説明

バラスト水処理装置および方法

本発明はバラスト水処理装置および方法に係り、その目的は、海洋生態系の破壊または撹乱を防止できるように船舶のバラスト水を管理するためにバラストタンクに注水したりバラストタンクから排水されたりするバラスト水を対象とする海水の流量に基づいて電気分解による殺菌剤産生、投入、除去などを精度よく制御する装置と方法を提供するところにある。このような目的を達成するための本発明は、濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生する電気分解モジュール4と、水素ガスを分離する気液分離器5と、バラスト水を微細気泡化させて残留塩素を除去して還元剤を混合供給するマイクロバブル発生器18と、過流を発生させる過流誘導器19と、塩分計8、流量計9、残留塩素測定器10、海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4、残留塩素測定器16、マイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御するコントロールシステム12と、を備えるバラスト水処理装置およびこれを用いた処理方法をその技術的思想の特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバラスト水処理装置および方法に係り、さらに詳しくは、船舶の運航中にバラストタンクにバラスト水としての海水を注水するときに海水中に含まれている水中生物、細菌および一般微生物を除去した状態でバラストタンクに注水するために海水を電気分解して消毒剤を産生し、産生された消毒剤を精度よく制御し且つ海水に投入して注水する海水を浄化し、さらにバラストタンクから海洋に排水されるバラスト水をも精度よく且つ信頼性よく還元剤を用いて物理処理して環境に無害なレベルで海洋に排水するバラスト水の浄化処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油槽船や貨物運搬船などの船舶においては、原油などの貨物を輸入国まで運び、前記貨物を港に降ろした後には該重量に相当する海水を船内のバラストタンク内に貯水することが行われる。このように海水を船内に貯水することは、貨物を降ろした後に船内が軽くなることに起因して航海中にバランスが崩れることを未然に防止するために、吃水(船舶が浮かんでいる時、水面から船体最下部までの距離)およびトリム(船首と船尾の吃水の差)を調整するためである。
【0003】
すなわち、船舶はある程度の重量がなければ浮力により吃水線が船舶の下部に下がり、すると、船舶のプロペラなどが露出されて推進力を得られなくなるという問題点、または、航海時に内破力が低下して航海に多大な負荷がかかるという問題点、または船体が破壊されるなどの問題点が発生する恐れがあるためである。
【0004】
これらの問題点を防止するために、船舶のバランスを取るために、貨物がない場合にはバラスト水を積み込み、貨物を積み込むときにはバラスト水を排水することとなる。
【0005】
上記の貨物の輸入国は、換言すれば、バラスト水の輸出国となる。一方、バラスト水を積み込んでいる船舶は輸入国から貨物の輸出国などに向かって航海し、前記輸出国の近海中にバラスト水を排水する。このため、貨物の輸出国などは、換言すれば、バラスト水の輸入国となる。
【0006】
ところが、バラスト水はバラスト水の輸出国の近海中に生存している特異な悪性微生物や細菌などを含む場合がある。
【0007】
このような特異な悪性微生物や細菌などを含むバラスト水が輸入国の近海に排水したときに生態系破壊などの被害が発生するため、バラスト水を通じた水生生物の国政的な移動が問題となっている。
【0008】
したがって、船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約(以下、バラスト条約と略称する。)が、2004年2月13日に英国(ロンドン)において、参加国74カ国により採択された。この条約では、バラスト水の輸入国内の近海にバラスト水を排水するときの排水基準として、いわゆるバラスト水排水の生物基準が設定された。この基準を充足しなければ、バラスト水の輸入国はバラスト水の排水、すなわち、バラストの収容を拒否することができる。バラスト水排水の生物基準としては、具体的には、最小サイズが5μm以上の水生生物は「10個/1m」未満、10〜50μm未満の水生生物は「10個/1ml」未満、また、指標微生物のうち毒性ビブリオコレラは「1cfu/100ml」未満、大腸菌は「250cfu/100ml」未満、腸球菌は「100cfu/100ml」未満でバラスト水を排水しなければならない(cfu:群体形成単位)。
【0009】
上記の如きバラスト水の船内への積み込み時の浄化方法と海洋への排水時の浄化方法が様々に開発されているが、このような浄化方法のうち、海水を電気分解して殺菌剤を産生し、これを用いてバラスト水を処理する基本方法としては、海水直接電解法と海水間接電解法がある。
【0010】
まず、前記海水直接電解法は、バラストタンクに注水する海水、すなわち、バラスト水(BW;Ballast Water)の全量を電解槽に通過させて連続殺菌する方法であり、この海水直接電解法は、産生される殺菌剤によってさらに酸素系直接電解法と塩素系直接電解法とに大別される。
【0011】
酸素系直接電解法は、殺菌剤としてOH、O、Hを使用する方法であり、電極としてはBDDを使用する。このような酸素系直接電解法のメリットとしては、設備構造が簡単であり、殺菌速度が高く、消毒副産物が少なく、殺菌剤の中和が不要であるということが挙げられる。これに対し、欠点としては、高いレベルのフィルタが要求され、使用電極が高価であり、殺菌剤の残留がないため放出時に再殺菌が必要であり、電解槽が汚れ易く、殺菌効果に対する検証が必要であり、発生水素のバラストタンクへの流れ込みによる爆発が懸念されるということが挙げられる。
【0012】
また、塩素系直接電解法は、殺菌剤としてNaOCl、OCl、HOClを使用する方法であり、電極としてはDSAを使用する。このような塩素系直接電解法のメリットとしては、設備構造が簡単であり、残留殺菌効果があり、低レベルのフィルタを使用するということが挙げられる。これに対し、欠点としては、殺菌制御が困難であり、殺菌速度が低く、消毒副産物を生成し、殺菌剤中和が必要であり、電解槽が汚れ易く、発生水素のバラストタンクへの流れ込みによる爆発が懸念され、しかも、電解効率が水質に敏感であるということが挙げられる。
【0013】
一方、前記海水間接電解法は、バラストタンクに注水する海水、すなわち、バラスト水(BW;Ballast Water)の一部だけを電解して殺菌剤を製造し、これを流入させるバラスト水に定量投入する方法であり、殺菌剤としては塩素系殺菌剤を使用する。具体的に、消毒剤としては、NaOCl、OCl、HOClを使用し、電極としてはDSAを使用する。このような塩素系間接電解法のメリットとしては、殺菌効率制御が容易であり、設備の耐久性が高く、極板の寿命が長く、残留殺菌効果があり、しかも、実証技術(適用先が多い)であるということが挙げられる。これに対し、殺菌速度が低く、消毒副産物を発生して殺菌剤の中和が必要であるという欠点があるが、これは、塩素系直接および間接電解法に共通する欠点であり、その他の化学的な処理方法においても薬品の添加に伴って中和剤を注入することを余儀なくされるという欠点を有している。
【0014】
上述した海水の直間接電解法のうち、塩素系間接電解法の場合、残留消毒性および水素安全性などを併せ持つため、直接電解法に比べて殺菌制御性と設備安全性を確保することができ、直接電解に比べて1/50〜1/200規模の海水を使用するため電解槽の負荷および設置面積が低下して付帯安全設備などを設置することが容易であるため、電解法中のうち最も信頼性よく、且つ、効率よい電解法であるといえる。
【0015】
以下、添付図面に基づき、従来の技術を詳述する。
【0016】
図13は、従来のバラスト水を処理する海水間接電解法の一実施の形態による概略構成図であるが、同図に示すように、その構成が、バラストタンク内に積み込まれるバラスト水の有害物を次亜塩素酸ナトリウムにより除去するために船舶の外部の海から流入する取水ラインを介して供給される海水をろ過および分離する前処理部110が設けられたバラスト水処理装置において、前記前処理部110を通った海水の一部を流入させるポンプ121が配備され、前記ポンプ121および流量計122を経た海水を貯水する海水供給部123が配備され、前記海水供給部123から供給される海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを生成させる発生器124が配備され、前記発生器124において生成された次亜塩素酸ナトリウムを貯留する貯槽125が配備され、前記貯槽125から供給される次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定する濃度測定器126が配備され、前記濃度測定器126および流量計127を経た次亜塩素酸ナトリウムの供給量および濃度を制御して供給する次亜塩素酸ナトリウム供給部128が配備された構成であることが分かる。
【0017】
また、バラストタンク129に貯水されたバラスト水を排水するときにバラスト水に紫外線を照射する紫外線照射部130が配備されていることが分かる。
【0018】
図14は、従来のバラスト水を処理する海水間接電解法の他の実施の形態による概略構成図であるが、同図に示すように、その構成が、取水ラインと排水ラインとの間にバラストタンクが介設され、前記取水ラインから流入する海水が前処理部を通過しつつ海水に含まれている不純物がろ過および分離され、取水パイプを介して前記海水の一部を流入して次亜塩素酸ナトリウムを生成させて、濃度調節器を経て排水パイプを介してバラストタンク内に注水するように海水変換部が配備され、前記前処理部200を通った海水に含まれている有害物の種類および濃度を検出する濃度検出器201が配備され、前記濃度検出器201はコントローラーを介して前記海水変換部202の濃度調節器と電気的に接続され、前記海水変換部202の排水パイプには噴射ノズル203が配備された構成であることが分かる。
【0019】
図15は、従来のバラスト水を処理する海水直接電解法の一実施の形態による概略構成図であるが、同図に示すように、その構成が、船舶用バラスト水に残留する細菌をはじめとする水中生物を除去または不活性化させるための消毒装置において、両端の一方側にバラスト水が吸引される流入口が配備され、他方側にはバラスト水が排水される流出口が配備され、前記流入口側に過流生成用バッフル装置320が配設され、前記流出口側には残留塩素濃度測定用センサー330が配設され、前記バッフル装置320とセンサー330との中間域のチャンバ内に一対の電極を1組とする電極組が多数配設された電解モジュール310と、前記電解モジュール310の外側に配設されて電解モジュール310に電源を供給する電源供給装置350と、前記バラスト水を吸引および排水するポンプ361と、前記ポンプ361に連通する配管および弁から構成された連結手段と、を備えた構成であることが分かる。
【0020】
しかしながら、上記の如き従来のバラスト水の処理方法のうち、図13に示す海水間接電解法は、流入するバラスト水の流量に基づく殺菌剤の投入量を精度よく制御可能な手段がないため、未処理のバラスト水、すなわち、汚染源を持ったバラスト水がバラストタンクに注水する恐れがあるという問題点がある。
【0021】
また、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる発生器において電気分解後に発生する水素ガスに対する処理手段がないため、水素ガスが積もった場合にバラストタンク内において爆発する恐れがあるという問題点がある。
【0022】
さらに、一般的にバラストタンクは運航期間を通して一回または2回ほど稼動し、ほとんどの航海時間中に作動を停止するため、装置の内部に海水が溜まっているが、このとき、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる発生器が汚れてしまう。しかしながら、このような汚染を防止可能な手段がないため、装置の耐久性が弱まるという欠点がある。
【0023】
より具体的に、図13に示す構成の問題点を調べてみると、浄水場など淡水分野に適用される次亜塩素酸ナトリウム発生装置のように発生器に所定量の海水を供給するポンプと、流量計と、ポンプから送られた海水を貯水する海水供給部とが配備され、所定流量が供給されて発生器において反応して発生された次亜塩素酸ナトリウムを貯留する貯槽と、この貯槽に貯留された次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定して所定の濃度を維持する濃度測定器と、から構成されることにより、不要な構成要素である流量計や海水供給部などが配備されるという問題点がある。すなわち、淡水とは異なり、海水は、普通、所定の濃度(淡水と海水との境界部は約1%、通常の海水は約3%)を有するため、海水の流量を測定し、これを一時的に貯水する手段は不要である。
【0024】
同様に、発生された次亜塩素酸ナトリウムを貯留する貯槽を備えることや、貯留された消毒剤の濃度を濃度測定器により測定することも決して容易ではない。その理由は、貯槽に貯えられた次亜塩素酸ナトリウムの濃度が現存する濃度測定器(0から10ppmまで測定可能)により測定するにはあまりにも高濃度(500〜8000ppm)であり、貯槽に貯えられた次亜塩素酸ナトリウムは経時的に濃度が減少(海水の場合、淡水よりも速度が速い)するため、設備を稼働してから休止期間中に濃度が低下した消毒剤が設備の稼動時に付加的な処理を経ることなく直ちに投入されるため、濃度測定器による測定を考慮しても、正確な制御は容易ではない構成である。
【0025】
また、濃度測定器において測定された濃度に基づいて、次亜塩素酸ナトリウム供給部を構成する濃度制御器およびポンプを用いて海水に投入するとき、正確な海水の流入量が分かる手段がないため、流入する海水の単位流量あたりにどれだけの次亜塩素酸ナトリウムを投入するかを制御することが容易ではないという問題点がある。すなわち、バラスト水処理装置の最も重要な目的は、バラストタンクに注水するバラスト水の流量に合わせてこれを消毒するための塩素要求量(約5〜10ppm)を一定に維持することであるが、このための手段が配設されていないという問題点がある。
【0026】
さらに、バラスト水を排水するとき、バラストタンクからのバラスト水を最終的に還元して海に排水するために紫外線照射部を使用するようになっているが、このような紫外線照射方式は、普通、船舶から流出する流量の線速度が3m/sec程度であるため滞留時間が短く、これを信頼性よく処理するためには十分な容量の紫外線照射装置が必要であり、これを稼動させるために多大な電力量が必要であるため、その実効性が疑われるという問題点がある。
【0027】
さらに、前記電解法は、バラストタンクに注水するバラスト水を直接電解して次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を製造する方法であり、バラスト水の温度変化に極めて敏感であるため、温度が低い場合にバラスト水の電気分解効率が急減するという問題点がある。
【0028】
そして、図14に示す海水間接電解法は、流入するバラスト水の流量に基づく殺菌剤の投入量を精度よく制御可能な手段がないため、未処理のバラスト水、すなわち、汚染源を持ったバラスト水がバラストタンクに流れ込む恐れがあるという問題点がある。
【0029】
また、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる海水変換部において電気分解後に発生する水素ガスに対する処理手段がないため、水素ガスが積もった場合にバラストタンク内において爆発する恐れがあるという問題点がある。
【0030】
さらに、一般的にバラストタンクには運航期間を通して一回または二回ほど稼動し、ほとんどの航海時間中には作動を停止するため、装置の内部に海水が溜まっているが、このとき、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる海水変換部が汚れてしまう。しかしながら、このような汚染を防止可能な手段がないため、装置の耐久性が弱まるという欠点がある。
【0031】
さらに、前記電解法は、バラストタンクに注水するバラスト水を直接電解して次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を製造する方法であり、バラスト水の温度変化に極めて敏感であるため、温度が低い場合、バラスト水の電気分解効率が急減するという問題点がある。
【0032】
最後に、図15に示す海水直接電解法は、流入するバラスト水の流量に基づく殺菌剤の投入量を精度よく制御可能な手段がないため、未処理のバラスト水、すなわち、汚染源を持ったバラスト水がバラストタンクに流れ込む恐れがあるという問題点がある。
【0033】
また、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電解モジュールにおいて電気分解後に発生する水素ガスに対する処理手段がないため、水素ガスが積もった場合にバラストタンク内において爆発する恐れがあるという問題点がある。
【0034】
さらに、海水が特別な前処理手段を経ないため海水内の夾雑物によるファウリングが発生して効率が減少し、しかも、未処理のバラスト水が生成する恐れがあるという問題点がある。
【0035】
さらに、一般的にバラストタンクには運航期間を通して一回または二回程度稼動し、ほとんどの航海時間中には作動を停止するため、装置の内部に海水が溜まっているが、このとき、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電解モジュールが汚れてしまう。しかしながら、このような汚染を防止可能な手段がないため、装置の耐久性が弱まるという欠点がある。
【0036】
さらに、一般的に、同じ条件下で海水の濃度によって電解(ファラデー)効率が変わってしまう結果、通常の海水内のNaCl濃度である2.5〜3%において正常作動中の電気分解モジュールは2.5%以下から急激な電解効率の低下が発生して、バラスト水全量を電解する直接消毒式の場合、このような電解効率の低下を防止する手段がないため、処理効率が海水の濃度により決定されて、未処理のバラスト水が発生するという欠点がある。
【0037】
さらに、前記電解法はバラストタンクに注水するバラスト水を直接電解して次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を製造する方法であり、バラスト水の温度変化に極めて敏感であるため、温度が低い場合にバラスト水の電気分解効率が急減するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】韓国公開特許第2007−93986号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2005−80481号公報
【特許文献3】米国特許第6171508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
上記の如き問題点を解消するための本発明の目的は、バラストタンクに注水したりバラストタンクから排水されたりするバラスト水を対象とする海水の流量に基づいて、連続して次亜塩素酸ナトリウムを生成して海水ラインに供給することにより、次亜塩素酸ナトリウムの貯留による濃度の変化がない装置と方法を提供し、バラストタンクを介して海洋に排水されるバラスト水を薬品注入方式により信頼性よく還元して無害化させることにより、海洋汚染を源泉的に排除することができる装置および方法を提供するところにある。
【0040】
本発明の他の目的は、海洋生態系の破壊または攪乱を防止できるように船舶のバラスト水を管理するために、バラストタンクに注水したりバラストタンクから排水されたりするバラスト水を対象とする海水の流量に基づいて、電気分解による殺菌剤の産生量および投入量を精度よく制御する装置と方法を提供するところにある。
【0041】
また、本発明のさらに他の目的は、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電解モジュールにおいて電気分解後に発生する水素ガスを除去して、バラストタンク内における爆発の恐れを除去する装置および方法を提供するところにある。
【0042】
さらに、本発明のさらに他の目的は、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電気分解モジュールが稼動中止期間中にも汚れないように海水を所定周期または連続して循環させて、汚染源の固着による汚染を防止して、設備の安定性を確保して耐久性を増大させる装置および方法を提供するところにある。
【0043】
さらに、本発明のさらに他の目的は、バラスト水および冷却海水などの次亜塩素酸ナトリウムの原料となる海水の流量を制御して、電気分解モジュールの電流効率を一定に維持して港別に異なる塩度による処理効率の低下を防止して信頼性のよい装置および方法を提供するところにある。
【0044】
さらに、本発明のさらに他の目的は、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電気分解モジュールに供給される原水として冷却水系を流れる冷却海水を用いて常に一定温度以上の温度を有する海水を供給することにより、次亜塩素酸ナトリウムを電気分解する効率を高める装置および方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上述した目的を達成し、且つ、従来の欠点を除去するための本発明の目的は、取水側海水ラインから流入した一部のバラスト水をコントロールシステムにより定流量に制御供給されて、電気分解モジュールにおいて濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生して、気液分離器を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいてバラストタンクに引き込まれる取水側海水ラインに供給して消毒後にバラストタンクに貯留し、排水時にバラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステムにより制御して、排水側海水ラインに供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置によって達成される。
【0046】
また、本発明の目的は、バラストタンクを通る排水側海水ラインから流入した一部のバラスト水をコントロールシステムにより定流量に制御供給されて、電気分解モジュールにおいて濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生し、て気液分離器を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいて排水側海水ラインに供給して消毒し、次いで、バラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステムにより制御し且つ供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置によって達成される。
【0047】
さらに、本発明の目的は、熱交換器を通る熱交換前の冷却海水ラインまたは熱交換後の冷却海水ラインから選択的に流入する冷却海水をコントロールシステムにより定流量に制御供給されて電気分解モジュールにおいて濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生して気液分離器を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいて取水側海水ラインに供給して消毒後にバラストタンクに貯留し、排水時にバラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステムにより制御し且つ供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置によって達成される。
【0048】
前記電気分解モジュールに給水されるバラスト水または冷却海水は、海洋微生物をろ過する前処理フィルタを経ることを特徴とする。
【0049】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステムにより制御される海水供給ポンプにより流量が調節されるように構成されたことを特徴とする。
【0050】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステムにより制御される流量制御弁により流量が調節されるように構成されたことを特徴とする。
【0051】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステムにより制御される海水供給ポンプと、海水供給ポンプから送られるバラスト水または冷却海水をコントロールシステムにより制御される流量制御弁により流量が調節されるように構成されたことを特徴とする。
【0052】
前記消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウムは、別途の電源なしにバラスト水または冷却海水の圧力変動を用いて次亜塩素酸ナトリウムを注入する自動投入器により供給されるように構成したことを特徴とする。
【0053】
前記バラストタンクに注水するバラスト水が流通する取水側海水ラインには、バラストタンクに注水するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計と、バラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器と、が配設されたことを特徴とする。
【0054】
前記バラストタンクを通ったバラスト水が流通する排水側海水ラインには、バラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計と、バラスト水の流量を測定する流量計と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器と、が配設されたことを特徴とする。
【0055】
前記熱交換前の冷却海水ラインには熱交換器に流れる冷却海水の塩分(NaCl)を測定する塩分計が配設され、取水側海水ラインには、バラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器と、が配設されたことを特徴とする。
【0056】
前記排水時に投入される還元剤は噴射ノズルにより供給するが、ここに供給される還元剤はマイクロバブル発生器により還元剤とバラスト水を微細気泡化させて残留塩素を除去して混合供給されるように構成したことを特徴とする。
【0057】
前記排水時に投入される還元剤は、マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する投入ポンプと、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンクと、により供給されるように構成したことを特徴とする。
【0058】
前記排水時に投入される還元剤は、過流を発生させる1以上の過流誘導器により混合されるように構成されたことを特徴とする。
【0059】
前記排水側海水ラインには最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定する残留塩素測定器が配設されたことを特徴とする。
【0060】
前記コントロールシステムは、バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために配設された塩分計と、流量計および残留塩素測定器からの情報を受け取って海水供給ポンプ、流量制御ポンプ、電気分解モジュールを制御するか、あるいは、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために配設された残留塩素測定器からの情報を受け取って還元剤の量を決定して残留塩素測定器により無害化の度合いを測定した情報を受け取ってマイクロバブル発生器および投入ポンプを制御するように構成したことを特徴とする。
【0061】
前記コントロールシステムは、バラストタンクを通って排水されるバラスト水に目標量だけの次亜塩素酸ナトリウムを投入するために配設された塩分計と、流量計からの情報を受け取って海水供給ポンプ、流量制御ポンプ、電気分解モジュールを制御するか、あるいは、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために配設された残留塩素測定器からの情報を受け取ってマイクロバブル発生器および投入ポンプを制御するように構成したことを特徴とする。
【0062】
前記気液分離器を通った次亜塩素酸ナトリウム供給ラインを電気分解モジュールに分岐して次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプをさらに備えるように構成したことを特徴とする。
【0063】
前記海水供給ポンプは、バラスト水または冷却海水の流量をコントロールシステムの制御により供給される電流量の変化により調節されるように構成したことを特徴とする。
【0064】
前記流量制御弁は、定流量弁に供給されるバラスト水または冷却海水の流量がコントロールシステムの制御により多数の定流量弁が選択的に開閉されて調節されるように構成したことを特徴とする。
【0065】
前記電気分解モジュールは、バラスト水または冷却海水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより定流器に供給される供給電流量が定格範囲内において制御されて次亜塩素酸ナトリウムの濃度および産生量を調節するように構成したことを特徴とする。
【0066】
前記電気分解モジュールは、目標塩素要求量である2〜10ppmを満足するように次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節するように構成したことを特徴とする。
【0067】
前記気液分離器は、外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器をさらに備えるように構成されたことを特徴とする。
【0068】
前記還元剤は、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤であるか、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるその他の還元剤のいずれか一種の還元剤であることを特徴とする。
【0069】
前記過流誘導器は、排水側海水ライン配管に内設され、複数の回転刃を有する多数のスクリューからなることを特徴とする。
【0070】
前記海洋に排水されるバラスト水または冷却海水に残留する残留塩素量の目標量は0.5〜2ppmであることを特徴とする。
【0071】
前記投入ポンプは、還元剤を定量投入するためのポンプであり、バラスト水を放流するときにバラストタンク側残留塩素測定器の総残留塩素濃度値に基づいてコントロールシステムを通じて投入ポンプ(化学当量1:1)の流量を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0072】
前記投入ポンプは、還元剤の供給が休止された還元剤貯留タンクを所定周期で循環して塩析出を防止するように構成したことを特徴とする。
【0073】
さらに、本発明の目的は、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタと、前処理フィルタから供給されるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して電気分解モジュールに供給する海水供給ポンプと、海水供給ポンプから送られるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する流量制御弁と、前記流量制御弁から供給されるバラスト水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより供給電流量が制御されて目標塩素要求量に基づいて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生する電気分解モジュールと、電気分解モジュールにおいて次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスを分離する気液分離器と、前記気液分離器に外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器と、前記気液分離器を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水する取水側海水ラインに供給する自動投入器と、取水側海水ラインを介してバラストタンクに注水するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計と、取水側海水ラインを介してバラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計と、バラストタンクの前後の取水側、排水側海水ラインに配設されて次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器と、バラストタンクに貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ラインを流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤を投入する噴射ノズルと、前記噴射ノズルに還元剤と排水側海水ラインから分流するバラスト水を微細気泡化させて残留塩素を除去して混合供給するマイクロバブル発生器と、前記マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節する投入ポンプと、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンクと、前記噴射ノズルの後段の排水側海水ラインに配設されて還元剤の中和反応を助長するように過流を発生させる過流誘導器と、過流誘導器の後段の排水側海水ラインに配設されて最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定する残留塩素測定器と、前記バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために塩分計、流量計および残留塩素測定器からの情報を受け取って海水供給ポンプ、流量制御弁、電気分解モジュールを制御するか、あるいは、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器からの情報を受け取って還元剤の量を決定し、残留塩素測定器により無害化の度合いを測定し、マイクロバブル発生器および投入ポンプを制御するコントロールシステムと、前記気液分離器と自動投入器との間の次亜塩素酸ナトリウム供給ラインの上に分岐されたラインと一方側が連結され、他方側は流量制御弁および電気分解モジュールの上に分岐されたラインと連結されて、次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプと、を備えることを特徴とするバラスト水処理装置によって達成される。
【0074】
さらに、本発明の目的は、バラスト水を流入させるステップと、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップと、供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップと、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップと、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップと、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップと、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップと、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップと、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップと、次いで、排水するステップと、を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法によって達成される。
【0075】
前記消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップをさらに含んでなることを特徴とする。
【0076】
さらに、本発明の目的は、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップと、汚染源が除去されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップと、バラストタンクから排水されるラインから流入するバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプおよび流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップと、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量の情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップと、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップと、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムを船舶の外部に排水される排水側海水ライン中のバラスト水に供給して消毒するステップと、次いで、次亜塩素酸ナトリウムが残留されたバラスト水に1次的に過流を発生させるステップと、次いで、バラストタンクから排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップと、還元剤が混入されたバラスト水に2次的に過流を発生させて混入して還元を促進するステップと、次いで、排水するステップと、を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法によって達成される。
【0077】
前記排水するステップ後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップをさらに含んでなることを特徴とする。
【0078】
さらに、本発明の目的は、バラスト水を流入させるステップと、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップと、冷却海水を熱交換前の冷却海水ラインまたは熱交換後の冷却海水ラインから選択的に流入するステップと、流入する冷却海水から海洋微生物をろ過するステップと、供給される冷却海水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプおよび流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップと、流量が可変的に供給される冷却海水を電気分解モジュールから供給されて冷却海水の塩分とバラスト水の流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップと、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップと、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップと、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップと、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップと、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップと、次いで、排水するステップと、を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法によって達成される。
【0079】
前記消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップS108後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量の冷却海水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップをさらに含んでなることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図4】本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図である。
【図7】本発明の図1に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の図2に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の図3に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の図4に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の図5に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の図6に示す実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。
【図13】従来のバラスト水を処理する海水間接電解法の一実施の形態による概略構成図である。
【図14】従来のバラスト水を処理する海水間接電解法の他の実施の形態による概略構成図である。
【図15】従来のバラスト水を処理する海水直接電解法の一実施の形態による概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、本発明の実施の形態による構成とその作用を添付図面と結びつけて詳述する。なお、本発明を説明するにあたって、関連する公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする恐れがあると認められる場合にはその詳細な説明は省略する。
【0082】
図1は、本発明の一実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であるが、同図に示すように、本発明の構成は、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタ1と、前処理フィルタ1から供給されるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して電気分解モジュールに供給する海水供給ポンプ2と、海水供給ポンプ2から送られるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する流量制御弁3と、前記流量制御弁3から供給されたバラスト水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより供給電流量が制御されて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生する電気分解モジュール4と、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスを分離する気液分離器5と、前記気液分離器5に外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器6と、前記気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに引き込まれる取水側海水ライン20に供給する自動投入器11と、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに注水するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計9と、バラストタンク13の前後の海水ラインに配設されて次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器10と、バラストタンク13に貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ライン21を流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤を投入する噴射ノズル14と、前記噴射ノズル14に還元剤と排水側海水ライン21から分流するバラスト水を微細気泡化させて供給するマイクロバブル発生器18と、前記マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する投入ポンプ15と、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンク17と、前記噴射ノズルの後段の排水側海水ライン21に配設されて還元剤の中和反応を助長するように過流を発生させる過流誘導器19と、過流誘導器19の後段の排水側海水ライン21に配設されて最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定する残留塩素測定器16と、前記バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために塩分計8、流量計9および残留塩素測定器10からの情報を受け取って海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4を制御するか、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器10からの情報を受け取って還元剤の量を決定し、残留塩素測定器16により無害化の度合いを測定してマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御するコントロールシステム12と、から構成される。
【0083】
前記送風器6は、コントロールシステム12に回路接続されてその送風器を制御する。
【0084】
前記塩分計8、流量計9および残留塩素測定器10は前処理フィルタ1を通る取水側海水ライン20の上に配設するが、残留塩素測定器10は、自動投入器11を通るバラストタンク13の前後の取水側、排水側海水ライン20、21の上に配設する。
【0085】
以下、前記各構成要素について具体的に説明する。
【0086】
前記前処理フィルタ1は、通常のフィルタの機能を有すると共に、特定のサイズ(50μmまたは30μm)以上の海洋微生物を除去するフィルタである。この前処理フィルタは自動逆洗浄機能を備えて、バラスト水を連続して処理可能な構造と容量を有する。
【0087】
前記海水供給ポンプ2は、好ましくは、バラストタンクに連通する取水側海水ライン20から分岐された分岐管の圧力の低下を防止し、かつ、電解モジュールにバラスト水を安定的に供給するための圧力を一定に維持可能なブースター型のポンプであってもよい。なお、この海水ポンプは、コントロールシステムの制御によりバラスト水の供給量を増減可能になっている。
【0088】
前記流量制御弁3としては、電気分解モジュールにバラスト水を一定の流量で供給する定流量コントロール弁を使用するが、塩分計の信号を受け取ったコントロールシステムの制御により多数の定流量弁が選択的に開閉されて塩分濃度別の一定流量を電気分解モジュールに供給するように構成される。
【0089】
このように塩分濃度別に流量を制御して電気分解モジュールに供給する理由を説明すれば、下記の通りである。
【0090】
次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)発生用電気分解装置に供給されるバラスト水中のNaClの濃度は、一般的に2.5〜3%であり、このとき、電気分解装置の電流効率は一定になる。
【0091】
もし、NaClの濃度が2.5%未満である場合には電流効率が減少するという問題があるため、その効率減少分に見合う分だけの電流を供給するか、海水を濃縮して供給する必要がある。しかしながら、電気分解モジュールの定格容量よりも多量の電流の供給は電極寿命の減少および過多設計などの問題点をもたらし、濃縮設備の別設は設置スペースの問題、希釈水排水の問題などを有しているため適用に限界がある。
【0092】
バラスト水を消毒するための塩素要求量(約2〜10ppm)は一定しているため、バラスト水の流量センサーから出力される電気信号を受け取って処理水量の変化に対応して次亜塩素酸ナトリウムを注入する制御方式であり、海水濃度別に注入量を一定にし、且つ、電気分解モジュールの電流値を調節して濃度を制御する。
【0093】
このため、低濃度の海水中の電気分解装置への海水の供給流量を増大させれば、電流効率が上がるという現象がある(電極表面の濃度勾配が小さくなる)。このような現象を用いて、低濃度の海水である場合に流量を増大させて電流効率の減少なしに(電流による次亜塩素酸ナトリウムの産生量が一定している)安定的に設備を管理し、濃度外乱とは無関係にバラスト水中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を制御することができる。
【0094】
前記電気分解モジュール4は、流入する海水のNaClを電気分解して次亜塩素酸ナトリウムに変換する装置であり、本発明の電気分解モジュールは、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを産生する通常の電気分解装置と、ここに電気を安定的に供給する定流器と、から構成されるが、コントロールシステムと回路接続されてコントロールシステムが流量計9から入力される情報に基づいてこの電気分解モジュール4の定流器に供給される電流値を調節して産生される次亜塩素酸ナトリウムの濃度を制御することとなる。
【0095】
前記気液分離器5は、電気分解モジュールにおける電気分解後にその副産物としての水素ガス(湿潤)が0.46m/kAhの値で排気され、このような水素を短時間内に次亜塩素酸ナトリウムと水素ガスとに分離し、外部の空気から1%(LEL4%)以下に希釈する装置である。
【0096】
前記送風器6は、水素ガスの希釈のために気液分離器に外部の空気を取り入れるように構成される。
【0097】
前記塩分計8は、流入するバラスト水のNaClを測定するものであり、コントロールシステム12に塩分濃度情報を転送して海水供給ポンプおよび流量制御弁などを制御する。
【0098】
前記流量計9は、バラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定するものであり、電気分解モジュールの電流値を定格範囲内において制御するための基礎データを提供する。
【0099】
すなわち、バラスト水を消毒するための目標塩素要求量(約2〜10ppm)は一定しているため、バラスト水の流量センサーから出力される電気信号を受け取って処理水量の変化に対応して次亜塩素酸ナトリウムを注入する制御方式であり、注入量を一定にし、且つ、電気分解モジュールの電流値を調節して濃度を制御する。
【0100】
前記残留塩素測定器10は、次亜塩素酸ナトリウムの注入後に残留塩素量を測定するものであり、実際に注入された残留塩素量を測定して流量に対する電気分解モジュールの電流値を補正する。
【0101】
前記自動投入器11は、別途の電源なしにバラスト水の圧力変動を用いて次亜塩素酸ナトリウムを注入する装置である。
【0102】
前記コントロールシステム12は、流入するバラスト水に次亜塩素酸ナトリウムを産生して投入するために、前処理フィルタ1、海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4、送風器6、塩分計8、流量計9および残留塩素測定器10と接続されてバラスト水中の残留塩素目標量(2〜10ppm)に基づいて前記各装置の状態情報を集めて制御するように回路接続される。すなわち、バラストタンクに注水するバラスト水に目標量だけの残留塩素量(2〜10ppm)を有するように次亜塩素酸ナトリウムを投入するために、塩分計8、流量計9および残留塩素測定器10からの情報を受け取って、海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4を制御するように回路接続される。
【0103】
また、次亜塩素酸ナトリウムにより消毒された後に残留塩素を含んでいるバラスト水を海洋に排水するときには、マイクロバブル発生器18、投入ポンプ15、還元剤貯留タンク17および残留塩素測定器10、16と接続されてバラスト水中の残留塩素目標量(0.5〜2ppm)に基づいて前記各装置の状態情報を集めて制御するように回路接続される。すなわち、海洋に排水されるバラスト水に残留塩素目標量(0.5〜2ppm)を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器10、16からの情報を受け取ってマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御するように回路構成される。
【0104】
具体的に、バラスト水の注水時における殺菌制御方法は、バラストポンプによりバラスト水が流れ込み、30若しくは50μm以上の海洋微生物を前処理フィルタにより除去した後、前処理フィルタの後段の分岐管を介して流入するバラスト水を原料として次亜塩素酸ナトリウムを製造するが、バラスト水の流入量に対して一定量の次亜塩素酸ナトリウムを発生させるために、電気分解モジュールの電流効率を一定に維持するために下記表のように制御する。
【0105】
【表1】

【0106】
また、バラスト水を排水するときの残留塩素の制御方法は、排水時に残留塩素測定器10を通じて残留塩素濃度を取得し、還元剤投入ポンプの流量を制御して1:1化学当量で投入し、残留塩素測定器16を介して排水するときの残留塩素の濃度をモニターリングし続け、管理範囲(0.5〜2ppm)の上限値において補助的な手段であるマイクロバブル(M/B)発生器を稼動して管理範囲以下(0.5〜2ppm)において常に管理されるようにする。
【0107】
前記バラストタンク13はバラスト水が貯水されるタンクであり、船舶が空荷であるときに船舶の吃水線とトリムを管理して船舶が一定の重量を有するようにして安全運航を図るための空間である。
【0108】
前記噴射ノズル14は、バラスト水の一部と還元剤との混合液を投入するためのノズルである。
【0109】
前記投入ポンプ15は、還元剤を定量投入するためのポンプであり、バラスト水の放流時に残留塩素測定器10の総残留塩素濃度値に基づいてコントロールシステムにより投入ポンプ(化学当量1:1)の流量を制御する。
【0110】
また、休止時に(還元剤の供給休止時に)は所定周期毎に還元剤貯留タンク17を循環して塩析出を防止するように構成する。
【0111】
前記残留塩素測定器16は、最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定するものであり、管理濃度範囲(0.5〜2ppm)においてバラスト水が放流可能に制御(総残留塩素濃度によりマイクロバブル発生器の作動有無を決定)する装置である。
【0112】
前記還元剤貯留タンク17は、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるその他の還元剤が貯留されるタンクであり、常に常温下及び飽和濃度で貯留されるように構成する。
【0113】
前記マイクロバブル(M/B:micro bubble)発生器は、外部の空気をポンプに加圧若しくは粉砕して注入して微細気泡を発生させて残留塩素を除去し、薬品の混入効果を増大させるものであり、残留塩素測定器16の信号により間欠的に起動するように構成する。
【0114】
前記過流誘導器19は、排水側海水ライン21の配管に内設されるものであり、複数の回転刃を有する多数のスクリューからなり、スクリューの回転によりここを通過する還元剤がバラスト水と容易に混合されるようにする装置である。これを回転させる手段は、モーター(または、水中モーター)およびこれを駆動する電源装置またはスクリューに回転力を与える通常の手段であれば十分である。
【0115】
以下、前記図1の実施の形態による作動を詳述する。
【0116】
船舶の外部と連通する取水側海水ライン20から流入するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタ1を経た後、海洋微生物が除去されたバラスト水がコントロールシステムにより制御される海水供給ポンプ2と流量制御弁3を介してコントロールシステムにより制御される電気分解モジュール4に供給されて電気分解反応が起こる。このバラスト水を電気分解すれば、バラスト水の主たる構成成分である塩化ナトリウム(NaCl)と水(HO)がそれぞれ塩素(Cl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水素(H)に分解され、塩素と水酸化ナトリウムが化学反応して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が形成されて消毒剤として用いられる。
【0117】
電気分解モジュール4において産生された次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、気液分離器5を通じて、電気分解モジュール4における次亜塩素酸ナトリウムの製造時に副産物として発生する水素ガスが除去され、送風器6により分離された水素ガスが希釈される。
【0118】
気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムは、自動投入器11を通じて移送中のバラスト水と混合されてバラスト水を消毒し、消毒されたバラスト水はバラストタンクに注水して貯水される。
【0119】
このとき、バラストタンクに注水するバラスト水に残留する残留塩素量は残留塩素測定器10により測定されてコントロールシステム12に送り込まれるが、コントロールシステム12は、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに流入するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに流入するバラスト水の流量を測定する流量計9からの情報を集めて分岐管を介して移送中のバラスト水の供給量を海水供給ポンプ2の流量制御弁3を制御して変更させ、さらに、電気分解モジュール4を制御して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の産生量を調節する。
【0120】
次いで、前記バラストタンク内に貯水されたバラスト水に含まれている次亜塩素酸ナトリウムは、所定時間が経過すれば、自然還元特性により塩化ナトリウムに還元されて自然状態の海水に変化され、この自然状態の海水は排水側海水ライン21を介して船舶の外部に排水されるが、通常、次亜塩素酸ナトリウムは全量が還元されずに残留することにより、これを再還元する過程が必要となる。
【0121】
このために、バラストタンク13に貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ライン21を流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤が噴射ノズル14を介して投入される。このように還元剤、すなわち、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるその他の還元剤のうちいずれか一種の還元剤が投入されれば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は中和反応を引き起こして塩化ナトリウム(NaCl)に還元される。
【0122】
このとき、より迅速な中和反応のために、マイクロバブル発生器18および過流誘導器19が稼動されて還元剤が信頼性よく中和反応を引き起こすこととなる。
【0123】
過流誘導器を流通したバラスト水の残留塩素量は残留塩素測定器16によりコントロールシステム12に送り込まれて目標値よりも残留塩素量が高い場合にマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御して排水されるバラスト水の残留塩素量を目標値に合わせて制御することとなる。
【0124】
図2は、本発明の他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であり、ほとんどの構成は前記図1の構成と同様である。以下、構成上の相違点だけを説明する。
【0125】
本発明は、気液分離器5と自動投入器11との間の次亜塩素酸ナトリウム供給ラインの上に分岐されたラインと一方側が連結され、他方側は流量制御弁3と電気分解モジュール4の上に分岐されたラインと連結されて次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に気液分離器を通った次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプ7をさらに備える。
【0126】
このように構成する理由は、電気分解モジュール4が稼動を中止すれば、所定時間中に装置の内部にバラスト水と一部の次亜塩素酸ナトリウムが溜まっているが、これにより、汚染源(微生物や異物)が装置に固着して装置が毀損される恐れがあるため、気液分離器を通った次亜塩素酸ナトリウムを電気分解モジュール4と気液分離器5と洗浄/注入ポンプ7との間に循環させて固着を防ぐためである。
【0127】
このような作動に際して、バラスト水は流量制御弁3および自動投入器11側に供給されないようにそれぞれの分岐管の部分に方向切り替え用弁が位置して流路を閉状態にする。
【0128】
上記のように構成するとき、洗浄/注入ポンプ7はコントロールシステム12に回路接続されてバラスト水の供給循環量を連続してまたは所定期間毎に作動するように制御される。
【0129】
また、前記洗浄/注入ポンプ7は、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを産生するときに緊急に次亜塩素酸ナトリウムを自動投入器11に供給するために、気液分離器5を通った後、分岐ラインを介して供給される次亜塩素酸ナトリウムを加圧して主次亜塩素酸ナトリウム供給ラインに供給されるように分岐ラインを連結構成してもよい。
【0130】
前記洗浄/注入ポンプ7は、より具体的に、バラスト水処理システムの特性から、連続運転されずに間欠的に運転されて設備(特に、電気分解モジュール部分)の汚染(スケール、塩析出、ヘドロの形成など)が休止時に発生され、これを予防するために、電気分解モジュールと気液分離器内の残存次亜塩素酸ナトリウムを所定周期毎に循環させるポンプである。
【0131】
また、正常運転条件下(3%NaCl塩水など)では作動されず、低濃度の海水を使用するときに流量の増加による次亜塩素酸ナトリウムの注入時に補助ポンプとして使用可能に構成される。
【0132】
さらに、非常運転時(急速注入が必要なとき)に次亜塩素酸ナトリウムを注入する役割を果たすように構成される。
【0133】
なお、図示はしないが、流量制御弁3と電気分解モジュール4との間の流路上から分岐されて洗浄/注入ポンプ7につながる個所と、気液分離器5と自動投入器11との間の流路上から分岐されて洗浄/注入ポンプ7につながる個所には、流路切り替え用弁(手動弁または電磁弁)が配設されて手動でまたはコントロールシステム12により遠隔でその流路が制御されるように構成される。
【0134】
以下、前記図2の実施の形態による作動を詳述する。
【0135】
前記実施の形態の作動は、図1の実施の形態の構成と同様であり、ただし、図1の構成による次亜塩素酸ナトリウムの産生反応が休止された場合、電気分解モジュール4の汚染(スケール、塩析出、ヘドロの形成など)を予防するために、電気分解モジュールと気液分離器内に残存次亜塩素酸ナトリウムを所定周期毎に循環させる。
【0136】
図3は、本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であるが、ほとんどの構成は前記図1の構成と同様である。
【0137】
図1による実施の形態との最大の相違点は、バラストタンク13の後段に本発明の装置構成が配備されるということであり、これにより、図1に配備されたバラストタンク13の前後の取水側、排水側海水ライン20、21に配設された残留塩素測定器10が排除され、この代わりに、バラストタンク13の前段の海水ラインに図1の前処理フィルタ1が配設され、次いで、塩分計8を通った後に次亜塩素酸ナトリウムを産生するために電気分解モジュール4に分岐される分岐管が配設され、気液分離器5を通って自動投入器11を介して次亜塩素酸ナトリウムが投入される消毒作業が行われ、次いで、連続して消毒されたバラスト水の残留塩素成分に対する還元作業が行われる手段が配備される。
【0138】
以下、図3の実施の形態による構成を詳述する。
【0139】
本発明の構成は、バラストタンク13の前段の取水側海水ライン20に配設された前処理フィルタ1と、バラストタンク13から引き出された排水側海水ライン21を流通するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、塩分計8を通った排水側海水ライン21の一部を分岐管に分岐して供給されるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して電気分解モジュールに供給する海水供給ポンプ2と、海水供給ポンプ2から送られるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する流量制御弁3と、前記流量制御弁3から供給されたバラスト水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより供給電流量が制御されて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生する電気分解モジュール4と、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスを分離する気液分離器5と、前記気液分離器5に外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器6と、前記気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムを、流量計9を通った排水側海水ライン21に供給する自動投入器11と、前記海水供給ポンプ2に向かって分岐される個所を通った排水側海水ライン21を流通するバラスト水の流量を測定する流量計9と、前記自動投入器11を通ったバラスト水を過流させる過流誘導器19と、過流誘導器19を通ったバラスト水を海洋に排水する前に残留している塩素成分を中和するための還元剤を投入する噴射ノズル14と、前記噴射ノズル14に還元剤と排水側海水ライン21から分流するバラスト水を微細気泡化させて供給するマイクロバブル発生器18と、前記マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する投入ポンプ15と、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンク17と、前記噴射ノズルの後段の排水側海水ライン21に配設されて還元剤の中和反応を助長するように過流を発生させる過流誘導器19と、過流誘導器19の後段の排水側海水ライン21に配設されて最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定する残留塩素測定器16と、バラストタンクを通って排水されるバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために塩分計8、流量計9からの情報を受け取って海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4を制御するか、あるいは、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器16からの情報を受け取ってマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御するコントロールシステム12と、から構成される。
【0140】
以下、前記図3の実施の形態による作動を詳述する。
【0141】
船舶の外部と連通する取水側海水ライン20からバラストタンクに注排水するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタ1を経た後、海洋微生物が除去されたバラスト水がコントロールシステムにより制御される海水供給ポンプ2と流量制御弁3を介してコントロールシステムにより制御される電気分解モジュール4に供給されて電気分解反応が起こる。このバラスト水を電気分解すれば、バラスト水の主たる構成成分である塩化ナトリウム(NaCl)水(HO)がそれぞれ塩素(Cl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水素(H)に分解され、塩素と水酸化ナトリウムが化学反応して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が形成されて消毒剤として用いられる。
【0142】
電気分解モジュール4において産生された次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、気液分離器5を通じて、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスが除去され、送風器6により分離された水素ガスが希釈される。
【0143】
気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムは自動投入器11を介して移送中のバラスト水と混合されてバラスト水を消毒し、このとき、コントロールシステム12は流入するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、海水ラインを流通するバラスト水の流量を測定する流量計9からの情報を集めて分岐管を流通するバラスト水の供給量を海水供給ポンプ2の流量制御弁3を制御して変更させ、さらに、電気分解モジュール4を制御して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の産生量を調節することとなる。
【0144】
次いで、消毒されたバラスト水は連続して還元過程を経るが、バラスト水に含まれている塩素成分を中和するための過流誘導器19により過流状態で供給されるバラスト水に還元剤が噴射ノズル14を介して投入される。このように還元剤、すなわち、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるいずれか一種のその他の還元剤が投入されれば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は中和反応を引き起こして塩化ナトリウム(NaCl)に還元される。
【0145】
このとき、より迅速な中和反応のために、マイクロバブル発生器18および過流誘導器19が稼動されて還元剤が信頼性よく中和反応を引き起こす。過流誘導器19を通ったバラスト水の残留塩素量は残留塩素測定器16によりコントロールシステム12に送り込まれて目標値よりも残留塩素量が高い場合にマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御して排水されるバラスト水の残留塩素量を目標値に合わせて制御する。
【0146】
図4は、本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であるが、基本的な構成および作動原理は図2の説明と同様であるため、その具体的な説明は省略する。
【0147】
図5は、本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であるが、基本的な構成は図1と同様である。ただし、次亜塩素酸ナトリウムを産生するのに用いられる海水をバラストタンクに引き込まれる取水側海水ライン20から得るのではなく、熱交換前の冷却海水ライン22または熱交換器24を通った熱交換後の冷却海水ライン23を介して選択的に供給されるという点で異なる。
【0148】
一般的に、船舶には、バラスト水だけではなく、他の用途に用いられる海水も存在する。すなわち、船舶の各種の装備、エンジンなどを冷却するために、循環ループを通じて淡水を直接的に冷却に利用し、冷却に利用された冷却水(循環水、淡水)は海水との熱交換を通じて熱を放出する構造を有するが、図5の実施の形態に用いられる海水は、このような海水を分流して使用する。
【0149】
このように構成する理由は、第一は、バラスト水が流通する取水側海水ライン20や排水側海水ライン21に次亜塩素酸ナトリウムを産生する設備を設置するときに場所が手狭くて空間活用が困難になる場合があるが、冷却水系ラインは比較的に場所の空間活用が容易であるためである。
【0150】
また、バラスト水を原水として用いて次亜塩素酸ナトリウムを産生するときに温度の影響により10℃以下において急激な効率の低下が起こることがあるが、冷却水系ラインを用いれば、常に一定の温度、あるいは、10℃以上の海水が供給されて濃度制御が容易であり、信頼性のよい運転が可能であるためである。
【0151】
このため、冷却海水ラインから海水を供給されるために熱交換前の冷却海水ライン22または熱交換器24を通った熱交換後の冷却海水ライン23から海水供給ポンプ2との間に冷却海水側前処理フィルタ24を配設して通常のろ過を行わせると共に、特定の大きさ(50μmまたは30μm)以上の海洋微生物の除去を行わせる。
【0152】
上記において、熱交換前の冷却海水ライン22または熱交換器24を通った熱交換後の冷却海水ライン23から弁切り替え(図示せず)を介して選択的に供給される理由は、熱交換器24を通過しつつ淡水または循環水と熱交換された冷却海水の温度が異なるため、必要に応じて選択的に供給されるように構成した。
【0153】
もちろん、熱交換器24を通過しなかった冷却海水も直接的に海水を供給される場合よりは次亜塩素酸ナトリウムを産生する効率は高いものの、冬場のように海水の温度が低下すれば冷却海水の温度も低下する可能性があるため、熱交換器24を通った熱交換後の冷却海水ライン23を使用すれば、一層良好な効率を有することとなる。
【0154】
このような一実施の形態による本発明の構成を説明すれば、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタ1と、熱交換器24を通る熱交換前の冷却海水ライン22または熱交換後の冷却海水ライン23から選択的に流入する冷却海水から海洋微生物をろ過する冷却海水側前処理フィルタ24と、冷却海水側前処理フィルタ24から供給される冷却海水の流量をコントロールシステムの制御により調節して電気分解モジュールに供給する海水供給ポンプ2と、海水供給ポンプ2から送られる冷却海水の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する流量制御弁3と、前記流量制御弁3から供給された冷却海水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより供給電流量が制御されて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生する電気分解モジュール4と、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスを分離する気液分離器5と、前記気液分離器5に外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器6と、前記気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水する取水側海水ライン20に供給する自動投入器11と、熱交換前の冷却海水ライン22を介して熱交換器25に流れる冷却海水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計9と、バラストタンク13の前後の海水ラインに配設されて次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器10と、バラストタンク13に貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ライン21を流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤を投入する噴射ノズル14と、前記噴射ノズル14に還元剤と排水側海水ライン21から分流するバラスト水を微細気泡化させて供給するマイクロバブル発生器18と、前記マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する投入ポンプ15と、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンク17と、前記噴射ノズルの後段の排水側海水ライン21に配設されて還元剤の中和反応を助長するように過流を発生させる過流誘導器19と、過流誘導器19の後段の排水側海水ライン21に配設されて最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定する残留塩素測定器16と、前記バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために熱交換前の冷却海水ライン22を介して熱交換器25に流れる冷却海水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8、取水側海水ライン20に配設された流量計9およびバラストタンクの前後の取水側、排水側海水ライン20、21に配設された残留塩素測定器10からの情報を受け取って海水供給ポンプ2、流量制御弁3、電気分解モジュール4を制御するか、あるいは、海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器10、16からの情報を受け取ってマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御するコントロールシステム12と、から構成される。
【0155】
以下、前記図5の実施の形態による作動を詳述する。
【0156】
船舶の冷却水系を流れる熱交換器24を通る熱交換前の冷却海水ライン22または熱交換後の冷却海水ライン23から選択的に流入する冷却海水から海洋微生物をろ過する冷却海水側前処理フィルタ24を経た後、海洋微生物が除去された冷却海水がコントロールシステムにより制御される海水供給ポンプ2と流量制御弁3を経てコントロールシステムにより制御される電気分解モジュール4に供給されて電気分解反応が起こる。この冷却海水を電気分解すれば、冷却海水の主たる構成成分である塩化ナトリウム(NaCl)と水(HO)がそれぞれ塩素(Cl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水素(H)に分解され、塩素と水酸化ナトリウムが化学反応して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が形成されて消毒剤として用いられる。
【0157】
電気分解モジュール4において産生された次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、気液分離器5を通じて、電気分解モジュール4において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスが除去され、送風器6により分離された水素ガスが希釈される。
【0158】
気液分離器5を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムは自動投入器11を介して移送中のバラスト水と混合されてバラスト水を消毒し、消毒されたバラスト水はバラストタンクに注水して貯水される。
【0159】
このとき、バラストタンクに注水するバラスト水に残留する残留塩素量は残留塩素測定器10により測定されてコントロールシステム12に送り込まれるが、コントロールシステム12は、冷却水系海水の塩分(NaCl)を測定する塩分計8と、取水側海水ライン20を介してバラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計9の情報を集めて分岐管を介して移送中の冷却海水の供給量を海水供給ポンプ2の流量制御弁3を制御して変更させ、さらに、電気分解モジュール4を制御して次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の産生量を調節することとなる。
【0160】
次いで、前記バラストタンク内に貯水されたバラスト水に含まれている次亜塩素酸ナトリウムは、所定時間が経過すれば、自然還元特性により塩化ナトリウムに還元されて自然状態の海水に変化され、この自然状態の海水は排水側海水ライン21を介して船舶の外部に排水されるが、通常、次亜塩素酸ナトリウムは全量が還元されずに残留するため、これを再還元する過程が必要となる。
【0161】
このために、バラストタンク13に貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ライン21を流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤が噴射ノズル14を介して投入される。このように還元剤、すなわち、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるその他の還元剤のうちいずれか一種の還元剤が投入されれば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は中和反応を引き起こして塩化ナトリウム(NaCl)に還元される。
【0162】
このとき、より迅速な中和反応のために、マイクロバブル発生器18および過流誘導器19が稼動されて還元剤が信頼性よく中和反応を引き起こす。過流誘導器19を通ったバラスト水の残留塩素量は残留塩素測定器16によりコントロールシステム12に送り込まれて目標値よりも残留塩素量が高い場合にマイクロバブル発生器18および投入ポンプ15を制御して排水されるバラスト水の残留塩素量を目標値に合わせて制御することとなる。
【0163】
図6は、本発明のさらに他の実施の形態によるバラスト水を処理する処理構成を示す概略構成図であるが、ほとんどの構成は前記図5の構成と同様である。以下、構成上の相違点のみを説明する。
【0164】
本発明は、気液分離器5と自動投入器11との間の次亜塩素酸ナトリウム供給ラインの上に分岐されたラインと一方側が連結され、他方側は流量制御弁3と電気分解モジュール4の上に分岐されたラインと連結されて次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に気液分離器を通った次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプ7をさらに備える。
【0165】
以下、前記図1から図6に示す各実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を消毒し、還元した後に排水する処理方法を添付図面に基づいて説明する。
【0166】
図7は、本発明の図1の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートであるが、同図に示すように、バラスト水を流入させるステップ(S100)と、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節して残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S106)と、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、次いで、排水するステップ(S109)と、を含む。
【0167】
図8は、本発明の図2の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。同図に示す方法は、ほとんどのステップは図7と同様であるが、下記に示す一部のステップをさらに含む点で相違点がある。
【0168】
バラスト水を流入させるステップ(S100)と、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S106)と、次いで、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S110)と、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、次いで、排水するステップ(S109)と、を含む。
【0169】
図9は、本発明の図3の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。同図に示す方法は、ほとんどのステップは図7と同様であるが、下記に示す一部のステップの順番が異なる点で相違点がある。
【0170】
流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S100)と、汚染源が除去されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S101)と、供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量の情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムを船舶の外部に引き出される排水側海水ライン21中のバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、次いで、次亜塩素酸ナトリウムが残留されたバラスト水に1次的に過流を発生させるステップ(S106)と、次いで、船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、還元剤が混入されたバラスト水に2次的に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、次いで、排水するステップ(S109)と、を含む。
【0171】
図10は、本発明の図4の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。同図に示す方法は、ほとんどのステップは図7と同様であるが、下記に示す一部のステップをさらに含む点で相違点がある。
【0172】
流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S100)と、汚染源が除去されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S101)と、供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量の情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムを船舶の外部に引き出される排水側海水ライン21中のバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、次いで、次亜塩素酸ナトリウムが残留されたバラスト水に1次的に過流を発生させるステップ(S106)と、次いで、船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、還元剤が混入されたバラスト水に2次的に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、次いで、排水するステップ(S109)と、次いで、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S110)と、を含む。
【0173】
図11は、本発明の図5の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。同図に示す方法は、ほとんどのステップは図7と同様であるが、下記に示す一部のステップの順番が異なる点で相違点がある。
【0174】
バラスト水を流入させるステップ(S100)と、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、冷却海水を熱交換前の冷却海水ラインまたは熱交換後の冷却海水ラインから選択的に流入するステップ(S102)と、流入する冷却海水から海洋微生物をろ過するステップ(S103)と、供給される冷却海水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S104)と、流量が可変的に供給される冷却海水を電気分解モジュールから供給されて冷却海水の塩分とバラスト水の流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S105)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S106)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S107)と、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S108)と、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S109)と、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S110)と、次いで、排水するステップ(S111)と、を含む。
【0175】
図12は、本発明の図6の実施の形態によるバラスト水に含まれている有害物を処理するための方法を示すフローチャートである。同図に示す方法は、ほとんどのステップは図12と同様であるが、下記に示す一部のステップをさらに含む点で相違点がある。
【0176】
バラスト水を流入させるステップ(S100)と、流入するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、冷却海水を熱交換前の冷却海水ラインまたは熱交換後の冷却海水ラインから選択的に流入するステップ(S102)と、流入する冷却海水から海洋微生物をろ過するステップ(S103)と、供給される冷却海水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S104)と、流量が可変的に供給される冷却海水を電気分解モジュールから供給されて冷却海水の塩分とバラスト水の流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S105)と、電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S106)と、気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S107)と、消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S108)と、次いで、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量の冷却海水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S112)と、次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S109)と、還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S110)と、次いで、排水するステップ(S111)と、を含む。
【0177】
本発明は、上述した特定の好適な実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、当該発明が属する技術分野において通常の知識を持った者であれば誰でも様々な変形実施が可能であるということはいうまでもなく、そのような変更は請求範囲に記載の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0178】
上述した構成を有する本発明は、バラストタンクに注水したりバラストタンクから排水されたりするバラスト水を目標量だけの残留塩素量を有するように流入する海水の流量に基づいて連続して次亜塩素酸ナトリウムを生成して海水ラインに供給することにより、次亜塩素酸ナトリウムの貯留による濃度の変化がない装置と方法を提供し、バラストタンクを介して海洋に排水されるバラスト水を薬品の注入方式により信頼性よく還元して無害化させることにより、海洋汚染を源泉的に排除することができるというメリットがある。
【0179】
また、船舶のバラスト水を管理するためにバラストタンクに注水したりバラストタンクから排水されたりするバラスト水を目標量だけの残留塩素量を有するように流入する海水の流量に基づいて電気分解により殺菌剤を産生し、且つ、投入量を精度よく制御することにより、海洋生態系の破壊または攪乱を防止することができるというメリットがある。
【0180】
さらに、流入する海水の流量に基づいて電気分解により殺菌剤を産生し、且つ、投入量を精度よく制御することにより、設備の安定性と信頼性を確保することができるというメリットがある。
【0181】
さらに、海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電解モジュールにおいて電気分解後に発生する水素ガスを除去することにより、バラストタンク内における爆発の恐れを源泉的に除去することができるというメリットがある。
【0182】
さらに、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電気分解モジュールの稼動が中止された期間中にも汚れないように海水を所定周期毎にまたは連続して循環させることにより汚染源の固着による汚染を防止して設備の安定性のための耐久性を増大させることができるというメリットがある。
【0183】
さらに、バラスト水および冷却海水などの次亜塩素酸ナトリウムの原料となる海水の流量を海水中のNaClの濃度に基づいて制御して電気分解モジュールの電流の効率を一定に維持することで、港別に異なる塩度による処理効率の低下を防止して信頼性よい処理効率を有するというメリットがある。
【0184】
さらに、次亜塩素酸ナトリウムを発生させる電気分解モジュールに供給される原水を冷却水系に流れる冷却海水の原水として用いて、常に一定温度以上の温度を有する海水を供給することにより、電気分解の効率を高めることができるというメリットがあり、産業上の利用が多大に期待される発明である。
【符号の説明】
【0185】
1 前処理フィルタ、2 海水供給ポンプ、3 流量制御弁、4 電気分解モジュール、5 気液分離器、6 送風器、7 洗浄/注入ポンプ、8 塩分計、9 流量計、10 残留塩素測定器、11 自動投入器、12 コントロールシステム、13 バラストタンク、14 噴射ノズル、15 投入ポンプ、16 残留塩素測定器、17 還元剤貯留タンク、18 マイクロバブル発生器、19 過流誘導器、20 取水側海水ライン、21 排水側海水ライン、22 熱交換前の冷却海水ライン、23 熱交換後の冷却海水ライン、24 冷却海水側前処理フィルタ、25 熱交換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水側海水ライン(20)から取水した一部のバラスト水をコントロールシステム(12)により定流量に制御供給されて電気分解モジュール(4)において濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生して気液分離器(5)を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいてバラストタンク(13)に引き込まれる取水側海水ライン(20)に供給して消毒後にバラストタンク(13)に貯留し、排水時にバラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステム(12)により制御して排水側海水ライン(21)に供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成し、
前記コントロールシステム(12)は、バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために配設された塩分計(8)と、流量計(9)および残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って海水供給ポンプ(2)、流量制御ポンプ(3)、電気分解モジュール(4)を制御するか、あるいは、
海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために配設された残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って還元剤の量を決定して残留塩素測定器(16)により無害化の度合いを測定した情報を受け取ってマイクロバブル発生器(18)および投入ポンプ(15)を制御するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項2】
バラストタンク(13)を通る排水側海水ライン(21)から取水した一部のバラスト水をコントロールシステム(12)により定流量に制御供給されて電気分解モジュール(4)において濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生して気液分離器(5)を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいて排水側海水ライン(21)に供給して消毒し、次いで、バラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステム(12)により制御し且つ供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成し、
前記コントロールシステム(12)は、バラストタンクを通って排水されるバラスト水に目標量だけの次亜塩素酸ナトリウムを投入するために配設された塩分計(8)と、流量計(9)からの情報を受け取って海水供給ポンプ(2)、流量制御ポンプ(3)、電気分解モジュール(4)を制御するか、あるいは、
海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために配設された残留塩素測定器(10)からの情報を受け取ってマイクロバブル発生器(18)および投入ポンプ(15)を制御するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項3】
熱交換器(24)を通る熱交換前の冷却海水ライン(22)または熱交換後の冷却海水ライン(23)から選択的に取水する冷却海水をコントロールシステム(12)により定流量に制御供給されて電気分解モジュール(4)において濃度調節された次亜塩素酸ナトリウムを産生して気液分離器(5)を通じて水素ガスを除去した後、残留塩素量に基づいて取水側海水ライン(20)に供給して消毒後にバラストタンク(13)に貯留し、排水時にバラスト水の残留塩素量に基づいて還元剤の投入量をコントロールシステム(12)により制御し且つ供給して残留塩素目標量に中和させて海洋に排水するように構成し、
前記コントロールシステム(12)は、バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために配設された塩分計(8)と、流量計(9)および残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って海水供給ポンプ(2)、流量制御ポンプ(3)、電気分解モジュール(4)を制御するか、あるいは、
海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために配設された残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って還元剤の量を決定して残留塩素測定器(16)により無害化の度合いを測定した情報を受け取ってマイクロバブル発生器(18)および投入ポンプ(15)を制御するように構成したことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項4】
前記電気分解モジュール(4)に給水されるバラスト水または冷却海水は、海洋微生物をろ過する前処理フィルタを経ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項5】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステム(12)により制御される海水供給ポンプ(2)により流量が調節されるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項6】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステム(12)により制御される流量制御弁(3)により流量が調節されるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項7】
前記定流量に制御供給されるバラスト水または冷却海水は、前処理フィルタを経た後、コントロールシステム(12)により制御される海水供給ポンプ(2)と、海水供給ポンプ(2)から送られるバラスト水または冷却海水をコントロールシステム(12)により制御される流量制御弁(3)により流量が調節されるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項8】
前記消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウムは、別途の電源なしにバラスト水または冷却海水の圧力変動を用いて次亜塩素酸ナトリウムを注入する自動投入器(11)により供給されるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項9】
前記バラストタンク(13)に注水するバラスト水が流通する取水側海水ライン(20)には、バラストタンクに注水するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計(8)と、バラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計(9)と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器(10)と、が配設されたことを特徴とする請求項1に記載のバラスト水処理装置。
【請求項10】
前記バラストタンク(13)を通ったバラスト水が流通する排水側海水ライン(21)には、バラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計(8)と、バラスト水の流量を測定する流量計(9)と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器(16)と、が配設されたことを特徴とする請求項2に記載のバラスト水処理装置。
【請求項11】
前記熱交換前の冷却海水ライン(22)には熱交換器(25)に流れる冷却海水の塩分(NaCl)を測定する塩分計(8)が配設され、
取水側海水ライン(20)には、バラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計(9)と、次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器(10)と、が配設されたことを特徴とする請求項3に記載のバラスト水処理装置。
【請求項12】
前記排水時に投入される還元剤は噴射ノズル(14)により供給するが、ここに供給される還元剤はマイクロバブル発生器(18)により還元剤とバラスト水を微細気泡化させて残留塩素を除去して混合供給されるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項13】
前記排水時に投入される還元剤は、マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する投入ポンプ(15)と、前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンク(17)と、により供給されるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項14】
前記排水時に投入される還元剤は、過流を発生させる1以上の過流誘導器(19)により混合されるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項15】
前記排水側海水ライン(21)には最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定する残留塩素測定器(16)が配設されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項16】
前記気液分離器(5)を通った次亜塩素酸ナトリウム供給ラインを電気分解モジュール(4)に分岐して次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプ(7)をさらに備えるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項17】
前記海水供給ポンプ(2)は、バラスト水または冷却海水の流量をコントロールシステムの制御により供給される電流量の変化により調節されるように構成したことを特徴とする請求項5に記載のバラスト水処理装置。
【請求項18】
前記流量制御弁(3)は、定流量弁に供給されるバラスト水または冷却海水の流量がコントロールシステムの制御により多数の定流量弁が選択的に開閉されて調節されるように構成したことを特徴とする請求項6に記載のバラスト水処理装置。
【請求項19】
前記電気分解モジュール(4)は、バラスト水または冷却海水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより定流器に供給される供給電流量が定格範囲内において制御されて次亜塩素酸ナトリウムの濃度および産生量を調節するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項20】
前記電気分解モジュールは、目標塩素要求量である2〜10ppmを満足するように次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項21】
前記気液分離器(5)は、外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器(6)をさらに備えるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項22】
前記還元剤は、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩+ヨウ化物、亜ジチオン酸塩、亜硫酸カルシウムよりなる群から選ばれるいずれか一種の亜硫酸塩系の還元剤であるか、あるいは、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、PAOよりなる群から選ばれるその他の還元剤のいずれか一種の還元剤であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項23】
前記過流誘導器(19)は、排水側海水ライン(21)配管に内設され、複数の回転刃を有する多数のスクリューからなることを特徴とする請求項14に記載のバラスト水処理装置。
【請求項24】
前記海洋に排水されるバラスト水または冷却海水に残留する残留塩素量の目標量は0.5〜2ppmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項25】
前記投入ポンプ(15)は、還元剤を定量投入するためのポンプであり、バラスト水を放流するときにバラストタンク側残留塩素測定器(10)の総残留塩素濃度値に基づいてコントロールシステムを通じて投入ポンプ(化学当量1:1)の流量を制御するように構成されたことを特徴とする請求項13に記載のバラスト水処理装置。
【請求項26】
前記投入ポンプ(15)は、還元剤の供給が休止された還元剤貯留タンク(17)を所定周期で循環して塩析出を防止するように構成したことを特徴とする請求項13に記載のバラスト水処理装置。
【請求項27】
取水するバラスト水から海洋微生物をろ過する前処理フィルタ(1)と、
前処理フィルタ(1)から供給されるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して電気分解モジュールに供給する海水供給ポンプ(2)と、
海水供給ポンプ(2)から送られるバラスト水の流量をコントロールシステムの制御により調節して供給する流量制御弁(3)と、
前記流量制御弁(3)から供給されるバラスト水から次亜塩素酸ナトリウムを産生するときにコントロールシステムにより供給電流量が制御されて目標塩素要求量に基づいて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生する電気分解モジュール(4)と、
電気分解モジュール(4)において次亜塩素酸ナトリウムを製造するときに副産物として発生する水素ガスを分離する気液分離器(5)と、
前記気液分離器(5)に外部の空気を供給して分離された水素ガスを希釈する送風器(6)と、
前記気液分離器(5)を通じて水素が除去された状態の次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水する取水側海水ライン(20)に供給する自動投入器(11)と、
取水側海水ライン(20)を介してバラストタンクに注水するバラスト水の塩分(NaCl)を測定する塩分計(8)と、
取水側海水ライン(20)を介してバラストタンクに注水するバラスト水の流量を測定する流量計(9)と、
バラストタンク(13)の前後の取水側、排水側海水ライン(20、21)に配設されて次亜塩素酸ナトリウムが注入されたバラスト水の残留塩素量を測定する残留塩素測定器(10)と、
バラストタンク(13)に貯水されたバラスト水を海洋に排水するときに排水側海水ライン(21)を流通するバラスト水に残留している塩素成分を中和するための還元剤を投入する噴射ノズル(14)と、
前記噴射ノズル(14)に還元剤と排水側海水ライン(21)から分流するバラスト水を微細気泡化させて残留塩素を除去して混合供給するマイクロバブル発生器(18)と、
前記マイクロバブル発生器に供給される還元剤の流量をコントロールシステムの制御により調節する投入ポンプ(15)と、
前記投入ポンプにより排出されるべき還元剤を貯留している還元剤貯留タンク(17)と、
前記噴射ノズルの後段の排水側海水ライン(21)に配設されて還元剤の中和反応を助長するように過流を発生させる過流誘導器(19)と、
過流誘導器(19)の後段の排水側海水ライン(21)に配設されて最終的に放流されるバラスト水の総残留塩素を測定して無害化の度合いを測定する残留塩素測定器(16)と、
前記バラストタンクに注水するバラスト水に目標量の次亜塩素酸ナトリウムを投入するために塩分計(8)、流量計(9)および残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って海水供給ポンプ(2)、流量制御弁(3)、電気分解モジュール(4)を制御するか、あるいは、
海洋に排水されるバラスト水に目標量だけの残留塩素量を有するように次亜塩素酸ナトリウム中和用還元剤を投入するために残留塩素測定器(10)からの情報を受け取って還元剤の量を決定し、残留塩素測定器(16)により無害化の度合いを測定し、マイクロバブル発生器(18)および投入ポンプ(15)を制御するコントロールシステム(12)と、
前記気液分離器(5)と自動投入器(11)との間の次亜塩素酸ナトリウム供給ラインの上に分岐されたラインと一方側が連結され、他方側は流量制御弁(3)および電気分解モジュール(4)の上に分岐されたラインと連結されて、次亜塩素酸ナトリウムの産生が中断された電気分解モジュールに連続してまたは所定期間毎に次亜塩素酸ナトリウムを循環させる洗浄/注入ポンプ(7)と、
を備えることを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項28】
バラスト水を取水するステップ(S100)と、
取水するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、
供給されるバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプと流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、
流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、
電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、
気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、
消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S106)と、
次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、
還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、
次いで、排水するステップ(S109)と、
を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法。
【請求項29】
前記消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S106)後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S110)をさらに含んでなることを特徴とする請求項28に記載のバラスト水の処理方法。
【請求項30】
取水するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S100)と、
汚染源が除去されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S101)と、
バラストタンクから排水されるラインから取水するバラスト水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプおよび流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S102)と、
流量が可変的に供給されるバラスト水を電気分解モジュールから供給されて塩分、流量の情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S103)と、
電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S104)と、
気液分離された次亜塩素酸ナトリウムを船舶の外部に引き出される排水側海水ライン中のバラスト水に供給して消毒するステップ(S105)と、
次いで、次亜塩素酸ナトリウムが残留されたバラスト水に1次的に過流を発生させるステップ(S106)と、
次いで、バラストタンクから排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S107)と、
還元剤が混入されたバラスト水に2次的に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S108)と、
次いで、排水するステップ(S109)と、
を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法。
【請求項31】
前記排水するステップ(S109)後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量のバラスト水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S110)をさらに含んでなることを特徴とする請求項30に記載のバラスト水の処理方法。
【請求項32】
バラスト水を取水するステップ(S100)と、
取水するバラスト水から海洋微生物をろ過するステップ(S101)と、
冷却海水を熱交換前の冷却海水ラインまたは熱交換後の冷却海水ラインから選択的に取水するステップ(S102)と、
取水する冷却海水から海洋微生物をろ過するステップ(S103)と、
供給される冷却海水をコントロールシステムの制御により残留塩素目標量に合わせて海水供給ポンプおよび流量制御弁を制御して電気分解モジュールに可変供給するステップ(S104)と、
流量が可変的に供給される冷却海水を電気分解モジュールから供給されて冷却海水の塩分とバラスト水の流量および残留塩素の測定情報を受け取ったコントロールシステムの制御により電流量を調節し、且つ、残留塩素目標量に合わせて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調節して産生するステップ(S105)と、
電気分解モジュールにおいて産生される次亜塩素酸ナトリウム中に含まれている水素ガスを気液分離するステップ(S106)と、
気液分離された次亜塩素酸ナトリウムをバラストタンクに注水するバラスト水に供給して消毒するステップ(S107)と、
消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S108)と、
次いで、バラストタンクから船舶の外部に排水されるバラスト水において測定された残留塩素量の情報を受け取ったコントロールシステムにより残留塩素目標量に合わせて還元剤の投入量を制御し、所定量のバラスト水と混合して微細気泡化させた後、バラスト水に投入して還元するステップ(S109)と、
還元剤が混入されたバラスト水に過流を発生させて混入して還元を促進するステップ(S110)と、
次いで、排水するステップ(S111)と、
を含むことを特徴とするバラスト水の処理方法。
【請求項33】
前記消毒されたバラスト水をバラストタンクに貯水するステップ(S108)後に、稼動が中止された電気分解モジュールに所定量の冷却海水を連続してまたは間欠的に循環させて汚染を防止するステップ(S112)をさらに含んでなることを特徴とする請求項32に記載のバラスト水の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−528982(P2011−528982A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519978(P2011−519978)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003756
【国際公開番号】WO2010/011040
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020737)サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】