説明

バナジウムイオン水とクエン酸とを組み合わせた生活習慣病改善用飲食品

【課題】糖代謝、脂質代謝及び/又は窒素代謝に関する疾患を改善することのできるバナジウムイオン水の効果をさらに促進及び増強すること。
【解決手段】少なくとも80μg/Lの濃度で5価のバナジウムイオンを含むバナジウムイオン水とクエン酸とを組み合わせる。糖尿病、高血圧症及び高脂血症の予防、改善効果を有するものであることを特徴とし、生活習慣病の改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲料水又は機能性飲食品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バナジウムイオン含有健康飲料水とクエン酸とを組み合わせた生活習慣病改善用飲食品に関し、より詳しくは、バナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/Lの濃度で含有する飲料水とクエン酸とを組み合わせて、糖尿病、高血圧症、及び高脂血症等の生活習慣病全般を改善するために用いられる飲料水又は飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
微量元素であるバナジウムはヒトを含めたほとんどの生物の体内に非常に低濃度で見出される。このバナジウムは、不可欠な栄養元素であるように思われるが、その特殊な生理学的な役割は未だ完全には解明されていない。近年、バナジウムを含む飲料水に糖尿病を改善する作用が見出され、バナジウムイオンのインスリン様作用がにわかに脚光を浴びてきた。本発明者らも5価のバナジウムイオン(V5+)を一定濃度含有する飲料水を飲用することにより、一連の糖代謝、脂質代謝及び/又は窒素代謝に関する疾患が顕著に改善されること、さらにあるレベル以上の含有量を持つバナジウムイオン水を継続的に摂取することにより、個体のエネルギー消費量を増大させて肥満を抑制する効果のあることを報告している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本発明者らの知見によれば、このバナジウムイオンの作用は細胞内の種々の酵素やタンパク質と相互作用することにより、最終的には細胞内へのカルシウムイオンの流入を促進し、カルシウムオシレーションの増強とミトコンドリア内のカルシウム依存性酵素の活性を上昇させて代謝全般を促進することに帰着される。この作用機序の詳細については上記特許文献1に記載されており、その内容は引用をもって本願に組み込まれるものとする。
【0004】
一方、クエン酸は食酢や梅干に含まれる食品成分として長年にわたって摂取されており、ミネラルの吸収を助けて体をアルカリ性に保つ作用を有するといわれている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/048739号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記バナジウムイオンの効果を得るためにはある程度の期間継続して飲用する必要があり、さらなる効果の促進、増強が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らはバナジウムイオンの生理的効果に関する研究を続けていたところ、偶然にもバナジウムイオン水とクエン酸とを併用摂取することにより、上記効果が著しく促進されて相乗効果を発揮し、短期間に糖尿病、高血圧症及び高脂血症等の生活習慣病が改善され得ることを見出した。さらに、難治療性のII型糖尿病などを含む広範囲にわたって改善効果を発揮することを見出して本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の生活習慣病改善用飲料水又は機能性飲食品(以下、「本発明の飲料水等」という。)は、少なくとも80μg/Lの濃度で5価のバナジウムイオンを含むバナジウムイオン水とクエン酸とを組み合わせてなることを特徴とする。上記生活習慣病の改善とは、糖尿病、高血圧症及び高脂血症の予防、改善効果を有するものであることを特徴とし、本発明の飲料水等はこれらの生活習慣病の改善のために用いられるものである旨の表示を付したものであることが好ましい。また、好ましい実施形態において、本発明の飲料水等はインスリン抵抗性の改善効果を有することを特徴とし、糖尿病の症状を改善するために用いられるものである旨の表示を付して用いられる。さらに別の好ましい実施形態において、本発明の飲料水等は血液流動性を向上させることを特徴とし、脳梗塞、心筋梗塞等の血液疾患を予防するために用いることもできる。前記バナジウムイオンは、100〜300μg/Lの濃度で含まれることが特に好ましい。さらに、本発明の1つの実施形態において、前記バナジウムイオン及びクエン酸が、毎日、それぞれ80〜150μg、10〜20gの量にて摂取されることを特徴とし、両成分の併用に関する指示を記載した文書を添付して用いられる。
【発明の効果】
【0009】
糖尿病では、インスリン抵抗性の発症原因が多岐にわたるのでII型糖尿病でも全体をカバーする有効な治療方法としては、運動と食餌療法くらいしかないが、本発明に係るバナジウムイオン水とクエン酸との組み合わせにより、それぞれ単独で用いた場合よりも広範囲の糖尿病を改善できる。さらに、バナジウムイオンとクエン酸との相乗効果によりクエン酸回路の活性が上昇し代謝が促進されるため短時間で赤血球凝集・連銭化、赤血球形態異常を改善し決行を良くすることが認められた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の飲料水等は、5価のバナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/L含有する飲料水と、クエン酸とを組み合わせたものであり、種々の方法により製造することができる。例えば、上記バナジウムイオン水は富士山の伏流水から採取することが好ましい。富士山麓の地殻(玄武岩中)には、高濃度のバナジウム(V5+)が確認されており、この玄武岩層を150mに渡り、幾重にも重なるバサルト層を通り抜ける雨水等には、岩中に含まれるバナジウムなどのミネラルが多く吸収されている。このような富士山麓の地下数100mから湧水する天然水は、同時に弱アルカリ性であり、また水の分子が非常に小さく含有成分の体内吸収率が高く、飲み心地が非常に良いため、毎日継続して飲用するのに適していると考えられる。
【0011】
バナジウムイオンは水溶液中において広い範囲の酸化数(+2から+7)をとり得、生成する化学種は極めて変化に富んだ性質を示す。本発明の飲料水等は、含有するバナジウムイオンの酸化状態が重要であるのみならず、溶液のpHも、どんな化学種(例えば、陽イオン種、陰イオン種、縮合した化学種あるいは不溶性水酸化物等)が生成するかに大きな影響を与える。従って、バナジウムイオンが水溶液中でどのような形態で存在するかは極めて重要である。本発明の改善剤においては、5価のバナジウムイオン(V5+)を含有することが重要であり、水溶液中ではVO又はVO3−の水和イオンの形態で存在することができる。
【0012】
水溶液中の各種金属イオン(バナジウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)の濃度は、当業者に公知の一般飲料水の水質試験方法により測定することができる。これらの測定は、本発明の改善剤そのもの(原液)を用いて測定することもできるが、これを一定量まで濃縮したものを用いて測定することもできる。
【0013】
一方、クエン酸はヒドロキシトリカルボン酸の一種で精製品は結晶水1分子を含む無色の結晶である。天然に広く存在し、特に柑橘類の果実に多量に含まれている。本発明の飲料水等には、遊離のクエン酸のほか、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、その他の塩から適宜自由に選択して使用することができる。この場合、バナジウムイオンとクエン酸とが水溶液中で何らかの塩を形成していてもよい。
【0014】
1 バナジウムイオン(V5+)の作用機序
バナジウムイオンの細胞内での機能については、すでに本発明者らにより報告されているが(特許文献1参照)、細胞膜に存在するNa−KATPアーゼを失活させて細胞内へのカルシウムイオン流入を促し、細胞内における一連のカルシウムイオンの作用により代謝全般を活性化させるものである。
【0015】
2 バナジウムイオン(V5+)とクエン酸追加補給による生理活性の作用機序
細胞のミトコンドリア内に存在するクエン酸回路を構成する酵素もカルシウムイオン濃度上昇に伴って活性が上昇する。ここにクエン酸が追加補給されると、クエン酸回路の活性がさらに促進されてエネルギー(ATP)が産生され、同時に乳酸発生も抑制されて酸化ストレスの解消、疲労回復が著しく促進される。その一つの典型的な現象として血液の状態が以下のように顕著に変化することがわかった。
【0016】
3 赤血球の形態変化と血液流動性の向上
血液流動性の悪化は、(1)赤血球の変形能の低下(赤血球膜の硬化)、(2)血小板の凝集能の上昇(血管の硬化等による血小板の損傷)、(3)白血球の粘着性上昇(ストレス、活性酸素等による何らかの損傷発生)等によって惹起され、ひとたび血液流動性が低下しだすと、酸素供給量と炭酸ガスの排出量が減少するため悪循環に入り、さらに血液を悪化させるという一連のプロセスとして理解される。これらは何れも生活習慣病と大きく関わっており、その相関図は図1に示したようになると考えられる。
【0017】
上記のような複合した要因で、血液流動性が劣化した治験者数名にバナジウムイオン水(濃度80μg/L)約250〜500mlとクエン酸4〜8gを摂取してもらったところ、約30分〜2時間後には著しい改善効果を見せた。その典型的な改善例を飲用前後の血液の写真で示した結果を図2〜6に示した。図2はSU剤投与を受けているII型糖尿病(約30年)及び高中性脂肪患者(73歳)の結果である。バナジウムイオン水約1L/日とクエン酸約10〜15g/日とを約1ヶ月間摂取したときの経過を図2(a)〜(j)に示した。図2(a)は第1回の飲用前の血液を調べたものであり、図2(b)は第1回飲用後2時間の結果である。同様に図2(c)及び(d)は、それぞれ1週間経過後の飲用前及び飲用後2時間の結果であり、図2(e)と(f)は、それぞれ2週間経過後の飲用前及び飲用後2時間の結果であり、図2(g)と(h)は、それぞれ3週間経過後の飲用前及び飲用後2時間の結果であり、図2(i)と(j)は、それぞれ4週間経過後の飲用前及び飲用後1時間の結果である。多少のばらつきはあるものの何れの結果も赤血球の連銭化が防止されていた。飲用を開始してから約1ヶ月後には飲用前の状態でも著しい改善が見られ、寝つきが良く、熟睡できるなど体調も良好になった。
【0018】
図3は末期癌で家庭内トラブルから大きなストレスを抱えた別の治験者(65歳女性)について同様の方法で調べた結果である。バナジウムイオン水約1L/日とクエン酸約12g/日とを約1ヶ月間摂取したときの経過を図3(a)〜(f)に示した。図3(a)は第1回の飲用前の血液を調べたものであり、図3(b)は第1回飲用後30分の結果である。同様に図3(c)及び(d)は、それぞれ1週間経過後の飲用前及び飲用後30分の結果であり、図3(e)と(f)は、それぞれ2週間経過後の飲用前及び飲用後30分の結果である。赤血球の形状は改善され、体調も良好であり、以前よりも熟睡できるようになった。
【0019】
図4は主に高血圧症の生活習慣病患者(65歳)について同様の方法で調べた結果である。バナジウムイオン水約1L/日とクエン酸約10〜15g/日とを約3週間摂取したときの経過を図4(a)〜(g)に示した。図4(a)は第1回の飲用前の血液を調べたものであり、図4(b)は第1回飲用後1時間35分の結果である。同様に図4(c)(d)及び(e)は、それぞれ1週間経過後の飲用前、飲用後30分、及び飲用後2時間の結果であり、図4(f)と(g)は、それぞれ3週間経過後の飲用前及び飲用後2時間の結果である。赤血球の形状は飲用前、飲用後共に改善され、寝つきが良く熟睡できて体調も良好になった。
【0020】
図5は投薬治療を受けている神経症患者(32歳女性)について同様の方法で調べた結果である。図5(a)は第1回の飲用前の血液を調べたものであり、図5(b)は第1回飲用後2時間の結果を示す。赤血球の形状は著しく改善され、不眠気味の患者が座った状態で入眠し、躁鬱病等の神経症にも治療効果のある可能性が感じられる。
【0021】
図6は、健康な33歳の男性について同様の方法で調べた結果である。図6(a)はバナジウムイオン水とクエン酸とを摂取する前の赤血球の形状であるがストレス過剰が感じられる。この治験者に、先ず、β−グルカンを豊富に含有するチャーガドリンク2本を飲用してもらい、その15分後の赤血球を図6(b)に示す。続いて、バナジウムイオン水とクエン酸とを飲用して30分後の結果を図6(c)に示す。チャーガを充分摂取すると糖鎖の影響で赤血球の連銭化が起こり血流を悪化させたが、バナジウムイオン水とクエン酸の摂取で正常な形状になった。その後、さらにチャーガドリンクを2本飲用し20分後の結果を図6(d)に示す。前回程ではないが糖鎖の影響から赤血球の形状は悪化していることが分かる。
【0022】
このようにバナジウムイオン(V5+)水とクエン酸追加補強の共役効果による生理活性の発現は顕著であり、継続摂取することにより糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病全般を改善すると同時に、それらから引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞という重篤な疾病を予防すると考えられる。
【0023】
本発明の飲料水等は、基本的に上記バナジウムイオン水とクエン酸とを組み合わせたものであればよく、特に限定されないが、例えば、1つの実施形態として、バナジウムイオン水と粉末のクエン酸とを別々にパッケージし、飲用する直前に両者を混合して飲用しても良い。或いは、両者を予め混合して調製し、果汁、ビタミン、香料、ハチミツ等を添加した清涼飲料水として提供することもできる。これらの製品には、本発明の飲料水等が生活習慣病の改善のために用いられるものである旨の表示を伴うことが好ましい。これらの表示は、製品の包装に表示されていてもよく、又は添付文書として同梱されていてもよい。これらの表示には、一日当たりの適切な摂取量や摂取方法などの説明が記載されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の飲料水等による生活習慣病の改善効果の相関を示したフローチャートである。
【図2−1】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図2−2】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図3】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図4−1】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図4−2】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図5】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。
【図6】本発明の飲料水等の飲用前後の血液の状態を調べた結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも80μg/Lの濃度で5価のバナジウムイオンを含むバナジウムイオン水とクエン酸とを組み合わせてなる生活習慣病改善用飲料水又は機能性飲食品。
【請求項2】
糖尿病、高血圧症及び高脂血症の予防、改善効果を有するものであることを特徴とし、生活習慣病の改善のために用いられるものである旨の表示を付した請求項1に記載の飲料水又は機能性飲食品。
【請求項3】
インスリン抵抗性の改善効果を有することを特徴とし、糖尿病の症状を改善するために用いられるものである旨の表示を付した請求項1に記載の飲料水又は機能性飲食品。
【請求項4】
血液流動性を向上させることを特徴とし、脳梗塞、心筋梗塞等の血液疾患を予防するために用いられるものである旨の表示を付した請求項1に記載の飲料水又は機能性飲食品。
【請求項5】
前記バナジウムイオンが100〜300μg/Lの濃度で含まれることを特徴とする請求項1〜4何れか記載の飲料水又は機能性飲食品。
【請求項6】
前記バナジウムイオン及びクエン酸が、毎日、それぞれ80〜150μg、10〜20gの量にて摂取されることを特徴とし、両成分の併用に関する指示を記載した文書を添付した請求項1〜5何れか記載の飲料水又は機能性飲食品。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−166919(P2007−166919A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364856(P2005−364856)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(505066176)
【出願人】(500430039)
【Fターム(参考)】