説明

パケット・ベースの網でのモバイル装置用アクセス・ポイントと前記網での課金方法とシステム

【課題】パケット・ベースの網で課金する方法とシステムを提供する。
【解決手段】パケット・ベースの網で使用する無線通信能力を有するモバイル装置用のアクセス・ポイントであり、前記網は、遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイを含む。アクセス・ポイントは、少なくとも前記アクセス・ポイント間で網を形成するために少なくとも1つ以上のアクセス・ポイントと通信を確立する通信手段を含む。また、モバイル装置の身元を追加する手段と、前記アクセス・ポイントを通して転送されたデータ・パケットの身元を登録する登録手段と、がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパケット・ベースの網でのデータ通信と課金に一般的に関係するものであり、特に前記網でのモバイル装置用のアクセス・ポイントと前記網での課金方法とシステムに関係するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
携帯コンピュータ、個人用ディジタル・アシスタント(PDA)等のようなモバイル装置の使用が過去数年急激に増加してきた。インターネットの進歩のため、さらに多数のユーザーが、モバイル装置を介して、例えば会社網またはインターネットのような、その他の装置、網、サービス、に接続することに興味を抱いている。1次的な選択手段はしばしば、公衆電話網に接続された伝統的なモデムを介したダイヤルアップ接続を使用することである。次いで、モバイル装置を外出中に使用する時には、携帯電話のモデムが使用された。しかしながら、回線交換電話網で使用されるモデムは、接続の確立に非常に長時間かかる欠点を有し、課金は接続時間を基にしている。さらに、携帯電話を用いた前記ダイヤルアップ接続は低いデータ転送レートという欠点を有する。
【0003】
しかしながら、GPRSやUMTSのようなパケット・ベースの移動電話網の導入により、転送したデータ量を基に課金を導入することが可能となる。このようなシステムはまたより高い帯域を提供できるが、インフラストラクチャーに巨大な投資を必要とする。たとえ帯域が増加したとしても、これは有線網の傍にはいない。さらに、必要な巨大投資のため、接続コストは初期は非常に高い。
【0004】
モバイル装置を手頃なコストで接続し、このサービスに課金する問題の解決法は米国特許第5,745,884号「接続ベースでデータ・グレード網使用を課金するシステムと方法」で提案されている。米国特許第5,745,884号のシステムは、モバイル装置のユーザーが、ホテル・ロビー、空港、等のような戦略的に選択された地域に配置されたアクセス・ポイントに接続する概念を使用する。アクセス・ポイントは公共的に接続可能な無線LANとして作動する。次いで、通信は問題のサービスへのトンネル接続を介してアクセス・ポイントにより転送される。トンネル接続はWANの任意型式のものが可能である。従って、アクセス・ポイントは無線LANとWANとの間のゲートウェイとして作動する。次いで、トンネリング・プロトコルにより、接続を使用しているどのユーザーかに関する情報の収拾が可能となる。この情報は以後の課金用のベースとなり、課金は接続ベース当りとなる。
【0005】
しかしながら、米国特許第5,745,884号の解決法は、ユーザーが接続したいサービスへの接続をアクセス・ポイントが有している必要がある、固定された構造を基にしている。また、この解決法は前記アクセス・ポイントの事業者が、アクセス・ポイント上のデータ・トラヒックを制御する可能性も欠いている。また、このような解決法は限定された地域での使用にのみ有用であり、前記網の拡大は無理な話である。さらに、課金はデータ・トンネルの両端の接続者に限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,745,884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(本発明の目的)
それ故、本発明の目的は、少なくとも部分的にでも上述した問題を克服するため、モバイル装置用の接続の改良された形式と、前記サービスの課金用の方法とシステムを提供することである。
【0008】
この目的は添付の特許請求の範囲によるアクセス・ポイントと課金方法とシステムにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
本発明によると、パケット・ベースの網で使用するアクセス・ポイントは、遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイと通信する手段と、モバイル装置と無線通信する第1通信手段と、少なくとも前記アクセス・ポイント間で網を形成するため少なくとも1つ以上のアクセス・ポイントとの通信を確立する第2通信手段と、モバイル装置から直接的にまたはモバイル装置から他のアクセス・ポイントを通して間接的にのどちらかで前記アクセス・ポイントを通して転送された全てのデータ・パケットに対してデータ・パケットを最初に送信するモバイル装置の身元を登録する登録手段と、を含む。
【0010】
この結果、上述の問題を克服するアクセス・ポイントが提供される。前記アクセス・ポイントはお互いのインフラストラクチャを利用する異なるサービス・プロバイダの可能性を提供する。アクセス・ポイントは私的網を形成するため他のアクセス・ポイントに接続する能力を有するため、各アクセス・ポイントが遠隔サービスへ直接接続することは必要なくなる。従って、アクセス・ポイントは、モバイル装置からまたは他のアクセス・ポイントからゲートウェイへ直接的にまたはアクセス・ポイント網の他のアクセス・ポイントを通してゲートウェイへ間接的にデータ・パケットをルーティングするルータの役割を果たす。
【0011】
また、私的網内で通信することが可能となる、すなわち、第1アクセス・ポイントに接続した第1モバイル装置が第2アクセス・ポイントに接続した第2モバイル装置と通信可能である。このように、全ての転送されたデータ・パケットの出発地は追跡可能であり、各アクセス・ポイントはこれを登録する手段を有しているため、任意の個人または会社がこのようなアクセス・ポイントを設定して、一方ではモバイル装置のユーザーへアクセス可能性を提供し、他方で固有のユーザーの事業者とは独立に、このサービスの支払いを受けられるようになる。
【0012】
本発明によると、他のアクセス・ポイントを有するシステムに新たなアクセス・ポイントを導入し、次いで他のアクセス・ポイントの能力を使用してゲートウェイに接続することが可能である。このように、モバイル通信装置とゲートウェイとの間の通信を設定可能とするために、アクセス・ポイントはゲートウェイとの直接アクセスを必ずしも有さなければならないわけではない。これは、IEEE802.11b基準による無線LANのような無線LANを例えば使用した、無線通信を提供することが望ましい、第2通信装置を通して提供される。1実施例では、他のアクセス・ポイントとの通信はモバイル装置との通信から分離される。しかしながら、他の実施例では、他のアクセス・ポイントとモバイル装置との通信は単一の通信手段により提供される、すなわち、モバイル装置とアクセス・ポイントは同じ網で通信する。
【0013】
次いで、別々のアクセス・ポイントの事業者間でコストを転送し分散させることを可能とするため、各アクセス・ポイントは送信されたどのユーザーへのどのパケットを登録する登録手段を有する。この情報を中央ノードで収集し、解析することが望ましい。登録されたラベルは以後バッチで送信される記憶媒体に記憶されることが望ましい。
【0014】
本発明を適応可能な網では、遠隔サービスへのアクセスを提供する、従来のゲートウェイでも可能なゲートウェイがある。遠隔サービスとは、インターネットのような公衆網、会社網、私的サーバー等が可能である。ゲートウェイは、アクセス・ポイント間の内部網と外界との間のインターフェースを構成する。
【0015】
モバイル装置の身元(identity)をモバイル装置で追加可能であり、1実施例では単にデータ・パケットのヘッダ中の情報から構成される。ユーザーの身元はこの時モバイル装置の網アドレスであり、インターネット・プロトコル(IP)を使用した網では、モバイル装置の身元はモバイル装置のIPアドレスである。
【0016】
他の実施例では、アクセス・ポイントはモバイル装置から前記アクセス・ポイントへ直接転送されるデータ・パケットにラベルを追加するラベル付け手段を含み、前記ラベルは前記モバイル装置の身元を含む。この時、モバイル装置のユーザーはアクセス・ポイントに知られ、認証されることが望ましい。既知のユーザーがそのモバイル装置からデータ・パケットを送信すると、アクセス・ポイントは、パケットを追跡可能にする追加情報、すなわちラベルをパケットに追加する。ラベルはどのユーザーがどのパケットを送信したかを決定する確実な方法を提供する。
【0017】
アクセス・ポイントは、前記アクセス・ポイントに接続されたモバイル装置の身元を認証する認証手段を含むことが望ましい。認証用の前記手段は適正で確実な課金に必要な認証を提供する。この手段は、アクセス・ポイントと接触している中央ノードと相互作用することが望ましい。モバイル装置の身元は上述したように装置のIPアドレスも可能である。この場合、モバイル装置は網アドレスを処理する責任を有する中央ノードからその網アドレスを得る時に、その網アドレスを得たユーザーに関する情報が以後の使用のために記憶される。網アドレスを得る時、モバイル装置と中央ノードにのみ既知の秘密キーを保持するスクランブル装置を例えば使用した、ある種のパスワード認証が適切である。
【0018】
他の実施例では、1人以上のユーザーに装置を利用させるためにモバイル装置の身元が装置のユーザーにより交換可能である。交換可能な身元の場合、身元は証明書に記憶されるか、またはユーザーとサービス・プロバイダにより既知のある種の秘密キーを含んでもよい。
【0019】
アクセス・ポイントは前記ゲートウェイへの通信ルートを確立する手段を有することが望ましい。トラヒック・コスト、性能、容量及びモバイル装置のユーザーがどの事業者を使用しているか、を基にした所定の基準でルーティング路が決定可能である。この情報は次いでデータ・パケットに印加されるラベルに記載されることが望ましい。次いで、データ・パケットがゲートウェイを通して私的網を離れる前に他のノード、すなわちアクセス・ポイントがこの情報を利用する。どのゲートウェイを使用するか、もこの追加情報に依存することが望ましい。
【0020】
アクセス・ポイントにより形成された網は、いくつかのゲートウェイを導入する時は特に、非常に複雑となりうる。多分、これらのアクセス・ポイント、ゲートウェイ、そしてその間のインフラストラクチャーは異なるサービス・プロバイダにより運用される。また、構成部品の性能も異なる。例えば、あるアクセス・ポイントはゲートウェイへの直接T1接続を有し、一方他のアクセス・ポイントはISDNを有するのみである。このような網では、本発明によるアクセス・ポイントはさらに、遠隔サービスへの複数個の通信ルートを確立する手段と、所定の基準に従って前記通信ルートを評価する手段と、前記所定基準に従って最適ルートを選択する手段と、を含むことが望ましい。これにより、モバイル装置を接続するアクセス・ポイントで、データ・パケットのルートを決定する時に、性能またはコスト、どのサービス・プロバイダが特定のゲートウェイを運用しているか、等を基準の考慮に入れることが可能となる。加えて、最適ルートはモバイル装置の身元に依存可能である。エンド・ユーザーがサービス・プロバイダにより課金され、サービス・プロバイダの方はモバイル装置からゲートウェイへの通信ルートに沿ったノードの所有者に補償する場合、競争業者への補償を最小にするためエンド・ユーザーのサービス・プロバイダが所有するゲートウェイとインフラストラクチャへ通信を向けることが有用となる。
【0021】
ユーザーがアクセス・ポイントからその範囲を出て移動する可動性をサポートするため、アクセス・ポイントは、他のアクセス・ポイントへのまたはそこからのハンドオーバー用に前記接続装置との通信の信号強度を評価するハンドオーバー手段を有することが望ましい。他の実施例では、ハンドオーバー手段はモバイル装置に実装される。
【0022】
また、本発明によるとパケット・ベース網で使用するアクセス・ポイントは、遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイと、モバイル装置との無線通信用の第1通信手段と、少なくとも前記アクセス・ポイント間で網を形成するため少なくとも1つ以上のアクセス・ポイントとの無線通信を確立する第2通信手段と、を含み、前記第2通信の前記網は前記第1通信手段と前記モバイル装置との間の前記網から分離されている。
【0023】
これにより、アクセス・ポイントのアドホック的な網を構築する可能性を提供するアクセス・ポイントが提供されると共に、同時にゲートウェイに直接的にまたはアクセス・ポイントの前記アドホック的網を通して間接的にのどちらかの方法でアクセス・ポイントへ接続するユーザーに遠隔サービスへの接続に提供できる。アクセス・ポイントに直接的または間接的に接続されたモバイル装置と、アドホック的な網を経由して間接的にまたはゲートウェイに直接的にのどちらかでありうる他の網との間でパケットを網からルートするルータとしてアクセス・ポイントは動作する。
【0024】
また、本発明によると、私的網を形成する複数個のアクセス・ポイントと、遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイと、を含む複数事業者網で課金する方法は、前記パケットのルートに沿って登録された前記データ・パケットに含まれる情報を基にデータ・パケットのルートを追跡する段階であって、前記情報は前記データ・パケットを最初に送信したモバイル装置の身元を含む前記追跡段階と、前記追跡されたルートに関係するノードに分離された課金レコードを作製する段階と、を含む。
【0025】
これにより、上述の問題を克服する本発明によるアクセス・ポイントを使用して作成することが可能である前記網で課金する可能性を提供する課金方法が提供される。アクセス・ポイントに接続するモバイル装置の身元は、正しいユーザーに課金することを保証するため身元を追加する前に認証されることが望ましい。また、ユーザーのデータ・パケットを転送する際に関係した全ての事業者に補償するために、本方法は追跡されたルートに関係するノードに課金レコードを分配することが望ましい。「ノード」とは、データ・パケットを転送する際に関係する任意のアクセス・ポイントまたはゲートウェイを意味する。1実施例では、ラベルは、モバイル装置で追加されるヘッダから構成可能であり、モバイル・ユーザーの身元はパケット・ヘッダの網アドレスである。他の実施例では、ラベルは、モバイル装置で追加されたデータ・パケット・ヘッダの上部にアクセス・ポイントで追加可能である。この時、ラベルはさらなる情報、例えばデータ内容に関する情報を含むことが可能である。また、アクセス・ポイントで情報を追加する時、モバイル装置の網アドレス以外の他の識別オブジェクトを使用可能である。望ましい実施例の追跡段階は、モバイル装置から他のアクセス・ポイントを通して間接的にまたは直接的にのどちらかで前記アクセス・ポイントを通して転送された全てのデータ・パケットのラベルを登録する段階と、各アクセス・ポイントから中央ノードへ前記ラベルに関する情報を送信する段階と、を含む。
【0026】
課金レコードを作成する段階は前記網の中央ノードで実行されることが望ましい。前記中央ノードはアクセス・ポイントの網またはインターネット内のどちらかで動作しているサーバーである。中央ノードがインターネットでアクセス可能な場合、アクセス・ポイントからの通信はゲートウェイのどれかを介して行われなければならない。課金情報は重要なデータであるため、アクセス・ポイントと中央ノードとの間の接続はトンネル化される、すなわち一方の端でカプセル化され、他方端でデカプセル化されることが望ましい。中央ノードは網中の多数の管理タスク、例えばアクセス・ポイントで登録されたデータの送信を開始する、を提供可能である。また、中央ノードは負荷分散、接続されたモバイル装置を追跡する、等の機能を有することが可能である。
【0027】
ラベルに含まれている、どのパケットを送信したどのユーザーに関する情報に加えて、アクセス・ポイントは、アクセス・ポイントでラベルが登録されたデータ・パケットの出発地と目的地に関する情報も提供可能である。また、ラベルは、ラベル付けされたデータ・パケットの内容に関する情報を含み、課金レコードを内容の型式を基にすることも可能である。この時、内容に応じて課金を区別することも可能となる。例えば、ウェブサイトの閲覧は、ビデオを見るまたは電子メールを送信することよりデータ・パケット当りより高価でなければならない。
【0028】
また、本発明によると、私的網を形成する複数個のアクセス・ポイントと、遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイと、を含む複数事業者網で課金するシステムは、前記パケットのルートに沿って登録された前記データ・パケットに含まれる情報を基にデータ・パケットのルートを追跡する手段であって、前記情報は前記データ・パケットを最初に送信したモバイル装置の身元を含む前記追跡手段と、前記追跡されたルートと関係するノードで分離された課金レコードを作成する手段と、を含む。
【0029】
これにより上述の問題を克服したシステムが提供される。システムの利点は、本発明により課金する方法のそれに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
例示用に、添付の図面に図示した実施例に対して本発明を説明する。
【図1】本発明の実施例による網を示す図。
【図2】モバイル装置から遠隔サービスへのトンネル接続を示す図。
【図3】本発明の実施例によるさらに複雑な網の概略図。
【図4】バックボーンとアクセス網を図示する図。
【図5】ハンドオーバー過程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(望ましい実施例の説明)
図1を参照して、本発明の明確な理解を与えるために本発明の環境を以下に説明する。本発明の環境は、1つ以上のアクセス・ポイント1(AP)、ゲートウェイ2、モバイル装置3(MD)及び中央ノード4を含む網を含む。網の構成部品間の通信はパケット・ベースであり、TCP/IPプロトコルを使用することが望ましいが、IPX、等のようなその他のプロトコルも発明の範囲内である。アクセス・ポイント1は、以後「バックボーン」と呼ばれる、完全にまたは部分的に無線である私的網を形成する。このバックボーンは、会社のイントラネットのような他の私的網またはインターネットのような遠隔サービス5(図2に図示)へのアクセスを有するゲートウェイ2へ接続する可能性を有するアクセス・ポイント1を通して他の網へ接続される。この接続は、ISDN、T1、等のようなある種の有線接続であることが望ましい。ゲートウェイへの有線接続1’を有するアクセス・ポイントは図面ではAP+として図示されている。ゲートウェイ2は少なくともゲートウェイ機能を有するが、1実施例では網アドレス変換(NAT)の機能も含む。ある面では、アクセス・ポイント1は、モバイルIPプロトコルを使用した網の外部エージェントとして取扱可能であり、ゲートウェイ2はホーム・エージェントとして取扱可能である。構成部品の管理及び登録の多くは中央ノード4により管理される。モバイル装置3は、例えば標準のIEEE802.11bを使用した無線LANが望ましいが、何らかの型式の無線接続によりアクセス・ポイント1の1つと接続する。しかしながら、ハイパーラン2またはブルートゥースのようなその他の可能な技術も可能である。モバイル装置3は携帯コンピュータ、個人用ディジタル・アシスタント(PDA)、IP電話のような任意の型式のモバイル装置が可能であるが、「モバイル」はポケットに入る軽量の装置を意味するのみではない、何故なら本発明はまた、例えばアクセス・ポイントへ無線で接続する可能性を有する固定のパーソナル・コンピュータにも適用可能であるからである。これは、例えば、大学のキャンパスのどこかに複数台の固定コンピュータを含む一時的な作業環境を設定する時にも興味ある。
【0032】
図2を参照すると、バックボーンを使用した通信路がここで記述される。モバイル装置3は無線LANを使用して第1アクセス・ポイント1(AP)に接続する。次いで、このAP1はゲートウェイ2への路を確立する。この路は、アドレシング問題を避けるためトンネル化されることが望ましい。また、このトンネルは暗号化され、証明書やディジタル署名のような進歩した認証プロトコルを利用可能である。AP1はゲートウェイ2への直接有線接続を有していないため、この路は、ゲートウェイ2への有線接続を有するほかのアクセス・ポイント1’を通してバックボーンを介して確立される。次いで、アドレシングの問題を克服するため、他のアクセス・ポイント1’もゲートウェイ2へデータを転送するトンネルを使用する。
【0033】
図3ではより複雑な網が図示されている。この図から、モバイル装置3からゲートウェイ2への通信用にしばしば複数個の通信路があることが明らかである。ルーティング路は主に中央ノード4により管理される。さらに、アクセス・ポイント1には特定のモバイル装置3からパケットを如何にルートするかの指令が与えられる。本発明は複数事業者網を導入する便利な方法を提供する。それ故、アクセス・ポイント1と1’ゲートウェイ2と2’は異なる事業者に属することも可能であり、その間の網も多分異なる事業者により所有される。それ故、ルーティング路と、インターネットのような他の網への接続用にどのゲートウェイを使用するか、はモバイル装置のユーザー、アクセス・ポイントの事業者、ゲートウェイの事業者、有線接続の提供者の選択に依存する。図4では、モバイル装置3とアクセス・ポイント1との間の通信とバックボーンとの間の差が図示される。モバイル装置3とアクセス・ポイント1との間の通信はバックボーン網から分離される。モバイル装置3とアクセス・ポイント1との間の網は本明細書ではアクセス網として参照される。トラヒックを2つまたはそれ以上の無線網に分離することは、別に利用可能な帯域と改善された柔軟性を意味する。例として、無線バックボーンはアクセス網のそれと完全に異なる無線技術及び/またはアンテナを使用してもよい。しかしながら、上述したようにバックボーン網は、例えば無線LANまたはハイパーLANでありうる無線技術を使用する。しかし、ある場合にはバックボーンの一部は有線化可能である。例えば、何階かを含みその内1つが地下である施設では、ゲートウェイへの直接有線接続を有していない地下に配置したアクセス・ポイントから、ゲートウェイへの無線接続または例えば屋外に配置した他のアクセス・ポイントへの無線接続を有する建物の何階か上のほかのアクセス・ポイントへ、有線接続を使用することが有用である。特定のアクセス・ポイントのアクセス網の範囲は他のアクセス点と通信するその範囲より小さいことが望ましい。従って、このようなバックボーン網は真にアドホックな網であり、この場合アクセス・ポイントを各々統合し統合から外すために他のアクセス・ポイントまたはどこかの中央ノードで必要とされる何らかの構成なしに、あるアクセス・ポイントを追加または削除可能である。
【0034】
モバイル装置3は、アクセス・ポイント1のそれに対応する通信装置、すなわち本実施例ではIEEE802.11b基準をサポートする無線カードを少なくとも有さなければならない。また、モバイル装置3はアクセス・ポイント1に接続する時に何らかの種類の認証をサポートしなければならない。大部分のモバイル装置3はその特性からモバイル用であるため、アクセス・ポイント1はハンドオーバー用のサポートを有さなければならない。ハンドオーバー過程は例えば信号強度の測定を基にすることが可能である。ハンドオーバーの1型式を図5に図示する。ハンドオーバー前では、モバイル層はアクセス・ポイント1とアクセス・ポイント1’の両方から広告を受信する。次いで、モバイル装置3に実装することが望ましいソフトウェアが各アクセス・ポイント1、1’からの信号品質と強度を決定する。ハンドオーバー前では、アクセス・ポイント1’が最良の接続を提供することをソフトウェアが決定するが、登録後でさえも、アクセス・ポイント1からの申し入れを評価する。次いで、モバイル装置3がアクセス・ポイント1に近づいてくると、評価の結果は、モバイル装置3が代わりにアクセス・ポイント1と通信するよう指令する。モバイル装置3がアクセス・ポイント1と接続すると、バックボーンに接続されたモバイル装置を追跡するために中央ノード4に報告される。
【0035】
ここで、アクセス・ポイント1と前記網でアクセス・ポイント1に接続する処理とを説明する。アクセス・ポイント1は、網で動作するよう自動的に自身を構成する手段を有することが望ましい。次いで、だれかがこのようなアクセス・ポイント1をインストールしようとする時、これは最初に、アクセス・ポイント1を管理する装置である、中央ノード4に接続する。次いで、アクセス・ポイントには識別子、例えばIP番号が与えられる。1実施例では、接続は、接続したいアクセス・ポイントの受け入れと拒否を行う認証手段を含む。次いで、アクセス・ポイントは、バックボーン網に貢献するため隣接するアクセス・ポイントを探査する。モバイル装置のユーザーはインターネットと通信してウェブサイトを閲覧するためにアクセス・ポイントをしばしば使用するため、アクセス・ポイントは、バックボーンの負荷またはゲートウェイへのまたはそこからのデータ・トラヒックを減少するキャッシュ機能を有することが望ましい。
【0036】
ゲートウェイへの通信ルートを確立する手段は、いくつかのゲートウェイの存在を考慮可能である。この時、アクセス・ポイントまたは中央ノードのどちらかが公衆網上のサービスへの最適ルートを提供可能である。これもまたユーザー選択に依存可能である。これは接続の課金を考慮するときのみならず、性能問題を考慮する時にも重要である。
【0037】
モバイル装置のユーザーがアクセス・ポイントと接続したい時、ユーザーの身元を最初に認証する。アクセス・ポイントの使用を許可された全てのユーザーの身元は中央ノードに登録されている。認証の1方法は、アクセス・ポイントから乱数をモバイル装置と中央ノードの双方に同時に送信することにより実行される。次いで、乱数のハッシュ値を作成するためモバイル装置と共に中央ノードには各々秘密キーが与えられていて、これをアクセス・ポイントに提出する。次いで、これが等しい場合に、モバイル装置は受入れられる。
【0038】
網は異なる事業者により提供されたアクセス・ポイントとゲートウェイを含むため、データ・パケットの路と関係するノードへの課金と補償を解決することが本発明の目的の1つである。1実施例では、ユーザーが中央ノードを使用することにより認証される時にこれが解決される。次いでユーザーにはモバイル装置通信に使用する網アドレスが割当てられる。このように、単一のユーザーのみが一時に固有の網アドレスを割当てられるため、これは網中でデーター・パケット・ルートに沿って追跡できる識別子となりうる。他の実施例では、モバイル装置を接続するアクセス・ポイントから転送する時データ・パケットに追加情報を追加することによりこれが解決される。この追加情報はラベルと呼ばれる。例えば、ラベルは以下の表Iの情報を含む:


もちろん、ラベルはこれ以上またはこれ以下の情報を含むことが可能で、上述した要素には限定されない。他の実施例では、ラベルはタグ形式で書き込まれる。トラヒックに関する情報を収集するのは、パケットのルート中の各ノードに任せられる。
【0039】
以下詳細に説明する、本発明による課金方法とシステムの基礎としての役割を果たすのはラベル中のこの情報である。モバイル装置からのデータ・パケットはいくつかの異なるルートを取りかつ多様な事業者を通過可能であるため、この情報を登録し解析することが重要である。例えば、より多くの顧客、または少なくともインターネット上のウェブサイトのような遠隔サービスに接続することに興味を抱く顧客を魅了するため、カフェの所有者が自分のカフェにアクセス・ポイントを設定することに興味を抱いた場合、カフェ所有者はデータ・トラヒックの補償を得なければならない。この例では、カフェ所有者は例えば電話事業者をプロバイダとして使用するゲートウェイへの有線接続を有しており、カフェ所有者もこの接続を利用するコストを有している。しかしながら、コーヒー販売の可能な増加収入の外に、カフェ所有者はそのアクセス・ポイントを使用する顧客から補償を得ることも興味がある。しかし、そのアクセス・ポイントは、多分、近所の店舗所有者により所有された他のアクセス・ポイントによっても使用可能であるため、それらもゲートウェイへの彼の接続を使用する。カフェ所有者の有線接続がダウンした時の別な話も存在する。この話では、カフェ使用者は同じまたは他のゲートウェイへの他のアクセス・ポイントの接続を使用可能であるが、この時にはデータを最初にバックボーン網を通して送信する。このように、コスト、収入、及び補償の複雑な状況が存在する。本発明による課金方法とシステムによりこれが解決される。
【0040】
次いで、本発明の1実施例によると、各アクセス・ポイントは、アクセス網からアクセス・ポイントへ直接送信されたものとバックボーン網内で送信されたものの両方である、それを介して送信されたデータ・パケットのラベルを登録する手段を有する。どのアクセス・ポイントでラベルが登録されたか、データ・パケットのルート中で関係する事業者間でコストを分配する時にどれが重要であるかに関する情報を収集することが望ましい。この情報が収集され記憶されることが望ましい。中央ノードがあるシステムでは、コストを再分配するためにアクセス・ポイントからこの情報を受取るように中央ノードが適合されている。コスト分配にはいくつかの異なるモデルがある。
【0041】
次いでアクセス・ポイントは、所定の規則または中央ノードからの要求に従って登録したラベルを送信可能である。前記所定の規則は、データ・トラヒックが所定のレベルより低い時に最も古い保存データの転送を開始する規則を含むことも可能である。
【0042】
上述したように、コストは、アクセス・ポイントで収集し/登録したラベルとデータに含まれる情報に全て依存する、データ内容、接続時間、通信したデータ量、等を基にすることが可能である。課金は異なるレベルで実行可能であり、1実施例では請求書をエンド・ユーザーに直接送付し、次いでコストを関連業者間で分配可能である。課金の他の方法は、ゲートウェイを通してユーザーが接続しているサービスに対してエンド・ユーザーに支払わせる方法である。次いで、アクセス・ポイント、ゲートウェイ及びその間の通信を利用した請求書がサービス・プロバイダに送付される。
【0043】
中央ノードは、現金のフローと課金を管理する外に、最適ルートを決定する責任を有することも可能である。最適ルートは、バックボーン網内の個別接続の容量、ゲートウェイへの有線接続の利用可能性と性能、等に依存可能である。
【0044】
望ましい実施例に関連して本発明を記載してきた。しかしながら、本発明の範囲は本実施例によって限定されるべきものではなく、当業者により認められるように、本発明の別の実施例も可能である。例えば、上述したバックボーン網とアクセス網は、同一の通信手段を利用した同一の網に統合可能である。また、パケットが成功裏に渡されたかどうかを基に課金することも可能である。このような実施例は、添付の特許請求の範囲に定義されるような、本発明の範囲内にあるものと考えるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット・ベースの網で使用するアクセス・ポイントにおいて、
遠隔サービスへのアクセスを有する少なくとも1つのゲートウェイと通信する手段と、
モバイル装置との無線通信用の第1通信手段と、
少なくとも前記アクセス・ポイント間で網を形成するため少なくとも1つ以上のアクセス・ポイントとの通信を確立する第2通信手段と、
モバイル装置から直接的にまたはモバイル装置から他のアクセス・ポイントを通して間接的にのどちらかで前記アクセス・ポイントを通して転送される全てのデータ・パケットに対してデータ・パケットを最初に送信するモバイル装置の身元を登録する登録手段と、
を含むアクセス・ポイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−90335(P2012−90335A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4263(P2012−4263)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2002−531689(P2002−531689)の分割
【原出願日】平成12年12月27日(2000.12.27)
【出願人】(503111584)ランダラ ナット アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】