バレット食道検診用のテザー付きカプセル内視鏡
カプセル(20)がテザー(22)に結合され、このテザーが操作されて、カプセルとこのカプセルに内蔵されたスキャナ(26)とを患者の体内の内腔内部の所望の箇所に位置決めする。バレット食道(BE)を示す特徴な暗いピンク色を検出するために、カプセル中のスキャナが胃の上方の食道領域を走査することを可能にするように、カプセルが飲み込まれてテザーで位置決めされると、スキャナによって作成された画像を使用してBEおよび早期(無症状の)食道癌を検出することができる。スキャナは、内表面の一部を照明するために所望のパターンで動作する。次いで、内表面からの光が、カプセル中の検出器によって受け取られるか、または導波路を介して外部に搬送されて外部検出器に達する。電気信号が、スキャナを動作させるアクチュエータ(28)を励起するために印加される。カプセルは、他の内腔における診断および/または治療目的にも使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、カプセルの中に収容される走査内視鏡を使用して体の内腔内部で診断撮像する装置および方法に関し、さらに詳細には、医学的状態を検出するために撮像カプセルを使って内腔の内壁を撮像する装置および方法に関するが、その場合に、このカプセルは、内腔内部におけるカプセルの位置を制御するためにも使用されるテザーリード線を介して、外部データ受信装置に電子的に接続される。
【背景技術】
【0002】
バレット食道(BE)は、前癌性である食道の状態、すなわち、食道癌の前駆である。バレット食道を診断する標準的な診療は、しばしば食道内腔に空気を吹送した状態で、柔軟な内視鏡を使用するものである。正常な食道は通常では明るいピンク色であり、他方で胃はわずかにより暗いピンク色に見える。通常、バレット食道は、胃を食道から分かつ下部食道括約筋(LES)の上方のわずかにより暗いピンク色の領域として発現する。この状態はしばしば食道腺癌の前駆であることが分かっているので、バレット食道を早期に診断することが好ましい。したがって、この診断は、たとえそれには慢性的な胸やけおよび胃液逆流のある何百万人もの人々の食道の状態を評価する必要があろうとも、この状態の有無を検診することが望ましい。しかし、バレット食道および早期段階の癌は、明らかにそれと分かる症状を伴わずに発症する恐れがあり、したがって、できるだけ早期に癌状態の処置を可能とし、その発症を回避するかまたは治癒治療を行うために、この状態を識別する唯一の実行可能な方策として集団検診が提案されてきた。しかし、食道検診の対象者として見込まれる人数と、このような集団検診に伴う医療費償還に比べた、内科医によって行われる柔軟な内視鏡の診療に伴う現行の費用とが、現状ではこの方策の実施を不可能にする。
【0003】
必要なことは、バレット食道を有するこれらの人々を識別するためのより一層効率的でかつ経済的な方策である。従来の柔軟な内視鏡を使用して食道の検査を行えるのは医者に限られており、したがって、この手技は相対的に費用が掛かる。内科医が行う必要がなく、しかしその代わりに、訓練を受けた医療技術者または看護士が行える異なる走査技法を開発することが好ましい。実際問題として、走査作業中に実時間でまたはその直後に、バレット食道の存在を自動的に検出できるように、LES直近の食道の内表面を撮像することによって作成された画像の評価を自動化することも望ましい。
【0004】
バレット食道に罹っている恐れのある個人の集団検診を促進するために、少しも催吐反射を引き起こすことなく、容易に食道の中へ導入できる検診装置を使用することが望ましい。理想的には、検診装置が単に一杯の水と一緒に飲み込まれ得るように、この装置はカプセル形状の容器の中に具現化されるべきである。したがって、この装置は、ほとんどの患者がそれを飲み込めるようにサイズが十分に小さくなければならない。さらには、このような装置は、適切に殺菌される場合には再び使用されてもよいが、恐らくは、1回の使用後に使い捨て可能であるように十分に安価な検査装置を使用することが好ましい。
【0005】
イスラエルの会社であるギブンイメージング社(Given Imaging Ltd.)が、カプセルから送信された画像信号を受信するハーネスと併用される飲み込み可能な電池式カメラカプセルを開発した。ハーネス中の電池を使用して、画像保存用の電力と、ハーネスに内蔵されてカメラカプセル中の送信器から無線信号を受信する受信器用の電力とを供給する。患者が約8時間にわたって自分たちの通常活動に従事するかたわら、カメラカプセルのハーネスがベルトのように着用される。カプセルおよびカメラは胃腸管全体を通過し、通常の様態で他の排泄物と一緒に排泄される。次いで、カメラによって撮影されてハーネス上の受信器に無線送信された画像は、患者の胃腸管における様々な医学的状態の識別を試みる際に視ることができる。したがって、カメラカプセルは、内視鏡または結腸鏡を使用する従来の内視鏡検査が行き届かない小腸部分の画像を提供する。しかし、カメラカプセルが胃腸管を通過する速度は制御されない。また胃腸管内部におけるその位置の測定も容易ではない。このカプセルシステムの初期型は、カプセルの各端部にレンズを具備し、特に食道の撮像用に、より大きなフレーム率で画像を取得するように改造されてきた。このシステムは依然として非常に高価であり、しかも操作者がカプセルの位置を制御できるようになっていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、バレット食道の有無を調べるために一般集団を走査する際に有用な走査装置を提供することに加えて、このような走査装置を体の内腔中の内表面を撮像する必要がある他の多くの手技で使用することが望ましい。内腔内部における走査用装置の配置を制御し、内腔の壁中の筋肉組織の作用に基づいて装置の前送りを可能にするばかりでなく、その移動経路に沿って制御可能であるかまたは引き戻しさえも可能であることが望ましい。現在では、十分に小型のスキャナは存在するが、内腔中の内表面の撮像に関する他の望ましい基準を満たすカプセルの中に設けられたものはまだ存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の第1の態様は、患者の体の内腔の内表面を撮像する装置に関する。本装置は、内腔を容易に通過するようにサイズ決めされるカプセル筐体を含む。カプセル筐体の撮像部分は、内腔の内表面を撮像するために、この部分を介して走査を可能にするように光学的に透明である。光源が含まれ、それは内腔の外部かまたはカプセル筐体の内部に配置することができる。アクチュエータを有するスキャナが、カプセル筐体の内部に配置される。このアクチュエータは、スキャナからの光のビームで内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するためにスキャナを駆動する。少なくとも1つの光センサが含まれ、それは内腔の内表面から反射された光に応答する。このような光センサはそれぞれが、光の強度を示す電気信号を生成する。本装置に含まれる光学系が、スキャナから放出された光を患者の体の内腔の内表面の一部の上に合焦する。内腔を通って近位へ延びるテザーが、カプセル筐体に連結される。このテザーは、内腔の内部におけるカプセル筐体の動きを制御するために、力がこの筐体に印加されることを可能にする。
【0008】
1つの実施形態では、少なくとも1つの光センサがカプセル筐体の外部に配置される。別の実施形態では、内腔の内表面から反射された光が、テザーの内部に含まれる光透過性の導管を介して、カプセル筐体の近位に、例えば、患者の体外に配置される少なくとも1つの光センサに搬送される。光透過性の導管は、テザーを含む光ファイバのコア、またはテザーを介して光を光源からカプセル筐体の中へ搬送もする光ファイバのコア、またはテザーを含む光ファイバのクラッドであり得る。
【0009】
少なくとも1つの光センサがカプセル筐体の内部に配置される実施形態では、内腔の内表面から反射された光が、対応する電気信号を生成する少なくとも1つの光センサによって受け取られる。1つの実施形態では、テザーが、光センサに結合される少なくとも1本の電気リード線を含み、この光センサが生成する電気信号を内腔の外部に存在する箇所に搬送する。
【0010】
1つの実施形態では、スキャナが、光源によって生成された光を所望の走査パターンで反射するために、アクチュエータによって駆動される走査ミラーを含むことができる。別の実施形態では、スキャナが、アクチュエータによって動作するように駆動される導波路を備え、この導波路は、所望のパターンで走査するために導波路の遠位端から光を放出するようになっている。
【0011】
様々な他の機能的態様がカプセル筐体に備わり得る。例えば、圧力センサが、カプセルに印加された圧力を監視するためにカプセル筐体に配置可能であり、圧力を示す圧力信号を生成する。また、内腔の内部における、基準点に対するカプセル筐体の位置を監視するために、位置センサが含まれ得る。別の随意選択として、患者の体の内腔の内部から少なくとも1つの化学的パラメータ、例えば、pHなどを監視するために、化学センサが含まれ得る。さらに他の機能として、生検を実施する手段、すなわち、組織試料を内腔内部の所望の部位から採取する手段が、カプセル筐体に含まれ得る。
【0012】
カプセル筐体は、通常、内腔壁の自然な作用によって内腔に通して前送りされる。しかし、本装置は、カプセル筐体を内腔に通してより効率的に移動させるように蠕動を促進するために、内腔の壁中の筋肉組織を刺激するように、カプセル筐体の外部に配置された少なくとも1つの電気接点を含み得ることにも留意される。
【0013】
使用者が、内腔の中へカプセル筐体が移動した距離を測定できるように、テザーには複数の目盛標示が設けられ得る。または、本装置は、カプセル筐体が内腔を通って移動するときに回転されるテザーによって係合される回転構成要素を含んでもよい。したがって、この回転構成要素は、カプセル筐体が内腔の中へ移動した距離を表示するために使用される。内腔が食道である1つの実施形態では、本装置は、食道内部でカプセル筐体が通過する距離の再現可能な追跡を保証するように、回転構成要素を支持するために患者の口腔の中に配置するように適応される噛み棒を含む。選択的に解放可能であるようにテザーに連結し、カプセル筐体に隣接してまたは噛み棒に隣接して配置された接合部を含むことが所望され得る。
【0014】
1つの実施形態では、光学系が、スキャナから放出された光をカプセル筐体の面に対して横方向へ誘導する少なくとも1つの反射表面を含む。この光学系は、スキャナとカプセルの撮像部分との間に配置された少なくとも1つのレンズを含むことができる。さらには、1つの実施形態では、光学系が、スキャナによって生成されて内腔の内表面に誘導された光を濾過するように、または、光が少なくとも1つの光センサによって感知される前に、内腔の内表面から反射される光を濾過するように配置される少なくとも1つのフィルタを含む。
【0015】
好ましくは、カプセルの撮像部分がカプセル筐体の遠位端に配置され、テザーがカプセル筐体の近位端に接続される。
【0016】
スキャナは、単一モード光ファイバ、二重クラッド光ファイバ、光を光源から搬送するために使用される単一モード光ファイバおよび内腔の内表面から反射された光を少なくとも1つの光センサに搬送する少なくとも1つの多モード集光光ファイバ、または微小電子機械システム(MEMS)装置を備える導波路を含むことができる。1つの好ましい実施形態では、スキャナが、所望のパターンで走査するときに共鳴振動数付近で動作するようにアクチュエータによって駆動される導波路または光ファイバを備える。随意選択的に、フィードバックセンサが、導波路または光ファイバによって生成された光ビームで走査することによって作成された画像中の歪みをいずれも実質的に減少させるように、この導波路または光ファイバの動きを制御するために含まれる。アクチュエータは、内腔の内表面を走査する所望のパターンを実現するために、駆動力を複数の直交方向で生成する電子機械式アクチュエータを備えることが好ましい。
【0017】
随意選択的に、少なくとも1つの光センサが、異なるスペクトル波長帯の光および/または偏光された光に応答する光センサを含めて、複数の光センサを実際に含む。
【0018】
適正な撮像有効範囲を保証するために、光学系は、所望の走査パターンが、カプセル筐体の遠位で実質的に全360度のアークにわたって内腔の内側表面を照明するように、カプセル筐体の撮像部分を介してスキャナによって放出された光を誘導するように構成することができる。例えば、複数のスキャナがカプセル筐体の内部に配置可能であり、それぞれのスキャナは、別個のアクチュエータを具備して内腔の内表面の異なる部分を走査するように構成されている。実際に、これらの複数のスキャナは、単一スキャナによって提供される視野に比べて、視野を増大させるように、または内腔の内表面をカプセル筐体の両端から走査するように、または内腔の内表面のステレオ走査画像を提供するように、または既定の波長帯の光を使用して内腔の内表面の診断走査を実行するように、または複数のスキャナの少なくとも1つからの光を使用して内腔の内表面の治療走査を行うように、または内腔の内部で施されている治療の状態を監視するように、または1つのスキャナと内腔の内表面との間の距離を測定するために使用される照明を提供するように構成可能である。1つの実施形態では、複数のスキャナがカプセル筐体内部でアレイとして離間されており、光学系が各スキャナから放出された光を内腔の内表面の異なる部分に誘導する。
【0019】
カプセル筐体は、それに連結されたテザーと共に患者によって飲み込まれるようにサイズ決めおよび構成されることが好ましい。本装置は、少なくとも1つの光センサから電気信号を受け取り、かつこの少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号に対応するデータを格納するデータ記録媒体を含むことができる。このデータは、内腔の内表面の少なくとも1つの連続2次元画像を作成するために容易に組み合わされる複数の画像フレームを表すことができる。
【0020】
別の随意選択は、少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号を分析するスペクトル分析器である。スペクトル分析器の波長帯は、紫外から赤外波長帯にわたる波長帯域から選択される所望の範囲内にある。
【0021】
1つの実施形態では、膨張可能なバルーンがカプセルに結合される。このバルーンは、膨張時に、幾つかの異なる機能のために使用可能である。例えば、膨張したバルーンは、バルーンに対して内腔によって印加された力に応答して、バルーンおよびカプセルを内腔に通して蠕動によって前送り可能にするために使用することができる。バルーンはまた、流体圧をバルーンが内置される内腔の壁から圧力センサに搬送することも可能であり、この圧力センサは、内腔の壁によってバルーンに及ぼされる圧力の監視を可能にする。別法として、バルーンは、組み合わせたバルーンおよびカプセル筐体の断面積サイズを拡大するように膨張可能であり、それによって、内腔の断面積サイズがバルーンのそれよりも小さいので、カプセル筐体が内腔を通ってさらに移動するのを防止する。他の機能として、膨張したバルーンは、カプセル筐体を内腔の内部で概ね中心に位置決めするために使用することができる。
【0022】
ある時点で、カプセル筐体が内腔を引き続き通過できるようにすることが所望され得る。したがって、カプセル筐体をテザーから解放するように選択的に駆動可能な解除装置を設けることができる。
【0023】
本発明の別の態様が、患者の体内の内腔の内表面を走査するカプセルシステムに関し、他方では、さらに別の態様が、患者の体内の内腔の内表面を走査する方法に関する。このカプセルシステムは、一般に上述の装置と整合性がある構成要素を含み、その方法は、このようなシステムを利用する工程を実行する。
【0024】
本発明の以上の態様および付随する数多くの利点は、添付の図面と共に考慮されるとき、本発明が以下の詳細な説明を参照することによってより適正に理解されるにつれて容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の例示的用途
本発明は、当初、内科医による相互作用を必要としないでバレット食道を検出するために、一般集団の集団検診を相対的に低費用で行う解決策として考えられたけれども、本発明は、患者の体のほとんど任意の内腔の内表面を走査し、診断し、治療を施し、このように施された治療の状態を監視する用途にも一般的に応用可能であることが明白であろう。したがって、以下の説明は、本発明をバレット食道の検出用途に重点を置くけれども、本発明の範囲は、いかなる意味においても、この例示的な用途に限定されるものではない。
【0026】
図1Aは、胃12、食道14、および下部食道括約筋(LES)16を示す模式図10を含む。LES 16は、正常な場合には、食道14に飲み込まれた食物が胃12の中へ支障なく通過することを可能とするように開くが、正常な場合には胃12の内部から胃酸および食物が食道14の中へ逆流するのを防止する一方向弁の役目をする。しかし、「発明の背景」で上に留意したように、慢性的な胸やけおよび胃食道の逆流を患う人々には、LES 16を通過して食道14の下部に進入する胃酸の結果として、しばしばバレット食道が見られる。バレット食道を患う患者は、食道14を含む内腔の内表面のLES 16の直上領域18が、その正常な明るいピンク色から暗いピンク色に変化しているかどうかを判定することによって見つけることができる。本発明は、食道14内部の領域18を容易に走査することを可能にし、バレット食道を示す内表面のより暗いピンク色の存在が明白に分かる画像を作成する。さらに重要なことは、下でさらに詳細に説明するように、本発明は、バレット食道の検出が、通常では医師による直接的な相互作用を伴うことなく医療従事者によって遂行できるように、走査過程が、自動化された様態で実行可能となることが究極的に期待されている。
【0027】
図1Bに、この例示的な用途で本発明を活用する様態が示されている。その図に示されているように、本発明に従ってサイズ決めおよび構成されるカプセル20が、食道14の内部を通って先送りされ、ちょうど胃12の中へ進んだところである。カプセル20は、食道14を通って上に延び、患者の口腔を通って外に出るテザー22に結合される。カプセルの筐体24は、大きめのビタミン錠剤のサイズ程度、例えば、長さ約15mmに直径が7mmで、生体適合性であり、かつ胃酸または他の生物学的流体によって影響を受けないプラスチック材料を含む。テザー22は、極めて柔軟性があり、直径が相対的に小さく、例えば、約1mmである。筐体24の内部では、カプセル20が、視野(FOV)30内の内腔の内表面を走査するためにスキャナ26を駆動式に移動させるアクチュエータ28を含む。カプセル20は、患者にBEがあるかどうかを判定するために使用されるとき、FOV 30が領域18を網羅するようにLES 16を通過して引き戻される。次いで、スキャナ26によって提供される領域18の画像は、食道14の内表面上の組織が、BEを示すより暗いピンク色に変化しているかどうかを指摘するために評価することができる。
【0028】
図2は、カプセル20のこの実施形態のさらなる細部を示し、本発明に有用なカプセルの幾つかの他の実施形態が以下に説明される。この実施形態では、スキャナ26を備える振動光ファイバによって放出された光が、複数のレンズを含む光学系34を透過して、カプセル20が内置される食道または他の内腔の内表面に達し得るように、筐体24の前端すなわち遠位端32が光学的に透明である。内表面は光の他の波長帯を使用してスキャナ26によって照明されてもよいが、この実施形態では、内腔の内表面は白色光を使用して照明される。内表面から反射された光は、複数の赤色、緑色、および青色(RGB)センサ36r、36g、および36bによってそれぞれ検出される。食道または内腔の内表面を照明するために使用される白色光は、テザー22内部に配置された光ファイバ(別個に表示せず)を介してスキャナ26に搬送される。複数のRGBセンサによって生成された信号は、走査された内表面の部分に対応する画像を作成するように処理するために、テザー22内部の電気リード線(図示せず)を介して返送される。
【0029】
この実施形態は位置センサ38も含み、このセンサは、位置と、随意選択的に患者の体内におけるカプセル20の向きとを示す信号を生成することによって、患者の体外の信号源(図示せず)によって生成された外部信号に応答する。電磁信号に応答する適切な位置センサは、例えば、アセンションテクノロジー社(Ascension Technology)から入手可能である。位置センサ38は、電磁場、RF信号、組織を貫き内腔に進入するように選択された波長の光信号、または別の適正な信号に応答することができる。別法として、位置センサ38は、患者の体内におけるカプセル20の位置と、随意選択的にその向きとを測定するために外部センサ(図示せず)と併用される信号源によって置き換えられ得ることも企図されている。この外部信号源または位置センサは、基準を設けるために、信号源または位置センサを患者の胴体の特定の箇所に巻き付けることによって患者の体表上の特定の箇所に配置することができる。
【0030】
化学的センサ40が、化学的パラメータを感知するために随意選択的に含まれる。例えば、化学的センサ40は、内腔内部の水素イオン濃度、すなわち、pHを検出することができる。別法としてまたは追加的に、化学的センサは、内腔の内部温度を監視する温度センサを含むことができる。また化学的センサ40に追加してまたはその代わりに、圧力センサが使用されてもよく、したがって、この化学的センサは、これらのセンサのいずれか1つまたはすべてを表示しようとするものである。
【0031】
他の随意選択として、選択的に解放可能な連結部42が、所望であれば、空圧式にまたは電気式にカプセルをテザーから切り離すために設けられてもよい。したがって、カプセルは、そのテザーとの連結部から解放されるとき、体の内腔に通して搬送され、内腔が消化管に関与するものであれば、カプセルは通過して排泄されることになる。解放可能な連結部は、外部源(図示せず)からテザー22の中の通路を介して伝搬される圧力パルスで駆動されてもよいし、またはテザーの中のリード線を介して供給される電流を使用することによって、解放可能な連結部42を磁気的に駆動する電気信号で駆動されてもよい。テザーおよびカプセルを解放して一緒に内腔に通して先送りするために、同様の解放可能な接合部がテザーの近位端付近にも設けられてもよいし、または別法として設けられてもよい。
【0032】
システム処理の概説
図3は、外部機器と共に、カプセル内部の様々な構成要素によって生成された信号を処理するシステム50を例示し、本システムを制御するために使用される信号がどのようにこれらの構成要素に入力されるかを示す。統合された撮像および他の機能を提供するために、システム50は、このように、患者の体外に留まるこれらの構成要素と、カプセルの中に存在するもの(すなわち、点線52内の構成要素であり、それらの一部は、本発明が活用されている用途に応じて随意選択的である)とに分割される。したがって、ブロック54は、カプセル内部に配置され得る機能的構成要素を列挙する。図示するように、これらの構成要素には、照明光学素子と、1つまたは複数の電子機械式走査アクチュエータと、1つまたは複数のスキャナ制御アクチュエータと、スキャナの動作を制御する1つまたは複数のスキャナ動作検出器と、所見領域(ROI)を撮像するフォトン検出器(別法として、これらのフォトン検出器は、内腔の内表面から外部検出器に反射された光を伝送する光路が、テザーの中に設けられていれば外部に配置されてもよい)と、随意選択的に診断目的用ならびに治療および監視目的用の追加的なフォトン検出器(これもカプセルおよび患者の外部に配置されてもよい)とが含まれる。システム50に関して、食道の撮像などの特定の用途に実際に必要な機能的構成要素のみが含まれるだけでもよいことに留意するべきである。また、撮像以外の追加的な機能は、診断、または治療、もしくはこれらの機能の組合せであり得るが、検査室における適正な手順を実行することによって引き続いて評価するために、内部部位の組織の生検を行うことを含み得る。異なるスキャナにそれぞれ関連する複数のアクチュエータを含むカプセルの特定の実施形態は示されていないが、本明細書に開示したスキャナの相対的に小さいサイズにより、総走査面積を増やすために、このようなスキャナのアレイを設けることが可能なことは明白であろう。このようなスキャナには、それぞれに専用のアクチュエータが設けられ、かつこのスキャナによって走査された領域からの光を検出するための検出器か、またはこの光を1つもしくは複数の外部検出器に搬送するための導波路が設けられることになる。
【0033】
外部には、ブロック56に示すように、光が照明源および変調器から照明光学素子に供給される。光ファイバシステムの遠位端に搬送されるRGB、UV、IR、および/または高強度の光を生成する外部光源システムの幾つかの好ましい実施形態に関して、さらなる詳細を以下に開示する。ブロック58は、照明源、変調器、フィルタ、および検出器が、カプセル内部の1つまたは複数の電子機械式走査アクチュエータに、および/またはカプセル中に設けられたスキャナ制御アクチュエータに随意選択的に結合される。スキャナ動作検出器が、走査を制御するために随意選択的に使用され、必要であれば、より精確な走査制御を実施するためにスキャナ用アクチュエータ、照明源、および変調器にフィードバックされる信号を生成する。
【0034】
ブロック60では、画像信号フィルタリング、バッファリング、走査変換、増幅、および他の処理機能が、撮像用フォトン検出器によって生成され、かつ診断/治療、および監視目的に用いられる他のフォトン検出器用に生成された電子信号を使用して実施される。ブロック56、58、および60は、それぞれの別々のブロックによって実行される機能を容易にする信号を搬送するために双方向式に相互接続される。同様に、これらのブロックは、それぞれがブロック62と通信して双方向式に結合されており、このブロックには、アナログデジタル(A/D)変換器およびデジタルアナログ(D/A)変換器が、画像取得、処理用に、関連するプログラムの実行用に、および他の機能用に使用されるコンピュータワークステーションのユーザインタフェースに供給される信号を処理するために設けられる。コンピュータワークステーションは、バレット食道を検出するために食道内部の走査によって作成された画像を処理するようにプログラムされるとき、ほぼ実時間で、しかも通常は内科医の評価を必要としないで結果が提供されるように、一般集団を集団検診するために使用することができる。
【0035】
コンピュータワークステーションからの制御信号が、ブロック62にフィードバックされており、適切であれば、ブロック56、58、および60に設けられた機能のそれぞれを制御または駆動するためにアナログ信号へ変換される。ブロック62内部のA/D変換器およびD/A変換器はまた、データ記憶装置が設けられているブロック64と、ブロック66とに双方向式に結合される。ブロック66は、患者の体内の内腔の内部で、スキャナを備えるカプセルを操作し、位置決めし、かつ安定化するためのユーザインタフェースを表す。内腔中のカプセルの位置を測定し、内腔中のカプセルを安定化する技術のさらなる説明を以下に論じる。
【0036】
ブロック64では、データ記憶装置が、患者の体内の検出器によって作成された画像データを記憶し、かつカプセル中のスキャナによって実施された撮像および機能に関する他のデータを記憶するために使用される。ブロック64も、コンピュータワークステーションと、ブロック70の1つまたは複数の対話式表示器モニタとに双方向式に結合される。ブロック70は、ブロック60から入力を受け取り、内腔の内表面上のROIの画像が対話式に表示されることを可能にする。さらには、ブロック72に示すように、1つまたは複数の受動型ビデオ表示器モニタが本システム内に含まれてもよい。他の種類の表示器装置、例えば、頭部装着型表示器(HMD)システムが設けられてもよく、医療従事者が内腔中のROIを疑似ステレオ画像として視ることを可能にする。
【0037】
図4は、カプセル内で使用可能なスキャナ120の1つの実施形態を例示する。スキャナ120は、片持ち式光ファイバ124の中で第1のモードの振動共鳴を発生させる電子機械式装置または圧電セラミックチューブアクチュエータ122を含む。この実施形態では、片持ち式光ファイバが、その遠位端にコリメーティングレンズ126と、このコリメーティングレンズを透過した光の光ビームを照明平面132(典型的には内腔の内表面上の領域を含む)上に直接的に合焦させる走査レンズ128とを含む。走査レンズ128によって合焦された光は、照明平面132上に点広がり関数(PSF)134を形成し、片持ち式光ファイバが移動するとき、PSF 134’は照明平面にわたって移動する。片持ち式光ファイバ124は、矢印130によって示す単一軸沿いの走査に限定され得るけれども、この光ファイバが2次元的に、例えば、螺旋パターンで走査するように、光ファイバを移動させるアクチュエータを使用することが好ましい。しかし、直線的な単一軸アクチュエータによって生成された高振幅の共鳴振動では、機械的な力の非直線的なクロスカップリングにより、光ファイバの得られる動きは2次元(2D)であり得る。したがって、2D走査に2軸アクチュエータの必要はない。
【0038】
図5は、本発明で使用されるスキャナの利点を図示する。このような光ファイバスキャナは、典型的に内腔の内表面上の領域を含む走査された点放射源物体平面を拡大画像平面に撮像することによって、容易に90°のFOVを実現することが可能である。光ビーム走査を示す図4とは異なり、図5は、微小レンズと走査レンズとの組合せではなく、撮像レンズを使用する点放射源撮像の好ましい実施形態を示す。図5は、レンズ142および144を含む光学系140の1つの実施形態に関して、照明に使用された光の相対的なガウスビーム径を、ゼロと45°との間の様々な角度で、すなわち、総視野の2分の1にわたって示す。本実施形態では、反射光の検出が、レンズ144上におよびその外周周り(レンズのこの部分は照明光を透過しない)に配置される光検出器146を使用して実行されるか、または別法として、走査されている領域から反射された光が集められて外部検出器(図示せず)に搬送されてもよい。断面で示されているが、光検出器146がレンズ144の周囲全体の回りを包み、この検出器の斜線を引いた光感知部分によって示すように、検出器の前方表面上およびすべての側面上で能動的に光を検出することが理解されよう。
【0039】
図6Aおよび6Bは、本発明のカプセルの中で使用する2D走査点放射源照明器240および光ビーム照明器240’を示す。図6Aでは、点放射源照明器240は、患者の体内の内腔の内表面上のROIを走査させる、カプセル内部の光ファイバ242によって点放射源照明を実施する能力を有する。走査光ファイバによって設けられた点放射源がカプセル(図示せず)内部において所望のパターンで動作させられるとき、走査光ファイバによって放出された光は、ROIの異なる部分を照明するように撮像レンズ244a、244b、および244cに透過される。実線で例示した位置で、光ビーム246はROIの特定の部分を照明し、他方では、点線で例示した位置で、この走査光ファイバは、ROIの異なる部分を照明する光ビーム246’を生成する。走査光ファイバによって照明された各連続点から反射された光は、撮像レンズ244c、244b、および244aを介して再び戻されて、RBGフォトン検出器245r、245g、および245bのそれぞれによって受け取られ、これらの検出器が、ROIの自然色画像を表示する際に使用するために、患者の体外に伝達される対応する電気信号を生成する。別法として、この光は、テザーを介して、患者の体外に配置された外部フォトン検出器に搬送されてもよい。
【0040】
さらには、走査光ファイバ242を使用して、内腔の内表面に治療を施すことができる。例えば、相対的に高出力のレーザを使用して、このファイバによって走査された点を照明することによって、薬物を活性化するために、または光線力学的治療法(PDT)、すなわち、温熱療法の目的のために高強度光がROIに照射され得る。RGBフォトン検出器によって生成された信号はROIにおける連続点に対応するので、これらの検出器が生成する信号から得られる画像は、画像画素データの時系列蓄積に基づいている。走査光ファイバ242は、好ましくは遠隔通信等級またはそれ以上の単一モードまたは中空光ファイバである。この統合システムの1つの重要な利点は、視覚画像の作成に使用される機構が診断、治療、および外科処置に使用されるものと同じであることである。画像取得に使用される有向光照明は、体の内腔を通過するようにサイズ決めされたカプセル内部において、(走査エンジン、表示器、およびユーザインタフェースを共有することによって)最も高度の診断および治療が単一の撮像システムに統合されることを可能とする。
【0041】
図6Bは、カプセル(図示せず)の中で使用するための走査光ビーム照明器240’を示し、この照明器は、図6Aに示した実施形態と全く同様に走査光ファイバ242も含む。しかし、走査光ビーム照明器240’は、撮像レンズを使用するのではなく、走査光ファイバの遠位端に付着されるコリメーティングレンズ243と、走査レンズ244’とを使用する。光ファイバ242がカプセル内部で動作するとき、この光ファイバを介して搬送される光は、コリメーティングレンズ243によって平行にされ、次いで、患者の体内の内腔の内表面上のROIに対応する平坦な照明平面233bまたは湾曲した照明平面233cの上に合焦される。走査光ファイバが移動するときに走査された各連続点から反射された光は、走査レンズ244’を再び透過してRGBフォトン検出器245r、245g、および245bによって検出され、これらの検出器のそれぞれは、線248を経由して、画素ごとに蓄積されたデータを画像の作成に使用されるRGB信号に供給する。
【0042】
照明平面では、全モード走査の目標である最大強度および/または光品質を実現するために、光放射のビームが合焦される。組織が照明平面に一致するとき、光照射は、光パワーと、この組織上の光スポットサイズとの関数である。したがって、撮像、診断、および治療に関して、より高い解像度は単位面積当たりにより多くの走査線を設けることによって実現されるので、カプセルの中に配置されたスキャナの解像度は、画像平面におけるこのスポットサイズによって決まり、かつ試料密度(すなわち、組織の単位面積当たりの試料数)によっても限定され得る。画像取得に関して、画像解像度は、照明スポットサイズ、検出器帯域幅(および走査速度)、および信号対雑音比(照明強度および集光効率)によって決まるが、この画像解像度はフォトン検出器の物理的サイズまたは個数によって限定されるものではない。
【0043】
診断および治療には厳密な空間識別が要求されるので、送達前に予め較正された有向照明が必要である。カプセルの中に送達された診断および治療走査と光学撮像を統合することによって、医療従事者は、カプセルが内置される内腔の内部で診断または治療用途に進む前に、表示画像を視ることによって光学走査の空間識別を容易に理解することができる。最後に、コンピュータ画像取得電子装置および画像処理ソフトウェアを組み込むことによって、画像、診断、および治療データの画素単位の分析が可能になる。それぞれの画素は組織の同じ面積または容積に対応するので、単一のファイバ統合システムは、3つのすべての機能、すなわち、撮像、診断、および治療のための空間的位置決めを維持する。3つのすべての機能に関して同じ視点からの一貫した空間的位置決めは、内腔を通過するカプセル内部に送達された単一光ファイバ走査システムを高精度にしかつ医療従事者による使い勝手をよくする。
【0044】
相対的に小さいカプセルの内部に統合された走査装置を使用することによってもたらされる利点は以下の通りである。
・統合によりサイズが小型になること、
・患者の安静がほとんど必要ないかまたは全く不要であること、
・内科医がテザー付きカプセルを患者の食道の中へ挿入する必要がないこと、
・統合および低費用の構成要素の使用によって費用が低下すること、
・体の中の様々な内腔の内部における到達可能性を高めるように曲げ剛性が低下すること、
・特に反復治療が必要な場合に処置時間が短縮されること、
・組み込まれた高解像度撮像装置および対話式表示器により精度が高まること、
・可変解像度(実時間ズーミング)および高度のステレオ効果(影付けのような)などの走査光学システムによる追加的な特徴構成、
・組み込まれた非可視光源および検出器による追加的な機能性、
・内腔内部おける多器具または多挿入物による感染に関して患者に対する危険性が低下すること、
・健康な組織の損傷が減少することによって患者の回復時間が短縮されること、および
・慢性疾患を監視するために長時間にわたって体の内部に残置可能であること。
【0045】
図6Cは、本発明のカプセルで容易に使用される共焦点スキャナとして使用するための同軸光ファイバ組立体280の一部を示す。光ファイバ組立体280は、クラッド286によって包囲される相対的に小さい中心光ファイバ284を含む。より大きな直径の光ファイバが、このより小さい光ファイバを包囲する。ROIの照明は小径の光ファイバ284を介して供給され、それによって放出された光はROIを照明するためにレンズ288a、288b、および288cを透過する。ROIから反射されるかまたは別様に受け取られた光は、これらのレンズによって光ファイバ組立体289の中へ再び合焦され、この組立体は、テザーを介して、受け取られた光を患者の体外に配置された機器に搬送する。このいわゆる同軸共焦点撮像では、単一の光ファイバが、ROIを照明すると共に、光をROIから外部機器に搬送することに留意するべきである。同軸光ファイバの幾何学的形状は、予成形品から熱引抜きするときに一体に融着された単一の機械的ユニットであるか、または別法として、ガラス繊維を径方向へドーピングすることによって、屈折率を異にする同軸領域が製造されてもよい。管状圧電アクチュエータ282は、同軸光ファイバを一体に移動させ、したがってこの光ファイバにROIを上で説明したモードの1つで走査させる。包囲する光ファイバの中に集められた光は、診断、撮像、および治療のために画像分析を向上させかつ光透過の深さを改良するように、反射された共焦点から径方向へ増加する距離にある検出器または光ファイバからの信号に使用することができる。極端に高い利得構成または識別検出構成では、後方散乱光は導波路の同じ部分(例えば、光ファイバのコア)の中に集光されてもよい。このような用途では、小さい信号水準を増幅するために光コヒーレンス特性が利用され、光コヒーレンス反射光測定法(OCR)または光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、あるいはレーザ励起フィードバックに基づいて診断マップを作成する。
【0046】
図6Dおよび6Eは、本発明のカプセル内部で有用なスキャナの実施形態を示し、このスキャナはRGB、紫外(UV)、および赤外(IR)スペクトル成分用の検出器を具備する。光ファイバ組立体295が、カプセル(図示せず)内部で支持体293の上に取り付けられた内部アクチュエータ291を具備する。開口部298を有する筐体内部に密封された光ファイバ300が、アクチュエータ291の遠位へ延びてこの内部アクチュエータによって動作させられ、このアクチュエータは、螺旋または渦巻き走査などの所望の走査パターンを実現するように管状圧電式であることが好ましい。図6Eに示したように、RGB検出器292および294が光ファイバ300の上方および下方に配置され、他方ではRGB検出器306および308が光ファイバの左および右に配置される。さらには、これらの図に示したように、RGB検出器290および296が組立体の外表面の頂部および底部に配置される。同様の様態で、RGB検出器302および304が、図6Eに示した検出器の左側および右側に取り付けられる。UV検出器310および312がRGB検出器間の一方の対角線上に取り付けられ、他方でIR検出器314および316が他方の対角線上に取り付けられる。したがって、疑似ステレオ画像は、内腔の内表面上の組織を撮像するとき、この組立体に具備された様々な検出器によって、本発明のカプセル内部から受け取られたRGB、UV、またはIRスペクトル成分に関して作成することができる。これらの幾つものRGB検出器からの信号を比較することによって、かつ内腔中のテザー付きカプセルの向きを知ることによって、正反射および多重散乱による信号水準が推定可能であり、それは適正な信号処理によって低減可能である。
【0047】
図6Fおよび6Gは、平行偏光検出器および垂直偏光検出器が内蔵されている光ファイバ組立体295’を示す。光ファイバ300は、参照数字328によって示した平行方向へ偏光される光を搬送する。図6Gに示したように、平行偏光検出器334および336が光ファイバ300の両側に配置され、他方で垂直偏光検出器324および326が光ファイバ300の上方および下方に配置される。さらには、垂直偏光検出器320および322が垂直偏光検出器324および326の上方および下方に配置され、他方で平行偏光検出器329および330が平行偏光検出器334および336の左および右に配置される。したがって、光ファイバ組立体295’をカプセルの内部で使用して、このカプセルに結合されるテザー(どちらもこれらの図に示さず)を介して検出器の出力信号を受け取る、患者の体外に配置された機器よって分析するために、両方の向きで偏光された光、すなわち、内腔の内表面上のROIから反射されるかまたは別様に受け取られた光を検出することができる。様々な偏光検出器によって生成された信号を使用して、外部に表示するために、その特定の偏光型に対応して内腔の内部における組織の画像を作成することもできる。組織との相互作用により偏光が変化する光を記録することによって、正反射を最小化することができる。組織からの偏光度は、一部がこの組織の光学的特性に依存するので、様々な組織の種類および深さが、両方の偏光軸を測定することによって識別可能である。
【0048】
図7Aは、内腔の内表面上のROIの疑似ステレオ画像を提供し、かつ内腔外部の分光測光器を使って分析可能なスペクトル画像を取得するために、カプセルの内部で使用される走査および検出システム266を示す。このシステムでは、内腔を通って患者の体外に延びるテザーを備える光ファイバ組立体250が光ファイバ256を含み、この光ファイバは、その先端にテーパが付けられ、圧電アクチュエータ254によって包囲されている。アクチュエータ254は、内腔(図示せず)の内表面を照明するために、レンズ258aおよび258bを透過する光を放出する光ファイバ256を振動させてROIを走査させる。この組織のROIから反射された光または別様にそこから受け取られた光(燐光または蛍光放射など)が、光ファイバ256回りに円周方向のアレイとして配置される12個の光ファイバ252によって集められる。この例示的な実施形態に示すように、参照数字260によって一括して示される光ファイバ1、2、および3は、それぞれがテザーを介して円周方向のアレイの左側に対応する外部RGB撮像検出器に結合される。同様に、参照数字262によって一括して識別される光ファイバ7、8、および9は、それぞれがテザーを介して円周方向のアレイの右側用の外部RGB撮像検出器に結合される。別の光ファイバの組264が、テザーを介して分光測光計270に結合される光ファイバに対応する。この分光測光計は、UV光、可視光、および/またはIR光を使用してスペクトル分析ならびにスペクトル画像取得を行うために使用される。円周方向のアレイの左側および右側用のRGB検出器は、このアレイの2つの離間された部分(すなわち、左側および右側)でROIからの光を受け取るので、これらの検出器はHMD表示器(図示せず)を使用して容易に視られる疑似ステレオ自然色画像を作成する。
【0049】
図7Bには、テザーを介して、カプセル内部に配置された光ファイバ360の中へ結合される、異なるスペクトル組成の光を生成する光源システム340を例示する模式図が示されている。この実施形態では、赤色光源342、緑色光源344、青色光源346、およびUV光源348が、それぞれに光ファイバ360の中へ選択的に結合される。光ファイバ360は、この光ファイバの遠位端が内腔(光ファイバの遠位端を含むカプセルがこの内腔を通過していく)の内表面上の組織を照明するために光を放出するようにテザーを備える。アクチュエータ350は、光源が生成する光の強度が選択的に制御可能であるように、光源ごとに光ファイバの近位端に設けられる。対応する緑色、青色、およびUV光源のそれぞれによって放出された光の色に特定的な被覆を含む3個の二色性ミラー352、354、および356が、緑色、青色、およびUV光をそれぞれに光ファイバ360の近位端の中へ反射するために、光路内部に位置決めされる。これらの二色性ミラーのそれぞれに関する反射率波長帯の外側にある光は二色性ミラーに透過され、レンズ358によって光ファイバ360の近位端の中へ合焦される。
【0050】
図7Cは、本発明に使用される別法の光源システム362を示す。この実施形態では、赤色、緑色、青色光源342、344、および346が、それぞれ、光学的減衰器350を介しかつレンズ364を介して、一連のまたは一続きの光学的結合器366に結合される。レンズ364は異なる光色の各光源からの光を光ファイバ365の中へ合焦し、これらの光ファイバは、この光を光学的結合器366に搬送する。さらには、IR源368が、光学的減衰器350およびレンズ364を介して光ファイバ365の中へ光を透過し、この光ファイバはIR光を一続きの結合器の最後の結合器に搬送する。光検出器369が、異なる光源ごとの光強度水準または光パワー水準を監視するために設けられ、様々な光源の強度の制御を可能とする。光ファイバ367が、光を最後の光学的結合器から光検出器369に搬送し、他方では、この最後の光学的結合器からの出力が、患者の体内の内腔中のカプセル内部に配置されたスキャナに入力するために光ファイバ360の近位端に入力される(この図面を簡素化するために、光ファイバ360を含むテザーも、カプセルも図示されていない)。
【0051】
上で示唆したように、内視鏡カプセル走査システムの経済性を保証し、それによってその用途の広がりを促進するために、相対的に低費用でかつ高容積で作製され得る小断面積の走査装置を製造することが望ましい。この目的をより容易に実現するために、経済的なスキャナを製造するとき、集積薄膜デバイスを使用する微小電子機械システム(MEMS)技術が有利に使用され得る。図8A、8B、および8Cは、本発明に従って、カプセル内部のスキャナとして使用するように適合可能な薄膜光学システム370を例示する。図8Dに例示するさらなる別法370’が、走査および検出器用に平行片持ち式薄膜光導波路を含む。
【0052】
このような本発明に有用なスキャナの薄膜実施形態では、静電アクチュエータ386が、隆起棚部378上で支持される薄膜光導波路380に作用する。この薄膜光導波路は、直径が約0.003mmに過ぎない。薄膜光導波路の遠位部分382に、図8Aおよび8B中の湾曲矢印によって示された2つの直交方向へ走査させる。走査動作は1次元(すなわち、単一軸に沿って)または、図示のように、2次元(例えば、ラスタパターンまたは螺旋パターンに沿って)であり得ることに留意されるべきである。随意選択的に、薄膜光学デバイスはロッド373上のカプセルの中に装着可能であり、次に、このロッドは、向きを変更するかまたは単一軸走査を変位するために、手動でまたは機械的に回転もしくは振動される。シリコン基板376(または他の基板材料)に装着されることが好ましいレンズ384も設けられる。別法として、基板の外側であるが依然としてカプセルの内部に配置されたアクチュエータ(図示せず)が、静電アクチュエータの代わりに使用可能であり、その場合には、光ファイバ374およびレンズ384はシリコン基板376によって支持されることになる。この光ファイバは、外部アクチュエータによって振動が引き起こされ、片持ち式薄膜光導波路に共鳴走査させる。
【0053】
光ファイバ374は、それが薄膜光導波路380と一線に整列するのを保証するためにシリコン基板376の位置調整Vノッチ390の内部に固着されることが好ましい。この光ファイバは直径が約0.1mmであるので、光ファイバの端部と薄膜光導波路との間で精確な位置合わせを行うように注意を払わねばならない。図8Aおよび8Bは、光ファイバ374と薄膜光導波路380との間の木口結合を使用する実施形態を示す。光ファイバと薄膜光導波路との間の適正な位置合わせを保証するために、Vノッチ390は、薄膜光導波路に対する光ファイバの配置を厳密に確立する。屈折率整合ゲル375または流体を使用して光ファイバ374からの光を薄膜光導波路380に結合することができる。屈折率整合ゲル375によって充填された間隙を減少させるために、光ファイバの先端はテーパを形成するためにエッチングされ得る。さらには、先端長さおよび表面が、固着前にCO2レーザ機械加工によって調節され得る。以下でさらに説明するMEMSスキャナの他の実施形態は、位置合わせ問題を軽減する。
【0054】
図8A、8B、および8Cに示した実施形態では、ROI内の目標から反射されて戻される光が、レンズ384を透過し、それぞれのRGB検出器392r、392g、および3926bによって受け取られる。カプセルの中に配置されたこれらの検出器は、対応する色の光に応答し、上で論じたように、外部構成要素の近位に搬送される信号を生成する。図8Dでは、別体の画像および診断/治療用の薄膜光導波路が離間されかつ並行して走査されるが、この実施形態は診断用「DIAG」検出器392dを使用する。
【0055】
集団検診用自動システム
本発明が企図する用途の1つは、本発明によって、患者のBEの有無を検診するために、ほとんど自動化された食道検診作業が最終的には医療従事者によって(通常は医師によるのではなく)実施されることを可能にすることである。図9は、患者がBE(または他の食道の症状)に罹っているかどうかを判定するために、医療従事者408によって患者395の食道の内表面の走査を実行する、本発明に関連して使用される自動システムを例示する。このシステムはコンピュータプロセッサ394を含み、このプロセッサは、図3に関連して上で論じかつ下でさらに詳細に論じる機能の多くを実行する。
【0056】
組み合わされた光ファイバおよび電気リード線ケーブル397は、コンピュータプロセッサ394をリール396に結合するが、このリールは、本発明に従って、リール上のハンドル402が回転されるとき、患者395の食道内のカプセルを後退させたりまたは前進可能にしたりするために使用される。カプセルと一緒に食道内で後退させたり、または前進可能にしたりするテザー22が、口唇404間に延びて患者の食道を嚥下する。このテザーはリール402において、組み合わされた光ファイバおよび電気リード線397に接続されて、1本または複数の光ファイバと、カプセルの中に配置されたスキャナ(この図ではどちらも図示せず)におよびそこから光信号および電気信号を搬送する1本または複数の電気リード線とを含む。最初に患者395は、カプセルおよびそれに付着されたテザー22の飲み込みを容易にするために、水などの液体の入ったグラス406が渡される。この液体は、カプセルが患者の口腔の中に挿入された後で飲み込まれ、患者がこの液体を飲み込むとき、食道壁を含む筋肉の正常な蠕動によってカプセルを食道に通して前送りする助けとなる。
【0057】
カプセルは、患者の胃の中へ前進することが可能であり、次いで、ハンドル402を把持しかつリール396を回転させる医療従事者408によってLESを通過して抜き出される。追加的に、カプセルのコンピュータ制御式の抜き出しも企図されており、検診過程を完全に自動化するために電動式リールを使用することになる。したがって、コンピュータは、カプセルによって走査されている画像の品質および内容を実時間で判定する基準に応答して、カプセルの抜き出し速度を決める。カプセルの抜き出し速度の制御に加えて、コンピュータは、走査変数および患者に特定的な変数が与えられる場合には、光強度の制御が可能であり、内腔の内表面のパノラマ図を形成するために自動化された画像ステッチング(stitching)が実行可能である。現在入手可能な自動化された画像ステッチング用ソフトウェアが、例えば、「AutoStitch」としてマシューブラウン社(Matthew Brown)から入手可能である(http://www.cs.ubc.ca/〜mbrown/autostitch/autostitch.htmlにあるこのソフトウェアに関するURLを参照されたい)。このような画像は、LESの位置を測定するために、かつ患者にBEまたは何らかの他の医学的問題があるかどうかの判定を自動化するために、画像認識ソフトウェアと併用することができる。また、全360度のパノラマ図を作成するために自動的にステッチされた画像は、患者の食道内のカプセルの位置を画定するための別の目盛として、LESからのカプセル長の画素を単位とする定規様の物差しを形成するために較正することができる。
【0058】
コンピュータプロセッサ394に結合された表示器398を視ることによって、医療従事者は胃の画像を容易に観察することが可能であり、次いで、リールがテザーを巻き上げてカプセルをLESの上方に後退させるとき、医療従事者は、表示器上に食道の内表面の画像を観察することが可能である。インジケータ400bは、カプセルが食道を通過している相対速度および方向を示すために表示器の片側に表示される。
【0059】
コンピュータプロセッサ394は、画像399中の変化に基づいてLESを検出しかつLES上方のカプセルの距離400aを表示して、患者がLESの直上の食道内表面の箇所にBEを示す特徴的な暗いピンク色を有するかどうかを判定するために、当該部分の画像を自動的に評価するようにプログラムすることができる。このように画像走査処理の結果は、ほぼ実時間で食道の状態を検出するために自動化され、患者がBEに罹っているかどうかを即時に表示するので、医療従事者は、リールを操作することおよび最初にカプセルを飲み込む際に患者を補助することが要求されるだけであるべきである。したがって、このようなシステムの効率によって、しばしばBEが先駆である食道癌をBEの早期検出によって回避できるように、一般集団の集団検診を最小限の費用で実施可能にするべきである。
【0060】
機能ブロック図
図10は、カプセルが患者の体の内腔中に配置されるとき、本発明に従って実施可能な多様な機能の少なくとも一部を例示する。診断、治療、および監視などの機能が点線を使って形成されるブロックの中に示されており、他方で、カプセルおよび関連構成要素によって実施されるシステム410の撮像機能に実線が使用されている。この図に例示するように、撮像レーザ412が、テザーを経由して患者の体内へ誘導されて、カプセルの中に配置される走査光ファイバで使用される撮像光学素子を介して、カプセルの中のスキャナによって誘導される光を生成する。さらには、ブロック418中の遠隔光学スイッチおよび減衰器によって制御され得る、ブロック416中の診断、治療、および監視用レーザが、光学結合機構420を介して、患者の体の内腔中で使用するためのカプセルの内部に配置された追加的な光学構成要素422に搬送されるコヒーレント光を生成する。RGBフォトン検出器430は、内腔の内表面上のROIから受け取られた光に応答して、テザー内部のまたはそれと並行して延びる電気導体を介して、患者の体外に配置された機器に搬送される電気信号を生成する。別法として、RGB光は、テザー内部の光ファイバを介して、体外の外部フォトン検出器426に、または、例えば、光ダイオードおよび関連する回路を含む他の種類の光検出器424に搬送され得る。
【0061】
ボックス432に示すように、本システムは、1つもしくは複数の分光測光計またはスペクトル分析器によって使用される集光用光ファイバに関連する、追加的な高出力または低出力の、UV検出器、および/または可視光検出器、および/またはIR検出器を含んでもよい。例えば、ブロック434に示した分光測光計またはスペクトル分析器は、集光用光ファイバを介して搬送された光および/またはブロック436に示す導体を経由して搬送された信号を受け取ることができる。本システムは、さらなる随意選択として患者の体内のカプセルの内側に配置された追加的なフォトン検出器を含んでもよい。信号が、ブロック432と434との間、ならびにブロック440中のコンピュータプロセッサ(またはワークステーション)およびデータ取得構成要素との間で、双方向で交換される。コンピュータプロセッサは、非直線的走査パターンを提供するアルゴリズムおよび制御アルゴリズムを実行することが可能であり、強度データ取得、画像マッピング、パノラマ画像ステッチング、およびデータの記憶を実行するようにもプログラム可能である。さらには、実時間フィルタリング(例えば、動作およびスキャナ偽信号の補正)、比率および背景減算の実時間測定、デコンボリューション(deconvolution)、疑似ステレオ強調、ならびに様々な検出器によって生成された信号の処理を含むタスクが、コンピュータプロセッサによって実施される。コンピュータプロセッサによって供給された信号は、画像表示器装置(図9に示したように)に、および不揮発性記憶装置(図示せず)のデータ記憶用に出力される。画像表示器装置は、ブロック442で留意されるように、陰極線管、液晶表示器、およびHMD装置、あるいは他の種類のステレオ画像表示器を含んでもよい。
【0062】
市販の表示器は典型的に直線ビデオフォーマットが必要であるので、カプセル中の1つまたは複数のスキャナ用に使用される非直線走査の数多くの利点(簡素化された単一アクチュエータ、円筒スキャナのサイズ、およびより低い走査速度など)を利用するために、任意の非直線光学走査パターンが、データバッファ(メモリ)の中に記憶されかつ表示器モニタ用の標準的なラスタ走査フォーマットに変換されねばならない。信号処理およびリマッピング(remapping)におけるこの追加的な工程は、プログラム可能な記憶装置にとっては技術的に大した問題ではない。
【0063】
さらには、スペクトルおよび多変量解析を実行し、かつ対象領域を特定しその範囲を計算するための画像分析ソフトウェアが、コンピュータプロセッサまたは他の計算処理装置を使用して実行される。内腔の内表面上のROIに関して、この計算処理によって、その分布、境界、容積、色、および光強度が測定可能であり、かつROIから収集されたデータに基づいて、バレット食道などの組織病変状態、医学的段階が判定できるばかりでなく、治療の投与量を計算および監視することもできる。これらの機能のすべてがブロック444の中に示されており、これらの機能はブロック440の通常の撮像コンピュータプロセッサを使用することができる。ブロック444はブロック446に結合され、このブロックには追加的な対話式表示器および画像重畳フォーマットが設けられる。ブロック444に関連して、電子機械式スキャナを駆動し、かつブロック450のサーボセンサから信号を受け取るためにスキャナ出力および制御電子素子が設けられることを示すブロック448が存在し、これらのスキャナ出力および制御電子素子は、選別、監視、診断ばかりでなく、内腔内部の所望の部位に画素単位の精度で治療を施すことに関わる通常画像の取得および強調のために使用される。
【0064】
以上に、内腔内部のROIを撮像するためにカプセルに内置されたスキャナを動作させることに関連して、光ファイバ走査アクチュエータの様々な実施形態を説明した。ブロック454は、走査光ファイバを内蔵するカプセルを患者の体内へ挿入し、かつROIに隣接する所望の部位に位置決めできるように、走査光ファイバの遠位先端の手操作による制御に対応されていることを示す。手操作による制御は、恐らくカプセルおよびスキャナを内腔中のROIに対して回転させるようにテザーを旋回させることを含み、カプセルおよび1つまたは複数のスキャナを所望の部位に容易に位置決めするためにブロック456で示すように、場合によっては自動化されたサーボセンサを含むことになろう。一旦位置決めされると、患者の生物学的動作(呼吸および循環系の動き)および肉体的動きに関して画像を安定させるために、ブロック452で留意するように、スキャナの自動振動補正が行われる。さらには、少なくとも1つの実施形態では、所望であれば、患者の体の内腔内部でカプセルを安定させる他の機構が設けられる。
【0065】
本発明を活用して実施可能な様々な機能の詳細は以下の通りである。
統合された撮像、検診、および診断
・UV、可視、およびIR波長を使用する光学組織撮像
・UV、可視、およびIR波長を使用する蛍光撮像
・IR波長を使用する熱撮像
・IR波長を使用する深部組織撮像
・同軸共焦点および真の共焦点撮像
・IR波長を使用する血液透過撮像
・偏光/コントラスト撮像
・レーザフィードバック顕微鏡法
・光コヒーレンス断層撮影法(OCT)および光コヒーレンス反射光測定(OCR)
・光刺激振動音響画像分析
・高解像度および倍率の組織接触撮像
・レーザ励起蛍光法(LIF)ならびに比率蛍光撮像および検出
・多フォトン励起蛍光撮像法
・蛍光寿命撮像および分析
・ステレオおよび距離測定オプションを使用する撮像構造の真のサイズ決め
・レーザ励起蛍光分光法(LIFS)
・ラマン分光法分析
・弾性散乱分光法(ESS)分析
・吸収分光法
・化学ルミネセンスおよび細胞生活力の検出ならびにマッピング
・光学センサデータ(酸素濃度、pH、イオン濃度等)の空間マッピング
・温度測定およびフィードバック制御
・圧力測定(圧力計)の誘導ならびに食道、下部食道括約筋、胃、幽門、小腸、および他の体の内腔の視覚的および圧力計による観察の相関
・監視ならびにフィードバック制御のための、色、レーザ電力送達、組織特性、光退色、および化合物の光生成などの他の測定
治療、手術、および監視
・光線力学的診断(PDT)
・組織および/または腫瘍の加熱(例えば、温熱療法処置)
・光照明によるレーザ手術(UV、熱、および/または切除)
・医用生体材料の光活性化学作用、光重合、および移植
・レーザ焼灼法
・パルス式光放射の吸収によって生成される衝撃波を使用する組織の機械的破壊
対話式表示器および高度なユーザインタフェース設計
・表示器モニタ上の疑似ステレオ、疑似カラー重畳を利用するステレオ画像マッピング、および真の3D表示器フォーマット(個々の表示器手段および性能は特定の用途に応じることに留意されたい)
・対話式のタッチ/位置指示画面
【0066】
図11Aおよび11Bは、使用される計測装置に応じて、本発明で実施可能である様々な機能を例示する。図11Aは、撮像、試料診断、および施療に使用される単一の走査導波路を示し、図11Bでは、単一の走査導波路が、3D撮像、組織生検の実現、内視鏡手術の監視に使用される。これらの両図では、構成要素の多くが同じように設けられているが、本システムの一部として使用される構成要素に多少の変更を行うことによって、異なる機能が提供できることを認識することが有益である。図11Aに示したシステム460では、対話式コンピュータワークステーションモニタ462は、医療従事者が走査光ファイバを制御し、撮像、診断(例えば、光生検)、および施療に使用されるソフトウェアアリゴリズムを実行することを可能にする。高解像度カラー表示装置464は、走査光ファイバ484から、光ファイバシステム488を経由して分配制御卓472に搬送される信号を受け取る。走査光ファイバ484に隣接して患者の体内に光学RGB検出器が内蔵されていなければ、それらが設けられてもよい。ROI 486は、使用者に表示される高解像度カラー画像を作成するために光ファイバによって走査される。受動的表示器の実施形態では、2つの陰極線管(CRT)モニタが、同じ物体(例えば、組織)の画像を作成するために、2つの異なるコントラストモードを使用して画像を表示する。例えば、同じ共鳴駆動式走査光ファイバが、自然色光画像を一方のCRTに作成し、他方のCRTモニタにグレースケール蛍光画像を作成してもよい。励起および信号の光学特性が重畳しなければ、2つ以上の画像が同時に作成されてもよい。重畳しなければ、これらの2つの画像は、面順次方式でまたは高速共鳴スキャナの交番ライン掃引で取得される。画像コントラストモード(自然色光および蛍光)間の切り換えを行うために、光源は遮断されるかまたは直接的にスイッチが切断/投入される。照明電力およびスペクトル域を共に変調する間に時間的に同期して、フォトン検出器からの信号が記録され、別個の画像として表示される。この実施例では、同じROIの第2の蛍光画像を有するので、医療従事者は、標準的な白色光画像では視認できるかどうか不確かなわずかな病変または前癌病変を見つけて明確に識別することができる。
【0067】
これらの2つの表示器の一方は、医療従事者がレーザ手術のためにROIを選択する(その輪郭を描く)ことを可能にするタッチ画面モニタまたは対話式フットマウスもしくはペダルを使用することなどによって対話式であってもよいことが企図されている。画像に動きがあり得るので、タッチ画面表示装置は、遅れずに画像を取得しかつ静止させる必要がある。しかし、一旦このROIの輪郭が描かれると、画像のセグメント化および物体認識アルゴリズムは、実時間で画像取得しかつ表示する間、ROIを強調表示された状態に維持するように実施することができる。対話式モニタは、従事者が、電力水準およびレーザ放射露光継続時間などのレーザ治療に関するパラメータを設定するためのサイドバーメニューを提供することができる。第2の表示器は対話式で使用されないことになろうが、それは自然色またはグレースケールで実時間光画像を表示する高解像度モニタであることが好ましい。IRフォトン検出器が内視鏡に組み込まれていれば、疑似カラーを有する高解像度表示器は、従事者が、レーザ手術における組織加熱および/または組織照射などのレーザ治療の進行を監視することを可能にする。
【0068】
カプセル内部の走査光ファイバは、ブロック466に示すように、テザーと先端誘導および安定化を容易にする光学手動制御装置とを使用して、患者の体内の所望の部位でROI 486に対向して位置決めされる。内腔内部におけるカプセルの配置は、位置センサ信号に基づいて、または、図13に関連して下で論じるように、テザー上に設けられた目盛を基準にして、テザーが内腔の中へ延びる距離を監視することだけによって自動的に測定可能である。ROI 486内部で、光生検「スポット」485が、病気を診断するための一点スペクトル測定の空間的および一時的分布を例示する。これらのスポットは、生体外の分析用に観血的に組織試料を採取する現在の診療とほぼ同様に分布されている。それぞれのスポットは、光学スキャナのフレームサイクルにわたって分光学的に分析可能であり、t1およびt2を、例えば、約1/30秒だけ分離する。走査光ファイバによって提供された画像に加えて、ブロック468に示すIR熱的光検出器(および随意選択的な温度監視装置)が、ROIからIR信号を受け取るために具備されてもよい。
【0069】
走査光ファイバまたは光導波路の動作を容易に制御するために、ブロック470に示すように、マイクロセンサおよび制御電子素子用の電力が供給される。制御電子素子によって供給された信号は、光ファイバに走査させるアクチュエータが、ブロック470内部の電気的ハードウェアおよびソフトウェア双方によって制御されるとき、この光ファイバの振幅および変位の制御を可能にする。ROI 486から受け取った光のスペクトル組成および光生検スポット485の分布は、ROIの状態をルーメンで評価する医療従事者によって、スペクトル測光分析に基づいて癌のような病気の検診および診断用に使用可能であるので、分光測光計および/またはスペクトル分析器474が診断目的用に具備される。ROIを撮像できるようにROIを照明するために、赤色、緑色、および青色光源476、478、および480が組み合わされ、これらが生成する光が光ファイバシステムを介してカプセル内部の走査光ファイバ484に搬送される。スペクトル分析用に使用される光源は、外部RGB光源(例えば、レーザ)の1つからの高出力パルス、または副次的なレーザもしくは白色光源でよい。信号強度、時間、および照度が限定的であるので、フラッシュ照明を使用して反復一点分光測光法が最初に用いられる。さらには、同じまたは異なる高出力レーザ源482を用いて、PDT;形成異常、新形成、および腫瘍のレーザ切除;ならびに高強度源を使って行われる他の種類の治療などの治療を施すことができる。
【0070】
システム460を使用する際に、医療従事者は、標準的な自然色の内視鏡画像を表示する高解像度カラー表示装置を注視しながら、柔軟なテザーとそれに付着されたカプセル(スキャナを含む)とを患者の体内の内腔の適正な領域に誘導しかつ操作する。内腔中の腫瘍、新形成、および/または前癌病変の検査は、モニタを注視するだけで開始することができる。分光測光計およびスペクトル分析器474と一緒に含まれる第2の表示装置(別個に図示せず)が、カプセル中のスキャナによって作成された画像のグレースケール版にわたって、疑似カラーで蛍光マッピングを表示する。異常に見える組織が見つかると、カプセルは随意選択的に機械的に固定される(例えば、下で説明するように、付着されたバルーンを膨らませることによって)。内腔壁上のROIはスキャナのFOV内部で中心に位置決めされ、次いで、スキャナに備わる多解像度能力を使用して拡大される。ROIまたは癌のサイズが推定され、画素境界が可視画像または蛍光画像を画像処理することによって測定される。LIFSなどの分光学的診断が必要であれば、光生検点の分布が照明水準と共に推定される。診断測定は、数多くの撮像フレームにわたって照明を反復して自動送達することによって行われる。使用者は、診断を終了するか、またはカプセル中のスキャナによって内腔の内表面に関して作成された画像から明確な診断が下せるまで、ワークステーションに試料の信号対雑音比および/または密度を向上させることができる。診断結果は、実時間でありかつ標準画像の上に重畳されることが見込まれている。
【0071】
PDTなどの光学的治療が許可されると、光放射露光量が決められ、カプセル中のスキャナシステムを制御する対話式コンピュータワークステーションにプログラムされる。PDT処置は、典型的にはPDT蛍光染料用に予め選択された高出力レーザ源482による、高強度レーザ照明の光学走査であり、上で説明したように、二色性フィルタ、減衰器、および電子機械的シャッタを使用して制御される。面順次方式では、蛍光画像および可視画像は共に、カプセル中のスキャナを使用して行われるPDT処置中に取得される。医療従事者は、両方の表示器上で、スキャナで取得されたこれらの画像を観察することによってPDT処置の進行を監視する。
【0072】
図11Bを参照すると、カプセルの中に設けられた走査システム460’が、内腔の内表面の3D撮像、生検、および内視鏡手術の監視用に使用される。ROIの疑似ステレオ図の中に3D撮像を可能にするために、HMD490が含まれる。さらには、本システムは、図11Aに関連して上で説明した高解像度カラーモニタ464を含む。IR光学位相検出器492も内腔中の距離測定用に含まれる。IR照明の高周波数変調が、数ミリメータほどの光伝搬距離による位相変化を測定するために計測され得る。カプセル中の走査光ファイバまたは光導波路の遠位端とROI 486との間の距離は、特定のROI 487の境界またはサイズを測定するためにこのROIをマッピングするために、かつ内腔中のROIを含む形成異常の面積または腫瘍の容積など、構造のサイズおよび形状を測定するために、内視鏡手術時に適用されるべき光の強度を評価する際に重要である。UV/可視生検光源494が、特定のROI 487における光生検の実施を可能にする。ブロック474の分光測光計およびスペクトル分析器は、内視鏡手術中のROIの状態が、この計測装置によって行われるスペクトル分析に基づいて、しばしば最も適切に測定され得るので、内視鏡手術の実施中にROIの状態を監視する際に有用である。他の点では、図11Bに備わる別の機能用に使用される構成要素は、図11Aの構成要素と同一である。
【0073】
システム460’を使用するとき、医療従事者は、可視波長(自然色)画像を表示する高解像度カラーモニタ464を注視しながら、スキャナを再位置決めするためにテザーおよびカプセルを移動させることによって再び新形成を探す。ROIが見つかると、下で論じるように、例えば、カプセルに付着されたバルーンを膨らませることによって、カプセルを機械的に固定することができる。再び、ROIがFOV内で中心に位置決めされ、次いで、多解像度能力を使って拡大される。しかし、周囲組織に動きが見られる場合には、取得された画像は静止しておらず、画像のスナップショットが獲得され、かつ好ましくは対話式表示器である対話式コンピュータワークステーションモニタに伝送される。静止ROIの境界はその輪郭が対話式表示器画面上に描かれ、距離測定用のIR光学位相検出器492を使用して、成形異常の面積または腫瘍の容積が、画素単位の直径測定値およびスキャナと組織との間の距離測定値から評価される。光生検は、弾性散乱光分光法(ESS)用の光ファイバ結合型アークランプであり得るUV/可視生検光源494を使って行われる。当該癌性または前癌性組織に許可されると、光放射露光量が計算され、治療計画が対話式コンピュータワークステーションモニタ462にプログラムされる。デジタル画像処理アルゴリズムが、ROIを自動的にセグメント化するように、または実時間で取得された画像から動作偽信号を排除するように、スキャナ信号(表示器フレーム率と同等かまたはそれ未満であり得る)を処理するために較正することができる。レーザ手術処置および/または焼灼法は、可視光スキャナと光結合される高強度レーザ482(IR)を使って行うことができる。IR距離測定オプションの必要はないが、IR温度監視装置またはレーザ監視装置が所望される場合には、IR源がこれらの別法の監視機能用に代用され得る。面順次方式では、IR画像および可視画像は共に、レーザ手術および/または焼灼法時に取得される。IR画像は、レーザ照明が内腔中のROIを走査するときのレーザ照明からの後方散乱のマッピングであるか、または対話式コンピュータ表示器上にグレースケール可視画像にわたって疑似カラーとして表示され得るROIの熱画像である。医療従事者は、これらの取得された画像を高解像度表示器モニタおよび対話式表示器モニタ上で観察することによって、IR照射処置の進行を監視する。
【0074】
内腔におけるカプセルの配置測定
本発明の数多くの用途では、カプセルが通過している内腔の内部におけるカプセルの位置を測定することが重要である。外部基準源に対するカプセルの配置(および、随意選択的に、向き)が測定され得るように、カプセル内部でこの基準源からの信号を検出する位置センサを使用することを含めて、幾つかの異なる技法を用いてこの測定を行うことができる。別法として、信号源は、患者の体内、したがって患者の体の内腔の内部におけるカプセルの位置(および、随意選択的に、向き)を測定するために、外部位置センサと併用するためにカプセルに内蔵することができる。位置センサをカプセルに内蔵することは上で論じられている。
【0075】
さらなる別法として、内腔内に置けるカプセルの名目位置が知られるように、電子測定装置500が、患者の体の内腔の内部に進入したテザー22の長さを測定するために設けられ得る。電子測定装置500が図12Aおよび12Bに示されている。これらの図では、電子リード線502がテザー22に隣接して延在するように示されているが、別法として、テザーの内部に内蔵されてもよい。電子測定装置500は、テザー22が患者の食道の中を通過するように、患者の歯間に快適に固定されるように形作られる噛み部品504を含む。発光体508および光検出器512が内部に配置される筐体506も含まれ、これらの発光体および光検出器は、それらの間でノッチエンコーダ車510が回転するように離間される。ノッチエンコーダ車510は、テザー22の動きに応答して車516によって回転自在に旋回する軸514上に取り付けられる。張力車518は、テザーを車516と接触状態に維持するためにテザー22に対して力を印加する。車516および張力車518は、ブラケット520によって支持される。発光体508と光検出器512との間で回転するノッチエンコーダ車に応答して、光検出器は、患者の食道(または他の内腔)の内部に存在するテザー22の長さを示すパルス信号を生成する。
【0076】
図13に、内腔内部におけるカプセルの名目位置を測定するように、内腔の内部に存在するテザー22の長さを測定するさらに簡素な方策が例示されている。テザー22は、このテザーに沿ったカプセルからの距離を示すために、テザーの外表面に付着された複数の離間した刻線標示を有する。したがって、使用者は、カプセルが内腔の中を移動した距離を測定するために、テザー上の標示を参照することによってカプセルからの距離を簡単に読み取ることができる。
【0077】
二重クラッド光ファイバの使用
上記説明では、光信号をカプセルの遠位に搬送し、かつ患者の体外に配置された検出器の近位に戻すために2連クラッド光ファイバが使用され得ることに留意された。二重クラッド光ファイバ540の例示的な実施形態が、非常に低い屈折率(noc')の外部クラッド542を含み、このクラッドは、容易に入手可能な単一モード光ファイバに追加可能であるか、または既に外部クラッドが被覆されている特注の光ファイバとして購入可能である。外部クラッド542は、低い屈折率(nic)の内部クラッド544を包囲し、この内部クラッドはカプセルによって内腔の内表面から集められた光の導波路の役目をする。高い屈折率(nc)を備えるコア546が、内腔の内表面を照明するための光を搬送し、この光は白色(すなわち、光は実質的に等しい強度のRGB成分を有する)であってもよいし、または他の波長または波長帯の光を含んでもよい。したがって、二重クラッド光ファイバのこれらの成分の屈折率の関係は次式、すなわち、nc>nic>>noc'となる。別法として、外部クラッド542は、例えば、金、アルミニウム、または銀から作製された金属薄膜として形成することもできる。さらに他の別法として、外部クラッド542は、単に空気だけでもよいし、またはほとんど空気と適正な重合体とを含む組成物であってもよい。
【0078】
二重クラッド光ファイバ540を使用すると、図15に示すように、カプセル552に必要な構成要素を簡素化する。例えば、光検出器はカプセル552の中には不要である。さらには、カプセル内部の光検出器から電気信号を搬送する必要が存在しないので、テザーの中で二重クラッド光ファイバ540に沿って延びるリード線550は、アクチュエータ560を励起する電気信号を搬送するのに必要とされるだけである。図15に、リード線550は二重クラッド光ファイバ540に沿って、カプセル552用のテザーの柔軟性の高い薄い外部被覆564の内側に示されている。好ましくは、二重クラッド光ファイバ554の片持ち部分に走査を行わせ、点線562によって示されているように、食道14の内表面を照明する光を放出する。カプセル552の中の光学系には第1のレンズ556および第2のレンズ558が含まれ、これらのレンズを介して、可動光ファイバ554によって放出された光が内腔の内表面上に搬送される。内腔の内表面から反射されて戻った光は同様に光学系を透過して内部クラッド544に進入し、この内部クラッドは、上で論じたように、この光を適正な検出器まで内腔の外部へ搬送する。
【0079】
カプセルに結合されたバルーンの使用
図16は、その近位端に結合された膨張可能なバルーン574を有するカプセル570を例示する。このバルーンは、カプセルの遠位端から、カプセルが内置される内腔の内表面582に向けられている照明光572を妨害することはない。バルーン574内部の容積586は、テザー576の内部の内腔578を介して搬送される流体または空気で選択的に膨張させられる。この流体は、バルーンによって包含されたテザーの一部の中に形成される少なくとも1つの開口部588を介して内腔578から出る。
【0080】
バルーンは、次のように1つまたは複数の別個の目的を果たすために膨張させることができる。例えば、バルーン574は、蠕動性筋肉組織の作用によって、バルーンおよびカプセルを内腔に通して前送りするように膨張させることができる。すなわち、バルーンのより大きな直径は、筋肉組織によって加えられる力がバルーンとそれに連結されたカプセルとを効率よく内腔に通して前送りすることを可能にする。他に随意選択として、内腔壁によって加えられた圧力を内腔の外部で監視できるように、バルーンは、膨張時に、バルーンが内置されている内腔の壁から、カプセルに接触しているかまたは別様に内部容積586と流体連通している圧力センサ(この図に示さないが、上で論じた)に圧力を伝達することが可能である。この圧力は、様々な状態の決定要因となり得るものであるか、または他の対象となっている情報を提供し得るものである。
【0081】
バルーンは、カプセルの前送りを可能にするのではなく、バルーンの断面積サイズを拡大するために少なくとも一部が膨張させられ、それによってカプセルが、バルーンの断面積サイズよりも小さい断面積サイズを有する内腔または他の通路の一部を通ってさらに移動するのを防止することができる。最後に、バルーンは、内腔の内表面の走査がより効率的に実行され得るように、カプセルを患者の体の内腔の内部で概ね中心に位置決めしかつ固定するために膨張可能である。
【0082】
蠕動を刺激するための電気接点
図17に、カプセル590が内腔592の内部に示されており、このカプセルの筐体の外表面上に配置された複数の電気接点594を含む。電気接点594は、テザー600の中に形成された通路602の内部に延びるリード線598に接続される。これらのリード線は、電力源(図示せず)に結合される。それによって電圧がリード線598を介して電気接点594に選択的に印加され、筋肉組織604に内腔592の筋肉組織の蠕動を刺激させ、この蠕動はカプセルを内腔に通して前送りする。随意選択的に、カプセル590の近位でテザー600に接続される電気接点596が、筋肉組織の蠕動を刺激するために電気接点594の代わりにまたはそれに追加して使用することができる。
【0083】
機械的な生検
図18は、テザー624に結合されているカプセル620を例示する。テザー624は環状通路622を含み、この通路の内部で1つまたは複数の細胞検査用ブラシ626または生検鉗子(図示せず)が、カプセル620を内置する内腔の内表面に接触するように制御可能に前送りされる。細胞検査用ブラシ626は、内腔の輪郭を形成する組織細胞がブラシの毛に移転されるように、内表面上の組織と接触状態で環状通路622から前送りされる。次いで、この細胞検査用ブラシは環状通路の中へ引き込まれ、カプセルおよびテザーが患者の体の内腔から抜き出された後で、細胞試料がさらなる処理および検査のために毛から除去され得る。図示しないけれども、環状通路を使用して、カプセルから前送り可能な毛を露出させるカプセル上の垂れ蓋を引き戻すことができる。環状通路ではなく、細胞検査用ブラシ、微細針、または他の種類の機械的な生検装置が、テザー上に設けられたピギーバック通路(図示せず)に通して前送りすることができる。内腔から試料を収集しかつ試料と一緒に通路の中へ引っ込むために、把持装置が、環状通路またはピギーバック通路の中に使用されてもよい。このような通路は、この通路を介して患者の体外にあるテザー近位端に抜き出される流体用の取り入れ口としても使用することができる。
【0084】
多画像
上で留意したように、本発明に従って、複数のスキャナがカプセルに内蔵可能であることが企図されている。それぞれのスキャナはサイズが相対的に小さく、それらは、例えば、内腔の内表面の全360°の視野を包含する大きな視野を撮像できる離間アレイで構成することができる。別法として、図19に示すように、内腔672の4つの側(図示した2つの側ばかりでなく、この図では視認できないが、ピラミッド型ミラーの背後側およびその反対側を含めて)を撮像するために、単一のスキャナをカプセル650の中で使用することができる。カプセル650は、内腔672の外部に延びるテザー652に連結される。カプセル中の可動光ファイバ654が、レンズ656を介してピラミッド形状のミラー658に向かって誘導される光を放出する。ピラミッド型ミラー658の隣接するミラー表面は、レンズ660aおよび660b(他の2つのレンズは図示されていない)を介して、レンズ656からの光を4つの異なる方向へ反射する。内腔672の内表面から反射された光は、環状検出器670aおよび670b(他の2つの環状検出器は図示されていない)によって検出される。カプセル650の4つの側に提供された画像の重畳範囲が不完全であれば、内腔の内表面の完全なパノラマ図を形成するために追加的な画像を作成して光学的に互いに連結できるように、使用者は、矢印674によって示すようにテザー652を回転させ、それによって、カプセル650を回転させて、内表面の走査が行われる方向を変化させることができる。
【0085】
本発明が、それを実施する好ましい形態に関連して説明されてきたが、特許請求の範囲内で本発明に数多くの変更が実施可能であることを当業者は理解しよう。したがって、本発明の範囲は、如何なる意味においても以上の説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲を参照することによって完全に確定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】本発明を使用して容易に走査され得る1つの体内腔を例示するために食道および胃を示す模式図である。
【図1B】図1Aの食道および胃の一部の模式図であり、BE状態を検出するために食道の所望の部分を走査するように、どのように本発明が制御可能に配置されるかを示す。
【図2】本発明の1つの実施形態の拡大等角図であり、この実施形態で使用されたスキャナによって提供される相対的に広い視野(FOV)を示す。
【図3】本発明に係る走査システムにおける信号の機能的な流れを例示するブロック図であり、この走査システムは、患者の内腔の内表面を監視し、診断を下し、かつ治療を施すために使用可能である。
【図4】本発明に関連して、走査レンズを備える光ビームスキャナとして使用するために、微小レンズを備える走査光ファイバを駆動するアクチュエータを有するスキャナの実施形態を例示する図である。
【図5】点放射源撮像の実施形態の模式図であり、本発明で使用されたスキャナと関連して、異なる走査角における撮像スポット直径の変化を例示する。
【図6A】本発明のスキャナで使用するための時系列フォトン検出器および撮像レンズを備える走査点光源照明器の模式図である。
【図6B】本発明のスキャナに使用するための走査レンズおよび検出器を備える走査光ビーム照明器の模式図である。
【図6C】光ファイバの束および単一同軸コア光ファイバを使用するスキャナの構成を示す模式図である。
【図6D】ステレオ対の幾何学的配置を使用する遠位フォトン赤色、緑色、青色(RGB)濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用して背景散乱を減算する能力とを有するスキャナを模式的に示す側面図である。
【図6E】ステレオ対の幾何学的配置を使用する遠位フォトン赤色、緑色、青色(RGB)濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用して背景散乱を減算する能力とを有するスキャナを模式的に示す端面図である。
【図6F】ステレオ対の幾何学配置を使用する遠位フォトン偏光濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用する、内腔の内表面上の表層組織からの信号を増強する能力とを有するスキャナを模式的に示す側面図である。
【図6G】ステレオ対の幾何学配置を使用する遠位フォトン偏光濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用する、内腔の内表面上の表層組織からの信号を増強する能力とを有するスキャナを模式的に示す端面図である。
【図7A】疑似ステレオ画像を取得することが可能である、遠位光ファイバ位置センサと近位光ファイバ集光器を備える近位配置フォトン検出器とを有するスキャンの構成を示す模式図である。
【図7B】二色性フィルタと組み合わせた可視およびUVレーザ源の放射を利用する、本発明で使用するための光ファイバ走査システムの模式図である。
【図7C】直列で連結された光ファイバ結合器と組み合わされた可視およびIRレーザ源からの放射を利用する、本発明で使用するための光ファイバシステムの模式図である。
【図8A】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する上面図である。
【図8B】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する、図8Aの切断線8B−8Bに沿って取った立面断面図である。
【図8C】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する、図8Aの切断線8C−8Cに沿って取った端面図である。
【図8D】内腔の内表面を照明する薄膜平行片持ち導波路対を含む別の実施形態の立面端面図である。
【図9】一般集団のBE集団検診中に行われ得るような、患者の食道の自動走査および診断評価を実施する、本発明を活用する医療従事者を例示する図である。
【図10】本発明に使用するための光ファイバスキャナシステムの機能的入力および出力構成要素を例示するブロック図である。
【図11A】本発明に係るカプセルおよびスキャナを使用する光学治療を施しかつ監視する能力を有する、統合された癌の撮像、検診、および生検システムの機能ブロック図である。
【図11B】本発明に係るカプセルおよびスキャナを使用するステレオ画像手術支援および表示能力を有する、統合された癌の撮像および診断システムの機能ブロック図である。
【図12A】患者の食道の中へカプセルが移動した範囲を検出する噛み部品および測定装置を模式的に示す側面図である。
【図12B】患者の食道の中へカプセルが移動した範囲を検出する噛み部品および測定装置を模式的に示す断面立面図である。
【図13】カプセルが内腔の中へ移動した範囲を測定する標示を含むテザーの一部を示す図である。
【図14】スキャナの光ファイバの遠位端に光を搬送し、また内腔の内表面から近位へ戻る反射光も搬送することができる二重クラッド光ファイバの断面図を示す。
【図15】図14の二重クラッド光ファイバを使用するカプセルおよびスキャナの模式図である。
【図16】バルーンが付着されているカプセルの模式図であり、バルーンが内腔の中で膨張しているところを示す。
【図17】カプセルを内腔に通して前送りする筋肉組織の蠕動を引き起こすための電極を有するカプセルの模式図である。
【図18】環状通路を含むテザーを有するカプセルの模式図であり、この通路に通して、細胞ブラシなどの生検器具が内腔の内表面から組織の生検を行うために前送りされる。
【図19】内腔の対向する内表面を同時に横方向へ撮像するピラミッド形状のミラーを有するカプセルの模式図であり、内腔の内表面の全景を網羅することが必要なとき、どのようにテザーがカプセルを回転させるために使用されるかを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、カプセルの中に収容される走査内視鏡を使用して体の内腔内部で診断撮像する装置および方法に関し、さらに詳細には、医学的状態を検出するために撮像カプセルを使って内腔の内壁を撮像する装置および方法に関するが、その場合に、このカプセルは、内腔内部におけるカプセルの位置を制御するためにも使用されるテザーリード線を介して、外部データ受信装置に電子的に接続される。
【背景技術】
【0002】
バレット食道(BE)は、前癌性である食道の状態、すなわち、食道癌の前駆である。バレット食道を診断する標準的な診療は、しばしば食道内腔に空気を吹送した状態で、柔軟な内視鏡を使用するものである。正常な食道は通常では明るいピンク色であり、他方で胃はわずかにより暗いピンク色に見える。通常、バレット食道は、胃を食道から分かつ下部食道括約筋(LES)の上方のわずかにより暗いピンク色の領域として発現する。この状態はしばしば食道腺癌の前駆であることが分かっているので、バレット食道を早期に診断することが好ましい。したがって、この診断は、たとえそれには慢性的な胸やけおよび胃液逆流のある何百万人もの人々の食道の状態を評価する必要があろうとも、この状態の有無を検診することが望ましい。しかし、バレット食道および早期段階の癌は、明らかにそれと分かる症状を伴わずに発症する恐れがあり、したがって、できるだけ早期に癌状態の処置を可能とし、その発症を回避するかまたは治癒治療を行うために、この状態を識別する唯一の実行可能な方策として集団検診が提案されてきた。しかし、食道検診の対象者として見込まれる人数と、このような集団検診に伴う医療費償還に比べた、内科医によって行われる柔軟な内視鏡の診療に伴う現行の費用とが、現状ではこの方策の実施を不可能にする。
【0003】
必要なことは、バレット食道を有するこれらの人々を識別するためのより一層効率的でかつ経済的な方策である。従来の柔軟な内視鏡を使用して食道の検査を行えるのは医者に限られており、したがって、この手技は相対的に費用が掛かる。内科医が行う必要がなく、しかしその代わりに、訓練を受けた医療技術者または看護士が行える異なる走査技法を開発することが好ましい。実際問題として、走査作業中に実時間でまたはその直後に、バレット食道の存在を自動的に検出できるように、LES直近の食道の内表面を撮像することによって作成された画像の評価を自動化することも望ましい。
【0004】
バレット食道に罹っている恐れのある個人の集団検診を促進するために、少しも催吐反射を引き起こすことなく、容易に食道の中へ導入できる検診装置を使用することが望ましい。理想的には、検診装置が単に一杯の水と一緒に飲み込まれ得るように、この装置はカプセル形状の容器の中に具現化されるべきである。したがって、この装置は、ほとんどの患者がそれを飲み込めるようにサイズが十分に小さくなければならない。さらには、このような装置は、適切に殺菌される場合には再び使用されてもよいが、恐らくは、1回の使用後に使い捨て可能であるように十分に安価な検査装置を使用することが好ましい。
【0005】
イスラエルの会社であるギブンイメージング社(Given Imaging Ltd.)が、カプセルから送信された画像信号を受信するハーネスと併用される飲み込み可能な電池式カメラカプセルを開発した。ハーネス中の電池を使用して、画像保存用の電力と、ハーネスに内蔵されてカメラカプセル中の送信器から無線信号を受信する受信器用の電力とを供給する。患者が約8時間にわたって自分たちの通常活動に従事するかたわら、カメラカプセルのハーネスがベルトのように着用される。カプセルおよびカメラは胃腸管全体を通過し、通常の様態で他の排泄物と一緒に排泄される。次いで、カメラによって撮影されてハーネス上の受信器に無線送信された画像は、患者の胃腸管における様々な医学的状態の識別を試みる際に視ることができる。したがって、カメラカプセルは、内視鏡または結腸鏡を使用する従来の内視鏡検査が行き届かない小腸部分の画像を提供する。しかし、カメラカプセルが胃腸管を通過する速度は制御されない。また胃腸管内部におけるその位置の測定も容易ではない。このカプセルシステムの初期型は、カプセルの各端部にレンズを具備し、特に食道の撮像用に、より大きなフレーム率で画像を取得するように改造されてきた。このシステムは依然として非常に高価であり、しかも操作者がカプセルの位置を制御できるようになっていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、バレット食道の有無を調べるために一般集団を走査する際に有用な走査装置を提供することに加えて、このような走査装置を体の内腔中の内表面を撮像する必要がある他の多くの手技で使用することが望ましい。内腔内部における走査用装置の配置を制御し、内腔の壁中の筋肉組織の作用に基づいて装置の前送りを可能にするばかりでなく、その移動経路に沿って制御可能であるかまたは引き戻しさえも可能であることが望ましい。現在では、十分に小型のスキャナは存在するが、内腔中の内表面の撮像に関する他の望ましい基準を満たすカプセルの中に設けられたものはまだ存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の第1の態様は、患者の体の内腔の内表面を撮像する装置に関する。本装置は、内腔を容易に通過するようにサイズ決めされるカプセル筐体を含む。カプセル筐体の撮像部分は、内腔の内表面を撮像するために、この部分を介して走査を可能にするように光学的に透明である。光源が含まれ、それは内腔の外部かまたはカプセル筐体の内部に配置することができる。アクチュエータを有するスキャナが、カプセル筐体の内部に配置される。このアクチュエータは、スキャナからの光のビームで内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するためにスキャナを駆動する。少なくとも1つの光センサが含まれ、それは内腔の内表面から反射された光に応答する。このような光センサはそれぞれが、光の強度を示す電気信号を生成する。本装置に含まれる光学系が、スキャナから放出された光を患者の体の内腔の内表面の一部の上に合焦する。内腔を通って近位へ延びるテザーが、カプセル筐体に連結される。このテザーは、内腔の内部におけるカプセル筐体の動きを制御するために、力がこの筐体に印加されることを可能にする。
【0008】
1つの実施形態では、少なくとも1つの光センサがカプセル筐体の外部に配置される。別の実施形態では、内腔の内表面から反射された光が、テザーの内部に含まれる光透過性の導管を介して、カプセル筐体の近位に、例えば、患者の体外に配置される少なくとも1つの光センサに搬送される。光透過性の導管は、テザーを含む光ファイバのコア、またはテザーを介して光を光源からカプセル筐体の中へ搬送もする光ファイバのコア、またはテザーを含む光ファイバのクラッドであり得る。
【0009】
少なくとも1つの光センサがカプセル筐体の内部に配置される実施形態では、内腔の内表面から反射された光が、対応する電気信号を生成する少なくとも1つの光センサによって受け取られる。1つの実施形態では、テザーが、光センサに結合される少なくとも1本の電気リード線を含み、この光センサが生成する電気信号を内腔の外部に存在する箇所に搬送する。
【0010】
1つの実施形態では、スキャナが、光源によって生成された光を所望の走査パターンで反射するために、アクチュエータによって駆動される走査ミラーを含むことができる。別の実施形態では、スキャナが、アクチュエータによって動作するように駆動される導波路を備え、この導波路は、所望のパターンで走査するために導波路の遠位端から光を放出するようになっている。
【0011】
様々な他の機能的態様がカプセル筐体に備わり得る。例えば、圧力センサが、カプセルに印加された圧力を監視するためにカプセル筐体に配置可能であり、圧力を示す圧力信号を生成する。また、内腔の内部における、基準点に対するカプセル筐体の位置を監視するために、位置センサが含まれ得る。別の随意選択として、患者の体の内腔の内部から少なくとも1つの化学的パラメータ、例えば、pHなどを監視するために、化学センサが含まれ得る。さらに他の機能として、生検を実施する手段、すなわち、組織試料を内腔内部の所望の部位から採取する手段が、カプセル筐体に含まれ得る。
【0012】
カプセル筐体は、通常、内腔壁の自然な作用によって内腔に通して前送りされる。しかし、本装置は、カプセル筐体を内腔に通してより効率的に移動させるように蠕動を促進するために、内腔の壁中の筋肉組織を刺激するように、カプセル筐体の外部に配置された少なくとも1つの電気接点を含み得ることにも留意される。
【0013】
使用者が、内腔の中へカプセル筐体が移動した距離を測定できるように、テザーには複数の目盛標示が設けられ得る。または、本装置は、カプセル筐体が内腔を通って移動するときに回転されるテザーによって係合される回転構成要素を含んでもよい。したがって、この回転構成要素は、カプセル筐体が内腔の中へ移動した距離を表示するために使用される。内腔が食道である1つの実施形態では、本装置は、食道内部でカプセル筐体が通過する距離の再現可能な追跡を保証するように、回転構成要素を支持するために患者の口腔の中に配置するように適応される噛み棒を含む。選択的に解放可能であるようにテザーに連結し、カプセル筐体に隣接してまたは噛み棒に隣接して配置された接合部を含むことが所望され得る。
【0014】
1つの実施形態では、光学系が、スキャナから放出された光をカプセル筐体の面に対して横方向へ誘導する少なくとも1つの反射表面を含む。この光学系は、スキャナとカプセルの撮像部分との間に配置された少なくとも1つのレンズを含むことができる。さらには、1つの実施形態では、光学系が、スキャナによって生成されて内腔の内表面に誘導された光を濾過するように、または、光が少なくとも1つの光センサによって感知される前に、内腔の内表面から反射される光を濾過するように配置される少なくとも1つのフィルタを含む。
【0015】
好ましくは、カプセルの撮像部分がカプセル筐体の遠位端に配置され、テザーがカプセル筐体の近位端に接続される。
【0016】
スキャナは、単一モード光ファイバ、二重クラッド光ファイバ、光を光源から搬送するために使用される単一モード光ファイバおよび内腔の内表面から反射された光を少なくとも1つの光センサに搬送する少なくとも1つの多モード集光光ファイバ、または微小電子機械システム(MEMS)装置を備える導波路を含むことができる。1つの好ましい実施形態では、スキャナが、所望のパターンで走査するときに共鳴振動数付近で動作するようにアクチュエータによって駆動される導波路または光ファイバを備える。随意選択的に、フィードバックセンサが、導波路または光ファイバによって生成された光ビームで走査することによって作成された画像中の歪みをいずれも実質的に減少させるように、この導波路または光ファイバの動きを制御するために含まれる。アクチュエータは、内腔の内表面を走査する所望のパターンを実現するために、駆動力を複数の直交方向で生成する電子機械式アクチュエータを備えることが好ましい。
【0017】
随意選択的に、少なくとも1つの光センサが、異なるスペクトル波長帯の光および/または偏光された光に応答する光センサを含めて、複数の光センサを実際に含む。
【0018】
適正な撮像有効範囲を保証するために、光学系は、所望の走査パターンが、カプセル筐体の遠位で実質的に全360度のアークにわたって内腔の内側表面を照明するように、カプセル筐体の撮像部分を介してスキャナによって放出された光を誘導するように構成することができる。例えば、複数のスキャナがカプセル筐体の内部に配置可能であり、それぞれのスキャナは、別個のアクチュエータを具備して内腔の内表面の異なる部分を走査するように構成されている。実際に、これらの複数のスキャナは、単一スキャナによって提供される視野に比べて、視野を増大させるように、または内腔の内表面をカプセル筐体の両端から走査するように、または内腔の内表面のステレオ走査画像を提供するように、または既定の波長帯の光を使用して内腔の内表面の診断走査を実行するように、または複数のスキャナの少なくとも1つからの光を使用して内腔の内表面の治療走査を行うように、または内腔の内部で施されている治療の状態を監視するように、または1つのスキャナと内腔の内表面との間の距離を測定するために使用される照明を提供するように構成可能である。1つの実施形態では、複数のスキャナがカプセル筐体内部でアレイとして離間されており、光学系が各スキャナから放出された光を内腔の内表面の異なる部分に誘導する。
【0019】
カプセル筐体は、それに連結されたテザーと共に患者によって飲み込まれるようにサイズ決めおよび構成されることが好ましい。本装置は、少なくとも1つの光センサから電気信号を受け取り、かつこの少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号に対応するデータを格納するデータ記録媒体を含むことができる。このデータは、内腔の内表面の少なくとも1つの連続2次元画像を作成するために容易に組み合わされる複数の画像フレームを表すことができる。
【0020】
別の随意選択は、少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号を分析するスペクトル分析器である。スペクトル分析器の波長帯は、紫外から赤外波長帯にわたる波長帯域から選択される所望の範囲内にある。
【0021】
1つの実施形態では、膨張可能なバルーンがカプセルに結合される。このバルーンは、膨張時に、幾つかの異なる機能のために使用可能である。例えば、膨張したバルーンは、バルーンに対して内腔によって印加された力に応答して、バルーンおよびカプセルを内腔に通して蠕動によって前送り可能にするために使用することができる。バルーンはまた、流体圧をバルーンが内置される内腔の壁から圧力センサに搬送することも可能であり、この圧力センサは、内腔の壁によってバルーンに及ぼされる圧力の監視を可能にする。別法として、バルーンは、組み合わせたバルーンおよびカプセル筐体の断面積サイズを拡大するように膨張可能であり、それによって、内腔の断面積サイズがバルーンのそれよりも小さいので、カプセル筐体が内腔を通ってさらに移動するのを防止する。他の機能として、膨張したバルーンは、カプセル筐体を内腔の内部で概ね中心に位置決めするために使用することができる。
【0022】
ある時点で、カプセル筐体が内腔を引き続き通過できるようにすることが所望され得る。したがって、カプセル筐体をテザーから解放するように選択的に駆動可能な解除装置を設けることができる。
【0023】
本発明の別の態様が、患者の体内の内腔の内表面を走査するカプセルシステムに関し、他方では、さらに別の態様が、患者の体内の内腔の内表面を走査する方法に関する。このカプセルシステムは、一般に上述の装置と整合性がある構成要素を含み、その方法は、このようなシステムを利用する工程を実行する。
【0024】
本発明の以上の態様および付随する数多くの利点は、添付の図面と共に考慮されるとき、本発明が以下の詳細な説明を参照することによってより適正に理解されるにつれて容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の例示的用途
本発明は、当初、内科医による相互作用を必要としないでバレット食道を検出するために、一般集団の集団検診を相対的に低費用で行う解決策として考えられたけれども、本発明は、患者の体のほとんど任意の内腔の内表面を走査し、診断し、治療を施し、このように施された治療の状態を監視する用途にも一般的に応用可能であることが明白であろう。したがって、以下の説明は、本発明をバレット食道の検出用途に重点を置くけれども、本発明の範囲は、いかなる意味においても、この例示的な用途に限定されるものではない。
【0026】
図1Aは、胃12、食道14、および下部食道括約筋(LES)16を示す模式図10を含む。LES 16は、正常な場合には、食道14に飲み込まれた食物が胃12の中へ支障なく通過することを可能とするように開くが、正常な場合には胃12の内部から胃酸および食物が食道14の中へ逆流するのを防止する一方向弁の役目をする。しかし、「発明の背景」で上に留意したように、慢性的な胸やけおよび胃食道の逆流を患う人々には、LES 16を通過して食道14の下部に進入する胃酸の結果として、しばしばバレット食道が見られる。バレット食道を患う患者は、食道14を含む内腔の内表面のLES 16の直上領域18が、その正常な明るいピンク色から暗いピンク色に変化しているかどうかを判定することによって見つけることができる。本発明は、食道14内部の領域18を容易に走査することを可能にし、バレット食道を示す内表面のより暗いピンク色の存在が明白に分かる画像を作成する。さらに重要なことは、下でさらに詳細に説明するように、本発明は、バレット食道の検出が、通常では医師による直接的な相互作用を伴うことなく医療従事者によって遂行できるように、走査過程が、自動化された様態で実行可能となることが究極的に期待されている。
【0027】
図1Bに、この例示的な用途で本発明を活用する様態が示されている。その図に示されているように、本発明に従ってサイズ決めおよび構成されるカプセル20が、食道14の内部を通って先送りされ、ちょうど胃12の中へ進んだところである。カプセル20は、食道14を通って上に延び、患者の口腔を通って外に出るテザー22に結合される。カプセルの筐体24は、大きめのビタミン錠剤のサイズ程度、例えば、長さ約15mmに直径が7mmで、生体適合性であり、かつ胃酸または他の生物学的流体によって影響を受けないプラスチック材料を含む。テザー22は、極めて柔軟性があり、直径が相対的に小さく、例えば、約1mmである。筐体24の内部では、カプセル20が、視野(FOV)30内の内腔の内表面を走査するためにスキャナ26を駆動式に移動させるアクチュエータ28を含む。カプセル20は、患者にBEがあるかどうかを判定するために使用されるとき、FOV 30が領域18を網羅するようにLES 16を通過して引き戻される。次いで、スキャナ26によって提供される領域18の画像は、食道14の内表面上の組織が、BEを示すより暗いピンク色に変化しているかどうかを指摘するために評価することができる。
【0028】
図2は、カプセル20のこの実施形態のさらなる細部を示し、本発明に有用なカプセルの幾つかの他の実施形態が以下に説明される。この実施形態では、スキャナ26を備える振動光ファイバによって放出された光が、複数のレンズを含む光学系34を透過して、カプセル20が内置される食道または他の内腔の内表面に達し得るように、筐体24の前端すなわち遠位端32が光学的に透明である。内表面は光の他の波長帯を使用してスキャナ26によって照明されてもよいが、この実施形態では、内腔の内表面は白色光を使用して照明される。内表面から反射された光は、複数の赤色、緑色、および青色(RGB)センサ36r、36g、および36bによってそれぞれ検出される。食道または内腔の内表面を照明するために使用される白色光は、テザー22内部に配置された光ファイバ(別個に表示せず)を介してスキャナ26に搬送される。複数のRGBセンサによって生成された信号は、走査された内表面の部分に対応する画像を作成するように処理するために、テザー22内部の電気リード線(図示せず)を介して返送される。
【0029】
この実施形態は位置センサ38も含み、このセンサは、位置と、随意選択的に患者の体内におけるカプセル20の向きとを示す信号を生成することによって、患者の体外の信号源(図示せず)によって生成された外部信号に応答する。電磁信号に応答する適切な位置センサは、例えば、アセンションテクノロジー社(Ascension Technology)から入手可能である。位置センサ38は、電磁場、RF信号、組織を貫き内腔に進入するように選択された波長の光信号、または別の適正な信号に応答することができる。別法として、位置センサ38は、患者の体内におけるカプセル20の位置と、随意選択的にその向きとを測定するために外部センサ(図示せず)と併用される信号源によって置き換えられ得ることも企図されている。この外部信号源または位置センサは、基準を設けるために、信号源または位置センサを患者の胴体の特定の箇所に巻き付けることによって患者の体表上の特定の箇所に配置することができる。
【0030】
化学的センサ40が、化学的パラメータを感知するために随意選択的に含まれる。例えば、化学的センサ40は、内腔内部の水素イオン濃度、すなわち、pHを検出することができる。別法としてまたは追加的に、化学的センサは、内腔の内部温度を監視する温度センサを含むことができる。また化学的センサ40に追加してまたはその代わりに、圧力センサが使用されてもよく、したがって、この化学的センサは、これらのセンサのいずれか1つまたはすべてを表示しようとするものである。
【0031】
他の随意選択として、選択的に解放可能な連結部42が、所望であれば、空圧式にまたは電気式にカプセルをテザーから切り離すために設けられてもよい。したがって、カプセルは、そのテザーとの連結部から解放されるとき、体の内腔に通して搬送され、内腔が消化管に関与するものであれば、カプセルは通過して排泄されることになる。解放可能な連結部は、外部源(図示せず)からテザー22の中の通路を介して伝搬される圧力パルスで駆動されてもよいし、またはテザーの中のリード線を介して供給される電流を使用することによって、解放可能な連結部42を磁気的に駆動する電気信号で駆動されてもよい。テザーおよびカプセルを解放して一緒に内腔に通して先送りするために、同様の解放可能な接合部がテザーの近位端付近にも設けられてもよいし、または別法として設けられてもよい。
【0032】
システム処理の概説
図3は、外部機器と共に、カプセル内部の様々な構成要素によって生成された信号を処理するシステム50を例示し、本システムを制御するために使用される信号がどのようにこれらの構成要素に入力されるかを示す。統合された撮像および他の機能を提供するために、システム50は、このように、患者の体外に留まるこれらの構成要素と、カプセルの中に存在するもの(すなわち、点線52内の構成要素であり、それらの一部は、本発明が活用されている用途に応じて随意選択的である)とに分割される。したがって、ブロック54は、カプセル内部に配置され得る機能的構成要素を列挙する。図示するように、これらの構成要素には、照明光学素子と、1つまたは複数の電子機械式走査アクチュエータと、1つまたは複数のスキャナ制御アクチュエータと、スキャナの動作を制御する1つまたは複数のスキャナ動作検出器と、所見領域(ROI)を撮像するフォトン検出器(別法として、これらのフォトン検出器は、内腔の内表面から外部検出器に反射された光を伝送する光路が、テザーの中に設けられていれば外部に配置されてもよい)と、随意選択的に診断目的用ならびに治療および監視目的用の追加的なフォトン検出器(これもカプセルおよび患者の外部に配置されてもよい)とが含まれる。システム50に関して、食道の撮像などの特定の用途に実際に必要な機能的構成要素のみが含まれるだけでもよいことに留意するべきである。また、撮像以外の追加的な機能は、診断、または治療、もしくはこれらの機能の組合せであり得るが、検査室における適正な手順を実行することによって引き続いて評価するために、内部部位の組織の生検を行うことを含み得る。異なるスキャナにそれぞれ関連する複数のアクチュエータを含むカプセルの特定の実施形態は示されていないが、本明細書に開示したスキャナの相対的に小さいサイズにより、総走査面積を増やすために、このようなスキャナのアレイを設けることが可能なことは明白であろう。このようなスキャナには、それぞれに専用のアクチュエータが設けられ、かつこのスキャナによって走査された領域からの光を検出するための検出器か、またはこの光を1つもしくは複数の外部検出器に搬送するための導波路が設けられることになる。
【0033】
外部には、ブロック56に示すように、光が照明源および変調器から照明光学素子に供給される。光ファイバシステムの遠位端に搬送されるRGB、UV、IR、および/または高強度の光を生成する外部光源システムの幾つかの好ましい実施形態に関して、さらなる詳細を以下に開示する。ブロック58は、照明源、変調器、フィルタ、および検出器が、カプセル内部の1つまたは複数の電子機械式走査アクチュエータに、および/またはカプセル中に設けられたスキャナ制御アクチュエータに随意選択的に結合される。スキャナ動作検出器が、走査を制御するために随意選択的に使用され、必要であれば、より精確な走査制御を実施するためにスキャナ用アクチュエータ、照明源、および変調器にフィードバックされる信号を生成する。
【0034】
ブロック60では、画像信号フィルタリング、バッファリング、走査変換、増幅、および他の処理機能が、撮像用フォトン検出器によって生成され、かつ診断/治療、および監視目的に用いられる他のフォトン検出器用に生成された電子信号を使用して実施される。ブロック56、58、および60は、それぞれの別々のブロックによって実行される機能を容易にする信号を搬送するために双方向式に相互接続される。同様に、これらのブロックは、それぞれがブロック62と通信して双方向式に結合されており、このブロックには、アナログデジタル(A/D)変換器およびデジタルアナログ(D/A)変換器が、画像取得、処理用に、関連するプログラムの実行用に、および他の機能用に使用されるコンピュータワークステーションのユーザインタフェースに供給される信号を処理するために設けられる。コンピュータワークステーションは、バレット食道を検出するために食道内部の走査によって作成された画像を処理するようにプログラムされるとき、ほぼ実時間で、しかも通常は内科医の評価を必要としないで結果が提供されるように、一般集団を集団検診するために使用することができる。
【0035】
コンピュータワークステーションからの制御信号が、ブロック62にフィードバックされており、適切であれば、ブロック56、58、および60に設けられた機能のそれぞれを制御または駆動するためにアナログ信号へ変換される。ブロック62内部のA/D変換器およびD/A変換器はまた、データ記憶装置が設けられているブロック64と、ブロック66とに双方向式に結合される。ブロック66は、患者の体内の内腔の内部で、スキャナを備えるカプセルを操作し、位置決めし、かつ安定化するためのユーザインタフェースを表す。内腔中のカプセルの位置を測定し、内腔中のカプセルを安定化する技術のさらなる説明を以下に論じる。
【0036】
ブロック64では、データ記憶装置が、患者の体内の検出器によって作成された画像データを記憶し、かつカプセル中のスキャナによって実施された撮像および機能に関する他のデータを記憶するために使用される。ブロック64も、コンピュータワークステーションと、ブロック70の1つまたは複数の対話式表示器モニタとに双方向式に結合される。ブロック70は、ブロック60から入力を受け取り、内腔の内表面上のROIの画像が対話式に表示されることを可能にする。さらには、ブロック72に示すように、1つまたは複数の受動型ビデオ表示器モニタが本システム内に含まれてもよい。他の種類の表示器装置、例えば、頭部装着型表示器(HMD)システムが設けられてもよく、医療従事者が内腔中のROIを疑似ステレオ画像として視ることを可能にする。
【0037】
図4は、カプセル内で使用可能なスキャナ120の1つの実施形態を例示する。スキャナ120は、片持ち式光ファイバ124の中で第1のモードの振動共鳴を発生させる電子機械式装置または圧電セラミックチューブアクチュエータ122を含む。この実施形態では、片持ち式光ファイバが、その遠位端にコリメーティングレンズ126と、このコリメーティングレンズを透過した光の光ビームを照明平面132(典型的には内腔の内表面上の領域を含む)上に直接的に合焦させる走査レンズ128とを含む。走査レンズ128によって合焦された光は、照明平面132上に点広がり関数(PSF)134を形成し、片持ち式光ファイバが移動するとき、PSF 134’は照明平面にわたって移動する。片持ち式光ファイバ124は、矢印130によって示す単一軸沿いの走査に限定され得るけれども、この光ファイバが2次元的に、例えば、螺旋パターンで走査するように、光ファイバを移動させるアクチュエータを使用することが好ましい。しかし、直線的な単一軸アクチュエータによって生成された高振幅の共鳴振動では、機械的な力の非直線的なクロスカップリングにより、光ファイバの得られる動きは2次元(2D)であり得る。したがって、2D走査に2軸アクチュエータの必要はない。
【0038】
図5は、本発明で使用されるスキャナの利点を図示する。このような光ファイバスキャナは、典型的に内腔の内表面上の領域を含む走査された点放射源物体平面を拡大画像平面に撮像することによって、容易に90°のFOVを実現することが可能である。光ビーム走査を示す図4とは異なり、図5は、微小レンズと走査レンズとの組合せではなく、撮像レンズを使用する点放射源撮像の好ましい実施形態を示す。図5は、レンズ142および144を含む光学系140の1つの実施形態に関して、照明に使用された光の相対的なガウスビーム径を、ゼロと45°との間の様々な角度で、すなわち、総視野の2分の1にわたって示す。本実施形態では、反射光の検出が、レンズ144上におよびその外周周り(レンズのこの部分は照明光を透過しない)に配置される光検出器146を使用して実行されるか、または別法として、走査されている領域から反射された光が集められて外部検出器(図示せず)に搬送されてもよい。断面で示されているが、光検出器146がレンズ144の周囲全体の回りを包み、この検出器の斜線を引いた光感知部分によって示すように、検出器の前方表面上およびすべての側面上で能動的に光を検出することが理解されよう。
【0039】
図6Aおよび6Bは、本発明のカプセルの中で使用する2D走査点放射源照明器240および光ビーム照明器240’を示す。図6Aでは、点放射源照明器240は、患者の体内の内腔の内表面上のROIを走査させる、カプセル内部の光ファイバ242によって点放射源照明を実施する能力を有する。走査光ファイバによって設けられた点放射源がカプセル(図示せず)内部において所望のパターンで動作させられるとき、走査光ファイバによって放出された光は、ROIの異なる部分を照明するように撮像レンズ244a、244b、および244cに透過される。実線で例示した位置で、光ビーム246はROIの特定の部分を照明し、他方では、点線で例示した位置で、この走査光ファイバは、ROIの異なる部分を照明する光ビーム246’を生成する。走査光ファイバによって照明された各連続点から反射された光は、撮像レンズ244c、244b、および244aを介して再び戻されて、RBGフォトン検出器245r、245g、および245bのそれぞれによって受け取られ、これらの検出器が、ROIの自然色画像を表示する際に使用するために、患者の体外に伝達される対応する電気信号を生成する。別法として、この光は、テザーを介して、患者の体外に配置された外部フォトン検出器に搬送されてもよい。
【0040】
さらには、走査光ファイバ242を使用して、内腔の内表面に治療を施すことができる。例えば、相対的に高出力のレーザを使用して、このファイバによって走査された点を照明することによって、薬物を活性化するために、または光線力学的治療法(PDT)、すなわち、温熱療法の目的のために高強度光がROIに照射され得る。RGBフォトン検出器によって生成された信号はROIにおける連続点に対応するので、これらの検出器が生成する信号から得られる画像は、画像画素データの時系列蓄積に基づいている。走査光ファイバ242は、好ましくは遠隔通信等級またはそれ以上の単一モードまたは中空光ファイバである。この統合システムの1つの重要な利点は、視覚画像の作成に使用される機構が診断、治療、および外科処置に使用されるものと同じであることである。画像取得に使用される有向光照明は、体の内腔を通過するようにサイズ決めされたカプセル内部において、(走査エンジン、表示器、およびユーザインタフェースを共有することによって)最も高度の診断および治療が単一の撮像システムに統合されることを可能とする。
【0041】
図6Bは、カプセル(図示せず)の中で使用するための走査光ビーム照明器240’を示し、この照明器は、図6Aに示した実施形態と全く同様に走査光ファイバ242も含む。しかし、走査光ビーム照明器240’は、撮像レンズを使用するのではなく、走査光ファイバの遠位端に付着されるコリメーティングレンズ243と、走査レンズ244’とを使用する。光ファイバ242がカプセル内部で動作するとき、この光ファイバを介して搬送される光は、コリメーティングレンズ243によって平行にされ、次いで、患者の体内の内腔の内表面上のROIに対応する平坦な照明平面233bまたは湾曲した照明平面233cの上に合焦される。走査光ファイバが移動するときに走査された各連続点から反射された光は、走査レンズ244’を再び透過してRGBフォトン検出器245r、245g、および245bによって検出され、これらの検出器のそれぞれは、線248を経由して、画素ごとに蓄積されたデータを画像の作成に使用されるRGB信号に供給する。
【0042】
照明平面では、全モード走査の目標である最大強度および/または光品質を実現するために、光放射のビームが合焦される。組織が照明平面に一致するとき、光照射は、光パワーと、この組織上の光スポットサイズとの関数である。したがって、撮像、診断、および治療に関して、より高い解像度は単位面積当たりにより多くの走査線を設けることによって実現されるので、カプセルの中に配置されたスキャナの解像度は、画像平面におけるこのスポットサイズによって決まり、かつ試料密度(すなわち、組織の単位面積当たりの試料数)によっても限定され得る。画像取得に関して、画像解像度は、照明スポットサイズ、検出器帯域幅(および走査速度)、および信号対雑音比(照明強度および集光効率)によって決まるが、この画像解像度はフォトン検出器の物理的サイズまたは個数によって限定されるものではない。
【0043】
診断および治療には厳密な空間識別が要求されるので、送達前に予め較正された有向照明が必要である。カプセルの中に送達された診断および治療走査と光学撮像を統合することによって、医療従事者は、カプセルが内置される内腔の内部で診断または治療用途に進む前に、表示画像を視ることによって光学走査の空間識別を容易に理解することができる。最後に、コンピュータ画像取得電子装置および画像処理ソフトウェアを組み込むことによって、画像、診断、および治療データの画素単位の分析が可能になる。それぞれの画素は組織の同じ面積または容積に対応するので、単一のファイバ統合システムは、3つのすべての機能、すなわち、撮像、診断、および治療のための空間的位置決めを維持する。3つのすべての機能に関して同じ視点からの一貫した空間的位置決めは、内腔を通過するカプセル内部に送達された単一光ファイバ走査システムを高精度にしかつ医療従事者による使い勝手をよくする。
【0044】
相対的に小さいカプセルの内部に統合された走査装置を使用することによってもたらされる利点は以下の通りである。
・統合によりサイズが小型になること、
・患者の安静がほとんど必要ないかまたは全く不要であること、
・内科医がテザー付きカプセルを患者の食道の中へ挿入する必要がないこと、
・統合および低費用の構成要素の使用によって費用が低下すること、
・体の中の様々な内腔の内部における到達可能性を高めるように曲げ剛性が低下すること、
・特に反復治療が必要な場合に処置時間が短縮されること、
・組み込まれた高解像度撮像装置および対話式表示器により精度が高まること、
・可変解像度(実時間ズーミング)および高度のステレオ効果(影付けのような)などの走査光学システムによる追加的な特徴構成、
・組み込まれた非可視光源および検出器による追加的な機能性、
・内腔内部おける多器具または多挿入物による感染に関して患者に対する危険性が低下すること、
・健康な組織の損傷が減少することによって患者の回復時間が短縮されること、および
・慢性疾患を監視するために長時間にわたって体の内部に残置可能であること。
【0045】
図6Cは、本発明のカプセルで容易に使用される共焦点スキャナとして使用するための同軸光ファイバ組立体280の一部を示す。光ファイバ組立体280は、クラッド286によって包囲される相対的に小さい中心光ファイバ284を含む。より大きな直径の光ファイバが、このより小さい光ファイバを包囲する。ROIの照明は小径の光ファイバ284を介して供給され、それによって放出された光はROIを照明するためにレンズ288a、288b、および288cを透過する。ROIから反射されるかまたは別様に受け取られた光は、これらのレンズによって光ファイバ組立体289の中へ再び合焦され、この組立体は、テザーを介して、受け取られた光を患者の体外に配置された機器に搬送する。このいわゆる同軸共焦点撮像では、単一の光ファイバが、ROIを照明すると共に、光をROIから外部機器に搬送することに留意するべきである。同軸光ファイバの幾何学的形状は、予成形品から熱引抜きするときに一体に融着された単一の機械的ユニットであるか、または別法として、ガラス繊維を径方向へドーピングすることによって、屈折率を異にする同軸領域が製造されてもよい。管状圧電アクチュエータ282は、同軸光ファイバを一体に移動させ、したがってこの光ファイバにROIを上で説明したモードの1つで走査させる。包囲する光ファイバの中に集められた光は、診断、撮像、および治療のために画像分析を向上させかつ光透過の深さを改良するように、反射された共焦点から径方向へ増加する距離にある検出器または光ファイバからの信号に使用することができる。極端に高い利得構成または識別検出構成では、後方散乱光は導波路の同じ部分(例えば、光ファイバのコア)の中に集光されてもよい。このような用途では、小さい信号水準を増幅するために光コヒーレンス特性が利用され、光コヒーレンス反射光測定法(OCR)または光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、あるいはレーザ励起フィードバックに基づいて診断マップを作成する。
【0046】
図6Dおよび6Eは、本発明のカプセル内部で有用なスキャナの実施形態を示し、このスキャナはRGB、紫外(UV)、および赤外(IR)スペクトル成分用の検出器を具備する。光ファイバ組立体295が、カプセル(図示せず)内部で支持体293の上に取り付けられた内部アクチュエータ291を具備する。開口部298を有する筐体内部に密封された光ファイバ300が、アクチュエータ291の遠位へ延びてこの内部アクチュエータによって動作させられ、このアクチュエータは、螺旋または渦巻き走査などの所望の走査パターンを実現するように管状圧電式であることが好ましい。図6Eに示したように、RGB検出器292および294が光ファイバ300の上方および下方に配置され、他方ではRGB検出器306および308が光ファイバの左および右に配置される。さらには、これらの図に示したように、RGB検出器290および296が組立体の外表面の頂部および底部に配置される。同様の様態で、RGB検出器302および304が、図6Eに示した検出器の左側および右側に取り付けられる。UV検出器310および312がRGB検出器間の一方の対角線上に取り付けられ、他方でIR検出器314および316が他方の対角線上に取り付けられる。したがって、疑似ステレオ画像は、内腔の内表面上の組織を撮像するとき、この組立体に具備された様々な検出器によって、本発明のカプセル内部から受け取られたRGB、UV、またはIRスペクトル成分に関して作成することができる。これらの幾つものRGB検出器からの信号を比較することによって、かつ内腔中のテザー付きカプセルの向きを知ることによって、正反射および多重散乱による信号水準が推定可能であり、それは適正な信号処理によって低減可能である。
【0047】
図6Fおよび6Gは、平行偏光検出器および垂直偏光検出器が内蔵されている光ファイバ組立体295’を示す。光ファイバ300は、参照数字328によって示した平行方向へ偏光される光を搬送する。図6Gに示したように、平行偏光検出器334および336が光ファイバ300の両側に配置され、他方で垂直偏光検出器324および326が光ファイバ300の上方および下方に配置される。さらには、垂直偏光検出器320および322が垂直偏光検出器324および326の上方および下方に配置され、他方で平行偏光検出器329および330が平行偏光検出器334および336の左および右に配置される。したがって、光ファイバ組立体295’をカプセルの内部で使用して、このカプセルに結合されるテザー(どちらもこれらの図に示さず)を介して検出器の出力信号を受け取る、患者の体外に配置された機器よって分析するために、両方の向きで偏光された光、すなわち、内腔の内表面上のROIから反射されるかまたは別様に受け取られた光を検出することができる。様々な偏光検出器によって生成された信号を使用して、外部に表示するために、その特定の偏光型に対応して内腔の内部における組織の画像を作成することもできる。組織との相互作用により偏光が変化する光を記録することによって、正反射を最小化することができる。組織からの偏光度は、一部がこの組織の光学的特性に依存するので、様々な組織の種類および深さが、両方の偏光軸を測定することによって識別可能である。
【0048】
図7Aは、内腔の内表面上のROIの疑似ステレオ画像を提供し、かつ内腔外部の分光測光器を使って分析可能なスペクトル画像を取得するために、カプセルの内部で使用される走査および検出システム266を示す。このシステムでは、内腔を通って患者の体外に延びるテザーを備える光ファイバ組立体250が光ファイバ256を含み、この光ファイバは、その先端にテーパが付けられ、圧電アクチュエータ254によって包囲されている。アクチュエータ254は、内腔(図示せず)の内表面を照明するために、レンズ258aおよび258bを透過する光を放出する光ファイバ256を振動させてROIを走査させる。この組織のROIから反射された光または別様にそこから受け取られた光(燐光または蛍光放射など)が、光ファイバ256回りに円周方向のアレイとして配置される12個の光ファイバ252によって集められる。この例示的な実施形態に示すように、参照数字260によって一括して示される光ファイバ1、2、および3は、それぞれがテザーを介して円周方向のアレイの左側に対応する外部RGB撮像検出器に結合される。同様に、参照数字262によって一括して識別される光ファイバ7、8、および9は、それぞれがテザーを介して円周方向のアレイの右側用の外部RGB撮像検出器に結合される。別の光ファイバの組264が、テザーを介して分光測光計270に結合される光ファイバに対応する。この分光測光計は、UV光、可視光、および/またはIR光を使用してスペクトル分析ならびにスペクトル画像取得を行うために使用される。円周方向のアレイの左側および右側用のRGB検出器は、このアレイの2つの離間された部分(すなわち、左側および右側)でROIからの光を受け取るので、これらの検出器はHMD表示器(図示せず)を使用して容易に視られる疑似ステレオ自然色画像を作成する。
【0049】
図7Bには、テザーを介して、カプセル内部に配置された光ファイバ360の中へ結合される、異なるスペクトル組成の光を生成する光源システム340を例示する模式図が示されている。この実施形態では、赤色光源342、緑色光源344、青色光源346、およびUV光源348が、それぞれに光ファイバ360の中へ選択的に結合される。光ファイバ360は、この光ファイバの遠位端が内腔(光ファイバの遠位端を含むカプセルがこの内腔を通過していく)の内表面上の組織を照明するために光を放出するようにテザーを備える。アクチュエータ350は、光源が生成する光の強度が選択的に制御可能であるように、光源ごとに光ファイバの近位端に設けられる。対応する緑色、青色、およびUV光源のそれぞれによって放出された光の色に特定的な被覆を含む3個の二色性ミラー352、354、および356が、緑色、青色、およびUV光をそれぞれに光ファイバ360の近位端の中へ反射するために、光路内部に位置決めされる。これらの二色性ミラーのそれぞれに関する反射率波長帯の外側にある光は二色性ミラーに透過され、レンズ358によって光ファイバ360の近位端の中へ合焦される。
【0050】
図7Cは、本発明に使用される別法の光源システム362を示す。この実施形態では、赤色、緑色、青色光源342、344、および346が、それぞれ、光学的減衰器350を介しかつレンズ364を介して、一連のまたは一続きの光学的結合器366に結合される。レンズ364は異なる光色の各光源からの光を光ファイバ365の中へ合焦し、これらの光ファイバは、この光を光学的結合器366に搬送する。さらには、IR源368が、光学的減衰器350およびレンズ364を介して光ファイバ365の中へ光を透過し、この光ファイバはIR光を一続きの結合器の最後の結合器に搬送する。光検出器369が、異なる光源ごとの光強度水準または光パワー水準を監視するために設けられ、様々な光源の強度の制御を可能とする。光ファイバ367が、光を最後の光学的結合器から光検出器369に搬送し、他方では、この最後の光学的結合器からの出力が、患者の体内の内腔中のカプセル内部に配置されたスキャナに入力するために光ファイバ360の近位端に入力される(この図面を簡素化するために、光ファイバ360を含むテザーも、カプセルも図示されていない)。
【0051】
上で示唆したように、内視鏡カプセル走査システムの経済性を保証し、それによってその用途の広がりを促進するために、相対的に低費用でかつ高容積で作製され得る小断面積の走査装置を製造することが望ましい。この目的をより容易に実現するために、経済的なスキャナを製造するとき、集積薄膜デバイスを使用する微小電子機械システム(MEMS)技術が有利に使用され得る。図8A、8B、および8Cは、本発明に従って、カプセル内部のスキャナとして使用するように適合可能な薄膜光学システム370を例示する。図8Dに例示するさらなる別法370’が、走査および検出器用に平行片持ち式薄膜光導波路を含む。
【0052】
このような本発明に有用なスキャナの薄膜実施形態では、静電アクチュエータ386が、隆起棚部378上で支持される薄膜光導波路380に作用する。この薄膜光導波路は、直径が約0.003mmに過ぎない。薄膜光導波路の遠位部分382に、図8Aおよび8B中の湾曲矢印によって示された2つの直交方向へ走査させる。走査動作は1次元(すなわち、単一軸に沿って)または、図示のように、2次元(例えば、ラスタパターンまたは螺旋パターンに沿って)であり得ることに留意されるべきである。随意選択的に、薄膜光学デバイスはロッド373上のカプセルの中に装着可能であり、次に、このロッドは、向きを変更するかまたは単一軸走査を変位するために、手動でまたは機械的に回転もしくは振動される。シリコン基板376(または他の基板材料)に装着されることが好ましいレンズ384も設けられる。別法として、基板の外側であるが依然としてカプセルの内部に配置されたアクチュエータ(図示せず)が、静電アクチュエータの代わりに使用可能であり、その場合には、光ファイバ374およびレンズ384はシリコン基板376によって支持されることになる。この光ファイバは、外部アクチュエータによって振動が引き起こされ、片持ち式薄膜光導波路に共鳴走査させる。
【0053】
光ファイバ374は、それが薄膜光導波路380と一線に整列するのを保証するためにシリコン基板376の位置調整Vノッチ390の内部に固着されることが好ましい。この光ファイバは直径が約0.1mmであるので、光ファイバの端部と薄膜光導波路との間で精確な位置合わせを行うように注意を払わねばならない。図8Aおよび8Bは、光ファイバ374と薄膜光導波路380との間の木口結合を使用する実施形態を示す。光ファイバと薄膜光導波路との間の適正な位置合わせを保証するために、Vノッチ390は、薄膜光導波路に対する光ファイバの配置を厳密に確立する。屈折率整合ゲル375または流体を使用して光ファイバ374からの光を薄膜光導波路380に結合することができる。屈折率整合ゲル375によって充填された間隙を減少させるために、光ファイバの先端はテーパを形成するためにエッチングされ得る。さらには、先端長さおよび表面が、固着前にCO2レーザ機械加工によって調節され得る。以下でさらに説明するMEMSスキャナの他の実施形態は、位置合わせ問題を軽減する。
【0054】
図8A、8B、および8Cに示した実施形態では、ROI内の目標から反射されて戻される光が、レンズ384を透過し、それぞれのRGB検出器392r、392g、および3926bによって受け取られる。カプセルの中に配置されたこれらの検出器は、対応する色の光に応答し、上で論じたように、外部構成要素の近位に搬送される信号を生成する。図8Dでは、別体の画像および診断/治療用の薄膜光導波路が離間されかつ並行して走査されるが、この実施形態は診断用「DIAG」検出器392dを使用する。
【0055】
集団検診用自動システム
本発明が企図する用途の1つは、本発明によって、患者のBEの有無を検診するために、ほとんど自動化された食道検診作業が最終的には医療従事者によって(通常は医師によるのではなく)実施されることを可能にすることである。図9は、患者がBE(または他の食道の症状)に罹っているかどうかを判定するために、医療従事者408によって患者395の食道の内表面の走査を実行する、本発明に関連して使用される自動システムを例示する。このシステムはコンピュータプロセッサ394を含み、このプロセッサは、図3に関連して上で論じかつ下でさらに詳細に論じる機能の多くを実行する。
【0056】
組み合わされた光ファイバおよび電気リード線ケーブル397は、コンピュータプロセッサ394をリール396に結合するが、このリールは、本発明に従って、リール上のハンドル402が回転されるとき、患者395の食道内のカプセルを後退させたりまたは前進可能にしたりするために使用される。カプセルと一緒に食道内で後退させたり、または前進可能にしたりするテザー22が、口唇404間に延びて患者の食道を嚥下する。このテザーはリール402において、組み合わされた光ファイバおよび電気リード線397に接続されて、1本または複数の光ファイバと、カプセルの中に配置されたスキャナ(この図ではどちらも図示せず)におよびそこから光信号および電気信号を搬送する1本または複数の電気リード線とを含む。最初に患者395は、カプセルおよびそれに付着されたテザー22の飲み込みを容易にするために、水などの液体の入ったグラス406が渡される。この液体は、カプセルが患者の口腔の中に挿入された後で飲み込まれ、患者がこの液体を飲み込むとき、食道壁を含む筋肉の正常な蠕動によってカプセルを食道に通して前送りする助けとなる。
【0057】
カプセルは、患者の胃の中へ前進することが可能であり、次いで、ハンドル402を把持しかつリール396を回転させる医療従事者408によってLESを通過して抜き出される。追加的に、カプセルのコンピュータ制御式の抜き出しも企図されており、検診過程を完全に自動化するために電動式リールを使用することになる。したがって、コンピュータは、カプセルによって走査されている画像の品質および内容を実時間で判定する基準に応答して、カプセルの抜き出し速度を決める。カプセルの抜き出し速度の制御に加えて、コンピュータは、走査変数および患者に特定的な変数が与えられる場合には、光強度の制御が可能であり、内腔の内表面のパノラマ図を形成するために自動化された画像ステッチング(stitching)が実行可能である。現在入手可能な自動化された画像ステッチング用ソフトウェアが、例えば、「AutoStitch」としてマシューブラウン社(Matthew Brown)から入手可能である(http://www.cs.ubc.ca/〜mbrown/autostitch/autostitch.htmlにあるこのソフトウェアに関するURLを参照されたい)。このような画像は、LESの位置を測定するために、かつ患者にBEまたは何らかの他の医学的問題があるかどうかの判定を自動化するために、画像認識ソフトウェアと併用することができる。また、全360度のパノラマ図を作成するために自動的にステッチされた画像は、患者の食道内のカプセルの位置を画定するための別の目盛として、LESからのカプセル長の画素を単位とする定規様の物差しを形成するために較正することができる。
【0058】
コンピュータプロセッサ394に結合された表示器398を視ることによって、医療従事者は胃の画像を容易に観察することが可能であり、次いで、リールがテザーを巻き上げてカプセルをLESの上方に後退させるとき、医療従事者は、表示器上に食道の内表面の画像を観察することが可能である。インジケータ400bは、カプセルが食道を通過している相対速度および方向を示すために表示器の片側に表示される。
【0059】
コンピュータプロセッサ394は、画像399中の変化に基づいてLESを検出しかつLES上方のカプセルの距離400aを表示して、患者がLESの直上の食道内表面の箇所にBEを示す特徴的な暗いピンク色を有するかどうかを判定するために、当該部分の画像を自動的に評価するようにプログラムすることができる。このように画像走査処理の結果は、ほぼ実時間で食道の状態を検出するために自動化され、患者がBEに罹っているかどうかを即時に表示するので、医療従事者は、リールを操作することおよび最初にカプセルを飲み込む際に患者を補助することが要求されるだけであるべきである。したがって、このようなシステムの効率によって、しばしばBEが先駆である食道癌をBEの早期検出によって回避できるように、一般集団の集団検診を最小限の費用で実施可能にするべきである。
【0060】
機能ブロック図
図10は、カプセルが患者の体の内腔中に配置されるとき、本発明に従って実施可能な多様な機能の少なくとも一部を例示する。診断、治療、および監視などの機能が点線を使って形成されるブロックの中に示されており、他方で、カプセルおよび関連構成要素によって実施されるシステム410の撮像機能に実線が使用されている。この図に例示するように、撮像レーザ412が、テザーを経由して患者の体内へ誘導されて、カプセルの中に配置される走査光ファイバで使用される撮像光学素子を介して、カプセルの中のスキャナによって誘導される光を生成する。さらには、ブロック418中の遠隔光学スイッチおよび減衰器によって制御され得る、ブロック416中の診断、治療、および監視用レーザが、光学結合機構420を介して、患者の体の内腔中で使用するためのカプセルの内部に配置された追加的な光学構成要素422に搬送されるコヒーレント光を生成する。RGBフォトン検出器430は、内腔の内表面上のROIから受け取られた光に応答して、テザー内部のまたはそれと並行して延びる電気導体を介して、患者の体外に配置された機器に搬送される電気信号を生成する。別法として、RGB光は、テザー内部の光ファイバを介して、体外の外部フォトン検出器426に、または、例えば、光ダイオードおよび関連する回路を含む他の種類の光検出器424に搬送され得る。
【0061】
ボックス432に示すように、本システムは、1つもしくは複数の分光測光計またはスペクトル分析器によって使用される集光用光ファイバに関連する、追加的な高出力または低出力の、UV検出器、および/または可視光検出器、および/またはIR検出器を含んでもよい。例えば、ブロック434に示した分光測光計またはスペクトル分析器は、集光用光ファイバを介して搬送された光および/またはブロック436に示す導体を経由して搬送された信号を受け取ることができる。本システムは、さらなる随意選択として患者の体内のカプセルの内側に配置された追加的なフォトン検出器を含んでもよい。信号が、ブロック432と434との間、ならびにブロック440中のコンピュータプロセッサ(またはワークステーション)およびデータ取得構成要素との間で、双方向で交換される。コンピュータプロセッサは、非直線的走査パターンを提供するアルゴリズムおよび制御アルゴリズムを実行することが可能であり、強度データ取得、画像マッピング、パノラマ画像ステッチング、およびデータの記憶を実行するようにもプログラム可能である。さらには、実時間フィルタリング(例えば、動作およびスキャナ偽信号の補正)、比率および背景減算の実時間測定、デコンボリューション(deconvolution)、疑似ステレオ強調、ならびに様々な検出器によって生成された信号の処理を含むタスクが、コンピュータプロセッサによって実施される。コンピュータプロセッサによって供給された信号は、画像表示器装置(図9に示したように)に、および不揮発性記憶装置(図示せず)のデータ記憶用に出力される。画像表示器装置は、ブロック442で留意されるように、陰極線管、液晶表示器、およびHMD装置、あるいは他の種類のステレオ画像表示器を含んでもよい。
【0062】
市販の表示器は典型的に直線ビデオフォーマットが必要であるので、カプセル中の1つまたは複数のスキャナ用に使用される非直線走査の数多くの利点(簡素化された単一アクチュエータ、円筒スキャナのサイズ、およびより低い走査速度など)を利用するために、任意の非直線光学走査パターンが、データバッファ(メモリ)の中に記憶されかつ表示器モニタ用の標準的なラスタ走査フォーマットに変換されねばならない。信号処理およびリマッピング(remapping)におけるこの追加的な工程は、プログラム可能な記憶装置にとっては技術的に大した問題ではない。
【0063】
さらには、スペクトルおよび多変量解析を実行し、かつ対象領域を特定しその範囲を計算するための画像分析ソフトウェアが、コンピュータプロセッサまたは他の計算処理装置を使用して実行される。内腔の内表面上のROIに関して、この計算処理によって、その分布、境界、容積、色、および光強度が測定可能であり、かつROIから収集されたデータに基づいて、バレット食道などの組織病変状態、医学的段階が判定できるばかりでなく、治療の投与量を計算および監視することもできる。これらの機能のすべてがブロック444の中に示されており、これらの機能はブロック440の通常の撮像コンピュータプロセッサを使用することができる。ブロック444はブロック446に結合され、このブロックには追加的な対話式表示器および画像重畳フォーマットが設けられる。ブロック444に関連して、電子機械式スキャナを駆動し、かつブロック450のサーボセンサから信号を受け取るためにスキャナ出力および制御電子素子が設けられることを示すブロック448が存在し、これらのスキャナ出力および制御電子素子は、選別、監視、診断ばかりでなく、内腔内部の所望の部位に画素単位の精度で治療を施すことに関わる通常画像の取得および強調のために使用される。
【0064】
以上に、内腔内部のROIを撮像するためにカプセルに内置されたスキャナを動作させることに関連して、光ファイバ走査アクチュエータの様々な実施形態を説明した。ブロック454は、走査光ファイバを内蔵するカプセルを患者の体内へ挿入し、かつROIに隣接する所望の部位に位置決めできるように、走査光ファイバの遠位先端の手操作による制御に対応されていることを示す。手操作による制御は、恐らくカプセルおよびスキャナを内腔中のROIに対して回転させるようにテザーを旋回させることを含み、カプセルおよび1つまたは複数のスキャナを所望の部位に容易に位置決めするためにブロック456で示すように、場合によっては自動化されたサーボセンサを含むことになろう。一旦位置決めされると、患者の生物学的動作(呼吸および循環系の動き)および肉体的動きに関して画像を安定させるために、ブロック452で留意するように、スキャナの自動振動補正が行われる。さらには、少なくとも1つの実施形態では、所望であれば、患者の体の内腔内部でカプセルを安定させる他の機構が設けられる。
【0065】
本発明を活用して実施可能な様々な機能の詳細は以下の通りである。
統合された撮像、検診、および診断
・UV、可視、およびIR波長を使用する光学組織撮像
・UV、可視、およびIR波長を使用する蛍光撮像
・IR波長を使用する熱撮像
・IR波長を使用する深部組織撮像
・同軸共焦点および真の共焦点撮像
・IR波長を使用する血液透過撮像
・偏光/コントラスト撮像
・レーザフィードバック顕微鏡法
・光コヒーレンス断層撮影法(OCT)および光コヒーレンス反射光測定(OCR)
・光刺激振動音響画像分析
・高解像度および倍率の組織接触撮像
・レーザ励起蛍光法(LIF)ならびに比率蛍光撮像および検出
・多フォトン励起蛍光撮像法
・蛍光寿命撮像および分析
・ステレオおよび距離測定オプションを使用する撮像構造の真のサイズ決め
・レーザ励起蛍光分光法(LIFS)
・ラマン分光法分析
・弾性散乱分光法(ESS)分析
・吸収分光法
・化学ルミネセンスおよび細胞生活力の検出ならびにマッピング
・光学センサデータ(酸素濃度、pH、イオン濃度等)の空間マッピング
・温度測定およびフィードバック制御
・圧力測定(圧力計)の誘導ならびに食道、下部食道括約筋、胃、幽門、小腸、および他の体の内腔の視覚的および圧力計による観察の相関
・監視ならびにフィードバック制御のための、色、レーザ電力送達、組織特性、光退色、および化合物の光生成などの他の測定
治療、手術、および監視
・光線力学的診断(PDT)
・組織および/または腫瘍の加熱(例えば、温熱療法処置)
・光照明によるレーザ手術(UV、熱、および/または切除)
・医用生体材料の光活性化学作用、光重合、および移植
・レーザ焼灼法
・パルス式光放射の吸収によって生成される衝撃波を使用する組織の機械的破壊
対話式表示器および高度なユーザインタフェース設計
・表示器モニタ上の疑似ステレオ、疑似カラー重畳を利用するステレオ画像マッピング、および真の3D表示器フォーマット(個々の表示器手段および性能は特定の用途に応じることに留意されたい)
・対話式のタッチ/位置指示画面
【0066】
図11Aおよび11Bは、使用される計測装置に応じて、本発明で実施可能である様々な機能を例示する。図11Aは、撮像、試料診断、および施療に使用される単一の走査導波路を示し、図11Bでは、単一の走査導波路が、3D撮像、組織生検の実現、内視鏡手術の監視に使用される。これらの両図では、構成要素の多くが同じように設けられているが、本システムの一部として使用される構成要素に多少の変更を行うことによって、異なる機能が提供できることを認識することが有益である。図11Aに示したシステム460では、対話式コンピュータワークステーションモニタ462は、医療従事者が走査光ファイバを制御し、撮像、診断(例えば、光生検)、および施療に使用されるソフトウェアアリゴリズムを実行することを可能にする。高解像度カラー表示装置464は、走査光ファイバ484から、光ファイバシステム488を経由して分配制御卓472に搬送される信号を受け取る。走査光ファイバ484に隣接して患者の体内に光学RGB検出器が内蔵されていなければ、それらが設けられてもよい。ROI 486は、使用者に表示される高解像度カラー画像を作成するために光ファイバによって走査される。受動的表示器の実施形態では、2つの陰極線管(CRT)モニタが、同じ物体(例えば、組織)の画像を作成するために、2つの異なるコントラストモードを使用して画像を表示する。例えば、同じ共鳴駆動式走査光ファイバが、自然色光画像を一方のCRTに作成し、他方のCRTモニタにグレースケール蛍光画像を作成してもよい。励起および信号の光学特性が重畳しなければ、2つ以上の画像が同時に作成されてもよい。重畳しなければ、これらの2つの画像は、面順次方式でまたは高速共鳴スキャナの交番ライン掃引で取得される。画像コントラストモード(自然色光および蛍光)間の切り換えを行うために、光源は遮断されるかまたは直接的にスイッチが切断/投入される。照明電力およびスペクトル域を共に変調する間に時間的に同期して、フォトン検出器からの信号が記録され、別個の画像として表示される。この実施例では、同じROIの第2の蛍光画像を有するので、医療従事者は、標準的な白色光画像では視認できるかどうか不確かなわずかな病変または前癌病変を見つけて明確に識別することができる。
【0067】
これらの2つの表示器の一方は、医療従事者がレーザ手術のためにROIを選択する(その輪郭を描く)ことを可能にするタッチ画面モニタまたは対話式フットマウスもしくはペダルを使用することなどによって対話式であってもよいことが企図されている。画像に動きがあり得るので、タッチ画面表示装置は、遅れずに画像を取得しかつ静止させる必要がある。しかし、一旦このROIの輪郭が描かれると、画像のセグメント化および物体認識アルゴリズムは、実時間で画像取得しかつ表示する間、ROIを強調表示された状態に維持するように実施することができる。対話式モニタは、従事者が、電力水準およびレーザ放射露光継続時間などのレーザ治療に関するパラメータを設定するためのサイドバーメニューを提供することができる。第2の表示器は対話式で使用されないことになろうが、それは自然色またはグレースケールで実時間光画像を表示する高解像度モニタであることが好ましい。IRフォトン検出器が内視鏡に組み込まれていれば、疑似カラーを有する高解像度表示器は、従事者が、レーザ手術における組織加熱および/または組織照射などのレーザ治療の進行を監視することを可能にする。
【0068】
カプセル内部の走査光ファイバは、ブロック466に示すように、テザーと先端誘導および安定化を容易にする光学手動制御装置とを使用して、患者の体内の所望の部位でROI 486に対向して位置決めされる。内腔内部におけるカプセルの配置は、位置センサ信号に基づいて、または、図13に関連して下で論じるように、テザー上に設けられた目盛を基準にして、テザーが内腔の中へ延びる距離を監視することだけによって自動的に測定可能である。ROI 486内部で、光生検「スポット」485が、病気を診断するための一点スペクトル測定の空間的および一時的分布を例示する。これらのスポットは、生体外の分析用に観血的に組織試料を採取する現在の診療とほぼ同様に分布されている。それぞれのスポットは、光学スキャナのフレームサイクルにわたって分光学的に分析可能であり、t1およびt2を、例えば、約1/30秒だけ分離する。走査光ファイバによって提供された画像に加えて、ブロック468に示すIR熱的光検出器(および随意選択的な温度監視装置)が、ROIからIR信号を受け取るために具備されてもよい。
【0069】
走査光ファイバまたは光導波路の動作を容易に制御するために、ブロック470に示すように、マイクロセンサおよび制御電子素子用の電力が供給される。制御電子素子によって供給された信号は、光ファイバに走査させるアクチュエータが、ブロック470内部の電気的ハードウェアおよびソフトウェア双方によって制御されるとき、この光ファイバの振幅および変位の制御を可能にする。ROI 486から受け取った光のスペクトル組成および光生検スポット485の分布は、ROIの状態をルーメンで評価する医療従事者によって、スペクトル測光分析に基づいて癌のような病気の検診および診断用に使用可能であるので、分光測光計および/またはスペクトル分析器474が診断目的用に具備される。ROIを撮像できるようにROIを照明するために、赤色、緑色、および青色光源476、478、および480が組み合わされ、これらが生成する光が光ファイバシステムを介してカプセル内部の走査光ファイバ484に搬送される。スペクトル分析用に使用される光源は、外部RGB光源(例えば、レーザ)の1つからの高出力パルス、または副次的なレーザもしくは白色光源でよい。信号強度、時間、および照度が限定的であるので、フラッシュ照明を使用して反復一点分光測光法が最初に用いられる。さらには、同じまたは異なる高出力レーザ源482を用いて、PDT;形成異常、新形成、および腫瘍のレーザ切除;ならびに高強度源を使って行われる他の種類の治療などの治療を施すことができる。
【0070】
システム460を使用する際に、医療従事者は、標準的な自然色の内視鏡画像を表示する高解像度カラー表示装置を注視しながら、柔軟なテザーとそれに付着されたカプセル(スキャナを含む)とを患者の体内の内腔の適正な領域に誘導しかつ操作する。内腔中の腫瘍、新形成、および/または前癌病変の検査は、モニタを注視するだけで開始することができる。分光測光計およびスペクトル分析器474と一緒に含まれる第2の表示装置(別個に図示せず)が、カプセル中のスキャナによって作成された画像のグレースケール版にわたって、疑似カラーで蛍光マッピングを表示する。異常に見える組織が見つかると、カプセルは随意選択的に機械的に固定される(例えば、下で説明するように、付着されたバルーンを膨らませることによって)。内腔壁上のROIはスキャナのFOV内部で中心に位置決めされ、次いで、スキャナに備わる多解像度能力を使用して拡大される。ROIまたは癌のサイズが推定され、画素境界が可視画像または蛍光画像を画像処理することによって測定される。LIFSなどの分光学的診断が必要であれば、光生検点の分布が照明水準と共に推定される。診断測定は、数多くの撮像フレームにわたって照明を反復して自動送達することによって行われる。使用者は、診断を終了するか、またはカプセル中のスキャナによって内腔の内表面に関して作成された画像から明確な診断が下せるまで、ワークステーションに試料の信号対雑音比および/または密度を向上させることができる。診断結果は、実時間でありかつ標準画像の上に重畳されることが見込まれている。
【0071】
PDTなどの光学的治療が許可されると、光放射露光量が決められ、カプセル中のスキャナシステムを制御する対話式コンピュータワークステーションにプログラムされる。PDT処置は、典型的にはPDT蛍光染料用に予め選択された高出力レーザ源482による、高強度レーザ照明の光学走査であり、上で説明したように、二色性フィルタ、減衰器、および電子機械的シャッタを使用して制御される。面順次方式では、蛍光画像および可視画像は共に、カプセル中のスキャナを使用して行われるPDT処置中に取得される。医療従事者は、両方の表示器上で、スキャナで取得されたこれらの画像を観察することによってPDT処置の進行を監視する。
【0072】
図11Bを参照すると、カプセルの中に設けられた走査システム460’が、内腔の内表面の3D撮像、生検、および内視鏡手術の監視用に使用される。ROIの疑似ステレオ図の中に3D撮像を可能にするために、HMD490が含まれる。さらには、本システムは、図11Aに関連して上で説明した高解像度カラーモニタ464を含む。IR光学位相検出器492も内腔中の距離測定用に含まれる。IR照明の高周波数変調が、数ミリメータほどの光伝搬距離による位相変化を測定するために計測され得る。カプセル中の走査光ファイバまたは光導波路の遠位端とROI 486との間の距離は、特定のROI 487の境界またはサイズを測定するためにこのROIをマッピングするために、かつ内腔中のROIを含む形成異常の面積または腫瘍の容積など、構造のサイズおよび形状を測定するために、内視鏡手術時に適用されるべき光の強度を評価する際に重要である。UV/可視生検光源494が、特定のROI 487における光生検の実施を可能にする。ブロック474の分光測光計およびスペクトル分析器は、内視鏡手術中のROIの状態が、この計測装置によって行われるスペクトル分析に基づいて、しばしば最も適切に測定され得るので、内視鏡手術の実施中にROIの状態を監視する際に有用である。他の点では、図11Bに備わる別の機能用に使用される構成要素は、図11Aの構成要素と同一である。
【0073】
システム460’を使用するとき、医療従事者は、可視波長(自然色)画像を表示する高解像度カラーモニタ464を注視しながら、スキャナを再位置決めするためにテザーおよびカプセルを移動させることによって再び新形成を探す。ROIが見つかると、下で論じるように、例えば、カプセルに付着されたバルーンを膨らませることによって、カプセルを機械的に固定することができる。再び、ROIがFOV内で中心に位置決めされ、次いで、多解像度能力を使って拡大される。しかし、周囲組織に動きが見られる場合には、取得された画像は静止しておらず、画像のスナップショットが獲得され、かつ好ましくは対話式表示器である対話式コンピュータワークステーションモニタに伝送される。静止ROIの境界はその輪郭が対話式表示器画面上に描かれ、距離測定用のIR光学位相検出器492を使用して、成形異常の面積または腫瘍の容積が、画素単位の直径測定値およびスキャナと組織との間の距離測定値から評価される。光生検は、弾性散乱光分光法(ESS)用の光ファイバ結合型アークランプであり得るUV/可視生検光源494を使って行われる。当該癌性または前癌性組織に許可されると、光放射露光量が計算され、治療計画が対話式コンピュータワークステーションモニタ462にプログラムされる。デジタル画像処理アルゴリズムが、ROIを自動的にセグメント化するように、または実時間で取得された画像から動作偽信号を排除するように、スキャナ信号(表示器フレーム率と同等かまたはそれ未満であり得る)を処理するために較正することができる。レーザ手術処置および/または焼灼法は、可視光スキャナと光結合される高強度レーザ482(IR)を使って行うことができる。IR距離測定オプションの必要はないが、IR温度監視装置またはレーザ監視装置が所望される場合には、IR源がこれらの別法の監視機能用に代用され得る。面順次方式では、IR画像および可視画像は共に、レーザ手術および/または焼灼法時に取得される。IR画像は、レーザ照明が内腔中のROIを走査するときのレーザ照明からの後方散乱のマッピングであるか、または対話式コンピュータ表示器上にグレースケール可視画像にわたって疑似カラーとして表示され得るROIの熱画像である。医療従事者は、これらの取得された画像を高解像度表示器モニタおよび対話式表示器モニタ上で観察することによって、IR照射処置の進行を監視する。
【0074】
内腔におけるカプセルの配置測定
本発明の数多くの用途では、カプセルが通過している内腔の内部におけるカプセルの位置を測定することが重要である。外部基準源に対するカプセルの配置(および、随意選択的に、向き)が測定され得るように、カプセル内部でこの基準源からの信号を検出する位置センサを使用することを含めて、幾つかの異なる技法を用いてこの測定を行うことができる。別法として、信号源は、患者の体内、したがって患者の体の内腔の内部におけるカプセルの位置(および、随意選択的に、向き)を測定するために、外部位置センサと併用するためにカプセルに内蔵することができる。位置センサをカプセルに内蔵することは上で論じられている。
【0075】
さらなる別法として、内腔内に置けるカプセルの名目位置が知られるように、電子測定装置500が、患者の体の内腔の内部に進入したテザー22の長さを測定するために設けられ得る。電子測定装置500が図12Aおよび12Bに示されている。これらの図では、電子リード線502がテザー22に隣接して延在するように示されているが、別法として、テザーの内部に内蔵されてもよい。電子測定装置500は、テザー22が患者の食道の中を通過するように、患者の歯間に快適に固定されるように形作られる噛み部品504を含む。発光体508および光検出器512が内部に配置される筐体506も含まれ、これらの発光体および光検出器は、それらの間でノッチエンコーダ車510が回転するように離間される。ノッチエンコーダ車510は、テザー22の動きに応答して車516によって回転自在に旋回する軸514上に取り付けられる。張力車518は、テザーを車516と接触状態に維持するためにテザー22に対して力を印加する。車516および張力車518は、ブラケット520によって支持される。発光体508と光検出器512との間で回転するノッチエンコーダ車に応答して、光検出器は、患者の食道(または他の内腔)の内部に存在するテザー22の長さを示すパルス信号を生成する。
【0076】
図13に、内腔内部におけるカプセルの名目位置を測定するように、内腔の内部に存在するテザー22の長さを測定するさらに簡素な方策が例示されている。テザー22は、このテザーに沿ったカプセルからの距離を示すために、テザーの外表面に付着された複数の離間した刻線標示を有する。したがって、使用者は、カプセルが内腔の中を移動した距離を測定するために、テザー上の標示を参照することによってカプセルからの距離を簡単に読み取ることができる。
【0077】
二重クラッド光ファイバの使用
上記説明では、光信号をカプセルの遠位に搬送し、かつ患者の体外に配置された検出器の近位に戻すために2連クラッド光ファイバが使用され得ることに留意された。二重クラッド光ファイバ540の例示的な実施形態が、非常に低い屈折率(noc')の外部クラッド542を含み、このクラッドは、容易に入手可能な単一モード光ファイバに追加可能であるか、または既に外部クラッドが被覆されている特注の光ファイバとして購入可能である。外部クラッド542は、低い屈折率(nic)の内部クラッド544を包囲し、この内部クラッドはカプセルによって内腔の内表面から集められた光の導波路の役目をする。高い屈折率(nc)を備えるコア546が、内腔の内表面を照明するための光を搬送し、この光は白色(すなわち、光は実質的に等しい強度のRGB成分を有する)であってもよいし、または他の波長または波長帯の光を含んでもよい。したがって、二重クラッド光ファイバのこれらの成分の屈折率の関係は次式、すなわち、nc>nic>>noc'となる。別法として、外部クラッド542は、例えば、金、アルミニウム、または銀から作製された金属薄膜として形成することもできる。さらに他の別法として、外部クラッド542は、単に空気だけでもよいし、またはほとんど空気と適正な重合体とを含む組成物であってもよい。
【0078】
二重クラッド光ファイバ540を使用すると、図15に示すように、カプセル552に必要な構成要素を簡素化する。例えば、光検出器はカプセル552の中には不要である。さらには、カプセル内部の光検出器から電気信号を搬送する必要が存在しないので、テザーの中で二重クラッド光ファイバ540に沿って延びるリード線550は、アクチュエータ560を励起する電気信号を搬送するのに必要とされるだけである。図15に、リード線550は二重クラッド光ファイバ540に沿って、カプセル552用のテザーの柔軟性の高い薄い外部被覆564の内側に示されている。好ましくは、二重クラッド光ファイバ554の片持ち部分に走査を行わせ、点線562によって示されているように、食道14の内表面を照明する光を放出する。カプセル552の中の光学系には第1のレンズ556および第2のレンズ558が含まれ、これらのレンズを介して、可動光ファイバ554によって放出された光が内腔の内表面上に搬送される。内腔の内表面から反射されて戻った光は同様に光学系を透過して内部クラッド544に進入し、この内部クラッドは、上で論じたように、この光を適正な検出器まで内腔の外部へ搬送する。
【0079】
カプセルに結合されたバルーンの使用
図16は、その近位端に結合された膨張可能なバルーン574を有するカプセル570を例示する。このバルーンは、カプセルの遠位端から、カプセルが内置される内腔の内表面582に向けられている照明光572を妨害することはない。バルーン574内部の容積586は、テザー576の内部の内腔578を介して搬送される流体または空気で選択的に膨張させられる。この流体は、バルーンによって包含されたテザーの一部の中に形成される少なくとも1つの開口部588を介して内腔578から出る。
【0080】
バルーンは、次のように1つまたは複数の別個の目的を果たすために膨張させることができる。例えば、バルーン574は、蠕動性筋肉組織の作用によって、バルーンおよびカプセルを内腔に通して前送りするように膨張させることができる。すなわち、バルーンのより大きな直径は、筋肉組織によって加えられる力がバルーンとそれに連結されたカプセルとを効率よく内腔に通して前送りすることを可能にする。他に随意選択として、内腔壁によって加えられた圧力を内腔の外部で監視できるように、バルーンは、膨張時に、バルーンが内置されている内腔の壁から、カプセルに接触しているかまたは別様に内部容積586と流体連通している圧力センサ(この図に示さないが、上で論じた)に圧力を伝達することが可能である。この圧力は、様々な状態の決定要因となり得るものであるか、または他の対象となっている情報を提供し得るものである。
【0081】
バルーンは、カプセルの前送りを可能にするのではなく、バルーンの断面積サイズを拡大するために少なくとも一部が膨張させられ、それによってカプセルが、バルーンの断面積サイズよりも小さい断面積サイズを有する内腔または他の通路の一部を通ってさらに移動するのを防止することができる。最後に、バルーンは、内腔の内表面の走査がより効率的に実行され得るように、カプセルを患者の体の内腔の内部で概ね中心に位置決めしかつ固定するために膨張可能である。
【0082】
蠕動を刺激するための電気接点
図17に、カプセル590が内腔592の内部に示されており、このカプセルの筐体の外表面上に配置された複数の電気接点594を含む。電気接点594は、テザー600の中に形成された通路602の内部に延びるリード線598に接続される。これらのリード線は、電力源(図示せず)に結合される。それによって電圧がリード線598を介して電気接点594に選択的に印加され、筋肉組織604に内腔592の筋肉組織の蠕動を刺激させ、この蠕動はカプセルを内腔に通して前送りする。随意選択的に、カプセル590の近位でテザー600に接続される電気接点596が、筋肉組織の蠕動を刺激するために電気接点594の代わりにまたはそれに追加して使用することができる。
【0083】
機械的な生検
図18は、テザー624に結合されているカプセル620を例示する。テザー624は環状通路622を含み、この通路の内部で1つまたは複数の細胞検査用ブラシ626または生検鉗子(図示せず)が、カプセル620を内置する内腔の内表面に接触するように制御可能に前送りされる。細胞検査用ブラシ626は、内腔の輪郭を形成する組織細胞がブラシの毛に移転されるように、内表面上の組織と接触状態で環状通路622から前送りされる。次いで、この細胞検査用ブラシは環状通路の中へ引き込まれ、カプセルおよびテザーが患者の体の内腔から抜き出された後で、細胞試料がさらなる処理および検査のために毛から除去され得る。図示しないけれども、環状通路を使用して、カプセルから前送り可能な毛を露出させるカプセル上の垂れ蓋を引き戻すことができる。環状通路ではなく、細胞検査用ブラシ、微細針、または他の種類の機械的な生検装置が、テザー上に設けられたピギーバック通路(図示せず)に通して前送りすることができる。内腔から試料を収集しかつ試料と一緒に通路の中へ引っ込むために、把持装置が、環状通路またはピギーバック通路の中に使用されてもよい。このような通路は、この通路を介して患者の体外にあるテザー近位端に抜き出される流体用の取り入れ口としても使用することができる。
【0084】
多画像
上で留意したように、本発明に従って、複数のスキャナがカプセルに内蔵可能であることが企図されている。それぞれのスキャナはサイズが相対的に小さく、それらは、例えば、内腔の内表面の全360°の視野を包含する大きな視野を撮像できる離間アレイで構成することができる。別法として、図19に示すように、内腔672の4つの側(図示した2つの側ばかりでなく、この図では視認できないが、ピラミッド型ミラーの背後側およびその反対側を含めて)を撮像するために、単一のスキャナをカプセル650の中で使用することができる。カプセル650は、内腔672の外部に延びるテザー652に連結される。カプセル中の可動光ファイバ654が、レンズ656を介してピラミッド形状のミラー658に向かって誘導される光を放出する。ピラミッド型ミラー658の隣接するミラー表面は、レンズ660aおよび660b(他の2つのレンズは図示されていない)を介して、レンズ656からの光を4つの異なる方向へ反射する。内腔672の内表面から反射された光は、環状検出器670aおよび670b(他の2つの環状検出器は図示されていない)によって検出される。カプセル650の4つの側に提供された画像の重畳範囲が不完全であれば、内腔の内表面の完全なパノラマ図を形成するために追加的な画像を作成して光学的に互いに連結できるように、使用者は、矢印674によって示すようにテザー652を回転させ、それによって、カプセル650を回転させて、内表面の走査が行われる方向を変化させることができる。
【0085】
本発明が、それを実施する好ましい形態に関連して説明されてきたが、特許請求の範囲内で本発明に数多くの変更が実施可能であることを当業者は理解しよう。したがって、本発明の範囲は、如何なる意味においても以上の説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲を参照することによって完全に確定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】本発明を使用して容易に走査され得る1つの体内腔を例示するために食道および胃を示す模式図である。
【図1B】図1Aの食道および胃の一部の模式図であり、BE状態を検出するために食道の所望の部分を走査するように、どのように本発明が制御可能に配置されるかを示す。
【図2】本発明の1つの実施形態の拡大等角図であり、この実施形態で使用されたスキャナによって提供される相対的に広い視野(FOV)を示す。
【図3】本発明に係る走査システムにおける信号の機能的な流れを例示するブロック図であり、この走査システムは、患者の内腔の内表面を監視し、診断を下し、かつ治療を施すために使用可能である。
【図4】本発明に関連して、走査レンズを備える光ビームスキャナとして使用するために、微小レンズを備える走査光ファイバを駆動するアクチュエータを有するスキャナの実施形態を例示する図である。
【図5】点放射源撮像の実施形態の模式図であり、本発明で使用されたスキャナと関連して、異なる走査角における撮像スポット直径の変化を例示する。
【図6A】本発明のスキャナで使用するための時系列フォトン検出器および撮像レンズを備える走査点光源照明器の模式図である。
【図6B】本発明のスキャナに使用するための走査レンズおよび検出器を備える走査光ビーム照明器の模式図である。
【図6C】光ファイバの束および単一同軸コア光ファイバを使用するスキャナの構成を示す模式図である。
【図6D】ステレオ対の幾何学的配置を使用する遠位フォトン赤色、緑色、青色(RGB)濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用して背景散乱を減算する能力とを有するスキャナを模式的に示す側面図である。
【図6E】ステレオ対の幾何学的配置を使用する遠位フォトン赤色、緑色、青色(RGB)濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用して背景散乱を減算する能力とを有するスキャナを模式的に示す端面図である。
【図6F】ステレオ対の幾何学配置を使用する遠位フォトン偏光濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用する、内腔の内表面上の表層組織からの信号を増強する能力とを有するスキャナを模式的に示す側面図である。
【図6G】ステレオ対の幾何学配置を使用する遠位フォトン偏光濾過および検出と、検出器の前方および側面空間配置を使用する、内腔の内表面上の表層組織からの信号を増強する能力とを有するスキャナを模式的に示す端面図である。
【図7A】疑似ステレオ画像を取得することが可能である、遠位光ファイバ位置センサと近位光ファイバ集光器を備える近位配置フォトン検出器とを有するスキャンの構成を示す模式図である。
【図7B】二色性フィルタと組み合わせた可視およびUVレーザ源の放射を利用する、本発明で使用するための光ファイバ走査システムの模式図である。
【図7C】直列で連結された光ファイバ結合器と組み合わされた可視およびIRレーザ源からの放射を利用する、本発明で使用するための光ファイバシステムの模式図である。
【図8A】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する上面図である。
【図8B】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する、図8Aの切断線8B−8Bに沿って取った立面断面図である。
【図8C】本発明に使用可能である薄膜微小電子機械式(MEMS)システムスキャナの実施形態を例示する、図8Aの切断線8C−8Cに沿って取った端面図である。
【図8D】内腔の内表面を照明する薄膜平行片持ち導波路対を含む別の実施形態の立面端面図である。
【図9】一般集団のBE集団検診中に行われ得るような、患者の食道の自動走査および診断評価を実施する、本発明を活用する医療従事者を例示する図である。
【図10】本発明に使用するための光ファイバスキャナシステムの機能的入力および出力構成要素を例示するブロック図である。
【図11A】本発明に係るカプセルおよびスキャナを使用する光学治療を施しかつ監視する能力を有する、統合された癌の撮像、検診、および生検システムの機能ブロック図である。
【図11B】本発明に係るカプセルおよびスキャナを使用するステレオ画像手術支援および表示能力を有する、統合された癌の撮像および診断システムの機能ブロック図である。
【図12A】患者の食道の中へカプセルが移動した範囲を検出する噛み部品および測定装置を模式的に示す側面図である。
【図12B】患者の食道の中へカプセルが移動した範囲を検出する噛み部品および測定装置を模式的に示す断面立面図である。
【図13】カプセルが内腔の中へ移動した範囲を測定する標示を含むテザーの一部を示す図である。
【図14】スキャナの光ファイバの遠位端に光を搬送し、また内腔の内表面から近位へ戻る反射光も搬送することができる二重クラッド光ファイバの断面図を示す。
【図15】図14の二重クラッド光ファイバを使用するカプセルおよびスキャナの模式図である。
【図16】バルーンが付着されているカプセルの模式図であり、バルーンが内腔の中で膨張しているところを示す。
【図17】カプセルを内腔に通して前送りする筋肉組織の蠕動を引き起こすための電極を有するカプセルの模式図である。
【図18】環状通路を含むテザーを有するカプセルの模式図であり、この通路に通して、細胞ブラシなどの生検器具が内腔の内表面から組織の生検を行うために前送りされる。
【図19】内腔の対向する内表面を同時に横方向へ撮像するピラミッド形状のミラーを有するカプセルの模式図であり、内腔の内表面の全景を網羅することが必要なとき、どのようにテザーがカプセルを回転させるために使用されるかを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の内腔の内表面を撮像する装置であって、
(a)光学的に透明である少なくとも撮像部分を有し、前記内腔を容易に通過するようにサイズ決めされたカプセル筐体と、
(b)光源と、
(c)前記カプセル筐体の内部に配置され、前記光源に結合されたスキャナであって、前記スキャナからの光のビームで患者の体内の内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するためにスキャナを駆動するアクチュエータを有するスキャナと、
(d)内腔の内表面から反射された光に応答して、前記光の強度を示す電気信号を生成する少なくとも1つの光センサと、
(e)前記スキャナから放出された前記光を患者の体内の内腔の内表面の一部の上に合焦する光学系と、
(f)前記カプセル筐体に連結され、前記カプセル筐体の動きを制御するために前記カプセル筐体に力が印加されることを可能にするように、内腔を通って近位へ延びる柔軟なテザーと、を備え、前記柔軟なテザーは、前記カプセル筐体を前記内腔から引き戻すのに十分な強度があるが、前記カプセル筐体を前記内腔に通して遠位へ押しやるには柔軟すぎることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光センサは前記カプセル筐体の外部に配置され、内腔の内表面から反射された前記光は、前記テザーの内部に含まれる光透過性の導管を介して前記少なくとも1つの光センサに搬送されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光透過性の導管は、
(a)前記テザーを含む光ファイバのコア、
(b)前記テザーを介して光を前記光源から前記カプセル筐体の中へ搬送もする光ファイバのコア、および
(c)前記テザーを含む光ファイバのクラッド、
の1つを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光センサは前記カプセル筐体の内部に配置され、内腔の内表面から反射された前記光は、前記少なくとも1つの光センサによって受け取られて、対応する電気信号を生成させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記テザーは、前記光センサに結合される少なくとも1つの電気リード線を含み、前記電気信号を前記少なくとも1つの光センサから患者の体内の内腔の外部に存在する箇所に搬送することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スキャナは、前記光源によって生成された前記光を前記所望のパターンで反射するために、前記アクチュエータによって駆動される走査ミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スキャナは前記アクチュエータによって動作するように駆動される導波路を備え、前記導波路は、前記所望のパターンで走査するために前記導波路の遠位端から光を放出するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カプセルに印加された圧力を監視するために前記カプセル筐体に配置された圧力センサをさらに備え、前記圧力センサは前記カプセル筐体に印加された圧力を示す圧力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
内腔内部における、基準点に対する前記カプセル筐体の位置を監視する位置センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
患者の体の内腔の内部からの、少なくとも1つの化学的パラメータを監視する化学センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
組織試料を患者の体の内腔内部の所望の部位から採取する生検を実施する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カプセル筐体を内腔に通して移動させる蠕動を促進するために、前記カプセル筐体が内置される患者の体の内腔の壁中の筋肉を刺激するように、前記カプセル筐体の外部に配置された少なくとも1つの電気接点をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記テザーは、使用者が、患者の体の内腔の中へカプセル筐体が移動した距離を測定することを可能にする役目を果たす複数の目盛標示を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記カプセル筐体が患者の体の内腔を通って移動するときに回転されるテザーによって係合される回転構成要素さらに備え、前記回転構成要素は、前記カプセル筐体が内腔の中へ移動した距離を表示するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
内腔が患者の体の食道を含み、前記装置は、前記カプセル筐体が食道内部で通過する前記距離の再現可能な追跡を保証するように、前記回転構成要素を支持するために患者の口腔の中に配置するように適応される噛み棒をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記テザーに連結する選択的に解放可能な接合部をさらに備え、前記接合部は
(a)前記カプセル筐体に隣接する箇所、および
(b)前記噛み棒に隣接する箇所、
の少なくとも一方に配置されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記光学系は、前記スキャナから放出された前記光を前記カプセル筐体の面に対して横方向へ誘導する少なくとも1つの反射表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記光学系は、前記スキャナと前記カプセルの前記撮像部分との間に配置された少なくとも1つのレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記カプセルの前記撮像部分は前記カプセル筐体の遠位端に配置され、前記テザーは前記カプセル筐体の近位端に連結されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記光学系は、
(a)前記スキャナによって生成され、内腔の内表面に誘導される光、および
(b)前記光が前記少なくとも1つの光センサによって感知される前に、内腔の内表面から反射された光、
の一方をフィルタリングするように配置される少なくとも1つのフィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記スキャナは、
(a)単一モード光ファイバ、
(b)二重クラッド光ファイバ、
(c)光を前記光源から搬送するために使用される単一モード光ファイバ、および内腔の内表面から反射された光を前記少なくとも1つの光センサに搬送する少なくとも1つの多モード集光光ファイバ、ならびに
(d)微小電子機械システム(MEMS)装置を備える導波路、
の1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記スキャナは、前記所望のパターンで走査するときに共鳴振動数付近で動作するように前記アクチュエータによって駆動される、導波路および光ファイバの一方を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、前記導波路および前記光ファイバの前記一方によって生成された前記光ビームで走査することによって作成された画像中の歪みをいずれも実質的に減少させるように、前記導波路および前記光ファイバの前記一方の動きを制御するフィードバックセンサをさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記アクチュエータは、患者の体の内腔の内表面を走査する前記所望のパターンを実現するために、駆動力を複数の直交方向で生成する電子機械式アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光センサは、
(a)異なるスペクトル波長帯の光、および
(b)偏光された光、
の少なくとも一方に応答する光センサを含めて、複数の光センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記光学系は、前記所望の走査パターンが実質的に全360度のアークにわたって内腔の内表面を照明するように、前記カプセル筐体の前記撮像部分を介して前記スキャナによって放射された前記光を誘導することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、前記カプセル筐体の内部に配置された複数のスキャナをさらに備え、それぞれのスキャナは、別個のアクチュエータを具備して患者の体の内腔の内表面の異なる部分を走査するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記複数のスキャナは、少なくとも、
(a)単一スキャナによって提供される視野に比べて、視野を増大させるように、
(b)内腔の内表面を前記カプセル筐体の両端から走査するように、
(c)内腔の内表面のステレオ走査画像を提供するように、
(d)既定の波長帯の光を使用して内腔の内表面の診断走査を実行するように、
(e)前記複数のスキャナの少なくとも1つからの光を使用して内腔の内表面の治療走査を行うように、
(f)内腔の内部で施されている治療の状態を監視するように、および
(g)1つのスキャナと内腔の内表面との間の距離を測定するために使用される照明を提供するように、
構成されることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記複数のスキャナは、前記カプセル筐体の内部でアレイとして離間され、前記光学系はそれぞれのスキャナから放出された前記光を内腔の内表面の異なる部分に誘導することを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記カプセル筐体は、それに連結された前記テザーと共に患者によって飲み込まれるようにサイズ決めおよび構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記装置は、前記少なくとも1つの光センサから電気信号を受け取り、かつ前記少なくとも1つの光センサによって生成された前記電気信号に対応するデータを格納するデータ記録媒体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記データは、患者の体の内腔の内表面の少なくとも1つの連続2次元画像を提供するために容易に組み合わされる複数の画像フレームを表すことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記装置は、紫外から赤外波長帯にわたる波長帯域から選択される所望の範囲内で、前記少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号を分析するスペクトル分析器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記装置は、前記カプセルに結合された膨張可能なバルーンをさらに備え、前記バルーンは、
(a)前記バルーンに対して内腔によって印加された力によって、前記バルーンを前記カプセルと共に患者の体内の内腔に通して蠕動によって前送り可能にすること、
(b)流体圧を前記バルーンが内置される内腔の壁から、前記壁によって前記バルーンに及ぼされる圧力の監視を可能にする圧力センサに搬送すること、
(c)組み合わせた前記バルーンおよび前記カプセル筐体の断面積サイズを拡大し、それによって、前記バルーンの少なくとも一部が膨張されるとき、前記バルーンの断面積サイズよりも小さい断面積の患者の体内の通路を通って、前記カプセル筐体がさらに移動するのを防止すること、および
(d)前記カプセル筐体を患者の体の内腔内部で概ね中心に位置決めすること、
の少なくとも1つを行うために膨張されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記カプセル筐体を前記テザーから解放するように選択的に駆動可能である解除装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項36】
患者の体内の内腔の内表面を走査するカプセルシステムであって、
(a)患者の体内の内腔内部に収まり、前記内腔に通して容易に先送りされるようにサイズ決めされるカプセルを画定する筐体と、
(b)前記カプセルに連結され、前記筐体が内置される内腔の外部に近位方向へ延びるのに十分な長さを有する柔軟なテザーであって、前記カプセルを前記内腔から引き戻すのに十分な強度を有するが、前記カプセルを前記内腔に通して遠位へ押しやるには柔軟すぎるテザーと、
(c)前記筐体が内置される内腔の内表面を照明する光を生成する光源と、
(d)スキャナであって、前記スキャナからの光のビームで患者の体内の内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するように前記スキャナを駆動するアクチュエータを有するスキャナと、
(e)内腔の内表面の領域から反射された光を受け取り、前記光の強度を示す信号を生成する光センサと、
を備えることを特徴とするカプセルシステム。
【請求項37】
前記筐体は、患者によって食道に嚥下されることを容易にするように形作られ、前記スキャナは、バレット食道に伴う視認可能な変化を検出するために食道の内表面を走査するために使用されることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項38】
内腔に沿って前記筐体が横切った、基準点に対する距離を含めて、患者の体の内腔の内部における前記筐体の相対位置を測定するために、前記筐体の内部に配置された位置センサをさらに備えることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項39】
前記スキャナは導波路および光ファイバの一方を備え、前記導波路の遠位端は、動作して前記所望のパターンで光のビームを放出するように、前記アクチュエータによって駆動されることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項40】
前記スキャナは、前記筐体が内置される内腔の内表面の所望の領域を走査することを容易にするように、前記導波路の前記遠位端から放出された前記光を変更するために、前記筐体の内部に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項41】
前記筐体の内部に配置された複数のスキャナをさらに備え、それぞれのスキャナは、前記筐体が内置される内腔の内表面の異なる部分を走査するように誘導されることを特徴とする請求項40に記載のカプセルシステム。
【請求項42】
前記光センサは、
(a)白色光、
(b)特定の波長帯以内の可視光、
(c)特定の波長帯以内の非可視光、および
(d)偏光された光、
の少なくとも1つに応答することを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項43】
患者の体内の内腔の内表面を走査する方法であって、
(a)スキャナを含むカプセルを前記内腔の中へ導入するステップであって、前記カプセルは前記カプセルに結合されたテザーをさらに含む、導入するステップと、
(b)前記テザーの近位端が前記内腔の外部に留まるように、前記カプセルを前記内腔に通して前送りすることを可能にするステップと、
(c)力を前記テザーに及ぼすことによって、前記内腔の内部における前記カプセルの配置を制御するステップと、
(d)前記スキャナで前記内腔の前記内表面の画像を作成するステップと、
(e)前記カプセルが前記内腔の内部で通過する距離を再現可能に追跡するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
配置を制御する前記ステップは、前記スキャナで前記内腔の中の所望の領域を走査するために、前記カプセルを位置決めするように前記テザーを使用するステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記カプセルを前送りすることを可能にする前記ステップは、前記内腔の壁を含む筋肉組織の蠕動運動が前記カプセルを前記内腔に通して移動させることを可能にするステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記カプセルを前送りすることを可能にする前記ステップは、前記カプセルを前記内腔に通して前送りするために、前記筋肉組織が前記バルーンと相互作用するように前記カプセルの周囲にバルーンを膨張させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、前記カプセルおよび前記テザーの少なくとも一方に配置された導体を介して印加された電流で前記筋肉組織を刺激するステップをさらに含み、前記電流は、
(a)前記カプセルを前記内腔に通して前送りすること、
(b)前記カプセルと前記内表面との間の相対移動を引き起こすことによって、前記スキャナで撮像される前記内腔の前記内表面の一部を変化させること、および
(c)前記内表面を含む正常組織に比べて、前記電流に応答する収縮性が実質的に低い前記内表面の部分を検出することによって、前記内腔の前記内表面の異常な医学的状態を診断すること、
の少なくとも1つを行うように筋肉組織の蠕動運動を引き起こすことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記内腔は患者の食道を含み、前記カプセルを導入する前記ステップは、前記患者が前記カプセルを液体と一緒に飲み込むことを可能にするステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項49】
紫外波長帯から赤外波長帯までの波長域に対応するスペクトル分析器で前記画像を分析するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記内腔の内部における前記カプセルの位置を、
(a)前記内腔の内部における前記カプセルの前記位置を示す信号を感知すること、
(b)前記内腔の中へ前送りされた前記テザーの長さを測定すること、および
(c)前記内腔の解剖学的構造および医学的状態の一方を示す、作成される前記画像の内容に基づいて前記位置を測定すること、
の少なくとも1つによって測定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記カプセルを使用して前記内腔に治療を施すステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、
(a)前記スキャナで複数の重畳画像を作成するステップと、
(b)単一画像によって網羅されるよりも実質的に大きな領域の複合画像を作成するために前記複数の重畳画像を組み合わせるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記方法は、以下の結果、すなわち、
(a)前記複数のスキャナで前記内腔の異なる領域をそれぞれ走査すること、
(b)前記内腔の内表面のステレオ図を作成すること、
(c)前記内腔の前記内表面から受け取った異なる波長帯の光を検出することによって診断機能を実施すること、
(d)治療機能を提供すること、
(e)施されている治療の制御および前記治療が施された後の前記内腔の状態の評価の少なくとも一方のために前記内腔を監視すること、ならびに
(f)前記内腔の前記内表面を撮像するために追加的な照明を提供すること、
の少なくとも1つを実現するために、前記カプセルの中に配置された複数のスキャナを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記内腔に関するパラメータを監視するために前記カプセルに関連するセンサを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記パラメータは、
(a)化学的レベル、
(b)前記内腔の壁によって及ぼされた圧力、および
(c)温度、
の1つを含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、
(a)前記テザーおよび前記カプセルを前記内腔に通して移動させるように前記テザーの近位端を解放するステップ、および
(b)前記カプセルが前記内腔を通って移動できるように前記カプセルを前記テザーから解放するステップ、
の一方によって、前記テザーからさらなる拘束を伴わずに、使用者が、前記カプセルに前記内腔を通過させることを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項57】
前記方法は、
(a)前記カプセルが前記内腔を通過し、前記患者の体から排出されることを可能にするステップ、および
(b)前記テザーに力を印加することによって前記カプセルを前記内腔から抜き出すステップ、
の一方によって前記カプセルを回収するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項58】
前記カプセルに連結された前記テザーを回転させることによって、使用者が前記カプセルを回転させることを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項59】
体内腔の内部における表面の画像を作成する撮像プローブシステムであって、
(a)前記撮像プローブシステムの遠位端に配置されたカプセルであって、前記カプセルが体内腔の中へ容易に導入されることを可能にするようにサイズ決めし、体内腔の内部の内表面の画像を表示するのに使用可能な信号を生成する撮像装置を含む、カプセルと、
(b)近位端と前記カプセルに結合される遠位端とを有するテザーであって、柔軟性があって前記カプセルよりも直径が実質的に小さく、前記カプセルを動作させるために、かつ、体内腔の内表面の画像を表示する際に使用する、前記撮像装置によって作成される信号を搬送するために使用されるテザーと、
を備えることを特徴とする撮像プローブ。
【請求項60】
前記テザーは、少なくとも1つの信号を前記カプセルから前記テザーの前記近位端に向かって搬送し、前記少なくとも1つの信号は、電気信号および光信号から成る群から選択されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項61】
前記テザーは、少なくとも1つの信号を前記テザーの前記近位端から前記カプセルに搬送し、前記少なくとも1つの信号は、電気信号および光信号から成る群から選択されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項62】
前記カプセルは、食道の壁の撮像を可能にするために、前記カプセルが患者の食道に容易に嚥下されることを可能にするようにサイズ決めおよび構成されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項63】
前記テザーは、前記カプセルが飲み込まれるとき、前記テザーが前記カプセルに容易に追従して患者の食道を嚥下することを可能にするように、断面積サイズが十分に小さくかつ十分に柔軟であることを特徴とする請求項62に記載の撮像プローブ。
【請求項64】
体内腔における前記カプセルの位置を監視する手段をさらに備えることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項65】
体内腔の内表面の画像を表示することを可能にする、前記カプセルの中の前記撮像装置によって作成された前記信号は、前記画像を外部で表示する際に使用するために、前記テザーの中に配置された導体によって搬送された電気信号および前記テザーの中の光ファイバを介して搬送される光信号の一方であることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項66】
前記距離を再現可能に追跡する前記ステップは、前記距離の前記再現可能な追跡を保証するために、前記体内腔の内部における前記カプセルの相対位置を監視する回転構成要素を設けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項1】
患者の体内の内腔の内表面を撮像する装置であって、
(a)光学的に透明である少なくとも撮像部分を有し、前記内腔を容易に通過するようにサイズ決めされたカプセル筐体と、
(b)光源と、
(c)前記カプセル筐体の内部に配置され、前記光源に結合されたスキャナであって、前記スキャナからの光のビームで患者の体内の内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するためにスキャナを駆動するアクチュエータを有するスキャナと、
(d)内腔の内表面から反射された光に応答して、前記光の強度を示す電気信号を生成する少なくとも1つの光センサと、
(e)前記スキャナから放出された前記光を患者の体内の内腔の内表面の一部の上に合焦する光学系と、
(f)前記カプセル筐体に連結され、前記カプセル筐体の動きを制御するために前記カプセル筐体に力が印加されることを可能にするように、内腔を通って近位へ延びる柔軟なテザーと、を備え、前記柔軟なテザーは、前記カプセル筐体を前記内腔から引き戻すのに十分な強度があるが、前記カプセル筐体を前記内腔に通して遠位へ押しやるには柔軟すぎることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光センサは前記カプセル筐体の外部に配置され、内腔の内表面から反射された前記光は、前記テザーの内部に含まれる光透過性の導管を介して前記少なくとも1つの光センサに搬送されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光透過性の導管は、
(a)前記テザーを含む光ファイバのコア、
(b)前記テザーを介して光を前記光源から前記カプセル筐体の中へ搬送もする光ファイバのコア、および
(c)前記テザーを含む光ファイバのクラッド、
の1つを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光センサは前記カプセル筐体の内部に配置され、内腔の内表面から反射された前記光は、前記少なくとも1つの光センサによって受け取られて、対応する電気信号を生成させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記テザーは、前記光センサに結合される少なくとも1つの電気リード線を含み、前記電気信号を前記少なくとも1つの光センサから患者の体内の内腔の外部に存在する箇所に搬送することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スキャナは、前記光源によって生成された前記光を前記所望のパターンで反射するために、前記アクチュエータによって駆動される走査ミラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スキャナは前記アクチュエータによって動作するように駆動される導波路を備え、前記導波路は、前記所望のパターンで走査するために前記導波路の遠位端から光を放出するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カプセルに印加された圧力を監視するために前記カプセル筐体に配置された圧力センサをさらに備え、前記圧力センサは前記カプセル筐体に印加された圧力を示す圧力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
内腔内部における、基準点に対する前記カプセル筐体の位置を監視する位置センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
患者の体の内腔の内部からの、少なくとも1つの化学的パラメータを監視する化学センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
組織試料を患者の体の内腔内部の所望の部位から採取する生検を実施する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カプセル筐体を内腔に通して移動させる蠕動を促進するために、前記カプセル筐体が内置される患者の体の内腔の壁中の筋肉を刺激するように、前記カプセル筐体の外部に配置された少なくとも1つの電気接点をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記テザーは、使用者が、患者の体の内腔の中へカプセル筐体が移動した距離を測定することを可能にする役目を果たす複数の目盛標示を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記カプセル筐体が患者の体の内腔を通って移動するときに回転されるテザーによって係合される回転構成要素さらに備え、前記回転構成要素は、前記カプセル筐体が内腔の中へ移動した距離を表示するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
内腔が患者の体の食道を含み、前記装置は、前記カプセル筐体が食道内部で通過する前記距離の再現可能な追跡を保証するように、前記回転構成要素を支持するために患者の口腔の中に配置するように適応される噛み棒をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記テザーに連結する選択的に解放可能な接合部をさらに備え、前記接合部は
(a)前記カプセル筐体に隣接する箇所、および
(b)前記噛み棒に隣接する箇所、
の少なくとも一方に配置されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記光学系は、前記スキャナから放出された前記光を前記カプセル筐体の面に対して横方向へ誘導する少なくとも1つの反射表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記光学系は、前記スキャナと前記カプセルの前記撮像部分との間に配置された少なくとも1つのレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記カプセルの前記撮像部分は前記カプセル筐体の遠位端に配置され、前記テザーは前記カプセル筐体の近位端に連結されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記光学系は、
(a)前記スキャナによって生成され、内腔の内表面に誘導される光、および
(b)前記光が前記少なくとも1つの光センサによって感知される前に、内腔の内表面から反射された光、
の一方をフィルタリングするように配置される少なくとも1つのフィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記スキャナは、
(a)単一モード光ファイバ、
(b)二重クラッド光ファイバ、
(c)光を前記光源から搬送するために使用される単一モード光ファイバ、および内腔の内表面から反射された光を前記少なくとも1つの光センサに搬送する少なくとも1つの多モード集光光ファイバ、ならびに
(d)微小電子機械システム(MEMS)装置を備える導波路、
の1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記スキャナは、前記所望のパターンで走査するときに共鳴振動数付近で動作するように前記アクチュエータによって駆動される、導波路および光ファイバの一方を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、前記導波路および前記光ファイバの前記一方によって生成された前記光ビームで走査することによって作成された画像中の歪みをいずれも実質的に減少させるように、前記導波路および前記光ファイバの前記一方の動きを制御するフィードバックセンサをさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記アクチュエータは、患者の体の内腔の内表面を走査する前記所望のパターンを実現するために、駆動力を複数の直交方向で生成する電子機械式アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光センサは、
(a)異なるスペクトル波長帯の光、および
(b)偏光された光、
の少なくとも一方に応答する光センサを含めて、複数の光センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記光学系は、前記所望の走査パターンが実質的に全360度のアークにわたって内腔の内表面を照明するように、前記カプセル筐体の前記撮像部分を介して前記スキャナによって放射された前記光を誘導することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、前記カプセル筐体の内部に配置された複数のスキャナをさらに備え、それぞれのスキャナは、別個のアクチュエータを具備して患者の体の内腔の内表面の異なる部分を走査するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記複数のスキャナは、少なくとも、
(a)単一スキャナによって提供される視野に比べて、視野を増大させるように、
(b)内腔の内表面を前記カプセル筐体の両端から走査するように、
(c)内腔の内表面のステレオ走査画像を提供するように、
(d)既定の波長帯の光を使用して内腔の内表面の診断走査を実行するように、
(e)前記複数のスキャナの少なくとも1つからの光を使用して内腔の内表面の治療走査を行うように、
(f)内腔の内部で施されている治療の状態を監視するように、および
(g)1つのスキャナと内腔の内表面との間の距離を測定するために使用される照明を提供するように、
構成されることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記複数のスキャナは、前記カプセル筐体の内部でアレイとして離間され、前記光学系はそれぞれのスキャナから放出された前記光を内腔の内表面の異なる部分に誘導することを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記カプセル筐体は、それに連結された前記テザーと共に患者によって飲み込まれるようにサイズ決めおよび構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記装置は、前記少なくとも1つの光センサから電気信号を受け取り、かつ前記少なくとも1つの光センサによって生成された前記電気信号に対応するデータを格納するデータ記録媒体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記データは、患者の体の内腔の内表面の少なくとも1つの連続2次元画像を提供するために容易に組み合わされる複数の画像フレームを表すことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記装置は、紫外から赤外波長帯にわたる波長帯域から選択される所望の範囲内で、前記少なくとも1つの光センサによって生成された電気信号を分析するスペクトル分析器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記装置は、前記カプセルに結合された膨張可能なバルーンをさらに備え、前記バルーンは、
(a)前記バルーンに対して内腔によって印加された力によって、前記バルーンを前記カプセルと共に患者の体内の内腔に通して蠕動によって前送り可能にすること、
(b)流体圧を前記バルーンが内置される内腔の壁から、前記壁によって前記バルーンに及ぼされる圧力の監視を可能にする圧力センサに搬送すること、
(c)組み合わせた前記バルーンおよび前記カプセル筐体の断面積サイズを拡大し、それによって、前記バルーンの少なくとも一部が膨張されるとき、前記バルーンの断面積サイズよりも小さい断面積の患者の体内の通路を通って、前記カプセル筐体がさらに移動するのを防止すること、および
(d)前記カプセル筐体を患者の体の内腔内部で概ね中心に位置決めすること、
の少なくとも1つを行うために膨張されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記カプセル筐体を前記テザーから解放するように選択的に駆動可能である解除装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項36】
患者の体内の内腔の内表面を走査するカプセルシステムであって、
(a)患者の体内の内腔内部に収まり、前記内腔に通して容易に先送りされるようにサイズ決めされるカプセルを画定する筐体と、
(b)前記カプセルに連結され、前記筐体が内置される内腔の外部に近位方向へ延びるのに十分な長さを有する柔軟なテザーであって、前記カプセルを前記内腔から引き戻すのに十分な強度を有するが、前記カプセルを前記内腔に通して遠位へ押しやるには柔軟すぎるテザーと、
(c)前記筐体が内置される内腔の内表面を照明する光を生成する光源と、
(d)スキャナであって、前記スキャナからの光のビームで患者の体内の内腔の内表面を所望の走査パターンで走査するように前記スキャナを駆動するアクチュエータを有するスキャナと、
(e)内腔の内表面の領域から反射された光を受け取り、前記光の強度を示す信号を生成する光センサと、
を備えることを特徴とするカプセルシステム。
【請求項37】
前記筐体は、患者によって食道に嚥下されることを容易にするように形作られ、前記スキャナは、バレット食道に伴う視認可能な変化を検出するために食道の内表面を走査するために使用されることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項38】
内腔に沿って前記筐体が横切った、基準点に対する距離を含めて、患者の体の内腔の内部における前記筐体の相対位置を測定するために、前記筐体の内部に配置された位置センサをさらに備えることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項39】
前記スキャナは導波路および光ファイバの一方を備え、前記導波路の遠位端は、動作して前記所望のパターンで光のビームを放出するように、前記アクチュエータによって駆動されることを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項40】
前記スキャナは、前記筐体が内置される内腔の内表面の所望の領域を走査することを容易にするように、前記導波路の前記遠位端から放出された前記光を変更するために、前記筐体の内部に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項41】
前記筐体の内部に配置された複数のスキャナをさらに備え、それぞれのスキャナは、前記筐体が内置される内腔の内表面の異なる部分を走査するように誘導されることを特徴とする請求項40に記載のカプセルシステム。
【請求項42】
前記光センサは、
(a)白色光、
(b)特定の波長帯以内の可視光、
(c)特定の波長帯以内の非可視光、および
(d)偏光された光、
の少なくとも1つに応答することを特徴とする請求項36に記載のカプセルシステム。
【請求項43】
患者の体内の内腔の内表面を走査する方法であって、
(a)スキャナを含むカプセルを前記内腔の中へ導入するステップであって、前記カプセルは前記カプセルに結合されたテザーをさらに含む、導入するステップと、
(b)前記テザーの近位端が前記内腔の外部に留まるように、前記カプセルを前記内腔に通して前送りすることを可能にするステップと、
(c)力を前記テザーに及ぼすことによって、前記内腔の内部における前記カプセルの配置を制御するステップと、
(d)前記スキャナで前記内腔の前記内表面の画像を作成するステップと、
(e)前記カプセルが前記内腔の内部で通過する距離を再現可能に追跡するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
配置を制御する前記ステップは、前記スキャナで前記内腔の中の所望の領域を走査するために、前記カプセルを位置決めするように前記テザーを使用するステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記カプセルを前送りすることを可能にする前記ステップは、前記内腔の壁を含む筋肉組織の蠕動運動が前記カプセルを前記内腔に通して移動させることを可能にするステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記カプセルを前送りすることを可能にする前記ステップは、前記カプセルを前記内腔に通して前送りするために、前記筋肉組織が前記バルーンと相互作用するように前記カプセルの周囲にバルーンを膨張させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、前記カプセルおよび前記テザーの少なくとも一方に配置された導体を介して印加された電流で前記筋肉組織を刺激するステップをさらに含み、前記電流は、
(a)前記カプセルを前記内腔に通して前送りすること、
(b)前記カプセルと前記内表面との間の相対移動を引き起こすことによって、前記スキャナで撮像される前記内腔の前記内表面の一部を変化させること、および
(c)前記内表面を含む正常組織に比べて、前記電流に応答する収縮性が実質的に低い前記内表面の部分を検出することによって、前記内腔の前記内表面の異常な医学的状態を診断すること、
の少なくとも1つを行うように筋肉組織の蠕動運動を引き起こすことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記内腔は患者の食道を含み、前記カプセルを導入する前記ステップは、前記患者が前記カプセルを液体と一緒に飲み込むことを可能にするステップを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項49】
紫外波長帯から赤外波長帯までの波長域に対応するスペクトル分析器で前記画像を分析するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記内腔の内部における前記カプセルの位置を、
(a)前記内腔の内部における前記カプセルの前記位置を示す信号を感知すること、
(b)前記内腔の中へ前送りされた前記テザーの長さを測定すること、および
(c)前記内腔の解剖学的構造および医学的状態の一方を示す、作成される前記画像の内容に基づいて前記位置を測定すること、
の少なくとも1つによって測定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記カプセルを使用して前記内腔に治療を施すステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、
(a)前記スキャナで複数の重畳画像を作成するステップと、
(b)単一画像によって網羅されるよりも実質的に大きな領域の複合画像を作成するために前記複数の重畳画像を組み合わせるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記方法は、以下の結果、すなわち、
(a)前記複数のスキャナで前記内腔の異なる領域をそれぞれ走査すること、
(b)前記内腔の内表面のステレオ図を作成すること、
(c)前記内腔の前記内表面から受け取った異なる波長帯の光を検出することによって診断機能を実施すること、
(d)治療機能を提供すること、
(e)施されている治療の制御および前記治療が施された後の前記内腔の状態の評価の少なくとも一方のために前記内腔を監視すること、ならびに
(f)前記内腔の前記内表面を撮像するために追加的な照明を提供すること、
の少なくとも1つを実現するために、前記カプセルの中に配置された複数のスキャナを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記内腔に関するパラメータを監視するために前記カプセルに関連するセンサを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記パラメータは、
(a)化学的レベル、
(b)前記内腔の壁によって及ぼされた圧力、および
(c)温度、
の1つを含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、
(a)前記テザーおよび前記カプセルを前記内腔に通して移動させるように前記テザーの近位端を解放するステップ、および
(b)前記カプセルが前記内腔を通って移動できるように前記カプセルを前記テザーから解放するステップ、
の一方によって、前記テザーからさらなる拘束を伴わずに、使用者が、前記カプセルに前記内腔を通過させることを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項57】
前記方法は、
(a)前記カプセルが前記内腔を通過し、前記患者の体から排出されることを可能にするステップ、および
(b)前記テザーに力を印加することによって前記カプセルを前記内腔から抜き出すステップ、
の一方によって前記カプセルを回収するステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項58】
前記カプセルに連結された前記テザーを回転させることによって、使用者が前記カプセルを回転させることを可能にするステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項59】
体内腔の内部における表面の画像を作成する撮像プローブシステムであって、
(a)前記撮像プローブシステムの遠位端に配置されたカプセルであって、前記カプセルが体内腔の中へ容易に導入されることを可能にするようにサイズ決めし、体内腔の内部の内表面の画像を表示するのに使用可能な信号を生成する撮像装置を含む、カプセルと、
(b)近位端と前記カプセルに結合される遠位端とを有するテザーであって、柔軟性があって前記カプセルよりも直径が実質的に小さく、前記カプセルを動作させるために、かつ、体内腔の内表面の画像を表示する際に使用する、前記撮像装置によって作成される信号を搬送するために使用されるテザーと、
を備えることを特徴とする撮像プローブ。
【請求項60】
前記テザーは、少なくとも1つの信号を前記カプセルから前記テザーの前記近位端に向かって搬送し、前記少なくとも1つの信号は、電気信号および光信号から成る群から選択されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項61】
前記テザーは、少なくとも1つの信号を前記テザーの前記近位端から前記カプセルに搬送し、前記少なくとも1つの信号は、電気信号および光信号から成る群から選択されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項62】
前記カプセルは、食道の壁の撮像を可能にするために、前記カプセルが患者の食道に容易に嚥下されることを可能にするようにサイズ決めおよび構成されることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項63】
前記テザーは、前記カプセルが飲み込まれるとき、前記テザーが前記カプセルに容易に追従して患者の食道を嚥下することを可能にするように、断面積サイズが十分に小さくかつ十分に柔軟であることを特徴とする請求項62に記載の撮像プローブ。
【請求項64】
体内腔における前記カプセルの位置を監視する手段をさらに備えることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項65】
体内腔の内表面の画像を表示することを可能にする、前記カプセルの中の前記撮像装置によって作成された前記信号は、前記画像を外部で表示する際に使用するために、前記テザーの中に配置された導体によって搬送された電気信号および前記テザーの中の光ファイバを介して搬送される光信号の一方であることを特徴とする請求項59に記載の撮像プローブ。
【請求項66】
前記距離を再現可能に追跡する前記ステップは、前記距離の前記再現可能な追跡を保証するために、前記体内腔の内部における前記カプセルの相対位置を監視する回転構成要素を設けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−531193(P2008−531193A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558034(P2007−558034)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004828
【国際公開番号】WO2006/093655
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004828
【国際公開番号】WO2006/093655
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】
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