説明

バラスト水処理システム

本発明は、バラスト水又は石油回収用の注入水などの水中の水性浸入種を現場で殺生するための水処理用組成物に関し、本組成物は動物性及び植物性生物の両方を殺生し得るステップ一つのバイオサイドを備える。前記少なくとも一つのバイオサイドは、好ましくは、ブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンと湿潤剤又はCTAB又はCTACなどの界面活性剤化合物を含む。本発明は、バラスト水を現場で処理するシステムにも関し、本システムは、バラスト水処理用組成物を投入する手段と、処理すべきバラスト水の流量又量を測定する手段と、前記組成物の投入を制御する手段と、前記組成物を貯蔵又は収容する手段とを備える。本発明はバラスト水中の生存水性生物を現場で検出する不法にも関し、本方法はバラスト水中の生存生物の代謝を検出し、よって任意の処理の有効性を測定するステップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムに関し、より詳しくは、例えば船のバラスト水タンク内の海水を船のバラスト水により運ばれる非固有の海産種の移動防止のために処理するシステム又は石油回収のための注入水を回収率の向上、ドリル機器の損傷防止及び石油の汚染防止のために処理するシステムに関する。特に、限定はされないが、本発明は船のバラスト水タンク又は石油回収用注入水中の有害な海産種を殺生できる組成物に関する。本発明は、バラスト水の処理中の化学製剤の投入を監視し及び/又は制御する自動化された方法及びシステムにも関する。最後に、本発明はバラスト水中の生存海洋生物、ひいては処理の有効性を現場で検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物汚染されたバラスト水の処理に対する最も実行可能な選択肢の特定に関する関心が世界的中で認識されてきている。毎日約3000の外来種がバラスト水により運ばれ、海洋及び沿岸環境の上述の問題に対処しなければならなくなってきている。
【0003】
船のいくつかの隔室内に海水バラストを収容することは、船の動作特性が適切に調整されるように積荷の不足を補償する通常の解決策である。典型的な商業船は7000−10,000の種を同時に膨大な量を運ぶことができることを考えると、バラスト水が沿岸の淡水及び海洋生態系の主な浸入生物種の源である。生物侵入は世界的な種の絶滅及び生物の均一化の主な原因である。船のバラスト水は非固有種の浸入の重要なベクトルと認定され、それらの非固有種のいくつかは商業上及び健康上大きな悪影響をもたらし得る。
【0004】
水性有害種と関連する問題は、国際海事機関(IMO)によって、毎年10兆ドル以上の負担を世界経済にかけることが推定されており、2004年2月に開催された船のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理に関する国際会議の一節を生起し、それは2005年7月の第53回海洋環境保護委員会(MEPC53)により変更されている。
【0005】
多くの監督機関及びいくつかの州機関が、外来種の世界的移動をなくすように設計されたバラスト水処理(BWT)方法を規定する規則を推奨しているか、その過程にある。規制は2つの分野、独自技術の承認及び排出基準、に集中している。IMOは、成功処理のための基準を与える排出基準を含む規制草案を公表している。排出基準は技術的有効性及び施行実用性の問題に対処しようとしている。しかしながら、MEPC53の公表所見から、これらの基準を満たすのに技術的困難が依然として存在すること及び順守監視の範囲及び詳細は依然として議論の主題であることが明らにされている。
【0006】
IMOにより推奨された最初のガイドラインの一つは、洋上でリバラストをすることであり、これは現在のところ有害な水性生物の移動のリスクを低減するために利用可能な最善の方法であるが、重大な船舶安全性制限を受ける(不安定性の問題に起因する)。リバラストが完全に実施されたとしても、この技術はバラスト水から生物を除去する有効性が100%に満たない。いくつかの団体が、洋上でのリバラストは有害種の広域分散に寄与すること、及びリバラスト中央海域の下流に位置する島国は特にリバラストの実行に伴う危険を受け得ることを示唆している。
【0007】
IMOによれば、代替バラスト水処理技術に対する規準は以下の通りである。
・ 船及び乗員に対する安全性
・ 環境への影響(解決する影響より大きいな影響を生じてはならない)
・ コスト
・ バラスト水中に見られる水性生物及び病原菌の除去、死滅又は不活性化などの生物学的有効性
【0008】
リバラストに代わる様々な方法が開発されており、例えば
・ ろ過及び物理的分離などの機械的処理方法;
・ オゾン、紫外光又は電流、電子イオン化、ガス過飽和及び熱処理による殺菌などの物理的処理方法;
・ 生物を死滅させるために酸化又は殺生化学物質を加えるなどの化学的処理方法;
・ 上記の様々な組み合わせ;
がある。
【0009】
特許文献1は、未処理の液体を清浄な無害の処理済液体に変換するために微生物を除去する方法を開示し、該方法においては、前記液体の処理は、液体中に存在する微生物を損傷させて微生物の死滅及び殺菌を達成する機械的処理と、塩素含有物質を液体から生成し、液体中に注入して微生物の死滅及び殺菌を達成する塩素処理とを備える。この方法は、更に、海水導入管路を経て導入された海水に、地上又は海上で、海水中の微生物の死滅及び殺菌のために無害化処理を適用するステップと、このように処理された海水をバラスト水タンクに収容するステップを含む電解液循環システムを備える。その結果として、設備及び動作コストを低減することができる。無制限の大きさの微生物の死滅及び殺菌を処理済液体の収容本体側での強度低下を生じることなく安全に達成することができる。更に、船内のバラスト水の無害化装置の設置スペースを減少させることができ、よって積荷などの積載スペースを増大することができる。更に、既存の船に対して、無害化装置を設置するための補修費を最低にすることができる。
【0010】
特許文献2は、有効量の水生生物殺傷化合物へ標的個体群を曝すことによる標的水生有害微生物個体群を制御する方法を開示する。該水生生物殺傷化合物は、キノン類、アントラキノン類、ナフタレンジオン類、キニーネ、ワルファリン、クマリン類、アンホタリド、シクロヘキサジエン−1,4−ジオン、フェニジオン、ピルドン(pirdone)、ロジゾン酸ナトリウム、アピルロジン(apirulosin)およびチモキノンからなる群から選ばれる。本方法は、水中に含まれる植物、毒性細菌および動物の移動を制御するために、船のバラスト水あるいは地域間の輸送に供する他の封入された大量の水の処理に特に有用である。
【0011】
特許文献3は、船のバラスト水中の非固有海産種及び病原菌を効果的に経済的に死滅させるシステム及び方法を開示する。好適な実施例は、バラスト水タンクに殺生剤を加え、次に還元剤を加える。次に、受入水の溶存酸素排出要件を順守するために、酸素をバラスト水に導入して余分の還元剤を除去する。
【0012】
特許文献4は、バラスト水処理システムの装置及び方法を開示する。このバラスト水処理システムは制御システム及びバラストタンクシステムを含む。制御システムはバラストタンクシステム内のバイオサイド(殺生物剤)の濃度を制御する。加えて、バラスト水処理システムは容器内で実施できる。このバラスト水処理システムは制御システム、バイオサイド発生システム及びバラストタンクシステムを含む。制御システムは、バイオサイド発生システムからバラストタンクシステムに供給されるバイオサイドの量を制御することによってバラストタンクシステム内のバイオサイドの濃度を制御することができる。更に、バラスト水処理システムは容器のバラスト水中の生物を抑制する方法を含む。代表的な方法はバラスト水を供給し、バラスト水を二酸化塩素で処理する。
【0013】
バラスト水の別の使用可能な水化学処理はSeekleen(登録商標)の使用である。Seekleen(登録商標)はバラスト水処理用の天然バイオサイドとして市販されている商品である。Seekleen(登録商標)は抗生物質薬、特にビタミンK3としても知られるメナジオンを主成分とする。抑制することを要求されている生物は植物性プランクトン、有毒渦鞭毛虫類、渦鞭毛藻シスト類、ゼブラマッセルの幼生、シープヘッドミノウの卵及び幼生、ファットヘッドミノウの幼生、アミの幼生、グラスシュリンプの幼生、カイアシ類、ミジンコ類、底生端脚原生類、及び細菌(大腸菌及びビブリオフィッシェリ)である。しかしながら、実験データは、Seekleenは動物性プランクトン及びその他の動物性微生物に対して極めて有効であることを示すが、渦鞭毛虫又は珪藻類などの植物性生物の殺生に有効でないと考えられる。
【0014】
現在開発されているすべての技法は、有効性、電力消費(運転コスト)、処理流量、水の濁り及びシステム補正などの点で用途に制限がある。更に重要なことに、すべての開発技法は多くの場合船の通常運転のバラスト及びデバラスト流量より低い限界処理流量を有する。加えて、酸化法、脱酸化法及びオゾン法は船システムに腐食問題をもたらすのみならず、火災の危険をもたらす。
【0015】
それゆえ、IMO規則を順守するとともに、価額的に優位で、設置、船上運転及び保守が容易であり、既存のバラストシステムに大きな変更を必要とせず、システムの操作のために要する船員の訓練が最低で済む新しい技法が必要とされる。
【0016】
更に、バラスト水に化学製剤を投入し、監視し、制御する自動化システム及び方法が必要とされる。
【0017】
最後に、簡単で、信頼でき、高速で、効率的であって、操作乗員の訓練又は扱いにくい機器を必要としない、生存微生物を検出する方法が必要とされる。
【0018】
水、特に海水の処理はバラスト水の分野にのみ関心があるわけではない。生物汚染された海水を処理し得る組成物の捜索を研究の目的としている他の産業応用分野がある。このような応用分野の一つに注入水を用いる石油回収分野がある。
【0019】
油井からの石油回収中、石油は最初はいくつかの自然のメカニズムによって地表に追いやられる。これは一次回収段階を構成する。これらのメカニズムは貯留層上部近くの天然ガスの膨張、原油に溶解しているガスの膨張、貯留層内の重力排水及び天然水による石油の上方移動を含む。しかしながら、一次回収段階は典型的には当初石油の約5−15%の回収率である。
【0020】
地下圧力が石油を油井の表面に押し上げるのに不十分になったら、回収率は二次回収方法によって増大させることができる。これらの方法は典型的にはガス注入及び水注入を含む。二次回収方法の使用は典型的には回収率を約15−40%に増大する。
【0021】
通常の注入用流体源は油井から発生した水である。オフショア環境においては、多くの場合海水が好適な注入水源である。どちらの水源も選択しうるが、水の純度が油井に注入される汚染物質のレベルに影響を与える。汚染物質の存在は「閉塞」、即ち油井口の閉塞を生じ、不所望な回収率の減少を生じ得る。汚染物の存在は注入装置のスケーリングも生じ得る。加えて、受入水の溶存酸素排出要件を順守するために硫酸塩還元菌などの細菌の存在が貯留層の「酸洗い」、即ち硫化水素による石油の汚染を生じる。「酸洗い」は、生成される炭化水素の値を低減し、生成される流体の攻撃性に対処するために高価な生産装置及び材料を必要とする。
【0022】
それゆえ、石油回収に使用される注入水を効率的に処理し得る組成物が必要とされる。
【0023】
本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、従来技術の一つ以上の欠点を除去もしくは少なくとも軽減することにある。
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、水、特に海水中の水性浸入生物種を現場で殺生でき且つ海洋環境内に安全に排出できる化学組成物を提供することにある。
【0025】
本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、バラスト水に化学組成物を投入し、監視し、制御する自動化システム及び方法を提供することにある。
【0026】
本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、バラスト水中の微生物を検出する方法を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】欧州特許出願公開番号EP1717205A1
【特許文献2】米国特許出願公開番号2003/012804号(PCT出願公開番号W001/60971号)
【特許文献3】米国特許出願公開番号2003/029811号
【特許文献4】米国特許出願公開番号2003/129645号
【発明の概要】
【0028】
本発明の第1の態様によれば、水性侵入生物種を現場で殺生する水処理用の組成物が提供され、該組成物は動物性微生物も植物性微生物も殺生できる少なくとも一つのバイオサイドを含む。
【0029】
処理すべき水はバラスト水を含むことができる。本発明と関連して、バラスト水は、船やオフショアプラットフォーム、例えば半潜水石油プラットフォームなど、のような可変浮力を有する任意の浮体又は半潜水構造物を安定化させるために使用される水を意味するものと理解されたい。
【0030】
水は石油回収用の注入水を含むこともできる。好ましくは、注入水は海水を含むことができる。
【0031】
典型的には、少なくとも一つのバイオサイドはブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンを含むことができる。
【0032】
典型的には、バラスト水中の少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は0.01〜5mg/Lの範囲内、好ましくは0.05〜1mg/Lの範囲内、より好ましくは0.10〜0.50mg/Lの範囲内とすることができる。
【0033】
典型的には、バラスト水中の少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は約0.15mg/Lとすることができる。
【0034】
前記組成物は更に少なくとも一つの除草剤を含むことができる。これにより、前記組成物は植物性及び動物性微生物の両方に対してより有効になる。
【0035】
好ましくは、前記少なくとも一つの除草剤はグリホスフェートを含むことができる。
【0036】
好都合には、前記組成物はそれらの殺生活性に相乗効果を示す少なくとも2種類のバイオサイドを含むことができる。
【0037】
相乗効果を示す前記組成物はブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンのうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0038】
好都合には、前記少なくとも一つのバイオサイドは処理後海水中に希釈されたとき海洋生物に対してほぼ無毒になるものとし得る。
【0039】
前記組成物は、少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物を更に含むことができる。これにより、バラスト水中における前記組成物の薬剤の分散が確実に得られる。
【0040】
典型的には、前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物と前記少なくとも一つのバイオサイドとの比は1:2〜10:1の範囲内、好ましくは1:1〜4:1の範囲内にする。
【0041】
典型的には、前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物と前記少なくとも一つのバイオサイドとの比は約2:1にする。
【0042】
典型的には、前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物はCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)又はCTAC(塩化セチルトリメチルアンモニウム)を含むことができる。
【0043】
本発明の第2の態様によれば、バラスト水を現場で処理するシステムが提供され、本システムは、バラスト水処理用組成物を投入する手段と、処理すべきバラスト水の流量又量を測定する手段と、前記組成物の投入を制御する手段と、前記組成物を貯蔵又は収容する手段とを備える。
【0044】
好都合には、前記バラスト水処理用組成物を投入する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプに嵌着又は結合することができる。
【0045】
好ましくは、前記バラスト水処理用組成物を投入する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプの入口に嵌着又は結合することができる。この構成により、前記組成物とバラスト水との効率的な混合が確実に得られる。
【0046】
好都合には、前記投入手段は少なくとも一つの低圧インジェクタを備えることができる。
【0047】
典型的には、前記少なくとも一つの低圧インジェクタは1bar以下の圧力を有することができる。
【0048】
好都合には、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプに嵌着又は結合することができる。
【0049】
好ましくは、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプの入口に嵌着又は結合することができる。
【0050】
好ましくは、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つの水流量計を備えることができる。
【0051】
典型的には、前記少なくとも一つの水流量計は超音波型にすることができる。
【0052】
使用中、前記少なくとも一つの水流量計は前記制御手段への帰還を与えることができる。
【0053】
使用中、前記制御手段は前記投入手段への前記組成物の流量を制御することができる。
【0054】
好都合には、前記制御手段は、バラスト水中の前記組成物の濃度がほぼ一定に維持されるように前記投入手段への前記組成物の流量を調整することができる。
【0055】
典型的には、バラスト水中の前記組成物の濃度は0.01〜5mg/Lの範囲内、好ましくは0.05〜1mg/Lの範囲内、より好ましくは0.10〜0.50mg/Lの範囲内に維持することができる。
【0056】
典型的には、バラスト水中の前記組成物の濃度は約0.15mg/Lに維持することができる。
【0057】
使用中、前記制御手段は、バラスト水の処理中にシステムの少なくとも一つの構成要素の少なくとも一つのパラメータを記録することができる。
【0058】
典型的には、前記制御手段は、バラスト水流量、投入流量及び貯蔵手段内の前記組成物のレベルからなるリストから選ばれる少なくとも一つのパラメータを記録することができる。
【0059】
好ましくは、前記制御手段は、システム内の少なくとも一つの異常の存在を表示するアラームシステムを備えることができる。
【0060】
典型的には、前記アラームシステムは、貯蔵手段内の低レベルの組成物、注入手段の閉塞及び電源又は回路の不良からなるリストから選ばれる少なくとも一つの異常を表示することができる。
【0061】
前記組成物を貯蔵又は収容する手段はタンクを備えることができる。
【0062】
好都合には、前記タンクのサイズは少なくとも1回のバラスト水の完全処理に十分な量の組成物を貯蔵するのに十分な大きさとすることができる。
【0063】
典型的には、前記組成物を貯蔵又は収容する手段は15Lのポリプロピレンタンクを備えることができる。
【0064】
好ましくは、前記貯蔵手段は、その貯蔵手段内の組成物のレベルを示す少なくとも一つの手段を備えることができる。
【0065】
本システムは、バラスト水中の生存微生物を検出する手段を更に備えることができる。
【0066】
好ましくは、前記検出手段は、生存微生物の代謝を検出する手段を備えることができる。
【0067】
より好ましくは、前記検出手段は、アデノシン三リン酸(ATP)又はアデノシン二リン酸(ADP)を検出する手段を備えることができる。
【0068】
最も好ましくは、前記検出手段は、ATPベース発光のアッセイを備えることができる。
【0069】
前記検出手段は、10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有することができる。
【0070】
典型的には、前記検出手段は、10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有することができる。
【0071】
好都合には、前記検出手段は、前記少なくとも一つのバラスト水ポンプの下流に装着又は設置することができる。
【0072】
使用中、前記検出手段は前記制御手段への帰還を与えることができる。
【0073】
好都合には、前記制御手段は、前記検出手段により供給される信号に基づいて前記注入手段への前記組成物の流量を調整することができる。この構成により、例えば検出手段がバラスト水中にほぼ最少レベルもしくは零レベルの生存微生物の存在を検出する場合には、前記注入手段への前記組成物の流量を減少させることができる。
【0074】
好都合には、前記制御手段は、少なくとも部分的に自動化することができる。
【0075】
好ましくは、前記制御手段は、少なくとも一つのコンピュータ又はコンピュータシステムを備えることができる。
【0076】
本発明の第3の態様によれば、バラスト水中の生存微生物の存在を現場で検出する方法が提供される。
【0077】
好ましくは、本方法はバラスト水中の生存微生物の代謝を検出するステップを備えることができる。
【0078】
より好ましくは、本方法はバラスト水中の生存微生物内のアデノシン三リン酸(ATP)又はアデノシン二リン酸(ADP)を検出するステップを備えることができる。
【0079】
最も好ましくは、本方法は、ATPベースの発光を検出するステップを備えることができる。
【0080】
本検出方法は、10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有することができる。
【0081】
典型的には、本検出方法は、10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有することができる。
【0082】
好ましくは、本検出方法は、検出前にバラスト水サンプルを濃縮するステップを備えることができる。
【0083】
典型的には、前記濃縮ステップはバラスト水サンプルをろ過及び/又は遠心分離するステップを含むことができる。
【0084】
典型的には、本検出方法は、検出前に少なくともいくつかの微生物を溶解させるステップを更に備えることができる。
【0085】
典型的には、前記溶解ステップは界面活性剤、例えばCTAB(臭化セチルトリメチル アンモニウム)又はCTAC(塩化セチルトリメチルアンモニウム)を含む混合物をサンプルに加えるステップを含むことができる。
【0086】
本発明の第4の態様によれば、バラスト水にバイオサイド組成物を供給するステップを含む、バラスト水を現場で処理する方法が提供される。
【0087】
本方法は、バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップを更に備えることができる。
【0088】
好ましくは、前記バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップは、処理すべきバラスト水の流量又は量を測定するステップを含むことができる。
【0089】
本方法は、処理すべきバラスト水の流量又は量に従って所要の量の組成物を投与するステップを更に備えることができる。
【0090】
好都合には、本方法はバラスト水への前記組成物の投与を自動的に制御するステップを備えることができる。
【0091】
典型的には、バラスト水の流量はバラスト水ポンプの入口又はその近くで測定することができる。
【0092】
典型的には、前記組成物はバラスト水ポンプの入口又はその近くで投与又は供給することもできる。この構成によれば、組成物とバラスト水との効率的な混合が確実に得られる。
【0093】
好ましくは、本方法は、バラスト水中の生存微生物の存在を検出するステップを更に備えることができる。この構成によれば、前記組成物の投与を、バラスト水中の生存微生物の実質的な除去が達成されるとき、調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第2の態様の第1の実施形態によるバラスト水処理システムの概略図である。
【図2.1】E.coli(大腸菌)の場合における細菌性細胞数と生物発光の相関関係を示すグラフである。
【図2.2】E.coli(大腸菌)の場合における細菌性細胞数と生物発光の相関関係を対数単位で示すグラフである。
【図3.1】海水サンプルを種々の濃度のブリリアントグリーンで処理したときの海水サンプル内のATPレベル(ATP発光アッセイを用いて測定される)対培養日数を示すグラフである。
【図3.2】海水サンプル内のATPレベル(ATP発光アッセイを用いて測定される)対サンプルに加えられたゲンチアナバイオレットの濃度を、培養がある場合とない場合について示すグラフである。
【図3.3】海水サンプル内のATPレベル(ATP発光のアッセイを用いて測定される)対サンプルに加えられたエリトロシンの濃度を、一夜培養があり、光活性化がある場合とない場合について示すグラフである。
【図3.4】海水サンプル内の硫黄細菌レベルを1:1のブリリアントグリーン/CTABからなる組成物の濃度に対して示すグラフである。
【図4.1】海水サンプルをブリリアントグリーン又はゲンチアナバイオレットで処理したときの海水サンプル内のATPレベル(ATP発光アッセイを用いて測定される)を処理後の日数に対して示すグラフである。
【図4.2】海水サンプルをブリリアントグリーンとゲンチアナバイオレットで同時に処理したときの海水サンプル内のATPレベル(ATP発光アッセイを用いて測定される)を処理後の日数に対して示すグラフである。
【図5.1】本発明の第1の態様の第1の実施形態による殺生組成物を構成するCTAB及びブリリントグリーンの一組の作用比及び生存濃度を得るために試験した種々の濃度を示す表である。
【図5.2】処理後4日間に亘り測定した1mL当たりの生物数対図5,1の濃度を示すグラフである。
【図5.3】0日目(即ち処理直前)の測定結果を除いた図5.2のグラフである。
【図5.4】処理後1日目に有効な殺生組成物のCTABとブリリアントグリーンの作用濃度の選択を示す表である。
【図5.5】処理後2日目に有効な殺生組成物のCTABとブリリアントグリーンの作用濃度の選択を示す表である。
【図5.6】処理後4日目に有効な殺生組成物のCTABとブリリアントグリーンの作用濃度の選択を示す表である。
【図6.1】最適な有効性を示すものとして選択された殺生組成物のCTABとブリリアントグリーンの種々の濃度を示す表である。
【図6.2】処理後4日に亘り測定された1mL当たりの生物数対図6.1の濃度を示すグラフである。
【図6.3】コントロール測定の結果を除いた図6.2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明の実施形態を、ほんの一例として、添付図面を参照して以下に説明する。
【0096】
本発明の第1の態様は、不所望な海洋動物性及び/又は植物性生物を現場で殺生する水処理用の組成物を対象とし、該組成物は動物性微生物も植物性微生物も殺生できる少なくとも一つのバイオサイドを含む。
【0097】
第1の実施形態では、処理すべき水はバラスト水である。本発明と関連して、バラスト水は、船やオフショアプラットフォーム、例えば半潜水石油プラットフォームなど、のような可変の浮力を有する任意の浮体又は半潜水構造物を安定化させるために使用される水を意味するものと理解されたい。
【0098】
別の実施形態では、処理すべき水は石油回収用の注入水であり、より具体的にはオフショア石油回収用の海水である。
【0099】
好適実施形態では、前記少なくとも一つのバイオサイドは、ブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンを含む。これらの化合物は20世紀のはじめに生産され、医療用の抗生物質として大きな有効性が示されている。加えて、それらは比較的安価である。本発明ではこれらの物質をバラスト水の処理のために選択した。
【0100】
典型的には、バラスト水中の前記少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は0.01〜5mg/Lの範囲内、好ましくは0.05〜1mg/Lの範囲、より好ましくは0.10〜0.50mg/Lの範囲であり、更により好ましくは約0.15mg/Lである。
【0101】
好適実施形態では、前記組成物は少なくとも一つの除草剤を更に含む。これにより、前記組成物は植物性及び動物性微生物の両方に対してより有効になる。
【0102】
好ましくは、前記少なくとも一つの除草剤はグリホスフェートを含む。前記組成物にグリホスフェートを使用すると、植物性代謝経路を有する海洋動物性微生物、例えば渦鞭毛虫類を除去するのに寄与する。
【0103】
好適実施形態では、前記組成物はそれらの殺生活性に相乗効果を示す少なくとも2種類のバイオサイドを含む。
【0104】
相乗効果を示す前記組成物はブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンのうちの少なくとも2つを含む。これらの化合物のうちの少なくとも2つの併用は極めて小さい濃度で微生物の成長を阻害するのみならず、すべての種類の微生物に対して相乗殺菌効果を示し、単一種の再生長又は再生を阻止する。この特徴は、処理したバラスト水の放出後に望ましくない海洋種の不所望な再成長又は再生を回避することができるために特に有利である。
【0105】
この実施形態では、本発明の第1の態様による前記組成物の少なくとも一つのバイオサイドは海水への処理後希釈時に海洋生物に対してほぼ無毒になる。典型的には、典型的な作用(working)濃度の2〜3倍に希釈されたとき、これらの化合物はすべての生物に対してほぼ無毒になる。
【0106】
好適実施形態では、前記組成物は、少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物を更に含む。これにより、バラスト水中における前記組成物の薬剤の分散が確実に得られる。
【0107】
この実施形態では、前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物はCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)を含む。このような化合物は、その分散特性に加えて、それ自体で顕著な殺生活性を有する利点も有する。しかしながら、同じ効果のために他の湿潤剤又は界面活性剤を使用することもできる点に留意されたい。
【0108】
ここで図1を参照すると、本発明の第2の態様の第1の実施形態による、バラスト水を現場で処理するシステム10が示されている。本システム10は、バラスト水処理用組成物を投入する手段20と、処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段30と、前記組成物の投入を制御する手段40と、前記組成物を貯蔵又は収容する手段50とを備える。
【0109】
好都合には、前記バラスト水処理用組成物を投入する手段20は、少なくとも一つのバラスト水ポンプ60に嵌着又は結合される。
【0110】
この実施形態では、前記組成物を投入する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプ60の入口61に嵌着又は結合される。この構成により、前記組成物とバラスト水との効率的な混合が確実に得られる。
【0111】
好都合には、前記投入手段20は少なくとも一つの低圧インジェクタ21を備える。
【0112】
典型的には、前記少なくとも一つの低圧インジェクタ21は1bar以下の圧力を有する。
【0113】
好都合には、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段30は、少なくとも一つのバラスト水ポンプ60に嵌着又は結合される。
【0114】
この実施形態では、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段30は、少なくとも一つのバラスト水ポンプ60の入口61に嵌着又は結合される。
【0115】
好適実施形態では、前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段30は、少なくとも一つの水流量計31を備える。
【0116】
典型的には、前記少なくとも一つの水流量計31は超音波型である。
【0117】
使用中、前記少なくとも一つの水流量計31は前記制御手段40への帰還を与えることができる。
【0118】
使用中、前記制御手段40は前記投入手段20への前記組成物の流量を制御する。
【0119】
好都合には、前記制御手段40は、バラスト水中の前記組成物の濃度がほぼ一定に維持されるように前記注入手段20への前記組成物の流量を調整する。
【0120】
典型的には、バラスト水中の前記組成物の濃度は0.01〜5mg/Lの範囲内、好ましくは0.05〜1mg/Lの範囲内、より好ましくは0.10〜0.50mg/Lの範囲内に維持される。
【0121】
より好ましくは、バラスト水中の前記組成物の濃度は約0.15mg/Lに維持される。
【0122】
使用中、前記制御手段40は、バラスト水の処理中にシステムの少なくとも一つの構成要素の少なくとも一つのパラメータを記録することができる。
【0123】
典型的には、前記制御手段40は、バラスト水流量、投与流量及び貯蔵手段50内の前記組成物のレベルからなるリストから選ばれる少なくとも一つのパラメータを記録することができる。
【0124】
好適実施形態では、前記制御手段40は、システム内の少なくとも一つの異常の存在を表示するアラームシステム(図示せず)を備える。
【0125】
典型的には、前記アラームシステムは、貯蔵手段内の低レベルの組成物、注入手段の閉塞及び電源又は回路の不良からなるリストから選ばれる少なくとも一つの異常を表示することができる。
【0126】
前記組成物を貯蔵又は収容する手段はタンク51を備える。
【0127】
好都合には、前記タンクのサイズは少なくとも1回のバラスト水の完全処理に十分な量の組成物を貯蔵するのに十分な大きさである。
【0128】
典型的には、前記貯蔵手段50は15Lのポリプロピレンタンクを備える。
【0129】
好都合には、前記貯蔵手段50は、その貯蔵手段内の組成物のレベルを示す少なくとも一つの手段を備える。
【0130】
好適実施形態では、本システム10は、バラスト水中の生存微生物を検出する手段70を更に備える。
【0131】
好ましくは、前記検出手段70は、生存微生物の代謝を検出する手段を備える。
【0132】
より好ましくは、前記検出手段70は、アデノシン三リン酸(ATP)を検出する手段を備える。
【0133】
この実施形態では、前記検出手段はATPベース発光アッセイ71を備える。
【0134】
前記検出手段70は、10〜10の細胞又は微生物の範囲、典型的には10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有する。
【0135】
好都合には、前記検出手段70は、前記少なくとも一つのバラスト水ポンプ60の下流に嵌着又は装着することができる。
【0136】
使用中、前記検出手段70は前記制御手段40への帰還を与えることができる。
【0137】
好都合には、前記制御手段40は、前記検出手段70により供給される信号に基づいて前記投入手段20への前記組成物の流量を調整することができる。この構成によれば、例えば検出手段70がバラスト水中にほぼ最少レベルもしくは零レベルの生存微生物の存在を検出する場合に、前記投入手段20への前記組成物の流量を減少させることができる。
【0138】
好適実施形態では、前記制御手段は、少なくとも部分的に自動化され、少なくとも一つのコンピュータ又はコンピュータシステムを備える。
【0139】
本発明の第3の態様は、バラスト水中の生存生物の存在を現場で検出する方法を対象とする。
【0140】
好適実施形態では、本方法はバラスト水中の生存生物のアデノシン・トリホスフェート(ATP)の存在を検出する。
【0141】
この実施形態では、本方法はATPベース発光アッセイを備える。この確立した方法は、蛍ルシフェラーゼの生物発光測定に基づいている。ATPは、下記の反応に従って蛍ルシフェラーゼがD−ルシフェリンの酸化を触媒作用するときに消費され、発光する。
【化1】

【0142】
この反応は以下のように分解することができる。
【化2】

【0143】
蛍ルシフェラーゼを用いるATP生物発光アッセイは、微生物ATPのレベルを精密に決定する極めてセンシティブで簡単で高速の方法である。このようなアッセイの主要部は、薬剤を用いて細胞内ATPを解放させる細胞溶解ステップにある。開放されたATPは次に生物発光反応を用いて測定される。発光の強度は微生物ATPの量に対して直線性を有し、照度計を用いて測定される。この方法は高い感度、高い再現性及びコストパフォーマンスを提供する。加えて、ワンステップアッセイの追加の利便性を提供する。
【0144】
本発明の第3の態様による検出方法は、10〜10の細胞又は微生物の範囲、典型的には、10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有する。
【0145】
好ましくは、本検出方法は、検出前にバラスト水サンプルを濃縮するステップを備える。
【0146】
典型的には、前記濃縮ステップはバラスト水サンプルをろ過及び/又は遠心分離する。
【0147】
典型的には、本検出方法は、検出前に微生物の少なくともいくつかを溶解させるステップを更に備える。
【0148】
典型的には、前記溶解ステップは界面活性剤、例えばCTAB(臭化セチルトリメチル アンモニウム)を含む混合物をサンプルに加える。
【0149】
好都合なことに、本方法は、現場で迅速に実施でき、未熟練者でも実行できる。
【0150】
本方法の小変更も考えられ、例えばADPベース発光アッセイも想定できる点に留意されたい。
【0151】
本発明の第4の態様は、処理すべきバラスト水にバイオサイド組成物を投入するステップを含む、バラスト水の現場処理方法を対象にする。
【0152】
好適実施形態では、本方法はバラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップを更に備える。
【0153】
前記バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップは、処理すべきバラスト水の流量又は量を測定するステップを含む。
【0154】
本方法は、処理すべきバラスト水の流量又は量に従って所要の量の組成物を投与するステップを更に備える。
【0155】
好適実施形態では、本方法はバラスト水への前記組成物の投与を自動的に制御するステップを備える。
【0156】
典型的には、バラスト水の流量はバラスト水ポンプの入口又はその近くで測定する。
【0157】
典型的には、前記組成物もバラスト水ポンプの入口又はその近くで投与又は供給する。この構成によれば、組成物とバラスト水との効率的な混合が確実に得られる。
【0158】
好適実施形態では、本方法はバラスト水中の生存微生物の存在を検出するステップを更に備えることができる。この構成によれば、バラスト水中の生存微生物の実質的な除去が達成されるとき、前記組成物の投与を減少させることができる。これは、バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を最少にし、よってコスト及び環境への影響を減少させるのに役立つ。
【0159】
上述した本発明の実施形態はほんの一例にすぎず、本発明の範囲を何ら制限することを意味するものではない。
【0160】
バラスト水中の生存生物の存在を現場で検出する方法はATP発光アッセイに基づくものが好ましいが、その小変更も可能であり、例えばADPベース発光のアッセイを利用することもできる。
【0161】

方法及び材料
海水試料はヘンレンズバラ(英国、スコットランド)及びラーグスエリア(英国、スコットランド、ミルポート)から収集した。
【0162】
試験前の種々の染料による海水試料の初期スクリーニングにより以下が明らかになった。
動物性プランクトン:収集されたサンプルされた海水の量を考えると、低レベルが予測された。
植物性プランクトン:これらのためのサンプルは酸性化ルゴールヨウ素又はホルマリン(10%溶液)内に固定することができる。代わりに、植物性プランクトンバイオマスをクロロフィルに基づいて評価することもできる。
細菌:DAP1を使用し、UV光下で計数する方法を直接使用した。使用DAP1濃度は250μg/mLであった。
【0163】
薬剤
以下の材料をシグマケミカル社から入手した。
・ ATPアッセイミックス:ルシフェラーゼ、ルシフェリン、MgSO4、DTT,EDTA,BSA(牛血清アルブミン)及びトリシンバッファ塩を含む冷凍乾燥粉末;
・ ATPアッセイミックス希釈緩衝剤:MgSO4、DTT,EDTA,BSA(牛血清アルブミン)及びトリシンバッファ塩を含む冷凍乾燥粉末;
・ 界面活性剤溶液:ナノピュア水中の1%(w/v)CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)
・ ADP精製されたプロテーゼ抑制剤
【0164】
緩衝液の調製
1バイアルのATPアッセイミックスの中身を5mLの減菌水に溶解してpH7.8の原液を精製した。溶解するまでそれをゆるやかな反転又は旋回により混合した。この原液は完全な溶解を確保するために少なくとも1時間氷に入れてもよい。この原液を微小遠心管内に0.1mLのアリコートに分けて−20℃で保存した。
【0165】
1バイアルのATPアッセイ希釈干渉剤の中身を50mLのナノピュア水に溶解した。この溶液は1mLのアリコートに分けて−20℃で保存した。
【0166】
アッセイ−サンプルの調製
所望の濃度を与えるために、海水試料を含有するチューブに所要量の各バイオサイド染料を減菌ピペットで加えた。
【0167】
50mLの各海水サンプルは室温で30分間4000rpmで遠心分離した。浮遊物は破棄し、ペレット(目に見えないかもしれない)を減菌パステット(pastette)で活発に混合して1mLのATP緩衝混合液内に再懸濁した。0.1mLの界面活性剤溶液を各サンプルに加えた。次に、海水生物を溶解するためにサンプルチューブを90℃の水浴中に正確に5分間置いた。代案として、(50mLの海水から)海水生物を0.22μmのフィルタ膜で採取し、上述したようにATP干渉混合液で処理した。
【0168】
ネガティブコントロールとして、(0.22μmのフィルタを通した及び/又は加圧減菌した)減菌海水を使用した。着色した薬剤をサンプルに加える場合、ネガティブコントロールにもこれらの薬剤を同じ濃度で加えた。
【0169】
1アリコート(0.1mL)のATPアッセイ混合液を解凍し、5mLの減菌透明照度計チューブに加えた。内因性ATPの加水分解を可能にし、背景を減少させるためにこれを旋回し、室温にしてもよい。
【0170】
90℃で5分間経過した直後に、0.1mLの再懸濁海水サンプルを反応管に加え、5秒間活発に回転させ、直ちに管形照度計を用いて4秒の読み取り時間で測定した。
【0171】
微生物細胞数と生物発光信号との相関関係
細菌菌株の大腸菌をミューラーヒントンIIブロス(培地)にて37℃で一晩成長させた。一晩培養物を新鮮ブロスにて50倍に希釈し、次いで誘導期に達するまで数時間培養した。培養物のサンプルを、マリンブロスを96ウェルプレートで用いてシリアルに希釈した。
【0172】
ルシフェラーゼ(シグマ)とルシフェリン(シグマ)を感度向上のために室温で1時間半平衡させ、異なる培養サンプルの各々に加えた。発光を照度計で記録し、RLU(相対照度)単位で表した。読み取り中、最初の約15,000カウント(RLU/s)は「背景雑音」に大きく依存し、よって試料の分析に関係ない点に留意されたい。
【0173】
この分析の結果は図2.1及び図2.2に示されている。図2.1及び図2.2のグラフは、細菌性細胞数と生物発光との相関関係を示す。発光信号は各測定に対する3つのレプリカの平均を表す。細菌性細胞数は寒天プレート上のコロニー形成単位を計数するプレートによって決定した。図2.1及び図2.2は発光信号と細胞数との間に直線関係を有し、検出限界は約10の細菌性細胞であることを示している。
【0174】
海水試料におけるブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及びエントロシンの毒作用の決定
種々の物質の静菌力を実験的に決定するいくつかの可能な方法がある。主な関心は成長を禁止する殺生性物質の能力にあるため、殺菌作用よりも静菌性を重要視した。静菌性は恐らく単に生体染色の発現であり、生物の再生メカニズムが破壊もしくは少なくとも機能不能にされたことを示す。
【0175】
結果
コントロール生物のノーマル誘導期に関して染料の存在下で誘導期を測定したところ、図3.1は、ミルポートからの海水サンプルを0.15mg/Lおよび0.3mg/Lのブリリアントグリーンで処理して13日間培養した結果を示し、サンプルの全ATPレベルが2日目に減少したことを示している。更に、可能な残存細菌の再生が9日目に観測され、次にATPレベルの最終的な減少が12日後に観測された。
【0176】
図3.2は、ミルポートからの海水サンプルを異なる濃度のゲンチアナバイオレットで処理したときの全ATPレベルを培養がある場合とない場合について示す。
【0177】
図3.3は、ミルポートからの海水サンプルを異なる濃度のエリトロシンで処理したときの全ATPレベルを光(60ワットで5分間)がある場合とない場合について示す。
【0178】
図3.2及び図3.3は、ゲンチアナバイオレット及びエリトロシンの両方とも海水に対し有効な殺菌特性を有することを示す。
【0179】
硫黄細菌に対するブリリアントグリーンとCTABの組み合わせの効果の決定
図3.4は、1:1のブリリアントグリーンとCTABからなる異なる濃度の組成物で処理した海水試料内の硫黄細菌の濃度を示す。図3.4から明らかなように、処理組成物は特に0.3mg/l以上の総合濃度で硫黄細菌に関して有効な殺菌特性を示す。
【0180】
相乗効果
図4.1は、ブリリアントグリーンとゲンチアナバイオレットが海水中の生物の生存能力に別々に与える影響を示す。図4.1は(ATPの存在により測定される)生存能力の不完全な低減及び7−8日後の棒状の細菌再生を示している。
【0181】
図4.2は、ブリリアントグリーンとゲンチアナバイオレットを一緒に使用したときの反復実験の結果を示す。図4.2は再生の完全な抑止を示し、2つの薬剤を同時に使用すると、試験期間の終了時に生存生物は検出できなかった。これは図4.1に示す結果から予測できなかったことであり、これらの2つの化合物の殺菌効果は飛躍的な相乗効果があることを示している。
【0182】
作用濃度の決定
殺生組成物内のバイオサイド染料及び界面活性剤の作用濃度を決定するプロセスにおいて、ブリリアントグリーンをバイオサイドとして使用し、CTABを界面活性剤として使用した。
【0183】
得られる殺生組成物中の種々の比のCTAB対ブリリアントグリーンの有効性を上述した方法を用いて評価した。
【0184】
図5.1は一組の作用比及び生存濃度を取得するために試験した初期濃度を示す。
【0185】
図5.2及び5.3に示されるように、これらの濃度はそれらの殺菌効果に種々の有効レベルを示した。
【0186】
処理後の1日目、2日目及び3日目において許容殺菌活性を示した特定の比及び濃度が図5.4、図5.5及び図5.6に示されている。これらの表に示されるように、最良の結果はCTAB対ブリリアントグリーンの比が1:1〜10:1の範囲及びブリリアントグリーン濃度が約0.1〜0.5mg/Lの範囲に対して達成された。
【0187】
有効性の最適化
図5.2及び図5,3に示す結果及び図5.4〜図5.6に示す作用濃度に基づいて、最適な比及び濃度のCTAB及びブリリアントグリーンを殺生組成物として使用するために選択した。これらの選択した濃度は図6.1に示されている。特に、2:1の特定の比のCTAB対ブリリアントグリーン及び0.15mg/L〜0.3mg/Lの範囲のブリリアントグリーンの濃度を選択した。
【0188】
図6.1の濃度の殺菌効果を次に再度試験した。その結果が図6,2及び図6.3に示されている。
【0189】
これらの結果は、約2:1のCTAB対ブリリアントグリーンの比が海水生物の殺生に良好な有効性をもたらすことを示している。更に、0.15mg/L〜3.0mg/Lの範囲内のブリリアントグリーンの濃度が最適な結果をもたらすと思われる。
【0190】
バラスト水の処理のための使用においては、特定の濃度の殺菌染料の選択は海洋航海の長さに依存し得る。例えば、長い航海中は、海洋生物は比較的長い期間に亘って殺生組成物に曝されるため、図6.1の濃度番号4のような比較的低い投入量(0.15mg/Lのブリリアントグリーン)で十分とすることができる。しかし、航海が例えば1日のように短い場合には、暴露時間が短いので、水性有害種の完全な殺生を達成するために高い投入量(例えば図6,1の濃度番号1、0.3mg/Lのブリリアントグリーン)が必要とされ得る。
【0191】
しかしながら、CTAB対ブリリアントグリーンの比は個々のバラスト水状態に応じて異なる比を有効とすることができる点に留意されたい。更に、ブリリアントグリーンの濃度も個々のバラスト水状態に応じて異なる濃度を有効とすることができる。
【0192】
航海試験
航海試験をティーケイ物流の商船「SSポーラスピリット号」に対して行った。SSポーラスプリット号は日本の横浜ガスターミナルからアラスカのニキスキ港まで往復20日の航海をする液化天然ガス輸送船である。この船の総バラスト水容量は36570mである。投入システム及び処理の有効性試験を4回実行可能とするために2往復の航海を準備した。
【0193】
バラスト水は、横浜ガスターミナルで、荷揚げ後にのみ船に載せられ、その後ニキスキ港で荷積み時に放出される。実行する試験の回数を最大にするために、すべてのバラスト水が空にされるアラスカから日本への帰路中に、船のスタビライザタンクに含まれる水に対して行うことに同意した。船のスタビライザタンクは、それらの容量が小さいため及び航海中に操業スケジュールを中断することなく空にすることができるために、常に化学処理のために使用できる。それより大きなバラストタンクは参照及びコントロール目的のために維持する。船は荷揚げ後にバラスト水を運ばないので、航海のこれらの区間においてはスタビライザタンクを参照として満たさなければならない。
【0194】
この試験を船上で実行するのに最も有益な船としてSSポーラスプリット号を選択した理由は、港から港まで9日間の航海時間がゆっくり効果を発揮する低濃度の処理を試験するために十分な長い時間スケールを提供するため及び2つの環境的に異なる水域間を移動するためである。横浜の荷揚げ港の完全な海水と対照的に、アラスカのニキスキの荷物積み込み港の水は海岸地域への多量の淡水及び融氷水の流入のために汽水性である。従って、これらの2つの港は、海水域のみを航海する船から発見されるより広範囲の様々な水性生物の種及び環境パラメータを提供する。それゆえ、本システムは試験中に様々な水温、沈殿物、塩分及び種にさらされる。
【0195】
本処理方法を構成する投入装置及び化学物質は、ティーケイ物流からの手配によって、研究人材の到着及び乗船前に、必要な科学研究装置と一緒に船に積み込み、設置した。投入装置は船の技術者によって化学処理剤をバラストポンプ1番に投入するように設置された。投入装置は粉末化学物質から処理溶液が調製されている2×60リットルの溶液タンクに装着された。
【0196】
これらの航海試験に対して、使用する処理組成物は1:2の比及び種々の濃度のBG(ブリリアントグリーン)とCTAB(臭化セシルトリメチルアンモニウム)からなるものとした。この製剤には「ClearBal」という名前をつけた。
【0197】
第1の航海試験:日本、千葉の成田港からアラスカのニキスキ港
序文
荷揚げ後、船はアラスカまでの航海のためにその安定性及びトリムを維持するために海水バラストを吸引した。スタビライザタンクは第1の化学物質濃度を試験するために500mの水で満たすとともに、バラストタンク3番は3927mの水を含有する参照タンクとして使用した。両タンクは千葉の成田港の海水で満たした。
【0198】
この第1の試験においては、0.6mg/lのCTAB(臭化セシルトリメチルアンモニウム)と0.3mg/lのBG(ブリリアントグリーン)からなる濃度0.9mg/lのClearBal処理剤を検査した。この濃度は、(研究室において)短い時間フレームにおいて所望の結果を生じる化学物質の最低濃度であることが確かめられたので、この濃度を本システムで使用する所望の最終濃度とした。
【0199】
方法
500mの水を処理するには、ClearBal処理剤の5%溶液を9リットル投入装置によりバラストポンプを通して加える必要があった。500gのCTAB及び250gのBGを計量し、貯蔵タンク内の15リットルの水に溶解した。配管は選択したタンクへの投入前に投入溶液で満たした。
【0200】
生物学的有効性試験は、生物学的含有量の0日データを与えるためにバラストシステムから未処理の参照試料をサンプリングし、次に参照タンク及び処理タンクを所定の時間間隔で同時にサンプリングすることによって実行した。
【0201】
0日サンプリングは入力バラストポンプからの水をホースシステムへ迂回させることによって行った。消防ホースを用いて5mの水を50μmのメッシュフィルタに通し、残存生物を分析及び計数のために抽出した。このプロセスは50μmより大きい生物の評価のみを可能にする。バラスト水品質に対するIMOガイダンスは、50μmより大きい生物の評価に加えて、50μmより小さいが10μmより大きい生物を評価することも要求している。この要求を達成するために、更に20リットルの水をバラストタンクからフィルタ無しで直接取り出す必要があった。この場合、船は消防ホースを用いて満たした。
【0202】
水の後続のサンプルは時間0から36,52,58及び76時間の間隔で抽出した。サンプリングによる海産種の損傷を防ぐために、これらのサンプルは試験中のタンク内の水中を50μmのプランクトントウネットを少なくとも垂直方向に引くことによって採取した。ネットの開口の面積を計算し、これに水中を引いた垂直距離を乗算することによって、ネットを通過した水の量を得ることができる。この方法は50μmより大きい種を優しく残存させ、生物がサンプリングプロセスで殺されることにより誤った結果を生ずることが少なくなる。50μmより小さいが10μmより大きい生物の分析のための水を採取するために、ニスキン採水器を用いて、タンク内の3つの異なる垂直深さから一度に5リットルの水を採取した。これらは水柱の上部、中央部、底部とした。タンク内の水へのアクセスはデッキ上に設置されたマンホールを通して行った。
【0203】
環境パラメータは、サンプルの抽出直後に携帯測定装置を用いて、塩分、温度,pH及び水の溶存酸素量を測定することによって評価した。
【0204】
サンプルの生物学的含有量は顕微鏡を用いて評価した。水サンプルは、存在する種の代表的な計数を可能にするセジウィックラフター計数チャンバを用いて分析した。計数チャンバは1mlの液体を保持し、顕微鏡下で見ることができる1000盤目に分割されている。複数の盤目内の生物を計数し、得られた数値を、計数した盤目数で1000を割って得られる値だけ拡大することによって、1ml中に存在する生物数の正確な指示を得ることができる。プランクトントウネットを通過した水の量は分かっているので、ネットに残存する生物はその水の量からの生物の総数であると仮定することができる。これらの生物を次に100mlの海水に懸濁し、100の1ml計数チャンバ内に存在する種を分析することによって、全100mlの濃縮を精密に計数することができ、この数はトウネットを通過した水の総量内に存在する生物の数となる。これは1mの水中内に50μmより大きい生物は10以下にすべきというIMOバラスト水品質ガイダンスを満たす処理をその能力について評価をすることを可能にする。
【0205】
50μmより小さく10μmより大きい生物は50μmより大きい生物のようにフィルタによって濃縮しなかったが、計数チャンバを用いて同様に評価した。IMOガイダンスは、処理したバラスト水はこれらの生物を水1mlにつき10以下にしなければならないことを規定している。この大きさ範囲の分析のために抽出した15リットルの水から、100mlを1ml計数チャンバ内で計数した。
【0206】
【表1】

【0207】
表1は、ClearBalで処理したタンクと参照タンクの双方における50μmより大きい生物の数を示す。9066の生物/mの初期値から、コントロールタンク内において若干の減少が存在するが、ClearBal溶液で処理したタンクは78時間以内に9.43の生物/mの値になり、よってIMOバラスト水質ガイドライン内になることが明らかである。同時に、同じ時間間隔で参照タンクは5817.29の生物数/mを含む。
【0208】
【表2】

【0209】
表2は、ClearBalで処理したタンクと参照タンク内に存在する50μmより小さいが10μmより大きい生物の数/mlを示す。112の生物/mlの初期値から、CearBal処理はこの値を38時間以内に0に減少させること明らかである。これはバラスト水1mlにつき10未満というIMOガイドラインを満足する。コントロールタンク内の生物数は変動するが処理したタンク内の生物数より著しく高い。
【0210】
環境パラメータ:
pH、温度、塩分及び溶存酸素量を含む環境パラメータを測定した。極めて僅かな変化が実験の継続時間に亘って観測された。これは処理及び未処理の両タンクに対して同じであった。
【0211】
結論:
0.6mg/lのCTAB及び0.3mg/lのBGからなる0.9mg/lの濃度のClearBal処理溶液は処理したタンク内のバラスト水をIMOガイドラインで許容し得る基準に成功裏に調製することができた。有効処理時間は約78時間であった。更に、未処理の参照タンク内の生物数は極めて高いレベルのままで、これはClearBal処理溶液が種数の減少に関与していることを示している。参照タンク内の種数の減少はバラストシステム通過中の破壊及び日光の欠乏による自然減少に起因すると考えられる。しかしながら、参照タンクは、9066の生物数/mの初期値から、78時間経過後に依然として5817の生物数/mを含むが、処理したタンクは9/mの生物数になった。
【0212】
このバラスト水処理はバラスト水中に観察される広範囲の動物性プランクトン及び植物性プランクトン種、甲殻類、軟体動物門、双殻類、多毛類、歯舌類、鞭毛虫類及び珪藻類に対して有効であることが示された。これは、ClearBal処理溶液は広範囲の種に対して有効であることを証明している。
【0213】
第2の航海試験:アラスカのニキスキ港からの日本の横浜ガスターミナル
序文
ClearBalシステムの第2の航海試験は、アラスカのニキスキ港からの日本の横浜ガスターミナルへの航海中に実行した。0.4mg/lのCTAB及び0.2mg/lのBGからなる濃度0.6mg/lの濃度のClearBal処理溶液を使用した。この試験の意図は、より長期間の有効性を考慮してより低濃度の処理溶液を使用することにある。
【0214】
船は日本への帰航中バラスト水を持たないので、本試験では2つのスタビライザタンクを参照及び処理用タンクとして使用した。参照及び処理用タンクの含有水量はそれぞれ500m及び338mであった。
【0215】
方法
0時間及びその後の60,85、110,135,160及び166時間の間隔でのサンプリングをデッキマンホールを経てスタビライザタンクへアクセスすることによって行った。直径300mmの50μmプランクトンネットを既知の深さから垂直方向引き上げる方法を用いて50μmより大きい生物を採取するとともに、ニスキン採水器を用いて50μmより小さいが10μmより大きい生物を検査するための水を採取した。採取した水の環境パラメータの評価は、前試験で使用した方法と同様に、携帯測定装置を用いて実行し、水の生物学的含有量の分析は顕微鏡及び計数チャンバを用いて実行した。
【0216】
【表3】

【0217】
表3は、ClearBalで処理したタンクと参照タンクに含有される50μmより大きい生物の数を示す。185時間のインターバルによって、0.6mg/lのClearBal処理は生物の数をバラスト水品質に関するIMOガイドラインで許容し得るレベルに減少させることが判明した。コントロールタンク内の生物数は60−185時間の間に徐々に減少するが、処理したタンク内で観測された生物数よりはるかに高いままであった。
【0218】
【表4】

【0219】
表4は、ClearBalで処理したタンクと参照タンク内に存在する50μmより小さいが10μmより大きい生物の数/mlを示す。60時間の処理時間によって、0.6mg/lのClearBal処理は生物の数をIMOガイドラインで許容可能なレベルに減少させることが判明した。コントロールタンク内の生物数は60−185時間の期間の間徐々に減少するが、処理したタンク内で観測される生物数よりはるかに高いままであった。
【0220】
環境パラメータ:
両タンクにおいて、185時間の測定期間に亘りpH、温度、塩分及び溶存酸素量に僅かな変化が観測された。
【0221】
結論:
0.4mg/lのCTAB及び0.2mg/lのBGからなる0.6mg/lの濃度のClearBal溶液は、バラスト水を185時間の期間内にIMO基準を満たすように調製することができた。この濃度は有効になるためにより長い期間を要求することが予想される。要求される185時間は、研究室の実験で観測された96時間より長く、それにはいくつかの要因が起因していた可能性がある。水サンプルの分析中、特定の珪藻は処理された水中で他の全ての種が死滅した後も生存し続けることが判明した。この珪藻は110時間後も処理水中に発見される唯一の成分であった。この種は極めて丈夫で処理の効果に耐えるものと思われる。ニキスキ湾岸地域で見られる汽水は、塩水から淡水への規則的変化のために極めて厳しい生存環境を提供し、生物はこれを克服するメカニズムを生み出す。観測された他の種は110時間の時点で処理の効果で死滅した。水中の沈殿物の量も処理の有効性に影響を与えたかもしれない。
【0222】
ニキスキ湾内の水性種の多様性は、上述した環境上の理由のために成田港内よりはるかに少なかった。この試験中に、珪藻及び甲殻種のみが観測された。
【0223】
この第2の試験によって、沈殿物は処理の作用に影響を与え、異なる沈殿物が異なる度合いの影響を与える可能性があることが確かめられた。更に、いくつかの種は他の種よりも処理の作用によく耐え得ることも観測された。
【0224】
第3の航海試験:日本の横浜ガスターミナルからアラスカのニキスキ港
序文
この航海に対して、高濃度で短期間で有効な2つの処理を試験した。使用したClearBalの濃度は、0.8mg/lのCTAB及び0.4mg/lのBGからなる濃度1.2mg/lの濃度及び1mg/lのCTAB及び0.5mg/lのBGからなる濃度1.5mg/lの濃度を使用した。これらの処理濃度は研究室ベースの調査では24時間以内に有効になることが確かめられた。
【0225】
2つの濃度をこの航海試験中に調査するので、この処理を行うために船首及び船尾スタビライザタンクを用い、バラストタンク3番を参照タンクとして使用した。554mの水を含有する船尾スタビライザタンクを1.5mg/l溶液の試験のために使用し、333mの水を含有する船首スタビライザタンクを1.2mg/l溶液の試験のために使用した。
【0226】
方法
上述の試験と同様に300mm30μmトウネット及びニスキン採水器を用いてサンプリングを行った。携帯装置を用いて環境パラメータを記録し、顕微鏡及び計数チャンバを用いて水の生物学的含有量を評価した。
【0227】
【表5】

【0228】
表5は、1.5mg/l及び1.2mg/lのClearBal溶液の有効性を示す。1.5mg/l溶液は39時間で水をIMO基準に調整した。1.2mg/l溶液は62時間後に有効になった。この期間中、参照タンク内に存在する生物の数は高いままであり、62時間の時点では、処理した水は0であるのに対して565697/mあった。
【0229】
【表6】

【0230】
表6は、処理した水及び参照水に存在する50μmより小さいが10μmより大きい生物の数/mlを示す。1.5mg/l及び1.2mg/lの両溶液とも、バラスト水をこの範囲の種に対して39時間でIMO基準を満たすように調整した。未処理の参照水は、39時間及び62時間の間も、著しく多数の種を含んだままであった。
【0231】
環境パラメータ:
この試験の62時間の期間に亘って、スタビライザタンク及び参照タンク内に存在する環境パラメータは同等であり、その期間中に僅かに変化するだけであることが確かめられた。
【0232】
結論:
ClearBalの1.5mg/l及び1.2mg/l溶液は、1.5mg/lについては39時間で、1.2mg/lについては62時間で、バラスト水をIMO規定を満足するように調整することができた。
【0233】
横浜からの水中には広範囲の種が存在した。これは、広範囲の種に対して有効であるというClearBal処理の能力を証明している。小魚、クラゲ、えびの幼生、かにの幼生、軟体動物及び二枚貝の幼生並びに多くの種々の植物性プランクトンが観察された。
【0234】
この水処理は、処理水をIMOバラスト水ガイドラインを満足するように調整するのに成功した。特に日本領海からのバラスト水には研究室ベースの実験中に使用したバラスト水よりもはるかに多種類の多数の種が存在するので、種の豊富性及び多様性は問題にならないと思われる。
【0235】
第4の航海試験:アラスカのニキスキ港から日本の横浜ガスターミナル
序文
更に増加した処理濃度を用いる試験を行った。ニキスキ湾からの水及び生物は低投入量の処理に対して予め極めて強い回復力を持っているので、1,2mg/lのCTAB及び0.6mg/lのBGからなる1.8mg/lのClearBal濃度を用いた。
【0236】
第2の航海試験の場合と同様に、スタビライザタンクの一つを参照用に、他の一つを試験用に使用した。参照タンクは554mの水を含む、試験用スタビライザタンクは333mの水を含む。
【0237】
方法
300mm30μmトウネット及びニスキン採水器を用いてサンプリングを上述したように行った。携帯装置を用いて環境パラメータを記録するとともに、顕微鏡及び計数チャンバを用いて水の生物学的含有量を評価した。サンプルは、試験下のタンクにデッキのマンホールを経てアクセスして、24、64、89、114及び139時間の間隔で採取した。
【0238】
【表7】

【0239】
表7は、24、64,89、114及び139時間の時点における1.8mg/lのClearBal処理の効果を示す。1m当たりの生物数は24−89時間の間でゆっくり減少し、89−139時間の間で急激に低下した。参照タンク内の生物の数は24−139時間に亘って減少を示すが、1m当たりの生物数は依然として処理したタンク内の生物数より著しく高い。
【0240】
【表8】

【0241】
表8は、参照タンク及び処理タンク内に含まれる50μmより小さく10μmより大きい生物の数を示す。ClearBal処理はこの大きさ範囲内のすべての生物を24時間で除去した。参照タンク内の生物数は最初の64時間の間高いままであるが、89時間までに大幅に減少し、114及び139時間では観測されない。
【0242】
環境パラメータ:
環境パラメータ、即ち温度、塩分、pH及び溶存酸素量は両タンクにおいて同程度であり、139時間の期間に亘って殆ど殆ど変化しない。
【0243】
結論:
1,2mg/lのCTAB及び0.6mg/lのBGからなる1.8mg/lのClearBal溶液は139時間後にバラスト水を1MO放出基準を満たす状態に調整できた。この比較的長い期間はすでに第2の航海試験中に記録された観測結果で説明できる。バラスト水中に懸濁された転電物の量及び種類は処理の有効性に悪影響を与えるように観測された。アラスカの氷河堆積物は日本領海に見られる海洋沈殿物よりも効果的に処理の活性成分を中和する能力を有するものと思われる。これに加えて、アラスカの汽水中には極めて回復力の強い珪藻種が存在し、それらを死滅させるためには多量の処理溶液にさらすことが要求される。この種はこの第4の試験中に豊富に存在していた。他のすべての生物は64時間の時点で死滅した。50μmより小さく10μmより大きい種に対して得られた結果から、この水処理は39時間後に有効であることが判明した。アラスカ海域からの他の植物性プランクトン種のようなこれらの小さい鞭毛種は処理溶液の効果に耐える能力を持っておらず、短時間で死滅した。
【0244】
ClearBal処理溶液はバラスト水をIMOガイドラインにより要求されている基準を満たす状態に調整することに成功することが分かった。種々の濃度が種々の時間スケールにおいて有効であることが分かった。投与装置及び粉末成分からの化学溶液の製造は商業物流の産業環境において容易に実施できる簡単で効率的なプロセスであることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性侵入生物種を現場で殺生する水処理用の組成物であって、
該組成物は動物性及び植物性の両微生物を殺生できる少なくとも一つのバイオサイドを含み、
前記少なくとも一つのバイオサイドはブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンを含む、組成物。
【請求項2】
前記水中の前記少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は0.01〜5mg/Lの範囲内である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記水中の前記少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は0.10〜0.50mg/Lの範囲内である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水中の前記少なくとも一つのバイオサイドの各々の濃度は約0.15/Lである、請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は更に少なくとも一つの除草剤を含む、請求項1−4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも一つの除草剤はグリホスフェートを含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物はそれらの殺生活性に相乗効果を示す少なくとも2種類のバイオサイドを含む、請求項1−6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物はブリリアントグリーン、ゲンチアナバイオレット及び/又はエリトロシンのうちの少なくとも2つを含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物内の前記少なくとも一つのバイオサイドは処理後海水中に希釈されたとき海洋生物に対してほぼ無毒になる、請求項1−8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物を更に含む、請求項1−9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物と前記少なくとも一つのバイオサイドとの比は1:2〜10:1の範囲内である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物と前記少なくとも一つのバイオサイドとの比は2:1である、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも一つの湿潤剤又は界面活性剤化合物はCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)又はCTAC(塩化セチルトリメチルアンモニウム)を含む、請求項11−12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記水はバラスト水である、請求項1−13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記水は石油回収用の注入水である、請求項1−13のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
バラスト水を現場で処理するシステムであって、
バラスト水処理用組成物を投入する手段と、
処理すべきバラスト水の流量又量を測定する手段と、
前記組成物の投入を制御する手段と、
前記組成物を貯蔵又は収容する手段と、
を備える、バラスト水処理システム。
【請求項17】
前記バラスト水処理用組成物を投入する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプに嵌着又は結合される、請求項16記載のバラスト水処理システム。
【請求項18】
前記バラスト水処理用組成物を投入する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプの入口に嵌着又は結合される、請求項17記載のバラスト水処理システム。
【請求項19】
前記投入手段は少なくとも一つの低圧インジェクタを備える、請求項16−18のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項20】
前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプに嵌着又は結合される、請求項16−19のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項21】
前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つのバラスト水ポンプの入口に嵌着又は結合される、請求項20のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項22】
前記処理すべきバラスト水の流量又は量を測定する手段は、少なくとも一つの水流量計を備える、請求項16−21のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項23】
前記少なくとも一つの水流量計は前記制御手段への帰還を与える、請求項22記載のバラスト水処理システム。
【請求項24】
前記制御手段は前記投入手段への前記組成物の流量を制御する、請求項16−23のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項25】
前記制御手段は、バラスト水中の前記組成物の濃度がほぼ一定に維持されるように前記投入手段への前記組成物の流量を調整する、請求項24に記載のバラスト水処理システム。
【請求項26】
前記制御手段は、バラスト水の処理中に、バラスト水流量、投入流量及び貯蔵手段内の組成物レベルからなるリストから選ばれる前記システムの少なくとも一つの構成要素の少なくとも一つのパラメータを記録することができる、請求項16−25のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項27】
前記制御手段は、貯蔵手段内の低レベルの組成物、投入手段の閉塞及び電源又は回路の不良からなるリストから選ばれる前記システム内の少なくとも一つの異常を表示するアラームシステムを備える、請求項16−26のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項28】
前記組成物を貯蔵又は収容する手段はタンクを備える、請求項16−27のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項29】
前記タンクのサイズは少なくとも1回のバラスト水の完全処理に十分な量の組成物を貯蔵するのに十分な大きさである、請求項28記載のバラスト水処理システム。
【請求項30】
前記組成物を貯蔵又は収容する手段は15Lのポリプロピレンタンクを備える、請求項16−29のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項31】
前記バラスト水中の生存微生物を検出する手段を更に備える、請求項16−30のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項32】
前記検出手段は生存微生物の代謝を検出する手段を備える、請求項31記載のバラスト水処理システム。
【請求項33】
前記検出手段はアデノシン三リン酸(ATP)又はアデノシン二リン酸(ADP)を検出する手段を備える、請求項31又は32記載のバラストシステム処理システム。
【請求項34】
前記検出手段はATPベースの発光アッセイを備える、請求項31−33のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項35】
前記検出手段は10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有する、請求項34記載のバラスト水処理システム。
【請求項36】
前記検出手段は10〜10の細胞又は微生物の範囲の検出限界を有する、請求項34又は35記載のバラスト水処理システム。
【請求項37】
前記検出手段は前記少なくとも一つのバラスト水ポンプの下流に嵌着又は装着される、請求項31−36のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項38】
前記検出手段は前記制御手段への帰還を与える、請求項31−37のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項39】
前記制御手段は、前記検出手段により供給される信号に基づいて前記投入手段への前記組成物の流量を調整する、請求項38記載のバラスト水処理システム。
【請求項40】
前記制御手段は少なくとも部分的に自動化されている、請求項16−39のいずれかに記載のバラスト水処理システム。
【請求項41】
前記制御手段は少なくとも一つのコンピュータ又はコンピュータシステムを備える、請求項40記載のバラスト水処理システム。
【請求項42】
請求項31−41のいずれかに記載のシステムを用いてバラスト水中の生存微生物の代謝を検出するステップを備える、バラスト水中の生存微生物の存在を現場で検出する方法。
【請求項43】
前記検出方法は検出前にバラスト水サンプルを濃縮するステップを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記濃縮ステップはバラスト水サンプルをろ過及び/又は遠心分離するステップを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記検出方法は検出前に少なくともいくつかの微生物を溶解させるステップを更に備える、請求項42−44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記溶解ステップは界面活性剤、例えばCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)又はCTAC(塩化セチルトリメチルアンモニウム)を含む混合物をサンプルに加えるステップを含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
請求項1−14のいずれかに記載のバイオサイド組成物を処理すべきバラスト水に投入するステップを含む、バラスト水を現場で処理する方法。
【請求項48】
バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップを更に備える、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記バラスト水の処理に必要とされる組成物の量を決定するステップは、処理すべきバラスト水の流量又は量を測定するステップを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
処理すべきバラスト水の流量又は量に従って所要の量の組成物を投与するステップを更に備える、請求項47−49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記方法はバラスト水への前記組成物の投与を自動的に制御するステップを備える、請求項47−50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
バラスト水の流量はバラスト水ポンプの入口又はその近くで測定する、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記組成物はバラスト水ポンプの入口又はその近くで投与又は供給する、請求項47−52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記方法はバラスト水中の生存微生物の存在を検出するステップを更に備える、請求項47−53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
請求項16−46のいずれかに記載のシステム又は方法において、前記組成物は請求項1−14のいずれかに記載の組成物である、システム又は方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【公表番号】特表2012−516314(P2012−516314A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546949(P2011−546949)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000134
【国際公開番号】WO2010/086604
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(598097622)ユニバーシティ オブ ストラスクライド (15)
【氏名又は名称原語表記】University of Strathclyde
【Fターム(参考)】