説明

バリ取り用ブラシ

【課題】ブラシの交換を容易に行なえるようにする。
【解決手段】ブラシ9を植設したブラシヘッド10をマグネット6を介してブラシホルダー3に着脱するようにしたバリ取り用ブラシにおいて、ブラシホルダー3は上板4と下板5とよりなり、上板4にはマグネット6を固着し、下板5にはマグネット6に対向してブラシヘッド10が装着可能でしかもその装着位置を規制する位置規制部材5bを有する装着孔5aを形成し、さらに上板4または下板5の一方を他方に対して弾発接触させる弾性部材8を具備し、ブラシホルダー3を後退させたときに下板5の位置を規制する掛止部材15により下板5のそれ以上の後退を阻止し、さらにブラシホルダー3を後退しようとしたときに上板4が弾性部材8に抗して下板5から離間することによって、ブラシヘッド10をブラシホルダー3から離脱するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリ取り用ブラシの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシをマグネットを介して保持するようにしたバリ取り用ブラシとしては、実公平2−30224に開示のものがある。このブラシは、図3に示すように、セグメントブラシ9を密植したブラシヘッド10をマグネット6に着脱自在に保持するように構成している。ブラシ9が磨耗したときは、各セグメントブラシ9を下方へ引き抜くようにして、ブラシヘッド10をマグネット6から引き離す。そして新しいブラシが密植されたブラシヘッド10を再度、マグネット6に磁着して、次のバリ取りに備えるのである。
【0003】
しかしながらこのバリ取り用ブラシには次のような問題があった。即ち、ブラシを長時間使用すると、対象ワークの研磨粉やブラシの磨耗粉がミスト状に舞い上がってブラシヘッド10とブラシホルダー3との嵌合隙間に入り込んで行く。磨耗粉ミストが堆積すると、ブラシヘッド10がブラシホルダー3に噛み込んでマグネット6から引き離せなくなることがあった。
【特許文献1】実公平2−30224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上より本発明が解決しようとする課題は、ブラシホルダー3とブラシヘッド10との間に磨耗粉ミストが入り込んでも、ブラシヘッド10の着脱が容易に行なえることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、ブラシを植設した磁性体からなるブラシヘッドをマグネットを介してブラシホルダーに着脱するようにしたバリ取り用ブラシにおいて、前記ブラシホルダーは上板と下板とよりなり、前記上板には前記マグネットを固着し、前記下板には前記マグネットに対向して前記ブラシヘッドが装着可能でしかもその装着位置を規制する位置規制部材を有する装着孔を形成し、さらに前記上板または下板の一方を他方に対して弾発接触させる弾性部材を具備し、前記ブラシホルダーを後退させたときに前記下板の位置を規制する掛止部材により前記下板のそれ以上の後退を阻止し、さらに前記ブラシホルダーを後退しようとしたときに前記上板が前記弾性部材に抗して前記下板から離間することによって、前記ブラシヘッドを前記ブラシホルダーから離脱するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ブラシホルダーとブラシヘッドとの間に磨耗粉ミストが入り込んでも、ブラシホルダーである上板と下板とを弾発接触させる弾性部材に抗して、上板と下板とを強制的に引き離すことによって、ブラシヘッドをブラシホルダーから離脱できるので、ブラシの交換を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係るバリ取り用ブラシを図1に沿って説明する。図1の1は、バリ取り用ブラシを進退動するための進退動軸で、不図示の駆動手段によって進退動可能となっている。この進退動軸1に取り付けた連結体2にブラシホルダー3がボルトで固定されている。ブラシホルダー3は、上板4とその下に配された下板5とよりなり、上板4には凹部が複数形成され、マグネット6がそれぞれボルトで取り付けられている。
【0008】
下板5にはロッド7がボルトで垂直に固定され(例えば4本)、上板4を貫通するようになっている。そしてロッド7の上部のフランジ7aと貫通孔の段差縁4aとの間に、コイルバネ8(本発明の弾性部材に相当)が圧縮状態で取り付けられ、上板4を下板5に対して弾発接触させるようになっている。
【0009】
ブラシ9は、砥材をナイロン樹脂で結合した線材を束ねたもので、金属性のブラシヘッド10に植設されている。このブラシヘッド10は前記下板5に設けた複数の装着孔5aにそれぞれ装入可能となっており、上板4と下板5が接触した状態でブラシヘッド10を装入すると、マグネット6に磁着されるようになっている。また、この装着孔5aには、ブラシヘッド10の装入位置を規制する段差状の位置規制部材5bが形成されている。
【0010】
前記進退動軸1の外周には、不図示のモータに接続された回転部材11が配され、この回転部材11に天板12が固着されている。天板12には、複数のガイド棒13がボルトで固定され、その下端には毛先保持板14がボルトで固定されている。毛先保持板14には、ブラシ9が抜き取り可能で、且つその座屈を防止する保持孔14aがブラシ9の装着本数に合わせて設けられている。
【0011】
前記下板5の外周には貫通孔が形成され、前記ガイド棒13が挿通するようになっている。この構造により、進退動軸1を上下に進退動させると、ブラシホルダー3はガイド棒13に沿って昇降し、毛先保持板14からブラシ9が突出するようになっている。
またガイド棒13の中間より少し上には、掛止部材15が取り付けられ、下板5の外周縁に掛止して、下板5のそれ以上の上昇を阻止するようになっている。なお、掛止部材15は上板4とは掛止しないようになっている。
【0012】
次にこのバリ取り用ブラシの動作説明をする。まず図1のように、掛止部材15の下面に下板5を当てた状態で、新品のブラシ9を毛先保持板14の保持孔14aより挿入してブラシホルダー3に装着する。するとブラシ9は、マグネット6により磁着される。なお、この状態では、毛先保持板14より、加工に適した一定長のブラシ毛が突出するようになっている。次に不図示のモータを起動して、回転部材11を回転させる。すると、天板12及びガイド棒13の回転とともに毛先保持板14も回転し、さらにガイド棒13に連れ回りされてブラシホルダー3も回転し、ブラシ9が進退動軸1を中心に回転する。次にブラシ9の下方に不図示の対象ワークを置く。さらに不図示の駆動手段で、回転部材11と進退動軸1を一体的に前進(下降)させ、対象ワークにブラシ9を当接させてバリ取り研磨を行なう。研磨が終了したら、回転部材11と進退動軸1を一体的に後退(上昇)させ、ブラシ9を上方に退避させる。このようにしてバリ取り研磨を繰り返す。
【0013】
ところでブラシ9は、研磨を繰り返す中で磨耗する。ブラシ9が磨耗したら、進退動軸1を一定量下降させ、再度、毛先保持板14より一定長突出させて次の研磨に備える。こうしてブラシ9を使い続ければ交換時期になる(図2a)。ブラシ9を交換するには、まず、下板5が掛止部材15に当接するまで進退動軸1を上昇させる。さらに進退動軸1を上昇させようとすると、下板5は掛止部材15によりそれ以上の上昇が阻止される。ところが進退動軸1は、ブラシホルダー3の上板4に接続されているため、進退動軸1の更なる上昇により、上板4がコイルバネ8を一層圧縮して上昇する。これにより、上板4は下板5から離間する。そしてブラシヘッド10はマグネット6から強制的に引き離されるため、ブラシ9の抜き取りが可能となる。ブラシ9を抜き取ったら、新品のブラシ9を再度、保持孔14aより挿入してブラシホルダー3に装着する(図2b)。ブラシヘッド10をマグネット6に磁着させるため、進退動軸1をわずかに下降させ、上板4を下板5に弾発接触させる。こうして次の研磨に備えるわけである。
【0014】
前記実施の形態では、ロッド7を下板5に固定したが、ロッド7を上板4に固定し、コイルバネ8を下板5の下面に取り付けて、上板4に対して下板5を弾発接触させるようにしても同様な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の正面断面図
【図2】磨耗したブラシを新品のブラシに交換する状態を示す正面断面図
【図3】従来のバリ取り用ブラシの正面断面図
【符号の説明】
【0016】
1 進退動軸
2 連結体
3 ブラシホルダー
4 上板(ブラシホルダー)
4a 段差縁
5 下板(ブラシホルダー)
5a 装着孔
5b 位置規制部材
6 マグネット
7 ロッド
7a フランジ
8 コイルバネ(弾性部材)
9 ブラシ
10 ブラシヘッド
11 回転部材
12 天板
13 ガイド棒
14 毛先保持板
14a 保持孔
15 掛止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシを植設した磁性体からなるブラシヘッドをマグネットを介してブラシホルダーに着脱するようにしたバリ取り用ブラシにおいて、
前記ブラシホルダーは上板と下板とよりなり、
前記上板には前記マグネットを固着し、
前記下板には前記マグネットに対向して前記ブラシヘッドが装着可能でしかもその装着位置を規制する位置規制部材を有する装着孔を形成し、
さらに前記上板または下板の一方を他方に対して弾発接触させる弾性部材を具備し、
前記ブラシホルダーを後退させたときに前記下板の位置を規制する掛止部材により前記下板のそれ以上の後退を阻止し、
さらに前記ブラシホルダーを後退しようとしたときに前記上板が前記弾性部材に抗して前記下板から離間することによって、前記ブラシヘッドを前記ブラシホルダーから離脱するようにしたことを特徴としたバリ取り用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−49446(P2008−49446A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229020(P2006−229020)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(396019631)株式会社チップトン (33)
【Fターム(参考)】