説明

パチンコ機の風車

【課題】視覚的に目立ち易く小型化に好適なパチンコ機の風車を提供する。
【解決手段】風車9は、透明板4aと遊技盤3で挟まれた空間S内に配置された羽根本体16と、この羽根本体16を遊技盤3に対して回転可能に支持する回転体17と、この回転体17に一体的に設けられた反射板18と、回転体17の中空軸17bを挿通して反射板18の内側に配置された光源19と、これら反射板18および光源19を収納するカバー20とによって構成されており、遊技球の接触によって羽根本体16が回転すると、その回転に伴って反射板18が光源19の周囲を旋回することにより、光源19からの拡散光が羽根本体16とカバー20の外部へ放射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤内を流下する遊技球によって回転駆動されるパチンコ機の風車に係り、特に、光源から発せられる光を利用した電飾風車と呼ばれるパチンコ機の風車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、パチンコ機の遊技盤には回転可能な風車が配設されており、この風車によって遊技球の流下方向が任意方向へ振り分けられるようになっている。従来より、このような風車の一例として、光透過性材料で形成された羽根本体の背面側に円椀形状の回転体を取り付け、この回転体の内部に発光ランプ(光源)を配置すると共に、回転体の内周面を反射構造とした電飾風車が知られている(例えば、特許文献1参照)。このように構成された電飾風車においては、発光ランプから発せられた光が回転体の内周面で反射・拡散されて羽根本体の背面に照射されるため、羽根本体全体を一様に明るく照明することができる。
【特許文献1】特開2001−353275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来の電飾風車では、背面側からの入射光によって羽根本体全体を一様に照明するように構成されているため、例えば遊技盤内に配置された役物やガラス枠の周囲に施された他の電飾に比べると、風車の照明が視覚的に目立ちにくいという難点があった。また、羽根本体の背面側に内周面を反射構造とした円椀形状の回転体を積層・一体化する必要があるため、風車全体が回転軸方向へ大型化してしまうという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、視覚的に目立ち易く小型化に好適なパチンコ機の風車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明によるパチンコ機の風車は、遊技盤に回転可能に取り付けられた羽根本体と、この羽根本体の回転中心軸上に配設された光源と、この光源の周囲を旋回可能な反射板と、これら光源および反射板を収納する光透過性材料からなるカバーとを備え、前記羽根本体に少なくとも前面側を開口する凹部が設けられ、この凹部内に前記カバーが配置されている構成とした。
【0006】
このように構成されたパチンコ機の風車では、羽根本体の凹部内に光源の光を周囲に旋回させる回転灯が配設されているため、羽根本体の前面から放射される鮮やかな拡散光によって視覚的に目立ち易い風車を実現できると共に、回転軸方向の寸法が大型化するのを抑制して小型化に好適な風車を実現できる。
【0007】
上記の構成において、反射板を旋回させる駆動源として専用のモータを用いることも可能であるが、羽根本体と反射板とが一体化されている構成にすると、羽根本体の回転に伴って反射板が一体的に旋回するため、羽根本体の回転速度や回転量に応じて光の拡散状態に変化を持たせることができると共に、駆動源としてのモータを省略して単純構造の風車を実現することができて好ましい。
【0008】
また、上記の構成において、反射板が中空軸を有する回転体に設けられており、光源がこの中空軸を挿通してカバーの内部に配置されている構成にすると、光源の周囲に反射板と羽根本体を無理なく配置することができて好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるパチンコ機の風車は、羽根本体の凹部内に光源の光を周囲に旋回させる回転灯が配設されているため、羽根本体の前面から放射される鮮やかな拡散光によって視覚的に目立ち易い風車を実現できると共に、回転軸方向の寸法が大型化するのを抑制して小型化に好適な風車を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係るパチンコ機の正面図、図2は該パチンコ機に備えられる風車の正面図、図3は該風車の斜視図、図4は該風車の取り付け状態を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2に収納保持された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス枠4と、前面枠2の下方に配設された前面ボード5と、前面ボード5に取り付けられた発射ハンドル6等を具備している。ガラス枠4には遊技盤3の前面を覆う透明板4a(図4参照)が取り付けられており、図示省略されているが、ガラス枠4の周囲には電飾用ランプが内蔵されている。
【0012】
遊技盤3はガイドレール7等で囲まれた遊技領域8を有しており、遊技者の手動操作によって発射ハンドル6が任意角度に回転されると、図示せぬ発射装置から遊技領域8に向けて遊技球が打ち出されるようになっている。遊技領域8には後述する風車9と多数の障害釘(図示省略)が設けられており、これら風車9や障害釘によって遊技球の流下方向および流下速度に変化を与えるようになっている。また、遊技領域8の中央付近には液晶パネル(LCD)等からなる図柄表示装置10が配設されており、図柄表示装置10の周囲には電飾用ランプ(図示省略)を内蔵した装飾部材11が設けられている。さらに、遊技領域8の中央部下方には、可動片を有する始動入賞口12やアタッカと呼ばれる大入賞口13や複数の一般入賞口14等が配設されており、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球は遊技領域8の最下端部に設けられたアウト口15から遊技盤3の裏面側に排出されるようになっている。
【0013】
図2〜図4に示すように、前記風車9は、透明板4aと遊技盤3で挟まれた空間S内に配置された羽根本体16と、この羽根本体16を遊技盤3に対して回転可能に支持する回転体17と、この回転体17に一体的に設けられた反射板18と、ランプやLED等からなる光源19と、これら反射板18および光源19を収納するカバー20とによって構成されている。
【0014】
羽根本体16は、中空構造の筒状部16aと、この筒状部16aの外周面から外方へ放射状に突出する複数の羽根部16bとを有しており、これら筒状部16aと各羽根部16bは無色透明または有色透明な合成樹脂で一体成形されている。筒状部16aの内部は凹部16cとなっており、この凹部16cの前面側と後面側は開口している。各羽根部16bは筒状部16aの周方向に等間隔を保って配列されており、本実施形態の場合は4枚の羽根部16bを90度の等間隔で配列してあるが、3枚の羽根部16bを120度の等間隔で配列する等、羽根部16bの枚数を4つ以外に設定することも可能である。
【0015】
回転体17は、凹部16cの後面側を塞ぐ円板状の基部17aと、基部17aの中央から後方へ突出する中空軸17bと、基部17aの外周縁から前方へ突出する支持部17cとを有しており、これら基部17aと中空軸17bおよび支持部17cは合成樹脂により一体成形されている。中空軸17bは遊技盤3の貫通孔3aに挿通されており、この中空軸17bの外周面に係止したワッシャ21を遊技盤3の裏面に当接させることにより、回転体17は遊技盤3に抜け止めされた状態で回転可能に支持されている。なお、遊技盤3の貫通孔3aに図示せぬ軸受を圧入し、この軸受に中空軸17bを挿通するようにしても良い。支持部17cの外周面には羽根本体16の筒状部16aが圧入や接着等で固定されており、これにより羽根本体16は回転体17を介して遊技盤3に回転可能に取り付けられている。
【0016】
反射板18は回転体17の基部17aから前方へ突出しており、全体的に凹状の放物面となるように湾曲形成されている。本実施形態の場合、反射板18と回転体17は合成樹脂により一体成形されているが、別途形成した反射板18を回転体17の基部17aに後付けするようにしても良い。反射板18の凹状に湾曲した内面には例えば光反射性に優れたメッキが施されており、当該湾曲面が反射面18aとなっている。
【0017】
光源19は反射板18の内側に配置されており、回転体17の回転に伴って反射板18が光源19の周囲を旋回するようになっている。この光源19は回転体17の中空軸17bを挿通して遊技盤3の裏面側に配設された回路基板22上に搭載されており、このように羽根本体16と回転体17の回転中心軸Lを通る直線上に光源19が配設されているため、光源19が羽根本体16と回転体17の回転を妨げないようになっている。なお、光源19は図示せぬ制御部からの電力供給によって点灯動作され、遊技中に例えば大当たりが確定したとき等の特定の条件下になると、制御部から光源19に電力が供給されるようになっている。
【0018】
カバー20は無色透明または有色透明な光透過性材料(例えばガラスや合成樹脂)からなり、全体的に円椀状に形成されている。このカバー20は羽根本体16の凹部16c内に収納されており、凹部16cの内部に配置された反射板18と光源19はカバー20によって覆われている。カバー20は支持部17cの内周面に圧入や接着等で固定されており、これにより羽根本体16と回転体17およびカバー20の三者は一体的に回転するようになっている。なお、これら反射板18と光源19およびカバー20によって回転灯が構成されており、前記風車9は羽根本体16の中央に回転灯を配置した電飾風車として構成されている。
【0019】
このように構成された本実施形態例に係るパチンコ機の風車9では、遊技盤3の遊技領域8を流下する遊技球が羽根本体16の羽根部16bに接触すると、羽根本体16と回転体17およびカバー20の三者が中空軸17bを中心に回転し、それに伴って回転体17に一体化された反射板18が光源19の周囲を旋回する。そして、かかる風車9の回転中に光源19が点灯すると、光源19から発せられた光がその周囲を旋回する反射板18の反射面18aで反射・拡散されるため、光源19からの拡散光が羽根本体16とカバー20を通って風車9の外部へ放射される。したがって、遊技者は風車9の中央の回転灯から放射される鮮やかな拡散光を目視することになり、ガラス枠4や装飾部材11等に内蔵された電飾用ランプに比べても非常に目立ち易い風車9を実現することができ、光源19の点灯タイミングと相俟って演出による期待感を高めることができる。しかも、拡散光を放射する回転灯が羽根本体16の凹部16c内に配置されているため、この風車9は回転軸方向の寸法が徒に大型化するのを抑制でき、透明板4aと遊技盤3で挟まれた限られた空間S内に配置可能な小型の風車9を実現することができる。
【0020】
また、本実施形態例に係るパチンコ機の風車9では、羽根本体16と反射板18が回転体17を介して一体化されており、羽根本体16の回転に伴って反射板18が光源19の周囲を旋回するように構成されているため、遊技球に接触したときの羽根本体16の回転速度や回転量に応じて回転灯から放射される拡散光の方向等に変化を持たせることができると共に、反射板18を旋回させる専用のモータを省略して単純構造の風車9を実現することができる。しかも、この反射板18は中空軸17bを有する回転体17に一体的に設けられており、カバー20の内部に配置した光源19をこの中空軸17bに挿通させることにより、光源19が遊技盤3の裏面側に配置した回路基板22と接続されるように構成したので、光源19の周囲に反射板18と羽根本体16を無理なく配置することができ、この点からも小型化に好適な風車9を実現することができる。
【0021】
なお、上記実施形態例では、羽根本体16に中空構造の筒状部16aを形成し、この筒状部16aで囲まれた凹部16cの内部に回転灯の構成部材であるカバー20を配置した場合について説明したが、図5の変形例に示すように、羽根本体16から筒状部16aを省略し、複数の羽根部16bで囲まれた空所内にカバー20を配置しても良い。この場合、カバー20が配置される空所は前面と側面の大部分を開口した凹部となるため、羽根本体16を不透明な合成樹脂で形成したとしても、回転灯から発せられる拡散光をカバー20のほぼ全周に亘って外方へ放射させることができる。
【0022】
また、上記実施形態例では、光源19が制御部からの電力供給によって点灯動作される場合について説明したが、風車9の回転によって図示せぬダイナモ(発電機)を動作させ、このダイナモからの電力供給によって光源19を点灯動作させるようにしても良い。このように構成すると、遊技球の接触によって風車9が回転したときだけ、回転灯から拡散光を放射させることができる。
【0023】
また、上記実施形態例において、風車9の回転をフォトセンサ等の検知センサによって検出し、この検知センサの検出信号に基づいて報知音を発生するようにしても良い。このように構成すると、風車9の回転灯による視覚的効果と報知音による聴覚的効果との両方で演出による期待感が著しく高められ、興趣性に優れたパチンコ機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】該パチンコ機に備えられる風車の正面図である。
【図3】該風車の斜視図である。
【図4】該風車の取り付け状態を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態例に係る風車の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 機枠
2 前面枠
3 遊技盤
4 ガラス枠
4a 透明板
5 前面ボード
6 発射ハンドル
8 遊技領域
9 風車
10 図柄表示装置
11 装飾部材
16 羽根本体
16a 筒状部
16b 羽根部
16c 凹部
17 回転体
17a 基部
17b 中空軸
17c 支持部
18 反射板
18a 反射面
19 光源
20 カバー
21 ワッシャ
22 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に回転可能に取り付けられた羽根本体と、この羽根本体の回転中心軸上に配設された光源と、この光源の周囲を旋回可能な反射板と、これら光源および反射板を収納する光透過性材料からなるカバーとを備え、前記羽根本体に少なくとも前面側を開口する凹部が設けられ、この凹部内に前記カバーが配置されていることを特徴とするパチンコ機の風車。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記羽根本体と前記反射板とが一体化されていることを特徴とするパチンコ機の風車。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記反射板が中空軸を有する回転体に設けられており、前記光源が前記中空軸を挿通して前記カバーの内部に配置されていることを特徴とするパチンコ機の風車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−247452(P2009−247452A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96315(P2008−96315)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】