説明

パチンコ遊技機

【課題】満杯エラー報知が長期化されることによって、遊技の興趣が損なわれるのを軽減する。
【解決手段】遊技球を貯留する球受皿と、該球受皿の満杯を検知する満杯検知センサと、遊技球を前記球受皿に払い出す払出装置と、入賞が発生すると所定個数の遊技球を払い出すように払出装置を制御し、かつ、満杯検知センサの満杯検知中は、払出装置を停止させ、入賞発生に基づいて払い出すべき遊技球数を、未払出球数として蓄積記憶する払出制御手段と、該満杯検知センサの満杯検知中に、遊技者に前記球受皿の満杯解消を促す満杯エラー報知を実行する満杯エラー報知手段とを備えてなるパチンコ遊技機において、満杯検知センサの満杯検知状態が所定期間を経過すると、遊技者に所定特典を付与するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を貯留する球受皿が満杯となったときに、遊技者に満杯状態の解消を促す満杯エラー報知を実行するパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ遊技機は、賞球等の遊技球を払い出す球受皿が満杯となると、満杯が解消されるまで、遊技球の払出を停止して、払い出すべき遊技球数を未払出球数として記憶保持するよう構成されている。未払出球数は、満杯解消後に払い出されることとなるが、未払出球数が膨大となると、多量の遊技球を一度に払い出す必要が生じて球詰まりが発生し易くなるため、球受皿が満杯状態となると、遊技者に満杯解消を促す満杯エラー報知が実行される(例えば、特許文献1)。この満杯エラー報知は、エラーメッセージを画像表示器に表示したり、スピーカから出力したりするものである。こうした満杯エラー報知は、単に遊技者に遊技球の排出を促すだけでなく、遊技演出の邪魔となるため、遊技者は、満杯エラー報知が実行されると、積極的に球受皿の遊技球を球箱に排出して、満杯状態を解消することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−165758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技者が球受皿から遊技球を排出して球箱が満杯になると、遊技場の係員が空の球箱に交換してくれる。通常、係員は遅滞なく球箱を交換してくれるが、業務多忙により球箱の交換が遅れることもある。こうした場合、遊技者は、係員が来るまで球受皿の満杯状態を解消できなくなり、満杯エラー報知が長期間実行されることによって遊技の興趣が大きく損なわれてしまうという問題がある。とりわけ、球受皿が満杯となるのは、賞球が多量に払い出される大当り遊技中であるが、大当り遊技中は、通常よりも盛大な遊技演出が行われるため、満杯エラー報知が長期間実行されると、大当り遊技が興醒めとなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、満杯エラー報知が長期間繰り返されることによる弊害を軽減できるパチンコ遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技球を貯留する球受皿と、該球受皿の満杯を検知する満杯検知センサと、遊技球を前記球受皿に払い出す払出装置と、入賞が発生すると所定個数の遊技球を払い出すように払出装置を制御し、かつ、満杯検知センサの満杯検知中は、払出装置を停止させ、入賞発生に基づいて払い出すべき遊技球数を、未払出球数として蓄積記憶する払出制御手段と、該満杯検知センサの満杯検知中に、遊技者に前記球受皿の満杯解消を促す満杯エラー報知を実行する満杯エラー報知手段とを備えてなるパチンコ遊技機において、満杯検知センサの満杯検知状態が所定期間継続した場合に、遊技者に所定特典を付与する満杯エラー補償手段を備えることを特徴とするパチンコ遊技機である。ここで、パチンコ遊技機には、球受皿が上下二段に配設されるものがあるが、かかるパチンコ遊技機では、満杯検知センサが配設される下側の球受皿が、本発明に係る「球受皿」に相当する。
【0007】
かかる構成にあっては、満杯状態の球受皿からの遊技球排出に手間取り、満杯エラー報知が長期間実行された場合でも、所定特典を与えることによって、遊技演出を邪魔された遊技者の失望感を軽減し、遊技者の遊技続行意欲を維持することができる。
【0008】
本発明にあって、所定特典付与の契機となる、上記「所定期間」は、絶対時間で定められるものに限らず、所定条件が満了するまでの期間も含む。例えば、前記所定期間は、満杯検知センサの満杯検知中に、未払出球数が所定個数増加するまでの期間であることが提案される。また、前記所定期間は、満杯検知センサの満杯検知中に、未払出球数が所定個数に達するまでの期間であることも提案される。このように、未払出球数に基づく可変期間の経過によって、所定特典を付与する構成とすれば、所定特典が、遊技者に予測し難いタイミングで付与されることとなり、特典を付与された時の遊技者の喜びを、より大きくすることができる。
【0009】
本発明にあって、前記所定特典の付与は、特定ウェブサイトのアドレス情報を含む光学コードを、画像表示器に表示することによるものであることが提案される。かかる構成にあっては、表示された光学コードを携帯電話で読み取らせて、当該ウェブサイトにアクセスさせることで、遊技者に、特典画像をダウンロードさせたり、特別な遊技情報を閲覧させたりすることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上に述べたように、本発明によれば、満杯状態の解消に手間取り、満杯エラー報知が長期間実行されて遊技演出が大きく妨げられても、遊技者は、大きな失望感を感じることなく、遊技を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パチンコ遊技機1の斜視図である。
【図2】遊技盤10の正面図である。
【図3】(a)は、パチンコ遊技機1の背面図であり、(b)は、(a)のA部分の拡大図である。
【図4】遊技を制御する制御回路を示すブロック図である。
【図5】画像表示器14の表示態様を示す説明図である。
【図6】満杯エラー補償画像の表示期間を示すタイミングチャートである。
【図7】実施例2に係る満杯エラー補償画像の表示期間を示すタイミングチャートである。
【図8】実施例3に係る満杯エラー補償画像の表示期間を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、以下の実施例1〜3に従って説明する。なお、実施例2,3は、実施例1の構成を一部変更したものであり、実施例1と構成の共通する部分については、実施例1と符号を共通させるとともに、詳細な説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
本実施例のパチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4,4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、二つの球受皿7,8が上下に列設されており、各球受皿7,8を臨む位置には、遊技球が払い出される球払出口20,21が夫々開口している。二つの球受皿7,8のうち、下側に設置された下部球受皿8の底部には、開閉可能な球抜孔23が設けられており、遊技者は、下部球受皿8の手前側に設けられた球抜レバー24を操作して球抜孔23を開放することで、下部球受皿8の遊技球を機外に排出できる。また、前枠5には、右下部に発射ハンドル9が突設され、右上部にスピーカ16が配設される。
【0014】
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。このセンターケース13には、本発明に係る画像表示器14が組み付けられている。画像表示器14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面19には各種の演出画像等が表示される。
【0015】
また、センターケース13の下部には、4個のLED(発光ダイオード)からなる特別図柄表示装置15が配設される。この特別図柄表示装置15は、LEDの点灯態様によって特別図柄を表示するものであり、後述するように、所定契機によって、各LEDを点滅させることによって特別図柄が変動状態となり、点滅後にいずれかのLEDが点灯することで特別図柄が停止表示状態となる。本実施例では、右側のLEDが点灯した態様が当り態様、それ以外のLEDが点灯した態様がハズレ態様と設定されており、特別図柄が当り態様で停止表示された場合に、いわゆる「大当り」となって後述の大当り遊技に移行する。
【0016】
また、図2に示すように、センターケース13の下方には、各種の入賞装置17a〜17dが配設されており、これらの入賞装置17a〜17dに設けられた入賞口に遊技球が入賞すると、入賞装置17a〜17dに内蔵された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0017】
また、パチンコ遊技機1の背面側には、図3(a)に示すように、遊技島から供給される遊技球を貯留する球タンク25と、該球タンク25から、球受皿7,8の球払出口20,21へ遊技球を流下させる球流下樋26と、球流下樋26に配設されて、球タンク25側から流下する遊技球を球払出口20,21側へ送り出すことで、球受皿7,8に遊技球を払い出す払出装置27とが設けられている。払出装置27が送り出す遊技球は、上側の上部球受皿7に優先的に払い出され、上部球受皿7が満杯となると自然に下部球受皿8へ遊技球が払い出されることとなる。そして、球流下樋26には、下部球受皿8の球払出口21の直前位置に、下部球受皿8の満杯状態を検知する満杯検知センサ28が配設される。この満杯検知センサ28は、リミットスイッチからなり、下部球受皿8が満杯となった時に、球払出口21の手前に滞留した遊技球を検知し、満杯検知信号を出力する。本実施例では、上下の球受皿7,8のうち、満杯検知センサ28が配設された下部球受皿8が、本発明に係る球受皿に相当する。
【0018】
かかるパチンコ遊技機1は、既存一般のパチンコ遊技機と同様の遊技内容を有している。すなわち、入賞装置17aに設けられた始動口に遊技球が入賞すると、特別図柄表示装置15が点滅して特別図柄が変動表示され、一定時間経過後に変動表示が停止する。そして、変動停止した時の特別図柄の停止態様が所定の大当り態様であった場合には、大入賞口を備える入賞装置17bが所定時間開閉作動する大当り遊技が実行されることとなる。
【0019】
そして、上記画像表示器14の表示画面19には、遊技の進行に合わせて図柄やキャラクターなどの演出画像が表示される。例えば、特別図柄が変動表示されている間は、表示画面19で演出図柄が変動表示され、時折リーチ演出画像や予告演出画像などが表示されることによって、遊技者の大当りへの期待感を盛り上げる。また、大当り遊技中には大当り用の演出画像が画像表示器14に表示され、大当り遊技を盛り上げる。また、演出画像の表示と並行して、演出用LED(図示省略)が発光・点滅する。さらに、これらと並行するように、スピーカ16から演出音声が逐次出力されることで、画像、光、音声などを組み合わせた盛大な演出が行われる。
【0020】
次に、本実施例のパチンコ遊技機の遊技作動を制御する制御回路を、図4を参照して説明する。
【0021】
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられる。この主制御基板60は、遊技の統括的な制御を実行するものである。この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設される。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、抽選乱数を参照して当落判定や図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。
【0022】
一方、記憶装置RAMには、各種球検知スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数カウンタ、計数カウンタ等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
【0023】
さらに、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続される。
【0024】
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62〜68に設置される各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御信号を三つの制御基板62,63,64へ出力し、これらの制御基板62,63,64の中央制御装置CPUがこの制御信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0025】
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御信号が、演出制御基板62、図柄制御基板63、及び払出制御基板64の各入力ポートに向け、一方向に出力されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートや出力ポートには、盤面中継基板61を介して、入賞装置17a〜17d等が接続される。そして、主制御基板60が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、17a〜17dに内蔵されたソレノイドを作動させる。
【0026】
上記の演出制御基板62には、パチンコ遊技機1で実行される演出全般を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出を制御処理する演出制御用中央制御装置CPUに、多岐にわたる演出態様に関する固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。演出制御基板62の出力ポートには、画像表示器14を制御する画像制御基板65、スピーカ16を制御する音源制御基板66、及びLEDランプによる演出を制御する光源制御基板67が接続されている。そして、演出制御基板62は、主制御基板60からの制御信号が入力ポートに入力されると、演出制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、該制御信号で指示された演出態様を実行するために、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御信号を送信する。また、演出制御基板62は、後述するように、払出制御基板64からも制御信号を受信し、かかる制御信号に基づいて、本発明に係る満杯エラー報知の実行を制御する。
【0027】
上記の画像制御基板65には、画像表示器14の表示態様を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、表示態様を制御処理する画像制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや画像データ等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、描画領域等のデータを読み書きする領域が設けられた記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。画像制御基板65は、演出制御基板62から演出画像等の表示に係る信号を受信すると、画像制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所要の画像データを記憶装置RAMに書き込んで一画面分の画像データを作成し、出力ポートを介して画像表示器14に出力し、画像表示器14の表示画面19に、出力した画像データに係る画像を表出させる。
【0028】
上記の音源制御基板66には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音声データ等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。音源制御基板66は、演出制御基板62から演出音声等の出力に係る信号を受信すると、所要の音声データを記憶装置RAMで展開・混合してスピーカ16に送出し、スピーカ16から出力させる。
【0029】
上記の光源制御基板67には、遊技機本体3に配設された多数の演出用ランプを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、演出用ランプの点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、演出ランプを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板67は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の演出制御基板62から入力ポートを介して入力された制御信号を演算処理し、出力ポートを介して、各種の演出用ランプを点灯、点滅させる。
【0030】
上記の図柄制御基板63には、特別図柄表示装置15を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、特別図柄表示装置15のLEDの点灯、点滅等を制御する図柄制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、LEDを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この図柄制御基板63は、図柄制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力された制御信号を演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、特別図柄表示装置15のLEDを発光作動するドライバを配した図柄作動基板に出力し、この図柄作動基板が、各装置のLEDを点灯、点滅させる。
【0031】
上記の払出制御基板64には、遊技球の払出しを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、払出装置27のソレノイドを作動して、賞球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球の球数パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、球数カウントデータや未払出球数等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板64は、主制御基板60から入力される払出要求信号を払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、出力ポートを介して払出装置27のソレノイドを作動して、所定個数の賞球の払出しを実行する。また、払出制御基板64には、下部球受皿8の奥に配設された満杯検知センサ28が接続されており、下部球受皿8の満杯時には、満杯検知センサ28から払出制御基板64へ満杯検知信号が送信される。
【0032】
払出制御基板64の出力ポートには、発射制御基板68が接続される。発射制御基板68には、発射装置を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、動作プログラム等が格納されている記憶装置ROMと、入出力信号等を一時的に記憶する記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。発射制御基板68の入力ポートには、発射ハンドル9に内蔵された回動角度検知センサから発射ハンドル9の現在角度に応じた電圧信号が入力される。発射制御基板68の出力ポートには発射装置が接続されており、発射制御基板68は、発射ハンドル9からの入力信号に応じた電圧強度で、発射装置に内蔵されたロータリーソレノイドを間欠的に駆動することで、発射ハンドル9の現在角度に応じた強さで遊技球を立て続けに打圧発射する。
【0033】
以上の制御回路にあって、本発明に係る払出制御手段は、主に、主制御基板60及び払出制御基板64によって実現される。また、本発明に係る満杯エラー報知手段は、主に、払出制御基板64、演出制御基板62、画像制御基板65及び音源制御基板66によって実現される。また、本発明に係る満杯エラー補償手段は、主に、演出制御基板62、画像制御基板65及び音源制御基板66によって実現される。
【0034】
以下に、本発明の要部に係る構成について説明する。
【0035】
本実施例では、遊技中に入賞が発生すると、通常は、入賞の種類に応じた数の遊技球が賞球として球受皿7,8に払い出される。払出装置27が送出する遊技球は、上述のように、上部球受皿7に優先的に払い出され、上部球受皿7が満杯となって遊技球が上部球受皿7に流入不能となると、下部球受皿8に払い出される。そして、下部球受皿8も満杯となると、遊技球の払出しが停止する。そして、下部球受皿8の満杯状態にあっては、遊技者に下部球受皿8からの遊技球排出を促す満杯エラー報知が実行される。満杯エラー報知は、画像表示器14での満杯エラー画像の表示と、スピーカ16からの満杯エラー音声出力によって構成される。
【0036】
満杯エラー画像31は、図5(b)に示すように、矩形の枠に「球受皿が満杯です!/球を排出して下さい!」というメッセージを表記してなるものである。すなわち、下部球受皿8が満杯でない時は、図5(a)に示すように、画像表示器14の表示画面19には演出画像30のみが表示され、下部球受皿8が満杯となると、この満杯エラー画像31が、演出画像30の上を覆うように表示される。
【0037】
一方、満杯エラー音声は、「球受皿が満杯です!球を排出して下さい!」というアナウンス音声であり、下部球受皿8が満杯である間は、演出音声と重なるようにして繰り返し出力される。
【0038】
具体的には、入賞装置17a〜17dの入賞口に遊技球が入賞すると、球検知信号が主制御基板60に送信され、主制御基板60は、かかる球検知信号を受信すると、入賞の種類に応じた個数の遊技球を賞球として払い出すよう払出制御基板64に払出要求信号を送信する。払出制御基板64は、払出要求信号を受信すると、通常は、遅滞なく払出装置27を作動させて、所要個数の遊技球を球受皿7,8へ送出する。
【0039】
一方、下部球受皿8の満杯時には、上述の満杯検知センサ28が作動して、満杯が解消されるまで払出制御基板64に満杯検知信号を送信し続ける。そして、払出制御基板64は、満杯検知信号の受信中は、払出要求信号を受信しても、払出装置27を作動させず、払出要求信号によって払出しを要求された遊技球数を「未払出球数」として記憶装置RAMに蓄積記憶する。また、払出制御基板64は、満杯検知信号を受信すると(図6中のt1)、演出制御基板62に向けて満杯エラー信号を送信する。
【0040】
そして、図6に示すように、下部球受皿8の満杯状態が解消されて、満杯検知センサ28が満杯検知信号の送信を停止すると(図6中、t4)、払出制御基板64は、演出制御基板62に向けて満杯エラー解除信号を送信するとともに、払出装置27を作動させて、未払出球数として蓄積記憶した個数の遊技球の払出しを開始する。
【0041】
演出制御基板62は、払出制御基板64から満杯エラー信号を受信していない状態では、主制御基板60から送信される信号のみにしたがって、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御信号を送信し、所要の遊技演出の実行を制御する。一方、演出制御基板62は、払出制御基板64から満杯エラー信号を受信すると、遊技演出の実行と並行して、満杯エラー解除信号を受信するまで、画像制御基板65及び音源制御基板66に満杯エラー報知信号を送信する。
【0042】
画像制御基板65は、演出制御基板62から満杯エラー報知信号を受信していない状態では、演出制御基板62から送信される信号にしたがって、図5(a)に示すように、画像表示器14の表示画面19に演出画像30を表示させる。一方、画像制御基板65は、演出制御基板62から満杯エラー報知信号を受信している状態では、図5(b)に示すように、満杯エラー画像31を演出画像30の上を覆うように表示させる。
【0043】
音源制御基板66は、演出制御基板62から満杯エラー報知信号を受信していない状態では、演出制御基板62から送信される信号にしたがってスピーカ16に演出音声を出力させる。一方、音源制御基板66は、演出制御基板62から満杯エラー報知信号を受信すると、満杯エラー報知信号を受信しなくなるまで、前記満杯エラー音声をスピーカ16から繰返し出力する。
【0044】
ここで、払出制御基板64は、満杯検知信号を受信してからの経過時間を計測するソフトタイマ(報知期間計測タイマ)を備え、図6に示すように、満杯検知信号を5分間継続して受信すると、演出制御基板62に満杯エラー信号を再度送信する(図6中のt2)。そして、演出制御基板62は、かかる満杯エラー信号を受信すると、画像制御基板65への満杯エラー報知信号の送信を一時停止して、画像制御基板65に、満杯エラー補償画像を画像表示器14に表示させるように制御信号を送信する。
【0045】
満杯エラー補償画像32は、図5(c)に示すように、QRコード(登録商標)と案内メッセージとからなるものであり、画像表示器14の表示画面19全体に表示される。満杯エラー補償画像32のQRコードには、ウェブサイトのアドレス情報が含まれており、遊技者は、表示されたQRコードを携帯電話等で読み取って、当該ウェブサイトにアクセスすることで、遊技者は貴重な特典画像をダウンロードすることが可能となる。
【0046】
演出制御基板62は、満杯エラー補償画像32を30秒間表示させると、画像制御基板65に満杯エラー補償画像32の表示を停止させ、再び、図5(b)に示すように、画像表示器14に満杯エラー画像31を表示させる(図6中のt3)。
【0047】
このように、本実施例にあっては、満杯検知開始から5分が経過すると、満杯エラー補償画像32が表示されるから、満杯エラー報知の長期化によって生じる遊技者の喪失感を和らげることができる。このため、遊技者が下部球受皿8からの遊技球排出に手間取って、満杯エラー報知が長期間実行された場合でも、遊技者は、興を大きく削がれることなく、遊技を続けることができる。
【実施例2】
【0048】
本実施例は、上記実施例1の構成を一部変更し、満杯検知センサ28の満杯検知中に、払出制御基板64が記憶する未払出球数が300個増加した時に、満杯エラー補償画像32を表示するようにしたものである。図7を参照して詳述すると、払出制御基板64は、満杯検知信号を受信すると(図7中のt1)、演出制御基板62に満杯エラー信号を送信するとともに、未払出球数の増加個数を計数開始する。そして、未払出球数の増加個数が300個に達すると、払出制御基板64は、演出制御基板62に満杯エラー信号を再度送信する(図7中のt2)。演出制御基板62は、かかる満杯エラー信号を受信すると、満杯エラー報知を中断し、画像表示器14に満杯エラー補償画像32を表示する(図7中のt2〜t3)。このように、本発明では、満杯エラー補償画像32の表示契機となる満杯状態の継続期間として、未払出球数の増加個数に基づく可変期間を設定することもできる。
【実施例3】
【0049】
本実施例は、上記実施例2の構成をさらに変更し、満杯検知センサ28の満杯検知中にあって、払出制御基板64が記憶する未払出球数が300個に達した時に、満杯エラー補償画像32を表示するものである。すなわち、図8に示すように、本実施例にあっては、払出制御基板64が満杯検知信号を受信した時に(図8中のt1)、未払出球数が0個でなくても、満杯検知信号受信中に未払出球数が300個に達すれば(図8中のt2)、払出制御基板64から演出制御基板62へ二度目の満杯エラー信号が送信され、満杯エラー補償画像32が画像表示器14に表示される(図8中のt2〜t3)。このように、本発明では、満杯エラー補償画像32の表示契機となる満杯状態の継続期間として、未払出球数の絶対個数に基づく可変期間を設定することもできる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、下部球受皿8が満杯状態である時に、満杯エラー画像を連続的に表示したり、満杯エラー音声を間断なく繰り返しているが、本発明に係る満杯エラー報知は、球受皿の満杯状態にあって間隔をおいて繰り返すものであってもよい。また、上記実施例では、満杯エラー報知が長期化した場合に、特典画像を入手可能なウェブサイトのアドレスをQRコードで表示し、遊技者が当該ウェブサイトにアクセスすることで、特典画像をダウンロードできるようにしているが、ウェブサイトを介して遊技者に付与する特典は、特典画像に限らず、特別な遊技情報などであってもかまわない。また、本発明に係る所定特典の付与は、光学コードやウェブサイトを介さずに、画像表示器14に特典画像を直接表示することによるものであってもよい。さらには、所定特典の付与は、入賞時に付与する規定賞球数を一定時間割増しすることによるものであってもよい。
【0051】
1 パチンコ遊技機
14 画像表示器
16 スピーカ
19 表示画面
20,21 球払出口
26 球流下樋
27 払出装置
28 満杯検知センサ
30 演出画像
31 満杯エラー画像
32 満杯エラー補償画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留する球受皿と、
該球受皿の満杯を検知する満杯検知センサと、
遊技球を前記球受皿に払い出す払出装置と、
入賞が発生すると所定個数の遊技球を払い出すように払出装置を制御し、かつ、満杯検知センサの満杯検知中は、払出装置を停止させ、入賞発生に基づいて払い出すべき遊技球数を、未払出球数として蓄積記憶する払出制御手段と、
該満杯検知センサの満杯検知中に、遊技者に前記球受皿の満杯解消を促す満杯エラー報知を実行する満杯エラー報知手段とを備えてなるパチンコ遊技機において、
満杯検知センサの満杯検知状態が所定期間継続した場合に、遊技者に所定特典を付与する満杯エラー補償手段を備えることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記所定期間は、満杯検知センサの満杯検知中に、未払出球数が所定個数増加するまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記所定期間は、満杯検知センサの満杯検知中に、未払出球数が所定個数に達するまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記所定特典の付与は、特定ウェブサイトのアドレス情報を含む光学コードを、画像表示器に表示することによるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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