説明

パケット解析装置、パケット解析方法およびパケット解析プログラム

【課題】ネットワークの初心者であっても、パケットについての各種解析を行うことのできるパケット解析装置、パケット解析方法およびパケット解析プログラムを得ること。
【解決手段】パケット解析装置10は、第1の通信ネットワークを介して任意の数の第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段11と、第2の通信ネットワークを介して第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続してパケットを送受信する第2のパケット送受信手段12と、第1種の通信装置にパケット信号に関する解析内容をウェブブラウザ画面の使用によって選択させる解析内容選択手段13と、解析内容の選択が行われたときパケット信号を有限の時間にわたって解析するパケット解析手段14と、解析結果をウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示手段15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークで使用されるパケットを解析するパケット解析装置、パケット解析方法およびパケット解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブページを閲覧しようとするとき、あるいは、電子メールを送受信しようとするときにエラーが発生することがある。このような事象が発生したとき、パーソナルコンピュータやルータ装置、あるいはホームゲートウェイ装置の設定の誤りである場合が多い。このようなトラブルが発生した場合、本発明に関連する第1の関連技術として、パケットキャプチャツールを使用してエラーを解析することが行われている。パケットキャプチャツールは、通信ネットワーク上を流れるパケットをキャプチャ(捕捉)して解析することで、エラーの原因を突き止めるために使用するツールである。
【0003】
図26は、パケットキャプチャを用いたエラーの解析の手法を説明するためのものである。エラーを解析する際には、階層モデルにおける物理層901からネットワークインタフェース層902、インターネット層903、トランスポート層904およびアプリケーション層905というように順次、階層を上げていってパケットのシーケンスを確認することが行われる。
【0004】
たとえば、ユーザ宅内の図示しないパーソナルコンピュータがウェブページにアクセスできないものとする。このような場合には、パーソナルコンピュータと図示しないルータ装置やハブを結ぶ通信ケーブルが接続されているかといった物理層901のチェックがまず行われ、これに続いて、順に、階層(レイヤ)を上げてチェックが行われる。
【0005】
ここで、物理層901のチェックは、パーソナルコンピュータが有線でルータ装置に接続される設定の場合には、通信ケーブルが物理的にルータ装置と接続されているかを点検するだけでよい。したがって、物理層901のチェックは、ネットワークの初心者であっても比較的簡単に行うことができる。
【0006】
ところが、これよりも1階層上のネットワークインタフェース層902の点検では、MAC(Media Access Control)アドレスが割り振られているかをチェックする必要があり、更に上のインターネット層903の点検ではIP(Internet Protocol)アドレスが割り振られているかをチェックする必要がある。最後のアプリケーション層905の点検では、アプリケーションソフトウェアの設定が合っているかをチェックする。このように物理層901よりも上の層の点検では、各種の設定の確認を行ったり、パケットキャプチャによって問題となるパケットの情報を確認したり、接続シーケンスを確認する等の細かな情報の確認を1つ1つ行いながら処理を進行させる必要がある。
【0007】
このため、通信ネットワークに関するエラーの解析には、手間と時間が掛かり、解析者も専門的な知識を必要とする。この結果、このようなエラーの解析は、かなり敷居の高い作業となり、コストもかなり掛かる場合がある。
【0008】
そこで、受信側の装置が送信側の装置から送られてくるパケット信号の受信パターンを検出して、受信の成否やエラー原因を送信側に通知するようにした第2の関連技術が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−088525号公報(第0117段落、第0145段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この第2の関連技術では、たとえば携帯電話機と、これと赤外線通信を行うテレビジョンとの間の1対1の通信で有効であるとしても、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置がネットワーク上の各種サーバと通信するような場合には対応することができない。また、この第2の関連技術は、送信機器から、通信接続の確立を行う処理に限定されており、パケットに関する各種の解析に対処できない。
【0011】
そこで本発明の目的は、ネットワークの初心者であっても、パケットについての各種解析を行うことのできるパケット解析装置、パケット解析方法およびパケット解析プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、(イ)第1の通信ネットワークを介して任意の数の第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段と、(ロ)前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続してパケットを送受信する第2のパケット送受信手段と、(ハ)前記した第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置にパケット信号に関する解析内容をウェブブラウザ画面の使用によって選択させる解析内容選択手段と、(ニ)この解析内容選択手段による解析内容の選択が行われたとき、前記した第1のパケット送受信手段あるいは第2のパケット送受信手段を使用して送受信される対応するパケット信号を有限の時間にわたって解析するパケット解析手段と、(ホ)このパケット解析手段の解析結果をウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示手段とをパケット解析装置が具備する。
【0013】
また、本発明では、(イ)第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択ステップと、(ロ)この解析内容選択ステップによる解析内容の選択が行われたとき、前記した第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析ステップと、(ハ)このパケット解析ステップの解析結果を前記したウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示ステップとをパケット解析方法が具備する。
【0014】
更に本発明では、コンピュータに、パケット解析プログラムとして、(イ)第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択処理と、(ロ)この解析内容選択処理による解析内容の選択が行われたとき、前記した第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析処理と、(ハ)このパケット解析処理の解析結果を前記したウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、通信装置がパケットの解析結果をブラウザに表示するので、パケットの解析を行う装置側にデータの表示や入力操作を行うハードウェアを特に必要としない。しかも、通信装置は解析内容を選択することができるので、各種の状況に応じたパケットの解析が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のパケット解析装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明のパケット解析方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明のパケット解析プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態によるパケット解析システムの構成を表わしたシステム構成図である。
【図5】本実施の形態におけるルータ装置の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図6】本実施の形態のルータ装置でパケットが解析される様子の原理的な構成を表わしたブロック図である。
【図7】本実施の形態における失敗シーケンスの表示例を示す表示部の平面図である。
【図8】本実施の形態における失敗シーケンス解析処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】本実施の形態におけるパケット総量の時間的な変化を示した表示部の平面図である。
【図10】本実施の形態のルータ装置における統計情報の処理の様子を表わした流れ図である。
【図11】本実施の形態における端末図解情報の表示例を示した表示部の平面図である。
【図12】本実施の形態における配下端末解析部の解析処理の様子を表わした流れ図である。
【図13】本発明の変形例におけるルータ装置にアクセスしたときの表示内容の展開の様子を表わした説明図である。
【図14】第1の実施例におけるパーソナルコンピュータのトップページ表示を示した平面図である。
【図15】第1の実施例におけるエラー表示の他の例を示した平面図である。
【図16】第1の実施例におけるパケット内訳表示の表示例を示した平面図である。
【図17】第1の実施例におけるパケット内訳表示を行う処理を示した流れ図である。
【図18】第1の実施例におけるパーソナルコンピュータが通信しやすい時間帯表示の表示例を表わした平面図である。
【図19】第1の実施例における1カ月のパケット総量と通信速度の統計値を採取した一例を表わした説明図である。
【図20】本発明の第2の実施例における「ルータ配下の絵表示」の処理を表わした流れ図である。
【図21】第2の実施例におけるWANインタフェース部を介したパケットの受信の様子を示す平面図である。
【図22】第2の実施例におけるLANインタフェース部を介したパケットの受信の様子を示す平面図である。
【図23】第2の実施例におけるルータ装置を介したパーソナルコンピュータとDNSサーバのパケット送受信の様子を表わした説明図である。
【図24】第2の実施例におけるパケットのフィルタ処理の様子を表わした流れ図である。
【図25】第3の実施例における失敗シーケンス解析部によるメール送信時の解析の様子を表わした説明図である。
【図26】エラーの解析の手法を示した階層モデルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明のパケット解析装置のクレーム対応図を示したものである。本発明のパケット解析装置10は、第1の通信ネットワークを介して任意の数の第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段11と、前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続してパケットを送受信する第2のパケット送受信手段12と、前記した第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置にパケット信号に関する解析内容をウェブブラウザ画面の使用によって選択させる解析内容選択手段13と、この解析内容選択手段13による解析内容の選択が行われたとき、第1のパケット送受信手段11あるいは第2のパケット送受信手段12を使用して送受信される対応するパケット信号を有限の時間にわたって解析するパケット解析手段14と、このパケット解析手段14の解析結果をウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示手段15とを備えている。
【0018】
図2は、本発明のパケット解析方法のクレーム対応図を示したものである。本発明のパケット解析方法20は、第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択ステップ21と、この解析内容選択ステップ21による解析内容の選択が行われたとき、前記した第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析ステップ22と、このパケット解析ステップ22の解析結果を前記したウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示ステップ23とを備えている。
【0019】
図3は、本発明のパケット解析プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明のパケット解析プログラム30は、コンピュータに、第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択処理31と、この解析内容選択処理31による解析内容の選択が行われたとき、前記した第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記した第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記した第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析処理32と、このパケット解析処理32の解析結果を前記したウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示処理33とを実行させることを特徴とする。
【0020】
<発明の実施の形態>
【0021】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図4は、本発明の実施の形態によるパケット解析システムの構成の概要を表わしたものである。このパケット解析システム100では、インターネット101と、このインターネット101上のウェブサーバ102にアクセスするパーソナルコンピュータ103との間にルータ装置104が接続されている。本実施の形態では、ルーティング機能を備えたルータ装置104がこれを通過するパケットの情報を取得できることに着目し、各種の解析を行う主たる装置となっている。パーソナルコンピュータ103とルータ装置104は、LAN(Local Area Network)ケーブル106によって接続されており、ルータ装置104とインターネット101の間は、電話回線や光ケーブル等の回線107によって接続されている。
【0023】
ところで、パーソナルコンピュータ103がインターネット101を経由してウェブサーバ102にアクセスするときに通信エラーが発生したとする。本実施の形態では、ルータ装置104とインターネット101の間で送受信されるパケット111、112およびルータ装置104とパーソナルコンピュータ103との間で送受信されるパケット113、114についての情報をルータ装置104が取得して、エラー解決の手法をユーザに提示する。このとき、パケット統計データやユーザビリティ向上のための設定内容をユーザに提示してもよい。
【0024】
図5は、本実施の形態におけるルータ装置の構成の概要を表わしたものである。ルータ装置104は、CPU(Central Processing Unit)121と、このCPU121が実行する制御プログラムをその一部の不揮発性メモリ領域に格納したメモリ122とを備えた主制御部123を有している。主制御部123は、ルータ装置104全体の制御を行う他に、必要に応じてこのルータ装置104を構成する幾つかのソフトウェア的な機能部を実現する。ルータ装置104のハードウェアあるいはソフトウェア的な機能部としては、LANインタフェース部124、WAN(Wide Area Network)インタフェース部125、パケット送受信部126、パケット解析部127、MACアドレス登録部128およびウェブ側表示部129が存在している。
【0025】
ここでLANインタフェース部124は、ルータ装置104が図4に示したLANケーブル106に接続するインタフェース回路である。WANインタフェース部125はルータ装置104が図4に示した回線107に接続するインタフェース回路である。パケット送受信部126は、これらLANインタフェース部124あるいはWANインタフェース部125を介してパケットの送受信を行うようになっている。パケット解析部127は、パケット送受信部126からパケットを引き取って、このパケットから情報を抽出して、解析を行う。MACアドレス登録部128は、ルータ装置104の配下に位置するパーソナルコンピュータ103(図4)等の各端末のMACアドレスの登録を行うようになっている。
【0026】
ウェブ側表示部129は、図4に示したパーソナルコンピュータ103等の各端末でウェブページを表示するためのものである。ルータ装置104に液晶ディスプレイ等の物理的なディスプレイが配置されているものではない。たとえばパーソナルコンピュータ103のブラウザを起動してルータ装置104にアクセスすることで、このパーソナルコンピュータ103の表示画面にウェブ側表示部129の表示内容を表示することができる。
【0027】
図6は、ルータ装置でパケットが解析される様子の原理的な構成を表わしたものである。ルータ装置104のパケット解析部127は、失敗シーケンス解析部141、パケット統計解析部142および配下端末解析部143のそれぞれ異なった解析を行う3つの解析部と、失敗シーケンスおよびそれらのエラー解決方法を記憶した失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144を備えている。
【0028】
最初に1番目の解析部としての失敗シーケンス解析部141を説明する。失敗シーケンス解析部141は、パケット送受信部126の受信したパケットのシーケンスを、失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144に記憶した過去に失敗したパケットのシーケンスと比較するようになっている。このため、失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144には、それぞれの失敗シーケンスとエラーの解決方法が対になって記憶されている。そして、今回受信したパケットのシーケンス151が失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144に格納された失敗シーケンスのいずれか1つと一致するかについての照合(パターンマッチング)が行われる。シーケンス151が失敗シーケンスのいずれか1つと一致した場合には、対応するエラー解決方法を表わしたエラー解決方法情報152が失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144から読み出される。
【0029】
図7は、受信したパケットのシーケンスが失敗シーケンスのいずれかに一致した際のウェブ側表示部の表示の一例を示したものである。ウェブ側表示部129には、図6に示したパケット解析部127から送られてきたエラー解決方法情報152を基にして、「エラーを検知しました」という文字と、そのエラー対策が表示される。したがって、パケット解析システム100(図4)のユーザは、エラー対策として示された内容を実行することで、エラーを除去することができる。
【0030】
具体的なエラー対策のメッセージを表示する代わりに、エラーコードを表示するようにしてもよい。この場合、ユーザは、エラーコードに対応するエラー対策を実行することになる。ウェブ側表示部129に表示されるエラーコードにそれぞれURI(Uniform Resource Identifier)を対応付けておけば、ユーザがURIをクリックすることで、エラー対策に関するウェブ上の各種の記事を表示することができる。
【0031】
図8は、失敗シーケンス解析部が行う失敗シーケンス解析処理の様子を表わしたものである。この処理は、図5に示したルータ装置104のメモリ122に格納された制御プログラムに応じてパケット解析部127を構成する失敗シーケンス解析部141が行う処理である。図5および図6と共に説明する。
【0032】
失敗シーケンス解析部141は、パケット送受信部126からパケットが受信されるのを待機している(ステップS201)。パケットが受信されると(Y)、失敗シーケンス解析部141は、そのパケットの解析を行い(ステップS202)、失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144に格納された失敗シーケンスの複数のエラーパターンのいずれかに一致するかを比較する(ステップS203)。
【0033】
失敗シーケンスのエラーパターンのいずれとも一致しなかった場合には(ステップS203:N)、シーケンスが完了したかを判別し(ステップS204)、完了したのであれば(Y)、そのままエラーを検知することなく、失敗シーケンスの解析を終了する(エンド)。シーケンスが完了していないと判別された場合には(ステップS204:N)、失敗シーケンスの解析を続行する必要がある。そこでこの場合にはステップS201に戻って、次のパケットの受信を待機する。
【0034】
一方、ステップS203の判別で失敗シーケンスのエラーパターンのいずれかと一致した場合には(Y)、ステップS201で受信したパケットにエラーが検出されたことになる。そこでこの場合には、対応するエラーコードを検索する(ステップS205)。本実施の形態の場合には失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部144に予めそれぞれの失敗シーケンスとエラーの解決方法が対になって記憶されている。したがって、この場合には失敗シーケンスに対応するエラーコードあるいはエラーの解決方法を読み出せばよい。失敗シーケンス解析部141は、読み出したエラーコードあるいはエラーの解決方法をウェブ側表示部129に出力して(ステップS206)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0035】
図6に戻って2番目の解析部としてのパケット統計解析部142の説明を行う。パケット統計解析部142は、パケットに関する統計情報を取得する際に使用する。パケット送受信部126は図5に示したようにLANインタフェース部124およびWANインタフェース部125と接続されている。LANインタフェース部124は、図4に示したLANケーブル106を介してパーソナルコンピュータ103と接続されており、WANインタフェース部125は回線107を介して接続先のインターネット101上のウェブサーバ102と接続されている。このため、パケット統計解析部142は、ルータ装置104を通過するパケットについてその流量を取得する等の統計情報を把握することができる。
【0036】
図9は、パケット統計解析部の取得する統計情報の一例としてパケット総量の時間的な変化を示したものである。横軸はある特定の日の1時間ごとの時刻の変化を示しており、縦軸は1時間単位でルータ装置104を通過するパケットの総量を表わしている。このような統計情報は、図6に示すパケット送受信部126を通過するパケットの特定方向の流量を示す情報153をパケット解析部127のパケット統計解析部142が取得して、パケット流量統計情報154としてウェブ側表示部129に出力することで、たとえば折れ線グラフとして視覚化することができる。図9に示した例は、LANインタフェース部124を通過するパケットの時間的な変化を示している。
【0037】
もちろん、ウェブ側表示部129に出力する統計情報は、パーソナルコンピュータ103側で図示しないプリンタを用いてプリントアウトしたり、電子的なデータとして保存することができる。
【0038】
図10は、ルータ装置における統計情報の処理の様子を表わしたものである。図4および図5と共に説明する。
【0039】
まず、ルータ装置104自体の設定あるいはパーソナルコンピュータ103からの設定操作によって、ユーザが所望する統計の内容と統計を採る期間の指定ならびに統計結果の表示方法の指定が行われる(ステップS221)。主制御部123は図示しない時計回路の出力する時計情報を基にして統計期間が開始するのを待機している(ステップS221)。
【0040】
統計期間が開始するとステップS222:Y)、パケット送受信部126がパケットを受信するたびに(ステップS223:Y)、パケットの解析が行われる(ステップS224)。この解析では、たとえば図9に示したようにLANインタフェース部124を通過するパケットの時間的な変化を逐次表示することが指示されていた場合、LANインタフェース部124を通過するパケットを選別して、時間ごとにパケット数を集計する処理が行われる。
【0041】
主制御部123は、ステップS221で解析内容をウェブ側表示部129に逐次出力する指示が行われているかをチェックして(ステップS225)、逐次出力する指示が行われている場合には(Y)、現在の解析内容をウェブ側表示部129に出力する(ステップS226)。そして、ステップS221で指定された統計期間が終了したかどうかをチェックして(ステップS227)、終了していなければ(N)、ステップS223に戻って次のパケットが受信されるのを待機する。ステップS225で解析内容をウェブ側表示部129に逐次出力する指示が行われていない場合には(N)、統計期間が終了していない限り(ステップS227:N)、解析内容をウェブ側表示部129に出力することなく、ステップS223に戻って次のパケットが受信されるのを待機する。
【0042】
以上のようにしてパケットの統計処理が行われ、統計期間が終了したら(ステップS227:Y)、ルータ装置104は全期間の解析内容をウェブ側表示部129に出力して前記したブラウザによってその内容が表示され(ステップS228)、統計情報の処理が終了する(エンド)。ステップS225で解析内容をウェブ側表示部129に逐次出力する指示が行われていない場合には、この統計期間の終了した段階でウェブ側表示部129が統計の行われた全期間についての解析結果をブラウザに表示することになる。
【0043】
図6に戻って3番目の解析部としての配下端末解析部143の説明を行う。配下端末解析部143は、パケット送受信部126から各パケットのアドレス情報155を受け取って、パケットを送受信したルータ装置104の配下の端末のMACアドレスがMACアドレス登録部128に登録されているかを解析する。登録されていれば、ルータ装置104の配下の端末として正式に認知された端末である。解析結果としての端末図解情報156はウェブ側表示部129に送出されて、ルータ装置104の配下の各端末が認知されているかどうかを示す端末図解情報がブラウザに表示される。
【0044】
図11は、表示部に表示される端末図解情報の一例を表わしたものである。ウェブ側表示部129には、ルータ装置104がインターネット101に接続されていることと、ルータ装置104の配下にはパーソナルコンピュータ103と他の通信装置161が接続されていることが図解されている。このうちパーソナルコンピュータ103については、その解析結果表171に示すように、MACアドレスとIPアドレスの他に、コンピュータ名、ワークグループ名およびその端末が使用するブラウザの名称が判明しており、認知された端末となっている。他の通信装置161の方は、その解析結果表172に示すように、MACアドレスとIPアドレスが判明しているが、コンピュータ名、ワークグループ名およびその端末が使用するブラウザの名称が判明しておらず、ルータ装置104で認知していない端末が接続されていることが分かる。
【0045】
図6に示した配下端末解析部143は、ARP(address resolution Protocol)およびRARP(Reverse Address Resolution Protocol)といったプロトコルを使用したパケットを解析することで、MACアドレスとIPアドレスの対応関係を判別する。ここで、ARPはIPアドレスを基にしてMACアドレスを求めるプロトコルであり、RARPはIPアドレスを宛先のMACアドレスから求めるプロトコルである。MACアドレス登録部128には、ルータ装置104の管理者が配下の端末のそれぞれについて、これらのMACアドレスを登録している。MACアドレス登録部128に登録された各端末は、認知された端末である。図11における他の通信装置161のような認知していない端末がルータ装置104の配下に存在していたような場合、これを発見して対処することで、セキュリティを向上させることができる。
【0046】
図11でNBNS(NetBIOS Name Service)は、ウィンドウズ(登録商標)で、ファイルの共有に使用されるプロトコルである。ファイルを共有できる端末は、認知されているかを問わずNBNSを使用したパケット(以下、NBNSパケットと称する。)を自動的に出力する。そこで、ルータ装置104内の配下端末解析部143がNBNSパケットを解析することで、配下の各端末の認知の有無を解析することができる。
【0047】
図12は、配下端末解析部の解析処理の様子を表わしたものである。図4〜図6および図11と共に説明する。
【0048】
主制御部123は、パケット送受信部126がパケットを受信するを待機している(ステップS241)。パケット送受信部126がパケットを受信したら(Y)、その解析を行う(ステップS242)。この結果、たとえばパーソナルコンピュータ103から送られてきたNBNSパケットの場合には、解析結果表171に示す解析結果が得られ、他の通信装置161から送られてきたNBNSパケットの場合には、解析結果表172に示す解析結果が得られる。
【0049】
主制御部123は、受信したNBNSパケットの解析によって得られた解析結果のMACアドレスと一致するMACアドレスを有する保存中のテンプレートを検索する(ステップS243)。MACアドレスは、個々の端末ごとに異なるので、保存中のテンプレートを一意に決定することができる。ここで、既に認知された端末については、これらのテンプレートがメモリ122内あるいはパケット解析部127内に設けた図示しないメモリ領域に格納されている。
【0050】
検索の結果、テンプレートが見つかった場合には(ステップS244:Y)、そのテンプレートに対応するパケットにIPアドレスが存在するかのチェックが行われる(ステップS245)。テンプレートが見つからなかった場合には(ステップS244:N)、現在受信した端末の解析結果を付加するためのテンプレートを用意する(ステップS246)。そして、判別されたMACアドレスをそのテンプレートに書き込むことになる(ステップS247)。この後、ステップS245の処理に進む。
【0051】
ステップS245で、受信したNBNSパケットにIPアドレスが存在しないと判別された場合には(N)、このパケットにワークグループ名が存在するかの判別が行われる(ステップS248)。ステップS245で受信したNBNSパケットにIPアドレスが存在する場合には(Y)、そのIPアドレスを該当するテンプレートに書き込む(ステップS249)。そして、ステップS248の処理に進むことになる。
【0052】
ステップS248で、受信したNBNSパケットにワークグループ名が存在しないと判別された場合には(N)、このパケットにコンピュータ名が存在するかの判別が行われる(ステップS250)。ステップS248でワークグループ名が存在すると判別された場合には(Y)、そのワークグループ名を該当するテンプレートに書き込む(ステップS251)。そして、ステップS250の処理に進むことになる。
【0053】
ステップS250で、受信したNBNSパケットにコンピュータ名が存在しないと判別された場合には(N)、このパケットにブラウザの名称が存在するかの判別が行われる(ステップS252)。ステップS250でコンピュータ名が存在すると判別された場合には(Y)、そのコンピュータ名を該当するテンプレートに書き込む(ステップS253)。そして、ステップS252の処理に進むことになる。
【0054】
ステップS252で、受信したNBNSパケットにブラウザ名が存在しないと判別された場合には(N)、以上のようにして作成したテンプレートを解析結果表としてネットワーク図と共にウェブ側表示部129に表示して(ステップS254)、処理を終了する(エンド)。ステップS252で、受信したNBNSパケットにブラウザ名が存在すると判別された場合には(Y)、そのブラウザ名を該当するテンプレートに書き込む(ステップS255)。そして、ステップS254の処理に進み、以上のようにして作成したテンプレートを解析結果表としてネットワーク図と共にウェブ側表示部129に表示して、処理を終了する(エンド)。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パーソナルコンピュータ103等の端末からのルータ装置104にウェブブラウザからアクセスするだけで、エラーの原因の解明や、統計資料およびルータ装置104の配下の端末の接続状態に関するデータの取得が可能である。一般にネットワークや、パケットシーケンスに関して比較的高度な知識を有する者でなければこれらのデータの取得が困難とされていた。したがって、本実施の形態により、ユーザが特別な知識を持たなくても各種の問題を解決することができるようになり、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、ルータ装置104がパケットを解析し、エラーを表示する。したがって、パケットキャプチャを使う必要がなく、解析工数等の削減によるのコスト削減が可能である。更に、ルータ装置104は解析した結果を用いて解決策をユーザに提示する。これにより、ユーザは特別な知識を持たなくても問題を解決することができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0057】
更に、本実施の形態のルータ装置104で各種の統計を採ることにより、ボット型ウィルス等の、不正にパケットを送受信するウイルスに端末が感染しているかどうかの判断材料を取得することができる。このため、パーソナルコンピュータ103等の端末やこれを使用した通信システム全体のセキュリティが向上する。また、ネットワークにおけるパケットの流れの時間的な変化を把握することにより、インターネット等の通信ネットワークにアクセスするのに効率のよい時間帯を簡単に判断することができる。
【0058】
また、ルータ装置104が配下の端末を認識して表示することにより、管理者が認めていない端末を発見することができ、セキュリティが向上する。更に、ルータ装置104のみのアクセスで、ポートマッピングやパケットフィルタリングの設定が可能となる。パケットフィルタリングについては、実施例で詳細を説明する。
【実施例1】
【0059】
次に、実施の形態のパケット解析システムについての第1の実施例を説明する。実施の形態で示した図4〜図12は本実施例でもそのまま使用する。図4に示したパーソナルコンピュータ103のユーザは、パーソナルコンピュータ103にインストールされたアプリケーションソフトウェアとしてのブラウザを起動してルータ装置104のURIにアクセスする。これにより、ルータ装置104のトップページがパーソナルコンピュータ103の表示画面に表示される。
【0060】
図13は、ルータ装置にアクセスしたときの表示内容の展開の様子を表わしたものである。図4および図6と共に説明する。
【0061】
パーソナルコンピュータ103からルータ装置104のURIにアクセスすると、まずルータ装置104のトップページ表示301が行われる。
【0062】
図14は、パーソナルコンピュータのトップページ表示を表わしたものである。トップページ表示301はメニュー画面となっており、解析する項目として、ユーザは「(1)エラー表示」、「(2)統計情報表示」および「(3)ルータ配下の絵表示」のいずれかを選択する。ここで、「(1)エラー表示」とは、図6に示したパケット解析部127の失敗シーケンス解析部141による解析結果の表示を意味する。「(2)統計情報表示」とは、パケット統計解析部142の解析結果の表示を意味する。「(3)ルータ配下の絵表示」とは、配下端末解析部143の解析結果の表示を意味する。ユーザがこのような解析を行わず、ルータ装置104そのものの設定を行うときには、このトップページ301の右下隅に表示されている「ルータ装置の各種設定」という項目をクリックすればよい。
【0063】
図13に戻って説明を続ける。ユーザがパーソナルコンピュータ103(図4)を操作して、「(1)エラー表示」(図4)を選択すると、図8に示した失敗シーケンス解析処理が行われ、エラー表示302が行われる。この一例を図7に示した。
【0064】
図15は、エラー表示の他の例を示したものである。このエラー表示302では、エラーパケットシーケンスをパターンマッチッングした結果として、電子メール関係のエラーの発生に対して、認証ID(identifier)かパスワードの入力が間違っている可能性があることを示している。
【0065】
図14のトップページ301から「(2)統計情報表示」を選択した場合には、図10に示した統計情報の処理が行われて、統計情報表示303(図13)が行われる。この一例を図9に示した。また、統計情報表示303は更に細分して表示することが可能である。本実施例では、パケット内訳表示304と、通信しやすい時間帯表示305に表示を展開することができる。
【0066】
図16は、パケット内訳表示の表示例を表わしたものである。パケット内訳表示304では、図4に示したルータ装置104を通過するパケットの種類とその割合を、一例として円グラフで表わしている。この図16では、図9に示した統計情報における特定の時間帯を指定して、その時間帯におけるLANケーブル106からルータ装置104に向かうパケット114の種別を解析させている。この図16ではLANインタフェース部124を使用するパケットについて説明したが、WANインタフェース部125を使用するパケットについても、同様にパケット内訳表示を行うことができる。
【0067】
図17は、このようなパケット内訳表示を行う処理の流れを示したものである。図5および図6と共に説明する。
【0068】
パケット統計解析部142は、パケット内訳表示の統計処理の期間が開始したら(ステップS401:Y)、パケット送受信部126からパケットが受信されるのを待機している(ステップS402)。パケットが受信されると(Y)、パケット統計解析部142は、そのパケットの種類を解析する(ステップS403)。そして、解析したパケットを受信した時間に対応させて保存し(ステップS404)、更に、解析した結果をパケットの種類に対応させて保存する(ステップS405)。そして、統計処理期間が終了するかをチェックして(ステップS406)、終了前であれば(N)、ステップS402の処理に戻って次のパケットの受信を待機する。
【0069】
このようにしてパケットの受信処理が行われている段階で、統計処理期間が終了したら(ステップS406:Y)、ステップS404およびステップS405で保存した内容を、受信した時間とパケットの種類で関連付ける(ステップS407)。これにより得られた結果はウェブ側表示部129に出力されて(ステップS408)、処理が終了する(エンド)。
【0070】
以上のようにして、受信したパケットの量や種類の時間的な変化を把握することができる。これにより、パーソナルコンピュータ103の操作を特に行っていないにも係わらず、通信量が異常に増加したことが確認される場合がある。このような場合には、インターネット101を通じて外部からコンピュータを操ることを目的として作成されたボット型ウィルスに感染したおそれがある。そこで、通信量の増加と、その原因を示すことで、ユーザに必要なセキュリティ対策を採らせ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0071】
図18は、統計処理の他の結果として、パーソナルコンピュータが通信しやすい時間帯表示の表示例を表わしたものである。通信しやすい時間帯表示305によって、たとえば曜日ごとにどの時間帯の通信量が少ないかを表示することができるので、インターネットに接続するにはどの時間帯が効率がよいかをユーザに提示できることになる。
【0072】
図13に再び戻って説明を続ける。ユーザがトップページ301から「(3)ルータ配下の絵表示」(図14)を選択した場合には、ルータ配下の絵表示306が行われて、図6に示した配下端末解析部143による解析処理が行われる(図12)。その一例は、実施の形態の図11で示した。
【0073】
図19は、統計処理の更に他の結果として、1カ月のパケット総量と通信速度の統計値を採取した一例を表わしたものである。この例では、第1日目から第30日目までの30日間を対象として、それぞれの日の1時間ごとのパケット総量と通信速度を測定している。測定結果は、ユーザの指定によって1日単位でパケット総量や通信速度を棒グラフや折れ線グラフで表示するようにしてもよいし、指定した日について1時間ごとに表示を行ってもよい。
【実施例2】
【0074】
次に、実施の形態のパケット解析システムに関して第2の実施例を説明する。第2の実施例でも、第1の実施例と同様に、実施の形態で示した図4〜図12は本実施例でもそのまま使用する。図4に示したパーソナルコンピュータ103のユーザは、パーソナルコンピュータ103にインストールされたアプリケーションソフトウェアとしてのブラウザを起動してルータ装置104のURIにアクセスする。これにより、ルータ装置104のトップページがパーソナルコンピュータ103の表示画面に表示される。
【0075】
図20は、「ルータ配下の絵表示」の処理の流れを表わしたものである。図5および図6と共に説明する。
【0076】
配下端末解析部143は、パケット送受信部126からパケットが受信されるのを待機している(ステップS421)。パケットが受信されると(Y)、配下端末解析部143は、そのパケットがLANインタフェース部124とWANインタフェース部125のいずれから受信されたかを解析する(ステップS422)。そして、LANインタフェース部124が受信したパケットであれば(ステップS423:Y)、LAN側、すなわちルータ装置104の配下の装置側にパケットの「絵」を付ける(ステップS424)。そして、ウェブ側表示部129で、ネットワーク図に該当するパケットの「絵」を表示して(ステップS425)、処理を終了する(エンド)。
【0077】
WANインタフェース部125側でパケットを受信したと判別した場合には(ステップS423:N)、WANインタフェース部125側にパケットの「絵」を付ける(ステップS426)。そして、ウェブ側表示部129で、ネットワーク図に該当するパケットの「絵」を表示することになる(ステップS425)。
【0078】
図21および図22は、本実施例で行われる他の解析処理を示したものである。このうち図21は、図5におけるWANインタフェース部125を介して受信される、TCP(Transmission Control Protocol)パケットやUDP(User Datagram Protocol)パケット等の各種のパケットの種類の解析結果を、解析結果表171、172と共に図解している。また、図22では、LANインタフェース部124を介して受信されるパケットの種類の解析結果を、解析結果表171、172と共に同様に図解している。
【0079】
パーソナルコンピュータ103のユーザの視点で考えると、ポートマッピングする際に、これらの図21や図22を見ることで、ルータ装置104の配下の各端末にどのような設定をすればよいかの判断が可能になり、設定が容易になるという意味でユーザビリティが向上する。また、他の通信装置161のように管理者が管理していない通信装置がルータ装置104の配下の装置となっているような場合にも、その発見が可能になり、セキュリティの向上が見込める。
【0080】
図23は、以上説明した解析処理の他の利点を説明するためのものである。パーソナルコンピュータ103のユーザが図4に示したインターネット101上の所望のホームページを閲覧しようとしたとする。このとき、パーソナルコンピュータ103は閲覧先のIPアドレスを知る必要がある。この際にDNS(Domain Name System)サーバ311が使用される。
【0081】
ユーザが未成年者の場合、あるいはユーザの使用するパーソナルコンピュータ103が特定の職場に配置されているような所定の場合には、アクセス対象のホームページに制限が加えられる場合がある。このような場合、ルータ装置104がパーソナルコンピュータ103側から送り出されるパケットにフィルタを設定することで、特定のIPアドレスの問い合わせに回答を拒否しアクセスの対象を制限することが可能になる。そこで、図23に示したように各所を伝送されるパケットの内容を表示することで、フィルタの設定が容易になり、ユーザビリティが向上する。
【0082】
今、図4に示すパーソナルコンピュータ103のユーザがインターネット101上にある所望のウェブサーバ102のコンテンツの閲覧を行おうとしたところ、アクセスが拒否されたとする。この場合、ユーザはルータ装置104にアクセスして、図14に示す(1)エラー表示の項目を選択する。そして、図6に示す失敗シーケンス解析部141を用いて失敗シーケンスを解析する。
【0083】
図24は、以上説明したパケットのフィルタ処理の様子を表わしたものである。図5、図6および図23と共に説明する。
【0084】
ユーザがコンピュータ103からウェブサーバ102をアクセスするための操作を行うと、コンピュータ103はそのウェブサーバ102のIPアドレスを取得するための名前解決のパケット(DNS query XXX.co.jp)をルータ装置104に送出する。「query」とは問い合わせを文字列として示したものである。失敗シーケンス解析部141ではこのパケットを受信すると(ステップS441:Y)、パケットの種類を解析し(ステップS442)、アクセスを制限するフィルタパターンに一致するかを判別する(ステップS443)。
【0085】
この名前解決のパケット(DNS query XXX.co.jp)がフィルタパターンに一致しない場合には(N)、ルータ装置104はDNSサーバ311に対して名前解決パケット(ARP xxx.xxx.xxx.xxx)を送出し、IPアドレスの問い合わせを行う(ステップS444)。すなわち、この場合には、フィルタを通過してIPアドレスの問い合わせがDNSサーバ311に送出されて、処理が終了する(エンド)。
【0086】
これに対して、前記したユーザの所望のウェブサーバ102に対するフィルタが設定されていた場合(ステップS443:Y)、ルータ装置104はDNSサーバ311に対して名前解決パケットを送出せず、エラー(DNS Server Failure)をパーソナルコンピュータ103に返答して(ステップS445)、処理を終了する(エンド)。
【0087】
なお、DNSサーバ311のアドレスが間違っているような場合にも、DNSサーバ311に対して名前解決のためのパケットが届かないので、名前解決は失敗する。この場合にも、ルータ装置104のLANインタフェース部124およびWANインタフェース部125のそれぞれでパケットのキャプチャを行うことで、DNSサーバ311あるいは他のサーバとの間でどのような宛先や内容のパケットが送受信されているかが判明し、各種のエラーの解決の助けとなる。
【実施例3】
【0088】
次に、実施の形態のパケット解析システムに関して第3の実施例を説明する。第3の実施例では、ユーザが図4に示したパーソナルコンピュータ103から電子メールの送信を行う際にエラーが発生して、送信を行うことができなかった場合の失敗シーケンスの解析処理を行う。
【0089】
図25は、失敗シーケンス解析部によるメール送信時の解析の様子を表わしたものである。図4と共に説明する。なお、第3の実施例でも、第1の実施例と同様に、実施の形態で示した図4〜図12をそのまま使用する。
【0090】
この例で、ユーザはパーソナルコンピュータ103からインターネット101上の図示しないSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバに電子メールを送信するものとする。コンピュータ103は、「EHLO」コマンドでSMTPサーバに対して挨拶を行い、SMTPサーバから返答「250」が返される。パーソナルコンピュータ103は認証のために「AUTH(Authentication)」コマンドを発行する。これに応答する形で、SMTPサーバからアカウント名とパスワードの要求「334」が行われる。これに対して、パーソナルコンピュータ103からアカウント名とパスワードが送られて来ず、代わりに電子メールの本文「MAIL BODY」が送られてきたとする。この場合、SMTPサーバは、認証エラー「535」を送信してくる。
【0091】
すなわち、この例では、パーソナルコンピュータ103に設定された手順で、本来はアカウント名とパスワードをSMTPサーバに送信すべきところを、これらの送信が省略されたシーケンスとなっている。ユーザは電子メールの送信について上記したエラーが発生したとき、第2の実施例で示したように、パーソナルコンピュータ103のブラウザを起動してトップページから「(1)エラー表示」(図14)を選択することで、このようにエラーを特定して、解決方法を提示させることができる。
【0092】
なお、以上説明した実施の形態および各実施例では、ルータ装置104がパケットの解析を行うことにしたが、これに限るものではない。たとえば、ホームゲートウェイ装置が同様にパケットの解析を行うものであってもよいことは当然である。
【符号の説明】
【0093】
10 パケット解析装置
11 第1のパケット送受信手段
12 第2のパケット送受信手段
13 解析内容選択手段
14 パケット解析手段
15 ウェブブラウザ画面表示手段
20 パケット解析方法
21 解析内容選択ステップ
22 パケット解析ステップ
23 ウェブブラウザ画面表示ステップ
30 パケット解析プログラム
31 解析内容選択処理
32 パケット解析処理
33 ウェブブラウザ画面表示処理
100 パケット解析システム
101 インターネット
102 ウェブサーバ
103 パーソナルコンピュータ
104 ルータ装置
121 CPU
122 メモリ
124 LANインタフェース部
125 WANインタフェース部
127 パケット解析部
128 MACアドレス登録部
129 ウェブ側表示部
141 失敗シーケンス解析部
142 パケット統計解析部
143 配下端末解析部
144 失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部
161 他の通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信ネットワークを介して任意の数の第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段と、
前記第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続してパケットを送受信する第2のパケット送受信手段と、
前記第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置にパケット信号に関する解析内容をウェブブラウザ画面の使用によって選択させる解析内容選択手段と、
この解析内容選択手段による解析内容の選択が行われたとき、前記第1のパケット送受信手段あるいは第2のパケット送受信手段を使用して送受信される対応するパケット信号を有限の時間にわたって解析するパケット解析手段と、
このパケット解析手段の解析結果をウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示手段
とを具備することを特徴とするパケット解析装置。
【請求項2】
前記解析内容選択手段は、受信したパケットのシーケンスの誤りを解析する解析内容を選択する手段を備えており、前記パケット解析手段はエラーの生じるシーケンスのパターンと、エラーの解決方法を記憶する失敗シーケンス・エラー解決方法記憶部を備えていることを特徴とする請求項1記載のパケット解析装置。
【請求項3】
前記解析内容選択手段は、受信したパケットの統計情報を取得して解析する解析内容を選択する手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のパケット解析装置。
【請求項4】
前記解析内容選択手段は、前記第1の通信ネットワークに接続された各通信端末の解析内容を選択する手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のパケット解析装置。
【請求項5】
前記パケット解析手段は、各通信端末の送出するNBNSパケットを解析することで、これらの通信装置が認知されているか否かを解析することを特徴とする請求項4記載のパケット解析装置。
【請求項6】
前記第1の通信ネットワークはLAN(Local Area Network)であり、第2の通信ネットワークはWAN(Wide Area Network)であり、ルーティングを行うルータ装置がパケットの解析を行うことを特徴とする請求項1記載のパケット解析装置。
【請求項7】
前記第1の通信ネットワークはLAN(Local Area Network)であり、第2の通信ネットワークはWAN(Wide Area Network)であり、ホームゲートウェイ装置がパケットの解析を行うことを特徴とする請求項1記載のパケット解析装置。
【請求項8】
第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択ステップと、
この解析内容選択ステップによる解析内容の選択が行われたとき、前記第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析ステップと、
このパケット解析ステップの解析結果を前記ウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示ステップ
とを具備することを特徴とするパケット解析方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1の通信ネットワークを介して通信を行う任意数の第1種の通信装置のうちブラウザを搭載した通信装置から、パケット信号に関する解析内容の選択要求があったとき、表示されるウェブブラウザ画面によってその選択を行わせる解析内容選択処理と、
この解析内容選択処理による解析内容の選択が行われたとき、前記第1種の通信装置と接続してパケットを送受信する第1のパケット送受信手段あるいは前記第1の通信ネットワークと異なる第2の通信ネットワークを介して前記第1種の通信装置のアクセスの対象となる任意数の第2種の通信装置と接続する第2のパケット送受信手段を使用して送受信する対応するパケット信号を、有限の時間にわたって解析するパケット解析処理と、
このパケット解析処理の解析結果を前記ウェブブラウザ画面に解析結果として表示するウェブブラウザ画面表示処理
とを実行させることを特徴とするパケット解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−183214(P2010−183214A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23250(P2009−23250)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】