説明

バナジウムレドックス電池と直流風力発電機とを有する発電システム

発電システムは、風力発電機と、風力の変動を補償するバナジウムレドックス電池とを有する。風力発電機は、バナジウムレドックス電池を充電するのに用いうるDC電力を生じる。発生されたDC電力は、配電に用いることもでき、必要に応じ、バナジウムレドックス電池からのDC電力により補足されるようにすることができる。この発電システムは制御システムと接続して、性能及び効率を最適にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機及び電池蓄積システムに関するものであり、特に風力発電機及びバナジウムレドックス電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用及び工業用の電力は一般に、火力発電所、水力発電所及び原子力発電所により提供されている。水力発電所における新たな開発は消費電力の変動に急速に応答しうるようにするものであり、その出力は一般に、所要電力の変化に応答するように制御される。しかし、建造しうる水力発電所の個数は見込みのある個所数に制限される。火力発電所及び原子力発電所は代表的に、最大又はそれに近い限度容量に達している。これらの発電所により発生される余剰電力は、揚水発電所によって蓄積しうるが、揚水発電所には臨海的な地理的条件が必要であり、従って、見込みのある個所数は、利用可能な地形により決定される。
【0003】
電力消費量の増え続ける需要及び現在の技術的改革が風力発電所を実行可能な選択肢としている。個々の風力発電機又は風力発電機の組からの電力出力は風速の関数として変化する。風速は自然界の確率変数となるものであり、時間、日、季節及び年により変化し、従って、電力供給源の利用可能性又は確実性は少なくなる。電力出力を給電できなくなるおそれがあり、従って、その価値は低減する。しかし、DC風力発電機には、廉価となり、軽量となり、維持管理の必要性が少なくなるという点で、AC風力発電機よりも優れた利点がある。
【0004】
バナジウムレドックス電池(VRB)は最近好意的な注目を集めている。その理由は、これらの電池は廉価となる見込みがあり、且つ、寿命を長くし、設計を自由にでき、信頼性を高くし、動作及び維持管理の費用を低くする多くの特徴を有している為である。VRBは、エネルギー変換機構により分離された陽極液及び陰極液を保持するセルを有する。VRBは、陽極液及び陰極液をこれらのセルに通すように流すポンプ流システムに依存するものである。VRBを動作させる場合、流量、内部温度、圧力、充電時間及び放電時間が、電力出力に影響する全ての要因である。
【0005】
VRBは、電力の供給力を高めるとともに、風力エネルギーに対し蓄積しうる値や価値を高めることができる。VRBは、マシン発電機を援助する電力出力を発生し、充電を可能にする余剰エネルギーを受ける。VRBは、このVRBが突風からエネルギーを取り込み、従って、風力による給電を円滑に行わせる独特の1対1の充放電応答を有する。これにより、風力発電機における風力エネルギーの“漏出”を0に低減させ、風力発電機のタービン翼のピッチ角制御及び方位制御を簡単にし、風力発電機が最大速度で連続して動作するようにする。
【0006】
従って、VRBの利点を採用することにより、風力発電機から安定で一定な電力出力を生ぜしめるようにすることが従来技術における向上となるものである。
【0007】
簡潔に上述した本発明を、添付図面を参照して更に詳細に説明する。図面は本発明の代表的な実施例に関する情報を提供するだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを考慮の上、添付図面を用いて本発明を、更なる特異性及び詳細につき説明する。
【0008】
本発明の好適実施例は図面を参照することにより最も良好に理解しうるであろう。これらの図面では、同様な部分に同じ符号を付してある。図面に一般に示してある本発明の構成素子は種々の異なる構成に設計配置しうることは容易に理解されるであろう。従って、図1〜4に示す本発明の装置、システム及び方法の実施例は、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を制限するものではなく、単に本発明の好適実施例を表すだけである。特定の実施例は、本発明の観点を説明するために与えたものであり、他の例も使用する言語の意味に含まれ、従って、1つ以上の請求項の範囲内に含まれること、当業者にとって明らかである。重要な言語は本明細書において明確に又は暗黙的に規定しうる。
【0009】
図1を参照するに、この図1は、本発明に用いるVRB‐ESS(バナジウムレドックス電池エネルギー蓄積システム)10のブロック線図を示す。太陽電池アレイ又は風力発電機の何れかにより給電される遠隔電力システムの分野にとっては、適切なエネルギー蓄積システムが必要である。このような分野では、ライフサイクルコストを低くし、動作を簡単にすることが重要な要件となっている。
【0010】
VRB‐ESS10は1つ以上のセル12を有し、各セルは、負電極16を有する負極性コンパートメント14と、正電極20を有する正極性コンパートメント18とを具えている。適切な電極には、当該技術分野で既知のいかなる個数の構成素子をも含めることができ、米国特許第 5,665,212号明細書の教示により製造した電極を含めることができるものである。この米国特許明細書は参考のために記載したものである。負極性コンパートメント14は、負電極16と電気接続されている陽極液22を収容している。この陽極液22は、還元状態にあってセル12の放電処理中に酸化させる必要があるか、又は酸化状態にあってセル12の充電処理中に還元させる必要がある特定のレドックスイオンを含む電解液であるか、或いは還元されたイオンと還元させる必要があるイオンとの混合電解液である。正極性コンパートメント18は、正電極20と電気接続されている陰極液24を収容している。この陰極液24は、酸化状態にあってセル12の放電処理中に還元させる必要があるか、又は還元状態にあってセル12の充電処理中に酸化させる必要がある特定のレドックスイオンを含む電解液であるか、或いは酸化されたイオンと酸化させる必要があるイオンとの混合電解液である。
【0011】
陽極液22及び陰極液24は、米国特許第 4,786,567号、 6,143,443号、 6,468,688号及び 6,562,514号明細書の教示や、当該技術分野で周知の他の技術に応じて調製しうる。これらの米国特許明細書は参考のために記載したものである。陽極液22とは、還元状態にあってレドックス電池の放電処理中に酸化させる必要があるか、又は酸化状態にあってレドックス電池の充電処理中に還元させる必要がある特定のレドックスイオンを含む電解液、或いは還元されたイオンと還元させる必要があるイオンとの混合電解液を言うものである。陰極液24とは、酸化状態にあってレドックス電池の放電処理中に還元させる必要があるか、又は還元状態にあってレドックス電池の充電処理中に酸化させる必要がある特定のレドックスイオンを含む電解液、或いは酸化されたイオンと酸化させる必要があるイオンとの混合電解液を言うものである。更に、陽極液22の範囲にはNaOH水溶液が含まれず、陰極液24の範囲にはHCl水溶液が含まれない。一実施例では、陽極液22は、1M〜6MのH2 SO4 陽極液であり、代表的に0.1〜20重量%の範囲の量の分解防止剤を有しており、陰極液24は1M〜6MのH2 SO4 である。
【0012】
各セル12は、正極性コンパートメント14と負極性コンパートメント18との間に配置されたイオン伝導性セパレータ26を有し、このイオン伝導性セパレータは陽極液22及び陰極液24と接触してこれらの液間でイオン伝達を達成するようになっている。セパレータ26はプロトン交換膜として機能し、プュアフロマトレート(purflomatorate)化してもしなくても良い炭素材を含むことができる。
【0013】
陽極液貯蔵所28内には追加の陽極液22が収容されており、この陽極液貯蔵所は、陽極液送給ライン30及び陽極液戻しライン32を経て負極性コンパートメント14と流体的に連通している。陽極液貯蔵所28はタンク、袋又は当該技術分野で既知のその他の容器として構成できる。陽極液送給ライン30はポンプ36及び熱交換器38と連通している。ポンプ36は、陽極液貯蔵所28、送給ライン30、負極性コンパートメント14及び陽極液戻しライン32を介して陽極液22を流動させうる。又、ポンプ36は、発生される流量を変えるように可変速度を有する。熱交換器38は発生される熱を陽極液22から流体又は気体媒体に移動させる。ポンプ36及び熱交換器38は、種々の既知の適切な装置から選択することができる。
【0014】
送給ライン30は、陽極液の流量を制御する1つ以上の送給ライン弁40を有する。陽極液戻しライン32は、戻し流量を制御する戻しライン弁44と連通している。同様に、陰極液貯蔵所46内に追加の陰極液24が収容されており、この陰極液貯蔵所は、陰極液送給ライン48及び陰極液戻しライン50を経て正極性コンパートメント18と流体的に連通している。陰極液送給ライン48は速度可変ポンプ54及び熱交換器56と連通している。速度可変ポンプ54は、陰極液貯蔵所46、送給ライン48、正極性コンパートメント18及び陰極液戻しライン50を介して陰極液24を流動させうる。送給ライン48は送給ライン弁60を有し、戻しライン50は戻しライン弁62を有する。
【0015】
負電極16及び正電極20は、電源64及び負荷66と電気接続されている。電源64と各負電極16との間には電源スイッチ68が直列に配置されている。同様に、負荷66と各負電極16との間には負荷スイッチ70が直列に配置されている。当業者にとっては、他の回路配置が可能であり、図1の実施例は説明の目的のみに提供されたものである。
【0016】
充電に際しては、電源スイッチ68が閉成され、負荷スイッチ70が開放される。ポンプ36は、陽極液送給ライン30及び陽極液戻しライン32を経て陽極液22を負極性コンパートメント14及び陽極液貯蔵所28に通すようにポンピングする。これと同時に、ポンプ54が陰極液送給ライン48及び陰極液戻しライン50を経て陰極液24を正極性コンパートメント18及び陰極液貯蔵所46に通すようにポンピングする。電源64から負電極16及び正電極20に電気エネルギーを供給することにより、各セル12が充電される。電気エネルギーは、陽極液22に2価のバナジウムイオンを抽出し、陰極液24に5価バナジウムイオンを抽出する。
【0017】
電力は、負荷スイッチ70を閉成させるとともに電源スイッチ68を開放させることにより、各セル12から取り出される。これにより、負電極16及び正電極20と電気接続されている負荷66が電気エネルギーを取り込むようにする。図示していないが、必要に応じ直流電力を交流電力に変換する電力変換システムを導入することができる。
【0018】
多数の制御パラメータがシステム10の効率に影響を及ぼす。重要な制御パラメータは陽極液22及び陰極液24の温度である。この温度は、周囲の状態及び負荷条件により影響を受ける。他の制御パラメータは陽極液22及び陰極液24の圧力であり、この圧力は流量、充電状態(SOC)、温度及びプラント設計により影響を受ける。他の制御パラメータは、可変の速度駆動装置により制御される流量である。他の制御パラメータには、充電電流や、SOCにより決定される定電流期間が含まれる。
【0019】
他の制御パラメータは水素の放出である。水素の放出は、制御方式により最少化され、温度、SOC、負荷及びランプ(傾斜特性)速度である充放電速度により影響される。他の制御パラメータは、容積に対する陽極液22及び陰極液24の濃度の再混合である。陽極液貯蔵所28及び陰極液貯蔵所46は交差路の為に互いに異なる電解液のレベルを有する為、圧力差が時間とともに変化する。濃度も変化する為、システムの最適化により再混合パラメータを制御する必要がある。
【0020】
充電期間及び放電期間も追加の制御パラメータである。充放電速度は水素の放出に影響を及ぼす。更に、放電中は熱が発生し、陽極液22及び陰極液24の温度が上昇する。従って、粘性が影響される為、これに応じてポンプの流量を調整する必要がある。充放電に対する最適時間は、システムが扱いうる最大レート及び負荷条件の範囲内で、すなわち、一日で利用できる時間内で選択する。
【0021】
図2を参照するに、この図2は、本発明の発電システム100を示すブロック線図である。この発電システム100は、この発電システム100を発電所のネットワークに接続するオン・グリッド分野か、又はこの発電システム100を他の発電所から分離させるオフ・グリッド分野の何れにも用いることができる。この発電システム100は説明の目的のみに示したものであり、他の構造及び技術も本発明の範囲に含まれること、当業者にとって明らかである。
【0022】
発電システム100は、この発電システム100からの電力出力を補償するDC電力出力を生じるVRB10を有する。このVRB10は、個々のセル12の端子との電気接続を含むように広く規定された正端子102及び負端子128を有する。これら端子102及び128は、DC電力を3相AC電力に変換するインバータ106と電気接続されている。このインバータ106は局所的な配電を行う主配電盤108に結合しうる。この主配電盤108は、計測及び保護のための継電器110と、遠隔配電のために電圧を増大させる逓昇変圧器112と、長距離の送電を可能にする3相配電システム113とに電気接続されている。
【0023】
主配電盤108には、局所的に電力を使用するためのパネルボード114を結合することができる。このパネルボード114はVRB10と電気接続されており、ポンプ36及び54に電力を供給するようになっている。このパネルボード114には1本以上の電力線116が電気接続され、照明やHVAC(冷暖房空調設備)等の1つ以上の用途に高電圧を供給するようになっている。パネルボード114に電気接続されている変圧器118は、壁コンセントのために電圧を逓降させるとともに、この電圧をサブパネル120に供給する。このサブパネル120は1つ以上の壁コンセントに電気接続されている。
【0024】
発電システム100は、永久磁石機器として構成した1つ以上のDC風力発電機202を有する。この風力発電機は、誘導発電機、同期発電機及び非同期発電機のような種々の既知の装置から選択することもできる。DC発電機は、交流発電機に比べてタービンが小型で、軽量で、廉価となるという利点を有する。又、DC発電機では、損失が少なくなり、グリッド(送電網)からの無効エネルギーの必要量がなく、グリッドに対する影響が少なくなり、運転管理保全が軽度で足りる。
【0025】
1つ以上の風力発電機202とVRB10とを組み合わせることにより、風力発電地帯に配置された1つ以上の風力発電機からの電力出力の変動を低減させる。DC風力発電機はVRB10及び整流器106に直接電気接続して、配電システム113又はVRB10にDC電力を供給するようにしうる。ここで、直接電気接続とは、電気接続されるものの間に素子又は装置が介在されないことを意味するものである。或いはまた、DC風力発電機をVRB10に直接電気接続することができる。
【0026】
発電システム100は更に、VRB10及びDC風力発電機202の動作を制御するためにこれらと電気接続されている制御器130を有している。この制御器130は、効率及び安全操業の基本パラメータを適切に満足するようにVRB10及びDC風力発電機202の性能を制御する。更に、この制御器130は、重要な構成素子が外部又は内部障害又は故障を受けた場合に自己防衛を行うとともに、動的な負荷条件又は性能しきい値により決定された正確な制御出力を生ぜしめ、且つ各サイクルで時間毎に変動する周囲条件を提供する。
【0027】
制御器130は、VRB10及び風力発電機202の電力出力をモニタリングする。この制御器130は、VRB10の充電時間及び放電時間をもモニタリングする。VRB10の動作を制御する幾つかの主要なパラメータが存在する。電解液の濃度を何らかの所定の値にする場合、これらの主要なパラメータには、外気温度や、VRBセルの内部温度や、体積流量や、セル12内の及びこれに加わる圧力や、流れる又は給電される電流により分かる負荷及び電解液の充電状態が含まれる。負荷は正又は負極性として見ることができる。負荷が負極性である場合には、実際にこの負荷がVRBに電力を供給する。これらのパラメータは全て、動的に連続して且つVRB10の経時とともに変化する。
【0028】
制御器130は、80×86、Pentium (ペンティアム:Intel 社の登録商標)680×0、又はその他の市販のマイクロプロセッサのような汎用装置とすることのできるプロセッサ132を有するプログラマブル論理コンピュータとして構成しうる。プロセッサ132には、ASIC、PAL、PLA、PLD、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、又はその他の専用或いはプログラマブル装置のような汎用の処理装置を含めることができる。
【0029】
プロセッサ132は、実行可能な用途及びデータを受けて記憶するメモリ134と電気接続されている。このメモリ134には、スタティツクRAM、ダイナミックRAM、フラッシュメモリ、ROM、CD‐ROM、ディスク、テープ、磁気記録媒体、光記録媒体又はその他のコンピュータ記憶媒体を含めることができる。制御器130は、ユーザとの対応を可能にする入力装置136及び出力装置138を有する。入力装置136には、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ライトペン、タブレット、マイクロホン、センサを含めるか、或いはファームウエア及びソフトウエアの双方又は何れか一方を有するその他のハードウエアを含めることができる。出力装置138には、モニタ又はその他のディスプレイ、プリンタ、音声又はテキスト合成装置、スイッチ、信号ラインを含めるか、或いはファームウエア及びソフトウエアの双方又は何れか一方を有するその他のハードウエアを含めることができる。
【0030】
制御器130は、メモリ134に存在する制御モジュール140を有し、この制御モジュールにより発電システム100をモニタリング及び制御する。この制御モジュール140は、性能を高めるための発電システム100の状態を表す動作データをモニタリングすることにより、この発電システムの動的状態を評価するアルゴリズムに適用したものである。
【0031】
DC発生電力は、VRB10からのDC電力に加算して配電システム113に供給することができる。DC発生電力は、VRB10を充電するのにも用いることができる。DC出力は風力発電機202を配電システム113の周波数に無関係に動作させる。これにより風力発電機202の動作範囲を拡張させる。更に、直流発電機では、速度及び周波数を制御する電力電子機器が不要となり、これにより一般に費用を低減させる。配電システムへの接続装置の費用も低減される。
【0032】
発電システム100は、オフ・グリッド分野において定電圧及び定周波数のシステム電力出力を生じる。制御器130は、VRB10の電力出力を調整することにより、システム電圧及び周波数を制御する。制御器130は、風力発電機からの電力出力を常にモニタリングする。風力発電機の電力出力が減少すると、VRB10からの電力出力が増大して一定のシステム電圧を生ぜしめる。風力発電機の電力出力が増大すると、VRB10からの電力出力が減少する。制御器130は、発電システムの電力周波数をモニタリングし、VRB10により発生される有効電力を調整し、周波数を一定にする。VRB10を有する発電システム100は、瞬時に応答して正弦波周波数出力を発生する。
【0033】
同様に、発電システム100は、オン・グリッド分野において定電圧を生じる。制御器130は、風力発電機202の電力出力をモニタリングする。VRB10からの電力出力は定電圧を生じるように増大又は減少する。
【0034】
図3を参照するに、この図3はDC風力発電機300を示す。この風力発電機300は、主軸304に連結されたタービン302を有する。これらのタービン302及び主軸304は水平又は垂直に構成しうる。主軸304は変速装置(ギアボックス)306に結合されている。この変速装置306は、タービン306の低速回転高トルク力を高速回転低トルク力に変換する。この変速装置306は、歯車を切り換えず、通常、タービン302の回転と発電機との間に単一の歯車比しか有していない。
【0035】
変速装置306は、歯車軸308に結合され、この歯車軸は発電機310に結合されている。この発電機310は、ユーティリティ周波数で発電させるのに必要な速度よりも遅い速度で風速を捕捉しうる誘導発電機として構成しうる。誘導発電機は発電機電圧及び周波数の全体に亘って動的制御を可能にし、最大周波数で発電機を動作させる。発電機は、回転子と、これに接する固定子とを有する。動作中、回転子と固定子とが作用し合って固定子からDC電力出力を生じる。
【0036】
図4を参照するに、この図4は、本発明に用いるのに適した風力発電機400の他の実施例を示す。風力発電機400は図3の風力発電機に類似しているが、変速装置を有さず、直接駆動に依存する。タービン402は、主軸404により同期発電機406に直接結合されている。直接駆動される発電機406には、充分な出力を生ぜしめるのに回転速度が不充分となるという欠点がある。この欠点を補償するために、発電機406は追加のポール(極)を有しうる。回転子の質量は、この回転子が受けるトルク量にほぼ比例し、トルク量が増大すると、回転子の質量が増大し、風力発電機の価格を増大させる。それにもかかわらず、本発明では直接駆動構造を実行しうる。
【0037】
風力発電機の上述した実施例は例示の目的にすぎず、本発明をこれらに限定すべきではないこと、当業者にとって明らかである。可変リラクタンス発電機のような他の誘導発電機をも本発明に採用しうるものである。
【0038】
発電システムは、DC出力を生じる風力発電機を有し、価格を低減させるとともに、有用性及び効率を高める。この発電システムは、1つ以上の風力発電機及びVRBの管理を有効にし、質の高い電力出力を生じる。制御器は、電力出力をモニタリングし、これに応じて有効電力及び無効電力を動的に調整することにより、発電システムの安定性を維持する。本発明の発電システムは、風力発電電力の信頼性、質及び値を改善する。
【0039】
本発明の根本的な原理から逸脱することなしに、上述した実施例の細部に多くの変更を施すことができること、当業者にとって明らかである。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ決定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、VRBの一実施例を示すブロック線図である。
【図2】図2は、本発明の発電システムを示すブロック線図である。
【図3】図3は、本発明に用いるための風力発電機の一実施例を示すブロック線図である。
【図4】図4は、本発明に用いるための風力発電機の他の実施例を示すブロック線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を発生し蓄積する発電システムであって、この発電システムが、
DC電力を取り込み、DC電池電力を発生するバナジウムレドックス電池と、
このバナジウムレドックス電池と電気接続され、DC風力発電を行うDC風力発電機と、
前記バナジウムレドックス電池と電気接続され、このバナジウムレドックス電池におけるDC電力の取り込み及び発生を制御するとともに、前記DC風力発電機と電気接続され、風力発電をモニタリングする制御システムと
を有する発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が、歯車軸と、この歯車軸に結合された変速装置とを有する発電システム。
【請求項3】
請求項1に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が同期発電機を有している発電システム。
【請求項4】
請求項1に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が非同期発電機を有している発電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が永久磁石を有している発電システム。
【請求項6】
電力を発生し蓄積する発電システムであって、この発電システムが、
DC電力を取り込み、DC電池電力を発生するバナジウムレドックス電池と、
このバナジウムレドックス電池と直接電気接続され、DC風力発電を行うDC風力発電機と、
前記バナジウムレドックス電池及び前記DC風力発電機に電気接続され、DC風力発電による電力及びDC電池電力をAC電力に変換するインバータと、
前記バナジウムレドックス電池と電気接続され、このバナジウムレドックス電池におけるDC電力の取り込み及び発生を制御するとともに、前記DC風力発電機と電気接続され、風力発電をモニタリングする制御システムと
を有する発電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が、歯車軸と、この歯車軸に結合された変速装置とを有する発電システム。
【請求項8】
請求項6に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が同期発電機を有している発電システム。
【請求項9】
請求項6に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が非同期発電機を有している発電システム。
【請求項10】
請求項6に記載の発電システムにおいて、前記DC風力発電機が永久磁石を有している発電システム。
【請求項11】
バナジウムレドックス電池を準備してDC電力を取り込み、DC電池電力を発生させる工程と、
前記バナジウムレドックス電池と直接電気接続されたDC風力発電機を準備してDC風力発電を行う工程と、
前記バナジウムレドックス電池及び前記DC風力発電機に電気接続されたインバータを準備してDC電池電力及びDC風力発電による電力をAC電力に変換する工程と、
前記バナジウムレドックス電池によりDC風力発電による電力を受けて取り込む工程と、
前記バナジウムレドックス電池と電気接続され、このバナジウムレドックス電池におけるDC電力の取り込み及び発生を制御するとともに、前記DC風力発電機と電気接続され、風力発電をモニタリングする制御システムを準備する工程と
を具える電力の発生及び蓄積方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電力の発生及び蓄積方法において、前記DC風力発電機が、歯車軸と、この歯車軸に結合された変速装置とを有するようにする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の電力の発生及び蓄積方法において、前記DC風力発電機が同期発電機を有するようにする方法。
【請求項14】
請求項11に記載の電力の発生及び蓄積方法において、前記DC風力発電機が非同期発電機を有するようにする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の電力の発生及び蓄積方法において、前記DC風力発電機が永久磁石を有するようにする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−527243(P2008−527243A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551244(P2007−551244)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/037318
【国際公開番号】WO2007/001416
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507231046)ヴィーアールビー パワー システムズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】