説明

パターン部と非パターン部で段差を有する成形用ロール

【課題】押出成形法において、高い精度でパターンを転写させるための成形用ロールを提供すること。
【解決手段】成形用ロール装置は、押出機12から押出されるシート状溶融樹脂を、押出機12から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロール14と押さえロール15間に導入して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得るものである。成形用ロール14は、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部14Aと、大径部14Aの両側に設けられ大径部14Aよりも小さい均一の直径で形成された小径部14Bとを有している。そして、大径部14Aの外周面にパターンを形成するためのパターン部21が設けられ、小径部14Bはパターン部21が形成されていない非パターン部22となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの押出成形シートやフィルムの単材、シート類同士、紙や繊維などの複合材を押出成形して冷却し、シート製品やフィルム製品、ラミネート製品を製造するシート・フィルムの成形用ロール、および成形用ロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から液晶テレビの輝度向上を目的として表面にプリズム形状が付与されたシート、およびフィルム(以後、本発明においてシート、およびフィルムを総称してシートと記載)(先行特許1)、またモワレ防止のためマイクロレンズ形状が付与されたパターンシート(先行特許2)が液晶テレビのバックライト部材として用いられてきた。
【0003】
一方、今後普及が進むと考えられている有機ELを用いた照明における光取出し効率の増加(先行特許3)のため、パターンが付与されたパターンシートの使用が検討されている。
【0004】
これらパターンシートを製造する方法としては、紫外線成形法、および押出成形法の2法が提案されている。
【0005】
紫外線成形法は紫外線硬化性樹脂をポリエチレンテレフタレートなどからなる基材に均一に塗布し、任意のパターンが与えられた成形用ロールに抱かせながら紫外線を照射することで成形用ロールのパターンを転写することができる。現在、プリズム、およびマイクロレンズ形状を有するパターンシートは主としてこの紫外線成形法で製造されている。
【0006】
この紫外線成形法で製造した場合、成形用ロールのパターンを高い精度で転写することが可能だが(その転写率は99%以上)、その製造コストが高くなり、年率数10%で低下している液晶テレビのコストトレンドに追従することができない。
【0007】
紫外線成形法のコスト高になる理由としては、高価な紫外線硬化性樹脂を使用すること、ポリエチレンテレフタレートなどからなる基材を押出成形する工程と紫外線硬化性樹脂を塗布・硬化させパターンを転写する工程と工程数が多くなることなどが挙げられる。
【0008】
一方、押出成形法はペレット状の樹脂を押出機で混練、Tダイから吐出、そして互いに平行に配置された成形用ロールと押さえロール間に供給し、その狭圧力で成形用ロールのパターンを転写させる方法である。
【0009】
この押出成形法の成形部に用いられる押さえロールには金属、ゴム、金属弾性(先行特許4)、あるいはスリーブ(先行特許5)などの種類があり、その特性と製造するシートの用途に応じて選ぶことができる。
【0010】
押出成形法で製造した場合、押出成形されたシートはパターンシートとなっているため、紫外線成形法のように高価な材料の使用を避けることができ、また、工程数も押出成形の1工程であるため製造コストを低減することが可能となる。
【0011】
しかし、この押出成形法は低コストで製造することができるが、成形用ロールからのパターンの転写に難があり(良くても90%程度)、プリズムに代表される鋭利な形状を高い精度で転写することは、難しいのが実情である。
【0012】
そのため、パターンシートを必要とする液晶テレビのバックライト部材、有機EL照明の光取出しシート部材へ参入を検討しているメーカーは押出成形法において高い転写率が得られる方法を開発している。
【0013】
押出成形法において高い転写率を得ようとする方法のひとつとして、ネックインへの対応が検討されている。
【0014】
ネックインとはTダイから押出される溶融シートが熱間延伸の過程で横方向に縮みを生じ、両端部が厚くなる現象である。
【0015】
先行文献6では、円筒状押さえロールのフラット部両端にテーパー部が設けられた金属製ロールからなり、そのテーパー部が金属製ロール端部に向かって径小になる形状を提案している。この場合、ネックインで両端部が厚くなった溶融シートを狭圧するとき、金属製ロールの端部テーバーの効果で厚膜の端部を狭圧しないため、押出シートの中央を十分狭圧でき、転写に効果があるとされている。
【0016】
また、先行文献7では、パターン転写に言及はしていないが、先行文献6と同様、ロール間に溶融シートの幅より狭い支持体層を投入し、両端部を支持せず狭圧することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3607759号
【特許文献2】特開2006−301582
【特許文献3】特開2008−230114
【特許文献4】特開2008−18629
【特許文献5】特開2007−296824
【特許文献6】特開2001−353779
【特許文献7】特開2006−27157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、先行文献6で提案されているテーパーを有する金属製押さえロールの場合、以下の問題がある。まず、前記金属製押さえロールがテーパーを有するため溶融シートの厚み、およびネックインを吸収できるが、金属製押さえロールを使用するため、供給された溶融シートの余剰分が成形用ロールと金属製押さえロール上に溜まるバンクが発生する。そのため膜厚が300μm以下の樹脂シートを製造すると、樹脂シートに歪みが付与され、光学部材用のシートとしては使用できない。また、押さえロールにテーパーを与えているため、種々ある押さえロール(金属、ゴム、金属弾性、スリーブ)をシートの製造に合わせて適切に選ぶことができない。さらに、金属製押さえロールの両端部にテーパーを付与することは、高度な加工を必要とするため、追加の設備、また平坦な金属製ロールをテーパー状に加工する追加工が必要となるため、好ましくない。
【0019】
また、先行文献7で提案されているポリエチレンテレフタレートからなる支持体層を
狭圧部に投入し、支持体層とそれ以外の箇所による段差で溶融シートの厚み、およびネックインを吸収できるが、その支持体層を繰り出すための装置が必要となり、装置費用が大きくなる。また、支持体層は有限であり、長時間連続製造される押出成形においては、その製造中に、数回の支持体層交換が入ることとなる。そのため、支持体層の交換時に発生する材料ロスは膨大なものとなる。さらに、支持体層は使用とともに劣化することが考えられ、再使用にともなる不良品が発生し、使用回数も制限されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、押出機から押出されるシート状溶融樹脂を、押さえロールと協働して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得る成形用ロールであって、前記成形用ロールは、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部と、前記大径部の両側に設けられ前記大径部よりも小さい均一の直径で形成された小径部とを有し、前記大径部の外周面に前記パターンを形成するためのパターン部が設けられ、前記小径部は前記パターン部が形成されていない非パターン部となっていることを特徴とする成形用ロールである。
言い換えると、請求項1記載の発明は、押出機から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロールと押さえロール間に導入して狭圧成形するパターンシートの成形用ロールであって、成形用ロールが、パターン部と非パターン部で段差があることを特徴とする成形用ロールである。
【0021】
また、請求項2記載の発明は、押出機から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロールと押さえロール間に導入して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得る成形用ロール装置であって、前記成形用ロールは、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部と、前記大径部の両側に設けられ前記大径部よりも小さい均一の直径で形成された小径部とを有し、前記大径部の外周面に前記パターンを形成するためのパターン部が設けられ、前記小径部は前記パターン部が形成されていない非パターン部となっていることを特徴とする成形用ロール装置である。
言い換えると、請求項2記載の発明は、押出機から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロールと押さえロール間に導入して狭圧成形するパターンシートの成形用ロール装置であって、成形用ロールが、パターン部と非パターン部で段差があることを特徴とするパターンシートの成形用ロール装置である。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、前記押出機から押出されるシート状溶融樹脂の幅方向の両端部は中間部よりも大きな厚さを有するネックインとなっており、前記大径部と前記小径部の半径の差は、前記パターンシートの厚み、および前記ネックインの厚みより大きく、かつ、前記パターンシートの厚みの10倍以下であることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールまたは請求項2記載の成形用ロール装置である。
言い換えると、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の成形用ロールの段差が、パターンシートの厚み、およびネックインの厚みより深く、そしてパターンシートの厚みの10倍以下であることを特徴とする成形用ロールである。成形用ロールの段差が、パターンシートの厚み、およびネックインの厚みより深いことにより、パターンシートの厚み、およびネックインの厚みを成形用ロールの非パターン部で吸収でき、狭圧を必要とする成形用ロールのパターン部を適切に押切れ、高精度のパターン転写が可能となる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、前記大径部と前記小径部との境の箇所に、前記成形用ロールの長手方向と直交する平面上を延在する環状面が形成され、または、前記大径部から前記小径部へ至るにつれて次第に直径が減少するテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールまたは請求項2記載の成形用ロール装置である。
言い換えると、請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の成形用ロールの段差が、垂直、またはテーパーであることを特徴とする成形用ロールである。成形用ロールの段差のため、非パターン部の溶融シート厚みを全幅で吸収でき、高精度のパターン転写が可能となる。
【0024】
また、請求項5記載の発明は、前記大径部と前記小径部の半径の差は、前記パターンシートの厚み、および前記ネックインの厚みより大きく、かつ、前記パターンシートの厚みの10倍以下であり、前記テーパー面は、0.1mm/10mm〜0.5mm/10mmとなっている請求項4記載の成形用ロールまたは成形用ロール装置である。
言い換えると、請求項5記載の発明は、請求項4記載の成形用ロールのテーパー寸法が、0.1mm/10mm〜0.5mm/10mmとし、パターンシート厚みの10倍以下の深さまでテーパーするので急激な段差を抑え、パターンシートに発生する歪みを防止できる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、請求項1または2記載の成形用ロールの非パターン部が、凹凸構造を持つことを特徴とする成形用ロールである。非パターン部を凹凸形状にすることで、溶融シートとの接触面積を減少でき、非パターン部への溶融シートの貼り付きを防止することができる。さらに、成形用ロールの非パターン部の凹凸形状は、パターン部と同一形状が好ましい。なぜならば、パターンシートを製造するために使用される成形用ロールは通常、フラットな円筒状ロールの所定箇所、あるいは全面をダイヤモンドに代表されるような硬質材料で作られたバイトで切削することにより得ることができる。そのため、成形用ロールの所定箇所を切削した後、同一工程内で非パターン部を加工(深堀)すれば、追加の設備を必要とせず、所望の成形用ロールを得ることができる。
【0026】
なお、本発明において、成形用ロールの大径部と小径部の境の箇所である段差は、周方向の全長にわたって形成されている。
【0027】
また、請求項7記載の発明は、液晶テレビ、照明等の光学部材として用いられることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールにより製造されたパターンシートまたは請求項2記載の成形用ロール装置により製造されたパターンシートである。
言い換えると、請求項7記載の発明は、請求項1〜6記載のパターンシートが液晶テレビ、照明等の光学部材として用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の成形用ロールは、Tダイから押出された溶融シートの厚み、およびネックインによる両端の厚肉部分を吸収して均一な厚みに狭圧する。本発明のパターンシートの製造方法はTダイから押出された溶融シートを、上記成形用ロールと押さえロールの間で狭圧することで微細なパターンが高精度で転写されたパターンシートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施1に係る段差が垂直の成形用ロールを示す概略図である。
【図2】本発明の実施1に係る段差がテーパーの成形用ロールを示す概略図である。
【図3】本発明の実施1に係る押出成形装置を示す概略図である。
【図4】本発明の成形用ロールと未処理成形用ロールのパターン転写率の比較図表である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
図3に示すように、この水平ロール成形装置を備えたシート押出成形装置は、原料ホッパー11から供給された熱可塑性樹脂原料を加熱混練する押出機12、シート状溶融樹脂を吐出するTダイ13、パターンを転写するための成形用ロール14と押さえロール15からなる成形部、製造したパターンシートを搬送する複数のガイドロール16、そしてパターンシートを巻き取る巻取り機17からなる。
すなわち、成形用ロール装置は、押出機12から押出されるシート状溶融樹脂を、押出機12から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロール14と押さえロール15間に導入して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得るものである。
【0032】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、光学シートの製造に適した樹脂が選ばれる。このためには、透明な樹脂であること、および、例えば組み込まれた液晶表示装置の使用時の信頼性を高めるために、耐熱性や耐湿性が実用的に差し支えない程度に備えていることが求められる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、メタクリルスチレン(MS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、環状ポリオレフィンが好適である。
【0033】
成形用ロール14は図1にその断面で示すように、パターン部21と非パターン部22に段差が設けられた金属製ロールから形成される。パターン部21は金属製ロールの中央に切削され、非パターン部22はその幅が同一で、両端部で左右対称に切削されている。
より詳細に説明すると、成形用ロール14は、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部14Aと、大径部14Aの両側に設けられ大径部14Aよりも小さい均一の直径で形成された小径部14Bとを有している。そして、大径部14Aの外周面にパターンを形成するためのパターン部21が設けられ、小径部14Bはパターン部21が形成されていない非パターン部22となっている。大径部14Aと、その両側の小径部14Bとは同軸上を延在しており、それらの境の部分の段差は、周方向の全周にわたって延在している。
【0034】
成形用ロール14の段差が、前記パターンシートの厚み、およびネックインの厚みより深く、そしてパターンシートの厚みの10倍以下である必要がある。成形用ロール14の段差が、パターンシートの厚み、およびネックインの厚みより浅い場合、つまり、パターンシートの厚み、およびネックインの厚みを成形用ロールの非パターン部22で吸収できない場合は、狭圧を必要とする成形用ロール12のパターン部21を適切に狭圧することが困難となり、パターンの転写を損なうこととなる。また、成形用ロール14の段差が、パターンシートの厚みの10倍より深い場合、狭圧されない非パターン部22で溶融シートがバタツキ、狭圧されているパターン部に巻き込まれることがある。
【0035】
成形用ロール14の段差が、垂直23(図1)、またはテーパー24(図2)を持つことを特徴とする。
より詳細には、大径部14Aと小径部14Bとの境の箇所に、成形用ロール14の長手方向と直交する平面上を延在する環状面23(図1)が形成されている。または、大径部14Aと小径部14Bとの境の箇所に、大径部14Aから小径部14Bへ至るにつれて次第に直径が減少するテーパー面24(図2)が形成されている。より好ましくは、テーパー24を持つ成形用ロール14である。成形用ロール14の段差が、垂直23の場合、急激な段差によりパターンシートに歪みが発生する場合があるが、テーパー24だと歪みの発生を防止することができる。
【0036】
また成形用ロール14のテーパー寸法は、0.1mm/10mm〜0.5mm/10mmが好ましい。0.1mm/10mm未満となると、非パターン部22で溶融シート全体を吸収することができず、また、0.5mm/10mmより大きいとパターンシートに歪みが発生する場合がある。
【0037】
成形用ロール14の非パターン部22は、凹凸構造を持つ成形用ロールである。成形用ロール14の非パターン部22が平坦な場合、溶融シートが成形用ロール14の非パターン部に貼り付き、溶融シートの滞留を招くが、成形用ロール14の非パターン部22を凹凸形状に加工することで、前記溶融シートとの接触面積を減少でき、貼り付きを防止することができる。
【0038】
また本発明に用いられるパターンは、特に限定されず、プリズム、レンチキュラー、マイクロレンズ、ピラミッド等用途に応じて決定することができる。
[実施例1]
【0039】
耐熱透明性高機能樹脂(帝人化成(株)、型番「L―1250Z」)を140℃、250Torrで24時間除湿乾燥した後、単軸押出機(口径32、L/D=24)にTダイ(有効幅330mm)を取付け、シート状に押出した。Tダイよりシート厚200μmになるように吐出した。溶融樹脂を300℃であった。本発明に係る成形用ロールは直径300mm、幅400mmの金属製ロールに横断面形状が頂角90°、ピッチ50μm、高さ25μmの二等辺三角形を平行に多数連接させたパターンを金属製ロール上に200mm配した。またパターン部と非パターン部の段差は400μmとし、テーパー寸法は0.2mm/10mmとした。溶融樹脂を成形用ロール(ロール温度130℃)とゴムロール(ロール温度80℃)で6kgf/cm2で狭圧し、パターンシートを成形した。運転ラインの速度は1.5m/分で運転した。
[比較例1]
【0040】
成形用ロールに段差をつけない以外は実施例1と同様の条件でパターンシートを成形した。
【0041】
上記パターンシートについて、下記項目の評価を行い、その結果を図4に示した。
【0042】
パターン転写率
パターンシートの中央付近について、パターン深さを測定し、それを成形用ロールのパターン深さで除した数値に100を乗じたものの値をパターン転写率とした。
【産業上の利用可能性】
【0043】
熱可塑性樹脂を溶融押出するに際し、段差を有する成形用ロールと押さえロールで狭圧することで、高精度に成形用ロールのパターンを転写することができる。
【符号の説明】
【0044】
11……ホッパー、12……押出機、13……Tダイ、14……成形用ロール、15……押さえロール、16……ガイドロール、17……巻取り機、21……パターン部、22……非パターン部、23……垂直の段差、24……テーパーの段差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機から押出されるシート状溶融樹脂を、押さえロールと協働して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得る成形用ロールであって、
前記成形用ロールは、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部と、前記大径部の両側に設けられ前記大径部よりも小さい均一の直径で形成された小径部とを有し、
前記大径部の外周面に前記パターンを形成するためのパターン部が設けられ、
前記小径部は前記パターン部が形成されていない非パターン部となっている、
ことを特徴とする成形用ロール。
【請求項2】
押出機から押出されるシート状溶融樹脂を成形用ロールと押さえロール間に導入して狭圧成形し幅方向の中央部にパターンが形成されたパターンシートを得る成形用ロール装置であって、
前記成形用ロールは、その長手方向の中央に設けられた均一の直径の大径部と、前記大径部の両側に設けられ前記大径部よりも小さい均一の直径で形成された小径部とを有し、
前記大径部の外周面に前記パターンを形成するためのパターン部が設けられ、
前記小径部は前記パターン部が形成されていない非パターン部となっている、
ことを特徴とする成形用ロール装置。
【請求項3】
前記押出機から押出されるシート状溶融樹脂の幅方向の両端部は中間部よりも大きな厚さを有するネックインとなっており、
前記大径部と前記小径部の半径の差は、前記パターンシートの厚み、および前記ネックインの厚みより大きく、かつ、前記パターンシートの厚みの10倍以下であることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールまたは請求項2記載の成形用ロール装置。
【請求項4】
前記大径部と前記小径部との境の箇所に、前記成形用ロールの長手方向と直交する平面上を延在する環状面が形成され、または、前記大径部から前記小径部へ至るにつれて次第に直径が減少するテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールまたは請求項2記載の成形用ロール装置。
【請求項5】
前記大径部と前記小径部の半径の差は、前記パターンシートの厚み、および前記ネックインの厚みより大きく、かつ、前記パターンシートの厚みの10倍以下であり、
前記テーパー面は、0.1mm/10mm〜0.5mm/10mmとなっている請求項4記載の成形用ロールまたは成形用ロール装置。
【請求項6】
前記非パターン部は、凹凸構造を持つことを特徴とする請求項1記載の成形用ロールまたは請求項2記載の成形用ロール装置。
成形用ロール。
【請求項7】
液晶テレビ、照明等の光学部材として用いられることを特徴とする請求項1記載の成形用ロールにより製造されたパターンシートまたは請求項2記載の成形用ロール装置により製造されたパターンシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−247334(P2010−247334A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95879(P2009−95879)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】