説明

バッテリ直付けヒューズユニット及びその製造方法

【課題】小型化と強度向上とを図ることのでき、更にバッテリへの装着作業時間を短縮させることができるバッテリ直付けヒューズユニット、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】バッテリポストに連結されるバッテリ端子10のエレメント接続板部12にねじ止めされるバッテリ接続板部21を備えるヒューズエレメント20を収容する樹脂製のヒューズハウジング30は、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21とをねじ部材により締結して一体化したバッテリ端子10とヒューズエレメント20に対してインサート成形を実施することで、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21とを収容する結合部収容部31を一体形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリから離れて設置されるヒューズボックスを経由せずとも、バッテリに対してヒューズを介した電装回路の接続を可能にするバッテリ直付けヒューズユニット、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、バッテリ直付けヒューズユニットの従来例を示したものである。
このバッテリ直付けヒューズユニット101は、下記特許文献1に開示されたもので、バッテリ端子110と、ヒューズエレメント120と、ヒューズハウジング130と、を備える。
【0003】
バッテリ端子110は、バッテリ140の上面に突設されたバッテリポスト141に締結されるポスト連結部111と、このポスト連結部111の一側に延設されたエレメント接続板部112と、を備える。一般に、ポスト連結部111とエレメント接続板部112との間には、寸法調整等のために、折り曲げによる段差部113が形成される。
【0004】
また、エレメント接続板部112には、後述するヒューズエレメント120のバッテリ接続板部121と締結するためのボルト151を挿通するボルト挿通孔112aが貫通形成されている。そして、このエレメント接続板部112には、裏面側から、ボルト151が挿通される。
【0005】
エレメント接続板部112には、ボルト挿通孔112aに挿通されたボルト151の頭部を挟んで該ボルト151の回り止めを行う一対の回り止め壁114,114が、折り曲げ成形により一体に形成されている。
【0006】
ヒューズエレメント120は、エレメント接続板部112に積層した状態でねじ止めすることでエレメント接続板部112に導通接続されるバッテリ接続板部121と、電装回路161に導通接続される回路接続板部122と、バッテリ接続板部121と回路接続板部122との間を導通接続すると共に定格以上の電流が流れた時に溶断してバッテリ接続板部121と回路接続板部122との間を非導通状態にする可溶体部123と、を金属板のプレス加工により一体形成したものである。バッテリ接続板部121には、ボルト151の雄ねじ部を挿通させるボルト挿通孔121aが貫通形成される。回路接続板部122には、電装回路161からの接触端子162を締結するためのスタッドボルト124が植設されている。このようなヒューズエレメント120は、バスバーと呼称される場合もある。
【0007】
ヒューズハウジング130は、ヒューズエレメント120を収容する樹脂製のケースで、インサート成形によってヒューズエレメント120に一体形成される。
【0008】
ヒューズハウジング130が一体形成されたヒューズエレメント120は、例えば、バッテリ端子110をバッテリポスト141に締結した後、バッテリ端子110のエレメント接続板部112のボルト151をヒューズエレメント120のバッテリ接続板部121に挿通させ、ボルト151に螺合するナット153を締め付けることで、バッテリポスト141に導通接続された状態となる。
【0009】
電装回路161は、ヒューズエレメント120をバッテリポスト141に接続固定した後、回路接続板部122に締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−331591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1のバッテリ直付けヒューズユニット101では、バッテリ端子110とバッテリ接続板部121とが別体で、ボルト151とナット153とによる結合作業が必要となる。そのため、例えば、バッテリ接続板部121のボルト挿通孔121aの周囲には、ナット153の締め付けを行うインパクトレンチ等のツールが入る空所を確保することが不可欠となり、余分な空所の確保のために、ヒューズエレメント120が大型化するという問題があった。
【0012】
また、ヒューズエレメント120に接続する電装回路161が増えた場合に、ヒューズエレメント120を介してバッテリ端子110の段差部113に曲げ荷重が集中して、強度不足による変形がバッテリ端子110に生じ易いという問題もあった。特に振動時には変形のおそれがある。
【0013】
更に、ボルト151とナット153とによる結合作業に手間がかかるため、バッテリ140への装着時間を短縮することが難しいという問題もあった。
【0014】
また、ボルト151とナット153との締結操作を容易にするためにエレメント接続板部112に回り止め壁114を設けているが、回り止め壁114の装備がバッテリ端子110の重量化を招くという問題もあった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、小型化と強度向上とを図ることのでき、更にバッテリへの装着作業時間を短縮させることができるバッテリ直付けヒューズユニット、及びその製造方法を提供することを目的とする。更に、バッテリ端子の軽量化を図ることのできるバッテリ直付けヒューズユニット、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)バッテリの上面に突設されたバッテリポストに締結されるポスト連結部と、このポスト連結部の一側に延設されたエレメント接続板部と、を備えるバッテリ端子と、
前記エレメント接続板部に積層した状態でねじ止めすることで前記エレメント接続板部に導通接続されるバッテリ接続板部と、電装回路に導通接続される回路接続板部と、前記バッテリ接続板部と回路接続板部との間を導通接続すると共に定格以上の電流が流れた時に溶断して前記バッテリ接続板部と回路接続板部との間を非導通状態にする可溶体部と、を金属板のプレス加工により一体形成したヒューズエレメントと、
前記ヒューズエレメントを収容する樹脂製のヒューズハウジングと、
を備えるバッテリ直付けヒューズユニットであって、
前記ヒューズハウジングは、前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とをねじ部材により締結して一体化した前記バッテリ端子と前記ヒューズエレメントに対してインサート成形を実施することで、積層状態に結合されている前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とを収容する結合部収容部が一体形成されていることを特徴とするバッテリ直付けヒューズユニット。
【0017】
(2)前記エレメント接続板部は、前記バッテリ接続板部の締結に使うねじ部材に対する回り止め壁を形成しない単純な平板構造にしたことを特徴とする上記(1)に記載のバッテリ直付けヒューズユニット。
【0018】
(3)上記(1)又は(2)に記載のバッテリ直付けヒューズユニットを製造するバッテリ直付けヒューズユニットの製造方法であって、
前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とをねじ部材により積層状態に締結して、前記バッテリ端子と前記ヒューズエレメントとを一体化した端子組立体を形成する端子組み立て工程と、
前記端子組み立て工程で形成した端子組立体をインサート成形して、積層状態に結合されている前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とを収容する結合部収容部が一体形成された前記ヒューズハウジングを形成する樹脂成形工程と、
を備えることを特徴とするバッテリ直付けヒューズユニットの製造方法。
【0019】
上記(1)の構成によれば、バッテリ端子のエレメント接続板部とヒューズエレメントのバッテリ接続板部とは、ヒューズハウジングをインサート成形する前に、ねじ止めによって結合され、一体化されている。
【0020】
そのため、バッテリ端子とヒューズエレメントとをバッテリポストに取り付ける作業は、バッテリ端子のポスト連結部をバッテリポストに連結するだけで良く、エレメント接続板部とバッテリ接続板部とのねじ止め作業は必要とならない。
【0021】
そのため、バッテリ上での取り付け作業のためにインパクトレンチ等のツールを差し込むための空所をバッテリ接続板部に残しておく必要がなくなる。
【0022】
従って、バッテリ接続板部は、周囲に余分な空所を残さないコンパクトな構造とすることができ、ヒューズエレメントの小型化により、バッテリ直付けヒューズユニットの小型化を図ることができる。
【0023】
また、上記(1)の構成によれば、エレメント接続板部とバッテリ接続板部との結合部は、ヒューズハウジングのインサート成形時にヒューズハウジングに一体形成される結合部収容部により収容されて、機械的強度が向上する。
【0024】
そして、結合部収容部が、バッテリ端子のポスト連結部とエレメント接続板部との間に装備される段差部を収容保持する構造としておくことで、バッテリ端子の段差部を補強することもできる。
【0025】
従って、ヒューズエレメントに接続された複数の電装回路からの荷重がヒューズエレメントを介してバッテリ端子側に作用する場合でも、バッテリ端子の段差部に曲げ荷重が集中作用することを防止して、バッテリ端子に変形が生じることを防止することができ、バッテリ端子の強度を向上させることができる。
【0026】
また、上記(1)の構成によれば、バッテリ直付けヒューズユニットをバッテリに取り付ける際に、手間のかかるエレメント接続板部と回路接続板部とのねじ止め作業が不要なため、バッテリへの装着時間を短縮することもできる。
【0027】
上記(2)の構成によれば、エレメント接続板部と回路接続板部とのねじ止め作業は、バッテリ直付けヒューズユニットをバッテリに取り付ける現場作業時ではなく、ヒューズハウジングのインサート成形する前に、別の組立施設で行う。そのため、エレメント接続板部に周り止め壁を設けておかずとも、組立施設に用意した回り止め用の治具等を利用することで、ねじ止め作業を円滑化することができる。
【0028】
従って、バッテリ端子のエレメント接続板部から回り止め壁を省いて、バッテリ端子の軽量化を図ることができる。
【0029】
上記(3)の構成によれば、上記(1)又は(2)に記載のバッテリ直付けヒューズユニットを、効率良く製造することができる。
【0030】
そして、樹脂成形工程によってヒューズハウジングに一体形成した結合部収容部によって、上記(1)の作用・効果であるヒューズエレメントの小型化やバッテリ端子の強度向上等を実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるバッテリ直付けヒューズユニットによれば、バッテリ端子とヒューズエレメントとをバッテリポストに取り付ける作業は、バッテリ端子のポスト連結部をバッテリポストに連結するだけで良く、エレメント接続板部とバッテリ接続板部とのねじ止め作業は必要とならない。そのため、バッテリ上での取り付け作業のためにインパクトレンチ等のツールを差し込むための空所をバッテリ接続板部に残しておく必要がなくなる。
【0032】
従って、バッテリ接続板部は、周囲に余分な空所を余分な空所を残さないコンパクトな構造とすることができ、ヒューズエレメントの小型化により、バッテリ直付けヒューズユニットの小型化を図ることができる。
【0033】
また、本発明によるバッテリ直付けヒューズユニットによれば、エレメント接続板部とバッテリ接続板部との結合部は、これらの結合部を収容する結合部収容部により機械的強度が向上する。そして、結合部収容部によりバッテリ端子の段差部を補強することができるため、ヒューズエレメントに接続された複数の電装回路からの荷重がヒューズエレメントを介してバッテリ端子側に作用する場合でも、バッテリ端子の段差部に曲げ荷重が集中作用することを防止して、バッテリ端子に変形が生じることを防止することができ、バッテリ端子の強度を向上させることができる。
【0034】
また、本発明によるバッテリ直付けヒューズユニットによれば、バッテリ直付けヒューズユニットをバッテリに取り付ける際に、手間のかかるエレメント接続板部と回路接続板部とのねじ止め作業が不要なため、バッテリへの装着時間を短縮することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るバッテリ直付けヒューズユニットの一実施形態の組立状体の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部の拡大図である。
【図4】一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニットを構成するバッテリ端子とヒューズエレメントとの結合前の状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示したバッテリ端子のB矢視図である。
【図6】図4に示したバッテリ端子及びヒューズエレメントが結合された状態の斜視図である。
【図7】ヒューズエレメントに結合されたバッテリ端子のポスト連結部に、バッテリポストに締結するためのボルト及びナットが装着された状態の斜視図である。
【図8】従来のバッテリ直付けヒューズユニットの分解斜視図である。
【図9】図8に示したバッテリ端子の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係るバッテリ直付けヒューズユニットの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1〜図7は本発明に係るバッテリ直付けヒューズユニットの一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニットの組立状体の斜視図、図2は図1のA−A断面図、図3は図2の要部の拡大図、図4は一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニットを構成するバッテリ端子とヒューズエレメントとの結合前の状態を示す分解斜視図、図5は図4に示したバッテリ端子のB矢視図、図6は図4に示したバッテリ端子及びヒューズエレメントが結合された状態の斜視図、図7はヒューズエレメントに結合されたバッテリ端子のポスト連結部に、バッテリポストに締結するためのボルト及びナットが装着された状態の斜視図である。
【0038】
この一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1は、図1〜図4に示すように、バッテリ端子10と、ヒューズエレメント20と、ヒューズハウジング30とを備えている。
【0039】
バッテリ端子10は、金属板のプレス成形品であり、不図示のバッテリ(図8のバッテリ140に相当)の上面に突設された不図示のバッテリポスト(図8のバッテリポスト141に相当)に締結されるポスト連結部11と、このポスト連結部11の一側に延設されたエレメント接続板部12と、を備える。
【0040】
ポスト連結部11には、バッテリポストが挿入されるポスト挿通穴部11aと、ポスト挿通穴部11aを拡縮させるボルト41を挿通させる一対のボルト挿通部11b,11cと、が形成されている。
【0041】
ポスト連結部11は、図7に示すように、ボルト挿通部11b,11cに挿通させたボルト41と、このボルト41に螺合するナット42とによって、一対のボルト挿通部11b,11cを締め付けることでポスト挿通穴部11aが縮径されて、バッテリポストに固定される。
【0042】
エレメント接続板部12は、図4及び図5に示すように、バッテリ接続板部21の締結に使うねじ部材に対する回り止め壁を形成しない単純な平板構造で、中央にボルト44を挿通させるボルト挿通孔12aが貫通形成されている。ボルト44は、後述するヒューズエレメント20のバッテリ接続板部21とエレメント接続板部12との締結を行うねじ部材で、本実施形態の場合は、市販の六角ボルトを使用することができる。エレメント接続板部12には、図4に示すように、裏面側からボルト44が挿通される。
【0043】
ポスト連結部11とエレメント接続板部12との間には、寸法調整等のために、折り曲げによる段差部13が形成される。
【0044】
ヒューズエレメント20は、バッテリ接続板部21と、複数の回路接続板部22と、複数の可溶体部23と、を金属板のプレス加工により一体形成したもので、バスバーと呼称される場合もある。
【0045】
バッテリ接続板部21は、エレメント接続板部12に積層した状態でエレメント接続板部12にねじ止めされる。バッテリ接続板部21は、平板状で、中央にボルト44を挿通させるボルト挿通孔21aが貫通形成されている。
【0046】
バッテリ接続板部21は、エレメント接続板部12に積層した状態で、それぞれのボルト挿通孔12a,21aに挿通されたボルト44に螺合させたナット45を締め付けることで、エレメント接続板部12に導通接続される。
【0047】
回路接続板部22は、車載の不図示の電装回路に導通接続される平板状端子であり、電装回路からのねじ止め端子を締結するためのねじ止め穴22aが装備されている。
【0048】
バッテリ接続板部21の一側縁には、図4に示すように、複数の回路接続板部22を連設するための中継板部24が折り曲げ形成されている。
【0049】
複数の可溶体部23は、それぞれ対応する回路接続板部22を、中継板部24に接続している。即ち、それぞれの可溶体部23は、中継板部24を介して、バッテリ接続板部21と各回路接続板部22との間を導通接続している。
【0050】
また、それぞれの可溶体部23は、図4に示すように、金属板の打ち抜きによって中継板部24や回路接続板部22と一体に形成した小断面積の帯状部23aに、ヒューズエレメント20に使用される金属板よりも融点が低い錫や鉛等の合金製のチップ23bを抱かせて、溶断する定格を設定したものである。
【0051】
各可溶体部23は、定格以上の電流が流れた時に溶断して、バッテリ接続板部21と回路接続板部22との間を非導通状態にする。
【0052】
ヒューズハウジング30は、ヒューズエレメント20を収容する樹脂製のケースである。本実施形態のヒューズハウジング30は、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21とをねじ部材であるボルト44及びナット45により締結して一体化したバッテリ端子10とヒューズエレメント20に対してインサート成形(モールド成形)を実施することで、バッテリ端子10及びヒューズエレメント20に一体形成される。
【0053】
ヒューズハウジング30のヒューズエレメント20を覆う部位は、本来は、可溶体部23の周囲を覆って可溶体部23を外部機材と干渉することを防止したり、あるいは中継板部24と各回路接続板部22との間の機械的な連結強度を補償することを主目的とし装備される。
【0054】
しかし、本実施形態のヒューズハウジング30は、図1〜図3に示すように、ヒューズエレメント20を覆う部位だけでなく、更に、積層状態に結合されているエレメント接続板部12とバッテリ接続板部21との周囲を収容する結合部収容部31が一体形成されている。
【0055】
次に、以上に説明したバッテリ直付けヒューズユニット1の製造方法について、説明する。
【0056】
本実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1は、端子組み立て工程と、樹脂成形工程とを順に実施することで、製造される。
【0057】
ここに、端子組み立て工程とは、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21とを、図6に示すようにねじ部材であるボルト44及びナット45により積層状態に締結して、バッテリ端子10とヒューズエレメント20とを一体化した端子組立体1Aを形成する工程である。
【0058】
また、樹脂成形工程とは、端子組み立て工程で形成した端子組立体1Aをインサート成形して、図1〜図3に示すように、積層状態に結合されているエレメント接続板部12とバッテリ接続板部21との周囲を収容する結合部収容部31が一体形成されたヒューズハウジング30を形成する工程である。
【0059】
本実施形態の結合部収容部31は、図2及び図3に示すように、バッテリ端子10の段差部13を収容して、段差部13を補強するように形成されている。
【0060】
図1のように製造されたバッテリ直付けヒューズユニット1は、バッテリポストに取り付けられて、電送回路のバッテリへの接続に使用される。
【0061】
以上に説明した一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1では、バッテリ端子10のエレメント接続板部12とヒューズエレメント20のバッテリ接続板部21とは、ヒューズハウジング30をインサート成形する前に、ねじ止めによって結合され、一体化されている。
【0062】
そのため、バッテリ端子10とヒューズエレメント20とをバッテリポストに取り付ける作業は、バッテリ端子10のポスト連結部11をバッテリポストに連結するだけで良く、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21とのねじ止め作業は必要とならない。
【0063】
そのため、バッテリ上での取り付け作業のためにインパクトレンチ等のツールを差し込むための空所をバッテリ接続板部21に残しておく必要がなくなる。
【0064】
従って、バッテリ接続板部21は、周囲に余分な空所を余分な空所を残さないコンパクトな構造とすることができ、ヒューズエレメント20の小型化により、バッテリ直付けヒューズユニット1の小型化を図ることができる。
【0065】
また、以上に説明した一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1では、エレメント接続板部12とバッテリ接続板部21との結合部は、ヒューズハウジング30のインサート成形時にヒューズハウジング30に一体形成される結合部収容部31により収容されて、機械的強度が向上する。
【0066】
そして、結合部収容部31が、バッテリ端子10のポスト連結部11とエレメント接続板部12との間に装備される段差部13を収容保持する構造としておくことで、バッテリ端子10の段差部13を補強することもできる。
【0067】
従って、ヒューズエレメント20に接続された複数の電装回路からの荷重がヒューズエレメント20を介してバッテリ端子10側に作用する場合でも、バッテリ端子10の段差部13に曲げ荷重が集中作用することを防止して、バッテリ端子10に変形が生じることを防止することができ、バッテリ端子10の強度を向上させることができる。
【0068】
また、以上に説明した一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1では、バッテリ直付けヒューズユニット1をバッテリに取り付ける際に、手間のかかるエレメント接続板部12と回路接続板部22とのねじ止め作業が不要なため、バッテリへの装着時間を短縮することもできる。
【0069】
更に、以上に説明した一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1では、エレメント接続板部12と回路接続板部22とのねじ止め作業は、バッテリ直付けヒューズユニット1をバッテリに取り付ける現場作業時ではなく、ヒューズハウジング30のインサート成形する前に、別の組立施設で行う。そのため、エレメント接続板部12に周り止め壁を設けておかずとも、組立施設に用意した回り止め用の治具等を利用することで、ねじ止め作業を円滑化することができる。
【0070】
従って、バッテリ端子10のエレメント接続板部12から回り止め壁を省いて、バッテリ端子の軽量化を図ることができる。
【0071】
また、上記実施形態に示した製造方法では、上記実施形態に示したバッテリ直付けヒューズユニット1を、効率良く製造することができる。そして、樹脂成形工程によってヒューズハウジング30に一体形成した結合部収容部31によって、一実施形態のバッテリ直付けヒューズユニット1の作用・効果であるヒューズエレメント20の小型化やバッテリ端子10の強度向上等を実現することができる。
【0072】
なお、本発明のバッテリ直付けヒューズユニットは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 バッテリ直付けヒューズユニット
10 バッテリ端子
11 ポスト連結部
12 エレメント接続板部
13 段差部
20 ヒューズエレメント(バスバー)
21 バッテリ接続板部
22 回路接続板部
23 可溶体部
24 中継板部
30 ヒューズハウジング
31 結合部収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの上面に突設されたバッテリポストに締結されるポスト連結部と、このポスト連結部の一側に延設されたエレメント接続板部と、を備えるバッテリ端子と、
前記エレメント接続板部に積層した状態でねじ止めすることで前記エレメント接続板部に導通接続されるバッテリ接続板部と、電装回路に導通接続される回路接続板部と、前記バッテリ接続板部と回路接続板部との間を導通接続すると共に定格以上の電流が流れた時に溶断して前記バッテリ接続板部と回路接続板部との間を非導通状態にする可溶体部と、を金属板のプレス加工により一体形成したヒューズエレメントと、
前記ヒューズエレメントを収容する樹脂製のヒューズハウジングと、
を備えるバッテリ直付けヒューズユニットであって、
前記ヒューズハウジングは、前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とをねじ部材により締結して一体化した前記バッテリ端子と前記ヒューズエレメントに対してインサート成形を実施することで、積層状態に結合されている前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とを収容する結合部収容部が一体形成されていることを特徴とするバッテリ直付けヒューズユニット。
【請求項2】
前記エレメント接続板部は、前記バッテリ接続板部の締結に使うねじ部材に対する回り止め壁を形成しない単純な平板構造にしたことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ直付けヒューズユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリ直付けヒューズユニットを製造するバッテリ直付けヒューズユニットの製造方法であって、
前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とをねじ部材により積層状態に締結して、前記バッテリ端子と前記ヒューズエレメントとを一体化した端子組立体を形成する端子組み立て工程と、
前記端子組み立て工程で形成した端子組立体をインサート成形して、積層状態に結合されている前記エレメント接続板部と前記バッテリ接続板部とを収容する結合部収容部が一体形成された前記ヒューズハウジングを形成する樹脂成形工程と、
を備えることを特徴とするバッテリ直付けヒューズユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37770(P2013−37770A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170285(P2011−170285)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】