説明

バックアップシステム、バックアップ方法及びバックアッププログラム

【課題】バックアップにかかるリソースを極力削減する。
【解決手段】ファイル管理サーバ10を用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアント30−1〜30−nが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップシステムであって、クライアント30−1〜30−n側がデータをポストするタイミングでクライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nへのデータのバックアップを実行するクライアントデータ格納手段32−1〜32−nと、ファイル管理サーバ10側の記憶域であるデータ格納領域14を、バックアップデータのコピーの保存先とするデータ格納手段22と、クライアント30−1〜30−nで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するリストア管理手段25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアントのデータを記録しておくためのバックアップシステム、バックアップ方法及びバックアッププログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバックアップシステムの一例が、非特許文献1に記載されている。このバックアップシステムは、大きくバックアップ装置と保護対象となるサーバから構成されている。バックアップ装置は、バックアップカタログ管理手段とカタログ情報記録装置とデータ格納手段とデータを格納する記憶域から構成される。保護対象となるサーバは、ファイルの変更点を検知する手段と更新されたデータをバックアップ装置に転送する手段から構成される。
【0003】
このような構成を有するバックアップシステムは、保護対象となるサーバ側で変更点を検知し、更新されたデータをバックアップ装置に送信する。そして、バックアップ装置側で受信したデータは、バックアップカタログ管理手段にファイル情報を送信し、データ格納手段により記憶域にデータを送信してバックアップを実行する。
【0004】
また、バックアップの方式として、特許文献1には、データをクライアント側に一時的に記録して最終的にバックアップサーバにデータを送ることで処理が完了するもの及びローカルデバイス等へのデータライト要求に起因するものが示され、特許文献2には、ローカルコピーを優先して復旧する機能を有するものが示され、さらに、特許文献3には、レプリケーションの機能に相当するものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−129282号公報
【特許文献2】特開2009−230628号公報
【特許文献3】特開平8−272666号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Backup Exec 11d/12.x:Continuous Protection ServerによるWindows(登録商標)ファイルサーバーの継続的な保護,Symantec社 http://www.symantec.com/content/ja/jp/enterprise/white_papers/be11d_wp_cps_j.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の非特許文献1のバックアップシステムでは、以下のような問題があった。
【0008】
バックアップ運用がクライアントの作業と関連付けて管理されていないため、クライアント側の記憶域のデータを、サーバ側においてバックアップしたり、あるいは、サーバ側の記憶域を他の第3の記憶域にバックアップする必要が生じる。このため、バックアップを行う目的で、ネットワークあるいはサーバ側のリソースが個別に必要となる。
【0009】
また、サーバがダウンした場合に復旧するまでサーバに格納されていたデータにアクセスすることができず、しかも、サーバが全てのデータをバックアップ装置に書き出すため、サーバにトラフィックが集中してしまう。しかも、バックアップにかかる時間は、バックアップ対象となるデータ量に依存するため、バックアップを目的としたプロセスを個別に実行して安定的なバックアップ運用を行うことが困難となる場合もある。
【0010】
特許文献1に記載の技術は、一つの方式がバックアップ装置にデータを送ることで処理を完了させるものであり、また、他の方式がローカルデバイス等へのデータライト要求に起因するものであり、よって、いずれの方式もサーバ側のリソースの削減を図ることは困難である。また、特許文献2及び3は、いずれもバックアップデータを保持するものではなく、よって、バックアップ運用時のサーバやネットワークのリソースの削減技術とは関連しないものである。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、バックアップにかかるリソースを極力削減することが可能なバックアップシステム、バックアップ方法及びバックアッププログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のバックアップシステムは、ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップシステムであって、前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するクライアントデータ格納手段と、前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするデータ格納手段と、前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するバックアップ管理手段と、を備える。
【0013】
また、本発明のバックアップシステムは、前記バックアップ管理手段が、前記クライアントからのリストア要求で更新者が連続して同一のアカウントである場合に限り、更新履歴を遡ってリストアするファイルを選択可能とする。
【0014】
また、本発明のバックアップシステムは、前記ファイル管理サーバに格納されたデータを読み込む際、最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求であった場合に前記クライアントの記憶域からデータの読み込みを実施するデータ参照手段を備える。
【0015】
また、本発明のバックアップシステムは、前記クライアント側に格納されたバックアップデータが、元ファイルとは別の場所(クライアント側)にリストア可能である。
【0016】
また、本発明のバックアップシステムは、参照対象となるデータが前記クライアント側に格納されている場合には、当該クライアント側のバックアップデータが参照可能である。
【0017】
本発明のバックアップ方法は、ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップ方法であって、前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するステップと、前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするステップと、前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するステップと、を有する。
【0018】
本発明のバックアッププログラムは、情報処理装置に、データをポストするタイミングで記憶域へのデータのバックアップを実行する処理と、ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とする処理と、更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバックアップシステム、バックアップ方法及びバックアッププログラムによれば、例えば、更新頻度が低い環境では、クライアント側の記憶域だけにデータをバックアップさせることにより、バックアップにかかるリソースを削減することができる。また、クライアント側にデータが存在する場合にはクライアント側のデータを読み出して参照することで、ファイル管理サーバやネットワークの必要リソースを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るバックアップシステムを示すブロック図である。
【図2】バックアップカタログ管理手段の処理を示すフローチャートである。
【図3】データ格納手段の処理を示すフローチャートである。
【図4】データ履歴管理手段の処理を示すフローチャートである。
【図5】データ参照手段の処理を示すフローチャートである。
【図6】リストア管理手段の処理を示すフローチャートである。
【図7】クライアントバックアップカタログ管理手段の処理を示すフローチャートである。
【図8】クライアントデータ格納手段の処理を示すフローチャートである。
【図9】クライアント監視手段の処理を示すフローチャートである。
【図10】クライアントデータ参照手段の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明のバックアップシステムの構成を示している。バックアップシステムは、ファイル管理サーバ10と、n台(nは2以上の整数)のクライアント30−1〜30−nと、外部バックアップ装置40とを有する。ファイル管理サーバ10及びクライアント30−1〜30−nには、プログラム実行により所定の機能を実現するコンピュータシステムを用いることができる。バックアップシステムは、オフィスや事業場内等の、多数のコンピュータ(PC)が存在する環境や、シンクライアント環境でのバックアップの用途に適用できる。また、ファイル管理サーバ10を遠隔地に置くことで遠隔地ディザスタリカバリにも適用できる。
【0022】
ファイル管理サーバ10は、バックアップを制御する機能を持つサーバである。ファイル管理サーバ10とクライアント30−1〜30−nとは、ネットワークを介して接続されており、相互に通信が可能である。
【0023】
ファイル管理サーバ10は、データ履歴管理装置11、カタログ情報記録装置12、クライアント記録装置13、データ格納領域14、世代データ格納領域15を持ち、バックアップカタログ管理手段21、データ格納手段22、データ履歴管理手段23、データ参照手段24、リストア管理手段(バックアップ管理手段)25を含む。
【0024】
データ履歴管理装置11は、ファイルの更新履歴を管理する。カタログ情報記録装置12は、ファイルのカタログ情報を記録する。クライアント記録装置13は、クライアントのカタログを記録する。データ格納領域14は、データ自身を格納する。世代データ格納領域15は、上書きされるデータを待避して格納する。
【0025】
なお、カタログ情報は、ファイル名、パス、及び、ファイル内容を示すハッシュ値を含む。また、カタログ情報は、ファイルがオリジナルであるか、他のクライアントのバックアップであるかを示す情報と、単独ファイルであるか重複ファイルであるかを示す情報とを含む。
【0026】
クライアント(情報処理装置)30−1〜30−nは、それぞれクライアントバックアップカタログ管理手段31−1〜31−n、クライアントデータ格納手段32−1〜32−n、クライアント監視手段33−1〜33−n、クライアントデータ参照手段34−1〜34−nを有する。また、それぞれのクライアント30−1〜30−nは、記憶域35−1〜35−n及びクライアントカタログ情報記録装置36−1〜36−nを有する。記憶域35−1〜35−nは、ファイル管理サーバ10にファイルを格納する際に同一のデータをバックアップして保存する領域である。クライアントカタログ情報記録装置36−1〜36−nは、記憶域35−1〜35−nに格納したデータのカタログ情報を記録する。
【0027】
クライアントデータ格納手段32−1〜32−nによりファイル管理サーバ10にクライアント30−1〜30−n側からデータが格納されると、それと同じくして記憶域35−1〜35−nにもデータが格納される。記憶域35−1〜35−nに格納されたデータのカタログ情報は、クライアントバックアップカタログ管理手段31−1〜31−nによりクライアントカタログ情報記録装置36−1〜36−nに格納される。クライアント監視手段33−1〜33−nは、クライアント30−1〜30−nのカタログ情報をファイル管理サーバ10に通知する機能を持ち、クライアント記録装置13に状態を記録できる。また、各クライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nに記録されたデータは、クライアントデータ参照手段34−1〜34−nにより、各々のクライアント30−1〜30−nでのみ参照することができる。
【0028】
次に、上記のバックアップシステムにおける各手段での処理について、図2〜図10に示すフローチャートに沿って説明する。
【0029】
(バックアップカタログ管理手段)
図2はバックアップカタログ管理手段の処理を示すフローチャートである。バックアップカタログ管理手段21は、データ格納手段22からデータを入力し(ステップS101)、データ格納領域14に存在するファイル名とパス名の一覧を収集し(ステップS102)、カタログ情報を生成してカタログ情報記録装置12にカタログ情報を記録させる(ステップS103)。
【0030】
また、バックアップカタログ管理手段21は、クライアント監視手段33−1〜33−nからデータを入力し(ステップS104)、クライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nに存在するカタログ情報を収集し(ステップS105)、クライアント30−1〜30−nのカタログ情報をカタログ情報記録装置12に記録させる(ステップS106)。
【0031】
(データ格納手段)
図3はデータ格納手段の処理を示すフローチャートである。データ格納手段22は、クライアント30−1〜30−n側からのファイル書き込み要求を検知し(ステップS201)、ファイルの上書き要求の発生の有無を判定する(ステップS202)。ここで、ファイルの上書き要求が発生した場合は(ステップS202:Yes)、上書き対象のファイルを世代データ格納領域15に格納し、データ履歴管理手段23との紐付けを行う(ステップS203)。そして、このファイルの上書きを実施する(ステップS204)。
【0032】
ファイルの上書きを実施した後、そのファイルのファイル名、パス、更新日時などのメタ情報を収集し(ステップS205)、バックアップカタログ管理手段21にカタログ情報を入力して受け渡し(ステップS206)、また、データ履歴管理手段23にカタログ情報を入力して受け渡す(ステップS207)。
【0033】
なお、ファイルの上書き要求が発生していない場合は(ステップS202:No)、ファイルを上書きせずに、メタ情報を収集し(ステップS205)、バックアップカタログ管理手段21及びデータ履歴管理手段23へのカタログ情報の受け渡しを行う(ステップS206、S207)。
【0034】
(データ履歴管理手段)
図4はデータ履歴管理手段の処理を示すフローチャートである。データ履歴管理手段23は、データ格納手段22で世代データ格納領域15にデータが移動されてファイルが上書きされたことを検知すると、世代データ格納領域15にあるデータの世代の管理を行う(ステップS301)。
【0035】
世代データ格納領域15のデータの世代管理では、同一パス、同一ファイル名のデータ履歴の有無を判定する(ステップS302)。この同一パス、同一ファイル名のデータ履歴の有無の判定において、同一パス、同一ファイル名のデータ履歴が存在しない場合は(ステップS302:No)、世代データ格納領域15に移動するデータを1世代目のデータとして、データ履歴管理装置11へ新規に記録する(ステップS303)。
【0036】
同一パス、同一ファイル名のデータ履歴の有無の判定において、同一パス、同一ファイル名のデータ履歴が存在する場合は(ステップS302:Yes)、世代データ格納領域15に移動するデータを履歴数n+1世代目のデータとして、データ履歴管理装置11へ記録する(ステップS304)。
【0037】
(データ参照手段)
図5はデータ参照手段の処理を示すフローチャートである。データ参照手段24は、クライアント30−1〜30−n側からのファイル読み込み要求を検知すると(ステップS401)、ファイル管理サーバ10に格納されたデータを読み込む際、ファイル読み込み要求が最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求であったか否かを判定する(ステップS402)。
【0038】
この判定において、ファイル読み込み要求が最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求であると判定すると(ステップS402:Yes)、クライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nからのデータの読み込みを実施する(ステップS403)。また、上記判定において、ファイル読み込み要求が最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求でないと判定すると(ステップS402:No)、要求のあったファイルの読み込みを実施する(ステップS404)。
【0039】
(リストア管理手段)
図6はリストア管理手段の処理を示すフローチャートである。リストア管理手段(バックアップ管理手段)25は、リストアの要求を検知すると(ステップS501)、リストアの要求が発生した際に、そのリストア要求者が管理者であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0040】
ここで、リストア要求者が管理者である場合は(ステップS502:Yes)、無条件にリストア処理を行う(ステップS503)。なお、このリストア処理では、リストア要求のあったファイルが現在n世代目の場合、n+1世代目としてデータをリストアする。
【0041】
リストア要求者の判定において、そのリストア要求者が管理者でない場合(ステップS502:No)、つまり、リストアがクライアント30−1〜30−nからの要求である場合は、そのリストア要求者が最終更新者と一致するか否かを判定する(ステップS504)。この判定において、リストア要求者が最終更新者と一致しない場合(ステップS504:No)、リストアの要求を拒否する(ステップS505)。
【0042】
上記の判定において、リストア要求者が最終更新者と一致する場合(ステップS504:Yes)、そのリストア要求が、最終更新者が更新した範囲内の要求であるか、すなわち、更新者が連続して同一のアカウントであるか否かを判定する(ステップS506)、この判定において、最終更新者が更新した範囲内の要求でない場合(ステップS506:No)、リストアの要求を拒否する(ステップS507)。
【0043】
上記の判定において、最終更新者が更新した範囲内の要求である場合(ステップS506:Yes)、リストア処理を行う(ステップS508)。このリストア処理では、リストア要求のあったファイルが現在n世代目の場合、n+1世代目としてデータをリストアする。
【0044】
このように、リストア管理手段25では、リストア要求がクライアント30−1〜30−nからの要求であるとき、そのリストア要求者が最終更新者と一致する場合に限りリストア処理を行う。
【0045】
また、リストア管理手段25のリストア処理では、クライアント30−1〜30−nからのリストア要求の場合において、更新者が連続して同一のアカウントである場合に限り、履歴を遡ってリストアするファイルを選択することができる。例えば、アカウントAのユーザがA, B, A, Aのアカウントで順に更新されたファイルをリストアする場合、2世代遡ったデータを選択することができる。なお、リストア処理は、外部バックアップ装置40からも実行することも可能である。
【0046】
(クライアントバックアップカタログ管理手段)
図7はクライアントバックアップカタログ管理手段の処理を示すフローチャートである。クライアントバックアップカタログ管理手段31−1〜31−nは、クライアントデータ格納手段32−1〜32−nからデータを入力し(ステップS601)、記憶域35−1〜35−nに記録したファイルのカタログ情報を受け取り、ファイル名と、ファイル管理サーバ10側のパス名と履歴を収集し(ステップS602)、クライアントカタログ情報記録装置36−1〜36−nにカタログ情報を記録させる(ステップS603)。
【0047】
(クライアントデータ格納手段)
図8はクライアントデータ格納手段の処理を示すフローチャートである。クライアントデータ格納手段32−1〜32−nは、ファイル管理サーバ10への書き込み要求を検知すると(ステップS701)、記憶域35−1〜35−nに、同一パス、同一ファイル名の履歴の有無を判定する(ステップS702)。この同一パス、同一ファイル名の履歴の有無の判定において、同一パス、同一ファイル名の履歴が存在しない場合は(ステップS702:No)、クライアント30−1〜30−n側の1世代目のデータとして、記憶域35−1〜35−nに同一ファイルを記録する(ステップS703)。
【0048】
同一パス、同一ファイル名の履歴の有無の判定において、同一パス、同一ファイル名のデータ履歴が存在する場合は(ステップS702:Yes)、クライアント30−1〜30−n側の履歴数n+1世代目のデータとして、記憶域35−1〜35−nに同一ファイルを記録する(ステップS704)。
【0049】
記憶域35−1〜35−nに記録した情報は、カタログ情報としてクライアントバックアップカタログ管理手段31−1〜31−n及びクライアント監視手段33−1〜33−nに受け渡す(ステップS705,S706)。
【0050】
(クライアント監視手段)
図9はクライアント監視手段の処理を示すフローチャートである。クライアント監視手段33−1〜33−nは、クライアントデータ格納手段32−1〜32−nからカタログ情報のデータを入力し(ステップS801)、ファイル名と、ファイル管理サーバ10側のパス名と履歴を収集し(ステップS802)、ファイル管理サーバ10のバックアップカタログ管理手段21にカタログ情報を送信する(ステップS803)。
【0051】
(クライアントデータ参照手段)
図10はクライアントデータ参照手段の処理を示すフローチャートである。クライアントデータ参照手段34−1〜34−nは、各クライアント30−1〜30−nのクライアントカタログ情報記録装置36−1〜36−nにあるファイル名と、ファイル管理サーバ10側のパス名と履歴の一覧を収集する(ステップS902)。
【0052】
さらに、収集したファイル一覧により、記憶域35−1〜35−nに格納された任意のファイルをユーザに受け渡す(ステップS903)。これにより、ユーザは、ファイルを参照することができることとなる。
【0053】
このように、上記実施形態では、クライアント30−1〜30−n側がデータをポストするタイミングでクライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nへのデータのバックアップを実行し、ファイル管理サーバ10側の記憶域であるデータ格納領域14を、バックアップデータのコピーの保存先とし、クライアント30−1〜30−nで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてリストアなどのバックアップの管理を行うことができる。
【0054】
これにより、例えば、更新頻度が低い環境では、クライアント30−1〜30−n側の記憶域35−1〜35−nだけにデータをバックアップさせることにより、バックアップにかかるリソースを削減することができる。
【0055】
また、クライアント30−1〜30−n側にデータが存在する場合にはクライアント30−1〜30−n側のデータを読み出して参照することで、ファイル管理サーバ10やネットワークの必要リソースを減らすことができる。
【0056】
つまり、更新頻度に応じてファイル管理サーバ10へのバックアップを実行することができるため、ファイル管理サーバ10に格納されたデータの更新頻度が低い環境では、バックアップにかかるリソースを削減することができる。
【0057】
また、ファイル管理サーバ10などの共有の領域を利用する環境においてはクライアント30−1〜30−nの領域が使われないため、クライアント30−1〜30−nが持つ空き領域をバックアップ領域として有効活用することができる。
【0058】
なお、クライアント30−1〜30−n側の記憶域35−1〜35−nを利用せずにファイル管理サーバ10のデータ格納領域14等の記憶域にデータを保管しても、任意の時点でクライアント30−1〜30−n側にて更新したファイルを参照することができるため、クライアント30−1〜30−n側に一時的にでもファイルを保管する必要がなくなる。これにより、クライアント30−1〜30−n側で保持するデータ量を削減することができる。
【0059】
さらには、ファイル管理サーバ10にあるデータを参照する場合でも、クライアント30−1〜30−n側にデータのファイルが存在すればクライアント30−1〜30−nにおいて参照することができ、これにより、ネットワークのリソースを減らして有効活用することができる。その際、クライアント30−1〜30−n単独でも同一のアカウントで更新した過去のデータを参照することができる。また、各クライアント30−1〜30−nの記憶域35−1〜35−nに記録されたデータは、クライアントデータ参照手段34−1〜34−nにより、各々のクライアント30−1〜30−nでのみ参照することもできる。
【0060】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のバックアップシステム、バックアップ方法及びバックアッププログラムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0061】
最後に、上記の各実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、本発明を以下に限定するものではない。
【0062】
(付記1)ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップシステムであって、前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するクライアントデータ格納手段と、前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするデータ格納手段と、前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するバックアップ管理手段と、を備えるバックアップシステム。
【0063】
(付記2)前記バックアップ管理手段は、前記クライアントからのリストア要求で更新者が連続して同一のアカウントである場合に限り、更新履歴を遡ってリストアするファイルを選択可能とする付記1に記載のバックアップシステム。
【0064】
(付記3)前記ファイル管理サーバに格納されたデータを読み込む際、最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求であった場合に前記クライアントの記憶域からデータの読み込みを実施するデータ参照手段を備える付記1または付記2に記載のバックアップシステム。
【0065】
(付記4)前記クライアント側に格納されたバックアップデータは、元ファイルとは別の場所(クライアント側)にリストア可能である、付記1乃至付記3のいずれかに記載のバックアップシステム。
【0066】
(付記5)参照対象となるデータが前記クライアント側に格納されている場合には、当該クライアント側のバックアップデータが参照可能である、付記1乃至付記4のいずれかに記載のバックアップシステム。
【0067】
(付記6)ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップ方法であって、前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するステップと、前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするステップと、前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するステップと、を有することを特徴とするバックアップ方法。
【0068】
(付記7)情報処理装置に、データをポストするタイミングで記憶域へのデータのバックアップを実行する処理と、ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とする処理と、更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理する処理と、を実行させるバックアッププログラム。
【符号の説明】
【0069】
10:ファイル管理サーバ
14:データ格納領域
22:データ格納手段
24:データ参照手段
25:リストア管理手段(バックアップ管理手段)
30−1〜30−n:クライアント
32−1〜32−n:クライアントデータ格納手段
35−1〜35−n:記憶域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップシステムであって、
前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するクライアントデータ格納手段と、
前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするデータ格納手段と、
前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するバックアップ管理手段と、を備えるバックアップシステム。
【請求項2】
前記バックアップ管理手段は、前記クライアントからのリストア要求で更新者が連続して同一のアカウントである場合に限り、更新履歴を遡ってリストアするファイルを選択可能とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項3】
前記ファイル管理サーバに格納されたデータを読み込む際、最終更新者と同一クライアントかつ同一アカウントからの要求であった場合に前記クライアントの記憶域からデータの読み込みを実施するデータ参照手段を備える請求項1または請求項2に記載のバックアップシステム。
【請求項4】
前記クライアント側に格納されたバックアップデータが、元ファイルとは別の場所にリストア可能である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバックアップシステム。
【請求項5】
参照対象となるデータが前記クライアント側に格納されている場合には、当該クライアント側のバックアップデータが参照可能である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバックアップシステム。
【請求項6】
ファイル管理サーバを用い、ネットワークを介して接続された複数のクライアントが保持するデータのバックアップ管理を行うバックアップ方法であって、
前記クライアント側がデータをポストするタイミングで前記クライアントの記憶域へのデータのバックアップを実行するステップと、
前記ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とするステップと、
前記クライアントで更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理するステップと、を有することを特徴とするバックアップ方法。
【請求項7】
情報処理装置に、
データをポストするタイミングで記憶域へのデータのバックアップを実行する処理と、
ファイル管理サーバ側の記憶域を、バックアップデータのコピーの保存先とする処理と、
更新したデータについて、同一アカウントもしくは管理者等の権限を保持する場合に限り、更新履歴を用いてバックアップを管理する処理と、を実行させるバックアッププログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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