説明

パターン形成体およびその製造方法

【課題】表面に高密度の凹部を有し、かつ、簡易に製造が可能なパターン形成体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10に設けられたヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層20と、フォトレジスト層20に形成された凹部21とを備えるパターン形成体である。凹部21は、略平行な複数のトラック上に並んで配列され、かつ、トラックTnの延びる方向の位置が、隣接するトラックの2つの凹部21の中央に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDや蛍光灯、EL(electro−luminescence)素子、プラズマディスプレイなどの発光素子は、透明なレンズ、保護膜またはガラス管などにより発光体の外装部材が形成されており、これらの外装部材の表面から光が外部へ放出される。
このような透明な外装部材の屈折率は、一般に空気の屈折率よりもかなり大きく、外装部材から外部に光が出ようとするときに界面で反射が起こる。この反射した光は、角度によっては、外装部材内から外へ出ることができず最終的には熱となってしまう。また、このことは、半導体からなるLEDの素子の発光面でも同様である。
【0003】
界面反射による光のロスを防止する技術として、発光面などの表面に微細な凹凸構造を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、発光面に微細な凹凸構造を設けて界面での光の反射を防止する場合、微細な凹凸が密に、急峻な形状で形成されるのが望ましい。
【0004】
また、上記の微細構造を簡易かつ精密に形成する方法として、従来、特許文献2のように、熱反応型(ヒートモード)材料に対しレーザ光で穴加工する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−174191号公報
【特許文献2】特開2007−216263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層をレーザ加工する場合、レーザ光により与えられた熱が加工したい部分の周囲に伝導するため、穴のピッチ間にばらつきがあると穴のピッチが近い部分は穴の形状が崩れてしまう。そのため、レーザを走査させるライン同士の間隔(トラック間隔)は、マージンを考慮すると広くしておかざるを得なかった。すなわち、比較的低密度にしか凹部を形成できなかった。
そこで、本発明では、表面に高密度の凹部を有し、かつ、簡易に製造が可能なパターン形成体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、点状のパターンが表面に配列して形成されたパターン形成体であって、基板と、当該基板に設けられたヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層と、当該フォトレジスト層に形成された凹部とを備え、前記凹部は、略平行な複数のトラック上に並んで配列され、かつ、トラックの延びる方向の位置が、隣接するトラックの2つの凹部の中央であることを特徴とする。
【0008】
このように、各凹部は、トラックの延びる方向において、隣接するトラックの2つの凹部の中央に配置されることで、隣接するトラックの2つの凹部と同じ距離を保ち、トラック間隔を密にすることができる。すなわち、従来であれば、隣接するトラックの凹部との位置関係を考慮せずに凹部を形成していたため、トラック間隔を広くせざるを得なかったが、本発明のパターン形成体では、凹部は、隣接するトラックの2つの凹部と均等な距離を保っているため、トラック間隔を狭くして凹部を密にすることができる。なお、本発明においていう「トラック」は、凹部が並ぶ列を意味する概念上のものであり、パターン形成体の表面に、溝などが形成されている必要は無い。
【0009】
前記複数のトラックは、略同心の複数の円に沿っていることが望ましい。このように、凹部が円状のトラック上に並んでいると、凹部形状を形成するに際しフォトレジスト層を有する基板を回転させながら露光することで簡易に凹凸を形成することができる。
【0010】
前記したパターン形成体において、凹部の平均距離は1〜10000nmであると、界面の透過性を向上させる光学素子として用いることができる。なお、凹部の距離は、凹部の中心と中心を直線で結んだ距離、すなわちピッチを意味する。ここでの凹部同士の平均距離は、すべての凹部同士の距離の平均で求めるのが理想的であるが、凹部の数は膨大であるので、例えば、一群になった100個の凹部を抽出したときの、当該100個の凹部同士の距離の算出平均により求めることとする。
そして、凹部を密に形成するためには、一の凹部と、当該一の凹部に最も近接する6つの凹部との平均距離をPとしたとき、前記一の凹部と、当該一の凹部に隣接する6つの凹部との距離が0.9P〜1.2Pの範囲内にあるのが望ましい。
【0011】
前記複数のトラックの前記凹部は、隣接するトラック同士が接続した渦巻き状に配列されることもできるし、直径が異なる別の円周上に並ぶこともできる。
【0012】
前記した課題を解決する本発明の方法は、点状のパターンが配列して形成されたパターン形成体の製造方法であって、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層を有する基板を用意し、電磁ビームを、前記基板上で、略平行な複数の走査経路に沿って走査させつつ所定周期で出力を変化させることにより、複数のトラック上に点状の凹部を並んで配列させ、既に形成された前記凹部からなるトラックに隣接して次のトラック上の凹部を形成する際に、トラックが延びる方向において、隣接するトラックの2つの凹部の中央の位置で前記電磁ビームの出力を高くすることを特徴とする。
【0013】
このような製造方法により、略平行な複数のトラック上に並ぶ凹部を、隣接するトラックの2つの凹部の中央の位置に配置することができる。すなわち、基板上に高密度に凹部を形成することができる。
【0014】
前記電磁ビームによるフォトレジスト層の露光の際には、前記基板を回転させつつ、前記電磁ビームの光線源を基板の回転中心に対し近接・離間する方向に移動させることで、前記走査経路を複数の略同心の円状にすることが好ましい。
【0015】
このように、基板を回転させながら露光することで、効率的にフォトレジスト層を露光することができる。なお、全面にわたってこのような配置を連続的に形成すると、凹部間の距離を一定にできないので、実施する際には、基板上の全面に連続して上記の工程を行うのではなく、基板表面を複数の領域に分割した範囲で連続形成することになる。
【0016】
前記した製造方法においては、前記基板が所定の向きになったときに同期信号を発生させ、前記同期信号を基準とした発光のタイミングを、隣接するトラックとは半周期ずらして前記電磁ビームの出力を変化させることができる。
【0017】
そして、前記した製造方法においては、前記フォトレジスト層に前記凹部を形成した後、前記フォトレジスト層をマスクとしてエッチングを行う工程を設けることで、基板の表面に基板の材質により凹凸を形成することができる。
【0018】
また、前記フォトレジスト層に前記凹部を形成した後、前記凹部から露出した基板上に膜を形成する工程と、前記フォトレジスト層を除去する工程とを有してもよい。これにより、膜により基板の表面に凹凸を形成することができる。
【0019】
前記した製造方法においては、隣接する前記凹部同士の距離の平均を1〜10000nmとすることが望ましい。また、一の凹部と、当該一の凹部に最も近接する6つの凹部との平均距離をPとしたとき、前記一の凹部と、当該一の凹部に隣接する6つの凹部との距離が0.9P〜1.2Pの範囲内となるように凹部を形成するのが望ましい。さらに、前記複数トラックの前記凹部を、隣接するトラック同士が接続した渦巻き状に配列させることができ、前記複数トラックの前記凹部を、直径が異なる別の円周上に並べて配列させてもよい。
なお、膜により基板の表面に凹凸を形成する場合、フォトレジスト層にできた凹部の位置は、凸部となる。したがって、このときには、上記の凹部間の距離は、できあがったパターン形成体で見ると凸部間の距離として現れることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のパターン形成体およびその製造方法によれば、簡易な方法で、表面に高密度の凹部を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明に係るパターン形成体およびその製造方法の一実施形態について説明する。参照する図において、図1は、本発明のパターン形成体の一例に係るLEDチップが複数形成されたシリコン基板の斜視図であり、図2は、シリコン基板の断面図であり、図3は、LEDチップの拡大図であり、図4は、LEDチップの表面に形成された凹部の拡大図である。
【0022】
図1に示すように、複数のLEDチップ2を製造途中のシリコン基板(以下「ワーク1」という。)は、全体が略円板の形状をなしており、周方向および径方向に分割されてなる複数の領域A1,A2,A3・・・内にそれぞれLEDチップ2が半導体回路の製造手法により設けられている。
【0023】
図2に示すように、ワーク1は、シリコンからなる基板10(回路は省略)上にフォトレジスト層20が設けられている。
フォトレジスト層20は、ヒートモードによる形状変化、つまり、光やX線などの電磁ビームを照射することにより加熱することで材料の変形、蒸発などが起こって形状が変化する、フォトレジスト材料からなる。フォトレジスト層20の厚さは、例えば、1〜10000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、好ましくは10nmであり、より好ましくは50nmである。また、厚さの上限は、好ましくは1000nmであり、より好ましくは500nmである。
【0024】
フォトレジスト層20を形成するときは、フォトレジスト材料となる物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板10の表面に塗布することにより形成することができる。
【0025】
フォトレジスト層20には、複数の凹部21が形成されている。この凹部21は、図3に示す、トラックT1,T2,・・・Tnのように、略同心の複数の円状のトラックに並んで配列されている。トラックT1,T2,・・・Tnは、直径が異なる別個の円形であってもよいし、隣接するトラック同士が接続した渦巻き状であってもどちらでもよい。しかし、凹部21を効率よく形成するには、トラックT1,T2,・・・Tnは、渦巻き状に形成されている方が、連続した露光が可能であるので望ましい。以下、トラックT1,T2,・・・Tnは、渦巻き状に形成されているものとする。
【0026】
各凹部21は、図4を見てよく分かるように、周方向(トラックTnが延びる方向)の位置が、隣接するトラックTnの2つの凹部の中央にある。例えば、図4において、中央にある凹部210は、トラックT2上にあり、周方向の位置が、内側に隣接するトラックT1の2つの凹部215と凹部216の中央にある。また、凹部210は、外側に隣接するトラックT3上にある2つの凹部212および凹部213との関係においても、周方向の位置が中央にある。
【0027】
そして、中央の凹部210は、周囲の6つの凹部211〜216を結んでできる六角形の中心にあり、6つの凹部211〜216は、略正六角形の頂点に位置している。そのため、中央にある凹部210から隣接する6つの凹部211〜216までのピッチP1〜P6は、互いに略等しい。また、トラックピッチPTは、各凹部21のピッチP1〜P6に対し√3/2の大きさである。このように、いわば稠密六方格子のように正六角形の中心および頂点に凹部21が配置されている(以下、便宜上、本実施形態の凹部21の配列を「六方格子」と称する。)ことで、凹部21は、互いの距離を保ちながら密に配置される。凹部21のピッチは、製造上、完全に均等にすることはできないので、一の凹部と、当該一の凹部に最も近接する6つの凹部との平均距離をPとしたとき、各凹部21(例えば、凹部210)は、隣接する6つの凹部21(例えば凹部211〜216)からの距離が、0.9P〜1.2Pであるのが望ましい。
【0028】
ワーク1のように、凹部21を螺旋状のトラックT1,T2,・・・Tn上に並べて配置した場合、凹部21を六方格子点に配列させようとすると、トラックT1,T2,・・・Tnの中心からの距離、つまり、半径に応じて徐々に凹部21間のピッチが変化してしまう。そのため、本実施形態においては、凹部21が連続した六方格子として配列される範囲を径方向に分割している。この凹部21が連続して配列される範囲に合わせて、LEDチップ2を連続して形成する範囲も径方向に複数に分割し、図1に領域A1,A2,A3・・・を示した。なお、図1においては周方向についても複数の領域に分割して示したが、周方向の分割は必ずしも必須ではない。
【0029】
ピッチPの具体的な大きさとしては、1〜10000nmであるのが望ましい。このように、10000nm以下の微細なピッチとすることで、界面の光透過率を向上した光学素子として用いることができる。また、1nm以上のピッチとすることで、凹部同士が繋がってしまうのを防止することができる。ピッチPの大きさは、独立した形状の凹部を形成する観点からは、10nm以上であるのがより望ましく、50nm以上がさらに望ましく、100nm以上であるのが最も好ましい。また、界面での光の透過性を向上させる観点からは、ピッチPの大きさは、5μm以下であるのがより望ましく、2μm以下がさらに望ましく、1μm以下であるのが最も好ましい。
そして、膜厚に対する、凹部間の高さ(穴間高さ)の比は40%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。
【0030】
以上のように、本実施形態のワーク1では、表面のフォトレジスト層20に微細な凹部21の配列、つまり、凹凸が形成されているので、LEDチップ2から発光する光を良好に外部に取り出すことができる。そして、この微細な凹凸は、図4に示すように、六方格子の各格子点に位置するように配置されているので、互いの距離を一定に保っており、ピッチを小さく設定することができる。すなわち、従来は、凹部の周方向位置について全く気にしていなかったため、隣接するトラック上の2つの凹部の中央に位置することもあれば、隣接するトラック上の凹部と同じ周方向位置(つまり、同じ直径上)に位置することもあった。このように凹部間のピッチが一定でないと、凹部間に十分な穴間高さh(図2参照)を残すために、トラック間を大きめに設定せざるを得なかった。なぜなら、最も凹部同士が近づく、隣接するトラックの凹部同士が同じ直径上に並ぶ場合でも、十分な穴間高さhを得ようとすると、その分、トラックピッチを大きくせざるを得ないからである。
【0031】
本実施形態においては、このような凹部間のピッチが一定であるため、高密度の凹部が形成でき、穴間高さhも均一かつ十分に確保できる結果、凹凸形状も急峻にすることができる。そのため、界面の光透過率を向上させた光学素子を製造する場合に、高い透過率を実現することができる。
【0032】
次に、本発明のパターン形成体の一例に係るLEDチップが複数形成されたシリコン基板の製造方法について説明する。
参照する図において、図5は、凹部を形成するためのレーザ加工装置の構成図であり、図6は、レーザ加工を行うときの同期信号および露光信号の図である。なお、図6において、複数トラックを同時に露光することは意味せず、各トラックの露光信号と同期信号との時間的関係を示している。
【0033】
図5に示すレーザ加工装置50は、原理的にはCD−Rドライブのようなレーザ露光装置と同様のもので、本実施形態のフォトレジスト層20の露光に適するようにワーク1の回転速度およびレーザ光源51の出力を制御装置58により制御するように構成されている。
【0034】
レーザ加工装置50は、レーザ光源51と、リニアアクチュエータ52と、ガイドレール53と、回転ステージ55と、エンコーダ56と、制御装置58とを備えている。
【0035】
レーザ光源51は、電磁ビームを発する光線源の一例である。フォトレジスト層20に凹部21を形成するには、フォトレジスト層20の材料が吸収を有する波長の電磁ビームを発すればよく、そのようなレーザ光源51を選択するとよい。もちろん、レーザ光源51が発する光の波長に基づいてフォトレジスト層20の材料を選択してもよい。レーザ光の波長は、微細な凹部を形成する観点からは短い方が望ましい。従って、レーザ光の波長は800nm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、600nm以下がさらに好ましい、一方、空気による吸収・散乱を抑えて、良好なレーザ加工を行うためには、レーザ光の波長は長いほうが好ましい。従って、レーザ光の波長は、10nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。例えば、波長405nm付近のレーザ光を用いると良い。
【0036】
リニアアクチュエータ52は、レーザ光源51を、ワーク1の径方向に直線移動させる公知の装置である。ガイドレール53は、ワーク1の径方向に沿って延び、リニアアクチュエータ52は、レーザ光源51をガイドレール53に沿って移動させる。
【0037】
回転ステージ55は、ワーク1をチャックするとともに、ワーク1を回転させる公知の装置である。ワーク1は、その中心が回転ステージ55の回転中心と円板の中心が合わされて装着される。
【0038】
エンコーダ56は、回転ステージ55に設けられ、回転ステージ55が所定角度回転する毎に同期信号を発する。エンコーダ56は、例えば、回転ステージ55が1回転する毎に同期信号を出力する。エンコーダ56の出力は、制御装置58に入力される。
【0039】
制御装置58は、レーザ光源51、リニアアクチュエータ52および回転ステージ55を制御する装置である。制御装置58は、エンコーダ56の出力に基づいて回転ステージ55の回転速度を制御するとともに、レーザ光源51を適宜なタイミングで明滅させる。また、レーザ光をワーク1の全面に露光するためや、トラック間のピッチPTを適切にするため、制御装置58は、リニアアクチュエータ52を制御して、適宜な速度でレーザ光源51を径方向(基板の回転中心に対し近接・離間する方向)に移動させるように構成されている。
【0040】
詳細な説明は省略するが、レーザ光源51が発するレーザ光は、フォトレジスト層20にフォーカスが合わされる。そのため、露光中は、フォトレジスト層20を変形させない箇所においてもフォーカスサーボが可能なように低い出力でレーザ光が出射されている。したがって、ここでいうレーザ光の明滅は、出力が高くなったり低くなったりする意味であり、必ずしもレーザ光が消える意味ではない。
【0041】
図6に示すように、制御装置58がレーザ光源51を発光させる(本実施形態では、厳密には、出力が低い状態から、フォトレジスト層20を変形可能な程度に出力を高くすることであるが、以下、単に「発光」という。)タイミングは、エンコーダ56から入力された同期信号に基づき決定される。エンコーダ56は、回転ステージ55の向き、すなわち、基板10が所定の向きになったときに同期信号を発生する。制御装置58は、この同期信号を基準として、各トラックごとの発光のタイミングを制御する。具体的には、制御装置58は、隣接するトラックとは、半周期ずらしてレーザ光を発光させる。例えば、図6に示すように、トラックT1において同期信号と同時に発光させるとすれば、隣接するトラックT2においては、同期信号から半周期(T/2)遅らせたタイミングで発光させる。さらに、トラックT3においては、トラックT2と半周期ずらし同期信号と同時に発光させる。これにより、凹部21の位置は、隣接するトラックの2つの凹部の周方向中央に配置される。
【0042】
なお、径方向に分割した領域ごとに、周期Tは適宜リセットされる。例えば、ワーク1を一定の角速度で回転させる場合、内側の領域A3の加工をする時の周期Tよりも、外側の領域A2の加工をする時の周期Tは小さく設定される。
【0043】
以上のようなレーザ加工装置50を用いて、図1のワーク1(パターン形成体)を製造する方法について説明する。
まず、LEDチップ2が複数形成された基板10を用意し、この基板10の表面にフォトレジスト材料を適宜な溶剤に溶かして、スピンコートなどにより塗布する。これによりフォトレジスト層20が形成される。そして、このフォトレジスト層20が付いた基板10を、回転ステージ55にチャックさせる。このとき、回転ステージ55の回転中心と基板10の中心とを合わせる。
【0044】
次に、制御装置58により、回転ステージ55を所定回転数で回転させ、回転数が安定したら、レーザ光源51を点滅させて露光を開始する。この露光のタイミングは、前記したようにエンコーダ56から入力される同期信号を基準として決定される。これにより、既に内側に形成した凹部21のトラックとの比較でいうと、半周期ずれたタイミングでレーザ光源51がレーザ光を発する。
【0045】
この露光工程により、フォトレジスト層20のうち、高い出力のレーザ光が当たった部分のみにおいてフォトレジスト材料が蒸発し、フォトレジスト層20に凹部21が形成される。そして、隣接するトラック同士において、発光のタイミングが半周期ずつずれているので、図4に示したように、凹部21は、周方向において隣接するトラックの2つの凹部の中央に形成される。
【0046】
以上のようにして、凹部21は、周方向(走査方向)において隣接するトラックの2つの凹部の間に配置されるので、トラック間で隣接する凹部21同士の間隔が均等になり、凹部21を密に配置することができる。特に、図4に示すように、凹部21をほぼ六方格子の格子点に配列することで、十分な穴間高さhを確保しながら、密に凹部21を形成することができ、これにより、凹凸を急峻な形状とすることができる。したがって、LEDチップ2の表面に急峻な凹凸パターンを形成でき、基板10の界面での光の透過率を向上させることができる。
【0047】
以上に、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することが可能である。例えば、前記実施形態においては、ワーク1は、基板10の上のフォトレジスト層20に凹凸形状を形成し、これにより界面の光透過率を向上させていたが、このフォトレジスト層20をマスクとして、エッチング工程またはメッキなどの膜形成工程により凹凸を形成し、基板10自体の凹凸または膜による凹凸を界面の光透過率を向上させる構造としてもよい。
【0048】
例えば、図7(a)に示すように、凹部21が形成されたフォトレジスト層20をマスクとして基板10をエッチングし、基板10の表面に凹部24を形成する。そして、図7(b)に示すように、フォトレジスト層20を溶媒などで除去することで、基板10の表面に直接凹部24を形成することができる。
【0049】
また、基板10の表面に予め導電性を持たせておき(図示せず)、図8(a)に示すように、凹部21の底に露出した導電層部分にメッキする。そして、図8(b)に示すようにフォトレジスト層20を溶媒などで除去することで、基板10の表面に、メッキによる凹凸を設けることも可能である。
このように、パターン形成体は、フォトレジスト材料以外の材料で凹凸のパターンを形成してもよい。
【0050】
さらに、前記実施形態においては、ワーク1を回転させながらフォトレジスト層20にレーザ光を露光して、略同心円状のトラック上に凹部21を形成したが、凹部21が直交するxy方向に並ぶようにしてもよい。この場合、例えば、レーザ光を2軸のガルバノミラーなどによりxy方向に走査してフォトレジスト層の露光を行うとよい。
【0051】
前記実施形態においては、回転ステージ55にエンコーダ56を設けて基板10の向きを検出したが、基板10に基準マークを形成しておき、この基準マークを光学的に検出して基板10の向きを検出してもよい。
【0052】
前記実施形態においては、六方格子のすべての格子点に凹部21を形成することを想定していたが、パターン形成体の使用目的に応じて、部分的に凹部21を形成しないようにしても構わない。
【0053】
なお、前記実施形態で挙げたヒートモード型のフォトレジスト材料の具体例や、フォトレジスト層の加工条件等は、以下に示す通りである。
【0054】
ヒートモード型のフォトレジスト材料は、従来、光記録ディスクなどの記録層に多用されている記録材料、たとえば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などの記録材料を用いることができる。
【0055】
本発明におけるフォトレジスト層は、色素をフォトレジスト材料として含有する色素型とすることが好ましい。
従って、フォトレジスト層に含有されるフォトレジスト材料としては、色素等の有機化合物が挙げられる。なお、フォトレジスト材料としては、有機材料に限られず、無機材料または無機材料と有機材料の複合材料を使用できる。ただし、有機材料であると、成膜をスピンコートやスプレー塗布により容易にでき、転移温度が低い材料を得易いため、有機材料を採用するのが好ましい。また、有機材料の中でも、光吸収量が分子設計で制御可能な色素を採用するのが好ましい。
【0056】
ここで、フォトレジスト層の好適な例としては、メチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。中でも、メチン色素、オキソノール色素、大環状色素、アゾ色素が好ましい。
【0057】
かかる色素型のフォトレジスト層は、露光波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。特に、光の吸収量を示す消衰係数kの値は、その上限値が、10であることが好ましく、5であることがより好ましく、3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。また、消衰係数kの下限値は、0.0001であることが好ましく、0.001であることがより好ましく、0.1であることがさらに好ましい。消衰係数kを前述した範囲内に設定すると、穴形状の均一性を高めることができる。
【0058】
なお、フォトレジスト層は、前記したように露光波長において光吸収があることが必要であり、かような観点からレーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近(近赤外領域)であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。この中でも、フタロシアニン色素またはペンタメチンシアニン色素を用いるのが好ましい。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近(可視領域)であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
さらに、レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0059】
以下、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合、405nm付近であった場合に対し、フォトレジスト層(フォトレジスト材料)としてそれぞれ好ましい化合物の例を挙げる。ここで、以下の化学式1,2で示す化合物(I−1〜I−10)は、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合の化合物である。また、化学式3,4で示す化合物(II−1〜II−8)は、660nm付近であった場合の化合物である。さらに、化学式5,6で示す化合物(III−1〜III−14)は、405nm付近であった場合の化合物である。なお、本発明はこれらをフォトレジスト材料に用いた場合に限定されるものではない。
【0060】
<レーザ光源の発振波長が780nm付近(近赤外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化1】

【0061】
<レーザ光源の発振波長が780nm付近(近赤外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化2】

【0062】
<レーザ光源の発振波長が660nm付近(可視領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化3】

【0063】
<レーザ光源の発振波長が660nm付近(可視領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化4】

【0064】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化5】

【0065】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近(近紫外領域)である場合のフォトレジスト材料例>
【化6】

【0066】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0067】
このような色素型のフォトレジスト層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が、15℃であり、20℃であることが更に好ましく、23℃であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃であることがより好ましく、30℃であることが更に好ましく、27℃であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一とすることができる。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、フォトレジスト層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0068】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。なお、フッ素系溶剤、グリコールエーテル類、ケトン類が好ましい。特に好ましいのはフッ素形溶剤、グリコールエーテル類である。更に好ましいのは、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0069】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用するのが好ましい。
フォトレジスト層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3wt%以上30wt%以下で溶解することが好ましく、1wt%以上20wt%以下で溶解することがより好ましい。特にテトラフルオロプロパノールに1wt%以上20wt%以下で溶解することが好ましい。また、フォトレジスト材料は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、25〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
【0070】
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。フォトレジスト層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
【0071】
また、フォトレジスト層には、フォトレジスト層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0072】
なお、フォトレジスト層は材料の物性に合わせ、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0073】
なお、色素は、凹部パターンの加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
この色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0074】
なお、凹部パターンを形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、フォトレジスト層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1000nm以下が好ましい。
【0075】
また、レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0076】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光でフォトレジスト層を走査する速度;例えば、前記実施形態に係る回転ステージ55の回転速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wがさらに好ましく、1Wが最も好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWがさらに好ましい。
【0077】
さらに、レーザ光は、発信波長幅およびコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。
また、フォトレジスト層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。すなわち、フォトレジスト層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのがさらに好ましい。また、フォトレジスト層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのがさらに好ましい。なお、このように凹部の直径dとの関係でフォトレジスト層の厚さtの上限値および下限値を設定すると、前述と同様に、エッチングマスクとしての効果や、加工速度の向上等を発揮することができる。
【実施例】
【0078】
次に、本発明の効果を確認した一実施例について説明する。
[実施例1]
下記のフォトレジスト材料を15mg/mlでTFP(テトラフルオロプロパノール)溶剤に溶解した塗布液を調製し、当該塗布液を直径4インチ(約10cm)のガラス基板に、スピンコートにより70nmの厚さで塗布してフォトレジスト層を形成した。
【0079】
【化7】

【0080】
そして、実施形態において説明したのと同様の製造方法によりフォトレジスト層にレーザ光を露光して、フォトレジスト層に凹部を形成した。
【0081】
凹部の形成条件は、以下の通りである。
露光装置 NEO1000(パルステック工業株式会社製)
トラックピッチ 200nm
レーザ出力 8mW
露光信号のduty比 37%
線速 5m/s
最近接の6つの凹部との距離 すべて1P(P=200nm)(六方格子)
なお、ここでのduty比は、形成する凹部の走査方向におけるピッチに対応する走査時間を100%としている。
【0082】
以上のような工程により凹部を形成した結果、凹部の直径100nm、穴間高さ50nmで均一な凹部の配列を形成することができた。なお、穴間高さは、フォトレジスト層の膜厚に対する比でいうと71%であった。
【0083】
[実施例2]
実施例1と同じ凹部の形成条件で、凹部が斜方格子点となるように、最近接の6つの凹部との距離が0.9〜1.2P(P=200nm)の範囲で凹部を形成した結果、穴間高さが30nm(フォトレジスト層の膜厚に対する穴間高さの比が43%)となった。
【0084】
[比較例]
実施例1と同じ凹部の形成条件で、凹部が正方格子点となるように、最近接の6つの凹部との距離が0.88〜1.24P(P=200nm)の範囲で凹部を形成した結果、穴間高さが10nm(フォトレジスト層の膜厚に対する穴間高さの比が14%)となった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のパターン形成体の一例に係るLEDチップが複数形成されたシリコン基板の斜視図である。
【図2】シリコン基板の断面図である。
【図3】LEDチップの拡大図である。
【図4】LEDチップの表面に形成された凹部の拡大図である。
【図5】凹部を形成するためのレーザ加工装置の構成図である。
【図6】レーザ加工を行うときの同期信号および露光信号の図である。
【図7】変形例に係るパターン形成体の製造方法を説明する図であり、(a)は、エッチング工程、(b)は、フォトレジスト層の除去工程を示す。
【図8】変形例に係るパターン形成体の製造方法を説明する図であり、(a)は、メッキ工程、(b)は、フォトレジスト層の除去工程を示す。
【符号の説明】
【0086】
1 ワーク
2 LEDチップ
10 基板
20 フォトレジスト層
21 凹部
50 レーザ加工装置
51 レーザ光源
55 回転ステージ
56 エンコーダ
58 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点状のパターンが表面に配列して形成されたパターン形成体であって、
基板と、当該基板に設けられたヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層と、当該フォトレジスト層に形成された凹部とを備え、
前記凹部は、略平行な複数のトラック上に並んで配列され、かつ、トラックの延びる方向の位置が、隣接するトラックの2つの凹部の中央であることを特徴とするパターン形成体。
【請求項2】
前記複数のトラックは、略同心の複数の円に沿っていることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体。
【請求項3】
隣接する前記凹部の距離の平均が1〜10000nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体。
【請求項4】
一の凹部と、当該一の凹部に最も近接する6つの凹部との平均距離をPとしたとき、前記一の凹部と、当該一の凹部に隣接する6つの凹部との距離が0.9P〜1.2Pの範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項5】
前記複数のトラックの前記凹部は、隣接するトラック同士が接続した渦巻き状に配列されていることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成体。
【請求項6】
前記複数のトラックの前記凹部は、直径が異なる別の円周上に並んでいることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成体。
【請求項7】
点状のパターンが配列して形成されたパターン形成体の製造方法であって、
ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層を有する基板を用意し、
電磁ビームを、前記基板上で、略平行な複数の走査経路に沿って走査させつつ所定周期で出力を変化させることにより、複数のトラック上に点状の凹部を並んで配列させ、
既に形成された前記凹部からなるトラックに隣接して次のトラック上の凹部を形成する際に、トラックが延びる方向において、隣接するトラックの2つの凹部の中央の位置で前記電磁ビームの出力を高くすることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項8】
前記電磁ビームによるフォトレジスト層の露光の際に、前記基板を回転させつつ、前記電磁ビームの光線源を基板の回転中心に対し近接・離間する方向に移動させることで、前記走査経路を複数の略同心の円状にすることを特徴とする請求項7に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項9】
前記基板が所定の向きになったときに同期信号を発生させ、
前記同期信号を基準とした発光のタイミングを、隣接するトラックとは半周期ずらして前記電磁ビームの出力を変化させることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層に前記凹部を形成した後、前記フォトレジスト層をマスクとしてエッチングを行う工程を有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項11】
前記フォトレジスト層に前記凹部を形成した後、前記凹部から露出した基板上に膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト層を除去する工程とを有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項12】
隣接する前記凹部同士の距離の平均を1〜10000nmとすることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項13】
一の凹部と、当該一の凹部に最も近接する6つの凹部との平均距離をPとしたとき、前記一の凹部と、当該一の凹部に隣接する6つの凹部との距離が0.9P〜1.2Pの範囲内となるように前記凹部を形成することを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項14】
前記複数トラックの前記凹部を、隣接するトラック同士が接続した渦巻き状に配列させることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成体の製造方法。
【請求項15】
前記複数トラックの前記凹部を、直径が異なる別の円周上に並べて配列させることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−54976(P2010−54976A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221900(P2008−221900)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】