説明

パターンドメディアの検査方法及び検査装置

【課題】ハードディスク用のパターンドメディアの検査において、パターン形状及びサーボパターンの位置ずれの欠陥を高速に検査する方式を提供する。
【解決手段】設計情報1を用いて検査領域2を指定し、スキャットロメトリー法によって測定するための領域分割3を行い、得られた検出データをパターン分類4し、周期領域5と非周期領域6に分類する。光センサによって分光特性を検出7し、特徴量を抽出8する。抽出された特徴量8と、特徴量マップデータベース11に蓄えられた特徴量を領域毎に比較することによってパターンドメディアの状態を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ハードディスク用パターンドメディアの製造工程および検査に係り、ハードディスク用パターンドメディアのパターン形状の欠陥、変形、寸法を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータに用いられる記録媒体であるハードディスクは大容量化が進んでいる。記録情報の大容量化には1枚のディスク内に記録する密度の向上が不可欠である。従来のディスク媒体に比較して大幅に記録密度を向上可能な方式としてディスク表面にパターンを形成させた媒体であるパターンドメディアが有望視されている。
【0003】
パターンドメディアの形成には、低コストでナノオーダのパターンが形成可能な、ナノインプリント技術が用いられる。ナノインプリント技術は、予め作成した型(スタンプ)を材料に押し当て、型と同じパターンを複製する技術であり、ハードディスク用のパターンドメディアの他にも、光学素子の形成や、半導体の露光工程の代替としても検討されている。
【0004】
通常パターンドメディアに使用されるパターン寸法は100nm以下であり、可視光の波長の数分の1以下のパターン寸法である。このため通常の顕微鏡などの光学系では解像限界を超えているため、直接パターン形状を捉えることは出来ない。このため、AFM(Atomic Force Microscope)による形状計測や、SEM(Scanning Electron Microscope)などによる計測、又はSNOM(Scanning Near field Optical Microscope)などによる近接場光検出が考えられるが、いずれもスループットの観点から高速に広い面積を観察することができない。
【0005】
一方、半導体のパターン形成のプロセス管理には、スキャッタロメトリーの原理による光学式の検査装置が適用されている。これは、予め半導体ウェハ上に製品以外の領域に配置するTEG(Testing Element Group)パターンと呼ばれる管理用のパターンを利用し、ラインアンドスペースなどの周期的なパターンの検出を行うものである。例えば、50um□程度以上の領域内の周期的パターンに白色光を照射し、その反射光の分光特性を検出することにより、観察パターンの形状を計算する手法である。
【0006】
この手法によるパターンドメディアの検査方法に関し特許文献1が開示されている。これによれば、スキャットロメトリー法により、検出した光反射強度を解析することで、周期的なパターンの形状を計測・評価可能であるとしている。また、試料上にサーボ情報部がある場合にも取得したデータを解析することで、同様に評価可能であるとしている。
【0007】
【特許文献1】特開2007-133985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハードディスク用のパターンドメディアでは、ユーザ情報を記録するデータ領域のパターンとディスク上の読み書き位置を制御するサーボ領域は混在することが通常である。データ領域のパターンは、ラインアンドスペース或いは、円柱上のピットパターンなどの周期的なパターンであるが、サーボ領域のパターンはデータ領域のそれと周期性が異なるか、周期性が無い部分が存在する。
【0009】
サーボ領域は、一般に1枚のディスク上に数十から数百本程度であり、ヘッドアーム軌跡に対応した放射状の形状に配置される。また、メディアに形成されたパターンは必ずしも回転中心と一致するものではなく、位置ずれ(偏心)が生じる場合がある。このような状況で、検出した反射光強度のみで対象物の形状をスキャットロメトリー法で検査するのは解析を複雑にさせるだけでなく、解析・或いはマッチング処理による検査時間を増大させ、検査・計測精度も低下させる要因となる。
【0010】
したがって、従来は、パターンドメディアによって形成されたハードディスクをスキャットロメトリー法で検査をする場合は、主としてデータ領域について検査が行われ、サーボ領域についての検査は非常に時間がかかるために、実用的には行われていなかった。
【0011】
本発明の課題は以上のような問題点を解決し、例えば、パターンドメディアディスクにおいては、サーボ領域を含むパターンドメディアディスク全体をスキャットロメトリー法によって高速に検査することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明はパターンドメディア測定方法として次のような手段を取る。
【0013】
(1)第1の手段は、パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、前記特徴量を設計データと比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの測定方法である。
【0014】
(2)第2の手段は、パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、前記特徴量を過去に測定した同じ種類のパターンドメディアの同一の領域と比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの測定方法である。
【0015】
(3)第3の手段は、パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、同一パターンドメディアの同一領域の他の部分と比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの測定方法である。
【0016】
(4)また、第4の手段は、第1の手段、第2の手段、第3の手段に加えて、スキャットロメトリー法は、白色光照明と分光検出系により分光状態を検知することを特徴とするパターンドメディアの測定方法である。
【0017】
(5)また、第5の手段は、第1の手段、第2の手段、第3の手段に加えて、前記特徴量は、1つ波長の反射率の分布であることを特徴とするパターンドメディア測定方法である。
【0018】
(6)また、第6の手段は、第1の手段、第2の手段、第3の手段に加えて、前記設計データに基づいて分割された複数の領域は、検出部分のパターンの形状を周期性を用いて分類されたものであることを特徴とするパターンドメディアの測定方法である。
【0019】
さらに本発明ではこのような測定方法を可能とするために、次のような装置を含む。すなわち、試料であるパターンドメディアディスクを保持、移動、走査するステージと、試料上に光を照射する照明光学系と、照射された光の反射光を検出する検出光学系と、検出光を電気信号に変換する光電子素子と、検出した電気信号を保存する手段と、電気信号から特徴量を検出する手段と、保存した信号と検出した信号を特徴量により比較する手段と、試料のパターン配置情報などの設計データを取得する手段と、検出した信号の試料上の位置を設計データと比較して特定する位置検知手段を持つ検査装置である。
【0020】
また、上記走査ステージは試料を回転走査しながら半径方向に走査するRθ型ステージでも、直交する方向に走査するXY型ステージでも良い。
【0021】
また、上記照明光学系は、白色光を照射する光学系の他、紫外光や赤外光の非可視光を照射する光学系でも良く、特定の波長を有するレーザ光源を用いた光学系でも良い。さらには、照明光に偏光特性を持たせ、偏光光を照射する光学系でも良い。
【0022】
また、上記検出光学系は、照明光学系に対応し、紫外光を含む白色光を波長毎に検出する分光光学系や、特定の単波長或いは複数波長の反射光を検出する光学系としても良い。さらには、検出光学系に偏光透過特性を持たせ、特定の偏光光のみを検出する光学系としても良い。
【0023】
また、上記電気信号から特徴量を検出する手段は、検出した波長毎の分光データをそのまま特徴量としても良く、また特定の1つ以上の波長での信号を特徴量としても良い。さらに複数の偏光条件と波長との組み合わせによって決まる特徴量としても良い。
【0024】
また、上記特徴量を比較する手段は、同一試料での近傍での比較、或いは対称位置での比較の他、設計情報による領域単位毎での比較でも良い。さらには、過去に検出し保存したデータとの比較であってももちろん良い。
【0025】
また、上記位置検知手段は、設計データ(CADデータ)におけるパターン配置と検出した特徴量の分布配置を正規化相関などの画像処理手法によって比較し、位置ずれ量を検知する方法でもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、パターンドメディアを始めとする微小パターンが形成された試料上の形状検査を高速且つ簡便に行うことができる。また、パターンドメディアディスクに位置ずれ(偏心)が生じている場合も、位置ずれ(偏心)量の把握を高速且つ簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の内容を実施例にしたがって詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1に本発明によるパターンドメディア検査の処理フローを示す。
始めに、検査対象のパターンドメディアのパターン形状や寸法などが記された設計情報であるCADデータ1を用いて、試料上で検査が必要な領域を指定する。検査領域指定2にて指定された領域を評価単位毎の領域に分割する領域分割3を行う。分割する領域は検査対象の分布特性を観察するために、指定領域において、十分な分割数をとれるような大きさとする。
【0029】
ここで、評価単位毎の分割とは、例えば、図4における6角形であり、例えば光スポットの形状である。大きさは直径で数μm程度である。図4では評価単位毎の分割は6角形であるが、丸でもよいし、その他の形状でも良い。
【0030】
次に分割した領域毎にパターン分類4を行う。ここでの分類はその領域のパターンが周期的か或いは非周期的かを区別する。周期的とは例えば、一定のピッチでのラインアンドスペースや、ドットマトリクス形状など一定の周期での繰り返しパターンである。
【0031】
周期領域5と非周期領域6は光センサ検出7による検査を、また非周期領域6のパターンを直接観察・検査する場合は、微小検出手段12による検査を行う。微小検出手段12は、用途に応じて、SEMやAFMなどといったnmレベルの空間分解能を持つ検査13を行う。
【0032】
一方、光センサ検出7にて検出された信号は、予め決めた処理により信号中の特徴量を抽出する。特徴量抽出8によって抽出された特徴量データは、検出した位置などの情報とともに特徴量マップデータベース11に保存される。
【0033】
また、同時に、前記特徴量データは、パターン分類4にて分類された種類毎に比較し、例えば、平均的な特徴量からの乖離度によって、その領域のパターンを検査する。分類毎比較9は過去に検出したデータとの比較でも構わない。
【0034】
図2に光センサ検出7の詳しい例を示す。検査対象であるパターンドメディア20に対して、光源26から照射する光を偏光子27を介してハーフミラー23にて反射させたのち、ハーフミラー22を透過させ、対物レンズ21にて集光したビームを照射する。
【0035】
照射された光はパターンドメディア20上で反射され、前記対物レンズ21を通り、集光レンズ24にて集光された後、検光子28にて所望の光成分がフィルタリングされ、光検出器25にて検出される。このとき、例えば、光源26に白色光源を、検光子28に偏光板を、光検出器25に分光器を用いると、パターンドメディア20のパターン形状および光学特性に対応した分光波形が得られる。このような検出を試料20に対して全面で実施することにより、試料全面での分光波形を検出することができる。
【0036】
図3を用いてHDD用のパターンドメディア30をサンプルとした際の領域分割及びパターン分類の方法を説明する。まず、試料のうち、パターンが形成されている領域31を検査領域とする。HDDメディアではユーザの磁気データを記録するデータ領域33の他にヘッドを制御するためのサーボ領域32が放射状に形成される。
【0037】
HDD用パターンドメディアでは、このサーボ領域が予め物理的なパターンとして形成されるプリサーボ方式が採用される。このサーボ領域付近34の拡大図を図4に示す。一般的なパターン配置の場合、データ領域36の間にサーボ領域35が配置され、サーボ領域は磁気信号用途に応じ、クロック領域37、アドレス領域38、トラッキング領域39などの異なるパターンにより構成される。
【0038】
本発明の光センサ検出7による検出単位を分割領域40とする。図中に示すように各領域を検出単位に分割する。図4においては、分割領域は6角形である。6角形は領域を細密充填することが出来る。もちろん、常に各領域内をくまなく検出することが必要なわけではない。その場合は、分割領域は丸でも、他の形状でもよい。
【0039】
図5に図4での各領域のパターン例を示す。例えば、データ領域36のパターン44は周期的なラインアンドスペースであり、トラッキング領域39のパターン43は周期的な千鳥パターンである。また、アドレス領域38のパターン42は非周期的なパターンであり、クロック領域37のパターン41は、周期的なラインアンドスペースである。
【0040】
図6にそれぞれの領域での光検出器25による分光波形を示す。図6において、横軸は波長、縦軸は光量である。図6(a)はデータ領域36すなわちパターン44の分光波形51である。図6(b)はトラキング領域39すなわちパターン43の分光波形52である。図6(c)はアドレス領域すなわちパターン42の分光波形53である。図6(d)はクロック領域すなわちパターン41の分光波形54である。このように、パターン形状が異なると分光波形のプロファイルは大きく異なるため、分割領域毎にどのパターンを検出したかを簡便に区別することが出来る。
【0041】
図7に分光波形からの特徴量抽出の例を示す。各パターンから検出された分光波形51〜54を比較し、光量Iが大きく異なる波長を1つ以上選択する。例えば、λ1やλ2を選択し、それぞれの波長での光量を検出した領域の特徴量とする。このような特徴量を選択することで、試料全域の特徴量マップを生成することができる。
【0042】
例えば、図7におけるλ1を特徴量1とする。図7におけるλ1で最も光量が大きいのは、アドレス領域である。したがって、特徴量1によってマップを作成するとアドレス領域53が明るく表示される。図8(a)にこの様子を示す。図8(a)はアドレス領域が明るく表示される場合を表示しているが、図8(a)における明るい場所は白抜きで記載している。この明るく表示されたアドレス領域のパターンを評価することによってアドレス領域のパターンに異常が生じているか否かを判断することが出来る。
【0043】
また、図7におけるλ2を特徴量2とする場合は次のようになる。すなわち、図7におけるλ2で最も光量が大きいのは、データ領域である。したがって、特徴量2によってマップを作成するとデータ領域51が明るく表示される。図8(b)にこの様子を示す。図8(b)はデータ領域が明るく表示される場合を表示しているが、図8(b)における明るい場所は白抜きで記載している。この明るく表示されたアドレス領域のパターンを評価することによってアドレス領域のパターンに異常が生じているか否かを判断することが出来る。
【0044】
波長λ1における光量を特徴量1としてアドレス領域を表示し、波長λ2における光量を特徴量2としてデータ領域を表示した。他の波長を選択することによって他の領域を表示することが可能である。また、特徴量1を特定の色で、特徴量2を他の色で表示することによって、複数の領域を1つのマップ上に表示することも可能である。このような試料上のパターン種類のマップを設計データと突合せることにより、パターン分布が正しく配置されているかどうかを検査可能となる。
【0045】
なお、基準となるマップは設計データから得られたマップのみでなく、同じ種類のパターンドメディアにおいて、過去に測定して得られたデータを規準に比較しても良い。さらに、同じ測定ディスクにおける同じ領域の他の部分のデータと比較しても良い。
【0046】
また、設計データと特徴量データを照合する場合には、アライメントマークが配置されていれば、それを使って参照し、そうでない場合は、回転方向及びXY方向にマッチングを行って照合する。
【0047】
以上の例では、特徴量として、特定の波長における光量を使用したものである。一方、特徴量としては、各領域毎に得られた分光特性そのものを用いても良い。この場合は、測定で得られた分光特性と各領域毎の基準の分光特性とを比較することによって、各領域毎のパターンの異常を検出することが出来る。基準となるデータとしては、例えば、測定したディスクの同じ領域の他の部分とのデータ、あるいは、他のディスクの同じ領域のデータ、あるいは、設計データを用いることが出来る。
【0048】
さらには、特徴量としては、複数の波長における光量の組み合わせを用いることも出来る。また、測定光に偏光光を用いる場合は、偏光条件と、各波長における光量の組み合わせを用いることも出来る。
【0049】
さらには,特徴量としては,光学的な手段で取得でき,対象物の変位が顕在化できれば良いので,例えば,レーザー光や,X線を試料に照射した際の散乱光パターンを用いても良い。
【実施例2】
【0050】
パターンドメディアディスクに形成されたパターンの中心と、ディスクを回転させた場合の回転中心は必ずしも一致するわけではなく、一般には偏心している。検出する磁気ヘッドはこの偏心を考慮し、偏心に追随できるように設定されている。しかし、偏心が大きくなると、追随の限界を超えてしまうので、回転中心と磁気パターンの中心がどの程度の偏心かを簡便に評価することは重要である。
【0051】
本発明はこのような目的にも使用することが出来る。図9に本発明による評価例を示す。図9において、光学的特徴量を検出する際に、検出光学系73に対して、回転軸70を中心として回転するステージ71上にサンプル72を搭載し、軸70をr方向に動かすと、試料全面を走査することが出来る。これをrθ走査と称する。
【0052】
このような走査は、回転軸70を固定して光学系73をr方向に動かしても同様におこなうことが出来るが、一般には検出光学系73を固定して、ステージを動かしたほうが機構的には簡便である。
【0053】
このようにして全面走査した検出データを用いて特徴量によるマッピングを行う。このマッピングを例えば、アドレス領域について行うと、アドレス領域が明るく表示される。このマッピングしたアドレス領域と設計データによるアドレス領域を比較することによって、ディスクのパターン中心と回転中心がどの程度偏心しているかを評価することが出来る。具体的には次のとおりである。
【0054】
図10は実施例1で説明したと同様にして取得したマッピングの例である。図10において、74は検出時の回転中心である。回転中心74はパターンの中心75からは偏心している。そうすると、得られたマッピングは、設計値とずれたパターンとなっている。実際に得られたマッピングと、本来のずれていないマッピングとを比較することによって、回転中心74とパターン中心75の差を検出することが出来る。この偏心量は図10においては、dxとdyによって表示されている。
【0055】
一般の磁気ディスク装置においては、磁気パターンの中心と回転中心を正確に一致させることは難しく、ある程度の偏心は存在する。磁気ヘッドは、この偏心が存在することを前提にして、この偏心に対応できるように制御されている。しかし、このずれ量dx、dyが所定の値よりも大きくなると磁気ディスクは追随できなくなり、磁気ディスク装置そのものが不良になる。
【0056】
スキャットロメトリー法は高速で測定することが出来るので、磁気ディスク全数について検査を行い、ずれ量dx、dyが所定の値よりも大きいものを除去することによって、不良の磁気ディスクが装置に組み込まれることを防止することが出来る。
【0057】
また、パターンドメディアによって形成されたパターンドメディアディスクは、マスターから形成されたスタンパーを用いて形成される。スタンパーと磁気ディスクの中心がずれると磁気パターンと回転中心のずれが生ずることになる。本実施例によって、回転中心と磁気パターンの中心のずれを定期的に取得することによって、スタンパーと磁気ディスク中心のずれの傾向を取得し、スタンパーによる磁気ディスクへのパターン形成工程に対してフィードバックを行うことが出来る。
【実施例3】
【0058】
実施例1においては、分割領域40と光学センサによる検出領域は同一としたが、必ずしも一致させる必要はない。パターンドメディアにおけるピッチは25nm程度であるのに対し、光学センサによる検出領域は数μmであり、2桁の差がある。場合によっては、光学センサによる検出領域よりも細かいピッチによって検出したい場合がある。
【0059】
このような場合は、図11に示すように、光学センサによる検出領域80に対して測定ピッチ81を小さくする。そうすると、平面方向の検出分解能を上げて、パターン配置や偏心量を正確に計測することが出来る。
【0060】
一方、測定ピッチ81を小さくすると測定に時間がかかる。平面分解能よりも、高速な検査を重視する場合は、測定ピッチ81を検出領域80よりも大きし、測定を間引いて行うことも出来る。
【0061】
なお、図11は検出領域80は6角形としたが、これに限らず、丸、あるいは楕円、矩形等、必要に応じて形状を変えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例の光学計測手段を備えた検査方式のフロー図である。
【図2】本発明の光学系の一実施例である。
【図3】検査試料であるパターンドメディアの全体図である。
【図4】図3の一部を詳細に示した図である。
【図5】各領域のパターンを詳細に示した図である。
【図6】図5の各領域での分光波形を示した図である。
【図7】分光波形から特徴量抽出を行う際の一実施例である。
【図8】特徴量の測定結果を示した例である。
【図9】本発明による試料走査を説明する図である。
【図10】本発明による特徴量マップから回転中心とパターン中心のずれを算出した例である。
【図11】光学手段による検出領域よりも測定ピッチを小さくして平面分解能を向上した例である。
【符号の説明】
【0063】
1…試料の設計データ、 2…検査領域指定部、 3…領域分割部、 4…パターン分類部、 5…周期領域、 6…非周期領域、 7…光センサ検出部、 8…特徴量抽出部、 9…分類比較部、 10…検査結果、 11…特徴量マップのデータベース、 12…微小欠陥検出手段、 13…微小欠陥検出例、 20…試料(断面)、 21…対物レンズ、 22…ハーフミラー、 23…ハーフミラー, 24…集光レンズ、 25…光検出器、 26…白色光源、 27…偏光子、 28…検光子、 29…観察カメラ、 30…試料、 31…検査領域、 32…サーボ領域、 33…データ領域、 34…拡大領域、 35…サーボ領域、 36…データ領域、 37…クロック領域、 38…アドレス領域、 39…トラッキング領域、 40…分割領域、 41…クロック領域のパターン、 42…アドレス領域のパターン、 43…トラッキング領域のパターン、 44…データ領域のパターン、 51…データ領域、 36の分光波形、 52…トラッキング領域39の分光波形, 53…アドレス領域38の分光波形, 54…クロック領域、 37の分光波形, 60…特徴量1のマップ、 61…トラッキング領域、 62…特徴量2のマップ、 63…データ領域、 70…回転軸, 71…回転ステージ、 72…サンプル, 73…検出光学系, 74…検出時の回転中心、 75…パターン分布から算出した中心、 80…検出領域, 81…測定ピッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、前記特徴量を設計データと比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの検査方法。
【請求項2】
パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、前記特徴量を過去に測定した同じ種類のパターンドメディアの同一領域と比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの検査方法。
【請求項3】
パターンドメディアを設計情報に基づいて複数の領域に分割し、分割された領域毎にスキャットロメトリー法によって特徴量を抽出し、同一パターンドメディアの同一領域の他の部分と比較することによって対象物の状態を判定するパターンドメディアの検査方法。
【請求項4】
スキャットロメトリー法は、白色光照明と分光検出系により分光状態を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項5】
前記特徴量は、1つ波長の反射率の分布を特徴量とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項6】
前記設計データに基づいて分割された複数の領域は、検出部分のパターンの形状と周期性を用いて分類されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンドメディアの検査方法。
【請求項7】
データ領域とサーボ領域を有するハードディスク用のパターンドメディアの検査方法であって、
設計情報に基づいて検査領域を指定し、各検査領域毎にスキャットロメトリー法によって測定したデータから特徴量を抽出し、前記特徴量を設計情報と比較することによって前記パターンドメディアの状態を検査することを特徴とするハードディスク用のパターンドメディアの検査方法。
【請求項8】
前記特徴量は特定波長における前記指定された領域における光量であることを特徴とする請求項7に記載のハードディスク用のパターンドメディアの検査方法。
【請求項9】
前記抽出された前記特徴量と設計データから得られた特徴量を比較することによって、前記ハードディスクの回転中心と前記パターンドメディアのパターン中心との差を計測することを特徴とする請求項7に記載のハードディスク用のパターンドメディアの検査方法。
【請求項10】
パターンドメディアを載置するステージと、前記パターンドメディア上に光を照射する照明光学系と、照射された光の反射光を検出する検出光学系と、光電子素子を有するパターンドメディア検査装置であって、
パターンドメディア上の領域を設計情報を用いて特定する位置検知手段を有し
前記光電素子から出力された分光データから特徴量を抽出する手段と、前記領域毎に特徴量を保存する保存手段を有し、
前記抽出した特徴量と前記保存手段に保存された特徴量を比較することによってパターンドメディアを検査するパターンドメディア検査装置。
【請求項11】
前記領域毎に保存された特徴量は設計データから得られた特徴量であることを特徴とする請求項10に記載のパターンドメディア検査装置。
【請求項12】
前記領域毎に保存された特徴量は他のパターンドメディアの同一領域の特徴量であることを特徴とする請求項10に記載のパターンドメディア検査装置。
【請求項13】
前記領域毎に保存された特徴量は同一のパターンドメディアの同一領域の他の部分における特徴量であることを特徴とする請求項10に記載のパターンドメディア検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−97671(P2010−97671A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269633(P2008−269633)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】