説明

パターン焼付方法及び装置

【課題】非磁性金属板にマスクのパターンを正確に焼き付ける。
【解決手段】垂直に吊り下げられた非磁性金属板(1)に対するマスク(6)のアライメントを行った後に、この非磁性金属板にマスクを密着させ、このマスク上から光を照射してマスクのパターンを非磁性金属板の感光膜に焼き付けるパターン焼付方法において、上記アライメントの際に、一方に前記マスクを配置した一対の枠体(11、12)を、前記非磁性金属板を挟むように対峙して設け、当該枠体の両側端部に配置された電磁石(18)に対して磁束が下方に移動するように電流(I)を流し、前記非磁性金属板の表面に発生する渦電流(U)とその渦電流及び電磁石の磁界によって生じる引張力(F)で非磁性金属板を下方に引っ張り、この引張力が作用している間にアライメントを行い、しかる後に非磁性金属板にマスクを密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム等の製造に際し、その素材となる非磁性金属板に塗工した感光膜に対して所定のパターンを焼き付けるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレーム等の製造工程では、リードフレーム等の大体の輪郭があらかじめ形成された非磁性金属板に感光性物質を塗布して感光膜を形成し、この感光膜に所定のパターンを焼き付けてレジスト膜を形成している。
【0003】
また、上記製造工程では、水平面内に配置された無端コンベアに予め所定の加工が施された上記非磁性金属板が一定間隔で垂直に吊り下げられた状態で搬送されつつ、上記パターンの焼き付け作業が行われている。より具体的には、無端コンベアに吊り下げられて一定速度で走行する非磁性金属板に、所定パターンを有したマスクを伴走させ、非磁性金属板に対するマスクのアライメント操作を行ったうえで、マスクで非磁性金属板を挟み、しかる後に光源からの光をマスクの上から非磁性金属板の感光膜に照射している。
【0004】
この非磁性金属板はパターンの焼き付け後無端コンベアによって次の工程に搬送され、感光膜が現像処理されてレジスト膜とされ、さらにメッキ等の工程に送られ、例えばリードフレームの端子等に金メッキが施される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−74300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のパターン焼付方法によれば、垂直に吊り下げられた非磁性金属板がアライメント中に機械の振動や空気流等によって揺れたり振動したりするので、正確なアライメントを行い難いという問題がある。また、アライメント後にマスクで非磁性金属板を挟んだ際、非磁性金属板に生じていたカールが矯正されて延びる結果、マスクのパターンと非磁性金属板との間に位置ずれが生じ易くなるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は上記問題点を解決することができるパターン焼付方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0009】
なお、本発明の理解を容易にするため括弧付きの符号を付すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
すなわち、請求項1に係る発明は、表面に感光膜が形成され、垂直に吊り下げられた非磁性金属板(1)に対するマスク(6)のアライメントを行った後に、この非磁性金属板にマスクを密着させ、このマスク上から光を照射してマスクのパターンを非磁性金属板の感光膜に焼き付けるパターン焼付方法において、上記アライメントの際に、一方に前記マスクを配置した一対の枠体(11、12)を、前記非磁性金属板を挟むように対峙して設け、当該枠体の両側端部に配置された電磁石(18)に対して磁束が下方に移動するように電流(I)を流し、前記非磁性金属板の表面に発生する渦電流(U)とその渦電流及び電磁石の磁界によって生じる引張力(F)で非磁性金属板(1)を下方に引っ張り、この引張力(F)が作用している間にアライメントを行い、しかる後に非磁性金属板(1)に上記マスク(6)を密着させるパターン焼付方法を採用する。
【0011】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載のパターン焼付方法において、表面に感光膜が形成された非磁性金属板を垂直に吊り下げて搬送し、所定パターンを有したマスクを非磁性金属板に伴走させつつ、非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行うようにすることができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、表面に感光膜が形成された非磁性金属板(1)を垂直に吊り下げる吊り下げ手段と、吊り下げられた非磁性金属板に対するマスク(6)のアライメントを行った後に非磁性金属板にマスクを密着させるアライメント手段と、マスク上から光を照射してマスクのパターンを非磁性金属板の感光膜に焼き付ける露光手段とを具備したパターン焼付装置において、上記アライメントの際に、一方に前記マスクを配置した一対の枠体(11、12)を、前記非磁性金属板を挟むように対峙して配置する枠体配置手段と、当該枠体の両側端部に配置された電磁石(18)に対して磁束が下方に移動するように電流(I)を流す電流制御手段(30)と、を更に具備し、前記電流を流すことにより前記非磁性金属板の表面に発生する渦電流(U)とその渦電流及び電磁石の磁界によって生じる引張力(F)で非磁性金属板を下方に引っ張り、この引張力が作用している間にアライメントを行った後、非磁性金属板に上記マスクを密着させるようにしたパターン焼付装置を採用する。
【0013】
請求項4に記載されるように、請求項3に記載のパターン焼付装置において、表面に感光膜が形成された非磁性金属板を垂直に吊り下げて搬送し、所定パターンを有したマスクを非磁性金属板に伴走させつつ、非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アライメントを行う場合、吊り下げられた非磁性金属板(1)の回りで機械の振動や空気の流れ等が生じても、非磁性金属板(1)は引張力(F)によって垂直下方に引っ張られることで揺れが防止され、従って正確なアライメントを行うことができる。また、非磁性金属板(1)に生じ易いカールが上記引張力(F)によって予め矯正される結果、アライメント後にマスク(6)を非磁性金属板(1)に密着させる際、マスク(6)のパターンと非磁性金属板(1)との間に位置ずれが生じなくなり、従って正確なパターンの焼き付けが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るパターン焼付装置を含んだリードフレーム製造装置の概略斜視図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】本発明に係るパターン焼付装置によりパターンが焼き付けられるリードフレーム用の非磁性金属板の部分切欠平面図である。
【図4】本発明に係るパターン焼付装置の概略斜視図である。
【図5】図4の矢印A方向から視認した縦断面図である。
【図6】パターン焼付装置でアライメント中に非磁性金属板に引張力が作用する状態を示す概略側面図である。
【図7】パターン焼付装置で使用されるアライメント装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
本発明に係るパターン焼付装置は、例えば図1に示すようなリードフレーム製造装置内に組み込まれて使用される。
【0018】
このリードフレーム製造装置は、図3に例示するような非磁性金属板1の所定箇所に対して金等のメッキを施すためのものである。図3に示す非磁性金属板1は、リードフレーム素材板であり、この非磁性金属板1にはリードフレームの大体の輪郭がすでに形成されている。この非磁性金属板1は、一般に薄い金属板であり、この場合銅で作られているが、アルミニウム等他の金属で作られる場合もある。
【0019】
このリードフレーム製造装置によれば、非磁性金属板1における例えばリードフレームの脚の一部に銀メッキ、金メッキ等を施すことが可能である。
【0020】
図1中、符号2は鋼材等の導電材で形成された無端コンベアベルトを示す。この無端コンベアベルト2が少なくとも一対のプーリ3a,3bによって水平面内に張設され、一方のプーリ3aの駆動によって矢印方向に一定速度で走行可能である。
【0021】
無端コンベアベルト2には、図2に示すような四角形の孔2aが無端コンベアベルト2の長さ方向に一定ピッチで多数設けられる。図2に示すように、各孔2aにはクリップ4が挿入され、各クリップ4の上端が無端コンベアベルト2の外面に固定され、下端が無端コンベアベルト2の外面に対して付勢される。このクリップ4の下端と無端コンベアベルト2の外面との間に非磁性金属板1の上端が挟持され、これにより非磁性金属板1は無端コンベアベルト2から垂直下方に垂れ下がる。
【0022】
図1に示すように、無端コンベアベルト2の往路部に多数の上記非磁性金属板1が一定間隔でクリップ4に挟まれた状態で吊り下げられつつ、無端コンベアベルト2によって矢印方向に一定速度で搬送される。無端コンベアベルト2の往路部の上流端と下流端には、上記非磁性金属板1の図示しない供給装置と除去装置が各々設けられる。
【0023】
図1に示すように、無端コンベアベルト2の往路部には、チャンバ5が設けられ、このチャンバ5内に感光膜形成装置(図示せず)、図4に示すパターン焼付装置、現像装置(図示せず)、メッキ装置(図示せず)等が、無端コンベアベルト2の往路部の走行方向に沿って順に配置される。
【0024】
感光膜形成装置は無端コンベアベルト2によって搬送されて来る上記非磁性金属板1に対して感光膜(図示せず)を塗工するためのものである。この感光膜形成装置は公知であるから詳細な説明は省略する。
【0025】
パターン焼付装置は、図4に示すように構成される。すなわち、無端コンベアベルト2と、クリップ4と、所定パターン(図示せず)を有したマスク6を非磁性金属板1に伴走させるクランパ7を含む伴走装置と、光源8を含む露光装置とを具備し、さらに、図7に示すようなアライメント装置を具備する。
【0026】
無端コンベアベルト2とクリップ4は、すでに述べた構造を有するもので、上記感光膜形成装置において表面に感光膜(図示せず)が形成された非磁性金属板1を垂直に吊り下げる吊り下げ手段として機能する。
【0027】
伴走装置は、図4に示すように、クランパ7のほか、ガイド棒9、スライダ10等を具備する。
【0028】
ガイド棒9は、無端コンベアベルト2の往路部に沿うように配置され、その両端がチャンバ5(図1参照)に対し固定される。
【0029】
スライダ10は、ガイド棒9に対してスライド可能に取り付けられた水平な板部材であり、無端コンベアベルト2に吊り下げられた非磁性金属板1に対峙するようにマスク6を支持する。より具体的には、マスク6は図6に示すアライメント装置を介してスライダ10に取り付けられ、アライメント装置によるアライメント後に図示しない流体圧シリンダ装置の作動によって非磁性金属板1に押し付けられる。
【0030】
クランパ7は、無端コンベアベルト2の往路部を間に挟むように対向配置された一対の把持片で構成される。各把持片は図示しない流体圧シリンダ装置を介してスライダ10に取り付けられ、流体圧シリンダ装置の作動によって無端コンベアベルト2の往路部に対しクランプ・アンクランプが可能である。クランパ7が無端コンベアベルト2の往路部をクランプすると、スライダ10が無端コンベアベルト2に連結される結果、マスク6は非磁性金属板1に並走することになる。クランパ7はスライダ10が所定距離だけ走行するとアンクランプにより無端コンベアベルト2の往路部から解放され、その後図示しない流体圧シリンダ装置の作動によってスライダ10と共に元の位置に復帰する。
【0031】
アライメント装置は、図7に示すように、垂直状態で重なり合う二個の枠体11,12を有する。
【0032】
第一の枠体11はアライメント装置の図示しない筺体に対し、無端コンベアベルト2の往路部に吊り下げられた非磁性金属板1に垂直な方向に伸びる枢軸11aを介して回動可能に支持される。この図示しない筺体には、第一の枠体11に当接する第一のカム14が回動可能に支持され、この第一のカム14の回転により第一の枠体11は筺体に対して枢軸11aの回りをθ方向に微小角度回動可能である。図示しない制御装置からの信号により第一のカム14が回転すると、第一の枠体11が非磁性金属板1に平行な平面内で、非磁性金属板1の板面内での角度に合致するようにθ方向に傾斜する。
【0033】
第二の枠体12は第一の枠体11に対しxy方向に各々伸びるレール(図示せず)を介して取り付けられ、第一の枠体11に回転可能に取り付けられた第二及び第三のカム15,16によってxy方向にスライド可能である。
【0034】
xyは互いに直交する関係にある。この第二の枠体12にマスク6がxy方向と整合するように取り付けられる。
【0035】
上記第一及び第二の枠体11,12を保持する筺体と上記スライダ10との間には、枢軸11aの軸芯方向に伸縮可能な図示しない流体圧シリンダ装置が介装される。
【0036】
また、アライメント装置は、図4に示すように、カメラ17を備える。このカメラ17も上記スライダ10に取り付けられ、非磁性金属板1に伴走可能である。カメラ17は、図3に示すごとく、その光軸が非磁性金属板1及びマスク6に垂直に交差し、かつ、非磁性金属板1に予め形成された二個の基準ホール1aと、図4に示すごとくマスク6に形成された二個の基準アパーチャ6aとを撮影しうるように配置される。二個の基準ホール1aは、図3及び図4に示すように、非磁性金属板1の搬送方向に所定間隔だけ離れた位置に形成され、二個の基準アパーチャ6aも同様に所定間隔だけ離れた位置に形成される。
【0037】
アライメントに際しては、カメラ17によって非磁性金属板1の二個の基準ホール1aとマスク6の二個の基準アパーチャ6aとが撮影され、その撮影画像から非磁性金属板1に対するマスク6のθ方向の傾斜角度Δθ、傾斜後のxy方向のズレΔx、Δyが図示しない演算装置によって演算される。
【0038】
このΔθの値が第一のカム14に入力されて第一の枠体11が枢軸11aの回りにΔθだけ回され、次にΔx及びΔyの値が第二および第三のカム15,16に入力されて第二の枠体12がx、y方向に各々Δx、Δyだけスライドさせられる。
【0039】
これにより、第2の枠体12上に取り付けられたマスク6の基準アパーチャ6aが非磁性金属板1の基準ホール1aに合致し、マスク6の非磁性金属板1に対するアライメントが完了し、続いて図示しない流体圧シリンダ装置の作動によって第一及び第二の枠体11,12が一体で非磁性金属板1へと近づけられ、マスク6が非磁性金属板1にその感光膜上から押し付けられる。
【0040】
なお、非磁性金属板1のマスク6と反対側には、図示しない透明ガラス板が非磁性金属板1に対向配置され、この透明ガラス板も図示しない他の流体圧シリンダ装置の作動によってマスク6の移動に同期して非磁性金属板1に近づけられ、マスク6と共に非磁性金属板1に押し付けられる。これにより、非磁性金属板1はマスク6と透明ガラス板とによって挟持される。
【0041】
パターン焼付装置には、上記アライメントの際に非磁性金属板1を垂直下方に引張力を加えるための引張手段が設けられる。
【0042】
この引張手段は、図4及び図5に示すように、非磁性金属板の搬送方向における、第1及び第2の枠体11、12の両側端部の外面(又は内面)に設けられた一対の電磁石18を備えている。この電磁石18は、互いに同形状(大きさ)の電磁石であり、上下方向に複数組、連続して設けられている。例えば、この電磁石18は、芯として機能する磁性材料のまわりにコイルを巻き付けて構成され、当該コイルに電流Iを流す(通電)することによって、一時的に磁力を発生させる。一対の電磁石18は、互いに同軸的に配置されており、一方の電磁石18の端面と他方の電磁石18の端面とは全面に亘り非磁性金属板1の表裏面を介して対峙した状態で配置される。
【0043】
また、複数組の電磁石18は、図5に示すように、それぞれが電流制御装置30(本願の電流制御手段)と電気的に接続されており、当該電流制御装置30によって、各組の電磁石18に所定の電流を流すことが可能になっている。この電流制御装置30によって電磁石18に電流を流すことによって、電磁石18の周辺には、磁界が発生する。
【0044】
そして、この電流制御装置30を用いて、磁束が上から下へと移動(ΔB変化)するよ
うに、上方から下方への電磁石18へ電流を流すことにより、電磁誘導によって非磁性金属板1の表面には誘導起電力が生じ、この誘導起電力によって非磁性金属板1には磁束の変化を打ち消すようにして、渦電流Uが生じる。この渦電流U及び誘導された電流Iにより生じる電磁石18周辺の磁界との作用によって、図4及び図6に示すように、非磁性金属板1には下向きの力Fが生じる。すなわち、引張手段は、一対の電磁石18間に配置される非磁性金属板1を垂直方向(下向き)に引っ張る。そして、この引張力により、アライメント中の非磁性金属板1の揺れや振動が防止され、正確なアライメントが実行可能である。
【0045】
露光装置は、具体的には光源8のほか、反射鏡(図示せず)、シャッタ(図示せず)等を具備する。
【0046】
光源8と凹面鏡である反射鏡がマスク6の背後から非磁性金属板1の感光膜に対向するように配置される。光源8は常時点灯しており、閉状態にあるシャッタが光源8とマスク6との間に介在して光源8の光を遮断している。
【0047】
アライメントが完了し、非磁性金属板1にマスク6が密着させられると、シャッタが開き、光源8の光がマスク6に当たり、マスク6の所定のパターンが非磁性金属板1の感光膜に焼き付けられる。
【0048】
非磁性金属板1は上記引張力Fにより垂直方向に平らに延ばされた状態でマスク6と透明ガラスに挟まれ露光されるので、非磁性金属板1に生じ易いカールが解消された状態でマスク6のパターンが焼き付けられる。従って、マスク6と透明ガラスに挟まれる際に非磁性金属板1が延びてアライメントが損なわれることがなく、マスク6のパターンが非磁性金属板1の適正位置に正確に焼き付けられることになる。
【0049】
次に、上記構成のパターン焼付装置の作用について説明する。
【0050】
(1)図3に示すような非磁性金属板1が、図1及び図2に示すように、無端コンベアベルト2に吊り下げられ、矢印方向に一定速度で搬送される。
【0051】
非磁性金属板1の所定箇所には、予め基準ホール1aが穿設されている。
【0052】
(2)無端コンベアベルト2の走行により、非磁性金属板1がチャンバ5内に入り、チャンバ5内の感光膜形成装置により非磁性金属板1の表面に感光膜が形成される。
【0053】
(3)感光膜が形成された非磁性金属板1が、無端コンベアベルト2の走行により、図4に示すパターン焼付装置の手前に到達すると、クランパ7が無端コンベアベルト2を把持する。これにより、スライダ10がガイド棒9に沿って非磁性金属板1に伴走する。また、スライダ10と共にカメラ17やマスク6も伴走する。
【0054】
また、図4中、所定箇所に配置された近接スイッチ等からなるセンサ20がパターン焼付の対象となる非磁性金属板1を検知し、この非磁性金属板1が露光装置に到達するまでの時間等を図示しない制御装置がカウントする。
【0055】
(4)無端コンベアベルト2の走行に伴い、パターン焼付の対象となる非磁性金属板1が露光装置に到達したものと制御装置が判断すると、カメラ17によって非磁性金属板1の基準ホール1aとマスク6の基準アパーチャ6aとが撮影され、その撮影画像から非磁性金属板1に対するマスク6のθ方向の傾斜角度Δθ、傾斜後のxy方向のズレΔx、Δyが制御装置内の演算装置によって演算される。
【0056】
この演算結果に基づき、図7に示す第一及び第二の枠体11,12が上述したごとく動作し、非磁性金属板1に対するマスク6のアライメントが行われる。
【0057】
このアライメントの最中に、第一及び第二の枠体11,12がマスク6を伴って非磁性金属板1側へと移動(配置)し、磁束が上から下へと変化するように、電流制御装置30によって所定の電流Iを第一及び第二の枠体11、12の両端部に設けられた電磁石18に流す結果、非磁性金属板1の表裏面には渦電流Uが生じ、図4及び図6に示すように、非磁性金属板1に対し下向きに引張力Fが生じる。
【0058】
これにより、アライメントの最中、非磁性金属板1の回りで機械の振動や空気の流れ等が生じても、非磁性金属板1は引張力Fによって下方に引っ張られることで揺れが防止され、従って正確なアライメントが実行される。
【0059】
(5)そして、マスク6が非磁性金属板1にその感光膜の上から密着させられる。
【0060】
その際、上述したように非磁性金属板1に引張力Fが作用しているので、非磁性金属板1に生じ易いカールが引張力Fによって予め平坦に矯正される。これにより、マスク6が非磁性金属板1に密着させられる際、マスク6のパターンと非磁性金属板1との間に位置ずれが生じなくなり、従って正確なパターンの焼き付けが可能になる。
【0061】
(6)非磁性金属板1の感光膜にマスク6があてがわれると、露光装置のシャッタが開き、光源8の光がマスク6に照射され、マスク6のパターンが感光膜に焼き付けられる。
【0062】
(7)その後、クランパ7が無端コンベアベルト2から離れ、非磁性金属板1は無端コンベアベルト2によってチャンバ5内を走行し、現像装置で処理されて感光膜がレジスト膜とされ、メッキ装置で非磁性金属板1のレジスト膜で覆われない露出箇所に銀メッキ等が施される。
【0063】
銀メッキ等が施された非磁性金属板1は、チャンバ5から出た後、無端コンベアベルト2の往路部がプーリ3aに到達する手前で無端コンベアベルト2から取り外される。
【0064】
銀メッキされた非磁性金属板1は、その後他の処理に付された後、リードフレームとされる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、非磁性金属板を走行させながらパターン焼付を行うようにしたが、非磁性金属板を静止または一時停止させた状態で行うことも可能である。その場合は、伴走装置等を省略することが可能である。また、上記実施の形態では、非磁性金属板をリードフレームの素材板として説明したが、他の製品を作るための非磁性金属板についても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…非磁性金属板
6…マスク
18…電磁石
F…引張力
I…電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光膜が形成され、垂直に吊り下げられた非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行った後に、この非磁性金属板にマスクを密着させ、このマスク上から光を照射してマスクのパターンを非磁性金属板の感光膜に焼き付けるパターン焼付方法において、
上記アライメントの際に、一方に前記マスクを配置した一対の枠体を、前記非磁性金属板を挟むように対峙して設け、当該枠体の両側端部に配置された電磁石に対して磁束が下方に移動するように電流を流し、前記非磁性金属板の表面に発生する渦電流とその渦電流及び電磁石の磁界によって生じる引張力で非磁性金属板を下方に引っ張り、この引張力が作用している間にアライメントを行い、しかる後に非磁性金属板に上記マスクを密着させることを特徴とするパターン焼付方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン焼付方法において、表面に感光膜が形成された非磁性金属板を垂直に吊り下げて搬送し、所定パターンを有したマスクを非磁性金属板に伴走させつつ、非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行うことを特徴とするパターン焼付方法。
【請求項3】
表面に感光膜が形成された非磁性金属板を垂直に吊り下げる吊り下げ手段と、吊り下げられた非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行った後に非磁性金属板にマスクを密着させるアライメント手段と、マスク上から光を照射してマスクのパターンを非磁性金属板の感光膜に焼き付ける露光手段と、を具備したパターン焼付装置において、
上記アライメントの際に、一方の前記マスクを配置した一対の枠体を、前記非磁性金属板を挟むように対峙して配置する枠体配置手段と、
当該枠体の両側端部に配置された電磁石に対して磁束が下方に移動するように電流を流す電流制御手段と、を更に具備し、前記電流を流すことにより前記非磁性金属板の表面に発生する渦電流とその渦電流及び電磁石の磁界によって生じる引張力で非磁性金属板を下方に引っ張り、この引張力が作用している間にアライメントを行った後、非磁性金属板に上記マスクを密着させるようにしたことを特徴とするパターン焼付装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパターン焼付装置において、表面に感光膜が形成された非磁性金属板を垂直に吊り下げて搬送し、所定パターンを有したマスクを非磁性金属板に伴走させつつ、非磁性金属板に対するマスクのアライメントを行うようにしたことを特徴とするパターン焼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−7821(P2013−7821A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139340(P2011−139340)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】