バッテリ充電システム
【課題】外部電力を分配して、車載バッテリの充電と、車載バッテリ以外の負荷への電力の供給とを行なう際に、車載バッテリの充電と負荷への電力供給を良好に行ないながら、車載バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えることを有効に防止することができるバッテリ充電システムを提供すること。
【解決手段】外部電源100から、車載バッテリ4に供給するための電力を、車載バッテリ4が許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限するとともに、負荷5への電力の供給の要求がされた場合には、外部電源100からの供給電力を、バッテリ許容電力に制限したまま、外部電源100からの供給電力を車載バッテリ4および負荷5に分配する。
【解決手段】外部電源100から、車載バッテリ4に供給するための電力を、車載バッテリ4が許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限するとともに、負荷5への電力の供給の要求がされた場合には、外部電源100からの供給電力を、バッテリ許容電力に制限したまま、外部電源100からの供給電力を車載バッテリ4および負荷5に分配する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車に搭載されたバッテリを充電する際に、外部電源からの電力を、バッテリの充電に加えて、空調装置などの各種負荷にも供給することで、バッテリを充電しつつ、充電中に室内温度を調整する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この従来技術では、バッテリの充電の妨げとならないように、基本的には、外部電源により供給可能な電力から、バッテリの充電に必要な電力を除いた余剰電力を用いて、空調装置に電力を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−230441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、バッテリへの電力供給を優先的に行ないながら、余剰電力で空調装置などの各種負荷に電力を供給する場合において、たとえば、余剰電力で駆動させるための空調装置として、PWM制御などによりパルス駆動されるような空調装置を用いた場合、次のような問題を生じることがあった。すなわち、PWM制御などによりパルス駆動されるような空調装置を用いた場合、空調装置により消費される電力はパルス波状に周期的に変化するため、空調装置により消費される電力が、周期的に、空調装置を駆動するための空調駆動用の電力を下回ることとなる。そして、この場合には、空調装置を駆動するための空調駆動用の電力のうち、一部の電力が、空調装置により消費されずに、バッテリが本来必要とする電力に重畳されて、バッテリに供給されてしまい、これにより、バッテリに供給される電力が、バッテリが許容可能な充電電力を上回ってしまい、結果として、バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えてしまうという問題が生じることがあった。
【0005】
また、上記従来技術においては、空調装置の駆動開始時に発生するスパイク電流に対応するために、空調装置の駆動開始時には、一時的に車載バッテリに供給する充電電流を小さくするような構成が開示されているが、上記従来技術では、空調装置の駆動開始時のみ、バッテリに供給する充電電流を小さくしているものの、その後は、バッテリへの電力供給を優先的に行なうような構成であるため、いずれにしても、上述したような問題が生じてしまうこととなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、外部電力を分配して、車載バッテリの充電と、車載バッテリ以外の負荷への電力の供給とを行なう際に、車載バッテリの充電と負荷への電力供給を良好に行ないながら、車載バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えることを有効に防止することができるバッテリ充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外部電源から、車載バッテリに供給するための電力を、車載バッテリが許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限するとともに、負荷への電力の供給の要求がされた場合には、外部電源からの供給電力を、バッテリ許容電力に制限したまま、外部電源からの供給電力を車載バッテリおよび負荷に分配することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載バッテリに充電電力を供給しながら、負荷へ電力を供給する際に、車載バッテリに供給する充電電力と、負荷に供給する電力との合計を、車載バッテリが許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限することができるため、これにより、バッテリの充電および負荷への電力供給を良好に行いながら、バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えることを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態に係るバッテリ充電システムを示す構成図である。
【図2】図2は、PTCヒータ5の消費電力を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される一場面例を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るバッテリ充電処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示す場面例における、バッテリ4のSOCと、外部交流電源100からの供給電力PSUPと、の関係を示すグラフである。
【図6】図6は、図3に示す場面例(空調優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図7】図7は、従来例における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図8】図8は、図3に示す場面例(充電優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される別の場面例を示す図である。
【図10】図10は、図9に示す場面例(空調優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図11】図11は、図9に示す場面例(充電優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るバッテリシステムを示す構成図である。なお、以下においては、本実施形態に係るバッテリ充電システムが、電気車両(ハイブリッド車やEV)用として用いられる場合を例示して説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係るバッテリ充電システム1は、図1に示すように、強電ライン2を介して、互いに電気的に接続された充電装置3、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6およびDC/DCコンバータ7を備えている。また、バッテリ充電システム1は、強電ライン2を介して、外部交流電源100と電気的に接続可能となっている。なお、外部交流電源100は、通常、バッテリ4を充電するために、強電ライン2を介して、バッテリ充電システム1に電気的に接続される。
【0013】
バッテリ4は、たとえば、リチウムイオン二次電池などの二次電池を複数接続してなる組電池であり、図1に示すように、バッテリ4には、バッテリ4を構成する各セルの監視を行なうバッテリコントローラ8が接続されている。
【0014】
バッテリコントローラ8は、周期的に、バッテリ4を構成する各セルの電圧、バッテリ4の総電圧、およびバッテリ4の充放電電流の検出を行い、これらに基づき、バッテリ4のSOC(State of Charge)、バッテリ4の充電上限電圧VU_LIM、およびバッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを算出する。ここで、充電上限電圧VU_LIMは、バッテリ4を充電する際に、上限となる電圧であり、バッテリ4のSOCや、バッテリ4の内部抵抗などから求められる、バッテリ4の劣化を防止するために設定される上限電圧である。このような充電上限電圧VU_LIMとしては、たとえば、バッテリ4を構成する各セル(あるいは、一部のセル)の内部に、リチウムの析出が開始する電圧や、リチウムの析出が開始する電圧よりも所定値低い電圧に設定することができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また、充電許容電力PLIMは、バッテリ4が許容可能な充電電力であり、通常、バッテリ4に充電電力を供給した際に、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えないような電力として設定される。なお、バッテリ4のSOCが上昇すると、バッテリ4の総電圧も上昇するため、バッテリ4の総電圧は、充電上限電圧VU_LIMに近づくこととなる。そのため、充電上限電圧VU_LIMは、一般的に、バッテリ4のSOCが上昇すると、小さくなることとなり、一方、バッテリ4のSOCが低下すると、高くなることとなる。
【0016】
そして、バッテリコントローラ8は、上述した充電許容電力PLIMに基づいて、充電許容電力PLIMの範囲内において、バッテリ4へ供給するための充電電力を設定し、これを要求充電電力PBATとして、充電許容電力PLIMおよびバッテリ4のSOCとともに、システム制御装置10に送信する。
【0017】
また、PTCヒータ5は、強電ライン2を介して、バッテリ4または外部交流電源100から供給される電力により駆動することで、バッテリ充電システム1を備える車両室内に送る空調風を加熱するためのヒータである。このPTCヒータ5は、ヒータ素子の温度上昇に伴い電気抵抗値が増加して消費電力が減少する、いわゆるPTC特性を有する。
【0018】
なお、本実施形態においては、PTCヒータ5は、PWM制御によりパルス駆動する第1のPTCヒータと、一定電力の電力で駆動される第2のPTCヒータと、から構成される。そして、PTCヒータ5は、第1のPTCヒータを駆動するためのパルス波形のデューティ比をコントロールすることにより、単位時間当たりの発熱量を制御でき、これにより、車両室内に送る空調風の温度の調整を可能としている。なお、PTCヒータ5のPWM制御は、後述するシステム制御装置10からの指令に基づいて行なわれる。
【0019】
ここで、図2に、強電ライン2から電力が供給された際における、PTCヒータ5の消費電力を表す図を示す。図2においては、PTCヒータ5に、電力が供給されておらず、OFFとされている状態(時間T0〜T1の状態)から、時間T1において、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が開始され、ONとされている状態(時間T1〜T2の状態)から、時間T2において、電力の供給が停止され、OFFとされた状態を示している。
【0020】
図2に示すように、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が行なわれ、PTCヒータ5がONとされている場合には、第2のPTCヒータの消費電力は、電力P1で一定であるのに対して、第1のPTCヒータは、PWM制御によりパルス駆動するため、一定の周期で、消費電力がP2−P1である状態と、消費電力がゼロである状態とが繰り返されることとなる。そのため、PTCヒータ5全体としては、一定の周期で、消費電力がP2である状態と、消費電力がP2−P1である状態とが繰り返される。すなわち、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して供給される電力P2を全て消費し、余剰電力が発生しない状態と、電力P2のうち、電力P1のみを消費し、余剰電力(P2−P1)が発生する状態とが繰り返されることとなる。
【0021】
コンプレッサ6は、バッテリ充電システム1を備える車両に備えられた空調装置の冷凍サイクル(不図示)の冷媒を圧縮する冷媒圧縮装置であり、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が行なわれることにより駆動する。
【0022】
空調制御アンプ9は、PTCヒータ5およびコンプレッサ6の駆動を制御するための制御装置である。空調制御アンプ9は、たとえば、温度センサ(不図示)により検出された車両室内温度の情報、および車両室内を空調するための目標温度の情報を取得し、これらの情報に基づいて、PTCヒータ5およびコンプレッサ6を駆動させるために必要な駆動電力を設定し、これを要求駆動電力PACとして、システム制御装置10に送信する。
【0023】
DC/DCコンバータ7は、強電ライン2を介して、バッテリ4から供給された電力を変換するための装置であり、DC/DCコンバータ7により変換された電力は、弱電ライン11を介して、弱電補機12に供給されることとなる。
【0024】
充電装置3は、システム制御装置10からの電力供給指令に基づき、外部交流電源100からの電力をAC/DC変換し、変換した電力を、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6に供給する。なお、充電装置3は、車両内に備えられているような構成であってもよいし、あるいは、車両外部に備えられているような構成であってもよい。また、充電装置3は、外部交流電源100と互いに通信することで、外部交流電源100の供給可能電力PMAXの情報を取得し、取得した供給可能電力PMAXの情報を、システム制御装置10に送出する。
【0025】
システム制御装置10は、バッテリコントローラ8、空調制御アンプ9、および充電装置3と、互いに通信することで、バッテリ制御システム1を制御するための制御装置である。システム制御装置10は、バッテリコントローラ8から送信される要求充電電力PBAT、および充電許容電力PLIM、空調制御アンプ9から送信される要求駆動電力PAC、ならびに、充電装置3から送信される外部交流電源100の供給可能電力PMAXに基づいて、外部交流電源100から、バッテリ4、ならびに、空調装置を構成するPTCヒータ5およびコンプレッサ6に供給するための電力を、供給電力PSUPとして設定し、設定した供給電力PSUPを含む電力供給指令を充電装置3に送出する。そして、充電装置3は、システム制御装置10からの電力供給指令に基づき、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6に、供給電力PSUPにて、電力供給を行なうこととなる。
【0026】
また、システム制御装置10は、空調制御アンプ9から送信される要求駆動電力PACを受信している場合には、PTCヒータ5、およびコンプレッサ6の駆動に用いるための電力を、使用許可電力PPERとして算出し、空調制御アンプ9に送出する。そして、空調制御アンプ9は、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPのうち、使用許可電力PPERの範囲内において、PTCヒータ5、およびコンプレッサ6の駆動制御を行う。なお、使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに基づいて、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、システム制御装置10が、空調装置の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するようなモード(空調優先モード)に設定されているか、あるいは、バッテリ4の充電を優先するようなモード(充電優先モード)に設定されているかに応じて、設定される。たとえば、空調優先モードに設定されている場合には、使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに設定することができる。そして、使用許可電力PPERを、要求駆動電力PACに設定することにより、優先的に空調装置を駆動することができる。
【0027】
なお、システム制御装置10は、車両内に備えられているような構成であってもよいし、あるいは、車両外部に備えられているような構成であってもよい。
【0028】
次いで、本実施形態のバッテリ充電処理について、説明する。
以下においては、本実施形態のバッテリ充電処理を、図3に示す場面例に適用した場合を例示して、説明する。ここで、図3は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される一場面例を示す図であり、図4は、本実施形態に係るバッテリ充電処理の一例を示すフローチャートである。
【0029】
図3に示す場面例においては、出発予定時刻である時間T13までに、バッテリ4を満充電状態とするとともに、空調装置としてのPTCヒータ5を駆動させることにより、車両室内の温度を目標温度に設定する場面を示している。具体的には、図3に示す場面例においては、まず、時間T10において、外部交流電源100からの電力により、バッテリ4の充電を開始する。そして、バッテリ4が満充電付近の状態となるまでバッテリ4の充電を行なった後、時間T11において、バッテリ4の充電を継続しながら、PTCヒータ5の駆動を開始し、バッテリ4を充電しながら、PTCヒータ5の駆動を行なう。そして、車両室内の温度を目標温度まで上昇させた後、時間T12において、PTCヒータ5の駆動を停止し、次いで、出発予定時刻である時間T13まで、バッテリ4の充電を継続することにより、バッテリ4を満充電としている。
【0030】
なお、図3に示す場面例においては、PTCヒータ5の駆動を開始する時間T11においては、バッテリ4は満充電付近の状態にあるため、時間T11においては、バッテリ4のSOCは、所定値SOC0(所定値SOC0については、後述する。)以上となることとなる。
【0031】
以下、具体的なバッテリ充電処理について、図4に示すフローチャートに沿って、説明する。なお、以下の処理は、図1に示すシステム制御装置10により実行される。
【0032】
まず、ステップS1では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8から、バッテリ4に充電電力を供給するための充電電力供給要求がなされたか否かの判断が行なわれる。充電電力供給要求がされたと判断した場合には、ステップS2に進む。一方、充電電力供給要求がされていないと判断した場合には、ステップS1を繰り返す。なお、充電電力供給要求がなされたか否かの判断は、バッテリコントローラ8から、要求充電電力PBATが送信されたか否かにより行なうことができる。
【0033】
ステップS2では、システム制御装置10により、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたか否かの判断が行なわれる。駆動電力供給要求がされていないと判断した場合には、ステップS3に進む。一方、駆動電力供給要求がされたと判断した場合には、ステップS8に進む。なお、駆動電力供給要求がなされたか否かの判断は、空調制御アンプ9から、要求駆動電力PACが送信されたか否かにより行うことができる。
【0034】
ステップS3では、システム制御装置10により、充電装置3から外部交流電源100の供給可能電力PMAXの取得が行なわれる。
【0035】
ステップS4では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8により算出されたバッテリ4のSOCの取得が行なわれ、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であるか否かの判断が行なわれる。バッテリ4のSOCが所定値SOC0未満であると判断された場合には、ステップS5に進む。一方、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、ステップS8に進む。なお、本実施形態においては、所定値SOC0としては、バッテリ4の状態が満充電付近にあると判断できるような値を設定する。
【0036】
ステップS5では、システム制御装置10により、ステップS1で取得した要求充電電力PBATが、ステップS4で取得した供給可能電力PMAX以上であるか否かの判断が行なわれる。要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX以上である場合には、ステップS6に進み、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX未満である場合には、ステップS7に進む。
【0037】
ステップS6では、ステップS5において、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX以上であると判断されたため、システム制御装置10により、外部交流電源100からの供給電力PSUPが、外部交流電源100が供給可能な電力である供給可能電力PMAXに設定される。
【0038】
一方、ステップS7では、ステップS5において、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX未満であると判断されたため、システム制御装置10により、外部交流電源100からの供給電力PSUPが、バッテリコントローラ8からの要求充電電力PBATに設定される。
【0039】
一方、ステップS2において、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたと判断された場合、または、ステップS4において、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、ステップS8に進む。ステップS8では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8により算出されたバッテリ4の充電許容電力PLIMの取得が行なわれる。なお、充電許容電力PLIMは、上述したように、バッテリ4が許容可能な充電電力であり、バッテリコントローラ8により、バッテリ4のSOCや、バッテリ4の内部抵抗などから、周期的に算出されている。
【0040】
ステップS9では、システム制御装置10により、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPが、ステップS8で取得された充電許容電力PLIMに設定される。本実施形態においては、ステップS4において、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、バッテリ4が満充電付近にあり、そのため、比較的大きな電力で充電を行なうと、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えるおそれがあるため、このような場合には、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPを、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMに制限する。そして、本実施形態によれば、供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限することにより、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができる。
【0041】
また、図3に示す場面例においては、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がされる場合(ステップS2=Yesとなる場合)、すなわち、PTCヒータ5の駆動を行なう際には、バッテリ4は満充電付近の状態にあるため、バッテリ4のSOCは、所定値SOC0以上となる。そのため、本実施形態においては、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がされる場合(ステップS2=Yesとなる場合)においても、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPを、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMに制限する。
【0042】
ステップS10では、ステップS6、S7またはS9で設定された供給電力PSUPが、システム制御装置10から、充電器3に送出され、これにより、外部交流電源100から供給電力PSUPにて電力供給が行なわれる。なお、本実施形態においては、ステップS2において、空調制御アンプ9から、駆動電力供給要求がされていない場合には、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれる。
【0043】
一方、ステップS2において、空調制御アンプ9から、駆動電力供給要求がされている場合には、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、バッテリ4に加えて、PTCヒータ5に供給される。この場合においては、上述したように、システム制御装置10は、使用許可電力PPERを算出し、使用許可電力PPERを空調制御アンプ9に送出することで、PTCヒータ5が、使用許可電力PPERの範囲内で駆動し、外部交流電源100からの供給電力PSUPのうち、残りの電力が、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれることとなる。
【0044】
そして、ステップS1に戻り、上述したステップS1〜S10の処理が繰り返される。
【0045】
次いで、上述したバッテリ充電処理により、図3に示す場面例のように、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を行なった際における動作について、詳細に説明する。ここで、図5は、図3に示す場面例における、バッテリ4のSOCと、外部交流電源100からの供給電力PSUPと、の関係を示すグラフである。なお、以下においては、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、システム制御装置10が、空調装置の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するようなモード(空調優先モード)が設定されている場合を例示して、説明を行なう。
【0046】
まず、図3に示す場面例においては、時間T10において、バッテリコントローラ8から、システム制御装置10に、要求充電電力PBATの送信が開始されることにより、上述したステップS1〜S7、ステップS10を繰り返すことにより、外部交流電源100からの供給電力PSUPがバッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれていくこととなる。そして、図5に示すように、バッテリ4の充電に伴い、バッテリ4のSOCが上昇していく。また、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMは、バッテリ4のSOCの上昇に伴い、小さくなっていく。なお、この場合において、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、上述したように、供給可能電力PMAX(ステップS6)、または要求充電電力PBAT(ステップS7)に設定される。
【0047】
そして、バッテリ4のSOCが上昇していき、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となると(ステップS4=Yes)、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに設定され(ステップS9)、上述したステップS1〜S4、ステップS8〜S10を繰り返すことにより、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が行なわれていくこととなる。なお、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となった時間をTAとする。
【0048】
そして、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となった時間TAから、時間T11となるまで、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が行なわれ、その後、時間T11において、空調制御アンプ9から、システム制御装置10に、要求駆動電力PACの送信が開始されることとなる。そして、この場合には、上述したステップS2において、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたと判定され、ステップS9において、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに設定されることとなる。すなわち、駆動電力供給要求がなされても、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに維持されることとなる。そして、時間T11〜時間T12の間において、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電、およびPTCヒータ5の駆動が行なわれることとなる。
【0049】
そして、車両室内の温度が目標温度に到達した後、時間T12において、PTCヒータ5の駆動が停止され、次いで、出発予定時刻である時間T13まで、上述したステップS1〜S4、ステップS8〜S10を繰り返すことにより、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が継続されることにより、バッテリ4が満充電とされる。
【0050】
ここで、図6は、時間TA〜時間T12における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。なお、図6においては、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力とを、積み上げて表示している。たとえば、時間TBにおいては、外部交流電源100からバッテリ4に、充電電力として、PLIMが供給されている状態を示している。また、時間TCにおいては、外部交流電源100からバッテリ4に、充電電力として、PAが供給され、かつ、外部交流電源100からPTCヒータ5に、駆動電力として、PLIM−PAが供給されている状態を示している。さらに、時間TDにおいては、外部交流電源100およびバッテリ4から、駆動電力として、PLIM+|PB|が供給されている状態を示している。すなわち、時間TDにおいては、バッテリ4は、放電状態となっていることを示している。また、図6においては、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、空調優先モードに設定されている例を示しており、そのため、PTCヒータ5の駆動するための使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに設定されている。
【0051】
図6に示すように、本実施形態では、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)においては、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定し、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPは、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれる。
【0052】
そして、本実施形態では、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)に引き続いて、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとして、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、バッテリ4と、PTCヒータ5とに供給する。そして、図6に示すように、PTCヒータ5は、PWM制御によりパルス駆動する第1のPTCヒータと、一定電力の電力で駆動される第2のPTCヒータと、から構成されるものであるため、時間T11〜時間T12における、PTCヒータ5の駆動電力は、一定の周期で変化することとなる。また、これに伴い、バッテリ4の充電電力も、変化することとなり、PTCヒータ5の駆動電力が最大となっている部分においては、バッテリ4は放電状態となっている。
【0053】
そして、本実施形態では、このように時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとすることで、時間T11〜時間T12において、バッテリ4の充電電力は、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保つことができ、その結果として、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができ、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えることにより引き起こされるバッテリ4の劣化を防止することができる。なお、図6においては、説明を簡略化するために、PTCヒータ5のパルス波については模式的に示しているが、パルス波の波形、デューティ比、周波数は、図6に示すようなものに限定されるものではない。
【0054】
その一方で、図7に示す従来技術のように、PTCヒータをONする際に、PTCヒータ5を駆動するための要求駆動電力PACに応じて、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを上げた場合には、PTCヒータ5の駆動電力が最小となるタイミング(たとえば、時間TE)において、バッテリ4に供給される充電電力が、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを超えてしまうこととなる。そして、その結果として、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまい、バッテリ4が劣化してしまうこととなる。
【0055】
加えて、図7に示す従来技術においては、時間T12において、PTCヒータをOFFとした際に、PTCヒータ5に供給されていた電力が、バッテリ4に供給されてしまい、この場合においても、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを超えてしまうこととなる。そして、この場合においても、同様に、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまい、バッテリ4が劣化してしまうこととなる。
【0056】
これに対して、本実施形態によれば、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとすることにより、これらの問題を有効に解決できるものである。
【0057】
なお、図6に示すように、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においては、PTCヒータ5の駆動電力が最大となっている部分(たとえば、時間TD)においては、バッテリ4は放電状態となるため、SOCが低下してしまう場合も考えられる。特に、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、空調優先モードに設定されている場合には、そのような可能性が高くなると考えられる。しかし、その一方で、上述したように、充電許容電力PLIMは、SOCが低下すると高くなるような関係にあるため、バッテリコントローラ8により、SOCが低下した場合には、充電許容電力PLIMが高くなるように変更される。そのため、バッテリ4のSOCが低下しても、充電許容電力PLIMが高くなるように変更され、それに伴い、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPも上がるため、そのような場合でも、バッテリ4のSOCを維持することができる。そのため、図5に示すように、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、バッテリ4のSOCは維持されることとなる。なお、図5においては、時間T11〜時間T12においては、バッテリ4のSOCおよび外部交流電源100からの供給電力PSUPが一定であるように示したが、実際には、「SOCの低下→充電許容電力PLIM(供給電力PSUP)の上昇→SOCの上昇→充電許容電力PLIM(供給電力PSUP)の低下→SOCの低下→・・・」を繰り返すことにより、一定の周期で、若干上下することとなる。
【0058】
本実施形態においては、上述したように、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限している状態で、バッテリ4の充電を行なっている状態において、PWM制御によりパルス駆動するPTCヒータ5を駆動するための駆動要求がされた場合に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したまま、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を行なう。そして、本実施形態によれば、PTCヒータ5を駆動するための駆動要求がされた場合に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、図6に示すように、バッテリ4の充電電力が、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保ちながら、PTCヒータ5の駆動を行うことができる。そして、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を良好に行ないながら、その結果として、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができ、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えることにより引き起こされるバッテリ4の劣化を防止することができる。
【0059】
加えて、本実施形態によれば、PTCヒータ5やその他の強電補機を駆動を行なう際にバッテリ4に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、PTCヒータ5をOFFとした場合に、PTCヒータ5の駆動に使用されていた電力が、バッテリ4に供給されることとなった場合でも、バッテリ4に供給される電力が、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止することもできる。さらに、PTCヒータ5のようなパルス駆動する補機の故障などにより、負荷への電力供給が遮断された場合においても、同様に、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止することもできる。
【0060】
なお、上述した実施形態において、強電ライン2は本発明の強電ラインに、バッテリ4は本発明の車載バッテリに、PTCヒータ5は本発明の負荷に、バッテリコントローラ8は本発明の算出手段およびバッテリ電力要求手段に、空調制御アンプ9は本発明の負荷電力要求手段に、システム制御装置10は本発明の制御手段に、それぞれ相当する。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0062】
たとえば、上述した実施形態では、PTCヒータ5の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するような設定(空調優先モード)がされており、そのため、PTCヒータ5を駆動するための使用許可電力PPERを、要求駆動電力PACに設定するような例を示したが、たとえば、PTCヒータ5の駆動よりもバッテリ4の充電を優先するような設定(充電優先モード)がされている場合には、図8に示すように、使用許可電力PPERを、PTCヒータ5のパルス駆動時の供給電力の最大値PTOPが、充電許容電力PLIMよりも小さくなるような値に設定することができる。PTCヒータ5を駆動するための使用許可電力PPERを、このように設定することにより、PTCヒータ5の駆動に優先して、バッテリ4の充電を行なうことが可能となり、バッテリ4の充電時間を短縮することができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、本実施形態に係るバッテリ充電処理を、図3に示す場面例に適用した場合を例示したが、図3に示すような場面に特に限定されず、たとえば、本実施形態に係るバッテリ充電処理は、図9に示す場面例に適用することもできる。なお、図9に示す場面例は、まず、時間T20において、外部交流電源100からの電力により、バッテリ4の充電を開始し、時間T21において、バッテリ4が満充電となったため、バッテリ4の充電を終了し、その後、出発時刻である時間T23よりも所定時間前の時間T22において、PTCヒータ5の駆動を開始し、出発時刻である時間T23まで、PTCヒータ5の駆動を継続している。
【0064】
そして、図9に示すような場面例のようにバッテリ4の充電が行なわれていない場合でも、上述した実施形態と同様に、図10、図11に示すように、時間T22〜時間T23(PTCヒータON時)においては、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定して(供給電力PSUPを充電許容電力PLIMに制限したまま)、PTCヒータ5の駆動を行なう。なお、図10は、空調優先モードにおける、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図であり、図11は、充電優先モードにおける、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。なお、図10、図11においては、図6の場合と比較して、バッテリ4は、より満充電に近い状態となっているため、図6の場合と比較して、充電許容電力PLIMが小さいものとなっている。
【0065】
また、上述した実施形態では、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとするような構成を例示したが、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに代えて、次のようにして算出された所定の電力PCULCを用いてもよい。
なお、所定の電力PCULCは、システム制御装置10により、次の方法により算出される。
【0066】
すなわち、まず、システム制御装置10は、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5を駆動するための要求駆動電力PACを受信し、要求駆動電力PACに基づいて、PTCヒータ5を駆動した場合における、PTCヒータ5のパルス駆動時の消費電力の最小値PBOT(図8参照)を算出し、これを最小駆動電力PMINとして設定する。
【0067】
次いで、システム制御装置10は、充電装置3から、供給可能電力PMAXを、また、バッテリコントローラ8から、要求充電電力PBATを取得し、これらの差を求めることで、余剰電力PRESを算出する。
【0068】
そして、システム制御装置10は、余剰電力PRESの範囲内であり、かつ、上記にて設定した最小駆動電力PMIN以下の電力を、駆動目標電力PTARとして算出し、算出した駆動目標電力PTARと、バッテリ許容電力PLIMと、を合計することで、所定の電力PCULCは、算出される。
【0069】
バッテリ4の充電を行ないながら、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給する電力を、上記のようにして算出される所定の電力PCULCとすることにより、PTCヒータ5の駆動による、バッテリ4へ供給される充電電力の減少量を抑えながら、バッテリ4の充電電力が、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保つことができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、負荷として、PTCヒータ5を例示して説明したが、PTCヒータ5に特に限定されず、PTCヒータ5以外のパルス駆動される補機、あるいはその他の各種負荷を用いた場合でも同様な構成とすることができるのはもちろんである。このようにパルス駆動される補機以外の負荷を使用した場合においても、上述した実施形態と同様に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、たとえば、このような負荷の故障などにより、負荷への電力供給が遮断された場合に、負荷の駆動に使用されていた電力が、バッテリ4に供給されることとなった場合でも、バッテリ4に供給される電力が、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止できるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…バッテリ充電システム
2…強電ライン
3…充電装置
4…バッテリ
5…PTCヒータ
8…バッテリコントローラ
9…空調制御アンプ
10…システム制御装置
100…外部交流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車に搭載されたバッテリを充電する際に、外部電源からの電力を、バッテリの充電に加えて、空調装置などの各種負荷にも供給することで、バッテリを充電しつつ、充電中に室内温度を調整する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この従来技術では、バッテリの充電の妨げとならないように、基本的には、外部電源により供給可能な電力から、バッテリの充電に必要な電力を除いた余剰電力を用いて、空調装置に電力を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−230441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、バッテリへの電力供給を優先的に行ないながら、余剰電力で空調装置などの各種負荷に電力を供給する場合において、たとえば、余剰電力で駆動させるための空調装置として、PWM制御などによりパルス駆動されるような空調装置を用いた場合、次のような問題を生じることがあった。すなわち、PWM制御などによりパルス駆動されるような空調装置を用いた場合、空調装置により消費される電力はパルス波状に周期的に変化するため、空調装置により消費される電力が、周期的に、空調装置を駆動するための空調駆動用の電力を下回ることとなる。そして、この場合には、空調装置を駆動するための空調駆動用の電力のうち、一部の電力が、空調装置により消費されずに、バッテリが本来必要とする電力に重畳されて、バッテリに供給されてしまい、これにより、バッテリに供給される電力が、バッテリが許容可能な充電電力を上回ってしまい、結果として、バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えてしまうという問題が生じることがあった。
【0005】
また、上記従来技術においては、空調装置の駆動開始時に発生するスパイク電流に対応するために、空調装置の駆動開始時には、一時的に車載バッテリに供給する充電電流を小さくするような構成が開示されているが、上記従来技術では、空調装置の駆動開始時のみ、バッテリに供給する充電電流を小さくしているものの、その後は、バッテリへの電力供給を優先的に行なうような構成であるため、いずれにしても、上述したような問題が生じてしまうこととなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、外部電力を分配して、車載バッテリの充電と、車載バッテリ以外の負荷への電力の供給とを行なう際に、車載バッテリの充電と負荷への電力供給を良好に行ないながら、車載バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えることを有効に防止することができるバッテリ充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外部電源から、車載バッテリに供給するための電力を、車載バッテリが許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限するとともに、負荷への電力の供給の要求がされた場合には、外部電源からの供給電力を、バッテリ許容電力に制限したまま、外部電源からの供給電力を車載バッテリおよび負荷に分配することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載バッテリに充電電力を供給しながら、負荷へ電力を供給する際に、車載バッテリに供給する充電電力と、負荷に供給する電力との合計を、車載バッテリが許容可能な充電電力であるバッテリ許容電力に制限することができるため、これにより、バッテリの充電および負荷への電力供給を良好に行いながら、バッテリの電圧が、所定の上限電圧を超えることを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態に係るバッテリ充電システムを示す構成図である。
【図2】図2は、PTCヒータ5の消費電力を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される一場面例を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るバッテリ充電処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示す場面例における、バッテリ4のSOCと、外部交流電源100からの供給電力PSUPと、の関係を示すグラフである。
【図6】図6は、図3に示す場面例(空調優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図7】図7は、従来例における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図8】図8は、図3に示す場面例(充電優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される別の場面例を示す図である。
【図10】図10は、図9に示す場面例(空調優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【図11】図11は、図9に示す場面例(充電優先モード)における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るバッテリシステムを示す構成図である。なお、以下においては、本実施形態に係るバッテリ充電システムが、電気車両(ハイブリッド車やEV)用として用いられる場合を例示して説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係るバッテリ充電システム1は、図1に示すように、強電ライン2を介して、互いに電気的に接続された充電装置3、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6およびDC/DCコンバータ7を備えている。また、バッテリ充電システム1は、強電ライン2を介して、外部交流電源100と電気的に接続可能となっている。なお、外部交流電源100は、通常、バッテリ4を充電するために、強電ライン2を介して、バッテリ充電システム1に電気的に接続される。
【0013】
バッテリ4は、たとえば、リチウムイオン二次電池などの二次電池を複数接続してなる組電池であり、図1に示すように、バッテリ4には、バッテリ4を構成する各セルの監視を行なうバッテリコントローラ8が接続されている。
【0014】
バッテリコントローラ8は、周期的に、バッテリ4を構成する各セルの電圧、バッテリ4の総電圧、およびバッテリ4の充放電電流の検出を行い、これらに基づき、バッテリ4のSOC(State of Charge)、バッテリ4の充電上限電圧VU_LIM、およびバッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを算出する。ここで、充電上限電圧VU_LIMは、バッテリ4を充電する際に、上限となる電圧であり、バッテリ4のSOCや、バッテリ4の内部抵抗などから求められる、バッテリ4の劣化を防止するために設定される上限電圧である。このような充電上限電圧VU_LIMとしては、たとえば、バッテリ4を構成する各セル(あるいは、一部のセル)の内部に、リチウムの析出が開始する電圧や、リチウムの析出が開始する電圧よりも所定値低い電圧に設定することができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また、充電許容電力PLIMは、バッテリ4が許容可能な充電電力であり、通常、バッテリ4に充電電力を供給した際に、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えないような電力として設定される。なお、バッテリ4のSOCが上昇すると、バッテリ4の総電圧も上昇するため、バッテリ4の総電圧は、充電上限電圧VU_LIMに近づくこととなる。そのため、充電上限電圧VU_LIMは、一般的に、バッテリ4のSOCが上昇すると、小さくなることとなり、一方、バッテリ4のSOCが低下すると、高くなることとなる。
【0016】
そして、バッテリコントローラ8は、上述した充電許容電力PLIMに基づいて、充電許容電力PLIMの範囲内において、バッテリ4へ供給するための充電電力を設定し、これを要求充電電力PBATとして、充電許容電力PLIMおよびバッテリ4のSOCとともに、システム制御装置10に送信する。
【0017】
また、PTCヒータ5は、強電ライン2を介して、バッテリ4または外部交流電源100から供給される電力により駆動することで、バッテリ充電システム1を備える車両室内に送る空調風を加熱するためのヒータである。このPTCヒータ5は、ヒータ素子の温度上昇に伴い電気抵抗値が増加して消費電力が減少する、いわゆるPTC特性を有する。
【0018】
なお、本実施形態においては、PTCヒータ5は、PWM制御によりパルス駆動する第1のPTCヒータと、一定電力の電力で駆動される第2のPTCヒータと、から構成される。そして、PTCヒータ5は、第1のPTCヒータを駆動するためのパルス波形のデューティ比をコントロールすることにより、単位時間当たりの発熱量を制御でき、これにより、車両室内に送る空調風の温度の調整を可能としている。なお、PTCヒータ5のPWM制御は、後述するシステム制御装置10からの指令に基づいて行なわれる。
【0019】
ここで、図2に、強電ライン2から電力が供給された際における、PTCヒータ5の消費電力を表す図を示す。図2においては、PTCヒータ5に、電力が供給されておらず、OFFとされている状態(時間T0〜T1の状態)から、時間T1において、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が開始され、ONとされている状態(時間T1〜T2の状態)から、時間T2において、電力の供給が停止され、OFFとされた状態を示している。
【0020】
図2に示すように、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が行なわれ、PTCヒータ5がONとされている場合には、第2のPTCヒータの消費電力は、電力P1で一定であるのに対して、第1のPTCヒータは、PWM制御によりパルス駆動するため、一定の周期で、消費電力がP2−P1である状態と、消費電力がゼロである状態とが繰り返されることとなる。そのため、PTCヒータ5全体としては、一定の周期で、消費電力がP2である状態と、消費電力がP2−P1である状態とが繰り返される。すなわち、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して供給される電力P2を全て消費し、余剰電力が発生しない状態と、電力P2のうち、電力P1のみを消費し、余剰電力(P2−P1)が発生する状態とが繰り返されることとなる。
【0021】
コンプレッサ6は、バッテリ充電システム1を備える車両に備えられた空調装置の冷凍サイクル(不図示)の冷媒を圧縮する冷媒圧縮装置であり、バッテリ4または外部交流電源100から、強電ライン2を介して電力P2にて、電力の供給が行なわれることにより駆動する。
【0022】
空調制御アンプ9は、PTCヒータ5およびコンプレッサ6の駆動を制御するための制御装置である。空調制御アンプ9は、たとえば、温度センサ(不図示)により検出された車両室内温度の情報、および車両室内を空調するための目標温度の情報を取得し、これらの情報に基づいて、PTCヒータ5およびコンプレッサ6を駆動させるために必要な駆動電力を設定し、これを要求駆動電力PACとして、システム制御装置10に送信する。
【0023】
DC/DCコンバータ7は、強電ライン2を介して、バッテリ4から供給された電力を変換するための装置であり、DC/DCコンバータ7により変換された電力は、弱電ライン11を介して、弱電補機12に供給されることとなる。
【0024】
充電装置3は、システム制御装置10からの電力供給指令に基づき、外部交流電源100からの電力をAC/DC変換し、変換した電力を、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6に供給する。なお、充電装置3は、車両内に備えられているような構成であってもよいし、あるいは、車両外部に備えられているような構成であってもよい。また、充電装置3は、外部交流電源100と互いに通信することで、外部交流電源100の供給可能電力PMAXの情報を取得し、取得した供給可能電力PMAXの情報を、システム制御装置10に送出する。
【0025】
システム制御装置10は、バッテリコントローラ8、空調制御アンプ9、および充電装置3と、互いに通信することで、バッテリ制御システム1を制御するための制御装置である。システム制御装置10は、バッテリコントローラ8から送信される要求充電電力PBAT、および充電許容電力PLIM、空調制御アンプ9から送信される要求駆動電力PAC、ならびに、充電装置3から送信される外部交流電源100の供給可能電力PMAXに基づいて、外部交流電源100から、バッテリ4、ならびに、空調装置を構成するPTCヒータ5およびコンプレッサ6に供給するための電力を、供給電力PSUPとして設定し、設定した供給電力PSUPを含む電力供給指令を充電装置3に送出する。そして、充電装置3は、システム制御装置10からの電力供給指令に基づき、バッテリ4、PTCヒータ5、コンプレッサ6に、供給電力PSUPにて、電力供給を行なうこととなる。
【0026】
また、システム制御装置10は、空調制御アンプ9から送信される要求駆動電力PACを受信している場合には、PTCヒータ5、およびコンプレッサ6の駆動に用いるための電力を、使用許可電力PPERとして算出し、空調制御アンプ9に送出する。そして、空調制御アンプ9は、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPのうち、使用許可電力PPERの範囲内において、PTCヒータ5、およびコンプレッサ6の駆動制御を行う。なお、使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに基づいて、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、システム制御装置10が、空調装置の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するようなモード(空調優先モード)に設定されているか、あるいは、バッテリ4の充電を優先するようなモード(充電優先モード)に設定されているかに応じて、設定される。たとえば、空調優先モードに設定されている場合には、使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに設定することができる。そして、使用許可電力PPERを、要求駆動電力PACに設定することにより、優先的に空調装置を駆動することができる。
【0027】
なお、システム制御装置10は、車両内に備えられているような構成であってもよいし、あるいは、車両外部に備えられているような構成であってもよい。
【0028】
次いで、本実施形態のバッテリ充電処理について、説明する。
以下においては、本実施形態のバッテリ充電処理を、図3に示す場面例に適用した場合を例示して、説明する。ここで、図3は、本実施形態に係るバッテリ充電処理が適用される一場面例を示す図であり、図4は、本実施形態に係るバッテリ充電処理の一例を示すフローチャートである。
【0029】
図3に示す場面例においては、出発予定時刻である時間T13までに、バッテリ4を満充電状態とするとともに、空調装置としてのPTCヒータ5を駆動させることにより、車両室内の温度を目標温度に設定する場面を示している。具体的には、図3に示す場面例においては、まず、時間T10において、外部交流電源100からの電力により、バッテリ4の充電を開始する。そして、バッテリ4が満充電付近の状態となるまでバッテリ4の充電を行なった後、時間T11において、バッテリ4の充電を継続しながら、PTCヒータ5の駆動を開始し、バッテリ4を充電しながら、PTCヒータ5の駆動を行なう。そして、車両室内の温度を目標温度まで上昇させた後、時間T12において、PTCヒータ5の駆動を停止し、次いで、出発予定時刻である時間T13まで、バッテリ4の充電を継続することにより、バッテリ4を満充電としている。
【0030】
なお、図3に示す場面例においては、PTCヒータ5の駆動を開始する時間T11においては、バッテリ4は満充電付近の状態にあるため、時間T11においては、バッテリ4のSOCは、所定値SOC0(所定値SOC0については、後述する。)以上となることとなる。
【0031】
以下、具体的なバッテリ充電処理について、図4に示すフローチャートに沿って、説明する。なお、以下の処理は、図1に示すシステム制御装置10により実行される。
【0032】
まず、ステップS1では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8から、バッテリ4に充電電力を供給するための充電電力供給要求がなされたか否かの判断が行なわれる。充電電力供給要求がされたと判断した場合には、ステップS2に進む。一方、充電電力供給要求がされていないと判断した場合には、ステップS1を繰り返す。なお、充電電力供給要求がなされたか否かの判断は、バッテリコントローラ8から、要求充電電力PBATが送信されたか否かにより行なうことができる。
【0033】
ステップS2では、システム制御装置10により、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたか否かの判断が行なわれる。駆動電力供給要求がされていないと判断した場合には、ステップS3に進む。一方、駆動電力供給要求がされたと判断した場合には、ステップS8に進む。なお、駆動電力供給要求がなされたか否かの判断は、空調制御アンプ9から、要求駆動電力PACが送信されたか否かにより行うことができる。
【0034】
ステップS3では、システム制御装置10により、充電装置3から外部交流電源100の供給可能電力PMAXの取得が行なわれる。
【0035】
ステップS4では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8により算出されたバッテリ4のSOCの取得が行なわれ、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であるか否かの判断が行なわれる。バッテリ4のSOCが所定値SOC0未満であると判断された場合には、ステップS5に進む。一方、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、ステップS8に進む。なお、本実施形態においては、所定値SOC0としては、バッテリ4の状態が満充電付近にあると判断できるような値を設定する。
【0036】
ステップS5では、システム制御装置10により、ステップS1で取得した要求充電電力PBATが、ステップS4で取得した供給可能電力PMAX以上であるか否かの判断が行なわれる。要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX以上である場合には、ステップS6に進み、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX未満である場合には、ステップS7に進む。
【0037】
ステップS6では、ステップS5において、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX以上であると判断されたため、システム制御装置10により、外部交流電源100からの供給電力PSUPが、外部交流電源100が供給可能な電力である供給可能電力PMAXに設定される。
【0038】
一方、ステップS7では、ステップS5において、要求充電電力PBATが、供給可能電力PMAX未満であると判断されたため、システム制御装置10により、外部交流電源100からの供給電力PSUPが、バッテリコントローラ8からの要求充電電力PBATに設定される。
【0039】
一方、ステップS2において、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたと判断された場合、または、ステップS4において、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、ステップS8に進む。ステップS8では、システム制御装置10により、バッテリコントローラ8により算出されたバッテリ4の充電許容電力PLIMの取得が行なわれる。なお、充電許容電力PLIMは、上述したように、バッテリ4が許容可能な充電電力であり、バッテリコントローラ8により、バッテリ4のSOCや、バッテリ4の内部抵抗などから、周期的に算出されている。
【0040】
ステップS9では、システム制御装置10により、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPが、ステップS8で取得された充電許容電力PLIMに設定される。本実施形態においては、ステップS4において、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上であると判断された場合には、バッテリ4が満充電付近にあり、そのため、比較的大きな電力で充電を行なうと、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えるおそれがあるため、このような場合には、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPを、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMに制限する。そして、本実施形態によれば、供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限することにより、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができる。
【0041】
また、図3に示す場面例においては、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がされる場合(ステップS2=Yesとなる場合)、すなわち、PTCヒータ5の駆動を行なう際には、バッテリ4は満充電付近の状態にあるため、バッテリ4のSOCは、所定値SOC0以上となる。そのため、本実施形態においては、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がされる場合(ステップS2=Yesとなる場合)においても、外部交流電源100から、バッテリ4に供給するための供給電力PSUPを、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMに制限する。
【0042】
ステップS10では、ステップS6、S7またはS9で設定された供給電力PSUPが、システム制御装置10から、充電器3に送出され、これにより、外部交流電源100から供給電力PSUPにて電力供給が行なわれる。なお、本実施形態においては、ステップS2において、空調制御アンプ9から、駆動電力供給要求がされていない場合には、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれる。
【0043】
一方、ステップS2において、空調制御アンプ9から、駆動電力供給要求がされている場合には、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、バッテリ4に加えて、PTCヒータ5に供給される。この場合においては、上述したように、システム制御装置10は、使用許可電力PPERを算出し、使用許可電力PPERを空調制御アンプ9に送出することで、PTCヒータ5が、使用許可電力PPERの範囲内で駆動し、外部交流電源100からの供給電力PSUPのうち、残りの電力が、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれることとなる。
【0044】
そして、ステップS1に戻り、上述したステップS1〜S10の処理が繰り返される。
【0045】
次いで、上述したバッテリ充電処理により、図3に示す場面例のように、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を行なった際における動作について、詳細に説明する。ここで、図5は、図3に示す場面例における、バッテリ4のSOCと、外部交流電源100からの供給電力PSUPと、の関係を示すグラフである。なお、以下においては、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、システム制御装置10が、空調装置の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するようなモード(空調優先モード)が設定されている場合を例示して、説明を行なう。
【0046】
まず、図3に示す場面例においては、時間T10において、バッテリコントローラ8から、システム制御装置10に、要求充電電力PBATの送信が開始されることにより、上述したステップS1〜S7、ステップS10を繰り返すことにより、外部交流電源100からの供給電力PSUPがバッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれていくこととなる。そして、図5に示すように、バッテリ4の充電に伴い、バッテリ4のSOCが上昇していく。また、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMは、バッテリ4のSOCの上昇に伴い、小さくなっていく。なお、この場合において、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、上述したように、供給可能電力PMAX(ステップS6)、または要求充電電力PBAT(ステップS7)に設定される。
【0047】
そして、バッテリ4のSOCが上昇していき、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となると(ステップS4=Yes)、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに設定され(ステップS9)、上述したステップS1〜S4、ステップS8〜S10を繰り返すことにより、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が行なわれていくこととなる。なお、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となった時間をTAとする。
【0048】
そして、バッテリ4のSOCが所定値SOC0以上となった時間TAから、時間T11となるまで、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が行なわれ、その後、時間T11において、空調制御アンプ9から、システム制御装置10に、要求駆動電力PACの送信が開始されることとなる。そして、この場合には、上述したステップS2において、PTCヒータ5に駆動電力を供給するための駆動電力供給要求がなされたと判定され、ステップS9において、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに設定されることとなる。すなわち、駆動電力供給要求がなされても、外部交流電源100からの供給電力PSUPは、充電許容電力PLIMに維持されることとなる。そして、時間T11〜時間T12の間において、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電、およびPTCヒータ5の駆動が行なわれることとなる。
【0049】
そして、車両室内の温度が目標温度に到達した後、時間T12において、PTCヒータ5の駆動が停止され、次いで、出発予定時刻である時間T13まで、上述したステップS1〜S4、ステップS8〜S10を繰り返すことにより、充電許容電力PLIMにて、バッテリ4の充電が継続されることにより、バッテリ4が満充電とされる。
【0050】
ここで、図6は、時間TA〜時間T12における、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。なお、図6においては、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力とを、積み上げて表示している。たとえば、時間TBにおいては、外部交流電源100からバッテリ4に、充電電力として、PLIMが供給されている状態を示している。また、時間TCにおいては、外部交流電源100からバッテリ4に、充電電力として、PAが供給され、かつ、外部交流電源100からPTCヒータ5に、駆動電力として、PLIM−PAが供給されている状態を示している。さらに、時間TDにおいては、外部交流電源100およびバッテリ4から、駆動電力として、PLIM+|PB|が供給されている状態を示している。すなわち、時間TDにおいては、バッテリ4は、放電状態となっていることを示している。また、図6においては、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、空調優先モードに設定されている例を示しており、そのため、PTCヒータ5の駆動するための使用許可電力PPERは、要求駆動電力PACに設定されている。
【0051】
図6に示すように、本実施形態では、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)においては、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定し、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPは、バッテリ4に供給され、バッテリ4の充電が行なわれる。
【0052】
そして、本実施形態では、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)に引き続いて、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとして、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、バッテリ4と、PTCヒータ5とに供給する。そして、図6に示すように、PTCヒータ5は、PWM制御によりパルス駆動する第1のPTCヒータと、一定電力の電力で駆動される第2のPTCヒータと、から構成されるものであるため、時間T11〜時間T12における、PTCヒータ5の駆動電力は、一定の周期で変化することとなる。また、これに伴い、バッテリ4の充電電力も、変化することとなり、PTCヒータ5の駆動電力が最大となっている部分においては、バッテリ4は放電状態となっている。
【0053】
そして、本実施形態では、このように時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとすることで、時間T11〜時間T12において、バッテリ4の充電電力は、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保つことができ、その結果として、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができ、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えることにより引き起こされるバッテリ4の劣化を防止することができる。なお、図6においては、説明を簡略化するために、PTCヒータ5のパルス波については模式的に示しているが、パルス波の波形、デューティ比、周波数は、図6に示すようなものに限定されるものではない。
【0054】
その一方で、図7に示す従来技術のように、PTCヒータをONする際に、PTCヒータ5を駆動するための要求駆動電力PACに応じて、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを上げた場合には、PTCヒータ5の駆動電力が最小となるタイミング(たとえば、時間TE)において、バッテリ4に供給される充電電力が、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを超えてしまうこととなる。そして、その結果として、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまい、バッテリ4が劣化してしまうこととなる。
【0055】
加えて、図7に示す従来技術においては、時間T12において、PTCヒータをOFFとした際に、PTCヒータ5に供給されていた電力が、バッテリ4に供給されてしまい、この場合においても、バッテリ4が許容可能な充電電力である充電許容電力PLIMを超えてしまうこととなる。そして、この場合においても、同様に、バッテリ4の総電圧が、上述した充電上限電圧VU_LIMを超えてしまい、バッテリ4が劣化してしまうこととなる。
【0056】
これに対して、本実施形態によれば、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、時間TA〜時間T11(PTCヒータOFF時)と同様に、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとすることにより、これらの問題を有効に解決できるものである。
【0057】
なお、図6に示すように、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においては、PTCヒータ5の駆動電力が最大となっている部分(たとえば、時間TD)においては、バッテリ4は放電状態となるため、SOCが低下してしまう場合も考えられる。特に、外部交流電源100からバッテリ4の充電を行なう際におけるモードが、空調優先モードに設定されている場合には、そのような可能性が高くなると考えられる。しかし、その一方で、上述したように、充電許容電力PLIMは、SOCが低下すると高くなるような関係にあるため、バッテリコントローラ8により、SOCが低下した場合には、充電許容電力PLIMが高くなるように変更される。そのため、バッテリ4のSOCが低下しても、充電許容電力PLIMが高くなるように変更され、それに伴い、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPも上がるため、そのような場合でも、バッテリ4のSOCを維持することができる。そのため、図5に示すように、時間T11〜時間T12(PTCヒータON時)においても、バッテリ4のSOCは維持されることとなる。なお、図5においては、時間T11〜時間T12においては、バッテリ4のSOCおよび外部交流電源100からの供給電力PSUPが一定であるように示したが、実際には、「SOCの低下→充電許容電力PLIM(供給電力PSUP)の上昇→SOCの上昇→充電許容電力PLIM(供給電力PSUP)の低下→SOCの低下→・・・」を繰り返すことにより、一定の周期で、若干上下することとなる。
【0058】
本実施形態においては、上述したように、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限している状態で、バッテリ4の充電を行なっている状態において、PWM制御によりパルス駆動するPTCヒータ5を駆動するための駆動要求がされた場合に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したまま、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を行なう。そして、本実施形態によれば、PTCヒータ5を駆動するための駆動要求がされた場合に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、図6に示すように、バッテリ4の充電電力が、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保ちながら、PTCヒータ5の駆動を行うことができる。そして、バッテリ4の充電およびPTCヒータ5の駆動を良好に行ないながら、その結果として、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えてしまうことを有効に防止することができ、バッテリ4の総電圧が、充電上限電圧VU_LIMを超えることにより引き起こされるバッテリ4の劣化を防止することができる。
【0059】
加えて、本実施形態によれば、PTCヒータ5やその他の強電補機を駆動を行なう際にバッテリ4に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、PTCヒータ5をOFFとした場合に、PTCヒータ5の駆動に使用されていた電力が、バッテリ4に供給されることとなった場合でも、バッテリ4に供給される電力が、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止することもできる。さらに、PTCヒータ5のようなパルス駆動する補機の故障などにより、負荷への電力供給が遮断された場合においても、同様に、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止することもできる。
【0060】
なお、上述した実施形態において、強電ライン2は本発明の強電ラインに、バッテリ4は本発明の車載バッテリに、PTCヒータ5は本発明の負荷に、バッテリコントローラ8は本発明の算出手段およびバッテリ電力要求手段に、空調制御アンプ9は本発明の負荷電力要求手段に、システム制御装置10は本発明の制御手段に、それぞれ相当する。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0062】
たとえば、上述した実施形態では、PTCヒータ5の駆動をバッテリ4の充電よりも優先するような設定(空調優先モード)がされており、そのため、PTCヒータ5を駆動するための使用許可電力PPERを、要求駆動電力PACに設定するような例を示したが、たとえば、PTCヒータ5の駆動よりもバッテリ4の充電を優先するような設定(充電優先モード)がされている場合には、図8に示すように、使用許可電力PPERを、PTCヒータ5のパルス駆動時の供給電力の最大値PTOPが、充電許容電力PLIMよりも小さくなるような値に設定することができる。PTCヒータ5を駆動するための使用許可電力PPERを、このように設定することにより、PTCヒータ5の駆動に優先して、バッテリ4の充電を行なうことが可能となり、バッテリ4の充電時間を短縮することができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、本実施形態に係るバッテリ充電処理を、図3に示す場面例に適用した場合を例示したが、図3に示すような場面に特に限定されず、たとえば、本実施形態に係るバッテリ充電処理は、図9に示す場面例に適用することもできる。なお、図9に示す場面例は、まず、時間T20において、外部交流電源100からの電力により、バッテリ4の充電を開始し、時間T21において、バッテリ4が満充電となったため、バッテリ4の充電を終了し、その後、出発時刻である時間T23よりも所定時間前の時間T22において、PTCヒータ5の駆動を開始し、出発時刻である時間T23まで、PTCヒータ5の駆動を継続している。
【0064】
そして、図9に示すような場面例のようにバッテリ4の充電が行なわれていない場合でも、上述した実施形態と同様に、図10、図11に示すように、時間T22〜時間T23(PTCヒータON時)においては、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定して(供給電力PSUPを充電許容電力PLIMに制限したまま)、PTCヒータ5の駆動を行なう。なお、図10は、空調優先モードにおける、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図であり、図11は、充電優先モードにおける、バッテリ4に供給される充電電力と、PTCヒータ5に供給される駆動電力との関係を示す図である。なお、図10、図11においては、図6の場合と比較して、バッテリ4は、より満充電に近い状態となっているため、図6の場合と比較して、充電許容電力PLIMが小さいものとなっている。
【0065】
また、上述した実施形態では、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに設定したままとするような構成を例示したが、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給される供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに代えて、次のようにして算出された所定の電力PCULCを用いてもよい。
なお、所定の電力PCULCは、システム制御装置10により、次の方法により算出される。
【0066】
すなわち、まず、システム制御装置10は、空調制御アンプ9から、PTCヒータ5を駆動するための要求駆動電力PACを受信し、要求駆動電力PACに基づいて、PTCヒータ5を駆動した場合における、PTCヒータ5のパルス駆動時の消費電力の最小値PBOT(図8参照)を算出し、これを最小駆動電力PMINとして設定する。
【0067】
次いで、システム制御装置10は、充電装置3から、供給可能電力PMAXを、また、バッテリコントローラ8から、要求充電電力PBATを取得し、これらの差を求めることで、余剰電力PRESを算出する。
【0068】
そして、システム制御装置10は、余剰電力PRESの範囲内であり、かつ、上記にて設定した最小駆動電力PMIN以下の電力を、駆動目標電力PTARとして算出し、算出した駆動目標電力PTARと、バッテリ許容電力PLIMと、を合計することで、所定の電力PCULCは、算出される。
【0069】
バッテリ4の充電を行ないながら、PTCヒータ5を駆動する際における、外部交流電源100から供給する電力を、上記のようにして算出される所定の電力PCULCとすることにより、PTCヒータ5の駆動による、バッテリ4へ供給される充電電力の減少量を抑えながら、バッテリ4の充電電力が、充電許容電力PLIMを超えないような状態に保つことができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、負荷として、PTCヒータ5を例示して説明したが、PTCヒータ5に特に限定されず、PTCヒータ5以外のパルス駆動される補機、あるいはその他の各種負荷を用いた場合でも同様な構成とすることができるのはもちろんである。このようにパルス駆動される補機以外の負荷を使用した場合においても、上述した実施形態と同様に、外部交流電源100からの供給電力PSUPを、充電許容電力PLIMに制限したままとすることにより、たとえば、このような負荷の故障などにより、負荷への電力供給が遮断された場合に、負荷の駆動に使用されていた電力が、バッテリ4に供給されることとなった場合でも、バッテリ4に供給される電力が、充電許容電力PLIMが超えてしまうことを有効に防止できるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…バッテリ充電システム
2…強電ライン
3…充電装置
4…バッテリ
5…PTCヒータ
8…バッテリコントローラ
9…空調制御アンプ
10…システム制御装置
100…外部交流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と電気的に接続可能な強電ラインと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して供給される電力によって充電可能な車載バッテリと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して電力が供給可能な負荷と、
前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力として算出する算出手段と、
前記車載バッテリへの充電電力の供給を要求するバッテリ電力要求手段と、
前記負荷への電力の供給を要求する負荷電力要求手段と、
前記バッテリ電力要求手段からの要求充電電力および前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記車載バッテリおよび前記負荷に供給する前記外部電源からの供給電力を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記外部電源から、前記車載バッテリに供給するための電力を、前記バッテリ許容電力に制限し、
前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合には、前記外部電源からの供給電力を、前記バッテリ許容電力に制限したまま、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリのSOCが所定値以上である場合であり、かつ、前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合に、前記外部電源からの供給電力を、前記バッテリ許容電力に制限したまま、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力に制限した状態で、前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給を行っている際に、前記算出手段により前記バッテリ許容電力が変更された場合には、変更後のバッテリ許容電力を用いて、前記車載バッテリが許容可能な充電電力を制限することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記負荷への電力供給を優先する設定がされている場合には、前記負荷電力要求手段からの要求電力を、前記負荷に供給することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリの充電を優先する設定がされている場合には、前記負荷の供給電力の最大値が、前記バッテリ許容電力より小さくなるように、前記負荷への供給電力を制御することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項6】
外部電源と電気的に接続可能な強電ラインと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して供給される電力によって充電可能な車載バッテリと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して電力が供給可能な負荷と、
前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力として設定する設定手段と、
前記車載バッテリへの充電電力の供給を要求するバッテリ電力要求手段と、
前記負荷への電力の供給を要求する負荷電力要求手段と、
前記バッテリ電力要求手段からの要求充電電力および前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記車載バッテリおよび前記負荷に供給する前記外部電源からの供給電力を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合に、前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記要求電力で前記負荷を駆動した場合における、前記負荷の供給電力の最小値を、最小駆動電力として算出し、
前記外部電源が供給可能な電力と、前記車載バッテリに供給されている電力との差で求められる余剰電力の範囲内であり、かつ、前記最小駆動電力以下の電力を、負荷供給目標電力として算出し、
前記バッテリ許容電力と、前記負荷供給目標電力との合計電力を、前記外部電源から供給する電力に設定し、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項1】
外部電源と電気的に接続可能な強電ラインと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して供給される電力によって充電可能な車載バッテリと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して電力が供給可能な負荷と、
前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力として算出する算出手段と、
前記車載バッテリへの充電電力の供給を要求するバッテリ電力要求手段と、
前記負荷への電力の供給を要求する負荷電力要求手段と、
前記バッテリ電力要求手段からの要求充電電力および前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記車載バッテリおよび前記負荷に供給する前記外部電源からの供給電力を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記外部電源から、前記車載バッテリに供給するための電力を、前記バッテリ許容電力に制限し、
前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合には、前記外部電源からの供給電力を、前記バッテリ許容電力に制限したまま、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリのSOCが所定値以上である場合であり、かつ、前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合に、前記外部電源からの供給電力を、前記バッテリ許容電力に制限したまま、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力に制限した状態で、前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給を行っている際に、前記算出手段により前記バッテリ許容電力が変更された場合には、変更後のバッテリ許容電力を用いて、前記車載バッテリが許容可能な充電電力を制限することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記負荷への電力供給を優先する設定がされている場合には、前記負荷電力要求手段からの要求電力を、前記負荷に供給することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリ充電システムにおいて、
前記制御手段は、前記車載バッテリの充電を優先する設定がされている場合には、前記負荷の供給電力の最大値が、前記バッテリ許容電力より小さくなるように、前記負荷への供給電力を制御することを特徴とするバッテリ充電システム。
【請求項6】
外部電源と電気的に接続可能な強電ラインと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して供給される電力によって充電可能な車載バッテリと、
前記強電ラインと電気的に接続され、前記強電ラインを介して電力が供給可能な負荷と、
前記車載バッテリが許容可能な充電電力を、バッテリ許容電力として設定する設定手段と、
前記車載バッテリへの充電電力の供給を要求するバッテリ電力要求手段と、
前記負荷への電力の供給を要求する負荷電力要求手段と、
前記バッテリ電力要求手段からの要求充電電力および前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記車載バッテリおよび前記負荷に供給する前記外部電源からの供給電力を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記負荷電力要求手段から前記負荷への電力の供給の要求がされた場合に、前記負荷電力要求手段からの要求電力に基づいて、前記要求電力で前記負荷を駆動した場合における、前記負荷の供給電力の最小値を、最小駆動電力として算出し、
前記外部電源が供給可能な電力と、前記車載バッテリに供給されている電力との差で求められる余剰電力の範囲内であり、かつ、前記最小駆動電力以下の電力を、負荷供給目標電力として算出し、
前記バッテリ許容電力と、前記負荷供給目標電力との合計電力を、前記外部電源から供給する電力に設定し、前記外部電源からの供給電力を前記車載バッテリおよび前記負荷に分配することを特徴とするバッテリ充電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−19678(P2012−19678A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91896(P2011−91896)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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