説明

パッケージ型の回転ポンプユニット

【課題】より効果的な防音効果を得ることが可能なパッケージ型の回転ポンプユニットを提供すること。
【解決手段】回転ポンプ10と、電動モータ11と、それらを収納するパッケージ20と、冷却ファン14とを構成要素とするパッケージ型の回転ポンプユニットであって、回転ポンプ10が電動モータ11とカップリング13を介して水平方向へ直列に連結されることで、連結方向である水平方向に長い組み立て形態に設けられ、パッケージ20が、回転ポンプ10と電動モータ11とをそれらの連結方向が前後方向となるように収納するため、左右方向に比較して前後方向の奥行きが長く設けられ、電動モータ11が、回転ポンプ10よりもパッケージ20の前部側に配されて収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ポンプと、該回転ポンプを駆動する駆動装置と、それらを収納するパッケージと、該パッケージの上部に配されてパッケージ内部の空気を下方から吸引して外部へ排出することで該パッケージ内部を冷却する冷却ファンとを構成要素とするパッケージ型の回転ポンプユニットの防音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従前、本出願人によれば、真空ポンプやブロア等の負圧や正圧の空気圧を生じさせる空気圧装置と、空気圧装置を複数収納できると共に閉鎖空間に収納することで防音する収納ボックスと、空気圧装置によって加熱された収納ボックス内を冷却すべく、収納ボックス内で実質的に下方から上方への一方向へ流れる冷却用空気流を発生させる送風装置とを具備する空気圧装置ステーション及び空気圧装置の収納ボックス(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
これによれば、複数の空気圧装置を、集中的に収納して防音すると共に、好適に冷却して集中的に管理できる。
この空気圧装置ステーションでは、多くの空気圧装置を収納する場合の防音構造を主体に提案がなされているが、よりコンパクトな形態のパッケージ型の回転ポンプユニットに関するより効果的な防音構造ついての提案はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−127114号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッケージ型の回転ポンプユニットに関して解決しようとする問題点は、従前、空気圧装置ステーションよりコンパクトな形態のパッケージ型の回転ポンプユニットにおけるより効果的な防音構造ついての提案はなされていないことにある。
【0006】
そこで本発明の目的は、より効果的な防音効果を得ることが可能なパッケージ型の回転ポンプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの一形態によれば、回転ポンプと、該回転ポンプを駆動する電動モータと、それらを収納するパッケージと、該パッケージの上部に配されてパッケージ内部の空気を下方から吸引して外部へ排出することで該パッケージ内部を冷却する冷却ファンとを構成要素とするパッケージ型の回転ポンプユニットであって、
前記回転ポンプが前記電動モータとカップリングを介して水平方向へ直列に連結されることで、連結方向である水平方向に長い組み立て形態に設けられ、前記パッケージが、前記回転ポンプと前記電動モータとをそれらの連結方向が前後方向となるように収納するため、左右方向に比較して前後方向の奥行きが長く設けられ、前記電動モータが、前記回転ポンプよりも前記パッケージの前部側に配されて収納されている。
【0008】
また、本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの一形態によれば、前記電動モータが連結された前記回転ポンプを縦方向へ一台ずつ重ねた状態で複数収納できるように、複数段の載置棚部が設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの一形態によれば、配電盤が、前記パッケージの二重構造に設けられた前壁部の内部に固定されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの一形態によれば、前記冷却ファンが、前記電動モータよりも前記パッケージの後部側に配されていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの一形態によれば、前記パッケージの左右の側壁部が、二重構造に設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットによれば、より効果的な防音効果を得ることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの形態例を示す正面側から見た断面図である。
【図2】図1の形態例の側面側から見た断面図である。
【図3】図1の形態例にかかるパッケージの一方の側壁部を取り去った状態の斜視図である。
【図4】図1の形態例の内部を説明するために透視した斜視図である。
【図5】図1の形態例にかかる電動モータが装着された回転ポンプの詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットの形態例を、添付図面(図1〜5)に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るパッケージ型の回転ポンプユニットは、回転ポンプ10と、その回転ポンプ10を駆動する駆動装置(例えば、電動モータ11)と、それらを収納するパッケージ20と、そのパッケージ20の上部に配されてパッケージ内部の空気を下方から吸引して外部へ排出することでそのパッケージ内部の温度上昇を抑えるように冷却する冷却ファン14とを構成要素とするものである。冷却ファン14は、回転ポンプ10の上方に位置しており、回転ポンプ10及び電動モータ11の表面から熱を奪って温められた状態の冷却用空気を換気できる。
【0015】
回転ポンプ10としては、電動モータ11によって駆動される真空ポンプやブロアなどの空気圧装置を挙げることができる。また、真空ポンプとしては、例えば、ベーンポンプ、ロータ非接触型のポンプであるクローポンプやスクリューポンプなどが挙げられる。
【0016】
15はポンプ同軸ファンであり、図2に示すように、回転ポンプ10の回転軸に同軸に装着されてその回転ポンプ10を冷却するように配された遠心ファン式の羽根車15a及びその羽根車15aを覆って側方へ排気を案内する送風用ケーシング15b(図5など参照)を構成要素として備える。
本形態例では、回転ポンプ10が、駆動装置である電動モータ11とカップリング13(図5参照)、を介して直列に連結されて設けられ、そのカップリング13にポンプ同軸ファン15の羽根車15aが装着されている。
【0017】
このポンプ同軸ファン15の吸気作用によって、回転ポンプ10の表面を冷却するように軸方向へ吸い込まれる風が発生される。また、このポンプ同軸ファン15の排気は、遠心ファンの作用で側方(軸方向とは直交する方向)へ排出される(図1のハッチングが入った矢印、及び図5の矢印参照)。
このポンプ同軸ファン15によれば、電動モータ11による回転ポンプ10の回転駆動に伴って、その回転ポンプ10を冷却することができる空冷機構を、合理的に構成することができる。
【0018】
また、本形態例では、回転ポンプ10が電動モータ11とカップリング13を介して水平方向へ直列に連結されることで、連結方向である水平方向に長い組み立て形態に設けられている。そして、パッケージ20が、回転ポンプ10と電動モータ11とをそれらの連結方向が前後方向となるように収納するため、左右方向に比較して前後方向の奥行きが長く設けられ、電動モータ11が、回転ポンプ10よりもパッケージ20の前部側に配されて収納されている。
【0019】
これによれば、電動モータ11に比較してより大きな騒音の発生源である回転ポンプ10を奥側へ配置できる。従って、作業者と、より大きな騒音の発生源(回転ポンプ10)との距離を大きくすることができる。このように、より大きな騒音の発生源をより遠くに配することで、作業者への騒音の影響を低減できる。
【0020】
さらに本形態例では、回転ポンプ10の本体部と、その回転ポンプ10の本体部から吐出される空気音を消音するサイレンサ部12とが直列に連結されて設けられ、電動モータ11、回転ポンプ10の本体部、サイレンサ部12の順に直列に配されている。ここで、本形態例の回転ポンプ10の本体部とは、内部でロータが回転するシリンダ部及びオイルバスを含むギアボックス部を構成要素として備えるものである。また、本形態例の回転ポンプ10は、その本体部にサイレンサ部12などの構成要素を加えたものである。
【0021】
このように各構成を配することで、発熱源や騒音源としての各構成を直列に配することになり、発熱や騒音を分散することができる。従って、冷却や防音を行い易い形態となって、冷却効果や防音効果を向上できる。
また、防音効果としては、大きな騒音の発生源の一つであるサイレンサ部12を最も奥側へ配置できるため、作業者への騒音の影響を低減できる。
【0022】
次にパッケージ20の形態例について説明する。
21はベース部であり、パッケージ20の下部で冷却用空気の吸気口21aを備える。
本形態例では、ベース部21の外寸が、その上側のボディ部よりも一回り小さく設けられており、このベース部21は絞られた段部になっている。その、ベース部21の最下部には前記ボディ部と同等外寸の枠部21bが設けられている。そして、ベース部21の側壁部であるベース側面に吸気口21aが設けられている。また、その吸気口21aには吸気フィルタ21cが装着されている。
【0023】
これによれば、図に示すような矩形で箱形のパッケージ20を、建屋の壁に接するように配置しても吸気口21aが塞がれることがなく、ベース側面の吸気口21aから、外気である冷却用空気(図1及び2の白抜きの矢印参照)を確実に吸い込むことができる。また、吸気フィルタ21cによって、冷却用空気中の塵埃がろ過されるため、パッケージ20内が汚染されることを極力防止できる。
【0024】
22は載置棚部であり、ベース部21の上側に設けられて回転ポンプ10及び電動モータ11が載置されると共に冷却用空気(図1及び2の白抜きの矢印参照)をパッケージ20の収納空間20a、20bへ通気できるように開口部22aを備える。
また、本形態例では、複数の回転ポンプ10を縦方向(鉛直方向)へ重ねた状態に収納できるように、載置棚部22が複数段設けられている。本形態例では、二段に設けられている。それぞれの載置棚部22には、開口部22aが設けられている。
【0025】
これによれば、冷却用空気が、開口部22aを通って下から上へ通り抜けることができる。この下から上への空気流は、回転ポンプ10によって暖められた空気の上昇気流と同方向であり、通気抵抗を低く抑えることができ、冷却効果を向上できる。
【0026】
さらに、本形態のパッケージ20では、電動モータ11が連結された回転ポンプ10を縦方向(鉛直方向)へ一台ずつ重ねた状態で複数収納できるように、複数段の載置棚部22が設けられている。これによれば、各段に回転ポンプ10が一台ずつ収納された形態であり、パッケージ20の奥行きが、左右方向(横方向)よりも長い形態になっている。より大きな騒音の発生源を奥側へ配置でき、防音効果を向上できる。
【0027】
開口部22aの位置は、回転ポンプ10の最も冷却したい部分である本体部(ロータが内蔵されているシリンダ状のケーシング及びギアボックスのケーシングの部分)の外面を冷却用空気が冷風となって効果的に通過できるように、前記本体部と縦方向へ直列に並ぶように設けられている。これによれば、最も冷却が必要な回転ポンプ10の本体部について、冷却用空気が低い通気抵抗で十分に流れ易く、効率よく冷却できる。
【0028】
また、本形態例において、下段の載置棚部22には、電動モータ11の下側になる部分にも開口部22aがあるが、上段の載置棚部22には電動モータ11の下側になる部分には開口部22aがない。この構成によれば、より低温でより多くの冷却用空気を、上段の回転ポンプ10へ送ることができ、その上段の回転ポンプ10を効果的に冷却できる。
【0029】
30は一方の側壁部の通気路であり、ポンプ同軸ファン15の排気が冷却ファン14によって収納空間20a、20bの少なくとも一部を迂回して吸引されるように、パッケージ20の一方の側壁部23が、二重構造に設けられて形成されていると共に、ポンプ同軸ファン15の排気が導入される連通口30aが形成されている。従って、この一方の側壁部の通気路30は、排気ダクトとして利用されている。
【0030】
本形態例の一方の側壁部の通気路30は、一方の側壁部23の内壁23aの上部に設けられた上部連通口30bを介して上側の収納空間20bの上部へ開口している。従って、連通口30aから導入された排気が、通気路30の内部及び上部連通口30bを通って上側の収納空間20bの上部へ流れて冷却ファン14に吸引されて外部(本形態例では上方)へ放出される。また、本形態例では回転ポンプ10が二段に収納されているため、それに対応して連通口30aが上下二ヶ所に設けられている。これによれば、その上下のポンプ同軸ファン15、15による排気は、下段の回転ポンプ10及びその収納空間20aを通らないだけでなく、上段の回転ポンプ10及びその収納空間20bのほとんどを迂回して排出されることになる。
【0031】
これによれば、外部から吸入された冷却用空気の流れと回転ポンプ10の外表面からの発熱を受けた空気の流れとをなるべく分けて、収納空間20a、20bを通るメインルートと、一方の側壁部の通気路30を通る迂回ルートとを通過させて、冷却ファン14によって吸引して排気できる。このため、より効率的な冷却を行うことができる。すなわち、メインルートの冷却用空気は、なるべく他の暖気と混合されることなく、回転ポンプ10を冷却するように送風されるため、冷却効果を向上できる。
【0032】
この際、冷却ファン14の風量の方が、ポンプ同軸ファン15や、電動モータ付属ファンの風量よりも大きくなるように設定されている。これによれば、冷却のための空気流をスムースに流すことができ、冷却効果を高めることができる。
【0033】
また、各回転ポンプ10を冷却するための冷却用空気の風量については、以上に説明したメインルートと迂回ルートの配分を適宜設定しておけばよい。通常は、メインルートの風量が迂回ルートよりも大きく設定されている。また、本形態例の二つの回転ポンプ10は、それぞれの回転数をインバータ制御によって制御できるようになっている。このため、その回転数の制御に応じてその風量の配分を調整可能にしておいてもよい。
【0034】
さらに、本形態例では、各回転ポンプ10の上方に設けられる冷却ファンの配置位置が、回転ポンプユニットの最大発熱部である回転ポンプ10の本体部の直上となるように設定されている。これに対して、ポンプ同軸ファン15や電動モータ付属ファンは、ポンプ最大発熱部(回転ポンプ10の本体部)の冷却ラインから外れた位置に配置されている。メインルートの冷却ラインの流れを妨げずに、ポンプ同軸ファン15や電動モータ付属ファンよる新たな冷風の流れを発生することができ、冷却効率を向上できる。
【0035】
31は他方の側壁部の通気路であり、冷却用空気(矢印)が冷却ファン14によって複数の載置棚部22による収納空間20a、20bうち下側の収納空間20aの少なくとも一部を迂回して吸引されるように、パッケージ20の他方の側壁部24が二重構造に設けられて形成されていると共に、ベース部21からの冷却用空気(矢印)が導入されるようにそのベース部21から連通する下側連通口31a及び上側の収納空間20bへ連通する上側連通口31bが形成されている。本形態例の上側連通口31bは、他方の側壁部24の内壁24aに開口して設けられている。従って、この他方の側壁部の通気路31は、上段の回転ポンプ10にかかる冷却用空気の吸気ダクトになっている。
【0036】
これによれば、上段の回転ポンプ10にフレッシュな冷却用空気を送るための分流ルートが形成されている。このような分流リートが設けられることで、冷却用空気を効率よく上段の回転ポンプ10へ導くことができる。つまり、上段の回転ポンプ10が下段の回転ポンプ10の発熱の影響を極力受けないで、冷却用空気を直接的に上段の回転ポンプ10へ当てることができる構造になっており、冷却効率を向上できる。
このように冷却効率を向上できることから、冷却ファン14の小型化や、パッケージ20のコンパクト化が可能になる。なお、冷却用空気の流速を適正化して冷却効率を高めるため、収納空間20a、20bは、適度な広さのスペース空間とすればよい。
【0037】
また、本形態例の回転ポンプ10が真空ポンプであって、その真空ポンプの排気(図1のハッチングを入れた矢印参照)が一方の側壁部の通気路30へ排気されるように、その真空ポンプに排気を通気路30へ案内する排気管路12aが設けられ、一方の側壁部23に真空ポンプの排気が導入される排気管路用連通口30cが設けられている。従って、高温となる真空ポンプの排気が、ポンプ同軸ファン15の排気と合流して、通気路30を通って、冷却ファン14によって排出される。
【0038】
これによれば、冷却用空気を、真空ポンプの排気と混合させることなく、回転ポンプ10(本形態例では真空ポンプ)を冷却するように送風できるため、冷却効果を向上できる。
なお、10aは真空ポンプの吸気口であり、10bは真空ポンプの吸気フィルタユニットであり、10cは真空ポンプの吸気配管である。真空ポンプの吸気配管10cは、真空ポンプのロータが内蔵されたシリンダ状のケーシングに接続されている。
【0039】
配電盤40が、二重構造に設けられた壁部の一部(前面の壁部25)の内部32に固定されており、該壁部の一部(前面の壁部25)の内壁25aには、その内部32へベース部21からの冷却用空気が導入されるようにそのベース部21から連通するための下側連通口32a、及び上側の収納空間20bを介して冷却ファン14へ通気するための上側連通口32bが形成されている。
【0040】
これによれば、配電盤40にフレッシュな冷却用空気を送るための分流ルートが形成されており、配電盤40が配された前面の壁部25の内部32に、冷却ファン14によって冷却用空気を導入し、排出することで換気ができる。従って、配電盤40を好適に冷却することができる。また、この構造によれば、配電盤40を、パッケージ20内に好適に収納することができる。なお、41は操作盤である(図3及び4参照)。
【0041】
さらに、配電盤40が、パッケージ20の二重構造に設けられた前面の壁部25の内部に固定されていることで、前面側への防音効果を高めることができる。作業者は、通常、パッケージ20の前面側で作業すると考えられ、作業環境を適切に改善できる。
なお、本形態例では、二つの回転ポンプ10、10がインバータ制御される構成になっており、配電盤40はインバータ等の電装部になっている。
【0042】
また、本形態例では、騒音の発生源である冷却ファン14が、パッケージ20の後部側に配されており、その冷却ファン14の排気口14aもパッケージ20の後部側に設けられている。電動モータ11との関係でいうと、冷却ファン14は電動モータ11よりも奥側に位置することになる。また、配電盤40との関係でいうと、電動モータ11は配電盤40に近い側に配置されることになる。このような配置関係によっても、より大きな騒音源となる構成が、パッケージ20の後部側に設けられ、作業者から遠ざかる奥側に位置する。従って、防音効果を高め、作業環境を適切に改善できる。
【0043】
また、パッケージ20の左右の側壁部23、24が、パネルによって二重構造に設けられ、それらのパネルは騒音遮蔽材を兼ねており、防音効果を高めることができる。また、パネルによる二重構造は、複雑な形状が不要で安価であり、保守管理が容易にできる利点もある。
【0044】
電動モータ付属ファンは、電動モータ11の回転軸と同軸に装着されてモータケースに内蔵されており、外から内へ軸方向の風を発生させて電動モータ11を冷却するように設けられている。この電動モータ付属ファンによれば、前述したようにメインルートとは別の冷却風を生じ、冷却効果を高めるために好適に寄与する。
【0045】
以上に説明した各冷却用の空気の流れは、全てが最終的には冷却ファン14によって吸引されて、一括でパッケージ20の外へ排出されて、パッケージ20の内部が換気される構造になっている。
このため、冷却用空気の給排気のための開口は、ベース側面の吸気口21a、パッケージ20の上面(天板27)の排気口14aのみであり、騒音の漏れない構造になっている。さらに、冷却ファン14が後方に配置され、風も後方から抜けるため、風切り音も低減できる。
【0046】
また、冷却ファン14の排気方向を後側などの特定の一方向へ導くガイドを設けることや、冷却ファン14の配置空間に適宜に仕切りを設けることで、防音効果を高めることができる。また、回転ポンプ10の排気は、その流路が入り組んで複雑化するため、防音効果を高めている。
【0047】
50は吸音材であり、各壁部23、24、25、26の各パネルの内面に積層された状態に設けられている。二重構造の側壁部23、24では、それぞれのパネルに張られている。この吸音材50としては、ポリウレタンやポリエチレンの発泡材、又はガラス繊維によるものを用いることができる。
【0048】
この吸音材50によれば、回転ポンプ10の運転音について防音できると共に二重構造の通気路30、31を通る風切音も吸音できる。また、断熱効果もあり、パッケージ20の壁部を構成するパネルの外表面が、排気によって高温になることを防止できる。
さらに、ベース部21の底板28(内底面)に吸音材50を設けることで、反射によってベース側面の吸気口21aから出る騒音を低減している。また、冷却ファン14の上部(天板27の裏面)に吸音材50を設け、排気口14aから出る騒音を低減している。
【0049】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0050】
10 回転ポンプ
11 電動モータ
12 サイレンサ部
12a 排気管路
13 カップリング
14 冷却ファン
15 ポンプ同軸ファン
15a 羽根車
15b 送風用ケーシング
20 パッケージ
20a 下側の収納空間
20b 上側の収納空間
21 ベース部
21a 吸気口
21c 吸気フィルタ
22 載置棚部
22a 開口部
23 一方の側壁部
23a 内壁
24 他方の側壁部
24a 内壁
25 前面の壁部
26 裏面の壁部
30 一方の側壁部の通気路
30a 連通口
30b 上部連通口
30c 排気管路用連通口
31 他方の側壁部の通気路
31a 下側連通口
31b 上側連通口
32 内部
32a 下側連通口
32b 上側連通口
40 配電盤
50 吸音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ポンプと、該回転ポンプを駆動する電動モータと、それらを収納するパッケージと、該パッケージの上部に配されてパッケージ内部の空気を下方から吸引して外部へ排出することで該パッケージ内部を冷却する冷却ファンとを構成要素とするパッケージ型の回転ポンプユニットであって、
前記回転ポンプが前記電動モータとカップリングを介して水平方向へ直列に連結されることで、連結方向である水平方向に長い組み立て形態に設けられ、前記パッケージが、前記回転ポンプと前記電動モータとをそれらの連結方向が前後方向となるように収納するため、左右方向に比較して前後方向の奥行きが長く設けられ、前記電動モータが、前記回転ポンプよりも前記パッケージの前部側に配されて収納されていることを特徴とするパッケージ型の回転ポンプユニット。
【請求項2】
前記電動モータが連結された前記回転ポンプを縦方向へ一台ずつ重ねた状態で複数収納できるように、複数段の載置棚部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパッケージ型の回転ポンプユニット。
【請求項3】
配電盤が、前記パッケージの二重構造に設けられた前壁部の内部に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のパッケージ型の回転ポンプユニット。
【請求項4】
前記冷却ファンが、前記電動モータよりも前記パッケージの後部側に配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパッケージ型の回転ポンプユニット。
【請求項5】
前記パッケージの左右の側壁部が、二重構造に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパッケージ型の回転ポンプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237216(P2012−237216A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105727(P2011−105727)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】