説明

パス切替方法、パス切替システム、パス設定ノード、分岐ノードおよび中継ノード

【課題】現用系パスの終端ノードの故障に対応でき、高速な障害復旧を実現し、ノードおよびネットワークの負荷を軽減する。
【解決手段】複数のノード1からなるネットワークにおいて、パス設定要求を受信したノード1は、パス設定要求に含まれる情報と、自身に格納されるネットワーク内のルーティング情報とに基づいて、現用系パス用IF情報および予備系パス用IF情報を対応付けてラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する。現用系パスと予備系パスとの分岐ノードが障害を検知したら、ラベルテーブル22を参照して、障害が発生した現用系パスに対応する予備系パス用IFから通信パケットを送出する。中継ノードが障害を検知したら、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25を参照して、上流ノードに障害情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質を保証するネットワーク内でパスの切り替えを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、品質を保証するネットワークでは、ユーザに提供するパスに障害が発生した場合に備えて、通常ユーザに提供する現用系パスに加え、予備系パスを冗長的に備えておく方法を用いることがある。図11(a)は、従来の、冗長パス(現用系パスと予備系パス)を備えたネットワークにおける切替方法を説明する図である。この場合、現用系パスを予備系パスに切り替えるために、障害を検知した分岐ノードが予備系パスに切り替えたり(Fast Reroute)、あるいは、障害を検知したノードからの通知を受信した分岐ノードが予備系パスに切り替えたり(Path Protection)している。この方法では、予備系パスの始点と終点(終端)は、現用系パスを構成するノードに含まれている必要がある。つまり、予備系パスの終端ノードは現用系パスの終端ノードと同一となる。そのため、現用系パスの終端ノードで障害が発生したときには、この冗長パスの切替方法では対応できない。
【0003】
前記課題を解決する方法として、近年、ネットワーク利用者のノードがネットワーク事業者の複数のノードに接続することで通信経路を冗長化したり、逆に、ネットワーク事業者が通信経路を冗長化する為に複数のノードでネットワーク利用者のノードに接続したりする方法もとられている。図11(b)は、従来の、IPルーティングを用いて通信を振り替える方法を説明する図である。この方法では、接続しているネットワーク事業者のノードのうちの1つに障害が発生した場合、IP(Internet Protocol)ルーティングの経路再計算により、異なる接続点となるノードへパケットを送信することで、故障が発生していないノードへ振り替えて通信を再開する。これにより、現用系パスの終端ノードに障害が発生した場合でも、対応が可能となる。
【0004】
ここで、図11(a)に示す冗長パスにおける切替方法と、図11(b)に示すIPルーティングの経路計算により通信を振り替える方法とを比較すると、前者の方が高速であるが、終端ノードの故障には対応できない。一方、後者では、終端ノードの故障にも対応可能であるが、IPルーティングの経路計算が必要となり疎通回復に時間がかかる。さらに、後者では、通信が一時的に断絶したままになってしまうため、通信パケットがより多く失われてしまう。
【0005】
終端ノードの故障に対応でき、しかも、通信パケットの損失を最小限に抑える方法として、マルチキャストによる切替方法が提案されている(非特許文献1参照)。図11(c)は、従来の、マルチキャストによる切替方法を説明する図である。このマルチキャストによる切替方法には、2通りの方法がある。
【0006】
(1)現用系パスおよび予備系パスの分岐点となるノード(分岐ノード)が、現用系パスおよび予備系パスの両方に通信パケットを送信する。そして、予備系パスの終端ノードでは、二重送信を防ぐ為に、受信した通信パケットを廃棄する。分岐ノードは、現用系パス全てのノードおよびリンクが正常に機能していることをヘルスチェック等で常に監視しておき、障害の発生が確認された場合には、予備系パスの終端ノードに廃棄を中止する通知を行う。
【0007】
(2)現用系パスおよび予備系パスの分岐点となるノード(分岐ノード)が、正常時には現用系パスのみに通信パケットを送信し、障害発生時には予備系パスのみに通信パケットを送信する。分岐ノードは、現用系パス全てのノードおよびリンクが正常に機能していることをヘルスチェック等で常に監視し、障害の発生が確認された場合には、予備系パスに送信を切り替える。
【非特許文献1】清水茂喜、大内宏之、“Multicast MPLSを用いたNW冗長方式”、電子情報通信学会、「2005ソサエティ大会講演論文集」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、マルチキャストによる切替方法では、現用系パスと予備系パスの分岐点となる分岐ノードに複雑な機構であるマルチキャスト機能が必要になるので、分岐ノードの処理の負荷が高くなる。また、分岐ノードが現用系パスの下流ノードを常に監視する必要があり、監視処理による分岐ノードの負荷に加え、ネットワークにも負荷がかかってしまう。
【0009】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、現用系パスの終端ノードの故障に対応でき、かつ、高速な障害復旧を実現し、ノードおよびネットワークの負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のパス切替方法は、ネットワークにおいて、現用系パスから、前記現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスへ切り替えるパス切替方法であって、前記現用系パスと前記予備系パスとの分岐点となるノードが、前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、前記現用系パスおよび前記予備系パスの経路情報を取得すると、前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて前記記憶部に記憶するステップと、前記現用系パスが利用している自ノードのリンクのリンクダウンの検知、又は前記現用系パスの下流ノードから障害情報を受信することで、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを検知するステップと、前記障害を検知したインタフェースを介する現用系パスに対応する予備系パスを、前記記憶部を参照して抽出し、前記抽出した予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出するステップとを実行することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載のパス切替システムは、複数のノードからなるネットワークにおいて、現用系パスと、この現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスとから構成されるパスを含むパス切替システムにおいて、前記ノードは、前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求を取得し、前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが当該現用系パスの始点ノードであると判別したとき、前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、前記現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段を備え、前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記分岐ノードであると判別したとき、前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの始点ノードから前記予備系パスの終端ノードを接続する予備系パスの経路を、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように計算し、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する分岐処理手段と、前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信し、前記作成した予備系パス設定要求を、前記予備系パスの経路情報に基づいて、予備系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段と、前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記現用系パスの障害を検知した場合に、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを、前記記憶手段を参照して判別し、前記障害が発生したインタフェースを介する現用系パスに対する予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出する障害検知手段とを備え、前記現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記分岐ノードのいずれでもないとき、前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶手段と、前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段と、前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶手段に記憶される前記現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知手段を備え、前記現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記現用系パスの終端ノードであると判別したとき、前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶手段と、前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶手段に記憶される前記現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載のパス設定ノードは、複数のノードからなるネットワークにおいて、現用系パスと、この現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスとからなるパスを設定するパス設定ノードであって、前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求を取得し、前記取得した現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の分岐ノードは、複数のノードからなるネットワークにおいて、障害時に現用系パスと対応する予備系パスへ切替を行う分岐ノードであって、前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、他のノードから受信した、前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求に基づいて、前記現用系パスの始点ノードから前記予備系パスの終端ノードを接続する予備系パスの経路を、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように計算し、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する分岐処理部と、前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信し、前記作成した予備系パス設定要求を、前記予備系パスの経路情報に基づいて、予備系パスの下流ノードへ送信するパス設定部と、前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて記憶する前記記憶部と、前記現用系パスの障害を検知した場合に、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを、前記記憶部を参照して判別し、前記障害が発生したインタフェースを介する現用系パスに対する予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出する障害検知部とを備えること特徴とする。
【0014】
これにより、パス設定ノードは、予備系パスの設定情報を含むパス設定要求を送信し、分岐ノードは、受信したパス設定要求に基づいて現用系パスだけでなく、予備系パスに関する情報も一括して管理する。分岐ノードは、この情報に基づいてパケットを送受信することができるので、柔軟かつ高速な障害復旧を実現し、さらに、ノードの処理の負担も軽減される。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパス切替方法において、前記現用系パスおよび前記予備系パスは、MPLSのLSPを利用することを特徴とする。
【0016】
かかる方法によれば、パス制御と共にMPLSによる品質保証を実現することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のパス切替システムにおいて、前記取得した現用系パス設定要求に含まれる情報は、この現用系パスに対する予備系パスの複数の終端ノードを含み、前記ノードは、前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記分岐ノードであると判別したとき、前記分岐処理手段が、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように、前記取得した予備系パスの複数の終端ノードへの経路を計算し、前記計算した予備系パスの経路のうち、コストおよび遅延の少なくとも一方が最小となる予備系パスの経路の、終端ノードおよびその経路情報を選択して、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のパス設定ノードにおいて、パス設定部が、予備系パスの終端ノードを複数取得し、前記取得した複数の予備系パスの終端ノードを含むパス設定要求を、現用系パスの下流ノードへ送信することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の分岐ノードにおいて、分岐処理部が、前記受信した現用系パス設定要求に含まれる情報は、この現用系パスに対する予備系パスの複数の終端ノードを含み、前記分岐ノードの前記分岐処理部は、前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように、前記取得した予備系パスの複数の終端ノードへの経路を計算し、前記計算した予備系パスの経路のうち、コストおよび遅延の少なくとも一方が最小となる予備系パスの経路の、終端ノードおよびその経路情報を選択して、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成することを特徴とする。
【0020】
これにより、分岐ノードが予備系パスの経路計算を行う際に、複数の予備系パスの経路候補の中から、より最短経路となる終端ノードを持つ経路を選択することができるので、ネットワークの利用効率をさらに向上させることが可能となる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の分岐ノードにおいて、障害検知部が、前記現用系パスが利用している自ノードのリンクのリンクダウンを検知するか、又は前記現用系パスの下流ノードから障害情報を受信することで、障害を検知することを特徴とする。
【0022】
また、請求項10に記載の中継ノードは、複数のノードからなるネットワークにおいて、障害時に現用系パスと対応する予備系パスへ切替を行う分岐ノードと、当該現用系パスの終端点となる現用系終端ノードとの間に設置される中継ノードであって、受信した現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶部と、前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定部と、前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶部に記憶される現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知部を備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、中継ノードで障害を検知した場合に、その障害を上流ノードに通知することで、分岐ノードが予備系パスに切り替える。そのため、設定する予備系パスの本数を減らすことができ、かつ、全てのノードの障害検知に対応可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、現用系パスの終端ノードの故障にも対応でき、かつ、高速な障害復旧を実現し、ノードおよびネットワークの負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)を説明する。なお、本実施形態では、品質を保証するネットワーク内で、パスの切り替えが生じた際に、異なる終端点を持つパスに切り替えることを前提として説明する。
【0026】
図1は、本実施形態のパス切替システムが適用される通信システムのネットワーク構成例を示す図である。
通信システムは、品質保証を行うネットワークであるコアネットワーク3と、一般の利用者が運用する1以上のユーザネットワーク2(2a,2b)とを含み、互いに通信可能に接続される。ユーザネットワーク2およびコアネットワーク3は、IPによる通信装置としてのノードを含み、ノード相互でIPを利用した通信が可能である。なお、これらのネットワーク(符号2,3)は、IPv6等で通信可能なノードにより構成されてもよい。
【0027】
コアネットワーク3は、広帯域なリンクで構成され、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)等を利用することで品質保証を行うネットワークである。このコアネットワーク3は、ユーザネットワーク2と接続を行うMPLSルータ等のノード1で構成される。このノード1のうち、他のネットワークとの境界に位置し、隣接する他のネットワークのノードと直接通信を行うノード1を特にプロバイダエッジとよぶ。
【0028】
ユーザネットワーク2は、例えばイーサネット(登録商標)のようなLAN(Local Area Network)によって構成されており、ネットワークハブ、ルータ等のノードがLANのネットワークケーブルで接続されている。このノードのうち、他のネットワークとの境界に位置し、隣接する他のネットワークと直接通信を行うノードを特にユーザエッジとよぶ。このユーザエッジは、コアネットワーク3の複数のプロバイダエッジと通信可能に接続され、これらのノードは、相互にIP通信を行うことが可能となっている。
【0029】
本実施形態では、ユーザネットワーク2aに属するユーザエッジから、ユーザネットワーク2bに属するユーザエッジに通信パケットを送信する場合、ユーザネットワーク2aのユーザエッジと通信可能に接続されるプロバイダエッジが、ユーザネットワーク2bのユーザエッジと通信可能に接続されるプロバイダエッジとの間に現用系パスを設定する。そして、冗長構成として、現用系パス内の分岐ノードから分岐して、現用系パスの終端点となるプロバダエッジとは異なるプロバイダエッジを終端点とする予備系パスを設定することで、障害発生時に備える。
【0030】
なお、コアネットワーク3のプロバイダエッジの接続先は、ユーザネットワーク2に限らず、他のコアネットワーク3としてもよい。また、本実施形態でプロバイダエッジが設定するパス(現用系パスおよび予備系パス)は、コアネットワーク3内のプロバイダエッジ間で接続することを前提とするが、複数のコアネットワーク3にまたがっていたり、ユーザネットワーク2を含んでいたりしてもよい。
【0031】
<ノードの構成>
図2は、図1のコアネットワーク内に属するノードの構成を示したブロック図である。ノード1は、図示しないが、入出力を司る入出力インタフェースと、例えば演算処理を行う際に用いられる記憶手段としてのメモリと、前記演算処理を行う演算処理装置とを少なくとも備えるコンピュータとして構成される。
【0032】
図2に示すように、ノード1は、パスの設定を行うパス設定部21、パケットを送信するための情報であるラベルテーブル22、パスにおける自ノードの役割を判別する分岐処理部23、障害を検知する障害検知部24、パスの経路情報が格納されるパス情報テーブル25等を含んで構成される。パス設定部21、分岐処理部23、および障害検知部24の機能は、ノード1内の演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)がメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。また、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25は、ノード1内のRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等のメモリに記憶される。
【0033】
パス設定部21は、ネットワークオペレータからのCLI(Command Line Interface)、ネットワーク全体を管理する装置(管理用装置)、他のノード等から、パスを設定する要求であるパス設定要求を受け付け、パスを設定する。また、他のノード1へパス設定要求を送信したり、他のノード1から取得したパス設定要求に含まれる情報を、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納したりする。パス設定要求に含まれる情報を以下の表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、パス設定要求は、パス設定情報および予備系パス設定情報から構成される。パス設定情報は、ネットワーク内のパスを識別するためのパスID、設定するパスの始点ノード、設定するパスの終端ノード(プロバイダエッジ)、設定するパスの始点ノードから終端ノードまでの間で経由するノード等を示した情報である。また、予備系パス設定情報は、設定するパスの始点ノード、設定するパスの現用系パスと予備系パスとを分岐する分岐ノード、現用系パスの終端ノード(プロバイダエッジ)、予備系パスの終端ノード(プロバイダエッジ)等を示した情報である。なお、各ノードの情報は、例えばIPアドレスやノード番号等により記述される。
【0036】
なお、パス設定要求には、ノード1が送受信する通信パケットのラベル情報も含まれるが、ここでは図示を省略する。
【0037】
ラベルテーブル22は、ノード1が受信した通信パケットのラベルを付け替えるための情報と、その通信パケットをどのIF(interface)から送出するかを定義した情報である。
【0038】
本実施形態では、コアネットワーク3で品質保証を実現するために、MPLSのLSP(Label Switched Path)等による、ラベルを利用した送信方法を用いる。ラベルとは、通信パケット送信のためのキーとして用いられる情報であり、所定のルールに基づいて設定された情報を通信パケットに付加する。また、通信パケットの中に予め含まれている値やその通信に用いる波長等をラベルとして利用する方法もある。
【0039】
MPLS等によるラベルを利用して通信パケットを送信する場合、最初に通信パケットを受信する、パスの始点ノードが、受信した通信パケットにラベルを付加して下流(つまり、自ノードに接続しているノードのうち、当該パスにおける終端ノードに近いノード)に送信する。この通信パケットを受信した下流ノードは、ラベルの情報を取得し、自身に格納されているラベルテーブル22の情報に基づいて、ラベルの付け替えを行って、該当する送信IFから通信パケットを送出する。ラベルテーブル22の例を、以下の表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
表2は、本実施形態における分岐ノードに格納されるラベルテーブル22の一例を示す表であり、同じパスIDで現用系パスおよび予備系パスの両方の情報が記載される。つまり、現用系パスのパスIDと、その現用系パスに対応する予備系パスのパスIDとは、同じものが格納されることで、分岐ノードは、現用系パスと予備系パスとの対応関係を判別できる。
【0042】
ラベルテーブル22は、設定されたパスを識別するためのパスID、属性、受け取りラベル、送出ラベル、送出IF等を示した情報である。パスIDは、パス設定要求に含まれるパスIDの情報が取得されて格納される。属性は、ラベルテーブル22内に同じパスIDの設定(レコード)が複数ある場合に、どのレコードを優先するかを判断するための情報である。受け取りラベルは、受信した通信パケットに付加されているラベルを判断するための情報であり、パス設定要求に含まれる通信パケットのラベル情報が取得されて格納される。送出ラベルは、受信した通信パケットに付加されているラベルを付け替える情報である。この送出ラベルは、レコードが登録される毎に、ラベルテーブル22の送出ラベル内で固有の番号が採番されて格納される。送出IFは、通信パケットを送出するIFであり、ここでは図示しないが、ノード1内のメモリに格納されるルーティング情報(ネットワーク内に存在する各ノードを接続するリンク情報とトポロジ情報を格納した情報)を参照し、下流ノードに接続するインタフェースの情報を取得して、格納する。このラベルおよびラベルテーブル22を用いた通信パケットの送受信については、後記する図3で詳しく説明する。
【0043】
分岐処理部23は、受信したパス設定要求に含まれる情報に基づいて、自身がどの役割のノードであるかを判別する。
【0044】
障害検知部24は、パケット送信に利用している送出IFの障害や、現用系パスが利用している自ノードのリンクのリンクダウンを検知したり、下流ノードから障害情報を受信したりした場合に、当該パスにおいて、自身が分岐ノードであれば、ラベルテーブル22の情報を現用系パスから予備系パスに切り替え、自身が分岐ノードでなければ、後記するパス情報テーブル25の“経路”を参照して、障害が発生したパスの上流ノード(つまり、自ノードに接続しているノードのうち、当該パスにおける始点ノードに近いノード)に障害情報を送信する。
【0045】
パス情報テーブル25は、パス毎の経路を示す情報であり、障害検知部24が上流ノードに障害情報を送信する際に参照する。このパス情報テーブル25は、パス設定部21によって、受信したパス設定要求等の情報に基づいて格納される。パス情報テーブル25の例を、以下の表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
表3は、本実施形態における分岐ノードに格納されるパス情報テーブル25の一例を示す表である。パス情報テーブル25は、設定されたパスを識別するためのパスID、設定されたパスの始点ノード、設定されたパスの終端ノード、設定されたパスの経路等を示した情報である。このパス情報テーブル25に含まれる情報は、パス設定部21が受信したパス設定要求に含まれる情報を取得することで格納されるが、“経路”については、自身で算出した経路や、下流ノードから受信するパス設定確認情報に含まれる経路情報を取得したりした経路を格納してもよい。
【0048】
なお、このパス情報テーブル25の“パスID”と、ラベルテーブル22の“パスID”とはリンクしている。
【0049】
図3は、図1に示すコアネットワーク内において、各ノードが、ラベルを利用して通信パケットを送信する処理を概念的に示す図である。以下、分かりやすいように、ノード1について、各ノードにアルファベットの符号を付与して図示し、適宜、記載することとする。図3では、既にパス(現用系パスおよび予備系パス)の設定が完了しており、各ノード1にラベルテーブル22およびパス情報テーブル25が格納されている。
【0050】
図3に示すネットワークでは、まず、始点ノードであるノードAが通信パケットを受信すると、自身に格納されるラベルテーブル22(符号301)の送出ラベル「5」に基づいて通信パケットにラベル「5」を付加し、送出IF「1」に基づいて、IF「1」から通信パケットを送出する。なお、ノードAのラベルテーブル22(符号301)の受け取りラベルには、始点であることを示す情報が記載されている。
【0051】
分岐ノードであるノードBは、ラベル「5」の付加された通信パケットを受信したら、通常は、現用系パスを利用するので、ラベルテーブル22(符号311)に基づき、通信パケットのラベル「5」を「3」に付け替えて、IF「1」から通信パケットを送出する。
【0052】
現用系パスの中継ノードであるノードFは、ラベル「3」の付加された通信パケットを受信したら、ラベルテーブル22(符号321)の送出ラベル「2」に基づき、通信パケットのラベル「3」を「2」に付け替えて、IF「1」から通信パケットを送出する。
【0053】
現用系終端ノードであるノードHのラベルテーブル22(符号331)には、送出ラベルに、終端であることを示す情報が記載されている。ノードHは、ラベル「2」の付加された通信パケットを受信したら、ラベルテーブル22(符号331)の送出ラベルの終端であることを示す情報に基づき、ラベルを外して、通常のパケット送信処理を行う。
【0054】
なお、分岐ノードであるノードBは、現用系パスの障害発生時(例えば、ノードBのIF「1」で障害発生を検知した場合)には、ラベルテーブル22(符号311)の属性「予備系」の情報に基づいて切替処理を行い、受信した通信パケットのラベル「5」を「4」に付け替えて、送出IF「2」から通信パケットを送出する。この切替処理の詳細な説明は、後記する。
【0055】
<パス設定時のノードの動作>
図4を用いて、図1〜3を参照しながら、パス設定時のノード1の動作を説明する。図4は、パス設定時のノードの動作を示したフローチャートである。
【0056】
<始点ノード(パス設定ノード)>
ノード1のパス設定部21は、ネットワークオペレータからのCLIを介した制御や、ネットワーク全体を管理する管理装置等から、パス設定要求を受信する(S101)。このパス設定要求に含まれる情報は、前記した表1に例示したとおりである。
【0057】
ノード1の分岐処理部23は、受信したパス設定要求に含まれる情報と、自身の識別情報(例えば、IPアドレス等)とを照合することで、これから設定するパスにおける自ノードの役割を判別する(S102)。
【0058】
ステップS102の判別において、自身の識別情報と、パス設定要求に含まれる“始点ノード”の情報とが一致した場合(ステップS102で“始点ノード”)、ノード1のパス設定部21は、受信したパス設定要求に含まれるパス設定情報(始点ノード、終端ノード、経由)を用いて、現用系パスの経路計算を行い(S111)、計算した現用系パスの経路に基づいて、経由するノードの情報を、ステップS101で受信したパス設定情報の“経由”に格納する。なお、ステップS111の処理は、パス設定要求に含まれるパス設定情報の“経由”に情報が格納されていない場合や、パス設定要求に含まれるパス設定情報の“経由”に経路計算を行うよう指定されていた場合等に実行される。
【0059】
そして、パス設定部21は、パス設定情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、現用系のパス設定要求を、現用系パスの下流ノードへ送信する(S112)。受信したパス設定要求に含まれるパス設定情報に、始点ノードから終端ノードまでの全ての経由の情報が予め格納されていた場合には、ステップS111の経路計算処理は不要となり、パス設定部21は、ステップS101で受信したパス設定要求を、現用系のパス設定要求として、現用系パスの下流ノードへ送信する。
【0060】
そして、下流ノードからパス設定が成功したことを示すパス設定確認を受信したら(S113)、ノード1のパス設定部21は、ステップS101で受信したパス設定要求と、ステップS113で受信したパス設定確認とから取得した情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S114)。ここでは、図3の符号301および符号302に例示する情報が格納される。つまり、パス設定要求に含まれるパスIDの情報が、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25のパスIDに格納され、パス情報テーブル25(符号302)の経路は、ステップS111で計算された経路か、もしくは、下流ノードから受信したパス設定確認に含まれる経路情報が格納される。
【0061】
<分岐ノード>
一方、ノード1のパス設定部21が他のノード(上流ノード)からパス設定要求を受信し(S101)、分岐処理部23によるステップS102の判別で、自身の識別情報と、パス設定要求に含まれる“分岐ノード”の情報とが一致した場合(ステップS102で“分岐ノード”)、ノード1のパス設定部21は、パス設定情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ステップS101で受信したパス設定要求を、現用系のパス設定要求として、下流ノードへ送信(転送)する(S121)。
【0062】
そして、下流ノードからパス設定確認を受信したら(S122)、ノード1のパス設定部21は、予備系パスの経路計算を行うよう分岐処理部23へ指示し、分岐処理部23は、予備系パスの経路計算を行う(S123)。
【0063】
詳しく説明すると、ノード1のパス設定部21は、ステップS122でパス設定確認を受信したことを契機として、ステップS101で受信したパス設定要求を予備系パス経路計算指示として、分岐処理部23へ送信する。このとき、ステップS122で受信したパス設定確認に、現用系パスの経路情報が付加されていた場合には、パス設定要求と併せて分岐処理部23へ送信する。分岐処理部23は、受信したパス設定要求(パス設定確認に付加されていた場合には、現用系パスの経路情報も)に基づいて、予備系パスの経路計算を行う。予備系パスの経路計算では、分岐処理部23は、始点ノードから予備系パス終点ノードまでの予備系パスの経路を、現用系パスの経路と重複しないように計算する。また、予備系パスの終端ノードが複数指定されていた(含まれていた)場合には、すべての終端ノードに対して経路計算を行い、計算した経路の中で、そのリンクコストや遅延が最も小さくなるような経路を選択する。分岐処理部23は、計算した予備系パスの経路を格納した予備系のパス設定要求を、パス設定部21へ送信する。ここで分岐処理部23からパス設定部21へ送信される予備系のパス設定要求に含まれる情報を以下の表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
表4に示すように、分岐処理部23からパス設定部21へ送信される予備系のパス設定要求では、パス設定情報の終端ノードには、予備系パスの終端ノードが格納され、経由には、ステップS123で計算した予備系パスの経路情報に基づく経由が格納される。なお、このパス設定情報に、予備系であることを示す情報を含ませてもよい。
【0066】
パス設定部21は、分岐処理部23から受信した予備系のパス設定要求を、パス設定情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報とに基づいて、予備系パスの下流ノードへ送信する(S124)。
【0067】
続いて、パス設定部21は、ステップS101およびステップS124で受信したパス設定要求と、ステップS122で受信したパス設定確認とから取得した情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S125)。このステップS125の処理は、ステップS114の処理と同様である。ここでは、図3の符号311および符号312に例示する情報が格納される。
【0068】
そして、パス設定部21は、パスが設定されたことを示すパス設定確認を、ステップS101で受信したパス設定要求の情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報とに基づいて、上流ノードへ送信する(S126)。このとき、下流の経路情報をパス設定確認に含ませてもよい。
【0069】
<中継ノード>
一方、ノード1のパス設定部21が他のノード1(上流ノード)からパス設定要求を受信し(S101)、分岐処理部23によるステップS102の判別で、自身の識別情報と、パス設定要求に含まれる“始点ノード”、“終端ノード”、“分岐ノード”のどの情報とも一致しなかった場合(ステップS102で“中継ノード”)、ノード1のパス設定部21は、パス設定情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ステップS101で受信したパス設定要求を、現用系のパス設定要求として、下流ノードに送信(転送)する(S131)。
【0070】
そして、下流ノードからパス設定確認を受信したら(S132)、ノード1のパス設定部21は、ステップS101で受信したパス設定要求と、ステップS132で受信したパス設定確認とから取得した情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S133)。ここでは、図3の符号321および符号322に例示する情報が格納される。
【0071】
続いて、パス設定部21は、パスが設定されたことを示すパス設定確認を、ステップS101で受信したパス設定要求の情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報とに基づいて、上流ノードへ送信する(S134)。このとき、下流の経路情報をパス設定確認に含ませてもよい。
【0072】
<現用系終端ノード>
一方、ノード1のパス設定部21が他のノード1(上流ノード)からパス設定要求を受信し(S101)、分岐処理部23によるステップS102の判別で、自身の識別情報が、パス設定要求に含まれる“現用系終端ノード”の情報と一致した場合(ステップS102で“現用系終端ノード”)、ノード1のパス設定部21は、ステップS101で受信したパス設定要求から取得した情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S141)。ここでは、図3の符号331,332に例示する情報が格納される。
【0073】
続いて、パス設定部21は、パスが設定されたことを示すパス設定確認を、ステップS101で受信したパス設定要求の情報に含まれる“経由”の情報と、自身に格納されるルーティング情報とに基づいて、上流ノードへ送信する(S142)。このとき、下流の経路情報をパス設定確認に含ませてもよい。
【0074】
<予備系終端ノード>
一方、ノード1のパス設定部21が他のノード1(上流ノード)からパス設定要求を受信し(S101)、分岐処理部23によるステップS102の判別で、自身の識別情報が、パス設定要求に含まれる“予備系終端ノード”の情報と一致した場合(ステップS102で“予備系終端ノード”)、ノード1のパス設定部21は、ステップS101で受信したパス設定要求から取得した情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S151)。なお、予備系パスについても、現用系パスと同様に、パス設定確認を送ることとしてもよい。
【0075】
なお、ノード1が、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に情報を格納するタイミングは、前記説明に限定されない。例えば、パス設定確認を送信してから、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に情報を格納してもよいし、ステップS102のノード判別処理のすぐ後に格納することとしてもよい。
【0076】
また、パス設定要求に含まれるパス設定情報の“経由”は、予め指定されていない(含まれていない)ことも考えられる。その場合には、始点ノードに限らず、分岐ノードや中継ノードであっても、ステップS111のような経路計算を行い、計算した経路の情報をパス設定要求に格納して、下流ノードに送出する。
【0077】
<パス設定時の処理の流れ>
図5は、図3に示すネットワークにおける各ノードの処理の流れを示したシーケンス図である。以下、説明のため、パスを設定する役割を担うノード(図3では、ノードA)をパス設定ノードとよぶ。また、現用系パスと予備系パスとの分岐を行う役割を担うノード(図3では、ノードB)を、分岐ノードとよぶ。さらに、現用系パスの終端となるノード(図3では、ノードH)を、現用系終端ノードとよび、予備系パスの終端となるノード(図3では、ノードI)を、予備系終端ノードとよぶ。そして、通信パケットを中継する役割を担うノード(図3では、ノードC,E,F)を中継ノードとよぶ。図3を参照しながら、図5における各ノード(A,B,F,H,I)の動作を説明する。
【0078】
まず、パス設定ノード(ノードA)は、ネットワークオペレータからのCLIや、ネットワーク全体を管理する管理装置等から、パス設定要求を受信する(S511)。このパス設定要求に含まれる情報は、前記した表1に例示したとおりである。
【0079】
パス設定ノードは、受信したパス設定要求に含まれる“始点ノード”が、自身の識別情報と一致することを判別したら(S512)、現用系パスの経路計算を行い(S513)、計算した現用系パスの経路に基づいて、経由するノードの情報を、パス設定要求のパス設定情報に格納する。なお、前記したように、受信したパス設定要求に含まれるパス設定情報に、経由の情報が予め格納されている場合には、ステップS513の経路計算処理は不要となる。
【0080】
そして、パス設定部21は、現用系のパス設定要求を、現用系パスの下流ノードである分岐ノード(ノードB)へ送信する(S514)。
【0081】
分岐ノード(ノードB)は、パス設定ノードから現用系のパス設定要求を受信し(S521)、受信したパス設定要求に含まれる“分岐ノード”が、自身の識別情報と一致することを判別したら(S522)、現用系のパス設定要求を、現用系パスの下流ノードである中継ノード(ノードF)へ送信する(S523)。
【0082】
中継ノード(ノードF)は、分岐ノードから現用系のパス設定要求を受信し(S531)、自身の識別情報が、受信したパス設定要求に含まれる“始点ノード”、“終端ノード”、“分岐ノード”のどの情報とも一致しないことを判別したら(S532)、現用系のパス設定要求を、現用系パスの下流ノードである現用系終端ノード(ノードH)へ送信する(S533)。
【0083】
現用系終端ノード(ノードH)は、中継ノードから現用系のパス設定要求を受信し(S541)、受信したパス設定要求に含まれる“現用系終端ノード”が、自身の識別情報と一致することを判別したら(S542)、ステップS541で受信したパス設定要求に含まれる情報をラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S543)。そして、パスが設定されたことを示すパス設定確認を、上流ノードである中継ノード(ノードF)へ送信する(S544)。このとき、パス設定確認に経路情報を含ませて送信してもよい。
【0084】
中継ノード(ノードF)は、現用系終端ノードからパス設定確認を受信したら(S534)、ステップS531で受信したパス設定要求およびステップ534で受信したパス設定確認に含まれる情報を、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S535)。そして、パス設定確認を、上流ノードである分岐ノード(ノードB)へ送信する(S536)。このとき、パス設定確認に経路情報を含ませて送信してもよい。
【0085】
分岐ノード(ノードB)は、中継ノードからパス設定確認を受信したら(S524)、予備系パスの経路を計算して(S525)、予備系のパス設定要求を、予備系パスの下流ノードである中継ノード(ノードC)へ送信する(S526)。ここでの予備系パスの経路計算および送信処理は、図4のステップS123,S124で説明したとおりである。
【0086】
そして、分岐ノードは、ステップS521で受信したパス設定要求およびステップS524で受信したパス設定確認に含まれる情報を、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納し(S527)、パス設定確認を、上流ノードであるパス設定ノード(ノードA)へ送信する(S528)。
【0087】
パス設定ノード(ノードA)は、分岐ノードからパス設定確認を受信したら(S515)、ステップS511で受信したパス設定要求およびステップS515で受信したパス設定要求に含まれる情報を、ラベルテーブル22およびパス設定テーブル25に格納する(S516)。
【0088】
なお、ステップS526において、分岐ノードが送信した予備系のパス設定要求は、予備系の下流ノードである中継ノード(ノードC)が受信する(図示せず)。中継ノードは、自身のラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に情報を格納して、受信した予備系のパス設定要求を下流ノードへ送信する。
【0089】
予備系終端ノード(ノードI)は、中継ノード(ノードE)が送信した予備系のパス設定要求を受信し(S551)、受信したパス設定要求に含まれる“予備系終端ノード”が、自身の識別情報と一致することを判別したら(S552)、ステップS551で受信したパス設定要求に含まれる情報をラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に格納する(S553)。
【0090】
以上の処理により、図3に示すネットワークにおいて、現用系パス(ノードA−ノードB−ノードF−ノードH)と、ノードBから分岐した予備系パス(ノードA−ノードB−ノードE−ノードI)が設定され、各ノード1にはそれぞれラベルテーブル22およびパス情報テーブル25が格納される。なお、前記したように、ノード1が、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に情報を格納するタイミングは、前記説明に限定されない。例えば、ノード判別処理のすぐ後に格納することとしてもよいし、パス設定確認を送信してから、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25に情報を格納してもよい。また、パス情報テーブル25の“経路”以外の情報は先に格納しておき、パス設定確認を受信してから、パス設定確認に含まれる経路情報に基づいて、パス情報テーブル25の“経路”に情報を格納することとしてもよい。
【0091】
パス設定ノード(始点ノード)が送信するパス設定要求は、各パス設定要求毎に異なるパスIDを付加する。これにより、各ノードにおいて、共通のIDでパスを管理することが可能となる。以下、具体例を挙げて説明する。
【0092】
図6は、図3に示すネットワークの変形例を示す図である。図6に示すネットワーク構成では、始点ノードが2つ(ノードA,ノードX)存在し、それぞれの始点ノードがパス設定要求を送信したことで、2つのパスが設定されている。詳しく説明すると、ノードAからパス設定要求(1)が送信されたことで、パスID「1」の現用系パス(ノードA−ノードB−ノードF−ノードH)と、パスID「1」の予備系パス(ノードA−ノードB−ノードC−ノードE−ノードI)とが設定されている。一方、ノードXからパス設定要求(2)が送信されたことで、パスID「2」の現用系パス(ノードA−ノードB−ノードY−ノードZ)と、パスID「2」の予備系パス(ノードX−ノードB−ノードY−ノードW)とが設定されている。
【0093】
これにより、ノードBにラベルテーブル22(符号401)およびパス情報テーブル25(符号402)が格納される。また、ノードYにラベルテーブル22(符号411)およびパス情報テーブル25(符号412)が格納される。このように、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25において、現用系パスと予備系パスとで共通のIDを用いて、パスを管理する。なお、例えば、1つの始点ノードから、異なる終端ノードに対して現用系パスを設定する場合でも、パス設定要求毎に異なるIDを付加する。
【0094】
<障害時のノードの動作>
続いて、図7、図8を用いて、適宜図2を参照しながら、障害時のノード1の動作を説明する。図7は、障害時のノードの動作を示したフローチャートである。図8は、図6に示すネットワークにおける障害時の各ノードの動作を、概念的に示す図である。なお、図8のノードBおよびノードFには、図8に示すように、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25が予め格納されている。
【0095】
ノード1は、障害検知部24によって、障害を検知する(S601)。障害を検知する方法としては、例えば、パケット送信に利用しているIFの障害、自ノードのリンクのリンクダウンの検知、他のノード1から障害情報を受信する等の方法がある。
【0096】
障害検知部24は、自身に格納されるラベルテーブル22を参照し、ステップS601で障害を検知したIFに対応するパスIDで、切替可能な予備系パスがあるか否かを判別する(S602)。
【0097】
障害を検知したIFに対応するパスIDで、切替可能な予備系パスがなかった場合(S602→No)、ノード1の障害検知部24は、パス情報テーブル25に格納されている当該パスIDの経路を参照して、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、自ノードの上流ノードへ、当該パスIDの情報を含む障害情報を送信する(S603)。
【0098】
図8では、ノードF−ノードHの間がリンクダウンした場合が例として示されている。この例を用いて、具体的に説明する。まず、ノードFは、IF「1」において障害を検知する。そして、ノードFは、ラベルテーブル22(符号811)を参照して、障害を検知したIF「1」はパスID「1」の属性「現用系」であり、それに対応する切替可能な属性「予備系」の情報はラベルテーブル22内には存在しないことを判別する。この結果に基づき、ノードFは、パス情報テーブル25(符号812)を参照して、パスID「1」の経路「A−B−F−H」から、自ノードの上流ノードが「B」であることを判別し、パスID「1」を含む障害情報を、自身に格納されるルーティング情報に基づいて、ノードBへ送信する。これにより、ノードBは、障害情報を受信する。
【0099】
一方、ステップS602において、障害を検知したIFに対応するパスIDで、切替可能な予備系パスが存在した場合には(S602→Yes)、ノードの障害検知部24は、障害を検知したIFに対応するパスIDの属性「現用系」のレコードを削除することで、現用系パスから予備系パスへの切替処理を行う(S604)。
【0100】
図8を参照しながら具体的に説明すると、ノードBは、ノードFからパスID「1」を含む障害情報を受信することで障害を検知する。そして、ノードBは、ラベルテーブル22(符号801)を参照して、障害情報に含まれるパスID「1」で、属性「現用系」に対応する「予備系」が存在することを判別する。ノードBは、ラベルテーブル22(符号801)において、パスID「1」、属性「現用系」のレコードを削除する。そして、以降、ノードBは、上流ノードから受信した、ラベル「5」の通信パケットは、パスID「1」、属性「予備系」のレコードに基づいて、通信パケットのラベルについて「5」から「4」に付け替え、送出IF「2」から送出する。これにより、予備系パスであるノードCへ通信パケットが送信されることとなる。
【0101】
なお、障害検知部24は、ステップS604において、属性「現用系」のレコードを削除する代わりに、例えば、ラベルテーブル22に新規項目として、通信パケット送出時に参照するレコードを識別するための情報(例えば、Yes/No等のフラグ)を備えることとしてもよい。これにより、参照するレコードを識別して、予備系パスに切り替えることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
図9は、ノードに格納されるラベルテーブルの変形例を示す図である。ラベルテーブル22は、例えば図9に示すように、現用系の情報を格納するラベルテーブル22aと、予備系の情報を格納するラベルテーブル22bとで分けてノード1に格納してもよい。この場合、分岐ノードであるノードBは、通常は現用系の情報が格納されているラベルテーブル22aを参照し、障害発生時には、障害検知部24が、障害の発生したパスを示すパスIDの情報に基づいて、予備系の情報を格納するラベルテーブル22bの情報をラベルテーブル22aに上書きする。これによれば、通常利用するラベルテーブル22aの情報が少なくてすむので、処理の負荷が軽減される。
【0104】
また、障害検知部24は、リンクダウンや自身のIFから障害を検知するだけでなく、自身のハードウェア故障(例えば、ラベルテーブル22の故障等)を検知してもよい。
【0105】
本実施形態では、パス設定要求に付加される予備系パス設定情報について、様々な変形例が考えられる。図10は、パス設定要求に含まれる予備系パス設定情報の変形例を示す図である。以下、図10に示す予備系パス設定情報の例(1)〜(4)について説明する。
【0106】
(1)前記した実施形態で説明した、予備系パス設定情報の例である。
(2)異なる分岐ノードを複数指定することで、予備系パスを複数指定できるようにした例である。これにより、異なる分岐ノードを介する予備系パスを設定できる。
(3)分岐ノードを直接指定するのではなく、分岐ノードの条件を指定するようにし、かつ、予備系終端ノードを複数指定した例である。予備系終端ノードを複数指定することで、分岐処理部23が予備系パスの経路を計算する際に、複数の経路候補の中から、コストや遅延等の情報に基づいた最短経路を選択することができる。
(4)前記(2)および(3)を組み合わせた例であり、分岐ノードを複数指定し、かつ、分岐ノードの条件を指定している。
【0107】
以上によれば、ノード1は、パス設定要求の送信時に、予備系パスに関して様々な指定を行うことができる。
【0108】
なお、表1に示すパス設定要求の予備系パス設定情報に含まれる、始点ノードおよび現用系終端ノードの情報は、省略可能である。この場合、ノード1は、始点ノードと現用系終端ノードの情報を、パス設定要求の中のパス設定情報から取得する。これにより、パス設定要求の容量が少なくてすみ、ネットワーク負荷を軽減できる。
【0109】
また、本実施形態では、ラベルテーブル22に格納される属性は、現用系と予備系とで区別するものとして説明したが、例えば、優先順位を示す情報等で区別することとしてもよい。そして、障害発生時には、障害の発生したIFのレコードの優先順位を「0」にすることで、通信パケット送出不可とする。優先順位を示す情報で区別することで、1つの分岐ノードから複数の予備系パスが設定可能となり、切り替えた対象の予備系パスに障害が発生した場合でも、次の優先順位の予備系パスに切り替えることができる。その他、本発明の趣旨を変えない範囲で適宜実施可能である。
【0110】
本実施形態によれば、品質保証を行うネットワークにおいて、終端ノードの異なる予備系パスを設定し、現用系パスと予備系パスとの分岐を行う分岐ノードに格納されるラベルテーブル22内に、現用系パスだけでなく予備系パスを示す情報もあわせて格納する。そして、障害時には、中継ノードは、ラベルテーブル22およびパス情報テーブル25を参照して、障害が発生したパスの上流ノードへ障害情報を通知し、分岐ノードは、ラベルテーブル22を参照して、障害が発生した現用系パスから予備系パスに切り替える。これにより、ネットワークおよび処理の負荷を減少し、高速な障害復旧を実現する。
【0111】
従来、品質保証のために冗長パスによって切替処理を行う場合には、現用系パスと予備系パスとで終端ノードを共通とする制約があったが、本実施形態によれば、現用系パスと予備系パスとで終端ノードを分けることができ、終端ノードの障害時にも対応可能となる。
【0112】
また、従来、現用系パスと予備系パスとで終端ノードを分けるネットワーク構成とする場合には、障害が発生すると、分岐ノードがIPルーティングによって経路計算を行うので、迅速な疎通回復は困難であった。また、回復するまでの間の、通信パケット損失も課題であった。しかしながら、本実施形態によれば、障害発生時に、分岐ノードでラベルテーブル22を参照して切り替えれば、予備系パスに通信パケットが送出される。これにより、迅速な疎通回復が可能となり、通信パケットの損失も最小限に抑えられる。
【0113】
さらに、マルチキャストによる切替方法では、分岐ノードに多大な処理の負荷がかかっていた。しかし、本実施形態によれば、分岐ノードのラベルテーブル22に予め予備系パスの情報が格納されるので、障害時には、現用系パスから予備系パスへ切替処理を行うことで、予備系パスへ通信パケットが送出される。そのため、分岐ノードの処理の負荷が軽減される。
【0114】
また、マルチキャストによる切替方法では、1つの分岐ノードで設定できる予備系パスは1つに限定されていたが、本実施形態によれば、分岐ノードのラベルテーブル22の属性に、優先順位を示す情報を格納することで、複数の予備系パスを設定することができる。これにより、利用中の予備系パスで障害が発生した場合でも、別の予備系パスに切り替えることができる。また、パス設定要求に含まれる予備系パス設定情報に、複数の分岐ノードを指定したり、分岐ノードの条件を指定したり、複数の予備系パスの終端点を指定したりすることで、障害発生箇所に応じた柔軟な切替を実現することができる。
【0115】
本実施形態に係るノード1は、前記したような処理を実行させるプログラムによって実現することができ、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM等)に記憶して提供することが可能である。また、そのプログラムを、ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施形態のパス切替システムが適用される通信システムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】図1のコアネットワーク内に属するノードの構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示すコアネットワーク内において、各ノードが、ラベルを利用して通信パケットを送信する処理を概念的に示す図である。
【図4】パス設定時のノードの動作を示したフローチャートである。
【図5】図3に示すネットワークにおける各ノードの処理の流れを示したシーケンス図である。
【図6】図3に示すネットワークの変形例を示す図である。
【図7】障害時のノードの動作を示したフローチャートである。
【図8】図6に示すネットワークにおける障害時の各ノードの動作を、概念的に示す図である。
【図9】ノードに格納されるラベルテーブルの変形例を示す図である。
【図10】パス設定要求に含まれる予備系パス設定情報の変形例を示す図である。
【図11】従来のネットワーク構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0117】
1 ノード
2(2a,2b) ユーザネットワーク
21 パス設定部
22 ラベルテーブル
23 分岐処理部
24 障害検知部
25 パス情報テーブル
3 コアネットワーク
A ノード(パス設定ノード)
B ノード(分岐ノード)
F ノード(中継ノード)
H ノード(現用系終端ノード)
I ノード(予備系終端ノード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおいて、現用系パスから、前記現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスへ切り替えるパス切替方法であって、
前記現用系パスと前記予備系パスとの分岐点となるノードが、
前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、
前記現用系パスおよび前記予備系パスの経路情報を取得すると、前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて前記記憶部に記憶するステップと、
前記現用系パスが利用している自ノードのリンクのリンクダウンの検知、又は前記現用系パスの下流ノードから障害情報を受信することで、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを検知するステップと、
前記障害を検知したインタフェースを介する現用系パスに対応する予備系パスを、前記記憶部を参照して抽出し、前記抽出した予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出するステップと
を実行することを特徴とするパス切替方法。
【請求項2】
前記現用系パスおよび前記予備系パスは、MPLSのLSPを利用する
ことを特徴とする請求項1に記載のパス切替方法。
【請求項3】
複数のノードからなるネットワークにおいて、現用系パスと、この現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスとから構成されるパスを含むパス切替システムにおいて、
前記ノードは、
前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、
前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求を取得し、
前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが当該現用系パスの始点ノードであると判別したとき、
前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、前記現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段を備え、
前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記分岐ノードであると判別したとき、
前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの始点ノードから前記予備系パスの終端ノードを接続する予備系パスの経路を、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように計算し、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する分岐処理手段と、
前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信し、前記作成した予備系パス設定要求を、前記予備系パスの経路情報に基づいて、予備系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段と、
前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記現用系パスの障害を検知した場合に、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを、前記記憶手段を参照して判別し、前記障害が発生したインタフェースを介する現用系パスに対する予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出する障害検知手段とを備え、
前記現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記分岐ノードのいずれでもないとき、
前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶手段と、
前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定手段と、
前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶手段に記憶される前記現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知手段を備え、
前記現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記現用系パスの終端ノードであると判別したとき、
前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶手段と、
前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶手段に記憶される前記現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知手段と
を備えることを特徴とするパス切替システム。
【請求項4】
前記取得した現用系パス設定要求に含まれる情報は、この現用系パスに対する予備系パスの複数の終端ノードを含み、
前記ノードは、
前記取得した現用系パス設定要求に基づき、自ノードが前記分岐ノードであると判別したとき、
前記分岐処理手段が、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように、前記取得した予備系パスの複数の終端ノードへの経路を計算し、前記計算した予備系パスの経路のうち、コストおよび遅延の少なくとも一方が最小となる予備系パスの経路の、終端ノードおよびその経路情報を選択して、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する
ことを特徴とする請求項3に記載のパス切替システム。
【請求項5】
複数のノードからなるネットワークにおいて、現用系パスと、この現用系パスに対して異なる終端ノードをもつ予備系パスとからなるパスを設定するパス設定ノードであって、
前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求を取得し、前記取得した現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定部を備える
ことを特徴とするパス設定ノード。
【請求項6】
前記パス設定ノードのパス設定部は、
予備系パスの終端ノードを複数取得し、前記取得した複数の予備系パスの終端ノードを含むパス設定要求を、現用系パスの下流ノードへ送信する
ことを特徴とする請求項5に記載のパス設定ノード。
【請求項7】
複数のノードからなるネットワークにおいて、障害時に現用系パスと対応する予備系パスへ切替を行う分岐ノードであって、
前記ネットワーク内におけるルーティング情報を記憶する記憶部を備え、
他のノードから受信した、前記現用系パスの始点ノード、前記現用系パスの終端ノード、前記現用系パスの経路情報、当該現用系パスに対応する予備系パスの終端ノード、当該現用系パスおよび当該予備系パスを分岐する分岐ノードの情報を少なくとも含む現用系パス設定要求に基づいて、前記現用系パスの始点ノードから前記予備系パスの終端ノードを接続する予備系パスの経路を、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように計算し、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する分岐処理部と、
前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信し、前記作成した予備系パス設定要求を、前記予備系パスの経路情報に基づいて、予備系パスの下流ノードへ送信するパス設定部と、
前記ルーティング情報を参照して、前記現用系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報と、前記予備系パスへ通信パケットを送出するためのインタフェースの情報とを対応付けて記憶する前記記憶部と、
前記現用系パスの障害を検知した場合に、どのインタフェースを介する現用系パスで障害が発生したかを、前記記憶部を参照して判別し、前記障害が発生したインタフェースを介する現用系パスに対する予備系パスのインタフェースを用いて通信パケットを送出する障害検知部と
を備えること特徴とする分岐ノード。
【請求項8】
前記受信した現用系パス設定要求に含まれる情報は、この現用系パスに対する予備系パスの複数の終端ノードを含み、
前記分岐ノードの前記分岐処理部は、
前記現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの終端ノードおよび前記現用系パスの経路情報に示される、自ノードより下流の経路と重複しないように、前記取得した予備系パスの複数の終端ノードへの経路を計算し、前記計算した予備系パスの経路のうち、コストおよび遅延の少なくとも一方が最小となる予備系パスの経路の、終端ノードおよびその経路情報を選択して、前記現用系パスの始点ノード、前記予備系パスの終端ノード、前記予備系パスの経路情報を少なくとも含む予備系パス設定要求を作成する
ことを特徴とする請求項7に記載の分岐ノード。
【請求項9】
前記分岐ノードの障害検知部は、
前記現用系パスが利用している自ノードのリンクのリンクダウンを検知するか、又は前記現用系パスの下流ノードから障害情報を受信することで、障害を検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の分岐ノード。
【請求項10】
複数のノードからなるネットワークにおいて、障害時に現用系パスと対応する予備系パスへ切替を行う分岐ノードと、当該現用系パスの終端点となる現用系終端ノードとの間に設置される中継ノードであって、
受信した現用系パス設定要求に含まれる、前記現用系パスの経路情報を少なくとも記憶する記憶部と、
前記現用系パス設定要求を、前記現用系パスの経路情報に基づいて、当該現用系パスの下流ノードへ送信するパス設定部と、
前記現用系パスの障害を検知した場合に、前記記憶部に記憶される現用系パスの経路情報を参照して、障害の発生した現用系パスの上流ノードへ障害情報を送信する障害検知部を備える
ことを特徴とする中継ノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−211704(P2008−211704A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48416(P2007−48416)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】