説明

バレットキー収納装置

【課題】運転者がバレットキーを余分に持ち歩く必要がなく、また、バレットキーを安全に車両内に収納することができるバレットキー収納装置を提供することにある。
【解決手段】開口51が形成されたバレットキー5を収納し、凹部43が形成された収納部42と、凹部43に設けられたばね45と、ばね45を介して凹部43に設けられ、側面に係合部44dを有するロックバー44と、凹部43の側面に設けられたロックピン開口46と、ロックピン開口46に挿入されたロックピン47aと、ロックピン47aを駆動するソレノイド47bと、イモビライザ機能に基づいてソレノイド47bを制御するECU14と、を備え、ロックピン47aは、ロックバー44の係合部44dに進入することで、ロックバー44の動きを規制するバレットキー収納装置4を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両にバレットキーを安全に収納することができるバレットキー収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、運転者が乗車するときに用いるマスターキーと、バレットキーの2種類を用意している車種がある。バレットキーは、例えば、ホテルのバレットパーキング係にキーを渡して自動車を預け、駐車場等への移動を委託するときに用いられるキーである。マスターキー及びバレットキーは、共に車両のドアの解錠/施錠及びエンジンの始動を行うことができる。マスターキーは、更にトランクやグローブボックスの解錠/施錠を行うことができるが、バレットキーでは行えない。
【0003】
マスターキー及びバレットキーは、ドア及びエンジンスタートスイッチのシリンダに挿入するキー溝及び鍵山を有するタイプと、エンジンスタートスイッチとの間で無線による通信を行なって盗難等に対するセキュリティを高めたイモビライザ(Imobilizer)機能を有するものとがある。
【0004】
イモビライザ機能を有するキーは、キーまたは携帯機にトランスポンダと呼ばれるICチップを内蔵し、エンジンスタートスイッチにキーまたは携帯機を近づけたときにトランスポンダからIDコードを発信させ、車両側のIDコードとが一致したときにエンジンの始動を許可し、その後にエンジンスタートスイッチの押しボタンが押されることによりエンジンを始動させるシステムである。
【0005】
イモビライザ機能を備えたバレットキーの機能を有効にするキーレスシステムも提案されており、例えば、所有者が機械式キーにより車両の機械式ロックを作動させることによって、バレットモードを設定する方法がある。
【0006】
また、マスターキーとバレットキーの2つを個別に所持しないで済み、かつセキュリティを高めたものに特許文献1に示されるスマートキーレスシステムがあり、機械式キーを備えた携帯機にトランスポンダを内蔵する分離片(タング)を着脱可能に設け、このタングを外して携帯機をバレットパーキング係に渡すと、タングが分離されたことを示すタング分離信号がID信号と共に携帯機から送信され、車両側にバレットモードが設定されるようにしている。
【特許文献1】特開2006−225976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のスマートキーレスシステムによると、タングの着脱により携帯機をマスターキーとバレットキーに使い分けできるが、タングは携帯機に比べて小さいため、携帯機から分離した後、紛失する可能性がある。紛失した場合は、そのキーで車両盗難されることもある。また、携帯機の構造が複雑になる。また、従来の車両にはバレットキーを安全に収納する場所がないため、キーを余分に持ち歩く必要がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、運転者がバレットキーを余分に持ち歩く必要がなく、また、バレットキーを安全に車両内に収納することができるバレットキー収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、開口が形成されたバレットキーを収納し、前記バレットキーを挿入する方向に対して平行な面に凹部が形成されたバレットキー収納部と、前記凹部に設けられた弾性部材と、前記弾性部材を介して前記凹部内をスライド可能に設けられ、側面に係合部を有するロックバーと、前記バレットキー収納部に前記バレットキーが挿入され、前記ロックバーが前記バレットキーの前記開口に進入したとき、前記係合部に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを駆動する駆動部と、イモビライザ機能に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記ロックピンは、前記ロックバーの前記係合部に進入することで、前記ロックバーの動きを規制することを特徴とするバレットキー収納装置を提供する。
【0010】
このような構成によれば、バレットキーを安全に車両内に収納することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバレットキー収納装置によれば、運転者がバレットキーを余分に持ち歩く必要がなく、また、バレットキーを安全に車両内に収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
以下に本発明の第1の実施の形態におけるバレットキー収納装置について図を参照しながら、詳細に説明していく。
【0013】
(車両1の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両内部の概略図である。車両1は、後述するエンジン及び制御部としてのECU(Electronic Control Unit)を搭載する本体10と、各種スイッチ等が取付けられるインストルメントパネル11と、を有し、インストルメントパネル11には、キーシリンダ2と、後述するバレットキーを収納するバレットキー収納装置4と、エンジンSW12と、バレットSW13と、が設けられている。車両1に搭載されたECUは、イモビライザ機能を備えているので、車両1は、メカニカルキーだけではエンジンの始動は出来ず、また、キーシリンダ2に対するピッキング等による、キーシリンダ2の不正操作によっても、エンジンの始動は出来ない構成となっている。
【0014】
エンジンSW12は、例えば、ECUに記憶されたID(Identification)と、後述する正規キーから無線によって送信され、車両1のアンテナで受信された正規キーに記憶されたIDと、の認証をECUが行い、2つのIDが一致したとき、すなわちイモビライザ機能による認証動作によって2つのIDが一致した後、エンジンSW12を押すことによって、エンジンを始動することができる。
【0015】
バレットSW13は、例えば、ホテルのバレット係に車両1を預けるときに使う、バレットモードをオンするためのスイッチであり、バレットモードとは、後述するバレットキーによって、例えば、車両1のエンジンの始動・停止、及び、車両1のドアロックの施錠・解錠のみが行えるように車両1を制御する、ECUが設定するモードのことである。バレットモードに移行するためには、正規キーと車両1のIDが一致している必要があり、IDの認証が行われていないときは、運転者が、バレットSW13を押しても、バレットキーは使用できない。なお、本発明の第1及び第2の実施の形態における車両1のモードは、バレットモードの他に通常モードがあり、通常モードとは、車両1において、正規キーを利用する操作、例えば、グローブボックス、トランクの施錠・解錠等の操作のすべてが行えるモードのことである。
【0016】
(バレットキー収納装置4の構成)
図2(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置の断面図であり、図2(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置の図2(a)のA−A線断面図であり、図3は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキーの斜視図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置に関する車両制御システムのブロック図であり、以下において、バレットキー収納装置の本体に対する斜線パターンは、見易くするため省略している。
【0017】
バレットキー収納装置4は、バレットキー収納部としての収納部42と、弾性部材としてのばね45と、ロックバー44と、ロックピン開口46と、ロックピン47aと、駆動部としてのソレノイド47bと、制御部としてのECU14と、を備えて概略構成されている。
【0018】
また、バレットキー収納装置4は、樹脂材料又は金属材料にて形成され、収納部42及び凹部43が形成された本体40と、本体40の収納部42付近に設けられ、正規キー3及びバレットキー5と通信するためのアンテナ41と、ロックバー44及びばね45を収納する凹部43と、を備えて概略構成されている。
【0019】
収納部42は、例えば、矩形状を有し、バレットキー5を挿入する方向、すなわち、図2(a)に示す矢印D方向に対して平行な面である下面42aと、矢印D方向に対して垂直な面である側面42bと、を有し、また、下面42aには、凹部43が設けられている。
【0020】
(ロックバー44の構成)
ロックバー44は、例えば、樹脂材料又は金属材料で作製され、第1の斜面44aと、第2の斜面44bと、ばね45が設けられているばねガイド部44cと、ロックピン47aが進入する係合部44dと、を備えて概略構成されている。
【0021】
第1の斜面44aは、バレットキー5を収納部42に収納するとき、バレットキー5の端部52が第1の斜面44aに接し、矢印D方向の力を矢印C方向の力に変換して、スムーズにバレットキー5を収納部42に収納するために設けられている。
【0022】
第2の斜面44bは、バレットキー5を収納部42から取出すとき、バレットキー5の開口51の内壁が第2の斜面44bに接し、バレットキー5を取出す矢印E方向の力を矢印C方向の力に変換して、スムーズに収納部42から取出すために設けられている。なお、いずれの場合においても、図2(b)に示すロックピン47aが、係合部44dに進入していない、すなわち、ロックバー44がロックピン47aによってロックされていない状態である。
【0023】
(ばね45の構成)
ばね45は、コイル状のコイルばねであり、収納部42の下面42aに設けられた凹部43とロックバー44のばねガイド部44cとの間に設けられ、ロックバー44に対して図2(a)に示す矢印B方向に弾性力を付加するように構成されている。なお、弾性部材としてのばね45は、これに限定されず、板ばね及びゴム等の弾性力を有する部材であれば、良い。
【0024】
(アクチュエータ47の構成)
アクチュエータ47は、ロックピン47aと、図示しない磁性体と電磁コイルを用いてロックピン47aを駆動するソレノイド47bと、を備えて概略構成されている。矢印G方向にソレノイド47bを駆動するとき、ロックピン47aは、ソレノイド47bの内部に収納されるように構成されている。なお、本実施の形態においては、ソレノイド47bが駆動する軸を延長して、ロックピン47aとしているが、軸とロックピン47aを別の構成としても良い。
【0025】
(バレットキー5の構成)
バレットキー5は、図示しない電池やトランスポンダ55等の電子部品を搭載した本体50と、本体50に形成され、キーホルダやアクセサリー等を繋ぐことができる開口51と、端部52と、車両1のドアの施錠を無線によって行うボタンであるドアロックSW53と、車両1のドアの解錠を無線によって行うボタンであるドアアンロックSW54と、アンテナ41を介して後述するECU14と通信を行うトランスポンダ55と、を備えて概略構成されている。なお、本実施の形態におけるバレットキー5は、メカニカルキーを有しない携帯機であるが、メカニカルキーを有するタイプでも良く、これに限定されない。
【0026】
バレットキー5の開口51は、特別に加工する必要は無く、従来のキーに設けられている開口を流用しても良く、また、ロックバー44が進入可能な本体50を貫通しない凹部であっても良く、更に、バレットキー5の側面に設けられた開口又は凹部にロックバー44が進入し、結合する構成であっても良く、これに限定されない。
【0027】
トランスポンダ55は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、電源回路、検波回路、及び、IDを記憶する記憶部等を備えて概略構成されている。また、トランスポンダ55は、バレットキー収納装置4のアンテナ41を介してECU14と定期的に通信を行い、ECU14は、その通信に基づいてバレットキー収納装置4にバレットキー5が収納されているか否かを確認している。例えば、イモビライザ機能による認証動作が行われていないのに、バレットキー収納装置4とバレットキー5との通信が出来なくなった、すなわち、不正にバレットキー5がバレットキー収納装置4から取出されたとき、ECU14は、バレットキー5による如何なる操作も受け付けないように、車両1を制御する。
【0028】
(車両制御システム6の構成)
車両制御システム6は、ドアの施錠・解錠を行えるボタン、トランスポンダ、及び、メカニカルキー等を有し、キーを利用する車両1に対する操作のすべてを行うことができる正規キー3と、バレットキー収納装置4のソレノイド47bと、バレットキー5と、エンジンSW12と、バレットSW13と、ECU14と、ドア15と、エンジン16と、アンテナ41と、アンテナ41で受信した電波を増幅するアンプ41aと、を備えて概略構成されている。
【0029】
ECU14は、イモビライザ機能を有し、図示しないCPU、電源回路、ID認証回路、及び、IDを記憶する記憶部等を備えて概略構成されている。ECU14は、アンテナ41及びアンプ41aを介して受信した、正規キー3のID認証信号S1が、車両1のIDと一致するとき、車両1を通常モードに設定し、エンジン16の始動等を許可する。続いて、ECU14は、バレットSW13が押されたとき、車両1をバレットモードに設定し、エンジンSW12から送信される信号とバレットキー5による操作信号S2とに基づいて、車両1のエンジン16の始動・停止、及びドア15の施錠・解錠を制御する。
【0030】
更にECU14は、アクチュエータ47のソレノイド47bを制御し、ロックバー44の動きを規制するときは、規制信号を、ロックバー44の動きの規制を解除するときは、規制解除信号をソレノイド47bに送信する。
【0031】
(第1の実施の形態の動作)
以下に第1の実施の形態におけるバレットキー収納装置4の動作を図1から図4、及び、後述する図5、図6を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図5(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る取出動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、図5(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る図5(a)のA−A線断面図であり、図6(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る収納動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、図6(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る図6(a)のA−A線断面図である。
【0033】
(バレットキー5の取出動作)
運転者が、正規キー3を持って車両1に乗込むと、アンテナ41は、正規キー3から送信されたID認証信号S1を受信し、アンテナ41、アンプ41aを介してID認証信号S1を受信したECU14は、正規キー3のIDと車両1のIDの認証動作を行う。
【0034】
ECU14は、正規キー3と車両1のIDが一致したとき、車両1のエンジン16の始動及び停止等が行える通常モードへ移行する。運転者が図1に示すエンジンSW12を押すとき、ECU14は、図示しない点火系を制御し、エンジン16を始動させる。
【0035】
運転者は、通常モードで車両1を運転したのち、目的地であるホテルに到着し、ホテルのバレット係に車両1を預けるため、エンジン16を停止させた後、図1に示すバレットSW13を押す。
【0036】
バレットSW13からバレットモードに移行するための信号を受信したECU14は、正規キー3と車両1のIDが既に一致しているので、車両1をバレットモードに移行させ、更に、バレットキー収納装置4のソレノイド47bに規制解除信号を送信し、ロックピン47aを図5(b)に示す矢印G方向に、ロックバー44の係合部44dから抜け出すまで、変位させる。なお、第1及び第2の実施の形態において、バレットキー5が、バレットキー収納装置4から取出されたとき、ロックピン47aは、図5(b)に示す状態にある。ロックピン47aが、ロックバー44の係合部44dに進入するのは、バレットキー5が、バレットキー収納装置4に収納され、ロックバー44の動きを規制して、バレットキー5を取出せなくするときのみである。
【0037】
運転者は、図2に示すバレットキー5の突出部56を手で摘んでバレットキー5を図5(a)に示す矢印E方向に引き出す。このとき、バレットキー5の開口51と第2の斜面44bが接し、図5(a)に示す矢印E方向の力が、矢印C方向の力に変換され、ロックバー44は、ばね45を縮めながら矢印C方向に変位するので、運転者は、バレットキー5をバレットキー収納装置4から取出すことができる。そして運転者は、取出したバレットキー5をバレット係りに渡す。
【0038】
バレット係は、バレットキー5を運転者から受け取ると、車両1に乗込み、エンジンSW12を押す。ECU14は、既にバレットモードに移行しているので、図示しない点火系を制御し、エンジン16を始動させる。バレット係は、車両1を運転し、所定の場所に車両1を停止させると、エンジン16を停止させ、降車後、バレットキー5のドアロックSW53を押下げ、操作信号S2を車両1に送信し、車両1のドア15をロックする。なお、バレットキー5は、アンテナ41及びアンプ41aを介してECU14と通信を行っているので、バレットキー5がECU14と通信が成立する場所に無ければ、エンジン16の始動は出来ないものとする。
【0039】
(バレットキー5の収納動作)
運転者が、車両1を運転するため、バレット係からバレットキー5を受取り、正規キー3又はバレットキー5によって、ドア15を解錠して車両1に乗込み、バレットキー5をバレットキー収納装置4の収納部42に端部52から図6(a)に示す矢印D方向に差し込む。
【0040】
このとき、図6(a)に示すように、バレットキー5の端部52が、ロックバー44の第1の斜面44aに接し、図6(a)に示す矢印D方向の力が、矢印C方向の力に変換され、ロックバー44は、ばね45を縮めながら矢印C方向に変位する。更にバレットキー5を矢印D方向に押し込むと、ロックバー44は、矢印B方向に弾性力を付加されているので、ロックバー44の先端部が開口51に進入し、更にバレットキー5を押し込むことによって、図2(a)に示すように、開口51に第1及び第2の斜面44a、44bが接する。
【0041】
続いて、運転者の操作により、バレットモードが解除されたとき、ECU14は、ソレノイド47bに規制信号を送信し、ロックピン47aを図6(b)に示す矢印F方向に変位させ、ロックバー44の係合部44dに進入させる。ロックピン47aが、ロックバー44の係合部44dに進入した状態では、本体40とロックバー44が固定されるので、バレットキー5を取出そうとしても、ロックバー44が、図6(a)に示す矢印C方向の変位を規制しているので、バレットキー5を取出すことは出来ない。
【0042】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、バレットキー5を安全に車両1内に収納することができるので、運転者がバレットキー5を余分に持ち歩く必要が無くなる。
【0043】
[第2の実施の形態]
以下に本発明の第2の実施の形態におけるバレットキー収納装置について図を参照しながら、詳細に説明していく。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成及び機能を有する部分については、共通の符号を付して、説明は省略するものとする。また、図2(b)に示すバレットキー収納装置4の構成は、本実施の形態においても同一であるので、引用することとする。
【0044】
(バレットキー収納装置4の構成)
図7(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るバレットキー収納装置の断面図であり、図7(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る取出動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、図7(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るバレットキーを取出した後のバレットキー収納装置の断面図である。本実施の形態においては、防犯性を高めるため、バレットキー収納装置4に収納されているとき、バレットキー5の先端が、インストルメントパネル11から出ないように構成されている。
【0045】
本実施の形態におけるバレットキー収納装置4は、第1の実施の形態におけるそれと比して、ストッパ48及びばね49を新たに設けている。
【0046】
ストッパ48は、収納部42の形状に合わせた矩形状を有する板状の部材で、バレットキー5の端部52が接する面に対向する面と、側面42bと、の間に、図7(a)に示すばね49が設けられている。ばね49は、ストッパ48に矢印E方向に弾性力を付加している。
【0047】
(バレットキー5の取出動作)
運転者が、バレット係にバレットキー5を渡すため、図1に示すバレットSW13を押すと、バレットSW13からバレットモードに移行するための信号を受信したECU14は、正規キー3と車両1のIDが既に一致しているので、車両1をバレットモードに移行させ、更に、バレットキー収納装置4のソレノイド47bに規制解除信号を送信し、ロックピン47aを図2(b)に示す矢印G方向に、ロックバー44の係合部44dから抜け出すまで、変位させる。
【0048】
ロックピン47aが、ロックバー44の係合部44dから抜け出たとき、ばね49によって矢印E方向に弾性力がバレットキー5に付加されているので、バレットキー5は、バレットキー5の開口51と接する第2の斜面44bを矢印C方向に押しながら矢印E方向に変位し、図7(b)に示すように、収納部42から押し出される。
【0049】
運転者は、押し出されたバレットキー5の突出部56を手で摘んで引き出し、バレット係りに渡す。このとき、ロックバー44は、図7(b)に示す矢印B方向に、ばね45による弾性力を受けるので、矢印B方向に変位して、図7(c)に示す状態で静止する。
【0050】
(バレットキー5の収納動作)
運転者が、車両1を運転するため、バレット係からバレットキー5を受取り、正規キー3又はバレットキー5によって、ドア15を解錠して車両1に乗込み、バレットキー5をバレットキー収納装置4の収納部42に端部52から図7(c)に示す矢印D方向に差し込む。
【0051】
このとき、第1の実施の形態の収納動作と同様に、バレットキー5の端部52が、ロックバー44の第1の斜面44aに接触し、ロックバー44は、矢印C方向に変位し、ばね45を縮めながらバレットキー5の下面に潜り込む。更にバレットキー5を矢印D方向に押し込むと、図7(b)に示すように、バレットキー5の端部52がストッパ48に接触し、ストッパ48を介してばね49を矢印D方向に縮める。
【0052】
続いて、ロックバー44は、ばね45によって矢印B方向に弾性力を付加されているので、ロックバー44の先端が開口51に進入する。運転者が、更にバレットキー5を押し込むことによって、図7(a)に示すように、バレットキー5の開口51にロックバー44が進入する。
【0053】
運転者の操作により、バレットモードが解除されたとき、ECU14は、ソレノイド47bに規制信号を送信し、ロックピン47aを図2(b)に示す矢印F方向に変位させ、ロックバー44の係合部44dに進入させて、ロックバー44の動きを規制する。
【0054】
このとき、バレットキー5は、バレットキー収納装置4に完全に収納されるので、収納された状態でバレットキー5を取出すことが困難になり、より安全にバレットキー5を車両1内に収納することができる。
【0055】
(効果)
上記した第2の実施の形態によると、バレットキー5は、収納部42に完全に収納されるので、バレットモードでないときに、バレットキー5をバレットキー収納装置4から取出すことが困難であり、より安全にバレットキー5を車両1内に収納することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両内部の概略図である。
【図2】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置の断面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置の図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るバレットキーの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るバレットキー収納装置に関する車両制御システムのブロック図である。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る取出動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る図5(a)のA−A線断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る収納動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る図6(a)のA−A線断面図である。
【図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るバレットキー収納装置の断面図であり、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る取出動作時のバレットキー収納装置の断面図であり、(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るバレットキーを取出した後のバレットキー収納装置の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1…車両、2…キーシリンダ、3…正規キー、4…バレットキー収納装置、5…バレットキー、6…車両制御システム、10…本体、11…インストルメントパネル、12…エンジンSW、13…バレットSW、14…ECU、15…ドア、16…エンジン、40…本体、41…アンテナ、41a…アンプ、42…収納部、42a…下面、42b…側面、43…凹部、44…ロックバー、44a…第1の斜面、44b…第2の斜面、44c…ばねガイド部、44d…係合部、46…ロックピン開口、47…アクチュエータ、47a…ロックピン、47b…ソレノイド、48…ストッパ、49…ばね、50…本体、51…開口、52…端部、53…ドアロックSW、54…ドアアンロックSW、55…トランスポンダ、56…突出部、B〜G…矢印、S1…認証信号、S2…操作信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたバレットキーを収納し、前記バレットキーを挿入する方向に対して平行な面に凹部が形成されたバレットキー収納部と、
前記凹部に設けられた弾性部材と、
前記弾性部材を介して前記凹部内をスライド可能に設けられ、側面に係合部を有するロックバーと、
前記バレットキー収納部に前記バレットキーが挿入され、前記ロックバーが前記バレットキーの前記開口に進入したとき、前記係合部に挿入されるロックピンと、
前記ロックピンを駆動する駆動部と、
イモビライザ機能に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記ロックピンは、前記ロックバーの前記係合部に進入することで、前記ロックバーの動きを規制することを特徴とするバレットキー収納装置。
【請求項2】
前記駆動部は、ソレノイドであることを特徴とする請求項1に記載のバレットキー収納装置。
【請求項3】
前記ロックバーは、前記バレットキーの挿入及び取出しを行うとき、前記開口と接する第1及び第2の斜面を先端部に有し、
前記制御部は、車両の正規キーが有するIDと前記車両のIDが前記イモビライザ機能によって認証されたとき、前記駆動部に規制解除信号を送信し、
前記駆動部は、前記制御部から送信された前記規制解除信号に基づいて前記ロックバーの動きの規制を解除し、前記開口と前記第2の斜面が接することで、前記ロックバーを前記凹部内に押下げ、前記バレットキー収納部からの前記バレットキーの取出しを可能にすることを特徴とする請求項1に記載のバレットキー収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−67190(P2009−67190A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236753(P2007−236753)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】