説明

パック化粧料

【課題】 使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有するパック化粧料を提供すること。
【解決手段】 粘土鉱物(a)、陰イオン性界面活性剤(b)、油性成分(c)、水溶性高分子化合物(d)および炭素数2〜6の2価アルコール(e)を含むパック化粧料であって、該油性成分が常温で液状の油性成分であり、該化粧料中に、該粘土鉱物(a)が20〜50質量%、該陰イオン性界面活性剤(b)が0.5〜5質量%、該油性成分(c)が1〜10質量%、該水溶性高分子化合物(d)が0.2〜3質量%および該2価アルコール(e)が1〜10質量%の割合で含有される、パック化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパック化粧料に関し、さらに詳しくは、使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有するフェイス用、ボディ用などのパック化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料は、一般的にデイリースキンケアとは別にスペシャルケア製品として週に1〜2回程度使用され、フェイス、ボディなどの肌の状態を整えることを主目的とする製品である。
【0003】
パック化粧料は機能面から、「肌に潤いを与えて肌を整える(皮膚の保湿および賦活)」ことを目的とするタイプおよび「肌の汚れを除去しながら肌を整える(皮膚表面の汚垢除去、皮膚の保湿および賦活)」ことを目的とするタイプの2つに大別される。
【0004】
前者のパック化粧料は紙、フィルムなどに塗布されシート状に加工された肌に貼り付けて剥がすタイプ(貼付けタイプ)である。そして後者のパック化粧料は、使用者が自ら肌に適度な厚さで化粧料を塗布し、一定時間放置した後、肌から化粧料を除去するタイプである。パック化粧料はデイリースキンケアでは除去し難い汚れを除去し、さらに整肌効果も有するため、スキンケアにとって必要不可欠である。後者のタイプのパック化粧料には、具体的には、乾燥させて剥がし落とすタイプ(ピールオフタイプ)、擦り落とすタイプ(ピーリングタイプ)、拭き取るタイプ、洗い流すタイプ(ウォッシャブルタイプ)などのタイプがある。これらの中で、肌への負担などを考慮すると洗い流すタイプが最も有用な製品であり、肌を労わりながらケアすることが可能である。
【0005】
洗い流すタイプとして、最も広く使用されているパック化粧料には「泥パック」がある。「泥パック」は、泥(粘土)の吸着力を利用して肌の汚れを除去するとともに、ミネラルの付加などによる整肌効果を期待するパック化粧料である。例えば、特許文献1には、粘土鉱物、粉末および低級アルコールを含有する皮脂コントロール化粧料が開示され、特許文献2には、ベントナイトおよびシリコン油を含有する化粧料が開示され、特許文献3には、水膨潤性粘土鉱物および合成樹脂エマルジョンを含有するクレイ状パック化粧料が開示され、そして特許文献4には、水膨潤性粘土鉱物を有効成分とする皮膚保護剤が開示されている。
【0006】
しかし、これらの化粧料は、使用時に化粧料ののびが悪い場合があり、皮脂を過剰に除去してしまうことによってつっぱり感および刺激を与えたり、乾燥肌を誘発させたりすることがある。また、粘土鉱物などは皮膚への付着性および残存性が強く、洗い流し性が悪くなるという問題がある。さらに、たれを生じるおそれおよび分離するなどの保存安定性が不良となるおそれがある。
【0007】
特許文献5には、特定の増粘剤および粘土鉱物を含有するパック化粧料が開示されている。このパック化粧料は、使用時ののびおよびたれの問題は解消されているが、つっぱり感、使用後の肌の潤い、および洗い流し性については十分ではない。さらに肌をひきしめる効果および肌のすべすべ感も十分とはいえない。
【0008】
特許文献6には、海藻をアルカリで溶解したペーストおよび粘土鉱物を含有する皮膚外用剤が開示されている。この皮膚外用剤はつっぱり感、刺激性および洗い流し性が改善されているが、その効果は十分とはいえない。さらに、肌をひきしめる効果、肌のすべすべ感、および肌の潤いも十分とはいえず、保存安定性も不良となる場合がある。
【0009】
したがって、粘土鉱物の有する十分な効果(肌をひきしめる効果など)を発揮させることができないのが現状である。
【特許文献1】特開昭61−65807号公報
【特許文献2】特開平3−83909号公報
【特許文献3】特開平3−190810号公報
【特許文献4】特開平9−315926号公報
【特許文献5】特開平11−322538号公報
【特許文献6】特開2003−342160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有するパック化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために研究を重ねたところ、粘土鉱物、陰イオン界面活性剤、油性成分、水溶性高分子化合物および2価アルコールを特定の比率で組み合わせることにより、目的とするパック化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明のパック化粧料は、粘土鉱物(a)、陰イオン性界面活性剤(b)、油性成分(c)、水溶性高分子化合物(d)および炭素数2〜6の2価アルコール(e)を含むパック化粧料であって、該油性成分が常温で液状の油性成分であり、該化粧料中に、該粘土鉱物(a)が20〜50質量%、該陰イオン性界面活性剤(b)が0.5〜5質量%、該油性成分(c)が1〜10質量%、該水溶性高分子化合物(d)が0.2〜3質量%および該2価アルコール(e)が1〜10質量%の割合で含有される。
【0013】
好ましい実施態様においては、上記粘土鉱物(a)は水膨潤性粘土鉱物(a1)と非水膨潤性粘土鉱物(a2)との混合物であり、該水膨潤性粘土鉱物(a1)と該非水膨潤性粘土鉱物(a2)との質量比(a1/a2)が1/4〜1/30である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパック化粧料は、使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のパック化粧料は、下記の粘土鉱物(a)(以下、化合物a、a成分などという場合がある)、陰イオン界面活性剤(b)(以下、化合物b、b成分などという場合がある)、油性成分(c)(以下、化合物c、c成分などという場合がある)、水溶性高分子化合物(d)(以下、化合物d、d成分などという場合がある)、および炭素数2〜6の2価アルコール(e)(以下、化合物e、e成分などという場合がある)を含み、必要に応じて、添加剤および水などの溶媒を含む。以下、これらについて順次説明する。
【0016】
(粘土鉱物(a))
本発明のパック化粧料に用いられる粘土鉱物(a)は、ケイ酸塩鉱物、タルクおよびマイカであり、これらの中で少なくとも1種以上が用いられる。ケイ酸塩鉱物としては、例えば、フィロケイ酸塩鉱物(カオリン族、モンモリロナイト族、粘土雲母族、緑泥石族、蛇紋石族など)、テクトケイ酸塩鉱物(ゼオライト族など)などが挙げられる。粘土鉱物の具体的な例としては、パイロフィライト、タルク、緑泥石、クリソタイル、アンチゴライト、リザダイト、カオリナイト、デッカイト、ナクライト、ハロサイト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ペントナイト、ソーダ沸石族(ソーダ沸石、中沸石、スコレス沸石、トムソン沸石など)、輝沸石族(輝沸石、束沸石、剥沸石など)、ゼオライト(方沸石、重十字沸石、灰十字沸石、菱沸石、グメリン沸石など)、ライトなどが挙げられる。
【0017】
粘土鉱物は、その性質によって水膨潤性粘土鉱物(a1)(以下、化合物a1、a1成分などという場合がある)および非水膨潤性粘土鉱物(a2)(以下、化合物a2、a2成分などという場合がある)に分けられる。
【0018】
水膨潤性粘土鉱物は、ケイ酸マグネシウム・アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム・ナトリウムを主成分とする粘土鉱物である。一般的に、水膨潤性粘土鉱物としては、スメクタイト族鉱物が好ましく、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイトなどが挙げられる。
【0019】
上記の粘土鉱物は、天然品および合成品のいずれでもよい。
【0020】
本発明のパック化粧料では、整肌効果および使用後の洗い流し性をより向上させるために、水膨潤性粘土鉱物(a1)および非水膨潤性粘土鉱物(a2)を併用することが好ましい。併用する場合、水膨潤性粘土鉱物と非水膨潤性粘土鉱物との質量比(a1/a2)は、1/4〜1/30の範囲で用いることが好ましく、さらに好ましくは1/5〜1/25である。質量比が1/30より小さい場合、整肌効果および肌をすべすべにする効果が弱くなる。質量比が1/4より大きい場合、肌のひきしめ効果が弱くなるとともに使用後の洗い流し性に劣る傾向がある。
【0021】
(陰イオン界面活性剤(b))
本発明のパック化粧料に用いられる陰イオン界面活性剤(b)は、分子内に親油基および親水基を有し、親水基がカルボキシル基、硫酸基、リン酸基などの陰イオン性基である界面活性剤である。陰イオン界面活性剤の例としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩である石ケン、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アミドエーテル硫酸エステル塩、アシルアルキルタウリン塩、アシルザルコシン塩、アシルイセチオン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。これらの中で、使用後の洗い流し性および保存安定性をより向上させるために、硫酸基を有する陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0022】
硫酸基を有する陰イオン界面活性剤には、一般に硫酸エステル塩(サルフェート)とスルホン酸塩(スルホネート)と称される化合物がある。硫酸エステル塩の例としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アミドエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。一方、スルホン酸塩の例としては、アシルイセチオン酸塩、アシルアルキルタウリン酸塩などが挙げられる。特に陰イオン界面活性剤は限定されないが、硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の中でも、スルホン酸塩型の陰イオン界面活性剤がさらに好ましい。
【0023】
本発明のパック化粧料に用いられる油性成分(c)は、常温で液状の油性成分である。例えば、自然界から得られる動植物油脂および炭化水素油、常温で液状である合成油などが挙げられる。油性成分の例としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、オリーブ油、米胚芽油、大豆油、ゴマ油、菜種油、ひまわり油、タラ肝油、エステル油(パルミチン酸オクチル、トリカプリン酸グリセリルなど)などが挙げられる。これらの中で、使用時ののびおよび使用後の感触の点から流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワランおよびエステル油が好ましい。
【0024】
本発明のパック化粧料に用いられる水溶性高分子化合物(d)は、植物、微生物、動物などに由来する天然高分子化合物(多糖類、タンパク質など)、半合成高分子化合物(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系など)および合成高分子化合物(アクリル系、ビニル系など)に分類される。さらに、電気的性質により陰イオン性、陽イオン性、両性および非イオン性に分けられる。これらの水溶性高分子化合物は、レオロジー的性質の改善(増粘作用など)、界面活性作用、皮膜形成作用、保湿作用、包接作用など多岐にわたる機能を有している。天然高分子化合物としては、例えば、アラビアガム、カラーギナン、クインスシードガム、グアガム、ローストビーンガム、ペクチン、トラガント、デンプン、キサンタンガム、デキストリン、フルクタン、プルラン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどの多糖類、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質などが挙げられる。セルロース系の半合成高分子化合物としては、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロースなどが挙げられる。アルギン酸系の半合成高分子化合物としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールなどが挙げられる。アクリル系の合成高分子化合物としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、アクリルアミド/アクリル酸共重合体などが挙げられる。ビニル系の合成高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。その他ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、カチオン化グアガム、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが挙げられる。さらに、これらの高分子化合物の誘導体、あるいはこれらの高分子化合物と適切なモノマーとの共重合体で、水溶性のものなどが挙げられる。
【0025】
これらの化合物の中で、肌へののび、整肌効果、使用後の感触などを考慮すると、多糖類、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンあるいはこのポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと他のモノマーとの共重合体が好ましい。これらの中でも、クインスシードガム、グアガム、キサンタンガム、アラビアガム、カラーギナン、ローストビーンガムなどの天然ガム多糖類がさらに好ましい。
【0026】
本発明のパック化粧料に用いられる炭素数2〜6の2価アルコール(e)は、分子内に2個の水酸基を有する炭素数が2〜6の水溶性のアルコールである。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの中で、使用時ののび、洗い流し性および使用後の感触の点から、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0027】
(添加剤)
本発明のパック化粧料に含まれ得る添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内でパック化粧料に含有させることができる。添加剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトールなどの多価アルコール類;乳糖、果糖、ショ糖、マルトース、トレハロース、イソマルトオリゴ糖などの糖類;ワセリン、固形パラフィンなどの炭化水素系油;牛脂、豚脂などの天然油脂類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸類;ミツロウ、カルナバロウなどのロウ類;高重合ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン誘導体;セラミド、コレステロール、タンパク誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチンなどの油性基剤;アミドアミノ酸塩、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、アルカノールアミドなどの非イオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシドなどの半極性界面活性剤;ピロリドンカルボン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩などの有機または無機塩類;pH調製剤としての酸およびアルカリ;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤;血行促進剤;紫外線吸収剤;紫外線散乱剤;動植物由来の天然エキス;アスコルビン酸およびその誘導体;アントシアニンなどのフラボノイド類およびその誘導体;ビタミン類;アミノ酸類;感光素;色素;顔料;香料などが挙げられる。
【0028】
(パック化粧料)
本発明のパック化粧料は、上述のように粘土鉱物(a成分)、陰イオン界面活性剤(b成分)、油性成分(c成分)、水溶性高分子化合物(d成分)、および炭素数2〜6の2価アルコール(e成分)を特定の割合で含み、必要に応じて、添加剤および溶媒(例えば水)などを含む。
【0029】
a成分は、パック化粧料に20〜50質量%、好ましくは25〜45質量%、さらに好ましくは30〜45質量%の割合で含まれる。20質量%未満の場合は、肌をひきしめる効果および整肌効果が弱く、そして肌のすべすべ感が得られない。50質量%を超える場合は、使用時ののびが悪くなる。a成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。さらに、上記のように水膨潤性粘土鉱物(a1)と非水膨潤性粘土鉱物(a2)とを特定の割合で含むことがより好ましい。
【0030】
b成分は、パック化粧料に0.5〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、さらに好ましくは1〜3質量%の割合で含まれる。0.5質量%未満の場合は、洗い流し性および保存安定性が悪くなる。5質量%を超える場合は、整肌効果が弱くなり、かつ肌のみずみずしさが得られなくなる。b成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
c成分は、パック化粧料に1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは2〜6質量%の割合で含まれる。1質量%未満の場合は、整肌効果が弱くなり、かつ肌のみずみずしさが得られなくなる。10質量%を超える場合は、べたつくことによって洗い流し性が悪くなり、そして保存安定性も悪くなる場合がある。c成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0032】
d成分は、パック化粧料に0.2〜3質量%、好ましくは0.5〜2質量%、さらに好ましくは0.7〜2質量%の割合で含まれる。0.2質量%未満の場合は、使用時ののびおよび保存安定性が悪くなり、さらに肌のみずみずしさが得られなくなる。3質量%を超える場合は、肌のすべすべ感、みずみずしさなど使用後に良好な感触が得られず、さらに化粧料を調製する際、配合が困難になることがある。d成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0033】
e成分は、パック化粧料に1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜8質量%の割合で含まれる。1質量%未満の場合は、肌のすべすべ感およびみずみずしさが得られず、かつ洗い流し性が悪くなる。10質量%を超える場合は、保存安定性が悪くなる。e成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【実施例】
【0034】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
表1に示すように、a成分としてベントナイトを2質量%およびカオリン40質量%、b成分としてラウリル硫酸ナトリウムを2質量%、c成分としてスクワランを3質量%、d成分としてキサンタンガムを1質量%、e成分としてジプロピレングリコールを5質量%および精製水を47質量%の割合で配合し、パック化粧料を調製した。
【0036】
【表1】

【0037】
調製したパック化粧料について、(1)使用時ののび、(2)肌のひきしめ感、(3)洗い流し性、(4)整肌効果、(5)肌のすべすべ感、(6)肌のみずみずしさ、および(7)保存安定性について、下記の方法によって評価した。
【0038】
(1)使用時ののび
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に塗布してもらった。塗布したときののびについて、下記の基準で判定してもらった。
2点:使用時ののびが軽くスムーズに肌にのびると感じた場合。
1点:使用時ののびがやや悪いと感じた場合。
0点:使用時ののびが非常に悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(使用時ののびが良好なパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(使用時ののびが悪いパック化粧料)。
【0039】
(2)肌のひきしめ感
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に塗布してもらった。塗布後5分間放置したときの肌の感触について、下記の基準で判定してもらった。
2点:十分強いひきしめ感を感じた場合。
1点:ややひきしめ感が弱いと感じた場合。
0点:ほとんどひきしめ感がないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(肌をひきしめる効果に優れたパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(肌をひきしめる効果が悪いパック化粧料)。
【0040】
(3)洗い流し性
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に塗布してもらった。次いで、塗布したパック化粧料を洗い流したときの感触について、下記の基準で判定してもらった。
2点:スムーズに洗い流せたと感じた場合。
1点:やや洗い流し性が悪いと感じた場合。
0点:洗い流し難く、洗い流し性が悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(洗い流し性が良好なパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(洗い流し性が悪いパック化粧料)。
【0041】
(4)整肌効果
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に使用してもらった。使用後の肌の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:肌のキメが整い、透明感のある肌になったと感じた場合。
1点:肌のキメがやや粗く、透明感もやや少ないと感じた場合。
0点:肌のキメが粗く、整肌効果が弱いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(整肌効果に優れたパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(整肌効果が悪いパック化粧料)。
【0042】
(5)肌のすべすべ感
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に使用してもらった。使用後の肌の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:肌が十分すべすべになったと感じた場合。
1点:肌がややすべすべになったと感じた場合。
0点:肌にすべすべ感がないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(肌をすべすべにするパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(肌をすべすべにしないパック化粧料)。
【0043】
(6)肌のみずみずしさ
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとし、得られたパック化粧料(約10g)を顔に使用してもらった。使用後の肌の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:肌に潤い感があり、みずみずしいと感じた場合。
1点:肌にやや潤い感があり、ややみずみずしいと感じた場合。
0点:肌にみずみずしさがないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(肌にみずみずしさを与えるパック化粧料)。
×:合計点が30点未満(肌にみずみずしさを与えないパック化粧料)。
【0044】
(7)保存安定性
得られたパック化粧料を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存した。3ヶ月後のそれぞれの外観を観察し、下記に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がなかった場合)。
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干おりおよび沈殿が生じていた。または若干着色が見られた)。
×:安定性不良(いずれかの温度において、おりおよび沈殿が生じ、または分離していた。もしくは、著しい着色が見られた)。
【0045】
結果を表2に示す。
【0046】
(実施例2〜7)
表1に示す各成分を表1に示す割合で配合し、パック化粧料を調製した。調製したパック化粧料について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(7)の評価を行った。結果を表2に示す。
【0047】
(比較例1〜7)
表3に示す各成分を表3に示す割合で配合し、パック化粧料を調製した。調製したパック化粧料について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(7)の評価を行った。結果を表4に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
本発明のパック化粧料は、使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有していた。
【0052】
一方、比較例1〜7では、十分な性能が得られなかった。比較例1では、a成分の含有量が本発明の範囲より多いため、使用時ののびが悪かった。比較例2では、b成分が含まれていないため、洗い流し性および保存安定性が悪かった。比較例3では、b成分の含有量が本発明の範囲より多いため、整肌効果が弱くなり、かつ肌のみずみずしさが得られなかった。比較例4では、c成分が含まれていないため、整肌効果が弱くなり、かつ肌のみずみずしさが得られなかった。比較例5では、d成分が含まれていないため、使用時ののびが悪く、さらに肌のみずみずしさが得られなかった。比較例6では、e成分が含まれていないため、肌のすべすべ感およびみずみずしさが得られず、かつ洗い流し性が悪かった。比較例7では、e成分の含有量が本発明の範囲より多いため、保存安定性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のパック化粧料は、使用時ののび、肌をひきしめる効果、使用後の洗い流し性、および整肌効果に優れ、かつ使用後に肌をすべすべにして肌にみずみずしさを与え、さらに優れた保存安定性を有するので、フェイス用、ボディ用などのパック化粧料として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土鉱物(a)、陰イオン性界面活性剤(b)、油性成分(c)、水溶性高分子化合物(d)および炭素数2〜6の2価アルコール(e)を含むパック化粧料であって、
該油性成分が常温で液状の油性成分であり、
該化粧料中に、該粘土鉱物(a)が20〜50質量%、該陰イオン性界面活性剤(b)が0.5〜5質量%、該油性成分(c)が1〜10質量%、該水溶性高分子化合物(d)が0.2〜3質量%および該2価アルコール(e)が1〜10質量%の割合で含有される、パック化粧料。
【請求項2】
前記粘土鉱物が、水膨潤性粘土鉱物(a1)と非水膨潤性粘土鉱物(a2)との混合物であり、
該水膨潤性粘土鉱物(a1)と該非水膨潤性粘土鉱物(a2)との質量比(a1/a2)が1/4〜1/30である、請求項1に記載のパック化粧料。

【公開番号】特開2006−206448(P2006−206448A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16703(P2005−16703)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】