説明

パターン修正装置および方法

【課題】基板上に形成されたパターンの欠陥部について、修正液の種類や状態にかかわらず安定して修正液を欠陥部に塗布して修正する。
【解決手段】パターン欠陥修正装置は、ペースト831の種類または塗布量に従い、ペースト831に浸る針92の先端の長さを決定する長さ決定機能に基づき、針92のペースト容器83に下降する移動量を決定し、決定した移動量に従い位置決め用シリンダ91は針92を下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正する装置および方法に関し、特に、欠陥部に修正用のぺーストを塗布するパターン修正装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)の構成部品であるカラーフィルタには、ブラックマトリクスと呼ばれる格子状のパターン(クロム,酸化クロム,樹脂などの材料)および着色部が形成される。ブラックマトリクスを形成する段階での欠陥には、カラーフィルタ部分(この段階では色なし)にまでブラックマトリクスがはみ出した黒欠陥と、ブラックマトリクスの一部が欠落した白欠陥とがある。また、着色後にも互いの色が混色した黒欠陥や、色抜けした白欠陥がある。従来はこのような黒欠陥と白欠陥とを作業者がカメラ画像を見ながらレーザ光で黒欠陥を修正したり、修正用のペースト状のインク(以下、修正ペーストという)で白欠陥を埋めたりして修正する方法が取られている。
【0003】
塗布針を使用して修正ペーストを塗布する装置に関しては、例えば特許文献1と2に開示の装置が提案されている。
【0004】
修正ペーストを塗布する方法としては、特許文献2の図5では各種の修正インクのタンクを載せたテーブルを回転させ、針の駆動用のシリンダを用いてタンクのいづれかのひとつの中に針の先端部を挿入することで、針の先端付近にインクを付着させる。針を引き上げて、各種のタンクを載せたテーブルを回転させ、針の駆動用のシリンダを移動して、針を基板の欠陥部に接触させて修正ペーストであるインクを欠陥部に付着させている。
【特許文献1】特開平8−292442号公報
【特許文献2】特開平9−61296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
修正ペーストは、種類または環境などの条件により粘度などの特性がいつも同じような状態であるとは限らないので、塗布動作を実施すると予定より修正ペースト量を多く塗布したりするなど、安定して塗布できなくなる問題が発生する。
【0006】
それゆえに本発明の目的は、基板上に形成されたパターンの欠陥部について、修正液の種類や状態にかかわらず安定して修正液を欠陥部に塗布して修正することが可能な装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従うと、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置は、先端部に設けた針を、予め準備された修正液容器に対して指示された移動量に従い上下方向に移動させることにより、修正液容器内に貯えられた修正液を針の先端に付着させて基板上の前記欠陥部に塗布する針駆動手段と、修正液の種類または塗布量に従い、修正液に浸る針の先端の長さを決定する長さ決定手段と、長さ決定手段により決定される長さとに基づき、針の下方向の移動量を決定する移動量決定手段とを備える。
【0008】
好ましくはパターン修正装置は、種類または塗布量を指示する指示手段をさらに備える。
【0009】
好ましくは、パターン修正装置は、欠陥部に修正液が塗布された状態の画像を表示する状態表示手段をさらに備える。
【0010】
好ましくは、長さ決定手段は、修正液の種類または塗布量のデータのそれぞれに対応して、長さのデータが格納されたテーブルを含み、指示された修正液の種類または塗布量に基づきテーブルを検索して、対応する長さのデータを読出す。
【0011】
好ましくは、針駆動手段は、針の上端部が固定される保持部材と、保持部材を上下動自在に支持する軸部を含む。
【0012】
好ましくは、針駆動手段の先端部から修正容器の修正液表面までの距離を検出する距離検出手段をさらに備え、移動量決定手段は、距離検出手段により検出された距離と、長さ決定手段により決定される長さとに基づき、針の下方向の移動量を決定する。
【0013】
この発明の他の局面に従うと、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置を用いたパターン修正方法であって、パターン修正装置は、先端部に設けた針を、予め準備された修正液容器に対して指示された移動量に従い上下方向に移動させることにより、修正液容器内に貯えられた修正液を針の先端に付着させて基板上の欠陥部に塗布する針駆動部を備える。パターン修正方法は、修正液の種類または塗布量に従い、修正液に浸る針の先端の長さを決定する長さ決定ステップと、長さ決定ステップにより決定された長さとに基づき、針の下方向の前記移動量を決定する移動量決定ステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、修正液の種類または塗布量に従い、修正液に浸る針の先端の長さを決定し、決定した長さを用いて移動量が決定され、その決定した移動量に従い針が修正液容器の方向に下降する。これにより、針の先端の決定した長さ分が修正液に浸されるので、修正液の種類や塗布状態にかかわらず安定して修正液を欠陥部に塗布して修正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、LCD(Liquid Crystal Display)のカラーフィルタの製造工程で発生するカラーフィルタ基板上の微細パターンにおける欠陥パターン(欠陥部)に修正液のペーストを塗布して修正する工程において、修正ペーストの状態に合わせ修正ペーストの中に塗布針を挿入する量を変更することによって、針の先端に付着させる修正ペーストの量を変更し、修正ペーストを安定して欠陥部に塗布する装置および方法を提供する。
【0016】
図1には、本実施の形態に係る修正ペースト塗布方式を用いた微細パターン修正装置の全体構成が示される。図1において、この実施の形態の微細パターン修正装置は、大きく分類すると、欠陥部をカットするためのレーザ光を欠陥部全体に照射して除去するためのレーザ照射機構5と、白欠陥に修正材料であるペーストを塗布するペースト塗布機構9と、これらを搭載し、欠陥部を有する修正対象基板に対して垂直方向に稼動可能とするZ軸テーブル4、Z軸テーブル4を搭載して、XおよびY方向に稼動可能とするXYテーブル6、これらを制御する制御コンピュータ3、レーザ照射機構5により撮像した画像に基づき欠陥を認識するための画像処理機構2、装置全体を制御するホストコンピュータ1から構成されており、その他に塗布されたペーストを硬化するための光源や集光レンズからなるペースト硬化機構10、モニタ8などを備える。XYテーブル6上には修正対象基板が搭載されて、チャック台7はXYテーブル6上で修正対象基板を保持する。さらに、レーザ照射機構5に関連して図示されないCCD(Charged Coupled Device)カメラを備えて、CCDカメラは、欠陥部からの反射光を撮像して画像データを画像処理機構2に出力する。画像処理機構2は、画像データをモニタ8に表示するとともに、ホストコンピュータ1に画像データを出力する。
【0017】
図2にホストコンピュータ1の構成の一例を示す。図2を参照してホストコンピュータ1は、CRT(陰極線管)またはLCDなどからなるディスプレイ610、キーボード650、マウス660および操作パネル11を有する入力部700、該制御用コンピュータ1の動作を集中的に制御および監視するためのCPU(中央処理装置の略)622、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memoryの略)を含んで構成されるメモリ624、固定ディスク626、FD(Flexible Disc)632が着脱自在に装着されて、装着されたFD632をアクセスするFD駆動装置630、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)642が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM642をアクセスするCD−ROM駆動装置640、通信回線300、および通信回線300と該制御用コンピュータ1とを通信接続するための通信インターフェイス680を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。
【0018】
制御用コンピュータ3および画像処理機構2とホストコンピュータ1とは、通信回線300を介して相互にデータ・情報の送受信を行なう。
【0019】
操作パネル11はディスプレイ610のLCDと一体的に構成されて、タッチパネルのような表示一体型入力装置として用いられるとしてもよい。
【0020】
画像処理機構2によって欠陥部を特定する方法は特許文献2に詳細に説明されるので、ここでは簡単に説明する。
【0021】
画像処理機構2は、要約するとパターンマッチングにより欠陥部を特定し、特定した欠陥部の位置(座標)の情報および面積の情報を出力する。画像処理機構2は図示しないがCPU(Central Processing Unit)およびメモリからなるコンピュータを有し、パターンマッチングのための各種の登録パターンデータがメモリに予め格納されている。登録パターンとしては、ここでは正常画素を指す正常登録パターンならびに欠陥部の位置決めの為の複数の位置決め登録パターンがあると想定する。
【0022】
動作において、画像処理機構2のCPUはCCDカメラから入力した画像データが指す被修正対象画素パターンを、正常登録パターンを基準としてパターンマッチングを行ない、パターンマッチング結果が示す相関値があるしきい値以下のパターンを欠陥として認識する。欠陥部の位置決めのためには、位置決め登録パターンのそれぞれと認識した欠陥パターンの位置座標と欠陥座標との相対的な距離から位置決めを行なう。
【0023】
そして、位置決めされたエリアの画素の情報と同じエリアの正常画素の情報と、たとえば排他的論理和を取るなどの比較を行ない、欠陥部の面積や位置が算出される。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態による欠陥修正装置のペースト塗布機構9の構成を示す一部省略した斜視図である。
【0025】
図3を参照して、このペースト塗布機構9は、ペースト塗布用の針92と、針92をチャック台7に保持された修正対象基板の表面およびペースト容器に対して垂直方向(上下方向)に自在に移動させるための位置決め用シリンダ91とを備える。針92は、保持部材74を介して位置決め用シリンダ91の駆動軸73の先端部に設けられる。図示されないが保持部材74の下端面には垂直の穴が形成されていて、この穴に衝撃吸収用のスプリングとともに針92の上端部が挿入されている。
【0026】
また、ペースト塗布機構9は、修正対象基板の表面に対して水平に設けられた回転テーブル98と、回転テーブル98上に円周方向に順次配置された複数のペースト容器83〜86、洗浄装置87およびエアーパージ装置88とを備える。
【0027】
回転テーブル98の中心には回転軸71が立設されている。また、回転テーブル98には、ペースト塗布時に針92を通過させるための切欠部72が形成されている。
【0028】
ペースト容器83〜86には、それぞれRGB(赤、緑、青)および黒の各色のペーストやペーストの固着を防ぐための溶剤が適宜注入されている。
【0029】
洗浄装置87は内部に洗浄液を収容しており、針92は、洗浄装置87内部の洗浄液に浸されて洗浄され、付着していたペーストは除去される。
【0030】
エアーパージ装置88は、図示のない複数のエアー噴射口を介して四方から針92にエアーを噴射することにより、針92に付着していた洗浄液などを吹き飛ばす。
【0031】
さらに、このペースト塗布機構9は、回転テーブル98の回転軸71を回転させるためのインデックス用モータ94と、回転軸71とともに回転するインデックス板と、インデックス板を介して回転テーブル98の回転位置を検出するためのインデックス用センサ96と、インデックス板を介して回転テーブル98の回転位置が原点に復帰したことを検出するための原点復帰用センサ95とを備える。モータ94は、センサ96,95の出力に基づいて制御され、回転テーブル98を回転させて切欠部72、異なる種類のペーストが貯えられているペースト容器83〜86、洗浄装置87およびエアーパージ装置88のうちのいずれかを針92の下方に位置させる。
【0032】
なお、位置決め用シリンダ91およびインデックス用モータ94は図1のZ軸テーブル4に固定される。
【0033】
図4(A)〜(E)は、本実施の形態に係るペースト塗布用の位置決め用シリンダ91を用いた針92の位置決めを説明するための図である。保持部材74の先端部の針92が接続される面(回転テーブル98または修正対象基板に対向する面)においては距離測定のための光学式センサ93が備えられる。
【0034】
針92を保持部材74を介して支持する駆動軸73は位置決め用シリンダ91内において、上下方向にピストン運動により自在に移動する。これにより針92は、その長手方向が修正対象基板およびペースト容器に対する上下(垂直)方向に一致して自在に移動する。図4(B)および(E)などに示されるように、ペースト容器83内に針92が降ろされている場合、または図4(E)で針92が修正対象基板105に降ろされている場合においては、駆動軸73は、その一部が位置決め用シリンダ91内から突出している状態となっている。これに対し、図4(A)または(C)のように、駆動軸73が位置決め用シリンダ91内にすべて収まっているときには、針92はそれ以上上昇することのない位置にある。本実施の形態では、説明のために、この位置を針92のリセット位置と称する。
【0035】
図4(A)においては、針92がリセット位置にあるとき、光学式センサ93により、針92の真下に位置するペースト容器83内のペースト831の液面SFと位置決め用シリンダ91の針92が設けられた先端部との距離Dを光学式センサ93により検出する。
【0036】
次に、図4(B)において、検出された距離Dに基づき、位置決め用シリンダ91により、駆動軸73が下降するように移動される。これにより、針92の先端はペースト容器83内のペースト831に浸される。
【0037】
続いて、図4(C)において、位置決め用シリンダ91は、駆動軸73を上昇させて針92をペースト831から引き上げて、針92の位置をリセット位置に戻す。このとき、針92の他方端には、ペースト831が付着している。
【0038】
図4(D)を参照し、回転テーブル98は回転されて、針92の他方端に対向する面には切欠部72が位置し、切欠部72を介して針92は、ペーストを塗布すべき修正対象基板105上の欠陥部上に移動させられる。
【0039】
図4(E)に示すように、修正対象基板105の欠陥部上への移動が終了すると、位置決め用シリンダ91内から駆動軸73が修正対象基板105の方向に延びて(下降して)、この結果、針92のペーストが付着している他方端は欠陥部上に到達し、針92に付着していたペーストが欠陥部に塗布(転写)される。なお、図4(D)の状態を経て図4(C)→図4(E)となるような駆動軸73の下降量(延びる量)は、予め実験などにより求められた値である。
【0040】
図4(B)の状態について、図5を参照し、さらに説明する。図5において針92の他方端である先端が、ペースト容器83中のペースト831に浸る長さが深さH(表面SFから針92の先端が下降する距離)となるように調整されることにより、最適な塗布量を実現することができる。特に、高粘度のペースト831を針92の先端部に付着して基板105に転写する際に効果的である。
【0041】
図6(A)〜(G)は本実施の形態によるブラックマトリクスの白欠陥を修正する方法と流れを示す図である。詳細は特許文献2に示されるので、ここでは簡単に説明する。
【0042】
まず、前段検査装置からの欠陥画素位置データに基づいて、欠陥位置にXYテーブル6を移動させる。この状態で、画像処理機構2は図6(A)に示す正常画素登録パターンのサーチを行ない、図示のないCCDカメラを用いて欠陥画素の認識を行ない、図6(B)に示すような欠陥パターンを検出する。欠陥パターンを認識した場合、図6(B)に示す破線で示すエリアの情報を記憶し、同じエリアの正常画素の情報と、たとえば排他的論理和を取るなどの比較を行ない、欠陥部(この場合は白欠陥部)の面積や位置を算出することができる。算出結果はホストコンピュータ1に送信される。
【0043】
ホストコンピュータ1は、次に、制御コンピュータ3を介してペースト塗布機構9を駆動し、算出された欠陥部の面積や位置に基づき欠陥部の位置までペースト塗布用針92を移動し、モータ94を駆動してテーブル98を回転させ、適切なペースト容器を選択した後、図4(A)〜(E)に示した手順に従いペーストを針92に付着させ、これを修正対象基板105の欠陥部上に塗布する。図6(C)では2ヶ所にペーストを塗布した状態を示している。このペーストを乾燥するために、紫外線や他の光線の照射が行なわれる。
【0044】
図6(B)に示す段階で欠陥位置の座標を認識できているため、図6(D)に示すようにその位置をレーザ照射中心まで移動し、さらにレーザ照射すれば、図6(E)に示すように、不要なペーストが除去されて欠陥が修正される。もしも、ペーストの粘度などの関係で図6(F)に示すように塗布する領域が広くなってしまう可能性がある場合には、この段階で再度画像処理によってパターンマッチングをして欠陥画素の拡大した状況を確認しておき、その状況に応じてたとえばレーザ照射を2回行なうなどにより、図6(G)に示すようにして不要なペーストを除去すればよい。
【0045】
図7には、実施の形態に係る欠陥部に対するペースト塗布制御の処理フローチャートが示される。このフローチャートに従うプログラムは、予めメモリ624に格納されており、CPU622が、メモリ624からこのプログラムを読出し実行することにより、図7の制御が実現される。
【0046】
また、図8(A)と(B)には、メモリ624に予め格納されるテーブルTB1とTB2の構成が示される。テーブルTB1とTB2には、図7に従う処理においてCPU622によって、図5に示した深さHを選択的に読出すために(決定するために)検索される。
【0047】
図8(A)のテーブルTB1には、ペーストの種類を指すデータT1のそれぞれに対応してデータT2が格納される。データT2のそれぞれは、対応するデータT1が指す種類のペーストを塗布する場合に必要とされる規定のペースト量を針92に付着させるための深さHを指す。
【0048】
図8(B)のテーブルTB2には、ペーストの種類を指すデータT1のそれぞれに対応してデータT3とデータT2が格納される。データT3は対応する種類のペーストを欠陥部に多めに塗布するか、または少なめに塗布するかの区別を指す。データT2は、対応するデータT1とT3の組が指す種類のペーストを多め/少なめに塗布する場合のそれぞれにおいて、必要とされる規定のペースト量を針92に付着させるための深さHを指す。
【0049】
テーブルTB1とTB2の内容は予め実験などにより検出されたデータである。
図7のフローチャートに従う動作を説明する。まず針92の位置がリセット位置に制御される(ステップS1)。続いて、回転テーブル98が回転するよう制御されることによって、現在の修正対象としている欠陥部に塗布すべきペースト831を収容しているペースト容器83が針92の対向する位置にまで移動する(ステップS3)。続いて、図4(A)に示される状態において、光学式センサ93を用いてペースト831の液面SFまでの距離Dが検出される(ステップS5)。
【0050】
続いて、ペースト831の種類または状態がユーザによって入力部700を操作して入力される(ステップS6)。なお、ユーザはペースト831の種類を予め確認しているものとする。ここで‘状態’とはペースト831を予め規定された量よりも多めに塗布するかまたは少なめに塗布するかの塗布量を指示するものである。なお、ステップS6では種類のみが入力されるか、または種類と状態の両方が入力される。
【0051】
CPU622は、入力した種類・状態および検出された距離Dに基づき針92の移動量を算出する(ステップS7)。具体的には、種類のみが入力されたときには、CPU622はメモリ624のテーブルTB1を入力された種類に基づき検索して、当該種類を指すデータT1に対応するデータT2(深さH)を読出す。また種類と状態が入力されたときには、CPU622はメモリ624のテーブルTB2を入力された種類と状態に基づき検索して、当該種類と状態を指すデータT1およびT3の組に対応するデータT2(深さH)を読出す。
【0052】
そして、読出したデータT2が指す深さHと検出された距離Dに基づき針92のリセット位置からの移動量を所定の手順に従い算出する。ここで、保持部材74の先端部に保持された針92の長さは固定なので、距離Dと針92の固定長に基づき針92の先端と液面SFの距離を検出(算出)することができるから、針92のリセット位置からの移動量は、針92の先端と液面SFとの距離と読出したデータT2(深さH)とを加算することによって算出(検出)できる。
【0053】
そして、CPU622は、制御コンピュータ3に算出した移動量を与えて針92の移動を指示するので、制御コンピュータ3は与えられる移動量に基づき、インク塗布用位置決めシリンダ91を駆動軸73が移動(下降)するように制御する。これにより、ペーストの種類、ペーストの塗布状態および検出された距離Dに従う移動量だけ針92の下降がなされる(ステップS9)。
【0054】
このとき、図4(B)→(C)→(D)の手順が実施されて、図4(E)に示されるように、駆動軸73が修正対象基板105方向に延びることにより、先端部にペースト831が付着した針92が修正対象基板105の欠陥部にペースト831を塗布するように滴下が制御される(ステップS10)。
【0055】
その後、塗布されたペースト831を硬化させるために、光照射がなされる(ステップS12)。その後、針92の先端に付着したペースト831は洗浄・エアパージなどにより除去される。これにより1回のペースト塗布が終了する。
【0056】
その後、塗布された状態がCCDカメラにより撮影されて、撮影画像のデータは画像処理機構2を介してモニタ8に表示されるとともに、画像処理機構2からホストコンピュータ1に出力されて、ディスプレイ610に表示される(ステップS13、S14)。ユーザは画面に表示された画像からペーストの塗布状態を観察することができる。
【0057】
その後、すべての欠陥部についてペースト塗布が終了したか否かが判定される(ステップS15)。終了したと判定されると針92はリセット位置に戻されて(ステップS17)一連の処理は終わるが、終了していないと判定されると(ステップS15でNO)、ステップS1に処理に戻り、再度、針92がリセット位置に戻されて、同様にして、次の欠陥部についてのペースト塗布のための制御がなされる。
【0058】
ユーザは、ステップS14の観察の結果、塗布量が少ない/多いの別を確認して、その確認結果に基づき、次の欠陥部に対しては同じ種類のペースト831であっても多め/少なめに塗布すべきと決定した場合には、ステップS6において、多め/少なめを指す状態のデータを入力することができる。
【0059】
本実施の形態では、欠陥部を修正するペーストの塗布工程においては、ペーストの種類と修正対象基板105の欠陥部に塗布したペースト831の状態の両方に基づき、塗布量を決定する深さHを変更(調整)するとしたが、いずれか一方のみに基づき決定するとしてもよい。つまり、ペーストの種類にかかわらず、ペースト831の塗布状態に基づき塗布量を決定する深さHを変更するとしてもよい。
【0060】
このように、欠陥部を修正するペーストの塗布工程においては、修正対象基板105の欠陥部に塗布したペースト831の状態を観察しながら、最適な塗布状態が得られるように、塗布量を決定する深さHを変更(調整)することができる。
【0061】
また、ペースト容器83内のペースト液面SFの位置を検出する光学式センサ93によって検出された液面の位置(距離D)に応じて深さH(規定のペースト量)が得られるように、針92を容器83の中に挿入する際の駆動軸73の下降距離が制御されるので、ペースト831を補給または交換した場合でも良好な塗布結果を得ることが可能となる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態に係る修正ペースト塗布方式を用いた微細パターン修正装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係るホストコンピュータの構成の一例を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る欠陥修正装置のペースト塗布機構の構成を示す図である。
【図4】(A)〜(E)は、本実施の形態に係る針の位置決めを説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る針がペーストに浸る深さを説明するための図である。
【図6】(A)〜(G)は本実施の形態によるブラックマトリクスの白欠陥を修正する方法と流れを示す図である。
【図7】本実施の形態に係る欠陥部に対するペースト塗布制御の処理フローチャートである。
【図8】(A)と(B)は本実施の形態に係るテーブルの構成図である。
【符号の説明】
【0064】
9 ペースト塗布機構、73 駆動軸、74 保持部材、83〜86 ペースト容器、87 洗浄装置、88 エアーパージ装置、91 位置決め用シリンダ、92 ペースト塗布用の針、98 回転テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置であって、
先端部に設けた針を、予め準備された修正液容器に対して指示された移動量に従い上下方向に移動させることにより、前記修正液容器内に貯えられた修正液を針の先端に付着させて前記基板上の前記欠陥部に塗布する針駆動手段と、
前記修正液の種類または塗布量に従い、前記修正液に浸る針の先端の長さを決定する長さ決定手段と、
前記長さ決定手段により決定された前記長さとに基づき、針の下方向の前記移動量を決定する移動量決定手段とを備える、パターン修正装置。
【請求項2】
前記種類または前記塗布量を指示する指示手段をさらに備える、請求項1に記載のパターン修正装置。
【請求項3】
前記欠陥部に前記修正液が塗布された状態の画像を表示する状態表示手段をさらに備える、請求項1または2に記載のパターン修正装置。
【請求項4】
前記長さ決定手段は、
前記修正液の種類または塗布量のデータのそれぞれに対応して、前記長さのデータが格納されたテーブルを含み、
指示された前記修正液の種類または塗布量に基づき前記テーブルを検索して、対応する前記長さのデータを読出す、請求項1から3のいずれか1項に記載のパターン修正装置。
【請求項5】
前記針駆動手段は、
前記針の上端部が固定される保持部材と、
前記保持部材を上下動自在に支持する軸部を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のパターン修正装置。
【請求項6】
前記針駆動手段の先端部から前記修正容器の修正液表面までの距離を検出する距離検出手段をさらに備える、請求項1に記載のパターン修正装置。
【請求項7】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置を用いたパターン修正方法であって、
前記パターン修正装置は、
先端部に設けた針を、予め準備された修正液容器に対して指示された移動量に従い上下方向に移動させることにより、前記修正液容器内に貯えられた修正液を針の先端に付着させて前記基板上の前記欠陥部に塗布する針駆動部を備え、
前記パターン修正方法は、
前記修正液の種類または塗布量に従い、前記修正液に浸る針の先端の長さを決定する長さ決定ステップと、
前記長さ決定ステップにより決定された前記長さとに基づき、針の下方向の前記移動量を決定する移動量決定ステップとを備える、パターン修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−8829(P2009−8829A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169231(P2007−169231)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】