,707,745号に開示されている。
【0036】
前記ウェル画定バンクを形成するために用いられる材料の層は、当業者に公知の任意の適切な技術、例えばスピンコーティングにより基板上に形成されてよい。前記ウェル画定層の厚さは、有機半導体材料の溶液がインクジェットプリンティングプロセスによりその内部に形成される前記ウェルの境界を画定するのに十分であるような厚さであるが、前記第2の電極が前記ウェルと前記バンクとの間の境界にて破断する重大な危険性をもたらすほどには高くない。前記第2の電極は、前記ディスプレイの画素を覆う連続した層を形成しなくてはならない。従って、典型的に、前記ウェル画定層は、前記第1の電極と前記バスバーとの間に電気的断絶部が存在することを保証するために、前記第1の電極の厚さの少なくとも1.5倍であり、好ましくは、前記第1の電極の厚さの少なくとも2倍である。さらに、前記ウェル画定層は、典型的には、前記第2の電極が、前記有機半導体層を覆う材料と前記バンク上の前記バスバーを覆う材料との間に電気的断絶部を有さない連続層を形成することを保証するために、前記第1の電極の厚さの30倍よりも薄い。前記ウェル画定層がフォトレジスト層である場合、前記ウェル画定層は任意のフォトレジスト材料から形成されてもよく、これらの材料の例は、感光性ポリイミドなどを含む(例えば、欧州特許出願公開第0880303号明細書を参照)。
【0037】
前記バンク構造が、前記第2の電極が前記ウェルと前記バンクとの間の境界にて破断することを防止しなければならない要求条件に加え、さらなる要求条件は、前記ウェル内の前記第1の電極と前記バンク上の前記バスバーとの接触が遮断されなければならないことである。
【0038】
前記ウェル画定バンク層に関する上記の要求条件の両方を満たす1つの方法は、前記ウェル画定バンク層の高さ及び傾斜を、前記第1の電極と前記バスバーとの接触が遮断され、尚且つ前記第2の電極が連続層として保持されるように調整することである。前記第1の電極と前記バンクの上部との高さの差は、前記ウェルに有機半導体材料を(また随意には、例えば電荷注入層及び電荷輸送層などの他の層を)充填した後に前記第2の電極の層が形成されたときの、前記ウェルを覆う前記第2の電極と前記バンクの前記上部と高さの差と比較すると、より大きいであろう。このように、前記ウェル画定バンク層の高さは、前記第1の導電層を前記ウェルと前記バンクとの間の境界にて断絶させ、尚且つ前記第2の導電材料に関しては連続した層を保持するように調整され得る。
【0039】
前記ウェル画定バンク層に関する上記の要求条件の両方を満たす別の方法は、アンダーカット構造を有する第1のバンクを含むダブルバンク構造を形成することである。すなわち、前記第1のバンクの壁部は、前記基板に対する垂線と前記壁部との間の角度が0度より小さい角度であるようにネガティブプロファイルを有する。前記バスバーが前記第1のバンクの上部に配置され、前記ウェルへのポジティブ傾斜を有する第2のバンクが前記バスバーの上に配置される。前記第1バンクの前記アンダーカット構造は、前記第1の電極を形成する前記第1の導電材料と、前記バスバーを形成する前記第1の導電材料との間に断絶部が存在することを保証する。前記第2のバンクのポジティブ傾斜は、前記バンク上の前記第2の導電材料と前記ウェル上の前記第2の導電材料との間に連続的な電気接続が存在することを保証する。すなわち、前記第2のバンクの壁部は、前記基板に対する前記垂線と前記壁部との間の角度が0度よりも大きい角度であるようにポジティブプロファイルを有する。これが、前記第2の電極層の連続性を保証するのに役立つ。
【0040】
有機半導体層は、1以上の有機発光材料を含んでもよい。2つ以上の有機発光材料が存在する場合、これらの材料は、別々の分離した層として配置されてもよく、又は、単一層にて前記材料の混合物として配置されてもよい。任意の有機発光材料を、本発明の実施形態に用いてもよい。適切な例には、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)及びこのポリマーの誘導体(例えば、国際公開第90/13148号を参照)などのポリ(アリーレンビニレン)を含む共役ポリマー;ポリフルオレン誘導体(例えば、A. W. Grice, D. D. C. Bradley, M. T. Bernius, M. Inbasekaran, W. W. Wu, 及びE. P. Woo, (Appl. Phys. Lett. 1998, 73, 629)、国際公開第00/55927号、及び、M. Bernius et al,(Adv. Materials, 2000, 12, No.23, 1737)を参照)、特には、2,7−結合9,9ジアルキルポリフルオレン、又は、2,7−結合9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン、特には、2,7−結合ポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリナフチレン誘導体、ポリインデノフルオレン誘導体、特には、2,7−結合ポリインデノフルオレン;及び、ポリフェナントレニル誘導体、が含まれる。有機半導体材料の層は、好ましくは、前記ウェル画定層により画定された前記ウェル内にインクジェットプリンティングにより形成される。エレクトロルミネッセンス材料の層を形成させるために用いられるインクジェット組成物は、少なくとも1つの溶媒、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス材料、及び、任意の添加物(例えば、組成物の粘性、沸点などを変えるための添加物)を含む。インクジェットプリンティングのための適切なエレクトロルミネッセンス組成物は、例えば、欧州特許第0880303号明細書及び国際公開第01/16251号に開示されているように、当業者に明らかであろう。適切な溶媒は、例えば、アルキルベンゼン又はアルコキシ置換ベンゼン、特には、ポリアルキルベンゼンを含み、2つ以上のアルキル置換基が結合されて環を形成し得る。
【0041】
前記エレクトロルミネッセンスの層又は複数層の正確な厚さは、様々な因子、例えば、エレクトロルミネッセンスの層又は複数層の材料又は複数の材料の性質、及び、前記デバイスの他の部品の性質により変化する。しかし、典型的には、エレクトロルミネッセンス層の厚さ(又は、2つ以上の層が或る場合には組み合わされた厚さ)は、1nm〜250nmであり、好ましくは、50nm〜120nmである。
【0042】
他のアクティブ層、例えば、電荷注入層及び電荷輸送層が、前記ウェル内に形成されて、もよい。
【0043】
アクティブマトリクスデバイスに関し、前記基板は平坦化されたアクティブマトリクスバックプレートである。前記平坦化層は、ベンゾシクロブタンなどの材料から成る絶縁層である。
【0044】
前記第1の電極及び前記バスバーを形成する材料は、導電性バスバーとして有効に機能するために、尚且つ、良好な電荷注入材料として機能することで有効な電極として作用するように十分な導電性を有さなくてはならない。しかし、これらの要求される条件は、例えば、ディスプレイの寸法に応じて広く変化する(ディスプレイの寸法は、バスバーがどのような導電率を有するべきかを決定する。すなわち、より大きいディスプレイは、より長いバスバーを必要とし、従って、そのバスバーは良好な導電体でなくてはならないであろう)。また、前記の要求される条件は、エレクトロルミネッセンス層(及び、存在するのであれば、任意の電荷注入層及び/又は電荷輸送層)のために用いられる材料のタイプによっても変化する。
【0045】
前記第1の電極がアノードである場合、前記バスバー及びアノードの材料は、この材料が導電性であり、且つ良好な正孔注入材料でもあるように選択されるべきである。
【0046】
上面発光型デバイスのために、前記第1の電極は反射性であってもよい。或いは、独立の反射層を設けてもよい。例えば、反射層と、ITOがその上に配置されたアノード層とを含む2層構造を設けることができる。前記反射層は、金属又は合金(例えば、アルミニウム、銀、又はニッケルクロム)の層であってもよい。
【0047】
アノード材料は当分野で公知である。適切な材料の例は、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛を含み、これらの材料うちITOが特に好ましい。アノード材料は、これらの材料の代わりに、アルミニウム、クロム又は合金などの金属材料であってもよい。上面発光デバイスのために、前記第1の電極は反射性であってよい。前記アノード電極の厚さは、前記エレクトロルミネッセンスデバイスの前記材料及びその他の部品の性質に依存して変化する。典型的には、前記電極の厚さは50nm〜500nmであり、特には、50nm〜300nmである。
【0048】
OLEDは、水分及び酸素の存在により劣化しやすく、従って、水分及び酸素の侵入に対するバリアをもたらすための、前記透明カソードを覆う透明なカプセルを設けることが好ましい。適切な透明カプセルは、前記基板上に接着されたガラス層、或いは、水分又は酸素の侵入に対する蛇行通路を形成するように組み合わされたプラスチック材料とセラミック材料との交互の層を含むバリアスタックを含む。水分及び/又は酸素を除去するためにゲッター材料を設けることも可能である。
【0049】
本発明は、以下の非限定的な例を、以下の図を参照しつつ考慮することによりさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、従来の底面発光型有機発光デバイスを示す。
【図1b】図1bは、従来の底面発光型有機発光ディスプレイを示す。
【図2】図2は、従来の上面発光型有機発光デバイスを示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態の上面発光型有機発光デバイスを構成するためのステップを示す。
【図4】図4(A)は、バスバーを有さない上面発光型デバイスを示す。図4(B)は、本発明の一実施形態のバスバーを有する上面発光型デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の一実施形態に従うプロセスのステップが図3A〜3Eに示されている。まず、図3Aに示されているように、アクティブマトリクス基板302を、平坦化層304、及び各画素のためのビアホール306と共に準備する。従って、各画素のためのアノードが、関連するTFT(図示せず)に接続されることができる。図3Bに示されているように、絶縁性のウェル画定バンク層308、例えば、アンダーカットされたエッジプロファイルを有するネガティブ作用性のI−ラインレジストを、基板上にスピンコーティングしてパターニングする。図3Cに示されているように、真空蒸着プロセスにより、アノード材料の層を基板上に形成する。アノード材料の層は、アノード310を形成するウェル内と、バスバー312を形成するウェル画定バンク上との両方に、形成される。アノード310は、アンダーカットされたウェル画定バンク層308よりも実質的に薄い。従って、図3Cに示されているように、ウェルの縁部にてアノード310とバスバー312との電気接続が断たれている。次いで、図3Dに示されているように、第2のポジティブエッジ状絶縁バンク層314を基板上にスピンコーティングしてパターニングする。このパターニングにより、画素ウェルが形成され、且つ、ビア316が、2つのバンク層間に挟まれたバスバーに接触される。最後に、図3Eに示されているように、エレクトロルミネッセンス材料318の層が画素ウェル内に形成され、その上に、薄い透明のカソード320の層が、エレクトロルミネッセンス材料318の上部及びバスバー312の両方に接触させるように形成される。
【0052】
エレクトロルミネッセンス材料318の層は、インクジェットプリンティングによりウェル内に形成される。エレクトロルミネッセンス材料318の層を形成するために用いられるインクジェット組成物は、少なくとも1つの溶媒、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス材料、及び、任意の添加物(例えば、組成物の粘性、沸点などを変えるための添加物)を含む。インクジェットプリンティングのためのエレクトロルミネッセンス組成物の成分は、例えば、欧州特許第0880303号明細書及び国際公開第01/16251号に開示されているように当業者に明らかであろう。
【0053】
インクジェット組成物の好ましい成分は、以下の成分を含む。
エレクトロルミネッセンス材料:共役ポリマーが好ましく、ポリ(アリーレンビニレン)、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びポリアリーレン;ポリフルオレン、特には、2,7−結合9,9ジアルキルポリフルオレン、又は、2,7−結合9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン、特には、2,7−結合ポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリインデノフルオレン、特には、2,7−結合ポリインデノフルオレン;ポリフェニレン、特には、アルキル又はアルコキシ置換ポリ−1,4−フェニレンを含む。これらのポリマーは、例えば、Adv. Mater. 2000 12(23) 1737〜1750、及び、この文献内の参照文献に開示されている。
【0054】
溶媒:アルキルベンゼン又はアルコキシ置換ベンゼン、特には、ポリアルキルベンゼンであり、2つ以上のアルキル置換基が結合されて環を形成し得る。
【0055】
透明なカソードは、導電性金属から成る単一の層又は複数の層を含んでもよい。特に好ましい透明なカソード装置は、エレクトロルミネッセンス層と接触して透明であるように十分に薄い低仕事関数金属である。好ましい低仕事関数材料は、低仕事関数が3.5eV以下であり、好ましくは3.2eV以下であり、最も好ましくは3.0eV以下である。この範囲内のこれらの低仕事関数を有するアルカリ土類金属、特には、バリウム又はカルシウムが特に好ましい。薄い低仕事関数材料の層は、比較的低エネルギーのプロセス(例えば、エレクトロルミネッセンス層8や薄い金属層でキャップされた薄い誘電材料層にいかなる損傷も生じない熱蒸発又は電子ビーム蒸発)により、形成され得る。好ましい誘電材料は、金属酸化物又はフッ化物、好ましくはフッ化物である。好ましい金属カチオンは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンである。特に好ましい材料は、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物である。前記層の透明性を維持するのであれば、任意の金属(例えばアルミニウム)の薄い層が、前記誘電層をキャップするために機能し得る。
【0056】
透明なカソードは、一般的に、さらなる層によりキャップされる。これは、OLEDが、水分及び酸素が存在する場合に劣化しやすく、従って、水分及び酸素の侵入に対するバリアをもたらすために、透明カソードを覆う透明カプセルを設けることが好ましいからである。適切な透明カプセルは、基板上に接着されたガラス層、又は、水分又は酸素の侵入に対する蛇行通路を形成するように組み合わされたプラスチック材料とセラミック材料との交互の層を含むバリアスタックを含む。
【0057】
本発明の実施形態は幾つかの利点を有する。複数のアノード層が、位置合わせの問題を有さずに形成され且つ自動的にパターニングされることができる。これは、アノードの層が、バンクの層の前に形成されるのではなく、電極領域を画定する第1のバンク層の後に形成されるからである。アノードの層は、デバイスの製造前に基板上に形成されるのとは異なり、デバイスの製造中にバンクの後に真空下で形成されるため、デバイスの製造前にアノード材料が酸素及び水分と反応することによる損傷が回避される。
【0058】
アノード材料の層の形成により、バスバーが単一のステップで自動的に形成される。バスバーは、ディスプレイ全体にわたる連続した導電ラインをもたらし、薄い透明なカソードの導電性を増大させる。導電性を増大するためにカソードバスバーを追加することは、一般的には、最大アスペクト比にかなりの影響を及ぼす。それとは対照的に、本発明のバスバーを設ける方法は、得られるデバイスのアスペクト比に全く影響を与えない。バスバーはバンク上にのみ形成され、そして、ビアホールが、カソードをバスバーの各々に接続するために設けられる。実際、バスバーは、図4Bに示されているようにシート又は層を形成し(以下に説明する)、発光画素の位置に対応した穴を層内に有する。
【0059】
デバイスのアスペクト比への影響に関する欠点は、バスバーを有さないデバイス(図4A)と、本発明の実施形態に従うバスバーを有するデバイス(図4B)とを比較することにより理解されよう。図4A及び図4Bにて、発光画素402を含むエレクトロルミネッセンスディスプレイの上面図が示されている。図4Aにおける非発光領域404は、画素ウェルを画定するバンク材料が配置される領域に対応している。図4Bにおいて、バスバー406は、ディスプレイのアスペクト比に影響を与えないように、非発光領域にのみ設けられている。
【0060】
本発明を、特に本発明の好ましい実施形態を参照しつつ例示及び記載してきたが、当業者は、これらの実施形態に、形態及び詳細における様々な変更が、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱せずに行われ得ることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する有機半導体デバイスを製造するための方法であって、
パターニングされたウェル画定バンクの層を含む基板を設けることと、
第1の導電材料の層を、前記ウェル画定バンク上とウェル内に形成することであって、前記第1の導電材料が、前記ウェル内に第1の電極を形成し、前記第1の電極との間に電気的断絶部を有するバスバーを前記ウェル画定バンク上に形成することと、
前記ウェル内において前記第1の電極上に有機半導体層を形成することと、
第2の導電材料の層を前記有機半導体層と前記バスバーの両方の上に形成して、連続的な第2の電極を前記有機半導体層及び前記バスバーの上に形成することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パターニングされたウェル画定バンク層は、ダブルバンク構造を含み、
前記ダブルバンク構造は、アンダーカット構造を有する第1のバンク、及び、ポジティブプロファイルを有する第2のバンクを含み、
前記バスバーは、前記第1のバンクと第2のバンクとの間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターニングされたウェル画定バンク層は、フォトマスクを用いてパターニングされたフォトレジスト、若しくは、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセスによりパターニングされるエッチング可能な材料から形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの少なくとも1.5倍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの少なくとも2倍である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの30倍よりも薄い、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の導電材料が、金属、合金又は導電性酸化物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電極が反射性であり、前記第2の電極が透明である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電極がアノードであり、前記第2の電極がカソードである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機半導体材料の層がインクジェットプリント法により形成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複数の画素を有する有機半導体デバイスであって、
パターニングされたウェル画定バンクの層を含む基板と、
前記ウェル画定バンク上とウェル内に形成される第1の導電材料の層であって、前記ウェル内に第1の電極を形成し、前記第1の電極との間に電気的断絶部を有するバスバーを前記ウェル画定バンク上に形成する前記第1の導電材料層と、
前記ウェル内において前記第1の電極上に形成される有機半導体層と、
前記有機半導体層と前記バスバーの両方の上に形成される第2の導電材料の層であって、連続した第2の電極を前記有機半導体層及び前記バスバーの上に形成する前記第2の導電材料の層と、
を備えることを特徴とする有機半導体デバイス。
【請求項12】
前記パターニングされたウェル画定バンク層は、ダブルバンク構造を含み、
前記ダブルバンク構造は、アンダーカット構造を有する第1のバンク、及び、ポジティブプロファイルを有する第2のバンクを含み、
前記バスバーは、前記第1のバンクと第2のバンクとの間に配置される、請求項11に記載の有機半導体デバイス。
【請求項13】
前記パターニングされたウェル画定バンク層は、フォトレジスト材料から形成される、請求項11又は12に記載の有機半導体デバイス。
【請求項14】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの少なくとも1.5倍である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
【請求項15】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの少なくとも2倍である、請求項14に記載の有機半導体デバイス。
【請求項16】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の厚さは、前記第1の電極の厚さの30倍よりも薄い、請求項15に記載の有機半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1の導電材料が、金属、合金又は導電性酸化物である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
【請求項18】
前記第1の電極が反射性であり、前記第2の電極が透明である、請求項11〜17のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1の電極がアノードであり、前記第2の電極がカソードである、請求項11〜18のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
【請求項20】
前記有機半導体材料の層がインクジェットプリント法により形成される、請求項11〜19のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
【請求項21】
前記パターニングされたウェル画定バンク層の下には、前記第1の導電材料が配置されていない、請求項11に記載の有機半導体デバイス。
【請求項22】
前記第1のバンクの下には、前記第1の導電材料が配置されていない、請求項12に記載の有機半導体デバイス。
【請求項23】
前記パターニングされたウェル画定バンク層は、前記第1の導電材料がその内部に配置されて前記第1の電極を形成する領域を画定する、請求項11〜22のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。

【図1】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−503792(P2011−503792A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532653(P2010−532653)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003742
【国際公開番号】WO2009/060196
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】