説明

バッテリ装置

【課題】外部電源OFF時に負荷に電力を供給するバッテリ装置において、外部電源OFF時における電池の電圧を正確に把握する。
【解決手段】外部電源OFF時に、第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voより低い場合に異常信号を出力するコンパレータU2と、コンパレータU2からの異常を保持するピークホールド回路6と、このピークホールド回路6により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する報知手段7とを備える。これにより、外部電源OFF時に、第1の電池B1の電圧を把握することができる。また、ピークホールド回路6があるため、コンパレータU2で異常信号が出力された後に、制御装置2が設備電源3からの電力供給を受けて、第1の電池B1の電圧が変わったとしても、外部電源OFF時の電圧Vaが基準電圧Voよりも低い旨の信号を保持でき、この保持した信号に基づいて、報知手段7によって外部に知らせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から電力供給が遮断されているときに負荷に電力を供給するバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源から電力供給が遮断されているときにおける、電子機器内部の記憶装置(揮発性メモリ)への電力供給を行うバッテリ装置として、例えば、特許文献1に開示されるようなものがある。
【0003】
特許文献1には、バッテリ装置は、第1の電池と第2の電池とを有し、外部電源からの電力が供給されているときの第1の電池の電圧と所定の閾値とを比較して、電池の消耗を判断し、第1の電池が消耗している場合には、第2の電池に切り替えて、電力を記憶装置に供給する技術が開示されている。
【0004】
しかし、バッテリ装置は、外部電源から電力供給が遮断されているときに、負荷(記憶装置)へ電力供給するものであるため、本来は、外部電源から電力供給が遮断されているときにおける電池の電圧を把握して、電池寿命かどうかを判断すべきである。
従来のバッテリ装置では、外部電源から電力供給が遮断されているときにおける電池の電圧を把握することはできなかった。このため、電池を使いきる前に、電池交換をしてしまう無駄が生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−199600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、外部電源から電力供給が遮断されているときに負荷に電力を供給するバッテリ装置において、外部電源から電力供給が遮断されているときにおける電池の電圧を把握することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のバッテリ装置は、少なくとも外部電源から電力供給が遮断されているときに第1の電池と第2の電池とのいずれかによって負荷へ電力を供給するものである。
そして、外部電源から電力供給が遮断されているときに、第1の電池の電圧と所定の閾値とを比較し、第1の電池が前記所定の閾値より低い場合に、異常信号を出力する比較手段と、比較手段からの異常信号の出力に応じて、第1の電池から第2の電池に切り替えて負荷への電力供給を行う切替手段と、比較手段からの異常信号の出力に応じて、所定の信号を保持する信号保持手段と、この信号保持手段により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する報知手段とを備える。
【0008】
これによれば、外部電源から電力供給が遮断されているとき(以下、外部電源OFF時)の第1の電池の電圧を把握することができる。
なお、比較手段、信号保持手段、切替手段は、少なくとも外部電源以外の電源によって駆動する。
また、信号保持手段があるため、比較手段で異常信号が出力された後に、外部電源からの電力供給を受けて、第1の電池の電圧が変わったとしても、外部電源OFF時の電圧が所定の閾値より低い旨の信号を保持でき、この保持した信号に基づいて、報知手段によって外部に知らせることができる。これにより、第1の電池の交換が必要である旨を外部に知らせ、電池交換すべき旨を作業者等に促すことができる。
【0009】
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のバッテリ装置によれば、第2の電池と並列に電池を接続可能な空きコネクタを備える。
報知手段によって第1の電池の消耗が知らされると、作業者は第1の電池の交換作業を行うが、交換作業時に、誤って第1の電池と第2の電池の両方とも取り外してしまい負荷への電力供給が絶たれてしまうという電池の交換作業のミスを避ける必要がある。
【0010】
そこで、本手段では、第2の電池と並列に電池を接続可能な空きコネクタがあることによって、例えば、交換作業時の始めにこの空きコネクタに新品の電池を接続するという作業をすることによって、誤って、第1の電池と第2の電池の両方を外してしまっても、空きコネクタに接続された新品の電池によって負荷に電力が供給され、負荷への電力供給が絶たれるというミスを避けることができる。
【0011】
また、この空きコネクタがあることにより、以下のような交換作業を行うことができる。
(1)まず、空きコネクタに新品の電池を接続する。
(2)次に、第1の電池として使用していた消耗した電池を取り外す。
(3)次に、第2の電池として使用していた電池を、第1の電池が接続されていたコネクタに接続し、新たな第1の電池として用いる。そして、空きコネクタに接続された新品の電池は、第2の電池として用いられる。
【0012】
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のバッテリ装置は、基準電圧電源と、基準電圧電源の電圧を降下させて出力するレギュレータとを備え、レギュレータの出力を所定の閾値として用いる。
これによれば、負荷によって使用する電圧が異なっても、適正な規制電圧が設定されたレギュレータを選択することによって、任意の基準電圧にすることができる。
このため、負荷に応じた適切な基準電圧との比較で、電池交換要否が判断されるため、電池を使いきることなく電池交換をしてしまうという無駄を避けることができる。
【0013】
例えば、基準電圧を所定の電池の電圧とすると、負荷によって基準電圧を変えたいときに融通がきかない。このため、負荷に求められる電圧に対して低すぎる電圧が所定の閾値となってしまう虞がある。また、まだ負荷を動かす能力があるにも関わらず、電池が消耗しているとして異常信号を出してしまい電池を使いきることなく交換することになる虞がある。
しかし、レギュレータを用いることによって、基準電圧を任意に設定することができ、負荷に応じた適切な基準電圧との比較で、電池交換要否が判断されるため、電池を使いきることなく電池交換をしてしまうという無駄を避けることができる。
【0014】
また、基準電圧電源を抵抗体によって電圧降下させて閾値として用いる方法も考えられるが、この方法では、基準電圧にばらつきが生じやすいという問題がある。しかし、レギュレータを用いる場合には、基準電圧電源の電圧のばらつきに対しても、基準電圧を安定化させることができる。
【0015】
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のバッテリ装置によれば、報知手段は、第1、第2の電池が配される基板に設けられる発光手段である。
本手段は、報知手段の一態様を示すものである。
【0016】
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載のバッテリ装置によれば、報知手段は、光、音、または表示によって、異常を報知する。
本手段は、報知手段の一態様を示すものである。
【0017】
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載のバッテリシステムは、複数のバッテリ装置と、複数あるバッテリ装置の内の少なくともいずれか1つのバッテリ装置において、信号保持手段が比較手段からの異常信号の出力に応じた所定の信号を保持している場合に、その旨を報知する第2の報知手段を備える。
【0018】
これによれば、第2の報知手段によって、複数あるバッテリ装置のどれかにおいて電池交換が必要である旨を把握することができ、そして、各バッテリ装置に設けられた報知手段(発光手段)によって、どのバッテリ装置に電池交換が必要なのかを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】バッテリ装置の回路図である(実施例1)。
【図2】バッテリ装置の基板配置図である(実施例1)。
【図3】バッテリ装置を利用したバッテリシステムの構成図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための形態のバッテリ装置は、少なくとも外部電源OFF時に負荷に電力を供給するものである。
そして、外部電源OFF時にメインで負荷に電力を供給する第1の電池と、第1の電池の予備としての第2の電池と、外部電源から電力供給が遮断されているときに、第1の電池の電圧と所定の閾値とを比較し、第1の電池が前記所定の閾値より低い場合に、異常信号を出力する比較手段と、比較手段からの異常信号の出力に応じて、第1の電池から第2の電池に切り替えて負荷への電力供給を行う切替手段と、比較手段からの異常信号の出力に応じて、所定の信号を保持する信号保持手段と、この信号保持手段により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する報知手段とを備える。
そして、比較手段および信号保持手段は、外部電源から電力供給が遮断されているときに、第1または第2の電池によって電力供給を受けて作動する。
【実施例】
【0021】
〔実施例1の構成〕
実施例1を、図1、2を用いて説明する。
バッテリ装置1は、負荷に電力供給する外部電源から電力供給が遮断されているときに負荷に電力を供給するものである。
本実施例での負荷は、生産用設備に用いられるサーボモータの制御装置2(揮発性メモリを含む)であり、外部電源とは制御装置2に電力供給する設備電源3である。
【0022】
バッテリ装置1は、第1の電池B1と、第2の電池B2と、空きコネクタCN3と、3端子レギュレータU1(レギュレータ)と、コンパレータU2(比較手段)と、アナログスイッチU3(切替手段)と、ピークホールド回路6(信号保持手段)と、報知手段7とを備える。
【0023】
第1の電池B1は、設備電源3から電力供給が遮断されているとき(外部電源OFF時)に、制御装置2に電力を供給するメインバッテリである。
第1の電池B1は、基板9に設けられた第1コネクタCN1に接続されており、アナログスイッチU3を介して制御装置2に接続されている(図1参照)。また、基板9には、第1の電池B1を配するための第1電池ボックスBX1が設けられている(図2参照)。
【0024】
第2の電池B2は、第1の電池B1の電圧が低下したときに制御装置に電力を供給するサブバッテリである。
第2の電池B2は、基板に設けられた第2コネクタCN2に接続されており、アナログスイッチU3を介して制御装置2に接続されている(図1参照)。また、基板9には、第2の電池B2を配するための第2電池ボックスBX2が設けられている(図2参照)。
なお、新品時の第1の電池B1の電圧Vaと第2の電池B2の電圧Vbとは同じであり、制御装置2を駆動可能な電圧となっている。
【0025】
空きコネクタCN3は、第2の電池B2と並列に電池B3を接続可能に設けられている。すなわち空きコネクタCN3は、基板9上に、第2コネクタCN2と並列に接続されており、コンパレータU2及びアナログスイッチU3に対して、第2の電池B2と並列に電池B3を接続可能になっている。
つまり、空きコネクタCN3からの配線は、分岐して、一方は3端子レギュレータU1を介してコンパレータU2に接続し、他方はアナログスイッチU3に接続している。
【0026】
コンパレータU2は、第1の電池B1の電圧Vaと基準電圧Voとが入力され、第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voよりも小さい場合に、HIGH信号(異常信号)を出力するものである。
なお、基準電圧Voは、3端子レギュレータU1を介して入力される(後に詳述する)。
【0027】
アナログスイッチU3は、コンパレータU2からの出力に応じて、第1の電池B1から第2の電池B2に切り替えて負荷への電力供給を行う切替スイッチである。
すなわち、アナログスイッチU3のNC(ノーマリクローズ)端子には第1の電池B1が接続されており、NO(ノーマリオープン)端子には第2の電池B2が接続されている。
そして、IN端子には、コンパレータU2からの出力が入力されており、COM端子には、制御装置2に接続された端子台TB1が接続されている(図1参照)。
【0028】
コンパレータU2からの出力がLOW信号である場合には、アナログスイッチU3のNC(ノーマリクローズ)端子とCOM端子とが接続されて、COM端子には第1の電池B1が接続されることになる。
そして、コンパレータU2からの出力がHIGH信号である場合には、アナログスイッチU3が切り替わり、NO端子とCOM端子とが接続されて、COM端子には第2の電池B2が接続されることになる。
これにより、第1の電池B1の電圧低下によって、サブバッテリである第2の電池B2からの電力供給に自動的に切り替わる構成となっている。
【0029】
また、電池は負荷により電圧が変動するため、第1の電池B1から第2の電池B2へ制御装置2への電力供給が切り替わった後に、第1の電池B1の電圧Vaが回復する。このとき、第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voよりも大きい電圧に回復すると、コンパレータU2からの出力はLOW信号となり、アナログスイッチU3が切り替わって、第1の電池B1から制御装置2へ電力供給されることになる。
すなわち、制御装置2への電力供給は、第1の電池B1の電圧Vaと基準電圧Voとの比較によってリアルタイムにアナログスイッチにより切替えられる。
なお、コンパレータU2、アナログスイッチU3は、第2の電池B2から電力供給を受けて駆動している。
【0030】
3端子レギュレータU1は、電圧を変換させるレギュレータの一種であり、本実施例では、第2の電池B2の電圧Vbが入力され、第2の電池B2の電圧Vbを所定の降下量で降下させて出力するものである。
そして、出力された電圧は、基準電圧Voとして、コンパレータU2に入力されている。
つまり、本実施例では、第2の電池B2が基準電圧電源であって、基準電圧Voは、第2の電池B2の電圧Vbよりも少し低い電圧となる。
【0031】
なお、第2の電池B2と3端子レギュレータU1との間の配線にはコンデンサC1を介して接地する配線が接続している。また、3端子レギュレータU1とコンパレータU2との間の配線にはコンデンサC2を介して接地する配線が接続している。
【0032】
ピークホールド回路6は、入力信号を一旦出力しダイオードD1に帰還させるオペアンプU4aと、ダイオードD1と直列に接続されて接地されるコンデンサC3と、コンデンサC3と並列に接続されるリセットスイッチSW1と、ダイオードD1の出力を受けて、その出力を帰還させるオペアンプU4bとにより構成される周知の回路であって、入力信号の最大値を保持する回路である(図1参照)。なお、オペアンプU4aとU4bは1つのオペアンプIC(U4)内に収められている(図2参照)。
【0033】
本実施例では、ピークホールド回路6は、コンパレータU2からの出力が入力されるようになっており、保持した信号を報知手段7に出力する。
すなわち、コンパレータU2から入力されたHIGH信号が入力されると、オペアンプU4aは帰還電流との電圧比較によりピーク電圧を出力し、オペアンプU4bを介して、インピーダンス変換されて出力される。これにより、コンパレータU2から入力されたHIGH信号が異常信号として保持される。そして、保持した信号を報知手段7に出力する。
ピークホールド回路6は、第1の電池B1から電力供給を受けて駆動している。
【0034】
なお、第1の電池B1から第2の電池B2へ制御装置2への電力供給が切り替わった後に、第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voよりも大きい電圧に回復した場合には、コンパレータU2からの出力はLOW信号となるが、ピークホールド回路6によって異常信号は保持される。
そして、ピークホールド回路6は、リセットSW1が押されるまで、もしくは、第1の電池B1を取り外すまで、異常信号を保持し続ける。
【0035】
報知手段7は、ピークホールド回路6により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する手段である。
本実施例の報知手段7は、基板9上に設けられるLED7a(発光手段)と、モニタ表示装置7bである。
【0036】
報知手段7は、設備電源3によって駆動している。すなわち、設備電源3から制御装置2へ電力供給されているとき(外部電源ON時)に、駆動する。
そして、ピークホールド回路6と報知手段7との間には、抵抗R1とフォトカプラU5が設けられており、電気的な絶縁を保ちつつ、ピークホールド回路6から報知手段7への信号出力が可能になっている。
【0037】
これにより、設備電源3がONされると、異常信号がフォトカプラU5を介して報知手段7に入力されて、報知手段7が駆動する。
【0038】
LED7aは、フォトカプラU6を介してフォトカプラU5に接続されており、異常信号を受けて発光する。なお、LED7aは、端子台TB2を介して設備電源3に接続されており、端子台TB2とLED7aの間には抵抗R2が直列に設けられている。
【0039】
モニタ表示装置7bは、フォトカプラU6およびフォトカプラU5を介して信号が入力されるPLC10(プログラマブルロジックコントローラ)と、PLC10に接続されるモニタ11とを有する。
PLC10は、異常信号の入力を受けて、モニタ11を制御し、モニタ11に異常である旨の表示をさせる。
なお、基板9には、PLC10に接続するための端子台TB3が設けられている。
【0040】
そして、第1の電池B1、第1コネクタCN1、第1電池ボックスBX1、第2の電池B2、第2コネクタCN2、第2電池ボックスBX2、空きコネクタCN3、コンパレータU2、アナログスイッチU3、3端子レギュレータU1、ピークホールド回路6の構成要素(オペアンプU4a、ダイオードD1、コンデンサC3、リセットスイッチSW1、オペアンプU4b)、抵抗R1、フォトカプラU5、フォトカプラU6、LED7a、抵抗R2、端子台TB1〜3は、全て、同一基板9上に配されて、1つのバッテリ装置1を構成する(図2参照)。
【0041】
〔実施例1の作動〕
バッテリ装置1は、外部電源OFF時に、第1の電池B1の電圧をチェックして、その結果に基づき、電力供給を第1の電池B1から第2の電池B2に自動的に切替える。そして、異常信号が出力された場合には、外部電源をONしたときに報知手段7によってその旨を外部に知らせる。以下に、具体的に、バッテリ装置1の作動について説明する。
【0042】
(1)切替え動作
<第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Vo以上である場合>
アナログスイッチU3は、NC端子とCOM端子を接続しており、第1の電池B1によって制御装置2に電力が供給される。
【0043】
<第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voより小さい場合>
コンパレータU2からHIGH信号が出力され、この信号の入力を受けたアナログスイッチU3は、NC端子とCOM端子との接続を解除してNO端子とCOM端子を接続し、第2の電池B2によって制御装置2に電力が供給される。すなわち、制御装置2への電力供給が第1の電池B1から第2の電池B2に切り替わる。
【0044】
そして、コンパレータU2からのHIGH信号は、ピークホールド回路6に出力されて、ピークホールド回路6によって異常信号が保持される。
これらの動作は、外部電源OFF時に実施される。
【0045】
(2)報知動作
設備電源3をONし、設備電源3によって制御装置2及び報知手段7に電力が供給されると、異常信号が報知手段7に出力される。
これによって、LED7aが点灯し、モニタ11に異常信号が出力されている旨の表示がされる。
【0046】
〔本実施例の電池交換作業〕
報知手段7による報知によって、作業者は、第1の電池B1の交換が必要である旨を知る。そして、電池交換作業を行う。電池交換作業は、空きコネクタCN3を利用して、以下の手順で行われる。
(1)まず、空きコネクタCN3に新品の電池B3を接続する。
(2)次に、第1の電池B1として使用していた消耗した電池を取り外す。
(3)次に、第2の電池B2として使用していた電池を、第1の電池B1が接続されていた第1コネクタCN1に接続し、第1電池ボックスBX1へ配する。これにより、第2の電池B2として使用していた電池が新たな第1の電池B1となる。
(4)そして、空きコネクタCN3に接続された新品の電池B3を第2電池ボックスBX2へ配する。これにより、空きコネクタCN3に接続された新品の電池B3は第2の電池B2として用いられる。そして、第2コネクタCN2が新たな空きコネクタCN3となる。
【0047】
〔実施例1の作用効果〕
本実施例のバッテリ装置1は、外部電源OFF時に、第1の電池B1の電圧Vaと基準電圧Voとを比較し、第1の電池B1の電圧Vaが基準電圧Voより低い場合に、異常信号を出力するコンパレータU2と、コンパレータU2からの異常信号の出力に応じて、所定の信号を保持するピークホールド回路6と、このピークホールド回路6により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する報知手段7とを備える。
そして、コンパレータU2は第2の電池B2により駆動され、ピークホールド回路6は、第1の電池B1によって駆動する。
【0048】
これによれば、外部電源OFF時に、第1の電池B1の電圧を把握することができる。
また、ピークホールド回路6があるため、コンパレータU2で異常信号が出力された後に、制御装置2が設備電源3からの電力供給を受けて、第1の電池B1の電圧が変わったとしても、外部電源OFF時の電圧Vaが基準電圧Voよりも低い旨の信号を保持でき、この保持した信号に基づいて、報知手段7によって外部に知らせることができる。これにより、第1の電池B1の交換が必要である旨を外部に知らせ、電池交換すべき旨を作業者等に促すことができる。
【0049】
また、本実施例のバッテリ装置によれば、第2の電池B2と並列に電池B3を接続可能な空きコネクタCN3を備える。
報知手段7によって第1の電池B1の消耗が知らされると、作業者は第1の電池B1の交換作業を行う。
例えば、外部電源OFF時に電池交換をする際に、誤って第1の電池B1と第2の電池B2の両方を取り外すと、制御装置2に電力が供給されず、揮発性メモリのデータが消えてしまう。また、制御装置2によっては、設備電源3をONにしてあっても、第1の電池B1と第2の電池B2の両方を取り外すと、揮発性メモリのデータが消えるタイプのものがある。
そこで、電池交換はこのようなミス無く行われる必要がある。
【0050】
本実施例では、第2の電池B2と並列に電池B3を接続可能な空きコネクタCN3があることによって、例えば、交換作業時の始めにこの空きコネクタCN3に新品の電池B3を接続するという作業をすることによって、誤って、第1の電池B1と第2の電池B2の両方を外してしまっても、空きコネクタCN3に接続された新品の電池B3によって負荷に電力が供給され、負荷への電力供給が絶たれるというミスを避けることができる。
【0051】
また、空きコネクタCN3があることによって、〔本実施例の電池交換作業〕の(1)〜(4)に記載の手順で、ミス無く円滑に電池交換作業を行うことができる。
【0052】
また、本実施例のバッテリ装置1は、3端子レギュレータU1を備え、第2の電池B2の電圧Vbを所定の降下量で降下させて出力し、その出力電圧を基準電圧Voとして、コンパレータU2に出力している。
【0053】
これによれば、バッテリ装置1が電力供給する負荷によって使用する電圧が異なっても、適正な規制電圧が設定された3端子レギュレータU1を選択することによって、任意の基準電圧にすることができる。
このため、負荷に応じた適切な基準電圧との比較で、電池交換要否が判断されるため、電池を使いきることなく電池交換をしてしまうという無駄を避けることができる。
【0054】
例えば、基準電圧を所定の電池の電圧(例えば、3V)とすると、負荷によって基準電圧を変えたいときに融通がきかず、負荷に求められる電圧が例えば3.1〜3.6Vのとき、負荷に求められる電圧より基準電圧が低すぎるため、第1の電池B1の電圧低下を検出できず、揮発性メモリのデータが消滅してしまう。
また、負荷に求められる電圧が3V未満電圧である場合には、所定の電池電圧(例えば3V)を閾値として第1の電池B1の電圧Vaをチェックすると、まだ負荷を動かす能力があるにも関わらず、電池が消耗しているとして異常信号を出してしまうことになる。つまり、「(3V−負荷に求められる電圧)=使用可能な電圧」であり、この分を無駄にしてしまうことになる。このため、電池を使いきることなく交換することになってしまう。
【0055】
しかし、3端子レギュレータU1を用いることによって、基準電圧を任意に設定することができ、負荷に応じた適切な基準電圧との比較で、電池交換要否が判断されるため、電池を使いきることなく電池交換をしてしまうという無駄を避けることができる。
【0056】
また、基準電圧電源を抵抗体によって電圧降下させて閾値として用いる方法も考えられるが、この方法では、基準電圧にばらつきが生じやすいという問題がある。しかし、3端子レギュレータU1を用いる場合には、基準電圧電源(本実施例では第2の電池B2)の電圧のばらつきに対しても、基準電圧を安定化させることができる。
【0057】
〔実施例2の構成〕
実施例2を図3を用いて説明する。
実施例2は、バッテリ装置1を複数個設けて、複数の制御装置2に電力供給するバッテリシステム20である。
バッテリシステム20は、複数のバッテリ装置1と、複数あるバッテリ装置1の内の少なくともいずれか1つのバッテリ装置1において、ピークホールド回路6がコンパレータU2からの異常信号の出力に応じた所定の信号を保持している場合に、その旨を報知する第2の報知手段21を備える。
【0058】
本実施例のバッテリ装置1は、報知手段7を除く構成は実施例1と同じである。
本実施例のバッテリ装置1の報知手段7はLED7aであって、各バッテリ装置1にモニタ表示装置7bは設けられていない。
つまり、各バッテリ装置1の報知手段7はLED7aのみである。
【0059】
第2の報知手段21は例えばモニタ表示装置21aであって、複数のバッテリ装置1が並列に接続されるPLC10と、PLC10に接続されるモニタ11を有する。
複数のバッテリ装置1は並列にPLC10に入力するため、いずれか1つのバッテリ装置1において異常信号が出力された場合には、PLC10は、異常信号の入力を受けて、モニタ11を制御し、モニタ11に異常である旨の表示をさせる。
第2の報知手段21は、設備電源3によって電力を供給される。
【0060】
これによれば、第2の報知手段21によって、複数あるバッテリ装置1のどれかにおいて電池交換が必要である旨を把握することができ、そして、各バッテリ装置1に設けられたLED7aによって、どのバッテリ装置1に電池交換が必要なのかを把握することができる。
また、例えば、バッテリ装置1が足元等の見えにくい場所にある場合には、モニタ11を見えやすい場所において、モニタ11によって複数のバッテリ装置1のどれかにおいて電池交換が必要である旨を把握することができる。
なお、PLC10が複数のバッテリ装置1のそれぞれの入力をバッテリ装置毎に受け付けられるようにし、どのバッテリ装置1の電池交換が必要なのかをモニタ11に表示させる構成としてもよい。この場合には、LED7aは不要となり、PLC10とモニタ11が報知手段7と第2の報知手段21とを兼ねることになる。
【0061】
〔変形例〕
実施例1、2のバッテリ装置1は、外部電源OFF時に制御装置2に電力供給をするものであったが、外部電源OFF時だけでなくON時にも制御装置2内の揮発性メモリに電力供給するものであってもよい。
【0062】
また、実施例1の報知手段7は、LED7aとモニタ表示装置7bであったが、いずれか1つであってもよい。また、ブザー等の音によって異常を報知するものであってもよい。また、実施例1では報知手段7としてPLC10とモニタ11とからなるモニタ表示装置7bを用いたが、パソコン等の他の制御装置を報知手段7として用いてもよい。また、実施例2の第2の報知手段21についても、モニタ表示装置21aに限らず、パソコン等の他の制御装置を用いてもよい。
【0063】
報知手段7、第2の報知手段21は、制御装置2の設備電源3によって電力供給されていたが、設備電源3とは別の外部の電源によって電力供給される態様としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 バッテリ装置
B1 第1の電池
B2 第2の電池
CN3 空きコネクタ
U1 3端子レギュレータ(レギュレータ)
U2 コンパレータ(比較手段)
U3 アナログスイッチ(切替手段)
6 ピークホールド回路(信号保持手段)
7 報知手段
9 基板
20 バッテリシステム
21 第2の報知手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、外部電源から電力供給が遮断されているときに、第1の電池と第2の電池とのいずれかによって負荷へ電力を供給するバッテリ装置であって、
前記外部電源から電力供給が遮断されているときに、第1の電池の電圧と所定の閾値とを比較し、前記第1の電池が前記所定の閾値より低い場合に、異常信号を出力する比較手段と、
前記比較手段からの異常信号の出力に応じて、前記第1の電池から前記第2の電池に切り替えて前記負荷への電力供給をさせる切替手段と、
前記比較手段からの異常信号の出力に応じて、所定の信号を保持する信号保持手段と、
この信号保持手段により保持された信号に応じて、外部に異常を報知する報知手段とを備えることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ装置において、
前記第2の電池と並列に電池を接続可能な空きコネクタを備えることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッテリ装置において、
基準電圧電源と、前記基準電圧電源の電圧を降下させて出力するレギュレータとを備え、
前記レギュレータの出力を前記所定の閾値として用いることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバッテリ装置において、
前記報知手段は、前記第1、第2の電池が配される基板に設けられる発光手段であることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリ装置において、
前記報知手段は、光、音、または表示によって、異常を報知することを特徴とするバッテリ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のバッテリ装置を複数個備えるバッテリシステムであって、
いずれかの前記バッテリ装置において、前記信号保持手段が前記比較手段からの異常信号の出力に応じた前記所定の信号を保持している場合に、その旨を報知する第2の報知手段を備えることを特徴とするバッテリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−182959(P2012−182959A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45859(P2011−45859)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】