説明

バーハンドル車両における操作レバーの取付構造

【課題】 ハンドルバー装着前の操作レバーの回動操作でスタータ制御スイッチに不具合を発生させることを防止できるバーハンドル車両における操作レバーの取付構造を提供する。
【解決手段】 レバーホルダ16とクラッチレバー4(操作レバー)とに、レバーホルダ16に対するクラッチレバー4の回動量がフルストローク状態の回動量を僅かに超えた位置で、互いに当接してレバーホルダ16に対するクラッチレバー4の回動を規制するホルダ側回動量規制部14とレバー側回動量規制部20fとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーハンドル車両における操作レバーの取付構造に関し、詳しくは、自動二輪車等のバーハンドル車両に搭載されるクラッチやブレーキを作動させるとともに、レバーホルダに取り付けたスタータ制御スイッチを作動させる操作レバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動二輪車では、握り操作によりクラッチやブレーキ用の操作レバーを回動させて、クラッチを断状態としたり、ブレーキを制動状態としたときにのみエンジンを始動するスタータが作動するように、操作レバーの回動によって作動するスタータ制御スイッチを設けるようにしている。このスタータ制御スイッチの取付構造として、ハンドルバーに取り付けられるレバーホルダの先端に操作レバーを枢支し、レバーホルダの枢支部とバーハンドルとの間にスタータ制御スイッチを配設し、前記操作レバーにスタータ制御スイッチの作動子を押動する押動腕を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平2−1468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のものは、レバーホルダを介してハンドルバーに装着した操作レバーをフルストロークさせたときに、押動腕が作動子を押動するように形成しているため、操作レバーをハンドルバーに装着した状態では問題はないが、レバーホルダに操作レバーとスタータ制御スイッチとを組み付けたハンドルバー装着前の状態で、動作確認等の際に操作レバーを強く回動させると、押動腕が作動子を必要以上に押動してスタータ制御スイッチに不具合を発生させるおそれがあった。加えて、特許文献1では、レバーホルダにスタータ制御スイッチを組み込むようにしているため、特殊な形状のスタータ制御スイッチが必要となり、スタータ制御スイッチを組み込むためのレバーホルダの加工も面倒なものとなっていた。
【0004】
そこで本発明は、ハンドルバー装着前の操作レバーの回動操作でスタータ制御スイッチに不具合を発生させることを防止できるバーハンドル車両における操作レバーの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のバーハンドル車両における操作レバーの取付構造は、スタータ制御スイッチを備えたレバーホルダに操作レバーを枢支し、前記レバーホルダをハンドルバーに装着したときに、前記操作レバーがハンドルバーに当接したフルストローク状態で前記スタータ制御スイッチの作動子を押動する押動腕を前記操作レバーに設けたバーハンドル車両における操作レバーの取付構造において、前記レバーホルダと前記操作レバーとに、レバーホルダに対する操作レバーの回動量が前記フルストローク状態の回動量を僅かに超えた位置で、互いに当接してレバーホルダに対する操作レバーの回動を規制する回動量規制部を設けたことを特徴としている。
【0006】
また、前記レバーホルダが前記ハンドルバーに取り付けられる液圧マスタシリンダ装置のシリンダボディに一体形成され、前記スタータ制御スイッチが前記シリンダボディに取り付けられていてもよく、前記スタータ制御スイッチの作動子の押動方向が、前記液圧マスタシリンダ装置のピストンの押動方向に対して略平行であると好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のバーハンドル車両における操作レバーの取付構造によれば、レバーホルダに対する操作レバーの回動量が回動量規制部によって規制されるので、押動腕が作動子を必要以上に押動することがなくなり、スタータ制御スイッチに不具合を発生させることがなくなる。これにより、スタータ制御スイッチに要求される強度も軽減できるので、簡便なスタータ制御スイッチを使用することが可能となる。また、操作レバーのフルストローク状態の回動量を僅かに超えた位置に回動量規制部を設けているので、ハンドルバーに装着したときには、フルストローク前に回動量規制部によって操作レバーの回動が規制されることはなく、従来と同様に、操作レバーをフルストロークさせたときに押動腕が作動子を押動した状態となる。さらに、通常使用時のフルストローク状態では回動量規制部に操作レバーからの強い回動力が加わらないので、回動量規制部に大きな強度は必要とせず、製造コストの上昇も僅かで済む。
【0008】
操作レバーを液圧マスタシリンダ装置に一体形成されたレバーホルダ部に枢支したものでは、回動量規制部によって操作レバーが過度に回動することがなくなるので、液圧マスタシリンダ装置の各部材にも大きな力が加わることがなく、これらの変形や損傷も防止できる。さらに、シリンダボディへのスタータ制御スイッチの取付強度も軽減できる。
【0009】
また、作動子の押動方向とピストンの押動方向とを略平行に設定することにより、スタータ制御スイッチや押動腕、回動量規制部の位置設定が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図4は、本発明の操作レバーの取付構造を横置き型のクラッチ用液圧マスタシリンダ装置のクラッチレバーに適用した第1形態例を示すもので、図1は図4のI−I断面図、図2はクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部背面図、図3はクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部断面正面図、図4は同じく正面図である。
【0011】
クラッチ用液圧マスタシリンダ装置1は、車体前部で図示しない前輪を操向するハンドルバー2に取着される液圧マスタシリンダ3と、該液圧マスタシリンダ3に付設されるクラッチレバー4と、これらの間に介装されるプッシュロッド5とを備えている。液圧マスタシリンダ3は、シリンダボディ6に有底のシリンダ孔7が車体側方側に開口して穿設された横置き型のマスタシリンダであって、シリンダ孔7にはピストン8が液密且つ移動可能に内挿され、このピストン8とシリンダ孔7の底壁との間に、ユニオン孔9を有する液圧室10を画成している。ピストン8は、リターンスプリング11の弾発力によってシリンダ孔7の開口部方向へ常時付勢されており、ピストン8の非作動時の後退限は、プッシュロッド5により規制されている。また、シリンダボディ6の上部にはリザーバ12が設けられており、シリンダボディ6の下部にはスタータ制御スイッチ13と、クラッチレバー4の回動量を規制するホルダ側回動量規制部14(本発明の回動量規制部)とが設けられている。
【0012】
スタータ制御スイッチ13は、クラッチレバー4を握り操作してクラッチを切ったときに、エンジンを始動するスタータを作動可能な状態とするもので、スイッチボディ13aの一端面には、作動子13bが出没可能に設けられ、該作動子13bがスイッチボディ13aから突出しているときにはスタータが作動不能状態となり、作動子13bがスイッチボディ13aに押し込まれるとスタータが作動可能状態となる。また、スイッチボディ13aの他端面には通電用のコネクタ13cと、シリンダボディ6にネジ15によって固定するためのネジ止着部13dとが設けられている。スタータ制御スイッチ13は、ネジ止着部13dの通孔を挿通したネジ15をシリンダボディ6の下面に穿設した雌ねじに螺着することによってシリンダボディ6の下面に取り付けられる。
【0013】
シリンダボディ6の前端には、ピボット挿通孔を有する上下一対のレバーホルダ16が所定の間隙をおいて突設されており、前記クラッチレバー4は、このレバーホルダ16にカラー17とピボット18とを用いて回動可能に軸着されている。クラッチレバー4は、グリップ19の車体前方に配設されるレバー本体20と、プッシュロッド5を押動するノッカー21とに分割された2ピースタイプであり、レバー本体20とノッカー21との間に握り代調整機構22が設けられている。
【0014】
レバー本体20は、前記ピボット18によってレバーホルダ16間に回動可能に軸支される回動基部20aと、グリップ19の車体前方に略沿って配設される握り操作部20bと、握り代調整機構22を配設するための凹部20cと、回動基部20aの下面から突出した押動腕20dとを有している。この押動腕20dは、その先端部側面に、前記スタータ制御スイッチ13の作動子13bを押動する押動面20eが形成され、基部側面に前記ホルダ側回動量規制部14に当接するレバー側回動量規制部20f(本発明の回動量規制部)が形成されている。また、前記回動基部20aには、上下に二股状に離間した板状の上腕と下腕とが形成されており、両腕間にノッカー21が収納される。
【0015】
ノッカー21は、前記ピボット18に回動可能に軸支される回動基部21aと、回動基部21aからレバー本体先端側に延出した作用腕21bと、ノッカー21における液圧マスタシリンダ3側の回動量を規制するための液圧マスタシリンダ側ストッパ片21cと、レバー本体20側の回動量を規制するためのレバー本体側ストッパ片21dとを備えている。
【0016】
前記レバー本体20の上腕及び下腕とノッカー21の回動基部21aとには、カラー17を差し込むためのカラー挿通孔が同軸上にそれぞれ穿設されている。また、作用腕21bには、レバー本体20の凹部20cと向き合うアジャストカム当接面21eと、シリンダ孔7の開口部と向き合う円形のボス孔21fとが設けられている。ボス孔21fには、円柱状の駒部材23が回動可能に装着されおり、該駒部材23に、プッシュロッド5を装着するための取付孔23aが凹設されている。
【0017】
前記握り代調整機構22は、レバー本体20の凹部20cに挿入されるカム軸部24aと、レバー本体20の上面に配置される操作ダイヤル24bとを有するアジャストピンを備えており、カム軸部24aには、中心軸から不等距離に設定された複数のカム面が設けられている。この握り代調整機構22は、操作ダイヤル24bを回動操作して複数のカム面のいずれか1つのカム面をノッカー21のアジャストカム当接面21eに選択的に当接させることにより、レバー本体20の握り操作部20bとグリップ19との間に設定される握り代を拡縮調整できるようにしている。
【0018】
また、レバー本体側ストッパ片21dとレバー本体20の回動基部20aの先端部との間には、スプリング25が縮設されており、アジャストカム当接面21eに当接するカム面を任意に選択しても、選択されたカム面がこのスプリング25の弾発力によってアジャストカム当接面21eに常に圧接した状態となるので、レバー本体20のガタ付きが抑えられる。
【0019】
レバー本体20とノッカー21とは、レバーホルダ16に装着する前に、レバー本体20の回動基部20aの上腕と下腕との間にノッカー21の回動基部21aを差し込み、両回動基部20a,21aのカラー挿通孔を位置合わせしてカラー17を挿入することにより、クラッチレバー4として仮組みされる。この状態で回動基部20aをレバーホルダ16間に差し込み、カラー17とレバーホルダ16のピボット挿通孔とを位置合わせしてピボット18を上部のレバーホルダ16側から挿通してレバーホルダ下部のナット26に螺着することにより、レバー本体20及びノッカー21がピボット18回りに回動可能に軸支された状態となる。
【0020】
レバーホルダ16に装着されたクラッチレバー4と液圧マスタシリンダ3のピストン8との間には、前述のプッシュロッド5が介装される。プッシュロッド5は、軸部の先端に球状部5aを有しており、この球状部5aをピストン8の後端に形成された半球状係合孔8aに回動可能に係合させるとともに、軸部をノッカー21に装着された駒部材23の取付孔23aに挿入して装着される。
【0021】
液圧マスタシリンダ3に装着されたクラッチレバー4には、液圧室10内部のリターンスプリング11の弾発力がピストン8及びプッシュロッド5を通して常時作用し、クラッチレバー4の非作動時の位置は、ノッカー21の液圧マスタシリンダ側ストッパ片21cとシリンダボディ6の一側壁との当接と、握り代調整機構22で選択したカム面とによって設定され、レバー本体20の握り操作部20bとグリップ19との間に所定の握り代が形成される。
【0022】
液圧マスタシリンダ3のレバーホルダ16に装着された状態(ハンドルバー2に非装着の状態)のクラッチレバー4を、レバーホルダ16に対してピストン押動側に回動させると、プッシュロッド5がピストン8をシリンダ孔7の底壁に向けて押し込み、次いで、押動腕20d先端の押動面20eがスタータ制御スイッチ13のスイッチボディ13aから突出している作動子13bを押動して作動子13bをスイッチボディ13aに押し込み、その後、押動腕20d基部のレバー側回動量規制部20fが前記ホルダ側回動量規制部14に当接してクラッチレバー4のそれ以上の回動が規制される。これにより、作動子13bがスイッチボディ13aに過度に押し込まれることがなくなり、作動子13bやスイッチボディ13aに損傷を与えて不具合を発生させることがなくなる。
【0023】
上述のようにクラッチレバー4やスタータ制御スイッチ13を組み付けた液圧マスタシリンダ3は、シリンダボディ6と一体のブラケット半体27と、別途の半割体ブラケット28とでハンドルバー2の端部のグリップ19の近傍を包持し、これらをボルト29で締結することによってハンドルバー2の車体前部側に取り付けられる。さらに、ユニオン孔9にはクラッチに接続するホースが装着され、スタータ制御スイッチ13のコネクタ13cにはスタータ作動用の配線が接続される。
【0024】
クラッチ用液圧マスタシリンダ装置1をハンドルバー2に装着した状態でクラッチレバー4の握り操作を行うと、レバー本体20とノッカー21とがピボット18を支点に一体となって作動方向(グリップ19方向)へ回動し、ノッカー21の作用腕21bが駒部材23を介してプッシュロッド5を押動し、プッシュロッド5がピストン8をシリンダ孔7の底部方向へ押し込む。これにより、液圧室10の作動液が昇圧してクラッチに供給され、クラッチが断状態となる。そして、レバー本体20とグリップ19とが当接するフルストローク状態になると、レバー本体20の回動基部20a下面から突出した押動腕20dの押動面20eがスタータ制御スイッチ13の作動子13bを押動してスイッチボディ13aに押し込むことにより、スタータ制御スイッチ13がスタータを作動可能な状態とする。
【0025】
このとき、両回動量規制部14,20fの当接位置が、クラッチレバー4のフルストローク状態における回動量を僅かに超えた位置に設けられているので、レバー側回動量規制部20fがホルダ側回動量規制部14に当接することはない。これにより、クラッチレバー4の握力が両回動量規制部14,20fに伝わることがなく、さらに、両回動量規制部14,20fの当接部を回動支点としてレバーホルダ16やピボット18、更にはブラケット半体27,半割体ブラケット28等にクラッチレバー4からの回動力が伝わることがないので、これらが変形したり損傷したりするおそれはない。
【0026】
また、両回動量規制部14,20fは、クラッチ用液圧マスタシリンダ装置1をハンドルバー2に装着する前のメンテナンス等のときに、通常は液圧マスタシリンダ3を手で持った状態でクラッチレバー4を回動させたときの回動力を受ける強度を有していればよく、ハンドルバー装着時の握り操作による回動力に比べて小さな力に対応できればよいから、これらに大きな強度を持たせるために厚肉に形成したりする必要がなく、製造コストの上昇も僅かで済む。さらに、スタータ制御スイッチ13にもクラッチレバー4から大きな力が作用することがないので、スタータ制御スイッチ13として、市販の汎用性マイクロスイッチをシリンダボディ6にネジ止め固定して使用することが可能となり、スタータ制御スイッチ13に要するコストの削減や、スタータ制御スイッチ13を取り付ける部分の加工も少なくて済み、製造コストの削減を図れる。また、作動子13bの押動方向とピストン8の押動方向とを略平行にすることにより、スタータ制御スイッチ13や両回動量規制部14,20fの位置設定が容易となり、液圧マスタシリンダ3やクラッチレバー4、スタータ制御スイッチ13等の共通化が図れる。
【0027】
なお、握り代調整機構22を備えたクラッチレバーでは、レバー本体20の握り操作部20bとグリップ19との間の握り代を最小に設定してもフルストローク状態でクラッチが確実に断状態となるように設定されており、握り代を大きくするのに伴ってフルストローク状態でのピストンの押し込み量が増加することになるが、クラッチの断状態に変わりはなく、握り代を任意に拡縮調整しても問題はない。
【0028】
図5乃至図7は、本発明の操作レバーの取付構造を縦置き型のクラッチ用液圧マスタシリンダ装置のクラッチレバーに適用した第2形態例を示すもので、図5はクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部背面図、図6は図7のVI−VI断面図、図7はクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の正面図である。なお、以下の説明において、前記形態例で示した液圧マスタシリンダ装置における構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
本形態例に示す液圧マスタシリンダ30は、ハンドルバー2と直交方向に配設されたシリンダボディ31に有底のシリンダ孔7を車体前部側に開口して穿設し、該シリンダ孔7にピストン8を内挿した縦置き型のマスタシリンダであって、シリンダボディ31と一体のブラケット半体と、別途の半割体ブラケット32とでハンドルバー端部のグリップ19の近傍を包持し、これらをボルト33で締結してハンドルバー2の車体前部側に取り付けられている。
【0030】
シリンダボディ31は、車体前部側に上下一対のレバーホルダ34が所定の間隙をおいて突設されて、車体前部側の下部に、スタータ制御スイッチ13と、クラッチレバー4の回動量を規制するホルダ側回動量規制部35とが設けられている。
【0031】
クラッチレバー4は、第1形態例と同様に、レバー本体20と、プッシュロッド5を押動するノッカー21とに分割された2ピースタイプであり、レバー本体20とノッカー21との間に握り代調整機構22が設けられている。
【0032】
レバー本体20は、回動基部20aの車体前部側下面に、押動腕20gが突設され、該押動腕20gは、その先端部側面に、前記スタータ制御スイッチ13の作動子13bを押動する押動面20hが形成されている。また、押動腕20gの基部側面には、前記ホルダ側回動量規制部35に当接するレバー側回動量規制部20iが形成されている。
【0033】
上述の液圧マスタシリンダ30は、ハンドルバー2に非装着の状態で、クラッチレバー4を回動させると、プッシュロッド5がピストン8をシリンダ孔7の底壁に向けて押し込み、次いで、押動面20hがスタータ制御スイッチ13の作動子13bを押動しててスイッチボディ13aに押し込み、その後、押動腕20g基部のレバー側回動量規制部20iが前記ホルダ側回動量規制部35に当接する。これにより、作動子13bがスイッチボディ13aに過度に押し込まれることがなくなり、作動子13bやスイッチボディ13aに損傷を与えて不具合を発生させることがなくなる。
【0034】
また、クラッチ用液圧マスタシリンダ装置をハンドルバー2に装着した状態でクラッチレバー4の握り操作を行うと、ノッカー21の作用腕21bが駒部材23を介してプッシュロッド5を押動し、プッシュロッド5がピストン8をシリンダ孔7の底部方向へ押し込む。これにより、液圧室10の作動液が昇圧してクラッチに供給され、クラッチが断状態となる。そして、レバー本体20とグリップ19とが当接するフルストローク状態になると、押動面20hがスタータ制御スイッチ13の作動子13bを押動してスイッチボディ13aに押し込むことにより、スタータ制御スイッチ13がスタータを作動可能な状態とし、このとき、レバー側回動量規制部20iがホルダ側回動量規制部35に当接することはない。
【0035】
なお、本発明は、上述の各形態例に限らず、ホルダ側回動量規制部に当接してクラッチレバーの回動を規制するレバー側回動量規制部は、押動腕とは別に形成することもできる。また、クラッチの操作をワイヤーで行う機械式のクラッチレバーにも同様にして適用することができ、握り代調整機構を持たないクラッチレバーにも適用できる。また、同様の構造をブレーキレバーに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図4のI−I断面図である。
【図2】本発明の第1形態例を示すクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部背面図である。
【図3】同じくクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部断面正面図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】本発明の第2形態例を示すクラッチ用液圧マスタシリンダ装置の要部背面図である。
【図6】同じく図7のVI−VI断面図である。
【図7】クラッチ用液圧マスタシリンダ装置の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…クラッチ用液圧マスタシリンダ装置、2…ハンドルバー、3,30…液圧マスタシリンダ、4…クラッチレバー、5…プッシュロッド、6,31…シリンダボディ、7…シリンダ孔、8…ピストン、13…スタータ制御スイッチ、13a…スイッチボディ、13b…作動子、13c…コネクタ、13d…ネジ止着部、14,35…ホルダ側回動量規制部、15…ネジ、16,34…レバーホルダ、17…カラー、18…ピボット、19…グリップ、20…レバー本体、20a…回動基部、20b…握り操作部、20c…凹部、20d,20g…押動腕、20e,20h…押動面、20f,20i…レバー側回動量規制部、21…ノッカー、21a…回動基部、21b…作用腕、21c…液圧マスタシリンダ側ストッパ片、21d…レバー本体側ストッパ片、21e…アジャストカム当接面、21f…ボス孔、22…握り代調整機構、23…駒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタータ制御スイッチを備えたレバーホルダに操作レバーを枢支し、前記レバーホルダをハンドルバーに装着したときに、前記操作レバーがハンドルバーに当接したフルストローク状態で前記スタータ制御スイッチの作動子を押動する押動腕を前記操作レバーに設けたバーハンドル車両における操作レバーの取付構造において、前記レバーホルダと前記操作レバーとに、レバーホルダに対する操作レバーの回動量が前記フルストローク状態の回動量を僅かに超えた位置で、互いに当接してレバーホルダに対する操作レバーの回動を規制する回動量規制部を設けたことを特徴とするバーハンドル車両における操作レバーの取付構造。
【請求項2】
前記レバーホルダが前記ハンドルバーに取り付けられる液圧マスタシリンダ装置のシリンダボディに一体形成され、前記スタータ制御スイッチが前記シリンダボディに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のバーハンドル車両における操作レバーの取付構造。
【請求項3】
前記スタータ制御スイッチの作動子の押動方向が、前記液圧マスタシリンダ装置のピストンの押動方向に対して略平行であることを特徴とする請求項2記載のバーハンドル車両における操作レバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−44520(P2006−44520A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230086(P2004−230086)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】