説明

バーチャル書庫システム

【課題】三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶するという人間の持つ能力を利用して目的とする書類の管理を行なうバーチャル書庫システムを提供する。
【解決手段】現実書庫と書庫情報サーバ装置とからなり、前記書庫情報サーバ装置には、前記現実書庫に格納されているファイルに関する情報を忠実に再現し、前記書庫情報サーバ装置は、現実書庫内の本棚のレイアウトを電子的に保持し、その保持された本棚のレイアウトを利用して特定の本棚を指定し、指定された本棚が格納するファイルのレイアウトを電子的に保持し、ファイルのレイアウトを利用して特定のファイルを指定し、指定されたファイルに対応する現実のファイルの各ページ画像情報を保持するバーチャル書庫システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実の書庫と、その現実の書庫に格納されているファイルを再現するサーバ装置からなるバーチャル書庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
類似する大量の書類を整理するために、書面や書類(以後においては、「書面」と「書類」とを同じ意味の語として扱う)を文房具のファイル、ホルダなどに格納して本棚に格納することが行なわれてきた。また、ファイルやホルダを格納する本棚の数が増えてくると、本棚を設置する専用の部屋、すなわち書庫が用いられている。
【0003】
一方、物理的な存在である書類をスキャナなどにより読み取り、電子的に管理する技術も実施されている(例えば、非特許文献1参照。)。そのような技術では、スキャナなどにより読み取られた書類に対して文字認識を行ない、認識された文字からなる文章に対して全文検索のための索引を設けたりすることにより、検索の性能を高めることが行なわれている。
【非特許文献1】五条知己、山田信、多和田紀久、高橋良之著、リコー統合文書管理システムLIFISA、Ricoh Technical Report No.24,November,株式会社リコー、1998年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、集合債権の売買や、住宅ローン債権を一括して譲渡する場合などにおいては、債権の購入希望者は個々の債権証書について、その契約内容や返済条件を確認して譲渡価格を検討及び決定する重要資料として、債権証書などの現物の有無並びに内容の閲覧を行なう必要がある。しかし、これらの債権証書は定型的なものである場合が多く、同種の書類間ではほぼ同じような文言がタイトルや見出し、本文などに用いられているため、全文検索のための索引をつけて検索を行なっても、極めて多数の文書がヒットしてしまい、電子計算機を用いて語句やキーワードによる検索をすることがほぼ不可能である。また、書類の存在自体を確認する作業においては「検索」することはもともと不可能である。結果として、書類の存在やその内容を確認するには、全ての現物を取り出して手作業で行なわざるを得なかった。
【0005】
また、これらの債権証書の原本は1点でありかつ現債権者にとっては重要な証拠書類であるために、不用意に複写を許可することは、書類の毀損や紛失のリスクが付きまとうので、現物を直接手に取ることなく書類の存在と内容を確認することができるのが望ましい。
【0006】
このために、非特許文献1として挙げたシステムなどに書類を読み込ませ、書類のイメージデータをフォルダを用いて階層的に計算機に格納し、また、イメージデータとその書類の保管場所とを関連付けて保持しておき、計算機の画面でフォルダや書類のイメージデータを閲覧しながら、目的の書類のイメージデータを探して、書類の存在と内容の確認をすることが考えられる。しかし、上述したように、キーワード検索は行なえず、また、債権証書などについては膨大な数の書類を保管しなければならず、発明者の経験では、人間がそのような膨大な書類を扱う場合には、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶することが多い。このため、計算機のディスプレイに二次元にフォルダ、イメージデータが表示されても、三次元と二次元との違いにより、目的とする書類のイメージデータになかなかたどりつくことができないことが多々あった。例えば、フォルダが階層的に現れるようになっていると一見整理されているように思われるが、見た目が同じフォルダが複数回現れるために、フォルダの中に表示されるものの位置を記憶することが極めて困難となり、フォルダの中に表示されているものを全て探して目的のものに到達せざるを得ず、短時間にあるいはダイレクトに目的のものに到達できない。
【0007】
そこで、本発明は、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書面や書類とを関連付けて記憶するという人間の持つ能力を利用して目的とする書面や書類の存在と内容の確認のための管理を行なうバーチャル書庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明では、バーチャル書庫システムとして、現実の書庫である現実書庫と書庫情報サーバ装置とからなり、前記書庫情報サーバ装置に、前記現実書庫に格納されているファイルに関する情報を忠実に再現しておき、前記書庫情報サーバ装置は、現実書庫内の本棚のレイアウトを電子的に保持し、その保持された本棚のレイアウトを利用して特定の本棚を指定し、指定された本棚が格納するファイルのレイアウトを電子的に保持し、ファイルのレイアウトを利用して特定のファイルを指定し、指定されたファイルに対応する現実のファイルの各ページ画像情報を保持するバーチャル書庫システムを提供する。これにより、利用者は、書庫情報サーバ装置に接続されたディスプレイを用いて、書庫のレイアウトや本棚のレイアウトを表示し、各ファイルに到達することができ、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶する人間の能力を利用して、階層的に目的の書類のファイルに到達することが可能である。
【0009】
また、各ファイルはクリアファイルであって、各ページ画像情報としてクリアファイルの透明ポケットから視認できる画像情報を用い、その画像情報を利用して、透明ポケットに格納された書面の内部ページの画像を保持するようにしてもよい。これにより、複数ページからなる書類の各ページを閲覧することが可能となる。
【0010】
また、透明ポケットに格納された書面は、その表(おもて)面の画像のみによっては他の書面との区別ができないものや、タイトルのみによっては評価できない書面であってもよい。これにより、例えば、債務承認書や保証人離脱請求書など通常は存在しなくとも不自然ではない書類など、閲覧者が予期し得ない書面の発見、確認が容易になる。
【0011】
また、本棚に格納される各ファイルは、そのファイル名称によっては他のファイルと識別できないものであってもよい。これにより、利用者が書庫内でのファイルの位置だけを記憶しているだけであっても、本発明のバーチャル書庫システムにより目的のファイルに関する画像情報を得ることが可能となる。
【0012】
また、現実書庫に格納されているファイルに関しての確認を行なった日時又は/及び者の記録をファイル毎に格納するようになっていてもよい。これにより、例えば、現実書庫でのファイルの実在と、その位置、書庫情報サーバ装置内でのファイルの位置とが異なることを防止する効果がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバーチャル書庫システムによれば、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶する人間の能力を利用して、記載されている文言からは区別が困難な書面、書類の存在と内容の確認のための管理ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて実施形態として説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0015】
(実施形態1(主に請求項1、6について説明する))
【0016】
本発明の実施形態1として、現実の書庫である現実書庫と書庫情報サーバ装置とからなり、前記書庫情報サーバ装置に、前記現実書庫に格納されているファイルに関する情報を忠実に再現しておき、前記書庫情報サーバ装置は、現実書庫内の本棚のレイアウトを電子的に保持し、その保持された本棚のレイアウトを利用して特定の本棚を指定し、指定された本棚が格納するファイルのレイアウトを電子的に保持し、ファイルのレイアウトを利用して特定のファイルを指定し、指定されたファイルに対応する現実のファイルの各ページ画像情報を保持するバーチャル書庫システムについて説明する。
【0017】
(実施形態1:構成)
図1は、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの概要を例示する。バーチャル書庫システム100は、現実書庫101と、書庫情報サーバ装置102と、からなり、現実書庫に格納されているファイルに関する情報であるファイル情報を書庫情報サーバ装置102に忠実に再現している。
【0018】
ここに、「現実書庫」とは、現実に存在する書庫である。その書庫には一以上の本棚が設置され、本棚にはファイルが格納されている。「ファイル」とは、書面、書類、新聞、雑誌などを綴じ込んだものである。例えば、レバーによって書面や書類を挟み込むことで綴じ込んだり、あるいは、各ページがポケットを有してポケットの入り口でない辺を綴じたりして得られるものである。あるいは、書面や書類などを保持可能としたホルダであってもよい。なお、ファイルの各ページがポケットを有している場合には、そのポケットに書面や書類などが格納される。「書庫情報サーバ装置」とは、例えば、パーソナルコンピュータなどの電子計算機であってもよく、それは以下に説明する部を有する。「忠実に再現している」とは、現実書庫の本棚のレイアウト(例えば、本棚の配置)や本棚の中のファイルのレイアウトが書庫情報サーバ装置により記憶されていることを意味する。
【0019】
図2は、書庫情報サーバ装置の機能ブロック図を例示する。書庫情報サーバ装置200は、電子的本棚レイアウト情報保持部201と、本棚指定部202と、電子的ファイルレイアウト情報保持部203と、ファイル指定部204と、各ページ画像情報保持部205と、閲覧部206と、を有する。
【0020】
「電子的本棚レイアウト情報保持部」201は、本棚レイアウト情報を電子的に保持する。「本棚レイアウト情報」とは、前記現実書庫内の本棚のレイアウトに関する情報である。例えば、現実書庫に配置された本棚の位置、本棚の向き、などである。なお、「電子的に保持する」とは、例えば、半導体メモリに読出し可能に記録したり、ハードディスクなどの磁気媒体に読出し可能に記録したり、光ディスクや光磁気ディスクに光学的変化に基づいて読出し可能に記録したりすることである。
【0021】
図3と図4とは、本棚レイアウト情報の一例を示す。図3は、現実書庫300の中に本棚301、302、303などが配置された平面図を示す。このような平面図は、例えば、画像情報として電子計算機に格納することが可能である。
【0022】
図4は、図3に例示された本棚301、302、303などの座標位置と、本棚を識別するための本棚識別情報と、を格納したテーブルを例示する。例えば、図3に例示された平面図の上でのX座標の値が50、Y座標の値が60、幅が5、高さが15の領域には、AB001により識別される本棚が配置されていることが表現されている。図4に例示されたように列と行からなるテーブルは、例えば、関係データベースシステムのテーブルとして電子計算機に格納することが可能である。
【0023】
「本棚指定部」202は、前記電子的本棚レイアウト情報を利用して特定の本棚を指定する。「前記電子的本棚レイアウト情報」とは、電子的本棚レイアウト情報保持部201に保持された電子的本棚レイアウト情報を意味する。本棚指定部202は、例えば、後で説明される閲覧部206を用いて、図3に例示される平面図を表示し、利用者によるマウスのクリックなどの操作が行なわれた位置を検出して、その位置を用いて図4に例示されるテーブルを参照して、本棚識別子を取得することにより特定の本棚を指定する。
【0024】
「電子的ファイルレイアウト情報保持部」203は、ファイルレイアウト情報を電子的に保持する。「ファイルレイアウト情報」とは、本棚指定部202にて指定された本段に対応する現実本棚が格納するファイルのレイアウトに関する情報である。「現実本段」とは、現実書庫に設置された現実の本棚を意味する。
【0025】
図5、図6、図7は、ファイルレイアウト情報を例示する。図5は、現実本棚の中にファイルが格納された様子を示す画像情報である。例えば、デジタルカメラによって撮影された画像情報である。このような画像情報が現実本棚ごとに電子的に保持される。あるいは、ファイルにICタグなどを備えておき、本棚に設置された検出器により、どのファイルがどの位置にあるかを検出し、ファイルごとの画像(例えば、背面の画像)を用いて本棚にファイルが格納された様子を示す画像情報を合成して保持されてもよい。
【0026】
図6は、本棚識別子と本棚画像情報と座標情報を関連付けて格納するテーブルを例示する。例えば、AB001という本棚識別子で識別される現実本棚の画像情報が2004−05−20−001.jpgとして電子的に保持され、2004−05−20−001.jpgという画像情報の中のどの領域がどのファイルに対応するかを示す座標情報が284−001.xsという名前のデータとして電子的の保持されていることを示す。
【0027】
図7は、画像情報の中のどの領域がどのファイルに対応するかを示す座標情報を例示する。図7が、284−001.xsという名前で特定される座標情報であるとすれば、2004−05−20−001.jpgという画像情報の中のX座標の値が305でY座標の値が213で幅が3、高さが42である領域には、F2847で識別されるファイルが表示されていることなどが表現されている。
【0028】
「ファイル指定部」204は、前記電子的ファイルレイアウト情報を利用して特定のファイルを指定する。「前記電子的ファイルレイアウト情報」とは、電子的ファイルレイアウト情報保持部203に保持された電子的ファイルレイアウト情報を意味する。ファイル指定部は、例えば、本棚指定部で指定された本棚の画像情報を図6のテーブルを参照して取得して、閲覧部により表示を行ない、利用者によるマウスのクリックなどの操作が行なわれた位置を検出して、その位置を用いて図7に例示されたテーブルを参照してファイル識別子を取得することにより、特定のファイルを指定する。
【0029】
「各ページ画像情報保持部」205は、ファイル指定部204にて指定されたファイルに対応する現実ファイルの各ページ画像情報を電子的に保持する。「現実ファイル」とは、現実本棚に格納された現実のファイルを意味する。
【0030】
図8は、各ページ画像情報を電子的に保持するために用いられるテーブルを例示する。例えば、ファイル識別子がF2847のファイルの0ページ目の画像情報がF2847−0−2004−05−19.jpgという情報として電子的に保持されていることが表現されている。各ページ画像情報は、例えば、ページをデジタルカメラで撮影したり、スキャナにより読み取ったりして得られる画像情報である。
【0031】
「閲覧部」206は、前記情報を閲覧するための部である。「前記情報」とは、本棚レイアウト情報、ファイルレイアウト情報、各ページ画像情報、のいずれか一を含む情報を意味する。したがって、閲覧部206は、例えば、電子計算機に接続されたディスプレイやあるいは、そのディスプレイを駆動するためのデバイスドライバなどにより構成される。
【0032】
図9は、閲覧部206により、各ページ画像情報を閲覧した様子を例示する。フレーム901内に、ファイル識別子が表示される欄902があり、そのファイル内のページ番号を示す欄903、904がある。欄906と欄907とには各ページ画像情報が表示される。例えば、欄906は偶数ページ、欄907は奇数ページを表示するようになっていてもよい。ボタン908、909は、前のページ、次のページの各ページ画像情報を欄903、904に表示するためのボタンである。欄910は、指定したページの各ページ画像情報を欄903または欄904に表示するための欄である。ボタン911は、本棚レイアウトを表示するためのボタンであり、ボタン912はファイルレイアウトを表示するためのボタンである。例えば、図9のように表示が行なわれているときにボタン912を押下すると、F2847で識別されるファイルを含むファイルレイアウト情報が表示されるようになっていてもよい。同様に、ボタン911が押下されると、F2847で識別されるファイルを格納する本棚が含まれる本棚レイアウト情報が表示されるようになっていてもよい。
【0033】
(実施形態1:書庫情報サーバ装置の処理)
図10は、書庫情報サーバ装置200の処理の流れを説明する流れ図を例示する。書庫情報サーバ装置200は、本棚レイアウト情報の閲覧を行なうための操作が行なわれるごとに図10に例示される流れ図の処理を実行する。ステップS1001において、本棚レイアウト情報を閲覧可能にする。例えば、図3に例示される平面図を読出して閲覧部206により閲覧可能にする。ステップS1002において、本棚の指定が行なわれるまで待つ。例えば、マウスのクリック操作が行なわれるまで待つ。本棚の指定が行なわれればステップS1003において、指定された本棚のファイルレイアウト情報を閲覧可能にする。ステップS1001と同様に、ファイルレイアウト情報を読出し、例えば閲覧部206により閲覧可能にする。ステップS1004において、ファイルの指定が行なわれるまで待つ。ファイルの指定が行なわれれば、ステップS1005において、指定されたファイルの各ページ画像情報を読出し、閲覧可能にする。なお、ステップS1004において、本棚の指定が行なわれた場合には、ステップS1001へ戻るように処理を行なってもよい。
【0034】
(実施形態1:主な効果)
本実施形態においては、本棚レイアウト、ファイルレイアウト、各ページというように異なる画面表示を用いて階層的に指定が行なうことができるので、利用者は、書庫情報サーバ装置に接続されたディスプレイを用いて、書庫のレイアウトや本棚のレイアウトを表示し、各ファイルに到達することができ、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶する人間の能力を利用して、階層的に目的の書類のファイルに到達することが可能となり、書類の存在と内容をと確認することができる。
【0035】
(実施形態2(主に請求項2について説明する))
【0036】
本発明の実施形態2として、各ファイルはクリアファイルであって、各ページ画像情報としてクリアファイルの透明ポケットから視認できる画像情報を用い、その画像情報を利用して、透明ポケットに格納された書面の内部ページの画像を保持するバーチャル書庫システムについて説明する。
【0037】
ここに「クリアファイル」とは、図11に例示されるように、入り口でない辺1101が接着され、各ポケット1102は透明なフィルムなどにより作られ、ポケットに挿入されている書面や書類1103がポケット外部から視認できるようになっているファイルをいう。なお、ページのポケット外部から視認できる部分を表(おもて)ページということとする。また、クリアファイルの透明なフィルムなどにより作られたポケットを透明ポケットということにする。
【0038】
(実施形態2:構成)
図12は、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置の機能ブロック図を例示する。書庫情報サーバ装置1200は、電子的本棚レイアウト情報保持部201と、本棚指定部202と、電子的ファイルレイアウト情報保持部203と、ファイル指定部204と、各ページ画像情報保持部205と、閲覧部206と、表ページ指定部1201と、内部ページ画像情報保持部1202と、を有する。したがって、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置は、実施形態1に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置が、さらに表ページ指定部1201と内部ページ画像情報保持部1202とを有した構成となっている。なお、本明細書においては、同じ定義が適用できる部に対してはできるだけ同じ符号を割り当てることとする。ただし、実際にバーチャル書庫システムを製造などする場合においては、同じ符号が割り当てられていても構造が異なる場合がある。
【0039】
本実施形態においては、各ページ画像情報保持部205は、前記透明ポケットに挿入された書面の透明ポケットから視認できる表ページの画像情報を保持する。「前記透明ポケット」とは、ファイル指定部204にて指定されたファイルに対応する現実ファイルのクリアファイルの透明ポケットを意味する。
【0040】
図13は、実施形態1で説明した図8の情報に代えて、本実施形態において各ページ画像情報保持部が保持する画像情報をテーブル形式で表現したものを例示する。図13においては、例えば、F2847というファイル識別子のファイルの0ページ目のページの画像情報には、F2847−0−2004−05−19.jpgという名前が付けられ、表ページ識別子としてF2847−0が割り当てられていることが表現されている。
【0041】
「表ページ指定部」1201は、各ページ画像情報保持部205を利用して表ページを指定する。「各ページ画像情報保持部205を利用して」とは、各ページ画像情報保持部205により電子的に保持された各ページ画像情報を利用して、ということを意味する。例えば、図9に例示された各ページ画像情報をマウスなどによりクリックなどすることにより、表ページを指定する。一例を挙げれば、欄906の内部にマウスカーソルを移動してクリックを行なうことにより、4ページ目という表ページが指定される。
【0042】
「内部ページ画像情報保持部」1202は、表ページ指定部にて指定された表ページを有する現実の書面に対応する内部ページの画像情報である内部ページ画像情報を電子的に保持する。例えば、表ページ識別子と内部ページ番号と、内部ページ画像情報と、を関連付けて電子的に保持する。なお、内部ページ画像情報は、書面の内部ページを開いて、その開かれたページをデジタルカメラやスキャナなどにより取得することができる。
【0043】
図14は、表ページ指定部にて指定された表ページを有する現実の書面に対応する内部ページ画像情報を電子的に保持するためのテーブルを例示する。例えば、表ページ識別子がF2847−0であり、内部ページ番号が0であれば、内部ページ画像情報の名前は、F2847−0−0−2004−05−18.jpgであることが表現される。
【0044】
本実施形態においては、閲覧部206は、内部ページ画像情報も閲覧するための部となる。
【0045】
図15は、内部ページ画像情報を閲覧するための画面の一例を示す。フレーム1501内の欄1502にはファイル識別子が表示され、欄1503には、ファイル識別子で識別されるファイルの表ページ番号が表示されており、欄1504には、書面の内部ページ番号が表示されている。欄1505には、その内部ページ番号の内部ページ画像が表示されている。ボタン1506とボタン1507とは、内部ページの前のページ、次のページを表示するためのボタンである。ボタン1508は、本棚レイアウトの表示に切り替えるためのボタンである。ボタン1509は、ファイルレイアウトの表示に切り替えるためのボタンである。ボタン1510は、表ページの表示に切り替えるボタンである。なお、内部ページ番号が0である場合を表ページとしてもよい。
【0046】
(実施形態2:書庫情報サーバ装置の処理)
図16は、書庫情報サーバ装置1200の処理の流れを説明する流れ図を例示する。ステップS1601からステップS1605までは、図10のステップS1001からステップS1005までに対応するので説明を省略する。ステップS1606において、表ページの指定が行なわれるまで待つ。例えば、図9の画面表示において、欄906または欄907の内部でマウスのクリックが行なわれるまで待つ。ステップS1607において、指定された内部ページを閲覧可能にする。例えば、図15の画面を表示する。
【0047】
(実施形態2:主な効果)
本実施形態により、複数ページからなる書面や書類の各ページを閲覧することが可能となる。また、多くのオフィスではクリアファイルが使用されているので、それに対応することが可能となる。また、ファイルに格納された書類などの現物やコピーを手に取らないで、実在する文書の存在の確認や内容の確認が行なえるので、書類の紛失、毀損、漏洩を防止することができる。また、閲覧したページを含む書面をメールなどに添付を行ない、配布することにより、従来紙ベースでコピーをとり配布する作業が無くなるので、資源の節約や経費節減が実現できる。
【0048】
(実施形態3(主に請求項3について説明する))
【0049】
本発明の実施形態3として、透明ポケットに格納された現実の書面は、その表(おもて)面の画像のみによっては他の書面との区別ができないバーチャル書庫システムについて説明する。
【0050】
(実施形態3:構成)
本発明の実施形態3は、実施形態2のバーチャル書庫システムにおいて、現実の書面は、その表ページ画像のみによっては他の書面と識別できない書面又は書面のタイトルのみによっては評価できない書面である。例えば、債権債務関係の書面について述べると、他の書面と識別できない書面とは、銀行取引約定書・金銭消費貸借契約書など、定型書式でタイトルが常に同じ書面である。また、書面のタイトルのみによっては評価できない書面には、念書、覚書、確約書、同意書などがあり、これらの書面は、その都度状況に応じて作成するもので、書面のタイトルのみによってはその内容を知ることが不可能な書面である。本発明においては、現実書庫内での本棚の位置、本棚の中のファイルの位置、ファイルの中の表ページの番号によって書面にアクセスすることができるので、このような書面の発見や確認が容易となり、表ページ画像のみによっては他の書面と識別できない書面であっても管理が可能となる。
【0051】
(実施形態3:主な効果)
本実施形態により、ほぼ同じ内容の書面などを本発明のバーチャル書庫システムにより、その存在と内容の確認のための管理をすることが可能となる。
【0052】
(実施形態4(主に請求項4について説明する))
【0053】
本発明の実施形態4として、本棚に格納される各ファイルは、そのファイル名称によっては他のファイルと識別できないバーチャル書庫システムについて説明する。
【0054】
(実施形態4:構成)
本発明の実施形態4は、実施形態1から3のいずれか一の実施形態において、現実書庫に格納されているファイルは、そのファイル名称のみによっては他のファイルとの識別ができないファイルであるバーチャル書庫システムである。「ファイル名称」とは、ファイルに付された名前や名称である。「識別できない」とは、「区別が不可能」あるいは「区別が困難」と言い換えてもよい。例えば、部外者に書庫を見られても秘密が漏洩しないようにするために敢えてファイルに名前を記さない場合や、ファイルの中に様々な種類の書面、書類が入れられており、ファイルに名称が付けるのが困難であり、漠然とした名称を付さざるを得ない場合に対応したバーチャル書庫システムである。このような場合であっても、本発明のバーチャル書庫システムでは、書庫内での本棚の位置、本棚の中でのファイルの位置により、目的のファイルを探すことが可能となっているので管理が可能である。
【0055】
(実施形態4:主な効果)
本実施形態により、利用者が書庫内でのファイルの位置だけを記憶しているだけであっても、目的のファイルに関する画像情報を得ることが可能となる。
【0056】
(実施形態5(主に請求項5について説明する))
【0057】
本発明の実施形態5として、現実書庫に格納されているファイルに関しての確認を行なった日時又は/及び者の記録をファイル毎に格納するバーチャル書庫システムについて説明する。
【0058】
(実施形態5:構成)
図17は、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置の機能ブロック図を例示する。書庫情報サーバ装置1700は、電子的本棚レイアウト情報保持部201と、本棚指定部202と、電子的ファイルレイアウト情報保持部203と、ファイル指定部204と、各ページ画像情報保持部205と、閲覧部206と、ファイル確認記録部1701と、を有する。また、表ページ指定部と、内部ページ画像情報保持部とを有していてもよい。また、現実の書面は、その表ページ画像のみによっては他の書面との識別ができない書面であってもよいし、現実書庫に格納されているファイルは、そのファイル名称のみによっては他のファイルとの識別ができないものファイルであってもよい。
【0059】
したがって、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置は、実施形態1から4のいずれか一のバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置が、ファイル確認記録部1701を有した構成となっている。
【0060】
「ファイル確認記録部」1701は、現実書庫に格納されているファイルに関しての確認を行なった日時又は/及び者の記録を前記ファイルごとに格納する。すなわち、現実書庫に格納されているファイルが、本当に現実書庫に格納されているか、ファイルが格納されている位置がファイルレイアウト情報により示される位置と合致しているか、ファイルの中に格納されている書面、書類が正しいかどうか、などを確認した日時、または、確認した者が誰であるか、あるいは、確認した日時と確認した者との両方を記録する。記録は、電子的に行なわれるものであってもよい。
【0061】
図18は、図7に例示されたテーブルに代えて、電子的ファイルレイアウト情報保持部203が保持するテーブルを例示している。このテーブルでは、図7に例示されたテーブルに「確認」という列が追加されており、ファイルに関しての確認を行なった日付が記録できるようになっている。なお、「確認」の列の値は日付に限定されるものではなく、日付に加えて時間であってもよいし、日付に代えて、ファイルに関しての確認を行なった者の名前であってもよい。また、日付と名前の両方であってもよい。なお、確認の列の値を変更するときには、単純に変更するのではなく、変更前の値を履歴として保持するようにしてもよい。これにより、書庫情報サーバ装置に格納されているファイルの位置と現実書庫内でのファイルの位置の不一致が発生した場合の原因究明や責任追及などを行なうことができる。
【0062】
図19は、本実施形態において、閲覧部206によりファイルのページを閲覧している様子を示している。図9と図19とを比較すると確認ボタン1901が図9に追加され、図19が構成されている。確認ボタン1901を押下することにより、ファイルに関しての確認を行なった日時又は/及び者の記録が図18のテーブルに対して行なわれる。確認を行なった日時を記録する場合には、書庫情報サーバ装置の内部クロックを取得して記録を行なう。確認を行なった者の記録を行なうには、書庫情報サーバ装置にログオンしている利用者の名前(ユーザ名)を取得して記録を行なう。あるいは、確認ボタン1901を押下することにより、ユーザ名の入力を促すダイアログウィンドウが表示されるようになっていてもよい。
【0063】
(実施形態5:書庫情報サーバ装置の処理)
図20は、本実施形態に係るバーチャル書庫システムの書庫情報サーバ装置の処理を説明する流れ図を例示する。ステップS2001からステップS2005までは、図10の流れ図のステップS1001からステップS1005までと同じであるので説明を省略する。ステップS2006においては、指定されたファイルの各ページを閲覧可能にした後に、確認ボタンが押下されるまで待つ。確認ボタンが押下されると、ステップS2007へ移行して、日付又は/及びユーザ名を記録する。なお、ステップS2007での日付又は/及びユーザ名の記録は、S2003において、ファイルレイアウトを閲覧可能にしたときに、表示されたファイルレイアウトと現実本棚におけるファイルの並びが同じであることを確認するときに、ファイルレイアウトとして表示された全てのファイルに対して行なわれてもよいし、表示されたファイルレイアウトの中の個々のファイルの位置が現実本棚におけるファイルの位置と同じであることを確認するときに行なわれてもよい。あるいは、図15のように書面の内部ページを表示しているときに、確認ボタンが押下されると、確認を行なった記録が行なわれるようになっていてもよい。また、ファイル単位に確認の記録が行なわれるのではなく、ファイルに格納された書面ごと、あるいは書面の内部ページごとに確認の記録が行なわれるようになっていてもよい。
【0064】
(実施形態5:主な効果)
本実施形態により、ファイルに関しての確認の日時又は/及び確認した者の記録が行なわれるので、書庫情報サーバ装置に格納されているファイルの位置と現実書庫内でのファイルの位置の不一致が発生した場合に、確認をした日時を遡ったり、確認をした者に事情聴取などをすることにより、いつ不一致が発生したのか、それは誰の責任であるかを明確にできる。また、このように不一致が発生した日時を明確にできたり、責任者を追及できたりすることにより、不一致の発生を未然に防止でき、書類の存在と確認のための管理を適正に行なうことができる。また、ファイルなどを閲覧した者を記録する場合においては、閲覧した者を特定できるため、ファイルの紛失、毀損、漏洩などのリスクを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るバーチャル書庫システム、特に、書庫情報サーバ装置は、三次元の空間とその空間のおおよその位置に保管されている書類とを関連付けて記憶する人間の能力を利用して、記載されている文言からは区別が困難な書類の存在と内容の確認のための管理をすることができ、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態1に係るバーチャル書庫システムの概要図
【図2】実施形態1における書庫情報サーバ装置の機能ブロック図
【図3】本棚レイアウト情報の一例図
【図4】本棚レイアウト情報の一例図
【図5】ファイルレイアウト情報の一例図
【図6】ファイルレイアウト情報の一例図
【図7】ファイルレイアウト情報の一例図
【図8】各ページ画像情報を電子的に保持するために用いられるテーブルの一例図
【図9】各ページ画像情報を閲覧した様子の一例図
【図10】書庫情報サーバ装置の処理の流れ図
【図11】クリアファイルの一例図
【図12】実施形態2における書庫情報サーバ装置の機能ブロック図
【図13】各ページ画像情報保持部が保持する画像情報の一例図
【図14】内部ページ画像情報を電子的に保持するためのテーブルの一例図
【図15】内部ページ画像情報を閲覧するための画面の一例図
【図16】書庫情報サーバ装置の処理の流れ図
【図17】実施形態5における書庫情報サーバ装置の機能ブロック図
【図18】電子的ファイルレイアウト情報保持部が保持するテーブルの一例図
【図19】実施形態5において、ファイルのページを閲覧している画面の一例図
【図20】書庫情報サーバ装置の処理の流れ図
【符号の説明】
【0067】
200 書庫情報サーバ装置
201 電子的本棚レイアウト情報保持部
202 本棚指定部
203 電子的ファイルレイアウト情報保持部
204 ファイル指定部
205 各ページ画像情報保持部
206 閲覧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実書庫と、書庫情報サーバ装置と、からなり、前記現実書庫に格納されているファイルに関する情報であるファイル情報を前記書庫情報サーバ装置に忠実に再現したバーチャル書庫システムであって、
前記書庫情報サーバ装置は、
前記現実書庫内の本棚のレイアウトに関する情報である本棚レイアウト情報を電子的に保持する電子的本棚レイアウト情報保持部と、
前記電子的本棚レイアウト情報を利用して特定の本棚を指定する本棚指定部と、
前記本棚指定部にて指定された本棚に対応する現実本棚が格納するファイルのレイアウトに関する情報であるファイルレイアウト情報を電子的に保持する電子的ファイルレイアウト情報保持部と、
前記電子的ファイルレイアウト情報を利用して特定のファイルを指定するファイル指定部と、
前記ファイル指定部にて指定されたファイルに対応する現実ファイルの各ページ画像情報を電子的に保持する各ページ画像情報保持部と、
前記情報を閲覧するための閲覧部と、
を有するバーチャル書庫システム。
【請求項2】
前記ファイルは、各ページが透明ポケットからなるクリアファイルであり、
前記各ページ画像情報保持部は、前記透明ポケットに挿入された書面の透明ポケットから視認できる表ページの画像情報を保持し、
さらに、前記各ページ画像情報保持部を利用して、表ページを指定する表ページ指定部と、
前記表ページ指定部にて指定された表ページを有する現実の書面に対応する内部ページ画像情報を電子的に保持する内部ページ画像情報保持部と、
を有する請求項1に記載のバーチャル書庫システム。
【請求項3】
前記現実の書面は、その表ページ画像のみによっては他の書面との識別ができない書面又は書面のタイトルのみによっては評価できない書面である請求項2に記載のバーチャル書庫システム。
【請求項4】
前記現実書庫に格納されているファイルは、そのファイル名称のみによっては他のファイルとの識別ができないファイルである請求項1から3のいずれか一に記載のバーチャル書庫システム。
【請求項5】
前記現実書庫に格納されているファイルに関しての確認を行なった日時又は/及び者の記録を前記ファイル毎に格納するファイル確認記録部を有する請求項1から4のいずれか一に記載のバーチャル書庫システム。
【請求項6】
現実書庫に格納されているファイルに関する情報であるファイル情報を忠実に再現する書庫情報サーバ装置の動作方法であって、
前記現実書庫内の本棚のレイアウトに関する情報である本棚レイアウト情報を電子的に読み出す電子的本棚レイアウト情報読出ステップと、
前記電子的本棚レイアウト情報を利用して特定の本棚を指定する本棚指定ステップと、
前記本棚指定ステップにて指定された本棚に対応する現実本棚が格納するファイルのレイアウトに関する情報であるファイルレイアウト情報を電子的に読み出す電子的ファイルレイアウト情報読出ステップと、
前記電子的ファイルレイアウト情報を利用して特定のファイルを指定するファイル指定ステップと、
前記ファイル指定ステップにて指定されたファイルに対応する現実ファイルの各ページ画像情報を電子的に読み出す各ページ画像情報読出ステップと、
前記情報を閲覧する閲覧ステップと、
を含む書庫サーバ装置動作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−18381(P2006−18381A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193006(P2004−193006)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(502057876)
【Fターム(参考)】