説明

パイプ組立装置

【課題】 設計管製作用データに基づいてフランジ付き管を再現する、簡易型で小型軽量の安価なパイプ組立装置を提供する。
【解決手段】 ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管2のパイプの両端に接続用のフランジ3、4を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置1であって、パイプ組立装置1は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構5、6を備え、フランジ位置決め機構5、6は、フランジ3、4を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構10を備えたフランジ載置台7、8と、フランジ載置台7、8を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管の両端に接続用のフランジのフランジ取付面の姿勢を電子データに基づいて決定して再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス、水道等の流体の搬送においては両端に接続用のフランジを備えた多数の管(パイプ)が使用されているが、これらの管は直管の他に屈曲部分に使用する曲がり管がある。屈曲部分に使用する曲がり管は取り付け工事の容易さから一般に接続管が使用されている。この接続管の取付けは予め適当な長さ及び適当な曲がりの接続管の両端に例えば、フランジA、Bを取り付けない状態で用意し、これらフランジA、Bを取り付けようとするパイプのフランジC、Dにそれぞれねじで固定した状態で用意した接続管を現場合わせでその端部にフランジA、Bが取付けられるように加工し、次にその端部にフランジA、Bを仮付けした後、フランジを仮付けした接続管を一旦外して接続管の両端にフランジA、Bを溶接するという作業を行っていた。現在、接続管(現合管・型取り管)の製作は現場作業で行われている。その作業はガス切断、溶接、重量物可搬など危険を伴う作業が大半である。また、完成した接続管も精度が一定ではなく、品質などはかなりラフである。一般にはこのようなものが使われている。また、これらをシステム化して接続管の製作図から接続管の両端に連接されるフランジを載置支持する取付フランジ面の姿勢、すなわち、位置と角度を決定でき、工場でフランジ付きの接続管を容易に製造できるようにした再現装置が以下のように開示されている。
【0003】
図3は、従来例に係る再現装置におけるフランジ取付面の姿勢決定方法に用いるシステムの概略で、(a)は全体を示す構成図、(b)は再現装置の正面図である。
図3の(a)に示すように、姿勢制御装置を内蔵する再現装置110には、コンピュータの一例である数値制御装置110aが接続されている。数値制御装置110aには、接続管188の製作図から取り出した必要な寸法・角度データを入力するための入力装置110bが接続されている。操作者は、入力装置110bを用いて、接続管188の製作図から取り出した寸法・角度データを数値制御装置110aに入力する。また、数値制御装置110aは、この寸法・角度データを数値制御信号である姿勢制御信号に変換した後、再現装置110の姿勢制御装置にフランジ姿勢制御信号を送出する。
【0004】
図3の(b)に示すように、再現装置110は、下部に複数本のアジャストパット111が取付けられた基台112と、基台112の一方に固定状態で載置された第1の取付けフレーム113と、基台112の他方側に移動可能に取付けられた第2の取付けフレーム114と、第1及び第2の取付けフレーム113、114にそれぞれ設けられた第1及び第2の旋回架台115、116を回転駆動する第1及び第2の旋回機構と、第1及び第2の旋回架台115、116上にそれぞれ傾動可能に取付けられた第1及び第2の傾動架台119、120を傾ける第1及び第2の傾動機構121、122と、第1及び第2の傾動架台119、120にそれぞれ回転可能に取付けられたターンテーブル機構123、124と、ターンテーブル機構123、124にそれぞれ設けられたフランジ取付け機構125、126を有している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−5875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配管しようとする接続管の直径が大きい場合や接続管の長さが比較的長い場合には、接続管の重量が大きくなり施工性が著しく悪くなるという問題があった。また、従来の方法では現場に接続管を搬送して、現場合わせで接続管を修正加工し、さらに、フランジの取付け角度を決める必要があり、極めて手間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、接合しようとする管の両端の位置を、本願発明者の出願した特開平9−5006号公報に記載されているような位置測定装置を用いて測定し、工場でモデルを作って同じ位置に接続しようとするフランジを配置し、連結するフランジ付きの接続管を製造することも行われているが、接続しようとするパイプのモデル(仮付け体)を製造する必要があり、さらに配管の設置場所によってはこれらの仮付け体はそのまま使えないので無駄な設備になる可能性があった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、設計管製作用データに基づいてフランジ付き管を再現する、簡易型で小型軽量の安価なパイプ組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明のパイプ組立装置1は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管2のパイプの両端に接続用のフランジ3、4を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置1であって、
前記パイプ組立装置1は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構5、6を備え、
前記フランジ位置決め機構5、6は、前記フランジ3、4を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構10を備えたフランジ載置台7、8と、前記フランジ載置台7、8を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、前記θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、前記θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13と、を備えることを特徴とする。ここで、接続管2は、少なくとも中途に1つの屈曲部分を有する接続管のほか、屈曲部分を有しない直管からなる接続管も含む。
【0010】
請求項2に記載の発明のパイプ組立装置1は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管2のパイプの両端に接続用のフランジ3、4を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置1であって、
前記パイプ組立装置1は、水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の移動側の第1のフランジ位置決め機構5と、固定側の第2のフランジ位置決め機構6を備え、
前記フランジ位置決め機構5、6は、前記フランジ3、4を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構10を備えたフランジ載置台7、8と、前記フランジ載置台7、8を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、前記θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、前記θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明のパイプ組立装置1は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管2のパイプの両端に接続用のフランジ3、4を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置1であって、
前記パイプ組立装置1は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構5、6を備え、
前記フランジ位置決め機構5、6は、前記フランジ3、4を固定するフランジ載置台7、8と、前記フランジ載置台7、8を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、前記θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、前記θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発明によれば、パイプ組立装置は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構によって、いろんなパイプの長さにも容易に調節可能で、フランジ位置決め機構が、フランジを固定してX方向に沿ってスライド動作可能なフランジ載置台と、このフランジ載置台を平面的に回動させるθ1方向回動機構と、このθ1方向回動機構を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構と、このθ2方向回動機構を水平方向に回動させるθ3方向回動機構とを備えることによって、設計管製作用データに基づいてどのようなフランジ付き接続管をも再現可能で、かつ、簡易型で小型軽量の安価なパイプ組立装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのパイプ組立装置の概略を示し、(a)はパイプ組立装置の平面図、(b)はその正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフランジ位置決め機構の構成を示す斜視図である。
【図3】従来例に係る再現装置におけるフランジ取付面の姿勢決定方法に用いるシステムの概略を示し、(a)は全体を示す構成図、(b)は再現装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るパイプ組立装置の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態を説明するためのパイプ組立装置の概略を示し、(a)はパイプ組立装置の平面図、(b)はその正面図である。
図1に示すように、パイプ組立装置は、設計管の組立から仮溶接までの工程を支援するもので、従来、職人が定盤上で製作していたが、接続管の製作図から接続管の両端に連接されるフランジを載置支持するフランジ面の姿勢、即ち、位置と角度を決定でき、工場でフランジ付きの接続管を容易に製造できるようにした軽量小形のパイプ組立装置であって、操作者は、フランジ面の関係を測定して得られた設計管製作用データを入力することで左右7軸(3軸と4軸)と1つのスライド量の設定値がモニタに表示される。これら各軸および1つのスライド量を手動で目標値に合わせることで位置の設定が完了し工場内で管を製作することができる。
【0015】
すなわち、パイプ組立装置1は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管2の両端に接続用の第1のフランジ3と、第2のフランジ4を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定することができる。このパイプ組立装置1は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動する左右一対の第1のフランジ位置決め機構5と、第2のフランジ位置決め機構6とを備えている。そしてコントローラ13がこれらの機構を制御するように構成されている。
【0016】
本実施形態のパイプ組立装置1は、固定側ポジショナーと移動側ポジショナーで構成されており、第2のフランジ位置決め機構6が固定側ポジショナーであり、第1のフランジ位置決め機構5が移動側ポジショナーである。
適用パイプの口径は40A〜200A、面間は350mm〜2000mm、固定側ポジショナー6は、フランジ回転軸、旋回軸、仰角軸のP3軸を有し、それぞれの軸にはエンコーダ(発信機)が付いていて、各位置を正確にコントローラへ送信する。
移動側ポジショナー5は、フランジ回転軸、旋回軸、仰角軸、移動軸(面間)の4軸を有し、それぞれの軸にはエンコーダ(発信機)が付いていて、各位置を正確にコントローラへ送信する。
エンコーダは角度0.1度、距離0.1mmでコントローラへ送信する。各軸の駆動は全て手動式のハンドルを備え、設定後に手動にてクランプすることが可能で、かつハンドル軸にはモータを取り付け可能に構成されているため、全て電動式とすることができる。
【0017】
コントローラ13は、表示部13a、コンピュータ13b、キーボード13cより構成され、表示部13aは操作者の見やすい所に設置し目標値を見ながら各軸の位置を合わせ、見やすいように大文字で表示される。キーボード13cは操作者が管一品情報を入力するためのもので、入力する管一品情報としては、次の8つの項目がある。管の基本寸法である、L1の長さ、L2の長さ、L3の長さ、曲げ(L1とL2の成す実角度)、ねじれN1(L2とK3の成す角の平面図上の投影角)、ねじれN2(L2とL3の成す角の正面図上の投影角)、穴振りH1(L1側のフランジの穴振り角度)、穴振りH2(L3側のフランジの穴振り角度)がある。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るフランジ位置決め機構の構成を示す斜視図である。図2に示すように、第1のフランジ位置決め機構5は、第1のフランジ3を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構10を備えた第1のフランジ載置台7と、第1のフランジ載置台7を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13とを備えている。
また、同様に第2のフランジ位置決め機構6は、第2のフランジ4を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構10を備えた第2のフランジ載置台8と、第2のフランジ載置台8を平面的に回動させるθ1方向回動機構11と、θ1方向回動機構11を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構12と、θ2方向回動機構12を水平方向に回動させるθ3方向回動機構13とを備えている。
【0019】
ベース9の一方側には第2のフランジ位置決め機構6が固定状態で設けられているが、他方側には、第1のフランジ位置決め機構5がベース9の上部に平行に設けられている2本のリニアガイドに摺動移動可能に設けられている。そして、第1のフランジ位置決め機構5には、その出力軸にピニオンを備えた駆動用モータが設けられている。ピニオンはリニアガイドの側部に平行に取付けられたラックと噛合し、駆動用モータを回転駆動することによって、第1のフランジ位置決め機構5が、ベース9に固定状態で配置された第2のフランジ位置決め機構6に対して近接又は離反して移動することができるようになっている。
【0020】
次に、上記した構成を有するシステムを用いたパイプ組立装置におけるフランジ取付面の姿勢決定方法について説明する。なお、3軸と1つのスライド機構を電動とした例で説明する。勿論、手動式に容易に設定は可能である。
図1に示すように、まず、キーボード13cから入力された、L1の長さ、L2の長さ、L3の長さ、曲げ(L1とL2の成す実角度)、ねじれN1(L2とL3の成す角)、ねじれN2(L2とL3の成す角)、穴振りH1(L1側のフランジの穴振り角度)、穴振りH2(L3側のフランジの穴振り角度)などの管の8つの項目の基本寸法によって、第1、第2のフランジ位置決め機構5、6によって、第1、第2のフランジ3、4の位置が決定される。また、固定側の第2のフランジ位置決め機構6、および移動側の第1のフランジ位置決め機構5との間の距離は、移動側の第1のフランジ位置決め機構5を姿勢制御装置を近接又は離反して移動することにより可変で、これもエンコーダで検出できるようになっていてコントローラ13で制御され位置決めされる。
【0021】
図2に示すように、移動側の第1のフランジ位置決め機構5に備わる第1のフランジ載置台7に置かれた第1のフランジ3は、第1のフランジ載置台7に設けられたモータM1で駆動されるX方向スライド機構10によってX方向の位置が決定される。次に、第1のフランジ3は、X方向スライド機構の裏面に設けられ、モータM2で回動駆動され、この回動動作が小歯車10b、大歯車10cに伝達されてθ1方向に回動するθ1方向回動機構11によって位置決めされる。また、第1のフランジ3は、θ1方向回動機構11の左右方向に軸支されて設けられ、モータM3で回動駆動され、この回動動作が小プーリ11b、大プーリ11c、および歯車11dに伝達されてθ2方向に回動するθ2方向回動機構12によって位置決めされる。さらに、第1のフランジ3は、θ2方向回動機構12を保持して設けられ、モータM4で回動駆動され、この回動動作が小歯車13b、大歯車13cに伝達されてθ3方向に回動するθ3方向回動機構13によって位置決めされる。なお、モータM1、M2、M3、およびM4の軸にはそれぞれハンドル10a、11a、12a、および13aが装着されているため手動でも操作が可能である。これによって、フランジ3は、3軸と1つのスライド機構が制御されて所定の空間に位置決めすることができる。
【0022】
また、固定側の第2のフランジ位置決め機構6に備わる第2のフランジ載置台8に置かれた第2のフランジ4は、前記第1のフランジ3dと同様に、第2のフランジ載置台8に設けられたモータM1で駆動されるX方向スライド機構10によってX方向の位置が決定される。次に、第2のフランジ4は、X方向スライド機構の裏面に設けられた、モータM2で回動駆動され、この回動動作が小歯車10b、大歯車10cに伝達されてθ1方向に回動するθ1方向回動機構11によって位置決めされる。また、第2のフランジ4は、θ1方向回動機構11の左右方向に軸支されて設けられた、モータM3で回動駆動され、この回動動作が小プーリ11b、大プーリ11c、および歯車11dに伝達されてθ2方向に回動するθ2方向回動機構12によって位置決めされる。さらに、第2のフランジ4は、θ2方向回動機構12を保持して設けられた、モータM4で回動駆動され、この回動動作が小歯車13b、大歯車13cに伝達されてθ3方向に回動するθ3方向回動機構13によって位置決めされる。なお、モータM1、M2、M3、およびM4の軸にはそれぞれハンドル10a、11a、12a、および13aが装着されているため手動でも操作が可能である。これによって、第2のフランジ4は、3軸と1つのスライド機構が制御されて所定の空間に位置決めすることができる。
【0023】
これらの第1、第2のフランジ3、4の位置に接続管2を、クレーンなどで配置する。接続管が小さい場合は手動にて取り付けることもできる。この後、フランジと接続管との溶接を行う。溶接にはノイズレスのTIG溶接機を使用し、タッチスタートタイプまたは、高電圧スタートタイプの高周波レス溶接機を使用している。そして単独でD種接地アースを敷設する。
【0024】
これまで、接続管(現合管・型取り管)の製作は現場作業で行われており、その作業はガス切断、溶接、重量物可搬など危険を伴う作業が大半である。また、完成した接続管も精度が一定ではなく、品質などはかなりラフな物となる。
本装置を導入することでのメリットは、1)船舶の完成後の液漏れを激減できる、2)品質の安定、3)現場作業(ガス切断、溶接、重量物可搬)を無くし全て工場で製作が可能、4)海外などで液漏れが発生した場合、1日あれば翌日には適合パイプを製作し発送できる、5)作業工数を大幅に減少できる、6)型取りをするための補助材料が必要なくなる。通常、1隻300本で10隻製作した場合3000本となる。補助材料は一般に良く使用されるアングル(L-50×50×6)とすると、型取りのための補助材は3本、工場でフランジを固定するための材料は6本となり、1本の型取り管を製作するのに必要な補助材は9本となる。そのため10隻分で9本×3000本=27000本が必要になり、平均長さ0.4mとすると、0.4m×27000本=10800m、アングルは5kg/mであるから重量に換算すると5kg×10800m=54000kgで54tの材料が必要であったが、これが要らなくなる。したがって、27000本の廃材を無くし、54tの材料が不要となる。材料費100円/kgとして、材料コストにして約540万円と27000本分の切断や溶接が必要なくなる(間接費としてはガスや溶接棒関係など含んでいないが相当な使用料となると思われる)、7)間接メリットとしては、27000本分の切断用ガスや溶接棒材料が不要で、そのため現場から工場までの車による搬送が無くなり、これによって1回の搬送を20本としても1350回、車で往復が必要であったがこれも不要となる、また、型取り用のフランジは使い回しをするが、これも不要となる。
【0025】
さらに、このパイプ組立装置を用いる効果として、1)人件費の低減:作業に技術を必要としない、2)不良品の低減:穴振りなどの不良や手直しがゼロになる、3)作業時間の短縮:作業効率を改善(生産性の向上)、4)生産データの管理:その日に製作した分をプリンタに打ち出すことで作業や生産後の管理及び保存が容易である。
また、安全、環境、品質、コストにおいて、安全面では、1)作業環境改善、2)空気環境改善、3)設備環境改善がある。作業環境改善としては、現場での高所作業、溶接作業を無くし災害予防の観点から見ても効果的である。空気環境改善としては、現場での溶接作業を無くし、有害物暴露を減少することができるため現場作業の空気環境に貢献する。設備環境改善としては、各種作業や機械設備のリスクアセスメントを実施し、重大災害などの発生の防止に貢献する。
【0026】
環境面では、本願発明のパイプ組立装置によるパイプの製作は、従来作業の全ての領域で廃棄物排出の減少を実現し、環境問題が騒がれる近年、環境条例を意識するに留まらず、現場での溶接作業を無くすことにより環境エネルギー問題および社会環境保護にも適している。
【0027】
品質として、1)計測品質があり、計測装置による両フランジ間の位置関係をコンピュータにより数値データ化するため、管の品質および情報の管理が容易にできる、2)管一品図品質では、計測データから、パイプ製作に必要な情報をことこまかに計算し、現場の計測管の取り付け周辺にある障害物などを考慮した管の製作も容易にでき、ミスのない安定した品質の管製作ができる。また、ユーザの希望による仕様も容易に可能である。3)再現品質では、計測データから計測現場と同じフランジ面をパイプ組立装置上で再現するにあたり、画面上に計測機をどの位置の、どの穴に取り付けたなどの確認が一目でできる。
【0028】
コストの面では、1)オールマイティなコスト削減として、従来の型製作時に必要な陸揚げ作業、移動作業および作業床(定盤)が不要となり、準備作業および片付け作業が縮小され、補助材および作図費用などを低減できる。2)人的、時間コスト削減では、現場フランジ取り付け・型取り作業・取り外し・陸揚げ・工場搬入・寸法実測・スケッチ作図・加工寸法算出・金型撤去、全ての工程において人的・時間的損失を削減できる。3)コストでは従来方式に比べて管製作一本あたり50%の工数削減となる。
【0029】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動するとしたが、その機構は他のスライド機構でも構わない。また、フランジ位置決め機構は4軸制御可能であれば、歯車、プーリなどリンク伝達の構成は特に他の構成でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管の両端に接続用のフランジのフランジ取付面の姿勢を電子データに基づいて決定して再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置に適用される。
【符号の説明】
【0031】
1 パイプ組立装置
2 接続管
3 第1のフランジ
4 第2のフランジ
5 第1のフランジ位置決め機構、移動側ポジショナー
6 第2のフランジ位置決め機構、固定側ポジショナー
7 第1のフランジ載置台
8 第2のフランジ載置台
9 ベース
10 X方向スライド機構
10a ハンドル
11 θ1方向回動機構
11a ハンドル
11b 小歯車
11c 大歯車
12 θ2方向回動機構
12a ハンドル
12b 小プーリ
12c 大プーリ
12d 大歯車
13 θ3方向回動機構
13a ハンドル
13b 小歯車
13c 大歯車
14 コントローラ
14a 表示部
14b コンピュータ
14c キーボード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管(2)のパイプの両端に接続用のフランジ(3、4)を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置(1)であって、
前記パイプ組立装置(1)は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構(5、6)を備え、
前記フランジ位置決め機構(5、6)は、前記フランジ(3、4)を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構(10)を備えたフランジ載置台(7、8)と、前記フランジ載置台(7、8)を平面的に回動させるθ1方向回動機構(11)と、前記θ1方向回動機構(11)を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構(12)と、前記θ2方向回動機構(12)を水平方向に回動させるθ3方向回動機構(13)と、を備えることを特徴とするパイプ組立装置(1)。
【請求項2】
ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管(2)のパイプの両端に接続用のフランジ(3、4)を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置(1)であって、
前記パイプ組立装置(1)は、水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の移動側の第1のフランジ位置決め機構(5)と、固定側の第2のフランジ位置決め機構(6)を備え、
前記フランジ位置決め機構(5、6)は、前記フランジ(3、4)を固定してX方向に沿ってスライドさせるX方向スライド機構(10)を備えたフランジ載置台(7、8)と、前記フランジ載置台(7、8)を平面的に回動させるθ1方向回動機構(11)と、前記θ1方向回動機構(11)を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構(12)と、前記θ2方向回動機構(12)を水平方向に回動させるθ3方向回動機構(13)と、を備えることを特徴とするパイプ組立装置(1)。
【請求項3】
ガスや水道などの流体の搬送に用いる直管や曲がり管を接続する接続管(2)のパイプの両端に接続用のフランジ(3、4)を電子データに基づいて再現精度良く溶接固定するパイプ組立装置(1)であって、
前記パイプ組立装置(1)は、少なくとも一方が水平面上を互いに離間する方向に近接又は離反して移動可能な左右一対の第1、第2のフランジ位置決め機構(5、6)を備え、
前記フランジ位置決め機構(5、6)は、前記フランジ(3、4)を固定するフランジ載置台(7、8)と、前記フランジ載置台(7、8)を平面的に回動させるθ1方向回動機構(11)と、前記θ1方向回動機構(11)を垂直方向に回動させるθ2方向回動機構(12)と、前記θ2方向回動機構(12)を水平方向に回動させるθ3方向回動機構(13)と、を備えることを特徴とするパイプ組立装置(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−148021(P2011−148021A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9494(P2010−9494)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(599093225)株式会社プラスワンテクノ (13)
【Fターム(参考)】