パスワード管理方法およびパスワード設定機能付きHMI機器
【課題】数字や英記号等を用いない新規なパスワード設定、その設定の解除方法を提供する。
【解決手段】パスワード設定に際しては、升目配列された複数タッチ部のうちの所定数のタッチ部に対するタッチ操作順序をパスワードとして入力し、パスワードロック解除に際しては、上記タッチ操作順序でタッチ操作する。
【解決手段】パスワード設定に際しては、升目配列された複数タッチ部のうちの所定数のタッチ部に対するタッチ操作順序をパスワードとして入力し、パスワードロック解除に際しては、上記タッチ操作順序でタッチ操作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル画面上をタッチ操作によりパスワードを設定したり設定を解除したりするなどのパスワード管理方法ならびに、パスワードの設定機能付きのHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェース)機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HMI機器としては例えばタッチパネル画面付きのプログラマブル表示器がある。このプログラマブル表示器は、HMI機器として、RS232Cなどのシリアル通信ケーブルによって接続され、相互にデータの通信が可能とされるPLCを通じて外部機器の状況を表示するとともにPLC(プログラマブルコントローラ)を通じて外部機器を操作することができるようになっている(特許文献1)。なお、HMI機能を備えたHMI機器にはパネルコンピュータ等も含まれる。プログラマブル表示器ではタッチパネル画面に外部機器を操作するための操作部品を表示し、ユーザは表示器に表示されている操作部品を操作して外部機器を操作することができるようになって、外部機器とユーザとのインタフェースを形成するHMI機器となる。
【0003】
このようにプログラマブル表示器は、PLCに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備える。表示器で表示される画面は、作画ソフトを用いてユーザが独自に外部PC(パーソナルコンピュータ)の編集画面上で編集して作成することができる。作成された画面は、画面データとしてプログラマブル表示器に転送されて記憶される。そして、PLCの稼働時には、PLCに接続されたデバイスの状態に応じて、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面上の表示部品が動的に変化する。また、表示部品への画面上の入力操作が制御指示としてデバイスに与えられる。作成された画面は、制御対象毎に一連の関連する複数の画面としてまとめてプロジェクトファイルとして管理することができるようになっている。 プロジェクトファイルは、複数(数百)の画面データと、この画面データだけでは表示器は動作しないので、画面データに従い表示器の動作に必要な設定データを含めたデータの集合である。
【0004】
以上において、画面作成者により作成したプロジェクトファイルは、外部PCからプログラマブル表示器に転送されてダウンロードされる。このプロジェクトファイルによりプログラマブル表示器上のタッチパネル画面上に表示した表示画面を、特定のオペレータにのみ修正、変更等を行ったりすることができるようにしたい。このような場合、プロジェクトファイルの展開にはパスワードを付けることが考えられる。従来からのパスワードでは、数字や英記号等を入力し、パスワードロック操作をすることで行われる。
【0005】
しかしながら、こうしたパスワードでは場合によって、誕生日、住所その他により当該オペレータ固有の或る程度関連付けられた数字や英記号等が選択され易い傾向となり、パスワード盗用の可能性も少なくないと指摘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−339434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明により解決すべき課題は、数字や英記号等を用いない新規なパスワード管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパスワード管理方法は、パスワード設定に際しては、タッチパネル画面上に複数のタッチ部を配列してなるパスワード入力画面を表示させる第1ステップと、上記パスワード入力画面上の上記複数のタッチ部のうちの所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作の順序(タッチ操作順序)をパスワードとして入力する第2ステップと、上記パスワード入力後にパスワード設定ボタンをタッチ操作してパスワード入力を確定する第3ステップと、を実行する一方、パスワードロック解除に際しては、タッチパネル画面上に上記パスワード入力画面を表示させる第4ステップと、上記パスワード入力画面上の複数のタッチ部のうち、上記所定数のタッチ部に対して上記タッチ操作順序と同様のタッチ操作順序にてタッチ操作する第5ステップと、上記パスワード入力後にパスワードロック解除ボタンをタッチ操作してパスワードロック解除を実行する第6ステップと、を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明では、パスワード入力画面をタッチパネル画面上に配列された、好ましくは無表示空白の複数のタッチ部で構成し、かつ、そのパスワード入力画面上の所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作において、そのタッチ操作順序をパスワードとしたので、数字や英記号等によりパスワードを想定することもできず、セキュリティ性が大きく向上するパスワード管理を提供することができる。
【0010】
好ましくは、上記パスワード入力画面を、縦横升目状に配列する複数のタッチ部で構成する。
【0011】
好ましくは、上記タッチ部は、無表示空白とする。この無表示空白は数字や英記号等が表示されていないという意味である。
【0012】
好ましくは、上記タッチパネル画面が、複数同時タッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であり、各タッチ操作が時間間隔を空けて行われる。
【0013】
本発明によるHMI機器は、HMI作画ソフトで作成されたプロジェクトファイルによる画面をタッチパネル画面上に表示してタッチ操作をすることが可能なHMI機器であり、当該プロジェクトファイルに上記パスワード管理方法を実行するパスワード管理情報を含ませておき、タッチパネル画面上で、上記プロジェクトファイルによる画面操作を実施するにおいては上記パスワード管理情報によりパスワードロックおよびその解除を行えるようにした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のタッチ部に対してのタッチ操作順序をパスワードとしたので、従来のような数字や英記号等を用いたパスワードのごとく誕生日や住所地その他でパスワードを記憶しやすい数字ではないので、そのセキュリティ性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかるパスワード管理方法に用いるパスワード入力画面の構成を示す図である。
【図2】図2はパスワード入力画面中のパスワード入力部を拡大して示す図である。
【図3】図3はパスワード入力画面においてパスワード設定ボタンを操作した状態を示す図である。
【図4】図4はパスワード設定例を示す図である。
【図5】図5はパスワード設定ボタン操作によりパスワードロックする状態を示す図である。
【図6】図6はシングルタッチパネル画面でのパスワード操作時間間隔の説明に用いる図である。
【図7】図7はシングルタッチパネル画面でのパスワード操作時間間隔が空いた場合の説明に用いる図である。
【図8】図8はパスワード入力画面においてパスワードロック解除ボタンを操作した状態を示す図である。
【図9】図9はパスワードロック解除操作例を示す図である。
【図10】図10はパスワードロック解除ボタン操作によりパスワードロック解除する状態を示す図である。
【図11】図11はマルチタッチパネル画面でのパスワードロック解除操作の時間間隔の説明に用いる図である。
【図12】図12はHMI機器の内部ブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るパスワード管理方法を説明する。作画ツール上でプロジェクトファイルの作成を完了すると、このプロジェクトファイルを特定オペレータにのみ操作することができるように、プロジェクトファイル内にパスワード情報を格納する。そして、プロジェクトファイルに対して何等かのファイル操作を行う場合には、プロジェクトファイル内に格納のパスワード情報を入力操作することを求めるようにする。
【0017】
このようなパスワード情報を含むプロジェクトファイルはプログラマブル表示器等のHMI機器に転送されてダウンロードされる。そしてHMI機器側では、プロジェクトファイルに格納されているパスワード情報によりパスワードの設定を行うことでパスワードロックすると共に、パスワード設定されているプロジェクトファイルを展開する場合、そのパスワードロック状態を解除してプロジェクトファイルを展開する。このパスワードの設定は作画者側が行ってもよいし、HMI機器を扱うユーザ側が行ってもよい。また、その設定等は、単一オペレータでも複数オペレータでもよく、複数オペレータの場合は、個々のオペレータがパスワードを設定できるようにしてもよい。
【0018】
(パスワード設定)
パスワード設定を説明すると、図1で示すように、HMI機器のタッチパネル画面上に、パスワード入力画面1が表示され、特定オペレータに対してパスワードの設定入力を促す。パスワード入力画面1は、パスワード入力に際してタッチ操作されるパスワード入力部2と、パスワード設定開始に際して、およびパスワード設定してパスワードロックに際して操作されるパスワード設定ボタン3と、パスワードロックの解除を開始する際および解除操作終了に際して操作されるパスワードロック解除ボタン4とを含む。これらボタン3,4は図解の都合で2つとしているが、1つのボタンで構成することもできる。
【0019】
パスワード入力部2を図2で拡大して示す。
【0020】
パスワード入力部2は、複数の無表示空白タッチ部5…が行列配列して構成されている。実施の形態ではパスワード入力部2は、8行8列で64個のタッチ部5で構成されるが、タッチ部5の構成数は任意でよく、特に限定しない。なお、図2では行列番号が記入されているが、これは図解の都合で記入したものであり、実際のパスワード入力部2にはこの行列番号の記入は省略されてもよいし、省略せずに表示してもよい。これらタッチ部5は無表示空白であり、記号や英文字等は表示されていない。これらタッチ部5は縦横升目状に配列されているが、これに限定されず、各タッチ部5を互いから離間して配列してもよく、タッチ部5を蛇行させて配列させたり、種々な配列形態を含む。また、各タッチ部5は平面視矩形状であるが、矩形形状に限定されず、円形状、楕円状、その他でよく、形状は特に限定しない。
【0021】
これらタッチ部5のうち、所定数の、例えば、実施の形態では4個のタッチ部の操作順序(タッチ操作順序)がパスワードとされる。
【0022】
まず、図3で示すように、パスワード設定に際しては、パスワード設定ボタン3を操作する。パスワード設定ボタン3への操作により、HMI機器に対して、続けて行われるタッチ操作はパスワード設定操作であると通知する。HMI機器はこの通知を受けて、続けての4回のタッチ操作をパスワード入力操作であると受け付ける。
【0023】
図4を参照して、まず、第1番目のタッチ操作が、タッチ部(1,1)に対して行われる。続けて、矢印で示すように、第2番目のタッチ操作が、タッチ部(8,8)に対して行われる。さらに続けて、矢印で示すように、第3番目のタッチ操作が、タッチ部(2,4)に対して行われる。最後に矢印で示すように、第4番目のタッチ操作がタッチ部(8,3)に対して行われる。こうして、上記タッチ操作が終了すると、図5で示すように、パスワード設定ボタン3を操作すると、上記タッチ操作順序である(1,1)→(8,8)→(2,4)→(8,3)が、HMI機器に対してプロジェクトファイルの操作上のパスワードとして受け付けられ、プロジェクトファイルに格納される。
【0024】
なお、図6を参照してタッチ操作タイミングを説明すると、上記のように第1ないし第4タッチ操作において、第1タッチ操作の操作時間t0−t1、第2タッチ操作の操作時間t2−t3、第3タッチ操作の操作時間t4−t5、第4タッチ操作の操作時間t6−t7は時間が重ならない。そして、図7で示すように、前のタッチ操作の終了時刻がt8で、次のタッチ操作の開始時刻がt10である場合に、前のタッチ操作の終了時刻t8からキャンセル時間tcが経過した時刻t9の後の時刻t10に当該次のタッチ操作が行われた場合、当該次のタッチ操作は無効となるようにしてよい。
【0025】
(パスワードロック解除)
上記パスワード設定でパスワードロックされている場合において、そのパスワードロックを解除するに際しては、図8で示すように、パスワードロック解除ボタン4を操作する。この操作により、HMI機器にはパスワードロック解除操作が行われることを通知する。HMI機器はこの通知を受けて、続けての4回のタッチ操作をパスワードロック解除操作であると受け付ける。図9で示すように、まず、第1番目のタッチ操作が、タッチ部(1,1)に対して行われる。続けて、矢印で示すように、第2番目のタッチ操作が、タッチ部(8,8)に対して行われる。さらに続けて、矢印で示すように、第3番目のタッチ操作が、タッチ部(2,4)に対して行われる。最後に矢印で示すように、第4番目のタッチ操作がタッチ部(8,3)に対して行われる。こうして、上記タッチ操作順序は、行列番号では、(1,1)→(8,8)→(2,4)→(8,3)となり、図10で示すように、パスワードロック解除ボタン4をタッチ操作することにより、これがHMI機器に対してプロジェクトファイルの操作上のパスワードロック解除として受け付けられ、プロジェクトファイル上の特定の画面が表示され、この画面に対して所要の修正等を行うことができるようになる。
【0026】
以上の実施の形態では、2つ以上のタッチ部を同時にタッチ操作することができず、これらタッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であったが、2つ以上のタッチ部の同時操作を有効とするマルチタッチパネル画面にも適用することができる。マルチタッチパネル画面では、例えば図11で示すように、タッチ部(1,1)に対して第1番目のタッチ操作が時刻t1で終了する前の時刻t2でタッチ部(8,8)に対して第2番目のタッチ操作を行う。そして、タッチ部(8,8)に対しての第2番目のタッチ操作が時刻t3で終了する前の時刻t4で、タッチ部(2,4)に対して第3番目のタッチ操作を行う。次に、タッチ部(2,4)に対しての第3番目のタッチ操作が時刻t5で終了する前の時刻t6でタッチ部(8,3)に対して第4番目のタッチ操作を行う。
【0027】
もちろん、マルチタッチパネル画面であってもシングルタッチパネル画面と同様なタッチ操作としてもよい。
【0028】
次に図12を参照してHMI機器6を説明すると、このHMI機器6は例えばプログラマブル表示器やパネルコンピュータ等であり、CPU7、プログラムメモリ8、プロジェクトファイルメモリ9、表示制御部10、表示部11、タッチパネル制御部12、タッチパネル13、マウスやキーボード等の入力部14、作画ツールとの通信インターフェース15を備える。このHMI機器6においては、通信インターフェース15を通じて作画ツールからプロジェクトファイルがプロジェクトファイルメモリ9にダウンロードされる。ダウンロードされたプロジェクトファイルには、パスワード情報が格納されている。
【0029】
タッチパネル制御部12は、タッチパネル13がシングルタッチパネル画面やマルチタッチパネル画面を備えている。プログラムメモリ8は、HMI機器としてのプログラムを格納している。プロジェクトファイルメモリ9に格納するプロジェクトファイルは、そのファイル操作に当たって、パスワード入力画面が表示され、そのパスワード入力画面に対して上記したパスワードの設定、設定の解除操作により、ファイル画面を展開することができる。
【0030】
以上説明したように本実施の形態では、パスワード入力画面1を無表示空白で升目状に互いに隣接配列された複数のタッチ部5で構成し、かつ、所定数のタッチ部5に対して行うタッチ操作の順序をパスワードとしたので、数字や英記号等とは異なってパスワード想定も難しいパスワード設定となり、そのセキュリティ性が大きく向上する。
【符号の説明】
【0031】
1 パスワード入力画面
2 パスワード入力部
3 パスワード設定ボタン
4 パスワードロック解除ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル画面上をタッチ操作によりパスワードを設定したり設定を解除したりするなどのパスワード管理方法ならびに、パスワードの設定機能付きのHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェース)機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HMI機器としては例えばタッチパネル画面付きのプログラマブル表示器がある。このプログラマブル表示器は、HMI機器として、RS232Cなどのシリアル通信ケーブルによって接続され、相互にデータの通信が可能とされるPLCを通じて外部機器の状況を表示するとともにPLC(プログラマブルコントローラ)を通じて外部機器を操作することができるようになっている(特許文献1)。なお、HMI機能を備えたHMI機器にはパネルコンピュータ等も含まれる。プログラマブル表示器ではタッチパネル画面に外部機器を操作するための操作部品を表示し、ユーザは表示器に表示されている操作部品を操作して外部機器を操作することができるようになって、外部機器とユーザとのインタフェースを形成するHMI機器となる。
【0003】
このようにプログラマブル表示器は、PLCに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備える。表示器で表示される画面は、作画ソフトを用いてユーザが独自に外部PC(パーソナルコンピュータ)の編集画面上で編集して作成することができる。作成された画面は、画面データとしてプログラマブル表示器に転送されて記憶される。そして、PLCの稼働時には、PLCに接続されたデバイスの状態に応じて、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面上の表示部品が動的に変化する。また、表示部品への画面上の入力操作が制御指示としてデバイスに与えられる。作成された画面は、制御対象毎に一連の関連する複数の画面としてまとめてプロジェクトファイルとして管理することができるようになっている。 プロジェクトファイルは、複数(数百)の画面データと、この画面データだけでは表示器は動作しないので、画面データに従い表示器の動作に必要な設定データを含めたデータの集合である。
【0004】
以上において、画面作成者により作成したプロジェクトファイルは、外部PCからプログラマブル表示器に転送されてダウンロードされる。このプロジェクトファイルによりプログラマブル表示器上のタッチパネル画面上に表示した表示画面を、特定のオペレータにのみ修正、変更等を行ったりすることができるようにしたい。このような場合、プロジェクトファイルの展開にはパスワードを付けることが考えられる。従来からのパスワードでは、数字や英記号等を入力し、パスワードロック操作をすることで行われる。
【0005】
しかしながら、こうしたパスワードでは場合によって、誕生日、住所その他により当該オペレータ固有の或る程度関連付けられた数字や英記号等が選択され易い傾向となり、パスワード盗用の可能性も少なくないと指摘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−339434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明により解決すべき課題は、数字や英記号等を用いない新規なパスワード管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパスワード管理方法は、パスワード設定に際しては、タッチパネル画面上に複数のタッチ部を配列してなるパスワード入力画面を表示させる第1ステップと、上記パスワード入力画面上の上記複数のタッチ部のうちの所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作の順序(タッチ操作順序)をパスワードとして入力する第2ステップと、上記パスワード入力後にパスワード設定ボタンをタッチ操作してパスワード入力を確定する第3ステップと、を実行する一方、パスワードロック解除に際しては、タッチパネル画面上に上記パスワード入力画面を表示させる第4ステップと、上記パスワード入力画面上の複数のタッチ部のうち、上記所定数のタッチ部に対して上記タッチ操作順序と同様のタッチ操作順序にてタッチ操作する第5ステップと、上記パスワード入力後にパスワードロック解除ボタンをタッチ操作してパスワードロック解除を実行する第6ステップと、を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明では、パスワード入力画面をタッチパネル画面上に配列された、好ましくは無表示空白の複数のタッチ部で構成し、かつ、そのパスワード入力画面上の所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作において、そのタッチ操作順序をパスワードとしたので、数字や英記号等によりパスワードを想定することもできず、セキュリティ性が大きく向上するパスワード管理を提供することができる。
【0010】
好ましくは、上記パスワード入力画面を、縦横升目状に配列する複数のタッチ部で構成する。
【0011】
好ましくは、上記タッチ部は、無表示空白とする。この無表示空白は数字や英記号等が表示されていないという意味である。
【0012】
好ましくは、上記タッチパネル画面が、複数同時タッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であり、各タッチ操作が時間間隔を空けて行われる。
【0013】
本発明によるHMI機器は、HMI作画ソフトで作成されたプロジェクトファイルによる画面をタッチパネル画面上に表示してタッチ操作をすることが可能なHMI機器であり、当該プロジェクトファイルに上記パスワード管理方法を実行するパスワード管理情報を含ませておき、タッチパネル画面上で、上記プロジェクトファイルによる画面操作を実施するにおいては上記パスワード管理情報によりパスワードロックおよびその解除を行えるようにした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のタッチ部に対してのタッチ操作順序をパスワードとしたので、従来のような数字や英記号等を用いたパスワードのごとく誕生日や住所地その他でパスワードを記憶しやすい数字ではないので、そのセキュリティ性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかるパスワード管理方法に用いるパスワード入力画面の構成を示す図である。
【図2】図2はパスワード入力画面中のパスワード入力部を拡大して示す図である。
【図3】図3はパスワード入力画面においてパスワード設定ボタンを操作した状態を示す図である。
【図4】図4はパスワード設定例を示す図である。
【図5】図5はパスワード設定ボタン操作によりパスワードロックする状態を示す図である。
【図6】図6はシングルタッチパネル画面でのパスワード操作時間間隔の説明に用いる図である。
【図7】図7はシングルタッチパネル画面でのパスワード操作時間間隔が空いた場合の説明に用いる図である。
【図8】図8はパスワード入力画面においてパスワードロック解除ボタンを操作した状態を示す図である。
【図9】図9はパスワードロック解除操作例を示す図である。
【図10】図10はパスワードロック解除ボタン操作によりパスワードロック解除する状態を示す図である。
【図11】図11はマルチタッチパネル画面でのパスワードロック解除操作の時間間隔の説明に用いる図である。
【図12】図12はHMI機器の内部ブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るパスワード管理方法を説明する。作画ツール上でプロジェクトファイルの作成を完了すると、このプロジェクトファイルを特定オペレータにのみ操作することができるように、プロジェクトファイル内にパスワード情報を格納する。そして、プロジェクトファイルに対して何等かのファイル操作を行う場合には、プロジェクトファイル内に格納のパスワード情報を入力操作することを求めるようにする。
【0017】
このようなパスワード情報を含むプロジェクトファイルはプログラマブル表示器等のHMI機器に転送されてダウンロードされる。そしてHMI機器側では、プロジェクトファイルに格納されているパスワード情報によりパスワードの設定を行うことでパスワードロックすると共に、パスワード設定されているプロジェクトファイルを展開する場合、そのパスワードロック状態を解除してプロジェクトファイルを展開する。このパスワードの設定は作画者側が行ってもよいし、HMI機器を扱うユーザ側が行ってもよい。また、その設定等は、単一オペレータでも複数オペレータでもよく、複数オペレータの場合は、個々のオペレータがパスワードを設定できるようにしてもよい。
【0018】
(パスワード設定)
パスワード設定を説明すると、図1で示すように、HMI機器のタッチパネル画面上に、パスワード入力画面1が表示され、特定オペレータに対してパスワードの設定入力を促す。パスワード入力画面1は、パスワード入力に際してタッチ操作されるパスワード入力部2と、パスワード設定開始に際して、およびパスワード設定してパスワードロックに際して操作されるパスワード設定ボタン3と、パスワードロックの解除を開始する際および解除操作終了に際して操作されるパスワードロック解除ボタン4とを含む。これらボタン3,4は図解の都合で2つとしているが、1つのボタンで構成することもできる。
【0019】
パスワード入力部2を図2で拡大して示す。
【0020】
パスワード入力部2は、複数の無表示空白タッチ部5…が行列配列して構成されている。実施の形態ではパスワード入力部2は、8行8列で64個のタッチ部5で構成されるが、タッチ部5の構成数は任意でよく、特に限定しない。なお、図2では行列番号が記入されているが、これは図解の都合で記入したものであり、実際のパスワード入力部2にはこの行列番号の記入は省略されてもよいし、省略せずに表示してもよい。これらタッチ部5は無表示空白であり、記号や英文字等は表示されていない。これらタッチ部5は縦横升目状に配列されているが、これに限定されず、各タッチ部5を互いから離間して配列してもよく、タッチ部5を蛇行させて配列させたり、種々な配列形態を含む。また、各タッチ部5は平面視矩形状であるが、矩形形状に限定されず、円形状、楕円状、その他でよく、形状は特に限定しない。
【0021】
これらタッチ部5のうち、所定数の、例えば、実施の形態では4個のタッチ部の操作順序(タッチ操作順序)がパスワードとされる。
【0022】
まず、図3で示すように、パスワード設定に際しては、パスワード設定ボタン3を操作する。パスワード設定ボタン3への操作により、HMI機器に対して、続けて行われるタッチ操作はパスワード設定操作であると通知する。HMI機器はこの通知を受けて、続けての4回のタッチ操作をパスワード入力操作であると受け付ける。
【0023】
図4を参照して、まず、第1番目のタッチ操作が、タッチ部(1,1)に対して行われる。続けて、矢印で示すように、第2番目のタッチ操作が、タッチ部(8,8)に対して行われる。さらに続けて、矢印で示すように、第3番目のタッチ操作が、タッチ部(2,4)に対して行われる。最後に矢印で示すように、第4番目のタッチ操作がタッチ部(8,3)に対して行われる。こうして、上記タッチ操作が終了すると、図5で示すように、パスワード設定ボタン3を操作すると、上記タッチ操作順序である(1,1)→(8,8)→(2,4)→(8,3)が、HMI機器に対してプロジェクトファイルの操作上のパスワードとして受け付けられ、プロジェクトファイルに格納される。
【0024】
なお、図6を参照してタッチ操作タイミングを説明すると、上記のように第1ないし第4タッチ操作において、第1タッチ操作の操作時間t0−t1、第2タッチ操作の操作時間t2−t3、第3タッチ操作の操作時間t4−t5、第4タッチ操作の操作時間t6−t7は時間が重ならない。そして、図7で示すように、前のタッチ操作の終了時刻がt8で、次のタッチ操作の開始時刻がt10である場合に、前のタッチ操作の終了時刻t8からキャンセル時間tcが経過した時刻t9の後の時刻t10に当該次のタッチ操作が行われた場合、当該次のタッチ操作は無効となるようにしてよい。
【0025】
(パスワードロック解除)
上記パスワード設定でパスワードロックされている場合において、そのパスワードロックを解除するに際しては、図8で示すように、パスワードロック解除ボタン4を操作する。この操作により、HMI機器にはパスワードロック解除操作が行われることを通知する。HMI機器はこの通知を受けて、続けての4回のタッチ操作をパスワードロック解除操作であると受け付ける。図9で示すように、まず、第1番目のタッチ操作が、タッチ部(1,1)に対して行われる。続けて、矢印で示すように、第2番目のタッチ操作が、タッチ部(8,8)に対して行われる。さらに続けて、矢印で示すように、第3番目のタッチ操作が、タッチ部(2,4)に対して行われる。最後に矢印で示すように、第4番目のタッチ操作がタッチ部(8,3)に対して行われる。こうして、上記タッチ操作順序は、行列番号では、(1,1)→(8,8)→(2,4)→(8,3)となり、図10で示すように、パスワードロック解除ボタン4をタッチ操作することにより、これがHMI機器に対してプロジェクトファイルの操作上のパスワードロック解除として受け付けられ、プロジェクトファイル上の特定の画面が表示され、この画面に対して所要の修正等を行うことができるようになる。
【0026】
以上の実施の形態では、2つ以上のタッチ部を同時にタッチ操作することができず、これらタッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であったが、2つ以上のタッチ部の同時操作を有効とするマルチタッチパネル画面にも適用することができる。マルチタッチパネル画面では、例えば図11で示すように、タッチ部(1,1)に対して第1番目のタッチ操作が時刻t1で終了する前の時刻t2でタッチ部(8,8)に対して第2番目のタッチ操作を行う。そして、タッチ部(8,8)に対しての第2番目のタッチ操作が時刻t3で終了する前の時刻t4で、タッチ部(2,4)に対して第3番目のタッチ操作を行う。次に、タッチ部(2,4)に対しての第3番目のタッチ操作が時刻t5で終了する前の時刻t6でタッチ部(8,3)に対して第4番目のタッチ操作を行う。
【0027】
もちろん、マルチタッチパネル画面であってもシングルタッチパネル画面と同様なタッチ操作としてもよい。
【0028】
次に図12を参照してHMI機器6を説明すると、このHMI機器6は例えばプログラマブル表示器やパネルコンピュータ等であり、CPU7、プログラムメモリ8、プロジェクトファイルメモリ9、表示制御部10、表示部11、タッチパネル制御部12、タッチパネル13、マウスやキーボード等の入力部14、作画ツールとの通信インターフェース15を備える。このHMI機器6においては、通信インターフェース15を通じて作画ツールからプロジェクトファイルがプロジェクトファイルメモリ9にダウンロードされる。ダウンロードされたプロジェクトファイルには、パスワード情報が格納されている。
【0029】
タッチパネル制御部12は、タッチパネル13がシングルタッチパネル画面やマルチタッチパネル画面を備えている。プログラムメモリ8は、HMI機器としてのプログラムを格納している。プロジェクトファイルメモリ9に格納するプロジェクトファイルは、そのファイル操作に当たって、パスワード入力画面が表示され、そのパスワード入力画面に対して上記したパスワードの設定、設定の解除操作により、ファイル画面を展開することができる。
【0030】
以上説明したように本実施の形態では、パスワード入力画面1を無表示空白で升目状に互いに隣接配列された複数のタッチ部5で構成し、かつ、所定数のタッチ部5に対して行うタッチ操作の順序をパスワードとしたので、数字や英記号等とは異なってパスワード想定も難しいパスワード設定となり、そのセキュリティ性が大きく向上する。
【符号の説明】
【0031】
1 パスワード入力画面
2 パスワード入力部
3 パスワード設定ボタン
4 パスワードロック解除ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワード設定に際しては、
タッチパネル画面上に複数のタッチ部を配列してなるパスワード入力画面を表示させる第1ステップと、
上記パスワード入力画面上の上記複数のタッチ部のうちの所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作の順序(タッチ操作順序)をパスワードとして入力する第2ステップと、
上記パスワード入力後にパスワード設定ボタンをタッチ操作してパスワード入力を確定する第3ステップと、
を実行する一方、
パスワードロック解除に際しては、
タッチパネル画面上に上記パスワード入力画面を表示させる第4ステップと、
上記パスワード入力画面上の複数のタッチ部のうち、上記所定数のタッチ部に対して上記タッチ操作順序と同様のタッチ操作順序にてタッチ操作する第5ステップと、
上記パスワード入力後にパスワードロック解除ボタンをタッチ操作してパスワードロック解除を実行する第6ステップと、
を実行する、ことを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項2】
上記パスワード入力画面を、縦横升目状に配列する複数のタッチ部で構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記タッチ部は、無表示空白である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記タッチパネル画面が、複数同時タッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であり、各タッチ操作が時間間隔を空けて行われる、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
HMI作画ソフトで作成されたプロジェクトファイルによる画面をタッチパネル画面上に表示してタッチ操作することが可能なHMI機器において、
当該プロジェクトファイルに請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を実行するパスワード管理情報を含ませておき、タッチパネル画面上で、上記プロジェクトファイルによる画面操作を実施するにおいては上記パスワード管理情報によりパスワードロックおよびその解除を行えるようにした、ことを特徴とするパスワード設定機能付きHMI機器。
【請求項1】
パスワード設定に際しては、
タッチパネル画面上に複数のタッチ部を配列してなるパスワード入力画面を表示させる第1ステップと、
上記パスワード入力画面上の上記複数のタッチ部のうちの所定数のタッチ部に対して行うタッチ操作の順序(タッチ操作順序)をパスワードとして入力する第2ステップと、
上記パスワード入力後にパスワード設定ボタンをタッチ操作してパスワード入力を確定する第3ステップと、
を実行する一方、
パスワードロック解除に際しては、
タッチパネル画面上に上記パスワード入力画面を表示させる第4ステップと、
上記パスワード入力画面上の複数のタッチ部のうち、上記所定数のタッチ部に対して上記タッチ操作順序と同様のタッチ操作順序にてタッチ操作する第5ステップと、
上記パスワード入力後にパスワードロック解除ボタンをタッチ操作してパスワードロック解除を実行する第6ステップと、
を実行する、ことを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項2】
上記パスワード入力画面を、縦横升目状に配列する複数のタッチ部で構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記タッチ部は、無表示空白である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記タッチパネル画面が、複数同時タッチ操作を無効とするシングルタッチパネル画面であり、各タッチ操作が時間間隔を空けて行われる、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
HMI作画ソフトで作成されたプロジェクトファイルによる画面をタッチパネル画面上に表示してタッチ操作することが可能なHMI機器において、
当該プロジェクトファイルに請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を実行するパスワード管理情報を含ませておき、タッチパネル画面上で、上記プロジェクトファイルによる画面操作を実施するにおいては上記パスワード管理情報によりパスワードロックおよびその解除を行えるようにした、ことを特徴とするパスワード設定機能付きHMI機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−164737(P2011−164737A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23955(P2010−23955)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】
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