説明

バリ処理方法

【課題】 合成樹脂部材同士を溶着又は接着によって接合するに当たって、確実に適切なバリ処理を行なうことができるバリ処理方法を提供する。
【解決手段】 第1の合成樹脂部材1は、合成樹脂部材1,2同士が接合される本接合面13と、本接合面13に沿って設けられ第1の合成樹脂部材1の表面Fから突出した第1の削代部11とを備えている。前記本接合面13と第1の削代部11の一側面14とで第1の合成樹脂部材1の接合面12が構成されている。また、第2の合成樹脂部材2は、上記第1の合成樹脂部材1と同様の構成を備えている。このような第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2とが溶着又は接着された際に発生するバリBを、第1の削代部11及び第2の削代部21と共に除去するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶着又は接着の際に発生するバリを除去するためのバリ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一対の合成樹脂部材同士を溶着又は接着した際に、合成樹脂部材表面に発生するバリを除去するために、自動バリ取り機が用いられている。この自動バリ取り機には、バリ検出用センサーが設けられており、このバリ検出用センサーによって、合成樹脂部材の表面に発生したバリの発生位置、形状、大きさなどが検出されるようになっている。バリ検出用センサーはバリの形状を把握する必要があるため、被検出体の形状を測定できる形状センサーによって構成されている。
【0003】
そしてこの自動バリ取り機は、形状センサーによって検出されたバリの形状、大きさなどの情報に基づいて、合成樹脂部材の表面に発生したバリのみを切削しようとするものである。
【0004】
このバリ検出用センサーとして、例えば特許文献1に示すものが例示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−113005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、発生したバリの形状、バリの大きさなどといったバリの発生態様は、溶着又は接着による成形ごとに異なる。このため、図7に示すように、合成樹脂部材表面に発生したバリBが、合成樹脂部材の表面を覆うような状態になってしまうこともある。
【0007】
この場合、バリ検出用センサーSを構成する形状センサーS1によって、バリの位置、形状、大きさなどを検出しようとしても、バリBによって合成樹脂部材の表面が覆われているため、バリBの突出基部や合成樹脂部材の表面を正確に把握できず、バリBの合成樹脂部材からの突出量(大きさ)や形状などが正確に検出できない。
【0008】
このため、自動バリ取り機がこの不正確な検出情報に基づいてバリBの切削工程を行なった場合には、合成樹脂部材の表面の一部をも削り取ってしまったり、バリBが残存してしまったりして適切なバリ処理ができない場合が発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂部材同士を溶着又は接着によって接合するに当たって、確実に適切なバリ処理を行なうことができるバリ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のバリ処理方法は以下の構成を備えている。
【0011】
本発明は、第1の合成樹脂部材1の接合面12と第2の合成樹脂部材2の接合面22とを当接すると共に該両部材1,2を相互に加圧して溶着又は接着し、この溶着又は接着の際に合成樹脂部材表面Fから突出するバリBを除去するためのバリ処理方法である。第1の合成樹脂部材1は、合成樹脂部材1,2同士が接合される本接合面13と、該本接合面13に沿って設けられ第1の合成樹脂部材1の表面Fから突出した第1の削代部11とを備えている。そして、前記本接合面13と第1の削代部11の一側面14とで第1の合成樹脂部材1の接合面12が構成されている。また、第2の合成樹脂部材2は、合成樹脂部材1,2同士が接合される本接合面23と、該本接合面23に沿って設けられ第2の合成樹脂部材2の表面Fから突出した第2の削代部21とを備えている。そして、前記本接合面23と第2の削代部21の一側面24とで第2の合成樹脂部材2の接合面22が構成されている。このような第1の合成樹脂部材1の接合面12と第2の合成樹脂部材2の接合面22とが溶着又は接着された際に発生するバリBを、第1の削代部11及び第2の削代部21と共に除去するようにした。
【0012】
このように構成したことで、バリ処理を行なうに当たり、常に、第1の削代部11と第2の削代部21とを除去するだけでよい。すなわち、溶着又は接着ごとにバリBの形状や大きさが変化したとしても、第1の削代部11と第2の削代部21とを除去するだけでよいため、バリ処理によって必要な除去量を、常に一定のものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、合成樹脂部材同士を溶着又は接着によって接合したうえでバリ処理をするに当たって、バリ処理によって必要な除去量を常に一定のものとすることができる。このため、本発明のバリ処理方法を実施すれば、合成樹脂部材の表面の一部をも削り取ってしまったり、バリが残存してしまったりすることがなく、確実に適切なバリ処理を行なうことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示し、形状センサーによってバリ発生部を読み取る直前の概略側面図である。
【図2】同上のバリ取り工具による処理を行なう直前の概略側面図である。
【図3】異なるバリ取り工具を使用する例を示す概略側面図である。
【図4】本発明の適用例である樹脂便器を説明する斜視図である。
【図5】同上の側断面図である。
【図6】同上の樹脂便器における本発明のバリ処理方法の適用例を説明する要部側断面図であり、(a)はボウル部とリム部との溶着を示し、(b)はリム部とスカート部との溶着を示し、(c)はバリ処理後の状態を示す図である。
【図7】従来例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明の一例の実施形態として、図1には、本発明のバリ処理を施す直前の状態が示されている。この図1に示すものは、第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2とを、各部材1,2に設けられた接合面12,22(溶着面12a,22a)同士を当接したうえで溶着し、接合したものである。
【0017】
第1の合成樹脂部材1は、アクリル合成樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile butadiene styrene;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、PBT(Polybutyleneterephtalate;ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。図1に示すように、この第1の合成樹脂部材1の端部には、第2の合成樹脂部材2と溶着して接合される本接合面13が形成されている。なお、本実施形態においては、合成樹脂部材1,2同士が溶着により接合されているため、以下、接合面は溶着面と称し、本接合面は本溶着面と称する。
【0018】
この本溶着面13aに沿った方向で且つ第1の合成樹脂部材1の表面F(図中の破線で示す部分は、バリ取り後の合成樹脂部材の表面を示している。以下、表面Fは破線で示す部分をも含む)からは第1の削代部11が突設されている。この第1の削代部11は本溶着面13aの全長に亘って連続して形成されている。第1の削代部11における第2の合成樹脂部材2と対向する面14(接合時においては第2の合成樹脂部材2と当接する面)は、前記本溶着面13aと面一になっている。この第1の削代部11における第2の合成樹脂部材2と対向する面14と前記本溶着面13aとで、溶着面12aが構成される。
【0019】
第2の合成樹脂部材2も同様に、アクリル合成樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile butadiene styrene;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、PBT(Polybutyleneterephtalate;ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。第1の合成樹脂部材1と同様に、第2の合成樹脂部材2の端部には、第1の合成樹脂部材1と溶着して接合される本溶着面23aが形成されている。
【0020】
この本溶着面23aに沿った方向で且つ第2の合成樹脂部材2の表面Fからは第2の削代部21が突設されている。この第2の削代部21は本溶着面23aの全長に亘って連続して形成されている。第2の削代部21における第1の合成樹脂部材1と対向する面24(接合時においては第2の合成樹脂部材2と当接する面)は、前記本溶着面23aと面一になっている。この第2の削代部21における第1の合成樹脂部材1と対向する面24と前記本溶着面23aとで、溶着面22aが構成される。
【0021】
なお、この削代部11,21の合成樹脂部材表面Fからの突出寸法u、ならびに厚み寸法tはいずれも0〜100mmの範囲で構成されるのが好ましい。
【0022】
このような第1の合成樹脂部材1の溶着面12aと、第2の合成樹脂部材2の溶着面22aとが互いに当接した状態で加圧溶融されることで、両部材1,2が溶着接合される。この溶着には、熱板溶着、レーザー溶着、振動溶着、誘導溶着など公知の溶着工法が好適に用いられる。なお、溶着を行なうに当たり、第1の削代部11並びに第2の削代部21が合成樹脂部材の表面Fから突出しているうえに、両削代部11,21は前記加圧方向に対して略直角な面15,25を有しているから、この突出した第1の削代部11並びに第2の削代部21を利用して、治具に対して精度良く位置決めをすることができ、また確実に加圧することができる。このため、より精度の良い溶着施工を行なうことが可能となる。
【0023】
第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2とが溶着により互いに接合すると、図1や図2に示すように、第1の削代部11と第2の削代部21との溶着面12a,22aから、外方に向かってバリBが発生する。なお、本実施形態では、溶着した状態で第1の削代部11と第2の削代部21との両突出先端面は略面一となるように接合されているため、バリBの突出する方向は施工ごとに変化する。このため、バリBの突出方向は予測できず、もちろん、大きさや形状も予測できない。
【0024】
本実施形態では、このようにバリBが発生した合成樹脂部材1,2のバリ処理を行なうに当たり、自動バリ取り機を使用する。
【0025】
この自動バリ取り機は、治具に固定された合成樹脂部材1,2のバリBの形状や大きさを、バリ検出用センサーSによって検出し、この検出情報に基づいてバリ取り工具Cによってバリ処理を行なうものである。このバリ検出用センサーSは、被検出体の形状を測定することができる単数又は複数の形状センサーS1によって構成されている。
【0026】
まず、第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2とが溶着接合されたものを自動バリ取り機の治具に固定する。このとき、この合成樹脂部材を治具に固定するに当たっての位置決めには、第1又は第2の削代部21を利用することができる。第1及び第2の削代部21は、合成樹脂部材1,2の表面Fから突出しているから、治具に対して精度良く取り付けることができる。
【0027】
次に、形状センサーS1によってバリ発生部の形状を読み取る。このとき、形状センサーS1では、バリBの形状を読み取るのではなく、第1の削代部11と第2の削代部21の形状を読み取るようにする。つまり、第1及び第2の削代部11,21の突出先端面(バリBの発生する面)を基準面16,26とし、少なくともこの基準面16,26と合成樹脂部材1,2の表面Fとの距離を、この形状センサーS1で読み取るようにする。
【0028】
そして、この検出又は算出情報に基づいて、バリ取り工具Cによって第1の削代部11と第2の削代部21を除去して、合成樹脂部材1,2の表面Fと、第1の削代部11と第2の削代部21とが設けられていた部位とが面一又は滑らかに連続する面となるようにする。具体的には、上記形状センサーS1で検出した基準面16,26から、検出又は算出した所定の寸法だけバリ取り工具Cを移動させて、バリB諸共第1の削代部11と第2の削代部21とを除去する(図2及び図3中の破線で示す形状参照)。
【0029】
この時使用されるバリ取り工具Cは、砥石などを回転させて研削したり、刃物を回転又は振動させたり、あるいはレーザー加工によって切除したりするものなどを適宜使用することができる。また、仕上げ後の形状に応じて、加工刃の形状を変化させたものを使用してもよい(図3参照)。
【0030】
このようにバリ処理後の第1の削代部11と第2の削代部21とが設けられていた部分は、外観上その痕跡が残らない。しかし、断面観察をすると、コア層を被覆して設けられた合成樹脂部材1,2のスキン層が除去されており、コア層が外観表面に露出しているのがわかる。また、上記合成樹脂部材1,2が射出成形によって成形された場合には、削代部への樹脂の流跡が確認でき、これにより削代部11,21が設けられていたことが確認できる。さらに、この削代部11,21を含めた該削代部11,21が設けられた部分が肉厚となっている場合には、合成樹脂部材1,2の削代部11,21が位置する裏側にヒケが生じるため、このヒケを確認することでも削代部11,21が設けられていたことがわかる。
【0031】
このように、合成樹脂部材1,2に第1の削代部11又は第2の削代部21を設けたため、バリBの発生量や発生状態が成形ごとに変化したとしても、第1の削代部11と第2の削代部21とを除去するだけでバリBの処理ができる。しかも、削代部11,21の突出先端面が形状センサーS1によって形状を読み取るための基準面16,26となっているため、バリBの大きさに係わらず、バリ取り工具Cの送り寸法を、常に前記基準面16,26から合成樹脂部材表面Fまでの寸法にすることができる。つまり、溶着ごとにバリBの形状や大きさが変化したとしても、バリ処理によって必要な切削量を、常に一定のものとすることができるから、自動バリ取り機を使用してバリ処理を行なっても、合成樹脂部材1,2の表面Fの一部をも削り取ってしまったり、バリBが残存してしまったりすることがなく、確実に適切なバリ処理を行なうことができるものとなる。
【0032】
なお、上記のように第1の削代部11及び第2の削代部21を除去しても、本溶着面13a,23aは残されたままであるため、本溶着面13a,23aによって強固に両合成樹脂部材1,2同士が接合されたままである。このため、第1の削代部11及び第2の削代部21を除去したとしても、部材1,2同士の溶着がはずれてしまうことがない。
【0033】
上記実施形態において、第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2との接合は、溶着によって行なっていたが、接着剤による接着によって接合されていてもよい。この場合、第1の合成樹脂部材1と第2の合成樹脂部材2との接合面12,22となる接着面からはみ出した接着剤が硬化したものがバリBとなる。
【0034】
また、上記削代部11,21の形状は、上述のように、削代部11,21の一側面14,24が溶着面12a,22aを構成していればよく、溶着面12a,22aを構成する該一側面14,24とは反対側の側面15,25の形状は特に限定されるものではない。なお、上述のように、溶着機や自動バリ取り機を使用する場合に、この削代部11,21を利用して位置決めをするならば位置決めに適した形状で構成すればよい。添付図面に示す実施形態のように、加圧方向に対し略直角な平面で構成すれば、位置決め並びに加圧に適した形状となる。
【0035】
また、仮に、合成樹脂部材1,2の溶着に当たり、両部材1,2が互いにずれて接合された場合であっても、多少の誤差であれば、削代部11,21が部材表面Fから突出するように設けられているから、該削代部11,21によってその誤差を吸収することも可能である。
【0036】
以上、本発明の一例のバリ処理方法について説明した。以下、この本発明のバリ処理方法の適用例について説明する。
【0037】
本適用例は、図4乃至図6に示すように、樹脂便器に本発明のバリ処理方法が適用されたものである。本例の樹脂便器は、ボウル部4と、ボウル部4を覆うスカート部5と、ボウル部4の上端部に配されるリム部6とを備えている。上記ボウル部4及びスカート部5及びリム部6のそれぞれを独立した合成樹脂部材とし、樹脂便器は、これら3つの合成樹脂部材の分割体4,5,6を溶着により溶着一体化して形成される。
【0038】
各合成樹脂部材4,5,6は、射出成形や圧縮成形等により成形した肉厚3〜7mmの樹脂成形品からなる。成形材料としては比較的強度のあるアクリルや、補強材入りABS、PBT等が好適に用いられる。なお、各合成樹脂部材は比較的大型であるため、アニール処理を施すことが好ましい。また表面品質を向上させるためにハードコート材をコーティングしても良い。
【0039】
ボウル部4は、図4に示すように、椀状部42の下部に後方に向けて排水筒部41を突出して一体成形されている。ボウル部4の椀状部42の上端面が前記本溶着面23a(13a)となっており、この本溶着面23a(13a)の外周に沿って且つボウル部4の開口全周に連続して上述した削代部21(11)が設けられている。
【0040】
リム部6は、図4に示すように後半部62の前端に形成した立上壁部63の上部に前半部61の後端を一体に接続して形成されている。リム部6の前半部61は、図6に示すように、平面視円環状で且つ断面において外側方に向けて開口する略コ字状のコ字状部64で主体が構成されている。このコ字状部64の上面は上横片部65となっており、この上横片部65にスカート部5の上端面が溶着接合される。また、このコ字状部64の中間部には、ボウル部4の開口上端が溶着接合される中横片部66が設けられている。上横片部65の開口先端の下面が、スカート部5と接合される本溶着面13a(23a)となっており、この本溶着面13a(23a)の外周側に沿うようにして削代部11(21)が設けられている。また、中横片部66の先端の下面が、ボウル部4と接合される本溶着面23a(13a)となっており、この本溶着面23a(13a)の外周側に沿って削代部11(21)が設けられる。
【0041】
スカート部5は、上側程徐々に開口径が大きくなる抜き勾配が設けられている。スカート部5のボウル部4外側を囲む前半部51の上端部は、後方に位置する後半部52よりも上方に突出している。このスカート部5の上端面全周に亘って本溶着面23a(13a)が構成され、この本溶着面23a(13a)の外周側に沿うようにして削代部21(11)が設けられている。
【0042】
このような各合成樹脂部材4,5,6を溶着一体化するのであるが、溶着後に本発明のバリ処理方法を適用する部位は、図5における接合箇所G,H,I(一点鎖線部で示している)である。なお、各合成樹脂部材同士4,5,6が当接する部分においては、いずれにおいても溶着又は接着によって水密的に接合されているが、以下においては、本発明のバリ処理方法を施した箇所についてのみの説明を行なう。
【0043】
一点鎖線部Gにおいては、図6(a)に示すように、リム部6が第1の合成樹脂部材1に相当し、ボウル部4が第2の合成樹脂部材2に相当する。上述の通り、リム部6の溶着面12a(22a)とボウル部4の溶着面22a(12a)とが溶着されるとバリBが発生するが、このバリBは上述した自動バリ取り機により第1及び第2の削代部11,21とともに除去され、バリ処理がなされる。
【0044】
一点鎖線部H,Iにおいては、リム部6が第1の合成樹脂部材1に相当し、スカート部5が第2の合成樹脂部材2に相当する。Hについて具体的に説明すると、図6(b)に示すように、リム部6の溶着面12a(22a)とスカート部5の溶着面22a(12a)とが溶着されるとバリBが発生するが、このバリBは上述した自動バリ取り機により第1及び第2の削代部11,21とともに除去され、バリ処理がなされる。特に、この一点鎖線部Hにおいては、図3に示すような、刃形状を凹形状にした加工刃を用いれば、より良好なバリ処理を行なうことができる。
【0045】
このようなバリ処理方法を用いれば、バリ取り工具Cによりバリ処理を施したとしても、リム部6やボウル部4やスカート部5の一部を削り取ってしまったり、傷を付けてしまったりするのを防止でき、精度の良いバリ処理をすることができる。この結果、製品の商品価値を高めることができる。
【0046】
なお、本適用例において、リム部6が第1の合成樹脂部材1に相当し、ボウル部4又はスカート部5が第2の合成樹脂部材2に相当するとしているが、特に限定されるものではない。
【0047】
以上、本発明の適用例を樹脂便器に基づいて説明したが、本発明のバリ処理方法は、溶着又は接着により合成樹脂部材同士を接合するものであれば、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 第1の合成樹脂部材
11 第1の削代部
12 接合面
12a 溶着面
13 本接合面
13a 本溶着面
16 基準面
2 第2の合成樹脂部材
21 第2の削代部
22 接合面
22a 溶着面
23 本接合面
23a 本溶着面
26 基準面
B バリ
C バリ取り工具
F 合成樹脂部材の表面
S バリ検出用センサー
S1 形状センサー
t 厚み寸法
u 突出寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の合成樹脂部材の接合面と第2の合成樹脂部材の接合面とを当接すると共に該両部材を相互に加圧して溶着又は接着し、この溶着又は接着の際に合成樹脂部材表面から突出するバリを除去するためのバリ処理方法であって、
第1の合成樹脂部材は、合成樹脂部材同士が接合される本接合面と、該本接合面に沿って設けられ第1の合成樹脂部材の表面から突出した第1の削代部とを備え、前記本接合面と第1の削代部の一側面とで第1の合成樹脂部材の接合面が構成され、
第2の合成樹脂部材は、合成樹脂部材同士が接合される本接合面と、該本接合面に沿って設けられ第2の合成樹脂部材の表面から突出した第2の削代部とを備え、前記本接合面と第2の削代部の一側面とで第2の合成樹脂部材の接合面が構成され、
前記第1の合成樹脂部材の接合面と前記第2の合成樹脂部材の接合面とが溶着又は接着された際に発生するバリを第1の削代部及び第2の削代部と共に除去するようにしたことを特徴とするバリ処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−25612(P2011−25612A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175866(P2009−175866)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】