説明

パケット損失特性解析装置、方法、およびプログラム

【課題】バースト的なパケット損失による映像劣化を正確に判定する。
【解決手段】映像劣化判定部12により、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末2Bで正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部15により、品質評価取得部14からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件17として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信品質推定技術に関し、特にリアルタイム系アプリケーションのユーザ体感品質に影響を与えるパケット損失特性を解析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パケット通信技術の飛躍的な発展に伴い、パケット網が音声や映像等のメディア(コンテンツ)を1対1あるいは多地点間で通信するリアルタイム系アプリケーションで利用されつつある。パケット網のインサービス品質管理では、このようなアプリケーションに対する品質管理も必要とされている。特にリアルタイム系アプリケーションでは、実際にアプリケーションを利用するユーザレベルでの主観的あるいは客観的な品質などのユーザ体感品質を用いた品質管理が重要視されており、ネットワーク品質からユーザ体感品質を推定する技術も提案されている(例えば、非特許文献1等参照)。
【0003】
従来、発明者らは、リアルタイム系アプリケーションの主観品質を推定する技術として、例えばパケットが連続して損失するようなバースト的なパケット損失が伝送路および端末上で発生する環境を考慮した品質監視技術を提案した(例えば、特許文献1等参照)。
この技術では、パケットがバースト的に損失するバースト損失によるアプリケーションに対するユーザ体感品質評価値の低下量を推定し、この低下量に基づきネットワーク品質管理目標値を算出している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−244609号公報
【非特許文献1】A. Clark, "Modeling the effects of burst packet loss and recency on subjective voice quality", IP Telephony Workshop 2001, Apr. 2001
【非特許文献2】http://www.digitalfountain.com/technology/index.cfm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ストリーミングなどの映像配信サービスにおいて、パケットの損失体制を強化させる技術として、FEC機能(前方誤り訂正:Forward Error Correction/非特許文献2等参照)を用いたサービスが多く提供されている。このFEC機能を用いた場合、パケット損失が発生した際に修復を行うための情報を含むパケットが、アプリケーションパケットと並行して送信されるため、ランダムに1パケットが損失した際には、この技術により修復される可能性が高い。
【0006】
図15は、FEC機能の効果を示す説明図であり、横軸がパケット損失率、縦軸が映像劣化検知回数である。特性61は、損失パケット数が1であり連続して複数のパケットが損失しないランダム損失の場合を示しており、パケット損失率が低い場合にはFEC機能により損失がある程度修復され、映像劣化はあまり検知されていないことがわかる。一方、特性62は、損失パケット数が1〜6で変動するバースト損失の場合を示しており、パケット損失が低い場合でもFEC機能により損失が修復されない場合があり、ある程度映像劣化が検知されていることがわかる。
このように、FEC機能が適用された映像通信サービスでは、パケット損失がバースト的に発生した場合に初めて映像品質が低下する可能性が高い。
【0007】
一方、アプリケーションパケットが損失しても映像劣化として知覚されない場合もある。例えば、映像を符号化して得られた各種種別のフレームをアプリケーションパケットで転送する場合、アプリケーションパケットによっては人間が知覚できないような情報を転送するものもある。
したがって、このようなランダムなパケット損失に対する損失耐性が高く、バースト的なパケット損失により初めて映像品質の低下が見られるような品質劣化特性を持つ映像通信について、バースト的なパケット損失を考慮して高い精度でユーザ体感品質を推定する場合、FEC機能の効果が得られずに発生した映像劣化を、例えば人間が知覚できないような映像劣化などの他の映像劣化と区別する必要がある。
【0008】
しかしながら、前述した従来技術では、このようなランダムなパケット損失に対する損失耐性が高く、バースト的なパケット損失により初めて映像品質の低下が見られるような品質劣化特性を持つ映像通信については考慮されておらず、バースト的なパケット損失による映像劣化を正確に判定することができないという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、バースト的なパケット損失による映像劣化を正確に判定することができるパケット損失特性解析装置、方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明にかかるパケット損失特性解析装置は、パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となるメディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を出力するパケット損失特性解析装置であって、送信側アプリケーション端末から送信されたメディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、受信側アプリケーション端末で受信したメディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得部と、受信側アプリケーション端末で再生した映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得部と、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定部と、品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件として決定するバースト判定条件決定部とを備えている。
【0011】
この際、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部で、映像劣化判定期間内に仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を連続して設け、任意の無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部で、各種仮定バースト時間と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト時間および仮定バースト判定パケット数の組をバースト判定条件として出力するようにしてもよい。
【0012】
あるいは、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部で、任意の無効パケットの発生時点から仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を設け、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部で、各種仮定バースト時間と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト時間および仮定バースト判定パケット数の組をバースト判定条件として出力するようにしてもよい。
【0013】
あるいは、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の終了判定に用いる無効パケット間隔数を規定する仮定パケット密度判定量と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部で、任意の無効パケットの発生時点から次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となった時点までを無効パケット検出時間とし、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部で、各種仮定パケット密度判定量と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定パケット密度判定量および仮定バースト判定パケット数の組をバースト判定条件として出力するようにしてもよい。
【0014】
また、バースト判定条件決定部で、映像劣化判定結果で映像劣化ありと判定された劣化時点と、映像劣化評価結果で映像劣化ありと評価された劣化時点のそれぞれについて、両者における映像劣化の検出有無を比較し、これら劣化時点における当該比較結果に応じた正解得点の合計値に基づき正解率を算出するようにしてもよい。
【0015】
また、受信品質情報に基づいて前記メディア用パケットに対応する映像のフレーム種別を判定し、フレーム種別に基づいてメディア用パケットのうち映像劣化の判定対象となる判定対象パケットを選択する判定対象パケット選択部をさらに備え、映像劣化判定部で、無効パケットのうち判定対象パケットに選択された無効パケットから映像劣化の有無を判定するようにしてもよい。
【0016】
また、映像劣化判定部で、送信品質情報で送信が確認されたメディア用パケットのうち受信品質情報で受信が確認されていないメディア用パケット、および受信品質情報の各メディア用パケットの到着間隔を示す遅延揺らぎ時間がアプリケーションの許容パケット遅延時間を超えるメディア用パケットを無効パケットと判定するようにしてもよい。
【0017】
また、映像劣化判定部で、受信品質情報で受信確認されたメディア用パケットの送信順序と受信順序とが矛盾するメディア用パケットを無効パケットと判定するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明にかかるパケット損失特性解析方法は、パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となるメディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を出力するパケット損失特性解析装置で用いられるパケット損失特性解析方法であって、品質情報取得部により、送信側アプリケーション端末から送信されたメディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、受信側アプリケーション端末で受信したメディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得ステップと、品質評価取得部により、受信側アプリケーション端末で再生した映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得ステップと、映像劣化判定部により、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定ステップと、バースト判定条件決定部により、品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件として決定するバースト判定条件決定ステップとを備えている。
【0019】
また、本発明にかかるプログラムは、パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となるメディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を算出するパケット損失特性解析装置のコンピュータに、品質情報取得部により、送信側アプリケーション端末から送信されたメディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、受信側アプリケーション端末で受信したメディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得ステップと、品質評価取得部により、受信側アプリケーション端末で再生した映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得ステップと、映像劣化判定部により、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定ステップと、バースト判定条件決定部により、品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件として決定するバースト判定条件決定ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、映像劣化判定部により、送信品質情報および受信品質情報に基づいて受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットが判定され、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無が判定され、バースト判定条件決定部により、品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率が算出され、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件がバースト判定条件として出力される。
【0021】
これにより、FEC機能の効果が得られずに発生した映像劣化を、例えば人間が知覚できないような映像劣化などの他の映像劣化と正確に区別するためのバースト判定条件を得ることができる。
したがって、本発明で得られたバースト判定条件に基づいて、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を判定することにより、FEC機能の効果が得られずに発生した映像劣化の有無に応じた映像通信状態を精度よく判定することができる。
【0022】
このため、例えば映像通信状態に基づいて異なる品質推定モデルを選択するなど、当該映像通信状態に応じた適切な品質推定方法を用いることができ、ランダムなパケット損失に対する損失耐性が高く、バースト的なパケット損失により初めて映像品質の低下が見られるような品質劣化特性を持つ映像通信についても精度よくユーザ体感品質を推定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
パケット損失特性解析装置1は、通信機能を有する情報処理装置からなり、パケット網5を介して接続されたアプリケーション端末2(2A,2B)や受信側アプリケーション端末2Bに設けられた通信品質評価装置3にそれぞれ接続されて、これらアプリケーション端末2間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となるメディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を出力する。
【0025】
このパケット損失特性解析装置1には、主な機能部として、品質情報取得部11、映像劣化判定部12、品質評価取得部14、およびバースト判定条件決定部15が設けられている。
【0026】
本実施の形態は、映像劣化判定部12により、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末2Bで正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部15により、品質評価取得部14からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件17として決定するようにしたものである。
【0027】
パケット損失特性解析装置1の各機能部は、専用の回路部や演算処理部、さらには記憶部から構成されている。特に、演算処理部(コンピュータ)は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、周辺回路内のメモリや記憶部に格納されているプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させて各機能部を実現する。記憶部は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、各機能部での処理に用いる各種処理情報を記憶する。
【0028】
品質情報取得部11は、送信側アプリケーション端末2Aから送信されたメディア用パケットの送信状況を示す送信品質情報を送信側アプリケーション端末2Aから取得する機能と、受信側アプリケーション端末2Bで受信したメディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報をアプリケーション端末2Bから取得する機能とを有している。なお、アプリケーション端末2(2A,2B)とパケット網5と間に設けられたハブ(HUB)やターミナルアダプタ(TAP)などのパケット転送装置から、当該映像のメディア用パケットを収集(キャプチャ)し、これらメディア用パケットから送信品質情報および受信品質情報を取得してもよい。
【0029】
取得した送信品質情報に含まれている主な品質情報としては、各送信メディア用パケットに関する、送信順序を示すシーケンス番号、映像フレーム種別、映像フレーム番号、送信パケット数、および送信フレーム数がある。また受信品質情報に含まれている主な品質情報としては、各受信メディア用パケットに関する、送信順序を示すシーケンス番号および直前メディア用パケットとの到着時刻差を示す遅延揺らぎ時間がある。
【0030】
映像劣化判定部12は、品質情報取得部11で取得した送信品質情報および受信品質情報に基づいて送信されたメディア用パケットのうち正常に受信できなかった無効パケットを判定する機能と、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する機能とを有している。仮定バースト判定条件13については、予め記憶部(図示せず)に設定しておいてもよく、パケット損失特性解析処理の開始時に入力してもよい。
【0031】
無効パケットとは、送信側のリアルタイム系アプリケーションから送信されたメディア(コンテンツ)のデータを含むメディア用パケットのうち、受信側のリアルタイム系アプリケーションで正常に受信できず、メディアとして再生できないパケットのことである。具体的には、送信側アプリケーション端末2Aと受信側アプリケーション端末2Bとをパケット網5を介して結ぶ伝送路上で損失したパケット、受信側アプリケーションの持つ揺らぎ吸収バッファで到着間隔が調整できなかった遅着パケット、さらにはメディア用パケットの到着順序が規定されているリアルタイム系アプリケーションでメディア用パケットの到着順序が逆転したパケットなどが対象となる。
【0032】
品質評価取得部14は、受信側アプリケーション端末2Bに設けられた通信品質評価装置3から、受信側アプリケーション端末2Bで受信再生した映像に関する映像劣化評価結果を取得する機能を有している。この映像劣化評価結果としては、例えば受信側アプリケーション端末2Bで再生した映像から人間が知覚した映像劣化について、その映像劣化発生時刻と映像劣化発生回数とを記録した情報を用いればよい。
【0033】
バースト判定条件決定部15は、品質評価取得部14からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部12から得た映像劣化判定結果の正解率を算出して、記憶部に判定結果情報16として保存する機能と、判定結果情報16のうち最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件を所望のバースト判定条件17として決定する機能とを有している。
【0034】
[映像劣化判定処理]
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定動作を示す説明図である。
【0035】
パケット損失特性解析装置1の映像劣化判定部12で実行される映像劣化判定処理は、後述するようにいくつかの具体的処理方法が考えられる。
本実施の形態では、仮定バースト判定条件13が、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組からなり、映像劣化判定期間内に仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を連続して設け、任意の無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定する場合を例として説明する。
【0036】
この際、映像劣化判定処理は、送受信アプリケーション端末2A,2B間でやり取りされたメディア用パケットにより送信された映像のうち、例えば3分間程度の映像劣化判定期間ごとに実行される。また、映像劣化判定期間内に複数の無効パケット検出時間を設け、仮定バースト判定条件13に基づいてこれら無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する。
【0037】
ここでは、送信側アプリケーション端末2Aで各フレームに符号化された映像が各メディア用パケットに格納されて送信され、パケット網5を介して受信側アプリケーション端末2Bで受信されて再生される場合を例として説明する。
また、送信品質情報および受信品質情報は、映像劣化判定処理を開始する前に、品質情報取得部11により、RTCP XR(RTP Control Protocol)などの制御用パケットにより、アプリケーション端末2A,2Bから取得されているものとする。
【0038】
パケット損失特性解析装置1の映像劣化判定部12は、品質情報取得部11で取得した送信品質情報および受信品質情報に基づいて送信されたメディア用パケットのうち受信側アプリケーション端末2Bで正常に受信できなかった無効パケットを判定する。
この後、映像劣化判定部12は、図2の映像劣化判定処理を実行することにより、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定する。
【0039】
図2の映像劣化判定処理において、映像劣化判定部12は、まず、記憶部から任意の仮定バースト判定条件13を取得する(ステップ100)。仮定バースト判定条件13は、所望のバースト判定条件17の候補となる情報であり、値の異なる複数の仮定バースト判定条件13が予め記憶部に保存されている。
【0040】
仮定バースト判定条件13は、無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を規定する情報からなる。本実施の形態では、図3に示すように、無効パケット検出時間の期間長を規定する、例えば10ms程度の値からなる仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数に基づき映像劣化の有無を判定する、例えばパケット数=3程度の値からなる仮定バースト判定パケット数との組が、仮定バースト判定条件13として用いられている。
【0041】
次に、映像劣化判定部12は、無効パケット検出時間内で検出された無効パケット数の計数値を初期化し(ステップ101)、新たな無効パケット検出時間の計時を開始する(ステップ102)。
続いて、映像劣化判定部12は、受信品質情報および無効パケット判定結果に基づいて、送信されたメディア用パケットのうち無効パケット検出時間内に受信側アプリケーション端末2Bで正常受信したパケットおよび正常受信できなかった無効パケットからなる処理パケットを時刻順に1つずつ選択する(ステップ103)。なお、一度選択された処理パケットが再度選択されることはない。
【0042】
そして、選択した処理パケットが無効パケットであった場合にのみ(ステップ103:YES)、無効パケット数を計数し(ステップ104)、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過するまでステップ103,104を繰り返し実行する(ステップ105:NO)。
【0043】
一方、ステップ105において、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過した場合(ステップ105:YES)、無効パケット数と仮定バースト判定パケット数とを比較する(ステップ106)。
ここで、無効パケット数が仮定バースト判定パケット数以上であった場合にのみ(ステップ106:YES)、当該無効パケット検出時間において映像劣化ありと判定し、これまでに計数した映像劣化検出回数を1つ増やすとともに、当該無効パケット検出期間の開始時刻を映像劣化発生時刻として記憶部へ保存する(ステップ107)。
【0044】
この後、映像劣化判定期間が終了していない場合は(ステップ108:NO)、ステップ101へ戻って次の無効パケット検出時間に対する映像結果判定処理を繰り返し実行し、映像劣化判定期間の終了に応じて(ステップ108:YES)、一連の映像劣化判定処理を終了する。
【0045】
図3の例では、最初の無効パケット検出時間内では2つの無効パケットが検出されたものの、この無効パケット数「2」は仮定バースト判定パケット数「3」よりも小さいため、映像劣化なしと判定される。一方、次の無効パケット検出時間内では4つの無効パケットが検出され、この無効パケット数「4」は仮定バースト判定パケット数「3」以上であるため、映像劣化ありと判定される。
【0046】
このように、本実施の形態では、仮定バースト判定条件13として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部12により、映像劣化判定期間内に仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を連続して設け、任意の無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定するようにしたので、パケット数を計数比較するという簡素な処理で映像劣化の有無を判定できる。また、映像劣化判定期間について平均的な映像劣化判定結果を得ることができる。
【0047】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置でのパケット損失特性解析処理を示すフローチャートである。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の正解率算出動作を示す説明図である。図6は、本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置のバースト条件決定動作を示す説明図である。
【0048】
ここでは、送信側アプリケーション端末2Aで各フレームに符号化された映像が各メディア用パケットに格納されて送信され、パケット網5を介して受信側アプリケーション端末2Bで受信されて再生される場合を例として説明する。なお、パケット網5としては、パケットのパケット損失率、損失パターン、遅延揺らぎなどのネットワーク特性を任意に変更できるパケット網エミュレータを用いてもよい。これにより、パケット網5に対して各種ネットワーク特性を容易に設定でき、任意のパケット挙動特性下におけるパケット損失特性を容易に解析できる。
【0049】
パケット損失特性解析装置1の品質情報取得部11は、RTCP XR(RTP Control Protocol)などの制御用パケットで送信された送信品質情報および受信品質情報を、アプリケーション端末2A,2Bから受信して取得する(ステップ110)。なお、アプリケーション端末2A,2Bとパケット網5と間に設けられたハブ(HUB)やターミナルアダプタ(TAP)などのパケット転送装置から、品質情報取得部11により、当該映像のメディア用パケットを収集(キャプチャ)し、これらメディア用パケットから送信品質情報および受信品質情報を取得してもよい。
【0050】
取得した送信品質情報に含まれている主な品質情報としては、各送信メディア用パケットに関する、送信順序を示すシーケンス番号、映像フレーム種別、映像フレーム番号、送信パケット数、および送信フレーム数がある。また受信品質情報に含まれている主な品質情報としては、各受信メディア用パケットに関する、送信順序を示すシーケンス番号および直前メディア用パケットとの到着時刻差を示す遅延揺らぎ時間がある。
【0051】
一方、品質評価取得部14は、受信側アプリケーション端末2Bに設けられた通信品質評価装置3から、受信側アプリケーション端末2Bで受信再生した当該映像に関する映像劣化評価結果を取得する(ステップ111)。
【0052】
次に、映像劣化判定部12は、品質情報取得部11で取得した送信品質情報および受信品質情報に基づいて、送信側アプリケーション端末2Aから送信されたメディア用パケットのうち、受信側アプリケーション端末2Bで正常に受信できなかった無効パケットを判定する(ステップ112)。
【0053】
続いて、映像劣化判定部12は、前述した図2の映像劣化判定処理を実行して、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定し、映像劣化判定結果として映像劣化発生時刻と映像劣化検出回数を出力する(ステップ113)。
【0054】
その後、バースト判定条件決定部15は、品質評価取得部14からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部12から得た映像劣化判定結果の正解率を算出して、記憶部に判定結果情報16として保存する(ステップ114)。
この際、バースト判定条件決定部15では、映像劣化評価結果と映像劣化判定結果について、それぞれの映像劣化検出時刻と映像劣化検出回数を比較し、それぞれの映像劣化について正解得点を求める。
【0055】
例えば図5に示すように、映像劣化評価結果と映像劣化判定結果の双方で同時刻に映像劣化が検出されていれば「正解」と判断して正解得点を「+1」とし、映像劣化評価結果で映像劣化が検出されていない時刻に映像劣化判定結果で映像劣化が検出された場合は「誤検出」と判断して正解得点を「−1」とし、映像劣化評価結果で映像劣化が検出された時刻に映像劣化判定結果で映像劣化が検出されていない場合は「未検出」と判断して正解得点を「0」とする。
【0056】
そして、これら正解得点を合計し、その合計を映像劣化判定結果の映像劣化検出回数で除算して平均値を求めることにより正解率を算出する。図5の例では、「正解」が2つ、「誤検出」が1つ、「未検出」が1つであることから、正解得点合計=1−1+0+1=1となり、これを映像結果検出回数=3で除算することにより、正解率=1/3=0.333が求められる。
【0057】
バースト判定条件決定部15は、このようにして、異なるバースト判定条件ごとに求めた正解率からなる判定結果情報16のうち、図6に示すように、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件を所望のバースト判定条件17として決定して、記憶部あるいは装置外部へ出力し(ステップ115)、一連のパケット損失特性解析処理を終了する。
【0058】
このように、本実施の形態は、映像劣化判定部12により、送信品質情報および受信品質情報に基づいてメディア用パケットのうち正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件13に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに無効パケットから映像劣化の有無を判定し、バースト判定条件決定部15により、品質評価取得部14からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件をバースト判定条件17として決定する
【0059】
これにより、FEC機能の効果が得られずに発生した映像劣化を、例えば人間が知覚できないような映像劣化などの他の映像劣化と正確に区別するためのバースト判定条件を得ることができる。
したがって、本発明で得られたバースト判定条件に基づいて、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を判定することにより、FEC機能の効果が得られずに発生した映像劣化の有無に応じた映像通信状態を精度よく判定することができる。
【0060】
このため、例えば映像通信状態に基づいて異なる品質推定モデルを選択するなど、当該映像通信状態に応じた適切な品質推定方法を用いることができ、ランダムなパケット損失に対する損失耐性が高く、バースト的なパケット損失により初めて映像品質の低下が見られるような品質劣化特性を持つ映像通信についても精度よくユーザ体感品質を推定することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態では、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部12により、映像劣化判定期間内に仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を連続して設け、任意の無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定するようにしたので、パケット数を計数比較するという簡素な処理で映像劣化の有無を判定できる。また、映像劣化判定期間について平均的な映像劣化判定結果を得ることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、バースト判定条件決定部15により、映像劣化判定結果で映像劣化ありと判定された劣化時点と、映像劣化評価結果で映像劣化ありと評価された劣化時点のそれぞれについて、両者における映像劣化の検出有無を比較し、これら劣化時点における当該比較結果に応じた正解得点の合計値に基づき正解率を算出するようにしたので、異なるバースト判定条件ごとに得られた映像劣化判定結果を、簡素な処理で容易かつ正確に比較評価することができる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、図7および図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。図8は、本発明の第2の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定動作を示す説明図である。
【0064】
第1の実施の形態では、パケット損失特性解析装置1の映像劣化判定処理として、映像劣化判定期間内に連続して無効パケット検出時間を設けた場合を例として説明した。本実施の形態では、映像劣化判定期間内に任意の無効パケットを先頭として無効パケット検出時間を設けた場合を例として説明する。なお、本実施の形態は、映像劣化判定部12での映像劣化判定処理が変更されるだけで、パケット損失特性解析装置1の構成については第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施の形態では、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用いる。
映像劣化判定部12は、任意の無効パケットの発生時点から、例えば3分間程度の仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を設け、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定する。
【0066】
[第2の実施の形態の動作]
図7の映像劣化判定処理において、映像劣化判定部12は、まず、記憶部から任意の仮定バースト判定条件13を取得する(ステップ120)。仮定バースト判定条件13は、所望のバースト判定条件17の候補となる情報であり、値の異なる複数の仮定バースト判定条件13が予め記憶部に保存されている。
【0067】
仮定バースト判定条件13は、無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を規定する情報からなる。本実施の形態では、図8に示すように、無効パケット検出時間の期間長を規定する、例えば10ms程度の値からなる仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数に基づき映像劣化の有無を判定する、例えばパケット数3程度の値からなる仮定バースト判定パケット数との組が、仮定バースト判定条件13として用いられている。
【0068】
次に、映像劣化判定部12は、無効パケット検出時間内で検出された無効パケット数の計数値を初期化する(ステップ121)。
続いて、映像劣化判定部12は、受信品質情報および無効パケット判定結果に基づいて、送信されたメディア用パケットのうち無効パケット検出時間内に受信側アプリケーション端末2Bで正常受信したパケットおよび正常受信できなかった無効パケットからなる処理パケットを時刻順に1つずつ選択する。なお、一度選択された処理パケットが再度選択されることはない。
【0069】
そして、選択した処理パケットが無効パケットであった場合にのみ(ステップ122:YES)、無効パケット数を計数する(ステップ123)。この際、無効パケット数が「1」の場合にのみ(ステップ124:YES)、新たな無効パケット検出時間の計時を開始する(ステップ125)。
映像劣化判定部12は、このようにして、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過するまでステップ122〜125を繰り返し実行する(ステップ126:NO)。
【0070】
一方、ステップ126において、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過した場合(ステップ126:YES)、無効パケット数と仮定バースト判定パケット数とを比較する(ステップ127)。
ここで、無効パケット数が仮定バースト判定パケット数以上であった場合にのみ(ステップ127:YES)、当該無効パケット検出時間において映像劣化ありと判定し、これまでに計数した映像劣化検出回数を1つ増やすとともに、当該無効パケット検出期間の開始時刻を映像劣化発生時刻として記憶部へ保存する(ステップ128)。
【0071】
この後、映像劣化判定期間が終了していない場合は(ステップ129:NO)、ステップ121へ戻って次の無効パケット検出時間に対する映像結果判定処理を繰り返し実行し、映像劣化判定期間の終了に応じて(ステップ129:YES)、一連の映像劣化判定処理を終了する。
【0072】
図8の例では、最初の無効パケット検出時間内では2つの無効パケットが検出されたものの、この無効パケット数「2」は仮定バースト判定パケット数「T=3」よりも小さいため、映像劣化なしと判定される。一方、次の無効パケット検出時間内では4つの無効パケットが検出され、この無効パケット数「4」は仮定バースト判定パケット数「T=3」以上であるため、映像劣化ありと判定される。
【0073】
このように、本実施の形態では、仮定バースト判定条件13として、無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部12により、任意の無効パケットの発生時点から仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を設け、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定するようにしたので、パケット数を計数比較するという簡素な処理で映像劣化の有無を判定できる。
【0074】
また、固定長の無効パケット検出時間が、必ず無効パケットを先頭として設けられるため、無効パケット検出時間を連続無効パケットの発生する区間に効率よく設定することができ、高い精度で映像劣化判定を行うことができる。
【0075】
[第3の実施の形態]
次に、図9および図10を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置について説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。図10は、本発明の第3の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定動作を示す説明図である。
【0076】
第1の実施の形態では、パケット損失特性解析装置1の映像劣化判定処理として、映像劣化判定期間内に連続して無効パケット検出時間を設けた場合を例として説明した。本実施の形態では、映像劣化判定期間内に、任意の無効パケットの発生時点から次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となった時点までを無効パケット検出時間として設けた場合を例として説明する。なお、本実施の形態は、映像劣化判定部12での映像劣化判定処理が変更されるだけで、パケット損失特性解析装置1の構成については第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施の形態では、仮定バースト判定条件として、無効パケット検出時間の終了判定に用いる無効パケット間隔数を規定する仮定パケット密度判定量と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用いる。
映像劣化判定部12は、任意の無効パケットの発生時点から次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となった時点までの期間長を持つ無効パケット検出時間を設け、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定する。
【0078】
[第3の実施の形態の動作]
図9の映像劣化判定処理において、映像劣化判定部12は、まず、記憶部から任意の仮定バースト判定条件13を取得する(ステップ140)。仮定バースト判定条件13は、所望のバースト判定条件17の候補となる情報であり、値の異なる複数の仮定バースト判定条件13が予め記憶部に保存されている。
【0079】
仮定バースト判定条件13は、無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を規定する情報からなる。本実施の形態では、図10に示すように、無効パケット検出時間の終了判定に用いる無効パケット間隔数を規定する仮定パケット密度判定量と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数に基づき映像劣化の有無を判定する、例えばパケット数3程度の値からなる仮定バースト判定パケット数との組が、仮定バースト判定条件13として用いられている。
【0080】
次に、映像劣化判定部12は、無効パケット検出時間内で検出された無効パケット数の計数値を初期化する(ステップ141)。
続いて、映像劣化判定部12は、受信品質情報および無効パケット判定結果に基づいて、送信されたメディア用パケットのうち無効パケット検出時間内に受信側アプリケーション端末2Bで正常受信したパケットおよび正常受信できなかった無効パケットからなる処理パケットを時刻順に1つずつ選択する。なお、一度選択された処理パケットが再度選択されることはない。
【0081】
そして、選択した処理パケットが無効パケットであった場合にのみ(ステップ142:YES)、無効パケット数を計数する(ステップ143)。この際、無効パケット数が「1」の場合にのみ(ステップ144:YES)、新たな無効パケット検出時間の計時を開始して(ステップ145)、無効パケット間隔数を初期化する(ステップ146)。
【0082】
また、ステップ142において、選択した処理パケットが無効パケットではない場合(ステップ142:NO)、およびステップ144において無効パケット数が「1」ではない場合(ステップ144:NO)には、無効パケット間隔数を1つ増やす(ステップ147)。
映像劣化判定部12は、このようにして、無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となるまでステップ142〜147を繰り返し実行する(ステップ148:NO)。
【0083】
一方、ステップ148において、無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となった場合(ステップ148:YES)、無効パケット数と仮定バースト判定パケット数とを比較する(ステップ149)。
ここで、無効パケット数が仮定バースト判定パケット数以上であった場合にのみ(ステップ149:YES)、当該無効パケット検出時間において映像劣化ありと判定し、これまでに計数した映像劣化検出回数を1つ増やすとともに、当該無効パケット検出期間の開始時刻を映像劣化発生時刻として記憶部へ保存する(ステップ150)。
【0084】
この後、映像劣化判定期間が終了していない場合は(ステップ151:NO)、ステップ141へ戻って次の無効パケット検出時間に対する映像結果判定処理を繰り返し実行し、映像劣化判定期間の終了に応じて(ステップ151:YES)、一連の映像劣化判定処理を終了する。
【0085】
図10の例では、最初の無効パケット検出時間内では、次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量「X=5」となって無効パケット検出時間が終了した時点までに、1つの無効パケットしか検出されず、この無効パケット数「1」は仮定バースト判定パケット数「T=3」よりも小さいため、映像劣化なしと判定される。一方、次の無効パケット検出時間内では、次の無効パケットまでの無効パケット間隔数がそれぞれ「1」,「1」,「0」と続き、最後の無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量「X=5」となって無効パケット検出時間が終了する。この間、合わせて4つの無効パケットが検出され、この無効パケット数「4」は仮定バースト判定パケット数「T=3」以上であるため、映像劣化ありと判定される。
【0086】
このように、本実施の形態では、仮定バースト判定条件13として、無効パケット検出時間の終了判定に用いる無効パケット間隔数を規定する仮定パケット密度判定量と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組を用い、映像劣化判定部12により、任意の無効パケットの発生時点から次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が仮定パケット密度判定量以上となった時点までを無効パケット検出時間とし、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定するようにしたので、パケット数を計数比較するという簡素な処理で映像劣化の有無を判定できる。
【0087】
また、無効パケット検出時間の終了時点を無効パケット間隔数で判定するようにしたので、無効パケットの発生状況に応じた可変長の無効パケット検出時間を設定することができる。これにより、固定長の無効パケット検出時間を用いる場合と比較して、映像劣化として知覚される可能性が高い連続無効パケットを、1つのまとまりとして映像劣化の判定を行うことができ、極めて高い精度で映像劣化判定を行うことができる。
【0088】
[第4の実施の形態]
次に、図11および図12を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置について説明する。図11は、本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の構成を示すブロック図であり、前述した図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図12は、本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での判定対象パケット選択動作を示す説明図である。
【0089】
第1の実施の形態では、受信側アプリケーション端末2Bで正常受信されたメディア用パケットおよび無効パケットのすべてを処理パケットとして映像劣化判定処理を行う場合を例として説明した。本実施の形態では、受信側アプリケーション端末2Bで正常受信されたパケットおよび無効パケットのうち、それぞれのメディア用パケットに対応するフレーム種別に応じて映像劣化判定処理すべきパケットを判定対象パケットとして選択する場合について説明する。
【0090】
第1の実施の形態と比較して、本実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置1には、新たな機能部として、判定対象パケット選択部18が追加されている。なお、本実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置1における他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0091】
判定対象パケット選択部18は、受信品質情報に基づいてメディア用パケットに対応するフレームのフレーム種別を判定する機能と、フレーム種別に基づいてメディア用パケットのうち映像劣化の判定対象となる判定対象パケットを選択する機能とを有している。各パケットに対応するフレーム種別については、例えば記送信品質情報に含まれる当該パケットのヘッダ情報から、対象フレームのフレーム種別を取得することができる。
【0092】
一般に、映像を各種フレームに符号化する場合、当該フレームに含まれる符号化データの内容に応じて、それぞれのフレームの劣化による映像品質に対する影響は異なる。例えば、標準規格MPEG−2(ISO/IEC 13818)のGOP(Group Of Pictures)構成において、当該フレームに対応する画像のすべての画像データを含むIフレームや、このIフレームなどの過去の画像から片方向フレーム間予測符号化により生成されるPフレームでは、劣化による映像品質に対する影響は大きい。一方、I,Pフレームなどの過去や未来の画像から両方向フレーム間予測符号化により生成されるBフレームでは、劣化による映像品質に対する影響は比較的小さい。
【0093】
本実施の形態は、このようなフレーム種別で異なる映像品質への影響に着目し、図12に示すように、メディア用パケットに対応するフレームのフレーム種別を判定し、例えばIフレームやPフレームなど、劣化による映像品質に対する影響が大きいフレーム種別のメディア用パケットのみを、映像劣化判定処理の判定対象パケットとして選択するようにしたものである。
これにより、人間に映像劣化として知覚されうる無効パケットのみを映像劣化判定処理とすることができ、高い精度で映像劣化判定を行うことができる。
【0094】
[第4の実施の形態の動作]
次に、図13を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の動作について説明する。図13は、本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートであり、前述した図7と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
ここでは、第2の実施の形態で説明した映像劣化判定処理に、本実施の形態を適用した場合を例として説明するが、他の実施の形態にも同様にして適用できる。
【0095】
図13の映像劣化判定処理において、映像劣化判定部12は、まず、記憶部から任意の仮定バースト判定条件13を取得する(ステップ120)。仮定バースト判定条件13は、所望のバースト判定条件17の候補となる情報であり、値の異なる複数の仮定バースト判定条件13が予め記憶部に保存されている。
【0096】
仮定バースト判定条件13は、無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を規定する情報からなる。本実施の形態では、無効パケット検出時間の期間長を規定する、例えば10ms程度の値からなる仮定バースト時間と、無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数に基づき映像劣化の有無を判定する、例えばパケット数3程度の値からなる仮定バースト判定パケット数との組が、仮定バースト判定条件13として用いられている。
【0097】
次に、映像劣化判定部12は、無効パケット検出時間内で検出された無効パケット数の計数値を初期化する(ステップ121)。
続いて、映像劣化判定部12は、受信品質情報および無効パケット判定結果に基づいて、送信されたメディア用パケットのうち無効パケット検出時間内に受信側アプリケーション端末2Bで正常受信したパケットおよび正常受信できなかった無効パケットからなる処理パケットを時刻順に1つずつ選択する。なお、一度選択された処理パケットが再度選択されることはない。
【0098】
そして、選択した処理パケットが無効パケットであった場合には(ステップ122:YES)、判定対象パケット選択部18での選択結果に基づいて、当該無効パケットが判定対象パケットか否か検査し、判定対象パケットでない場合は(ステップ130:NO)、後述するステップ129へ移行する。
【0099】
また、当該無効パケットが判定対象パケットである場合は(ステップ130:YES)、無効パケット数を計数する(ステップ123)。この際、無効パケット数が「1」の場合にのみ(ステップ124:YES)、新たな無効パケット検出時間の計時を開始する(ステップ125)。
映像劣化判定部12は、このようにして、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過するまでステップ122〜125を繰り返し実行する(ステップ126:NO)。
【0100】
一方、ステップ126において、無効パケット検出時間が仮定バースト時間分経過した場合(ステップ126:YES)、無効パケット数と仮定バースト判定パケット数とを比較する(ステップ127)。
ここで、無効パケット数が仮定バースト判定パケット数以上であった場合にのみ(ステップ127:YES)、当該無効パケット検出時間において映像劣化ありと判定し、これまでに計数した映像劣化検出回数を1つ増やすとともに、当該無効パケット検出期間の開始時刻を映像劣化発生時刻として記憶部へ保存する(ステップ128)。
【0101】
この後、映像劣化判定期間が終了していない場合は(ステップ129:NO)、ステップ121へ戻って次の無効パケット検出時間に対する映像結果判定処理を繰り返し実行し、映像劣化判定期間の終了に応じて(ステップ129:YES)、一連の映像劣化判定処理を終了する。
【0102】
このように、本実施の形態は、判定対象パケット選択部18により、受信品質情報に基づいてメディア用パケットに対応するフレームのフレーム種別を判定し、フレーム種別に基づいてメディア用パケットのうち映像劣化の判定対象となる判定対象パケットを選択し、映像劣化判定部12により、無効パケットのうち判定対象パケットに選択された無効パケットから映像劣化の有無を判定するようにしたので、人間に映像劣化として知覚されうる無効パケットのみを映像劣化判定処理とすることができ、高い精度で映像劣化判定を行うことができる。
【0103】
[第5の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置について説明する。図14は、本発明の第5の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での無効パケット判定処理を示すフローチャートである。
【0104】
本実施の形態では、前述した第1の実施の形態の映像劣化判定部12における無効パケット判定処理の具体例について説明する。
映像劣化判定部12は、まず、送信品質情報から未判定の送信メディア用パケットを任意に選択し(ステップ160)、そのシーケンス番号と同じメディア用パケットが受信されているか受信品質情報で確認する(ステップ161)。ここで、シーケンス番号と同じメディア用パケットが受信されていない場合には(ステップ161:NO)、当該メディア用パケットが途中の伝送路で損失した損失パケットであると判断できることから、無効パケットであると判定する(ステップ165)。
【0105】
一方、シーケンス番号と同じメディア用パケットが受信されている場合には(ステップ161:YES)、当該送信メディア用パケットの遅延揺らぎ時間を受信品質情報で確認し、リアルタイム系アプリケーションが持つ許容遅延時間と比較する(ステップ162)。ここで、遅延揺らぎ時間が許容遅延時間を上回っている場合には(ステップ162:NO)、当該メディア用パケットが途中の伝送路や端末内で遅延して到着した遅着パケットであると判断できることから、無効パケットであると判定する(ステップ165)。
【0106】
一方、遅延揺らぎ時間が許容遅延時間以下である場合には(ステップ162:YES)、当該リアルタイム系アプリケーションが到着順序逆転パケットを損失と見なす場合にのみ(ステップ163:YES)、かつ当該メディア用パケットの到着順とシーケンス番号とが一致するか受信品質情報により確認する。ここで、この一致が確認できず到着順序が逆転しているパケットである場合には(ステップ164:YES)、無効パケットであると判定する(ステップ165)。
【0107】
なお、到着順序が逆転していない場合(ステップ164:NO)や、当該リアルタイム系アプリケーションが到着順序逆転パケットを損失と見なさない場合(ステップ163:NO)、当該パケットは無効パケットではないと判定する(ステップ166)。
このようにして、選択した送信メディア用パケットに対して無効パケット判定を行った後、無効パケット未判定の送信パケットが残っている場合には(ステップ167:YES)、前述したステップ160へ戻って残りの受信メディア用パケットに対する無効パケット判定を繰り返し行う。一方、すべての送信メディア用パケットに対して無効パケット判定が終了した場合(ステップ167:NO)、一連の無効パケット判定処理を終了する。
【0108】
このように、本実施の形態では、映像劣化判定部12により、送信品質情報で送信が確認されたメディア用パケットのうち受信品質情報で受信が確認されていないメディア用パケット、および受信品質情報の各メディア用パケットの到着時刻から得た直前メディア用パケットとの到着時刻差がアプリケーションの許容パケット遅延時間を超えるメディア用パケットを無効パケットと判定するようにしたので、途中の伝送路だけではなく遅着により損失したパケットについても無効パケットと判定することができ、受信側のリアルタイム系アプリケーションでメディアとして再生できないパケットを正確に判定できる。
【0109】
また、映像劣化判定部12により、受信品質情報で受信確認されたメディア用パケットの送信順序と受信順序とが矛盾するメディア用パケットを無効パケットと判定するようにしたので、当該リアルタイム系アプリケーションが到着順序逆転パケットを損失と見なす場合、受信側のリアルタイム系アプリケーションでメディアとして再生できないパケットをさらに正確に判定できる。
【0110】
[各実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、パケット損失特性解析装置1が、パケット損失特性解析処理に必要な送受信品質情報や映像劣化評価結果をアプリケーション端末2A,2Bや通信品質評価装置3から、メディア送信時にリアルタイム(オンライン)で取得する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、任意の計測システムで予めパケット損失特性解析処理に必要な送受信品質情報や映像劣化評価結果を計測しておき、その後(オフラインで)これらデータをパケット損失特性解析装置1に入力するようにしてもよい。
【0111】
また、パケット損失特性解析装置1により、パケット損失特性解析処理に必要な送受信品質情報や映像劣化評価結果をメディア送信時にリアルタイム(オンライン)で取得する場合、送信側アプリケーション端末2Aから送信すべき映像を選択指示する機能、パケット網エミュレータからなるパケット網5に対して所定のパケット挙動特性を指示する機能、さらには受信側アプリケーション端末2Bでの映像劣化を評価する機能などをパケット損失特性解析装置1に備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の映像劣化判定動作を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置でのパケット損失特性解析処理を示すフローチャートである。
【図5】正解率算出動作を示す説明図である。
【図6】バースト条件決定動作を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の映像劣化判定動作を示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の映像劣化判定動作を示す説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置の構成を示すブロック図である。
【図12】判定対象パケット選択動作を示す説明図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での映像劣化判定処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施の形態にかかるパケット損失特性解析装置での無効パケット判定処理を示すフローチャートである。
【図15】FEC機能の効果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0113】
1…パケット損失特性解析装置、11…品質情報取得部、12…映像劣化判定部、13…仮定バースト判定条件、14…品質評価取得部、15…バースト判定条件決定部、16…判定結果情報、17…バースト判定条件、18…判定対象パケット選択部、2,2A,2B…アプリケーション端末、3…通信品質評価装置、5…パケット網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となる前記メディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を出力するパケット損失特性解析装置であって、
前記送信側アプリケーション端末から送信された前記メディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、前記受信側アプリケーション端末で受信した前記メディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得部と、
前記受信側アプリケーション端末で再生した前記映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得部と、
前記送信品質情報および前記受信品質情報に基づいて前記メディア用パケットのうち前記受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに前記無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定部と、
前記品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件を前記バースト判定条件として決定するバースト判定条件決定部と
を備えることを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記仮定バースト判定条件は、前記無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、前記無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組からなり、
前記映像劣化判定部は、前記映像劣化判定期間内に前記仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を連続して設け、任意の無効パケット検出時間内の無効パケットの数と前記仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、
前記バースト判定条件決定部は、各種仮定バースト時間と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト時間および仮定バースト判定パケット数の組を前記バースト判定条件として出力する
ことを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記仮定バースト判定条件は、前記無効パケット検出時間の期間長を規定するための仮定バースト時間と、前記無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組からなり、
前記映像劣化判定部は、任意の無効パケットの発生時点から前記仮定バースト時間の期間長を持つ無効パケット検出時間を設け、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と前記仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、
前記バースト判定条件決定部は、各種仮定バースト時間と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト時間および仮定バースト判定パケット数の組を前記バースト判定条件として出力する
ことを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項4】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記仮定バースト判定条件は、前記無効パケット検出時間の終了判定に用いる無効パケット間隔数を規定する仮定パケット密度判定量と、前記無効パケット検出時間内に検出した無効パケット数を判定するための仮定バースト判定パケット数との組からなり、
前記映像劣化判定部は、任意の無効パケットの発生時点から次の無効パケットまでの無効パケット間隔数が前記仮定パケット密度判定量以上となった時点までを無効パケット検出時間とし、当該無効パケット検出時間内の無効パケットの数と前記仮定バースト判定パケット数との比較結果に基づいて当該無効パケット検出時間における映像劣化の有無を判定し、
前記バースト判定条件決定部は、各種仮定パケット密度判定量と仮定バースト判定パケット数との組からなる仮定バースト条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定パケット密度判定量および仮定バースト判定パケット数の組を前記バースト判定条件として出力する
ことを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項5】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記バースト判定条件決定部は、前記映像劣化判定結果で映像劣化ありと判定された劣化時点と、前記映像劣化評価結果で映像劣化ありと評価された劣化時点のそれぞれについて、両者における映像劣化の検出有無を比較し、これら劣化時点における当該比較結果に応じた正解得点の合計値に基づき前記正解率を算出することを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項6】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記受信品質情報に基づいて前記メディア用パケットに対応する映像のフレーム種別を判定し、前記フレーム種別に基づいて前記メディア用パケットのうち映像劣化の判定対象となる判定対象パケットを選択する判定対象パケット選択部をさらに備え、
前記映像劣化判定部は、前記無効パケットのうち前記判定対象パケットに選択された無効パケットから映像劣化の有無を判定する
ことを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項7】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記映像劣化判定部は、前記送信品質情報で送信が確認されたメディア用パケットのうち前記受信品質情報で受信が確認されていないメディア用パケット、および前記受信品質情報の各メディア用パケットの到着間隔を示す遅延揺らぎ時間が前記アプリケーションの許容パケット遅延時間を超えるメディア用パケットを前記無効パケットと判定することを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項8】
請求項1に記載のパケット損失特性解析装置において、
前記映像劣化判定部は、前記受信品質情報で受信確認されたメディア用パケットの送信順序と受信順序とが矛盾するメディア用パケットを前記無効パケットと判定することを特徴とするパケット損失特性解析装置。
【請求項9】
パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となる前記メディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を出力するパケット損失特性解析装置で用いられるパケット損失特性解析方法であって、
品質情報取得部により、前記送信側アプリケーション端末から送信された前記メディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、前記受信側アプリケーション端末で受信した前記メディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得ステップと、
品質評価取得部により、前記受信側アプリケーション端末で再生した前記映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得ステップと、
映像劣化判定部により、前記送信品質情報および前記受信品質情報に基づいて前記メディア用パケットのうち前記受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに前記無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定ステップと、
バースト判定条件決定部により、前記品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件を前記バースト判定条件として決定するバースト判定条件決定ステップと
を備えることを特徴とするパケット損失特性解析方法。
【請求項10】
パケット網を介して接続された送信側および受信側アプリケーション端末間での映像通信に用いるメディア用パケットの損失特性を解析することにより、当該映像品質の劣化要因となる前記メディア用パケットのバースト的な損失を判定するためのバースト判定条件を算出するパケット損失特性解析装置のコンピュータに、
品質情報取得部により、前記送信側アプリケーション端末から送信された前記メディア用パケットの送信状況を示す送信側品質情報と、前記受信側アプリケーション端末で受信した前記メディア用パケットの受信状況を示す受信品質情報とを取得する品質情報取得ステップと、
品質評価取得部により、前記受信側アプリケーション端末で再生した前記映像の劣化に関する評価結果を取得する品質評価取得ステップと、
映像劣化判定部により、前記送信品質情報および前記受信品質情報に基づいて前記メディア用パケットのうち前記受信側アプリケーション端末で正常に受信できなかった無効パケットを判定し、任意の無効パケット検出時間内における無効パケットの発生状況を示す仮定バースト判定条件に基づいて、所定の映像劣化判定期間内で無効パケット検出時間ごとに前記無効パケットから映像劣化の有無を判定する映像劣化判定ステップと、
バースト判定条件決定部により、前記品質評価取得部からの映像劣化評価結果に基づいて、異なるバースト判定条件ごとに前記映像劣化判定部から得た映像劣化判定結果の正解率を算出し、最も高い正解率を示す仮定バースト判定条件を前記バースト判定条件として決定するバースト判定条件決定ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−329773(P2007−329773A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160328(P2006−160328)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】